説明

細胞死をイメージングするための化合物

本発明は細胞死を検出するための化合物に関する。本発明によれば、化合物は、二又は三価金属イオンの錯化のための環状ポリアミン単位を含んで成る。本発明の化合物は、フルオレセインのようなレポーティング標識、又は放射性同位体含有置換基を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞死をインビトロ及びインビボでイメージングするための化合物、及び患者における腫瘍の進行又は退行を検出するための方法に関する。さらに、本発明は、そのような化合物を含んで成る医薬組成物、それを得るために適切な前駆体、それを得るための方法、及び細胞死をイメージングするためのキットに関する。
この出願を通して、種々の出版物及びハンドブックが引用される。それらの出版物及びハンドブックの開示は、本発明に関与する技術状態をより十分に説明するために、その全体を本出願に引用により取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
腫瘍の治療制御は、癌患者の追跡の間、興味ある主要分野の1つである。この情報は現在、一連の従来の調査、例えば形態学的変化、徴候的応答及び臨床化学により得られる。X−線、コンピュータートモグラフィー(CT)、超音波検査(US)及び磁気共鳴(MR)のような放射線技法は、腫瘍塊状物のサイズ及び形態及び腫瘍灌流のある程度の変更に対応するイメージングの技法である。
【0003】
同時に、核医学は、治療応答の評価のために都合良く使用される一連の放射性医薬品を有する。それらの剤の中で、[18F]FDGは、腫瘍におけるグルコース輸送及びヘキソキナーゼ活性に対する細胞静止薬剤の影響を示すために使用される代用マーカーとして作用する主役である。トレーサー蓄積の低下は、処理応答及び良好な生存性を示すことが予測される。しかしながら、シグナルの解釈は、例えば放射線療法の直後、炎症反応により複雑化される。さらに、腫瘍応答は、負のシグナル、すなわちトレーサー摂取の低下を通して示される。これは、治療の前、トレーサーの中位の蓄積の場合、問題である。これに関しては、陽性シグナルを提供するトレーサーがより所望される。
【0004】
数年前、99mTcラベルされたアネキシンVが、インビボで細胞死をイメージングすることができる新規剤として提供された。アポプトーシスは、いくつかのモデルシステム、例えば心筋梗塞、Fas抗体処理された肝臓及び細胞静止薬剤適用の後の腫瘍において可視化された(1,2)。アネキシンV−蛍光色素接合体により得られた結果に基づいてのアポトーシスのためのインビボイメージングインジケーターとしての99mTcラベルされたアネキシンVの使用が、顕微鏡下でアポプトーシス細胞を示すために用いられた(3)。
【0005】
最初に、アネキシンVは、ヒト胎盤から単離され(4)、これは他の因子の中で、プロトロンビナーゼ活性を阻害することにより抗凝集効果を示す。この結果は、リン脂質膜からの凝集因子の置換に寄与する(5)。
【0006】
アネキシンは、カルシウムの存在下での脂質に結合する偏在する相同タンパク質である。これまでまた、胎盤抗凝集タンパク質(PAP)又は血管抗凝集タンパク質(VAC−α)(5)とも呼ばれるアネクシンVは、アポトーシスの壊死の直後、細胞膜上に存在する外面化されたホスファチジルセリン(PS)上のCa2+と共に接合する。正常な条件下で、ホスファチジルセリンは、二層細胞膜の内部リーフレット上に約100%まで存在し、ここでそれはトランスメンブランシグナル化及びインターナリゼーション工程に包含されるアネキシンIのためのアンカーとして作用する(6)。
【0007】
本質的又は非本質的刺激の後、誘発される、エフェクターカスパーゼ3,6及び7の活性化のために、正常な条件下で、細胞膜内の脂質の非対称的分布を維持する、タンパク質のタンパク質分解不活性化が生じる。いくつかのタイプのトランスロカーゼ酵素、例えばホスファチジルセリン及びホスファチジルエタノールアミンの内部輸送を選択的に触媒する偏在性Mg2+−ATP依存性アミノリン脂質フリッパーゼ、ほとんど頭状基特異性を伴わないでリン脂質を外部に移動するATP依存性フロッパーゼ、及び二層非対称性を破壊するCa2+依存性スクランブラーゼが、それらのタンパク質に属する(7)。エネルギー要求性アポプトーシス工程によるATP消耗がまた、非対称脂質分布の維持を妨げる。
【0008】
10-10モル/l以下のKdを示す、ホスファチジルセリンを暴露する細胞に対するアネキシンVの高い親和性(8)は、インビボでのアポトーシスの検出に基づかれる。この強いアネキシンV−ホスファチジルセリン相互作用についての構造的バックグラウンドがゆっくり解明されている。
【0009】
この種類の結合が、いわゆるAB、AB’及びDE Ca2+−結合部位と強調して、カルボキシル−リン脂質頭状基とのCa2+の同時−錯体形成を通して機能することが、X−線構造分析から知られている。それらの結合部位は、アネキシンVの4種のタンデムに反復されたセグメントの個々に位置する。
【0010】
図1は、Ca2+−アネキシンV結合部位上のグリセロリンセリン(切断されたホスファチジルセリン)とのそれらのセグメントの1つ(ドメインIII )における相互作用を示す(9)。第1AB及び第2AB’Ca2+部位は、個々のドメインのA及びBヘリックス間のループ内に位置する。それらはまた、それぞれタイプII及びタイプIII Ca2+結合部位とも呼ばれる。
【0011】
3種の錯体形成部位AB、AB’及びDEが、異なった安定性、すなわちAB>AB’>DEを伴っての異なって調整されたカルシウムカチオンを包含することが注目されるべきである。第2錯体種ホスファチジルセリンは、セリンのカルボキシル官能基と共にAB’部位におけるCa2+、及びAB部位における負に荷電されたリン酸酸素と強調する。さらに、セリンのα−アミノ基は、このドメインにおいてトレオニン(Thr)187と相互作用する。
【0012】
しかしながら、共同して使用されるCa2+を通してのアネキシンVとホスファチジルセリンとの相互作用は、強い結合親和性を単独で担当するものではない。Ca2+はわずか4−5の範囲のlogK1の安定定数を有するペプチド複合体を形成するので、多価結合が考慮されるべきである。ホスファチジルセリンと組合して、この値は、Ca2+に対するホスファチジルセリンのビデンチシティ(bidenticity)のために、ある程度、上昇することができる。
【0013】
しかしながら、上記に言及される小さな解離定数を適合するために、複数のドメインがアネキシンV/Ca2+/ホスファチジルセリン頭状基相互作用に包含されるべきである。それらの考慮は、Ca2+が十分な濃度で存在することを仮定する。Ca2+依存性は、Ca2+に関しての相互作用の強い協調性を示す低膜占有度でのアネキシンV結合の存在下での滴定により有効にされた(10)。12個までのCa2+イオンは、個々のドメインにおいて3種の結合部位(AB, AB’及びDE)により理論的には錯化され得る。10個ほどの多くのCa2+イオンがラットアネキシンV結晶構造に位置し、それらのすべてはタンパク質の膜対向面で結合する(9)。
【0014】
アネキシンV/ホスファチジルセリンシステムの他に、アポトーシスに起因するのみならず、また壊死にも起因する細胞死のイメージングのための他のアプローチが、試験されて来た。アポプトーシスのインビボ検出のために実質的に有用なアポトーシス経路における他の標的物は、活性化されたカスパーゼである(11−13)。これに関して試験される2種のシステムは、活性化された実施体カスパーゼへの不可逆性インヒビター又は基質の結合に基づかれる。これまでに得られる結果は、最近要約されている(14, 15)。
【0015】
すでに上記で言及されるように、アネキシンVは典型的には、インビトロアッセイに関しては、蛍光色素によりラベルされる(3)。ラベルされたタンパク質は、分子生物学においては集中的に利用されているが、高価であり、且つ適度に不安定である。従って、それは薬剤開発における高い処理能力のスクリーニングアッセイのためには便利ではない。
【0016】
さらに、約2.5mモル/lの細胞外Ca2+が、完全な結合のために必要とされる。これは、ほとんどの動物細胞は、細胞表面にホスファチジルセリンを移動することができるCa2+依存性スクランブラーゼを有するので、誤った陽性結果を導くことができる(16)。さらに、完全なアネキシン結合は、1時間までのインキュベーション時間を要し、これは、動力学的アッセイのためには問題である(17, 18)。
【0017】
手短には、色素ラベルされたアネキシンVは有用なアポトーシスセンサーであるが、しかしそれは多くの限界を有し、そして安価で、強く、低分子量で、急速に結合し、膜−半透性であり、且つCa2+−依存性である置換試薬についての必要性がある。従って、本発明下にある問題は、ホスファチジルセリン−結合剤としての改良された特徴を示す分子を供給し、そして特に、アネクシンVよりもアポトーシスセンサーとしての改良された特徴を示す分子を供給することであった。
【0018】
より一般的には、本発明の目的は、細胞死をインビボ又はインビトロで検出できる改良された分子を供給することである。改良された分子は、アポトーシス又は壊死に起因する死亡性又は死亡細胞を特異的に結合するマーカーである。
【0019】
図2に示される亜鉛ビス−(2,2−ジピコリルアミン)(Zn2+ビス−DPA)配位錯体を紹介した最近の開発の1つは、アネキシンVのアポプトーシス感作機能を模倣するよう企画されている(19, 20)。図1によれば、1つのホスファチジルセリン頭基は、タンパク質表面で4種の標準の結合部位の1つに調和される2種の架橋Ca2+イオンに調和される(9)。
【発明の概要】
【0020】
Zn−配位ヘテロ原子の1つが、ホスファチジルセリンのための置換できる結合部位を供給するために水であるべきである予測に反して、本発明者は、DPAの代わりに、二価又は三価イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位を有する化合物、特にシクレン (12[ane]N4) 又は シクラム (14[ane]N4)を使用した。好ましくは、シクレンは環状エチレン架橋されたテトラミンであり、そしてシクラムは混合されたエチレン−プロピレン架橋されたテトラミンであり、それらの両者はZn2+錯体形成のための4個の窒素原子を有する。この種類の化合物についての安定定数は、DPAに関して105(モル/l)-1に比較して、約1015(モル/l)-1(シクラムについて)である。
【0021】
従って、本発明の第1の観点においては、基本的問題は、少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)を含んで成るか又は含む、化合物又は錯体により解決される。この環状ポリアミン単位(C)は、錯体の中心イオンとして、多価、特に二及び/又は三価金属イオンの結合又は錯体形成を可能にする。
【0022】
本発明の1つの観点においては、環状ポリアミン単位を有する化合物である、AMD3100 (1,1'- [ 1 ,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス [1,4,8,11 -テトラアザシクロテトラデカン]-オクトヒドロブロミド-二水和物)及びその誘導体(すなわち、置換されたAMD3100)は、本発明の範囲から除外される。AMD3100は、CD4/CXCR4受容体アセンブリーを通してウィルス侵入を阻害することによりHIV感染を処理するよう企画された。しかしながら、ホスファチジルセリンの結合及びアポトーシスイメージングのためへのAMD3100の使用は、本発明の範囲内である。下記に開示される化合物1,1 '-[ 1 ,3-フェニレンビス-(メチレン)]-ビス-トリス(p-トルエンスルホニル)- 1,4,7,10- テトラアザシクロドデカンは、それがHIVに対して活性的な活性成分に関与するので、本発明から除外される:
【0023】
【化1】

【0024】
第1の態様においては、第1の観点は、二又は三価金属イオン又は錯体形成性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)を含んで成ることを特徴とする化合物又は錯体、及びその医薬的塩、ジアステレオマー及び鏡像異性体に向けられる。
【0025】
任意には、本発明の化合物又は錯体は、少なくとも1つの標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)、及び/又は少なくとも1つの架橋単位(B)又は結合をさらに含んで成る。
好ましくは、前記化合物又は錯体は、二価又は三価金属イオン又は錯体形成性二価又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)、少なくとも1つの標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)、及び少なくとも1つの架橋単位(B)又は結合を含んで成る。
【0026】
好ましくは、前記二又は三価金属イオンは、非放射性二又は三価金属イオンである。
好ましくは、前記化合物又は錯体は、二価又は三価金属イオン又は錯体形成性二価又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)、及び少なくとも1つの標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)を含んで成る。
【0027】
多価金属イオンが二価金属イオンである場合、この二価金属イオンは、Zn2+、 Ca2+、 Cu2+、 Be2+、 Mg2+、 Sr2+、 Ba2+、 Cd2+、 Cr2+、 Mn2+、 Fe2+、 Co2+、 Ni2+、 Pb2+ 及びHg2+から成る群から選択される。
好ましくは、二価金属イオンは、Zn2+、Ca2+及びCu2+の群から選択される。より好ましくは、二価金属イオンはZn2+である。
【0028】
多価金属イオンが三価金属イオンである場合、この三価金属イオンは、Al3+、 Ga3+、 In3+、 Cr3+、 Mn3+、 Fe3+、 Co3+ 及び Ni3+から成る群から選択される。
好ましくは、三価金属イオンは、Ga3+、 Mn3+、Fe3+、Ni3+の群から選択される。より好ましくは、三価金属イオンはGa3+である。
本発明の化合物又は錯体が1つよりも多くの環状ポリアミン単位(C)を含んで成る態様においては、異なった金属イオンが前記化合物又は錯体により錯体形成され得る。
【0029】
例えば患者への投与の後、又は細胞を殺害するためにインビトロ検出方法に使用される場合、化合物又は錯体の容易な検出を促進するために、化合物又は錯体はさらに、患者における化合物又は錯体の検出のための少なくも1つの検出できる標識(T)(例えば、ラベル又はシグナル化基)をさらに含んで成る。この検出できる標識(T)は好ましくは、化合物又は錯体に共有結合される。
【0030】
そのような標識(T)は、蛍光色素、酵素(特に、ELISAアッセイへの使用のための)、タンパク質、磁気粒子、ナノ粒子、リポソーム、CTのためのX−線吸収要素(例えば、ヨウ素、ランタノイド、等)、MRTのための組織の緩和時間を変更する要素(例えば、ガドリニウム、超常磁性酸化鉄(SPIO))、及び放射性ラベルから成る群から選択され得る。
【0031】
特に、蛍光色素は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン及び誘導体、BODIPY蛍光団(4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a- ジアザ-s-インダセン, Molecular Probes, Invitrogen)、Alexa Fluor色素(Molecular Probes、 Invitrogen)、シアニン及びメロシアニン、 Atto (Sigma)、 Naphtalene誘導体(Dansyl and Prodan 誘導体)、 ピリジルオキサゾール、 ニトロベンゾオキサジアゾール及びベンゾオキサジアゾール誘導体、 クマリン誘導体、 ピレン誘導体、 オレンジグリーン、 エオシン、テキサスレッド、 カスケードブルー、 ナイルレッド、 Cy-3、 Cy-5、及びそれらの誘導体、及びHandbook of Fluorescent Probes R.P. Hangland, ISBN 0-9652240-1-5; 1996, pp 8-39に列挙されるいずれか他の蛍光化合物の群から選択される。好ましくは、蛍光色素は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)である。
【0032】
前記タンパク質は、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ビオチン、アビジン、抗体及び/又は抗体の一部(例えば、Fcフラグメント、二特異性抗体、scFv、 F(ab’)2フラグメント、Fab---)、トキシン、組換えタンパク質、例えばscFv’, 二特異性抗体、ミニボディー及び当業者に知られている適切なタンパク質の群から選択される。
CTラベルは、コンピュータートモグラフィー(CT)のために適切なヨウ素又はランタノイド含有錯体から成る群から選択される。MRTラベルは、磁気共鳴コンピュータートモグラフィー(MRT)イメージングのために適切なガドリニウム又は超常磁性酸化鉄(SPIO)含有錯体から成る群から選択され得る。適切なCT又はMRT要素は、当業界において良く知られている。CT/MRTラベルは、ヨウ素又はランタノイド又はガドリニウム含有錯体であり、そして/又は化合物又は錯体に共有結合される成分又は原子である。
【0033】
放射性ラベルは、陽電子放出断層撮影(PET)イメージング、又は単一光子放射コンピューター断層(SPECT)イメージングのために適切な既知放射性同位体又はそれらの誘導体又は放射性同位体含有錯体から成る選択され得る。適切なPET放射性同位体(29)は、当業界において良く知られている(Handbook of Nuclear Chemistry, Vol. 4 (Vol. Ed. F. R[delta]sch;Ed. Vertes, A., Nagy, S., Klencsar, Z.,) Kluver Academic Publishers, 2003; pp 119- 202)。
【0034】
SPECTイメージングのための適切な放射性同位体含有錯体(30)は、当業界において良く知られている(Handbook of Nuclear Chemistry, Vol. 4 (Vol. Ed. F. R[delta]sch;Ed. Vertes, A., Nagy, S., Klencsar, Z.,) Kluver Academic Publishers, 2003; pp 279-310)。放射性ラベルは、放射性同位体含有錯体であり、そして/又は化合物又は錯体に共有結合される成分又は原子である。放射性同位体は、99mTc、 18F、 11C、 123I、 124I、 1251、 131I、 64Cu2+67Cu2+89Zr、 68Ga3+67Ga3+111In3+14C、 3H、 32P、 89Zr 及び 33Pの群から選択される。特に、陽電子放出断層撮影(PET)に関して、18F、 68Ga、64Cu又は124I、より好ましくは18F又は68Gaが陽電子放射性同位体として好ましい。単一光子放射コンピューター断層(SPECT)に関しては、123I、125I、111In及び99mTc、より好ましくは123I又は99mTcが好ましい。
【0035】
好ましくは、標識(T)は、下記から選択される:
【化2】

【0036】
リンカー(L)は、C1-C6 アルキル、 0- C1-C6アルキル、 C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキレン、 (CH2CH2O)nCH2CH2、 置換されているか又は置換されていない アリール、 置換されているか又は置換されていない O-アリール、 置換されているか又は置換されていない ヘテロアリール、 (CH2)nPh、 (CH2CH2CH2O)n CH2CH2、 CO(CH2)n、 [O(CH2)n-O(CH2)n]m、又は - O(CH2)n、 [O(CH2)n-O(CH2)n]m(ここで、Phはフェニルであり、そしてn又はmは1,2,3,4,5,6である)である。好ましくは、n又はmはお互い独立して、1〜4及びより好ましくは1〜3である。好ましくは、リンカー(L)は、C1-C6アルキル、O-C1-C6アルキル又はC1-C6アルコキシである。好ましくは、リンカー(L)は、当業界において良く知られている式のPEG鎖である。好ましくは、リンカー(L)は、(CH2CH2CH2O)n CH2CH2、 CO(CH2)n、 [O(CH2)n-O(CH2)n]m、又は - O(CH2)n、 [O(CH2)n-O(CH2)n]mである。より好ましくは、リンカーは、- O(CH2)n、 [O(CH2)n-O(CH2)n]m(ここで、nは2であり、そしてmは1である)である。
【0037】
検出できる標識(T)の他に、化合物又は錯体はまた、治療化合物、例えば薬剤、例えば発作の後、患者に投与され得る抗−アポプトーシス物質に共有又は非共有結合され得る。
【0038】
本発明の好ましい態様においては、前記環状ポリアミン単位(C)は、お互い2又はそれ以上の炭素原子により間隔を開けられた環に、9〜20個の環員及び3〜6個のアミン窒素を有する置換されているか又は置換されていない成分である。好ましくは、前記環状ポリアミン単位(C)は、下記式:
【0039】
【化3】

【0040】
[式中、R1, R2, R3及びR4はお互い独立して、結合、水素、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ又はアルキル-COO-、アリール-COO-から選択される]で表される、式Iaのシクレン(エチレン架橋されたテトラミン)、式Ibのシクラム(混合されたエチレン−プロピレン架橋されたテトラミン)及び式Icのシクレン−シクラム混合物(混合されたエチレン−プロピレン架橋されたテトラミン)である。好ましくは、R1, R2, R3及びR4はお互い独立して、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシから選択される。
より好ましくは、シクレンは、下記式Ia:
【0041】
【化4】

【0042】
[式中、R1〜R4は水素である]で表されるシクレンである。
より好ましくは、シクラムは、下記式Ib:
【0043】
【化5】

【0044】
[式中、R1〜R4は水素である]で表されるシクラムである。
より好ましくは、シクレン−シクラム混合物は、下記式Ic:
【0045】
【化6】

【0046】
[式中、R1〜R4は水素である]で表されるシクレン−シクラム混合物である。
好ましくは、化合物又は錯体は、1〜10個の環状ポリアミン単位(C)を含んで成る。より好ましくは、化合物又は錯体は、1〜6個の環状ポリアミン単位(C)を含んで成る。
【0047】
さらにより好ましくは、化合物又は錯体は、1〜4個の環状ポリアミン単位(C)を含んで成る。さらにより好ましくは、化合物又は錯体は、1〜2個の環状ポリアミン単位(C)を含んで成る。さらにより好ましくは、化合物又は錯体は、2個の環状ポリアミン単位(C)を含んで成る。
【0048】
本発明の化合物又は錯体が2以上の環状ポリアミン単位(C)を含んで成る場合、環状ポリアミン単位(C)は、お互い独立して下記から選択される:
式Iaのシクレン(エチレン架橋されたテトラミン)、
式Ibのシクラム(混合されたエチレン−プロピレン架橋されたテトラミン)、又は
式Icのシクレン−シクラム混合物(混合されたエチレン−プロピレン架橋されたテトラミン)。
【0049】
上記のように、多価(特に、二又は三価)金属イオンは、シクレン、シクラム又はシクレン−シクラム混合物により錯化され、ここで環は環のN原子又は環のC原子を通して結合される。
好ましい態様においては、化合物又は錯体は、架橋単位(B)を通して結合される少なくとも2つの環状ポリアミン単位(C)を含むか又は含んで成る。
【0050】
もう1つの好ましい態様においては、1つの環状ポリアミン単位(C)を含むか又は含んで成る化合物又は錯体は任意には、架橋単位(B)に結合される。
架橋単位として、いくつかの構造体が驚くべきことに見出され、そして本発明の一部である。下記に、好ましい架橋単位が示される:
【0051】
本発明の化合物又は錯体の1つの好ましい態様においては、架橋単位(B)は、下記式(II)(ここで、フェニルコアー構造体は、X1, X2又はX3により占有されない位置で置換されているか又は置換されていない):
【0052】
【化7】

【0053】
[式中、X1, X2及びX3はお互い独立して、H、 C1-C6 アルキル、 C1-C6 アルコキシ、 C1-C6 アルキレン、 C(O)、 [O(CH2)n]m、 (CH2CH2O)m、 CH2OPhCH2、 (CH2CH2CH2O)m、 (CONHPhCH2)、 (CONH(CH2CH2O)2CH2CH2)、 [O(CH2)n]m-NH2、 又はC(O)NH-[(CH2)n-O]m(ここで、Phはフェニルであり、そしてnは2〜6であり、そしてmは1〜6である)からからである]で表される単位である。
【0054】
任意には、X1, X2又はX3はお互い独立して、環状ポリアミン単位(C)、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合され、但しX1, X2又はX3はHではない。好ましくは、nは2〜3であり、そしてmは1〜3である。好ましくは、X1, X2及びX3はお互い独立して、C1-C6 アルキル、C(O)、 又は (CONH(CH2CH2O)2CH2CH2)である。より好ましくは、X1, X2及びX3はお互い独立して、メチル又はC(O)である。
【0055】
好ましくは、架橋単位(B)は、下記式:
【化8】

【0056】
[式中、Xは、X1, X2又はX3である]から選択された式IIの単位である。
式IIの架橋単位(B)は任意には、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合される;下記式IIa1:
【0057】
【化9】

【0058】
[式中、Xは上記に定義されるようなX1, X2又はX3であり、Rは、上記のような標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)である]を参照のこと。
好ましくは、式IIの架橋単位(B)は任意には、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合される;下記式IIa:
【0059】
【化10】

【0060】
[式中、Xは上記に定義されるようなX1及び/又はX2であり、Rは上記のような標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)である]を参照のこと。
【0061】
好ましくは、検出できる標識(T)は上記のような、蛍光色素、放射性同位体、酵素、タンパク質、又はラベルされた置換基であるか、又は含んで成る。
好ましくは、式II、IIa1又はIIa2の架橋単位のX成分は、2つ以上のX成分が存在する場合、同一である。
【0062】
好ましくは、式II、IIa1又はIIa2の架橋単位のX成分は、お互い異なる。
本発明の化合物又は錯体の第2の好ましい態様においては、架橋単位(B)は、置換されたベンゼンに基づく足場である、置換されているか又は置換されていない下記式III :
【0063】
【化11】

【0064】
[式中、X及びX2はお互い独立して、H、 C1-C6 アルキル、 C1-C6 アルコキシ、 C1-C6 アルキレン、 C(O)、 [O(CH2)n]m、 (CH2CH2O)m、 CH2OPhCH2、 (CH2CH2CH2O)m、 (CONHPhCH2)、 (CONH(CH2CH2O)2CH2CH2)、 [O(CH2)n]m-NH2、 又はC(O)NH-[(CH2)n-O]m(ここで、Phはフェニルであり、そしてnは2〜6であり、そしてmは1〜6である)からからであり、Yは(CH2)n(n=1, 2又は3)、(CH2CH2O)m(m=0, 1, 2又は3),、 O(CH2)pO(p=2, 3又は4)、又はO(お互い独立して)である]で表される単位である。
【0065】
好ましくは、X及びX2はお互い独立して、C1-C6 アルキル、C(O)、 又は(CONH(CH2CH2O)2CH2CH2)である。好ましくは、X及びX2はお互い独立して、メチル又はC(O)、であり、そしてYはメチル又はC(O)である。
【0066】
任意には、X及びX2はお互い独立して、環状ポリアミン単位(C)、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合され、但しX1又はX2はHではない。
式III の架橋単位(B)は任意には、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合される;下記式III a1:
【0067】
【化12】

【0068】
[式中、Xは上記に定義されるようなX1及び/又は X2であり、Rは、上記のような標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)である]を参照のこと。
【0069】
好ましくは、式III a1の化合物は、式III a1(式中、Rは、上記のようなH、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)であるが、但しわずか1つのRが標識(T)を含んで成る)の化合物である。
式III の架橋単位(B)は任意には、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合される;下記式III a2:
【0070】
【化13】

【0071】
[式中、Xは上記に定義されるようなX1及び/又は X2であり、Rは、上記のような標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)である]を参照のこと。
好ましくは、検出できる標識(T)は上記のような、蛍光色素、放射性同位体、酵素、タンパク質、又はラベルされた置換基であるか、又は含んで成る。上記に開示される好ましい態様が、ここに包含される。
【0072】
式III 、III a1又はIII a2においては、架橋単位(B)のXは、環状ポリアミン単位(C)環の環N原子又は環C原子を通して、環状ポリアミン単位(C)に共有結合される。
好ましくは、式III 、III a1又はIII a2の架橋単位のX成分は、2以上のX成分が存在する場合、同一である。好ましくは、式III 、III a 1又はIII a2の架橋単位のX成分はお互い異なる。
【0073】
本発明の化合物又は錯体の第3の好ましい態様においては、架橋単位(B)は、アダマンタンに基づく足場である下記置換されているか又は置換されていない式IV:
【0074】
【化14】

【0075】
[式中、X1, X2及びX3は上記の通りである]で表される単位である。X1, X2又はX3はお互い独立して、環状ポリアミン単位(C)、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合されるが、但しX1, X2又はX3はHではない。
式IVの架橋単位(B)は任意には、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合される;下記式IVa:
【0076】
【化15】

【0077】
[式中、XはX1, X2及び/又はX3であり、そしてRは上記に定義される通りである]を参照のこと。
【0078】
上記のような基Xは、環状ポリアミン単位のC又はN原子、好ましくはそのN原子の1つを通して環状ポリアミン単位、例えばシクレン又はシクラムのいずれかに共有結合される。
【0079】
本発明の化合物又は錯体の第4の好ましい態様においては、架橋単位(B)は、ペプチドに基づく足場である、置換されているか又は置換されていない式V’及びV’aの単位である。第V’はα−アミノ酸を有するペプチド足場に基づかれ、そして式V’aはβ−アミノ酸を有するペプチド足場に基づかれる。
式V’は、α−アミノ酸から成る線状ペプチドである。
式V’aは、β−アミノ酸から成る線状ペプチドである。
式V’及びV’aの架橋単位(B)は任意には、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合される;下記式V及びVa:
【0080】
【化16】

【0081】
[式中、mは1,2,3,4,5又は6であり、そしてR’はXであり、ここでXはX1であり、X2及びX3はお互い独立して、H、 C1-C6 アルキル、 C1-C6 アルコキシ、 C1-C6 アルキレン、 C(O)、 [O(CH2)n]m、 (CH2CH2O)m、 CH2OPhCH2、 (CH2CH2CH2O)m、 (CONHPhCH2)、 (CONH(CH2CH2O)2CH2CH2)、 [O(CH2)n]m-NH2、 又はC(O)NH-[(CH2)n-O]m(ここで、Phはフェニルであり、そしてnは2〜6であり、そしてmは1〜6である)からであり、
X1, X2又はX3はお互い独立して、環状ポリアミン単位(C)、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)に共有結合されるが、但しX1, X2又はX3はHではなく、そしてRは、上記のような標記(T)又はリンカー(L)−標識(T)である]を参照のこと。
【0082】
好ましくは、X1, X2及び/X3はお互い独立して、式Ia, Ib又はIcの環状ポリアミン単位(C)により結合されるアルキル又はアリール架橋である。環状ポリアミン単位(C)、例えばシクレン又シクラムは、C又はNを通して、好ましくは式V又はVaの化合物又は錯体におけるそのN原子の1つを通して結合される。
【0083】
さらに、本発明の化合物又は錯体のシクレン又はシクラム又はそれらの混合物が予定された表面に結合されている、極小超常磁性酸化鉄粒子(USPIO)のような官能化された粒子を供給することが可能である。そのような官能化された粒子を化合物又は錯体に結合するための方法はこれまでにいずれかに記載されている(27)。
【0084】
対照及びアポプトーシスSurkat細胞による結合実験において図3に示されるZn2+錯体形成された及びFITC−ラベルされたビス−シクレン誘導体を用いることにより、発明者は驚くべきことには、蛍光アネキシンVにより得られたそれらの結果に対応する結果を得た。FACS測定値は、Zn2+錯体形成された及びFITC−ラベルされたビス−DPA錯体により実施された実験に反して、再生できた。
【0085】
インビトロアポ−試験システム(15)により得られる陽性結果は、この種類の小金属−有機化合物又は錯体は、細胞死イメージング、例えばアポプトーシス又は壊死イメージングのために有用であることを示す。表1は、本発明の好ましい化合物又は錯体を列挙する。
【0086】
さらなる態様においては、本発明は、二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)を含んで成ることを特徴とする、ホスファチジルセリンを結合するか又は検出するための化合物又は錯体に向けられる。好ましくは、ホスファチジルセリンを結合するか又は検出するための化合物又は錯体は、非放射性二又は三価金属イオン又は錯体形成性非放射性二又は三価金属イオンの錯化のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)を含んで成る。開示される好ましい態様及び上記開示される好ましい変法がここに包含される。
【0087】
第2の観点においては、本発明は、二又は三価金属イオン又は錯体形成性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)、及び標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)を共有結合するための少なくとも1つの成分を含んで成ることを特徴とする化合物又は錯体VIに関する。
【0088】
任意には、本発明の化合物又は錯体VIはさらに、少なくとも1つの架橋単位(B)又は結合を含んで成る。
好ましくは、二又は三価金属イオンは、非放射性二又は三価金属イオンである。
【0089】
好ましくは、前記化合物又は錯体は、二又は三価金属イオン又は錯体形成性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)、標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)を共有結合するための少なくとも1つの成分、及び少なくとも1つの架橋単位(B)又は結合を含んで成る。
【0090】
標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)を共有結合するための成分は、当業界において知られている成分である。前記成分は、環状ポリアミン単位(C)又は架橋単位(B)への標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)の共有結合を可能にするであろう。
【0091】
標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)を共有する結合するための成分は知られており、ここで標識(T)は、蛍光式表、例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、BODIPY蛍光団(4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a- ジアザ-s-インダセン, Molecular Probes, Invitrogen)、Alexa Fluor色素(Molecular Probes、)、Cy-3、 Cy-5、及びそれらの誘導体、及びHandbook of Fluorescent Probes R.P. Hangland, ISBN 0-9652240-1-5; 1996, pp 8-39に列挙されるいずれか他の蛍光化合物である。
【0092】
標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)(ここで標識(T)はタンパク質である)を共有結合するための成分は、当業界において良く知られている。ハンドブックは、標識がタンパク質である場合、標識を結合するための適切な方法及び試薬を提供する。
【0093】
標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)(ここで前記標識(T)は放射性ラベルである)を共有結合するための成分は、当業界において良く知られている適切なPET放射性同位体の群から選択される(Handbook of Nuclear Chemistry, Vol. 4 (Vol. Ed. F. R[delta]sch;Ed. Vertes, A., Nagy, S., Klenc- sar, Z.) Kluver Academic Publishers, 2003; pp 119-202)。SPECTイメージングのための適切な放射性同位体含有錯体は、当業界において良く知られている(前記;pp279−310)。上記に開示される態様はここに適用される。
【0094】
第3の観点においては、本発明は、インビトロ及びインビボの両者で死亡細胞を結合し、そして検出するために使用される、本明細書に記載されるような化合物又は錯体に関する。特に、そのような使用は、陽電子放出断層撮影(PET)イメージング、単一光子放射コンピューター断層(SPECT)イメージング、磁気共鳴イメージング(MRI)又は光学イメージング、好ましくは陽電子放出断層撮影(PET)を用いることにより、インビボでのアポプトーシス又は壊死イメージング可能にする。
【0095】
1つの態様においては、非放射性二又は三価金属イオン又は錯体形成性非放射性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)を含んで成ることを特徴とする化合物又は錯体が供給される。
【0096】
1つの態様においては、医薬組成物の製造又は死亡細胞を検出するためのイメージング剤としての使用のために、非放射性二又は三価金属イオン又は錯体形成性非放射性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)を含んで成ることを特徴とする化合物又は錯体が供給される。細胞死は、壊死又はアポプトーシスを通して生じる。壊死(31)は、予測できない、突然の細胞損傷のためであり、そして細胞が通常、アポプトーシスを受ける細胞が行う免疫システムに同じ化学的シグナルを送らない不規則な工程である。
【0097】
これは、死亡細胞を位置決定し、そして包含することからほぼ食細胞を妨げ、細胞死の部位での又はその近くでの死亡組織及び細胞残骸の構築を導く。多くの毒性化学的及び物理的現象、例えばトキシン、放射線、熱、外傷、酸素欠乏等が壊死を引起す。アポトーシス(31)は、非反復性細胞損傷、例えばDNA−損傷、必須タンパク質の突然変異又は発育上の工程により引起される、細胞の自己−破壊の規則的工程である。プログラムされた細胞死は、細胞死を導き、そしてその結果が生物を損傷しない細胞残骸の処理工程を導く一連の生化学的現象を包含する。
【0098】
さらなる態様においては、本発明は、アポトーシス又は壊死に起因する細胞死のインビボ又はインビトロ検出のためへの、本明細書に記載されるような本発明の環状ポリアミン化合物又は錯体、又はその組成物の使用に関する。より好ましくは、その使用は、インビトロ検出のためである。インビトロ検出は、FACS、顕微分光法、顕微鏡又はELISAにより行われ得る。より好ましくは、その使用はインビボ検出のためである。インビボ検出は、PET, SPECT, CT又はMRTにより行われ得る。
【0099】
好ましくは、本発明は、アポトーシス又は壊死のインビボ又はインビトロ検出のためへの、本明細書に記載されるような本発明の環状ポリアミン化合物又は錯体又はその組成物の使用に関する。
【0100】
好都合には、そのような方法は、疾病の進行又は退行に直接関係し、そしてまた、治療効能のモニターリングを可能にする、細胞死の測定として、腫瘍、感染及び/又は炎症、外傷、発作、心発作を有する患者の、抗−腫瘍療法、抗−感染療法及び/又は抗−炎症療法に対する評価を可能にする。特に、本発明の化合物又は錯体は、その摂取の低下が容易に検出できるので、好都合である。
【0101】
好ましくは、その使用は、医薬組成物の製造、又は壊死の検出のためのイメージング剤としての使用のためである。
好ましくは、その使用は、医薬組成物の製造、又はアポトーシスの検出のためのイメージング剤としての使用のためである。
【0102】
従って、アポトーシス又は壊死の間に生じる細胞死、及びそれにより、患者の組織における腫瘍、感染及び/又は炎症の進行又は後退のインビボ又はインビトロ検出のための方法がまた提供される。そのような方法は、次の段階:
a)本明細書に記載されるような化合物又は錯体を患者に投与し、そして
b)前記組織における化合物の量又は濃度を測定することを含んで成るか、又は包含する。
【0103】
従って、ホスファチジルセリン、及びそれにより、患者の組織における腫瘍、感染、及び/又は炎症、発作、心発作、外傷の進行又は退行を検出するための方法がまた提供される。そのような方法は、次の段階:
a)本明細書に記載されるような化合物又は錯体を患者に投与し、そして
b)前記組織における化合物の量又は濃度を測定することを含んで成るか、又は包含する。
【0104】
患者はいずれかの哺乳類であり得、そして好ましくは、ヒトである。興味ある組織、すなわち疾病組織における化合物又は錯体の量及び/又は濃度の測定は、PET, SPECT, MRT, CT及び/又は光学イメージングを用いて実施され得る。この検出方法に使用される化合物又は錯体は好ましくは、お互い少なくとも2つの環状ポリアミン単位を結合するための架橋単位を通して結合される少なくとも2つの環状ポリアミン単位を含んで成る。架橋単位は好ましくは、上記に示されるような式II〜Vの化合物又は錯体から成る群から選択される。
【0105】
本発明は、死亡性又は死亡細胞の結合及び検出、又はホスファチジルセリンの結合及び検出のためへのAMD3100(1,1'- [ 1 ,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス [1,4,8,11 -テトラアザシクロテトラデカン]-オクトヒドロブロミド-二水和物)の使用に関する。好ましくは、上記使用は、アポプトーシス又は壊死に起因する死亡性又は死亡細胞を結合し、そして検出するためである。上記に開示される態様はここに適用される。
【0106】
本発明の化合物は、死亡性細胞により特徴づけられる広範囲の種類の医学的状態の検出及び診断のために使用され得る。
【0107】
死亡性細胞により特徴づけられる臨床状態の例は、次の通りである:
過度のアポトーシスの発生により特徴づけられる疾病、例えば退行性疾患、神経変性疾患(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチングトン舞踏病)、 AIDS、運動神経疾患、例えば筋萎縮性側索硬化症(ALS)、プリオン病(例えば、クロイツフェルト・ヤコブ病)、骨髄形成異常症候群、虚血性又は毒性発作、移植拒絶反応の間の移植細胞損失;腫瘍及び特に高い悪性/攻撃的腫瘍がまたしばしば、過度の組織増殖の他に、高められたアポプトーシスにより特徴づけられる。
【0108】
血管障害、例えば心筋梗塞、卒中発作、深部静脈血栓症、広汎性血管内凝固(DIC)、血栓性血小板減少性紫斑症(TTP)、鎌状赤血球貧血、地中海貧血症、抗リン脂質抗体症候群、全身性エリテマトーデス。
【0109】
炎症性疾患、及び/ 又は免疫−介在性病因学又は病因論に関連する疾病; 自己免疫性疾患、例えば抗リン脂質抗体症候群、全身性エリテマトーデス、結合織障害、 例えばリウマチ様関節炎、強皮症; 甲状腺炎; 皮膚病学的疾患、例えば天疱瘡又は結節性紅斑; 自己免疫性血液疾患; 自己免疫性神経障害、例えば重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸管疾患、 例えば潰瘍性大腸炎及び脈管炎。
【0110】
動脈硬化プラーク、及び不安定で、被害を受けやすく、且つ破壊する傾向があるプラークがまた、死亡性細胞、例えばアポトーシスマクロファージ、アポトーシス平滑筋細胞又はアポプトーシス内皮細胞により特徴づけられる。
【0111】
本発明の方法は、ヒト患者又は動物対象における1又は複数の前記臨床状態を検出し、そして/又は診断するために使用され得る。さらに、検出はまた、疾病の重症度を評価するか又はモニターするために、それぞれの疾病を有することがすでに知られているヒトにおいても実施され得る。
【0112】
第4の観点においては、本発明は、本明細書に記載されるような本発明の化合物又は錯体を合成するための方法に関する。
1つの態様においては、本発明は、非放射性二又は三価金属イオン又は錯体形成性非放射性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)を含んで成る化合物又は錯体を合成するための方法に関する。
【0113】
さらなる態様においては、本発明は、
非放射性二又は三価金属イオン又は錯体形成性非放射性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)、及び少なくとも1つの標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)を含んで成る化合物又は錯体を得るために、非放射性二又は三価金属イオン又は錯体形成性非放射性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)、及び標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)を共有結合するための少なくとも1つの成分を含んで成る、式VIの化合物又は錯体を反応する段階を含んで成る方法に関する。
【0114】
この方法によれば、少なくとも2つの環状ポリアミン単位が、お互い少なくとも2つの環状ポリアミン単位を結合するための架橋単位を通して連結する。好ましくは、架橋単位は、式II〜Vの化合物又は錯体から成る群から選択される。
上記に開示される態様は、ここに適用される。
【0115】
第5の観点においては、本発明は、非放射性二又は三価金属イオン又は錯体形成性非放射性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)を含んで成る化合物又は錯体、及びたぶんさらに、適切なキャリヤー及び/又は添加剤を含んで成る医薬組成物に関する。
上記に開示される態様は、ここに適用される。
【0116】
治療のための医薬組成物、及び本発明の診断組成物は、既知経路のいずれか、中でも経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、舌下、眼内、鼻腔内又は局部投与、又は脳内投与により投与され得る。キャリヤーは、所望する投与形態に従って選択されるべきであり、そしていずれかの既知成分、例えば溶媒、乳化剤、賦形剤、タルク、風味剤、着色剤、等を包含する。医薬組成物は所望には、疾病を処理し、副作用を排除し、そして活性成分の活性を増強するために使用される他の医薬的活性成分を含んで成ることができる。
【0117】
第6の観点においては、本発明は、本発明の化合物又は錯体の1つを含んで成るキットに関する。好ましくは、キットは特にインビトロでホスファチジルセリンを結合し、そして検出するために有用である。そのようなキットは、本明細書に記載されるような化合物又は錯体、及び前記化合物又は錯体を溶解し、そして/又は希釈するための適切な緩衝液、前記化合物又は錯体を検出するための剤、例えば抗体、及び/又はELISAアッセイを実施するためのELISAプレートを含んで成る。
【0118】
第7の観点においては、本発明は、細胞集団内の死亡性細胞に医学的に有用な化合物を選択的に標的化するための方法に関し、ここで前記方法は、本出願に開示され、そして請求されるいずれかの本発明の化合物に示される構造により表される化合物と前記細胞集団とを接触し、それにより細胞集団内の死亡性細胞に前記医学的に有用な化合物を選択的に標的化することを含んで成る。
【0119】
好ましくは、本発明の化合物又は錯体は、下記群から選択され、そしてその二又は三価金属イオンにより錯体形成される:
本発明の化合物:
【0120】
【化17】

【0121】
【化18】

【0122】
【化19】

【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1は、Ca2+−アネキシンV結合部位上のグリセロホスホセリン(切断されたPS)とアネキシンVのドメインIII の1つにおける相互作用を示す(9)。第1AB及び第2AB’ Ca2+部位は、それぞれのドメインのA及びBヘリックス間のループ内に位置する。それらはまた、それぞれタイプII及びタイプIII Ca2+結合部位とも呼ばれる。アネキシンV(影をつけられた)の第3度メインにおけるAB及びAb’ Ca2+−結合部位におけるグリセロホスホセリン(明るい)の構造的配列が示される(28)。
【0124】
【図2】図2は、技術水準に従ってのFITCラベルされたZn2+ビス−DPA錯体を示す。
【図3】図3は、本発明の好ましい化合物又は錯体、すなわちFITCラベルされたZn2+ビス−シクレン錯体を示す。
【図4】図4は、アネキシンV及びヨウ化プロピジウム、FL-I, FL-III 及びFL-I/FL-III −プロットについての流動細胞計測FACSを示す。
【0125】
【図5−1】図5は、アネキシンV及びヨウ化プロピジウム、FL-I, FL-III 及びFL-I/FL-III −プロットについての流動細胞計測FACSを示す。
【図5−2】図5は、アネキシンV及びヨウ化プロピジウム、FL-I, FL-III 及びFL-I/FL-III −プロットについての流動細胞計測FACSを示す。
【図6】図6は、肝性アポトーシスの誘発の3.5時間の時点についての化合物19の生分布データを示す。
【0126】
【図7】図7は、横断部分における18F−Zn錯体19のPET獲得を示す。放射線照射された腫瘍(左)及び対照(右)、a)放射線療法の1日前、b)放射線療法の6日後、c)放射線療法の10日後。
【図8】図8は、化合物1と共にインキュベートされた、誘発されていない対照細胞を示す。FL-1は化合物1の蛍光であり、FL-III はPIの蛍光である。アポトーシス細胞は、Q1に、壊死細胞はQ2及びQ4に、生存細胞はQ3に見出される。最初の左側のグラフは緑色である。
【0127】
【図9】図9は、化合物1と共にインキュベートされた、アポトーシス誘発されたJurkat細胞を示す。A:FL-1は化合物1の蛍光である(緑色)、B:FL-III はPIの蛍光である(赤色)、C:前方向及び横方向への散乱は、領域RN1における相同集団を示す。D:オーバーラップする蛍光スペクトルは補正された。アポトーシス細胞はQ1に、壊死細胞はQ2及びQ4に、生存細胞はQ3に見出される。
【0128】
【図10】図10は、化合物AB(FL-III )及びアネキシンV(FL-I)と共にインキュベートされたアポトーシス誘発されたJurkat細胞を示す。
【図11】図11は、化合物1(左、緑色)及び化合物we(右、緑色)と共にインキュベートされた、アポトーシス誘導されたJurkat細胞を示す。
【図12】図12は、Zn2+により錯体形成された化合物1(左図、緑色)又はZn2+なしの化合物1(右図、緑色)と共にインキュベートされた、アポトーシス誘発されたJurkat細胞を示す。
【0129】
【図13】図13は、化合物1及びPIと共にインキュベートされた、アポトーシス誘発されたJurkat細胞を示す。化合物1(右から2番目)からの緑色蛍光とPI(右から2番目)からの赤色蛍光のオーバーレイは、右図に見られる黄色の蛍光を付与する。左図は、伝達図を示す。
【0130】
【図14】図14は、化合物AB(赤)及びアネキシン-V(緑)と共にインキュベートされた、アポトーシス誘発されたJurkat細胞を示す。化合物ABからの赤色蛍光とアネキシン-Vからの緑色蛍光のオーバーレイは、アポトーシス及び壊死の両者の化合物ABのラベリングを示す。左図は、伝達図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0131】
定義:
非放射性二又は三価金属イオンの錯体形成のための環状ポリアミン単位(C)とは、適切なように1又は複数の非放射性二又は三価金属イオンを錯化できる環状ポリアミン単位を意味する。好ましくは、環状ポリアミン単位は、1つの非放射性二又は三価金属イオンを錯化できる。
【0132】
非放射性二又は三価金属イオンを錯化する環状ポリアミン単位(C)とは、適切なように1又は複数の非放射性二又は三価金属イオンを錯化するか又は含んで成る環状ポリアミン単位を意味する。好ましくは、環状ポリアミン単位は、1つの非放射性二又は三価金属イオンを錯化するか又は含んで成る。
【0133】
用語“アルキル”とは、本明細書において使用される場合、C1-C6直鎖又は枝分れ鎖のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル又はネオペンチルを言及する。アルキル基は、ペルフルオロ化されるか、又はハロゲン、ヒドロキシル、C1-C4アルコキシ又はC6-C12アリール(1〜3個のハロゲン原子により置換され得る)から成る群から選択された1〜5個の置換基により置換され得る。より好ましくは、アルキルは、C1-C4又はC1-C3アルキルである。
【0134】
用語“アルケニル”とは、本明細書において使用される場合、少なくとも1つの二重結合を含み、そして2〜10個の炭素原子を有する、直鎖又は枝分れ鎖の単価又は二価基、例えばエテニル、プロプ−2−エン−1−イル、ブト−1−エニル、ペント−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニル及び同様のものを言及する。
【0135】
用語“アルキニル”とは、本明細書において使用される場合、少なくとも1つの三重結合を含み、そして2〜10個の炭素原子を有する、置換されているか又は置換されていない直鎖又は枝分れ鎖の一価又は二価基、例えばエチニル、プロプ−1−イニル、ブト−1−イニル、ペント−1−イニル、ペント−3−イニル及び同様のものを言及する。
【0136】
アルケニル及びアルキニル基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、-CO2H、 -CO2アルキル、 -NH2、 -NO2、 -N3、 -CN、 C1- C20アシル、 又はC1-C6アシルオキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換され得る。
【0137】
用語“アリール”とは、本明細書において使用される場合、5〜10個の環原子を含む芳香複炭素環式又は複素環式成分、例えばフェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル、オキサゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、キノリル又はチアゾリルを言及する。アリール基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、-CO2H、 -CO2アルキル、 -NH2、アルキル-NH2、 C1-C20 アルキル-チオラニル、 -NO2、 -N3、 -CN、 C1-C20 アルキル、 C1-C20アシル、 又は C1-C20 アシルオキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換され得る。ヘテロ原子は、これが芳香族特性の損失を引起さなければ、酸化され得、例えばピリジン成分は酸化され得、ピリジンN−オキシドが得られる。
【0138】
用語“置換された”が使用される場合いつでも、“置換された”を用いる表現で示される原子上の1又は複数の水素がその示される基からの選択により置換され、但し、その示される原子の標準原子価は越えられず、そしてその置換は化学的に安定した化合物、すなわち反応混合物から有用な純度への単離及び医薬組成物への配合を生存するのに十分に強い化合物をもたらすことを示すことを意味する。置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、エトロ、(C1-C6)カルボニル、シアノ、ニトリル、トリフルオロメチル、(C1-C6)スルホニル、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ及び(C1-C6)スルファニルから選択され得る。
【0139】
ハロゲンとは、クロロ、ヨード、フルオロ及びブロモを意味する。好ましくは、ハロゲンとはヨード又はフルオロを意味する。
【0140】
キラル中心、又はもう1つの形の異性体中心が本発明の化合物に存在する場合、すべての形のそのような立体異性体、例えば鏡像異性体及びジアステレオマーが本明細書において保護される。キラル中心を含む化合物は、ラセミ混合物又は鏡像異性体的に富化された混合物として使用され、又はラセミ混合物は良く知られている技法を用いて分離され得、そして個々の鏡像異性体が単独で使用され得る。化合物が不飽和炭素−炭素二重結合を有する場合、(Z)−異性体及び(E)−異性体の両者が本発明の範囲内にある。化合物が互異性体形、例えばケト−エノール互異性体で存在する場合、個々の互異性体形は、平衡して、又は1つの形で優先的に存在しても、本発明内に包含されることが想定される。
【0141】
本発明の化合物は、適用できる場合、7.4の生理学的pHで、双性及び/又は塩の形で存在するか、又は存在することができることが当業者に良く知られている。
好ましくは、患者は哺乳類であり;最も好ましくは、患者はヒトである。
【0142】
イメージング剤が単独で投与される場合可能であるが、投与及び投与形の性質及び形態に依存して、少なくとも1つのイメージング剤化合物、及び1又は複数の医薬的に許容できるキャリヤー、例えば希釈剤又は賦形剤、例えば充填剤、増量剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤又は滑剤を含んで成る医薬製剤としてそれを提供することが好ましい。個々のキャリヤーは、製剤中の他の成分と適合でき、そして患者を害しない態様で、“許容できる”べきである。医薬製剤は任意には、他の診断又は治療剤を含むことができる。技法及び製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences. Mack Publishing Co., Easton, PA. (最新版)に見出され得る。
【0143】
特に上記に言及される成分の他に、本発明の製剤は、問題の製剤のタイプに関して当業界において従来の他の剤を含むことができ、例えば経口投与のために適切なそれらは甘味剤及び風味剤としてそのような追加の剤を含むことができることが理解されるべきである。
【0144】
特にことわらない限り、本発明自体の式の化合物及びそのいずれかの医薬組成物を言及する場合、本発明は本発明の化合物の水和物、塩、溶媒化合物、錯体及びプロドラッグのすべてを包含する。プロドラッグは、本発明の活性親医薬を開放するいずれかの共有結合される化合物である。
【0145】
用語“プロドラッグ”とは、本明細書を通して使用される場合、薬理学的に許容できる誘導体、例えばエステル、アミド及びホスフェートを意味し、その結果、得られる誘導体のインビボ生転換生成物は式(I)の化合物に定義されるような活性薬物である。プロドラッグを記載するGoodman and Gilman (The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8 ed, McGraw-HiM, Int. Ed. 1992,"Biotransformation of Drugs", p 13-15)による引例が本明細書に組込まれる。本発明の化合物のプロドラッグは、変性が通常の操作又はインビボで、親化合物に分解されるような手段で、化合物に存在する官能基を変性することにより調製される。本発明の化合物のプロドラッグは、ヒドロキシル基、例えば非対称炭素原子上のヒドロキシル基、又はアミノ基が、そのプロドラッグが患者に投与される場合、それぞれ遊離ヒドロキシル又は遊離アミノを形成するために分解するいずれかの基に結合される、それらの化合物を包含する。
【0146】
細胞死は、壊死又はアポトーシスを通して生じる。壊死は、予測できない、突然の細胞損傷のためであり、そして細胞がアポトーシスを受ける細胞が行う免疫系に同じ化学的シグナルを通常送らない不規則な工程である。これは、死亡細胞を位置決定し、そして包含することからほぼ食細胞を妨げ、細胞死の部位での又はその近くでの死亡組織及び細胞残骸の構築を導く。多くの毒性化学的及び物理的現象、例えばトキシン、放射線、熱、外傷、酸素欠乏等が壊死を引起す。
【0147】
アポトーシスは、非反復性細胞損傷、例えばDNA−損傷、必須タンパク質の突然変異又は発育上の工程により引起される、細胞の自己−破壊の規則的過程である。プログラムされた細胞死は、細胞死を導き、そしてその結果が生物を損傷しない細胞残骸の処理工程を導く一連の生化学的現象を包含する。
【0148】
用語“死亡性細胞”とは、死亡工程を受ける細胞を本明細書においては言及する。そのような細胞は、アポトーシス工程を受ける細胞、又は神経変性を受けるニューロン細胞により例示され得る。
【0149】
次の開示は、本発明に一部である。本発明はさらに、二又は三価金属イオンの錯化のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位を含んで成ることを特徴とする、ホスファチジルセリンを結合するための化合物に関する。
【0150】
2. 前記二価金属イオンが、Zn2+、 Ca2+、 Cu2+、 Be2+、 Mg2+、 Sr2+、 Ba2+、 Cd2+、 Cr2+、 Mn2+、 Fe2+、 Co2+、 Ni2+、 Pb2+ 及びHg2+、及び前記イオンの対応する放射性金属から成る群から選択される、請求項1記載の化合物。
3. 前記三価金属イオンが、Al3+、 Ga3+、 In3+、 Cr3+、 Mn3+、 Fe3+、 Co3+、 Ni3+、及び前記イオンの対応する放射性金属から成る群から選択される、請求項1記載の化合物。
【0151】
4.前記化合物を検出するための標識をさらに含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
5.前記標識が、蛍光色素、酵素、タンパク質及び放射性ラベルを含んで成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【0152】
6.−前記蛍光色素が、フルオレセイン、ローダミン、BODIPY、Cy-3、 Cy-5及びそれらの誘導体から成る群から選択され、
−前記タンパク質が、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ビオチン、アビジン及び抗体又はそれらの一部から成る群から選択され;
−前記放射性ラベルが、99mTc、 18F、 11C、 124I、 123I、 64Cu2+68Ga3+111In3+14C、 3H、 32P、 及び33P、 好ましくは18Fから成る群から選択される、請求項5記載の化合物。
【0153】
7.前記環状ポリアミン単位が、下記式:
【化20】

【0154】
で表される式Iaの構造を有するシクレン又は式Ibの構造を有するシクラムである、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【0155】
8.(a)下記式:
【化21】

【0156】
[式中、Xは、(CH2)n、(CH2CH2O)n又はCH2OPhCH2、又はCOであり、ここでnは1,2又は3であり、そしてPhはフェニルであり、Xは環状ポリアミン単位にそれぞれ共有結合され;Zはハロゲン、放射性ハロゲン(例えば、18F, 123I)又はHであり;そしてRはH、又は請求項4〜6のいずれか1項記載の標識、好ましくは蛍光色素、18F, 11C, 123I又はラベルされた置換基であり、ここで標識は好ましくはラベルされた置換基R2であり、そしてR2は、下記式:
【0157】
【化22】

【0158】
で表され、これは任意にはスペーサーR1を含んで成り、その結果、スペーサーR1を有するラベルされた置換基R2は、下記式:
【0159】
【化23】

【0160】
で表される];
【0161】
(b)下記式III :
【化24】

【0162】
[式中、Yは(CH2)n(ここでnは1,2又は3である)、(CH2CH2O)m(mは0,1,2又は3である)、O(CH2)pO(pは1,2,3又は4である)、又はO(お互い独立して)、又はそれらの混合物であり;Zはハロゲン、放射性ハロゲン(例えば、18F、123I)、又はHであり;そしてR及びXは上記式IIについて記載される通りである]で表される置換されたベンゼンに基づく足場;
【0163】
(c)下記式IV:
【化25】

【0164】
[式中、X及びRは式IIについて記載される通りである]で表されるアダマンタンに基づく足場;
(d)下記式V(α−アミノ酸を有するペプチド足場)又は式Va(β−アミノ酸を有するペプチド足場):
【0165】
【化26】

【0166】
[式中、mは1,2,3,4,5又は6であり、R’はお互い独立して、シクレン又はシクラムにより結合されるアルキル又はアリール架橋であり;そしてRは式IIについて記載される通りである]で表されるペプチドに基づく足場から成る群から選択される架橋単位を通して結合される2種の環状ポリアミン単位を含んで成る、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【0167】
9.表1〜5又は表6に、又は式VI、VII 又はVIIIで表されるような、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
10. ホスファチジルセリンを結合するためへの請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物の使用。
11. アポトーシスイメージングのためへの請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物の使用。
【0168】
12.陽電子放出断層撮影(PET)イメージング、単一光子放射コンピューター断層(SPECT)イメージング、磁気共鳴イメージング(MRI)又は光学イメージングを用いる、請求項10又は11記載の使用。
13.腫瘍の状態、又は腫瘍、感染及び/又は炎症を有する患者、それぞれ抗腫瘍治療、抗感染治療及び/又は抗炎症治療に対する患者の応答を評価するためへの請求項10〜12のいずれか1項記載の化合物の使用。
【0169】
14.患者の組織における腫瘍、感染及び/又は炎症の進行を検出するための方法であって、
a)請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物を患者に投与し、そして
b)前記組織における化合物の量又は濃度を測定することを含んで成る方法。
15.少なくとも2つの環状ポリアミン単位が架橋単位を通してお互い共有結合される、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物の合成方法。
【0170】
16.前記架橋が式II、III 、IV、V、Vaから選択される、請求項15記載の方法。
17.請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物を含んで成る医薬組成物。
18.適切なキャリヤー及び/又は添加剤をさらに含んで成る、請求項17記載の医薬組成物。
【0171】
19.請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物、及び任意には、インビトロでホスファチジルセリンを検出するための緩衝液を含んで成る、ホスファチジルセリンを結合するためのキット。
20.アポトーシスのインビボ又はインビトロでの検出のためへの、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物又は請求項17記載の医薬組成物の使用。
【0172】
表1〜5.本発明の好ましい化合物:示される個々の化合物は、架橋単位により結合される、シクレン又はシクラムの形での少なくとも2つの環状ポリアミン単位を含んで成る。架橋単位はまた、任意にはスペーサーR1を含んで成る、ラベルされた置換基R2であり得る検出可能標識Rを担持することもできる。下記に与えられるいずれかの架橋単位が、表の同じ部分に書かれるR1及びR2(太線により分けられる)のいずれかの組合せと組合され得る。
【0173】
好ましい化合物がZn2+により錯化されて本明細書に示される。しかしながら、化合物は、本明細書に記載されるようないずれか他の多価(特に、二又は三価)金属イオン、又はそれらの混合物と錯体を形成することが可能である。
【0174】
【表1】

【0175】
【表2】

【0176】
【表3】

【0177】
【表4】

【0178】
【表5】

【0179】
表6.本発明の好ましい化合物:示される個々の化合物は、架橋単位により結合される、シクレン又はシクラムの形での少なくとも2つの環状ポリアミン単位を含んで成る。架橋単位はまた、残基Aも担持することができる。Zは化合物を検出するための放射性ハロゲンである。下記に与えられる架橋単位により結合される環状ポリアミン単位は、表における残基A及びZのいずれかの組合せにより組合され得る。
好ましい化合物がZn2+により錯化されて本明細書に示される。しかしながら、化合物は、本明細書に記載されるようないずれか他の多価(特に、二又は三価)金属イオン、又はそれらの混合物と錯体を形成することが可能である。
【0180】
【表6】

【実施例】
【0181】
a)蛍光ラベルされたビス−シクレン錯体の合成
【化27】

【0182】
使用されるすべての溶媒は、水を有さないp.A.−溶媒としてもたらした。シリカゲル60(0.04−0.063μm、Fluka)を、カラムクロマトグラフィー精製のために使用した。分離用HPLC−精製を、半分離用カラムChromolith(R) SemiPrep, RP18e, 100-10 mm (Merck)を用いて、Agilent(1100シリーズ)によりHPLCにより実施した。
【0183】
化合物4の合成
ブロモ化合物2(22)(130mg、154μモル)及び1,4,7−トリス(tert−ブチルオキシカルボニル)シクレン(3)(23)(295mg、624μモル、2.5当量)を、4mlのアセトニトリルに溶解し、そして炭酸カリウム(175mg、1.27mモル)を添加した。その懸濁液を40℃で60時間、撹拌した。続いて、炭酸カリウムを濾過により除去し、そして溶媒を真空下で除去した。溶離剤としてのEtOAc/ペトロールエーテル=1:1を用いて、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー精製の後、白色固形物質を得た。収量:220mg(90%)
【0184】
化合物5の合成
ビスシクレン化合物4(220mg、170μモル)を、ジクロロメタン中、50%TFA溶液1.4mlに溶解し、そして室温で3時間、撹拌した。溶媒を真空下で除去した。さらなる精製は行わなかった。収量:定量的
【0185】
化合物6の合成
アミン5(8.3mg、13.9μモル)を、250μlの無水DMFに溶解した。5-/6-カルボキシフルオレセインペンタフルオロフェニルエステル(24)(7.5mg、13.9μモル)を、無水DMFに溶解し、そして5に添加した。その反応混合物を室温で16時間、撹拌した。溶媒を真空下で除去した。粗生成物を、半分離用HPLC(A = H2O、B = ACN、0.1 % TFA; 5 分 40 % B)を精製した。
MALDI-MS: m/z = 968.6 (M+H+)、990.6 (M+Na+) (計算967.55)。
【0186】
化合物1の合成
リガンド6(1.1mg、1.16μモル)を、20μlのエタノール及び23.1μlの0.1モル/lのZn(NO3)2水溶液(2.31μモル)に溶解した。その溶液を50℃に40分間、加熱した。凍結乾燥の後、黄色の固形物質を得た。収率:100%
【0187】
a-2 流動細胞計測方法(FACS)
a-2.1 流動細胞計測方法論
流動細胞計測法は、レザー光を通して単一の細胞の流動下で通過する細胞を計数し、そして試験するための技法である。レザー光散乱が細胞特徴についての情報を提供する。前方向散乱(FSC)は基本的に細胞の大きさに依存し、そして横方向散乱(SSC)は細胞の粒状度を測定するために使用される。さらに、細胞が蛍光色素を担持する場合、それぞれの蛍光シグナルが検出され得る。
【0188】
流動細胞計測法は細胞生物学的における広く通用される技法である。特に、細胞死機構の調査においては、それは、アポトーシス、壊死及び健康細胞を計数し、そしてそれらを識別するための標準の方法である。アポトーシスの検出に関しては、緑色蛍光色素に通常結合されるタンパク質アネキシンVが適用される。アネキシンVはまた壊死細胞にも結合することができるので、赤色蛍光核染色ヨウ化プロピジウムが、壊死マーカーとして同時に適用される。
【0189】
アネキシンV及びヨウ化プロピジウムによる流動細胞計測法から得られるその蛍光図が下記に示される。緑色蛍光のための検出チャネルはFl-Iと呼ばれ(図4)、赤色蛍光の1つはFL-III と呼ばれる(図4)。FL-I強度に対する細胞数(計数)のプロットは柱状グラフと呼ばれる。サンプルの蛍光シグナルは、バックグラウンド蛍光である、低い強度(柱状グラフの左側)での第2シグナルを常に伴う。緑色蛍光に対する赤色蛍光をプロットすることにより(FL-I/FL-III −プロット)、細胞が赤、緑、及び赤+緑蛍光細胞に分割され得る図が得られる。4種の四分割領域(Q1-Q4)(図4)中へのシグナルを制御した後、異なって染色された細胞の百分率を、図に示す。
【0190】
a-2.2 流動細胞計測法分析
蛍光ラベルされたビス−シクレン化合物及びテトラ−シクレン化合物の両者が、アポトーシスを誘発するためにスタウロスポリンにより処理された細胞を染色した(図5)。緑色蛍光シグナルは、それらのシクレン化合物と相互作用する細胞の数を示す。FL-I/Fl-III −プロットは、大部分の染色された細胞は緑色のみならず、また赤色蛍光であり、このことは細胞がさらに、シクレン化合物(緑色)に壊死マーカーヨウ化プロピジウム(赤色)を担持することを意味することを示す。
【0191】
FACS測定を、次の実験設定を用いて、DAKO Galaxy流動細胞計測法システムにより実施した:Jurkat細胞は、約1×106個の細胞/mlの密度に増殖された。アポトーシスを、1μモル/lのスタウロスポリンを添加することにより誘発した(Stepczynska A et al, Staurosporine and conventional anticancer drugs induce overlapping, yet distinct pathways of apoptosis and caspase activation, Oncogene (2001) 20, 1193)。37℃での4時間のインキュベーションの後、細胞を冷PBS−緩衝液(140mモル/lのNacl, 10mモル/lのKCl、6.4mモル/lのNa2HPO4、2mモル/lのKH2PO4)により洗浄し、そして冷TES−緩衝液5mモル/lのTES、145mモル/lのNaCl)に再懸濁した。
【0192】
錯体1の0.5mモル/lの水溶液1μlと共に、100μlの緩衝液中、106個の細胞を、37℃で15分間インキュベートした。続いて、細胞を500μlのTES−緩衝液により2度、洗浄し、そしてその細胞を400μlのTES−緩衝液に再懸濁した。100μlのプローブを、900μlの緩衝液により希釈し、そしてすぐに測定した。壊死に対して識別するために、10μlのヨウ化プロピジウム溶液(250μg/ml)を、測定の直前、添加した。
【0193】
【表7】

【0194】
壊死識別のためにヨウ化プロピジウム(PI)を用いてのスタウロスポリン処理されたJurkat細胞に対するアネキシンV及び3種の異なったZn(II)−錯体によるアポトーシス検出についての例が、表7に要約される。その結果は、アネキシンVによる3種のZn(II)―シクレン誘導体のアポトーシス−検出能力の平行性を示す。
【0195】
誘発されていないJurkat細胞のFACS分析は、非常に低いアポトーシス及び従って生存細胞へのビス−シクレン化合物の非常に低い結合性を示した。図8は、化合物1についての結果を示し、生存細胞は、Q3において82%の最大率、Q1においては少々のアポプトーシス細胞(4%)、Q2及びQ4においては壊死細胞(一緒に14%)である。しかし、化合物1に関して、Q3における生存細胞のラベリングは見られなかった。同じ結果が化合物xxについて得られた。アポトーシスがスタウロスポリンを通して誘発される場合(図9)、化合物1によるアポトーシス細胞(Q1=12%)及び壊死細胞(Q2=42%)のラベリングが観察され得る(化合物xxに関しては同じ結果)。
【0196】
【化28】

【0197】
アネキシン−Vとの直接的な比較においては、ビス−シクレンはいくらかのアポトーシス細胞及びほとんどの壊死細胞のラベリングを示したことが示された。図10は、例えばQ2におけるアポトーシス細胞及びQ4における壊死細胞をラベリングする化合物ABを示し、そしてアネキシン−VはQ1及びQ2におけるアポトーシス細胞をラベルする。
【0198】
【化29】

【0199】
ビス−シクレン化合物の多重化がラベリング強度の上昇を導き、そしてラベルされた細胞の%が未変化のまま維持したことが、誘発されたアポトーシスJurkat細胞に関して観察された。図11は、化合物1(ダイマー=2つのシクレン単位)及び化合物we(テトラマー=4つのシクレン単位)を示し、ここで、テトラマーについてのメジアン蛍光強度は130であり、そしてダイマーについてのメジアン蛍光強度は56であり、そしてラベルされた細胞の%は未変化のままであった。
【0200】
【化30】

【0201】
二価カチオン、特にZn2+との錯体形成は、ビス−シクレン化合物の結合特異性のために重要である。これは、例えば誘発されたJurkat細胞に結合するが、しかし、Zn2+が錯化しなければ、誘発されたJurkat細胞にほとんど結合しないZn2+との錯体として示す化合物1について非常に明白である(図12を参照のこと)。同じ効果が化合物weについて観察されたが、但し、化合物1ほど明白ではなかった。
【0202】
可視データによりFACSデータを確証するために、共焦点顕微鏡を用いた。共焦点顕微鏡をJurkat細胞に対して用い、そしてアポトーシスを、1μMのスタウロスポリンにおいて106個の細胞/mlを4時間インキュベートすることにより誘発した(Stepczynska A et al, Staurosporine and conventional anticancer drugs induce overlapping, yet distinct pathways of apoptosis and caspase activatio- nOncogene (2001) 20, 1193)。実験をまた、TES−緩衝液において実施した。化合物結合に関して、106個の細胞(スタウロスポリンにより誘発されているか又は誘発されていない)を、5μMの最終濃度の化合物と共に、100μlの冷TES緩衝液においてRTで15分間インキュベートし、次に細胞をポリリシン被覆されたスライド上に固定し、そしてすぐにヨウ化プロピジウム(PI)と共にインキュベートした。
【0203】
化合物1及びPIとの誘発された細胞のインキュベーションは、同じ細胞中への化合物1及びPIの良好な摂取を示し、これは壊死細胞中への化合物1の摂取を示す(図13)。
【0204】
アネキシン−V及び化合物ABとの誘発された細胞の同時インキュベーションを実施し、アポトーシス細胞を可視化した。図14は、アポトーシス細胞についてのアネキシン−Vの緑色膜染色を示す。化合物ABからの赤色ラベリングは、アネキシン−Vにより染色されたアポトーシス細胞を同時ラベルするが、しかしまた、アネキシン−Vにより検出されなかった細胞のラベリングも示す。これは、化合物ABによるアポトーシス及び壊死細胞のラベリングを明白に示す。
【0205】
【化31】

【0206】
b)放射性ラベルされたビス−シクレン錯体の合成
b-1 化合物15の合成
【0207】
【化32】

【0208】
2−[18F]フルオロエチルトシレート12の合成を、文献(25)に従って実施した。18F−フルオロエチルトシレートを、200μlの無水DMFに溶解し、そして5mgのK2CO3を添加した。10μlの無水DMF中、前駆体11(2mg)を添加し、そしてその溶液を120℃で30分間、加熱した。反応混合物を、RP18 HPLC上で実施した。溶媒を蒸発した。放射化学的収率:65%。
【0209】
18F−フルオロエトキシ−ビス(シクレン)を、50μlのACNに溶解し、そして200μlのTFAを添加した。RTでの10分後、溶媒を除去した。反応混合物をRP18 HPLC上で実施した。保護解除された18F−フルオロエトキシ−ビス(シクレン)を、100μlのPBS−緩衝液に溶解し、10μlの1.5mMのZn(NO3)2溶液を添加し、そしてその溶液を70℃で5分間、加熱した。その混合物を400μlのPBSにより希釈した。放射化学的収率>50%(d.c)。
b-2 化合物19の合成
【0210】
【化33】

【0211】
18F−フルオロエチルトシレートを200μlの無水DMFに溶解し、そして5mgのK2CO3を添加した。10μlの無水DMF中、フェノール前駆体16(2mg)を添加し、そしてその溶液を35分間、120℃で、加熱した。反応混合物を、分離用HPLCにより精製した:Chromolith(商標)SemiPrep RP-18e カラム (100x10 mm, Merck, Darmstadt, Germany), グラジエント, 100% 水 (0.1%TFA)−100%アセトニトリル (0.1% TFA), 流速: 8 mL/分; (tR=5.7 分)。放射化学的収率:77%。
【0212】
18F−フルオロエトキシ−BOC−ビス(シクレン)17を50μlのMeCNに溶解し、そして200μlのTFAを添加した。RTでの10分後、溶媒を真空下で除去した。反応混合物を分離用HPLCにより精製した:Chromolith(商標)SemiPrep RP-18e カラム (100x10 mm, Merck, Darmstadt, Germany), グラジエント, 100% 水 (0.1%TFA)−100%アセトニトリル (0.1% TFA), 流速: 8 mL/分; (tR=1.7 分)。定量的に保護解除された18F−フルオロエトキシ−ビス(シクレン)を100μlのPBS−緩衝液に溶解し、10μlの1.5mMのZn(NO3)2溶液を添加し、そしてその溶液を70℃で5分間、加熱した。その混合物を400μlのPBSにより希釈し、そしてさらに精製しないで使用した。
【0213】
b-3 生分布及びPET診断
生分布を、雄Balb/cマウス(生後6〜8週、体重約20g)において実施した。肝アポトーシスを、シクロヘキシミド(500μlのPBS中、50μg/kg)の腹腔内注入により誘発した(J. F. Tait, C. Smith, Z. Levashova, B. Patel, F. G. Blankenberg, J. Vander- heyden, J. Nucl. Med. 2006, 47, 1546)。肝アポトーシスの誘発の1.5及び3.5時間後、18F−ラベルされた化合物をi.v.注入した(100μlのPBS中、1〜2MBq)。器官分布を、30分、1,2及び3時間後、行った。18F−化合物の量をガンマカウンターにより決定した。
【0214】
肝アポトーシスの誘発の3.5時間の時点での化合物19の生分布データを、図6に示す。化合物は、注入の30分近くの後、アポトーシス肝臓における蓄積を示し、そしてシグナルは3時間以上の間、安定した。
【0215】
PETイメージを、放射線モデルを用いて入手した。約180gの体重の雄のコペンハーゲンラットの左及び右上側の脚上に、ホルモン無関係腺癌(Prostata)R3327-AT1を移植した。左腫瘍を、それが3.5cm3のサイズに達した場合、50Gyの単一用量により直接的粒子加速器により放射し、ところが右腫瘍は対照として作用した。
【0216】
放射の1日前、及び放射の6及び10日後、18F−化合物19(約200μlのPBS中、15−25MBq)をi.v.注入し、1時間の力学的PET測定によるPET−獲得を行った。図7は、対照腫瘍に比較して、照射された腫瘍に関しては、6及び10日間、化合物19の蓄積の上昇を明白に示した。
【0217】
c)放射性ラベルされたテトラ−シクレン錯体の合成
c-1 間接的ラベリング、化合物21
【化34】

【0218】
放射性ラベリングを、化合物15及び19に従って実施し、放射化学的収率は[18F]フルオロエチルトシレートに関する崩壊について修正された、30%の全体的放射化学的収率を有する化合物22を得た。
【0219】
c-2 直接的ラベリング、化合物17
【化35】

【0220】
化合物20の合成
化合物16(25mg、24μモル)を、100mlの無水MeCNに溶解し、そして炭酸カリウム(10mg、72μモル、3当量)及びエチレングリコールジトシレート(100mg、235μモル、10当量)を添加した。反応混合物を16時間、還流した。炭酸カリウムを濾過し、そして溶媒を真空下で除去した。粗生成物を半分離用HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸中、100%H2O(0.1%TFA)〜80%MeCN、8分)を通して精製した。真空下での溶媒の除去の後、19mgの生成物を、67%の収率で無色の固形物として得た。
【0221】
分析HPLC:Chromolith(商標)Performance RP-18e カラム (100x4.6 mm; Merck KGaA, Darmstadt, Germany); 溶媒グラジエント: 100% 水 (0.1 % トリフルオロ酢酸) 5分での0.1% トリフルオロ酢酸中、95%アセトニトリル, 流速: 4mL/分 Rt (分析 HPLC, λ= 215, 254 nm): 4.2分。
【0222】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-D6, 343 K): δ = 7.80-7.77 (m, 2 H, H-3, 3J2,3 = 8.2 Hz); 7.49- 7.45 (m, 2 H, H-3); 6.84-6.67 (m, 3 H, H-9, H-11); 4.35-4.31 (m, 2 H, H-7); 4.17-4.13 (m, 2 H, H-6); 3.74 (bs, 4 H, H-12); 3.49 (bs, 8 H, H-Cy4); 3.37-3.27 (m, 16 H, H-Cy3, H-Cy2); 2.60 (bs, 8 H, H-Cy1); 2.42 (s, 3 H, H-1); 1.41 (s, 18 H, H-Boc3); 1.36 (s, 36 H, H-Boc3) ppm。
【0223】
13C-NMR (500 MHz, DMSO-D6, 343 K):δ= 157.48 (C-8); 155.31 (C-Bocl); 154.30 (C-Bocl); 144.42 (C-5); 139.53 (C-2); 137.47 (C-1O); 129.64 (C-3); 127.08 (C-4); 125.50 (C-11); 114.94 (C-9); 78.05 (C-Boc2); 77.84 (C-Boc2); 68.43 (C-7); 65.20 (C-6); 53.40 (C-12); 48.28 (C-Cy1, C-Cy3); 47.03 (C-Cy2); 46.20 (C-Cy4); 27.86 (C-Boc3); 27.64 (C-Boc3); 20.59 (C-1) ppm。
【0224】
化合物17の直接的放射合成
水性[18F]フルオリド(1GBq)を、QMAカートリッジ(Waters)上に捕獲し、そして0.95mlのMeCN中、5mgのK2.2.2+50μlの水中、1mgのK2CO3によりWheaton V−バイアル中に溶出した。溶媒を窒素流下で120℃で10分間、加熱することにより除去した。無水MeCN(1ml)を添加し、そして前記のようにして蒸発した。500μlの無水DMF中、前駆体20(5mg)の溶液を添加した。130℃での30分間の加熱の後、粗反応混合物を、3mlの水と共に混合し、そして分離用HPLCにより精製した:Chromolith(商標)SemiPrep RP- 18eカラム (100x10 mm, Merck, Darmstadt, Germany),グラジエント,100% Water (0.1%TFA) −100% アセトニトリル(0.1% TFA), 流速: 8 mL/分; tR=5.7分。
集められたHPLC画分を、40mlの水により希釈し、そしてSep−Pak光C18カートリッジ(Waters)上に固定し、これを5mlの水により洗浄し、そして2mlのエタノールにより溶出し、60分の全体の合成時間で、340MBqの生成物を供給した(50%、崩壊について修正された;放射化学的純度>95%TLC, >95%PLC)。所望するF-18ラベルされた生成物を、分析用HPLCを用いて分析した:Chromolith(商標)Performance RP-18e カラム (100-4.6 mm; Merck KGaA, Darmstadt, Germany);溶媒グラジエント;開始100%水(0.1トリフルオロ酢酸)−0.1%トリフルオロ酢酸中、95%アセトニトリル、5分、流速:4ml/分及び分析用HPLC上で対応する非放射性F−19フルオロ−標準による同時注入により確かめた。
【0225】
略語:
ACN - アセトニトリル
CF-PFPE - 5-/6-カルボキシフルオレセインペンタフルオロフェニルエステル
DCM - ジクロロメタン
DMF - N,N-ジメチルホルムアミド
EtOAc - 酢酸エチル
EtOH - エタノール
FACS - 蛍光-活性化された細胞分類
FITC -フルオレセイン
TES - [N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル] -2-アミノスルホン酸]
PI -ヨウ化プロピジウム
TFA -トリフルオロ酢酸。
【0226】
参照文献:
1. Blankenberg FG, Katsikis PD, Tait JF et al. Increased localisation of Tc-99m hy- drazino nicotinamide (HYNIC) labeled annexin V lipocortin in lymphatic tissue of animals treated with dexamethasone [abstract]. JNucl Med. 1997; 38(suppl):268P.
2. Blankenberg FG, Katsikis PD, Tait JF et al. In vivo detection and imaging of phos- phatidylserine expression during programmed cell death. Proc Natl Acad Sd U S A. 1998;95:6349-6354.
3. Koopman G, Reutelingsperger CP, Kuijten GA, Keehnen RM, Pals ST, van Oers MH. Annexin V for flow cytometric detection of phosphatidylserine expression on B cells undergoing apoptosis. Blood. 1994;84:1415-1420.
4. Bohn H, Kraus W. Isolation and characterization of a new placenta specific protein (PPlO). Arch Gynecol. 1979;227:125-134.
5. Reutelingsperger CP, Hornstra G, Hemker HC. Isolation and partial purification of a novel anticoagulant from arteries of human umbilical cord. Eur J Biochem. 1985;151:625-629.
【0227】
6. Rescher U, Zobiack N, Gerke V. Intact Ca(2+)-binding sites are required for targeting of annexin 1 to endosomal membranes in living HeLa cells. J Cell Sd. 2000;l 13:3931-3938.
7. Boon JM, Smith BD. Facilitated phosphatidylcholine flip-flop across erythrocyte membranes using low molecular weight synthetic translocases. J Am Chem Soc. 2001;123:6221-6226.
8. Andree HA, Stuart MC, Hermens WT, Reutelingsperger CP, Hemker HC, Frederik PM, Willems GM. J Biol Chem 1992 Sep 5;267(25):17907-12.
9. Tait JF, Gibson D, Fujikawa K. Phospholipid binding properties of human placental anticoagulant protein-I, a member of the lipocortin family. J Biol Chem. 1989;264:7944-7949.
10. Swairjo MA, Concha NO, Kaetzel MA, Dedman JR, Seaton BA. Ca(2+)-bridging mechanism and phospholipid head group recognition in the membrane-binding protein annexin V. Nat Struct Biol. 1995;2:968-974.
【0228】
11. Tait JF, Gibson DF, Smith C.Measurement of the affinity and cooperativity of annexin V-membrane binding under conditions of low membrane occupancy. Anal Biochem. 2004; 329: 112-119.
12. Nicolson DW, Thornberry NA. Caspases: killer proteases. TIBS. 1997; 22: 299-306.
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15. Haberkorn U, Kinscherf R, Krammer PH, et al. Investigation of a potential scintigraphic marker of apoptosis: radioiodinated Z-Val-Ala-DL-Asp(o-methyl)- fluoromethylketone. Nucl Med Biol. 2001; 28: 793-798.
【0229】
16. Bauer C, Bauder-Wuest U, Mier W, Haberkorn U, Eisenhut M. Investigation of 131I labelled Peptides as Caspases Substrates for Apoptosis Imaging. J Nucl Med 2005; 46: 1066-1074.
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20. Hanshaw RG, E. J. O'Neil, M. Foley, R. T. Carpenter and B. D. Smith, J. Mater. Chem., 2005, 15, 2707.
【0230】
21. Hanshaw RG, C. Lakshmi, T. N. Lambert, J. R. Johnson and B. D. Smith, ChemBioChem, 2005, 12, 2214.
22. Lakshmi C, R. G. Hanshaw, B. D. Smith, Tetrahedron 2004, 60, 11307-11315.
23. Peng W et al., Bioorg. Chem. 2005, 33, 374-385.
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【0231】
26. Bauer C, Bauder-Wuest U, Mier W, Haberkorn U, Eisenhut M. Investigation of 131I labelled Peptides as Caspases Substrates for Apoptosis Imaging. J Nucl Med 2005; 46: 1066-1074.
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28. Eisenhut M., U. Haberkorn. Invited perspective: The molecular position of radiolabels and its impact on functional integrity of proteins. J Nucl Med 2006; 47: 1400-1402
29. GB Saha (Editor), Basics of PET Imaging - Physics, Chemistry, and Regulations, Springer New York 2005, Chapter 6: Cyclotron and Production of PET Radionu- elides)
【0232】
30. Graham Lappin, Simon Temple, Radiotracers in Drug Development, CRC Taylor & Francis 2006, Chapter 12.1.5 Choice of radionuclide for Gamma Scintigraphy and SPECT
31. Kanduc D et al, Cell death: apoptosis versus necrosis (review), Int J Oncol (2002) 21: 165-70。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二又は三価金属イオン又は錯体形成性二又は三価金属イオンの錯体形成のための少なくとも1つの環状ポリアミン単位(C)を含んで成ることを特徴とする化合物、及びその医薬的塩、ジアステレオマー及び鏡像異性体。
【請求項2】
少なくとも1つの標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)、及び/又は少なくとも1つの架橋単位(B)又は結合をさらに含んで成る、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記環状ポリアミン単位(C)が、お互い2又はそれ以上の炭素原子により間隔を開けられた環に、9〜20個の環員及び3〜6個のアミン窒素を有する置換されているか又は置換されていない成分である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
前記環状ポリアミン単位(C)が、下記式:
【化1】

[式中、R1, R2, R3及びR4はお互い独立して、結合、水素、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ又はアルキル-COO-、アリール-COO-から選択される]で表される、式Iaのシクレン、式Ibのシクラム及び式Icのシクレン−シクラム混合物から選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
前記二価金属イオンが、Zn2+、 Ca2+、 Cu2+、 Be2+、 Mg2+、 Sr2+、 Ba2+、 Cd2+、 Cr2+、 Mn2+、 Fe2+、 Co2+、 Ni2+、 Pb2+ 及びHg2+から成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
前記三価金属イオンが、Al3+、 Ga3+、 In3+、 Cr3+、 Mn3+、 Fe3+、 Co3+ 及び Ni3+から成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
前記標識(T)又はリンカー(L)−標識(T)の標識が、1又は複数の環状ポリアミン単位(C)又は架橋単位(B)に共有結合される検出可能ラベルである、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
前記標識(T)が、蛍光色素、酵素、タンパク質及び放射性ラベルを含んで成る群から選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
−前記蛍光色素が、フルオレセイン、ローダミン、BODIPY、Cy-3、 Cy-5及びそれらの誘導体から成る群から選択され、
−前記タンパク質が、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ビオチン、アビジン及び抗体又はそれらの一部から成る群から選択され;
−前記放射性ラベルが、99mTc、 18F、 11C、 124I、 123I、 64Cu2+68Ga3+111In3+14C、 3H、 32P、 及び33P、 好ましくは18Fから成る群から選択される、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
前記標識(T)又は前記リンカー(L)−標識(T)が、前記環状ポリアミン単位又は架橋単位(B)に結合される、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
前記リンカー(L)が、C1-C6 アルキル、 0- C1-C6アルキル、 C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキレン、 (CH2CH2O)nCH2CH2、 置換されているか又は置換されていない アリール、 置換されているか又は置換されていない O-アリール、 置換されているか又は置換されていない ヘテロアリール、 (CH2)nPh、 (CH2CH2CH2O)n CH2CH2、 CO(CH2)n、 [O(CH2)n-O(CH2)n]m、又は - O(CH2)n、 [O(CH2)n-O(CH2)n]m(ここで、Phはフェニルであり、そしてn又はmは1,2,3,4,5,6である)から選択される、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
前記架橋単位(B)が、少なくとも2つの環状ポリアミン単位(C)が存在する場合、環状ポリアミン単位(C)を結合するか、又は
前記架橋単位(B)が単一の環状ポリアミン単位(C)に結合される、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
前記架橋単位(B)が、下記式:
【化2】

[式中、X1, X2及びX3はお互い独立して、H、 C1-C6 アルキル、 C1-C6 アルコキシ、 C1-C6 アルキレン、 C(O)、 [O(CH2)n]m、 (CH2CH2O)m、 CH2OPhCH2、 (CH2CH2CH2O)m、 (CONHPhCH2)、 (CONH(CH2CH2O)2CH2CH2)、 [O(CH2)n]m-NH2、 又はC(O)NH-[(CH2)n-O]m(ここで、Phはフェニルであり、そしてnは2〜6であり、そしてmは1〜6である)から選択される]で表される置換されているか又は置換されていない成分から成る群から選択され、
式V’がα−アミノ酸から成る線状ペプチドであり、そして
式V’aがα−アミノ酸から成る線状ペプチドである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物及び任意には、適切なキャリヤー及び/又は添加剤を含んで成る医薬組成物。
【請求項15】
ホスファチジルセリンを架橋するためへの請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項16】
細胞死(アポトーシス、壊死)イメージングのためへの請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項17】
細胞死(アポトーシス、壊死)イメージングのための医薬組成物の製造のための請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
イメージングが、陽電子放出断層撮影(PET)イメージング、単一光子放射コンピューター断層(SPECT)イメージング、磁気共鳴イメージング(MRI)又は光学イメージングである、請求項17記載の化合物及び請求項16記載の使用。
【請求項19】
腫瘍、外傷、発作、心発作、炎症、感染の状態、又は腫瘍、感染及び/又は炎症、外傷、発作、心発作を有する患者の応答、抗−腫瘍療法、抗−感染療法及び/又は抗−炎症療法に対する応答を、それぞれ評価するためへの請求項15又は16記載の使用。
【請求項20】
患者の組織における腫瘍、外傷、発作、心発作、感染及び/又は炎症の進行を検出するための方法であって、
a)請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物を患者に投与し、そして
b)前記組織における化合物の量又は濃度を測定することを含んで成る方法。
【請求項21】
請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物を得るための方法。
【請求項22】
請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物を含んで成るキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−528325(P2011−528325A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517797(P2011−517797)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005085
【国際公開番号】WO2010/006755
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】