細胞治療処方方法および組成物
【課題】注入のためにエキソビボ調製されたT細胞を処方するための方法を提供すること。
【解決手段】エキソビボ調製されたT細胞は、細胞培養状態から収集され、そして注入に
適切な媒体中で処方される。その処方は、細胞を、架橋の際に活性化シグナルを送達し得
るT細胞表面成分に対して反応性を有する1つ以上の因子で標識すること、およびその標
識された細胞を、生分解性のナノスフェアまたはミクロスフェアと混合することによって
なされ、その生分解性のナノスフェアまたはミクロスフェアはT細胞表面成分に結合した
因子を架橋し得る物質でコートされる。あるいは、その処方は、T細胞の集団を、第一の
物質および1種以上の第二の物質でコーティングされた生分解性のナノスフェアまたはミ
クロスフェアと混合することによってなされ得る。
【解決手段】エキソビボ調製されたT細胞は、細胞培養状態から収集され、そして注入に
適切な媒体中で処方される。その処方は、細胞を、架橋の際に活性化シグナルを送達し得
るT細胞表面成分に対して反応性を有する1つ以上の因子で標識すること、およびその標
識された細胞を、生分解性のナノスフェアまたはミクロスフェアと混合することによって
なされ、その生分解性のナノスフェアまたはミクロスフェアはT細胞表面成分に結合した
因子を架橋し得る物質でコートされる。あるいは、その処方は、T細胞の集団を、第一の
物質および1種以上の第二の物質でコーティングされた生分解性のナノスフェアまたはミ
クロスフェアと混合することによってなされ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、注入のためにエキソビボ調製されたT細胞を処方するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
細胞治療法は、腫瘍、ウイルスおよび細菌病原体に対する宿主免疫応答を増強するため
に開発されてきた。細胞治療法は、多くの場合、T細胞のエキソビボ活性化および増殖を
含む。これらの型の処置の例としては、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)細胞(Rosenb
ergに対して発行された米国特許第5,126,132号を参照のこと)、細胞傷害性
T細胞(Caiらに対して発行された米国特許第6,255,073号;およびCeli
sらに対して発行された米国特許第5,846,827号を参照のこと)、増殖された腫
瘍排出リンパ節細胞(Termanに対して発行された米国特許第6,251,385号
を参照のこと)、および種々の他のリンパ球調製物(Bellらに対して発行された米国
特許第6,194,207号;Ochoaらに対して発行された米国特許第5,443,
983号;Riddellらに対して発行された米国特許第6,040,177号;Ba
bbittらに対して発行された米国特許第5,766,920号を参照のこと)の使用
が挙げられる。
【0003】
細胞治療プロトコルにおけるT細胞の最大限の有効性のために、エキソビボ活性化T細
胞集団は、注入の際に最大の活性化状態であるべきである。細胞治療プロトコルで使用す
るためにより有効なT細胞を生成するための改善された方法を開発するための取り組みは
、エキソビボ活性化法に集中されていた。しかし、エキソビボで活性化された細胞は、収
集され、そして患者に投与されて治療効果をもたらす必要がある。T細胞を収集すること
は、エキソビボ培養物中で利用可能な活性化刺激からT細胞を取り出す。従って、収集か
ら注入までの時間が長ければ長いほど、そのT細胞の品質は低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注入時および血液中を循環する間の両方において、T細胞を、癌、感染症および他の疾
患状態に対する免疫応答を最大限に結集し得る状態に維持する、注入のためのT細胞処方
物を開発する必要性が存在する。注入時にT細胞の活性化状態を維持するための取り組み
は、最も一般的には、外因性IL−2とのT細胞の処方物を含む。患者に対するIL−2
の全身投与もまた、注入後のT細胞の活性化状態を維持するために使用されてきた。しか
し、外因性IL−2投与は、患者にとって極めて有毒であり、T細胞注入を受けた患者に
対して有意な利益を生じなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、細胞培養状態から収集され、そして注入に適した媒体中で処方される、エキ
ソビボ調製されたT細胞を包含する。処方の方法は、(1)細胞を、架橋の際に活性化シ
グナルを送達し得るT細胞表面成分に対して反応性を有する1つ以上の因子で標識する工
程;(2)その標識された細胞を、生分解性のナノスフェアまたはマイクロスフェアと混
合する工程であって、その生分解性のナノスフェアまたはマイクロスフェアは、そのT細
胞表面成分に結合された因子を架橋し得る物質でコートされる、工程;(3)その標識化
T細胞とコーティングされた生分解性架橋スフェアとの混合物を、注入に適した媒体中に
懸濁させる工程;(4)その混合物を適切な容器(例えば、シリンジまたはIV注入バッ
グ)にパッケージングする工程;および(5)その混合物を患者に非経口投与する工程を
包含する。
【0006】
あるいは、本発明は、以下の工程を包含する処方方法で達成され得る:(1)T細胞の
集団を、第一の物質および1つ以上の第二の物質でコーティングされた生分解性のナノス
フェアまたはマイクロスフェアと混合する工程であって、ここで、その第一の物質はその
第二の物質に結合し、そしてその第二の物質が、そのT細胞の表面成分に対して反応性を
有し、ここで、その第二の物質のT細胞との相互作用が、T細胞の活性化を引き起こす、
工程;(2)そのT細胞とその生分解性スフェアとの混合物を、注入に適切な媒体中に懸
濁させる工程;(3)その混合物を適切な容器(例えば、シリンジまたはIV注入バッグ
)にパッケージングする工程;および(4)その混合物を患者に非経口投与する工程。
【0007】
本発明の実施において、注入が意図されるT細胞は、最初に、エキソビボ細胞培養環境
から収集される。次いで、収集された細胞は、注入のためにすぐに処方されるか、その後
の処方のために凍結保存されるか、または処方のために患者の所在地に発送される。
【0008】
本発明の方法による処方の際に、注入のためのT細胞すべてが無毒性の送達ビヒクル中
で最大限に活性化される。
【0009】
本発明の目的のために、T細胞へのすべての言及は、T細胞を含む細胞の少なくとも一
部分を含む細胞の集団を包含する。T細胞は、TCR(α/βTCRおよびγ/δTCR
が挙げられる)を発現する細胞である。T細胞は、CD3を発現するすべての細胞(CD
4およびCD8もまた発現するT細胞サブセットを含む)を包含する。T細胞は、ナイー
ブ細胞および記憶細胞およびエフェクター細胞(例えば、CTL)のすべてを包含する。
T細胞はまた、調節細胞(例えば、Th1細胞、Tc1細胞、Th2細胞、Tc2細胞、
Th3細胞、Treg細胞およびTr1細胞)を包含する。T細胞はまた、NKT細胞お
よびT細胞直系の類似の固有なクラスを包含する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
治療有効量の細胞を含む組成物であって、該細胞の一部分がT細胞であり、それにより、
該T細胞が、該T細胞の少なくとも一部分の細胞表面成分を結合する1つ以上の第一の因
子に接触され、そしてそれにより、該第一の因子が、生分解性の支持体に結合された第二
の因子によって架橋され、そしてそれにより、該T細胞および生分解性の支持体が、非経
口注入に適切な媒体中に懸濁され、そして適切な容器にパッケージングされる、組成物。
(項目2)
前記容器が、折り畳み可能であり、可撓性材料からなる対向する壁、および該容器から突
き出た可撓性チューブを備える、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記容器がシリンジである、項目1に記載の組成物。
(項目4)
治療有効量の細胞を調製するための方法であって、該細胞の一部分がT細胞であり、該方
法は、
該細胞を、架橋の際に活性化シグナルを送達し得るT細胞表面成分に対して反応性を有
する1つ以上の因子で標識する工程;
該標識された細胞を、生分解性のナノスフェアまたはマイクロスフェアと混合する工程
であって、該生分解性のナノスフェアまたはマイクロスフェアは、該T細胞表面成分に結
合された因子を架橋し得る物質でコートされる、工程;
該標識されたT細胞とコートされた生分解性架橋スフェアとの混合物を、注入に適切な
媒体中に懸濁させる工程;および
該混合物を適切な容器にパッケージングする工程
を包含する、方法。
(項目5)
前記容器が、シリンジまたはIV注入バッグである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記容器が、折り畳み可能である、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記容器が、可撓性材料からなる対向する壁および出口チューブを備える、項目6に記
載の方法。
(項目8)
治療有効量の細胞を調製する方法であって、該細胞の一部分がT細胞であり、該方法は、
T細胞の集団を、第一の物質および1つ以上の第二の物質でコートされた生分解性のナ
ノスフェアまたはマイクロスフェアと混合する工程であって、ここで、該第一の物質は、
該第二の物質に結合し、そして該第二の物質が、該T細胞上の表面成分に対して反応性を
有し、そしてここで、該第二の物質の該T細胞との相互作用が、該T細胞の活性化を引き
起こす、工程;
該T細胞の混合物と該生分解性スフェアとの混合物を、注入に適切な媒体中に懸濁させ
る工程;および
該混合物を容器にパッケージングする工程
を包含する、方法。
(項目9)
前記容器が、シリンジまたはIV注入バッグである、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記容器が、折り畳み可能である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記容器が、可撓性材料からなる対向する壁および出口チューブを備える、項目10に
記載の方法。
(項目12)
前記パッケージ混合物のT細胞濃度が、1mlの注入媒体あたり少なくとも1×107細
胞である、項目8に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(好ましい実施形態)
本発明の生分解性のスフェアは、好ましくは、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコ
ール酸)(PGA)、PLAとPGAとのコポリマー(PLGA)またはポリ(カプロラ
クトン)(PCL)、およびポリ無水物のような、脂肪族ポリエステルから製造される。
これらスフェアは、0.1〜500ミクロン、好ましくは10ミクロンより小さい、そし
て最も好ましくは1ミクロンより小さい粒子サイズに生成される。このサイズ範囲のマイ
クロスフェアは、従来方法によって身体中に直接注入し得る。コートされたスフェアが、
生理学的流体中で7日以内、より好ましくは3日以内に分解するように設計されているこ
とが好ましい。
【0011】
上記生分解性のスフェア上にコートされるために好ましい第一の物質は、ポリクローナ
ルヤギ(またはヒツジ)抗マウスポリクローナル抗体である。例として、この好ましい第
一の物質は、T細胞表面成分に対して特異性を有する、マウス由来モノクローナル抗体、
またはそのフラグメントもしくは遺伝子工学的に操作されたその誘導体を架橋するために
用いられ得る。従って、例えば、ヤギ抗マウスでコートされたマイクロスフェア(または
ナノスフェア)の、マウス抗ヒトCD3とマウス抗ヒトCD28mAbで標識されたヒト
T細胞との混合は、このヤギ抗マウスポリクローナル抗体のマウスmAbとの結合により
、ヒトT細胞上のマウスmAbの架橋を引き起こす。このmAbの架橋は、T細胞の活性
化を引き起こす。あるいは、抗ヒトCD3と抗CD28はまた、ヤギ(またはヒツジ)ポ
リクローナル抗体でコートされたスフェア上に、好ましくは50/50比で最初に結合し
、そしてT細胞と混合され得る。第一の物質と第二の物質との多くの組み合わせが、シグ
ナル伝達およびT細胞の活性化を開始するために、T細胞表面成分に結合された第二の因
子を架橋する目的を達成するために用いられ得ることは当業者に明らかである。
【0012】
T細胞の架橋された表面成分との混合物は、注入媒体(例えば、正常食塩水、5%デキ
ストロース、Plasma−Lyte(Baxter)またはNormasol(Abb
ott)のような等張溶液)中に懸濁される。いくつかの実施形態では、この注入媒体は
、0.5%〜10%ヒト血清アルブミン(HSA)で補填される。
【0013】
この混合物は、好ましくは、1mlの注入媒体あたり1×107〜1×108細胞の間
の最終T細胞濃度に調節される。好ましい実施形態では、109T細胞が、100mlの
注入媒体中に処方される。この処方物は、次いで、シリンジ、プラスチックパウチ、また
はプラスチックボトルのような1つ以上の容器中にパッケージングする。
【0014】
本発明を、好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本発明の思想およ
び範囲から逸脱することなく、変更が形態および詳細においてなされ得ることを認識する。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、注入のためにエキソビボ調製されたT細胞を処方するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
細胞治療法は、腫瘍、ウイルスおよび細菌病原体に対する宿主免疫応答を増強するため
に開発されてきた。細胞治療法は、多くの場合、T細胞のエキソビボ活性化および増殖を
含む。これらの型の処置の例としては、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)細胞(Rosenb
ergに対して発行された米国特許第5,126,132号を参照のこと)、細胞傷害性
T細胞(Caiらに対して発行された米国特許第6,255,073号;およびCeli
sらに対して発行された米国特許第5,846,827号を参照のこと)、増殖された腫
瘍排出リンパ節細胞(Termanに対して発行された米国特許第6,251,385号
を参照のこと)、および種々の他のリンパ球調製物(Bellらに対して発行された米国
特許第6,194,207号;Ochoaらに対して発行された米国特許第5,443,
983号;Riddellらに対して発行された米国特許第6,040,177号;Ba
bbittらに対して発行された米国特許第5,766,920号を参照のこと)の使用
が挙げられる。
【0003】
細胞治療プロトコルにおけるT細胞の最大限の有効性のために、エキソビボ活性化T細
胞集団は、注入の際に最大の活性化状態であるべきである。細胞治療プロトコルで使用す
るためにより有効なT細胞を生成するための改善された方法を開発するための取り組みは
、エキソビボ活性化法に集中されていた。しかし、エキソビボで活性化された細胞は、収
集され、そして患者に投与されて治療効果をもたらす必要がある。T細胞を収集すること
は、エキソビボ培養物中で利用可能な活性化刺激からT細胞を取り出す。従って、収集か
ら注入までの時間が長ければ長いほど、そのT細胞の品質は低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注入時および血液中を循環する間の両方において、T細胞を、癌、感染症および他の疾
患状態に対する免疫応答を最大限に結集し得る状態に維持する、注入のためのT細胞処方
物を開発する必要性が存在する。注入時にT細胞の活性化状態を維持するための取り組み
は、最も一般的には、外因性IL−2とのT細胞の処方物を含む。患者に対するIL−2
の全身投与もまた、注入後のT細胞の活性化状態を維持するために使用されてきた。しか
し、外因性IL−2投与は、患者にとって極めて有毒であり、T細胞注入を受けた患者に
対して有意な利益を生じなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、細胞培養状態から収集され、そして注入に適した媒体中で処方される、エキ
ソビボ調製されたT細胞を包含する。処方の方法は、(1)細胞を、架橋の際に活性化シ
グナルを送達し得るT細胞表面成分に対して反応性を有する1つ以上の因子で標識する工
程;(2)その標識された細胞を、生分解性のナノスフェアまたはマイクロスフェアと混
合する工程であって、その生分解性のナノスフェアまたはマイクロスフェアは、そのT細
胞表面成分に結合された因子を架橋し得る物質でコートされる、工程;(3)その標識化
T細胞とコーティングされた生分解性架橋スフェアとの混合物を、注入に適した媒体中に
懸濁させる工程;(4)その混合物を適切な容器(例えば、シリンジまたはIV注入バッ
グ)にパッケージングする工程;および(5)その混合物を患者に非経口投与する工程を
包含する。
【0006】
あるいは、本発明は、以下の工程を包含する処方方法で達成され得る:(1)T細胞の
集団を、第一の物質および1つ以上の第二の物質でコーティングされた生分解性のナノス
フェアまたはマイクロスフェアと混合する工程であって、ここで、その第一の物質はその
第二の物質に結合し、そしてその第二の物質が、そのT細胞の表面成分に対して反応性を
有し、ここで、その第二の物質のT細胞との相互作用が、T細胞の活性化を引き起こす、
工程;(2)そのT細胞とその生分解性スフェアとの混合物を、注入に適切な媒体中に懸
濁させる工程;(3)その混合物を適切な容器(例えば、シリンジまたはIV注入バッグ
)にパッケージングする工程;および(4)その混合物を患者に非経口投与する工程。
【0007】
本発明の実施において、注入が意図されるT細胞は、最初に、エキソビボ細胞培養環境
から収集される。次いで、収集された細胞は、注入のためにすぐに処方されるか、その後
の処方のために凍結保存されるか、または処方のために患者の所在地に発送される。
【0008】
本発明の方法による処方の際に、注入のためのT細胞すべてが無毒性の送達ビヒクル中
で最大限に活性化される。
【0009】
本発明の目的のために、T細胞へのすべての言及は、T細胞を含む細胞の少なくとも一
部分を含む細胞の集団を包含する。T細胞は、TCR(α/βTCRおよびγ/δTCR
が挙げられる)を発現する細胞である。T細胞は、CD3を発現するすべての細胞(CD
4およびCD8もまた発現するT細胞サブセットを含む)を包含する。T細胞は、ナイー
ブ細胞および記憶細胞およびエフェクター細胞(例えば、CTL)のすべてを包含する。
T細胞はまた、調節細胞(例えば、Th1細胞、Tc1細胞、Th2細胞、Tc2細胞、
Th3細胞、Treg細胞およびTr1細胞)を包含する。T細胞はまた、NKT細胞お
よびT細胞直系の類似の固有なクラスを包含する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
治療有効量の細胞を含む組成物であって、該細胞の一部分がT細胞であり、それにより、
該T細胞が、該T細胞の少なくとも一部分の細胞表面成分を結合する1つ以上の第一の因
子に接触され、そしてそれにより、該第一の因子が、生分解性の支持体に結合された第二
の因子によって架橋され、そしてそれにより、該T細胞および生分解性の支持体が、非経
口注入に適切な媒体中に懸濁され、そして適切な容器にパッケージングされる、組成物。
(項目2)
前記容器が、折り畳み可能であり、可撓性材料からなる対向する壁、および該容器から突
き出た可撓性チューブを備える、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記容器がシリンジである、項目1に記載の組成物。
(項目4)
治療有効量の細胞を調製するための方法であって、該細胞の一部分がT細胞であり、該方
法は、
該細胞を、架橋の際に活性化シグナルを送達し得るT細胞表面成分に対して反応性を有
する1つ以上の因子で標識する工程;
該標識された細胞を、生分解性のナノスフェアまたはマイクロスフェアと混合する工程
であって、該生分解性のナノスフェアまたはマイクロスフェアは、該T細胞表面成分に結
合された因子を架橋し得る物質でコートされる、工程;
該標識されたT細胞とコートされた生分解性架橋スフェアとの混合物を、注入に適切な
媒体中に懸濁させる工程;および
該混合物を適切な容器にパッケージングする工程
を包含する、方法。
(項目5)
前記容器が、シリンジまたはIV注入バッグである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記容器が、折り畳み可能である、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記容器が、可撓性材料からなる対向する壁および出口チューブを備える、項目6に記
載の方法。
(項目8)
治療有効量の細胞を調製する方法であって、該細胞の一部分がT細胞であり、該方法は、
T細胞の集団を、第一の物質および1つ以上の第二の物質でコートされた生分解性のナ
ノスフェアまたはマイクロスフェアと混合する工程であって、ここで、該第一の物質は、
該第二の物質に結合し、そして該第二の物質が、該T細胞上の表面成分に対して反応性を
有し、そしてここで、該第二の物質の該T細胞との相互作用が、該T細胞の活性化を引き
起こす、工程;
該T細胞の混合物と該生分解性スフェアとの混合物を、注入に適切な媒体中に懸濁させ
る工程;および
該混合物を容器にパッケージングする工程
を包含する、方法。
(項目9)
前記容器が、シリンジまたはIV注入バッグである、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記容器が、折り畳み可能である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記容器が、可撓性材料からなる対向する壁および出口チューブを備える、項目10に
記載の方法。
(項目12)
前記パッケージ混合物のT細胞濃度が、1mlの注入媒体あたり少なくとも1×107細
胞である、項目8に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(好ましい実施形態)
本発明の生分解性のスフェアは、好ましくは、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコ
ール酸)(PGA)、PLAとPGAとのコポリマー(PLGA)またはポリ(カプロラ
クトン)(PCL)、およびポリ無水物のような、脂肪族ポリエステルから製造される。
これらスフェアは、0.1〜500ミクロン、好ましくは10ミクロンより小さい、そし
て最も好ましくは1ミクロンより小さい粒子サイズに生成される。このサイズ範囲のマイ
クロスフェアは、従来方法によって身体中に直接注入し得る。コートされたスフェアが、
生理学的流体中で7日以内、より好ましくは3日以内に分解するように設計されているこ
とが好ましい。
【0011】
上記生分解性のスフェア上にコートされるために好ましい第一の物質は、ポリクローナ
ルヤギ(またはヒツジ)抗マウスポリクローナル抗体である。例として、この好ましい第
一の物質は、T細胞表面成分に対して特異性を有する、マウス由来モノクローナル抗体、
またはそのフラグメントもしくは遺伝子工学的に操作されたその誘導体を架橋するために
用いられ得る。従って、例えば、ヤギ抗マウスでコートされたマイクロスフェア(または
ナノスフェア)の、マウス抗ヒトCD3とマウス抗ヒトCD28mAbで標識されたヒト
T細胞との混合は、このヤギ抗マウスポリクローナル抗体のマウスmAbとの結合により
、ヒトT細胞上のマウスmAbの架橋を引き起こす。このmAbの架橋は、T細胞の活性
化を引き起こす。あるいは、抗ヒトCD3と抗CD28はまた、ヤギ(またはヒツジ)ポ
リクローナル抗体でコートされたスフェア上に、好ましくは50/50比で最初に結合し
、そしてT細胞と混合され得る。第一の物質と第二の物質との多くの組み合わせが、シグ
ナル伝達およびT細胞の活性化を開始するために、T細胞表面成分に結合された第二の因
子を架橋する目的を達成するために用いられ得ることは当業者に明らかである。
【0012】
T細胞の架橋された表面成分との混合物は、注入媒体(例えば、正常食塩水、5%デキ
ストロース、Plasma−Lyte(Baxter)またはNormasol(Abb
ott)のような等張溶液)中に懸濁される。いくつかの実施形態では、この注入媒体は
、0.5%〜10%ヒト血清アルブミン(HSA)で補填される。
【0013】
この混合物は、好ましくは、1mlの注入媒体あたり1×107〜1×108細胞の間
の最終T細胞濃度に調節される。好ましい実施形態では、109T細胞が、100mlの
注入媒体中に処方される。この処方物は、次いで、シリンジ、プラスチックパウチ、また
はプラスチックボトルのような1つ以上の容器中にパッケージングする。
【0014】
本発明を、好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本発明の思想およ
び範囲から逸脱することなく、変更が形態および詳細においてなされ得ることを認識する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【公開番号】特開2012−21033(P2012−21033A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−236442(P2011−236442)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【分割の表示】特願2007−501882(P2007−501882)の分割
【原出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(505469791)イミュノバティブ セラピーズ, リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236442(P2011−236442)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【分割の表示】特願2007−501882(P2007−501882)の分割
【原出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(505469791)イミュノバティブ セラピーズ, リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
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