説明

細胞移植に関連した不整脈の予防法

骨格筋芽細胞は、自己由来でありかつ虚血に対して耐性であるため、移植用に魅力ある細胞型である。しかしながら、心不全における筋芽細胞移植の臨床試験は心室不整頻脈および突然心臓死に悩まされている。これら不整脈の病因はほとんど理解されていないが、骨格筋細胞が、心臓細胞と異なり、ギャップ結合の欠如により電気的に孤立しているという事実に関連し得る。心筋細胞単層への筋芽細胞移植のインビトロモデルは、移植に関連する不整脈の機構を研究するために用いることができる。ヒト骨格筋芽細胞およびラット心筋細胞の共培養物は、リエントラント不整脈(らせん波)を生じ、これは筋芽細胞移植を受けた患者に見られる心室頻拍症の特徴を再現する。これらの不整脈は、L型カルシウムチャンネルモッカー(Mocker)であるニトレンジピンにより終結させることができるが、Naチャンネル遮断剤リドカインでは終結させることができない。ギャップ結合タンパク質コネクシン43を安定に発現させるための筋芽細胞の遺伝的改変は、共培養物において不整脈惹起性を減少させる。これは同様に、患者において筋芽細胞移植の安全性を向上させるために用いることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その開示が明確に本明細書に組み入れられる、2004年3月22日に出願された仮出願第60/555,125号の恩典を主張する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、細胞移植の分野に関する。特に、本発明は、収縮性であるかまたは電気的に応答性がある器官への移植に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
うっ血性心不全は、合衆国において主要な公衆衛生問題である1。細胞の筋形成術は、うっ血性心不全のための新たな治療法であるが、潜在的な落とし穴を伴っている。骨格筋芽細胞(SkM)は、筋形成術のための魅力あるドナー細胞である:それらは収縮性のある表現型を有し、自家移植のため回収され、そして虚血に対して耐性である2。進行中の第2相臨床試験において、SkMは、筋肉生検を介して個々の患者から回収され、2〜4週間培養して成長させ、次に心臓への注入により移植される3;4。筋芽細胞移植後の収縮性指標の改善の報告にもかかわらず、それらの催不整脈作用により熱は和らいでいる3;4。最新の文献で、自己由来SkM心筋形成術を受けた最初の22人の患者のうちの10人は、後に心室頻拍症を経験するかまたは突然心臓死した3;4。現在、いくつかの筋芽細胞移植プロトコルは、潜在的に毒性の抗不整脈剤アミオダロンの投与、およびSkM移植前の植込み型電気除細動機(ICD)の設置を必要とする6
【0004】
SkM心筋形成術に関連した心室性不整脈の機構は未知のままである。初期の動物モデルにおいて再現性のある不整脈は報告されておらず(ラット7-9;ウサギ5)、SkM不整脈惹起性のインビトロモデルの報告はない。現在、Taylorらは、ウサギモデルでの中心瘢痕注射と比べて梗塞境界領域における筋芽細胞の注入後の、より頻度が高くかつ多形の心室期外収縮、カプレット、トリプレット、心房期外収縮後のより長い休止、および除脈死(しかし、持続性心室頻拍症または心室細動ではない)を報告した10。梗塞後の筋芽細胞注入の別の研究では、筋芽細胞注入対生理食塩水注入を受けたイヌ間での心室頻拍症の発生率または死亡率は、おそらく両グループでの高頻度の不整脈のため、統計的に有意な差は出なかった11。したがって、不整脈惹起性におけるSkM移植の役割を正確に指摘するために、本発明者らは筋芽細胞移植のインビトロモデルを設計した。
【0005】
筋芽細胞は、心臓への注射により筋管へと分化する7-9;12。筋管は極めて短い活動電位持続時間(APD)を有し7、ギャップ結合を欠き、それゆえ周囲の心室筋細胞と、または互いに結合しない7;9。対照的に、心筋細胞は通常、高レベルのギャップ結合タンパク質コネクシン43(Cx43)を発現し、結果として心臓シンシチウムの極めて効率的な電気的結合を生じる。したがって、本発明者らは、筋芽細胞および筋細胞の混合物が、伝導速度を遅くし、組織異質性を大きく増加させるであろうと仮設を立てた。このような異質性は、心室性不整脈の重要な要素である、波の分裂(wave-break)およびリエントリーの素因となる。リエントリーは、通常の活性化の後にインパルスが絶えることなく持続して心臓を再興奮させる時におこる13。リエントリーの間、その興奮波は、アルキメデスのらせんの形状になり得、らせん波と呼ばれる。ほとんどの命に関わる心室性不整脈はリエントラント活性から生ずる14
【0006】
心室頻拍症のインビトロモデルについて、当技術分野において継続的な要求が存在する。病的な心臓および他の収縮性のまたは電気的に応答性のある器官を処置する方法についても、当技術分野において継続的な要求がある。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明の一つの態様は、心不整脈をシミュレートするためのアッセイシステムである。そのアッセイシステムは、心筋細胞および骨格筋芽細胞(SkMM)の単層の共培養物を含む。さらに、それは、細胞の電気的結合を測定するための手段を含む。
【0008】
本発明の別の態様は、インビトロにて心臓細胞における不整脈をアッセイする方法である。心筋細胞および骨格筋芽細胞(SkMM)の単層の共培養物の電気特性を測定する。
【0009】
本発明の別の局面は、筋芽細胞を処置する方法である。コネクシンをコードするレンチウイルスを筋芽細胞に投与する。それによりコネクシンを筋芽細胞内で発現させる。
【0010】
本発明の別の局面によれば、筋芽細胞を処置するための方法が提供される。コネクシンをコードする核酸を筋芽細胞に投与する。それによりコネクシンを筋芽細胞内で発現させる。次に、筋芽細胞を、電気刺激に応答性があるレシピエント宿主哺乳動物の器官に移植する。
【0011】
本発明のさらに別の局面は、筋芽細胞を処置する別の方法である。カルシウムチャンネルサブユニットまたはNa-カルシウム交換体(NCX)をコードする核酸を筋芽細胞に投与する。それによりカルシウムチャンネルサブユニットまたはNCXを筋芽細胞内で発現させる。筋芽細胞を、電気刺激に応答性があるレシピエント宿主哺乳動物の器官に移植する。
【0012】
本発明のさらに別の局面は、筋芽細胞を処置する別の方法を提供する。カリウムチャンネルのためのsiRNAの構造を模倣するショートヘアピンRNAをコードする核酸を筋芽細胞に投与する。ショートヘアピンRNAは、2つの19〜21ヌクレオチドの相補配列間にループを形成する5〜7ヌクレオチドのスペーサー領域により分けられた前記2つの相補配列を含む。このショートヘアピンRNAを筋芽細胞内で発現させる。この筋芽細胞を、電気刺激に応答性があるレシピエント宿主哺乳動物の器官に移植する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、細胞移植における使用のために細胞を処置する方法を提供する。コネクシンをコードするレンチウイルスをその細胞に投与する。それによりコネクシンを細胞内で発現させる。
【0014】
本明細書を読むことにより当業者に明らかであるこれらおよび他の態様は、当技術分野に、電気的に応答性のある器官および/または収縮性の器官の細胞間の電気伝導度を評価および改善するためのアッセイシステムおよび方法を提供する。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明者らは、骨格筋芽細胞(SkM)移植の不整脈惹起性のための実験モデルを開発し、筋芽細胞-筋細胞相互作用のみが、リエントリー性不整脈のための電気生理学的環境を提供し得ることを証明した。これらの発見は、心筋梗塞後に自己由来SkM移植を受けた患者における高い割合の心室頻拍症の臨床的観察結果を説明する。このモデルを用いて、細胞間の電気的結合を増強するかまたは活動電位を長引かせる産物をコードする核酸を、移植された細胞にトランスフェクトすることにより、リエントリー性不整脈を減少させることができることを、本発明者らはさらに証明した。
【0016】
本発明のアッセイシステムは、心筋細胞および骨格筋芽細胞の単層共培養物を用いる。2つの型の細胞は隣接した領域にあり得るか、またはそれらは同じ領域に混合され得る。細胞の電気的結合を測定するための手段が用いられる。電気的結合は、伝導速度を測定することによりまたは活動電位を測定することにより、電位感受性染料、たとえばdi-4-ANEPPs もしくはdi-8-ANEPPS(Molecular Probes)もしくはNK2761、NK2776、NK3224、NK3225、NK3630(Nippon Kankoh Shikiso Kenkyu-sho)、もしくはRH795(Mo Bi Tec)、蛍光カルシウムイメージング剤、たとえばindo-1、アセトキシメチルエステル、カルシウムイオン指示薬、たとえばRhod-2-AM、パッチクランプ装置を用いて測定することができる。リエントリー性不整脈は、ペーシング後の早期刺激により誘導することができるか、または自発的に起こり得る。
【0017】
細胞培養物は、ガラスおよびプラスチックを含む、任意の都合の良い表面上で増殖させることができる。表面の形状は、照明および放射光の記録のために都合の良い任意のものでありうる。表面は、細胞の表面への付着を増強するために前処置することができる。付着の増強ための好適な物質には、ラミニン、フィブロネクチン、およびコラーゲンがある。Entcheva et al., IEEE Transactions on Biomecial Engineering 51:333-341, 2004; Entcheva et al., J. Cardiovasc. Electrophysiol. 11:665-676, 2000; およびLu et al., Proceedings of IEEE Engineering in Medicine and Biology Society and BMES Annual Conference, Atlanta, October 1999を参照のこと。
【0018】
本アッセイシステムに用いられる筋細胞および筋芽細胞は、任意の哺乳動物由来のものであり得る。それらは、たとえば、げっ歯動物、有蹄類、または霊長類由来のものであり得る。それらは、たとえば、ラット、ウサギ、マウス、ヒト、ウシ、ブタ、イヌ、または他のいずれかの好適な供給源由来のものであり得る。成体、胚、新生児、または幹細胞を用いることができる。それらは同じ個体動物由来でも異なる動物由来でもよい。それらは、同じ種の供給源由来でも異なる種の供給源由来でもよい。
【0019】
本アッセイシステムにおいては、多様な電気特性のいずれかを測定することができる。伝導速度、膜電位、細胞内カルシウム、または活動電位持続時間を測定することができる。これらのパラメーターは当技術分野で公知であり、通常の方法で測定することができる。
【0020】
細胞の移植、たとえば細胞の筋形成術により送達された細胞の電気特性を改善するためのタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、任意のコネクシン、特に、コネクシン43、40、26、36、45および37であり得る。ヒトでは約9種類のコネクシンが同定されており、これらの任意のものを用いることができる。たとえば、NCBIにおけるNM_000165およびNP_00156(コネクシン43)、ならびにNM_181703およびNP_859054(コネクシン40)を参照のこと。2005年3月22日に存在するそれら配列は、参照により本明細書に組み入れられる。特定の配列が本明細書に引用されているが、その配列の1、2、3、4、または5%までの小規模な変異体が同じ効果を伴いつつ用いることができるであろうことが認められる。コネクシンは、細胞の電気伝導度を改善する。移植する細胞の電気特性を改善するため、コネクシン以外のタンパク質を用いることができる。たとえば、カルシウムチャンネルサブユニットを用いることができる。ナトリウム-カルシウム交換体(NCX)も用いることができる。これは、SLC8A1(溶質担体ファミリー8)(ナトリウム/カルシウム交換体)、メンバー1[ホモ・サピエンス]およびHGNC:11068;NCX1としても知られている。それは、ヒト染色体2p23-p22にマッピングされており、6546のGeneIDを持っている。ヒトにおいて、約64のカルシウムチャンネルサブユニットが同定されており、これらのうちの任意のものを用いることができる。逆に、カリウムチャンネルの発現を阻害するであろう産物、たとえばアンチセンスRNA、二本鎖サイレンシングRNA、またはドミナント・ネガティブ構築物を産生するポリヌクレオチドを、移植する細胞に提供することが望ましい。アンチセンスRNAまたはサイレンシングRNAを設計するために用いることができ、それらの標的となり得る、約164のカリウムチャンネルタンパク質が知られている。これらも活動電位を延長させる。
【0021】
ポリヌクレオチドは、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを含む、任意の好適なベクターを用いて、移植する細胞に送達することができる。長続きする効果を作り出すために、ホスト細胞に安定にトランスフェクトするベクターが要求される。レンチウイルスベクターは、移植すべき細胞を形質転換するのに用いることができるベクターの型の一例である。必要に応じて、別のウイルスおよびプラスミドベクターを用いることができる。特定の細胞内でのポリヌクレオチドの効果は、上述のとおり、アッセイシステムにおいて確認することができる。ポリヌクレオチドでトランスフェクトすることができる細胞型には、筋芽細胞、たとえば骨格筋、心筋、および子宮筋の筋芽細胞が含まれる。トランスフェクトすることができる他の細胞型は、心臓幹細胞、繊維芽細胞、および間葉幹細胞である。
【0022】
処置された筋芽細胞または他の細胞型の移植は、所望の器官への直接の注入により行うことができる。特に、細胞は、局部的損傷の部位に直接、注入することができる。たとえば、細胞は、心臓または脳の梗塞部に送達することができる。注入は、直接的視覚化により、間接的視覚化(たとえば心エコー法で誘導する針注射)により、またはカテーテルで媒介する注入(たとえば顕微鏡下)により、行うことができる。
【0023】
SkMの梗塞境界領域(繊維症22、ギャップ結合リモデリング23および遅い伝導24を特徴とする)への注入は、伝導をさらに遅め、波の分裂を促進し、リエントラントリズムの危険を増大させることが予想されうる。本発明者らの発見に基づくと、機能の改善は電気的統合とは独立しているようであるため、瘢痕への、境界領域へではないSkM注入は、不整脈の発生を潜在的に防ぐことができると考えられる。筋芽細胞およびICaL遮断剤のCx43形質導入は、不整脈を低下させるための筋芽細胞移植において有用な補助手段となり得る。
【0024】
上記開示は概ね本発明を記述する。本明細書に開示される全ての参考文献は参照により明確に組み入れられる。以下の具体的な実施例を参照することにより、より完全な理解を得ることができる。これら実施例は、例示目的でのみ本明細書に提供され、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0025】
実施例1−材料および方法
レンチウイルス
レンチウイルスベクターpLV-CAG-GFPおよびpLV-CAG-Cx43-GFPを、プロモーターCAGの制御下で、第2世代レンチウイルスベクターpLV-CAG SIN-18 (Trono lab)から作製した。組換え体レンチウイルスを、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて、プラスミドpLV-CAG-GFPまたはpLV-CAG-Cx43-GFP、pMD.GおよびpCMVΔR8.91をHEK293T細胞にコトランスフェクションすることにより作製した。レンチウイルス粒子を、トランスフェクション後24時間および48時間で回収し、FACS分析により力価を測定した。形質導入のため、形質導入を容易にするため8μg/mLポリブレンと共に、レンチウイルスを筋芽細胞に加えた(MOI=10)。レンチウイルスの形質導入を、蛍光顕微鏡(Nikon)下でGFP発現を調べることにより、ならびにCx43についての免疫染色およびウエスタンブロットにより確認した。
【0026】
免疫染色
細胞を4%パラホルムアルデヒドで5分間、室温で固定化し、次に0.075%サポニンで透過処置した。Cx43を、モノクローナルマウス抗Cx43抗体(Chemicon)およびAlexa Fluor結合二次抗体を用いて検出した。740nmの励起(Tsunami Ti: Sa laser, Spectra Physics)で、二光子レーザー走査顕微鏡(Bio-Rad MRC-1024MP)を用いて像を記録した。赤色放射は605±25nmで回収し、緑色放射は525±25nmで回収した。カスタマイズしたプラグインとともにImageJ ソフトウエア(Wayne Rasband, National Institute of Health)を用いてオフラインで像を分析した。
【0027】
ウエスタンブロット
細胞を、30分間、氷上で溶解緩衝液(6M尿素、1%SDS、20mM Tris、1:1000プロテアーゼインヒビター(Sigma)、0.1mM PMSF)中で溶解し、次に10分間、4,000rpmで遠心した。同等の試料(5μgのタンパク質、カルセクエストリンについて共探査(co-probing)により確認)を10%PAGEでのゲル電気泳動にかけた。ニトロセルロースに移した後、膜をブロックし、4℃でCx43用の一次抗体(Chemicon Intl、1:500希釈)で一晩、探査した。膜を、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体(Amersham Bioscience, UK, 1:1,000希釈)と共に、1時間、室温でインキュベートした。タンパク質レベルを、化学発光およびオートラジオグラフィーにより検出した。
【0028】
カルシウム過渡イメージング
NRVMおよびSkMを、35mmガラス底マイクロウェル皿(MatTEK Corp.)上で7日間、培養した。自発的な拍動を伴う培養物を、カルシウム過渡イメージングに用いた。細胞を、3μM Rhod-2 AM(Molecular Probes)と共に、30分間、37℃でインキュベートした。次に細胞を3回洗浄し、培地を交換し、その後、それらをさらに60分間、37℃でインキュベートして、Rhod-2を脱エステル化した。イソプロテレノール10nMをイメージングの前に加えた。蛍光イメージングを、WinView32回収ソフトウエア(Roper Scientific)を用いて、冷却したCCDカメラ付加装置(Micro Max, Roper Scientific)を備えた倒立蛍光顕微鏡(TE-200, Nikon)を用いて37℃で行った。GFPは、465〜495nm蛍光励起および515〜555nm放射で撮像した。Rhod-2は、528〜553nm励起および578〜633nm放射で撮像した。実験の終わりにイオノマイシン5μM(Calbiochem)を加えてRhod-2の均一なローディングを確認した。
【0029】
細胞培養
ヒト骨格筋芽細胞を、Cambrex(Walkersville, Maryland)から得て、10%胎児ウシ血清、組換えヒト上皮因子(10ng/mL)、デキサメタゾン(3μg/mL)L-グルタミン、ゲンタマイシンおよびアンホテリシン-Bを含む筋芽細胞基礎増殖培地(SkBM, Clonetics)中で、37℃および5%CO2で増殖させた(Cambrexから得た容器は、70〜80%筋芽細胞を含み、残りは繊維芽細胞である)。その細胞を3,500細胞/cm2で播種し、60〜70%の細胞密度に維持して培養過程の間の筋管形成を防いだ。細胞は二回目の継代時にレンチウイルスで形質導入し、-80℃に凍結させるか、または10個体群倍加まで増幅させた。共培養のため、筋芽細胞をトリプシンを用いて分離し、計数後に用いた。
【0030】
心臓細胞
先に開示15されるように、トリプシン(US Biochemicals; Cleveland OH)およびコラゲナーゼ(Worthington; Lakewood, NJ)を用いて、NRVMを2日齢の新生児Sprague-Dawleyラット(Harlan; Indianapolis, IN)の心室から分離した。研究は、National Institutes of Health「Guide for the care and use of animals」(NIH Publication No.85-23, Revised 1996)のプロトコルに従う。細胞を、M199培養培地(Life Technologies, Rockville, MD)中に再度懸濁し、10%熱不活性化胎児ウシ血清(Life Technologies)を補充し、2回の45分工程で区別してプレプレーティングを行い、次に血球計数器を用いて計数した。対照実験として、106の細胞を、フィブロネクチン(25μg/mL)でコートした22mmプラスチックカバーガラスにプレーティングした。細胞プレーティング後2日目に血清を2%まで減少させた。
【0031】
共培養
筋芽細胞およびNRVMを22mmプラスチックカバーガラス(フィブロネクチン25μg/mLでコートしたもの)上で9〜11日間、共培養(等方性)し、次に光マッピングに用いた。実験の最初のセットにおいて、0.5X106NRVMをカバーガラスの半分を覆うようにプレーティングし、別の半分をフィブロネクチン(50μg/mL)をコートしたPDMSスタンプでカバーした。そのPDMSスタンプを24時間後に除去し、そして次にLv-GFPを導入した0.5X106の筋芽細胞をプレーティングした。この実験は、NRVMと筋管との間に電気的伝播があるかないかを確認するために行った。実験の第二のセットにおいて、2つの細胞型を混合する電気生理学的結果を研究するために、(Lv-GFPを導入した)筋芽細胞およびNRVMを同じ時間で、様々な比率:1:1、1:4および1:9でプレーティングした。
【0032】
細胞プレーティング後2日目に、血清を2%まで減らした。実験のさらなるセット(n=3)は、1:4(非GFP導入)筋芽細胞:筋細胞共培養物で行った。次に、Lv-Cx43を導入した筋芽細胞を、NRVMと、1:1および1:4の比率で共培養した。
【0033】
光マッピング
カバーガラスを顕微鏡下で光学的に検査した。密集度に明白な間隙を伴う単層および拍動していない培養物は却下した。カバーガラスを特注設計のチャンバーに置き、5μMのdi-4-ANEPPS(Molecular Probes; Eugene, OR)で5分間、染色し、(mMで)135NaCl、5.4KCl、1.8CaCl2、1MgCl2、0.33NaH2PO4、5HEPES、および5グルコースからなる温かい(36.5℃)酸化タイロード溶液で連続的にかん流した。単極点およびエリア電極(4つの2極性ライン電極)を用いて培養物中の細胞を刺激した。改変した特注の密着型蛍光イメージングシステム15を用いて、253の部位から活動電位を記録した。記録チャンバーは、17mm直径の六角配列に配置したファイバーを伴うファイバー束上に直接置いた。干渉フィルター(530+/-25mm)を伴う発光ダイオード(LED)光源で励起光をチャンバーに届けた。溶液表面を安定させ、光学的人工物を減少させるため、プレキシガラスカバーをチャンバーの頂部に置いた。チャンバーの底は、励起光を減衰させ、赤色放射シグナルを通過させるため、3層の赤色インク(Avery Dennison; Brea, CA)でスピンコートしたNo.1円形ガラスカバーガラスからなった。光学シグナルを500Hzで低減フィルターに通し、8つの特注設計の32チャンネルのプリント回路基板で増幅させた。シグナルを1kHzでサンプリングし、4つの64チャンネル16ビットアナログ・デジタル変換基板(Sheldon Instruments, San Diego, CA)でデジタル化した。Visual C++ (Microsoft; Redmond, VA), Lab VIEW (Texas Instruments; Dallas, TX) およびMATLAB (Math Works; Natick, MA)を用いて、データを保存し、表示し、分析した。
【0034】
実験プロトコル
自発的な活性について確認するため1s記録を最初に行った。本実験全体を通して刺激のため、10ms単相パルスの15拍ドライブトレイン(1.5X拡張期しきい値)を次に用いた。刺激は1Hzで始め、1Hzづつ次第に、1:1捕捉がもはや観察されなくなるまで、またはリエントリーが開始するまで増加させた。温かい(36.5℃)タイロード中のニトレンジピン(5μM)またはリドカイン(200μM)を実験チャンバー内にかん流させ、10分間またはリエントリーが終わるまで、30〜60秒ごとに2秒記録を得た。次にその薬剤を10分間、タイロード溶液で洗い落とし、別の記録を得た。リエントリーが終わった場合、先の通り、刺激を1Hzで開始し増加させた。リエントリーが終わらない場合、または再び開始する場合、第二の薬剤を導入した。本発明者らは、ニトレンジピンでの用量反応曲線を作成し、ニトレンジピン(5μM)はAPDを50%だけ短くするが、伝導速度には影響を与えないことを見いだした。より高い用量のニトレンジピンは、L型カルシウムチャンネル遮断に加えてNaチャンネル遮断を起こす16
【0035】
データ分析
ベースラインのずれは、光学シグナルからの適合化多項式曲線の減算により減少させた。電気伝播の動画を、0〜100Hzの間で帯域フィルターにかけたシグナルから作り出した。活性化時間を、最大の正の傾きの瞬間として定義した。プレーティング工程の間の1:4の筋芽細胞:筋細胞比率の共培養物を、CVおよびAPDの分析のために用いた。六角配列の各々の記録点での相対的活性化時間を、伝導速度を計算するのに用いた。同じ単相における異なるエピソードの間での速度を比較するために、伝導速度は同じ経路に沿って計算し、異なる刺激応答の間で平均化した。励起に関連した潜時の遅れを無視することができるように、経路は刺激部位から十分に遠くに離れるよう選択した。データは特に別記しない限り平均+/-SEMで表す。平均間の差は、スチューデントのt検定またはフィッシャーの正確確率検定を用いて評価した。
【0036】
電気生理学
(解離していない)対照および共培養したNRVM由来の活動電位を、有孔パッチで、Axopatch 200B (Axon Instruments)で電流固定モードを用いて測定した。浴溶液は、NaCl 140mM、KCl 4mM、CaCl2 2mM、MgCl2 1mM、グルコース 10mM、HEPES 10mM、NaOHでpH=7.4(標準タイロード)を含み、ピペット溶液は、K-アスパルテート 110mM、KCl 20mM、MgCl2 1mM、EGTA 10mM、MgATP 5mM、GTP 0.1mM、ホスホクレアチンNa2 5mM、HEPES 10mM、KOHでpH=7.3、および有孔パッチのための120μg/mLのナイスタチンを含む。
【0037】
実施例2−隣接培養物間の電気的結合の欠如
筋芽細胞移植後の不整脈の可能性の高い一因は、NRVMと筋管との間の電気的結合の予測される欠如である。実際、数学的シミュレーションは、ギャップ結合の減少に伴い、伝導は極めて遅くなるが、逆説的に(伝播のための安全因子の増加のため)極めて頑強で、リエントリーの傾向を増加させることを示している17。本発明者らは、カバーガラスの一方の半分にSkMを、もう一方の半分にNRVMをプレーティングした共培養物の光マッピングにより、シンシチウムレベルでの電気的結合の欠如を確認した。NRVM半分への刺激は伝播した波面を生じ、それはNRVM/SkM界面で遮断された(図1a、b)。電気的結合の欠如は、隣接する筋細胞と筋管との間のカルシウム過渡の伝播の欠如を、カルシウムインジケータとしてRhod-2 AM (5μM)を用いて測定することにより、単一細胞レベルで確認した(図1c、d)。
【0038】
実施例3−混合共培養物における電気的結合の欠如
本発明者らは、次にインビボで心臓におけるSkMの移植を擬似する状況である混合した共培養物を特徴づけることに移った6。光学(図2a)および蛍光顕微鏡(図2b)により、筋管が、直線的な不規則なパターンで成長する傾向があることが明らかになった。NRVMの間に散在した電気的に結合していない筋管は、伝播に対する局在化した障壁として振る舞い、結果として、全体の伝導を遅め、波面の不規則性、ソース-ロードミスマッチ(source-load mismatch)、波の分裂およびリエントリーの素因を与えると予想されうる18-20。実際、混合したSkM/NRVM共培養物の光マッピングは、対照の(NRVMのみの)培養物と比べて、全てのSkM:NRVM共培養物において伝導速度の大きな減少を示した。図3a、bは、対照と比較した共培養物中の伝導速度を示す。さらに、共培養物における活動電位持続時間(APD80)は長くなった。この心臓再分極の予期せぬ遅れは、予想できる伝導の減速を上回り、それを超える、SkM共培養物の新規な催不整脈効果21を示し、SkMのパラ分泌作用のためであり得る。実際、共培養物中のNRVMの全細胞のパッチクランプは、APD延長および誘発された活性の証拠を示したが、対照培養物では見られなかった(図4)。
【0039】
共培養物において、(対照ではそうでないが)、脱分極波面は不規則であり、4〜6Hzのペーシングレートおよび先のリエントリー開始時に波の分裂が起こった。さらに、共培養物において4〜6Hzのペーシングレートで1:1伝導の欠如は生じるが、NRVM対照では8〜11Hzの高いペーシングレートでのみ生じた。
【0040】
リエントラントリズム(らせん波)は、100%の混合した共培養物(n=14;1:1、1:4および1:9のSkM:NRVM比)において迅速なペーシングによって容易に誘導可能であった。対照的に、NRVMのみの対照ではリエントリーを誘導することができなかった。1つの1:4共培養物において、ペーシングの前に自発的なリエントリーが存在した。自発的なおよび誘導されたリエントラントリズム(図5a、b)は多様である:安定な、移動しているまたは過渡的な、単一、複合または八の字型(2つの逆回転するらせん)らせん。
【0041】
実施例4−リエントリー不整脈のための薬理学的介入
誘導したリエントリー性不整脈の大部分(90%)は5分超、持続させ、それらを薬理学的介入に適用させた。Naチャンネル遮断剤であり、抗不整脈に一般に用いられている高投与量リドカイン(200μM)は、共培養物の大部分において、70〜80%だけリエントリーレートを遅くしたが、それを終わらせなかった(n=12)。対照的に、L型カルシウム電流(ICaL)遮断剤であるニトレンジピン(5μM)は、全ての共培養物において5分(n=12)以内の急激な終了の前に適度に10〜20%だけリエントラントリズムを遅くした。観察されたICaLへの伝播の依存性は、ギャップ結合の減少が、共培養物における伝導速度およびリエントリーの誘導性の減少の基礎をなす、という概念についてのさらなる支持を与える。実際、数学モデル17および実験データ18は、ギャップ結合の減少に伴い、細胞または細胞の群の間での伝導遅延は活動電位の上昇の上昇時間を著しく超えて、伝播は次第にNa電流でなくICaLへと依存するようになることを示している。
【0042】
実施例5−細胞結合の遺伝的増強
不整脈のためのカルシウムチャンネル遮断剤での薬物療法は低血圧症および収縮不全のような副作用により制限されている。不整脈惹起性を減少させる代わりの手段として、本発明者らは、Cx43を用いたSkMのレンチウイルスに媒介させた形質導入により、細胞-細胞結合の遺伝的増強を研究した。ウエスタンブロット(図6a)は、心室の筋細胞対照と比べてさえ、Cx43発現が大きく増加することを示す。免疫染色(図6b)は、膜内のプラーク、ならびに膜内および細胞質内の大量の点状の染色を示した。Cx43発現性SkM-NRVM共培養物において、Lv-GFP共培養物と比較して、伝導速度は30%だけ増加し、APD80は20%だけ減少した(図7a、b)。持続的なリエントリーは、14のLv-GFP導入共培養物のうち13と比較して、9のCx43導入共培養物のうち2のみで誘導された(p=0.001、フィッシャーの正確確率検定)。これらの結果は、移植前のCx43を発現するようなSkMの遺伝的改変は、共培養物において不整脈に対して保護することを示す。筋芽細胞移植におけるCx43過剰発現の役割に取り組むために、さらにインビボの研究が必要である。
【0043】
本発明者らの結果は、SkM移植の不整脈惹起性のための最初の実験モデルを提供し、筋芽細胞-筋細胞相互作用のみがリエントリー性不整脈のための電気生理学的環境を提供し得ることを証明する。これらの発見は、心筋梗塞後に自己SkM移植を行った患者における高い割合の心室頻拍症の臨床的観察結果を合理的に説明する。SkMの梗塞境界領域(繊維症22、ギャップ結合リモデリング23および遅い伝導24を特徴とする)への注入は、さらに伝導を遅くし、波の分裂を促進し、リエントラントリズムの危険を増加させることが予想されうる。機能の改善は、本発明者らの発見に基づくと、電気的統合性と独立していると思われるため、境界領域でなく瘢痕へのSkM注入は、不整脈の発生を潜在的に防ぐことができるかもしれない。筋芽細胞のCx43形質導入およびICaL遮断剤は、不整脈を減少させるために筋芽細胞移植において有用な補助手段になり得る。
【0044】
参考文献
引用される各参考文献の開示は、特にそれに言及する本文に記載される対象について、本明細書に明確に組み入れられる。


【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】筋芽細胞-筋細胞シグナル伝播を示す。上半分に筋細胞および下半分に筋芽細胞をプレーティングした筋芽細胞-筋細胞共培養物の2Hzペーシング間の(図1A)光学活動電位および(図1B)電位地図は、SkM:NRVM界面での伝導遮断を示す。(図1C)蛍光顕微鏡像(GFP陽性筋芽細胞および筋細胞は赤に染色)および(図1D)筋芽細胞-筋細胞共培養物のカルシウム過渡電流の記録は、筋細胞から近隣の筋管へのカルシウム過渡電流の伝播がないことを示す。
【図2】筋芽細胞-筋細胞共培養物のイメージングを示す。(図2A)1:4筋芽細胞-筋細胞共培養物の透過光の像は、コンフルエントな単層を示す。(図2B)1:4の比のNRVMとの共培養物中の、Lv-GFPを形質導入したSkMの蛍光像は、筋管のランダムで不規則な分布を示す。
【図3】インパルス伝播を示す。(図3A)NRVMのみの単層(対照、n=7)および(図3B)1:4Lv-GFP共培養物(n=6)における刺激後50msのインパルスの伝播の間の電位地図および光学活動電位。伝播の波面は共培養物において不規則であり、対照と比べ伝播が極めて遅れている(図中のカラーバーは標準化した電位レベルに相当し、ここで青色は静止状態であり、赤色は活動電位のピークである)。バーグラフは、NRVMのみの対照および1:4LvGFP共培養物における(図3C)伝導速度および(図3D)APD80(再分極の80%での活動電位持続時間)を示す。対照と比べてLv-GFPを形質導入した筋芽細胞を含有する共培養物では、伝導速度は大きく減少するがAPD80は大きく増加する。
【図4】SkMとの共培養物におけるNRVM由来の活動電位を示す。明白な早期の後脱分極に注意のこと(矢印)。
【図5】リエントリーのパターンを示す。(図5A)単一らせん及び(図5B)8の字形らせんを示す2つの1:4Lv-GFP:NRVM共培養物におけるリエントリーの間の電位地図を示す(図中のカラーバーは図3A〜3Bと同じ)。
【図6】筋芽細胞におけるCx43の過剰発現を示す。(図6A)心室筋細胞(対照)、Lv-Cx43発現性筋芽細胞およびLv-GFP発現性筋芽細胞におけるCx43およびカルセクエストリン発現のウエスタンブロット分析。(図6B)Cx43を形質導入した筋芽細胞におけるCx43発現の蛍光像。
【図7】Cx43過剰発現での伝導特性の変化を示す。1:4LvGFP(n=6)および1:4LvCx43(n=6)共培養物における(図7A)伝導速度および(図7B)APD80を示すバーグラフ。GFP共培養物と比べてCx43において伝導速度は有意に増加している(p<0.01)。さらに、Lv-Cx43を形質導入した筋芽細胞を含有する共培養物においてAPD80は有意に減少している(p=0.02)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、心不整脈をシミュレートするためのアッセイシステム:
心筋細胞および骨格筋芽細胞(SkMM)の単層共培養物;および
細胞の電気的結合を測定するための手段。
【請求項2】
手段が電位感受性色素を含む、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項3】
手段が電位感受性色素di-4-ANEPPSを含む、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項4】
手段が、蛍光カルシウムイメージング剤Indo-1,アセトキシメチルエステル(indo-1-AM)を含む、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項5】
手段がカルシウムイオン指示薬である、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項6】
手段がパッチクランプ装置である、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項7】
手段が伝導速度を測定する、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項8】
手段が活動電位持続時間を測定する、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項9】
手段がカルシウムイオン指示薬Rhod-2-AMである、請求項5記載のアッセイシステム。
【請求項10】
電極をさらに含む、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項11】
心筋細胞が新生児の筋細胞である、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項12】
心筋細胞が新生児ラットの筋細胞(NRCM)である、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項13】
心筋細胞が心室筋細胞である、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項14】
心筋細胞が新生児の心室筋細胞である、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項15】
心筋細胞が新生児ラットの心室筋細胞(NRVM)である、請求項1記載のアッセイシステム。
【請求項16】
心筋細胞および骨格筋芽細胞(SkMM)の単層共培養物の電気特性を測定する工程を含む、インビトロにて心臓細胞における不整脈をアッセイする方法。
【請求項17】
測定する工程が電位感受性色素を用いる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
測定する工程が電位感受性色素di-4-ANEPPSを用いる、請求項16記載の方法。
【請求項19】
測定する工程が蛍光カルシウムイメージング剤Indo-1,アセトキシメチルエステル(indo-1-AM)を用いる、請求項16記載の方法。
【請求項20】
測定する工程がカルシウムイオン指示薬を用いる、請求項16記載の方法。
【請求項21】
測定する工程がパッチクランプ装置を用いる、請求項16記載の方法。
【請求項22】
測定する工程が伝導速度を決定する、請求項16記載の方法。
【請求項23】
測定する工程が活動電位持続時間を決定する、請求項16記載の方法。
【請求項24】
測定する工程がカルシウムイオン指示薬Rhod-2-AMを用いる、請求項16記載の方法。
【請求項25】
測定する工程が電極を用いる、請求項16記載の方法。
【請求項26】
心筋細胞が新生児の筋細胞である、請求項16記載の方法。
【請求項27】
心筋細胞が新生児ラットの筋細胞(NRCM)である、請求項16記載の方法。
【請求項28】
心筋細胞が心室筋細胞である、請求項16記載の方法。
【請求項29】
心筋細胞が新生児の心室筋細胞である、請求項16記載の方法。
【請求項30】
心筋細胞が新生児ラットの心室筋細胞(NRVM)である、請求項16記載の方法。
【請求項31】
筋芽細胞にコネクシンをコードするレンチウイルスを投与し、それによりコネクシンを筋芽細胞内で発現させる工程を含む、筋芽細胞を処置する方法。
【請求項32】
コネクシンがコネクシン43である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
コネクシンがコネクシン40である、請求項31記載の方法。
【請求項34】
処置した筋芽細胞を、レシピエント宿主哺乳動物に移植する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項35】
処置した筋芽細胞を、レシピエント宿主哺乳動物の心臓に移植する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項36】
処置した筋芽細胞を、レシピエント宿主哺乳動物の脳に移植する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項37】
処置した筋芽細胞を、レシピエント宿主哺乳動物の筋肉に移植する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項38】
処置した筋芽細胞を、レシピエント宿主哺乳動物の子宮に移植する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項39】
筋芽細胞が骨格筋芽細胞である、請求項31記載の方法。
【請求項40】
筋芽細胞が心筋芽細胞である、請求項31記載の方法。
【請求項41】
筋芽細胞が子宮筋芽細胞である、請求項31記載の方法。
【請求項42】
筋芽細胞がレシピエント宿主哺乳動物に対して自己由来である、請求項34記載の方法。
【請求項43】
以下を含む、筋芽細胞を処置する方法:
筋芽細胞にコネクシンをコードする核酸を投与し、それによりコネクシンを筋芽細胞内で発現させる工程;および
該筋芽細胞を、電気刺激に応答性があるレシピエント宿主哺乳動物の器官に移植する工程。
【請求項44】
コネクシンがコネクシン43である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
コネクシンがコネクシン40である、請求項43記載の方法。
【請求項46】
核酸が安定なベクターである、請求項43記載の方法。
【請求項47】
筋芽細胞が、前記核酸により安定にトランスフェクトされる、請求項43記載の方法。
【請求項48】
核酸がレンチウイルスベクターである、請求項43記載の方法。
【請求項49】
器官が心臓である、請求項43記載の方法。
【請求項50】
器官が脳である、請求項43記載の方法。
【請求項51】
器官が筋肉である、請求項43記載の方法。
【請求項52】
器官が子宮である、請求項43記載の方法。
【請求項53】
筋芽細胞が骨格筋芽細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項54】
筋芽細胞が心筋芽細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項55】
筋芽細胞が子宮筋芽細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項56】
筋芽細胞がレシピエント宿主哺乳動物に対して自己由来である、請求項43記載の方法。
【請求項57】
以下を含む、筋芽細胞を処置する方法:
筋芽細胞に、カルシウムチャンネルサブユニットをコードする核酸を投与し、それによりカルシウムチャンネルサブユニットを筋芽細胞内で発現させる工程;および
該筋芽細胞を、電気刺激に応答性があるレシピエント宿主哺乳動物の器官に移植する工程。
【請求項58】
カルシウムチャンネルサブユニットがαサブユニットである、請求項43記載の方法。
【請求項59】
カルシウムチャンネルサブユニットがβサブユニットである、請求項43記載の方法。
【請求項60】
核酸が安定なベクターである、請求項43記載の方法。
【請求項61】
筋芽細胞が、前記核酸により安定にトランスフェクトされる、請求項43記載の方法。
【請求項62】
核酸がレンチウイルスベクターである、請求項43記載の方法。
【請求項63】
器官が心臓である、請求項43記載の方法。
【請求項64】
器官が脳である、請求項43記載の方法。
【請求項65】
器官が筋肉である、請求項43記載の方法。
【請求項66】
器官が子宮である、請求項43記載の方法。
【請求項67】
筋芽細胞が骨格筋芽細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項68】
筋芽細胞が心筋芽細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項69】
筋芽細胞が子宮筋芽細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項70】
筋芽細胞がレシピエント宿主哺乳動物に対して自己由来である、請求項43記載の方法。
【請求項71】
以下を含む、筋芽細胞を処置する方法:
2つの19〜21ヌクレオチドの相補配列間にループを形成する5〜7ヌクレオチドのスペーサー領域により分けられた該2つの相補配列を含む、カリウムチャンネルのためのショートヘアピンサイレンシングRNA(siRNA)をコードする核酸を筋芽細胞に投与し、それにより該ショートヘアピンRNAを該筋芽細胞内で発現させる工程;および
該筋芽細胞を、電気刺激に応答性があるレシピエント宿主哺乳動物の器官に移植する工程。
【請求項72】
カリウムチャンネルが電位作動性チャンネルである、請求項43記載の方法。
【請求項73】
カリウムチャンネルが心臓のカリウムチャンネルである、請求項43記載の方法。
【請求項74】
核酸が安定なベクターである、請求項43記載の方法。
【請求項75】
筋芽細胞が、前記核酸により安定にトランスフェクトされる、請求項43記載の方法。
【請求項76】
核酸がレンチウイルスベクターである、請求項43記載の方法。
【請求項77】
器官が心臓である、請求項43記載の方法。
【請求項78】
器官が脳である、請求項43記載の方法。
【請求項79】
器官が筋肉である、請求項43記載の方法。
【請求項80】
器官が子宮である、請求項43記載の方法。
【請求項81】
筋芽細胞が骨格筋芽細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項82】
筋芽細胞が心筋芽細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項83】
筋芽細胞が子宮筋芽細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項84】
筋芽細胞がレシピエント宿主哺乳動物に対して自己由来である、請求項43記載の方法。
【請求項85】
細胞にコネクシンをコードするレンチウイルスを投与し、それによりコネクシンを細胞内で発現させる工程を含む、細胞移植における使用のために細胞を処置する方法。
【請求項86】
細胞が、繊維芽細胞、間葉幹細胞、および心臓幹細胞からなる群より選択される、請求項85記載の方法。
【請求項87】
コネクシンがコネクシン43である、請求項85記載の方法。
【請求項88】
コネクシンがコネクシン40である、請求項85記載の方法。
【請求項89】
処置した細胞を、レシピエント宿主哺乳動物に移植する工程をさらに含む、請求項85記載の方法。
【請求項90】
処置した細胞を、レシピエント宿主哺乳動物の心臓に移植する工程をさらに含む、請求項85記載の方法。
【請求項91】
処置した細胞を、レシピエント宿主哺乳動物の脳に移植する工程をさらに含む、請求項85記載の方法。
【請求項92】
処置した細胞を、レシピエント宿主哺乳動物の筋肉に移植する工程をさらに含む、請求項85記載の方法。
【請求項93】
処置した細胞を、レシピエント宿主哺乳動物の子宮に移植する工程をさらに含む、請求項85記載の方法。
【請求項94】
細胞が繊維芽細胞である、請求項85記載の方法。
【請求項95】
細胞が間葉幹細胞である、請求項85記載の方法。
【請求項96】
細胞が心臓幹細胞である、請求項85記載の方法。
【請求項97】
筋芽細胞がレシピエント宿主哺乳動物に対して自己由来である、請求項89記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−534321(P2007−534321A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505065(P2007−505065)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/009358
【国際公開番号】WO2005/092033
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506321481)ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー (9)
【Fターム(参考)】