細胞脂肪を減少させるため、心毒性を予測するため、チロシンキナーゼ阻害剤による処置による組成物および方法

【課題】薬物が毒性作用を伴うかどうか、またこの毒性作用が患者に生じやすいかどうかを確認する方法が必要とされている。これら阻害剤のリン酸化受容体標的に対する効力を維持しつつ、それらの毒性作用を回避する方法もまた必要とされている。
【解決手段】薬剤での処置に応答して細胞が脂肪酸を酸化するかどうかを同定する工程を含む、薬剤での処置に応答して毒性を予測する方法であって、前記薬剤での処置に応答して前記細胞が脂肪酸を酸化しないと同定された場合、前記薬剤は前記細胞に毒性であると予測され、または前記薬剤での処置に応答して前記細胞が脂肪酸を酸化すると同定された場合、前記薬剤は前記細胞に毒性ではないと予測される、方法の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
心臓は、生物の一生の間、効率的なポンプとしてそれを機能させるATP産生に関して大きな能力を有する。成人の心筋は、その主要なエネルギー源として、脂肪酸(FA)および/またはグルコース酸化を使用する。通常の条件下、成人の心臓は、ミトコンドリア中の脂肪酸の酸化を介してそのエネルギーの大部分を導き出す。
【背景技術】
【0002】
心筋細胞は、種々の生理的かつ食事条件下、ATP産生が一定速度に維持されるように炭水化物の解糖とクレブスサイクルとの間で脂肪燃料源に切り替える能力を有する。この代謝および燃料選択の柔軟性は、正常な心臓機能にとって重要である。心臓エネルギー変換能力および代謝フラックスは、多数のレベルで調節されるが、1つの重要な調節機序は、遺伝子発現レベルで生じる。複数のエネルギー変換経路に関与する遺伝子発現は、発達的、生理的および病態生理学的なきっかけに応答して動的に調節される。
【0003】
これらの重要なエネルギー代謝経路に関与する遺伝子は、核受容体スーパーファミリーのメンバー、特に脂肪酸活性化ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)および核受容体活性化補助因子、PPARγコアクチベーター-1α(PGC-1α)、ならびにエストロゲン受容体関連タンパク質ERRα、ERRβおよびERRγ、ならびにそれらのアクチベーターPGR-1およびPERCにより転写調節される。生理的および病態生理学的状態による心臓PPAR/PGC-1複合体の動的調節を、より詳細に以下に説明する。
【0004】
PGC-1αは、褐色脂肪中の適応的熱産生に関連するPPARγ活性化補助因子である。構造的に関連する2つのタンパク質、PGC-1βおよびPARCは、クローン化されており、エネルギー代謝経路の調節に関与していると思われる。組織特異的およびPGC-1α発現の誘導性により、ミトコンドリアの生合成および酸化、肝臓でのグルコース新生、および骨格筋のグルコース取込みなど、細胞のエネルギー産生代謝過程の動的調節への関与を示唆している。PGC-1αは、心臓、骨格筋、褐色脂肪、および肝臓などの酸化性の高い組織において選択的に発現する。心臓におけるPGC-1αの発現は、出生時に急激に増加する。これは、グルコース代謝から脂肪酸化への周産期シフトと一致する。PGC-1α活性および発現レベルはまた、寒冷暴露、絶食、および運動;酸化的代謝を促進することが知られている刺激により誘導されることが知られている。培養時に心筋細胞中のPGC-1の強制発現により、複数のミトコンドリアのエネルギー変換/エネルギー産生経路に関与する核およびミトコンドリア遺伝子の発現を誘導し、細胞ミトコンドリア数を増加させ、連結した呼吸作用を刺激する。p38 MAPキナーゼ、β-アドレナリン作動性/cAMP、酸化窒素、AMPキナーゼ、およびCa2-カルモジュリンキナーゼを含むこれらの刺激に関連するシグナル伝達経路は、PGC-1α発現またはそのトランス活性化機能のいずれかを増加させることにより、PGC-1αおよびその下流標的遺伝子を活性化する。
【0005】
これらの代謝的および構造的変化により、心臓における拡張心筋症および弛緩期機能不全を生じ得る。興味深いことに、ミトコンドリアの増殖は可逆性であり、心筋症は、導入遺伝子発現が減少すれば救出できる。このことから、PGC-1αは、PPARを介して細胞脂肪酸代謝のアクチベーターとして役立つことに加えて、ミトコンドリアの生合成に関連することが示唆される。したがって、PGC-1αは、酸化的エネルギー代謝のマスターモジュレーターとして役立つと思われ、細胞エネルギー状態の変化に応答する。
【0006】
オーファン核受容体のエストロゲン関連受容体(ERR)ファミリーは、心臓および骨格筋エネルギー代謝のPGC-1活性化調節剤として機能する証拠が出現している。ERRファミリーの3つのメンバー: ERRα、ERRβおよびERRγが存在する。ERRαおよびERRγの発現は、心臓および緩徐な単収縮骨格筋など、主としてATP産生に関するミトコンドリアの酸化的代謝に依存する成人組織において上昇する。ERRαの発現は、細胞の脂肪酸取込みおよびミトコンドリアの酸化に関与する酵素の全体的なアップレギュレーションと平行して出生後の心臓において劇的に増大する。最近、ERRαおよびERRγは、活性化補助因子のPGC-1ファミリーに対する新規なパートナーとして同定された。ERRイソ体とPGC-1αとの間のこの機能的関係により、エネルギー代謝におけるERRの役割に刺激的な興味が持たれている。
【0007】
ERRα遺伝子の欠失により、脂質代謝の構成的調節におけるERRαに対する組織特異的役割が明らかにされる。ERRα-'-マウスでは、脂肪細胞のサイズおよび脂質合成率の減少と同時に白色脂肪質量が減少する。対照的に、ERRαは、PGC-1αとの機能的相互作用と調和して、恐らく心臓における脂質異化作用において役割を果たしているであろう。明白な心臓表現型を示さないERRα-'-マウスは、心臓PGC-1αおよびERRγの発現において代償的増加を示す。これらの結果により、ERRイソ体が、心臓における脂肪酸代謝遺伝子の構成的な発現に寄与していることを示唆している。しかしながら、遺伝子発現における変化の代謝作用は依然として知られていない。
【0008】
ERRαを過剰発現する心筋細胞における遺伝子発現プロファイリングが、心臓ERRα標的遺伝子を同定するために使用されている。ERRαは、細胞脂肪酸取込み(LPL、CD36/FAT、H-FABP、FACS-1)、β-酸化(MCAD、VLCAD、LCHAD)、およびミトコンドリアの電子輸送/酸化的リン酸化(チトクロームc、COXIV、COXVIII、NADHユビキノンデヒドロゲナーゼ、フラビンタンパク質-ユビキノンオキシドレダクターゼ、ATPシンターゼβ)を含む、エネルギー産生経路に関与する遺伝子を活性化する。ERRαはまた、心筋細胞におけるパルミテート酸化速度を増加させる。ERRαによるβ-酸化酵素遺伝子の活性化は、PPARαシグナル伝達経路を含む。ERRαは、PPARα遺伝子発現、およびMCADのERRα媒介調節を直接活性化し、M-CPT Iは、PPAα-'-マウスに由来する細胞中で消滅する。ERRαはまた、ミトコンドリアの生合成のPGC-1α調節に関与することが現在知られている。それは、NRF-2複合体のサブユニットをコードし、転写レベルにおいてミトコンドリアの酸化的代謝に関与する遺伝子を直接活性化するGapba遺伝子の調節を介してNRF経路のPGC-1α活性化を媒介することが知られている。活性化補助因子PGC-1αと一緒にERRαは、MCAD、チトクロームc、およびATPシンターゼβ遺伝子プロモーターを活性化する。結論として、これらの結果により、PGC-1調節サーキットへの関与を介して心臓の酸化的エネルギー代謝の調節剤としてERRαが確認される。しかしながら、心臓におけるERRの正確な生物学的役割は確認されていない。
【0009】
核受容体ERRγ(エストロゲン関連受容体γ)は、心臓、骨格筋、腎臓、および脳、ならびに発達神経系において高度に発現する。哺乳動物細胞における活性化補助因子PGC-1αおよびPGC-1βの発現は、ERRγによる転写活性化を強力に増大させる。オーファン受容体の構成的活性化機能2(AF-2)は、相乗的増強のために重要である。ERRγ2イソ体およびPGC-1αに特異的なさらなるアミノ末端活性化機能を確認するために、機能的受容体の切断分析が用いられている。インビトロ実験により、両活性化補助因子と一緒になってERRγの直接的相互作用が示された。これらの知見は、ERRγに対する組織特異的な活性化補助因子としてのPGC-1αおよびPGC-1βに関する明確な調節的機能の仮説と一致する。それにもかかわらず、これらの機能をさらに限定するためのさらなる研究が必要とされている。
遺伝子導入マウスにおけるPGC-1の心臓特異的過剰発現により、心筋細胞において無制御なミトコンドリアの増殖が生じ、サルコメア構造の喪失および拡張心筋症に至る。このように、PGC-1は、心臓ミトコンドリア数およびエネルギー需要に応じた機能の制御における重要な調節分子である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Fabianら、「A small molecule-kinase interaction map for clinical kinase inhibitors」、Nature Biotechnology 23、329頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの調節経路の全てではないが、その大部分は、シグナル伝達経路の中間体のリン酸化を含む。種々のキナーゼ阻害剤の作用などによるリン酸化の阻害はこれらのシグナル伝達経路に影響を及ぼして、脂肪酸代謝に変化を生じさせ、心毒性などの器官毒性を引き起こし得る。多数の新規な抗癌薬はキナーゼ阻害剤であり、毒性を伴う。したがって、薬物が毒性作用を伴うかどうか、またこの毒性作用が患者に生じやすいかどうかを確認する方法が必要とされている。これら阻害剤のリン酸化受容体標的に対する効力を維持しつつ、それらの毒性作用を回避する方法もまた必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
毒性、特に心毒性が、チロシンキナーゼ阻害剤またはerbB阻害剤などの種々の薬物による処置について選択された患者に生じる可能性が高いかどうかを診断する方法を開示する。候補薬物が、毒性または心毒性作用を有する可能性が高いかどうかを評価する方法もまた開示する。一方法において、脂肪酸酸化障害が存在するかどうかを判定するために、トリグリセリドおよびコレステロールなどの脂質を分析することができる。別の方法において、観察された脂肪酸酸化の原因となるMCADなどの酵素を決定することができる。脂質レベルに関して、正常細胞中では、AMP活性化タンパク質キナーゼの活性化により、脂質レベルの特徴的な減少、ならびに解糖作用によるより短い炭素鎖中間体、例えば、C2からC6炭素中間体の対応する増加に至り得ることが考えられる。本開示の目的のために、正常細胞における特徴的な脂質減少からの統計的に有意な偏差はいずれも、脂肪酸酸化障害を考慮することができる。同様に、本開示の目的のために、これらの代謝経路に関与する酵素に関して、ウェスタン、ノーザン、PCRまたは他の技法により測定されたこれら酵素の活性量またはレベルにおける正常細胞に比較して統計的に有意な変化はいずれも、脂肪酸酸化障害を考慮することができる。脂肪酸酸化障害の診断は、毒性の危険性増大を予測するためにおよび恐らく薬物使用のための禁忌指標として使用することができる。あるいは、薬物が、脂肪酸酸化障害を有する患者に使用される場合、これらの方法は、患者の心臓機能を密接に追跡調査する必要性を示すために使用することができる。あるいは、グルコースの取込みは、ポジトロン放出断層撮影によるなど、既知の方法により測定することができる。チロシンキナーゼ阻害薬物の投与の際にグルコースの取込みが減少しないか、または正常な非癌性細胞と同程度に減少しない場合、その薬物処置は、非癌性細胞に対して毒性である可能性が高い。あるいは、チロシンキナーゼ阻害剤への暴露の際に、正常な非癌性細胞内よりもATPレベルが減少する場合、チロシンキナーゼ阻害剤は毒性であることが予測される。
【0013】
チロシンキナーゼ阻害剤、特にerbB阻害剤などの薬物による処置について選択された患者において心毒性があるかどうかを予測する別の方法は、腫瘍もしくは血液のいずれか、または双方における患者のTNFαを評価することである。TNFαのレベルは、患者が薬物、特にヘルセプチン(Herceptin)療法に起因する心毒性に関連する有害事象を有する可能性が高いかどうかを予測するために使用することができる。
【0014】
美容上の理由または体重減少を目的として、患者の脂質および脂肪を減少させるために、一定のチロシンキナーゼ阻害剤など、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)を活性化する薬物の投与方法もまた開示する。この方法は、脂質が、より小型の炭素中間体へと酸化されるように、AMP活性化タンパク質キナーゼのアクチベーターは、細胞代謝におけるシフトを引き起こすという驚くべき発見に基づいている。代謝のシフトにより、処置細胞における脂質含量の驚くべき減少がもたらされる。細胞が脂質含量の一部を放出させるために、AMP活性化タンパク質キナーゼを活性化するのに十分な量のAMP活性化タンパク質キナーゼアクチベーターの投与を使用することができる。このような化合物を細胞に投与する多数の方法が知られており、使用することができる。局所投与または全身投与を用いることができる。局所投与は、注射、皮膚パッチまたは軟膏もしくはローションによって行うことができる。
【0015】
虚血、サイトカイン放出、グルコース欠乏のような外傷に通常起因する思われる急性の苦痛、およびこのような病態が診断される細胞および器官において代謝緊張を引き起こす同様の事象から心筋および/または脳細胞などの器官を保護するのに十分な量で、AMP活性化タンパク質キナーゼアクチベーターを患者に投与する方法、または器官とのインキュベーションのために培地中にそれを含む方法もまた開示する。デュアルキナーゼ阻害剤、特にAMP活性化タンパク質キナーゼ活性の増大を引き起こすチロシンキナーゼ阻害剤もまた使用することができる。このようなキナーゼ阻害剤は、詳細な説明でさらに記載されているように、それらの標的に対して特異的であることが好ましい。多数の投与方法が知られており、用いることができる。例えば、薬物は、器官を灌流する溶液に含有させることもできるし、全身に投与することもできる。
【0016】
移植用器官を保存する方法もまた開示する。該方法は、AMPKアクチベーターを含む保存溶液を調製する段階と、器官を該保存溶液と接触させる段階とを含む。器官に対して改善された保護を提供するために、保存溶液は、AMPKアクチベーターが十分な量で添加される任意の既知の保存溶液であり得る。
【0017】
さらなる特徴および利点は、本明細書に記載されており、以下の詳細な説明および図面から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一態様において、本開示は、ヘルセプチンおよびラパチニブ(Tykerb)のようなチロシンキナーゼ阻害剤などの薬物が、脂質代謝経路に関連する遺伝子発現に影響を及ぼし、細胞内の脂質量に劇的な影響を及ぼすという発見に基づいている。そうでない場合には、正常な細胞または正常なタンパク質チロシンキナーゼ調節を有する細胞を本発明のキナーゼ阻害剤により処置することによって、脂肪酸を酸化するそのような細胞の能力を増大または減少させることにより脂肪酸代謝に影響を及ぼす。培養液中に増殖させた正常な脂肪細胞が、GW2974、GW572016などのキナーゼ阻害剤に暴露されると、これらの細胞内に保存された脂質は急速に消失する。心細胞にもこの観察がなされている。このような試験は、脂質に関してオイルレッド0染色を用いて実施することができる。このように、ラパチニブ(tykerb)および他のHer1/Her2チロシンキナーゼ阻害剤による処置により、脂質合成率の減少および/または脂質酸化率の増大と一致するこのような細胞からの脂肪の喪失が引き起こされる。ヘルセプチンなどの他の薬物により、NDF脂質含量が増加するように思われる。
【0019】
多数のキナーゼ阻害剤はまた、化学療法剤として有用であることが知られている。一部の患者において、これらの薬物は心毒性を生じる。本開示は、心毒性を脂肪酸代謝の欠損に関連付けることができるという驚くべき発見に基づいている。このように、脂肪酸代謝にある一定の機能不全を有するか、または血中に高レベルのTNFαを有する患者、およびキナーゼ阻害剤により処置を受けている患者は、erbBチロシンキナーゼ阻害剤などのキナーゼ阻害剤による処置の際に心筋症などの心機能障害を受ける可能性が高い。さらに、腫瘍組織または血清中に、高レベルのTNFα、またはその下流生存因子NF-κBを有する患者は、一般にヘルセプチンに対してより良好な応答を有することが見出されている。この発見により、キナーゼ阻害剤単独またはある一定の細胞タンパク質のリン酸化状態に影響を及ぼす他の活性剤との併用を含めて、薬物による処置の際に、患者が心毒性を受けるかどうかを予測するための新規な方法の開発が導かれている。
【0020】
トリグリセリドおよびコレステロールなどの患者の脂質および/または、中でもMCADなどの脂質代謝酵素を分析する方法を開示する。次にこのような分析結果を、心毒性が、キナーゼ阻害剤処置から生じ得る場合を予測するために、またヘルセプチン、GW572016または他のerbB阻害剤を含むキナーゼ阻害剤などの薬物による処置を受けている患者において心機能を密接にモニターする必要がある早期の指標を提供するために使用することができる。
【0021】
他の組織においてアセチル-CoAカルボキシラーゼをリン酸化し、不活化することが示されている5'-AMP活性化タンパク質キナーゼの活性は、虚血の結果、有意に増加することが発見されており、再灌流の間上昇したままである。虚血中の5'-AMPの蓄積により、再灌流中、アセチル-CoAカルボキシラーゼをリン酸化し、不活化するAMP活性化タンパク質キナーゼの活性化をもたらす。マロニルCoAレベルの引き続く減少により、虚血心臓の再灌流中に脂肪酸酸化速度を加速する結果となり得る。
【0022】
心毒性に関して、種々の脂肪酸酸化障害が知られており、下表Iに挙げられている。このような障害が患者に検出される場合、それは、キナーゼ阻害剤が心臓に対して毒性となり得る指標を提供することができる。
【0023】
【表1】

【0024】
このような障害は、任意の好適な方法により検出することができる。例えば、ある種の障害において、脂肪酸を個体に摂取させて、それらの代謝を追跡することができる。あるいは、例えば、ウェスタンブロットなどで酵素レベルを決定することができるか、またはある一定の遺伝子産物に関してmRNAレベルを分析することができる。任意の検出可能な減少によって、脂肪酸酸化障害が存在し、チロシンキナーゼ阻害剤による処置が正常な細胞および器官に対して毒性となり得るという指標を提供する。
【0025】
一方法において、キナーゼ阻害剤による処置の候補である患者は、心筋細胞毒性を有する可能性が高いかどうかを判定するためにこれらの疾患に関してスクリーニングすることができる。例えば、生体高分子は、これらの高分子のレベルが候補薬物の投与によりどのように影響を受けるかを判定するために培養液中で増殖させた心筋細胞で決定することができる。一方法において、ヒト心筋細胞を培養液中で増殖させ、リン酸化されたAMP活性化タンパク質キナーゼのレベルを、候補薬物の存在下でモニターすることができる。これは、リン酸化されたAMP活性化キナーゼを検出するウェスタンブロットにより決定することができる。
【0026】
本発明を限定するのではないが、低酸素症、虚血、グルコース欠乏、および絶食などのストレス条件下、細胞内AMP:ATPの比率の増加により、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)、細胞エネルギーバランスを維持するために設計された応答がアロステリックに活性化されると考えられている。AMP活性化タンパク質キナーゼは、当初、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)および3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAレダクターゼ(HMG-CoAレダクターゼ、HMGR)の調製を阻止することが発見された。AMPKの活性化により、細胞を活性なATP消費(例えば、脂肪酸、コレステロールおよびタンパク質の生合成)からATP産生(例えば、脂肪酸およびグルコース酸化)へと切り替える一連の下流リン酸化事象が開始すると考えられている。AMPKのストレス誘導活性化は、カルモジュリン依存キナーゼのキナーゼβ(CAMKKβ)、カルシウム活性化タンパク質キナーゼ、およびLKB1、ポイツ-ジェガーズ症候群腫瘍抑制遺伝子によりコード化されたセリン/トレオニンキナーゼを含む、1つまたは複数の上流AMPKキナーゼ(AMPKK)により、αサブユニット上のトレオニン172でのそのリン酸化後に生じると考えられている。骨格筋および心臓におけるAMPKの活性化は、リン酸化およびアセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)の阻害に至ると考えられており、次に、それ自体カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT 1)の阻害剤であるマロニル-CoAのレベルを減少させると考えられる。CPT 1の抑制解除により、脂肪酸のβ-酸化の同時増大を引き起こすと考えられ、それにより、ATPのミトコンドリア産生の増加に至ると考えられる。AMPKのストレス誘導活性化はまた、mTORを阻害し、心臓保護に関連することが知られている翻訳延長因子であるeEF2を直接調節することにより、タンパク質合成を阻害すると考えられる。重要なこととして、ミトコンドリア機能の変化は、イマチニブにより心筋細胞死に至ると考えられる。さらに、AMPK媒介TSC2リン酸化を経るキャップ依存翻訳の阻害は、ATP欠乏に応答して細胞生存にとって極めて重要であると考えられる。AMPK活性化後のATPの消費ではなくてATPの生合成の増大もまた、虚血傷害に対して心筋細胞を保護し得る。
【0027】
AMPKおよびその下流基質を活性化できるラパチニブと同様の活性プロフィールを有する効力のある小型分子のHER2/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるGW2974などの分子は、脂肪酸酸化を刺激し、次いでHER2-発現ヒト心筋細胞においてATP産生を増大させて、心不全で検出された既知のサイトカインであるTNFαにより誘導されるアポトーシスに対して保護することが発見されている。逆に、AMPKを活性化しないトラスツズマブなどの分子は、TNFαに応答して心筋細胞の細胞死の増大をもたらす。AMPKに対して特異的なHER2標的療法の効果およびその結果としてのエネルギー産生により、心筋症に関連した危険性を予測し、新規なHER2特異的治療方式を提供でき、急性虚血傷害後のTNFαの死滅作用または他の前アポトーシス刺激から心筋を保護することができる。
【0028】
さらに、チロシンキナーゼ阻害剤は、細胞、特に普通なら正常であるか、またはタンパク質チロシンキナーゼ活性媒介疾患の無い細胞中の脂肪を減少させるために使用することができる。この目的のために、哺乳動物または組織の少なくとも一部を、細胞内の脂質量を減少させるようにキナーゼ阻害剤により処置することができる。任意の好適なキナーゼ阻害剤を用いることができる。好適な阻害剤を判定する方法はよく知られている。例えば、脂肪細胞のサンプルを、キナーゼ阻害剤の存在下または非存在下で増殖させ、既知の方法によりオイルレッド0で染色して、キナーゼ阻害剤が貯蔵脂肪の減少を引き起こすかどうかを判定することができる。脂肪貯蔵の観察可能な減少を引き起こすこれらのキナーゼ阻害剤は、本発明に好適である。本発明に好適な代表的キナーゼ阻害剤としては、erbB阻害剤、特にGW2974、GW572016などが挙げられる。下表IIは、GW2974を用いた処置により得られた脂質含量の減少を示している。Au565細胞を、当業界に知られた通常の条件下で増殖させ、GW2974(25μM)により2日間処置した。細胞を採取し、洗浄し、水中で音波処理した(200μLの水中2,000,000個の細胞)。該細胞を遠心沈殿させ、細胞内代謝に関してMS/MSによるアシルカルニチン(ミトコンドリア脂肪酸酸化の副生成物)に対して試験した。
【0029】
【表2】

【0030】
一方法において、脂質貯蔵を減少させるために、細胞を好適なキナーゼ阻害剤で処置することができる。この方法は、細胞それ自体に貯蔵脂質のある量、好ましくは、貯蔵脂質の大部分、またはより好ましくは、実質的に全ての過剰貯蔵脂質を除去させるために、細胞を十分量の好適なチロシンキナーゼ阻害剤と接触させるステップを含むことができる。細胞は、インビトロ細胞培養液中に存在し得るか、または個体に存在し得る。この方法は、疾患が無いか、またはタンパク質チロシンキナーゼ活性関連疾患の無い細胞に使用された場合に特に有効である。
【0031】
脂肪酸酸化作用に対抗し、心筋および/または脳細胞を保護するために、心臓再灌流中または心臓発作時などの患者に、チロシンキナーゼ阻害剤またはデュアルチロシンキナーゼ阻害剤などのキナーゼ阻害剤を投与する方法もまた開示する。虚血、サイトカイン放出、グルコース欠乏またはこのような細胞に代謝的にストレスを生じさせる他の疾病により引き起こされる急性の苦痛から、心細胞、脳細胞ならびに他の組織および器官からの細胞を保護するためにこのような処置を使用することができる。
【0032】
キナーゼ阻害剤は、それらが代謝活性におけるシフトを生じさせ、無関係な標的に影響を及ぼさないように、特異的であることが好ましい。種々のキナーゼ阻害剤の特異性は、参照として援用されるFabianら、「A small molecule-kinase interaction map for clinical kinase inhibitors」、Nature Biotechnology 23、329頁に記載されている方法により判定することができる。代謝活性におけるシフトは、AMP活性化タンパク質キナーゼ活性の増大を介して引き起こされると考えられる。
【0033】
活性剤は、経口的に、注射または皮膚パッチ、軟膏もしくはローションにより局所的に個体に投与することができるか、あるいはその脂質減少効果を働かせるのに十分な量で目的の標的細胞にそれが到達する限り、非経口的に投与することができる。例えば、脂質含量の減少を生じさせるために、脂質を貯蔵する脂肪組織などの組織にAMP活性化タンパク質キナーゼアクチベーターを局所的に投与することが好ましい。代謝ストレス、心臓発作、虚血などに対して治療を必要とする患者には、全身的に投与することもできる。
【0034】
AMP活性化タンパク質キナーゼアクチベーターは、塩もしくは溶媒和物としてまたは遊離化学物質として投与することができるが、製剤の形態で阻害剤を投与することが好ましい。該製剤は、活性剤に加えて1つまたは複数の薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含有することができる。
【0035】
製剤は、単位用量当り予め決められた量の活性成分を含有する単位用量形態で提供することができる。このような単位は、投与経路ならびに患者の年令、体重および病態に依って、例えば、0.5mgから1g、好ましくは70mgから700mg、より好ましくは5mgから100mgの活性剤を含有することができる。例えば、マウスでは、絶食期間中の心臓を保護するために100mg/kgのGW2974を投与することができる。
【0036】
製剤は、例えば、経口(頬側または舌下を含む)、直腸、鼻腔、局所(頬側、舌下または経皮を含む)、膣または非経口(皮下、筋内、静脈内または皮内を含む)経路による、任意の適切な経路による投与に適応させることができる。このような製剤は、例えば、活性成分を担体または賦形剤と共に組み合わせることによって、薬業界に知られた任意の方法により調製することができる。
【0037】
経口投与に適応させた製剤は、カプセル剤または錠剤;散剤または顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の液剤または懸濁剤;食用泡剤またはホイップ剤;あるいは水中油の液体乳濁剤または油中水の液体乳濁剤およびリポソーム中の乳濁剤の形態であり得る。
【0038】
経皮投与に関する製剤は、長時間レシピエントの皮膚と密接に接触させ続けることを意図した個別のパッチとして提供することができる。活性成分は、既知の方法によるイオン浸透療法によりパッチから送達することができる。
【0039】
局所投与に関する製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁液剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアゾール剤または油剤として製剤化できる。
【0040】
外部組織の処置に関する製剤は、局所軟膏剤またはクリーム剤として塗布することができる。軟膏剤で製剤化された場合、活性成分は、パラフィンまたは水易溶性軟膏ベースと共に使用することができる。あるいは、活性成分は、水中油クリームベースまたは油中水ベースによるクリーム中に製剤化することもできる。このような軟膏剤は、活性剤が皮膚を透過し、特に脂肪状態の組織および器官における脂肪の改善のために標的細胞および組織と接触させることが好ましい。
【0041】
口腔内の局所投与に適応させた製剤としては、舐剤、香錠および含嗽剤が挙げられる。
【0042】
吸入による投与に関する製剤としては、種々のタイプの計測用量加圧エアゾール、ネブライザーまたは注入器により発生させることができる微粒子粉末またはミストが挙げられる。
【0043】
膣投与に関する製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡剤またはスプレー剤として提供することができる。
【0044】
非経口投与に関する製剤としては、トコフェロールなどの抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を目的のレシピエントの血液と等張にする溶質をさらに含むことができる水性または非水性滅菌注射液;および懸濁化剤および増粘剤を含むことができる水性または非水性滅菌懸濁液、を挙げることができる。
【0045】
製剤は、単位用量または多用量容器、例えば、密封アンプルおよびバイアル中に提供することができ;使用直前に滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加だけを必要とする凍結乾燥条件で保存することができる。即時調合注射液および懸濁液は、滅菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製することができる。
【0046】
好ましい単位剤形製剤は、活性成分の毎日の用量もしくはサブ用量、または適切な画分を含有するものである。
【0047】
特に上記の成分に加えて、当然のことながら製剤は、当業界において当の製剤タイプに係わる通常の他の試剤を含むことができ、例えば、経口投与に好適なものとしては風味剤を含むことができる。
【0048】
本発明の化合物、塩または溶媒和物による処置を必要とする動物は、通常人間などの哺乳動物である。
【0049】
本発明の活性剤、塩または溶媒和物の治療的有効量は、例えば、動物の年令および体重、処置を必要とする病態の重症度、製剤の性質、ならびに投与経路などのいくつかの因子に依存し、最終的には、担当医師および獣医師の裁量に委ねられるであろう。しかしながら、毒性の処置のために本発明の化合物の有効量は、一般に1日当り0.1から500mg/レシピエント(哺乳動物)の体重1kgの範囲であり、さらに通常、1日当り1から200mg/体重1kgの範囲である。したがって、70kgの成体哺乳動物に関して、1日当りの実際量は、通常70から700mgまでとなり、この量は、1日当りの単一用量または毎日の全用量が同一となるように1日当り任意のサブ用量数で与えることができる。本発明の塩または溶媒和物の有効量は、化合物それ自体の有効量の割合として決定することができる。
【0050】
本発明の化合物およびそれらの塩ならびに溶媒和物は、単独でまたは他の治療剤と併用して使用することができる。したがって、本発明による併用療法は、本発明の少なくとも1種のAMP活性化タンパク質キナーゼアクチベーターまたは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物ならびに癌治療剤などの少なくとも1種の他の薬学的に活性な薬剤の投与を含む。併用活性剤は、一緒にまたは別個に投与することができ、別個に投与する場合は、同時にまたは任意の順序で逐次投与することができる。本発明のキナーゼ阻害剤および他の薬学的活性剤の量ならびに投与の相対的タイミングは、所望の併用療法効果を達成するように選択される。
【実施例1】
【0051】
以下の実施例は、Au565細胞のインビトロ細胞培養においてヘルセプチンの処置により影響を及ぼされる遺伝子の同定を示す。Au565細胞を、通常の条件下で増殖させ、ヘルセプチンで処置するか、または未処置のままにした。細胞をペレット化し、液体窒素中で瞬間凍結し、標準的条件を用いてマイクロアレイで分析した。Cy3およびCy5標識cDNAを、細胞ペレットから単離されたRNAから調製した。脂質代謝に関与する遺伝子を表IIIに示している。アップレギュレートまたはダウンレギュレートされた他の経路に関与した遺伝子もまた、図1に示している。
【0052】
【表3A】

【0053】
【表3B】

【0054】
【表3C】

【0055】
【表3D】

【0056】
【表3E】

【実施例2】
【0057】
脂肪細胞が、小型分子のチロシンキナーゼ阻害剤、GW2974で処置された場合、脂質が喪失することを本実施例は立証している。図2は、ErbB刺激性リガンドであるNDF、またはモノクローナル抗体のヘルセプチンのいずれかで処置されたAu565細胞について、双方は脂質の産生をもたらすことを示している。これは、細胞のバックグラウンド対比染色(ヘマトキシリン)に対してオイルレッド(脂質は赤点により表される)での脂質の染色により示される。脂質は、未処置Au565細胞に存在するが、デュアルEGFRおよびErbB2阻害剤、GW2974で処置された細胞において減少することを図3は示している。図4は、GW2974、ヘルセプチンまたはNDFで処置された心筋細胞を示している。脂質は、ヘルセプチンおよびNDFで処置された細胞中に増加するが(未処置細胞と比較して)、GW2974で処置された細胞中では減少しない。図5は、対照、ヘルセプチンおよびGW2974処置細胞中の脂質の定量的測定を示している。
【0058】
GW2974での細胞の処置により、細胞内カルシウムの再分布を生じる(図6)。これは、カルシウムがフルオロ-4による蛍光で検出されるMDA-MB-468の乳癌細胞に見ることができる。このカルシウムの再分布により、AMPKの活性化およびリン酸化をもたらす。活性化AMPKは、翻訳因子eEF-2のリン酸化により翻訳が抑制され(図7)、このリン酸化は、eEF-2を不活化し、タンパク質合成、既知のTKIの効果を抑制する。図7Aは、刺激性リガンド(EGF)またはGW2974で処置され、p-eEF-2に対してプローブ化されたAu565のウェスタンブロットを示している。GW2974の処置後、p-eEF-2は劇的に増加する。図7Bは、IHCによるp-eEF-2の発現を示している。C225およびヘルセプチンは、p-eEF-2を増加させないが、Iressa、GW2974およびラパマイシンのようなTKIは増加させる。
【0059】
ERRαは、心細胞中の脂質代謝において役割を果たし、MCADは、脂質および脂肪酸を分解する酵素である。MCADの変異は、特に北部ヨーロッパの家系の変異において共通の遺伝的障害である。図8は、ヘルセプチン処置細胞において、ERRαのレベルは僅かに減少したことを示している。MCADは、ヘルセプチン処置細胞において発現するが、GW2974処置細胞からは完全に欠如している。
【実施例3】
【0060】
以下の実施例は、GW2974で処置された細胞のmRNA発現プロフィールの変化を立証している。
【0061】
Au565細胞は、通常の条件下で増殖し、未処置か、またはGW2974(25μM)で処置された。細胞をペレット化し、液体窒素中で瞬間凍結し、マイクロアレイ分析に供した。Agilent Total RNA Isolation Kitを用いてRNAを単離した。Cy3およびCy5標識cRNAは、Agilent Low RNA Input Fluorescent Linear Amplification Kitを用いて調製した。標識cRNAは、18K超の十分に特性化された完全長、ヒト遺伝子を表す60merオリゴヌクレオチドからなるG4110Aヒト1A(V2)マイクロアレイにハイブリダイズされた。表IVは、表形態での結果を提供する。
【0062】
【表4A】

【0063】
【表4B】

【0064】
【表5】

【0065】
【表6A】

【0066】
【表6B】

【0067】
【表6C】

【0068】
当然のことながら、目下のところ本明細書に記載された好ましい実施形態に対する種々の変更および修正は、当業者にとって明らかとなろう。このような変更および修正は、本主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、その意図された利点を減ずることなくなされ得る。したがって、このような変更および修正は、添付の特許請求の範囲により包含されるように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】Au565細胞においてヘルセプチン処置により調節された遺伝子を示す一覧表である。
【図2】NDFまたはヘルセプチンにより処置され、脂質に関して染色されたAu-565細胞を示す写真である。
【図3】GW-2974により処置され、脂質に関して染色されたAu-565細胞を示す写真である。
【図4】種々の条件下で増殖され、脂質に関して染色された一次的ヒト心筋細胞を示す写真である。
【図5】種々の条件下で脂質に関して陽性のヒト心筋細胞試験のパーセンテージを示す棒グラフである。
【図6】GW-2974により処置されたMDA-MB-468細胞およびフルオロ-4により検出された細胞内Caを示す写真である。
【図7】図7Aは、発現p-eEF2およびp-AMPKαに対する一定のチロシンキナーゼ阻害剤の影響を示すウェスタンブロットの写真である。図7Bは、種々の化合物の存在下、Au565細胞中のp-eEF2の発現を示す染色細胞の写真である。
【図8】種々のキナーゼ阻害剤による処置の有無下で心筋細胞中のERRαおよびMCADを示す写真である。
【図9】異なるタイプのerbB阻害剤およびTNFαの組合せで処置されたHMCの増殖阻害を示す棒グラフである。
【図10】TNFα、GW2974またはヘルセプチンのいずれか(または組合せ)による処置後、NF-κBに対してプローブ化されたHMCのウェスタンブロットを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤での処置に応答して細胞が脂肪酸を酸化するかどうかを同定する工程を含む、薬剤での処置に応答して毒性を予測する方法であって、前記薬剤での処置に応答して前記細胞が脂肪酸を酸化しないと同定された場合、前記薬剤は前記細胞に毒性であると予測され、または前記薬剤での処置に応答して前記細胞が脂肪酸を酸化すると同定された場合、前記薬剤は前記細胞に毒性ではないと予測される、方法。
【請求項2】
前記毒性が心毒性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞が心筋細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記薬剤がチロシンキナーゼ阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体がトラスツズマブである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
a)細胞を薬剤と接触させる工程;及び
b)脂肪酸酸化について前記細胞をアッセイする工程
を含む、薬剤での処置に応答して毒性を予測する方法であって、
前記薬剤との接触に応答して前記細胞が脂肪酸を酸化しない場合、前記薬剤は毒性であると予測され、または前記薬剤との接触に応答して前記細胞が脂肪酸を酸化する場合、前記薬剤は毒性ではないと予測される、方法。
【請求項8】
前記毒性が心毒性である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞が心筋細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記薬剤がチロシンキナーゼ阻害剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が抗体である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体がトラスツズマブである、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
脂肪酸酸化障害について細胞をアッセイする工程を含む、薬剤での処置に応答して毒性を予測する方法であって、前記細胞が脂肪酸酸化障害を有する場合、前記薬剤は毒性であると予測される、方法。
【請求項14】
前記毒性が心毒性である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞が心筋細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤がチロシンキナーゼ阻害剤である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が抗体である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体がトラスツズマブである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
a)薬剤での処置のために選択された被験者から細胞を得る工程;
b)脂肪酸酸化障害について前記細胞をアッセイする工程;及び
c)脂肪酸酸化障害が細胞中に存在するか測定する工程
を含む、薬剤での処置に応答して毒性を予測する方法であって、
脂肪酸酸化障害の存在が、薬剤が毒性であることを予測し、且つ脂肪酸酸化障害の不存在が、薬剤が毒性ではないことを予測する、方法。
【請求項20】
前記毒性が心毒性である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞が心筋細胞である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記薬剤がチロシンキナーゼ阻害剤である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が抗体である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記抗体がトラスツズマブである、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−63090(P2013−63090A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−282502(P2012−282502)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2008−556587(P2008−556587)の分割
【原出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(507300641)ターゲッティド・モレキュラー・ダイアグナスティクス・エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】