説明

終端検出回路

【課題】複雑な回路を付け加えることなく、終端検出を正確に行える終端検出回路を提供する。
【解決手段】終端検出回路100は、ローパスフィルタ1、D/Aコンバータ2、比較器3、垂直帰線期間検出器4、発振器5、OR回路6、タイマー7により構成される。出力回路30のビデオ信号出力端子はコネクタ31に接続されている。受信回路40のビデオ入力端子は、コネクタ41に接続されている。ケーブル付のコネクタ41をコネクタ31に接続して出力回路30からのビデオ信号を受信回路40に送信する。終端抵抗Rにより、送信端が終端される。比較器3の比較により、ビデオ信号の垂直帰線期間におけるぺデスタルレベルが、D/Aコンバータ2の出力の閾値よりも小さいときに送信端が終端されていると判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置等の出力回路の出力端子からビデオ信号を出力するときに、ケーブルが接続されて終端されているか否かを検出する終端検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオ信号を送信する送信装置には、VTR、デジカメ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ等がある。これらの送信装置は、一般的に送信端が終端されているか否かを検出するための終端検出回路が設けられている。
【0003】
特許文献1では、出力端子から出力されるビデオ信号中の変動しない2箇所のレベルをクランプして、そのレベル差を閾値レベルと比較することにより、終端の有無を判定している。
【0004】
また、特許文献2は、出力端子から0Vよりも大きな電圧を出力させる出力回路と、出力端子から流れ出る電流に基づいて、出力端子が終端されているか否かを判別する判別器とを有した終端検出回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−136707号公報
【特許文献2】特開2008−166934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、ビデオ信号の2箇所の電位をクランプして比較することにより、終端の有無を検出しているため、クランプ回路が必要であり、ビデオ信号を加工する必要があった。また、異なる2つの基準電圧とクランプされた電圧とを比較するため、比較器は複数必要であり、回路構成が複雑になっていた。
【0007】
また、特許文献2は、出力回路内の電流を検出して終端の有無を判別する判別器や、入力信号を0Vよりも高い電圧に保つクランプ回路等が必要になり、回路構成が複雑になるとともに、コストも高くなる。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、複雑な回路を付け加えることなく、終端検出を正確に行える終端検出回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の終端検出回路は、正のぺデスタルレベルを有するビデオ信号を出力する出力回路からビデオ信号が入力される入力端子と、前記ビデオ信号の垂直帰線期間におけるぺデスタルレベルと所定の閾値とを比較する比較器とを備え、前記垂直帰線期間におけるぺデスタルレベルが前記閾値よりも小さいときに前記出力回路が終端されていると判別し、前記垂直帰線期間におけるぺデスタルレベルが前記閾値よりも大きいときに前記出力回路が終端されていないと判別することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、正のぺデスタルレベルを有するビデオ信号を終端検出の対象としたことで、クランパが必要なくなり、ビデオ信号を加工する必要がなくなった。また、閾値と比較する信号をぺデスタルレベルの1種類としたことにより、比較器は1つで良くなった。さらに、垂直帰線期間で終端の検出動作を行わせるので、信号帯域が低く、アナログ回路を低速なものにできる。このため、低消費電力動作を行わせることができる。アナログ回路が少なく、デジタル信号処理にて検出動作をしているため、微細プロセスでの回路面積を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の終端検出回路の構成例を示す図である。
【図2】本発明の終端検出回路による終端検出時のタイムチャートを示す図である。
【図3】本発明の終端検出回路による終端検出が行われない時のタイムチャートを示す図である。
【図4】デジタル機器から出力されるビデオ信号の各部の信号レベル例を示す図である。
【図5】スライスレベルデータと閾値とペデスタルレベルの関係を示す図である。
【図6】終端検出動作のフローチャートを示す図である。
【図7】比較器の入力端子に設定される閾値を自動的に決定する動作のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。図面は模式的なものであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0013】
本発明の終端検出回路の一構成例を図1に示す。100が終端検出回路を示す。終端検出回路100は、ローパスフィルタ1、D/Aコンバータ2、比較器3、垂直帰線期間検出器4、発振器5、OR回路6、タイマー7により構成される。なお、図中のVCCINは、各部に供給されている電源電圧を示す。また、送信装置等の出力回路30のビデオ信号出力端子はコネクタ31に接続されている。受信装置等の受信回路40のビデオ入力端子は、コネクタ41に接続されている。ここで、ケーブル付のコネクタ41をコネクタ31に接続して出力回路30からのビデオ信号を受信回路40に送信する。このとき、終端抵抗Rにより、送信端が終端される。
【0014】
上記のように送信端が終端されているか否か、すなわち、コネクタ31とコネクタ41とが接続され、出力回路30のビデオ信号出力端子が終端抵抗Rと接続されているか否かを検出するのが、終端検出回路100である。
【0015】
終端検出回路100のVIDEOINが出力回路30から出力されたビデオ信号の接続端子である。また、出力回路30から出力されたビデオ信号は、スイッチ21に入力される。制御部22は、終端検出を開始するときに、終端検出開始信号を終端検出回路100に出力するとともに、制御信号を出力してスイッチ21を閉じる。これにより、送信端が終端されているか否かの判定を開始する。
【0016】
次に、ローパスフィルタ1は、映像信号、音声信号、カラーバースト信号等を取り除くものである。このため、ローパスフィルタ1のカットオフ周波数は、例えば100kHzに設定される。ローパスフィルタ1を通すことにより、出力されるビデオ信号は、同期信号に基づくパルス信号のみとなる。D/Aコンバータ2は、デジタル入力データをアナログ出力データに変換するもので、D/Aコンバータ2の出力は、比較器3の一方の入力端子に閾値として入力される。
【0017】
また、D/Aコンバータ2の入力は制御部22と接続されており、制御部22から閾値の元となるスライスレベルデータ(デジタルデータ)が供給される。スライスレベルデータは、制御部22で変化させられるようになっており、これに基づきD/Aコンバータ2の出力である閾値も変化する。
【0018】
比較器3は、D/Aコンバータ2の出力である閾値とローパスフィルタ1からの出力 C-Sync(コンポジット同期信号)とを比較し、閾値の方が大きい場合は、ローレベル信号を出力する。一方、閾値とC-Syncを比較して閾値の方が小さいときは、ハイレベル信号を出力する。
【0019】
次に、比較器3の出力をベースにして、垂直帰線期間検出器4で、垂直帰線期間を検出する。垂直帰線期間が検出された場合は、垂直帰線期間検出器4の出力V-BlankDetはハイレベルからローレベルとなる。垂直帰線期間が検出されなかった場合は、垂直帰線期間検出器4の出力V-BlankDetはハイレベル信号のままとなる。
【0020】
終端検出動作が行われる場合は、ローレベルの終端検出開始信号が制御部22から終端検出回路100に供給される。この終端検出開始信号と垂直帰線期間検出器4の出力V-BlankDet信号がOR回路6に入力される。V-BlankDet信号がハイレベルからローレベルに切り替わった場合は、OR回路6の出力は、ローレベル信号となり、これがタイマー7のリセット端子に供給される。
【0021】
OR回路6の出力が、ハイレベルからローレベルへ立ち下がると、タイマー7がリセットされる。V-Blank信号が、ハイレベル信号の間は、タイマー7はリセットされずに、タイマー7が動作する。タイマー7は、リセットがされない場合は、発振器5からのパルスを計数してカウントダウンし、待ち時間が0となった時点でリセットされる。発振器5は、例えば、100kHzの周波数のパルスを発振する。
【0022】
図2と図3を用いて、終端検出について説明する。図2は、ケーブルが接続されており、終端抵抗R(例えば、75Ω)が接続された状態を示す。入力されるビデオ信号は、ぺデスタルレベル(ブランキングレベル)が、所定の正のDC電圧値を有するものが対象となる。最近のデジタル電子機器は、ほとんどが、ビデオ信号がDCバイアス(正のバイアス値)されている。例えば、デジタルカメラの分野では、ビデオ信号のDCバイアスは、ほぼ100%行われている。このように、DCバイアスされていることにより、ペデスタルレベルは正の値となり、シンクチップレベルが0Vのときに、ペデスタルレベルは約0.3Vになる。
【0023】
図2に示されるようなコンポジットビデオ信号が、VIDEOINから入力される。終端抵抗Rにより終端されているので、ペデスタルレベルは、図のようになっており、シンクチップレベル(0V〜0.4V)も図のようになっている。一方、比較器3に与えられている閾値は、図の点線レベルになるように設定されている。
【0024】
図に示された1H〜20Hの各期間は、水平同期信号の周期又は水平走査線の周期を示し、例えば、1Hは水平同期信号の第1周期を、5Hは水平同期信号の第5周期を示す。垂直同期パルス(V-Sync)は、水平同期信号の周期の3周期分と決まっている。図のように、通常は第4周期から第6周期(4H〜6H)が垂直同期パルスになる。また、第1周期から第20周期(1H〜20H)までは、垂直帰線期間(垂直ブランキング時間:V-Blanking Time)といい、映像が表示されない期間である。また、垂直同期パルスには、いわゆる切込みパルスが挿入されている。さらに、垂直同期パルスの前後3H分の期間に、いわゆる等化パルスが挿入されている。終端抵抗が接続されている場合は、シンクチップレベルからカラー映像信号の最大値までは、1Vの高さとなっている。
【0025】
上記の各信号で、シンクチップレベルが0Vの場合に、実際に用いられている一例を挙げると、図4に示すようになる。終端抵抗(75Ω)により終端されている場合、カラー映像信号の最大値が1.221V、最小値が0.121V、カラーバースト信号の最大値が0.429V、最小値が0.143V、ペデスタルレベルが0.286V、白レベルが1.000V、黒レベルが0.3339Vとなっている。終端抵抗が接続されずに、開放されている場合も、例示されている。
【0026】
また、IREの次の列には、ペデスタルレベルを基準(0V)とした場合の各項目の電圧値が示されている。IREとは、映像信号の電圧レベルを相対的に表す単位で、ペデスタルレベルを基準に、映像信号の最大値(100%白レベル)を100IRE、同期パルスの最小値(同期パルスの底)を−40IREとするものである。したがって、最大振幅は、140IREとなる。
【0027】
ここで、図2に示すように、比較器3に与えられている閾値より、ぺデスタルレベルが小さいので、比較器3の出力COMPOUTはローレベルとなる。垂直帰線期間におけるぺデスタルレベルが閾値よりも小さい状態が一定時間以上続く場合は、COMPOUTがローレベル信号の期間が一定時間以上続くことになる。この場合、垂直帰線期間検出器4が垂直帰線期間を検出し、V-BlankDet信号がハイレベルからローレベルに切り替わる。図2の例では、COMPOUT信号の510μsのローレベル期間を検出した後、V-BlankDet信号はローレベルに変化している。510μsのローレベル期間は、図に示されているように、水平同期信号の7周期分以上に相当する。以上のようにして、終端されていることが検出される。
【0028】
一方、図3は、接続ケーブルが抜けたりして、終端抵抗が接続されずに、開放端となった場合が示されている。信号の種類は、図2と同じである。しかし、図2と異なり、VIDEOINから入力されたビデオ信号は、シンクチップレベルからカラー映像信号の最大値までは2Vの高さとなって、図2よりも信号が大きくなっている。また、シンクチップレベル自身も上昇している。その変動幅は0〜0.8Vとなっている。
【0029】
ここで、D/Aコンバータ2から出力される閾値とペデスタルレベルとを比較すると、垂直帰線期間におけるコンポジットビデオ信号のパルスがハイレベルのときは閾値よりも大きくなり、コンポジットビデオ信号のパルスがローレベルのときは閾値よりも小さくなる。したがって、比較器3の出力は、ハイレベル信号とローレベル信号が、C-Syncのパルスのハイレベル−ローレベルの繰り返しの周期と同じパルス信号がCOMPOUT信号として出力される。このように、COMPOUT信号は、一定の期間ローレベルを維持しない信号であるため、垂直帰線期間検出器4は、垂直帰線期間を検出せず、ハイレベル信号が維持されたままになる。
【0030】
また、ビデオ信号のペデスタルレベルが閾値よりも大きく、かつビデオ信号のシンクチップレベルが閾値よりも大きい場合についても、比較器3の出力はハイレベル状態が継続することになり、一定の期間ローレベル出力を維持するものではないので、垂直帰線期間検出器4は、垂直帰線期間を検出せず、ハイレベル信号が維持されたままになる。
【0031】
以上により、ビデオ信号のペデスタルレベルが閾値よりも大きい場合は、終端されていないことが検出される。
【0032】
図5は、垂直帰線期間を検出するために、必要な閾値の設定に関するデータを示す。閾値は、D/Aコンバータ2から出力されるが、あらかじめ、ビデオ信号のペデスタルレベルがわかっている場合は、制御部22から閾値の元になるスライスレベルデータを出力し、D/Aコンバータ2でアナログの閾値データに変換する。
【0033】
図5には、このときの対応データの一例が示されている。図5の左欄のD/Aコンバータ入力データは、スライスレベルデータに対応する。閾値の欄は、D/Aコンバータ2の出力電圧に対応する。ペデスタルレベル(電圧値)は、75Ωの抵抗で終端された場合と、終端抵抗で終端されずに開放となった場合が示されている。終端時のペデスタルレベルの電圧値は、0.30Vとなるように設計されることが規格により定められている。この場合は、図5から閾値を0.35Vとするのが適切であるので、D/Aコンバータ入力データは、001となるように制御部22により設定される。
【0034】
また、終端時のペデスタルレベルの電圧値が、0.30Vでなくとも、問題はない。終端時のペデスタルレベルが仕様書等から、あらかじめわかっている場合は、図5の表から、適切なD/Aコンバータ入力データを選択して、制御部22から設定するようにすれば良い。
【0035】
次に、図6のフローチャートに基づき、図1の終端検出回路の動作を説明する。まず、スイッチ21を閉じて(S1)、出力回路30から出力されるビデオ信号がコネクタ31まで到達するようにする。制御部22から、D/Aコンバータ2の入力にデジタルのスライスレベルデータを設定する(S2)。終端検出開始のオン信号を制御部22から終端検出回路100に与える(S3)。終端検出開始のオン信号は、ローレベル信号であり、発振器5はリセットされる。また、OR回路6の一方の入力端子にローレベル信号が入力されるので、他方の入力端子の入力信号であるV-BlankDetがそのままのロジックレベルで出力される状態になる。
【0036】
一方、D/Aコンバータ2は、スライスレベルデータをD/A変換してアナログの閾値を出力し、この閾値は比較器3の一方の入力端子に入力される。
【0037】
他方、ローパスフィルタ1により映像信号、音声信号、カラーバースト信号等が除去されて、同期信号に関するパルス信号のみによるビデオ信号が、比較器3の他方の入力端子に入力される。
【0038】
比較器3で、同期信号に関するパルス信号のみによるビデオ信号と閾値とが比較される。閾値よりもビデオ信号のペデスタルレベルが小さいときは、比較器3の出力COMPOUTは、ローレベルとなる。COMPOUTは垂直帰線期間検出器4に入力されるが、垂直帰線期間検出器4は、通常ハイレベルの信号を出力している。垂直帰線期間検出器4で発振器5からのクロックを計数し、COMPOUT信号が一定の期間ローレベルを維持した場合に、垂直帰線期間検出器4はローレベル信号を出力する。すなわち、終端抵抗が接続されている場合は、図2に示されるように、垂直帰線期間検出器4からは一定の期間ハイレベルを維持した後、ローレベルに切り替わったV-BlankDet信号が出力される。上述したように、終端検出開始のオン信号により、OR回路6のゲートが開いている状態であるので、V-BlankDet信号はそのままOR回路6から出力される。
【0039】
OR回路6の出力がハイレベルの期間は、タイマー7はリセットされずに、カウントダウンを行い、一定の時間が経過して、残り時間(待ち時間)が0になるとハイレベルの信号を出力する。この一定の時間は、例えば、35msに設定される。これは、およそ、2フレーム弱の期間の長さに相当する。
【0040】
ここで、終端抵抗が接続されている場合は、図2に示したように、V-BlankDet信号は一定の期間ハイレベルを維持した後、ローレベルに切り替わるので、OR回路6の出力は、ハイレベルからローレベルになり、タイマー7がリセットされる。このリセット信号は、タイマー7の待ち時間内に入力される。リセット信号により、タイマー7にあらかじめ設定された待ち時間が再度最初からセットされるため、タイマー7の出力はローレベル信号が継続して出力される。すなわち、終端検出開始のオン信号の時点からタイマー7にあらかじめ設定された待ち時間を超える期間が経過するまで、タイマー7からローレベル信号が継続して出力され、この信号が終端抵抗に接続されていることを示す終端検出信号として制御部22に送信される。
【0041】
他方、終端抵抗が接続されていない場合は、図3に示したように、ビデオ信号のペデスタルレベルが閾値よりも大きいため、COMPOUT信号はパルス信号となり、ハイレベルの期間が周期的に出現するので、一定の期間ローレベルを維持することができない。このため、垂直帰線期間検出器4の出力V-BlankDetがハイレベルのままであり、ローレベルに切り替わらない。これにより、OR回路6の出力は、ハイレベルの状態が継続されるので、タイマー7はリセットされない。すなわち、タイマー7はカウントダウンを行い、待ち時間が0になった時点で、タイマー7はハイレベル信号を出力し、これが、終端抵抗に接続されていないことを示す終端非検出信号として制御部22に送信される。
【0042】
制御部22では、終端検出信号又は終端非検出信号により、終端されていないことが検出されたか否かを判定する。終端検出信号又は終端非検出信号が制御部22に送信されると、制御部22は、ローレベル信号の期間中、ハイレベル信号が出現しているか否かのチェックを、ハイレベル信号を検出するまで所定の間隔で繰り返す(S5NO)。
【0043】
タイマー7の待ち時間経過後にハイレベル信号が出現している場合は、終端されていないことが検出された(終端非検出信号)と判断する(S5YES)。これにより、終端検出動作を終了する(S6)。そして、ケーブルがコネクタから抜けていないかどうかをチェックするために、例えばユーザに警告を発するような処理を行う。
【0044】
一方、ローレベル信号の期間を計数し、タイマー7の待ち時間を超えた期間、ローレベルが維持されている場合は、制御部22は終端されていると判定し(S6TIME OUT)、他の回路に終端検出信号を送信し、次の動作が行えるようにする。また、この時点で、終端検出動作を終了するようにしても良い。
【0045】
次に、終端されているときのペデスタルレベルが、あらかじめわからない場合に、比較器3の入力信号である閾値を自動的に設定するキャリブレーションについて、図7のフローチャートに基づいて説明する。自動設定キャリブレーションは、スイッチ21を開放して(S51)、終端されていない状態で行われる。
【0046】
次に、制御部22から最大スライスレベルデータがD/Aコンバータ2に対して設定される(S51)。このデータの設定に関しては、例えば、図5に示すデータを用いれば良い。図5によると、D/Aコンバータ2に送信される最大スライスレベルデータは、111であり、このときの閾値は0.85Vとなる。
【0047】
次に、終端検出開始のオン信号を制御部22から終端検出回路100に与える(S53)。これにより、終端検出動作が開始される。ここで、終端検出動作において、比較器3、垂直帰線期間検出器4、OR回路6、タイマー7等の詳しい動作は、図6のフローチャートの説明と同じであるので省略する。
【0048】
要点は、最大スライスレベルデータによる最大閾値よりも、ビデオ信号のペデスタルレベルが小さい場合は、終端されていることを示す終端検出信号が出力され、最大閾値よりも、ビデオ信号のペデスタルレベルが大きい場合は、終端されていないことを示す終端非検出信号が出力されることである。
【0049】
終端検出信号又は終端非検出信号が制御部22に供給されると、制御部22は、ローレベル信号の期間中、ハイレベル信号が出現しているか否かのチェックを、ハイレベル信号を検出するまで所定の間隔で繰り返す(S54NO)。タイマー7の待ち時間経過後にハイレベル信号が出現している場合は、終端されていないことが検出された(終端非検出信号)と判断する(S54YES)。
【0050】
ここで、スイッチ21をオフにして終端されていない状態でキャリブレーションを行っており、終端されていないことを示す内容の場合は、閾値とペデスタルレベルの関係が最適となるので、現在のスライスレベルデータを設定した状態で、キャリブレーションを終了する(S63)。これにより、終端検出動作を終了する。
【0051】
一方、ローレベル信号の期間を計数し、タイマー7の待ち時間を超えた期間、ローレベルが維持されている場合は、制御部22は、終端されていると判定する(S54TIME OUT)。この場合、閾値とペデスタルレベルの関係が適切でないので、スライスレベルを減少させる(S56)。例えば、図5の場合であれば、最大スライスレベルデータから1段階減少させたスライスレベルデータとして、110が制御部22から出力される。これに対応するD/Aコンバータ2の出力(閾値)は、0.75Vとなる。
【0052】
S57では、減少させたスライスレベルデータが最小スライスレベルデータか否か判定する。最初は、S51で最大スライスレベルデータが設定されており、最小スライスレベルデータではない(S57 NO)ため、終端検出ルーチンに戻る(S54)。
【0053】
S54では、比較器3、垂直帰線期間検出器4、OR回路6、タイマー7等が用いられて、最大スライスレベルデータから1段階減少させたスライスレベルデータによる閾値よりも、ビデオ信号のペデスタルレベルが小さい場合は、終端されていることを示す終端検出信号が出力され、前記閾値よりも、ビデオ信号のペデスタルレベルが大きい場合は、終端されていないことを示す終端非検出信号が出力される。
【0054】
制御部22が、終端されていないことが検出された(終端非検出信号)と判断する(S54YES)と、閾値とペデスタルレベルの関係が最適となるので、スライスレベルデータを現行のデータに設定した状態で、キャリブレーションを終了する(S63)。これにより、終端検出動作を終了する。
【0055】
一方、制御部22が終端されていると判定した場合は(S54TIME OUT)、閾値とペデスタルレベルの関係が適切でないので、スライスレベルを減少させる(S56)。例えば、図5の場合であれば、最大スライスレベルデータから2段階減少させたスライスレベルデータとして、101が制御部22から出力される。これに対応するD/Aコンバータ2の出力(閾値)は、0.65Vとなる。
【0056】
S57では、減少させたスライスレベルデータが最小スライスレベルデータか否か判定する。最大スライスレベルデータから2段階減少させたスライスレベルデータであり、最小スライスレベルデータではない(S57 NO)ため、終端検出ルーチンに戻る(S54)。
【0057】
このように、スライスレベルデータを最大値から段階的に減少させていき、減少させた新しいスライスレベルデータによる閾値とビデオ信号のペデスタルレベルとを比較する処理を繰り返す。
【0058】
そして、タイマー7から出力される信号を制御部22で判定し、終端非検出信号により終端されていないことを検出したと判断した場合は、このキャリブレーションを終了し、そのときのスライスレベルデータをD/Aコンバータ2の入力に設定し、比較器3に設定される閾値とする。
【0059】
なお、スライスレベルデータを最大値から段階的に減少させて、最小スライスレベルまで到達したときには、S57YESに示すように、エラー表示などを行って、キャリブレーション処理を終了する。図5の例では、最小スライスレベルとして000が示されており、これに対応するD/Aコンバータ2の出力(閾値)は、0.30Vとなる。また、スライスレベルデータの例を図5に示しているが、これに限定されるものではなく、スライスレベルデータの減少幅又は増加幅を替えて用いても良い。
【0060】
以上説明したように、正のぺデスタルレベルを有するビデオ信号を終端検出の対象としたことで、ビデオ信号を加工して比較器に入力する必要がなくなった。また、閾値と比較する信号をぺデスタルレベルの1種類としたことにより、回路構成が簡単なものとなっている。
【0061】
さらに、ローパスフィルタで、映像信号、音声信号、カラーバースト信号を取り除いて、垂直帰線期間で終端の検出動作を行わせている。このため、比較器で比較対象となるビデオ信号は、信号の周波数帯域が低くなっており、アナログ回路を低速なものにすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ローパスフィルタ
2 D/Aコンバータ
3 比較器
4 垂直帰線期間検出器
5 発振器
6 OR回路
7 タイマー
21 スイッチ
22 制御部
30 出力回路
31 コネクタ
40 受信回路
41 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正のぺデスタルレベルを有するビデオ信号を出力する出力回路からビデオ信号が入力される入力端子と、
前記ビデオ信号の垂直帰線期間におけるぺデスタルレベルと所定の閾値とを比較する比較器とを備え、
前記垂直帰線期間におけるぺデスタルレベルが前記閾値よりも小さいときに前記出力回路が終端されていると判別し、前記垂直帰線期間におけるぺデスタルレベルが前記閾値よりも大きいときに前記出力回路が終端されていないと判別することを特徴とする終端検出回路。
【請求項2】
前記入力端子からのビデオ信号はローパスフィルタに入力され、前記ローパスフィルタの出力が前記比較器に入力されるビデオ信号となることを特徴とする請求項1に記載の終端検出回路。
【請求項3】
前記出力回路が終端されていると判別する場合の条件は、前記垂直帰線期間におけるぺデスタルレベルが前記閾値よりも小さい状態が、水平同期信号の複数の周期に渡り維持されることであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の終端検出回路。
【請求項4】
前記比較器に入力される閾値は、D/Aコンバータの出力により与えられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の終端検出回路。
【請求項5】
前記D/Aコンバータに入力されるスライスレベルデータは変化させることができ、該スライスレベルデータを調整することにより前記比較器の出力である閾値を設定することを特徴とする請求項4に記載の終端検出回路。
【請求項6】
前記スライスレベルデータの最大値から段階的に大きさを減少させながら、前記出力回路が終端されているか否かをそれぞれ判別していき、前記出力回路が終端されていないと判別した時点のスライスレベルデータを設定値とすることを特徴とする請求項5に記載の終端検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−62604(P2013−62604A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198520(P2011−198520)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】