説明

組み合わせ型の電気接点及び計器識別機構を有する検体検査ストリップ

【課題】検査計と共に使用するための検体検査ストリップが、その検査計と共に使用するのに適切なものかを判別する。
【解決手段】検体検査ストリップ100は、第1の絶縁層102と、その第1の絶縁層上に設けられた導電層104とを有する。導電層は、少なくとも1つの電極部分と、少なくとも1つの電気接触パッド112a、112bとを有し、その電気接触パッドは、検査計に検体検査ストリップを挿入する間に検査計の電気コネクタピンが電気接触パッドに沿って移動するように構成されている。加えて、電気接触パッドは電極部分と電気通信する。検体検査ストリップはまた、少なくとも1つの計器識別機構116a、116bを有し、その計器識別機構は、検査計に検体検査ストリップを挿入する間に検査計の電気コネクタピンが計器識別機構を横断して移動するように、電気接触パッド上に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には医療装置に関し、具体的には、検体検査ストリップ、検査計、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
流体サンプル中の検体の測定(例えば、検出及び/又は濃度測定)は、医療分野において特に重要である。例えば、尿、血液、又は間質液などの体液のサンプル中のグルコース、コレステロール、アセトアミノフェン、及び/又はHbA1c濃度を測定することが望ましい場合がある。そのような測定は、例えば、測光又は電気化学的技法に基づいて、検体検査ストリップを関連する検査計と共に使用して達成され得る。
【0003】
典型的な電気化学ベースの検体検査ストリップは、複数の電極(例えば、作用電極及び基準電極)と酵素試薬を用いており、酵素試薬は、対象の検体との電気化学反応を促進し、それによって検体の濃度を測定するためのものである。例えば、血液サンプル中のグルコース濃度を測定するための電気化学ベースの検体検査ストリップは、酵素のグルコースオキシターゼと媒介物のフェリシアニドとを含む酵素試薬を用いることができる。そのような従来の検体検査ストリップが、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4に記載されており、これらの特許はそれぞれ、すべての内容が本願に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,708,247号明細書
【特許文献2】米国特許第5,951,836号明細書
【特許文献3】米国特許第6,241,862号明細書
【特許文献4】米国特許第6,284,125号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般に、本発明の実施形態による検査計と共に使用するための検体検査ストリップ(例えば、体液サンプル中のグルコースを測定するための電気化学ベースの検体検査ストリップ)は、第1の絶縁層と、その第1の絶縁層上に設けられた導電層とを有する。導電層は、少なくとも1つの電極部分と、少なくとも1つの電気接触パッドとを有し、その電気接触パッドは、検査計に検体検査ストリップを挿入する間に、検査計の電気コネクタピンが電気接触パッドに沿って移動するように構成されている。加えて、電気接触パッドは、電極部分と電気通信する。
【0006】
本発明の実施形態による検体検査ストリップは、少なくとも1つの計器識別機構を更に有し、この計器識別機構は、検査計に検体検査ストリップを挿入する間、検査計の電気コネクタピンが計器識別機構を横切って移動するように電気接触パッド上に設けられている。検体検査ストリップは更に、第1の絶縁層の上に設けられた第2の絶縁層と、第2の絶縁層と導電層との間に配置されたパターン化スペーサ層とを有し、パターン化スペーサ層は、その中にサンプル受容チャンバ(例えば体液サンプル受容チャンバ)を画定している。検体検査ストリップの電気接触パッドは、所定の接触電気特性値を有し、計器識別機構は、この所定の接触電気特性とは異なる所定の識別機構電気特性値を有する。
【0007】
本発明の実施形態による検体検査ストリップは、電気コネクタピンが、電気接触パッドに沿ってかつ計器識別パッドを横断して移動するとき、電気コネクタピンを介した電気特性の測定に基づいて、検査計によって容易に識別されることができる。そのような測定により、検体検査ストリップが挿入されるときに電気特性の時間依存信号が発生する。検査計はこの信号を用いて、検体検査ストリップを、その検査計と共に使用するのに適切なものとして、あるいはその検査計と共に使用するのに不適切なものとして識別する。そのような識別により、有益にも、検査計は適切な場合にのみ検体測定に進むことができ、したがって、不適当な検体検査ストリップの使用に基づいて、検体測定が場合によっては間違ったあるいは不正確なものとなることが回避される。この識別は、例えば、その時間、依存信号を、好適な検体検査ストリップの所定の時間、依存信号とパターンマッチングすること、又は他の好適な時間、依存信号分析技法によって行われ得る。所望により、そのようなパターンマッチングは、挿入速度の変動に適応するか又は挿入速度の変動とは独立した識別技法を用いることによって、挿入速度の変動に対処することができる。これらの技法は、例えば、電気特性(例えば、電気導通性の遮断回数)の重大な変化の回数に基づいたものとされ得る。
【0008】
本発明による検体検査ストリップの計器識別機構は、例えば、視覚的に透明な材料から形成され得、この透明な材料により、計器識別機構は、ユーザーにとって視覚的に目立たないものとなり、したがって有益にもユーザーにとって気を散らさないものとなる。そのような視覚的に目立たない計器識別機構により、検体検査ストリップを検査計で内密に識別することができる。換言すれば、識別はユーザーの注意を転ずることなく行われる。更に、ユーザーを当惑させたり過度な混乱を生じさせたりすることなく、ある検体検査ストリップの束から次の束へと、多様な計器識別機構のパターンを用いることができる。
【0009】
本発明の新規な特徴が、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載した以下の詳細な説明、及び添付の図面を参照することにより、本発明の特徴及び利点の更なる理解が得られよう。図面において、同様の参照符号は同様の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態による検体検査ストリップの簡略斜視図。
【図2】図1の検体検査ストリップの簡略分解斜視図。
【図3】図1及び2の検体検査ストリップの組み合わせ型の電気接触パッド及び計器識別機構の簡略上面図。
【図4】本発明の一実施形態による、矢印で挿入方向を示した、検査計に挿入する間の図3の組み合わせ型の電気接触パッド及び計器識別機構の簡略側面図。
【図5】図3の組み合わせ型の電気接触パッド及び計器識別機構とを有する検体検査ストリップを挿入する間に、本発明の実施形態による検査計によって検出される電気特性(すなわちy軸の電気導通性)と時間との簡略グラフ。
【図6】検査計への挿入方向を矢印で示した、本発明の別の実施形態による検体検査ストリップの電気接触パッド及び計器識別機構の簡略上面図。
【図7】図6の組み合わせ型の電気接触パッド及び計器識別機構とを有する検体検査ストリップを挿入する間に、本発明の実施形態による検査計によって測定される電気特性(すなわち電気導通性)と時間との簡略グラフ(時間依存信号のグラフとも呼ばれる)。
【図8】同様に本発明の実施形態による検査計と共に使用した、本発明の実施形態による検体検査ストリップの第1の導電層の簡略図。
【図9】本発明の実施形態による、体液サンプル中の検体を測定するための工程における各段階を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、図面を参照して読まれるべきであり、異なる図面における同様の要素は、同様に符号が付けられている。図面は、必ずしも一定の比率ではないが、単に説明の目的で例示的な実施形態を表しており、また本開示の範囲を限定することを意図したものではない。詳細な説明は、本発明の原理を、限定するのではなく、一例として表すものである。この説明により、当業者が本発明を製作及び使用することが可能となり、また、現在、本発明を実施する最良の形態であると考えられるものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適合形態、変形形態、代替形態、及び使用形態が示される。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による検査計と共に使用するための検体検査ストリップ100の簡略斜視図である。図2は、検体検査ストリップ100の簡略分解図であり、図3は、検体検査ストリップ100の組み合わせ型の電気接触パッド及び計器識別機構の簡略上面図である。図4は、矢印で挿入方向を示した、検査計に挿入する間の検体検査ストリップ100の組み合わせ型の電気接触パッド及び計器識別機構の簡略側面図である。図5は、図3の組み合わせ型の電気接触パッド及び計器識別機構を有する検体検査ストリップ100を挿入する間に、本発明の実施形態による検査計によって検出される信号(つまり、時間に対する測定電気特性(すなわち、電気導通性))を表す簡略グラフである。
【0013】
図1〜5を参照すると、本発明の実施形態による検査計(本明細書で、例えば図8の実施形態に関連して更に説明する)と共に使用するための検体検査ストリップ100が、第1の導電層104を上に設けられた第1の絶縁層102と、第2の導電層108を上に設けられた第2の絶縁層106とを有している。第2の絶縁層106は、第1の絶縁層102の上に設けられている。
【0014】
第1の導電層104は、第1の電極部分110と、電気接触パッド112a及び112bとを有している。電気接触パッド112a及び112bは、検査計に検体検査ストリップを挿入する間に検査計の電気コネクタピン(図4にECPで記す)が電気接触パッド112a及び112bに沿って移動するように構成されている。検体検査ストリップ100はまた、電気接触パッド112a及び112bと間に第1の電極部分110との電気通信をもたらす接続トラック114を有している。
【0015】
検体検査ストリップ100はまた、計器識別機構116a及び116bを有しており、この計器識別機構116a及び116bは、検査計に検体検査ストリップを挿入する間に検査計の電気コネクタピン(図4のECP)が計器識別機構116a及び116bを横断して移動するように、電気接触パッド112a及び112b上に設けられている。加えて、電気接触パッド112a及び112bは、関連する検査計と作動的に連結するように構成されている。
【0016】
図1〜3の実施形態において、電気接触パッド112a及び112bは、所定の接触電気特性値を有しており、計器識別機構116a及び116bは、この所定の接触電気特性とは異なる所定の識別機構電気特性値を有している。
【0017】
検体検査ストリップ100はまた、第2の絶縁層106と第1の導電層104との間に配置されたパターン化スペーサ層118を有している。パターン化スペーサ層は、その中にサンプル受容チャンバ120を画定している。検体検査ストリップ100はまた、図1及び2に示すように、試薬層122を有している。
【0018】
第1の絶縁層102及び第2の絶縁層106は、例えば、プラスチック(例えば、PET、PETG、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン)、シリコン、セラミック、又はガラス材料で形成され得る。例えば、第1及び第2の絶縁層は、0.178mm(7ミル)のポリエステル基材から形成され得る。
【0019】
図1〜5の実施形態において、第1の電極部分110は、第2の導電層108の第2の電極部分(簡潔にするために図には示さず)と共に、当業者に既知の任意の好適な電気化学ベースの技法を用いて、体液サンプル中の検体濃度(全血液サンプル中のグルコースなど)を電気化学的に測定するように構成されている。
【0020】
第1及び第2の導電層104及び108はそれぞれ、例えば、金、パラジウム、炭素、銀、白金、酸化スズ、イリジウム、インジウム、又はそれらの組み合わせ(例えば、インジウムドープ酸化スズ)など、任意の好適な導電材料から形成され得る。更に、例えば、スパッタリング、蒸着、無電解メッキ、スクリーン印刷、密着焼き付け(contact printing)、又はグラビア印刷を含めて、任意の好適な技法が、第1及び第2の導電層を形成するために用いることができる。例えば、第1の導電層104は、スパッタリングされた白金層とすることができ、第2の導電層108は、スパッタリングされた金層とすることができる。第1及び第2の導電層の典型的であるが非限定的な厚さは、5nm〜100nmの範囲内にある。
【0021】
パターン化スペーサ層118は、図1及び2に示すように、第1の絶縁層102(上に導電層104を有する)と第2の絶縁層106(上に導電層108を有する)とを接合するのに役立つ。パターン化スペーサ層118は、例えば、両面感圧性接着剤層、加熱活性化接着剤層、又は熱硬化性接着剤層とすることができる。パターン化スペーサ層118は、例えば、約1マイクロメートル〜約500マイクロメートル、好ましくは約10マイクロメートル〜約400マイクロメートル、より好ましくは400マイクロメートル〜約200マイクロメートルの範囲の厚さを有することができる。
【0022】
試薬層122は、例えば体液サンプル中のグルコースなどの検体と選択的に反応して電気活性種を形成する試薬の任意の好適な混合物とすることができ、その電気活性種を、本発明の実施形態による検体検査ストリップの電極にて定量的に測定することができる。したがって、試薬層122は、少なくとも1つの媒体と酵素とを含むことができる。好適な媒体の例には、フェリシアニド、フェロセン、フェロセン誘導体、オスミウムビピリジル錯体、及びキノン誘導体が挙げられる。好適な酵素の例には、グルコースオキシターゼ、ピロロキノリンキノン(PQQ)補助因子を使用したグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)補助因子を使用したGDH、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補助因子を使用したGDHが挙げられる。試薬層122は、任意の好適な技法を使用することができる。
【0023】
計器識別機構116a及び116bは、電気接触パッド112a及び112bの電気特性値とは異なる電気特性値(例えば、抵抗率、電導率、又は静電容量)を有する材料から形成される。例えば、計器識別機構の抵抗率は、計器識別機構が基本的に非導電性となるように、非常に高くされ得る。その状況において、電気コネクタピンを介して測定された電気導通の時間依存信号は、図5に示す形を有することになる(ここで、y軸の値の「1」は、電気接触パッド112a及び112bに沿って移動する電気コネクタピン同士の間の電気導通に対応し、y軸の値「0」は、電気コネクタピンが計器識別機構を横断して移動するときの電気非導通に対応する)。図5は、電気導通のy軸を用いているが、時間依存信号が、電気抵抗率、電導率、電気容量、測定電圧、及び測定電流を含めて、任意の好適な電気特性又は関連する電気測定値(又はそれらの組み合わせ)をy軸の変数として用い得ることは、本開示を知れば当業者には理解されよう。
【0024】
本発明の実施形態による検体検査ストリップの計器識別機構に使用され得る好適な非導電材料には、非導電性の紫外線、可視光線、及び赤外線硬化性の接着材料、非導電性の溶液型ワニス材料、ポリアクリレートコーティング材料、並びにポリウレタンコーティング材料が挙げられる。計器識別機構は、例えば、インクジェット印刷、熱転写、シリンジコーティング(syringe coating)、スロットコーティング(slot coating)、グラビアコーティング(graviere coating)、フレキソ印刷コーティング(flexographic
coating)、又はスクリーン印刷技法を含めた任意の好適な技法を用いてすることができる。計器識別機構の典型的であるが非限定的な厚さは、1マイクロメートル〜10マイクロメートルの範囲内にある。計器識別機構はまた、検体検査ストリップを識別する更なる手段として、検査計によって検知され得る磁性粒子などのタガント(taggents)を含むこともできる。
【0025】
本発明の実施形態による検体検査ストリップが多様な構成を有し得ることは、本開示を知れば当業者には理解されよう。例えば、参照によって本明細書に全内容が組み込まれる米国特許出願第12/464,935号及び同第12/145,314号には、少なくとも1つの計器識別機構を加えることによって本発明の実施形態として容易に修正され得る電気化学ベースの検体検査ストリップが記載されている。
【0026】
図6は、検査計への挿入方向を矢印で示した、本発明の別の実施形態による検体検査ストリップの電気接触パッド212a、212b並びに計器識別機構216a、及び216bの簡略上面図である。図6の計器識別機構は、導電性の高い電気接触パッド(換言すれば、電気抵抗率の低い電気接触パッド)を横切って延びる複数本の非導電性ストリップ(換言すれば、電気抵抗率の高いストリップ)として形成されている。図7は、図6の組み合わせ型の電気接触パッド及び計量確認機能を有する検体検査ストリップを挿入する間に、本発明の実施形態による検査計によって測定される電気特性(すなわち電気導通性)と時間との簡略グラフ(時間依存信号とも呼ばれる)である。
【0027】
図6及び7の実施形態において、非導電性ストリップ(例えば、電気コネクタピンの移動方向に沿って100マイクロメートル〜4ミリメートルの範囲内のストリップ幅を有する)は、この非導電性ストリップがなければ2つの電気接触パッド212a、及び212bの各々と接触する検査計の電気コネクタピンの間に存在する電気導通性を遮断する。この電気導通性の欠如は、検査計によって測定(検知)され、図6のy軸において「0」のレベルで表され、一方で電気導通性は、図6において「1」のレベルで表される。非導電性ストリップは、例えば、100オーム/平方〜10,000オーム/平方の範囲の比較的高い電気抵抗を有することができる。電気接触パッドは、例えば、約10オーム/平方の電気抵抗を有することができる。
【0028】
一般に、本発明の実施形態による検査計は、検体検査ストリップと共に使用するように構成されており、少なくとも1本の電気コネクタピンを有する検査ストリップ受容モジュールと信号処理モジュールとを有している。電気コネクタピンは、(i)検査ストリップ受容モジュールに検体検査ストリップを挿入する間に検体検査ストリップの電気接触パッドに沿って移動し、かつ、(ii)検査計に検体検査ストリップを挿入する間に、電気接触パッド上に設けられた計器識別機構を横断して移動するように構成される。更に、電気接触パッドは、所定の接触電気特性値を有し、計器識別機構は、この所定の接触電気特性とは異なる所定の識別機構電気特性値を有している。加えて、検査計の信号処理モジュールは、電気コネクタピンが電気接触パッドに沿ってかつ計器識別パッドを横断して移動するときに、電気コネクタピンを介して電気特性(時間依存信号など)を測定するように構成されている。
【0029】
図8は、本発明の実施形態による検体検査ストリップ(つまり、図1〜5の検体検査ストリップ100)の導電層と共に使用した、本発明の実施形態による検査計300の簡略図である。検査計300は、検査ストリップ受容モジュール302と、信号処理モジュール304とを有している。
【0030】
検査ストリップ受容モジュール302は、2本の電気コネクタピン306a及び306bを有している。電気コネクタピン306a及び306bは、検査ストリップ受容モジュール302に検体検査ストリップを挿入する間に、それぞれ電気接触パッド112a及び112bに沿って移動する(重なる)ように構成されている。そのような挿入の間、電気コネクタピン306a及び306bはまた、それぞれ、電気接触パッド112a及び112b上に設けられた計器識別機構116a及び116bを横断して移動する。
【0031】
信号処理モジュール304は、電気コネクタピン306a及び306bが、電気接触パッド112a及び112bに沿ってかつ計器識別機構116a及び116bを横断して移動するとき、電気コネクタピン306a及び306bを介して電気特性を測定するように構成されている。更に、電気接触パッドは、所定の接触電気特性値を有し、計器識別機構は、この所定の接触電気特性とは異なる所定の識別機構電気特性値を有している。
【0032】
図8の実施形態において、信号処理モジュール304は、検査電圧ユニット308と、電流測定ユニット310と、プロセッサユニット312と、メモリユニット314と、視覚ディスプレイ316とを有している(図8を参照)。検査計300は、例えば、使用中の電気コネクタピン306aと306bとの間の電気抵抗率、電気導通性、又は他の電気特性を測定することができる。検査計300はまた、検体を測定する間、簡略化した図8には示されていない様々なセンサ及び回路を用い得ることが、当業者には理解されよう。更に、検査電圧ユニット308、電流測定ユニット310、プロセッサユニット312、メモリユニット314、及び視覚ディスプレイ316はまた、例えば、参照によって全内容が本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許出願番号第12/464,935号に記載された機能を含めて、更なる検査計の機能を実施するのに役立ち得る。
【0033】
図9は、本発明の実施形態による、体液サンプル中の検体を測定するための方法400における各段階を示す流れ図である。方法400は、工程410において、検体検査ストリップを検査計に挿入することを含んでいる。そのような挿入は、例えば、12.7cm/秒(5インチ/秒)〜139.7cm/秒(55インチ/秒)の範囲の速度で生じ得る。
【0034】
挿入工程410は、検査計の少なくとも1本の電気コネクタピンが、検体検査ストリップの少なくとも1つの電気接触パッドに沿って移動し、かつ、電気接触パッド上に設けられた計器識別機構を横断して移動するように生じる。加えて、挿入工程410の間、検査計の信号処理モジュールは、電気コネクタピンが電気接触パッドに沿ってかつ計器識別機構を横断して移動するとき、電気コネクタピンを介して電気特性(例えば、2本の電気コネクタピンの間の電気導通性、抵抗率、導電率、及び電気容量のうちの1つ以上)を測定する。方法400において、電気接触パッドは、所定の接触電気特性値を有し、計器識別機構は、この所定の接触電気特性とは異なる所定の識別機構電気特性値を有している。例えば、電気接触パッドは、比較的低い電気抵抗を有することができ、計器識別機構は、比較的低い抵抗を有することができる。
【0035】
次いで、工程420に記載するように、検体検査ストリップが検査計に挿入されたときに測定された電気特性に基づいて検体検査ストリップを識別するために、信号処理モジュールが用いられる。例えば、電気特性は、時間依存信号として測定され、検体検査ストリップは、その時間依存信号の特性に基づいて、その検査計と共に使用するのに適切なストリップ、又はその検査計と共に使用するのに不適切なストリップとして識別されることができる。
【0036】
工程430で、体液サンプルを検体検査ストリップに塗り付けることが適切であることを識別結果が示していることが、検査計によってユーザーに通知された場合、体液サンプルが検体検査ストリップに塗り付けられる。検査計によるそのような通知は、例えば、可聴通知信号、又は検査計の視覚ディスプレイ(例えば、図8の実施形態の視覚ディスプレイ316)上の視覚的通知とされ得る。例えば、検体検査ストリップがその検査計と共に使用するのに適していないことが原因でサンプルを塗り付けることが不適切であることを検査計が示した場合、検査計はそのような不適切さをユーザーに通知し、したがって、ユーザーが体液サンプルを試験ストリップに塗り付けるのを阻止する。
【0037】
その後に、工程440で、工程430の結果として体液サンプルが検査ストリップに塗り付けられたと仮定すると、体液サンプル中の検体(グルコースなど)を測定することが適切であることを識別結果が示した場合にのみ、体液サンプル中の検体が検査計を使用して測定される。そのような測定は、例えば、計器識別機構を上に有する電気接触パッドを介して検体検査ストリップの電極部分から検査計の電気コネクタピンに電気化学ベースの信号が通信される好適な電気化学的技法を用いてなされ得る。このようにして、検体検査ストリップを識別するための電気特性の測定の間にも検体測定の間にも同じ電気接触パッドが有益に用いられ、したがって、検体検査ストリップと検査計に必要な構成要素の個数、及び使用中の潜在的故障箇所の数が最小となっている。更に、測定は、識別結果に基づいて適切な場合にのみ行われるので、万が一、体液サンプルを検査ストリップに塗り付けることが不適切であることを工程430において通知された後に、ユーザーが誤って体液サンプルを検査ストリップに塗り付けた場合でも、検査計によって測定が行われることはない。加えて、検査ストリップを検査計に挿入する前に体液サンプルの塗り付けが行われ、工程430が事実上省かれた場合、識別結果に基づいて適切でない限り測定が行われることはない。
【0038】
方法400は、本明細書で説明した本発明の実施形態による検体検査ストリップの技法、利点、及び特徴のいずれか、並びに、本明細書で説明した本発明の実施形態による検査計の技法、利点及び特徴のいずれかを取り入れるように、当業者によって容易に修正され得る。
【0039】
本発明の好ましい実施形態について本明細書で図示し説明してきたが、そのような実施形態が単に例として提示されたものであることは、当業者には明らかとなろう。ここで多数の変形、変更、及び置換が、本発明から逸脱することなく当業者には思いつくであろう。本明細書で説明した本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する上で用いられ得ることは理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義すること、また、これらの特許請求の範囲に含まれる装置及び方法、並びに等価物がそれによって網羅されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査計と共に使用するための検体検査ストリップであって、
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に設けられた第1の導電層であって、
少なくとも1つの電極部分と、
検査計に前記検体検査ストリップを挿入する間に、前記検査計の電気コネクタピンが、それに沿って移動するように構成された少なくとも1つの電気接触パッドであって、前記電極部分と電気通信する前記電気接触パッドとを有する第1の導電層と、
前記検査計に前記検体検査ストリップを挿入する間に、前記検査計の前記電気コネクタピンが計器識別機構を横断して移動するように、前記電気接触パッド上に設けられた少なくとも1つの前記計器識別機構と、
前記第1の絶縁層の上に設けられた第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第1の導電層との間に配置されたパターン化スペーサ層であって、その中にサンプル受容チャンバを画定するパターン化スペーサ層と、を備え、
前記電気接触パッドは、所定の接触電気特性値を有し、前記計器識別機構は、前記所定の接触電気特性とは異なる所定の識別機構電気特性値を有する、検体検査ストリップ。
【請求項2】
前記検体検査ストリップは、検体測定で用いられる電気化学ベースの信号が、前記計器識別機構をその上に有する前記電気接触パッドを介して前記電極部分から前記検査計の前記電気コネクタピンへ通信されるように構成されている、請求項1に記載の検体検査ストリップ。
【請求項3】
前記計器識別機構が電気絶縁材料から形成されている、請求項1に記載の検体検査ストリップ。
【請求項4】
前記計器識別機構が、視覚的に透明な材料から形成されている、請求項1に記載の検体検査ストリップ。
【請求項5】
前記計器識別機構が、前記接触パッドを横断する少なくとも1本のストリップとして形成されている、請求項1に記載の検体検査ストリップ。
【請求項6】
2つの電気接触パッドが存在し、前記検体検査ストリップが、前記少なくとも2つの電気接触パッドの間に連続的な導電回路を設けるように構成されており、
前記計器識別機構が、電気絶縁材料から形成されている、請求項1に記載の検体検査ストリップ。
【請求項7】
前記計器識別機構が、前記接触パッドを横断する複数本のストリップとして形成されている、請求項1に記載の検体検査ストリップ。
【請求項8】
前記複数本のストリップの各ストリップの前記識別機構電気特性が互いに異なる、請求項7に記載の検体検査ストリップ。
【請求項9】
前記電気特性が、導電率、抵抗率、及び電気容量のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の検体検査ストリップ。
【請求項10】
前記検体検査ストリップが、電気化学ベースの検体検査ストリップである、請求項1に記載の検体検査ストリップ。
【請求項11】
前記検体検査ストリップが、グルコースの測定のために構成されている、請求項9に記載の検体検査ストリップ。
【請求項12】
前記計器識別機構が、前記検査計による検知が可能なタガントを含む、請求項1に記載の検体検査ストリップ。
【請求項13】
前記タガントが磁性物質である、請求項12に記載の検体検査ストリップ。
【請求項14】
検体検査ストリップと共に使用するための検査計であって、
少なくとも1本の電気コネクタピンを有する検査ストリップ受容モジュールと、
信号処理モジュールとを備え、
前記電気コネクタピンが、
前記検査ストリップ受容モジュールに前記検体検査ストリップを挿入する間に前記検体検査ストリップの電気接触パッドに沿って移動し、かつ
前記検査計に前記検体検査ストリップを挿入する間に、前記電気接触パッド上に設けられた計器識別機構を横断して移動するように構成されており、
前記信号処理モジュールが、前記電気コネクタピンが前記電気接触パッドに沿ってかつ前記計器識別機構を横断して移動するときに、前記電気コネクタピンを介して電気特性を測定するように構成されており、
前記電気接触パッドが、所定の接触電気特性値を有し、前記計器識別機構が、前記所定の接触電気特性とは異なる所定の識別機構電気特性値を有する、検査計。
【請求項15】
前記信号処理モジュールが更に、前記計器識別機構を上に有する前記電気接触パッドを介して前記検体検査ストリップの電極部分から前記検査計の前記電気コネクタピンに通信された電気化学ベースの信号に基づいて、前記検体検査ストリップに塗り付けられた体液サンプル中の検体の濃度を測定するように構成されている、請求項14に記載の検体検査ストリップ。
【請求項16】
前記検査計が、前記検査ストリップ受容モジュールに前記検体検査ストリップを挿入する間に、前記電気コネクタピンが、前記電気接触パッド及び計器識別機構に対して弾性的に付勢されるように構成されている、請求項14に記載の検査計。
【請求項17】
前記信号処理ユニットが、前記電気コネクタピンが前記電気接触パッドに沿ってかつ前記計器識別パッドを横断して移動するとき、前記電気特性を時間の関数として測定するように構成されている、請求項14に記載の検査計。
【請求項18】
前記信号処理モジュールが、時間の関数としての前記測定された電気特性に基づいて前記検体検査ストリップを識別するように構成されている、請求項14に記載の検査計。
【請求項19】
前記信号処理モジュールが、前記電気特性として電気導通性を測定するように構成されている、請求項14に記載の検査計。
【請求項20】
前記信号処理モジュールが、抵抗率、導電率、及び電気容量のうちの少なくとも1つを前記電気特性として測定するように構成されている、請求項14に記載の検査計。
【請求項21】
前記信号処理モジュールが、前記電気コネクタピンが前記計器識別機構を横断して移動するとき、前記計器識別機構の磁気特性を測定するように構成されている、請求項14に記載の検査計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−7788(P2011−7788A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−138944(P2010−138944)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】