組み合わせGASワクチンおよび治療法
GAS抗原、前記抗原をコードする核酸分子、または前記抗原に特異的に結合する抗体の組み合わせを含む、S.pyogenes(GAS)感染のリスクを減少させる、S.pyogenes(GAS)感染を予防する、および/またはS.pyogenes(GAS)感染を処置するのに有用な組成物。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、子供においてS.pyogenes感染により引き起こされる咽頭炎に対して効果的な予防を提供するワクチン組成物である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、免疫学およびワクチン学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
A群連鎖球菌(「GAS」、S.pyogenes)はよく見られるヒト病原体であり、疾患の徴候なく、正常な個人の5〜15%間に存在すると推定されている。しかし、宿主防衛が損なわれる場合、その生物が毒力を発現することができる場合、またはその生物が脆弱な組織もしくは宿主に導入される場合、急性感染症が生じる。関連する疾患には、産褥熱、猩紅熱、丹毒、咽喉炎、膿痂疹、壊死性筋膜炎、筋炎、および連鎖球菌毒素ショック症候群が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
GASに対して使用するための予防ワクチンを開発する努力が何十年と継続されている。しかし、現在一般に入手可能なGASワクチンはない。当技術分野にはかかるワクチンの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の詳細な説明
本発明は、S.pyogenes感染を処置する、前記感染のリスクを軽減するおよび/または前記感染を予防するのに有用な多成分組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、子供においてS.pyogenes感染により引き起こされる咽頭炎に対して効果的な予防を提供するワクチン組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、皮下チャレンジ(challenge)マウスモデルにおけるGAS抗原組み合わせの防御能を示すグラフである。「GAS57」、Spy0416;「GAS25」、Spy0167;「GAS40」、Spy0269(配列番号177);「dGAS57」、Spy0167変異体D151A/S617A(配列番号198);「dGAS25」、Spy0167変異体P427L/W535F(配列番号125)。
【図2】図2は、Spy0416点変異体D151AがIL−8を切断する能力を失っていることを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真(photomicrograph)である。「57」、Spy0416(GAS57)。
【図3】図3は、Spy0416点変異体D151AがIL−8を切断する能力を失っていることを示すELISAアッセイの結果を示すグラフである。
【図4】図4A〜Bは、Spy0416単一変異体D151AおよびS617Aならびに変異体D151A+S617AがSpy0416タンパク質分解活性を失っていることを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。
【図5】図5は、単一変異体D151AおよびS617AならびにSpy0416変異体D151A+S617AがSpy0416(「57」)タンパク質分解活性を失っていることを示すELISAアッセイの結果を示すグラフである。
【図6】図6は、野生型Spy0416が、翻訳後修飾されて150.5kDaおよび23.4kDaの2つのポリペプチドフラグメントになることを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。
【図7】図7は、野生型(黒色矢印)と比べて、Spy0416変異体D151A、S617A、およびD151A+S617Aが翻訳後修飾されて150.5kDaおよび23.4kDaの2つのポリペプチドフラグメントにはならないことを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。プロセシングされていないタンパク質に対応する174kDaの主要バンドが、代わりに、不活性変異株(灰色矢印)に対応するレーンに存在する。「57」、Spy0416。
【図8】図8は、2つの異なる実験条件における、Spy0416(「57」)に対するポリクローナル抗血清によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害を示すELISAアッセイの結果である。図8A、8時間インキュベーション、0.1μg/mlのSpy0416。図8B、24時間インキュベーション、0.05μg/mlのSpy0416。
【図9】図9は、野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを含むE.coli抽出物を用いる溶血アッセイの結果を示すグラフである。
【図10−1】図10は、精製Spy0167変異体P427Lを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。
【図10−2】図10は、精製Spy0167変異体P427Lを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。
【図11−1】図11は、精製野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを用いる溶血アッセイの結果を示すグラフである。
【図11−2】図11は、精製野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを用いる溶血アッセイの結果を示すグラフである。
【図12】図12は、E.coli溶解物上清のSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。レーンA、E.coliネガティブコントロール;レーンB、タグなしのrSpy0167野生型;レーンC、タグなしのrSpy0167 P427L;およびレーンD、タグなしの精製rSpy0167野生型(5mg)。
【図13】図13は、同一条件下では、Spy0167変異体P427Lが野生型Spy0167の1000分の1の溶血性であることを示すグラフである。
【図14】図14は、野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lによる溶血へのコレステロールの効果を示すグラフである。
【図15A】図15は、細胞抽出物におけるタグなし全タンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。図15A、Spy0167野生型およびP427Lタグなしタンパク質の発現;図15B、Spy0167 P427L+W535、P427L+C530G、およびP427L+C530G+W535Fタグなしタンパク質の発現。
【図15B】図15は、細胞抽出物におけるタグなし全タンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。図15A、Spy0167野生型およびP427Lタグなしタンパク質の発現;図15B、Spy0167 P427L+W535、P427L+C530G、およびP427L+C530G+W535Fタグなしタンパク質の発現。
【図16】図16は、細胞抽出物におけるHisタグ付き全タンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。
【図17】図17は、精製されたHisタグ付きタンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。
【図18A】図18は、精製されたタグなしタンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。図18A、レーン:A、Spy0167野生型タグなし;B、Spy0167 P427Lタグなし;分子量マーカー(116−66.2−45−35−25−18.4−14.4);黒色矢印は、変異体クローンおよび野生型クローンから精製されたSpy0167タンパク質を示している。図18B、レーンA、Spy0167野生型タグなし(3μg)、レーンB、Spy0167 P427L−W535Fタグなし(3μg);分子量マーカー(116−66.2−45−35−25−18.4−14.4);黒色矢印は、変異体クローンおよび野生型クローンから精製されたSpy0167タンパク質を示している。
【図18B】図18は、精製されたタグなしタンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。図18A、レーン:A、Spy0167野生型タグなし;B、Spy0167 P427Lタグなし;分子量マーカー(116−66.2−45−35−25−18.4−14.4);黒色矢印は、変異体クローンおよび野生型クローンから精製されたSpy0167タンパク質を示している。図18B、レーンA、Spy0167野生型タグなし(3μg)、レーンB、Spy0167 P427L−W535Fタグなし(3μg);分子量マーカー(116−66.2−45−35−25−18.4−14.4);黒色矢印は、変異体クローンおよび野生型クローンから精製されたSpy0167タンパク質を示している。
【図19】図19は、精製されたタグなしSpy0167(「GAS25」)野生型タンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。野生型Spy0167の様々な精製ロットの試料を、還元条件下および非還元条件下で分析した。
【図20】図20は、Hisタグ付きSpy0167変異体の溶血試験の結果を示すグラフである。
【図21】図21は、抗Spy0167抗血清によるSpy0167誘導溶血活性の阻害を示すグラフである。
【図22】図22は、Spy0167溶血の抗Spy0167抗血清阻害の力価測定(titration)を示すグラフである。
【図23】図23は、Spy0167溶血活性の力価測定を示すグラフである。
【図24】図24は、野生型Spy0167、化学的に解毒された野生型Spy0167、およびSpy0167変異体(P427L;P427L+W535F)の溶血活性の力価測定を示すグラフである。
【図25】図25は、野生型Spy0167およびSpy0167変異体(P427L;P427L+W535F)の溶血活性の力価測定を示すグラフである。
【図26】図26は、野生型Spy0167および化学的に解毒された野生型Spy0167の溶血活性の力価測定を示すグラフである。
【図27】図27は、Spy0167溶血活性の50%低下を得るのに必要とされるSpy0167(「gas25」)変異体P427L+W535Fに対する抗血清の希釈度を示すグラフである(50ng/ml Spy0167)。
【図28】図28は、Spy0167溶血活性の50%低下を得るのに必要とされるSpy0167(「gas25」)変異体P427L+W535Fに対する抗血清の希釈度を示すグラフである(100ng/ml Spy0167)。
【図29】図29は、溶血阻害アッセイが、100%溶血を可能にする毒素濃度で行われたことを示す力価測定曲線である。
【図30】記載なし
【図31A】図31A〜GGは、異なる株/M型由来のSpy0416(「gas57」)抗原のアラインメントを示す。トライアド触媒(D、H、S)は太黒色文字である。図31A、アミノ酸1〜50(アミノ酸番号は各図の上に示されている。10A〜GGは、Spy0416M1_SF370のアミノ酸配列、配列番号1のことである)。
【図31B】図31B、アミノ酸51−100。
【図31C】図31C、アミノ酸101−150。
【図31D】図31D、アミノ酸151−200。
【図31E】図31E、アミノ酸201−250。
【図31F】図31F、アミノ酸251−300。
【図31G】図31G、アミノ酸301−350。
【図31H】図31H、アミノ酸351−400。
【図31I】図31I、アミノ酸401−450。
【図31J】図31J、アミノ酸451−500。
【図31K】図31K、アミノ酸501−550。
【図31L】図31L、アミノ酸551−600。
【図31M】図31M、アミノ酸601−650。
【図31N】図31N、アミノ酸651−700。
【図31O】図31O、アミノ酸701−750。
【図31P】図31P、アミノ酸751−800。
【図31Q】図31Q、アミノ酸801−850。
【図31R】図31R、アミノ酸851−900。
【図31S】図31S、アミノ酸901−950。
【図31T】図31T、アミノ酸951−1000。
【図31U】図31U、アミノ酸1001−1050。
【図31V】図31V、アミノ酸1051−1100。
【図31W】図31W、アミノ酸1101−1150。
【図31X】図31X、アミノ酸1151−1200。
【図31Y】図31Y、アミノ酸1201−1250。
【図31Z】図31Z、アミノ酸1251−1300。
【図31AA】図31AA、アミノ酸1301−1350。
【図31BB】図31BB、アミノ酸1351−1400。
【図31CC】図31CC、アミノ酸1401−1450。
【図31DD】図31DD、アミノ酸1451−1500。
【図31EE】図31EE、アミノ酸1501−1550。
【図31FF】図31FF、アミノ酸1551−1600。
【図31GG】図31GG、アミノ酸1601−1650。M1_SF370、配列番号1;M1_31075、配列番号2;M1_31237、配列番号3;M1_3348、配列番号4;M2_34585、配列番号5;M3,1_21398、配列番号6;M44−61_20839、配列番号7;M6,31_20022、配列番号8;M11_20648、配列番号9;M23_2071、配列番号10;M18,3_40128、配列番号11;M4_10092、配列番号12;M4_30968、配列番号13;M6,31_22692、配列番号14;M68,5_22814、配列番号15;M68_23623、配列番号16;M2_10064、配列番号17;M2_10065、配列番号18;M77_10251、配列番号19;M77_10527、配列番号20;M77_20696、配列番号21;M89_21915、配列番号22;M89_23717、配列番号23;M94_10134、配列番号24;M28_10164、配列番号25;M28_10218、配列番号26;M29_10266、配列番号27;M28_10299、配列番号28;M28_30176、配列番号29;M28_30574、配列番号30;M6,9_21802、配列番号31;M75_10012、配列番号32;M75_20671、配列番号33;M75_30603、配列番号34;M75_30207、配列番号35;M22_20641、配列番号36;M22_23465、配列番号37;M3,1_30610、配列番号38;M3,1_40603、配列番号39;M3,28_24214、配列番号40;M3,34_10307、配列番号41;M4_40427、配列番号42;M3_2721、配列番号43;M12_10296、配列番号44;M12_10035、配列番号45;M12_20069、配列番号46;M12_22432、配列番号47;M4_40499、配列番号48;およびM6,1_21259、配列番号49。
【図32A】図32A〜GGは、異なる株/M型由来のSpy0269(「gas40」)抗原のアラインメントを示す。図32A、アミノ酸1〜50(アミノ酸番号は各図の上に示されている。10A〜GGは、Spy0269M1_SF370のアミノ酸配列、配列番号50のことである)。
【図32B】図32B、アミノ酸51−100。
【図32C】図32C、アミノ酸101−150。
【図32D】図32D、アミノ酸151−200。
【図32E】図32E、アミノ酸201−250。
【図32F】図32F、アミノ酸251−300。
【図32G】図32G、アミノ酸301−350。
【図32H】図32H、アミノ酸351−400。
【図32I】図32I、アミノ酸401−450。
【図32J】図32J、アミノ酸451−500。
【図32K】図32K、アミノ酸501−550。
【図32L】図32L、アミノ酸551−600。
【図32M】図32M、アミノ酸601−650。
【図32N】図32N、アミノ酸651−700。
【図32O】図32O、アミノ酸701−750。
【図32P】図32P、アミノ酸751−800。
【図32Q】図32Q、アミノ酸801−850。
【図32R】図32R、アミノ酸851−874。M1_SF370、配列番号50;臨床単離物_40s88、配列番号51;M11_2727、配列番号52;M22_20641、配列番号53;M22_23465、配列番号54;M22_23621、配列番号55;M3.1_30610、配列番号56;M3.1_40603、配列番号57;M3.34_10307、配列番号58;M3_MGAS315、配列番号59;M4_40427、配列番号60;M3_2721、配列番号61;M3_3040、配列番号62;M3_3135、配列番号63;M12_10035、配列番号64;M12_22432、配列番号65;M4_40499、配列番号66;M78_3789、配列番号67;M89_10070、配列番号68;M89_21915、配列番号69;M89_23717、配列番号70;M89_5476、配列番号71;M23_DSM2071、配列番号72;M4_2722、配列番号73;M4_10092、配列番号74;M4_30968、配列番号75;M4_2634、配列番号76;M28_10164、配列番号77;M28_10218、配列番号78;M28_10266、配列番号79;M28_10299、配列番号80;M28_30176、配列番号81;M28_4436、配列番号82;M8_2725、配列番号83;M44_3776、配列番号84;M6_2724、配列番号85;M6_2894、配列番号86;M6_3650、配列番号87;M6_5529、配列番号88;M5、配列番号89;M77_4959、配列番号90;M2_10064、配列番号91;M2_10065、配列番号92;M75_5531、配列番号93;M50_4538、配列番号94;M62_5455、配列番号95;M44_5481、配列番号96;M5_4883、配列番号97;M9?_2720、配列番号98;M2_2726、配列番号99;M12_20296、配列番号100;M1_2580、配列番号101;M1_2913、配列番号102;M1_3280、配列番号103;M1_3348、配列番号104;M78_3789、配列番号105;M?_2719、配列番号106。
【図33A】図33A〜Cは、異なる株/M型由来のSpy0167(「gas25」)抗原のアラインメントを示す。図33A、アミノ酸1〜150(アミノ酸番号は各図の上に示されている。10A〜GGは、Spy0167M1_SF370のアミノ酸配列、配列番号107のことである)。
【図33B】図33B、アミノ酸151−300
【図33C】図33C、アミノ酸301−500。M12_2096、配列番号108;M12_9429、配列番号109;M1_5005、配列番号110;M1_3348、配列番号111;M2_10270、配列番号112;M28_6180、配列番号13;M6_10394、配列番号114;M18_8232、配列番号115;M5_Manfredo、配列番号116;M3_315、配列番号117;M3_SSI、配列番号119;M4_10750、配列番号119。
【図34】図34は、抗複合糖質(GC)抗体がS.pyogenesの死滅を媒介することを示す全血殺菌アッセイの結果を示すグラフである。
【図35】図35は、抗複合糖質(GC)抗体とGAS抗原組み合わせに対して産生された抗体の組み合わせがS.pyogenesの死滅を増強することを示す全血殺菌アッセイの結果を示すグラフである。「フロイント」、フロイントアジュバント;「M1」、S.pyogenes M1タンパク質;「COMBO」、Spy0416変異体D151A/S617A、Spy0167変異体P427L/W535F5、および野生型Spy0269;「GC」、CRM197に結合体化されたGAS多糖抗原。
【図36】図36A〜Dは、様々な抗原をポジティブ(腫瘍壊死因子α、TNF−α)およびネガティブ(NT、無処理)コントロールと比較する細胞毒性アッセイの結果を示すグラフである。図36A、Spy0269(GAS40、配列番号177);図36B、Spy0416(GAS57)およびGAS57変異体D151A/S617A(GAS57 DM、配列番号198);図36C、Spy0167(GAS25)およびGAS25変異体P427L/W535F(GAS25 DM、配列番号125);図36D、複合糖質(GC)。
【図37】図37A〜Dは、ELISAアッセイの妥当性確認を示すグラフである。図37A、Spy0167(GAS25);図37B、Spy0269(GAS40);図37C、Spy0416(GAS57);図37D、複合糖質(GC)。
【図38】図38A〜Fは、個々の抗原の用量を試験するELISAアッセイの結果を示すグラフである。図38A、38D、Spy0167(GAS25)の2実験;図38B、38E、Spy0416(GAS57)(2実験);図38C、38F、Spy0269(GAS40)(2実験)。「GMT」、幾何平均力価。
【図39】図39は、ミョウバン中でのSpy0416変異体D151A/S617A(GAS57)、野生型Spy0269(GAS40)、およびSpy0167変異体P427L/W535F(GAS25)の用量範囲の組み合わせを試験するELISAおよびチャレンジアッセイの結果を示すグラフである。
【図40】図40は、平均生存時間(MST;Mu)分析の第1近似として採用される対数正規モデルの分析であり、MuがSpy0167(GAS25)の用量の減少と共に減少することを示している。
【図41】図41A〜Bは、Spy0419およびSpy0167に対する抗体が毒性活性を遮断することを示す棒グラフである。図41A、Spy0419(GAS57)。図41B、Spy0167(gas25)。力価は最大溶血の50%を中和するのに必要とされる希釈率として定義される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の組成物は、S.pyogenes感染を予防および/または処置するのに有用である。本発明の組成物は、GAS抗原の組み合わせ、GAS抗原をコードする核酸分子の組み合わせ、またはGAS抗原に特異的に結合する抗体の組み合わせを含む。本発明の組成物は、2つまたはそれを超えるGAS抗原の組み合わせ、GAS抗原をコードする1つもしくは複数の核酸分子の組み合わせ、またはGAS抗原に特異的に結合する抗体の組み合わせを含む。GAS抗原はGASタンパク質抗原である。「GASタンパク質抗原」は、異なって定義されない限り、完全長GASタンパク質の他に下に記載されるGASタンパク質のフラグメント、融合体および変異体を包含する。いくつかの組成物は、下に定義されるA群多糖抗原をさらに含む。本発明は、GAS抗原の組み合わせ、GAS抗原をコードする核酸分子の組み合わせ、およびGAS抗原に特異的に結合する抗体の組み合わせの混合物を含む組成物も含む。
【0007】
本発明の組成物は、好ましくは、以下の特性:すなわち、
・1つまたは複数のS.pyogenes株(例えば、M1 3348、M12EM5、M23 2071、M6 S43)に対する統計的に有意な防御を与える;
・インビトロの細菌死滅(オプソニン作用性(opsonophagocytic)死滅)を媒介する抗体を誘発する;
・ストレプトリジンO溶血活性を不活化する抗体を誘発する;
・Spy0416プロテアーゼ活性を遮断する抗体を誘発する;ならびに/または
・細胞接着および/もしくは細胞分裂を妨げる抗体を誘発する;
のうちの1つまたは複数を有する。
【0008】
下の実施例に記載されているように、本発明の組成物は、致死的チャレンジモデルにおいて異なるマウス適応S.pyogenes株に対する防御を提供し;大多数のS.pyogenes株により発現される強力な毒素を中和する機能的抗体を誘発し;インビトロで細菌死滅を媒介する。
【0009】
本発明のいくつかの組成物は、Spy0167(ストレプトリジンO、Spy0167、または「GAS25」とも呼ばれる);Spy0269(「GAS40」とも呼ばれる);Spy0416(「GAS57」とも呼ばれる);Spy0714(「GAS67」とも呼ばれる);Spy1390(「GAS89」とも呼ばれる);Spy2000(「GAS100」とも呼ばれる);下に定義される変異体Spy0167タンパク質;および下に定義される変異体Spy0416から選択される3つまたはそれを超える異なるGAS抗原の組み合わせを含む。
【0010】
他の実施形態では、本発明の組成物は、2つのGAS抗原のみを含むが、前記組成物は、下に記載されるような、他の生物および他の成分由来の抗原を含みうる。いくつかの組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy0167ならびにSpy0269;Spy0416;下に記載されている変異体Spy0167タンパク質;下に記載されている変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0011】
他の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy0269ならびにSpy0167、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0012】
一部の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy0416ならびにSpy0167、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0013】
他の組成物は、前記2つのGAS抗原として、変異体Spy0167タンパク質ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0014】
他の組成物は、前記2つのGAS抗原として、変異体Spy0416タンパク質ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0167タンパク質、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0015】
一部の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy0714ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0016】
一部の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy1390ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0017】
他の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy2000ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、およびSpy1390からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0018】
本発明の組成物に含めることが可能な他のGAS抗原には
【0019】
【化1】
が挙げられる。
【0020】
GAS抗原の好ましい組み合わせには以下の
i.Spy0167およびSpy0269;
ii.Spy0167、Spy0269、およびSpy0416;
iii.Spy0167およびSpy0416;
iv.Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0269;
v.Spy0167変異体P427L/W535F、Spy0269、およびSpy0416;
vi.Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0416;
vii.Spy0269およびSpy0416変異体D151A/S617A;
viii.Spy0167、Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617A;
ix.Spy0167およびSpy0416変異体D151A/S617A;
x.Spy0167変異体P427L/W535F、Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617A;および
xi.Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0416変異体D151A/S617A
が挙げられ、そのそれぞれが、下に記載されるGAS多糖抗原および/またはミョウバンなどのアジュバントも含み得る。
【0021】
組成物は、例えば、薬学的に許容されるビヒクル、他の微生物の抗原、アジュバントなどの他の成分を含有することができる。特に、本明細書に記載される組成物はいずれも、下に記載されるA群多糖抗原および/またはミョウバンなどのアジュバントもさらに含み得る。
【0022】
GAS M型とGAS株単離物との間で、野生型GAS抗原中で変動が存在するために、本明細書におけるGASアミノ酸またはポリヌクレオチド配列への言及は、典型的には保存的アミノ酸置換により、それとある程度の配列同一性を有する対応するアミノ酸またはポリヌクレオチド配列を含む(実施例30および図31〜33参照)。
【0023】
いくつかの実施形態では、Spy0167、Spy0269、Spy0416、Spy0714、Spy1390、Spy2000の改変体および開示されたその変異体は、それぞれ本明細書において開示されているSpy0167、Spy0269、Spy0416、Spy0714、Spy1390、Spy2000アミノ酸配列の任意のものと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有する。典型的には、GAS抗原のアミノ酸配列とGAS抗原の改変体のアミノ酸配列との間のどの相違も1つまたは複数の保存的アミノ酸置換によるものである。例えば、図31に示されるように、1つ、2つ、または3つのアミノ酸欠失もありうる。
【0024】
いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は化学的特性に基づいており、正電荷のアミノ酸での別の正電荷のアミノ酸の(例えば、H、K、R);負電荷のアミノ酸での別の負電荷のアミノ酸の(例えば、D、E);非常に疎水性のアミノ酸での別の非常に疎水性のアミノ酸の(例えば、C、F、I、L、M、V、W);疎水性が低いアミノ酸での別の疎水性が低いアミノ酸の(例えば、A、G、H、P、S、T、Y);部分的に疎水性のアミノ酸での別の部分的に疎水性のアミノ酸の(例えば、K、R);脂肪族アミノ酸での別の脂肪族アミノ酸の(例えば、A、I、L、M、P、V);極性アミノ酸での別の極性アミノ酸の(例えば、A、D、E、G、H、K、N、P、Q、R、S、T、Y);芳香族アミノ酸での別の芳香族アミノ酸の(例えば、F、H、W、Y);および小アミノ酸での別の小アミノ酸の(例えば、D、N、T)置換が含まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、BLOSUM62テーブルを使用して決定される。BLOSUM62テーブルは、タンパク質配列セグメントの約2000の局所的マルチプルアラインメントに由来するアミノ酸置換マトリックスであり、関連するタンパク質の500を超える群の高度に保存された領域を表す(Henikoff & Henikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915、1992年)。BLOSUM62置換頻度を使用して、Spy0167、Spy0269、Spy0416、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000抗原のアミノ酸配列に導入されうる保存的アミノ酸置換を定義することができる。これらの実施形態では、保存的置換とは、好ましくは−1より大きいBLOSUM62値により表される置換のことである。例えば、アミノ酸置換は、その置換が0、1、2、または3のBLOSUM62値により特徴付けられるならば、保存的である。このシステムに従えば、好ましい保存的アミノ酸置換は少なくとも1(例えば、1、2、または3)のBLOSUM62値により特徴付けられ、さらに好ましい保存的アミノ酸置換は少なくとも2(例えば、2または3)のBLOSUM62値により特徴付けられる。
【0026】
特定のアミノ酸置換または変化は、野生型Spy0416では図31、野生型Spy0269では図32、および野生型Spy0167では図33に示されているように様々なSpy0167、Spy0269、Spy0416、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000アミノ酸配列を整列させることにより同定することができる。例えば、図31のアラインメントに基づいて、表1は、配列番号1に示されるSpy0416アミノ酸配列に関して特定のアミノ酸位置でのいくつかの特定の選択肢を示している。同様に、Spy0269およびSpy0167のアミノ酸配列におけるアミノ酸バリエーションの選択肢は、それぞれ図32および33を精査することにより同定することができる。
【0027】
【表1】
下に記載されるGAS抗原の改変体は、好ましくは免疫原性であり、マウスモデルにおけるGASの致死的チャレンジに対する防御を与える(下の実施例参照)。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物は、上に開示されているGASタンパク質抗原をコードする1つまたは複数の核酸分子を含む。他の実施形態では、組成物は、2つのGASタンパク質抗原をコードする2以下の核酸分子を含む。他の実施形態では、組成物は、抗体の組み合わせを含み、各抗体は上に開示されるGASタンパク質抗原から選択されるGAS抗原に選択的に結合する。
【0029】
Spy0167およびその免疫原性変異体
Spy0167(ストレプトリジン、SLO、GAS25)は、宿主細胞溶解を誘導する強力なポア形成毒素であり、なかでもWO02/34771に記載されている。野生型Spy0167のアミノ酸配列は配列番号107〜119に示されている。異なって定義されない限り、「Spy0167抗原」は、下に記載されるように完全長Spy0167ならびにSpy0167変異体、フラグメントおよび融合体を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、Spy0167抗原は、基本的にアミノ酸配列配列番号174(「ペプチド1」)、アミノ酸配列配列番号175(「ペプチド2」)、またはアミノ酸配列配列番号176(「ペプチド3」)からなる。いくつかの実施形態では、Spy0167抗原は、基本的にNからC末端まで、アミノ酸配列配列番号175(「ペプチド2」)およびアミノ酸配列配列番号175に共有結合しているアミノ酸配列配列番号176(「ペプチド3」)からなる。本明細書で使用される「共有結合している」は、直接共有結合および1つまたは複数の追加のアミノ酸を介する結合を含む。他の実施形態では、Spy0167抗原は、基本的にNからC末端まで、アミノ酸配列配列番号174;アミノ酸配列配列番号174に共有結合しているグリシン残基;前記グリシンに共有結合しているアミノ酸配列配列番号175;およびアミノ酸配列配列番号175に共有結合しているアミノ酸配列配列番号176からなる。
【0031】
他のSpy0167抗原は、完全長Spy0167より少なくとも1アミノ酸少ないSpy0167のフラグメントである。好ましくは、前記フラグメントは、特異的抗体に結合する能力などの抗原の免疫学的特性を保持している。好ましいアミノ酸フラグメントは、7つまたはそれを超える(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50以上)のアミノ酸を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、Spy0167抗原は、アミノ酸配列配列番号174を含むモノマーである。他の実施形態では、Spy0167抗原は、NからC末端まで、アミノ酸配列配列番号175およびアミノ酸配列配列番号175に共有結合しているアミノ酸配列配列番号176を含むモノマーである。他の実施形態では、Spy0167抗原は、NからC末端まで、アミノ酸配列配列番号174;アミノ酸配列配列番号174に共有結合しているグリシン残基;前記グリシンに共有結合しているアミノ酸配列配列番号175、およびアミノ酸配列配列番号175に共有結合しているアミノ酸配列配列番号176を含むモノマーである。
【0033】
融合タンパク質
上で開示されるように、本発明で使用されるSpy0167抗原は、個々の別々のポリペプチド(例えば、「ペプチド1」、「ペプチド2」、「ペプチド3」、「ペプチド1+2+3」、「ペプチド2+3」)として組成物中に存在してよいが、少なくとも2つ(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20)の抗原が単一のポリペプチド鎖(「融合タンパク質」または「ハイブリッドポリペプチド」)として発現される実施形態もある。ハイブリッドポリペプチドは2つの主要な利点を提供する。第1に、それだけでは不安定かまたは発現が不十分であり得るポリペプチドを、この問題を克服する適切なハイブリッドパートナーを加えることにより支援することができる。第2に、両方とも抗原的に有用である2つのポリペプチドを作製するために1つの発現および精製のみを用いればよいので、商業的生産は簡素化される。
【0034】
Spy0167の変異体形態
変異体形態のSpy0167は、溶血アッセイにより決定される場合、野生型Spy0167と比べて、野生型Spy0167より溶血活性が少なくとも50%(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、または100%)低い(例えば、実施例1参照)が、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を提供する(実施例4、7、8参照)。Spy0167変異体は、配列番号107に示される野生型Spy0167配列に従って番号付けされたアミノ酸P427、W535、C530、A248、およびD482のうちの1つまたは複数にアミノ酸変化(すなわち、置換、欠失、または挿入)を有する変異体を含む。かかる変異体の例にはP427L(配列番号120)、W535F(配列番号121)、C530G(配列番号122)、ΔA248(配列番号123)、W535F/D482N(配列番号124)、P427L/W535F(配列番号125)、P427L/C530G(配列番号126)、およびP427L/C530G/W535F(配列番号127)が挙げられる。
【0035】
本発明において使用するためのSpy0167変異体は、P427位、W535位、C530位、A248位、および/またはD482位に単一、二重、または三重アミノ酸変化を含む(「単一変異体」、「二重変異体」、「三重変異体」)。したがって、Spy0167変異体は、以下の:
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
などのその組み合わせを、含むことができる。
【0038】
変異体Spy0167タンパク質は、上で開示される変異体Spy0167タンパク質および別のGAS抗原を含む融合ポリペプチドも含む。GAS抗原は、例えば、WO02/34771に開示されており、
【0039】
【化4】
ならびに下の表A〜Dに収載されている他の抗原を含むが、これらに限定されない。これらの抗原についてのgi数は、利用可能な場合は、M1株に関するものであるが、他のM株由来の等価のタンパク質も使用してよいことは認識される。
【0040】
本発明に従う好ましいSpy0167抗原は免疫原性であるが毒性はない。本明細書で使用される「毒性はない」は、Spy0167抗原がコレステロールに結合することができない、またはオリゴマーを形成することができない、さらに一般的には、コレステロール含有膜の溶解を促進しないことを意味する。Spy0167タンパク質は、例えば、チオール活性化細胞溶解毒についてのサインパターン(signature pattern)として使用することが可能なSpy0167のC末端部分の高度に保存された領域に位置する、少なくとも単一のシステイン残基を欠失させることにより非毒性にすることができる。
【0041】
本発明の組成物は、単一のポリペプチドであり、溶血アッセイにより決定される場合、野生型Spy0167と比べて、溶血活性が野生型Spy0167よりも少なくとも50%(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、または100%)低く、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与えるSpy0167変異体の等価物も含むことができる。かかる等価物は、NまたはC末端での最大約40個のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個のアミノ酸)の欠失を含む、P427、W535、C530、A248、およびD482以外の位置にアミノ酸欠失、挿入、および/または置換のある変異体Spy0167抗原を含み得る。
【0042】
Spy0269
GAS40は、「Spy0269」(M1)、「SpyM3_0197」(M3)、「SpyM18_0256」(M18)および「prgA」としても知られるが、例えば、WO02/34771におよびWO2005/032582に記載されている。野生型Spy0269のアミノ酸配列は、配列番号50〜106および128〜130に提供されている。Spy0269抗原は、Spy0269タンパク質が多くのM型でもこれらのM型の複数の株でも高度に保存されているために本発明の組成物において特に有用である(WO2006/042027参照)。Spy0269は、全身免疫化およびチャレンジおよび殺菌抗体の誘導の動物モデルにおいて一貫して防御を与える。
【0043】
Spy0269タンパク質は、典型的にはリーダーペプチド配列(例えば、配列番号50のアミノ酸1〜26)、第1コイルドコイル領域(例えば、配列番号50のアミノ酸58〜261)、第2コイルドコイル領域(例えば、配列番号50のアミノ酸556〜733)、ロイシンジッパー領域(例えば、配列番号50のアミノ酸673〜701)および膜貫通領域(例えば、配列番号50のアミノ酸855〜866)を含有する。いくつかの実施形態では、リーダー配列は除かれる(例えば、配列番号177)。
【0044】
本発明の組成物は、Spy0269の等価物(これは、単一のポリペプチドであり、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を提供する)も含むことができる(例えば、実施例4、7、8)。
【0045】
Spy0416およびその免疫原性変異体
Spy0416(M1)は、「GAS57」、「SpyM3_0298」(M3)、「SpyM18_0464」(M18)、および「prtS」とも呼ばれる。Spy0416は推定上の細胞エンベローププロテイナーゼとして同定された。WO02/34771およびUS2006/0258849を参照のこと。17の異なるM型(1、2、3、4、6、11、12、18、22、23、28、44/61、68、75、77、89、94)由来の49のSpy0416配列があり、疾病管理センター(Centers for Disease Control)によれば、17の異なるM型が米国での咽頭炎症例の95%超を占め、侵襲性GAS単離物の約68%を占める。様々なM型由来の野生型Spy0416抗原のアミノ酸配列は、配列番号1〜49として配列表に記載されている。本発明の組成物は、Spy0416の等価物(これは、単一のポリペプチドであり、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与える)も含むことができる。
【0046】
本発明に従う変異体Spy0416抗原は、SDS−PAGEまたはELISAのどちらかにより決定される場合、野生型Spy0416に比べて、インターロイキン8(IL−8)に対して少なくとも50%(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、または100%)低下したタンパク質分解活性を有する(実施例3参照)が、免疫原性であり、例えば、マウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与える。好ましくは、本発明の変異体Spy0416はまた、CXCL1/GROα(例えば、配列番号131)、CXCL2/GROβ(例えば、配列番号132)、CXCL3/GROγ(例えば、配列番号133)、CXCL4(例えば、配列番号134)、CXCL12/SDF−1α(例えば、配列番号135)、CXCL12/SDF−1β(例えば、配列番号136)、CXCL12/SDF−1γ(例えば、配列番号137)、CXCL5/ENA78(例えば、配列番号138)、CXCL6/GCP−2(例えば、配列番号139)、CXCL7/NAP−2(例えば、配列番号140)、CXCL9/MIG(例えば、配列番号141)、CXCL10/IP10(例えば、配列番号142)、CXCL11(例えば、配列番号143)、CXCL13(例えば、配列番号144)、CXCL14(例えば、配列番号145)、およびCXCL16(例えば、配列番号146)などの他のヒトサイトカインも切断しない。
【0047】
本発明に有用なSpy0416変異体は、D151位、H279位、および/またはS617位に単一、二重、または三重アミノ酸変化(「単一変異体」、「二重変異体」、「三重変異体」)を含む、配列番号1に示される野生型Spy0416配列に従って番号付けされたアミノ酸D151、H279、またはS617のうちの1つまたは複数にアミノ酸変化(すなわち、置換、欠失または挿入)のある変異体を含む。したがって、Spy0416変異体は、以下の
【0048】
【化5】
などのその組み合わせ、を含むことができる。
【0049】
本発明のSpy0416変異体抗原は、上に開示されるSpy0416変異体抗原および別のGAS抗原を含む融合ポリペプチドも含む。GAS抗原は、例えばWO02/34771に開示されており、
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
、または下の表A〜Dに開示されている他の抗原のすべてもしくは一部を含むが、これらに限定されない。これらの抗原についてのgi数は、利用可能な場合は、M1株に関するものであるが、他のM株由来の等価のタンパク質も使用してよいことは認識される。
【0052】
本発明は、Spy0416変異体の等価物(これは、単一のポリペプチドであり、SDS−PAGEまたはELISAにより決定される場合IL−8を切断せず、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与える)も含む(例えば、実施例4、7,8)。かかる等価物は、D151、H279、またはS617以外の位置に、NまたはC末端での最大約40個のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個のアミノ酸)の欠失を含む、アミノ酸欠失、挿入、および/または置換のある変異体Spy0416抗原を含み得る。
【0053】
他のGAS抗原
1つまたは複数の他のGAS抗原は、本発明の組成物に含めることができる。GAS抗原は、例えば、WO02/34771に開示されている。有用なGAS抗原は、
【0054】
【化8】
のすべてまたは一部を含む。本発明の組成物は、これらのGAS抗原の等価物(これは、単一のポリペプチドであり、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与える)も含むことができる(例えば、実施例4、7、8)。例えば、Spy0763(GAS146)およびSpy1134(GAS561)のそれぞれが、S.pyogenes M1 3348を用いたチャレンジからマウスを防御する(ネガティブコントロールの20%生存と比べて70%生存;n=20)。下の表A〜Dも参照のこと。
【表A】
【0055】
【表B】
【0056】
【表C】
【0057】
【表D】
【0058】
フラグメント
上に記載される野生型または変異体GASタンパク質のフラグメントの長さは、特定のGAS抗原またはその変異体のアミノ酸配列に応じて変わり得るが、前記フラグメントは、好ましくは少なくとも7個の連続アミノ酸、例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200個またはそれを超える連続アミノ酸であり、完全長野生型または変異体GASタンパク質よりアミノ酸1個が少ないものまでである。好ましくは、前記フラグメントは免疫原性であり、前記配列由来の1つまたは複数のエピトープを含む。他の好ましいフラグメントには、(1)各同定されたGASタンパク質のN末端シグナルペプチド、(2)そのN末端シグナルペプチドがない同定されたGASタンパク質、および(3)最大10個のアミノ酸残基(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれを超える)がN末端および/またはC末端から欠失している(例えば、N末端アミノ酸残基が欠失し得る)各同定されたGASタンパク質が挙げられる。他のフラグメントは、前記タンパク質の1つまたは複数のドメインを脱落させている(例えば、シグナルペプチド、細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞外ドメインの脱落)。いくつかの実施形態では、前記フラグメントは、Spy0269のアミノ酸33〜324である。
【0059】
GAS多糖抗原
GAS多糖(PS)は、すべてのGAS菌株に存在する細胞壁多糖である。PSに対する抗体力価は、子供において疾患およびコロニー形成に逆相関する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物はGAS多糖抗原を含む。S.pyogenesGAS炭水化物は、典型的には、交互のアルファ(1→2)およびアルファ(1→3)結合からなるL−ラムノピラノース(Rhap)骨格ならびに一つおきのラムノース環にベータ(1→3)結合しているD−N−アセチルグルコサミン(GlcpNAc)残基を有する分岐構造を特色とする(Kreisら、Int. J. Biol. Macromol. 17巻、117〜30頁、1995年)。本発明の組成物に有用なGAS多糖抗原は、式:
【0060】
【化9】
を有し、式中、Rは末端還元L−ラムノースまたはD−GlcpNAcであり、nは約3から約30までの数である。
【0061】
本発明に従って使用されるGAS多糖抗原は、天然に存在する実質的に完全長のGAS炭水化物でもよく、天然の長さよりも短くてもよい。完全長多糖を、例えば、弱酸性での加水分解により、加熱により、サイジングクロマトグラフィーにより、等で脱重合して、本発明で使用のためのより短フラグメントを与えることができる。しかし、実質的に完全長の糖類を使用するのが好ましい。特に、約10kDaの分子量を有する糖類を使用するのが好ましい。分子量は、デキストラン標準と比べてゲル濾過により測定することができる。
【0062】
糖類は天然に存在するGAS炭水化物と比べて化学的に修飾され得る。例えば、脱Nアセチル化(部分的にまたは完全に)、Nプロピオネート化(propionated)(部分的にまたは完全に)等をされ得る。例えば、免疫原性に対する脱アセチル化、等の効果は、常用のアッセイにより評価することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、GAS多糖抗原は、変異させたジフテリア毒素CRM197などの担体(および下に記載される他の担体)に結合体化される。下の実施例に記載されているように、CRM197(「GC」)と結合体化されたPSに対する抗体は、GASオプソニン作用性死滅を誘導する。
【0064】
GASタンパク質抗原の生成
組換え産生
遺伝暗号の重複性は周知である。したがって、本明細書に記載されるGAS抗原のうちの1つをコードする任意の核酸分子(ポリヌクレオチド)を用いて、そのタンパク質を組換えで産生することができる。野生型GAS抗原をコードする核酸分子はまた、標準核酸精製技術を用いて適当なS.pyogenes細菌から単離することができ、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの増幅技術を用いて、もしくは自動合成機を用いることによって、合成することができる。Caruthersら、Nucl. Acids Res. Symp. Ser.215巻、223頁、1980年;Hornら、Nucl. Acids Res. Symp. Ser.225巻、232頁、1980年;Hunkapillerら、Naure 310巻、105〜11頁、1984年;Granthamら、Nucleic Acids Res.9巻、r43〜r74頁、1981年参照。
【0065】
cDNA分子を、テンプレートとしてmRNAを使用した標準的な分子生物学技術を使用して作製することができる。その後、cDNA分子を、当該分野で周知の分子生物学技術を使用して複製することができる。テンプレートとしてゲノムDNAまたはcDNAのいずれかを使用したPCRなどの増幅技術を使用して、本発明のポリヌクレオチドの更なる複製を得ることができる。
【0066】
所望により、当該分野で一般的に知られている方法を使用してポリヌクレオチドを操作して、種々の理由で抗原コード配列を変化させることができる(ポリペプチドまたはmRNA産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を修飾する変更が含まれるが、これらに限定されない)。遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドのランダム断片化およびPCR再アセンブリによるDNAシャフリングを使用して、ヌクレオチド配列を操作することができる。例えば、部位特異的変異誘発を使用して、新規の制限部位の挿入、グリコシル化パターンの変更、コドン優先度の変化、スプライス改変体の産生、および変異の導入などを行うことができる。
【0067】
配列修飾(精製タグ配列の付加またはコドン至適化など)を使用して、発現を容易にすることができる。例えば、N末端リーダー配列を、タグタンパク質(ポリヒスチジン(「HIS」)またはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(「GST」)など)をコードする配列と置換することができる。かかるタグタンパク質を使用して、発現タンパク質の精製、検出、および安定性を促進することができる。特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好まれるコドンを選択して、タンパク質発現率を増大させ、または所望の性質(天然に存在する配列から生成した転写物よりも長い半減期など)を有するRNA転写物を産生することができる。これらの方法は当該分野で周知であり、WO05/032582号にさらに記載されている。
【0068】
発現ベクター
本発明で使用するためのGAS抗原をコードする核酸分子を、挿入するコード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含む発現ベクターに挿入することができる。当業者に周知の方法を使用して、コード配列ならびに適切な転写調節エレメントおよび翻訳調節エレメントを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが含まれる。
【0069】
宿主細胞
GAS抗原を産生するための宿主細胞は、原核生物または真核生物であり得る。大腸菌は好ましい宿主細胞であるが、他の適切な宿主には、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・クレモリス、枯草菌、コレラ菌、チフス菌、ネズミチフス菌、ナイセリア・ラクタミカ、ナイセリア・シネレア、マイコバクテリア属(例えば、結核菌)、酵母、バキュロウイルス、哺乳動物細胞などが含まれる。
【0070】
宿主細胞株を、所望の様式で挿入配列の発現を調整する、または発現ポリペプチドをプロセシングする能力について選択することができる。かかるポリペプチド修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が含まれるが、これらに限定されない。ポリペプチドの「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングを使用して、正確な挿入、折り畳み、および/または機能を促進することもできる。翻訳後活性のための特定の細胞機構および特徴的なメカニズムを有する異なる宿主細胞は、American Type Culture Collection(ATCC;10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209)から利用可能であり、外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングが確実になるように選択することができる。WO01/98340号を参照のこと。
【0071】
十分に確立された技術(トランスフェリン−ポリカチオン媒介DNA移入、裸またはカプセル化した核酸でのトランスフェクション、リポソーム媒介細胞融合、DNAコーティングラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」法、およびDEAEまたはリン酸カルシウム媒介トランスフェクションが含まれるが、これらに限定されない)を使用して、発現構築物を宿主細胞に導入することができる。
【0072】
発現ベクターを使用して形質転換された宿主細胞を、細胞培養物からのタンパク質の発現および回収に適切な条件下で培養することができる。形質転換された細胞によって産生されたタンパク質を、使用したヌクレオチド配列および/または発現ベクターに応じて分泌し、または細胞内に含めることができる。当業者は、原核細胞膜または真核細胞膜を介した可溶性抗原の分泌を指示するシグナル配列を含むように発現ベクターをデザインすることができることを理解している。
【0073】
精製
シグナル輸出(export)配列は、組換え産生されるGAS抗原に含められ得、その結果、抗原は、公知の方法を使用して細胞培養培地から精製され得る。あるいは、組換え産生されるGAS抗原を、操作した宿主細胞から単離することができ、当該分野で周知の方法を使用して、細胞中の他の成分(タンパク質、炭水化物、または脂質など)から分離し得る。かかる方法には、サイズ排除クロマトグラフィ、硫酸アンモニウム分画、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、および分取ゲル電気泳動が含まれるが、これらに限定されない。精製GAS抗原の調製物の純度は少なくとも80%であり、好ましくは、調製物の純度は、90%、95%、または99%である。調製物の純度を、当該分野で公知の任意の手段(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはRP−HPLC分析など)によって評価することができる。適切な場合には、変異体Spy0167タンパク質を、例えば、尿素を使用して可溶化することができる。
【0074】
化学合成
GAS抗原を、例えば、固相技術を使用して合成することができる。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85,2149 54,1963;Robergeら、Science 269,202 04,1995を参照のこと。手動技術の使用または自動化によりタンパク質合成を行うことができる。例えば、Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を使用して、自動化された合成を行うことができる。任意選択的に、GAS抗原のフラグメントを個別に合成し、化学的方法を使用して合わせて全長分子を産生することができる。
【0075】
抗体
本発明のいくつかの組成物は、本明細書に記載されるGAS抗原に特異的に結合する抗体の組み合わせを含む。抗体は、免疫化学的アッセイにおいて使用したときに、別のタンパク質による検出シグナルの少なくとも5倍、10倍または20倍の高い検出シグナルを与える場合、GAS抗原に「特異的に結合する」。好ましくは、GAS抗原に特異的に結合する抗体は、免疫化学的アッセイにおいて他のタンパク質を検出せず、溶液からGAS抗原を免疫沈降することができる。
【0076】
用語「抗体」には、インタクトな免疫グロブリン分子、および抗原に結合することができるそのフラグメントが含まれる。これらには、ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら、Nature 349,293−99,1991;米国特許第4,816,567号);F(ab’)2フラグメントおよびF(ab)フラグメントならびにFv分子;非共有結合性ヘテロ二量体(例えば、Inbarら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.69,2659−62,1972;Ehrlichら、Biochem 19,4091−96,1980);単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85,5897−83,1988);二量体および三量体抗体フラグメント構築物;ミニボディ(minibody)(例えば、Packら、Biochem 31,1579−84,1992;Cumberら、J.Immunology 149B,120−26,1992);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmannら、Nature 332,323−27,1988;Verhoeyanら、Science 239,1534−36,1988;および1994年9月21日公開の英国特許出願番号GB2,276,169号);およびかかる分子から得た任意の機能的フラグメントならびにファージディスプレイなどの従来にない過程によって得た抗体が含まれる。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体を得る方法は、当該分野で周知である。
【0077】
典型的には、エピトープを形成するのに少なくとも6、7、8、10、または12個の連続するアミノ酸が必要である。しかし、不連続アミノ酸を含むエピトープは、より多数(例えば、少なくとも15、25、または50個のアミノ酸)を必要とし得る。種々の免疫アッセイ(例えば、ウェスタンブロット、ELISA、放射免疫アッセイ、免疫組織化学アッセイ、免疫沈降、または当該分野で公知の他の免疫化学アッセイ)を使用して、所望の特異性を有する抗体を同定することができる。競合結合または免疫放射線測定法についての多数のプロトコールが当該分野で周知である。かかる免疫アッセイは、典型的には、免疫原と免疫原に特異的に結合する抗体との間の複合体形成の測定を含む。GAS抗原に特異的に結合する抗体の調製物から、典型的には、免疫化学アッセイで使用した場合に他のタンパク質を使用して得られる検出シグナルの少なくとも5倍、10倍、または20倍の検出シグナルが得られ、かつ「無関係な」タンパク質と接触させた場合に、検出可能なシグナルは提供しない。好ましくは、抗体は、免疫化学アッセイにおいて他のタンパク質を検出せず、溶液由来の特定の抗原を免疫沈降することができる。
【0078】
野生型Spy0167に特異的に結合する抗体は、その溶血活性を実質的に(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、もしくは99%)低下させるかまたは除去する。いくつかの抗体は、上に記載される変異体Spy0167タンパク質にも特異的に結合する。
【0079】
野生型Spy0416に特異的に結合する抗体は、IL−8を切断するSpy0416の能力を実質的に(例えば、少なくとも50%)低下させるかまたは除去する(実施例5)。抗体は、IL−8を切断するSpy0416の能力を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、または99%低下し得る。いくつかの抗体は、上に記載される変異体Spy0416タンパク質にも特異的に結合する。好ましい抗体は、IL−8の相同体(例えば、CXCL1/GROα、CXCL2/GROβ、CXCL3/GROγ、CXCL4、CXCL12/SDF−1α、CXCL12/SDF−1β、CXCL12/SDF−1γ、CXCL5/ENA 78、CXCL6/GCP−2、CXCL7/NAP−2、CXCL9/MIG、CXCL10/IP10、CXCL11、CXCL13、CXCL14、およびCXCL16)などの他の基質を切断するSpy0416の能力も低下させるかまたは除去する。いくつかの抗体は、野生型または変異体Spy0416組換え抗原で免疫化され、GASでチャレンジされる動物において壊死病変の進行を遮断する。
【0080】
Spy0269に特異的に結合する抗体は、実施例25に記載される細胞結合アッセイにより測定される場合、上皮細胞へのSpy0269の結合を実質的に(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、もしくは99%)減少させるかまたは除去する。
【0081】
抗体の生成
GAS抗原を使用して哺乳動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、またはヒトなど)を免疫化して、ポリクローナル抗体を産生することができる。必要に応じて、抗原を、担体タンパク質(ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、およびキーホールリンペットヘモシアニンなど)に接合することができる。宿主の種に応じて、種々のアジュバントを使用して、免疫学的応答を増大させることができる。かかるアジュバントには、フロイントアジュバント、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、および界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性乳濁液、キーホールリンペットヘモシアニン、およびジニトロフェノール)が含まれるが、これらに限定されない。ヒトで使用されるアジュバントのうち、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルバムが特に有用である。
【0082】
抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を、培養物中の連続的な細胞株によって抗体分子を産生する任意の技術を使用して調製することができる。これらの技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBVハイブリドーマ技術が含まれるが、これらに限定されない(Kohlerら、Nature 256,495 497,1985;Kozborら、J.Immunol.Methods 81,31 42,1985;Coteら、Proc.Natl.Acad.Sci.80,2026 2030,1983;Coleら、Mol.Cell Biol.62,109 120,1984)。
【0083】
さらに、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(マウス抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングして適切な抗原特異性および生物活性を有する分子を得る技術)を使用することができる(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81,6851 6855,1984;Neubergerら、Nature 312,604 608,1984;Takedaら、Nature 314,452 454,1985)。モノクローナル抗体および他の抗体を「ヒト化」して、治療で使用する場合に抗体に対する患者の免疫応答の開始を防止するかまたはそのリスクを低減することもできる。かかる抗体は、療法で直接使用するのに配列が十分にヒト抗体と類似し得るか、少数の重要な残基を変化させる必要があり得る。げっ歯類抗体配列とヒト抗体配列との間の相違を、各残基の部位特異的変異誘発または相補性決定領域全体のグラフティング(grating)によるヒト配列中の残基と異なる残基の置換によって最小にすることができる。
【0084】
あるいは、下記の組換え方法を使用してヒト化抗体を産生することができる。米国特許第5,565,332号に開示のように、特定の抗原に特異的に結合する抗体は、部分的または完全にヒト化された抗原結合部位を含むことができる。
【0085】
あるいは、単鎖抗体の産生について記載した技術を、当該分野公知の方法を使用して適合させて、特定の抗原に特異的に結合する単鎖抗体を産生することができる。関連する特異性を有するが、異なるイディオタイプ組成の抗体を、ランダム組み合わせ免疫グロブリンライブラリー由来のチェーンシャフリング(chain shuffling)によって生成することができる(Burton,Proc.Natl.Acad.Sci.88,11120 23,1991)。
【0086】
単鎖抗体を、テンプレートとしてハイブリドーマcDNAを使用したDNA増幅方法(PCRなど)を使用して構築することができる(Thirionら、1996,Eur.J.Cancer Prev.5,507−11)。単鎖抗体は、単一特異性または二重特異性であり得、2価または4価であり得る。4価の二重特異性単鎖抗体の構築は、例えば、Coloma & Morrison,1997,Nat.Biotechnol.15,159−63に教示されている。2価の二重特異性単鎖抗体は、Mallender & Voss,1994,J.Biol.Chem.269,199−206に教示されている。
【0087】
下記のように、単鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を、手作業または自動化されたヌクレオチド合成によって構築し、標準的な組換えDNA法を使用して発現構築物にクローニングし、細胞に導入してコード配列を発現させることができる。あるいは、単鎖抗体を、例えば、繊維状ファージテクノロジーを使用して直接産生することができる(Verhaarら、1995,Int.J.Cancer 61,497−501;Nichollsら、1993,J.Immunol.Meth.165,81−91)。
【0088】
特定の抗原に特異的に結合する抗体を、文献に開示のリンパ球集団におけるインビボ産生の誘導または免疫グロブリンライブラリーもしくは高度に特異的な結合試薬のパネルのスクリーニングによって産生することもできる(Orlandiら、Proc.Natl.Acad.Sci.86,3833 3837,1989;Winterら、Nature 349,293 299,1991)。
【0089】
キメラ抗体を、WO93/03151号に開示のように構築することができる。免疫グロブリンに由来し、多価または多重特異性の結合タンパク質(WO94/13804号に記載の「二特異性抗体」など)を調製することもできる。
【0090】
抗体を、当該分野で周知の方法によって精製することができる。例えば、抗体を、関連抗原が結合するカラムの通過によってアフィニティ精製することができる。次いで、結合した抗体を、高塩濃度の緩衝剤を使用して、カラムから溶離することができる。
【0091】
薬学的組成物
本発明はまた、薬物として(例えば、免疫原性組成物またはワクチンとして)用いる組成物を提供する。本発明の組成物は、S.pyogenes感染を予防するか、S.pyogenes感染のリスクを低減するか、および/またはS.pyogenes感染の結果として引き起こされる疾患(例えば、菌血症、髄膜炎、産褥熱、猩紅熱、丹毒、咽頭炎、膿痂疹、壊死性筋膜炎、筋炎、または毒素性ショック症候群)を処置するのに有用である。
【0092】
GAS抗原を含む組成物は、好ましくは、免疫原性組成物であり、より好ましくは、ワクチン組成物である。かかる組成物のpHは、好ましくは、pH6とpH8との間、好ましくは、約pH7である。pHを緩衝剤の使用によって維持することができる。組成物は、無菌でありおよび/または発熱物質を含まなくあり得る。組成物は、ヒトに関して等張であり得る。
【0093】
本発明のワクチンを、予防的または治療的に使用することができるが、典型的には、予防的であろう。したがって、本発明は、化膿連鎖球菌感染の治療的または予防的処置のための方法を含む。動物は、好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。方法は、治療量または予防量の本発明の免疫原性組成物を動物に投与する工程を含む。本発明はまた、S.pyogenes感染を処置するか、そのリスクを低減するか、および/またはS.pyogenes感染を予防するための本発明の免疫原性組成物を提供する。
【0094】
いくつかの本発明の組成物は、先に記載されるように、2種の異なるGAS抗原を含む。他の本発明の組成物は、この2種の異なる抗原をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む。例えば、Robinson & Torres(1997)Seminars in Immunology 9:271−283;Donnellyら(1997)Ann.Rev Immunol 15:617−648;Scott−Taylor & Dalgleish(2000)Expert Opin Investig Drugs 9:471−480;Apostolopoulos & Plebanski(2000)Curr Opin Mol Ther 2:441−447;Ilan(1999)Curr Opin Mol Ther 1:116−120;Dubenskyら(2000)Mol Med 6:723−732;Robinson & Pertmer(2000)Adv Virus Res 55:1−74;Donnellyら(2000)Am J Respir Crit Care Med 162(4 Pt 2):S190−193;Davis(1999)Mt.Sinai J.Med.66:84−90を参照のこと。典型的には、核酸分子は、例えば、プラスミド形態のDNA分子である。
【0095】
治療上有用な、本発明の他の組成物は、2種の異なる抗体を含み、その各々は、2種の異なるGAS抗原の一方に特異的に結合する。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つまたは複数のさらなる活性剤を含むことができる。かかる薬剤には、(a)小児ワクチンで有用なポリペプチド抗原、(b)高齢者または免疫無防備状態の個体のためのワクチンで有用なポリペプチド抗原、(c)(a)または(b)をコードする核酸分子および(d)(a)または(b)に特異的に結合する抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
さらなる抗原
本発明の組成物を、本発明の治療方法、または予防方法で使用するための1つまたは複数の追加の抗原と組み合わせて投与することができる。適切な抗原には、以下に列挙した抗原が含まれる。さらに、本発明の組成物を使用して、任意の以下に列挙の病原体に起因する感染を処置するか、そのリスクを低減するかまたは防止することができる。下記の抗原との組み合わせに加えて、本発明の組成物を、本明細書中に記載のアジュバントと組み合わせることもできる。
【0098】
本発明と共に使用するためのさらなる抗原には、下記の1つまたは複数の抗原または下記の1つまたは複数の病原体由来の抗原が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
A.細菌抗原
本発明での使用に適切な細菌抗原には、細菌から単離、精製、または由来することができるタンパク質、多糖類、リポ多糖類、外膜小胞が含まれる。さらに、細菌抗原には、細菌溶解物および不活化細菌処方物が含まれ得る。細菌抗原を、組換え発現によって産生することができる。細菌抗原には、好ましくは、その生活環の少なくとも1段階に細菌表面に曝露されるエピトープが含まれる。細菌抗原は、好ましくは、複数の血清型で保存される。細菌抗原には、下記の1つまたは複数の細菌由来の抗原および以下で同定した特定の抗原例が含まれる。
【0100】
ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitides):メニンギティディス抗原には、N.メニンギティディス血清群(A、C、W135、Y、および/またはBなど)から精製または由来したタンパク質(参考文献1〜7で同定されたタンパク質など)、糖類(多糖類、オリゴ糖、またはリポ多糖類が含まれる)、または外膜小胞(参考文献8、9、10、11)が含まれ得る。メニンギティディスタンパク質抗原を、接着剤、オートトランスポータ、毒素、Fe獲得タンパク質、および膜結合タンパク質(好ましくは、外膜内在性タンパク質(integral outer membrane protein))から選択することができる。
【0101】
肺炎連鎖球菌:肺炎連鎖球菌抗原には、肺炎連鎖球菌由来の糖類(多糖類またはオリゴ糖が含まれる)および/またはタンパク質が含まれ得る。糖類抗原を、血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、および33Fから選択することができる。タンパク質抗原を、WO98/18931号、WO98/18930号、米国特許第6,699,703号、米国特許第6,800,744号、WO97/43303号、およびWO97/37026号で同定されたタンパク質から選択することができる。肺炎連鎖球菌タンパク質を、ポリヒスチジントリアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpX短縮物、LytXファミリー、LytX短縮物、CbpX短縮物−LytX短縮物キメラタンパク質、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125、またはSp133から選択することができる。
【0102】
化膿連鎖球菌(A群連鎖球菌):A群連鎖球菌抗原には、WO02/34771号またはWO2005/032582号で同定されたタンパク質が含まれ得る
【0103】
【化10】
先に記載されかつ表A〜Dに記載される他のGAS抗原、GAS Mタンパク質のフラグメントの融合物(WO02/094851号およびDale,Vaccine(1999)17:193−200およびDale,Vaccine 14(10):944−948に記載のものが含まれる)、フィブロネクチン結合タンパク質(Sfb1)、連鎖球菌ヘム結合タンパク質(Shp)、およびストレプトリジンS(SagA)を含むが、これらに限定されない)。
【0104】
カタル球菌:モラクセラ抗原には、WO02/18595号およびWO99/58562号で同定された抗原、外膜タンパク質抗原(HMW−OMP)、C抗原、および/またはLPSが含まれる。
【0105】
百日咳菌:百日咳抗原には、百日咳ホロトキシン(petussis holotoxin)(PT)および百日咳菌由来の繊維状赤血球凝集素(FHA)が含まれ、任意選択的に、パータクチンおよび/または凝集原2および3抗原との組み合わせも含まれる。
【0106】
黄色ブドウ球菌:黄色ブドウ球菌抗原には、非毒性組換え緑膿菌外毒素Aと任意選択的に接合した黄色ブドウ球菌5型および8型莢膜多糖類(StaphVAX(商標)など)または表面タンパク質由来の抗原、インベイシン(ロイコシジン、キナーゼ、ヒアルロニダーゼ)、食細胞の貪食を阻害する表面因子(莢膜、プロテインA)、カロテノイド、カタラーゼ産物、プロテインA、凝固酵素、凝固因子、および/または真核生物細胞膜を溶解する膜損傷毒素(任意選択的に解毒した)(ヘモリシン、ロイコトキシン、ロイコシジン)が含まれる。
【0107】
表皮ブドウ球菌:表皮ブドウ球菌抗原には、粘液結合抗原(SAA)が含まれる。
【0108】
破傷風菌(破傷風):破傷風抗原には、本発明の組成物と接合した担体タンパク質として使用されることが好ましい破傷風トキソイド(TT)が含まれる。
【0109】
ジフテリア菌(Cornynebacterium diphtheriae)(ジフテリア):ジフテリア抗原には、好ましくは解毒されたジフテリア毒素(CRM197など)が含まれる。さらに、ADPリボシル化を調整するか、阻害するか、これに関連することができる抗原は、本発明の組成物との組み合わせ/同時投与/接合が意図される。担体タンパク質としてジフテリアトキソイドを使用することができる。
【0110】
インフルエンザ菌B(Hib):Hib抗原には、Hib糖類抗原が含まれる。
【0111】
緑膿菌:シュードモナス抗原には、内毒素A、Wzzタンパク質、緑膿菌LPS、より詳細にはPAO1から単離したLPS(O5血清型)、および/または外膜タンパク質(外膜タンパク質F(OprF)が含まれる)(Infect Immun.2001 May;69(5):3510−3515)が含まれる。
【0112】
レジオネラ・ニューモフィラ。細菌毒素は、レジオネラ・ニューモフィラに由来し得る。
【0113】
ストレプトコッカス・アガラクチア(B群連鎖球菌):B群連鎖球菌抗原には、WO02/34771号、WO03/093306号、WO04/041157号、またはWO2005/002619号で同定されたタンパク質抗原または糖類抗原(タンパク質GBS80、GBS104、GBS276、およびGBS322、ならびに血清型Ia、Ib、Ia/c、II、III、IV、V、VI、VII、およびVIII由来の糖類抗原が含まれる)が含まれる。
【0114】
淋菌(Neiserria gonorrhoeae):ゴノレー抗原には、Por(すなわち、ポリン)タンパク質(PorB(Zhuら、Vaccine(2004)22:660−669を参照のこと)など)、トランスフェリン結合タンパク質(TbpAおよびTbpB(Priceら、Infection and Immunity(2004)71(1):277−283を参照のこと)など)、混濁タンパク質(opacity protein)(Opaなど)、還元修飾性タンパク質(reduction−modifiable protein)(Rmp)、および外膜小胞(OMV)調製物(Planteら、J Infectious Disease、182:848−55(2000)を参照のこと、例えば、WO99/24578、WO99/36544、WO99/57280、WO02/079243も参照のこと)が含まれる。
【0115】
トラコーマクラミジア:トラコーマクラミジア抗原には、血清型A、B、Ba、およびC由来の抗原(トラコーマの作用因子、盲目の原因)、血清型L1、L2、およびL3由来の抗原(性病性リンパ肉芽腫症に関連)、および血清型DからK由来の抗原が含まれる。トラコーマクラミジア抗原には、WO00/37494号、WO03/049762号、WO03/068811号、またはWO05/0026f19号で同定された抗原(PepA(CT045)、LcrE(CT089)、ArtJ(CT381)、DnaK(CT396)、CT398、OmpH−like(CT242)、L7/L12(CT316)、OmcA(CT444)、AtosS(CT467)、CT547、Eno(CT587)、HrtA(CT823)、およびMurG(CT761)が含まれる)も含まれ得る。
【0116】
梅毒トレポネーマ(梅毒):梅毒抗原には、TmpA抗原が含まれる。
【0117】
軟性下疳菌(軟性下疳の原因菌):デュクレイ抗原には、外膜タンパク質(DsrA)が含まれる。
【0118】
フェカリス菌またはフェシウム菌:抗原には、米国特許第6,756,361号に記載の三糖類反復または他の腸球菌由来の抗原が含まれる。
【0119】
ピロリ菌:ピロリ菌抗原には、Cag、Vac、Nap、HopX、HopY、および/またはウレアーゼ抗原が含まれる。
【0120】
腐性ブドウ球菌(staphylococcus saprophyticus):抗原には、腐性ブドウ球菌抗原の160kDa血球凝集素が含まれる。
【0121】
エンテロコリチカ菌抗原には、LPS(Infect Immun.2002 August;70(8):4414)が含まれる。
【0122】
大腸菌:大腸菌抗原は、毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管凝集性大腸菌(EAggEC)、びまん付着性大腸菌(DAEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、および/または腸管出血性大腸菌(EHEC)に由来し得る。
【0123】
炭疽菌(炭疽病):炭疽菌抗原は任意選択的に解毒されており、A成分(致死因子(LF)および浮腫因子(EF))から選択することができ、その両方が、防御抗原(PA)として公知のB成分を共有することができる。
【0124】
ペスト菌(ペスト):ペスト抗原には、F1莢膜抗原(Infect Immun.2003 Jan;71(1)):374−383,LPS(Infect Immun.1999 Oct;67(10):5395)、ペスト菌V抗原(Infect Immun.1997 Nov;65(11):4476−4482)が含まれる。
【0125】
結核菌:結核抗原には、リポタンパク質、LPS、BCG抗原、抗原85Bの融合タンパク質(Ag85B)および/または任意選択的にカチオン性脂質小胞中に配合されたESAT−6(Infect Immun.2004 October;72(10):6148)、結核菌(Mtb)イソクエン酸デヒドロゲナーゼ関連抗原(Proc Natl Acad Sci USA.2004 Aug 24;101(34):12652)、および/またはMPT51抗原(Infect Immun.2004 July;72(7):3829)が含まれる。
【0126】
リケッチア属:抗原には、外膜タンパク質(外膜プロテインAおよび/またはB(OmpB)が含まれる)(Biochim Biophys Acta.2004 Nov 1;1702(2):145)、LPS、および表面タンパク質抗原(SPA)(J Autoimmun.1989 Jun;2 Suppl:81)が含まれる。
【0127】
リステリア菌。細菌抗原は、リステリア菌に由来し得る。
【0128】
クラミジア・ニューモニエ:抗原には、WO02/02606号で同定された抗原が含まれる。
【0129】
コレラ菌:抗原には、プロテイナーゼ抗原、LPS(特に、コレラ菌IIのリポ多糖類)、O1 Inaba O−特異的多糖類、コレラ菌O139、IEM108ワクチンの抗原(Infect Immun.2003 Oct;71(10):5498−504)、および/または閉鎖帯毒素(Zot)が含まれる。
【0130】
チフス菌(チフス熱):抗原には、莢膜多糖類、好ましくは抱合体(Vi、すなわち、vax−TyVi)が含まれる。
【0131】
ライム病ボレリア(ライム病):抗原には、リポタンパク質(OspA、OspB、OspC、およびOspDなど)、他の表面タンパク質(OspE関連タンパク質(Erps)など)、デコリン結合タンパク質(DbpAなど)、および抗原的に可変のVIタンパク質(P39およびP13に結合するタンパク質)(膜内在性タンパク質、Infect Immun.2001 May;69(5):3323−3334)、VlsE抗原変異タンパク質(J Clin Microbiol.1999 Dec;37(12):3997)など)が含まれる。
【0132】
ジンジバリス菌:抗原には、ジンジバリス菌外膜タンパク質(OMP)が含まれる。
【0133】
クレブシエラ属:抗原には、OMP(OMP Aが含まれる)または破傷風トキソイド任意選択的に接合した多糖類が含まれる。
【0134】
さらなる本発明の細菌抗原は、上記のいずれかの莢膜抗原、多糖類抗原、またはタンパク質抗原であり得る。さらなる細菌抗原には、外膜小胞(OMV)調製物も含まれ得る。さらに、抗原には、上記細菌のいずれかの生きたバージョン、弱毒化バージョン、および/または精製バージョンが含まれる。本発明の抗原は、グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌に由来し得る。本発明の抗原は、好気性菌または嫌気性菌に由来し得る。
【0135】
さらに、上記細菌由来糖類のいずれか(多糖類、LPS、LOS、またはオリゴ糖)を、別の作用因子または抗原(担体タンパク質(例えば、CRM197など))と接合することができる。かかる接合は、米国特許第5,360,897号およびCan J Biochem Cell Biol.1984 May;62(5):270−5に記載のタンパク質上のアミノ基への糖類上のカルボニル部分の還元的アミド化によって生じる直接的接合であり得る。あるいは、糖類を、リンカーを介して、Bioconjugate Techniques,1996およびCRC,Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking,1993に記載のスクシンアミドまたは他の結合などを介して接合することができる。
【0136】
B.ウイルス抗原
本発明での使用に適切なウイルス抗原には、不活化(または死滅)ウイルス、弱毒化ウイルス、スプリットウイルス処方物、精製サブユニット処方物、ウイルスから単離、精製、または由来することができるウイルスタンパク質、ウイルス様粒子(VLP)が含まれる。ウイルス抗原は、細胞培養物または他の基質上に増殖したウイルスに由来し得る。あるいは、ウイルス抗原を、組換え的に発現することができる。ウイルス抗原には、好ましくは、その生活環の少なくとも1段階に細菌表面に曝露されるエピトープが含まれる。細菌抗原は、好ましくは、複数の血清型または単離物で保存される。細菌抗原には、下記の1つまたは複数の細菌由来の抗原および以下で同定した特定の抗原例が含まれる。
【0137】
オルソミクソウイルス:ウイルス抗原は、オルソミクソウイルス(インフルエンザA型、B型、およびC型など)に由来し得る。オルソミクソウイルス抗原を、1つまたは複数のウイルスタンパク質(血球凝集素(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、核タンパク質(NP)、基質タンパク質(M1)、膜タンパク質(M2)、1つまたは複数の転写酵素成分(PB1、PB2、およびPA)が含まれる)から選択することができる。好ましい抗原には、HAおよびNAが含まれる。
【0138】
インフルエンザ抗原は、世界的流行間期の(年間流行性)インフルエンザ株に由来し得る。あるいは、インフルエンザ抗原は、世界的流行およびその発生を引き起こす可能性のある株(すなわち、現在広まっている株における赤血球凝集素と比較して新規の赤血球凝集素を有するインフルエンザ株、トリ被験体中で病原性を示し、且つヒト集団において水平伝播する可能性があるインフルエンザ株、またはヒトに病原性を示すインフルエンザ株)に由来し得る。
【0139】
パラミクソウイルス科のウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス科のウイルス(ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、およびモルビリウイルス(麻疹)など)に由来し得る。
【0140】
ニューモウイルス:ウイルス抗原は、ニューモウイルス(RSウイルス(RSV)、ウシRSウイルス、マウス肺炎ウイルス、およびシチメンチョウ鼻気管炎ウイルスなど)に由来し得る。好ましくは、ニューモウイルスはRSVである。ニューモウイルス抗原を、1つまたは複数の以下のタンパク質(表面タンパク質(融合物(F)、糖タンパク質(G)、および小疎水性タンパク質(SH))、基質タンパク質MおよびM2、ヌクレオカプシドタンパク質N、P、およびLならびに非構造タンパク質NS1およびNS2が含まれる)から選択することができる。好ましいニューモウイルス抗原には、F、G、およびMが含まれる。例えば、J Gen Virol.2004 Nov;85(Pt11):3229)を参照のこと。ニューモウイルス抗原を、キメラウイルス中に配合するか、これに由来することができる。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSVおよびPIVの両方の成分を含むことができる。
【0141】
パラミクソウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス(パラインフルエンザウイルス1型〜4型(PIV)、ムンプス、センダイウイルス、サルウイルス5、ウシパラインフルエンザウイルス、およびニューカッスル病ウイルスなど)に由来し得る。好ましくは、パラミクソウイルスはPIVまたはムンプスである。パラミクソウイルス抗原を、1つまたは複数の以下のタンパク質から選択することができる:血球凝集素−ノイラミニダーゼ(HN)、融合タンパク質F1およびF2、核タンパク質(NP)、リンタンパク質(P)、巨大タンパク質(L)、および基質タンパク質(M)。好ましいパラミクソウイルスタンパク質には、HN、F1、およびF2が含まれる。パラミクソウイルス抗原を、キメラウイルス中に配合するか、これに由来することができる。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSVおよびPIVの両方の成分を含むことができる。市販のムンプスワクチンには、1価の形態または麻疹ワクチンおよび風疹ワクチン(MMR)と組み合わせた弱毒化生ムンプスウイルスが含まれる。
【0142】
モルビリウイルス:ウイルス抗原は、モルビリウイルス(麻疹ウイルスなど)に由来し得る。モルビリウイルス抗原を、1つまたは複数の以下のタンパク質から選択することができる:血球凝集素(H)、糖タンパク質(G)、融合因子(F)、巨大タンパク質(L)、核タンパク質(NP)、ポリメラーゼリンタンパク質(P)、および基質(M)。市販の麻疹ワクチンには、典型的にはムンプスおよび風疹(MMR)と組み合わせた弱毒化生麻疹ウイルスが含まれる。
【0143】
ピコルナウイルス:ウイルス抗原は、ピコルナウイルス(エンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパルナウイルス、カルジオウイルス、およびアフトウイルスなど)に由来し得る。エンテロウイルス(ポリオウイルスなど)由来の抗原が好ましい。
【0144】
エンテロウイルス:ウイルス抗原は、エンテロウイルス(ポリオウイルス1型1、2型、または3型)、コクサッキーAウイルス1〜22型および24型、コクサッキーBウイルス1〜6型、エコーウイルス(ECHO)1〜9型、11〜27型、および29〜34型、ならびにエンテロウイルス68〜71など)に由来し得る。好ましくは、エンテロウイルスはポリオウイルスである。エンテロウイルス抗原は、好ましくは、1つまたは複数の以下のキャプシドタンパク質から選択される:VP1、VP2、VP3、およびVP4。市販のポリオワクチンには、不活化ポリオワクチン(IPV)および経口ポリオウイルスワクチン(OPV)が含まれる。
【0145】
ヘパルナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパルナウイルス(A型肝炎ウイルス(HAV)など)に由来し得る。市販のHAVワクチンには、不活化HAVワクチンが含まれる。
【0146】
トガウイルス:ウイルス抗原は、トガウイルス(ルビウイルス、アルファウイルス、またはアルテリウイルスなど)に由来し得る。ルビウイルス(風疹ウイルスなど)由来の抗原が好ましい。トガウイルス抗原を、E1、E2、E3、C、NSP−1、NSPO−2、NSP−3、またはNSP−4から選択することができる。トガウイルス抗原を、好ましくは、E1、E2、またはE3から選択する。市販の風疹ワクチンには、典型的にはムンプスワクチンおよび麻疹ワクチン(MMR)と組み合わせた低温適応の生きたウイルスが含まれる。
【0147】
フラビウイルス:ウイルス抗原は、フラビウイルス(ダニ媒介性脳炎(TBE)、デング熱(1、2、3、または4型)、黄熱病、日本脳炎、ウエストナイル脳炎、セントルイス脳炎、ロシア春夏脳炎、ポワッサン脳炎など)に由来し得る。フラビウイルス抗原を、PrM、M、C、E、NS−1、NS−2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b、およびNS5から選択することができる。フラビウイルス抗原を、好ましくは、PrM、M、およびEから選択する。市販のTBEワクチンには、不活化ウイルスワクチンが含まれる。
【0148】
ペスチウイルス:ウイルス抗原は、ペスチウイルス(ウシウイルス性下痢(BVDV)、ブタコレラ(CSFV)、またはボーダー病(BDV)など)に由来し得る。
【0149】
ヘパドナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパドナウイルス(B型肝炎ウイルスなど)に由来し得る。ヘパドナウイルス抗原を、表面抗原(L、M、およびS)、コア抗原(HBc、HBe)から選択することができる。市販のHBVワクチンには、表面抗原Sタンパク質を含むサブユニットワクチンが含まれる。
【0150】
C型肝炎ウイルス:ウイルス抗原は、C型肝炎ウイルス(HCV)に由来し得る。HCV抗原を、1つまたは複数のE1、E2、E1/E2、NS345ポリタンパク質、NS345−コアポリタンパク質、コア、および/または非構造領域由来のペプチド(Houghtonら、Hepatology(1991)14:381)から選択することができる。
【0151】
ラブドウイルス:ウイルス抗原は、ラブドウイルス(リッサウイルス(狂犬病ウイルス)およびベシクロウイルス(VSV)など)に由来し得る。ラブドウイルス抗原を、糖タンパク質(G)、核タンパク質(N)、巨大タンパク質(L)、非構造タンパク質(NS)から選択することができる。市販の狂犬病ウイルスワクチンは、ヒト二倍体細胞またはアカゲザル胎児肺細胞で成長した死滅ウイルスを含む。
【0152】
カリシウイルス科;ウイルス抗原は、カルシウイルス科(ノーウォークウイルスおよびノーウォーク様ウイルス(ハワイウイルスおよびスノーマウンテンウイルスなど)など)に由来し得る。
【0153】
コロナウイルス:ウイルス抗原は、コロナウイルス、SARS、ヒト呼吸器コロナウイルス、トリ伝染性気管支炎(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、およびブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)に由来し得る。コロナウイルス抗原を、スパイク(S)、エンベロープ(E)、基質(M)、ヌクレオカプシド(N)、および血球凝集素−エステラーゼ糖タンパク質(HE)から選択することができる。好ましくは、コロナウイルス抗原は、SARSウイルスに由来する。SARSウイルス抗原は、WO04/92360号に記載されている。
【0154】
レトロウイルス:ウイルス抗原は、レトロウイルス(オンコウイルス、レンチウイルス、またはスプーマウイルスなど)に由来し得る。オンコウイルス抗原は、HTLV−1、HTLV−2、またはHTLV−5に由来し得る。レンチウイルス抗原は、HIV−1またはHIV−2に由来し得る。レトロウイルス抗原を、gag、pol、env、tax、tat、rex、rev、nef、vif、vpu、およびvprから選択することができる。HIV抗原を、gag(p24gagおよびp55gag)、env(gp160およびgp41)、pol、tat、nef、rev vpu、ミニタンパク質(好ましくは、p55 gagおよびgp140v欠失)から選択することができる。HIV抗原は、1つまたは複数の以下の株に由来し得る:HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV−1CM235、HIV−1US4。
【0155】
レオウイルス:ウイルス抗原は、レオウイルス(オルトレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、またはコルティウイルスなど)に由来し得る。レオウイルス抗原を、構造タンパク質λ1、λ2、λ3、μ1、μ2、σ1、σ2、もしくはσ3、または非構造タンパク質σNS、μNS、もしくはσ1sから選択することができる。好ましいレオウイルス抗原は、ロタウイルスに由来し得る。ロタウイルス抗原を、VP1、VP2、VP3、VP4(または切断産物VP5およびVP8)、NSP1、VP6、NSP3、NSP2、VP7、NSP4、またはNSP5から選択することができる。好ましいロタウイルス抗原には、VP4(または切断産物VP5およびVP8)、およびVP7が含まれる。
【0156】
パルボウイルス:ウイルス抗原は、パルボウイルス(パルボウイルスB19など)に由来し得る。パルボウイルス抗原を、VP−1、VP−2、VP−3、NS−1、およびNS−2から選択することができる。好ましくは、パルボウイルス抗原は、キャプシドタンパク質VP−2である。
【0157】
デルタ肝炎ウイルス(HDV):ウイルス抗原は、HDV、特に、HDV由来のδ−抗原(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと)に由来し得る。
【0158】
E型肝炎ウイルス(HEV):ウイルス抗原は、HEVに由来し得る。
【0159】
G型肝炎ウイルス(HGV):ウイルス抗原は、HGVに由来し得る。
【0160】
ヒトヘルペスウイルス:ウイルス抗原は、ヒトヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)、およびヒトヘルペスウイルス8(HHV8)など)に由来し得る。ヒトヘルペスウイルス抗原を、最初期タンパク質(α)、初期タンパク質(β)、および後期タンパク質(γ)から選択することができる。HSV抗原は、HSV−1株またはHSV−2株に由来し得る。HSV抗原を、糖タンパク質gB、gC、gD、およびgH、融合タンパク質(gB)、または免疫回避タンパク質(gC、gE、またはgI)から選択することができる。VZV抗原を、コアタンパク質、ヌクレオカプシドタンパク質、テグメントタンパク質、またはエンベロープタンパク質から選択することができる。弱毒化生VZVワクチンは市販されている。EBV抗原を、初期抗原(EA)タンパク質、ウイルスキャプシド抗原(VCA)、および膜抗原(MA)の糖タンパク質から選択することができる。CMV抗原を、キャプシドタンパク質、エンベロープ糖タンパク質(gBおよびgHなど)、およびテグメントタンパク質から選択することができる。
【0161】
パポーバウイルス:抗原は、パポーバウイルス(パピローマウイルスおよびポリオーマウイルスなど)に由来し得る。パピローマウイルスには、HPV血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63、および65が含まれる。好ましくは、HPV抗原は、血清型6、11、16、または18に由来する。HPV抗原を、キャプシドタンパク質(L1)および(L2)またはE1〜E7、またはその融合物から選択することができる。HPV抗原を、好ましくは、ウイルス様粒子(VLP)に配合する。ポリオーマウイルス(Polyomyavirus)には、BKウイルスおよびJKウイルスが含まれる。ポリオーマウイルス抗原を、VP1、VP2、またはVP3から選択することができる。
【0162】
Vaccines,4th Edition(Plotkin and Orenstein ed.2004);Medical Microbiology 4th Edition(Murrayら、ed.2002);Virology,3rd Edition(W.K.Joklik ed.1988);Fundamental Virology,2nd Edition(B.N.Fields and D.M.Knipe,eds.1991)(本発明の組成物と併せて意図される)に含まれる抗原、組成物、方法、および微生物がさらに提供される。
【0163】
C.真菌抗原
本発明で用いる真菌抗原は、1つまたは複数の下記の真菌に由来し得る。
【0164】
真菌抗原は、皮膚糸状菌(Dermatophytres)(エピデルモフィトン・フロッコーサム(Epidermophyton floccusum)、ミクロスポルム・オドウィニ(Microsporum audouini)、ミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)、ミクロスポルム・ディストルツム(Microsporum distortum)、ミクロスポルム・エクイヌム(Microsporum equinum)、ミクロスポルム・ジプスム(Microsporum gypsum)、ミクロスポルム・ナヌム(Microsporum nanum)、トリコフィトン・コンセントリクム(Trichophyton concentricum)、トリコフィトン・エクイヌム(Trichophyton equinum)、トリコフィトン・ガリネ(Trichophyton gallinae)、トリコフィトン・ジプセウム(Trichophyton gypseum)、トリコフィトン・メグニニ(Trichophyton megnini)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・キンケアヌム(Trichophyton quinckeanum)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・シェーンレイニ(Trichophyton schoenleini)、トリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)、トリコフィトン・ベルコスム(Trichophyton verrucosum)、T.ベルコスム・アルブム変種(T.verrucosum var.album)、ジスコイデス変種(var.discoides)、オクラセイム変種(var.ochraceum)、トリコフィトン・ビオラセウム(Trichophyton violaceum)、および/またはトリコフィトン・ファビホルメ(Trichophyton faviforme)が含まれる)に由来し得る。
【0165】
真菌病原体は、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、クロコウジカビ、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・シドウィ(Aspergillus sydowi)、アスペルギルス・フラバタス(Aspergillus flavatus)、アスペルギルス・グラウクス(Aspergillus glaucus)、ブラストシゾマイセス・カピタタス(Blastoschizomyces capitatus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・エノラーゼ(Candida enolase)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、カンジダ・クセイ(Candida kusei)、カンジダ・パラクエセイ(Candida parakwsei)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・グイリエルモンジ(Candida guilliermondi)、クラドスポリム・カリオニイ(Cladosporium carrionii)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマチディス(Blastomyces dermatidis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ゲオトリクム・クラバタム(Geotrichum clavatum)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、肺炎桿菌、南アメリカ分芽菌、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、ピシウムン・インシジオスム(Pythiumn insidiosum)、ピチロスポルム・オバール(Pityrosporum ovale)、酵母(Sacharomyces cerevisae)、サッカロマイセス・ブラウディ、サッカロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、スケドスポリウム・アピオスペルム(Scedosporium apiosperum)、スポロトリクス・シェンキ(Sporothrix schenckii)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、ペニシリウム・マルネフェイ(Penicillium marneffei)、マラセジア(Malassezia)属菌種、フォンセケア(Fonsecaea)属菌種、ワンギエラ(Wangiella)属菌種、スポロトリクス(Sporothrix)属菌種、バシジオボラス(Basidiobolus)属菌種、コニディオボラス(Conidiobolus)属菌種、リゾプス(Rhizopus)属菌種、ムコール(Mucor)属菌種、アブシディア(Absidia)属菌種、モルチエレラ(Mortierella)属菌種、クニンガメラ(Cunninghamella)属菌種、サクセネア(Saksenaea)属菌種、アルテルナリア(Alternaria)属菌種、カーブラリア(Curvularia)属菌種、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属菌種、フザリウム(Fusarium)属菌種、アスペルギルス(Aspergillus)属菌種、ペニシリウム(Penicillium)属菌種、アモノリニア(Monolinia)属菌種、リゾクトニア(Rhizoctonia)属菌種、ペシロマイセス(Paecilomyces)属菌種、ピトマイセス(Pithomyces)属菌種、およびクラドスポリウム(Cladosporium)属菌種に由来し得る。
【0166】
真菌抗原の産生プロセスは、当該分野で周知である(米国特許第6,333,164号を参照のこと)。好ましい方法では、その細胞壁が実質的に除去されているか少なくとも部分的に除去された真菌細胞から得ることができる不溶性画分から抽出および分離した可溶化画分を、プロセスが、生きた真菌細胞を得る工程;その細胞壁が実質的に除去されているか少なくとも部分的に除去された真菌細胞を得る工程;その細胞壁が実質的に除去されているか少なくとも部分的に除去された真菌細胞を破裂させる工程;不溶性画分を得る工程;ならびに不溶性画分から可溶化画分を抽出および分離する工程を含むという点で特徴づけた。
【0167】
D.STD抗原
本発明の組成物は、1つまたは複数の性感染症(STD)由来の抗原を含むことができる。かかる抗原は、STD(クラミジア、陰部ヘルペス、肝炎(HCVなど)、陰部疣贅、淋病、梅毒、および/または軟性下疳など)を予防または治療することができる(WO00/15255号を参照のこと)。抗原は、1つまたは複数のウイルスまたは細菌のSTDに由来し得る。本発明で用いるウイルスSTD抗原は、例えば、HIV、単純ヘルペスウイルス(HSV−1およびHSV−2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、および肝炎(HCV)に由来し得る。本発明で用いる細菌STD抗原は、例えば、淋菌、トラコーマクラミジア、梅毒トレポネーマ、軟性下疳菌、大腸菌、およびストレプトコッカス・アガラクチアに由来し得る。これらの病原体由来の特異的抗原の例は、上に記載している。
【0168】
E.呼吸器抗原
本発明の組成物は、呼吸器疾患を引き起こす病原体由来の1つまたは複数の抗原を含むことができる。例えば、呼吸器抗原は、呼吸器ウイルス(オルソミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、モルビリウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、VZV、およびコロナウイルス(SARS)など)に由来し得る。呼吸器抗原は、呼吸器疾患を引き起こす細菌(肺炎連鎖球菌、緑膿菌、百日咳菌、結核菌、肺炎マイコプラズマ、クラミジア・ニューモニエ、炭疽菌、およびカタル球菌など)に由来し得る。これらの病原体由来の特異的抗原の例は、上に記載している。
【0169】
F.小児ワクチン抗原
本発明の組成物は、小児被験体での使用に適切な1つまたは複数の抗原を含むことができる。小児被験体は、典型的には、約3歳未満、約2歳未満、または約1歳未満である。小児抗原を、6ヶ月、1年、2年、または3年にわたって複数回投与することができる。小児抗原は、小児集団を標的にすることができるウイルスおよび/または小児集団が感染に感受性を示すウイルスに由来し得る。小児ウイルス抗原には、1つまたは複数のオルソミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびムンプス)、モルビリウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、および水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)由来の抗原が含まれる。小児細菌抗原には、1つまたは複数の肺炎連鎖球菌、ナイセリア・メニンギティディス、化膿連鎖球菌(A群連鎖球菌)、カタル球菌、百日咳菌、黄色ブドウ球菌、破傷風菌(破傷風)、ジフテリア菌(ジフテリア)、インフルエンザ菌B(Hib)、緑膿菌、ストレプトコッカス・アガラクチア(B群連鎖球菌)、および大腸菌由来の抗原が含まれる。これらの病原体由来の特異的抗原の例は、上に記載している。
【0170】
G.高齢者または免疫無防備状態の個体での使用に適切な抗原
本発明の組成物は、高齢者または免疫無防備状態の個体での使用に適切な1つまたは複数の抗原を含むことができる。かかる個体に、より頻繁に、標的化抗原に対するその免疫応答を改良するためにより高い用量またはアジュバント化(adjuvanted)処方物でワクチン接種することが必要であり得る。高齢者または免疫無防備状態の個体での使用のために標的化することができる抗原には、1つまたは複数の以下の病原体由来の抗原が含まれる:ナイセリア・メニンギティディス、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌(A群連鎖球菌)、カタル球菌、百日咳菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、破傷風菌(破傷風)、ジフテリア菌(ジフテリア)、インフルエンザ菌B(Hib)、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・アガラクチア(B群連鎖球菌)、フェカリス菌、ピロリ菌、肺炎クラミジア(Clamydia pneumoniae)、オルソミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびムンプス)、モルビリウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)。これらの病原体由来の特異的抗原の例は、上に記載している。
【0171】
H.青年期ワクチンでの使用に適切な抗原
本発明の組成物は、青年期被験体での使用に適切な1つまたは複数の抗原を含むことができる。青年期は、以前に投与した小児ワクチンの追加免疫が必要であり得る。青年期での使用に適切であり得る小児抗原は、上に記載されている。さらに、性行為の開始前に防御免疫または治療的免疫を確実にするために、STD病原体由来の抗原を投与するために青年期を標的化することができる。青年期での使用に適切であり得るSTD抗原は、上に記載されている。
【0172】
I.抗原処方物
本発明の他の態様では、吸着抗原を有する微粒子の生成方法を提供する。本方法は、(a)(i)水、(ii)界面活性剤、(iii)有機溶媒、および(iv)ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルソエステル、ポリ酸無水物、およびポリシアノアクリラートからなる群より選択される生分解性ポリマーを含む混合物の分散によって乳濁液を準備する工程を含む。ポリマーは、典型的には、有機溶媒と比較して約1%〜約3%の濃度の混合物で存在する一方で、界面活性剤は、典型的には、約0.00001:1〜約0.1:1(より典型的には、約0.0001:1〜約0.1:1、約0.001:1〜約0.1:1、または約0.005:1〜約0.1:1)の水:水、界面活性剤:ポリマー比で混合物中に存在する、準備する工程、(b)乳濁液から有機溶媒を除去する工程、および(c)微粒子表面上に抗原を吸着させる工程を含む。一定の実施形態では、生分解性ポリマーは、有機溶媒と比較して約3%〜約10%の濃度で存在する。
【0173】
本明細書中で使用するための微粒子を、滅菌可能で、非毒性を示し、生分解性を示す材料から形成するであろう。かかる材料には、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルソエステル、ポリ酸無水物、PACA、およびポリシアノアクリラートが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明と共に使用するための微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、特に、ポリ(ラクチド)(「PLA」)またはD,L−ラクチドとグリコリドまたはグリコール酸とのコポリマー(ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリドなど)(「PLG」または「PLGA」)、またはD,L−ラクチドとカプロラクトンとのコポリマーに由来する。微粒子は、種々の分子量、PLGなどのコポリマーの場合、種々のラクチド:グリコリド比を有する任意の種々の重合開始材料に由来し得、その選択は、同時投与される高分子に一部依存して、多くの選択肢があるであろう。これらのパラメータは、以下により完全に考察されている。
【0174】
さらなる抗原には、外膜小胞(OMV)調製物も含まれ得る。
【0175】
さらなる処方方法および抗原(特に、腫瘍抗原)は、米国特許出願番号09/581,772号に記載されている。
【0176】
J.抗原についての参考文献
以下の参考文献は、本発明の組成物と併せて有用な抗原を含む。
【0177】
【数1】
【0178】
【数2】
上記で引用した全ての特許、特許出願、および学術論文の内容は、本明細書中で完全に記載されているかのように参考として援用される。
【0179】
糖類抗原または炭水化物抗原を使用する場合、好ましくは、この抗原を担体タンパク質と接合して免疫原性を増強する。Ramsayら(2001)Lancet357(9251):195−196;Lindberg(1999)Vaccine 17 Suppl 2:S28−36;Buttery & Moxon(2000)J R Coll Physicians Lond 34:163−168;Ahmad & Chapnick(1999)Infect Dis Clin North Am 13:113−133,vii;Goldblatt(1998)J.Med.Microbiol.47:563−567;欧州特許第0477508号;米国特許第5,306,492号;WO98/42721号;Conjugate Vaccines(eds.Cruseら)ISBN 3805549326、特に、vol.10:48−114;Hermanson(1996)Bioconjugate Techniques ISBN:0123423368 or 012342335Xを参照のこと。好ましい担体タンパク質は、細菌毒素またはトキソイド(ジフテリアトキソイドまたは破傷風トキソイドなど)である。CRM197ジフテリアトキソイドが特に好ましい。
【0180】
他の担体ポリペプチドには、髄膜炎菌外膜タンパク質(EP−A−0372501号)、合成ペプチド(EP−A−0378881号およびEP−A0427347号)、熱ショックタンパク質(WO93/17712号およびWO94/03208号)、百日咳タンパク質(WO98/58668号およびEP A 0471177号)、インフルエンザ菌由来のタンパク質D(WO00/56360号)、サイトカイン(WO91/01146号)、リンホカイン、ホルモン、成長因子、C.difficile由来の毒素AまたはB(WO00/61761号)、鉄取り込みタンパク質(WO01/72337号)などが含まれる。混合物がセリグラフ(serigraph)AおよびCの両方由来の莢膜糖類を含む場合、MenA糖類:MenC糖類の比(w/w)は1を超える(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、またはそれを超える)ことが好ましい場合がある。異なる糖類を、同型または異なる型の担体タンパク質に接合することができる。必要に応じて任意の適切なリンカーを使用した任意の適切な接合反応を使用することができる。
【0181】
必要に応じて、有毒タンパク質抗原を解毒することができる(例えば、化学的手段および/または遺伝子手段による百日咳毒素の解毒)。
【0182】
薬学的に許容可能な担体
本発明の組成物は、典型的には、上記成分に加えて、1つまたは複数の「薬学的に許容可能な担体」を含むであろう。これらには、担体自体が組成物を投与される個体に有害な抗体の産生を誘導しない任意の担体が含まれる。適切な担体は、典型的には、巨大でゆっくり代謝される高分子(タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および脂質凝集体(油滴またはリポソームなど)など)である。かかる担体は、当業者に周知である。組成物はまた、希釈剤(水、生理食塩水、グリセロールなど)を含むことができる。さらに、補助剤(湿潤剤または乳化剤およびpH緩衝物質など)が存在し得る。薬学的に許容可能な成分の徹底的な考察は、Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy.20th ed.,ISBN:0683306472で得られる。
【0183】
免疫調節薬
アジュバント
本発明のワクチンを、他の免疫調節薬と併せて投与することができる。特に、組成物は、通常、アジュバントを含むであろう。本発明と共に使用するためのアジュバントには、1つまたは複数の下記のアジュバントが含まれるが、これらに限定されない。
【0184】
A.ミネラル含有組成物
本発明でのアジュバントとしての使用に適切なミネラル含有組成物は、ミネラル塩(アルミニウム塩およびカルシウム塩など)を含む。本発明は、水酸化物(例えば、オキシヒドロキシド)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシホスフェート、オルトホスフェート)、硫酸塩などのミネラル塩(例えば、chapters8 & 9 of Vaccine Design…(1995)eds.Powell & Newman.ISBN:030644867X.Plenum.Press)または異なるミネラル化合物の混合物(例えば、リン酸塩アジュバントと水酸化物アジュバントとの混合物(任意選択的にリン酸塩が過剰))を含み、この化合物は任意の適切な形態(例えば、ゲル、血漿、無定形など)をとり、塩に吸着していることが好ましい。ミネラル含有組成物を、金属塩の粒子として処方することもできる(WO00/23105号)。
【0185】
アルミニウム塩を、Al3+の用量が0.2mg/用量と1.0mg/用量との間であるように本発明のワクチン中に含めることができる。
【0186】
1つの実施形態では、本発明で用いるアルミニウムベースのアジュバントは、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO4)2))またはミョウバン誘導体(リン酸緩衝剤中で抗原とミョウバンとを混合し、その後に滴定し、水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基で沈殿させることによってインサイチュで形成したミョウバン誘導体など)である。
【0187】
本発明のワクチン処方で用いる別のアルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH)3)または結晶オキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)(優れた吸着剤であり、表面積が約500m2/gである)である。あるいは、リン酸アルミニウムアジュバント(AlPO4)またはヒドロキシリン酸アルミニウム(水酸化アルミニウムアジュバントのいくつかまたは全てのヒドロキシル基の代わりにリン酸基を含む)を提供する。本明細書中で提供する好ましいリン酸アルミニウムアジュバントは無定形であり、酸性、塩基性、および中性の媒質中に可溶である。
【0188】
別の実施形態では、本発明のアジュバントは、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方を含む。そのより特定の実施形態では、アジュバントは、水酸化アルミニウムよりも大量のリン酸アルミニウムを有する(2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または9:1超などのリン酸アルミニウム:水酸化アルミニウムの重量比)。さらにより詳細には、ワクチン中のアルミニウム塩は、0.4〜1.0mg/ワクチン用量、0.4〜0.8mg/ワクチン用量、0.5〜0.7mg/ワクチン用量、または約0.6mg/ワクチン用量で存在する。
【0189】
一般に、好ましいアルミニウムベースのアジュバントまたは複数のアルミニウムベースのアジュバントの比率(リン酸アルミニウム:水酸化アルミニウムなど)を、抗原が所望のpHでアジュバントとして逆の電荷を有するように分子間の静電気引力を至適化することによって選択する。例えば、リン酸アルミニウムアジュバント(等電点=4)はリゾチームを吸着するが、pH7.4でアルブミンを吸着しない。アルブミンが標的である場合、水酸化アルミニウムアジュバントを選択するであろう(iep 11.4)。あるいは、リン酸塩での水酸化アルミニウムの前処理によってその等電点が低下し、より塩基性の高い抗原に好ましいアジュバントとなる。
【0190】
B.油性乳濁液
本発明でのアジュバントとしての使用に適切な油性乳濁液組成物には、スクアレン−水乳濁液(MF59(ミクロフルイダイザー(microfluidizer)を使用して、5%スクアレン、0.5%TWEEN(商標)80、および0.5%Span85をサブミクロン粒子に処方したもの)など)が含まれる。WO90/14837号を参照のこと。Podda,Vaccine(2001)19:2673−2680;Freyら、Vaccine(2003)21:4234−4237も参照のこと。MF59を、FLUAD(商標)インフルエンザウイルス3価サブユニットワクチンにおけるアジュバントとして使用する。
【0191】
組成物中での使用に特に好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油型乳濁液である。本明細書中での使用に好ましいサブミクロン水中油型乳濁液は、種々の量のMTP−PEを任意選択的に含むスクアレン/水乳濁液(4〜5% w/v スクアレン、0.25〜1.0% w/v TWEEN(商標)80□(ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyelthylenesorbitan)モノオレアート、および/または0.25〜1.0% SPAN 85(商標)(ソルビタントリオレアート)、および任意選択的にN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−ヒドロキシホスホホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含むサブミクロン水中油型乳濁液(例えば、「MF59」として公知のサブミクロン水中油型乳濁液(国際公開番号WO90/14837号;米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号、およびOttら、in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.and Newman,M.J.eds.)Plenum Press,New York,1995,pp.277−296))など)である。MF59は、4〜5% w/v スクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5% w/v TWEEN(商標)80、および0.5% w/v SPAN 85(商標)を含み、任意選択的に種々の量のMTP−PEを含み、これがModel 110Yミクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA)などのミクロフルイダイザーを使用してサブミクロン粒子に処方されている。例えば、MTP−PEは、約0〜500μg/用量、より好ましくは0〜250μg/用量、最も好ましくは0〜100μg/用量で存在し得る。本明細書中で使用される場合、用語「MF59−0」は、MTP−PEを欠く上記サブミクロン水中油型乳濁液いう一方で、用語「MF59−MTP」は、MTP−PEを含む処方物を示す。例えば、「MF59−100」は、100μg MTP−PE/用量などを含む。MF69(本明細書中で用いる別のサブミクロン水中油型乳濁液)は、4.3% w/v スクアレン、0.25% w/v TWEEN(商標)80、および0.75% w/v SPAN 85(商標)、および任意選択的にMTP−PEを含む。さらに別のサブミクロン水中油型乳濁液は、SAFとしても公知のMF75であり、これは10%スクアレン、0.4% TWEEN(商標)80、5%プルロニックブロック重合体L121、およびthr−MDPを含み、サブミクロン乳濁液にミクロ流体化もされている。MF75−MTPは、MTP(100〜400μg MTP−PE/用量など)を含むMF75処方物を示す。
【0192】
組成物で用いるサブミクロン水中油型乳濁液、その作製方法、および免疫賦活剤(ムラミルペプチドなど)は、WO90/14837号および米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号に詳述されている。
【0193】
フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA)を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。
【0194】
C.サポニン処方物
サポニン処方物を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。サポニンは、ステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種群であり、広範な植物種の樹皮、葉、幹、根、さらに花弁中で見出される。キラヤサポナリア モリナ(Quillalaia saponaria Molina)の木の樹皮から単離したサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。スミラックス・オルナタ(Smilax ornata)(サルサパリラ(sarsaprilla))、シュッコンカスミソウ(Gypsophilla paniculata)(ブライドベール(brides veil))、およびサボンソウ(ソープルート(soap root))由来のサポニンを購入することもできる。サポニンアジュバント処方物には、精製処方物(QS21など)および脂質処方物(ISCOMなど)が含まれる。
【0195】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィ(HP−TLC)および逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)を使用して精製されている。これらの技術を使用した特定の精製画分(QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B、およびQH−Cが含まれる)が同定されている。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の生成方法は、米国特許第5,057,540号に開示されている。サポニン処方物はまた、コレステロールなどのステロールを含むこともできる(WO96/33739号を参照のこと)。
【0196】
サポニンとコレステロールとの組み合わせを使用して、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる固有の粒子を形成することができる。ISCOMは、典型的には、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質も含む。任意の公知のサポニンを、ISCOMで使用することができる。好ましくは、ISCOMは、1つまたは複数のQuil A、QHA、およびQHCを含む。ISCOMは、EP0109942号、WO96/11711号、およびWO96/33739号にさらに記載されている。任意選択的に、ISCOMSは、さらなる界面活性剤を欠いていてもよい。WO00/07621号を参照のこと。
【0197】
サポニンベースのアジュバント開発の概説を、Barr,ら、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:247−271に見出すことができる。Sjolander,ら、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:321−338も参照のこと。
【0198】
D.ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。これらの構造物は、一般に、任意選択的にリン脂質と組み合わせた、またはこれを用いて処方したウイルス由来の1つまたは複数のタンパク質を含む。これらは、一般に、非病原性で複製せず、一般に、任意の未変性のウイルスゲノムを含まない。ウイルスタンパク質を、組換え的に産生し、または全ウイルスから単離することができる。ビロソームまたはVLPでの使用に適切なこれらのウイルスタンパク質には、インフルエンザウイルス(HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(コアタンパク質またはキャプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビス・ウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、HIV、RNA−ファージ、Qβ−ファージ(コートタンパク質など)、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205ファージ、およびTy(レトロトランスポゾンTyタンパク質p1など)由来のタンパク質が含まれる。VLPは、WO03/024480号、WO03/024481号、Niikuraら、Virology(2002)293:273−280;Lenzら、Journal of Immunology(2001)5246−5355;Pinto,ら、Journal of Infectious Diseases(2003)188:327−338;およびGerberら、Journal of Virology(2001)75(10):4752−4760でさらに考察されている。ビロソームは、例えば、Gluckら、Vaccine(2002)20:B10−B16でさらに考察されている。免疫増強する再構築されたインフルエンザビロソーム(IRIV)を、鼻腔内3価INFLEXAL(商標)製品(Mischler & Metcalfe(2002)Vaccine 20 Suppl 5:B17−23)およびINFLUVAC PLUS(商標)製品におけるサブユニット抗原送達系として使用する。
【0199】
E.細菌または微生物誘導体
本発明での使用に適切なアジュバントには、以下などの細菌または微生物誘導体が含まれる。
【0200】
(1)腸内細菌リポ多糖類(LPS)の非毒性誘導体
かかる誘導体には、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が含まれる。3dMPLは、3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質Aと4、5、または6アシル化鎖との混合物である。3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小粒子」形態は、EP0689454号に開示されている。かかる3dMPLの「小粒子」は、0.22ミクロン膜で濾過滅菌するのに十分に小さい(EP0689454号)。他の非毒性LPS誘導体には、モノホスホリル脂質A模倣物(アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(例えば、RC529)など)が含まれる。Johnsonら(1999)Bioorg Med Chem Lett 9:2273−2278を参照のこと。
【0201】
(2)脂質A誘導体
脂質A誘導体には、大腸菌(OM−174)由来の脂質A誘導体が含まれる。OM−174は、例えば、Meraldiら、Vaccine(2003)21:2485−2491およびPajak,ら、Vaccine(2003)21:836−842に記載されている。
【0202】
(3)免疫刺激性オリゴヌクレオチド
本発明でのアジュバントとしての使用に適切な免疫刺激性オリゴヌクレオチドには、CpGモチーフ(非メチル化シトシンの後にグアノシンを含み、リン酸結合によって結合した配列)を含むヌクレオチド配列が含まれる。回分配列またはポリ(dG)配列を含む細菌二本鎖RNAまたはオリゴヌクレオチドも免疫刺激性を示すことが示されている。
【0203】
CpGは、ホスホロチオアート修飾物などのヌクレオチド修飾物/アナログが含まれ得、二本鎖または一本鎖であり得る。任意選択的に、グアノシンを、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンなどのアナログと置換することができる。可能なアナログ置換の例については、Kandimalla,ら、Nucleic Acids Research(2003)31(9):2393−2400;WO02/26757号およびWO99/62923号を参照のこと。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、Krieg,Nature Medicine(2003)9(7):831−835;McCluskie,ら、FEMS Immunology and Medical Microbiology(2002)32:179−185;WO98/40100号;米国特許第6,207,646号;米国特許第6,239,116号および米国特許第6,429,199号でさらに考察されている。
【0204】
CpG配列を、TLR9(モチーフGTCGTTまたはTTCGTTなど)に指向することができる。Kandimalla,ら、Biochemical Society Transactions(2003)31(part 3):654−658を参照のこと。CpG配列は、Th1免疫応答の誘導に特異的であり得るか(CpG−A ODNなど)、B細胞応答の誘導により特異的であり得る(CpG−B ODNなど)。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、Blackwell,ら、J.Immunol.(2003)170(8):4061−4068;Krieg,TRENDS in
Immunology(2002)23(2):64−65およびWO01/95935号で考察されている。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。
【0205】
好ましくは、5’末端が受容体認識のために接近することができるようにCpGオリゴヌクレオチドを構築する。任意選択的に、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列をその3’末端で結合して、「イムノマー」を形成することができる。例えば、Kandimalla,ら、BBRC(2003)306:948−953;Kandimalla,ら、Biochemical Society Transactions(2003)31(part 3):664−658;Bhagatら、BBRC(2003)300:853−861、およびWO03/035836号を参照のこと。
【0206】
(4)ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体
細菌ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体を、本発明でアジュバントとして使用することができる。好ましくは、タンパク質は、大腸菌(すなわち、大腸菌熱不安定性エンテロトキシン(「LT」)、コレラ菌(「CT」)、または百日咳菌(「PT」)に由来する。粘膜アジュバントとしての解毒ADP−リボシル化毒素の使用は、WO95/17211号に記載されており、非経口アジュバントとしてはWO98/42375号に記載されている。好ましくは、アジュバントは、解毒LT変異体(LT−K63、LT−R72、およびLTR192Gなど)である。ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体(特に、LT−K63およびLT−R72)のアジュバントとしての使用を、以下の参考文献で見出すことができる:Beignon,ら、Infection and Immunity(2002)70(6):3012−3019;Pizza,ら、Vaccine(2001)19:2534−2541;Pizza,ら、Int.J.Med.Microbiol(2000)290(4−5):455−461;Scharton−Kerstenら、Infection and Immunity(2000)68(9):5306−5313;Ryanら、Infection and Immunity(1999)67(12):6270−6280;Partidosら、Immunol.Lett.(1999)67(3):209−216;Peppoloniら、Vaccines(2003)2(2):285−293;およびPineら、(2002)J.Control Release(2002)85(1−3):263−270。アミノ酸置換についての数値の基準は、好ましくは、Domenighiniら、Mol.Microbiol(1995)15(6):1165−1167に記載のADP−リボシル化毒素のAおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。
【0207】
F.生体接着剤および粘膜接着剤
生体接着剤および粘膜接着剤を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。適切な生体接着剤には、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフィア(Singhら(2001)J.Cont.Rele.70:267−276)または粘膜接着剤(ポリアクリル酸の架橋誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類、およびカルボキシメチルセルロースなど)が含まれる。キトサンおよびその誘導体を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。WO99/27960を参照のこと。
【0208】
G.微粒子
微粒子を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。微粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは直径約200nm〜約30μm、最も好ましくは直径約500nm〜約10μmの粒子)を、生分解性且つ非毒性の材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルソエステル、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトンなど)(ポリ(ラクチドコグリコリド)が好ましい)から形成し、任意選択的に、負電荷の表面(例えば、SDS)または正電荷の表面(例えば、CTABなどの陽イオン性界面活性剤)を有するように処理する。
【0209】
H.リポソーム
アジュバントとしての使用に適切なリポソーム処方物の例は、米国特許第6,090,406号、米国特許第5,916,588号、および欧州特許第0626169号に記載されている。
【0210】
I.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル処方物
本発明での使用に適切なアジュバントには、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが含まれる。WO99/52549号。かかる処方物には、さらに、オクトキシノール(WO01/21207)と組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤および少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤(オクトキシノールなど)と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤(WO01/21152号)が含まれる。
【0211】
好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth 9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0212】
J.ポリホスファゼン(PCPP)
PCPP処方物は、例えば、Andrianovら、“Preparation of hydrogel microspheres by coacervation of aqueous polyphophazene solutions”,Biomaterials(1998)19(1−3):109−115 and Payneら、“Protein Release from Polyphosphazene Matrices”,Adv.Drug.Delivery Review(1998)31(3):185−196に記載されている。
【0213】
K.ムラミルペプチド
本発明でのアジュバントとしての使用に適切なムラミルペプチドの例には、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)、およびNアセチルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が含まれる。
【0214】
L.イミダゾキノリン化合物
本発明でのアジュバントとしての使用に適切なイミダゾキノリン化合物の例には、イミキモドおよびそのアナログが含まれ、Stanley,Clin Exp Dermatol(2002)27(7):571−577;Jones,Curr Opin Investig Drugs(2003)4(2):214−218;米国特許第4,689,338号、同第5,389,640号、同第5,268,376号、同第4,929,624号、同第5,266,575号、同第5,352,784号、同第5,494,916号、同第5,482,936号、同第5,346,905号、同第5,395,937号、同第5,238,944号、および同第5,525,612号にさらに記載されている。
【0215】
M.チオセミカルバゾン化合物
チオセミカルバゾン化合物、ならびに本発明でのアジュバントとしての使用に適切な全ての化合物の処方、製造、およびスクリーニング方法の例には、WO04/60308号に記載のものが含まれる。チオセミカルバゾンは、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激で特に有効である。
【0216】
N.トリプタントリン化合物
トリプタントリン化合物、ならびに本発明でのアジュバントとしての使用に適切な全ての化合物の処方、製造、およびスクリーニング方法の例には、WO04/64759号に記載のものが含まれる。トリプタントリン化合物は、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激で特に有効である。
【0217】
本発明はまた、上記で同定した1つまたは複数のアジュバントの態様の組み合わせを含むこともできる。例えば、以下のアジュバント組成物を、本発明で使用することができる。
【0218】
(1)サポニンおよび水中油型乳濁液(WO99/11241号);
(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(WO94/00153号を参照のこと);
(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL12(任意選択的に、+ステロール)(WO98/57659号);
(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型乳濁液との組み合わせ(欧州特許出願第0835318号、0735898号、および0761231号を参照のこと);
(6)10%スクアラン、0.4%Tween80、5%プロニック−ブロック重合体L121、およびthr−MDPを含み、サブミクロン乳濁液にミクロ流体化されているか、ボルテックスしてより大きな粒子サイズの乳濁液を生成したSAF。
【0219】
(7)2%スクアレン、0.2%Tween80、およびモノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコラート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)(好ましくは、MPL+CWS(DETOX(商標))からなる群より選択される1つまたは複数の細菌細胞壁成分を含むRIBI(商標)アジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem);および
(8)1つまたは複数のミネラル塩(アルミニウム塩など)+LPSの非毒性誘導体(3dPMLなど)。
【0220】
(9)1つまたは複数のミネラル塩(アルミニウム塩など)+免疫刺激性オリゴヌクレオチド(CpGモチーフを含むヌクレオチド配列など)。
【0221】
O.ヒト免疫調節薬
本発明でアジュバントとしての使用に適切なヒト免疫調節薬には、サイトカイン(インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子など)が含まれる。
【0222】
アルミニウム塩およびMF59は、注射用インフルエンザワクチンとの使用に好ましいアジュバントである。細菌毒素および生体接着剤は、粘膜由来ワクチン(経鼻用ワクチンなど)との使用に好ましいアジュバントである。
【0223】
上記で引用した全ての特許、特許出願、および学術論文の内容は、本明細書中で完全に記載されているかのように参考により組み込まれる。
【0224】
治療方法
本発明は、上記組成物を使用して化膿連鎖球菌に対する免疫応答を誘導または増大させる方法を提供する。免疫応答は、好ましくは防御的であり、抗体および/または細胞−媒介性免疫(全身免疫および粘膜免疫が含まれる)が含まれ得る。免疫応答には、ブースター応答が含まれる。
【0225】
上に記載されるGAS抗原、核酸分子または抗体の組み合わせは、同時投与のための単一組成物に含まれ得る。代わりに、GAS抗原、核酸分子または抗体の組み合わせは、順次投与し得る。例えば、組み合わせがSpy0167、Spy0269、およびSpy0416またはその変異体もしくはフラグメントを含む場合、これら3つの抗原は、単一組成物で同時にまたは別々の組成物で順次投与し得る。この状況では、本発明は、既にSpy0269および/またはSpy416を受けている動物への投与のためにSpy0167;既にSpy0167および/またはSpy0416を受けている動物への投与のためにSpy0269;ならびに既にSpy0167および/またはSpy0269を受けている動物への投与のためにSpy0416を提供する。
【0226】
十代および小児(よちよち歩きの子供および乳児が含まれる)は、予防的用途のためにワクチンを受けることが可能であり、治療ワクチンは典型的には十代の若者または成人に投与される。小児への使用を意図するワクチンは、例えば、安全性、投与量、免疫原性などを評価するために成人にも投与し得る。
【0227】
本発明の組成物によってそのリスクを低減するか、防止するかまたは処置することができる、化膿連鎖球菌によって引き起こされる疾患には、咽頭炎(連鎖球菌性咽喉痛など)、猩紅熱、膿痂疹、丹毒、蜂巣炎、敗血、中毒性ショック症候群、壊死性筋膜炎、および後遺症(リウマチ熱および急性糸球体腎炎など)が含まれるが、これらに限定されない。組成物は、他の連鎖球菌(例えば、GBS)に対しても有効であり得る。
【0228】
免疫応答の有効性を決定する試験
治療上の処置の有効性を評価する1つの方法は、本発明の組成物の投与後にGAS感染をモニタリングすることを含む。予防的処置の有効性を評価する1つの方法は、組成物の投与後に本発明の組成物におけるGAS抗原に対する免疫応答をモニタリングすることを含む。
【0229】
本発明の免疫原性組成物の成分タンパク質の免疫原性を評価する別の方法は、組換え的にGAS抗原を発現し、免疫ブロットによって患者の血清または粘膜分泌物をスクリーニングすることである。タンパク質と患者の血清との間の陽性反応は、患者が問題のタンパク質に対する免疫応答を事前に開始していることを示す(すなわち、タンパク質が免疫原である)。この方法を使用して、免疫優性タンパク質および/またはエピトープを同定することもできる。
【0230】
治療上の処置の有効性の別のチェック方法は、本発明の組成物の投与後のGAS感染のモニタリングを含む。予防的処置の有効性の1つのチェック方法は、組成物の投与後にGASチャレンジに対する全身(IgG1およびIgG2a産生レベルのモニタリングなど)および粘膜(IgA産生レベルのモニタリングなど)の両方の免疫応答をモニタリングすることを含む。典型的には、血清特異的抗体応答を免疫化後であるがチャレンジ前に決定するのに対して、粘膜特異的抗体応答を免疫後且つチャレンジ後に決定する。
【0231】
本発明のワクチン組成物を、宿主(例えば、ヒト)投与前にインビトロおよびインビボ動物モデルで評価することができる。特に有用なマウスモデルには、腹腔内免疫化後に腹腔内チャレンジまたは鼻腔内チャレンジを行うマウスモデルが含まれる。
【0232】
本発明の免疫原性組成物の有効性を、動物モデル(例えば、モルモットまたはマウス)を免疫原性組成物で免疫化し、GASによるチャレンジ後に得られた保護のレベルを確認することによってインビボで決定することもできる。
【0233】
インビボ有効性モデルには、以下が含まれるが、これらに限定されない:(i)ヒトGAS血清型を使用したマウス感染モデル、(ii)マウス適合GAS株(特にマウスに病原性を示すM23株など)を使用したマウスモデルであるマウス疾患モデル、および(iii)ヒトGAS単離物を使用した霊長類モデル。
【0234】
免疫応答は、TH1免疫応答およびTH2免疫応答の一方または両方であり得る。免疫応答は、免疫応答の改良、増強、または変化であり得る。免疫応答は、全身免疫応答および粘膜免疫応答の一方または両方であり得る。好ましくは、免疫応答は、全身および/または粘膜の応答の増強である。
【0235】
全身免疫および/または粘膜免疫の増強は、TH1免疫応答および/またはTH2免疫応答の増強を反映している。好ましくは、免疫応答の増強には、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgA産生の増加が含まれる。
【0236】
好ましくは、粘膜免疫応答はTH2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答には、IgA産生の増加が含まれる。
【0237】
活性化TH2細胞は抗体産生を増強し、それにより、細胞外感染に対する応答で有益である。活性化TH2細胞は、1つまたは複数のIL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10を分泌することができる。TH2免疫応答により、さらなる防御のためにIgG1、IgE、IgA、および記憶B細胞を産生することができる。
【0238】
TH2免疫応答には、TH2免疫応答に関連する1つまたは複数のサイトカイン(IL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10など)の増加またはIgG1、IgE、IgA、および記憶B細胞産生の増加の1つまたは複数が含まれ得る。好ましくは、TH2免疫応答の増強には、IgG1産生の増加が含まれるであろう。
【0239】
TH1免疫応答には、CTLlの増加、TH1免疫応答に関連する1つまたは複数のサイトカイン(IL−2、IFNγ、およびTNFβなど)の増加、活性化マクロファージの増加、NK活性の増加、またはIgG2a産生の増加の1つまたは複数が含まれ得る。好ましくは、TH1免疫応答の増強には、IgG2a産生の増加が含まれるであろう。
【0240】
本発明の免疫原性組成物を、任意選択的にTh1および/またはTh2応答を誘発することができる免疫調節薬と共に、単独または他のGAS抗原と組み合わせて使用することができる。
【0241】
本発明はまた、1つまたは複数の免疫調節薬(ミネラル塩(アルミニウム塩など)など)およびCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドを含む免疫原性組成物を含む。最も好ましくは、免疫原性組成物には、アルミニウム塩およびCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドの両方を含む。あるいは、免疫原性組成物は、ADPリボシル化毒素(解毒ADPリボシル化毒素など)およびCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、1つまたは複数の免疫調節薬は、アジュバントを含む。アジュバントを、TH1アジュバントおよびTH2アジュバントからなる群の1つまたは複数から選択することができる。
【0242】
本発明の組成物は、好ましくは、GAS感染に有効に対処するために、細胞媒介性免疫および体液性免疫応答の両方を誘発するであろう。この免疫応答は、好ましくは、長期継続(例えば、中和)抗体および1つまたは複数のGAS抗原に曝露した場合に迅速に応答することができる細胞媒介性免疫を惹起するであろう。
【0243】
1つの特に好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、中和抗体応答を誘発する1つまたは複数のGAS抗原および細胞媒介性免疫応答を誘発する1つまたは複数のGAS抗原を含む。このようにして、中和抗体応答は、最初のGAS感染を防止または阻害する一方で、増強されたTh1細胞応答を誘発することができる細胞媒介性免疫応答はGAS感染のさらなる拡大を防止する。
【0244】
本発明の組成物を、一般に、患者に直接投与するであろう。本発明の組成物を、種々の異なる経路を介して単独または組成物の一部として投与することができる。一定の組成物は、より有効な免疫応答、好ましくはCMI応答が得られるか、副作用を誘導する可能性が低いか、投与がより容易になるように一定の経路を好み得る。
【0245】
送達方法には、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、または間質注射)、直腸、経口(例えば、錠剤、スプレー)、膣、局所、経皮(例えば、WO99/27961号を参照のこと)、経皮(例えば、WO02/074244号およびWO02/064162号を参照のこと)、鼻腔内(例えば、WO03/028760号を参照のこと)、眼球、耳、および肺、または他の粘膜投与が含まれる。
【0246】
一例として、本発明の組成物を、全身経路、粘膜経路、または経皮経路を開始して投与することができるか、特定の組織に直接投与することができる。本明細書中で使用される場合、用語「全身投与」には、任意の非経口投与経路が含まれるが、これらに限定されない。特に、非経口投与には、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、または胸骨内注射、静脈内、動脈内、または腎臓透析注入技術が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、全身非経口投与は筋肉内注射である。本明細書中で使用される場合、用語「粘膜投与」には、経口、鼻腔内、膣内、直腸内、気管内、腸、および眼投与が含まれるが、これらに限定されない。
【0247】
投薬処置は、単回投与計画または複数回投与計画であり得る。複数回投与を、初回免疫計画および/または追加免疫計画で使用することができる。複数回投与計画では、同一または異なる経路(例えば、非経口初回刺激および粘膜追加免疫、粘膜初回刺激および非経口追加免疫など)によって種々の回収で投与することができる。
【0248】
本発明の組成物を、種々の形態で調製することができる。例えば、組成物を、溶液または懸濁物のいずれかとして注射可能な組成物として調製することができる。注射前に溶液、懸濁物、または液体ビヒクルにするのに適切な固体形態(例えば、凍結乾燥組成物)を調製することもできる。経口投与のための組成物(錠剤もしくはカプセル、スプレーとして、またはシロップ(任意選択的に、風味づけする)としてなど)を調製することができる。肺投与のための組成物を、例えば、微粉またはスプレーを使用した吸入器として調製することができる。組成物を、坐剤またはペッサリーとして調製することができる。鼻、耳、または眼への投与のための組成物を、例えば、点滴薬として調製することができる。組成物は、患者への投与直前に組み合わせた組成物を再構成するようにデザインされたキット形態であり得る。かかるキットは、液体形態の1つまたは複数の変異体Spy0167または他の抗原および1つまたは複数の凍結乾燥抗原を含むことができる。
【0249】
ワクチンとして使用した免疫原性組成物は、免疫学的有効量のGAS抗原または他の抗原、ならびに、必要に応じて、抗生物質などの任意の他の成分を含む。「免疫学的有効量」は、単回用量または一連の投与の一部として個体に投与した場合に測定可能な免疫応答を増加させるか臨床症状を防止または減少させる量である。
【0250】
本発明の免疫原性組成物を、抗生物質処置計画と組み合わせて投与することができる。1つの実施形態では、抗生物質を、本発明の組成物の投与前に投与する。別の実施形態では、抗生物質を、本発明の組成物の投与後に投与する。GAS感染処置での使用に適切な抗生物質の例には、ペニシリンもしくはその誘導体またはクリンダマイシン、セファロスポリン、糖ペプチド(例えば、バンコマイシン)、およびシクロセリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0251】
組成物中の活性剤の量は、処置を受ける個体の健康状態および生理的状態、年齢、処置を受ける個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個体の免疫系が抗体を合成する能力、所望の防御の程度、ワクチンの処方、処置を行う医師の医学的状況の評価、および他の関連要因に応じて変化する。この量は比較的広範であり、日常的試験によって決定することができる。
【0252】
キット
本発明はまた、本発明の1つまたは複数の容器を含むキットを提供する。組成物は、個別の抗原と同様に、液体形態であり得るか凍結乾燥させることができる。組成物に適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。容器を、種々の材料(ガラスまたはプラスチックが含まれる)から形成することができる。容器は、滅菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、静脈内注射用溶液のバッグまたは皮下注射針によって突き刺すことができるストッパを有するバイアルであり得る)。
【0253】
キットは、さらに、薬学的に許容可能な緩衝剤(リン酸緩衝化生理食塩水、リンゲル液、またはデキストロース溶液など)を含む第2の容器を含む。キットはまた、末端利用者に有用な他の材料(他の緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針、およびシリンジが含まれる)を含むことができる。キットはまた、別の活性剤(例えば、抗生物質)を含む第2または第3の容器を含むことができる。
【0254】
キットはまた、化膿連鎖球菌に対する免疫の誘導方法または化膿連鎖球菌感染の処置方法についての書面での指示を含む添付文書を含むことができる。添付文書は、未承認の添付文書であり得るか、食品医薬品局(FDA)または他の規制機関によって承認された添付文書であり得る。
【0255】
本開示で引用した全ての特許、特許出願、および参考文献は、特に、本明細書中で参考として援用される。上記開示は、一般に、本発明を説明する。以下の特定の実施例を参照して、本発明をより完全に理解することができる。これらの実施例は、例示のみを目的とし、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【実施例】
【0256】
(実施例1)
溶血アッセイ
Spy0167またはSpy0167変異体の段階希釈物を、PBS+0.5%BSAを用いて、U字形底の96ウェルプレートに調製する。1mlのヒツジ血液を、PBS中で3回洗浄し(3000×gの遠心分離で)、血球を5mlのPBSに懸濁する。等容積の懸濁物を、50μlの各毒素希釈物に加え、37℃で30分間インキュベートする。Triton(2%)水溶液を用いて100%溶血を得、PBS+0.5%BSAをネガティブコントロールとして使用する。その後、プレートを1000×gで5分間遠心分離し、上清を96ウェル平底プレートに慎重に移す。吸光度を540nmで読み取る。1溶血単位(HU)は、血球を2%Tritonを用いて処理して得られる最大溶解の50%を得るのに必要とされるSpy0167またはSpy0167変異体の量と定義される。
【0257】
(実施例2)
Spy0167変異体抗原のインビボ毒性の評価
抗原の静脈内注射。PBS中の野生型または変異体Spy0167抗原のどちらかの溶液を、PBS+2mM DTTの溶液に希釈し、次に100mlをマウスの尾静脈に注射する。マウスを2〜3日間観察する。野生型Spy0167を注射すると、典型的には数分以内に死亡する。
【0258】
インビボの致死性阻害アッセイ。免疫血清により媒介される致死性阻害のために、10μg/マウスの野生型Spy0167(PBS、2mM DTT中100μg/mlの溶液)を、抗Spy0167血清またはコントロール血清(アジュバントのみで免疫されたマウスから得られる)のいずれかと共に室温で「転倒」回転させながら20分間インキュベートする。インキュベーション後、試料を尾静脈への静脈内注射によってマウスに接種する。マウスを2〜3日間観察する。
【0259】
インビボの急性毒性。インビボの急性毒性は、ポジティブコントロールとして10μg/マウスの用量の野生型Spy0167、ネガティブコントロールとしてフロイントアジュバントのみの注射を用いて評価する。10μg/マウスの野生型Spy0167を、野生型Spy0167抗血清かまたはコントロール血清のいずれかと共にインキュベートし、上記のようにマウスに接種する。
【0260】
(実施例3)
Spy0416タンパク質分解活性の不活化
SDS−PAGE。IL−8を野生型Spy0416またはSpy0416変異体と共にインキュベートする。インキュベーション混合物をSDS−PAGEにロードし、銀染色により顕色化する。野生型Spy0416は2つのバンド:8kDa(活性型)および6kDa(不活性切断IL−8)を放出する。Spy0416変異体は1バンドのみを放出し、このバンドは、コントロール反応(酵素なし)と同じく、切断されていないIL−8に対応する。
【0261】
ELISA。IL−8を、3つの異なる濃度で、野生型Spy0416またはSpy0416変異体と共にインキュベートし、インキュベーション混合物を、サイトカインに特異的であるが、切断された不活性型を認識することはできない抗体を使用して、切断されていないIL−8の存在について試験する。その結果は、0時間、8時間および24時間反応後の切断されていないIL−8の割合として表され、以下の通りに計算した。
【0262】
【化11】
式中、「コントロール混合物」は、時点0での酵素を含まない反応混合物である。
【0263】
(実施例4)
GAS抗原の防御能力
GAS抗原を使用して、マウスを免疫化し、GASの致死的チャレンジに対する防御を与えるその能力を試験する。抗原を、0日目、21日目、および35日目に、任意選択でアジュバントと共に、腹腔内投与する。血液試料を、3回目の免疫化の2週間後に採取する。次に、マウスをGAS菌株(例えば、50μl中GAS菌株3348 M1の108cfu)を用いて鼻腔内チャレンジする。生存を10〜14日間モニターする。
【0264】
(実施例5)
Spy0416抗体によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害
Spy0416の野生型および不活性変異体に特異的な抗血清は、CD1マウスを精製された組換えタンパク質で免疫化することにより作製する。IL−8(10μg/ml)を、Spy0416抗血清と共にもしくはそれなしで(1対50および1対5000)、または野生型Spy0416に対して産生されたモノクローナル抗体と共に、野生型Spy0416と2つの異なる条件:(1)8時間インキュベーション、0.1μg/mlのSpy0416、および(2)24時間インキュベーション、0.05μg/mlのSpy0416でインキュベートする。次に、インキュベーション混合物を、ELISAにより切断されていないIL−8の存在について試験する。結果は、Spy0416抗血清またはモノクローナル抗体によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害を実証している。
【0265】
(実施例6)
野生型または変異体Spy0167(Spy0167)に対する抗体によるSpy0167溶血の阻害
50ng/ml(3.5HU)の毒素を使用して、Spy0167溶血活性の50%減少を得るのに必要とされる抗体力価をアジュバント(例えば、フロイントアジュバント、ミョウバン、またはMF59(商標))を使用して試験する。アジュバントのみはネガティブコントロールとして使用する。
【0266】
(実施例7)
皮下チャレンジモデルにおけるGAS抗原の組み合わせの防御能力
マウスを、単一GAS抗原(Spy0167、Spy0416、もしくはSpy0269)を用いてまたはGAS抗原GASの組み合わせ(Spy0167+Spy0416+Spy0269;もしくはSpy0416+Spy0269)を用いて免疫化した。次に、マウスを、皮膚病変を引き起こすGASのSF370 M1株に皮下感染させた。GAS抗原または抗原組み合わせの防御効果は、病変のサイズを測定することにより決定した。
【0267】
このモデルでは、これらのGAS抗原のいずれかを単独で使用することにより得られる防御効果と比べて、Spy0167+Spy0416+Spy0269の組み合わせまたはSpy0416+Spy0269の組み合わせを使用することにより相乗的防御効果が得られる。実際、試験された組み合わせにより与えられる防御効果は、GAS M1タンパク質を使用して与えられる防御効果に匹敵する。図1を参照のこと。
【0268】
(実施例8)
変異体GAS抗原の組み合わせの防御能力
GASの様々な株を用いた鼻腔内チャレンジに対するGAS変異体抗原(Spy0167変異体抗原P427L/W535FおよびSpy0416変異体抗原D151A/S617A)の組み合わせの防御能力を、基本的に実施例4に記載される通りに試験した。結果は表2に示している。
【0269】
【表2−1】
(実施例9)
Spy0416変異体の調製
C5aプロテアーゼとの比較により、推定的にプロテアーゼの触媒部位の構成要素となるSpy0416中の3つのアミノ酸:D151、H279およびS617を同定した。前記酵素の不活型を得るために、アミノ酸変化D151Aおよび/またはS617Aをもたらすヌクレオチド置換を、オーバーラッピング伸張PCRによるスプライシング(SOE−PCR)によりSpy0416コード配列に導入した。
【0270】
置換体D151A
3つのPCR反応を実施した。
【0271】
【表2−2】
次に、PCR産物3を、Nde−SaIで消化し、その同じ酵素で消化されたpET21_57hisに導入した。正確なインフレーム置換体(pET21_57his_D151A)を含有するクローンをDNAシーケンシングにより選択した。
【0272】
置換体S617A
3つのPCR反応を実施した。
【0273】
【表2−3】
次に、PCR産物6をSaI−Xhoで消化し、その同じ酵素で消化されたpET21_57hisに導入した。正確なインフレーム置換体(pET21_57his_S617A)を含有するクローンを、DNAシーケンシングにより選択した。
【0274】
置換体D151A+S617A
PCR産物6をSaI−Xhoで消化し、その同じ酵素で消化されたpET21_57his_D151Aに導入した。DNAシーケンシングにより、正確なインフレーム置換体(pET21_57his_D151A+S617A)を含有するクローンを選択した。
【0275】
単一変異タンパク質および二重変異タンパク質を発現させ、3つのクロマトグラフィー工程:イオン交換クロマトグラフィー(Q Sepharose HP)、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーを使用して精製した。
【0276】
(実施例10)
点変異D151Aは、Spy0416タンパク質分解活性を不活化する
Spy0416変異体D151Aを、組換えHisタグ付きタンパク質として発現させた。2種類のアッセイは、この変異体がIL−8を切断する能力を失っていることを実証した。
【0277】
SDS−PAGE
IL−8を、野生型Spy0416またはSpy0416変異体D151Aと共にインキュベートした。インキュベーション混合物をSDS−PAGEにロードし、銀染色により顕色化した。結果は図12に示している。野生型Spy0416(レーン2および3)は、2つのバンド:8kDa(活性型)および6kDa(不活性切断IL−8)を放出した。これとは対照的に、Spy0416 D151A変異体は1つのバンドのみを放出し、このバンドはコントロール反応(酵素なし)の場合と同様に、切断されていないIL−8に対応していた。
【0278】
ELISA
IL−8を、3つの異なる濃度で野生型Spy0416またはSpy0416変異体D151Aと共にインキュベートし、インキュベーション混合物を、サイトカインに特異的であるが切断された不活性型を認識することはできない抗体を使用して、切断されていないIL−8の存在について試験した。その結果は図4に示しており、0時間、8時間および24時間反応後の切断されていないIL−8の割合として表され、以下の通りに計算した。
【0279】
【化12】
「コントロール混合物」は、時点0での酵素のない反応混合物である。
【0280】
図3に示しているように、野生型Spy0416は、低濃度でも8時間後にはIL−8をほぼ完全に不活化したが、変異酵素で処理されたIL−8では不活化は観察されなかった。
【0281】
(実施例11)
Spy0416変異体S617AおよびSpy0416二重変異体D151A+S617AはIL−8を切断しない
Spy0416変異体S617AおよびSpy0416二重変異体D151A+S617AをHisタグ付きタンパク質として発現させ、実施例2に記載される通りにIL−8不活化実験において試験した。
【0282】
SDS−PAGE
IL−8を、野生型Spy0416(Hisタグ付きもしくはタグなし)、またはSpy0416変異体D151A、S617AおよびD151AS+S617Aのそれぞれと共に24時間インキュベートした。インキュベーション混合物をSDS−ポリアクリルアミドゲルにロードし、銀染色により顕色化した。2つの実験の結果は図4Aおよび4Bに示している。Spy0416 S617A変異体とGAS D151+S617A変異体いずれも、野生型Spy0416の100倍の濃度でも、IL−8を切断することはできない。
【0283】
ELISA
同じ試料を使用してELISAアッセイを実施し、単一アミノ酸置換および二重アミノ酸置換がIL−8を切断するSpy0416の能力を除去することを確認した。結果は、図5に示しているが、野生型Spy0416により放出される20〜40%に比べて、変異体が24時間インキュベーション後切断されていないIL−8を100%放出することを実証している。
【0284】
(実施例12)
Spy0416変異体の防御能力は野生型Spy0416を用いて得られる防御能力に類似している
Spy0416変異体D151AおよびD151A+S617Aを使用してマウスを免疫化し、野生型Spy0416と比べた、GASの致死的チャレンジに対する防御を提供するその能力を試験した。2つの実験(それぞれ20マウス)の結果を下に要約しており平均生存率(%)として表している。
【0285】
【表3】
(実施例13)
精製された不活性変異体は、2つの非共有結合タンパク質フラグメントの形態でのみ存在する野生型Spy0416と比べると単一ペプチドとして出現する
野生型Spy0416は、主に2つのフラグメント、すなわち約23kDaのフラグメントおよび150kDaのフラグメントの形態で得られる。前記2つのフラグメントは、Niキレートアフィニティ精製においてまたはゲル濾過により分離されることはないが、SDS−PAGE上では2つの異なるバンドとして出現する(図6)。N末端シーケンシングによれば、23kDaフラグメントはSpy0416のN末端部分(配列番号50のアミノ酸34〜244)であり、150kDaフラグメントはC末端領域(配列番号50のアミノ酸245〜1603)であることが確証された。
【0286】
野生型Spy0416とは対照的に、本発明のSpy0416変異体は、さらに高分子量(174kDa)のタンパク質として得られ、23kDaのバンドは存在しない(図7参照、部分的に精製された野生型Spy0416およびSpy0416変異体をSDS−ポリアクリルアミドゲルにロードした実験の結果が示している)。
【0287】
(実施例14)
ポリクローナル抗血清によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害
Spy0416の野生型および不活性変異体に特異的なマウス抗血清を、CD1マウスを精製された組換えタンパク質で免疫化することにより作製した。
【0288】
IL−8(10μg/ml)を、Spy0416抗血清と共にまたはそれなしで(1対50および1対5000)野生型Spy0416と、2つの異なる条件:(1)8時間インキュベーション、0.1μg/mlのSpy0416、および(2)24時間インキュベーション、0.05μg/mlのSpy0416でインキュベートした。次に、インキュベーション混合物を、ELISAにより切断されていないIL−8の存在について試験した。図8Aおよび8Bに示される結果は、マウス抗血清によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害を実証した。
【0289】
(実施例15)
野生型および変異体Spy0167タンパク質のクローニング
野生型および変異体Spy0167タンパク質をコードする遺伝子を、表4に示されるSF370ゲノム由来のプライマーを使用してPCRにより増幅した。
【0290】
PCR産物を、NheI−XhoIで消化し、その同じ酵素で切断されたpet24b+(Novagen)ベクターとライゲーションした。E.coli DH5αエレクトロコンピテント細胞を前記ライゲーション反応物で形質転換した。LBPTK培地を添加し、37℃で1時間、250rpmで撹拌しながらインキュベーションした後、細菌を、50μg/mlカナマイシンを含有するLBPTKプレート上に蒔いた。ポジティブコロニーをコロニーPCRにより同定した。
【0291】
ポジティブコロニー由来のプラスミドを、50μg/mlカナマイシンを含有するLBPTK培地での一晩の培養から調製し、DNAシーケンシングにより分析し、それによってT7ポリメラーゼプロモーター下の予想される挿入遺伝子を確認した。クローニングされた遺伝子の最終のDNA配列およびタンパク質配列は配列表に示している。表5を参照のこと。
【0292】
【表4−1】
【0293】
【表4−2】
【0294】
【表4−3】
【0295】
【表5】
E.coli BL21(DE3)(Novagen)コンピテント細胞を、正確な構築物で形質転換した。LBPTK培地を添加し、37℃で1時間、250rpmで撹拌しながらのインキュベーション後、50μg/mlカナマイシンを含有するLBPTKプレート上に細菌を蒔いた。BL21(DE3)pet24b+Spy0167野生型タグなし細胞を25℃で増殖させ、1mM IPTGで誘導した。クローン発現を、SDS PAGEにより検証した(タグなし、図15Aおよび15B;Hisタグ付き、図16)。
【0296】
(実施例16)
Hisタグ付きタンパク質の精製
E.coliペレットを溶解緩衝液に懸濁し、室温で30〜40分間混合した。溶解物を、30〜40000×gで20〜25分間遠心分離し、上清を洗浄緩衝液Aで平衡化したカラムにロードした(1mlのNi活性化キレートセファロースファストフロー樹脂を含むPoly−Prep)。ロードされた樹脂を、洗浄緩衝液Aで3回、洗浄緩衝液Bで3回洗浄した。最終2mMのDTTを含有するEppendorfチューブにおいて溶出緩衝液でタンパク質を溶出した。全溶出タンパク質を、Bradford試薬で定量し、その後、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析する(図15および16)。
【0297】
緩衝液
溶解緩衝液
10mlのB−PER(商標)(細菌タンパク質抽出試薬、Pierceカタログ78266)
MgCl2 0.1mMの最終濃度
DNAsi I(SigmaカタログD−4263)100ユニット
リゾチーム(SigmaカタログL−7651)1mg/mlの最終濃度
洗浄緩衝液A:50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、pH8.0
洗浄緩衝液B:20mMのイミダゾール、50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、pH8.0
溶出緩衝液:250mMのイミダゾール、50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、pH8.0。
【0298】
(実施例17)
タグなしタンパク質の精製
溶解物調製
約80〜110gの細菌培養ペレットを、6錠のCOMPLETE(登録商標)プロテアーゼインヒビター、10mlの0.2M EDTA pH7.5(5mMの最終濃度)、10mlの100mg/mlリゾチーム溶液、8mlの10000Kユニット/ml DNAse I溶液および1mlの50mM MgCl2溶液を追加した200〜280ml B−PER(商標)試薬(Pierce)に懸濁した。細菌懸濁物を60分間、均一な懸濁物が得られるまで振盪することによって細菌溶解を達成した。
【0299】
13000rpm(25400×g)での60分間の遠心分離後、上清を0.22μmフィルターを用いて濾過し、1.8〜1.9mS伝導率が得られるまでH2Oで希釈する。pHを8.0に調整した。タンパク質濃度をBradford法により決定した。
【0300】
陰イオン交換クロマトグラフィー
上記のように処理された溶解物由来の上清を、30mMのTRIS、pH8.0であらかじめ平衡化したHP50/10Qセファロースカラム(約200ml)にロードした。フロースルー(flow−through)を収集した。Spy0167タンパク質を含有する画分をプールし、10mMのNaホスフェート、pH6.8に対して透析した。タンパク質濃度を、Bradford法により決定した。
【0301】
緩衝液A:30mMのTRIS、pH8.0
緩衝液B:30mMのTRIS、1MのNaCl、pH8.0
平衡およびローディング:0%B
勾配:0〜25%Bの5CV−25%Bの2CV
洗浄:100%B 2CV+3CV
流量:20ml/分
画分容積:14ml。
【0302】
ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー
前に得たプールを、10mMのNaホスフェート、pH6.8であらかじめ平衡化したCHT20カラムにロードした。フロースルーを収集した。
【0303】
緩衝液A:10mMのNaホスフェート、pH6.8
緩衝液B:500mMのNaホスフェート、pH6.8
洗浄:8CV
洗浄:30%Bの6CV
勾配:30〜100%B(10CV)
洗浄:100%B
流量:5ml/分
画分容積:5ml。
【0304】
画分アリコートを、還元条件および非還元条件下で12%Criterionゲルにロードした。Spy0167タンパク質を含む画分をプールし、タンパク質濃度をBradford法により決定した。
【0305】
ゲル濾過クロマトグラフィー
収集されたプールを、10ml未満の容積を得るためのAmiconフィルターを用いて濃縮した。濃縮した材料を、少なくとも3〜4カラム容積のPBSで平衡化したHiLoad Superdex200 26/60にロードした。
【0306】
緩衝液:PBS
溶出:アイソクラチック(Isocratic)
流量:2.5ml/分
画分容積:5ml。
【0307】
Spy0167タンパク質を含む画分をプールし、タンパク質濃度をBradfordにより決定した。タンパク質濃度のさらなる推定を、Abs0.1%(=1g/l)を1.119とみなすUV測定により行った。タンパク質純度を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析する(図18)。
【0308】
(実施例18)
溶血アッセイ
定量的溶血アッセイについてのプロトコール
毒素の段階希釈物を、PBS+0.5%BSAを使用して、U字形底の96ウェルプレートに調製した。1mlのヒツジ血液をPBS中で3回洗浄し(3000×gで遠心分離して)、血球細胞を5mlのPBSに懸濁した。等容積の懸濁物を50μlの各毒素希釈物に添加し、37℃で30分間インキュベートした。Triton(2%)水溶液を使用して100%溶血を得、PBS+0.5%BSAをネガティブコントロールとして使用した。次に、プレートを1000×gで5分間遠心分離し、上清を96ウェル平底プレートに慎重に移した。吸光度は540nmで読み取った。
【0309】
野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを含むE.coli抽出物の比較
Spy0167 P427Lをコードする遺伝子を、SF370 M1ゲノムからPCRを使用して増幅し、Hisタグ付きタンパク質のE.coli BL21DE3における発現を可能にするベクターpET21b+へクローニングした。類似した量の野生型および変異型ストレプトリジンOタンパク質を発現するE.coliの可溶性抽出物(図12参照)を使用して、溶血アッセイを実施し、その2つの抗原の細胞溶解特性を比較した。アッセイの結果は図9に示しており、変異型タンパク質は、毒性が野生型の多くとも100分の1であることを実証している。
【0310】
精製された野生型Spy0167とSpy0167変異体P427Lの比較
Spy0167 P427L変異体を、Hisタグ付き組換えタンパク質についての精製標準手順に従って精製した(図10)。様々な濃度の精製されたwtおよび変異型タンパク質を使用して、溶血アッセイを繰り返し、これにより細胞溶解活性の減少を確認した(図11)。
【0311】
Hisタグ付きおよびタグなし野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを含むE.coli抽出物の溶血活性
本発明者らは、Hisタグなしの野生型組換えSpy0167(rSpy0167)(BL21 DE3、Novagen No.71382−pET24)およびHisタグなしP427L変異体rSpy0167(BL21 DE3、Novagen No.71382−pET24)で形質転換されたE.coli溶解物の溶血活性を比較した。挿入なしのpET24で形質転換されたE.coli BL21 DE3(Novagen No.71382)をネガティブコントロールとして使用した。ポジティブコントロールは、水中2%Tritonを含む低張性液であった。ネガティブコントロールはタンパク質希釈緩衝液(0.5%BSAを含むPBS、pH7.4)であった。
【0312】
溶血については、上清の540nm(A540nm)における吸光度を測定することにより決定した。力価を、最大A540nmの50%を有する希釈度(dilution)として計算した。
【0313】
結果は、表6および7にならびに図13に示している。これらのデータから、同じ条件下で、変異体P427Lが野生型Spy0167の1000分の1の溶血性であることが実証される。
【0314】
【表6】
【0315】
【表7】
野生型Spy0167と様々なSpy0167変異体の比較
野生型Spy0167の溶血活性を、いくつかの異なるSpy0167変異体の溶血活性と比較した。結果は図20および下の表8に示している。1溶血単位(HU)は、血球を2%Tritonで処理して得られた最大溶解の50%を得るために必要とされる毒素量として定義される。
【0316】
【表8】
タンパク質純度の違いによって、太字で示される変異体の溶血単位/mgは過剰に見積もられている(overestimate);しかしながら、(1)変異体W535Fは変異体C530Gよりも溶血性が低いこと;(2)変異体P427Lは野生型の約1000分の1の溶血性であり、他の2つの変異体W535FおよびC530Gの約6分の1〜25分の1の溶血性であること;ならびに(3)変異体Δ248は野生型よりも確実に溶血性が低いことは明らかである。
【0317】
コレステロールの効果
30℃での細胞増殖、および25℃での1mM IPTGでの誘導、およびOD600nm約0.4〜0.6の後に得られた、E.coli溶解物またはコレステロール200mg/mlを含むE.coli溶解物のPBS−BSA0.5%における2〜5倍段階希釈物を、それらの溶血活性についてアッセイした。誘導の3時間後、溶解緩衝液(B−PER溶液−PIERCE)、1mMのMgCl2、100Kユニット/mlのDNAse(Sigma)およびリゾチーム(Sigma)で30〜40分間細菌を溶解することにより得られた等容積のタンパク質調製物で、PBS中2%ヒツジ赤血球溶液の50マイクロリットルを処理した。その後、不溶性画分を遠心分離し(15分間、21000×g、4℃)、上清(E.coli溶解物)を、最終濃度5mMでDTTを含有する新しいEppendorfチューブに移した。
【0318】
この条件下で、コレステロールは、100倍希釈率が使用されるまで、野生型Spy0167も変異体Spy0167も阻害しなかった。したがって、変異体誘導溶解への効果は全くなかった。対照的に、野生型誘導溶解は大幅に低下した。ネガティブコントロールによって誘導された溶解はコレステロールの影響を受けず、そのことにより、コレステロール誘導性阻害が特異的であることが示唆される。表9および図14を参照のこと。
【0319】
【表9】
(実施例19)
溶血の阻害
プロトコール
(アジュバントを含まない、またはアジュバントとしてミョウバンもしくはMF59(商標)を含む)野生型または変異体Spy0167タンパク質で免疫化したマウス由来の血清の段階2倍希釈物を、U字形底の96ウェルプレートでPBS+0.5%BSAを用いて、調製した。必要に応じて、PBSでまたはアジュバントのみで免疫化したマウスの血清をネガティブコントロールとして使用した。PBS+0.5%BSA中の50〜100ng/ml(3.5〜7 HU)の毒素溶液を等容積加え、プレートを撹拌(800rpm)しながら、室温で20分間インキュベートした。インキュベーション後、この溶液の50mlを新しい96ウェルプレートに移し、(PBSで3回洗浄した)等容積のヒツジ赤血球懸濁物を添加し、37℃で30分間インキュベートした。その後、プレートを1000×gで1分間遠心分離し、上清を96ウェル平底プレートに慎重に移し、吸光度を540nmで読み取った。下記の結果では、阻害力価は、Triton誘導溶血を50%低下させた血清希釈度として表される。
【0320】
野生型Spy0167抗血清によるSpy0167溶血の阻害
抗野生型Spy0167抗血清によるSpy0167溶血の阻害は、図21〜23および表10〜12に示している。抗Spy0167血清力価は、1/7,000〜1/14,000の間に含まれる(相加平均、1/12,167±2,714)。ネガティブコントロール血清(フロイントアジュバント)力価は、1/375と1/4,000との間に含まれる(相加平均、1/1,854±1,384)。
【0321】
【表10】
【0322】
【表11】
【0323】
【表12】
野生型Spy0167、化学的に解毒された野生型Spy0167およびSpy0167変異体の溶血活性の力価測定
野生型Spy0167、化学的に解毒された野生型Spy0167およびSpy0167変異体(P427L;P427L+W535F)の溶血活性の力価測定は表13に示している。
【0324】
【表13】
変異体Spy0167タンパク質に対する抗血清によるSpy0167溶血の阻害
変異体Spy0167タンパク質に対する抗血清によるSpy0167溶血の阻害は、図27〜29および表14〜16に示している。50ng/ml(3.5 HU)の毒素を使用して、Spy0167変異体W535−P427LについてのSpy0167溶血活性の50%低下を得るために必要とされる血清希釈度は、ミョウバンアジュバントを使用して1/17,860であり、MF59(商標)アジュバントを使用して1/7991である。ネガティブコントロール(アジュバントのみ)力価は1/1,000(ミョウバン)および1/125(MF59(商標))である。
【0325】
【表14】
【0326】
【表15】
【0327】
【表16】
(実施例20)
インビボ防御実験
精製されたSpy0167 P427Lタンパク質を、フロイントアジュバントと共に、40匹のマウスへ腹腔内投与した。その後、3348M1 GAS菌株でマウスを鼻腔内でチャレンジした。表17は3つの別々の実験で得られたデータを報告し、100%防御がすべての実験で一貫して達成されたことを示している。
【0328】
【表17】
10〜20匹のマウスの群を20μgの組換えタンパク質で、0日目、21日目および35日目に免疫化した。ネガティブコントロール群のマウスについては、使用されるGAS組換えタンパク質のバージョンに依存して、GSTのみかまたはE.coli夾雑物かのいずれかで免疫化した。3回目の免疫化の2週間後、血液試料を採取した。2〜3日後、免疫化マウスを、108cfu(50μl)のM1 3348GAS菌株で鼻腔内でチャレンジした。マウスの生存を10〜14日間モニターした。異なる群から得られた免疫血清を、Spy0167組換えタンパク質全体に対する免疫原性について試験した(ウェスタンブロット分析)。結果は表18および19に示している。
【0329】
【表18】
【0330】
【表19】
(実施例21)
インビボの毒性試験
プロトコール
Spy0167の静脈内注射。野生型または変異体Spy0167のいずれかのPBS中の溶液を、PBS+2mM DTTの溶液中に希釈し、その後、マウスの尾静脈に100mlを注射する。マウスを2〜3日間観察する。野生型Spy0167の注射は、典型的には数分以内で死をもたらす。
【0331】
インビボの致死性阻害アッセイ。免疫血清により媒介される致死性阻害のために、10μg/マウスの野生型Spy0167(PBS、2mMのDTT中100μg/mlの溶液)を、抗Spy0167血清か、またはコントロール血清(アジュバントのみで免疫化したマウスから得られる)のいずれかと共に室温で20分間、撹拌しながらインキュベートする。インキュベーション後、その試料を尾静脈への静脈内注射によりマウスに接種する。マウスを2〜3日間観察する。
【0332】
野生型Spy0167および変異体Spy0167 P427L−W535Fの結果は表20に示している。
【0333】
【表20】
急性のインビボの急性毒性を、ポジティブコントロールとして10μg/マウスの用量の野生型Spy0167およびネガティブコントロールとしてフロイントアジュバントのみの注射を使用して評価した。10μg/マウスの野生型Spy0167を、野生型Spy0167抗血清かまたはコントロール血清のいずれかと共にインキュベートし、上記のようにマウスに接種した。結果は表21に示している。
【0334】
【表21】
上記の通りに実施されたもう一組の実験結果は表22および23に示す。インビボの急性毒性を、5μg/マウスまたは10μg/マウスのいずれかの野生型Spy0167を使用して評価した。特に、10μg/マウスの野生型Spy0167については、Spy0167 P427L−W535Fで免疫化したマウス由来の血清かまたはPBSのみ(血清なし)のいずれかとあらかじめインキュベートした。加えて、5μg/マウスの野生型Spy0167については、Spy0167 P427L−W535Fで免疫化されたマウス由来の血清またはネガティブコントロール血清としてPBSプラスアジュバント(ミョウバン)で免疫化したマウス由来の血清のいずれかとあらかじめインキュベートした。
【0335】
結果は、野生型Spy0167の致死用量は、抗Spy0167 P427L−W535F血清により中和されるが、同じ希釈度でのネガティブコントロール血清によっては中和されないことを示している。
【0336】
【表22】
【0337】
【表23】
(実施例22)
Spy0167 P427L−W535Fでの免疫化は野生型Spy0167の静脈内注射からマウスを防御する
マウスに、野生型Spy0167かまたはSpy0167変異体P427L−W535Fのいずれかで、アジュバントとしてミョウバンを使用して(2mg/ml水酸化アルミニウム中20μgのタンパク質)、腹腔内に3回(0日目、21日目および35日目)免疫処置を行った。アジュバントのみで免疫化したマウスをネガティブコントロールとして使用した。55日目に、マウスに、PBS、2mM DTT中の様々な濃度の野生型Spy0167の溶液を静脈内注射し、少なくとも72時間モニターした。結果は表24に示している。
【0338】
【表24】
5μg/マウスの野生型Spy0167は、アジュバントのみで免疫化したマウスには致死的であり、これらのマウスはSpy0167注射から数分以内に死亡した。しかし、20μg/マウスの同じ野生型Spy0167調製物においてさえ、野生型Spy0167またはP427L−W535F Spy0167変異体のいずれかで免疫化されたマウスは死亡しなかった。
【0339】
(実施例23)
GAS M1株を用いた鼻腔内チャレンジに対するSpy0167変異体P427L−W535Fによる防御
30匹のマウスを、Spy0167変異体P427L−W535Fで、アジュバントとしてのミョウバンまたはMF59のいずれかと共に、腹腔内で免疫化し、GAS M1株で鼻腔内チャレンジした。結果は図30に示している。Spy0167変異体P427L−W535Fとミョウバンで免疫化されたマウスの77%は、ネガティブコントロールマウス(アジュバントのみで免疫化された)の3%と比べて、GAS M1株での鼻腔内チャレンジから防御された。Spy0167変異体P427L−W535FとMF59で免疫化されたマウスの90%は、ネガティブコントロールマウス(アジュバントのみで免疫化された)の10%と比べて、GAS M1株での鼻腔内チャレンジから防御された。これらの防御レベルは、野生型Spy0167でマウスを免疫化することにより得られる防御レベルに匹敵する。
【0340】
(実施例24)
GAS抗原で免疫されたマウスのインビボ防御研究
本実施例は、異なるM型のGAS菌株を用いたチャレンジが続く、GAS抗原の様々な組み合わせおよび/またはCRM197(GC)と結合体化されたGAS特異的多糖を用いて実施した免疫原性/防御試験の結果を提供する。GASタンパク質およびGCは、フロイントアジュバント、水酸化アルミニウム、またはMF59のいずれかと共に処方した。タンパク質抗原の用量は、単独で使用される場合は20μgであり、タンパク質組み合わせ処方物は、野生型Spy0269(配列番号177)およびSpy0416 D151A/S617A(配列番号198)をそれぞれ20μgならびにSpy0617 P427L/W535F(配列番号125)を10μg含有していた。GC用量は表に示している。
【0341】
免疫スケジュールは、0日目、21日目および35日目の3用量を含んだ。放血は最初の免疫化前および3回目の免疫化の2週間後に行った。ネガティブコントロール群はアジュバントのみで免疫化した。ポジティブコントロール群は、チャレンジ株に相同なMタンパク質で免疫化した。
【0342】
3回目の免疫化の2週間後、マウスを、使用されるチャレンジ株に応じて、2.5×106から2.5×108(鼻腔内感染)または20から2.5×106(腹腔内感染)の範囲の致死的用量に感染させた。生存率を決定し、表25および26に報告している。p値はフィッシャー検定を用いて計算した。
【0343】
免疫原性はELISAにより試験した。
【0344】
M1、M12、およびM23での鼻腔内感染に対するフロイントアジュバント中の単一抗原およびその組み合わせによる防御
表25は、マウスを、フロイントアジュバントと共に処方したSpy0269(配列番号177)、Spy0416 D151A/S617A(配列番号198)、もしくはSpy0617 P427L/W535F(配列番号125)、またはこれらの抗原の組み合わせ(「コンボ」)で免疫化し、次に、M1、M12およびM23株で鼻腔内でチャレンジした実験の結果を報告している。結果は、
a.Spy0269は、M1、M12およびM23感染に対して統計的に有意な防御を与える;
b.Spy0416 D151A/S617AおよびSpy0617 P427L/W535FはM1血清型での鼻腔内感染に対して顕著な防御を与える、ならびに、
c.Spy0269、Spy0416 D151A/S617AおよびSpy0617 P427L/W535Fの組み合わせは、M1、M12およびM23GAS血清型に対して40%を超える防御を与える
ことを示している。
【0345】
【表25】
M1での腹腔内感染に対するミョウバンと共に処方したGAS25、GAS40、およびGAS57抗原プラスGCの組み合わせによる防御
表26は、マウスを、ミョウバンと共に処方したGCを伴なうかまたはそれなしでのSpy0167変異体P427L/W535F、野生型Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617Aの組み合わせ(「コンボ」)で免疫化し、次に、M1で腹腔内チャレンジした実験の結果を報告している。結果は、タンパク質の組み合わせだけでもタンパク質の組み合わせプラスGCでも統計的に有意な防御が得られたことを示している。したがって、組み合わせにおいてでさえ、これらのGAS抗原の並はずれた免疫原性が維持されている。
【0346】
【表26−1】
(実施例25)
細胞結合アッセイ
ヒト(A549、HeLa、293、Detroit、ME180)またはサル(LLCMK2)上皮細胞系統を、細胞解離溶液(Sigma)を使用してその担体から非酵素的に引き離し、収集し、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に懸濁する。ほぼ2×105細胞を、U字形底の96ウェルプレートで、培地のみと、または様々なSpy0269組換えタンパク質濃度(μg/ml)の培地と200mlの全容積で混合する。4℃でのインキュベーションを1時間実施する。PBSで2回洗浄した後に、細胞をSpy0269抗体または抗血清(例えば、抗血清は;PBS/BSA1%中1対200)と共に4℃で1時間インキュベートする。2回の洗浄後、試料を、二次抗体と共に4℃で30分間インキュベートする(例えば、マウスSpy0269抗血清では、二次抗体は、PBS/BSA1%中1対100に希釈されたマウス免疫グロブリンに特異的なR−フィコエリトリン−結合体化ヤギF(ab)2抗体であり得る)。結合反応はフローサイトメトリーにより分析する。集団ごとの平均蛍光強度を計算する。
【0347】
(実施例26)
オプソニン作用アッセイ
本実施例は、下の実施例において使用されるオプソニン作用アッセイを記載している。手短に言えば、細菌(10〜50コロニー形成ユニット、CFU、PBS中25μl)を、アジュバントだけでまたは試験される抗原(単数または複数)でのいずれかで免疫化したウサギ由来の全血225μlと共にインキュベートする。試料を37℃で5時間、転倒回転させながらインキュベートする。希釈に続いて、試料を血液寒天プレート上に蒔き、CFU数を評価する。
【0348】
このアッセイでは、アジュバントだけで免疫化した動物由来の血清によるバックグラウンド死滅は7〜36%の範囲である。抗原による死滅活性は様々であるが、一貫してポジティブである(例えば、M1抗体では72〜97%、GC抗体では47〜64%、ならびに野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)およびSpy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)の組み合わせに対して産生された抗体では76〜85%)。
【0349】
(実施例27)
抗複合糖質(GC)抗体がS.pyogenesの死滅を媒介することを実証する全血殺菌アッセイ
実施例26に記載されるアッセイは、100μgGCで免疫化したウサギから得られた全血を使用して実施した。その結果は、図34に示しているが、抗GC抗体がS.pyogenesの死滅を媒介することを実証している。
【0350】
(実施例28)
抗複合糖質(GC)抗体とGAS抗原組み合わせに対して産生された抗体との組み合わせがS.pyogenesの死滅を増強することを実証する全血殺菌アッセイ
実施例26に記載されるアッセイは、(a)フロイントアジュバント、(b)M1タンパク質、(c)野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)およびSpy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)(それぞれ100μg)の組み合わせ、(d)GC、ならびに(e)野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)、Spy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)およびGCの組み合わせで免疫化されたウサギから得られた全血を用いて実施した。結果は図35に示している。
【0351】
GASワクチンは殺菌性および免疫原性であることが望ましい。これらの結果は、組み合わせにおいてさえ、これらのGAS抗原が殺菌活性を有することを実証している。前記結果はまた、GAS抗原組み合わせまたはGC抗原だけのどちらの殺菌効果と比べても、GAS抗原とGC抗原との組み合わせの殺菌効果のほうが高いことも実証している。
【0352】
(実施例29)
GAS抗原の細胞毒性の欠如を実証する実験
ヒト脳微小血管内皮細胞(HBMEC)を、RPM1 1640培地において様々な濃度の組換えGAS抗原を用いてインビトロで24時間処理した。ネガティブコントロールは無処置であり(「NT」)、TNFα 1μg/mlで処理した細胞をポジティブコントロールとして使用した。アネキシンVおよびヨウ化プロピジウム染色を使用して、フローサイトメトリーによりアポトーシス細胞の割合を測定した。これらの実施例において使用された野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)、Spy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)および複合糖質(「GAS GC」)の濃度では顕著な毒性はないことを結果は示している。図36A〜Dを参照のこと。
【0353】
(実施例30)
タンパク質抗原保存および発現
下の表は、57、49、および13S.pyogenes株間のそれぞれSpy0269、Spy0416、Spy0167ごとの平均同一性割合を示している。
【0354】
【表26−2】
(実施例31)
ELISAアッセイ
簡単に述べると、プレートを抗原(0.1〜0.3μg/ウェル)でコーティングし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中2%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックする。試験される血清の2倍段階希釈物とのインキュベーション後、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中2%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.05%TWEEN20(登録商標)で洗浄し、アルカリホスファターゼに結合体化された二次抗体(抗全IgG、1対2000)と共にインキュベートする。基質のp−ニトロフェニルホスフェート(pNPP、3μg/ml)とインキュベートした後、吸光度を405nmで測定する。血清力価を、標準曲線からODを内挿することにより計算する。図37A〜Dに示されるように、このアッセイは線形であり再現性がある。
【0355】
(実施例32)
インビボチャレンジ実験
5〜6週齢の雌性CD1マウスを、0日目、21日目、および35日目に3回、PBS中のミョウバンをアジュバントとする様々な用量のGAS抗原で腹腔内で免疫化し、S.pyogenesの様々な菌株で、鼻腔内(LD90細菌量を含有する50ml Todd Hewitt)または腹腔内(LD90細菌量を含有する200μl Todd Hewitt)のいずれかでチャレンジした。結果は表27および28に示している。表27および28では、「40」、「25」、および「57」はそれぞれ野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)、およびSpy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)である。
【0356】
【表27】
【0357】
【表28】
(実施例33)
ミョウバンの含有は菌株M1 3348に対する防御を与える
本実施例は、Spy0167と組み合わせ処方物の両方におけるミョウバンの含有がS.pyogenes株M1 3348に対する防御を与えることを実証している。
【0358】
5〜6週齢の雌性CD1マウスを、Spy0167(GAS25)10μgでまたはSpy0167(10μg)をSpy0269(GAS40、20μg)およびSpy0416(GAS57、20μg)と共に組み合わせて(「組み合わせ」)、ミョウバンと共にまたはそれなしで、免疫化した。動物は0日目、21日目および35日目の3用量で腹腔内で免疫化した。M1 3348を用いた鼻腔内チャレンジは、基本的に実施例4に記載された通りに実施した。結果は表29に示している。
【0359】
【表29】
(実施例34)
GAS抗原処方物の安定性
100μg/ml Spy0269(PBS中1mg/ml溶液)、100μg Spy0416二重変異体D151A/S617A(PBS中1mg/ml溶液)、50μg Spy0167二重変異体P427L/W535F(PBS中1mg/ml溶液)、2mg/ml水酸化アルミニウム、10mM ヒスチジン緩衝液(pH7.0)、9g/l 塩化ナトリウムを含有する組み合わせGAS抗原処方物のpH7.0+/−0.3、重量オスモル濃度300+/−20 mOsm/kgでの安定性およびインビボでの効力は、抗原完全性のSDS−PAGE分析により試験した。処方物は4℃で1年まで安定である。抗原の安定性を、1年の期間にわたり2〜8℃でインキュベートすることにより評価した。SDS−PAGEで評価した場合、3種のタンパク質成分すべてが1年後極めて安定であることが分かった。タンパク質抗原は、2〜8℃で少なくとも36週間の間、ミョウバンに吸着されたままである(>97.5%)。
【0360】
(実施例35)
Spy0416抗体およびSpy0167抗体の効果
本実施例は、Spy0416およびSpy0167に対する抗体が毒性活性をブロックすることを実証している。
【0361】
Spy0416:Spy0416を、Spy0416に対して高いELISA力価を有するマウス特異的血清のプールと共にまたはヒト血清と共にあらかじめインキュベートした。次に、混合物をIL−8(10μg/ml)と共にインキュベートし、次に、サイトカインに特異的であるが切断された不活型を認識することができない抗体を使用して、切断されていないIL−8の存在について試験した。結果は、以下の通りに計算された切断されていないIL−8の割合として表している。
【0362】
【化13】
「コントロール混合物」は時点0で酵素のない反応混合物である。
【0363】
Spy0167:野生型Spy0167を、20μgのSpy0167 P427L/W535Fまたはアジュバントのみのどちらかで免疫化したマウス由来の血清のプールと共に、ならびにレスポンダー(responder)およびノンレスポンダー(non responder)由来のヒト血清と共にあらかじめインキュベートした。混合物をヒツジ血球懸濁物に添加し、反応上清のOD540nmの低下を決定した。阻害力価は、Spy0167誘導溶血を50%低下させるのに必要とされる血清希釈度として表している。
【0364】
結果は、図41A〜Bに示している。
【0365】
(実施例36)
用量範囲実験
5週間齢の雌性CD1マウスを、0日目、21日目、および35日目に、野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0416変異体D151A/S617A(配列番号198)、およびSpy0167変異体P427L/W535F(配列番号125)の様々な用量で免疫化した。マウスにおける用量依存性IgG応答を、実施例31に記載される通りに、ELISAにより測定した。結果は、図38A〜Cに示している。
【0366】
マウスを様々な濃度の個々のGASタンパク質抗原で免疫化し、S.pyogenes M1を用いて鼻腔内でチャレンジした。結果は、表30に示している。
【0367】
【表30】
表30に示されるように、明確な用量依存性防御は存在せず、様々な濃度のこれらの抗原がS.pyogenesチャレンジに対する防御を達成するのに有用であることを示している。
【0368】
マウスを、様々な濃度の、20μgの野生型Spy0269(配列番号177)、10μgのSpy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)、および20μgのSpy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)の組み合わせで免疫化し、S.pyogenes M1を用いて鼻腔内でチャレンジした。結果は、表31に示している。
【0369】
【表31】
上に記載される単一抗原用量実験の場合と同様に、明確な用量依存性防御は存在せず、組み合わせでも、様々な濃度のこれらの抗原がS.pyogenesチャレンジに対する防御を達成するのに有用であることを示している。
【0370】
結果は図39にまとめている。図40は、平均生存時間(MST;Mu)の第1近似として採用された対数正規モデルの分析を示している。
【図3D】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、免疫学およびワクチン学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
A群連鎖球菌(「GAS」、S.pyogenes)はよく見られるヒト病原体であり、疾患の徴候なく、正常な個人の5〜15%間に存在すると推定されている。しかし、宿主防衛が損なわれる場合、その生物が毒力を発現することができる場合、またはその生物が脆弱な組織もしくは宿主に導入される場合、急性感染症が生じる。関連する疾患には、産褥熱、猩紅熱、丹毒、咽喉炎、膿痂疹、壊死性筋膜炎、筋炎、および連鎖球菌毒素ショック症候群が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
GASに対して使用するための予防ワクチンを開発する努力が何十年と継続されている。しかし、現在一般に入手可能なGASワクチンはない。当技術分野にはかかるワクチンの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の詳細な説明
本発明は、S.pyogenes感染を処置する、前記感染のリスクを軽減するおよび/または前記感染を予防するのに有用な多成分組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、子供においてS.pyogenes感染により引き起こされる咽頭炎に対して効果的な予防を提供するワクチン組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、皮下チャレンジ(challenge)マウスモデルにおけるGAS抗原組み合わせの防御能を示すグラフである。「GAS57」、Spy0416;「GAS25」、Spy0167;「GAS40」、Spy0269(配列番号177);「dGAS57」、Spy0167変異体D151A/S617A(配列番号198);「dGAS25」、Spy0167変異体P427L/W535F(配列番号125)。
【図2】図2は、Spy0416点変異体D151AがIL−8を切断する能力を失っていることを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真(photomicrograph)である。「57」、Spy0416(GAS57)。
【図3】図3は、Spy0416点変異体D151AがIL−8を切断する能力を失っていることを示すELISAアッセイの結果を示すグラフである。
【図4】図4A〜Bは、Spy0416単一変異体D151AおよびS617Aならびに変異体D151A+S617AがSpy0416タンパク質分解活性を失っていることを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。
【図5】図5は、単一変異体D151AおよびS617AならびにSpy0416変異体D151A+S617AがSpy0416(「57」)タンパク質分解活性を失っていることを示すELISAアッセイの結果を示すグラフである。
【図6】図6は、野生型Spy0416が、翻訳後修飾されて150.5kDaおよび23.4kDaの2つのポリペプチドフラグメントになることを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。
【図7】図7は、野生型(黒色矢印)と比べて、Spy0416変異体D151A、S617A、およびD151A+S617Aが翻訳後修飾されて150.5kDaおよび23.4kDaの2つのポリペプチドフラグメントにはならないことを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。プロセシングされていないタンパク質に対応する174kDaの主要バンドが、代わりに、不活性変異株(灰色矢印)に対応するレーンに存在する。「57」、Spy0416。
【図8】図8は、2つの異なる実験条件における、Spy0416(「57」)に対するポリクローナル抗血清によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害を示すELISAアッセイの結果である。図8A、8時間インキュベーション、0.1μg/mlのSpy0416。図8B、24時間インキュベーション、0.05μg/mlのSpy0416。
【図9】図9は、野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを含むE.coli抽出物を用いる溶血アッセイの結果を示すグラフである。
【図10−1】図10は、精製Spy0167変異体P427Lを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。
【図10−2】図10は、精製Spy0167変異体P427Lを示すSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。
【図11−1】図11は、精製野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを用いる溶血アッセイの結果を示すグラフである。
【図11−2】図11は、精製野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを用いる溶血アッセイの結果を示すグラフである。
【図12】図12は、E.coli溶解物上清のSDS−ポリアクリルアミドゲルの顕微鏡写真である。レーンA、E.coliネガティブコントロール;レーンB、タグなしのrSpy0167野生型;レーンC、タグなしのrSpy0167 P427L;およびレーンD、タグなしの精製rSpy0167野生型(5mg)。
【図13】図13は、同一条件下では、Spy0167変異体P427Lが野生型Spy0167の1000分の1の溶血性であることを示すグラフである。
【図14】図14は、野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lによる溶血へのコレステロールの効果を示すグラフである。
【図15A】図15は、細胞抽出物におけるタグなし全タンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。図15A、Spy0167野生型およびP427Lタグなしタンパク質の発現;図15B、Spy0167 P427L+W535、P427L+C530G、およびP427L+C530G+W535Fタグなしタンパク質の発現。
【図15B】図15は、細胞抽出物におけるタグなし全タンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。図15A、Spy0167野生型およびP427Lタグなしタンパク質の発現;図15B、Spy0167 P427L+W535、P427L+C530G、およびP427L+C530G+W535Fタグなしタンパク質の発現。
【図16】図16は、細胞抽出物におけるHisタグ付き全タンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。
【図17】図17は、精製されたHisタグ付きタンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。
【図18A】図18は、精製されたタグなしタンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。図18A、レーン:A、Spy0167野生型タグなし;B、Spy0167 P427Lタグなし;分子量マーカー(116−66.2−45−35−25−18.4−14.4);黒色矢印は、変異体クローンおよび野生型クローンから精製されたSpy0167タンパク質を示している。図18B、レーンA、Spy0167野生型タグなし(3μg)、レーンB、Spy0167 P427L−W535Fタグなし(3μg);分子量マーカー(116−66.2−45−35−25−18.4−14.4);黒色矢印は、変異体クローンおよび野生型クローンから精製されたSpy0167タンパク質を示している。
【図18B】図18は、精製されたタグなしタンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。図18A、レーン:A、Spy0167野生型タグなし;B、Spy0167 P427Lタグなし;分子量マーカー(116−66.2−45−35−25−18.4−14.4);黒色矢印は、変異体クローンおよび野生型クローンから精製されたSpy0167タンパク質を示している。図18B、レーンA、Spy0167野生型タグなし(3μg)、レーンB、Spy0167 P427L−W535Fタグなし(3μg);分子量マーカー(116−66.2−45−35−25−18.4−14.4);黒色矢印は、変異体クローンおよび野生型クローンから精製されたSpy0167タンパク質を示している。
【図19】図19は、精製されたタグなしSpy0167(「GAS25」)野生型タンパク質のSDS−PAGE分析の顕微鏡写真である。野生型Spy0167の様々な精製ロットの試料を、還元条件下および非還元条件下で分析した。
【図20】図20は、Hisタグ付きSpy0167変異体の溶血試験の結果を示すグラフである。
【図21】図21は、抗Spy0167抗血清によるSpy0167誘導溶血活性の阻害を示すグラフである。
【図22】図22は、Spy0167溶血の抗Spy0167抗血清阻害の力価測定(titration)を示すグラフである。
【図23】図23は、Spy0167溶血活性の力価測定を示すグラフである。
【図24】図24は、野生型Spy0167、化学的に解毒された野生型Spy0167、およびSpy0167変異体(P427L;P427L+W535F)の溶血活性の力価測定を示すグラフである。
【図25】図25は、野生型Spy0167およびSpy0167変異体(P427L;P427L+W535F)の溶血活性の力価測定を示すグラフである。
【図26】図26は、野生型Spy0167および化学的に解毒された野生型Spy0167の溶血活性の力価測定を示すグラフである。
【図27】図27は、Spy0167溶血活性の50%低下を得るのに必要とされるSpy0167(「gas25」)変異体P427L+W535Fに対する抗血清の希釈度を示すグラフである(50ng/ml Spy0167)。
【図28】図28は、Spy0167溶血活性の50%低下を得るのに必要とされるSpy0167(「gas25」)変異体P427L+W535Fに対する抗血清の希釈度を示すグラフである(100ng/ml Spy0167)。
【図29】図29は、溶血阻害アッセイが、100%溶血を可能にする毒素濃度で行われたことを示す力価測定曲線である。
【図30】記載なし
【図31A】図31A〜GGは、異なる株/M型由来のSpy0416(「gas57」)抗原のアラインメントを示す。トライアド触媒(D、H、S)は太黒色文字である。図31A、アミノ酸1〜50(アミノ酸番号は各図の上に示されている。10A〜GGは、Spy0416M1_SF370のアミノ酸配列、配列番号1のことである)。
【図31B】図31B、アミノ酸51−100。
【図31C】図31C、アミノ酸101−150。
【図31D】図31D、アミノ酸151−200。
【図31E】図31E、アミノ酸201−250。
【図31F】図31F、アミノ酸251−300。
【図31G】図31G、アミノ酸301−350。
【図31H】図31H、アミノ酸351−400。
【図31I】図31I、アミノ酸401−450。
【図31J】図31J、アミノ酸451−500。
【図31K】図31K、アミノ酸501−550。
【図31L】図31L、アミノ酸551−600。
【図31M】図31M、アミノ酸601−650。
【図31N】図31N、アミノ酸651−700。
【図31O】図31O、アミノ酸701−750。
【図31P】図31P、アミノ酸751−800。
【図31Q】図31Q、アミノ酸801−850。
【図31R】図31R、アミノ酸851−900。
【図31S】図31S、アミノ酸901−950。
【図31T】図31T、アミノ酸951−1000。
【図31U】図31U、アミノ酸1001−1050。
【図31V】図31V、アミノ酸1051−1100。
【図31W】図31W、アミノ酸1101−1150。
【図31X】図31X、アミノ酸1151−1200。
【図31Y】図31Y、アミノ酸1201−1250。
【図31Z】図31Z、アミノ酸1251−1300。
【図31AA】図31AA、アミノ酸1301−1350。
【図31BB】図31BB、アミノ酸1351−1400。
【図31CC】図31CC、アミノ酸1401−1450。
【図31DD】図31DD、アミノ酸1451−1500。
【図31EE】図31EE、アミノ酸1501−1550。
【図31FF】図31FF、アミノ酸1551−1600。
【図31GG】図31GG、アミノ酸1601−1650。M1_SF370、配列番号1;M1_31075、配列番号2;M1_31237、配列番号3;M1_3348、配列番号4;M2_34585、配列番号5;M3,1_21398、配列番号6;M44−61_20839、配列番号7;M6,31_20022、配列番号8;M11_20648、配列番号9;M23_2071、配列番号10;M18,3_40128、配列番号11;M4_10092、配列番号12;M4_30968、配列番号13;M6,31_22692、配列番号14;M68,5_22814、配列番号15;M68_23623、配列番号16;M2_10064、配列番号17;M2_10065、配列番号18;M77_10251、配列番号19;M77_10527、配列番号20;M77_20696、配列番号21;M89_21915、配列番号22;M89_23717、配列番号23;M94_10134、配列番号24;M28_10164、配列番号25;M28_10218、配列番号26;M29_10266、配列番号27;M28_10299、配列番号28;M28_30176、配列番号29;M28_30574、配列番号30;M6,9_21802、配列番号31;M75_10012、配列番号32;M75_20671、配列番号33;M75_30603、配列番号34;M75_30207、配列番号35;M22_20641、配列番号36;M22_23465、配列番号37;M3,1_30610、配列番号38;M3,1_40603、配列番号39;M3,28_24214、配列番号40;M3,34_10307、配列番号41;M4_40427、配列番号42;M3_2721、配列番号43;M12_10296、配列番号44;M12_10035、配列番号45;M12_20069、配列番号46;M12_22432、配列番号47;M4_40499、配列番号48;およびM6,1_21259、配列番号49。
【図32A】図32A〜GGは、異なる株/M型由来のSpy0269(「gas40」)抗原のアラインメントを示す。図32A、アミノ酸1〜50(アミノ酸番号は各図の上に示されている。10A〜GGは、Spy0269M1_SF370のアミノ酸配列、配列番号50のことである)。
【図32B】図32B、アミノ酸51−100。
【図32C】図32C、アミノ酸101−150。
【図32D】図32D、アミノ酸151−200。
【図32E】図32E、アミノ酸201−250。
【図32F】図32F、アミノ酸251−300。
【図32G】図32G、アミノ酸301−350。
【図32H】図32H、アミノ酸351−400。
【図32I】図32I、アミノ酸401−450。
【図32J】図32J、アミノ酸451−500。
【図32K】図32K、アミノ酸501−550。
【図32L】図32L、アミノ酸551−600。
【図32M】図32M、アミノ酸601−650。
【図32N】図32N、アミノ酸651−700。
【図32O】図32O、アミノ酸701−750。
【図32P】図32P、アミノ酸751−800。
【図32Q】図32Q、アミノ酸801−850。
【図32R】図32R、アミノ酸851−874。M1_SF370、配列番号50;臨床単離物_40s88、配列番号51;M11_2727、配列番号52;M22_20641、配列番号53;M22_23465、配列番号54;M22_23621、配列番号55;M3.1_30610、配列番号56;M3.1_40603、配列番号57;M3.34_10307、配列番号58;M3_MGAS315、配列番号59;M4_40427、配列番号60;M3_2721、配列番号61;M3_3040、配列番号62;M3_3135、配列番号63;M12_10035、配列番号64;M12_22432、配列番号65;M4_40499、配列番号66;M78_3789、配列番号67;M89_10070、配列番号68;M89_21915、配列番号69;M89_23717、配列番号70;M89_5476、配列番号71;M23_DSM2071、配列番号72;M4_2722、配列番号73;M4_10092、配列番号74;M4_30968、配列番号75;M4_2634、配列番号76;M28_10164、配列番号77;M28_10218、配列番号78;M28_10266、配列番号79;M28_10299、配列番号80;M28_30176、配列番号81;M28_4436、配列番号82;M8_2725、配列番号83;M44_3776、配列番号84;M6_2724、配列番号85;M6_2894、配列番号86;M6_3650、配列番号87;M6_5529、配列番号88;M5、配列番号89;M77_4959、配列番号90;M2_10064、配列番号91;M2_10065、配列番号92;M75_5531、配列番号93;M50_4538、配列番号94;M62_5455、配列番号95;M44_5481、配列番号96;M5_4883、配列番号97;M9?_2720、配列番号98;M2_2726、配列番号99;M12_20296、配列番号100;M1_2580、配列番号101;M1_2913、配列番号102;M1_3280、配列番号103;M1_3348、配列番号104;M78_3789、配列番号105;M?_2719、配列番号106。
【図33A】図33A〜Cは、異なる株/M型由来のSpy0167(「gas25」)抗原のアラインメントを示す。図33A、アミノ酸1〜150(アミノ酸番号は各図の上に示されている。10A〜GGは、Spy0167M1_SF370のアミノ酸配列、配列番号107のことである)。
【図33B】図33B、アミノ酸151−300
【図33C】図33C、アミノ酸301−500。M12_2096、配列番号108;M12_9429、配列番号109;M1_5005、配列番号110;M1_3348、配列番号111;M2_10270、配列番号112;M28_6180、配列番号13;M6_10394、配列番号114;M18_8232、配列番号115;M5_Manfredo、配列番号116;M3_315、配列番号117;M3_SSI、配列番号119;M4_10750、配列番号119。
【図34】図34は、抗複合糖質(GC)抗体がS.pyogenesの死滅を媒介することを示す全血殺菌アッセイの結果を示すグラフである。
【図35】図35は、抗複合糖質(GC)抗体とGAS抗原組み合わせに対して産生された抗体の組み合わせがS.pyogenesの死滅を増強することを示す全血殺菌アッセイの結果を示すグラフである。「フロイント」、フロイントアジュバント;「M1」、S.pyogenes M1タンパク質;「COMBO」、Spy0416変異体D151A/S617A、Spy0167変異体P427L/W535F5、および野生型Spy0269;「GC」、CRM197に結合体化されたGAS多糖抗原。
【図36】図36A〜Dは、様々な抗原をポジティブ(腫瘍壊死因子α、TNF−α)およびネガティブ(NT、無処理)コントロールと比較する細胞毒性アッセイの結果を示すグラフである。図36A、Spy0269(GAS40、配列番号177);図36B、Spy0416(GAS57)およびGAS57変異体D151A/S617A(GAS57 DM、配列番号198);図36C、Spy0167(GAS25)およびGAS25変異体P427L/W535F(GAS25 DM、配列番号125);図36D、複合糖質(GC)。
【図37】図37A〜Dは、ELISAアッセイの妥当性確認を示すグラフである。図37A、Spy0167(GAS25);図37B、Spy0269(GAS40);図37C、Spy0416(GAS57);図37D、複合糖質(GC)。
【図38】図38A〜Fは、個々の抗原の用量を試験するELISAアッセイの結果を示すグラフである。図38A、38D、Spy0167(GAS25)の2実験;図38B、38E、Spy0416(GAS57)(2実験);図38C、38F、Spy0269(GAS40)(2実験)。「GMT」、幾何平均力価。
【図39】図39は、ミョウバン中でのSpy0416変異体D151A/S617A(GAS57)、野生型Spy0269(GAS40)、およびSpy0167変異体P427L/W535F(GAS25)の用量範囲の組み合わせを試験するELISAおよびチャレンジアッセイの結果を示すグラフである。
【図40】図40は、平均生存時間(MST;Mu)分析の第1近似として採用される対数正規モデルの分析であり、MuがSpy0167(GAS25)の用量の減少と共に減少することを示している。
【図41】図41A〜Bは、Spy0419およびSpy0167に対する抗体が毒性活性を遮断することを示す棒グラフである。図41A、Spy0419(GAS57)。図41B、Spy0167(gas25)。力価は最大溶血の50%を中和するのに必要とされる希釈率として定義される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の組成物は、S.pyogenes感染を予防および/または処置するのに有用である。本発明の組成物は、GAS抗原の組み合わせ、GAS抗原をコードする核酸分子の組み合わせ、またはGAS抗原に特異的に結合する抗体の組み合わせを含む。本発明の組成物は、2つまたはそれを超えるGAS抗原の組み合わせ、GAS抗原をコードする1つもしくは複数の核酸分子の組み合わせ、またはGAS抗原に特異的に結合する抗体の組み合わせを含む。GAS抗原はGASタンパク質抗原である。「GASタンパク質抗原」は、異なって定義されない限り、完全長GASタンパク質の他に下に記載されるGASタンパク質のフラグメント、融合体および変異体を包含する。いくつかの組成物は、下に定義されるA群多糖抗原をさらに含む。本発明は、GAS抗原の組み合わせ、GAS抗原をコードする核酸分子の組み合わせ、およびGAS抗原に特異的に結合する抗体の組み合わせの混合物を含む組成物も含む。
【0007】
本発明の組成物は、好ましくは、以下の特性:すなわち、
・1つまたは複数のS.pyogenes株(例えば、M1 3348、M12EM5、M23 2071、M6 S43)に対する統計的に有意な防御を与える;
・インビトロの細菌死滅(オプソニン作用性(opsonophagocytic)死滅)を媒介する抗体を誘発する;
・ストレプトリジンO溶血活性を不活化する抗体を誘発する;
・Spy0416プロテアーゼ活性を遮断する抗体を誘発する;ならびに/または
・細胞接着および/もしくは細胞分裂を妨げる抗体を誘発する;
のうちの1つまたは複数を有する。
【0008】
下の実施例に記載されているように、本発明の組成物は、致死的チャレンジモデルにおいて異なるマウス適応S.pyogenes株に対する防御を提供し;大多数のS.pyogenes株により発現される強力な毒素を中和する機能的抗体を誘発し;インビトロで細菌死滅を媒介する。
【0009】
本発明のいくつかの組成物は、Spy0167(ストレプトリジンO、Spy0167、または「GAS25」とも呼ばれる);Spy0269(「GAS40」とも呼ばれる);Spy0416(「GAS57」とも呼ばれる);Spy0714(「GAS67」とも呼ばれる);Spy1390(「GAS89」とも呼ばれる);Spy2000(「GAS100」とも呼ばれる);下に定義される変異体Spy0167タンパク質;および下に定義される変異体Spy0416から選択される3つまたはそれを超える異なるGAS抗原の組み合わせを含む。
【0010】
他の実施形態では、本発明の組成物は、2つのGAS抗原のみを含むが、前記組成物は、下に記載されるような、他の生物および他の成分由来の抗原を含みうる。いくつかの組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy0167ならびにSpy0269;Spy0416;下に記載されている変異体Spy0167タンパク質;下に記載されている変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0011】
他の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy0269ならびにSpy0167、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0012】
一部の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy0416ならびにSpy0167、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0013】
他の組成物は、前記2つのGAS抗原として、変異体Spy0167タンパク質ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0014】
他の組成物は、前記2つのGAS抗原として、変異体Spy0416タンパク質ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0167タンパク質、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0015】
一部の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy0714ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy1390、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0016】
一部の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy1390ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0017】
他の組成物は、前記2つのGAS抗原として、Spy2000ならびにSpy0167、Spy0269、Spy0416、変異体Spy0167タンパク質、変異体Spy0416タンパク質、Spy0714、およびSpy1390からなる群より選択される第2のGAS抗原を含む。
【0018】
本発明の組成物に含めることが可能な他のGAS抗原には
【0019】
【化1】
が挙げられる。
【0020】
GAS抗原の好ましい組み合わせには以下の
i.Spy0167およびSpy0269;
ii.Spy0167、Spy0269、およびSpy0416;
iii.Spy0167およびSpy0416;
iv.Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0269;
v.Spy0167変異体P427L/W535F、Spy0269、およびSpy0416;
vi.Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0416;
vii.Spy0269およびSpy0416変異体D151A/S617A;
viii.Spy0167、Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617A;
ix.Spy0167およびSpy0416変異体D151A/S617A;
x.Spy0167変異体P427L/W535F、Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617A;および
xi.Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0416変異体D151A/S617A
が挙げられ、そのそれぞれが、下に記載されるGAS多糖抗原および/またはミョウバンなどのアジュバントも含み得る。
【0021】
組成物は、例えば、薬学的に許容されるビヒクル、他の微生物の抗原、アジュバントなどの他の成分を含有することができる。特に、本明細書に記載される組成物はいずれも、下に記載されるA群多糖抗原および/またはミョウバンなどのアジュバントもさらに含み得る。
【0022】
GAS M型とGAS株単離物との間で、野生型GAS抗原中で変動が存在するために、本明細書におけるGASアミノ酸またはポリヌクレオチド配列への言及は、典型的には保存的アミノ酸置換により、それとある程度の配列同一性を有する対応するアミノ酸またはポリヌクレオチド配列を含む(実施例30および図31〜33参照)。
【0023】
いくつかの実施形態では、Spy0167、Spy0269、Spy0416、Spy0714、Spy1390、Spy2000の改変体および開示されたその変異体は、それぞれ本明細書において開示されているSpy0167、Spy0269、Spy0416、Spy0714、Spy1390、Spy2000アミノ酸配列の任意のものと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有する。典型的には、GAS抗原のアミノ酸配列とGAS抗原の改変体のアミノ酸配列との間のどの相違も1つまたは複数の保存的アミノ酸置換によるものである。例えば、図31に示されるように、1つ、2つ、または3つのアミノ酸欠失もありうる。
【0024】
いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は化学的特性に基づいており、正電荷のアミノ酸での別の正電荷のアミノ酸の(例えば、H、K、R);負電荷のアミノ酸での別の負電荷のアミノ酸の(例えば、D、E);非常に疎水性のアミノ酸での別の非常に疎水性のアミノ酸の(例えば、C、F、I、L、M、V、W);疎水性が低いアミノ酸での別の疎水性が低いアミノ酸の(例えば、A、G、H、P、S、T、Y);部分的に疎水性のアミノ酸での別の部分的に疎水性のアミノ酸の(例えば、K、R);脂肪族アミノ酸での別の脂肪族アミノ酸の(例えば、A、I、L、M、P、V);極性アミノ酸での別の極性アミノ酸の(例えば、A、D、E、G、H、K、N、P、Q、R、S、T、Y);芳香族アミノ酸での別の芳香族アミノ酸の(例えば、F、H、W、Y);および小アミノ酸での別の小アミノ酸の(例えば、D、N、T)置換が含まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、BLOSUM62テーブルを使用して決定される。BLOSUM62テーブルは、タンパク質配列セグメントの約2000の局所的マルチプルアラインメントに由来するアミノ酸置換マトリックスであり、関連するタンパク質の500を超える群の高度に保存された領域を表す(Henikoff & Henikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915、1992年)。BLOSUM62置換頻度を使用して、Spy0167、Spy0269、Spy0416、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000抗原のアミノ酸配列に導入されうる保存的アミノ酸置換を定義することができる。これらの実施形態では、保存的置換とは、好ましくは−1より大きいBLOSUM62値により表される置換のことである。例えば、アミノ酸置換は、その置換が0、1、2、または3のBLOSUM62値により特徴付けられるならば、保存的である。このシステムに従えば、好ましい保存的アミノ酸置換は少なくとも1(例えば、1、2、または3)のBLOSUM62値により特徴付けられ、さらに好ましい保存的アミノ酸置換は少なくとも2(例えば、2または3)のBLOSUM62値により特徴付けられる。
【0026】
特定のアミノ酸置換または変化は、野生型Spy0416では図31、野生型Spy0269では図32、および野生型Spy0167では図33に示されているように様々なSpy0167、Spy0269、Spy0416、Spy0714、Spy1390、およびSpy2000アミノ酸配列を整列させることにより同定することができる。例えば、図31のアラインメントに基づいて、表1は、配列番号1に示されるSpy0416アミノ酸配列に関して特定のアミノ酸位置でのいくつかの特定の選択肢を示している。同様に、Spy0269およびSpy0167のアミノ酸配列におけるアミノ酸バリエーションの選択肢は、それぞれ図32および33を精査することにより同定することができる。
【0027】
【表1】
下に記載されるGAS抗原の改変体は、好ましくは免疫原性であり、マウスモデルにおけるGASの致死的チャレンジに対する防御を与える(下の実施例参照)。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物は、上に開示されているGASタンパク質抗原をコードする1つまたは複数の核酸分子を含む。他の実施形態では、組成物は、2つのGASタンパク質抗原をコードする2以下の核酸分子を含む。他の実施形態では、組成物は、抗体の組み合わせを含み、各抗体は上に開示されるGASタンパク質抗原から選択されるGAS抗原に選択的に結合する。
【0029】
Spy0167およびその免疫原性変異体
Spy0167(ストレプトリジン、SLO、GAS25)は、宿主細胞溶解を誘導する強力なポア形成毒素であり、なかでもWO02/34771に記載されている。野生型Spy0167のアミノ酸配列は配列番号107〜119に示されている。異なって定義されない限り、「Spy0167抗原」は、下に記載されるように完全長Spy0167ならびにSpy0167変異体、フラグメントおよび融合体を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、Spy0167抗原は、基本的にアミノ酸配列配列番号174(「ペプチド1」)、アミノ酸配列配列番号175(「ペプチド2」)、またはアミノ酸配列配列番号176(「ペプチド3」)からなる。いくつかの実施形態では、Spy0167抗原は、基本的にNからC末端まで、アミノ酸配列配列番号175(「ペプチド2」)およびアミノ酸配列配列番号175に共有結合しているアミノ酸配列配列番号176(「ペプチド3」)からなる。本明細書で使用される「共有結合している」は、直接共有結合および1つまたは複数の追加のアミノ酸を介する結合を含む。他の実施形態では、Spy0167抗原は、基本的にNからC末端まで、アミノ酸配列配列番号174;アミノ酸配列配列番号174に共有結合しているグリシン残基;前記グリシンに共有結合しているアミノ酸配列配列番号175;およびアミノ酸配列配列番号175に共有結合しているアミノ酸配列配列番号176からなる。
【0031】
他のSpy0167抗原は、完全長Spy0167より少なくとも1アミノ酸少ないSpy0167のフラグメントである。好ましくは、前記フラグメントは、特異的抗体に結合する能力などの抗原の免疫学的特性を保持している。好ましいアミノ酸フラグメントは、7つまたはそれを超える(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50以上)のアミノ酸を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、Spy0167抗原は、アミノ酸配列配列番号174を含むモノマーである。他の実施形態では、Spy0167抗原は、NからC末端まで、アミノ酸配列配列番号175およびアミノ酸配列配列番号175に共有結合しているアミノ酸配列配列番号176を含むモノマーである。他の実施形態では、Spy0167抗原は、NからC末端まで、アミノ酸配列配列番号174;アミノ酸配列配列番号174に共有結合しているグリシン残基;前記グリシンに共有結合しているアミノ酸配列配列番号175、およびアミノ酸配列配列番号175に共有結合しているアミノ酸配列配列番号176を含むモノマーである。
【0033】
融合タンパク質
上で開示されるように、本発明で使用されるSpy0167抗原は、個々の別々のポリペプチド(例えば、「ペプチド1」、「ペプチド2」、「ペプチド3」、「ペプチド1+2+3」、「ペプチド2+3」)として組成物中に存在してよいが、少なくとも2つ(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20)の抗原が単一のポリペプチド鎖(「融合タンパク質」または「ハイブリッドポリペプチド」)として発現される実施形態もある。ハイブリッドポリペプチドは2つの主要な利点を提供する。第1に、それだけでは不安定かまたは発現が不十分であり得るポリペプチドを、この問題を克服する適切なハイブリッドパートナーを加えることにより支援することができる。第2に、両方とも抗原的に有用である2つのポリペプチドを作製するために1つの発現および精製のみを用いればよいので、商業的生産は簡素化される。
【0034】
Spy0167の変異体形態
変異体形態のSpy0167は、溶血アッセイにより決定される場合、野生型Spy0167と比べて、野生型Spy0167より溶血活性が少なくとも50%(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、または100%)低い(例えば、実施例1参照)が、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を提供する(実施例4、7、8参照)。Spy0167変異体は、配列番号107に示される野生型Spy0167配列に従って番号付けされたアミノ酸P427、W535、C530、A248、およびD482のうちの1つまたは複数にアミノ酸変化(すなわち、置換、欠失、または挿入)を有する変異体を含む。かかる変異体の例にはP427L(配列番号120)、W535F(配列番号121)、C530G(配列番号122)、ΔA248(配列番号123)、W535F/D482N(配列番号124)、P427L/W535F(配列番号125)、P427L/C530G(配列番号126)、およびP427L/C530G/W535F(配列番号127)が挙げられる。
【0035】
本発明において使用するためのSpy0167変異体は、P427位、W535位、C530位、A248位、および/またはD482位に単一、二重、または三重アミノ酸変化を含む(「単一変異体」、「二重変異体」、「三重変異体」)。したがって、Spy0167変異体は、以下の:
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
などのその組み合わせを、含むことができる。
【0038】
変異体Spy0167タンパク質は、上で開示される変異体Spy0167タンパク質および別のGAS抗原を含む融合ポリペプチドも含む。GAS抗原は、例えば、WO02/34771に開示されており、
【0039】
【化4】
ならびに下の表A〜Dに収載されている他の抗原を含むが、これらに限定されない。これらの抗原についてのgi数は、利用可能な場合は、M1株に関するものであるが、他のM株由来の等価のタンパク質も使用してよいことは認識される。
【0040】
本発明に従う好ましいSpy0167抗原は免疫原性であるが毒性はない。本明細書で使用される「毒性はない」は、Spy0167抗原がコレステロールに結合することができない、またはオリゴマーを形成することができない、さらに一般的には、コレステロール含有膜の溶解を促進しないことを意味する。Spy0167タンパク質は、例えば、チオール活性化細胞溶解毒についてのサインパターン(signature pattern)として使用することが可能なSpy0167のC末端部分の高度に保存された領域に位置する、少なくとも単一のシステイン残基を欠失させることにより非毒性にすることができる。
【0041】
本発明の組成物は、単一のポリペプチドであり、溶血アッセイにより決定される場合、野生型Spy0167と比べて、溶血活性が野生型Spy0167よりも少なくとも50%(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、または100%)低く、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与えるSpy0167変異体の等価物も含むことができる。かかる等価物は、NまたはC末端での最大約40個のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個のアミノ酸)の欠失を含む、P427、W535、C530、A248、およびD482以外の位置にアミノ酸欠失、挿入、および/または置換のある変異体Spy0167抗原を含み得る。
【0042】
Spy0269
GAS40は、「Spy0269」(M1)、「SpyM3_0197」(M3)、「SpyM18_0256」(M18)および「prgA」としても知られるが、例えば、WO02/34771におよびWO2005/032582に記載されている。野生型Spy0269のアミノ酸配列は、配列番号50〜106および128〜130に提供されている。Spy0269抗原は、Spy0269タンパク質が多くのM型でもこれらのM型の複数の株でも高度に保存されているために本発明の組成物において特に有用である(WO2006/042027参照)。Spy0269は、全身免疫化およびチャレンジおよび殺菌抗体の誘導の動物モデルにおいて一貫して防御を与える。
【0043】
Spy0269タンパク質は、典型的にはリーダーペプチド配列(例えば、配列番号50のアミノ酸1〜26)、第1コイルドコイル領域(例えば、配列番号50のアミノ酸58〜261)、第2コイルドコイル領域(例えば、配列番号50のアミノ酸556〜733)、ロイシンジッパー領域(例えば、配列番号50のアミノ酸673〜701)および膜貫通領域(例えば、配列番号50のアミノ酸855〜866)を含有する。いくつかの実施形態では、リーダー配列は除かれる(例えば、配列番号177)。
【0044】
本発明の組成物は、Spy0269の等価物(これは、単一のポリペプチドであり、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を提供する)も含むことができる(例えば、実施例4、7、8)。
【0045】
Spy0416およびその免疫原性変異体
Spy0416(M1)は、「GAS57」、「SpyM3_0298」(M3)、「SpyM18_0464」(M18)、および「prtS」とも呼ばれる。Spy0416は推定上の細胞エンベローププロテイナーゼとして同定された。WO02/34771およびUS2006/0258849を参照のこと。17の異なるM型(1、2、3、4、6、11、12、18、22、23、28、44/61、68、75、77、89、94)由来の49のSpy0416配列があり、疾病管理センター(Centers for Disease Control)によれば、17の異なるM型が米国での咽頭炎症例の95%超を占め、侵襲性GAS単離物の約68%を占める。様々なM型由来の野生型Spy0416抗原のアミノ酸配列は、配列番号1〜49として配列表に記載されている。本発明の組成物は、Spy0416の等価物(これは、単一のポリペプチドであり、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与える)も含むことができる。
【0046】
本発明に従う変異体Spy0416抗原は、SDS−PAGEまたはELISAのどちらかにより決定される場合、野生型Spy0416に比べて、インターロイキン8(IL−8)に対して少なくとも50%(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、または100%)低下したタンパク質分解活性を有する(実施例3参照)が、免疫原性であり、例えば、マウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与える。好ましくは、本発明の変異体Spy0416はまた、CXCL1/GROα(例えば、配列番号131)、CXCL2/GROβ(例えば、配列番号132)、CXCL3/GROγ(例えば、配列番号133)、CXCL4(例えば、配列番号134)、CXCL12/SDF−1α(例えば、配列番号135)、CXCL12/SDF−1β(例えば、配列番号136)、CXCL12/SDF−1γ(例えば、配列番号137)、CXCL5/ENA78(例えば、配列番号138)、CXCL6/GCP−2(例えば、配列番号139)、CXCL7/NAP−2(例えば、配列番号140)、CXCL9/MIG(例えば、配列番号141)、CXCL10/IP10(例えば、配列番号142)、CXCL11(例えば、配列番号143)、CXCL13(例えば、配列番号144)、CXCL14(例えば、配列番号145)、およびCXCL16(例えば、配列番号146)などの他のヒトサイトカインも切断しない。
【0047】
本発明に有用なSpy0416変異体は、D151位、H279位、および/またはS617位に単一、二重、または三重アミノ酸変化(「単一変異体」、「二重変異体」、「三重変異体」)を含む、配列番号1に示される野生型Spy0416配列に従って番号付けされたアミノ酸D151、H279、またはS617のうちの1つまたは複数にアミノ酸変化(すなわち、置換、欠失または挿入)のある変異体を含む。したがって、Spy0416変異体は、以下の
【0048】
【化5】
などのその組み合わせ、を含むことができる。
【0049】
本発明のSpy0416変異体抗原は、上に開示されるSpy0416変異体抗原および別のGAS抗原を含む融合ポリペプチドも含む。GAS抗原は、例えばWO02/34771に開示されており、
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
、または下の表A〜Dに開示されている他の抗原のすべてもしくは一部を含むが、これらに限定されない。これらの抗原についてのgi数は、利用可能な場合は、M1株に関するものであるが、他のM株由来の等価のタンパク質も使用してよいことは認識される。
【0052】
本発明は、Spy0416変異体の等価物(これは、単一のポリペプチドであり、SDS−PAGEまたはELISAにより決定される場合IL−8を切断せず、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与える)も含む(例えば、実施例4、7,8)。かかる等価物は、D151、H279、またはS617以外の位置に、NまたはC末端での最大約40個のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個のアミノ酸)の欠失を含む、アミノ酸欠失、挿入、および/または置換のある変異体Spy0416抗原を含み得る。
【0053】
他のGAS抗原
1つまたは複数の他のGAS抗原は、本発明の組成物に含めることができる。GAS抗原は、例えば、WO02/34771に開示されている。有用なGAS抗原は、
【0054】
【化8】
のすべてまたは一部を含む。本発明の組成物は、これらのGAS抗原の等価物(これは、単一のポリペプチドであり、免疫原性であり、好ましくはマウスモデルにおいてGASの致死的チャレンジに対する防御を与える)も含むことができる(例えば、実施例4、7、8)。例えば、Spy0763(GAS146)およびSpy1134(GAS561)のそれぞれが、S.pyogenes M1 3348を用いたチャレンジからマウスを防御する(ネガティブコントロールの20%生存と比べて70%生存;n=20)。下の表A〜Dも参照のこと。
【表A】
【0055】
【表B】
【0056】
【表C】
【0057】
【表D】
【0058】
フラグメント
上に記載される野生型または変異体GASタンパク質のフラグメントの長さは、特定のGAS抗原またはその変異体のアミノ酸配列に応じて変わり得るが、前記フラグメントは、好ましくは少なくとも7個の連続アミノ酸、例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200個またはそれを超える連続アミノ酸であり、完全長野生型または変異体GASタンパク質よりアミノ酸1個が少ないものまでである。好ましくは、前記フラグメントは免疫原性であり、前記配列由来の1つまたは複数のエピトープを含む。他の好ましいフラグメントには、(1)各同定されたGASタンパク質のN末端シグナルペプチド、(2)そのN末端シグナルペプチドがない同定されたGASタンパク質、および(3)最大10個のアミノ酸残基(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれを超える)がN末端および/またはC末端から欠失している(例えば、N末端アミノ酸残基が欠失し得る)各同定されたGASタンパク質が挙げられる。他のフラグメントは、前記タンパク質の1つまたは複数のドメインを脱落させている(例えば、シグナルペプチド、細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞外ドメインの脱落)。いくつかの実施形態では、前記フラグメントは、Spy0269のアミノ酸33〜324である。
【0059】
GAS多糖抗原
GAS多糖(PS)は、すべてのGAS菌株に存在する細胞壁多糖である。PSに対する抗体力価は、子供において疾患およびコロニー形成に逆相関する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物はGAS多糖抗原を含む。S.pyogenesGAS炭水化物は、典型的には、交互のアルファ(1→2)およびアルファ(1→3)結合からなるL−ラムノピラノース(Rhap)骨格ならびに一つおきのラムノース環にベータ(1→3)結合しているD−N−アセチルグルコサミン(GlcpNAc)残基を有する分岐構造を特色とする(Kreisら、Int. J. Biol. Macromol. 17巻、117〜30頁、1995年)。本発明の組成物に有用なGAS多糖抗原は、式:
【0060】
【化9】
を有し、式中、Rは末端還元L−ラムノースまたはD−GlcpNAcであり、nは約3から約30までの数である。
【0061】
本発明に従って使用されるGAS多糖抗原は、天然に存在する実質的に完全長のGAS炭水化物でもよく、天然の長さよりも短くてもよい。完全長多糖を、例えば、弱酸性での加水分解により、加熱により、サイジングクロマトグラフィーにより、等で脱重合して、本発明で使用のためのより短フラグメントを与えることができる。しかし、実質的に完全長の糖類を使用するのが好ましい。特に、約10kDaの分子量を有する糖類を使用するのが好ましい。分子量は、デキストラン標準と比べてゲル濾過により測定することができる。
【0062】
糖類は天然に存在するGAS炭水化物と比べて化学的に修飾され得る。例えば、脱Nアセチル化(部分的にまたは完全に)、Nプロピオネート化(propionated)(部分的にまたは完全に)等をされ得る。例えば、免疫原性に対する脱アセチル化、等の効果は、常用のアッセイにより評価することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、GAS多糖抗原は、変異させたジフテリア毒素CRM197などの担体(および下に記載される他の担体)に結合体化される。下の実施例に記載されているように、CRM197(「GC」)と結合体化されたPSに対する抗体は、GASオプソニン作用性死滅を誘導する。
【0064】
GASタンパク質抗原の生成
組換え産生
遺伝暗号の重複性は周知である。したがって、本明細書に記載されるGAS抗原のうちの1つをコードする任意の核酸分子(ポリヌクレオチド)を用いて、そのタンパク質を組換えで産生することができる。野生型GAS抗原をコードする核酸分子はまた、標準核酸精製技術を用いて適当なS.pyogenes細菌から単離することができ、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの増幅技術を用いて、もしくは自動合成機を用いることによって、合成することができる。Caruthersら、Nucl. Acids Res. Symp. Ser.215巻、223頁、1980年;Hornら、Nucl. Acids Res. Symp. Ser.225巻、232頁、1980年;Hunkapillerら、Naure 310巻、105〜11頁、1984年;Granthamら、Nucleic Acids Res.9巻、r43〜r74頁、1981年参照。
【0065】
cDNA分子を、テンプレートとしてmRNAを使用した標準的な分子生物学技術を使用して作製することができる。その後、cDNA分子を、当該分野で周知の分子生物学技術を使用して複製することができる。テンプレートとしてゲノムDNAまたはcDNAのいずれかを使用したPCRなどの増幅技術を使用して、本発明のポリヌクレオチドの更なる複製を得ることができる。
【0066】
所望により、当該分野で一般的に知られている方法を使用してポリヌクレオチドを操作して、種々の理由で抗原コード配列を変化させることができる(ポリペプチドまたはmRNA産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を修飾する変更が含まれるが、これらに限定されない)。遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドのランダム断片化およびPCR再アセンブリによるDNAシャフリングを使用して、ヌクレオチド配列を操作することができる。例えば、部位特異的変異誘発を使用して、新規の制限部位の挿入、グリコシル化パターンの変更、コドン優先度の変化、スプライス改変体の産生、および変異の導入などを行うことができる。
【0067】
配列修飾(精製タグ配列の付加またはコドン至適化など)を使用して、発現を容易にすることができる。例えば、N末端リーダー配列を、タグタンパク質(ポリヒスチジン(「HIS」)またはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(「GST」)など)をコードする配列と置換することができる。かかるタグタンパク質を使用して、発現タンパク質の精製、検出、および安定性を促進することができる。特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好まれるコドンを選択して、タンパク質発現率を増大させ、または所望の性質(天然に存在する配列から生成した転写物よりも長い半減期など)を有するRNA転写物を産生することができる。これらの方法は当該分野で周知であり、WO05/032582号にさらに記載されている。
【0068】
発現ベクター
本発明で使用するためのGAS抗原をコードする核酸分子を、挿入するコード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含む発現ベクターに挿入することができる。当業者に周知の方法を使用して、コード配列ならびに適切な転写調節エレメントおよび翻訳調節エレメントを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが含まれる。
【0069】
宿主細胞
GAS抗原を産生するための宿主細胞は、原核生物または真核生物であり得る。大腸菌は好ましい宿主細胞であるが、他の適切な宿主には、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・クレモリス、枯草菌、コレラ菌、チフス菌、ネズミチフス菌、ナイセリア・ラクタミカ、ナイセリア・シネレア、マイコバクテリア属(例えば、結核菌)、酵母、バキュロウイルス、哺乳動物細胞などが含まれる。
【0070】
宿主細胞株を、所望の様式で挿入配列の発現を調整する、または発現ポリペプチドをプロセシングする能力について選択することができる。かかるポリペプチド修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が含まれるが、これらに限定されない。ポリペプチドの「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングを使用して、正確な挿入、折り畳み、および/または機能を促進することもできる。翻訳後活性のための特定の細胞機構および特徴的なメカニズムを有する異なる宿主細胞は、American Type Culture Collection(ATCC;10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209)から利用可能であり、外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングが確実になるように選択することができる。WO01/98340号を参照のこと。
【0071】
十分に確立された技術(トランスフェリン−ポリカチオン媒介DNA移入、裸またはカプセル化した核酸でのトランスフェクション、リポソーム媒介細胞融合、DNAコーティングラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」法、およびDEAEまたはリン酸カルシウム媒介トランスフェクションが含まれるが、これらに限定されない)を使用して、発現構築物を宿主細胞に導入することができる。
【0072】
発現ベクターを使用して形質転換された宿主細胞を、細胞培養物からのタンパク質の発現および回収に適切な条件下で培養することができる。形質転換された細胞によって産生されたタンパク質を、使用したヌクレオチド配列および/または発現ベクターに応じて分泌し、または細胞内に含めることができる。当業者は、原核細胞膜または真核細胞膜を介した可溶性抗原の分泌を指示するシグナル配列を含むように発現ベクターをデザインすることができることを理解している。
【0073】
精製
シグナル輸出(export)配列は、組換え産生されるGAS抗原に含められ得、その結果、抗原は、公知の方法を使用して細胞培養培地から精製され得る。あるいは、組換え産生されるGAS抗原を、操作した宿主細胞から単離することができ、当該分野で周知の方法を使用して、細胞中の他の成分(タンパク質、炭水化物、または脂質など)から分離し得る。かかる方法には、サイズ排除クロマトグラフィ、硫酸アンモニウム分画、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、および分取ゲル電気泳動が含まれるが、これらに限定されない。精製GAS抗原の調製物の純度は少なくとも80%であり、好ましくは、調製物の純度は、90%、95%、または99%である。調製物の純度を、当該分野で公知の任意の手段(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはRP−HPLC分析など)によって評価することができる。適切な場合には、変異体Spy0167タンパク質を、例えば、尿素を使用して可溶化することができる。
【0074】
化学合成
GAS抗原を、例えば、固相技術を使用して合成することができる。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85,2149 54,1963;Robergeら、Science 269,202 04,1995を参照のこと。手動技術の使用または自動化によりタンパク質合成を行うことができる。例えば、Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を使用して、自動化された合成を行うことができる。任意選択的に、GAS抗原のフラグメントを個別に合成し、化学的方法を使用して合わせて全長分子を産生することができる。
【0075】
抗体
本発明のいくつかの組成物は、本明細書に記載されるGAS抗原に特異的に結合する抗体の組み合わせを含む。抗体は、免疫化学的アッセイにおいて使用したときに、別のタンパク質による検出シグナルの少なくとも5倍、10倍または20倍の高い検出シグナルを与える場合、GAS抗原に「特異的に結合する」。好ましくは、GAS抗原に特異的に結合する抗体は、免疫化学的アッセイにおいて他のタンパク質を検出せず、溶液からGAS抗原を免疫沈降することができる。
【0076】
用語「抗体」には、インタクトな免疫グロブリン分子、および抗原に結合することができるそのフラグメントが含まれる。これらには、ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら、Nature 349,293−99,1991;米国特許第4,816,567号);F(ab’)2フラグメントおよびF(ab)フラグメントならびにFv分子;非共有結合性ヘテロ二量体(例えば、Inbarら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.69,2659−62,1972;Ehrlichら、Biochem 19,4091−96,1980);単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85,5897−83,1988);二量体および三量体抗体フラグメント構築物;ミニボディ(minibody)(例えば、Packら、Biochem 31,1579−84,1992;Cumberら、J.Immunology 149B,120−26,1992);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmannら、Nature 332,323−27,1988;Verhoeyanら、Science 239,1534−36,1988;および1994年9月21日公開の英国特許出願番号GB2,276,169号);およびかかる分子から得た任意の機能的フラグメントならびにファージディスプレイなどの従来にない過程によって得た抗体が含まれる。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体を得る方法は、当該分野で周知である。
【0077】
典型的には、エピトープを形成するのに少なくとも6、7、8、10、または12個の連続するアミノ酸が必要である。しかし、不連続アミノ酸を含むエピトープは、より多数(例えば、少なくとも15、25、または50個のアミノ酸)を必要とし得る。種々の免疫アッセイ(例えば、ウェスタンブロット、ELISA、放射免疫アッセイ、免疫組織化学アッセイ、免疫沈降、または当該分野で公知の他の免疫化学アッセイ)を使用して、所望の特異性を有する抗体を同定することができる。競合結合または免疫放射線測定法についての多数のプロトコールが当該分野で周知である。かかる免疫アッセイは、典型的には、免疫原と免疫原に特異的に結合する抗体との間の複合体形成の測定を含む。GAS抗原に特異的に結合する抗体の調製物から、典型的には、免疫化学アッセイで使用した場合に他のタンパク質を使用して得られる検出シグナルの少なくとも5倍、10倍、または20倍の検出シグナルが得られ、かつ「無関係な」タンパク質と接触させた場合に、検出可能なシグナルは提供しない。好ましくは、抗体は、免疫化学アッセイにおいて他のタンパク質を検出せず、溶液由来の特定の抗原を免疫沈降することができる。
【0078】
野生型Spy0167に特異的に結合する抗体は、その溶血活性を実質的に(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、もしくは99%)低下させるかまたは除去する。いくつかの抗体は、上に記載される変異体Spy0167タンパク質にも特異的に結合する。
【0079】
野生型Spy0416に特異的に結合する抗体は、IL−8を切断するSpy0416の能力を実質的に(例えば、少なくとも50%)低下させるかまたは除去する(実施例5)。抗体は、IL−8を切断するSpy0416の能力を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、または99%低下し得る。いくつかの抗体は、上に記載される変異体Spy0416タンパク質にも特異的に結合する。好ましい抗体は、IL−8の相同体(例えば、CXCL1/GROα、CXCL2/GROβ、CXCL3/GROγ、CXCL4、CXCL12/SDF−1α、CXCL12/SDF−1β、CXCL12/SDF−1γ、CXCL5/ENA 78、CXCL6/GCP−2、CXCL7/NAP−2、CXCL9/MIG、CXCL10/IP10、CXCL11、CXCL13、CXCL14、およびCXCL16)などの他の基質を切断するSpy0416の能力も低下させるかまたは除去する。いくつかの抗体は、野生型または変異体Spy0416組換え抗原で免疫化され、GASでチャレンジされる動物において壊死病変の進行を遮断する。
【0080】
Spy0269に特異的に結合する抗体は、実施例25に記載される細胞結合アッセイにより測定される場合、上皮細胞へのSpy0269の結合を実質的に(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、もしくは99%)減少させるかまたは除去する。
【0081】
抗体の生成
GAS抗原を使用して哺乳動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、またはヒトなど)を免疫化して、ポリクローナル抗体を産生することができる。必要に応じて、抗原を、担体タンパク質(ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、およびキーホールリンペットヘモシアニンなど)に接合することができる。宿主の種に応じて、種々のアジュバントを使用して、免疫学的応答を増大させることができる。かかるアジュバントには、フロイントアジュバント、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、および界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性乳濁液、キーホールリンペットヘモシアニン、およびジニトロフェノール)が含まれるが、これらに限定されない。ヒトで使用されるアジュバントのうち、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルバムが特に有用である。
【0082】
抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を、培養物中の連続的な細胞株によって抗体分子を産生する任意の技術を使用して調製することができる。これらの技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBVハイブリドーマ技術が含まれるが、これらに限定されない(Kohlerら、Nature 256,495 497,1985;Kozborら、J.Immunol.Methods 81,31 42,1985;Coteら、Proc.Natl.Acad.Sci.80,2026 2030,1983;Coleら、Mol.Cell Biol.62,109 120,1984)。
【0083】
さらに、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(マウス抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングして適切な抗原特異性および生物活性を有する分子を得る技術)を使用することができる(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81,6851 6855,1984;Neubergerら、Nature 312,604 608,1984;Takedaら、Nature 314,452 454,1985)。モノクローナル抗体および他の抗体を「ヒト化」して、治療で使用する場合に抗体に対する患者の免疫応答の開始を防止するかまたはそのリスクを低減することもできる。かかる抗体は、療法で直接使用するのに配列が十分にヒト抗体と類似し得るか、少数の重要な残基を変化させる必要があり得る。げっ歯類抗体配列とヒト抗体配列との間の相違を、各残基の部位特異的変異誘発または相補性決定領域全体のグラフティング(grating)によるヒト配列中の残基と異なる残基の置換によって最小にすることができる。
【0084】
あるいは、下記の組換え方法を使用してヒト化抗体を産生することができる。米国特許第5,565,332号に開示のように、特定の抗原に特異的に結合する抗体は、部分的または完全にヒト化された抗原結合部位を含むことができる。
【0085】
あるいは、単鎖抗体の産生について記載した技術を、当該分野公知の方法を使用して適合させて、特定の抗原に特異的に結合する単鎖抗体を産生することができる。関連する特異性を有するが、異なるイディオタイプ組成の抗体を、ランダム組み合わせ免疫グロブリンライブラリー由来のチェーンシャフリング(chain shuffling)によって生成することができる(Burton,Proc.Natl.Acad.Sci.88,11120 23,1991)。
【0086】
単鎖抗体を、テンプレートとしてハイブリドーマcDNAを使用したDNA増幅方法(PCRなど)を使用して構築することができる(Thirionら、1996,Eur.J.Cancer Prev.5,507−11)。単鎖抗体は、単一特異性または二重特異性であり得、2価または4価であり得る。4価の二重特異性単鎖抗体の構築は、例えば、Coloma & Morrison,1997,Nat.Biotechnol.15,159−63に教示されている。2価の二重特異性単鎖抗体は、Mallender & Voss,1994,J.Biol.Chem.269,199−206に教示されている。
【0087】
下記のように、単鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を、手作業または自動化されたヌクレオチド合成によって構築し、標準的な組換えDNA法を使用して発現構築物にクローニングし、細胞に導入してコード配列を発現させることができる。あるいは、単鎖抗体を、例えば、繊維状ファージテクノロジーを使用して直接産生することができる(Verhaarら、1995,Int.J.Cancer 61,497−501;Nichollsら、1993,J.Immunol.Meth.165,81−91)。
【0088】
特定の抗原に特異的に結合する抗体を、文献に開示のリンパ球集団におけるインビボ産生の誘導または免疫グロブリンライブラリーもしくは高度に特異的な結合試薬のパネルのスクリーニングによって産生することもできる(Orlandiら、Proc.Natl.Acad.Sci.86,3833 3837,1989;Winterら、Nature 349,293 299,1991)。
【0089】
キメラ抗体を、WO93/03151号に開示のように構築することができる。免疫グロブリンに由来し、多価または多重特異性の結合タンパク質(WO94/13804号に記載の「二特異性抗体」など)を調製することもできる。
【0090】
抗体を、当該分野で周知の方法によって精製することができる。例えば、抗体を、関連抗原が結合するカラムの通過によってアフィニティ精製することができる。次いで、結合した抗体を、高塩濃度の緩衝剤を使用して、カラムから溶離することができる。
【0091】
薬学的組成物
本発明はまた、薬物として(例えば、免疫原性組成物またはワクチンとして)用いる組成物を提供する。本発明の組成物は、S.pyogenes感染を予防するか、S.pyogenes感染のリスクを低減するか、および/またはS.pyogenes感染の結果として引き起こされる疾患(例えば、菌血症、髄膜炎、産褥熱、猩紅熱、丹毒、咽頭炎、膿痂疹、壊死性筋膜炎、筋炎、または毒素性ショック症候群)を処置するのに有用である。
【0092】
GAS抗原を含む組成物は、好ましくは、免疫原性組成物であり、より好ましくは、ワクチン組成物である。かかる組成物のpHは、好ましくは、pH6とpH8との間、好ましくは、約pH7である。pHを緩衝剤の使用によって維持することができる。組成物は、無菌でありおよび/または発熱物質を含まなくあり得る。組成物は、ヒトに関して等張であり得る。
【0093】
本発明のワクチンを、予防的または治療的に使用することができるが、典型的には、予防的であろう。したがって、本発明は、化膿連鎖球菌感染の治療的または予防的処置のための方法を含む。動物は、好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。方法は、治療量または予防量の本発明の免疫原性組成物を動物に投与する工程を含む。本発明はまた、S.pyogenes感染を処置するか、そのリスクを低減するか、および/またはS.pyogenes感染を予防するための本発明の免疫原性組成物を提供する。
【0094】
いくつかの本発明の組成物は、先に記載されるように、2種の異なるGAS抗原を含む。他の本発明の組成物は、この2種の異なる抗原をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む。例えば、Robinson & Torres(1997)Seminars in Immunology 9:271−283;Donnellyら(1997)Ann.Rev Immunol 15:617−648;Scott−Taylor & Dalgleish(2000)Expert Opin Investig Drugs 9:471−480;Apostolopoulos & Plebanski(2000)Curr Opin Mol Ther 2:441−447;Ilan(1999)Curr Opin Mol Ther 1:116−120;Dubenskyら(2000)Mol Med 6:723−732;Robinson & Pertmer(2000)Adv Virus Res 55:1−74;Donnellyら(2000)Am J Respir Crit Care Med 162(4 Pt 2):S190−193;Davis(1999)Mt.Sinai J.Med.66:84−90を参照のこと。典型的には、核酸分子は、例えば、プラスミド形態のDNA分子である。
【0095】
治療上有用な、本発明の他の組成物は、2種の異なる抗体を含み、その各々は、2種の異なるGAS抗原の一方に特異的に結合する。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つまたは複数のさらなる活性剤を含むことができる。かかる薬剤には、(a)小児ワクチンで有用なポリペプチド抗原、(b)高齢者または免疫無防備状態の個体のためのワクチンで有用なポリペプチド抗原、(c)(a)または(b)をコードする核酸分子および(d)(a)または(b)に特異的に結合する抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
さらなる抗原
本発明の組成物を、本発明の治療方法、または予防方法で使用するための1つまたは複数の追加の抗原と組み合わせて投与することができる。適切な抗原には、以下に列挙した抗原が含まれる。さらに、本発明の組成物を使用して、任意の以下に列挙の病原体に起因する感染を処置するか、そのリスクを低減するかまたは防止することができる。下記の抗原との組み合わせに加えて、本発明の組成物を、本明細書中に記載のアジュバントと組み合わせることもできる。
【0098】
本発明と共に使用するためのさらなる抗原には、下記の1つまたは複数の抗原または下記の1つまたは複数の病原体由来の抗原が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
A.細菌抗原
本発明での使用に適切な細菌抗原には、細菌から単離、精製、または由来することができるタンパク質、多糖類、リポ多糖類、外膜小胞が含まれる。さらに、細菌抗原には、細菌溶解物および不活化細菌処方物が含まれ得る。細菌抗原を、組換え発現によって産生することができる。細菌抗原には、好ましくは、その生活環の少なくとも1段階に細菌表面に曝露されるエピトープが含まれる。細菌抗原は、好ましくは、複数の血清型で保存される。細菌抗原には、下記の1つまたは複数の細菌由来の抗原および以下で同定した特定の抗原例が含まれる。
【0100】
ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitides):メニンギティディス抗原には、N.メニンギティディス血清群(A、C、W135、Y、および/またはBなど)から精製または由来したタンパク質(参考文献1〜7で同定されたタンパク質など)、糖類(多糖類、オリゴ糖、またはリポ多糖類が含まれる)、または外膜小胞(参考文献8、9、10、11)が含まれ得る。メニンギティディスタンパク質抗原を、接着剤、オートトランスポータ、毒素、Fe獲得タンパク質、および膜結合タンパク質(好ましくは、外膜内在性タンパク質(integral outer membrane protein))から選択することができる。
【0101】
肺炎連鎖球菌:肺炎連鎖球菌抗原には、肺炎連鎖球菌由来の糖類(多糖類またはオリゴ糖が含まれる)および/またはタンパク質が含まれ得る。糖類抗原を、血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、および33Fから選択することができる。タンパク質抗原を、WO98/18931号、WO98/18930号、米国特許第6,699,703号、米国特許第6,800,744号、WO97/43303号、およびWO97/37026号で同定されたタンパク質から選択することができる。肺炎連鎖球菌タンパク質を、ポリヒスチジントリアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpX短縮物、LytXファミリー、LytX短縮物、CbpX短縮物−LytX短縮物キメラタンパク質、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125、またはSp133から選択することができる。
【0102】
化膿連鎖球菌(A群連鎖球菌):A群連鎖球菌抗原には、WO02/34771号またはWO2005/032582号で同定されたタンパク質が含まれ得る
【0103】
【化10】
先に記載されかつ表A〜Dに記載される他のGAS抗原、GAS Mタンパク質のフラグメントの融合物(WO02/094851号およびDale,Vaccine(1999)17:193−200およびDale,Vaccine 14(10):944−948に記載のものが含まれる)、フィブロネクチン結合タンパク質(Sfb1)、連鎖球菌ヘム結合タンパク質(Shp)、およびストレプトリジンS(SagA)を含むが、これらに限定されない)。
【0104】
カタル球菌:モラクセラ抗原には、WO02/18595号およびWO99/58562号で同定された抗原、外膜タンパク質抗原(HMW−OMP)、C抗原、および/またはLPSが含まれる。
【0105】
百日咳菌:百日咳抗原には、百日咳ホロトキシン(petussis holotoxin)(PT)および百日咳菌由来の繊維状赤血球凝集素(FHA)が含まれ、任意選択的に、パータクチンおよび/または凝集原2および3抗原との組み合わせも含まれる。
【0106】
黄色ブドウ球菌:黄色ブドウ球菌抗原には、非毒性組換え緑膿菌外毒素Aと任意選択的に接合した黄色ブドウ球菌5型および8型莢膜多糖類(StaphVAX(商標)など)または表面タンパク質由来の抗原、インベイシン(ロイコシジン、キナーゼ、ヒアルロニダーゼ)、食細胞の貪食を阻害する表面因子(莢膜、プロテインA)、カロテノイド、カタラーゼ産物、プロテインA、凝固酵素、凝固因子、および/または真核生物細胞膜を溶解する膜損傷毒素(任意選択的に解毒した)(ヘモリシン、ロイコトキシン、ロイコシジン)が含まれる。
【0107】
表皮ブドウ球菌:表皮ブドウ球菌抗原には、粘液結合抗原(SAA)が含まれる。
【0108】
破傷風菌(破傷風):破傷風抗原には、本発明の組成物と接合した担体タンパク質として使用されることが好ましい破傷風トキソイド(TT)が含まれる。
【0109】
ジフテリア菌(Cornynebacterium diphtheriae)(ジフテリア):ジフテリア抗原には、好ましくは解毒されたジフテリア毒素(CRM197など)が含まれる。さらに、ADPリボシル化を調整するか、阻害するか、これに関連することができる抗原は、本発明の組成物との組み合わせ/同時投与/接合が意図される。担体タンパク質としてジフテリアトキソイドを使用することができる。
【0110】
インフルエンザ菌B(Hib):Hib抗原には、Hib糖類抗原が含まれる。
【0111】
緑膿菌:シュードモナス抗原には、内毒素A、Wzzタンパク質、緑膿菌LPS、より詳細にはPAO1から単離したLPS(O5血清型)、および/または外膜タンパク質(外膜タンパク質F(OprF)が含まれる)(Infect Immun.2001 May;69(5):3510−3515)が含まれる。
【0112】
レジオネラ・ニューモフィラ。細菌毒素は、レジオネラ・ニューモフィラに由来し得る。
【0113】
ストレプトコッカス・アガラクチア(B群連鎖球菌):B群連鎖球菌抗原には、WO02/34771号、WO03/093306号、WO04/041157号、またはWO2005/002619号で同定されたタンパク質抗原または糖類抗原(タンパク質GBS80、GBS104、GBS276、およびGBS322、ならびに血清型Ia、Ib、Ia/c、II、III、IV、V、VI、VII、およびVIII由来の糖類抗原が含まれる)が含まれる。
【0114】
淋菌(Neiserria gonorrhoeae):ゴノレー抗原には、Por(すなわち、ポリン)タンパク質(PorB(Zhuら、Vaccine(2004)22:660−669を参照のこと)など)、トランスフェリン結合タンパク質(TbpAおよびTbpB(Priceら、Infection and Immunity(2004)71(1):277−283を参照のこと)など)、混濁タンパク質(opacity protein)(Opaなど)、還元修飾性タンパク質(reduction−modifiable protein)(Rmp)、および外膜小胞(OMV)調製物(Planteら、J Infectious Disease、182:848−55(2000)を参照のこと、例えば、WO99/24578、WO99/36544、WO99/57280、WO02/079243も参照のこと)が含まれる。
【0115】
トラコーマクラミジア:トラコーマクラミジア抗原には、血清型A、B、Ba、およびC由来の抗原(トラコーマの作用因子、盲目の原因)、血清型L1、L2、およびL3由来の抗原(性病性リンパ肉芽腫症に関連)、および血清型DからK由来の抗原が含まれる。トラコーマクラミジア抗原には、WO00/37494号、WO03/049762号、WO03/068811号、またはWO05/0026f19号で同定された抗原(PepA(CT045)、LcrE(CT089)、ArtJ(CT381)、DnaK(CT396)、CT398、OmpH−like(CT242)、L7/L12(CT316)、OmcA(CT444)、AtosS(CT467)、CT547、Eno(CT587)、HrtA(CT823)、およびMurG(CT761)が含まれる)も含まれ得る。
【0116】
梅毒トレポネーマ(梅毒):梅毒抗原には、TmpA抗原が含まれる。
【0117】
軟性下疳菌(軟性下疳の原因菌):デュクレイ抗原には、外膜タンパク質(DsrA)が含まれる。
【0118】
フェカリス菌またはフェシウム菌:抗原には、米国特許第6,756,361号に記載の三糖類反復または他の腸球菌由来の抗原が含まれる。
【0119】
ピロリ菌:ピロリ菌抗原には、Cag、Vac、Nap、HopX、HopY、および/またはウレアーゼ抗原が含まれる。
【0120】
腐性ブドウ球菌(staphylococcus saprophyticus):抗原には、腐性ブドウ球菌抗原の160kDa血球凝集素が含まれる。
【0121】
エンテロコリチカ菌抗原には、LPS(Infect Immun.2002 August;70(8):4414)が含まれる。
【0122】
大腸菌:大腸菌抗原は、毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管凝集性大腸菌(EAggEC)、びまん付着性大腸菌(DAEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、および/または腸管出血性大腸菌(EHEC)に由来し得る。
【0123】
炭疽菌(炭疽病):炭疽菌抗原は任意選択的に解毒されており、A成分(致死因子(LF)および浮腫因子(EF))から選択することができ、その両方が、防御抗原(PA)として公知のB成分を共有することができる。
【0124】
ペスト菌(ペスト):ペスト抗原には、F1莢膜抗原(Infect Immun.2003 Jan;71(1)):374−383,LPS(Infect Immun.1999 Oct;67(10):5395)、ペスト菌V抗原(Infect Immun.1997 Nov;65(11):4476−4482)が含まれる。
【0125】
結核菌:結核抗原には、リポタンパク質、LPS、BCG抗原、抗原85Bの融合タンパク質(Ag85B)および/または任意選択的にカチオン性脂質小胞中に配合されたESAT−6(Infect Immun.2004 October;72(10):6148)、結核菌(Mtb)イソクエン酸デヒドロゲナーゼ関連抗原(Proc Natl Acad Sci USA.2004 Aug 24;101(34):12652)、および/またはMPT51抗原(Infect Immun.2004 July;72(7):3829)が含まれる。
【0126】
リケッチア属:抗原には、外膜タンパク質(外膜プロテインAおよび/またはB(OmpB)が含まれる)(Biochim Biophys Acta.2004 Nov 1;1702(2):145)、LPS、および表面タンパク質抗原(SPA)(J Autoimmun.1989 Jun;2 Suppl:81)が含まれる。
【0127】
リステリア菌。細菌抗原は、リステリア菌に由来し得る。
【0128】
クラミジア・ニューモニエ:抗原には、WO02/02606号で同定された抗原が含まれる。
【0129】
コレラ菌:抗原には、プロテイナーゼ抗原、LPS(特に、コレラ菌IIのリポ多糖類)、O1 Inaba O−特異的多糖類、コレラ菌O139、IEM108ワクチンの抗原(Infect Immun.2003 Oct;71(10):5498−504)、および/または閉鎖帯毒素(Zot)が含まれる。
【0130】
チフス菌(チフス熱):抗原には、莢膜多糖類、好ましくは抱合体(Vi、すなわち、vax−TyVi)が含まれる。
【0131】
ライム病ボレリア(ライム病):抗原には、リポタンパク質(OspA、OspB、OspC、およびOspDなど)、他の表面タンパク質(OspE関連タンパク質(Erps)など)、デコリン結合タンパク質(DbpAなど)、および抗原的に可変のVIタンパク質(P39およびP13に結合するタンパク質)(膜内在性タンパク質、Infect Immun.2001 May;69(5):3323−3334)、VlsE抗原変異タンパク質(J Clin Microbiol.1999 Dec;37(12):3997)など)が含まれる。
【0132】
ジンジバリス菌:抗原には、ジンジバリス菌外膜タンパク質(OMP)が含まれる。
【0133】
クレブシエラ属:抗原には、OMP(OMP Aが含まれる)または破傷風トキソイド任意選択的に接合した多糖類が含まれる。
【0134】
さらなる本発明の細菌抗原は、上記のいずれかの莢膜抗原、多糖類抗原、またはタンパク質抗原であり得る。さらなる細菌抗原には、外膜小胞(OMV)調製物も含まれ得る。さらに、抗原には、上記細菌のいずれかの生きたバージョン、弱毒化バージョン、および/または精製バージョンが含まれる。本発明の抗原は、グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌に由来し得る。本発明の抗原は、好気性菌または嫌気性菌に由来し得る。
【0135】
さらに、上記細菌由来糖類のいずれか(多糖類、LPS、LOS、またはオリゴ糖)を、別の作用因子または抗原(担体タンパク質(例えば、CRM197など))と接合することができる。かかる接合は、米国特許第5,360,897号およびCan J Biochem Cell Biol.1984 May;62(5):270−5に記載のタンパク質上のアミノ基への糖類上のカルボニル部分の還元的アミド化によって生じる直接的接合であり得る。あるいは、糖類を、リンカーを介して、Bioconjugate Techniques,1996およびCRC,Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking,1993に記載のスクシンアミドまたは他の結合などを介して接合することができる。
【0136】
B.ウイルス抗原
本発明での使用に適切なウイルス抗原には、不活化(または死滅)ウイルス、弱毒化ウイルス、スプリットウイルス処方物、精製サブユニット処方物、ウイルスから単離、精製、または由来することができるウイルスタンパク質、ウイルス様粒子(VLP)が含まれる。ウイルス抗原は、細胞培養物または他の基質上に増殖したウイルスに由来し得る。あるいは、ウイルス抗原を、組換え的に発現することができる。ウイルス抗原には、好ましくは、その生活環の少なくとも1段階に細菌表面に曝露されるエピトープが含まれる。細菌抗原は、好ましくは、複数の血清型または単離物で保存される。細菌抗原には、下記の1つまたは複数の細菌由来の抗原および以下で同定した特定の抗原例が含まれる。
【0137】
オルソミクソウイルス:ウイルス抗原は、オルソミクソウイルス(インフルエンザA型、B型、およびC型など)に由来し得る。オルソミクソウイルス抗原を、1つまたは複数のウイルスタンパク質(血球凝集素(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、核タンパク質(NP)、基質タンパク質(M1)、膜タンパク質(M2)、1つまたは複数の転写酵素成分(PB1、PB2、およびPA)が含まれる)から選択することができる。好ましい抗原には、HAおよびNAが含まれる。
【0138】
インフルエンザ抗原は、世界的流行間期の(年間流行性)インフルエンザ株に由来し得る。あるいは、インフルエンザ抗原は、世界的流行およびその発生を引き起こす可能性のある株(すなわち、現在広まっている株における赤血球凝集素と比較して新規の赤血球凝集素を有するインフルエンザ株、トリ被験体中で病原性を示し、且つヒト集団において水平伝播する可能性があるインフルエンザ株、またはヒトに病原性を示すインフルエンザ株)に由来し得る。
【0139】
パラミクソウイルス科のウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス科のウイルス(ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、およびモルビリウイルス(麻疹)など)に由来し得る。
【0140】
ニューモウイルス:ウイルス抗原は、ニューモウイルス(RSウイルス(RSV)、ウシRSウイルス、マウス肺炎ウイルス、およびシチメンチョウ鼻気管炎ウイルスなど)に由来し得る。好ましくは、ニューモウイルスはRSVである。ニューモウイルス抗原を、1つまたは複数の以下のタンパク質(表面タンパク質(融合物(F)、糖タンパク質(G)、および小疎水性タンパク質(SH))、基質タンパク質MおよびM2、ヌクレオカプシドタンパク質N、P、およびLならびに非構造タンパク質NS1およびNS2が含まれる)から選択することができる。好ましいニューモウイルス抗原には、F、G、およびMが含まれる。例えば、J Gen Virol.2004 Nov;85(Pt11):3229)を参照のこと。ニューモウイルス抗原を、キメラウイルス中に配合するか、これに由来することができる。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSVおよびPIVの両方の成分を含むことができる。
【0141】
パラミクソウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス(パラインフルエンザウイルス1型〜4型(PIV)、ムンプス、センダイウイルス、サルウイルス5、ウシパラインフルエンザウイルス、およびニューカッスル病ウイルスなど)に由来し得る。好ましくは、パラミクソウイルスはPIVまたはムンプスである。パラミクソウイルス抗原を、1つまたは複数の以下のタンパク質から選択することができる:血球凝集素−ノイラミニダーゼ(HN)、融合タンパク質F1およびF2、核タンパク質(NP)、リンタンパク質(P)、巨大タンパク質(L)、および基質タンパク質(M)。好ましいパラミクソウイルスタンパク質には、HN、F1、およびF2が含まれる。パラミクソウイルス抗原を、キメラウイルス中に配合するか、これに由来することができる。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSVおよびPIVの両方の成分を含むことができる。市販のムンプスワクチンには、1価の形態または麻疹ワクチンおよび風疹ワクチン(MMR)と組み合わせた弱毒化生ムンプスウイルスが含まれる。
【0142】
モルビリウイルス:ウイルス抗原は、モルビリウイルス(麻疹ウイルスなど)に由来し得る。モルビリウイルス抗原を、1つまたは複数の以下のタンパク質から選択することができる:血球凝集素(H)、糖タンパク質(G)、融合因子(F)、巨大タンパク質(L)、核タンパク質(NP)、ポリメラーゼリンタンパク質(P)、および基質(M)。市販の麻疹ワクチンには、典型的にはムンプスおよび風疹(MMR)と組み合わせた弱毒化生麻疹ウイルスが含まれる。
【0143】
ピコルナウイルス:ウイルス抗原は、ピコルナウイルス(エンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパルナウイルス、カルジオウイルス、およびアフトウイルスなど)に由来し得る。エンテロウイルス(ポリオウイルスなど)由来の抗原が好ましい。
【0144】
エンテロウイルス:ウイルス抗原は、エンテロウイルス(ポリオウイルス1型1、2型、または3型)、コクサッキーAウイルス1〜22型および24型、コクサッキーBウイルス1〜6型、エコーウイルス(ECHO)1〜9型、11〜27型、および29〜34型、ならびにエンテロウイルス68〜71など)に由来し得る。好ましくは、エンテロウイルスはポリオウイルスである。エンテロウイルス抗原は、好ましくは、1つまたは複数の以下のキャプシドタンパク質から選択される:VP1、VP2、VP3、およびVP4。市販のポリオワクチンには、不活化ポリオワクチン(IPV)および経口ポリオウイルスワクチン(OPV)が含まれる。
【0145】
ヘパルナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパルナウイルス(A型肝炎ウイルス(HAV)など)に由来し得る。市販のHAVワクチンには、不活化HAVワクチンが含まれる。
【0146】
トガウイルス:ウイルス抗原は、トガウイルス(ルビウイルス、アルファウイルス、またはアルテリウイルスなど)に由来し得る。ルビウイルス(風疹ウイルスなど)由来の抗原が好ましい。トガウイルス抗原を、E1、E2、E3、C、NSP−1、NSPO−2、NSP−3、またはNSP−4から選択することができる。トガウイルス抗原を、好ましくは、E1、E2、またはE3から選択する。市販の風疹ワクチンには、典型的にはムンプスワクチンおよび麻疹ワクチン(MMR)と組み合わせた低温適応の生きたウイルスが含まれる。
【0147】
フラビウイルス:ウイルス抗原は、フラビウイルス(ダニ媒介性脳炎(TBE)、デング熱(1、2、3、または4型)、黄熱病、日本脳炎、ウエストナイル脳炎、セントルイス脳炎、ロシア春夏脳炎、ポワッサン脳炎など)に由来し得る。フラビウイルス抗原を、PrM、M、C、E、NS−1、NS−2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b、およびNS5から選択することができる。フラビウイルス抗原を、好ましくは、PrM、M、およびEから選択する。市販のTBEワクチンには、不活化ウイルスワクチンが含まれる。
【0148】
ペスチウイルス:ウイルス抗原は、ペスチウイルス(ウシウイルス性下痢(BVDV)、ブタコレラ(CSFV)、またはボーダー病(BDV)など)に由来し得る。
【0149】
ヘパドナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパドナウイルス(B型肝炎ウイルスなど)に由来し得る。ヘパドナウイルス抗原を、表面抗原(L、M、およびS)、コア抗原(HBc、HBe)から選択することができる。市販のHBVワクチンには、表面抗原Sタンパク質を含むサブユニットワクチンが含まれる。
【0150】
C型肝炎ウイルス:ウイルス抗原は、C型肝炎ウイルス(HCV)に由来し得る。HCV抗原を、1つまたは複数のE1、E2、E1/E2、NS345ポリタンパク質、NS345−コアポリタンパク質、コア、および/または非構造領域由来のペプチド(Houghtonら、Hepatology(1991)14:381)から選択することができる。
【0151】
ラブドウイルス:ウイルス抗原は、ラブドウイルス(リッサウイルス(狂犬病ウイルス)およびベシクロウイルス(VSV)など)に由来し得る。ラブドウイルス抗原を、糖タンパク質(G)、核タンパク質(N)、巨大タンパク質(L)、非構造タンパク質(NS)から選択することができる。市販の狂犬病ウイルスワクチンは、ヒト二倍体細胞またはアカゲザル胎児肺細胞で成長した死滅ウイルスを含む。
【0152】
カリシウイルス科;ウイルス抗原は、カルシウイルス科(ノーウォークウイルスおよびノーウォーク様ウイルス(ハワイウイルスおよびスノーマウンテンウイルスなど)など)に由来し得る。
【0153】
コロナウイルス:ウイルス抗原は、コロナウイルス、SARS、ヒト呼吸器コロナウイルス、トリ伝染性気管支炎(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、およびブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)に由来し得る。コロナウイルス抗原を、スパイク(S)、エンベロープ(E)、基質(M)、ヌクレオカプシド(N)、および血球凝集素−エステラーゼ糖タンパク質(HE)から選択することができる。好ましくは、コロナウイルス抗原は、SARSウイルスに由来する。SARSウイルス抗原は、WO04/92360号に記載されている。
【0154】
レトロウイルス:ウイルス抗原は、レトロウイルス(オンコウイルス、レンチウイルス、またはスプーマウイルスなど)に由来し得る。オンコウイルス抗原は、HTLV−1、HTLV−2、またはHTLV−5に由来し得る。レンチウイルス抗原は、HIV−1またはHIV−2に由来し得る。レトロウイルス抗原を、gag、pol、env、tax、tat、rex、rev、nef、vif、vpu、およびvprから選択することができる。HIV抗原を、gag(p24gagおよびp55gag)、env(gp160およびgp41)、pol、tat、nef、rev vpu、ミニタンパク質(好ましくは、p55 gagおよびgp140v欠失)から選択することができる。HIV抗原は、1つまたは複数の以下の株に由来し得る:HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV−1CM235、HIV−1US4。
【0155】
レオウイルス:ウイルス抗原は、レオウイルス(オルトレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、またはコルティウイルスなど)に由来し得る。レオウイルス抗原を、構造タンパク質λ1、λ2、λ3、μ1、μ2、σ1、σ2、もしくはσ3、または非構造タンパク質σNS、μNS、もしくはσ1sから選択することができる。好ましいレオウイルス抗原は、ロタウイルスに由来し得る。ロタウイルス抗原を、VP1、VP2、VP3、VP4(または切断産物VP5およびVP8)、NSP1、VP6、NSP3、NSP2、VP7、NSP4、またはNSP5から選択することができる。好ましいロタウイルス抗原には、VP4(または切断産物VP5およびVP8)、およびVP7が含まれる。
【0156】
パルボウイルス:ウイルス抗原は、パルボウイルス(パルボウイルスB19など)に由来し得る。パルボウイルス抗原を、VP−1、VP−2、VP−3、NS−1、およびNS−2から選択することができる。好ましくは、パルボウイルス抗原は、キャプシドタンパク質VP−2である。
【0157】
デルタ肝炎ウイルス(HDV):ウイルス抗原は、HDV、特に、HDV由来のδ−抗原(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと)に由来し得る。
【0158】
E型肝炎ウイルス(HEV):ウイルス抗原は、HEVに由来し得る。
【0159】
G型肝炎ウイルス(HGV):ウイルス抗原は、HGVに由来し得る。
【0160】
ヒトヘルペスウイルス:ウイルス抗原は、ヒトヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)、およびヒトヘルペスウイルス8(HHV8)など)に由来し得る。ヒトヘルペスウイルス抗原を、最初期タンパク質(α)、初期タンパク質(β)、および後期タンパク質(γ)から選択することができる。HSV抗原は、HSV−1株またはHSV−2株に由来し得る。HSV抗原を、糖タンパク質gB、gC、gD、およびgH、融合タンパク質(gB)、または免疫回避タンパク質(gC、gE、またはgI)から選択することができる。VZV抗原を、コアタンパク質、ヌクレオカプシドタンパク質、テグメントタンパク質、またはエンベロープタンパク質から選択することができる。弱毒化生VZVワクチンは市販されている。EBV抗原を、初期抗原(EA)タンパク質、ウイルスキャプシド抗原(VCA)、および膜抗原(MA)の糖タンパク質から選択することができる。CMV抗原を、キャプシドタンパク質、エンベロープ糖タンパク質(gBおよびgHなど)、およびテグメントタンパク質から選択することができる。
【0161】
パポーバウイルス:抗原は、パポーバウイルス(パピローマウイルスおよびポリオーマウイルスなど)に由来し得る。パピローマウイルスには、HPV血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63、および65が含まれる。好ましくは、HPV抗原は、血清型6、11、16、または18に由来する。HPV抗原を、キャプシドタンパク質(L1)および(L2)またはE1〜E7、またはその融合物から選択することができる。HPV抗原を、好ましくは、ウイルス様粒子(VLP)に配合する。ポリオーマウイルス(Polyomyavirus)には、BKウイルスおよびJKウイルスが含まれる。ポリオーマウイルス抗原を、VP1、VP2、またはVP3から選択することができる。
【0162】
Vaccines,4th Edition(Plotkin and Orenstein ed.2004);Medical Microbiology 4th Edition(Murrayら、ed.2002);Virology,3rd Edition(W.K.Joklik ed.1988);Fundamental Virology,2nd Edition(B.N.Fields and D.M.Knipe,eds.1991)(本発明の組成物と併せて意図される)に含まれる抗原、組成物、方法、および微生物がさらに提供される。
【0163】
C.真菌抗原
本発明で用いる真菌抗原は、1つまたは複数の下記の真菌に由来し得る。
【0164】
真菌抗原は、皮膚糸状菌(Dermatophytres)(エピデルモフィトン・フロッコーサム(Epidermophyton floccusum)、ミクロスポルム・オドウィニ(Microsporum audouini)、ミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)、ミクロスポルム・ディストルツム(Microsporum distortum)、ミクロスポルム・エクイヌム(Microsporum equinum)、ミクロスポルム・ジプスム(Microsporum gypsum)、ミクロスポルム・ナヌム(Microsporum nanum)、トリコフィトン・コンセントリクム(Trichophyton concentricum)、トリコフィトン・エクイヌム(Trichophyton equinum)、トリコフィトン・ガリネ(Trichophyton gallinae)、トリコフィトン・ジプセウム(Trichophyton gypseum)、トリコフィトン・メグニニ(Trichophyton megnini)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・キンケアヌム(Trichophyton quinckeanum)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・シェーンレイニ(Trichophyton schoenleini)、トリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)、トリコフィトン・ベルコスム(Trichophyton verrucosum)、T.ベルコスム・アルブム変種(T.verrucosum var.album)、ジスコイデス変種(var.discoides)、オクラセイム変種(var.ochraceum)、トリコフィトン・ビオラセウム(Trichophyton violaceum)、および/またはトリコフィトン・ファビホルメ(Trichophyton faviforme)が含まれる)に由来し得る。
【0165】
真菌病原体は、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、クロコウジカビ、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・シドウィ(Aspergillus sydowi)、アスペルギルス・フラバタス(Aspergillus flavatus)、アスペルギルス・グラウクス(Aspergillus glaucus)、ブラストシゾマイセス・カピタタス(Blastoschizomyces capitatus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・エノラーゼ(Candida enolase)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、カンジダ・クセイ(Candida kusei)、カンジダ・パラクエセイ(Candida parakwsei)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・グイリエルモンジ(Candida guilliermondi)、クラドスポリム・カリオニイ(Cladosporium carrionii)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマチディス(Blastomyces dermatidis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ゲオトリクム・クラバタム(Geotrichum clavatum)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、肺炎桿菌、南アメリカ分芽菌、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、ピシウムン・インシジオスム(Pythiumn insidiosum)、ピチロスポルム・オバール(Pityrosporum ovale)、酵母(Sacharomyces cerevisae)、サッカロマイセス・ブラウディ、サッカロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、スケドスポリウム・アピオスペルム(Scedosporium apiosperum)、スポロトリクス・シェンキ(Sporothrix schenckii)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、ペニシリウム・マルネフェイ(Penicillium marneffei)、マラセジア(Malassezia)属菌種、フォンセケア(Fonsecaea)属菌種、ワンギエラ(Wangiella)属菌種、スポロトリクス(Sporothrix)属菌種、バシジオボラス(Basidiobolus)属菌種、コニディオボラス(Conidiobolus)属菌種、リゾプス(Rhizopus)属菌種、ムコール(Mucor)属菌種、アブシディア(Absidia)属菌種、モルチエレラ(Mortierella)属菌種、クニンガメラ(Cunninghamella)属菌種、サクセネア(Saksenaea)属菌種、アルテルナリア(Alternaria)属菌種、カーブラリア(Curvularia)属菌種、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属菌種、フザリウム(Fusarium)属菌種、アスペルギルス(Aspergillus)属菌種、ペニシリウム(Penicillium)属菌種、アモノリニア(Monolinia)属菌種、リゾクトニア(Rhizoctonia)属菌種、ペシロマイセス(Paecilomyces)属菌種、ピトマイセス(Pithomyces)属菌種、およびクラドスポリウム(Cladosporium)属菌種に由来し得る。
【0166】
真菌抗原の産生プロセスは、当該分野で周知である(米国特許第6,333,164号を参照のこと)。好ましい方法では、その細胞壁が実質的に除去されているか少なくとも部分的に除去された真菌細胞から得ることができる不溶性画分から抽出および分離した可溶化画分を、プロセスが、生きた真菌細胞を得る工程;その細胞壁が実質的に除去されているか少なくとも部分的に除去された真菌細胞を得る工程;その細胞壁が実質的に除去されているか少なくとも部分的に除去された真菌細胞を破裂させる工程;不溶性画分を得る工程;ならびに不溶性画分から可溶化画分を抽出および分離する工程を含むという点で特徴づけた。
【0167】
D.STD抗原
本発明の組成物は、1つまたは複数の性感染症(STD)由来の抗原を含むことができる。かかる抗原は、STD(クラミジア、陰部ヘルペス、肝炎(HCVなど)、陰部疣贅、淋病、梅毒、および/または軟性下疳など)を予防または治療することができる(WO00/15255号を参照のこと)。抗原は、1つまたは複数のウイルスまたは細菌のSTDに由来し得る。本発明で用いるウイルスSTD抗原は、例えば、HIV、単純ヘルペスウイルス(HSV−1およびHSV−2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、および肝炎(HCV)に由来し得る。本発明で用いる細菌STD抗原は、例えば、淋菌、トラコーマクラミジア、梅毒トレポネーマ、軟性下疳菌、大腸菌、およびストレプトコッカス・アガラクチアに由来し得る。これらの病原体由来の特異的抗原の例は、上に記載している。
【0168】
E.呼吸器抗原
本発明の組成物は、呼吸器疾患を引き起こす病原体由来の1つまたは複数の抗原を含むことができる。例えば、呼吸器抗原は、呼吸器ウイルス(オルソミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、モルビリウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、VZV、およびコロナウイルス(SARS)など)に由来し得る。呼吸器抗原は、呼吸器疾患を引き起こす細菌(肺炎連鎖球菌、緑膿菌、百日咳菌、結核菌、肺炎マイコプラズマ、クラミジア・ニューモニエ、炭疽菌、およびカタル球菌など)に由来し得る。これらの病原体由来の特異的抗原の例は、上に記載している。
【0169】
F.小児ワクチン抗原
本発明の組成物は、小児被験体での使用に適切な1つまたは複数の抗原を含むことができる。小児被験体は、典型的には、約3歳未満、約2歳未満、または約1歳未満である。小児抗原を、6ヶ月、1年、2年、または3年にわたって複数回投与することができる。小児抗原は、小児集団を標的にすることができるウイルスおよび/または小児集団が感染に感受性を示すウイルスに由来し得る。小児ウイルス抗原には、1つまたは複数のオルソミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびムンプス)、モルビリウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、および水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)由来の抗原が含まれる。小児細菌抗原には、1つまたは複数の肺炎連鎖球菌、ナイセリア・メニンギティディス、化膿連鎖球菌(A群連鎖球菌)、カタル球菌、百日咳菌、黄色ブドウ球菌、破傷風菌(破傷風)、ジフテリア菌(ジフテリア)、インフルエンザ菌B(Hib)、緑膿菌、ストレプトコッカス・アガラクチア(B群連鎖球菌)、および大腸菌由来の抗原が含まれる。これらの病原体由来の特異的抗原の例は、上に記載している。
【0170】
G.高齢者または免疫無防備状態の個体での使用に適切な抗原
本発明の組成物は、高齢者または免疫無防備状態の個体での使用に適切な1つまたは複数の抗原を含むことができる。かかる個体に、より頻繁に、標的化抗原に対するその免疫応答を改良するためにより高い用量またはアジュバント化(adjuvanted)処方物でワクチン接種することが必要であり得る。高齢者または免疫無防備状態の個体での使用のために標的化することができる抗原には、1つまたは複数の以下の病原体由来の抗原が含まれる:ナイセリア・メニンギティディス、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌(A群連鎖球菌)、カタル球菌、百日咳菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、破傷風菌(破傷風)、ジフテリア菌(ジフテリア)、インフルエンザ菌B(Hib)、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・アガラクチア(B群連鎖球菌)、フェカリス菌、ピロリ菌、肺炎クラミジア(Clamydia pneumoniae)、オルソミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびムンプス)、モルビリウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)。これらの病原体由来の特異的抗原の例は、上に記載している。
【0171】
H.青年期ワクチンでの使用に適切な抗原
本発明の組成物は、青年期被験体での使用に適切な1つまたは複数の抗原を含むことができる。青年期は、以前に投与した小児ワクチンの追加免疫が必要であり得る。青年期での使用に適切であり得る小児抗原は、上に記載されている。さらに、性行為の開始前に防御免疫または治療的免疫を確実にするために、STD病原体由来の抗原を投与するために青年期を標的化することができる。青年期での使用に適切であり得るSTD抗原は、上に記載されている。
【0172】
I.抗原処方物
本発明の他の態様では、吸着抗原を有する微粒子の生成方法を提供する。本方法は、(a)(i)水、(ii)界面活性剤、(iii)有機溶媒、および(iv)ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルソエステル、ポリ酸無水物、およびポリシアノアクリラートからなる群より選択される生分解性ポリマーを含む混合物の分散によって乳濁液を準備する工程を含む。ポリマーは、典型的には、有機溶媒と比較して約1%〜約3%の濃度の混合物で存在する一方で、界面活性剤は、典型的には、約0.00001:1〜約0.1:1(より典型的には、約0.0001:1〜約0.1:1、約0.001:1〜約0.1:1、または約0.005:1〜約0.1:1)の水:水、界面活性剤:ポリマー比で混合物中に存在する、準備する工程、(b)乳濁液から有機溶媒を除去する工程、および(c)微粒子表面上に抗原を吸着させる工程を含む。一定の実施形態では、生分解性ポリマーは、有機溶媒と比較して約3%〜約10%の濃度で存在する。
【0173】
本明細書中で使用するための微粒子を、滅菌可能で、非毒性を示し、生分解性を示す材料から形成するであろう。かかる材料には、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルソエステル、ポリ酸無水物、PACA、およびポリシアノアクリラートが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明と共に使用するための微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、特に、ポリ(ラクチド)(「PLA」)またはD,L−ラクチドとグリコリドまたはグリコール酸とのコポリマー(ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリドなど)(「PLG」または「PLGA」)、またはD,L−ラクチドとカプロラクトンとのコポリマーに由来する。微粒子は、種々の分子量、PLGなどのコポリマーの場合、種々のラクチド:グリコリド比を有する任意の種々の重合開始材料に由来し得、その選択は、同時投与される高分子に一部依存して、多くの選択肢があるであろう。これらのパラメータは、以下により完全に考察されている。
【0174】
さらなる抗原には、外膜小胞(OMV)調製物も含まれ得る。
【0175】
さらなる処方方法および抗原(特に、腫瘍抗原)は、米国特許出願番号09/581,772号に記載されている。
【0176】
J.抗原についての参考文献
以下の参考文献は、本発明の組成物と併せて有用な抗原を含む。
【0177】
【数1】
【0178】
【数2】
上記で引用した全ての特許、特許出願、および学術論文の内容は、本明細書中で完全に記載されているかのように参考として援用される。
【0179】
糖類抗原または炭水化物抗原を使用する場合、好ましくは、この抗原を担体タンパク質と接合して免疫原性を増強する。Ramsayら(2001)Lancet357(9251):195−196;Lindberg(1999)Vaccine 17 Suppl 2:S28−36;Buttery & Moxon(2000)J R Coll Physicians Lond 34:163−168;Ahmad & Chapnick(1999)Infect Dis Clin North Am 13:113−133,vii;Goldblatt(1998)J.Med.Microbiol.47:563−567;欧州特許第0477508号;米国特許第5,306,492号;WO98/42721号;Conjugate Vaccines(eds.Cruseら)ISBN 3805549326、特に、vol.10:48−114;Hermanson(1996)Bioconjugate Techniques ISBN:0123423368 or 012342335Xを参照のこと。好ましい担体タンパク質は、細菌毒素またはトキソイド(ジフテリアトキソイドまたは破傷風トキソイドなど)である。CRM197ジフテリアトキソイドが特に好ましい。
【0180】
他の担体ポリペプチドには、髄膜炎菌外膜タンパク質(EP−A−0372501号)、合成ペプチド(EP−A−0378881号およびEP−A0427347号)、熱ショックタンパク質(WO93/17712号およびWO94/03208号)、百日咳タンパク質(WO98/58668号およびEP A 0471177号)、インフルエンザ菌由来のタンパク質D(WO00/56360号)、サイトカイン(WO91/01146号)、リンホカイン、ホルモン、成長因子、C.difficile由来の毒素AまたはB(WO00/61761号)、鉄取り込みタンパク質(WO01/72337号)などが含まれる。混合物がセリグラフ(serigraph)AおよびCの両方由来の莢膜糖類を含む場合、MenA糖類:MenC糖類の比(w/w)は1を超える(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、またはそれを超える)ことが好ましい場合がある。異なる糖類を、同型または異なる型の担体タンパク質に接合することができる。必要に応じて任意の適切なリンカーを使用した任意の適切な接合反応を使用することができる。
【0181】
必要に応じて、有毒タンパク質抗原を解毒することができる(例えば、化学的手段および/または遺伝子手段による百日咳毒素の解毒)。
【0182】
薬学的に許容可能な担体
本発明の組成物は、典型的には、上記成分に加えて、1つまたは複数の「薬学的に許容可能な担体」を含むであろう。これらには、担体自体が組成物を投与される個体に有害な抗体の産生を誘導しない任意の担体が含まれる。適切な担体は、典型的には、巨大でゆっくり代謝される高分子(タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および脂質凝集体(油滴またはリポソームなど)など)である。かかる担体は、当業者に周知である。組成物はまた、希釈剤(水、生理食塩水、グリセロールなど)を含むことができる。さらに、補助剤(湿潤剤または乳化剤およびpH緩衝物質など)が存在し得る。薬学的に許容可能な成分の徹底的な考察は、Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy.20th ed.,ISBN:0683306472で得られる。
【0183】
免疫調節薬
アジュバント
本発明のワクチンを、他の免疫調節薬と併せて投与することができる。特に、組成物は、通常、アジュバントを含むであろう。本発明と共に使用するためのアジュバントには、1つまたは複数の下記のアジュバントが含まれるが、これらに限定されない。
【0184】
A.ミネラル含有組成物
本発明でのアジュバントとしての使用に適切なミネラル含有組成物は、ミネラル塩(アルミニウム塩およびカルシウム塩など)を含む。本発明は、水酸化物(例えば、オキシヒドロキシド)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシホスフェート、オルトホスフェート)、硫酸塩などのミネラル塩(例えば、chapters8 & 9 of Vaccine Design…(1995)eds.Powell & Newman.ISBN:030644867X.Plenum.Press)または異なるミネラル化合物の混合物(例えば、リン酸塩アジュバントと水酸化物アジュバントとの混合物(任意選択的にリン酸塩が過剰))を含み、この化合物は任意の適切な形態(例えば、ゲル、血漿、無定形など)をとり、塩に吸着していることが好ましい。ミネラル含有組成物を、金属塩の粒子として処方することもできる(WO00/23105号)。
【0185】
アルミニウム塩を、Al3+の用量が0.2mg/用量と1.0mg/用量との間であるように本発明のワクチン中に含めることができる。
【0186】
1つの実施形態では、本発明で用いるアルミニウムベースのアジュバントは、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO4)2))またはミョウバン誘導体(リン酸緩衝剤中で抗原とミョウバンとを混合し、その後に滴定し、水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基で沈殿させることによってインサイチュで形成したミョウバン誘導体など)である。
【0187】
本発明のワクチン処方で用いる別のアルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH)3)または結晶オキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)(優れた吸着剤であり、表面積が約500m2/gである)である。あるいは、リン酸アルミニウムアジュバント(AlPO4)またはヒドロキシリン酸アルミニウム(水酸化アルミニウムアジュバントのいくつかまたは全てのヒドロキシル基の代わりにリン酸基を含む)を提供する。本明細書中で提供する好ましいリン酸アルミニウムアジュバントは無定形であり、酸性、塩基性、および中性の媒質中に可溶である。
【0188】
別の実施形態では、本発明のアジュバントは、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方を含む。そのより特定の実施形態では、アジュバントは、水酸化アルミニウムよりも大量のリン酸アルミニウムを有する(2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または9:1超などのリン酸アルミニウム:水酸化アルミニウムの重量比)。さらにより詳細には、ワクチン中のアルミニウム塩は、0.4〜1.0mg/ワクチン用量、0.4〜0.8mg/ワクチン用量、0.5〜0.7mg/ワクチン用量、または約0.6mg/ワクチン用量で存在する。
【0189】
一般に、好ましいアルミニウムベースのアジュバントまたは複数のアルミニウムベースのアジュバントの比率(リン酸アルミニウム:水酸化アルミニウムなど)を、抗原が所望のpHでアジュバントとして逆の電荷を有するように分子間の静電気引力を至適化することによって選択する。例えば、リン酸アルミニウムアジュバント(等電点=4)はリゾチームを吸着するが、pH7.4でアルブミンを吸着しない。アルブミンが標的である場合、水酸化アルミニウムアジュバントを選択するであろう(iep 11.4)。あるいは、リン酸塩での水酸化アルミニウムの前処理によってその等電点が低下し、より塩基性の高い抗原に好ましいアジュバントとなる。
【0190】
B.油性乳濁液
本発明でのアジュバントとしての使用に適切な油性乳濁液組成物には、スクアレン−水乳濁液(MF59(ミクロフルイダイザー(microfluidizer)を使用して、5%スクアレン、0.5%TWEEN(商標)80、および0.5%Span85をサブミクロン粒子に処方したもの)など)が含まれる。WO90/14837号を参照のこと。Podda,Vaccine(2001)19:2673−2680;Freyら、Vaccine(2003)21:4234−4237も参照のこと。MF59を、FLUAD(商標)インフルエンザウイルス3価サブユニットワクチンにおけるアジュバントとして使用する。
【0191】
組成物中での使用に特に好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油型乳濁液である。本明細書中での使用に好ましいサブミクロン水中油型乳濁液は、種々の量のMTP−PEを任意選択的に含むスクアレン/水乳濁液(4〜5% w/v スクアレン、0.25〜1.0% w/v TWEEN(商標)80□(ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyelthylenesorbitan)モノオレアート、および/または0.25〜1.0% SPAN 85(商標)(ソルビタントリオレアート)、および任意選択的にN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−ヒドロキシホスホホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含むサブミクロン水中油型乳濁液(例えば、「MF59」として公知のサブミクロン水中油型乳濁液(国際公開番号WO90/14837号;米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号、およびOttら、in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.and Newman,M.J.eds.)Plenum Press,New York,1995,pp.277−296))など)である。MF59は、4〜5% w/v スクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5% w/v TWEEN(商標)80、および0.5% w/v SPAN 85(商標)を含み、任意選択的に種々の量のMTP−PEを含み、これがModel 110Yミクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA)などのミクロフルイダイザーを使用してサブミクロン粒子に処方されている。例えば、MTP−PEは、約0〜500μg/用量、より好ましくは0〜250μg/用量、最も好ましくは0〜100μg/用量で存在し得る。本明細書中で使用される場合、用語「MF59−0」は、MTP−PEを欠く上記サブミクロン水中油型乳濁液いう一方で、用語「MF59−MTP」は、MTP−PEを含む処方物を示す。例えば、「MF59−100」は、100μg MTP−PE/用量などを含む。MF69(本明細書中で用いる別のサブミクロン水中油型乳濁液)は、4.3% w/v スクアレン、0.25% w/v TWEEN(商標)80、および0.75% w/v SPAN 85(商標)、および任意選択的にMTP−PEを含む。さらに別のサブミクロン水中油型乳濁液は、SAFとしても公知のMF75であり、これは10%スクアレン、0.4% TWEEN(商標)80、5%プルロニックブロック重合体L121、およびthr−MDPを含み、サブミクロン乳濁液にミクロ流体化もされている。MF75−MTPは、MTP(100〜400μg MTP−PE/用量など)を含むMF75処方物を示す。
【0192】
組成物で用いるサブミクロン水中油型乳濁液、その作製方法、および免疫賦活剤(ムラミルペプチドなど)は、WO90/14837号および米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号に詳述されている。
【0193】
フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA)を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。
【0194】
C.サポニン処方物
サポニン処方物を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。サポニンは、ステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種群であり、広範な植物種の樹皮、葉、幹、根、さらに花弁中で見出される。キラヤサポナリア モリナ(Quillalaia saponaria Molina)の木の樹皮から単離したサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。スミラックス・オルナタ(Smilax ornata)(サルサパリラ(sarsaprilla))、シュッコンカスミソウ(Gypsophilla paniculata)(ブライドベール(brides veil))、およびサボンソウ(ソープルート(soap root))由来のサポニンを購入することもできる。サポニンアジュバント処方物には、精製処方物(QS21など)および脂質処方物(ISCOMなど)が含まれる。
【0195】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィ(HP−TLC)および逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)を使用して精製されている。これらの技術を使用した特定の精製画分(QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B、およびQH−Cが含まれる)が同定されている。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の生成方法は、米国特許第5,057,540号に開示されている。サポニン処方物はまた、コレステロールなどのステロールを含むこともできる(WO96/33739号を参照のこと)。
【0196】
サポニンとコレステロールとの組み合わせを使用して、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる固有の粒子を形成することができる。ISCOMは、典型的には、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質も含む。任意の公知のサポニンを、ISCOMで使用することができる。好ましくは、ISCOMは、1つまたは複数のQuil A、QHA、およびQHCを含む。ISCOMは、EP0109942号、WO96/11711号、およびWO96/33739号にさらに記載されている。任意選択的に、ISCOMSは、さらなる界面活性剤を欠いていてもよい。WO00/07621号を参照のこと。
【0197】
サポニンベースのアジュバント開発の概説を、Barr,ら、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:247−271に見出すことができる。Sjolander,ら、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:321−338も参照のこと。
【0198】
D.ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。これらの構造物は、一般に、任意選択的にリン脂質と組み合わせた、またはこれを用いて処方したウイルス由来の1つまたは複数のタンパク質を含む。これらは、一般に、非病原性で複製せず、一般に、任意の未変性のウイルスゲノムを含まない。ウイルスタンパク質を、組換え的に産生し、または全ウイルスから単離することができる。ビロソームまたはVLPでの使用に適切なこれらのウイルスタンパク質には、インフルエンザウイルス(HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(コアタンパク質またはキャプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビス・ウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、HIV、RNA−ファージ、Qβ−ファージ(コートタンパク質など)、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205ファージ、およびTy(レトロトランスポゾンTyタンパク質p1など)由来のタンパク質が含まれる。VLPは、WO03/024480号、WO03/024481号、Niikuraら、Virology(2002)293:273−280;Lenzら、Journal of Immunology(2001)5246−5355;Pinto,ら、Journal of Infectious Diseases(2003)188:327−338;およびGerberら、Journal of Virology(2001)75(10):4752−4760でさらに考察されている。ビロソームは、例えば、Gluckら、Vaccine(2002)20:B10−B16でさらに考察されている。免疫増強する再構築されたインフルエンザビロソーム(IRIV)を、鼻腔内3価INFLEXAL(商標)製品(Mischler & Metcalfe(2002)Vaccine 20 Suppl 5:B17−23)およびINFLUVAC PLUS(商標)製品におけるサブユニット抗原送達系として使用する。
【0199】
E.細菌または微生物誘導体
本発明での使用に適切なアジュバントには、以下などの細菌または微生物誘導体が含まれる。
【0200】
(1)腸内細菌リポ多糖類(LPS)の非毒性誘導体
かかる誘導体には、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が含まれる。3dMPLは、3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質Aと4、5、または6アシル化鎖との混合物である。3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小粒子」形態は、EP0689454号に開示されている。かかる3dMPLの「小粒子」は、0.22ミクロン膜で濾過滅菌するのに十分に小さい(EP0689454号)。他の非毒性LPS誘導体には、モノホスホリル脂質A模倣物(アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(例えば、RC529)など)が含まれる。Johnsonら(1999)Bioorg Med Chem Lett 9:2273−2278を参照のこと。
【0201】
(2)脂質A誘導体
脂質A誘導体には、大腸菌(OM−174)由来の脂質A誘導体が含まれる。OM−174は、例えば、Meraldiら、Vaccine(2003)21:2485−2491およびPajak,ら、Vaccine(2003)21:836−842に記載されている。
【0202】
(3)免疫刺激性オリゴヌクレオチド
本発明でのアジュバントとしての使用に適切な免疫刺激性オリゴヌクレオチドには、CpGモチーフ(非メチル化シトシンの後にグアノシンを含み、リン酸結合によって結合した配列)を含むヌクレオチド配列が含まれる。回分配列またはポリ(dG)配列を含む細菌二本鎖RNAまたはオリゴヌクレオチドも免疫刺激性を示すことが示されている。
【0203】
CpGは、ホスホロチオアート修飾物などのヌクレオチド修飾物/アナログが含まれ得、二本鎖または一本鎖であり得る。任意選択的に、グアノシンを、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンなどのアナログと置換することができる。可能なアナログ置換の例については、Kandimalla,ら、Nucleic Acids Research(2003)31(9):2393−2400;WO02/26757号およびWO99/62923号を参照のこと。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、Krieg,Nature Medicine(2003)9(7):831−835;McCluskie,ら、FEMS Immunology and Medical Microbiology(2002)32:179−185;WO98/40100号;米国特許第6,207,646号;米国特許第6,239,116号および米国特許第6,429,199号でさらに考察されている。
【0204】
CpG配列を、TLR9(モチーフGTCGTTまたはTTCGTTなど)に指向することができる。Kandimalla,ら、Biochemical Society Transactions(2003)31(part 3):654−658を参照のこと。CpG配列は、Th1免疫応答の誘導に特異的であり得るか(CpG−A ODNなど)、B細胞応答の誘導により特異的であり得る(CpG−B ODNなど)。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、Blackwell,ら、J.Immunol.(2003)170(8):4061−4068;Krieg,TRENDS in
Immunology(2002)23(2):64−65およびWO01/95935号で考察されている。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。
【0205】
好ましくは、5’末端が受容体認識のために接近することができるようにCpGオリゴヌクレオチドを構築する。任意選択的に、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列をその3’末端で結合して、「イムノマー」を形成することができる。例えば、Kandimalla,ら、BBRC(2003)306:948−953;Kandimalla,ら、Biochemical Society Transactions(2003)31(part 3):664−658;Bhagatら、BBRC(2003)300:853−861、およびWO03/035836号を参照のこと。
【0206】
(4)ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体
細菌ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体を、本発明でアジュバントとして使用することができる。好ましくは、タンパク質は、大腸菌(すなわち、大腸菌熱不安定性エンテロトキシン(「LT」)、コレラ菌(「CT」)、または百日咳菌(「PT」)に由来する。粘膜アジュバントとしての解毒ADP−リボシル化毒素の使用は、WO95/17211号に記載されており、非経口アジュバントとしてはWO98/42375号に記載されている。好ましくは、アジュバントは、解毒LT変異体(LT−K63、LT−R72、およびLTR192Gなど)である。ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体(特に、LT−K63およびLT−R72)のアジュバントとしての使用を、以下の参考文献で見出すことができる:Beignon,ら、Infection and Immunity(2002)70(6):3012−3019;Pizza,ら、Vaccine(2001)19:2534−2541;Pizza,ら、Int.J.Med.Microbiol(2000)290(4−5):455−461;Scharton−Kerstenら、Infection and Immunity(2000)68(9):5306−5313;Ryanら、Infection and Immunity(1999)67(12):6270−6280;Partidosら、Immunol.Lett.(1999)67(3):209−216;Peppoloniら、Vaccines(2003)2(2):285−293;およびPineら、(2002)J.Control Release(2002)85(1−3):263−270。アミノ酸置換についての数値の基準は、好ましくは、Domenighiniら、Mol.Microbiol(1995)15(6):1165−1167に記載のADP−リボシル化毒素のAおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。
【0207】
F.生体接着剤および粘膜接着剤
生体接着剤および粘膜接着剤を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。適切な生体接着剤には、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフィア(Singhら(2001)J.Cont.Rele.70:267−276)または粘膜接着剤(ポリアクリル酸の架橋誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類、およびカルボキシメチルセルロースなど)が含まれる。キトサンおよびその誘導体を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。WO99/27960を参照のこと。
【0208】
G.微粒子
微粒子を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。微粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは直径約200nm〜約30μm、最も好ましくは直径約500nm〜約10μmの粒子)を、生分解性且つ非毒性の材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルソエステル、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトンなど)(ポリ(ラクチドコグリコリド)が好ましい)から形成し、任意選択的に、負電荷の表面(例えば、SDS)または正電荷の表面(例えば、CTABなどの陽イオン性界面活性剤)を有するように処理する。
【0209】
H.リポソーム
アジュバントとしての使用に適切なリポソーム処方物の例は、米国特許第6,090,406号、米国特許第5,916,588号、および欧州特許第0626169号に記載されている。
【0210】
I.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル処方物
本発明での使用に適切なアジュバントには、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが含まれる。WO99/52549号。かかる処方物には、さらに、オクトキシノール(WO01/21207)と組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤および少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤(オクトキシノールなど)と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤(WO01/21152号)が含まれる。
【0211】
好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth 9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0212】
J.ポリホスファゼン(PCPP)
PCPP処方物は、例えば、Andrianovら、“Preparation of hydrogel microspheres by coacervation of aqueous polyphophazene solutions”,Biomaterials(1998)19(1−3):109−115 and Payneら、“Protein Release from Polyphosphazene Matrices”,Adv.Drug.Delivery Review(1998)31(3):185−196に記載されている。
【0213】
K.ムラミルペプチド
本発明でのアジュバントとしての使用に適切なムラミルペプチドの例には、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)、およびNアセチルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が含まれる。
【0214】
L.イミダゾキノリン化合物
本発明でのアジュバントとしての使用に適切なイミダゾキノリン化合物の例には、イミキモドおよびそのアナログが含まれ、Stanley,Clin Exp Dermatol(2002)27(7):571−577;Jones,Curr Opin Investig Drugs(2003)4(2):214−218;米国特許第4,689,338号、同第5,389,640号、同第5,268,376号、同第4,929,624号、同第5,266,575号、同第5,352,784号、同第5,494,916号、同第5,482,936号、同第5,346,905号、同第5,395,937号、同第5,238,944号、および同第5,525,612号にさらに記載されている。
【0215】
M.チオセミカルバゾン化合物
チオセミカルバゾン化合物、ならびに本発明でのアジュバントとしての使用に適切な全ての化合物の処方、製造、およびスクリーニング方法の例には、WO04/60308号に記載のものが含まれる。チオセミカルバゾンは、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激で特に有効である。
【0216】
N.トリプタントリン化合物
トリプタントリン化合物、ならびに本発明でのアジュバントとしての使用に適切な全ての化合物の処方、製造、およびスクリーニング方法の例には、WO04/64759号に記載のものが含まれる。トリプタントリン化合物は、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激で特に有効である。
【0217】
本発明はまた、上記で同定した1つまたは複数のアジュバントの態様の組み合わせを含むこともできる。例えば、以下のアジュバント組成物を、本発明で使用することができる。
【0218】
(1)サポニンおよび水中油型乳濁液(WO99/11241号);
(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(WO94/00153号を参照のこと);
(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL12(任意選択的に、+ステロール)(WO98/57659号);
(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型乳濁液との組み合わせ(欧州特許出願第0835318号、0735898号、および0761231号を参照のこと);
(6)10%スクアラン、0.4%Tween80、5%プロニック−ブロック重合体L121、およびthr−MDPを含み、サブミクロン乳濁液にミクロ流体化されているか、ボルテックスしてより大きな粒子サイズの乳濁液を生成したSAF。
【0219】
(7)2%スクアレン、0.2%Tween80、およびモノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコラート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)(好ましくは、MPL+CWS(DETOX(商標))からなる群より選択される1つまたは複数の細菌細胞壁成分を含むRIBI(商標)アジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem);および
(8)1つまたは複数のミネラル塩(アルミニウム塩など)+LPSの非毒性誘導体(3dPMLなど)。
【0220】
(9)1つまたは複数のミネラル塩(アルミニウム塩など)+免疫刺激性オリゴヌクレオチド(CpGモチーフを含むヌクレオチド配列など)。
【0221】
O.ヒト免疫調節薬
本発明でアジュバントとしての使用に適切なヒト免疫調節薬には、サイトカイン(インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子など)が含まれる。
【0222】
アルミニウム塩およびMF59は、注射用インフルエンザワクチンとの使用に好ましいアジュバントである。細菌毒素および生体接着剤は、粘膜由来ワクチン(経鼻用ワクチンなど)との使用に好ましいアジュバントである。
【0223】
上記で引用した全ての特許、特許出願、および学術論文の内容は、本明細書中で完全に記載されているかのように参考により組み込まれる。
【0224】
治療方法
本発明は、上記組成物を使用して化膿連鎖球菌に対する免疫応答を誘導または増大させる方法を提供する。免疫応答は、好ましくは防御的であり、抗体および/または細胞−媒介性免疫(全身免疫および粘膜免疫が含まれる)が含まれ得る。免疫応答には、ブースター応答が含まれる。
【0225】
上に記載されるGAS抗原、核酸分子または抗体の組み合わせは、同時投与のための単一組成物に含まれ得る。代わりに、GAS抗原、核酸分子または抗体の組み合わせは、順次投与し得る。例えば、組み合わせがSpy0167、Spy0269、およびSpy0416またはその変異体もしくはフラグメントを含む場合、これら3つの抗原は、単一組成物で同時にまたは別々の組成物で順次投与し得る。この状況では、本発明は、既にSpy0269および/またはSpy416を受けている動物への投与のためにSpy0167;既にSpy0167および/またはSpy0416を受けている動物への投与のためにSpy0269;ならびに既にSpy0167および/またはSpy0269を受けている動物への投与のためにSpy0416を提供する。
【0226】
十代および小児(よちよち歩きの子供および乳児が含まれる)は、予防的用途のためにワクチンを受けることが可能であり、治療ワクチンは典型的には十代の若者または成人に投与される。小児への使用を意図するワクチンは、例えば、安全性、投与量、免疫原性などを評価するために成人にも投与し得る。
【0227】
本発明の組成物によってそのリスクを低減するか、防止するかまたは処置することができる、化膿連鎖球菌によって引き起こされる疾患には、咽頭炎(連鎖球菌性咽喉痛など)、猩紅熱、膿痂疹、丹毒、蜂巣炎、敗血、中毒性ショック症候群、壊死性筋膜炎、および後遺症(リウマチ熱および急性糸球体腎炎など)が含まれるが、これらに限定されない。組成物は、他の連鎖球菌(例えば、GBS)に対しても有効であり得る。
【0228】
免疫応答の有効性を決定する試験
治療上の処置の有効性を評価する1つの方法は、本発明の組成物の投与後にGAS感染をモニタリングすることを含む。予防的処置の有効性を評価する1つの方法は、組成物の投与後に本発明の組成物におけるGAS抗原に対する免疫応答をモニタリングすることを含む。
【0229】
本発明の免疫原性組成物の成分タンパク質の免疫原性を評価する別の方法は、組換え的にGAS抗原を発現し、免疫ブロットによって患者の血清または粘膜分泌物をスクリーニングすることである。タンパク質と患者の血清との間の陽性反応は、患者が問題のタンパク質に対する免疫応答を事前に開始していることを示す(すなわち、タンパク質が免疫原である)。この方法を使用して、免疫優性タンパク質および/またはエピトープを同定することもできる。
【0230】
治療上の処置の有効性の別のチェック方法は、本発明の組成物の投与後のGAS感染のモニタリングを含む。予防的処置の有効性の1つのチェック方法は、組成物の投与後にGASチャレンジに対する全身(IgG1およびIgG2a産生レベルのモニタリングなど)および粘膜(IgA産生レベルのモニタリングなど)の両方の免疫応答をモニタリングすることを含む。典型的には、血清特異的抗体応答を免疫化後であるがチャレンジ前に決定するのに対して、粘膜特異的抗体応答を免疫後且つチャレンジ後に決定する。
【0231】
本発明のワクチン組成物を、宿主(例えば、ヒト)投与前にインビトロおよびインビボ動物モデルで評価することができる。特に有用なマウスモデルには、腹腔内免疫化後に腹腔内チャレンジまたは鼻腔内チャレンジを行うマウスモデルが含まれる。
【0232】
本発明の免疫原性組成物の有効性を、動物モデル(例えば、モルモットまたはマウス)を免疫原性組成物で免疫化し、GASによるチャレンジ後に得られた保護のレベルを確認することによってインビボで決定することもできる。
【0233】
インビボ有効性モデルには、以下が含まれるが、これらに限定されない:(i)ヒトGAS血清型を使用したマウス感染モデル、(ii)マウス適合GAS株(特にマウスに病原性を示すM23株など)を使用したマウスモデルであるマウス疾患モデル、および(iii)ヒトGAS単離物を使用した霊長類モデル。
【0234】
免疫応答は、TH1免疫応答およびTH2免疫応答の一方または両方であり得る。免疫応答は、免疫応答の改良、増強、または変化であり得る。免疫応答は、全身免疫応答および粘膜免疫応答の一方または両方であり得る。好ましくは、免疫応答は、全身および/または粘膜の応答の増強である。
【0235】
全身免疫および/または粘膜免疫の増強は、TH1免疫応答および/またはTH2免疫応答の増強を反映している。好ましくは、免疫応答の増強には、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgA産生の増加が含まれる。
【0236】
好ましくは、粘膜免疫応答はTH2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答には、IgA産生の増加が含まれる。
【0237】
活性化TH2細胞は抗体産生を増強し、それにより、細胞外感染に対する応答で有益である。活性化TH2細胞は、1つまたは複数のIL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10を分泌することができる。TH2免疫応答により、さらなる防御のためにIgG1、IgE、IgA、および記憶B細胞を産生することができる。
【0238】
TH2免疫応答には、TH2免疫応答に関連する1つまたは複数のサイトカイン(IL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10など)の増加またはIgG1、IgE、IgA、および記憶B細胞産生の増加の1つまたは複数が含まれ得る。好ましくは、TH2免疫応答の増強には、IgG1産生の増加が含まれるであろう。
【0239】
TH1免疫応答には、CTLlの増加、TH1免疫応答に関連する1つまたは複数のサイトカイン(IL−2、IFNγ、およびTNFβなど)の増加、活性化マクロファージの増加、NK活性の増加、またはIgG2a産生の増加の1つまたは複数が含まれ得る。好ましくは、TH1免疫応答の増強には、IgG2a産生の増加が含まれるであろう。
【0240】
本発明の免疫原性組成物を、任意選択的にTh1および/またはTh2応答を誘発することができる免疫調節薬と共に、単独または他のGAS抗原と組み合わせて使用することができる。
【0241】
本発明はまた、1つまたは複数の免疫調節薬(ミネラル塩(アルミニウム塩など)など)およびCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドを含む免疫原性組成物を含む。最も好ましくは、免疫原性組成物には、アルミニウム塩およびCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドの両方を含む。あるいは、免疫原性組成物は、ADPリボシル化毒素(解毒ADPリボシル化毒素など)およびCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、1つまたは複数の免疫調節薬は、アジュバントを含む。アジュバントを、TH1アジュバントおよびTH2アジュバントからなる群の1つまたは複数から選択することができる。
【0242】
本発明の組成物は、好ましくは、GAS感染に有効に対処するために、細胞媒介性免疫および体液性免疫応答の両方を誘発するであろう。この免疫応答は、好ましくは、長期継続(例えば、中和)抗体および1つまたは複数のGAS抗原に曝露した場合に迅速に応答することができる細胞媒介性免疫を惹起するであろう。
【0243】
1つの特に好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、中和抗体応答を誘発する1つまたは複数のGAS抗原および細胞媒介性免疫応答を誘発する1つまたは複数のGAS抗原を含む。このようにして、中和抗体応答は、最初のGAS感染を防止または阻害する一方で、増強されたTh1細胞応答を誘発することができる細胞媒介性免疫応答はGAS感染のさらなる拡大を防止する。
【0244】
本発明の組成物を、一般に、患者に直接投与するであろう。本発明の組成物を、種々の異なる経路を介して単独または組成物の一部として投与することができる。一定の組成物は、より有効な免疫応答、好ましくはCMI応答が得られるか、副作用を誘導する可能性が低いか、投与がより容易になるように一定の経路を好み得る。
【0245】
送達方法には、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、または間質注射)、直腸、経口(例えば、錠剤、スプレー)、膣、局所、経皮(例えば、WO99/27961号を参照のこと)、経皮(例えば、WO02/074244号およびWO02/064162号を参照のこと)、鼻腔内(例えば、WO03/028760号を参照のこと)、眼球、耳、および肺、または他の粘膜投与が含まれる。
【0246】
一例として、本発明の組成物を、全身経路、粘膜経路、または経皮経路を開始して投与することができるか、特定の組織に直接投与することができる。本明細書中で使用される場合、用語「全身投与」には、任意の非経口投与経路が含まれるが、これらに限定されない。特に、非経口投与には、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、または胸骨内注射、静脈内、動脈内、または腎臓透析注入技術が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、全身非経口投与は筋肉内注射である。本明細書中で使用される場合、用語「粘膜投与」には、経口、鼻腔内、膣内、直腸内、気管内、腸、および眼投与が含まれるが、これらに限定されない。
【0247】
投薬処置は、単回投与計画または複数回投与計画であり得る。複数回投与を、初回免疫計画および/または追加免疫計画で使用することができる。複数回投与計画では、同一または異なる経路(例えば、非経口初回刺激および粘膜追加免疫、粘膜初回刺激および非経口追加免疫など)によって種々の回収で投与することができる。
【0248】
本発明の組成物を、種々の形態で調製することができる。例えば、組成物を、溶液または懸濁物のいずれかとして注射可能な組成物として調製することができる。注射前に溶液、懸濁物、または液体ビヒクルにするのに適切な固体形態(例えば、凍結乾燥組成物)を調製することもできる。経口投与のための組成物(錠剤もしくはカプセル、スプレーとして、またはシロップ(任意選択的に、風味づけする)としてなど)を調製することができる。肺投与のための組成物を、例えば、微粉またはスプレーを使用した吸入器として調製することができる。組成物を、坐剤またはペッサリーとして調製することができる。鼻、耳、または眼への投与のための組成物を、例えば、点滴薬として調製することができる。組成物は、患者への投与直前に組み合わせた組成物を再構成するようにデザインされたキット形態であり得る。かかるキットは、液体形態の1つまたは複数の変異体Spy0167または他の抗原および1つまたは複数の凍結乾燥抗原を含むことができる。
【0249】
ワクチンとして使用した免疫原性組成物は、免疫学的有効量のGAS抗原または他の抗原、ならびに、必要に応じて、抗生物質などの任意の他の成分を含む。「免疫学的有効量」は、単回用量または一連の投与の一部として個体に投与した場合に測定可能な免疫応答を増加させるか臨床症状を防止または減少させる量である。
【0250】
本発明の免疫原性組成物を、抗生物質処置計画と組み合わせて投与することができる。1つの実施形態では、抗生物質を、本発明の組成物の投与前に投与する。別の実施形態では、抗生物質を、本発明の組成物の投与後に投与する。GAS感染処置での使用に適切な抗生物質の例には、ペニシリンもしくはその誘導体またはクリンダマイシン、セファロスポリン、糖ペプチド(例えば、バンコマイシン)、およびシクロセリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0251】
組成物中の活性剤の量は、処置を受ける個体の健康状態および生理的状態、年齢、処置を受ける個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個体の免疫系が抗体を合成する能力、所望の防御の程度、ワクチンの処方、処置を行う医師の医学的状況の評価、および他の関連要因に応じて変化する。この量は比較的広範であり、日常的試験によって決定することができる。
【0252】
キット
本発明はまた、本発明の1つまたは複数の容器を含むキットを提供する。組成物は、個別の抗原と同様に、液体形態であり得るか凍結乾燥させることができる。組成物に適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。容器を、種々の材料(ガラスまたはプラスチックが含まれる)から形成することができる。容器は、滅菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、静脈内注射用溶液のバッグまたは皮下注射針によって突き刺すことができるストッパを有するバイアルであり得る)。
【0253】
キットは、さらに、薬学的に許容可能な緩衝剤(リン酸緩衝化生理食塩水、リンゲル液、またはデキストロース溶液など)を含む第2の容器を含む。キットはまた、末端利用者に有用な他の材料(他の緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針、およびシリンジが含まれる)を含むことができる。キットはまた、別の活性剤(例えば、抗生物質)を含む第2または第3の容器を含むことができる。
【0254】
キットはまた、化膿連鎖球菌に対する免疫の誘導方法または化膿連鎖球菌感染の処置方法についての書面での指示を含む添付文書を含むことができる。添付文書は、未承認の添付文書であり得るか、食品医薬品局(FDA)または他の規制機関によって承認された添付文書であり得る。
【0255】
本開示で引用した全ての特許、特許出願、および参考文献は、特に、本明細書中で参考として援用される。上記開示は、一般に、本発明を説明する。以下の特定の実施例を参照して、本発明をより完全に理解することができる。これらの実施例は、例示のみを目的とし、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【実施例】
【0256】
(実施例1)
溶血アッセイ
Spy0167またはSpy0167変異体の段階希釈物を、PBS+0.5%BSAを用いて、U字形底の96ウェルプレートに調製する。1mlのヒツジ血液を、PBS中で3回洗浄し(3000×gの遠心分離で)、血球を5mlのPBSに懸濁する。等容積の懸濁物を、50μlの各毒素希釈物に加え、37℃で30分間インキュベートする。Triton(2%)水溶液を用いて100%溶血を得、PBS+0.5%BSAをネガティブコントロールとして使用する。その後、プレートを1000×gで5分間遠心分離し、上清を96ウェル平底プレートに慎重に移す。吸光度を540nmで読み取る。1溶血単位(HU)は、血球を2%Tritonを用いて処理して得られる最大溶解の50%を得るのに必要とされるSpy0167またはSpy0167変異体の量と定義される。
【0257】
(実施例2)
Spy0167変異体抗原のインビボ毒性の評価
抗原の静脈内注射。PBS中の野生型または変異体Spy0167抗原のどちらかの溶液を、PBS+2mM DTTの溶液に希釈し、次に100mlをマウスの尾静脈に注射する。マウスを2〜3日間観察する。野生型Spy0167を注射すると、典型的には数分以内に死亡する。
【0258】
インビボの致死性阻害アッセイ。免疫血清により媒介される致死性阻害のために、10μg/マウスの野生型Spy0167(PBS、2mM DTT中100μg/mlの溶液)を、抗Spy0167血清またはコントロール血清(アジュバントのみで免疫されたマウスから得られる)のいずれかと共に室温で「転倒」回転させながら20分間インキュベートする。インキュベーション後、試料を尾静脈への静脈内注射によってマウスに接種する。マウスを2〜3日間観察する。
【0259】
インビボの急性毒性。インビボの急性毒性は、ポジティブコントロールとして10μg/マウスの用量の野生型Spy0167、ネガティブコントロールとしてフロイントアジュバントのみの注射を用いて評価する。10μg/マウスの野生型Spy0167を、野生型Spy0167抗血清かまたはコントロール血清のいずれかと共にインキュベートし、上記のようにマウスに接種する。
【0260】
(実施例3)
Spy0416タンパク質分解活性の不活化
SDS−PAGE。IL−8を野生型Spy0416またはSpy0416変異体と共にインキュベートする。インキュベーション混合物をSDS−PAGEにロードし、銀染色により顕色化する。野生型Spy0416は2つのバンド:8kDa(活性型)および6kDa(不活性切断IL−8)を放出する。Spy0416変異体は1バンドのみを放出し、このバンドは、コントロール反応(酵素なし)と同じく、切断されていないIL−8に対応する。
【0261】
ELISA。IL−8を、3つの異なる濃度で、野生型Spy0416またはSpy0416変異体と共にインキュベートし、インキュベーション混合物を、サイトカインに特異的であるが、切断された不活性型を認識することはできない抗体を使用して、切断されていないIL−8の存在について試験する。その結果は、0時間、8時間および24時間反応後の切断されていないIL−8の割合として表され、以下の通りに計算した。
【0262】
【化11】
式中、「コントロール混合物」は、時点0での酵素を含まない反応混合物である。
【0263】
(実施例4)
GAS抗原の防御能力
GAS抗原を使用して、マウスを免疫化し、GASの致死的チャレンジに対する防御を与えるその能力を試験する。抗原を、0日目、21日目、および35日目に、任意選択でアジュバントと共に、腹腔内投与する。血液試料を、3回目の免疫化の2週間後に採取する。次に、マウスをGAS菌株(例えば、50μl中GAS菌株3348 M1の108cfu)を用いて鼻腔内チャレンジする。生存を10〜14日間モニターする。
【0264】
(実施例5)
Spy0416抗体によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害
Spy0416の野生型および不活性変異体に特異的な抗血清は、CD1マウスを精製された組換えタンパク質で免疫化することにより作製する。IL−8(10μg/ml)を、Spy0416抗血清と共にもしくはそれなしで(1対50および1対5000)、または野生型Spy0416に対して産生されたモノクローナル抗体と共に、野生型Spy0416と2つの異なる条件:(1)8時間インキュベーション、0.1μg/mlのSpy0416、および(2)24時間インキュベーション、0.05μg/mlのSpy0416でインキュベートする。次に、インキュベーション混合物を、ELISAにより切断されていないIL−8の存在について試験する。結果は、Spy0416抗血清またはモノクローナル抗体によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害を実証している。
【0265】
(実施例6)
野生型または変異体Spy0167(Spy0167)に対する抗体によるSpy0167溶血の阻害
50ng/ml(3.5HU)の毒素を使用して、Spy0167溶血活性の50%減少を得るのに必要とされる抗体力価をアジュバント(例えば、フロイントアジュバント、ミョウバン、またはMF59(商標))を使用して試験する。アジュバントのみはネガティブコントロールとして使用する。
【0266】
(実施例7)
皮下チャレンジモデルにおけるGAS抗原の組み合わせの防御能力
マウスを、単一GAS抗原(Spy0167、Spy0416、もしくはSpy0269)を用いてまたはGAS抗原GASの組み合わせ(Spy0167+Spy0416+Spy0269;もしくはSpy0416+Spy0269)を用いて免疫化した。次に、マウスを、皮膚病変を引き起こすGASのSF370 M1株に皮下感染させた。GAS抗原または抗原組み合わせの防御効果は、病変のサイズを測定することにより決定した。
【0267】
このモデルでは、これらのGAS抗原のいずれかを単独で使用することにより得られる防御効果と比べて、Spy0167+Spy0416+Spy0269の組み合わせまたはSpy0416+Spy0269の組み合わせを使用することにより相乗的防御効果が得られる。実際、試験された組み合わせにより与えられる防御効果は、GAS M1タンパク質を使用して与えられる防御効果に匹敵する。図1を参照のこと。
【0268】
(実施例8)
変異体GAS抗原の組み合わせの防御能力
GASの様々な株を用いた鼻腔内チャレンジに対するGAS変異体抗原(Spy0167変異体抗原P427L/W535FおよびSpy0416変異体抗原D151A/S617A)の組み合わせの防御能力を、基本的に実施例4に記載される通りに試験した。結果は表2に示している。
【0269】
【表2−1】
(実施例9)
Spy0416変異体の調製
C5aプロテアーゼとの比較により、推定的にプロテアーゼの触媒部位の構成要素となるSpy0416中の3つのアミノ酸:D151、H279およびS617を同定した。前記酵素の不活型を得るために、アミノ酸変化D151Aおよび/またはS617Aをもたらすヌクレオチド置換を、オーバーラッピング伸張PCRによるスプライシング(SOE−PCR)によりSpy0416コード配列に導入した。
【0270】
置換体D151A
3つのPCR反応を実施した。
【0271】
【表2−2】
次に、PCR産物3を、Nde−SaIで消化し、その同じ酵素で消化されたpET21_57hisに導入した。正確なインフレーム置換体(pET21_57his_D151A)を含有するクローンをDNAシーケンシングにより選択した。
【0272】
置換体S617A
3つのPCR反応を実施した。
【0273】
【表2−3】
次に、PCR産物6をSaI−Xhoで消化し、その同じ酵素で消化されたpET21_57hisに導入した。正確なインフレーム置換体(pET21_57his_S617A)を含有するクローンを、DNAシーケンシングにより選択した。
【0274】
置換体D151A+S617A
PCR産物6をSaI−Xhoで消化し、その同じ酵素で消化されたpET21_57his_D151Aに導入した。DNAシーケンシングにより、正確なインフレーム置換体(pET21_57his_D151A+S617A)を含有するクローンを選択した。
【0275】
単一変異タンパク質および二重変異タンパク質を発現させ、3つのクロマトグラフィー工程:イオン交換クロマトグラフィー(Q Sepharose HP)、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーを使用して精製した。
【0276】
(実施例10)
点変異D151Aは、Spy0416タンパク質分解活性を不活化する
Spy0416変異体D151Aを、組換えHisタグ付きタンパク質として発現させた。2種類のアッセイは、この変異体がIL−8を切断する能力を失っていることを実証した。
【0277】
SDS−PAGE
IL−8を、野生型Spy0416またはSpy0416変異体D151Aと共にインキュベートした。インキュベーション混合物をSDS−PAGEにロードし、銀染色により顕色化した。結果は図12に示している。野生型Spy0416(レーン2および3)は、2つのバンド:8kDa(活性型)および6kDa(不活性切断IL−8)を放出した。これとは対照的に、Spy0416 D151A変異体は1つのバンドのみを放出し、このバンドはコントロール反応(酵素なし)の場合と同様に、切断されていないIL−8に対応していた。
【0278】
ELISA
IL−8を、3つの異なる濃度で野生型Spy0416またはSpy0416変異体D151Aと共にインキュベートし、インキュベーション混合物を、サイトカインに特異的であるが切断された不活性型を認識することはできない抗体を使用して、切断されていないIL−8の存在について試験した。その結果は図4に示しており、0時間、8時間および24時間反応後の切断されていないIL−8の割合として表され、以下の通りに計算した。
【0279】
【化12】
「コントロール混合物」は、時点0での酵素のない反応混合物である。
【0280】
図3に示しているように、野生型Spy0416は、低濃度でも8時間後にはIL−8をほぼ完全に不活化したが、変異酵素で処理されたIL−8では不活化は観察されなかった。
【0281】
(実施例11)
Spy0416変異体S617AおよびSpy0416二重変異体D151A+S617AはIL−8を切断しない
Spy0416変異体S617AおよびSpy0416二重変異体D151A+S617AをHisタグ付きタンパク質として発現させ、実施例2に記載される通りにIL−8不活化実験において試験した。
【0282】
SDS−PAGE
IL−8を、野生型Spy0416(Hisタグ付きもしくはタグなし)、またはSpy0416変異体D151A、S617AおよびD151AS+S617Aのそれぞれと共に24時間インキュベートした。インキュベーション混合物をSDS−ポリアクリルアミドゲルにロードし、銀染色により顕色化した。2つの実験の結果は図4Aおよび4Bに示している。Spy0416 S617A変異体とGAS D151+S617A変異体いずれも、野生型Spy0416の100倍の濃度でも、IL−8を切断することはできない。
【0283】
ELISA
同じ試料を使用してELISAアッセイを実施し、単一アミノ酸置換および二重アミノ酸置換がIL−8を切断するSpy0416の能力を除去することを確認した。結果は、図5に示しているが、野生型Spy0416により放出される20〜40%に比べて、変異体が24時間インキュベーション後切断されていないIL−8を100%放出することを実証している。
【0284】
(実施例12)
Spy0416変異体の防御能力は野生型Spy0416を用いて得られる防御能力に類似している
Spy0416変異体D151AおよびD151A+S617Aを使用してマウスを免疫化し、野生型Spy0416と比べた、GASの致死的チャレンジに対する防御を提供するその能力を試験した。2つの実験(それぞれ20マウス)の結果を下に要約しており平均生存率(%)として表している。
【0285】
【表3】
(実施例13)
精製された不活性変異体は、2つの非共有結合タンパク質フラグメントの形態でのみ存在する野生型Spy0416と比べると単一ペプチドとして出現する
野生型Spy0416は、主に2つのフラグメント、すなわち約23kDaのフラグメントおよび150kDaのフラグメントの形態で得られる。前記2つのフラグメントは、Niキレートアフィニティ精製においてまたはゲル濾過により分離されることはないが、SDS−PAGE上では2つの異なるバンドとして出現する(図6)。N末端シーケンシングによれば、23kDaフラグメントはSpy0416のN末端部分(配列番号50のアミノ酸34〜244)であり、150kDaフラグメントはC末端領域(配列番号50のアミノ酸245〜1603)であることが確証された。
【0286】
野生型Spy0416とは対照的に、本発明のSpy0416変異体は、さらに高分子量(174kDa)のタンパク質として得られ、23kDaのバンドは存在しない(図7参照、部分的に精製された野生型Spy0416およびSpy0416変異体をSDS−ポリアクリルアミドゲルにロードした実験の結果が示している)。
【0287】
(実施例14)
ポリクローナル抗血清によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害
Spy0416の野生型および不活性変異体に特異的なマウス抗血清を、CD1マウスを精製された組換えタンパク質で免疫化することにより作製した。
【0288】
IL−8(10μg/ml)を、Spy0416抗血清と共にまたはそれなしで(1対50および1対5000)野生型Spy0416と、2つの異なる条件:(1)8時間インキュベーション、0.1μg/mlのSpy0416、および(2)24時間インキュベーション、0.05μg/mlのSpy0416でインキュベートした。次に、インキュベーション混合物を、ELISAにより切断されていないIL−8の存在について試験した。図8Aおよび8Bに示される結果は、マウス抗血清によるSpy0416媒介IL−8切断の用量依存的阻害を実証した。
【0289】
(実施例15)
野生型および変異体Spy0167タンパク質のクローニング
野生型および変異体Spy0167タンパク質をコードする遺伝子を、表4に示されるSF370ゲノム由来のプライマーを使用してPCRにより増幅した。
【0290】
PCR産物を、NheI−XhoIで消化し、その同じ酵素で切断されたpet24b+(Novagen)ベクターとライゲーションした。E.coli DH5αエレクトロコンピテント細胞を前記ライゲーション反応物で形質転換した。LBPTK培地を添加し、37℃で1時間、250rpmで撹拌しながらインキュベーションした後、細菌を、50μg/mlカナマイシンを含有するLBPTKプレート上に蒔いた。ポジティブコロニーをコロニーPCRにより同定した。
【0291】
ポジティブコロニー由来のプラスミドを、50μg/mlカナマイシンを含有するLBPTK培地での一晩の培養から調製し、DNAシーケンシングにより分析し、それによってT7ポリメラーゼプロモーター下の予想される挿入遺伝子を確認した。クローニングされた遺伝子の最終のDNA配列およびタンパク質配列は配列表に示している。表5を参照のこと。
【0292】
【表4−1】
【0293】
【表4−2】
【0294】
【表4−3】
【0295】
【表5】
E.coli BL21(DE3)(Novagen)コンピテント細胞を、正確な構築物で形質転換した。LBPTK培地を添加し、37℃で1時間、250rpmで撹拌しながらのインキュベーション後、50μg/mlカナマイシンを含有するLBPTKプレート上に細菌を蒔いた。BL21(DE3)pet24b+Spy0167野生型タグなし細胞を25℃で増殖させ、1mM IPTGで誘導した。クローン発現を、SDS PAGEにより検証した(タグなし、図15Aおよび15B;Hisタグ付き、図16)。
【0296】
(実施例16)
Hisタグ付きタンパク質の精製
E.coliペレットを溶解緩衝液に懸濁し、室温で30〜40分間混合した。溶解物を、30〜40000×gで20〜25分間遠心分離し、上清を洗浄緩衝液Aで平衡化したカラムにロードした(1mlのNi活性化キレートセファロースファストフロー樹脂を含むPoly−Prep)。ロードされた樹脂を、洗浄緩衝液Aで3回、洗浄緩衝液Bで3回洗浄した。最終2mMのDTTを含有するEppendorfチューブにおいて溶出緩衝液でタンパク質を溶出した。全溶出タンパク質を、Bradford試薬で定量し、その後、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析する(図15および16)。
【0297】
緩衝液
溶解緩衝液
10mlのB−PER(商標)(細菌タンパク質抽出試薬、Pierceカタログ78266)
MgCl2 0.1mMの最終濃度
DNAsi I(SigmaカタログD−4263)100ユニット
リゾチーム(SigmaカタログL−7651)1mg/mlの最終濃度
洗浄緩衝液A:50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、pH8.0
洗浄緩衝液B:20mMのイミダゾール、50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、pH8.0
溶出緩衝液:250mMのイミダゾール、50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、pH8.0。
【0298】
(実施例17)
タグなしタンパク質の精製
溶解物調製
約80〜110gの細菌培養ペレットを、6錠のCOMPLETE(登録商標)プロテアーゼインヒビター、10mlの0.2M EDTA pH7.5(5mMの最終濃度)、10mlの100mg/mlリゾチーム溶液、8mlの10000Kユニット/ml DNAse I溶液および1mlの50mM MgCl2溶液を追加した200〜280ml B−PER(商標)試薬(Pierce)に懸濁した。細菌懸濁物を60分間、均一な懸濁物が得られるまで振盪することによって細菌溶解を達成した。
【0299】
13000rpm(25400×g)での60分間の遠心分離後、上清を0.22μmフィルターを用いて濾過し、1.8〜1.9mS伝導率が得られるまでH2Oで希釈する。pHを8.0に調整した。タンパク質濃度をBradford法により決定した。
【0300】
陰イオン交換クロマトグラフィー
上記のように処理された溶解物由来の上清を、30mMのTRIS、pH8.0であらかじめ平衡化したHP50/10Qセファロースカラム(約200ml)にロードした。フロースルー(flow−through)を収集した。Spy0167タンパク質を含有する画分をプールし、10mMのNaホスフェート、pH6.8に対して透析した。タンパク質濃度を、Bradford法により決定した。
【0301】
緩衝液A:30mMのTRIS、pH8.0
緩衝液B:30mMのTRIS、1MのNaCl、pH8.0
平衡およびローディング:0%B
勾配:0〜25%Bの5CV−25%Bの2CV
洗浄:100%B 2CV+3CV
流量:20ml/分
画分容積:14ml。
【0302】
ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー
前に得たプールを、10mMのNaホスフェート、pH6.8であらかじめ平衡化したCHT20カラムにロードした。フロースルーを収集した。
【0303】
緩衝液A:10mMのNaホスフェート、pH6.8
緩衝液B:500mMのNaホスフェート、pH6.8
洗浄:8CV
洗浄:30%Bの6CV
勾配:30〜100%B(10CV)
洗浄:100%B
流量:5ml/分
画分容積:5ml。
【0304】
画分アリコートを、還元条件および非還元条件下で12%Criterionゲルにロードした。Spy0167タンパク質を含む画分をプールし、タンパク質濃度をBradford法により決定した。
【0305】
ゲル濾過クロマトグラフィー
収集されたプールを、10ml未満の容積を得るためのAmiconフィルターを用いて濃縮した。濃縮した材料を、少なくとも3〜4カラム容積のPBSで平衡化したHiLoad Superdex200 26/60にロードした。
【0306】
緩衝液:PBS
溶出:アイソクラチック(Isocratic)
流量:2.5ml/分
画分容積:5ml。
【0307】
Spy0167タンパク質を含む画分をプールし、タンパク質濃度をBradfordにより決定した。タンパク質濃度のさらなる推定を、Abs0.1%(=1g/l)を1.119とみなすUV測定により行った。タンパク質純度を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析する(図18)。
【0308】
(実施例18)
溶血アッセイ
定量的溶血アッセイについてのプロトコール
毒素の段階希釈物を、PBS+0.5%BSAを使用して、U字形底の96ウェルプレートに調製した。1mlのヒツジ血液をPBS中で3回洗浄し(3000×gで遠心分離して)、血球細胞を5mlのPBSに懸濁した。等容積の懸濁物を50μlの各毒素希釈物に添加し、37℃で30分間インキュベートした。Triton(2%)水溶液を使用して100%溶血を得、PBS+0.5%BSAをネガティブコントロールとして使用した。次に、プレートを1000×gで5分間遠心分離し、上清を96ウェル平底プレートに慎重に移した。吸光度は540nmで読み取った。
【0309】
野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを含むE.coli抽出物の比較
Spy0167 P427Lをコードする遺伝子を、SF370 M1ゲノムからPCRを使用して増幅し、Hisタグ付きタンパク質のE.coli BL21DE3における発現を可能にするベクターpET21b+へクローニングした。類似した量の野生型および変異型ストレプトリジンOタンパク質を発現するE.coliの可溶性抽出物(図12参照)を使用して、溶血アッセイを実施し、その2つの抗原の細胞溶解特性を比較した。アッセイの結果は図9に示しており、変異型タンパク質は、毒性が野生型の多くとも100分の1であることを実証している。
【0310】
精製された野生型Spy0167とSpy0167変異体P427Lの比較
Spy0167 P427L変異体を、Hisタグ付き組換えタンパク質についての精製標準手順に従って精製した(図10)。様々な濃度の精製されたwtおよび変異型タンパク質を使用して、溶血アッセイを繰り返し、これにより細胞溶解活性の減少を確認した(図11)。
【0311】
Hisタグ付きおよびタグなし野生型Spy0167およびSpy0167変異体P427Lを含むE.coli抽出物の溶血活性
本発明者らは、Hisタグなしの野生型組換えSpy0167(rSpy0167)(BL21 DE3、Novagen No.71382−pET24)およびHisタグなしP427L変異体rSpy0167(BL21 DE3、Novagen No.71382−pET24)で形質転換されたE.coli溶解物の溶血活性を比較した。挿入なしのpET24で形質転換されたE.coli BL21 DE3(Novagen No.71382)をネガティブコントロールとして使用した。ポジティブコントロールは、水中2%Tritonを含む低張性液であった。ネガティブコントロールはタンパク質希釈緩衝液(0.5%BSAを含むPBS、pH7.4)であった。
【0312】
溶血については、上清の540nm(A540nm)における吸光度を測定することにより決定した。力価を、最大A540nmの50%を有する希釈度(dilution)として計算した。
【0313】
結果は、表6および7にならびに図13に示している。これらのデータから、同じ条件下で、変異体P427Lが野生型Spy0167の1000分の1の溶血性であることが実証される。
【0314】
【表6】
【0315】
【表7】
野生型Spy0167と様々なSpy0167変異体の比較
野生型Spy0167の溶血活性を、いくつかの異なるSpy0167変異体の溶血活性と比較した。結果は図20および下の表8に示している。1溶血単位(HU)は、血球を2%Tritonで処理して得られた最大溶解の50%を得るために必要とされる毒素量として定義される。
【0316】
【表8】
タンパク質純度の違いによって、太字で示される変異体の溶血単位/mgは過剰に見積もられている(overestimate);しかしながら、(1)変異体W535Fは変異体C530Gよりも溶血性が低いこと;(2)変異体P427Lは野生型の約1000分の1の溶血性であり、他の2つの変異体W535FおよびC530Gの約6分の1〜25分の1の溶血性であること;ならびに(3)変異体Δ248は野生型よりも確実に溶血性が低いことは明らかである。
【0317】
コレステロールの効果
30℃での細胞増殖、および25℃での1mM IPTGでの誘導、およびOD600nm約0.4〜0.6の後に得られた、E.coli溶解物またはコレステロール200mg/mlを含むE.coli溶解物のPBS−BSA0.5%における2〜5倍段階希釈物を、それらの溶血活性についてアッセイした。誘導の3時間後、溶解緩衝液(B−PER溶液−PIERCE)、1mMのMgCl2、100Kユニット/mlのDNAse(Sigma)およびリゾチーム(Sigma)で30〜40分間細菌を溶解することにより得られた等容積のタンパク質調製物で、PBS中2%ヒツジ赤血球溶液の50マイクロリットルを処理した。その後、不溶性画分を遠心分離し(15分間、21000×g、4℃)、上清(E.coli溶解物)を、最終濃度5mMでDTTを含有する新しいEppendorfチューブに移した。
【0318】
この条件下で、コレステロールは、100倍希釈率が使用されるまで、野生型Spy0167も変異体Spy0167も阻害しなかった。したがって、変異体誘導溶解への効果は全くなかった。対照的に、野生型誘導溶解は大幅に低下した。ネガティブコントロールによって誘導された溶解はコレステロールの影響を受けず、そのことにより、コレステロール誘導性阻害が特異的であることが示唆される。表9および図14を参照のこと。
【0319】
【表9】
(実施例19)
溶血の阻害
プロトコール
(アジュバントを含まない、またはアジュバントとしてミョウバンもしくはMF59(商標)を含む)野生型または変異体Spy0167タンパク質で免疫化したマウス由来の血清の段階2倍希釈物を、U字形底の96ウェルプレートでPBS+0.5%BSAを用いて、調製した。必要に応じて、PBSでまたはアジュバントのみで免疫化したマウスの血清をネガティブコントロールとして使用した。PBS+0.5%BSA中の50〜100ng/ml(3.5〜7 HU)の毒素溶液を等容積加え、プレートを撹拌(800rpm)しながら、室温で20分間インキュベートした。インキュベーション後、この溶液の50mlを新しい96ウェルプレートに移し、(PBSで3回洗浄した)等容積のヒツジ赤血球懸濁物を添加し、37℃で30分間インキュベートした。その後、プレートを1000×gで1分間遠心分離し、上清を96ウェル平底プレートに慎重に移し、吸光度を540nmで読み取った。下記の結果では、阻害力価は、Triton誘導溶血を50%低下させた血清希釈度として表される。
【0320】
野生型Spy0167抗血清によるSpy0167溶血の阻害
抗野生型Spy0167抗血清によるSpy0167溶血の阻害は、図21〜23および表10〜12に示している。抗Spy0167血清力価は、1/7,000〜1/14,000の間に含まれる(相加平均、1/12,167±2,714)。ネガティブコントロール血清(フロイントアジュバント)力価は、1/375と1/4,000との間に含まれる(相加平均、1/1,854±1,384)。
【0321】
【表10】
【0322】
【表11】
【0323】
【表12】
野生型Spy0167、化学的に解毒された野生型Spy0167およびSpy0167変異体の溶血活性の力価測定
野生型Spy0167、化学的に解毒された野生型Spy0167およびSpy0167変異体(P427L;P427L+W535F)の溶血活性の力価測定は表13に示している。
【0324】
【表13】
変異体Spy0167タンパク質に対する抗血清によるSpy0167溶血の阻害
変異体Spy0167タンパク質に対する抗血清によるSpy0167溶血の阻害は、図27〜29および表14〜16に示している。50ng/ml(3.5 HU)の毒素を使用して、Spy0167変異体W535−P427LについてのSpy0167溶血活性の50%低下を得るために必要とされる血清希釈度は、ミョウバンアジュバントを使用して1/17,860であり、MF59(商標)アジュバントを使用して1/7991である。ネガティブコントロール(アジュバントのみ)力価は1/1,000(ミョウバン)および1/125(MF59(商標))である。
【0325】
【表14】
【0326】
【表15】
【0327】
【表16】
(実施例20)
インビボ防御実験
精製されたSpy0167 P427Lタンパク質を、フロイントアジュバントと共に、40匹のマウスへ腹腔内投与した。その後、3348M1 GAS菌株でマウスを鼻腔内でチャレンジした。表17は3つの別々の実験で得られたデータを報告し、100%防御がすべての実験で一貫して達成されたことを示している。
【0328】
【表17】
10〜20匹のマウスの群を20μgの組換えタンパク質で、0日目、21日目および35日目に免疫化した。ネガティブコントロール群のマウスについては、使用されるGAS組換えタンパク質のバージョンに依存して、GSTのみかまたはE.coli夾雑物かのいずれかで免疫化した。3回目の免疫化の2週間後、血液試料を採取した。2〜3日後、免疫化マウスを、108cfu(50μl)のM1 3348GAS菌株で鼻腔内でチャレンジした。マウスの生存を10〜14日間モニターした。異なる群から得られた免疫血清を、Spy0167組換えタンパク質全体に対する免疫原性について試験した(ウェスタンブロット分析)。結果は表18および19に示している。
【0329】
【表18】
【0330】
【表19】
(実施例21)
インビボの毒性試験
プロトコール
Spy0167の静脈内注射。野生型または変異体Spy0167のいずれかのPBS中の溶液を、PBS+2mM DTTの溶液中に希釈し、その後、マウスの尾静脈に100mlを注射する。マウスを2〜3日間観察する。野生型Spy0167の注射は、典型的には数分以内で死をもたらす。
【0331】
インビボの致死性阻害アッセイ。免疫血清により媒介される致死性阻害のために、10μg/マウスの野生型Spy0167(PBS、2mMのDTT中100μg/mlの溶液)を、抗Spy0167血清か、またはコントロール血清(アジュバントのみで免疫化したマウスから得られる)のいずれかと共に室温で20分間、撹拌しながらインキュベートする。インキュベーション後、その試料を尾静脈への静脈内注射によりマウスに接種する。マウスを2〜3日間観察する。
【0332】
野生型Spy0167および変異体Spy0167 P427L−W535Fの結果は表20に示している。
【0333】
【表20】
急性のインビボの急性毒性を、ポジティブコントロールとして10μg/マウスの用量の野生型Spy0167およびネガティブコントロールとしてフロイントアジュバントのみの注射を使用して評価した。10μg/マウスの野生型Spy0167を、野生型Spy0167抗血清かまたはコントロール血清のいずれかと共にインキュベートし、上記のようにマウスに接種した。結果は表21に示している。
【0334】
【表21】
上記の通りに実施されたもう一組の実験結果は表22および23に示す。インビボの急性毒性を、5μg/マウスまたは10μg/マウスのいずれかの野生型Spy0167を使用して評価した。特に、10μg/マウスの野生型Spy0167については、Spy0167 P427L−W535Fで免疫化したマウス由来の血清かまたはPBSのみ(血清なし)のいずれかとあらかじめインキュベートした。加えて、5μg/マウスの野生型Spy0167については、Spy0167 P427L−W535Fで免疫化されたマウス由来の血清またはネガティブコントロール血清としてPBSプラスアジュバント(ミョウバン)で免疫化したマウス由来の血清のいずれかとあらかじめインキュベートした。
【0335】
結果は、野生型Spy0167の致死用量は、抗Spy0167 P427L−W535F血清により中和されるが、同じ希釈度でのネガティブコントロール血清によっては中和されないことを示している。
【0336】
【表22】
【0337】
【表23】
(実施例22)
Spy0167 P427L−W535Fでの免疫化は野生型Spy0167の静脈内注射からマウスを防御する
マウスに、野生型Spy0167かまたはSpy0167変異体P427L−W535Fのいずれかで、アジュバントとしてミョウバンを使用して(2mg/ml水酸化アルミニウム中20μgのタンパク質)、腹腔内に3回(0日目、21日目および35日目)免疫処置を行った。アジュバントのみで免疫化したマウスをネガティブコントロールとして使用した。55日目に、マウスに、PBS、2mM DTT中の様々な濃度の野生型Spy0167の溶液を静脈内注射し、少なくとも72時間モニターした。結果は表24に示している。
【0338】
【表24】
5μg/マウスの野生型Spy0167は、アジュバントのみで免疫化したマウスには致死的であり、これらのマウスはSpy0167注射から数分以内に死亡した。しかし、20μg/マウスの同じ野生型Spy0167調製物においてさえ、野生型Spy0167またはP427L−W535F Spy0167変異体のいずれかで免疫化されたマウスは死亡しなかった。
【0339】
(実施例23)
GAS M1株を用いた鼻腔内チャレンジに対するSpy0167変異体P427L−W535Fによる防御
30匹のマウスを、Spy0167変異体P427L−W535Fで、アジュバントとしてのミョウバンまたはMF59のいずれかと共に、腹腔内で免疫化し、GAS M1株で鼻腔内チャレンジした。結果は図30に示している。Spy0167変異体P427L−W535Fとミョウバンで免疫化されたマウスの77%は、ネガティブコントロールマウス(アジュバントのみで免疫化された)の3%と比べて、GAS M1株での鼻腔内チャレンジから防御された。Spy0167変異体P427L−W535FとMF59で免疫化されたマウスの90%は、ネガティブコントロールマウス(アジュバントのみで免疫化された)の10%と比べて、GAS M1株での鼻腔内チャレンジから防御された。これらの防御レベルは、野生型Spy0167でマウスを免疫化することにより得られる防御レベルに匹敵する。
【0340】
(実施例24)
GAS抗原で免疫されたマウスのインビボ防御研究
本実施例は、異なるM型のGAS菌株を用いたチャレンジが続く、GAS抗原の様々な組み合わせおよび/またはCRM197(GC)と結合体化されたGAS特異的多糖を用いて実施した免疫原性/防御試験の結果を提供する。GASタンパク質およびGCは、フロイントアジュバント、水酸化アルミニウム、またはMF59のいずれかと共に処方した。タンパク質抗原の用量は、単独で使用される場合は20μgであり、タンパク質組み合わせ処方物は、野生型Spy0269(配列番号177)およびSpy0416 D151A/S617A(配列番号198)をそれぞれ20μgならびにSpy0617 P427L/W535F(配列番号125)を10μg含有していた。GC用量は表に示している。
【0341】
免疫スケジュールは、0日目、21日目および35日目の3用量を含んだ。放血は最初の免疫化前および3回目の免疫化の2週間後に行った。ネガティブコントロール群はアジュバントのみで免疫化した。ポジティブコントロール群は、チャレンジ株に相同なMタンパク質で免疫化した。
【0342】
3回目の免疫化の2週間後、マウスを、使用されるチャレンジ株に応じて、2.5×106から2.5×108(鼻腔内感染)または20から2.5×106(腹腔内感染)の範囲の致死的用量に感染させた。生存率を決定し、表25および26に報告している。p値はフィッシャー検定を用いて計算した。
【0343】
免疫原性はELISAにより試験した。
【0344】
M1、M12、およびM23での鼻腔内感染に対するフロイントアジュバント中の単一抗原およびその組み合わせによる防御
表25は、マウスを、フロイントアジュバントと共に処方したSpy0269(配列番号177)、Spy0416 D151A/S617A(配列番号198)、もしくはSpy0617 P427L/W535F(配列番号125)、またはこれらの抗原の組み合わせ(「コンボ」)で免疫化し、次に、M1、M12およびM23株で鼻腔内でチャレンジした実験の結果を報告している。結果は、
a.Spy0269は、M1、M12およびM23感染に対して統計的に有意な防御を与える;
b.Spy0416 D151A/S617AおよびSpy0617 P427L/W535FはM1血清型での鼻腔内感染に対して顕著な防御を与える、ならびに、
c.Spy0269、Spy0416 D151A/S617AおよびSpy0617 P427L/W535Fの組み合わせは、M1、M12およびM23GAS血清型に対して40%を超える防御を与える
ことを示している。
【0345】
【表25】
M1での腹腔内感染に対するミョウバンと共に処方したGAS25、GAS40、およびGAS57抗原プラスGCの組み合わせによる防御
表26は、マウスを、ミョウバンと共に処方したGCを伴なうかまたはそれなしでのSpy0167変異体P427L/W535F、野生型Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617Aの組み合わせ(「コンボ」)で免疫化し、次に、M1で腹腔内チャレンジした実験の結果を報告している。結果は、タンパク質の組み合わせだけでもタンパク質の組み合わせプラスGCでも統計的に有意な防御が得られたことを示している。したがって、組み合わせにおいてでさえ、これらのGAS抗原の並はずれた免疫原性が維持されている。
【0346】
【表26−1】
(実施例25)
細胞結合アッセイ
ヒト(A549、HeLa、293、Detroit、ME180)またはサル(LLCMK2)上皮細胞系統を、細胞解離溶液(Sigma)を使用してその担体から非酵素的に引き離し、収集し、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に懸濁する。ほぼ2×105細胞を、U字形底の96ウェルプレートで、培地のみと、または様々なSpy0269組換えタンパク質濃度(μg/ml)の培地と200mlの全容積で混合する。4℃でのインキュベーションを1時間実施する。PBSで2回洗浄した後に、細胞をSpy0269抗体または抗血清(例えば、抗血清は;PBS/BSA1%中1対200)と共に4℃で1時間インキュベートする。2回の洗浄後、試料を、二次抗体と共に4℃で30分間インキュベートする(例えば、マウスSpy0269抗血清では、二次抗体は、PBS/BSA1%中1対100に希釈されたマウス免疫グロブリンに特異的なR−フィコエリトリン−結合体化ヤギF(ab)2抗体であり得る)。結合反応はフローサイトメトリーにより分析する。集団ごとの平均蛍光強度を計算する。
【0347】
(実施例26)
オプソニン作用アッセイ
本実施例は、下の実施例において使用されるオプソニン作用アッセイを記載している。手短に言えば、細菌(10〜50コロニー形成ユニット、CFU、PBS中25μl)を、アジュバントだけでまたは試験される抗原(単数または複数)でのいずれかで免疫化したウサギ由来の全血225μlと共にインキュベートする。試料を37℃で5時間、転倒回転させながらインキュベートする。希釈に続いて、試料を血液寒天プレート上に蒔き、CFU数を評価する。
【0348】
このアッセイでは、アジュバントだけで免疫化した動物由来の血清によるバックグラウンド死滅は7〜36%の範囲である。抗原による死滅活性は様々であるが、一貫してポジティブである(例えば、M1抗体では72〜97%、GC抗体では47〜64%、ならびに野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)およびSpy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)の組み合わせに対して産生された抗体では76〜85%)。
【0349】
(実施例27)
抗複合糖質(GC)抗体がS.pyogenesの死滅を媒介することを実証する全血殺菌アッセイ
実施例26に記載されるアッセイは、100μgGCで免疫化したウサギから得られた全血を使用して実施した。その結果は、図34に示しているが、抗GC抗体がS.pyogenesの死滅を媒介することを実証している。
【0350】
(実施例28)
抗複合糖質(GC)抗体とGAS抗原組み合わせに対して産生された抗体との組み合わせがS.pyogenesの死滅を増強することを実証する全血殺菌アッセイ
実施例26に記載されるアッセイは、(a)フロイントアジュバント、(b)M1タンパク質、(c)野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)およびSpy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)(それぞれ100μg)の組み合わせ、(d)GC、ならびに(e)野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)、Spy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)およびGCの組み合わせで免疫化されたウサギから得られた全血を用いて実施した。結果は図35に示している。
【0351】
GASワクチンは殺菌性および免疫原性であることが望ましい。これらの結果は、組み合わせにおいてさえ、これらのGAS抗原が殺菌活性を有することを実証している。前記結果はまた、GAS抗原組み合わせまたはGC抗原だけのどちらの殺菌効果と比べても、GAS抗原とGC抗原との組み合わせの殺菌効果のほうが高いことも実証している。
【0352】
(実施例29)
GAS抗原の細胞毒性の欠如を実証する実験
ヒト脳微小血管内皮細胞(HBMEC)を、RPM1 1640培地において様々な濃度の組換えGAS抗原を用いてインビトロで24時間処理した。ネガティブコントロールは無処置であり(「NT」)、TNFα 1μg/mlで処理した細胞をポジティブコントロールとして使用した。アネキシンVおよびヨウ化プロピジウム染色を使用して、フローサイトメトリーによりアポトーシス細胞の割合を測定した。これらの実施例において使用された野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)、Spy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)および複合糖質(「GAS GC」)の濃度では顕著な毒性はないことを結果は示している。図36A〜Dを参照のこと。
【0353】
(実施例30)
タンパク質抗原保存および発現
下の表は、57、49、および13S.pyogenes株間のそれぞれSpy0269、Spy0416、Spy0167ごとの平均同一性割合を示している。
【0354】
【表26−2】
(実施例31)
ELISAアッセイ
簡単に述べると、プレートを抗原(0.1〜0.3μg/ウェル)でコーティングし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中2%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックする。試験される血清の2倍段階希釈物とのインキュベーション後、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中2%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.05%TWEEN20(登録商標)で洗浄し、アルカリホスファターゼに結合体化された二次抗体(抗全IgG、1対2000)と共にインキュベートする。基質のp−ニトロフェニルホスフェート(pNPP、3μg/ml)とインキュベートした後、吸光度を405nmで測定する。血清力価を、標準曲線からODを内挿することにより計算する。図37A〜Dに示されるように、このアッセイは線形であり再現性がある。
【0355】
(実施例32)
インビボチャレンジ実験
5〜6週齢の雌性CD1マウスを、0日目、21日目、および35日目に3回、PBS中のミョウバンをアジュバントとする様々な用量のGAS抗原で腹腔内で免疫化し、S.pyogenesの様々な菌株で、鼻腔内(LD90細菌量を含有する50ml Todd Hewitt)または腹腔内(LD90細菌量を含有する200μl Todd Hewitt)のいずれかでチャレンジした。結果は表27および28に示している。表27および28では、「40」、「25」、および「57」はそれぞれ野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)、およびSpy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)である。
【0356】
【表27】
【0357】
【表28】
(実施例33)
ミョウバンの含有は菌株M1 3348に対する防御を与える
本実施例は、Spy0167と組み合わせ処方物の両方におけるミョウバンの含有がS.pyogenes株M1 3348に対する防御を与えることを実証している。
【0358】
5〜6週齢の雌性CD1マウスを、Spy0167(GAS25)10μgでまたはSpy0167(10μg)をSpy0269(GAS40、20μg)およびSpy0416(GAS57、20μg)と共に組み合わせて(「組み合わせ」)、ミョウバンと共にまたはそれなしで、免疫化した。動物は0日目、21日目および35日目の3用量で腹腔内で免疫化した。M1 3348を用いた鼻腔内チャレンジは、基本的に実施例4に記載された通りに実施した。結果は表29に示している。
【0359】
【表29】
(実施例34)
GAS抗原処方物の安定性
100μg/ml Spy0269(PBS中1mg/ml溶液)、100μg Spy0416二重変異体D151A/S617A(PBS中1mg/ml溶液)、50μg Spy0167二重変異体P427L/W535F(PBS中1mg/ml溶液)、2mg/ml水酸化アルミニウム、10mM ヒスチジン緩衝液(pH7.0)、9g/l 塩化ナトリウムを含有する組み合わせGAS抗原処方物のpH7.0+/−0.3、重量オスモル濃度300+/−20 mOsm/kgでの安定性およびインビボでの効力は、抗原完全性のSDS−PAGE分析により試験した。処方物は4℃で1年まで安定である。抗原の安定性を、1年の期間にわたり2〜8℃でインキュベートすることにより評価した。SDS−PAGEで評価した場合、3種のタンパク質成分すべてが1年後極めて安定であることが分かった。タンパク質抗原は、2〜8℃で少なくとも36週間の間、ミョウバンに吸着されたままである(>97.5%)。
【0360】
(実施例35)
Spy0416抗体およびSpy0167抗体の効果
本実施例は、Spy0416およびSpy0167に対する抗体が毒性活性をブロックすることを実証している。
【0361】
Spy0416:Spy0416を、Spy0416に対して高いELISA力価を有するマウス特異的血清のプールと共にまたはヒト血清と共にあらかじめインキュベートした。次に、混合物をIL−8(10μg/ml)と共にインキュベートし、次に、サイトカインに特異的であるが切断された不活型を認識することができない抗体を使用して、切断されていないIL−8の存在について試験した。結果は、以下の通りに計算された切断されていないIL−8の割合として表している。
【0362】
【化13】
「コントロール混合物」は時点0で酵素のない反応混合物である。
【0363】
Spy0167:野生型Spy0167を、20μgのSpy0167 P427L/W535Fまたはアジュバントのみのどちらかで免疫化したマウス由来の血清のプールと共に、ならびにレスポンダー(responder)およびノンレスポンダー(non responder)由来のヒト血清と共にあらかじめインキュベートした。混合物をヒツジ血球懸濁物に添加し、反応上清のOD540nmの低下を決定した。阻害力価は、Spy0167誘導溶血を50%低下させるのに必要とされる血清希釈度として表している。
【0364】
結果は、図41A〜Bに示している。
【0365】
(実施例36)
用量範囲実験
5週間齢の雌性CD1マウスを、0日目、21日目、および35日目に、野生型Spy0269(配列番号177)、Spy0416変異体D151A/S617A(配列番号198)、およびSpy0167変異体P427L/W535F(配列番号125)の様々な用量で免疫化した。マウスにおける用量依存性IgG応答を、実施例31に記載される通りに、ELISAにより測定した。結果は、図38A〜Cに示している。
【0366】
マウスを様々な濃度の個々のGASタンパク質抗原で免疫化し、S.pyogenes M1を用いて鼻腔内でチャレンジした。結果は、表30に示している。
【0367】
【表30】
表30に示されるように、明確な用量依存性防御は存在せず、様々な濃度のこれらの抗原がS.pyogenesチャレンジに対する防御を達成するのに有用であることを示している。
【0368】
マウスを、様々な濃度の、20μgの野生型Spy0269(配列番号177)、10μgのSpy0167二重変異体P427L/W535F(配列番号125)、および20μgのSpy0416二重変異体D151A/S617A(配列番号198)の組み合わせで免疫化し、S.pyogenes M1を用いて鼻腔内でチャレンジした。結果は、表31に示している。
【0369】
【表31】
上に記載される単一抗原用量実験の場合と同様に、明確な用量依存性防御は存在せず、組み合わせでも、様々な濃度のこれらの抗原がS.pyogenesチャレンジに対する防御を達成するのに有用であることを示している。
【0370】
結果は図39にまとめている。図40は、平均生存時間(MST;Mu)の第1近似として採用された対数正規モデルの分析を示している。
【図3D】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(1)Spy0167;
(2)Spy0269;
(3)Spy0416;
(4)Spy0714;
(5)Spy1390;
(6)Spy2000;
(7)アミノ酸P427、W535、C530、A248、およびD482からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸変化を含む変異体Spy0167タンパク質であって、前記アミノ酸位置が配列番号107に従って番号付けされ、前記変異体Spy0167タンパク質の溶血活性が、野生型Spy0167に対して少なくとも50%低下している、変異体Spy0167タンパク質;ならびに
(8)アミノ酸D151、H279、およびS617からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸変化を含む変異体Spy0416タンパク質であって、前記アミノ酸位置が配列番号1に従って番号付けされ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはELISAアッセイにより検出される場合、インターロイキン8(IL−8)に対する精製された変異体Spy0416抗原のタンパク質分解活性が、野生型Spy0416に対して少なくとも50%低下している、変異体Spy0416タンパク質
からなる群より選択される3つまたはそれを超える異なるS.pyogenes(GAS)タンパク質抗原の組み合わせ、
(b)(1)〜(8)をコードする1つまたは複数の核酸分子、または
(c)各抗体が、(1)〜(8)からなる群より選択されるGASタンパク質抗原に選択的に結合し、各GASタンパク質抗原が異なっている、3つまたはそれを超える異なる抗体
を含む、組成物。
【請求項2】
前記3つのGASタンパク質抗原が、
Spy0167、Spy0269、およびSpy0416;
Spy0167変異体P427L/W535F、Spy0269、およびSpy0416;
Spy0167、Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617A;または
Spy0167変異体P427L/W535F、Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617A
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物であって、
(a)2つだけのGASタンパク質抗原であって、前記組成物は
(1)Spy0167ならびに、Spy0269;Spy0416;アミノ酸P427、W535、C530、A248、およびD482からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸変化を含む変異体Spy0167タンパク質であって、前記アミノ酸位置が配列番号107に従って番号付けされ、前記変異体Spy0167タンパク質の溶血活性が、野生型Spy0167に対して少なくとも50%低下している、変異体Spy0167タンパク質;アミノ酸D151、H279、およびS617からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸変化を含む変異体Spy0416タンパク質であって、前記アミノ酸位置が配列番号1に従って番号付けされ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、またはELISAアッセイにより検出される場合、インターロイキン8(IL−8)に対する精製された変異体Spy0416抗原のタンパク質分解活性が、野生型Spy0416に対して、少なくとも50%低下している、変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(2)Spy0269ならびに、Spy0167;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(3)Spy0416ならびに、Spy0167;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(4)前記変異体Spy0167タンパク質ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(5)前記変異体Spy0416タンパク質ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0167タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(6)Spy0714ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(7)Spy1390ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;ならびに
(8)Spy2000ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;およびSpy1390からなる群より選択される第2のGAS抗原
を含む、2つだけのGASタンパク質抗原;
(b)前記2つのGASタンパク質抗原をコードする1つまたは複数の核酸分子;ならびに
(c)各抗体が、前記2つのGASタンパク質抗原のうちの1つに選択的に結合する、2つまたはそれを超える異なる抗体
を含む、組成物。
【請求項4】
前記2つのGASタンパク質抗原が、
Spy0167およびSpy0269;
Spy0167およびSpy0416;
Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0269;
Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0416;
Spy0269およびSpy0416変異体D151A/S617A;
Spy0167およびSpy0416変異体D151A/S617A;または
Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0416変異体D151A/S617A
である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記変異体Spy0416抗原を含む、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記変異体Spy0416抗原が、D151AおよびS617Aからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記変異体Spy0416抗原が、配列番号147、配列番号148、配列番号149、または配列番号198を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記Spy0269抗原が配列番号177を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記変異体Spy0416抗原が、第2のGAS抗原を含む融合タンパク質である、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記変異体Spy0167抗原を含む、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記変異体Spy0167抗原が、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、および配列番号127からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記GAS抗原のうちの少なくとも1つが担体タンパク質にカップリングされている、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記担体タンパク質が、細菌毒素、細菌トキソイド、N.meningitidis外膜タンパク質、熱ショックタンパク質、百日咳タンパク質、H.influenzaeタンパク質D、サイトカイン、リンホカイン、ホルモン、成長因子、C.difficile毒素A、C.difficile毒素B、および鉄取り込みタンパク質からなる群より選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、F(ab’)2フラグメント、F(ab)フラグメント、Fv分子、非共有結合性ヘテロ二量体単鎖Fv分子(sFv)、二量体抗体フラグメント構築物、三量体抗体フラグメント構築物、ミニボディ、またはその混合物である前記3つまたはそれを超える異なる抗体を含む、請求項1または請求項3に記載の組成物。
【請求項15】
前記抗体の1つが野生型Spy0416に特異的に結合し、ヒトIL−8を切断する前記野生型Spy0416の能力を阻害する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗体が、CXCL1/GROα、CXCL2/GROβ、CXCL3/GROγ、CXCL4、CXCL12/SDF−1α、CXCL12/SDF−1β、CXCL12/SDF−1γ、CXCL5/ENA78、CXCL6/GCP−2、CXCL7/NAP−2、CXCL9/MIG、CXCL10/IP10、CXCL11、CXCL13、CXCL14、およびCXCL16からなる群より選択されるヒトケモカインを切断する野生型Spy0416の能力を阻害する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記1つまたは複数の核酸分子を含む、請求項1または請求項3に記載の組成物。
【請求項18】
薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項1から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
小児用ワクチンで有用である活性剤をさらに含む、請求項1から13、17、または18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
前記活性剤が、
(a)N.meningitidis、S.pneumoniae、Bordetella pertussis、Moraxella catarrhalis、Clostridium tetani、Chorinebacterim diphteriae、呼吸器合胞体ウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、およびロタウイルスのポリペプチド抗原からなる群より選択されるポリペプチド抗原、ならびに
(b)前記ポリペプチド抗原をコードする核酸分子
からなる群より選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
高齢者または免疫無防備状態の個体のためのワクチンで有用な第2の活性剤をさらに含む、請求項1から13、17、または18のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
前記第2の活性剤が、
(a)Enterococcus faecalis、Staphylococcus aureaus、Staphylococcus epidermis、Pseudomonas aeruginosa、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、インフルエンザウイルス、およびパラインフルエンザウイルスのポリペプチド抗原からなる群より選択されるポリペプチド抗原;ならびに
(b)前記ポリペプチド抗原をコードする核酸分子
からなる群より選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
式:
【化14】
のA群多糖であって、式中、Rは末端還元L−ラムノースまたはD−GlcpNAcであり、nは約3から約30までの数である、A群多糖をさらに含む、請求項1から13または76から22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
アジュバントをさらに含む請求項1から13または17から23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記アジュバントがミョウバンである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1から13または17から25のいずれかに記載の組成物の有効量をそれを必要とする個体に投与することを含む、Streptococcus pyogenesによる感染のリスクを減少させる、方法。
【請求項27】
請求項1、4、14から16、または18のいずれかに記載の組成物の有効量をそれを必要とする個体に投与することを含む、Streptococcus pyogenesによる感染を処置する、方法。
【請求項28】
(a)請求項1から25のいずれかに記載の組成物を含む容器;および
(b)Streptococcus pyogenesによる感染を処置するかまたは感染のリスクを減少させる組成物を使用するための説明書
を含む、キット。
【請求項29】
(a)請求項1から13または17から25のいずれかに記載の組成物;および
(b)薬学的に許容可能な担体
を組み合わせることを含む、Streptococcus pyogenesによる感染のリスクを減少させるためのワクチンを作製する、方法。
【請求項30】
(a)請求項1から4、14から16、または18のいずれかに記載の組成物;および
(b)薬学的に許容可能な担体
を組み合わせることを含む、Streptococcus pyogenes感染を処置するための治療薬を作製する、方法。
【請求項31】
ワクチンとして使用するための請求項1から13または17から25のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
Streptococcus pyogenes感染の処置に使用するための請求項1から4、14から16、または18のいずれかに記載の組成物。
【請求項1】
(a)(1)Spy0167;
(2)Spy0269;
(3)Spy0416;
(4)Spy0714;
(5)Spy1390;
(6)Spy2000;
(7)アミノ酸P427、W535、C530、A248、およびD482からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸変化を含む変異体Spy0167タンパク質であって、前記アミノ酸位置が配列番号107に従って番号付けされ、前記変異体Spy0167タンパク質の溶血活性が、野生型Spy0167に対して少なくとも50%低下している、変異体Spy0167タンパク質;ならびに
(8)アミノ酸D151、H279、およびS617からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸変化を含む変異体Spy0416タンパク質であって、前記アミノ酸位置が配列番号1に従って番号付けされ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはELISAアッセイにより検出される場合、インターロイキン8(IL−8)に対する精製された変異体Spy0416抗原のタンパク質分解活性が、野生型Spy0416に対して少なくとも50%低下している、変異体Spy0416タンパク質
からなる群より選択される3つまたはそれを超える異なるS.pyogenes(GAS)タンパク質抗原の組み合わせ、
(b)(1)〜(8)をコードする1つまたは複数の核酸分子、または
(c)各抗体が、(1)〜(8)からなる群より選択されるGASタンパク質抗原に選択的に結合し、各GASタンパク質抗原が異なっている、3つまたはそれを超える異なる抗体
を含む、組成物。
【請求項2】
前記3つのGASタンパク質抗原が、
Spy0167、Spy0269、およびSpy0416;
Spy0167変異体P427L/W535F、Spy0269、およびSpy0416;
Spy0167、Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617A;または
Spy0167変異体P427L/W535F、Spy0269、およびSpy0416変異体D151A/S617A
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物であって、
(a)2つだけのGASタンパク質抗原であって、前記組成物は
(1)Spy0167ならびに、Spy0269;Spy0416;アミノ酸P427、W535、C530、A248、およびD482からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸変化を含む変異体Spy0167タンパク質であって、前記アミノ酸位置が配列番号107に従って番号付けされ、前記変異体Spy0167タンパク質の溶血活性が、野生型Spy0167に対して少なくとも50%低下している、変異体Spy0167タンパク質;アミノ酸D151、H279、およびS617からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸変化を含む変異体Spy0416タンパク質であって、前記アミノ酸位置が配列番号1に従って番号付けされ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、またはELISAアッセイにより検出される場合、インターロイキン8(IL−8)に対する精製された変異体Spy0416抗原のタンパク質分解活性が、野生型Spy0416に対して、少なくとも50%低下している、変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(2)Spy0269ならびに、Spy0167;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(3)Spy0416ならびに、Spy0167;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(4)前記変異体Spy0167タンパク質ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(5)前記変異体Spy0416タンパク質ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0167タンパク質;Spy0714;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(6)Spy0714ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy1390;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;
(7)Spy1390ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;およびSpy2000からなる群より選択される第2のGAS抗原;ならびに
(8)Spy2000ならびに、Spy0167;Spy0269;Spy0416;前記変異体Spy0167タンパク質;前記変異体Spy0416タンパク質;Spy0714;およびSpy1390からなる群より選択される第2のGAS抗原
を含む、2つだけのGASタンパク質抗原;
(b)前記2つのGASタンパク質抗原をコードする1つまたは複数の核酸分子;ならびに
(c)各抗体が、前記2つのGASタンパク質抗原のうちの1つに選択的に結合する、2つまたはそれを超える異なる抗体
を含む、組成物。
【請求項4】
前記2つのGASタンパク質抗原が、
Spy0167およびSpy0269;
Spy0167およびSpy0416;
Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0269;
Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0416;
Spy0269およびSpy0416変異体D151A/S617A;
Spy0167およびSpy0416変異体D151A/S617A;または
Spy0167変異体P427L/W535FおよびSpy0416変異体D151A/S617A
である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記変異体Spy0416抗原を含む、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記変異体Spy0416抗原が、D151AおよびS617Aからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記変異体Spy0416抗原が、配列番号147、配列番号148、配列番号149、または配列番号198を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記Spy0269抗原が配列番号177を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記変異体Spy0416抗原が、第2のGAS抗原を含む融合タンパク質である、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記変異体Spy0167抗原を含む、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記変異体Spy0167抗原が、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、および配列番号127からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記GAS抗原のうちの少なくとも1つが担体タンパク質にカップリングされている、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記担体タンパク質が、細菌毒素、細菌トキソイド、N.meningitidis外膜タンパク質、熱ショックタンパク質、百日咳タンパク質、H.influenzaeタンパク質D、サイトカイン、リンホカイン、ホルモン、成長因子、C.difficile毒素A、C.difficile毒素B、および鉄取り込みタンパク質からなる群より選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、F(ab’)2フラグメント、F(ab)フラグメント、Fv分子、非共有結合性ヘテロ二量体単鎖Fv分子(sFv)、二量体抗体フラグメント構築物、三量体抗体フラグメント構築物、ミニボディ、またはその混合物である前記3つまたはそれを超える異なる抗体を含む、請求項1または請求項3に記載の組成物。
【請求項15】
前記抗体の1つが野生型Spy0416に特異的に結合し、ヒトIL−8を切断する前記野生型Spy0416の能力を阻害する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗体が、CXCL1/GROα、CXCL2/GROβ、CXCL3/GROγ、CXCL4、CXCL12/SDF−1α、CXCL12/SDF−1β、CXCL12/SDF−1γ、CXCL5/ENA78、CXCL6/GCP−2、CXCL7/NAP−2、CXCL9/MIG、CXCL10/IP10、CXCL11、CXCL13、CXCL14、およびCXCL16からなる群より選択されるヒトケモカインを切断する野生型Spy0416の能力を阻害する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記1つまたは複数の核酸分子を含む、請求項1または請求項3に記載の組成物。
【請求項18】
薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項1から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
小児用ワクチンで有用である活性剤をさらに含む、請求項1から13、17、または18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
前記活性剤が、
(a)N.meningitidis、S.pneumoniae、Bordetella pertussis、Moraxella catarrhalis、Clostridium tetani、Chorinebacterim diphteriae、呼吸器合胞体ウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、およびロタウイルスのポリペプチド抗原からなる群より選択されるポリペプチド抗原、ならびに
(b)前記ポリペプチド抗原をコードする核酸分子
からなる群より選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
高齢者または免疫無防備状態の個体のためのワクチンで有用な第2の活性剤をさらに含む、請求項1から13、17、または18のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
前記第2の活性剤が、
(a)Enterococcus faecalis、Staphylococcus aureaus、Staphylococcus epidermis、Pseudomonas aeruginosa、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、インフルエンザウイルス、およびパラインフルエンザウイルスのポリペプチド抗原からなる群より選択されるポリペプチド抗原;ならびに
(b)前記ポリペプチド抗原をコードする核酸分子
からなる群より選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
式:
【化14】
のA群多糖であって、式中、Rは末端還元L−ラムノースまたはD−GlcpNAcであり、nは約3から約30までの数である、A群多糖をさらに含む、請求項1から13または76から22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
アジュバントをさらに含む請求項1から13または17から23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記アジュバントがミョウバンである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1から13または17から25のいずれかに記載の組成物の有効量をそれを必要とする個体に投与することを含む、Streptococcus pyogenesによる感染のリスクを減少させる、方法。
【請求項27】
請求項1、4、14から16、または18のいずれかに記載の組成物の有効量をそれを必要とする個体に投与することを含む、Streptococcus pyogenesによる感染を処置する、方法。
【請求項28】
(a)請求項1から25のいずれかに記載の組成物を含む容器;および
(b)Streptococcus pyogenesによる感染を処置するかまたは感染のリスクを減少させる組成物を使用するための説明書
を含む、キット。
【請求項29】
(a)請求項1から13または17から25のいずれかに記載の組成物;および
(b)薬学的に許容可能な担体
を組み合わせることを含む、Streptococcus pyogenesによる感染のリスクを減少させるためのワクチンを作製する、方法。
【請求項30】
(a)請求項1から4、14から16、または18のいずれかに記載の組成物;および
(b)薬学的に許容可能な担体
を組み合わせることを含む、Streptococcus pyogenes感染を処置するための治療薬を作製する、方法。
【請求項31】
ワクチンとして使用するための請求項1から13または17から25のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
Streptococcus pyogenes感染の処置に使用するための請求項1から4、14から16、または18のいずれかに記載の組成物。
【図6】
【図7】
【図12】
【図18A】
【図18B】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31E】
【図31F】
【図31G】
【図31H】
【図31I】
【図31J】
【図31K】
【図31L】
【図31M】
【図31N】
【図31O】
【図31P】
【図31Q】
【図31R】
【図31S】
【図31T】
【図31U】
【図31V】
【図31W】
【図31X】
【図31Y】
【図31Z】
【図31AA】
【図31BB】
【図31CC】
【図31DD】
【図31EE】
【図31FF】
【図31GG】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図36D】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10−1】
【図10−2】
【図11−1】
【図11−2】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図32E】
【図32F】
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【図34】
【図35】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図7】
【図12】
【図18A】
【図18B】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
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【図31F】
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【図31Q】
【図31R】
【図31S】
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【図31X】
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【図31Z】
【図31AA】
【図31BB】
【図31CC】
【図31DD】
【図31EE】
【図31FF】
【図31GG】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図36D】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10−1】
【図10−2】
【図11−1】
【図11−2】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図32E】
【図32F】
【図32G】
【図32H】
【図32I】
【図32J】
【図32K】
【図32L】
【図32M】
【図32N】
【図32O】
【図32P】
【図32Q】
【図32R】
【図34】
【図35】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【公表番号】特表2012−502969(P2012−502969A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527423(P2011−527423)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006949
【国際公開番号】WO2010/076618
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006949
【国際公開番号】WO2010/076618
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
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