説明

組み換えバチルス・スリンギエンシス菌株の発生のためのシャトルベクター

【発明の詳細な説明】
発明の分野 本発明は、特許手続きの目的のための微生物の寄託の国際的認識ついてのおよび大腸菌(E.coli)菌株における使用のための2機能的組み換えDNAクローニングベクターに関する。これらのベクターは、他のBt菌株から導入された1または2以上の殺昆虫性毒素の遺伝子を含有する、組み換えバチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)の発生において有用である。
発明の背景 バチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)(「Bt」)は、胞子形成の間にタンパク質の結晶質の細胞含有物を生産する、グラム陽性の土壌バクテリアである。これらのBt結晶タンパク質はしばしば特定の昆虫に対して高度に毒性である。殺昆虫活性は、種々のBt菌株からの結晶タンパク質について、昆虫目の鱗翅目(毛虫)、双翅目(カ、ハエ)および鞘翅目(甲虫)からの昆虫の幼虫に対して同定されてきている。
個々のBtの結晶タンパク質は、また、デルター内毒素またはパラ胞子の結晶または毒素のタンパク質と呼ばれ、それらの構造および殺昆虫活性が広範に異なる。これらの殺昆虫性タンパク質は、典型的には、大きなプラスミド上に位置する遺伝子によりエンコードされ、このプラスミドは30メガダルトン(mDa)より大きく、Bt菌株の中に見いだされる。ある数のこれらのBt毒素遺伝子がクローニングされ、そして殺昆虫性結晶タンパク質産生物はそれらの特定の殺昆虫性について特性決定されてきている。クローニングされたBt毒素遺伝子のすぐれた概観は、ヘフテ(H■fte)ら、マイクロバイオロジカル・リビューズ(Microbiol.Rev.)(1989)53:242-255(以後,H■fteおよびWhiteley、1989)に記載されており、彼らはこの開示において採用した、有用な名称および分類の概要を提案している。
Btの殺昆虫特性は長い間認識されてきてり、そしてBt菌株はまず1960年代に生物学的殺昆虫性生成物において最初に商業的に導入された。これらの殺昆虫性配合物は、典型的には、乾燥したBt発酵培養物を含有し、その結晶タンパク質は鱗翅目の昆虫種に対して毒性である。現在の商業化されたBt殺昆虫剤は「野生型」Bt菌株、すなわち、自然源から分離された自然Bt菌株の精製培養物から誘導される。
いくつかの新しく商業化されたBt菌株は、親Bt菌株と比較して、標的昆虫のより広いスペクトルに対して、増加した殺昆虫効能ならびに殺昆虫活性を有する、遺伝学的に変更した菌株である。このような菌株は国際特許公開第WO88/08877号、1988年11月17日発行(出願人、Ecogen Inc.)に例示されている。
これらの遺伝学的に変更したBt菌株の発生は組み換えDNA技術を包含しないが、その代わり、プラスミドの接合転移の技術に基づき、これはバクテリアの間の遺伝学的交換およびプラスミドのキュアリングの自然の形態であり、ここである種の必須のプラスミドはバクテリアから欠失される。
プラスミドの接合転移または接合は、有用な毒素遺伝子を有する多数のプラスミドをそれらの自然宿主のBt菌株から他の「受容体」のBt菌株に転移することができないという事実により、制限される。さらに、接合により転移することができる、いくつかのプラスミドは他のプラスミドと固有に不適合性であるので、2つの所望の、不適合性プラスミドを含有する、安定な「トランス接合体」のBt菌株を実現することはできない。
接合に対する他の欠点は、いくつかの移動可能な、または転移可能な、プラスミドは所望の遺伝子に加えて、望ましくない毒素遺伝子を有するので、生産される所望の結晶タンパク質の量が不必要な結晶タンパク質の同時の生産により制限されることである。
ある種の標的昆虫病害虫に対する商業化されたトランス接合体のBt菌株の実証された効能にかかわらず、他の昆虫病害虫に対する改良されたBt菌株が明らかに要求されている。Bt菌株の発生は、Bt菌株の構成において組み換えDNA技術を使用することによって促進されるであろう。
組み換えDNA手順は、結晶タンパク質の型、および遺伝子の調節および発現の選択、操作および制御を可能とすることによって、1または2以上の毒素遺伝子を含有する新規な構成において、大きい柔軟性を提供する。形質転換されたBt菌株の生産において組み換えDNAアプローチを利用するいくつかの技術は、欧州特許出願第EP 0 342 633-A2号、発行1989年11月23日(出願人、Ciba-Geigy AG)に記載されている。
EP 0 342 633-A2および他の刊行物に開示されている組み換えBt菌株は、一般に、1または2以上の所望のBt毒素遺伝子を収容する組み換えプラスミド上の1または2以上の抗生物質耐性マーカー遺伝子により特徴づけられる。このような抗生物質耐性マーカー遺伝子は、組み換え毒素エンコーディングプラスミドを含有する形質転換されたBt菌株を同定および選抜する手段を提供するが、商業的殺昆虫性配合物における使用のために開発された生存しうるBt菌株において望ましくない。抗生物質耐性遺伝子は通常自然Bt菌株の中に存在しないので、農薬および環境調節因子は、無制限の環境的解放および生物学的殺昆虫性配合物における使用のための抗生物質耐性組み換えBt菌株を支持することに抵抗することがある。
文献に記載されている組み換えBt菌株における抗生物質耐性遺伝子の存在の主要な理由は、このような耐性マーカー遺伝子を含有する2機能的クローニングベクターの使用である。これらのクローニングベクターの部分は、典型的には、Btに対して自然ではないプラスミド、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、枯草菌(B.subtilis)または黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のプラスミドから誘導され、そして抗生物質耐性マーカー遺伝子に加えて、Btの中でまた機能であるBt以外の源からの複製起点(以下、複製起源という場合あり)を含有し、したがってクローニングベクターをBtの中で複製できるようにする。
ミラー(Miller)ら、米国特許第4,503,155号(登録、1985年3月5日)は、ストレプトミセス属(Streptomyces)、バチルス属(Bacillus)およびE.coliにおいて有用なこのような多機能的クローニングベクターを開示している。
いくつかの最近の文献はBtプラスミドからの複製起源を使用するBtクローニングベクターを報告しているが、これらは、また、抗生物質耐性マーカー遺伝子、および容易に除去可能であることを意図しない、他のBt以外のDNA要素を含有する。
ミテバ(Miteva)ら、アーチーブス・マイクロバイオロジー(Arch.Microbiol.)(1988)150:496-498は、バチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)var.israelensisからの小さい簡潔なプラスミドのE.coliの中のクローニングおよびマッピングを報告している。生ずる2機能的ベクターは、E.coliおよびBtの両者の中で複製することができるが、Bt israelensisにおいて尖った分離の安定性を示した。
マヒロン(Mahillon)ら、プラスミド(Plasmid)(1988)19:169-173は、バチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)var.thuringiensisからの3つの小さい簡潔なプラスミドのE.coliの中のクローニングおよびマッピングを記載している。これらのプラスミドの1つはpG12であった。クローニングされたプラスミドはバチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)のための新規なシャトルベクターの開発のための出発点として働くことを著者らは述べている。マヒロン(Mahillon)ら、核酸の研究(Nucl.Acids Res.)(1988)16:11827-11828は、バチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)var.thuringiensisからの小さい簡潔なプラスミドであるpG12の完全なヌクレオチド配列を報告している。pG12は、mlcの40%以上を表す、トランスボゾンTN4430を含有することが示された。
レレクルス(Lereclus)ら、FEMS マイクロバイオロジカル・レターズ(Microbiol.Lett.)(1988)49:417-422は、E.coli中でクローニングされた2つの小さい簡潔なプラスミドの特性決定を記載している。これらの2つのプラスミドのための複製起源は、2.1および2.8キロ塩基(kb)のDNA断片に対して局存化された。小さい簡潔なプラスミドの1つ、pHT1030は、枯草菌(Bacillus subtilis)の中ですぐれた分離安定性を示した;pHT1030から誘導されたプラスミドは安定に維持され、抗生物質を使用する選抜の不存在下に30℃で30世代の成長後、90%の回復であった。
後の報告の論文において、レレクルス(Lereclus)ら、FEMS マイクロバイオロジカル・レターズ(Microbiol.Lett.)(1989)60:211-217は、小さいBt耐性プラスミドpHT1030から誘導されたシャトルベクターの構成を記載している。このシャトルベクター、pHT3101と表示する、を使用して、エレクトロポレイションによるBtの効率よい形質転換のために適当な条件を決定した。Bt毒素遺伝子は、その自然Btプラスミド上で尖って発現され、このシャトルベクターを使用してクローニングされ、そしてE.coliおよびBtの両者において発現することが示された。
シャーター(Schurter)ら、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Mol.Gen.Genet.)(1989)218:177-181および欧州特許出願第0 342 633-A2号(1989年11月23日発行)は、エレクトロポレイションを使用して、Bt内毒素遺伝子を含有するシャトルベクターで、アクリスタリフェラス(acrystalliferous)バチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)およびバチルス・セレウス(B.cereus)バチルス・セレウス(B.cereus)菌株を効率よく形質転換することを記載している。これらの研究は、E.coliおよびバチルス属(Bacillus)種の両者の中で複製することができそして、Btであると思われない、種々のバクテリアのプラスミド源から構成された、2機能的シャトルベクターを利用した。
本発明の新規なシャトルベクターは、E.coliまたは他のBt以外の生物学的源から誘導されたDNAを含有しない、Bt菌株構成体の中にへの組み換えプラスミドの組み込みを促進する。本発明のシャトルベクターを使用して、抗生物質耐性マーカー遺伝子を含まないならびにBt以外の複製起源、例えば、E.coli機能的複製起源を含まない、形質転換されたBt菌株を構成することができる。
こうして、本発明のシャトルベクターは、現在商業的に入手可能な、遺伝学的に変更されたBt菌株より優れる、殺昆虫特性を有する、生存しうる組み換えBt菌株を含有する、改良された生物学的農薬の開発の基礎を提供する。これらの改良された組み換えBt菌株は制限されない環境の解放に適当であることが期待される。なぜなら、それらはBt以外の生物学的源からの外来DNAを本質的に含まず、そしてBt源の菌株からのみ誘導された毒素遺伝子および他のプラスミドDNAを含有するからである。
発明の要約 本発明のプラスミドシャトルベクターは、遺伝子をバチルス・スリンギエンシス(Bacilus thuringiensis)(Bt)宿主の中に導入するために有用であり、Btバクテリアを形質転換することができるプラスミドであり、そして(i)E.coliの中で機能的である複製起源を含有する除去可能なDNA制限断片;(ii)挿入されたBt遺伝子のクローニングを促進するための制限エンドヌクレアーゼ切断部位をもつ、多重クローニング部位;および(iii)Btプラスミドから誘導されたBtプラスミドを含有し、Bt誘導された複製起源は多重クローニング部位に隣接し、そしてこれらの後者の2つの要素はフランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、前記フランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位はBt誘導された複製起源および多重クローニング部位をプラスミドシャトルベクターから単一の組み合わされたDNA断片として分離しそして、自己結合後、機能的プラスミドとしてBt宿主の中に導入できるようにする。
本発明のプラスミドシャトルベクターは、ori44、ori60およびori43から成る群より選択される除去可能な複製起源を含有し、それらのそれぞれのヌクレオチド配列は第5図、第6図および第7図に示されている。他のBt誘導された複製起源を、また、ori44、ori60またはori43の代わりに使用することができる。
プラスミドシャトルベクターの中のフランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位は同一であり、このような部位はプラスミドシャトルベクターに対して独特であり、そして前記シャトルベクターを経てBt宿主の中に導入すべき問題の遺伝子の中に存在しない。好ましいフランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位はSalIおよびSfiI部位である。プラスミドシャトルベクターは、また、2組のフランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含有し、フランキング制限部位の一方の対はSalI部位であり、そしてフランキング制限部位の他方の対はである。
プラスミドシャトルベクターは、E.coliの中で機能的な複製起源を含有する除去可能なDNA制限断片をフランキングする、2つの同一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、このような部位はプラスミドシャトルベクタープに対して独特であり、そして前記シャトルベクターを経てBt宿主の中に導入すべき問題の遺伝子の中に存在しない。E.coli機能的複製起源をフランキングする、これらの2つの同一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位は好ましくはNotIである。これらのフランキング制限部位は、E.coli機能的複製起源を含有するDNA制限断片の除去を促進する。
これらの制限部位に加えて、プラスミドシャトルベクターは、また、除去可能なBt誘導された複製起源をフランキングする、2つの同一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、このような部位はプラスミドシャトルベクターに対して独特である。除去可能なBt誘導された複製起源をフランキングする、これらの2つの同一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位は好ましくはXbaI部位である。これらのフランキング制限部位は、Bt誘導された複製起源の除去および異なるBt誘導された複製起源の挿入を促進する。
シャトルベクターは抗生物質耐性を与える少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子を、また、含有し、この遺伝子はプラスミドの中の除去可能なDNA制限断片上に存在する。選択可能なマーカー遺伝子はBtの中で機能であるか、あるいはE.coliの中で機能的であるか、あるいは両者の中で機能的であることができる。別々のまたは異なるマーカー遺伝子は、E.coliおよびBtの形質転換体について別々に選抜するために望ましいことがある。Btの中で機能である場合、選択可能なマーカー遺伝子は好ましくはBt誘導された複製起源に隣接して位置する。E.coliの中で機能的である場合、選択可能なマーカー遺伝子は好ましくはE.coliの中で機能的である複製起源を含有するDNA断片に隣接して位置するか、あるいはその中に位置する。BtまたはE.coliの中で機能的である選択可能なマーカー遺伝子は、クロランフェニコール、テトラサイクリン、カナマイシンまたは他の適当な抗生物質に対する耐性を与えるものであることができる。E.coliの中で機能的である他の選択可能なマーカー遺伝子は、アンピシリン(ベータラクタマーゼ)耐性遺伝子である。
本発明のプラスミドシャトルベクターの中の多重クローニング部位は、通常、挿入されたBt遺伝子、すなわち、組み換えBt菌株構成体の中の毒素エンコーディング遺伝子として機能的であることを意図するBt遺伝子のクローニングを促進する、連鎖した系列の制限エンドヌクレアーゼ切断部位として合成された。
好ましい多重クローニング部位は、次の順序で制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、そしてXbaI部位はBt誘導された複製起源に隣接して位置する: XbaI、PstI、KpnI、SmaI、AvrII、BamHI、XhoI、SstI、ClaI、HpaI、SphI、EagI、SfiI、SalI、NotI。
他の好ましい多重クローニング部位は、次の順序で制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、そしてBamHI部位はBt誘導された複製起源に隣接して位置する: BamHI、XhoI、PstI、SstI、SphI、SmaI、HindIII、EcoRI、SalI、NotI。
これらの2つの多重クローニング部位は好ましくはori44、ori60またはori43とともに使用する。
本発明の3つのプラスミドシャトルベクターは第1図に示されており、この図面はベクターpEG597、pEG853およびpEG854のための構造の地図を描写する。これらのシャトルベクターおよびそれらの使用を好ましい実施態様の説明および実施例においてより詳細に記載する。
図面の簡単な説明 第1図は3つのプラスミドシャトルベクター、pEG597、pEG853およびpEG854のための直線の制限地図を描写し、そしてまたそれらの構造成分を例示する。個々のベクターはクロランフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat:充実セグメント)とDNA断片、pTZ19u(陰影を施した)のための抗生物質耐性マーカー遺伝子との間に位置するNotI部位において開いていることが示されており、pTZ19uはE.coliの中で機能的である複製起源(図示せず)、f1ファージ複製起源(f)、アンピシリン抗生物質耐性マーカー遺伝子(amp)およびlaczプロモーター(plac)を有する。各プラスミド、ori44、ori60またはori43についてのBt誘導された複製起源(に示すように)は、重量セグメントとして示すDNA断片上に位置する。多重クローニング部位(三角形のセグメント)は、それぞれのBt複製起源とpTZ19uのDNA断片との間に位置する。制限エンドヌクレアーゼ切断部位のために文字の略号は、次のように解読することができる:Av=AvrII、B=BamHI、C=ClaI、E=EcoRI、H=HindIII、Hp=HpaI、K=KpnI、N=NotI、P=PstI、S=SalI、Sf=SfiI、Sm=SmaI、Sp=SphI、St=SstI、X=XhoI、Xb=XbaI。「1kb」記号は1000塩基対の長さの標準である。
第2図は、Bt菌株からの複製起源を回収するために有用な、レプリコンクローニングベクターpEG588の直線の構造地図である。ベクターはpMI1101から誘導されたクロランフェニコールアセチルトランスフェラーゼ抗生物質耐性マーカー遺伝子(cat:充実セグメント)とDNA断片、pTZ18U(陰影を施したセグメント)との間に位置するEcoRI部位(E)において開いていることが示されており、pTZ18uはE.coliの中で機能的である複製起源(ori)、f1複製起源(f)、アンピシリン抗生物質耐性マーカー遺伝子(amp)およびlaczプロモーター(plac)を含有する。多重クローニング部位は、cat制限遺伝子とpTZ18uのDNA断片との間に位置し、そして制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、それらの文字の略号は第1図1図のための要約において解読される。「500bp」の記号は500塩基対の長さの標準である。
第3図は、Bt複製起源ori44、ori60またはori43を含有する、いくつかの組み換えプラスミドの直線の構造地図を示す。第3A図において、pEG588-8およびそのサブクローン、pEG851、はBt誘導された複製起源ori44を有する。第3B図において、pEG588-14aはori60を有する。第3C図において、pEG588-13aおよびそのサブクローン、pEG599はori43を有する。Bt誘導された複製起源は、それぞれのプラスミドの中の白色セグメントとして示すDNA断片上に位置する。各プラスミドの中の充実セグメントは、pMI1101から誘導された、クロランフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(cat)を示す。各プラスミドにおける陰影を施したセグメントは、E.coliの中で機能的である複製起源、f1ファージ複製起源(f)、アンピシリン耐性遺伝子(amp)およびlaczプロモーター(plac)を含有する、DNA断片pTZ18uまたはpTZ19u(示すように)である。これらの構造地図の中の制限エンドヌクレアーゼ切断部位のための文字の略号は、第1図のための要約において解読される。「11b」の記号は1000塩基対の長さの標準である。
第4図は、Bt var.kurstaki菌株HD263-6(菌株A)およびHD73-26-10(菌株B)の在留するプラスミドのオートラジオグラムおよびサザンブロット分析からの臭化エチジウム染色したゲルの写真である。表1に記載するBt複製起源のクローンは、7つの異なるBtプラスミド複製起源を表し、ハイブリダイゼーションプローブとして使用した:これらはゲルのレーンの各々について同定される。略号:L=直線のDNA断片;M=大きさの標準として使用した直線のラムダDNA;mDa=メガダルトン。
第5図は、第5A図、第5B図および第5C図から成り、そしてBt var.kurstaki菌株HD-263の44mDaプラスミドから誘導されたBt複製起源、ori44のためのヌクレオチド配列を描写する。ヌクレオチド位置797-1732から伸長するオープンリーディングフレームについて推定されたアミノ酸配列を、また、示す。AT含量に富む(>85%AT)DNA配列はボールドフェースのタイプで示す。直接および逆向きの反復配列は矢印で示され、そして下のケースの文字で標識してペアリングを促進する。
第6図は、第6A図、第6B図および第6C図から成り、そしてBt var.kurstaki菌株HD-263の60mDaプラスミドから誘導されたBt複製起源、ori60のためのヌクレオチド配列を描写する。ヌクレオチド位置627-1844から伸長するオープンリーディングフレームについて推定されたアミノ酸配列を、また、示す。AT含量に富む(>85%AT)DNA配列はボールドフェースのタイプで示す。直接および逆向きの反復配列は矢印で示され、そして下のケースの文字で標識してペアリングを促進する。
第7図は、第7A図、第7B図および第7C図から成り、そしてBt var.kurstaki菌株HD-263の43mDaプラスミドから誘導されたBt複製起源、ori43のためのヌクレオチド配列を描写する。ヌクレオチド位置829-2358から伸長するオープンリーディングフレームについて推定されたアミノ酸配列を、また、示す。AT含量に富む(>85%AT)DNA配列はボールドフェースのタイプで示す。直接および逆向きの反復配列は矢印で示され、そして下のケースの文字で標識してペアリングを促進する。
第8図は、第5図に示すヌクレオチド配列に相当するori44の直線の構造地図である。陰影を施したセグメントおよびその関連する矢印は、複製起源遺伝子のオープンリーディングフレームおよび転写の方向を示す。第5図において同定するATに富んだ配列は第8図において充実セグメントで示されている。ori44の中のヌクレオチド配列を決定するために使用した方法は、構造地図の下に水平の矢印で描写されている。構造地図の中に示す制限エンドヌクレアーゼ切断部位のための文字の略号は、次のように解読することができる:A=AccI、Bg=BglII、Cs=Csp451、E=EcoRI、H=HindIII、Nd=NdeI、S=SalI、Xb=XbaI。「250bp」記号は250塩基対の長さの標準である。
第9図は、第6図に示すヌクレオチド配列に相当するori60の直線の構造地図である。陰影を施したセグメントおよびその関連する矢印は、複製起源遺伝子のオープンリーディングフレームおよび転写の方向を示す。第6図において同定するATに富んだ配列は第9図において充実セグメントで示されている。ori60の中のヌクレオチド配列を決定するために使用した方法は、構造地図の下に水平の矢印で描写されている。構造地図の中に示す制限エンドヌクレアーゼ切断部位のための文字の略号は、第8図の要約において解読される。「500bp」記号は500塩基対の長さの標準である。
第10図は、第7図に示すヌクレオチド配列に相当するori43の直線の構造地図である。陰影を施したセグメントおよびその関連する矢印は、複製起源遺伝子のオープンリーディングフレームおよび転写の方向を示す。第7図において同定するATに富んだ配列は第10図において充実セグメントで示されている。ori43の中のヌクレオチド配列を決定するために使用した方法は、構造地図の下に水平の矢印で描写されている。構造地図の中に示す制限エンドヌクレアーゼ切断部位のための文字の略号は、第8図の要約において解読される。「250bp」記号は250塩基対の長さの標準である。
第11図は、Bt誘導された複製起源ori44を含有する、プラスミドシャトルベクターpEG597を例示する略線図である。プラスミドシャトルベクターpEG597は、また、ori44を有する、プラスミドpEG851(参照、第3A図)から、第11図に示す工程の系列により誘導した。第1工程において、pEG851をSphIで消化し、DNA末端をT4DNAポリメラーゼで平滑末端とし、その後平滑末端をT4DNAリガーゼと結合して、示すような生ずるプラスミドを生成した。次の工程において、NotI(N)部位を、示すように、EcoRIに挿入した。次いで多重クローニング部位(MSC)をHindIII(H)部位に挿入して、プラスミドシャトルベクターpEG597を生成した。pEG851およびpEG597についての直線の構造地図は、それぞれ、第3図および第1図1図のための要約において解読されそして説明されているのと同一の略号を利用する。
第12図は、Bt誘導された複製起源ori60を含有するプラスミドシャトルベクターpEG853、およびBt誘導された複製起源ori43を含有するプラスミドシャトルベクターpEG854の構成を例示する略線図である。これらのプラスミドシャトルベクターの両者は、描写した工程の順序によりプラスミドシャトルベクターpEG597(参照、第1図および第11図)から誘導した。第1工程において、pEG588-14aからのori60を含有する2.3kbのSalI断片(参照、第3B図)をpEG597からの4.35kbのpTZ19u-catのSalI断片(それからori44を欠失した)に結合して、プラスミドpEG852を生成した。次の2つの工程において、SfiI(Sf)部位をpEG852のXbaI(Xb)部位に挿入し、次いで多重クローニング部位(MCS)をBamHI(B)部位に挿入して、プラスミドシャトルベクターpEG853をつくった。pEG853からXbaI消化によりori60複製起源を除去し、そしてpE599からのori43を有する2.8kbのXbaI断片(参照、第3C図)は、最後の工程に示すように、プラスミドシャトルベクターpEG854を生じた。pEG597、pEG853およびpEG854について、および第12図に示すそれらの関係する中間体のプラスミドについての直線の構造地図は、第1図の要約において解読および説明されているのと同一の略号を利用する。
第14図は第14A図および第14B図から成る。第14A図はクーマッシイ(Coomassie)染色したSDS−ポリアクリルアミドゲルの写真であり、pEG863(cryIA(c)毒素遺伝子を含有するプラスミドシャトルベクターpEG597)を含有する組み換えBt var.aizawai菌株EG6346によりつくられた結晶タンパク質を示す。2つのBt菌株対照を使用した:Bt var.aizawai EG6345およびそのキュアーした誘導体、Bt菌株EG6346;両者の菌株はスポドプテラ・エキグア(Spodptera exigua)に対する結晶タンパク質を生産する。精製したCryIA(c)の毒素タンパク質を、また、示すように、タンパク質の標準として含めた。3つの毒素タンパク質のバンドはBt菌株EG6345からの結晶調整物において明らかであるが、2つの毒素タンパク質のバンドはBt菌株EG6346からの結晶調整物において明らかである。第14B図は、CryIA(c)の毒素タンパク質(P1型タンパク質)に対して特異的な抗体を使用して、Bt菌株EG6346/pEG863の中のcryIA(c)遺伝子の発現を実証する、第14A図に示すゲルのウェスタンブロットの写真である。
第15図は、6つの鱗翅目の昆虫種に対する殺昆虫活性について試験した、3つのBt菌株についてのバイオアッセイの結果(表4に示す)を描写する。Bt菌株は毒素をエンコードするプラスミドシャトルベクターpEG863を含有するBt菌株EG6346、および対照として自然EG6345およびそのキュアーした誘導体EG6346であった。殺昆虫活性は、昆虫の幼虫の50%を殺すために要求される胞子/結晶調整物のナノリットル/カップで表すLC50値として測定する。試験した昆虫種は、スポドプテラ・エキグア(Spodptera exigua)(SE)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(ON)、ヘリオチス・ビレスセンス(Heliothsi virescens)(HV)、ヘリオチス・ゼア(Heliothis zea)(HZ)、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)(TN)およびプルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)(PX)であった。
第16図は2つのマーカープラスミド、pEG872およびpEG871、についての直線の構造地図を示し、これらのプラスミドはcryIIIA-1acz遺伝子の融合体を含有し、そしてそれらのBt複製起源を除外してそれ以外は同一である。マーカープラスミドpEG872およびpEG871は、それぞれ、プラスミドシャトルベクターpEG854およびpEG853から(参照、第1図)から、pBR322からのDNAの短いセグメントを、また、含有するcryIIIA-1acz遺伝子融合体を含有するBamHI-SphI制限断片(クロスハッチングしたセグメント)をそれらのそれぞれの多重クローニング部位の中に挿入することによって誘導した。プラスミドの中の種々のDNAセグメントの源または同定は、構造地図の下のマークしたボックスにより示す。略号:pcryIIIA-cryIIIA遺伝子プロモーター断片:lacz=lacz遺伝子;1kb=1,000塩基対の長さの標準。制限部位についての文字の略号を包含する他の略号は、第1図の要約において解読および説明されている。
第17図は、プラスミドシャトルベクターpEG147についての直線の構造地図である。プラスミドpEG147は、よく知られたプラスミドpBC16からEcoRI断片(充実セグメント)をよく知られたE.coliのクローニングベクターpUC18(陰影を施したボックス)のSspI(Ssp)の中に挿入することによって誘導した。pEG147のpBC16誘導した部分は、Btの中で機能でありかつBt誘導された複製起源ori43、ori60およびori44と適合性であるpBC16からの複製起源(ori)を含有する。テトラサイクリン抗生物質耐性マーカー遺伝子(tet)は、また、Btの中で機能である。pEG147のpUC18誘導セグメントは、E.coliの中で機能的である複製起源(ori)およびアンピシリン抗生物質耐性マーカー遺伝子(amp)を含有する。三角形セグメントにより示された多重クローニング部位はpUC18の一部分である。構造地図の中に示す制限部位についての文字の略号は第1図についての要約において解読される。
第18図は、プラスミドシャトルベクターpEG871(また、第16図に示す)の直線の構造地図を含み、そしてpEG871を制限エンドヌクレアーゼSfiI(Sf)で消化して、Bt複製起源ori60および関連するcryIIIAプロモーターをもつlacz遺伝子を含有するpEG871からのDNA断片を回収することを例示する。次いで、SfiI制限断片をT4DANAリガーゼと、この図面に示すように、自己結合しそして、実施例10に記載するように、同時形質転換を経てBt宿主の中に導入することができる。略号および記号は第16図についての要約において解読および説明されている。
好ましい実施態様の説明 本発明の新規なプラスミドシャトルベクターは、バチルス属(Bacillus)およびE.coliの微生物における使用を意図する、2機能的組み換えDNAクローニングベクターである。このベクターは、クローニングしたBt殺昆虫性毒素遺伝子または殺昆虫性産生物をエンコードする遺伝子をBtの中に導入して、本質的にBt誘導されそしてBt以外の生物学的源からのDNAを含有しない組み換えBt菌株を生ずることができるように設計されている。本発明のシャトルベクターを使用して得られる組み換えBt菌株は、そのDNA含量が本質的にBt誘導されている、組み換え毒素エンコーディングプラスミドを含有するので、環境の解放の観点から魅力的である。
プラスミドシャトルベクターは、機能的Bt複製起源、機能的E.coli複製起源、および必要に応じて抗生物質に対する耐性を与える1または2以上の欠失可能なDNAセグメントを含有する。ベクターは、また、合成多重クローニング部位、およびベクターの種々の適合を可能とする1または2以上の対の独特の制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含有する。
シャトルベクターの中の独特制限部位は、次のことを可能とする:1)Bt複製起源、多重クローニング部位およびこの多重クローニング部位の中にクローニングされた遺伝子を含有するクローニングベクターからの単一のDNAの切除、切除されたDNA断片は自己結合および選択可能なプラスミドによるBtの同時形質転換を経る、機能的非選択可能なプラスミドとしてBtの中への導入に適当である;2)別の複製起源、好ましくはBt複製起源とのBt複製起源の置換;および3)E.coliの複製起源の欠失または別の複製起源によるE.coli複製起源の置換。プラスミドシャトルベクターのこれらの特性は、生物農薬としてBtの組み換え菌株の発生において、それを極めて有用性とする。
シャトルベクターの中の2つの隣接する要素、Bt誘導された複製起源および多重クローニング部位は独特の制限部位によりフランキングされている。これらの制限エンドヌクレアーゼ切断部位は、プラスミドシャトルベクターに対して独特であり、そしてクローニングしかつ組み換えBt菌株の中に挿入すべき、Bt毒素エンコーディング遺伝子断片の中に存在しない。
この明細書の中で言及する「独特」制限エンドヌクレアーゼ切断部位は、2つの基準のいずれか、あるいは両者を使用して選抜することができる:(i)8塩基対の制限部位は一般に6塩基対の部位より希である;(ii)Btゲノムはわずかに30%のGCであると推定され、それゆえGCに富んだ制限部位、例えば、SfiIおよびNotIは例外的に希である。
Bt複製起源を取り囲む独特のフランキング部位および多重クローニング部位は、望ましくはSfiIおよび/またはSalI制限部位である。これらの制限部位、とくにSfiIはBtゲノムの中に頻繁には存在しない(したがって、問題のBt毒素遺伝子の中に希に見いだされる)ので、それらはBt複製起源および多重クローニング部位の中にクローニングされたBt毒素遺伝子を含有するプラスミドシャトルベクターから、単一のDNA断片を回収する信頼性ある手段を提供する。回収される単一のDNA断片は、Bt複製起源および多重クローニング部位の両者を含有し、慣用方法により、例えば、T4DNAリガーゼを使用して容易に自己結合して断片の末端は接合される。自己結合可能なDNA断片上で、本発明のプラスミドシャトルベクターを経て、クローニングしたBt毒素遺伝子およびBt複製起源を組み合わせる能力は、小さい毒素エンコーディング機能的プラスミドをBtの中に同時形質転換を経て導入する手段を提供する。
Bt複製起源を取り囲むフランキング部位および多重クローニング部位は好ましくは同一であるが、あるいは互いに適合性であることができる。また、2組のこのようなフランキング部位が存在することができ、例えば、一方のフランキング対SfiI部位であり、そして他方のフランキング対はSalI部位である。
E.coliの中で機能的である複製起源およびBt誘導された複製起源を含有するDNA制限断片の各々は、プラスミドシャトルベクターから除去可能である。E.coli複製起源を含有するDNA断片をフランキングする独特制限部位は望ましくは同一であるが、あるいは互いに適合性であることができる。希な制限部位NotIは好ましくはE.coliのDNAセグメントをフランキングするか、あるいはそれを取り囲む部位について使用される。なぜなら、NotI部位はgtゲノムの中に頻繁には存在しない(したがって、問題のBt毒素遺伝子の中に希に見いだされる)からである。
同様に、Bt誘導された複製起源をフランキングする制限部位あるいはBt誘導された複製起源を含有するDNA断片は、望ましくは、シャトルベクターに対して独特でありかつ好ましくは同一であるが、あるいは適合性である。制限エンドヌクレアーゼ切断部位XbaIはこの目的に好ましい。
これらの独特の制限部位はそれぞれのE.coliおよびBtの複製起源を別の複製起源で置換することを可能とし、これによりこの開示において例示する特定のプラスミドシャトルベクターを越えた利点を提供できる、追加のクローニングベクターの構成を促進することができる。例えば、この明細書において現在開示されたものを越えた増大した安定性を示す、追加のBt複製起源のクローンを見いだすことができる。異なる複製起源を含有する多数のプラスミドは多数の種々のBtの間から検出することができる。これらのプラスミドの任意のものは、下に概説するクローニング手順を使用して、追加の、新しく特性決定されたBt複製起源のための源として働くできるようである。このような新規なBt複製起源は、それ以上の試験のために、第1図を描写しそして下に詳細に記載する、プラスミドシャトルベクターpEG853およびpEG854の中に容易に挿入することができる。
プラスミドシャトルベクターの中のBtおよびE.coliの複製起源の除去可能な性質に対する他の利点は、当業者とって明らかであろう。組み換えBt菌株を使用する発酵の研究のために、E.coliの複製起源をもつDNA断片は適当なプラスミドシャトルベクターから欠失して、Bt複製起源、多重クローニング部位の中に挿入されたBt毒素遺伝子、およびBtの中で機能である選択可能な抗生物質耐性遺伝子から成る、毒素エンコーディングプラスミドを生ずることができる。生ずるプラスミドは、主としてBt誘導されたDNAから構成され、中間体の構成体として働き、その特性は規模を大きくした発酵実験においてE.coliのDNAの不存在下に容易に評価することができる。このような特性は、Btの中の分離の安定性、組み換えBt菌株における全体の結晶毒素の生産へのその衝撃、および組み換えBt菌株の殺昆虫活性へのその作用を包含する。このような組み換えプラスミドの安定性を実施例7より詳細に記載する。
本発明のプラスミドシャトルベクターは、自然Btプラスミド複製起源を利用しかつBt毒素遺伝子を含有する小さいプラスミド、すなわち、30mDaより有意に小さいプラスミドを選択なしでBt宿主菌株の中で安定に維持できるという発見を利用する。Bt菌株の特性についての入手可能な文献は、毒素遺伝子を収容するBtプラスミドが30mDaより事実上常に大きいことを教示しているが、なぜそうであるかについて理由は与えられていない。とくに小さい未解明のプラスミド、すなわち、そのエンコードされた遺伝子産生物が未知であるプラスミドはBtの中に豊富に存在するので、Btの中の小さい毒素エンコーディングプラスミドの不存在は不可能なことである。Bt複製起源が大きいBtプラスミドから誘導された、この明細書の中に記載するプラスミドシャトルベクターを使用して、2つの異なるBt毒素遺伝子はBt菌株の中にエレクトロポレイションにより導入され、そして組み換えプラスミドはプラスミドが比較的小さい大きさにかかわらず、このようなBt構成体の中で安定に維持されることが示された。この研究の詳細は実施例6および7に表されている。
本発明の新規なシャトルベクターはBtプラスミドから誘導された複製起源を含有する。Bt複製起源の分離および特性決定および3つのBt複製起源のDNA配列の分析は、よく知られたBt菌株、Bt var.kurstaki HD-263およびBt var.kurstaki HD-73のプラスミド−キュアード誘導体を使用する本発明者らの研究に基づく[参照、ゴンザレズ(Gonzalez)、Jr.ら、プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA、79、pp.6951-6955(1982)]。これらの2つのキュアード誘導体はBt菌株HD263-6、Bt菌株HD73-26、およびBt菌株HD73-26-10であり、後者はBt菌株HD-263からの44mDaのプラスミドを含有するキュアード誘導体HD73-26のトランス接合体の菌株である。下に記載する手順から明らかであるように、他のBt菌株は本発明において使用するBt複製起源を得るための源材料として使用することができた。これらの手順において使用する方法の一般的記載は次の通りである: Bt機能的複製起源を欠如するが、Btの中で機能である、クロランフェニコール抗生物質耐性遺伝子、cat、を含有する、クローニングベクターpEG588を使用するエレクトロポレイションにより、直接Btの中でBtプラスミド複製起源をクローニングした。1または2以上のBt複製起源を含有するDNA断片をpEG588ベクターの中に挿入すると、Btをクロランフェニコール耐性に形質転換することがきる。
Bt菌株HD73-26-10およびHD263-6の中の耐性プラスミドを複製起源のクローニング手順のために利用したが、毒素エンコーディングまたは未解明である、プラスミドを含有するBt菌株をその代わりに使用することができた。Bt菌株HD73-26-10は44および4.9mDaのプラスミドを含有するBt菌株HD73-26のトランス接合体の誘導体である;Bt菌株HD263-6は約130、約110、60、43、7.5、5.4、5.2および4.9mDaのプラスミドを含有する;毒素遺伝子はほぼ110および60mDa上に位置する。Bt菌株HD263-6およびHD73-26-10からのプラスミドDNAを分離し、制限エンドヌクレアーゼMboIで部分的に消化し、そしてpEG588のBamHI部位の中に結合した。結合産生物を使用して、アクリスタリフェラス(acrystalliferous)Bt菌株HD73-26をクロランフェニコール耐性に形質転換した。新規なプラスミドを収容するクロランフェニコール耐性Btクローンをサザンブロット分析により特性決定し、そしてプラスミドをそれらの複製起源に従いグループに分けた。Bt菌株HD263-6からのクローンはBt菌株HD263-6からの60、43、7.5、5.4、5.2および4.9mDaのプラスミドからの複製起源を含有したが、Bt菌株HD73-26-10クローンをBt菌株HD73-26-10からの44および4.9mDaのプラスミドからの複製起源を含有した。
60mDaのプラスミドからのBt複製起源は2.3キロ塩基(kb)DNA断片上に含有された。44および43mDaからのBt複製起源は、実施例に記載するように、それぞれ、2.2および2.8kbの小さいDNA断片に局存化された。これらの3つのBt複製起源は形質転換されたアクリスタリフェラスBt菌株HD73-26の中の選抜の不存在下にすぐれた分離安定性を示し、こうして引き続くクローニングベクターの発生における使用に適すると選抜された。
3つのBt複製起源はさらにDNA配列分析により特徴づけた。簡単に述べると、クローニングした複製起源はよく知られたM13ファージのベクターmp18および/またはmp19の中に挿入され、そして組み換えファージはE.coli宿主TG1の中で増殖した。一本鎖DNAの鋳型のDNA配列の分析のための標準の技術を使用した。驚くべきことには、配列の分析において、3つのBt複製起源は、同様な大きさ(43、44および60mDa)のプラスミドから誘導され、それらの2つが毒素遺伝子をエンコードする(44および60mDa)が、ヌクレオチドオまたはアミノ酸配列のレベルで、互いに対して有意の相同性を示すことが明らかにされた。これらの結果を、実施例2において論じかつ第4図に示す、サザンブロットのデータと一緒にすると、Btプラスミドの複製起源は、互いに関係するよりむしろ、個々に独特であることを示唆する。さらに、他のグラム陽性バクテリアからの分離された複製起源についての発表された配列と比較すると、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列のレベルにおいて、ここに開示する3つのBt複製起源の配列との有意の相同性は示されない。
本発明のシャトルベクターは、また、E.coliの中で機能的である複製起源をもつ除去可能なDNA断片を含有する。シャトルベクターの設計のこの面において、実施例はE.coliの中で機能的である複製起源を含有するベクターからのDNAセグメントの各末端における希な制限部位(NotI)の配置を記載する。この構成はE.coli誘導DNA断片を必要に応じてシャトルベクターから欠失できるようにする。
シャトルベクターは、必要に応じて、抗生物質耐性遺伝子を含有し、そしてこれらは容易に除去可能であることを意図する。このような場合においてそして実施例に記載するように、SfiIおよび/またはSalI部位はBt複製起源および隣接する多重クローニング部位を含有するDNAセグメントの各末端に位置することができる。これにより、Bt複製起源および多重クローニング部位から成り、必要に応じて挿入され、クローニングされた毒素遺伝子をもつ、自己結合性DNA断片をシャトルベクターから回収することができる。この方法において、シャトルベクターの中に本来存在するBt以外のDNA配列、例えば、E.coli機能的複製起源およびその隣接する、任意の抗生物質耐性マーカー遺伝子を切除するとができる。
本発明のシャトルベクターの他の特徴は、Bt複製起源が他の適当なBt複製起源と置換することができることである。本発明の例示するシャトルベクターの2つ(pEG853およびpEG854)は、Bt複製起源の断片の各末端にXbaI部位を含有して、他の複製起源の置換を可能とする。
多重クローニング部位はシャトルベクターの他の要素である。時にはポリリンカーと呼ぶ多重クローニング部位の構成は当業者によく知られており、こうしてそれ以上の詳細な説明を必要としない。下に記載する実施例において、アプライド・バイオシステムス(Applied Biosystems)380BDNA合成装置を使用して、当業者によく知られている手順に従い、新規な制限エンドヌクレアーゼ部位および多重クローニング部位をベクターの中に導入した。
本発明のプラスミドシャトルベクターにおいて使用するための1つの好ましい多重クローニング部位は、次の順序で制限部位を有し、XbaI部位はBt誘導された複製起源に隣接して位置する:XbaI、PstI、KpnI、SmaI、AvrII、BamHI、XhoI、SstI、ClaI、HpaI、SphI、EagI、SfiI、SalI、NotI.この多重クローニング部位のヌクレオチド配列は次の通りである:

第2の好ましい多重クローニング部位は次の順序で制限部位を有し、BamHI部位はBt誘導された複製起源に隣接して位置する:BamHI、XhoI、PstI、SstI、SphI、SmaI、HindIII、EcoRI、SalI、NotI。この第2多重クローニング部位は次の通りである:

これらの異なるプラスミドシャトルベクターは、またクローニングベクターと呼び、この開示において例示される。44mDaのプラスミドからのBt複製起源を含有するシャトルベクターをpEG597と表示する。60mDaのプラスミドからのBt複製起源を含有するシャトルベクターをpEG553と表示する。43mDaのプラスミドからのBt複製起源を含有するシャトルベクターをpEG554と表示する。
毒素遺伝子cryIA(c)およびcryIIAの両者は、Bt菌株HD-263の在留プラスミドからクローニングされ、実施例6より詳細に記載するように、3つのシャトルベクターの中に挿入された。次いで毒素エンコーディングプラスミドをアクリスタリフェラスBt菌株HD73-26の中にエレクトロポレイションにより導入し、そして生ずる組み換えBt菌株を引き続いて毒素の生産およびプラスミドの安定性について評価した。cryIA(c)遺伝子を収容する組み換えBt菌株は有意のレベルのCryIA(c)毒素タンパク質を生産した;同様に、cryIIA遺伝子を収容する組み換え体は有意のレベルのCryIIA毒素タンパク質を生産した。pEG853およびpEG854に基づくプラスミドは、大きさが比較的小さいにかかわらず、クロランフェニコールを使用する選抜の不存在下にきわめてすぐれた分離の安定性を示した。殺昆虫性毒素遺伝子を収容する小さいプラスミドは顕著に自然Bt菌株の中に存在しないので、組み換え体pEG853およびpEG854に基づくプラスミドについて観察される安定性は期待されなかった。
Bt組み換え菌株の発生のための本発明のシャトルベクターの利用の実証としてCryIA(c)遺伝子を有するプラスミドをBt菌株、Bt var.aizawai菌株EG6346の中に導入し、この菌株はスポドプテラ・エキグア(Spodptera exigua)(シロイチモンジヨトウ)に対して比較的すぐれた殺昆虫活性を示すが、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)(コナガ)およびトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)(イラクサキンウワバ)を包含する、種々の他の鱗翅目の昆虫の病害虫に対して商業的に許容されえない活性を示した。組み換えBt菌株EG6346は、CryIA(c)毒素タンパク質およびその挿入されたcryIA(c)遺伝子を含有し、CryIA(c)毒素タンパク質を生産し、そして、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)およびトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)に対するCryIA(c)毒素タンパク質の効力のある殺昆虫活性のために、すべての3種類の昆虫の病害虫に対してすぐれた殺昆虫活性を示した。これは実施例8により詳細に記載されている。
エレクトロポレイションの研究を実施して、実施例9に記載するように、選択可能なマーカー遺伝子を欠如する自己結合したプラスミドのDNAをBtの中に導入するために、同時形質転換を使用できるかを確証した。この研究のために、cryIIIA-lacz遺伝子融合体を含有するDNA断片(第1部分は鞘翅目活性のBt毒素遺伝子からのプロモーターを含有する)を、シャトルベクターpEG853およびpEG854の多重クローニング部位の中に挿入して、それぞれ、プラスミドpEG871およびpEG872を生成した。cryIIIA-lacz遺伝子はベーターガラクトシダーゼ活性をもつ融合タンパク質をエンコードする。この酵素活性を使用して、発色性色素のインジケーターX-Gal(5−ブロモ−5−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド)をブルーの色素に転化することができる。cryIIIA-lacz遺伝子融合体の産生物を発現するBtのコロニーは、X-Galを含有するプレート上で成長させたとき、青色である。
同時形質転換のための調整において、cryIIIA-laczプラスミドpEG871およびpEG872を制限エンドヌクレアーゼSfiIおよびNotIで消化し、T4DNAリガーゼと結合し、そしてpEG147(テトラサイクリン耐性遺伝子、tet、を含有するプラスミド)と組み合わせて、アクリスタリフェラスBt菌株HD73-26をエレクトロポレイションによりテトラサイクリン耐性に形質転換した。cryIIIA-laczおよびBt複製起源を含有するpEG871およびpEG872のSfiI断片の自己結合はBtの中で複製することができる選択不可能なプラスミドのDNA(すなわち、選択可能なcat遺伝子を含有しないもの)を生じた。エレクトロポレイションしたイラクサキンウワバをテトラサイクリンおよびX-Galを含有する寒天プレート上に広げ、そして30℃において一夜成長させた。テトラサイクリン耐性Btコロニーの約2〜5%は青色であり、そしてクロランフェニコール感受性であり、これらのコロニーはlacz遺伝子を含有するが、クロランフェニコール耐性遺伝子(cat)を欠如しそして多分pEG871およびpEG872からのE.coli機能的複製起源を欠如することが示された。青色のクロランフェニコール感受性コロニーの回収が実証するように、pEG871およびpEG872からの自己結合したSfiI断片は同時形質転換によりBtの中に首尾よく導入され、cryIIIA-lacz遺伝子を含有するが、抗生物質耐性遺伝子およびE.coli機能的複製起源を欠如する組み換えプラスミドが生じた。テトラサイクリン耐性遺伝子を含有するpEG147の除去は、引き続いてテトラサイクリン感受性のBtコロニーについて選抜することによって達成することができる。生ずるテトラサイクリン感受性Bt菌株はBt複製起源を有する組み換えプラスミドのみを含有し、そしてcryIIIA-lacz遺伝子は多重クローニング部位の中に挿入された。
実施例9に記載するpEG871およびpEG872を使用する同時形質転換の研究の結果は、Btの中の小さい毒素エンコーディングプラスミドの分離安定性を実証するデータと一緒に、本発明が生物学的源から誘導された外来DNAを含有しない組み換えBt菌株の発生において有用であることを示す。
この同一の同時形質転換手順を採用して、普通のコロニーブロットハイブリダイゼーション手順および、laczマーカー遺伝子の代わりに、放射線標識した毒素遺伝子特異的ハイブリダイゼーションプロープを使用して、本発明のシャトルベクターにより毒素遺伝子をBtの中に導入して、テトラサイクリン耐性コロニーの中から、シャトルベクターから誘導された選択不可能な毒素エンコーディングプラスミドを含有するコロニーを同定するとができる。コロニーブロットハイブリダイゼーション手順において、テトラサイクリン耐性Btコロニーを部分的にニトロセルロースのフィルターに移し、ここでそれらを溶解し、そして解放されたプラスミドDNAをフィルター上に固定化する。放射線標識した毒素遺伝子断片への固定化したプラスミドDNAのハイブリダイゼーションはオートラジオグラフィーにより検出することができ、これにより毒素エンコーディングプラスミドを含有するコロニーを同定することができる。組み換え毒素エンコーディングプラスミドを含有するテトラサイクリン感受性Btクローンは引き続いてクロランフェニコール上の成長について試験して、クロランフェニコール耐性遺伝子、cat、不存在を実証することができる。前のように、テトラサイクリン耐性遺伝子を含有する、選択可能なプラスミドpEG147の除去は、引き続いてテトラサイクリン感受性コロニーについて選択することができる達成することができる。生ずるテトラサイクリン感受性Bt菌株は、Bt複製起源および多重クローニング部位の中に挿入された毒素遺伝子を有する組み換えプラスミドのみを含有するであろう。
次の実施例は本発明および本発明のシャトルベクターの構成に使用した手順を説明する。この技術水準を知る者は認識するように、多数の場合において、1より多い実験のプロトコルを使用して所望の目的を達成することがきる。特定の手順を適当と思われるとき引用または記載するが、これらは実施例を実施することができる独占的な手段として解釈すべきではない。
実施例1Btから複製起源を分離するために有用である、クローニングベクター、pEG588、の構成 Bt菌株のH.ズルメイジ(Dulmage)保存機関から入手した、Bt菌株HD-263 var.kurstakiの中に見いだされるプラスミドを、引き続く実施例に記載する複製起源のクローニング手順のための源材料として選択した。しかしながら、プラスミドを収容する任意のBt菌株を使用して、プラスミド複製起源をクローニングすることができる。普通の組み換えDNA技術を、複製起源のクローニング実験およびベクターの構成において使用した。マニアチス(Maniatis)ら、実験室のマニュアル、分子クローニング:実験室のマニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、1982、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Springu Harbor Laboratory)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州、は、これらの技術の有用な参照源を提供する。
この実施例において、プラスミドpEG588はBtから複製起源を回収するために有用であるクローニングベクターとして働くように構成した。この目的で、E.coliプラスミドpTZ18uを制限エンドヌクレアーゼEcoRIで消化し、そしてpC194のクロランフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)遺伝子を含有するpMI1101からの1.5キロ塩基(kb)のEcoRI断片に結合して、Btの中で機能である選択可能な(クロランフェニコール耐性)マーカー遺伝子をもつクローニングベクターを得た。所望の向きにcat遺伝子を含有する生ずるプラスミド構成体、pEG588と表示する、を第2図の構成地図に示す。pEG588クローニングベクターは、ニュー・イングランド・バイオラブス・インコーポレーテッド(New England Biolabs,Inc.)から入手した、E.coli宿主菌株GM2163の中で調整した。
pEG588プラスミドは、Btの中で機能である複製起源を欠如するために、Btの中で複製することができない。引き続く実施例は、2つのBt菌株からのDNA断片を使用して、このベクター上の自律的複製を与えた方法を記載する。
実施例2Btからの複製起源のクローニング Bt誘導された複製起源は、主として、2つのBt菌株、Bt var.kurstaki菌株HD-73および菌株HD-263の中のプラスミドから得た。源のプラスミドは未解明のプラスミドおよび毒素エンコーディング遺伝子を有するプラスミドの両者を含んでいた。後者のプラスミドは、殺昆虫性CryIA(c)結晶タンパク質をエンコードする遺伝子を含有するHD-263からの44mDaおよび60mDaのプラスミドを含んでいた。
Bt菌株HD-263の44mDaのプラスミドから複製起源をクローニングするために、Bt菌株HD73-26-10、HD-263からの44mDaのプラスミドおよびHD-73からの4.9mDaのプラスミドを収容するトランス接合体菌株、からのプラスミドDNAを、クロンスタッド(Kronstad)ら、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J.Bacteriology)(1983):419-428に記載されているよく知られている手順により分離した。Bt菌株HD73-26-10からのプラスミドDNAを制限エンドヌクレアーゼMboIで部分的に消化して、2〜15キロ塩基(kb)の領域の中にDNA断片を生成した。このDNAのほぼ等モルの濃度を、制限エンドヌクレアーゼBamHIで既に消化した、実施例1に記載する、クローニングベクターpEG588に結合した。結合反応の産生物を使用して、Bt菌株HD73-26、HD-73のキュアードアクリスタリフェラス誘導体をクロランフェニコール耐性に形質転換した。
Bt菌株HD73-26の合計21のクロランフェニコール耐性クローンを回収し、そして水平のアガロースゲル上で変更したエックハルト(Eckhardt)溶菌手順により新規なプラスミドについて分析した。pEG588から誘導された、これらの21のクローンの各々からの新規なプラスミドをpEG588-1〜pEG588-21と表示した。
これらの21のプラスミドの間で、pEG588-8はアガロースゲルの電気泳動により決定して最小の複製起源のインサート(約3.2kb)を含有した。pEG58-8の構造地図を第3A図に示す。pEG588-8からの複製起源のインサートをサザンブロット分析のためのハイブリダイゼーションプローブとして使用した。18のクロランフェニコール耐性クローン、すなわち、形質転換体からの新規なプラスミドはpEG588-8プローブに強くハイブリダイゼーションした。pEG588-8からのBt複製起源を第3A図に示すようにpEG851の中にサブクローニングし、そしてpEG851はBt菌株HD733-26-10の中の44mDaのプラスミドにハイブリダイゼーションすることが示された。このサザンブロットハイブリダイゼーションの結果を第4図にプローブ1について示す。この結果が実証するように、pEG851はBt菌株HD-263の44mDaのプラスミドから誘導された複製起源を含有する。
3つの残りの形質転換体は、菌株Bt HD73-26の耐性4.9mDaのプラスミドから成るハイブリダイゼーションプローブにサザンブロット上で強くハイブリダイゼーションする新規なプラスミドを含有した。こらのプラスミドの1つのpEG588-2は4.9mDaのBt菌株HD73-26-10およびHD263-6にハイブリダイゼーションであることが示された。このサザンブロットハイブリダイゼーションの結果は、また、第4図に示されている。この結果が実証するように、pEG588-2はBt菌株HD73-26-10の4.9mDaのプラスミドから誘導された複製起源を含有する。
Bt菌株HD-263からの他のプラスミドの複製起源は、44mDaのプラスミドを欠如するHD-263のキュアード誘導体である、Bt菌株HD-263-6から分離したプラスミドDNAを使用して、同様な方法において得られた。新規なプラスミドを含有する合計24のクロランフェニコール耐性クローンがこのコロニー手順において得られた。これらのプラスミドの中に存在する複製起源のインサートは、ハイブリダイゼーションプローブとしてこれらのプラスミドのいくつかからのインサートを使用してサザンブロット分析に基づいて、6つの明確な相同性のグループに入ることが発見された。引き続いて、各相同性のグループは、表1に示すように、Btの中で複製することが示された各相同性のグループの最小のクローニングした複製起源のインサートを使用して、在留Btプラスミドのサザンブロット分析により、その在留Btプラスミドと合致した。
これらの研究からのBtプラスミドの複製起源のクローンの代表的なリストを表1に下に示す;この表はまたpEG851を包含する。この表はに対しての在留プラスミド源、ならびにプラスミドの複製起源のクローンの中のDNA制限断片のインサートの大きさを示す。第4図は、表1に列挙するクローンを使用するサザンブロットハイブリダイゼーションの結果を示す。


表1に列挙する、4.9、7.5、43、44および60mDaのプラスミドから誘導された複製起源を含有する個々のプラスミドの各々は、それを誘導した残留Btプラスミドのみに対する相同性を示した。5.4mDaのプラスミド、pEG588-4a、からの複製起源を含有する組み換えプラスミドは、在留4.9mDaのプラスミドに対する部分的相同性を示すが、その逆は当てはまらない。5.2mDaのプラスミド、pEG588-20a、からの複製起源を含有する組み換えプラスミドは、在留43mDaのプラスミドに対する強い相同性を示すが、その逆は当てはまらない。これらのデータが実証するように、これらの在留プラスミドから誘導された複製起源は互いに非相同性である。この明細書に開示しかつ、それぞれ、第5図、第6図および第7図に示す、44、60および43mDaのプラスミドからのBt複製起源のそれぞれのDNA配列は、これらの3つのBt複製起源の間でヌクレオチド配列の相同性を示さない。
実施例3Bt複製起源のDNA配列の分析 Bt var.kurstaki菌株HD-263から得られた44、60および43mDaのプラスミドから分離されたBt複製起源は、それぞれ、ori44、ori60およびori43と表示した。この3つのBt複製起源の各々は分離され、そして完全に配列決定された。ori44、ori60およびori43についてのDNA配列は、それぞれ、第5図、第6図および第7図に示されている。
ori44、ori60およびori43についてのクローニングおよび配列決定の手順は次の通りである。ori44を、実施例2に前に記載しかつ第3A図に示す、pEG851から分離さた2.2kbのHindIII/SalIのDNA断片としてM13ファージのベクターmp18の中にサブクローニングした。第8図は、ori44を含有する2.2kbのHindIII/SalI断片の構造地図を示す。
ori60を、第3B図に示しかつ表1に記載する、pEG588-14aから分離された2.3kbのSalI断片として、両者の向きでmp18の中にサブクローニングした。第9図は、ori60を含有する2.3kbのSalI断片の構造地図を示す。
ori43を、第3B図に示しかつ表1に記載する、pEG599から分離された2.8kbのXbaI断片として、両者の向きでmp18の中にサブクローニングした。第10図は、ori43を含有する2.8kbのXbaI断片の構造地図を示す。
一本鎖DNAの鋳型をジデオキシ連鎖停止方法に従い[アルファー35S]dATPおよびシクエナーゼ(SequenaseR)DNA配列決定キット、USバイオケミカル・コーポレーション(Biochemical Corp.)から入手可能である、を使用して配列決定した。合成オリゴヌクレオチドはアプライド・バイオシステムス(Applied Biosystems)380BDNA配列決定装置上で発生させて、DNA配列分析のためのプライマーとして使用した。配列の分析はM13汎用プライマーを使用して開始した。引き続いて、配列決定邸プライマーを誘導されたDNA配列に基づいて必要に応じて合成した。
Bt複製起源ori44、ori60およびori43を収容するBtのsfの完全なヌクレオチド配列を、それぞれ、第5図、第6図および第7図に示す。複製起源の断片からの直線の制限地図の線図をori44、ori60およびori43について、それぞれ、第8図、第9図および第10図に示す。
44mDaのプラスミドからの複製起源、ori44(第5図)は、936bp(312アミノ酸)のオープンリーディングフレーム(ORF)および71.4%の全体のAT含量により特性決定される、2249bpのDNA断片上に含有される。ORFは確からしい開始コドンとしてGUGをもつヌクレオチド位置797において開始する。推定されるタンパク質遺伝子産生物は36,478ダルトン(Da)の分子量を有する。この配列は、また、ORFの外側に存在するATに富んだDNA(>85%のAT)のセグメントを含有する。多数の直接および逆向きの反復はORFの上流の領域に存在する。これらの反復の1つ(第5図において「b」と標識する)は、また、推定上のシャイン−ダルガルノ(Shine-Dalgrno)配列をスパンする。ORFに引き続いて逆向き反復配列、第5図において「e」と標識する、が存在し、これは転写ターミネーターとして働く。
60mDaのプラスミドからの複製起源、ori60(第6図)は、1218bp(406アミノ酸)のORFおよび69.1%の全体のAT含量により特性決定される、2290bpのDNA断片上に含有される。ORFはヌクレオチド位置627において開始し、そして47,780Daの推定されたタンパク質をエンコードする。この配列は2つのATに富んだドメイン、1つはORFの前および1つはORF内、により特性決定される。前者はある数の直接および逆向きの反復の間に横たわるが、後者はORF内の反復した配列の複雑な系列に隣接して横たわる。これらの反復に加えて、ORFに引き続いて他の大きい逆向きの反復、第6図において「e」と表示する、が存在し、これは転写ターミネーターとして機能することができるであろう。
43mDaのプラスミドからの複製起源、ori43(第7図)は、1530bp(510アミノ酸)のORFおよび67.9%の全体のAT含量により特性決定される、2828bpのDNA断片上に含有される。ORFはヌクレオチド位置829において開始し、そして58,320Daの推定されたタンパク質をエンコードする。他の2つの反復と同様に、ori43はORFの上流のATに富んだドメインを含有する。大きい逆向きの反復、第7図において「b」と標識する、は、推定上の開始コドンの51bpの上流において中心をなす。11bpの直接の反復の一方のコピー、「i」と標識する、は、推定上のシャイン−ダルガルノ(Shine-Dalgrno)配列の上に横たわる。他方のコピーは、ヌクレオチド1174において開始し、ORF内の21/26bpの逆向きの反復、第7図において「c」と標識する、からなる。他の2つの複製起源と対照的に、逆向きの反復はORFの下流において検出されなかった。
ori44、ori60およびori43についてのヌクレオチド配列は、他の発表されたDNA配列と、あるいは互いに有意の相同性を示と思われない。これらの3つのBt複製起源についてのヌクレオチド配列を使用して、ゲンバンク(GenBank)データベースを相同性の原核生物の配列についてサーチした。さらに、相同性の比較は発表された配列を使用して連鎖球菌属およびバチルス属のクラスIのプラスミド、pC194、pUB110、pRBH1、pC221、pT181、pUB112、pS194、pC223およびpSN2のプラスミドの複製起源について実施した。バチルス・アミロリクイファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)からのpFTB14およびBt ss.スリンギエンシス(thuringiensis)の小さい未解明のプラスミドpG12についての発表された配列を、また、分析した。すべての場合において、有意の相同性は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列のレベルにおいて、検出されなかった。最後に、有意の相同性はori44、ori60およびori43について誘導されたヌクレオチドおよびアミノ酸配列の間で観察されず、これらの3つのBt複製起源は構造的に互いに無関係であることが示される。
クラスI(一本鎖)のDNAプラスミドの特徴を示す保存されたプラスおよびマイナスの起源の配列は、また、存在しない。これが示唆するように、黄色ブドウ球菌(S.aureus)および枯草菌(B.subtilis)の小さいプラスミドと対照的に、ori44、ori60またはori43により支配されるBtの自然のプラスミドは、一本鎖DNAの中間体を経て複製しない。
Bt菌株の間のBt複製起源ori44、ori60およびori43の存在率を、また、評価した。研究したBt var.kurstaki菌株の14の異なる菌株の間で、ori44およびori43は菌株の70%の中に存在した;ori60は菌株の55%の中に存在した。これらのBt複製起源の存在率はkurstaki以外の変種であるBt菌株においてより低かった;ori44は研究した47のkurstaki以外のBt菌株の38%の中に存在した。ori60およびori43についての対応する百分率は、それぞれ、23%および26%であった。
実施例4ori44を含有するシャトルベクターpEG597の構成 ori44をもつBt複製起源のクローンは、実施例2に記載しかつ第3A図に示すpEG588-8上に含有され、本発明を例示するシャトルベクターの発生における使用のために選択した。プラスミドpEG851はpEG588-8、第3A図における構造地図により示される、から、pEG588-8の3.75kbのEcoRI-HindIII断片をE.coliベクターpTZ19u(EcoRIおよびHindIII部位において切断した)の中に挿入し、これによりpTZ19uの多重クローニング部位をcat遺伝子およびBt複製起源、ori44、と置換することによって誘導した。
第11図に示す構造/制限地図は、開始点としてpEGA851を使用して、実施例3に記載する44mDaのプラスミドのBt複製起源、ori44、に基づくシャトルベクターを構成するために使用した多工程の方法を例示する。cat遺伝子の下流に位置するSphI部位は、T4DNAポリメラーゼおよびdNTPを使用して、pEG851をSphIで消化して3'オーバーハングを除去し、そして平滑末端をT4DNAリガーゼと一緒に結合することによって除去した。引き続いて、EcoRI部位は、このプラスミドをEcoRIで切断し、そしてEcoRI適合性末端をもつNotIリンカーを挿入することによって、NotI部位と置換した。最後に、制限エンドヌクレアーゼの切断部位の配列BamHI、XbaI、PstI、SstI、SphI、SmaI、HindIII、EcoRI、SalI、NotIをもつ多重クローニング部位を独特HindIII部位に挿入して、新規なシャトルベクター、pEG597と表示する、を生成した。多重クローニング部位の構成の詳細な説明は不必要である。なぜなら、分子クローニングおよびベクターの構成における合成オリゴヌクレオチドの使用は当業者に知られているからである。pEG597における多重クローニング部位の配列および向きはDNA配列の分析により確証された。この目的で、鋳型DNAを二本鎖DNAからセクエナーゼ(SeqenaseR)配列決定キットのマニュアルにおいて推奨されている手順により調整した。
実施例5ori60を含有するシャトルベクターpEG853およびori43を含有するシャトルベクターpEG854の構成 この開示において例示する第2および第3のシャトルベクターの発生において、プラスミドpEG588-14a(表1、第3B図)をBt複製起源、ori60、のための源として使用した。Bt複製起源ori60は第3図に示すpEG588-14aの中の2.3kbのクローニングされたインサート上に含有され、そしてこのクローンをここでpEG853と表示するシャトルベクターを構成する基礎として使用した。
第12図に示す構造/制限地図は、pEG853およびその後pEG854を構成するために使用した多工程の手順および方法を例示する。実施例4に記載する第1シャトルベクターpEG597を、発生法における出発点として使用した。60mDaのプラスミドからのBt複製起源、ori60は、第3B図に示すプラスミドpEG588-14aの中のSalI部位によりフランキングされた2.3kbの断片上に含有される。pEG588の中に存在するBamHI部位は、pEG588-14aの中のクローニングされたインサートの1端において修復された。このインサートは、SalI断片として、第12図に示すように、catおよびpTZ19uを含有するpEG597の4.36kbのSalI断片に結合してp52を生成した。SfiI部位をpEG852のXbaI部位にSfiI:XbaIリンカーを使用して挿入して、また、第12図に示すように、挿入されたリンカーの1つの側でXbaI部位を修復した。第12図に示すリンカーの所望の向きはDNA配列の分析により選択した。引き続いて、多重クローニング部位(MCS)を第12図における非標識プラスミドの独特BamHI部位に挿入して、第12図に示すように、シャトルベクターpEG853を生成した。多重クローニング部位は次の制限エンドヌクレアーゼ切断部位の配列を有した:XbaI、PstI、KpnI、SmaI、AvrII、BamHI、XhoI、SstI、ClaI、HpaI、SphI、EagI、SfiI、SalI、NotI。多重クローニング部位の向きは、制限酵素の分析により選択し、そしてDNA配列分析により確証した。
第2シャトルベクター、pEG854、は、出発点としてpEG853を使用して発生させた。pEG853の中のBt複製起源、ori60、を、他のBt複製起源、ori43、で置換してシャトルベクターpEG854を生成した。43mDaのプラスミドからの複製起源、ori43、はpEG588-13a(表1、第3C図)上に含有され、第3C図に示すように、2.8kbのXbaI断片をpEG588の中にサブクローニングしてプラスミドpEG599を生成することによって、pEG588-13a内の2.8kbのXbaIに局在化された。次いで、サブクローンpEG599は、Bt菌株HD73-26をクロランフェニコール耐性に形質転換するその能力により、Btの中で複製することが示された。シャトルベクターpEG854を構成するために、pEG853をXbaIで切断し、そしてpEG599からの2.8kbのXbaI断片を挿入することによって、すべて第12図に示すように、pEG853の中にori60を含有するBt複製起源断片をpEG599の中のori43を含有するBt複製起源断片で置換した。生ずるシャトルベクターの構成体、pEG854、は、シャトルベクターpEG853の中に存在する制限部位のDNA断片のすべてを含有する。
両者のシャトルベクター、pEG853およびo54、は、pTZ19uの各末端に位置する希な制限エンドヌクレアーゼ部位、NotI、を有して、このDNA構造遺伝子の除去を促進することによって特徴づけられる。さらに、SfiIおよびSalI部位は、Bt複製起源および多重クローニング部位を含有するDNAセグメントの各末端に位置して、Bt以外のDNA配列、すなわち、pTZ19u-cat DNA断片の切除を可能とする。さらに、独特XbaI部位はシャトルベクターpEG853およびpEG854の中のBt複製起源のDNA断片の各末端に位置して、他の複製起源、例えば、ori44またはBt複製起源を含有する他のDNA断片の置換を可能とする。
実施例6Bt毒素遺伝子のBtシャトルベクターの中への挿入 この実施例は、特異的毒素遺伝子をもつ組み換えBt菌株を構成するためのシャトルベクターのプラスミドの発現ベクターとしての利用を実証する。この目的で、2つの明確なBt内毒素遺伝子を3つのシャトルベクター、pEG597、pEG853およびpEG854の各の中に別々に挿入した(参照、第1図)。Btの中の過度の産生のこの実証のために選択した第1遺伝子は、cryB1従来として知られている、cryIIA遺伝子であった(参照、H■fteおよびWhiteley、1989)。cryIIA遺伝子は、CryIIAタンパク質(前にP2内毒素と呼ばれた)、これは鱗翅目および双翅目の両者の昆虫の幼虫に対して殺昆虫活性を示す、をエンコードする。CryIIAタンパク質はBt var.kurstaki菌株菌株の中に小さい立方形の結晶として蓄積するが、典型的には多数の他のBt変種の中に存在しない。第2の選択した遺伝子、cryIA(c)は、種々の鱗翅目の昆虫の病害虫に対して比較的効力のある殺昆虫活性を示す。この遺伝子は、Bt菌株HD-263から由来する44mDaのプラスミド上に単一のcryIA(c)遺伝子を有する、トランス接合体Bt菌株HD73-26-10からクローニングした。
cryIIA遺伝子は、ドノバン(Donovan)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)(1988)263:561-567に記載されている、pEG201の中の4.0kbのBamHI-HindIII断片上に位置し、シャトルベクターpEG597の中にBamHIおよびHindIII部位に挿入してpEG864を発生した。pEG201からの同一cryIIA遺伝子を、シャトルベクターpEG853およびpEG854のBamHIおよびHpaI部位の中に、4.0kbのBaMHI-HpaI断片として挿入し、それぞれ、プラスミドpEG858およびpEG862を生成した。第2遺伝子、cryIA(c)、は、本発明者により構成された、Bt菌株HD73-26-10からの44mDaのプラスミドDNAのバクテリオファージのクローンから分離した、5.0kbのSphI-SalI断片上に含有された。この5.0kbのDNA断片は、すべての3つのシャトルベクター、pEG597、pEG853、pEG854の中に、SphIおよびXhoI部位に挿入して、それぞれ、pEG863、pEG897およびpEG861を生成した。
6つの構成体を表2に記載する。


これらのプラスミドは、下に詳細に記載するように、アクリスタリフェラスBt var.kurstaki菌株HD73-26の中にエレクトロポレイションにより導入し、そして形質転換体を毒素の産生について検査した。
エレクトロポレイションは下に記載する手順に従い実施した。Bt菌株HD73-26は30℃において激しく震盪しながら0.5×脳心臓浸出液および0.5%のグリセロール(BHI培地)の中の一夜成長させた。500μlの一夜の培養物を10mlのBHI培地の中に懸濁させ、そして30℃において震盪しながら1時間成長させた。細胞を調整用遠心機内で4000rpmでJA20ローターを使用して4℃において10分間沈澱させた。細胞の沈澱物を0.625モルのショ糖および1ミリモルのMgCl2を含有する10mlのエレクトロポレイション緩衝液(EB)の中に氷上で再懸濁させ、そして再び沈澱させた。生ずる細胞の沈澱物を3.2mlのEBの中に再懸濁させ、そして必要となるまで氷上に貯蔵した。エレクトロポレイションはバイロラド・ジーン・パルサー(BioRad Gene PulserR)装置を使用して実施した。エレクトロポレイションのクベットは、両者共無菌の水の中に表面させた、800μlのBt菌株HD73-26細胞(EB中)および受容体の細胞の中に導入すべき10〜20μlのプラスミドDNA(参照、表2に記載するプラスミド)を含有した。ジーン・パルサー(Gene Pulser)を6250V/cmおよび25μFにセットした。クベットの内容物を電気的にパルシングした後、細胞を0.2μg/mlのクロランフェニコールを含有する1.6mlのルリア(Luria)ブロス(LB)に移し、そして30℃において震盪しながら2時間インキュベーションした。この発芽後成育後、細胞を5μg/mlのクロランフェニコールを含有するNSMプレート(23g/lの栄養ブロス寒天、1ミリモルのMgCl2、0.7ミリモルのCaCl2、0.05ミリモルのMnCl2を含有する)上でプレイティングした。NSMプレートを30℃において一夜インキュベーションした。
エレクトロポレイションの手順の完結後、表2に列挙する毒素エンコーディングプラスミドを含有する、Bt菌株HD73-26クロランフェニコール耐性形質転換体を制限酵素により特性決定し、そして5μg/mlのクロランフェニコールの存在および不存在の両者において、液体成長培地の中で30℃において3日間成長させた。Bt培養物を完全に胞子形成するまで成長させ、そして溶菌させた、すなわち、形成したBtの胞子およびタンパク質の結晶を細胞の溶解により解放した。
Bt菌株HD73-26の溶菌した培養物から収穫したタンパク質の結晶を相コントラスト顕微鏡検査により検査し、そしてSDS−ポリアクリルアミドゲルの電気泳動(SDS-PAGE)により分析した。SDS-PAGEのために毒素タンパク質を調整するために、胞子形成したBt培養物のアリコート(100μl)をマイクロフーグの中で室温において5分間遠心した。胞子の結晶の沈澱物を1mlの10ミリモルのトリス−HCl(pH7.5)、1mlのEDTA、1mlのEGTAで1回洗浄し、そしてサバント・スピード−バク・コンセントレイター(Savant Speed Vac Concentrator)の中で5〜10分間乾燥した。乾燥した沈澱物をSDS試料緩衝液の中で95〜100℃において5〜10分間懸濁させた。不溶性物質をマイクロフーグ中で2分間遠心することによって除去した。上澄み液のアリコート(10〜20μl)を10%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上にの電気泳動のために負荷した。SDS-PAGE分析の結果を第13図に示す。
cryIIA遺伝子を収容する(プラスミドpEG864、pEG858、pEG862上に)Bt菌株HD73-26形質転換体は、第13図に示すように、ほぼ70kDaのタンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲルを生ずる、しばしば胞子より大きい、大きい丸いまたは立方形の結晶を生成した。このタンパク質は精製したCryIIA(P2)結晶タンパク質(標準として使用した)と同時移動した。同様に、cryIA(c)遺伝子を収容する(プラスミドpEG863、pEG857、pEG861上に)Bt形質転換体はCryIA型タンパク質に典型的な2ピラミッド状の結晶を生成した。このCryIA(c)タンパク質は、SDS−ポリアクリルアミドゲル上で約134kDaの見掛けの分子量で精製したCryIA(c)結晶タンパク質(標準として使用した)と同時移動した。成長培地の中のクロランフェニコールの存在または不存在は、毒素タンパク質の生産に観察可能な作用をもたなかった。これらの結果が実証するように、シャトルベクターはBt宿主菌株の中でBt毒素遺伝子を発現するすることができ、かつ、その発現に有用である。クローニングしたBt毒素遺伝子は本発明のシャトルベクターの中に挿入し、容易にBtの中にエレクトロポレイションにより導入し、そして組み換えBt菌株の中でBt毒素タンパク質を生産するために使用することができる。
実施例7毒素エンコーディングプラスミドの安定性 各々が表2に記載するBt毒素遺伝子を含有する、実施例6からの6つのシャトルベクターをBt菌株HD73-26の中の安定性について試験して、それらが親のベクター、すなわち、挿入された毒素遺伝子をもたないシャトルベクターを保持するかどうかを決定した。毒素エンコーディングプラスミドを含有するBt菌株HD73-26の形質転換体を、選抜の不存在下に(すなわち、クロランフェニコールを使用しないで)ほぼ18世代の間成長させ、LBプレート上にプレイティングし、そして単一のコロニーを5μg/mlのクロランフェニコールを含有するNSMプレートに移した。クロランフェニコール耐性コロニーは問題のプラスミドを収容すると仮定した。
これらの研究の結果を表3に示す。表3のデータは、18世代後に試験した合計の数のコロニーから回収されたクロランフェニコール耐性コロニーの数、例えば、288/300を示す。分画の回収割合を表にしたデータの下に記載する。プラスミドの表示を、また、適当な場合、括弧内に示して表2に対する参照を促進する。


pEG853およびpEG854から誘導された毒素エンコーディングプラスミド(すなわち、pEG857、pEG858、pEG861、pEG862)は選抜の不存在下にきわめてすぐれた安定性を示したが、pEG597から誘導された毒素エンコーディングプラスミド(すなわち、pEG863、pEG864)は多少の不安定性(18世代後20〜32%)を示した。
シャトルベクターpEG897およびpEG853に基づく毒素エンコーディングプラスミドを、また、E.coliから誘導されたDNA(pTZ19u)の欠失後、NotI消化およびT4DNAリガーゼとのベクター断片の自己結合により、安定性について試験し、そしてこれらのデータをt3の最後の2欄に示す。これらの小さい毒素エンコーデイングプラスミドは、なお、クロランフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)マーカー遺伝子を含有した。前述のように、これらのプラスミドを次いでエレクトロポレイションによりBt菌株HD73-26の中に導入後安定性について評価した。pTZ19u配列の除去は、表3の中のデータにより証明されるように、形質転換されたBt菌株HD73-26の中のプラスミドの安定性に対する作用を殆どあるいは全くもたなかった。
この実施例の結果が示すように、Bt誘導されたDNAから主として構成された小さい毒素エンコーディングプラスミドは選抜なしで組み換えBt宿主の中で維持することができる。
本発明のシャトルベクターの使用により得られたBt菌株構成体が収容する組み換えプラスミドは、また、低い水平の遺伝子の転移、すなわち、接合プラスミドの転移を経るを示し、これはプラスミドの接合転移を仲介する特異的遺伝子を含有すると推定される、自然の接合Bt毒素エンコーディングプラスミドと異なる。ori43およびori44を誘導した、43mDaの未解明のプラスミドおよび44mDaの毒素遺伝子プラスミドは接合により転移可能であるが、ori60源の60mDaの毒素タンパク質は転移不可能であることに注意することは興味あることである。
実施例8毒素遺伝子を含有するBt菌株の中へのシャトルベクターを経るクローニングした毒素遺伝子の導入および組み換えBt菌株のバイオアッセイ 多数の毒素遺伝子を収容するBt菌株の殺昆虫活性への導入した毒素遺伝子の作用を検査するために、表2に記載する、cryIA(c)を含有するシャトルベクターpEG863を、cryIA型遺伝子を欠如するが、スポドプテラ・エキグア(Spoptera exigua)(シロイチモンジヨトウ)に対してすぐれた殺昆虫活性を有する菌株である、Bt var.aizawaiの中に導入した。Bt菌株EG6346形質転換体は、EG6346/pEG863と表示する、を、液体成長培地の中で、Bt培養物が完全に胞子形成しかつ溶菌されるまで、30℃において3日間成長させた。胞子形成/溶菌したBt培養物は主としてBtの胞子および結晶タンパク質および多少の細胞の破片を含有した;この混合物を以後胞子/結晶の調整物と呼ぶ。Bt菌株EG6346/pEG863の胞子/結晶の調整物をSDS-PAGEにより分析し、引き続いてウェスタンブロット分析により分析した。比較のため、Bt菌株EG6346および関係するEG6345の胞子/結晶の調整物をまた検査した。Bt菌株EG6345は、EG6346の毒素遺伝子に加えて、cryIA(b)遺伝子を含有する。第1A図におけるクーマッシイ(Coomassie)染色したゲルの写真は、Bt菌株EG6345から分離した3つのタンパク質のバンドおよび各々Bt菌株EG6346およびEG6346/pEG863から分離した2つのタンパク質のバンドを示す。CryIA(c)毒素特異的抗体を使用する第1B図に示すウェスタンブロット分析は、CryIA(c)毒素が組み換えBt菌株EG6346/pEG863の中で産生されるが、Bt菌株EG6345およびEG6346の中で産生されないことを確証する。
Bt菌株EG6345、EG6346、およびEG6346/pEG863の胞子/結晶の調整物を、種々の鱗翅目の昆虫種に対する定量的バイオアッセイにおいて直接使用した。昆虫種はヘリオチス・ゼア(Heliothis zea)(トウモロコシのオオタバコガ)、スポドプテラ・エキグア(Spodptera exigua)(シロイチモンジヨトウ)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(アワノメイガの幼虫)、ヘリオチス・ビレスセンス(Heliothsi virescens)(タバコガ)、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)(イラクサキンウワバ)、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)(コナゴ)を包含した。これらの鱗翅目の昆虫に対する活性は、プラスチック供給カップ(600mm2)の中の3mlの寒天ベースの人工規定食に100μlの系統的に希釈した胞子/結晶の調整物を局所的に適用することによって決定した。1つの新生児の幼虫を各カップの中に入れ、そして7日後に致死率についてスコアを付けた。LD50値を30匹の幼虫/投与量を使用する8投与量の試験手順を使用してプロビット分析により決定した。アッセイは二重反復実験において実施し、そして累積データを分析した。
バイオアッセイの結果を、試験した6つの昆虫種に対するEG6345(自然Bt菌株)、Bt菌株EG6346(EG6345のキュアード誘導体)およびBt菌株EG6346/pEG863(シャトルベクターpEG597から誘導された毒素エンコーディングプラスミドを含有する組み換えBt菌株)の各々について、表4に示す。試験した昆虫の幼虫の50%の致死率を達成するために要求されるナノリットル/カップ(nl/カップ)の胞子/結晶の調整物のLD50を表4に示す。
95%の信頼区間を表におけるLD50値の下に示す。


表4のデータを使用して第15図を作成し、これはこれらのBt菌株の相対的殺昆虫活性を比較するとき有用である。
表4および第15図におけるバイオアッセイの結果が実証するように、組み換えBt菌株EG6346/pEG863は、2つの対照菌株、Bt菌株EG6345およびEG6346のいずれと比較しても、よりすぐれた殺昆虫活性を示す。
これらのバイオアッセイの結果が実証するように、Bt菌株EG6346のバックグラウンドの中にcryIA(c)を含有するpEG863を導入すると、試験した鱗翅目の昆虫のすべてに対する菌株の殺昆虫活性が増強される:スポドプテラ・エキグア(Spodptera exigua)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)、ヘリオチス・ビレスセンス(Heliothsi virescens)、ヘリオチス・ゼア(Heliothis zea)、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)およびプルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)。Bt菌株EG6345と比較して、組み換えBt菌株EG6346/pEG863は、また、試験した昆虫種の大部分に対して改良された殺昆虫活性を示す。
実施例9BtのDNAから誘導されかつ選択可能なマーカー遺伝子を欠如する組み換えプラスミドを導入するための組み換えBt菌株の同時形質転換の使用 本発明のプラスミドシャトルベクター、例えば、pEG597、pEG853およびpEG854を、組み換えBt菌株の発生において使用できるur制限部位の対を使用して設計して、Bt誘導DNAおよび合成多重クローニング部位のみを含有する毒素タンパク質を構成する。このような組み換えプラスミド構成体は、必要に応じてBt毒素遺伝子を含有し、他の生物学的源から誘導されたDNAを含まず、そして抗生物質耐性遺伝子を欠如する。
これらのプラスミド構成体は選択可能なマーカー遺伝子を欠如し、これらのプラスミドを含有するBt形質転換体についての直接の選択は不可能である。しかしながら、これらの選抜不可能なプラスミドは、選択可能なマーカー遺伝子、例えば、抗生物質耐性遺伝子を含有する他のプラスミドとの同時形質転換により、Btの中に導入することができる。BtプラスミドDNAから誘導されかつ抗生物質耐性遺伝子を欠如するプラスミドを使用して、同時形質転換体用いて組み換えプラスミドをBtの中に導入することができることを実証するエレクトロポレイションの研究を下に記載する。
この目的に同時形質転換体を使用できることを実証するために、本発明者により構成された、cryIIIA-lacz遺伝子融合体を含有するBamHI-SphI制限断片をプラスミドシャトルベクターpEG853およびpEG854の多重クローニング部位の中に挿入して、それぞれ、プラスミドpEG871およびpEG872を生成した。プラスミドpEG871およびpEG872の直線の制限地図を第16図に示す。
cryIIIA-lacz遺伝子融合体は同時形質転換の研究のために便利なマーカー遺伝子として働く。cryIIIA-lacz遺伝子は、ベーターガラクトシダーゼ活性をもつ融合タンパク質をエンコードする。この酵素活性を使用して、発色性色素のX-Gal(5−ブロモ−5−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド)を青色の色素に転化することができる。こうして、cryIIIA-lacz遺伝子融合体を含有するが、選択可能な抗生物質耐性遺伝子を欠如する組み換えプラスミドをBt形質転換体においてなお検出することができる。
シャトルベクターpEG147、第17図に示す、を、同時形質転換の実験において選択可能なプラスミドとして働くようにした。このベクターはテトラサイクリン耐性遺伝子(tet)および、ori43、ori44およびori60と適合性の、pBC16の複製起源を含有する。プラスミドpEG147は、tetおよびpBC16複製起源vt、pBC16からのEcoRI断片をE.coliクローニングベクターのSspI部位の中に挿入することによって構成した。
同時形質転換のための調整において、5〜10マイクログラム(μg)のcryIIIA-laczプラスミドpEG871およびpEG872を制限エンドヌクレアーゼSfiIおよびNcoIで切断し、そして生ずるDNA断片をT4DNAリガーゼと結合した。SfiIで消化すると、Bt複製起源およびcryIIIA-lacz遺伝子融合体を含有するプラスミドからDNA断片が解放される。このSfiI断片の自己結合は、第18図に線図的に示すように、Bt複製起源および多重クローニング部位の中に挿入されたcryIIIA-lacz遺伝子融合体を含有する組み換えプラスミドを発生する。pEG871およびpEG872をNcoIで同時に消化すると、catマーカー遺伝子またはE.coli誘導pTZ19uを含有するDNA断片は、Bt複製起源およびcryIIIA-lacz遺伝子を含有するSfiI断片に結合するであろう。
同時形質転換のために、両者の結合反応(すなわち、pEG871およびpEG872の制限消化物の結合)の産生物を0.1μgの各々のpEG147(テトラサイクリン耐性遺伝子を含有する)と別々に組み合わせ、そしてDNA混合物を使用して、エレクトロポレイションによりBt菌株HD73-26をテトラサイクリン耐性に形質転換した。エレクトロポレイションは実施例6に前に記載したように実施したが、ただし発芽後成育機関の前にクロランフェニコールを添加しなかった。発芽後成育期間後、細胞を50μlの2%のX-Galで10μg/mlのテトラサイクリンを含有するNSMプレート上に広げた。プレートを30℃において一夜インキュベーションした。
エレクトロポレイション手順から回収されたテトラサイクリン耐性コロニーの間で、約2〜5%は青色であり、そしてクロランフェニコール感受性であった。これが示すように、これらのテトラサイクリン耐性コロニーは、そのtet遺伝子をもつpEG147に加えて、cryIIIA-lacz遺伝子を含有したが、クロランフェニコール耐性遺伝子(cat)を欠如し、そして多分pEG871およびpEG872からのpTZ19uセグメント(そのE.coli機能的複製起源をもつ)を欠如した。青色のクロランフェニコール感受性コロニーの回収が実証するように、pEG871およびpEG872からの自己結合したSfiI断片は同時形質転換によりBtの中に首尾よく導入され、第18図に線図的に示すように、cryIIIA-lacz遺伝子を含有するが、抗生物質耐性遺伝子およびE.coli機能的複製起源を欠如する組み換えプラスミドを生じた。
テトラサイクリン耐性遺伝子を含有するpEG147の除去は、引き続いてテトラサイクリン感受性コロニーについて選抜することによって達成することができる。生ずるテトラサイクリン感受性Bt菌株は、両者がプラスミドシャトルベクターpEG871またはpEG872から誘導された、Bt複製起源および多重クローニング部位の中に挿入されたcryIIIA-lacz遺伝子を有するプラスミドのみを含有するであろう。
同一手順を採用して、BtのDNAから誘導された組み換えプラスミド上のBtの中にクローニングした毒素遺伝子を導入することができる。シャトルベクターから誘導された毒素エンコーディング組み換えプラスミドを含有するBtコロニーを、laczマーカー遺伝子の代わりに、普通のコロニーブロットハイブリダイゼーション手順および放射線標識した毒素遺伝子特異的ハイブリダイゼーションプローブを使用することによって、テトラサイクリン耐性コロニーの間で同定することができる。
このような手順において、テトラサイクリナ耐性コロニーをニトロセルロースのフィルターに部分的に移し、ここでそれらを溶菌し、そして解放されたプラスミドDNAをフィルター上に固定化する。固定化されたプラスミドDNAを含有するフィルターを、クローニングした毒素遺伝子または適当なBt複製起源の断片から成る放射線標識したハイブリダイゼーションプローブとインキュベーションする。これらのプローブのいずれかに対する固定化されたプラスミドDNAのハイブリダイゼーションはオートラジオグラフィーにより検出することができ、これにより毒素エンコーディングプラスミドを含有するコロニーを同定することができる。引き続いて、組み換え毒素エンコーディングプラストミドを含有するテトラサイクリン耐性コロニーをクロランフェニコール上の成長について試験して、クロランフェニコール耐性遺伝子、cat、の不存在を実証することができる。テトラサイクリン耐性遺伝子を含有する、選択可能なプラスミドpEG147の除去は、引き続いてテトラサイクリン感受性Btコロニーについて選択することによって達成することができる。生ずるテトラサイクリン感受性Bt菌株は、Bt複製起源および多重クローニング部位の中に挿入されたBt毒素遺伝子を有する組み換えプラスミドのみを含有するであろう。
Btの同時形質転換を記載する先行技術における既知の報告は存在しない。E.coliについての高度に効率よいエレクトロポレイション手順の開発(1010の形質転換体/μgのDNA)は、他の研究者を、高いレベルの同時形質転換がE.coliにおいてこの手順を使用して達成できるであろと信じさせた;参照、ドウワー(Dower)ら、「高い電圧のエレクトロポレイションによるE.coliの高い効率の形質転換(High efficiency transformation of E.coli by high voltage electroporation)」、核酸の研究(Nucl.Acids Res.)1989、16:6127-6145。対照的に、既知のプロトコルを使用するBtの形質転換(同時形質転換ではない)の発表された報告は比較的低い形質転換効率、約105〜107の形質転換体/μgのDNAを示し、Bt細胞の小さい百分率のみが実際に形質転換される。Btの形質転換における報告された非効率性のために、本発明者はBtを使用する彼の同時形質転換の研究においてすぐれた同時形質転換の効率を期待しなかった。それにもかかわらず、1μgの各々のpEG871およびpEG872を使用してBt菌株HD73-26をテトラサイクリン耐性に形質転換すると、X-Galを含有するプレート上の青色のコロニーの形成により証明されるように、テトラサイクリン耐性コロニーの12%はpEG871を収容することが発見された。0.1μgのpEG147および1μgのpEG871を使用してBt菌株HD73-26を形質転換したとき、25%の同時形質転換頻度が達成された。換言すると、pEG147を含有するテトラサイクリン耐性コロニーの25%は、また、pEG871を含有した。これらの結果が実証するように、高いレベルの同時形質転換体は事実Btで達成することができ、そして本発明のプラスミドシャトルベクターを利用して、Bt以外の生物学的源からの外来DNAを含まない、新規な組み換えBt菌株を発生させることができる。こうして、組み換えBt菌株の発生における同時形質転換の使用は、Bt誘導DNAのみを含有しかつ抗生物質耐性遺伝子を欠如する、組み換え毒素エンコーディングプラスミドのBtの中への導入を促進する。
この出願への特許が発行されたとき、興味をもつ公衆への材料の入手可能性を保証するために、次の微生物の寄託を、この出願の提出の前に、ARS特許菌株保存機関、農学研究菌株保存機関、ノザン・リージョナル・リサーチ・ラボラトリー(NRRL)、イリノイ州61064、ペオリア、ノースユニバーシティーストリート1815に、下表5に示すように行った。


これらの微生物の寄託は「特許手続きの目的のための微生物の寄託の国際的認識についてのブダベスト条約」の規定に従い行った。これらの受託された微生物の公衆への入手可能性に対するすべての制限は、この出願に基づく米国特許の発行のとき最終的に除去されるであろう。
Bt菌株HD-73およびHD-263(それぞれ、HD73-26およびHD263-6の子孫)は、USDA、ARS、コットン・インセクツ・リサーチ・ユニット(Cotton Insect Reseach Unit)、テキサス州78520ブラウンスビレ、私書箱1033、から入手可能である。
本発明はその本質的特質から逸脱しないで他の特定の形態で具体化であることができ、したがって、本発明の範囲を示すものとして前の明細書よりむしろ、添付の請求の範囲を参照すべきである。
なお、本発明の主たる特徴及び態様を示せば次のとおりである。
1.遺伝子をバチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)宿主の中に導入するために有用なプラスミドシャトルベクターであって、前記ベクターはBtバクテリアを形質転換することができるプラスミドであり、そして(i)E.coliの中で機能的である複製起源を含有する除去可能なDNA制限断片;(ii)挿入されたBt遺伝子のクローニングを促進するための制限エンドヌクレアーゼ切断部位をもつ多重クローニング部位;および(iii)Btプラスミドから誘導されかつori44、ori60およびori43から成る群より選択される除去可能な複製起源を含有し、ここでori44、ori60およびori43は第5図、第6図および第7図に示すそれぞれのヌクレオチド配列を有し、Bt誘導された複製起源および多重クローニング部位に隣接し、そしてBt誘導された複製起源および多重クローニング部位はフランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、前記フランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位はBt誘導された複製起源および多重クローニング部位をプラスミドシャトルベクターから単一の組み合わされたDNA断片として分離しそして、自己結合後、機能的プラスミドとしてBt宿主の中に導入できるようにすることを特徴とするプラスミドシャトルベクター。
2.フランキング制限エンドヌレアーゼ切断部位が同一であり、このような部位はプラスミドシャトルベクターに対して独特であり、そして前記シャベクターを経てBt宿主の中に導入すべき問題の遺伝子の中に存在しないことをさらに特徴とする上記1項記載のプラスミドシャトルベクター。
3.制限エンドヌクレアーゼ切断部位がSalIおよびSfiI部位の群からさらに選択されることをさらに特徴とする上記2項記載のプラスミドシャトルベクター。
4.前記ベクターが2つのフランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含有し、フランキング制限部位の一方の対はSalI部位であり、そしてフランキング制限部位の他方の対はSfiI部位であることをさらに特徴とする上記2項記載のプラスミドシャトルベクター。
5.プラスミドシャトルベクターが、E.coliの中で機能的な複製起源を含有する除去可能なDNA制限断片をフランキングする2つの同一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、このような部位はプラスミドシャトルベクタープに対して独特であり、そして前記シャトルベクターを経てBt宿主の中に導入すべき問題の遺伝子の中に存在しないことをさらに特徴とする上記1項記載のプラスミドシャトルベクター。
6.E.coli機能的複製起源をフランキングする2つの同一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位がNotIであることをさらに特徴とする上記5項記載のプラスミドシャトルベクター。
7.プラスミドシャトルベクターが、除去可能なBt誘導された複製起源をフランキングする2つの同一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、このような部位はプラスミドシャトルベクターに対して独特であることをさらに特徴とする上記1項記載のプラスミドシャトルベクター。
8.除去可能なBt誘導された複製起源をフランキングする2つの同一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位がXbI部位であることをさらに特徴とする上記7項記載のプラスミドシャトルベクター。
9.プラスミドシャトルベクターが抗生物質耐性を与える少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子を有し、マーカー遺伝子は前記プラスミドの中の除去可能なDNA制限断片上に存在することをさらに特徴とする上記1項記載のプラスミドシャトルベクター。
10.抗生物質耐性を与える選択可能なマーカー遺伝子がBtの中で機能的であることをさらに特徴とする上記9項記載のプラスミドシャトルベクター。
11.選択可能なマーカー遺伝子がBtの中で機能的であり、そしてBt誘導された複製起源に隣接することをさらに特徴とする上記10項記載のプラスミドシャトルベクター。
12.選択可能なマーカー遺伝子が、クロランフェニコール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、およびカナマイシン耐性遺伝子から成る群より選択されることをさらに特徴とする上記10項記載のプラスミドシャトルベクター。
13.抗生物質耐性を与える選択可能なマーカー遺伝子がE.coliの中で機能的であることをさらに特徴とする上記9項記載のプラスミドシャトルベクター。
14.選択可能なマーカー遺伝子がE.coliの中で機能的であり、そしてE.coliの中で機能的である複製起源を含有するDAN断片に隣接するか、あるいはその中に存在する上記13項記載のプラスミドシャトルベクター。
15.選択可能なマーカー遺伝子が、アンピシリン耐性遺伝子、クロランフェニコール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、およびカナマイシン耐性遺伝子から成る群より選択されることをさらに特徴とする上記13項記載のプラスミドシャトルベクター。
16.多重クローニング部位が、次の順序、XbaI、PstI、KpnI、SmaI、AvrII、BamHI、XhoI、SstI、ClaI、HpaI、SphI、EagI、SfiI、SalI、NotIで制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、そしてXbaI部位はBt誘導された複製起源に隣接して位置することをさらに特徴とする上記1項記載のプラスミドシャトルベクター。
17.前記ベクターがBt誘導された複製起源としてori60を含有し、そして農学研究菌株保存機関(NRRL)に受託されそしてNRRL受け入れ番号B-18631を割り当てられたE.coli菌株RG7529の中に収容されたプラスミドpEG853であることをさらに特徴とする上記16項記載のプラスミドシャトルベクター。
18.前記ベクターがBt誘導された複製起源としてori43を含有し、そして農学研究菌株保存機関(NRRL)に受託されそしてNRRL受け入れ番号B-18632を割り当てられたE.coli菌株RG7534の中に収容されたプラスミドpEG854である上記16項記載のプラスミドシャトルベクター。
19.多重クローニング部位が次の順序、BamHI、XhoI、PstI、SstI、SphI、SmaI、HindIII、EcoRI、SalI、NotIで制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、そしてBamHI部位はBt誘導された複製起源に隣接して位置することをさらに特徴とする上記1項記載のプラスミドシャトルベクター。
20.前記ベクターがBt誘導された複製起源としてori44を含有し、そして農学研究菌株保存機関(NRRL)に受託されそしてNRRL受け入れ番号B-18630を割り当てられたE.coli菌株RG1597の中に収容されたプラスミドpEG597である上記16項記載のプラスミドシャトルベクター。
21.上記1項記載のプラスミドシャトルベクターから誘導された、毒素エンコーディング機能的組み換えプラスミドを有することを特徴とする組み換えBt菌株。
22.組み換えBt菌株およびその機能的組み換えプラスミドがBt以外の生物学的源からのDNAを本質的に含有しないことをさらに特徴とする上記21項記載の組み換えBt菌株。
23,機能的組み換えプラスミドが、Bt誘導された複製起源および多重クローニング部位の中に挿入された少なくとも1つのBt毒素遺伝子から本質的に成ることをさらに特徴とする上記21または22項記載の組み換えBt菌株。
24.ori44と表示され、Btの中で機能である複製起源として有用であり、第5図に示すアミノ酸配列をコードすることを特徴とする分離、精製されたDNA断片。
25,解読領域が第5図に示すヌクレオチド塩基配列の中のヌクレオチド塩基797〜1732から伸長していることをさらに特徴とする上記24項記載の分離、精製されたNDA断片。
26.ori60と表示され、Btの中で機能である複製起源として有用であり、第6図に示すアミノ酸配列をコードすることを特徴とする分離、精製されたDNA断片。
27.解読領域は第6図に示すヌクレオチド塩基配列の中のヌクレオチド塩基627〜1844から伸長していることをさらに特徴とする上記26項記載の分離、精製されたNDA断片。
28.ori43と表示され、Btの中で機能である複製起源として有用であり、第7図に示すアミノ酸配列をコードすることを特徴とする分離、精製されたDNA断片。
29.解読領域が第7図に示すヌクレオチド塩基配列の中のヌクレオチド塩基829〜2258から伸長していることをさらに特徴とする上記28項記載の分離、精製されたNDA断片。
30.上記24、25、26、27、28または29項記載のいずれかのDNA断片を含有することを特徴とする組み換えプラスミド。
31.上記30項記載の組み換えプラスミドで形質転換されていることを特徴とするバチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)バクテリアの生物学的に純粋な培養物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】遺伝子をバチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)宿主の中に導入するために有用なプラスミドシャトルベクターであって、前記ベクターはBtバクテリアを形質転換することができるプラスミドであり、そして(i)大腸菌(E.coli)の中で機能的である複製起点を含有する除去可能なDNA制限断片;(ii)挿入されたBt遺伝子のクローニングを促進するための制限エンドヌクレアーゼ切断部位をもつ多重クローニング部位;および(iii)Btプラスミドから誘導されかつori44、ori60およびori43から成る群より選択される除去可能な複製起点を含有し、ここでori44、ori60およびori43は第5図、第6図および第7図に示すそれぞれのヌクレオチド配列を有し、Bt誘導された複製起点は多重クローニング部位に隣接し、そしてBt誘導された複製起点および多重クローニング部位はフランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有し、前記フランキング制限エンドヌクレアーゼ切断部位はBt誘導された複製起点および多重クローニング部位をプラスミドシャトルベクターから単一の組み合わされたDNA断片として分離しそして、自己結合後、機能的プラスミドとしてBt宿主の中に導入できるようにすることを特徴とするプラスミドシャトルベクター。
【請求項2】請求の範囲第1項記載のプラスミドシャトルベクターから誘導された、毒素エンコーディング機能的組み換えプラスミドを有することを特徴とする組み換えBt菌株。
【請求項3】ori44と表示され、Btの中で機能的である複製起点として有用であり、第5図に示すヌクレオチド配列を有することを特徴とする分離、精製されたDNA断片。
【請求項4】ori60と表示され、Btの中で機能である複製起点として有用であり、第6図に示すヌクレオチド配列を有することを特徴とする分離、精製されたDNA断片。
【請求項5】ori43と表示され、Btの中で機能である複製起点として有用であり、第7図に示すヌクレオチド配列を有することを特徴とする分離、精製されたDNA断片。
【請求項6】(a)請求の範囲第3、4または5項記載のいずれかのDNA断片、(b)多重クローニング部位、および(c)Bt宿主バクテリア中で機能的である抗生物質耐性遺伝子を含有することを特徴とするBtバクテリアを形質転換しうる組み換えプラスミド。
【請求項7】請求の範囲第6項記載の組み換えプラスミドで形質転換され、かつ該組み換えプラスミドを含有することを特徴とするバチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)バクテリア。

【第1図】
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【第2図】
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【第3A図】
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【第3B図】
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【第4図】
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【第3C図】
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【第5A図】
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【第5B図】
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【第5C図】
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【第17図】
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【第6A図】
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【第6B図】
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【第6C図】
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【第7A図】
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【第7B図】
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【第7C図】
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【第7D図】
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【第8図】
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【第9図】
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【第10図】
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【第13図】
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【第11図】
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【第14図】
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【第12図】
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【第15図】
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【第16図】
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【第18図】
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【特許番号】第2916255号
【登録日】平成11年(1999)4月16日
【発行日】平成11年(1999)7月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−509673
【出願日】平成3年(1991)5月14日
【公表番号】特表平5−507408
【公表日】平成5年(1993)10月28日
【国際出願番号】PCT/US91/03360
【国際公開番号】WO91/18102
【国際公開日】平成3年(1991)11月28日
【審査請求日】平成8年(1996)11月27日
【微生物の受託番号】 NRRL B−18508
【微生物の受託番号】 NRRL B−18633
【微生物の受託番号】 NRRL B−18630
【微生物の受託番号】 NRRL B−18631
【微生物の受託番号】 NRRL B−18632
【出願人】(999999999)エコジエン・インコーポレーテツド
【参考文献】
【文献】特開 平2−119780(JP,A)
【文献】J.Biol.Chem.,263(1988)p.561−562
【文献】Appl.Environ.Microbiol.,53(2)(1987),p.416−421