説明

組み換え植物懸濁培養物を使用するワクチンマスター細胞系統の調製

本発明は、タンパク質性薬剤を産生するための植物細胞培養物であって、タンパク質性薬剤をコードする導入遺伝子を発現するように安定的に形質転換された植物細胞系統および前記植物細胞培養物の増殖を支持するが、マイコプラズマ(Mycoplasmataceae)の増殖を支持せず、そして動物起源の材料を含有しない増殖培地を含む植物細胞培養物を提供する。植物細胞系統は、継代中に一過性導入遺伝子発現が維持されるように連続的に継代されることが可能である。植物細胞系統はまた、凍結保存からの回収時に一過性導入遺伝子発現が回復されるように凍結保存されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年11月4日に出願されたU.S.provisional application Serial No.60/733,702の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、植物細胞培養物における植物細胞培養物およびタンパク質産生の分野に関する。特に、本発明は、治療用薬剤およびワクチンとしての使用のための広範な単純および複合タンパク質を産生することが可能な万能の産生システムならびに植物細胞系統に関する。
【背景技術】
【0003】
組換えDNA技術は、ワクチンを含む薬学的ならびに獣医学的医薬品の安全性、品質、効力およびコストにおける実質的な改善を提供してきた。植物産生経粘膜ワクチンは、CurtissおよびCardineauによって発明された。特許文献1;特許文献2および特許文献3(参照により本明細書に援用される)を参照のこと。Arntzen、MasonおよびLamを含む他のものは、免疫防御抗原を発現するトランスジェニック植物および産生のための方法について記載している。特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8;および特許文献9(それらの全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
【0004】
規定培地において細胞培養を使用する植物細胞産生は、増殖培地における動物を供給源とする成分の必要性を回避し、産生プロセスから病原性混入物を伝達する危険性を本質的になくす。植物細胞は翻訳後グリコシル化が可能であり、植物細胞増殖培地は、一般に、ワクチンの製造において現在使用されている従来の増殖培地と比較して、それほど高価ではなく、取り扱いおよび調製が容易である。
【0005】
植物系において産生される薬理学的または関連の生物学的活性のワクチン抗原およびタンパク質は、従来の産生系より多くの利点を付与する。植物由来のサブユニットタンパク質は、毒性を再発し得ない(生の従来的にまたは組み換え的に産生される生のベクトル化されたワクチンの特徴)。従来の製造方法から産生されるサブユニットタンパク質は、タンパク質の不安定性および生化学的な抽出の問題により産生および精製することが困難であり得、原核細胞において産生される場合、グリコシル化を必要とするサブユニットワクチン成分がグリコシル化されない。
【0006】
植物は、任意の単一な従来のまたは哺乳動物由来の組換えDNA系から誘導することが困難である独特な利益を提供する。従来、サブユニットワクチンまたはタンパク質性薬剤は次のようなものである:1)それらの産生を抑制する低い収率のため、組み換えまたは従来の供給源から精製することが困難である;2)タンパク質分解、pH、または精製中に使用される溶媒により不安定である;3)それらは生来ではないか、または精製プロセスは重要なエピトープを変性するため、より効力が低い;および4)哺乳動物系において産生される場合、生物学的起源の外来の材料により阻害される(上に記載)。
【0007】
生物製薬学的産生のための「マスター細胞系統」の原理は、製造手順の部分として生体生物体を利用し、いくつかの基本的な教義に頼る:1)規定された起源および継代経歴の単一培養は、細胞表現型の規定された特徴および所望される製造特徴を伴って保存される;2)保存、典型的に、凍結保存は、長い間持続する(数年以上に及ぶ);3)細胞は、回収され、拡大され、「ワーキングシード」に無期限に継代され、別の期間の凍結保存に供され得る(細胞の堅牢性を必要とする原理);および4)細胞は、規定された数の継代後の初期のクリオスタット(cryostate)の前に見出される細胞表現型の規定された特徴および所望される製造特徴を消失しない。
【特許文献1】U.S.Patent No.5,654,184
【特許文献2】U.S.Patent No.5,679,880
【特許文献3】U.S.Patent No.5,686,079
【特許文献4】U.S.Patent No.5,484,717
【特許文献5】U.S.Patent No.5,914,123
【特許文献6】U.S.Patent No.6,034,298
【特許文献7】U.S.Patent No.6,136,320
【特許文献8】U.S.Patent No.6,194,560
【特許文献9】U.S.Patent No.6,395,964
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、当該技術分野では、マスターシード原理下で標的成分を生物学的に製造する際の長期間増殖、再凍結保存、および安定性を提供する植物細胞ならびに植物細胞培養物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、規制コンプライアンスおよびGMP(医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)製造規範に適するタンパク質性薬剤の産生のための植物細胞培養物ならびに植物細胞を培養および貯蔵する方法を提供する。本発明の所定の態様では、トランスジェニック細胞培養物は、ワクチン、産業的、薬学的および薬理学的調製において有用な単純または複合的な生物薬理学的タンパク質ならびにペプチド薬剤を発現させるために使用される。本発明の他の態様は、植物細胞産生ワクチン産生系を提供する。さらに加えて、本明細書に記載の植物マスター細胞系統は、規制要件を満たすのに十分な安定性および堅牢性を提示する。
【0010】
配列の概要
図1Aおよび1Bに示される配列番号1および2は、NDV株「ラソタ(Lasota)」のHN遺伝子の植物最適化コーディング配列およびタンパク質配列である。
【0011】
図10に示される配列番号3および4は、AIV A/turkey/Wisconsin/68(H5N9)のHA遺伝子のDNAおよびタンパク質配列である。
【0012】
配列番号5は、pCP!H上のCsVMVプロモーターを末端加工(end−tailor)するために使用されるPCRプライマーである。
【0013】
配列番号6は、pCP!H上のCsVMVプロモーターを末端加工するために使用されるPCRプライマーである。
【0014】
配列番号7は、NcoI部位を作製するために使用される変異誘発プライマーである。
【0015】
配列番号8は、5’領域に相補的な順方向プライマーである。
【0016】
配列番号9は、XhoII部位を作製するために使用される変異誘発プライマーである。
【0017】
図14に示される配列番号10は、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのVP2遺伝子のDNA配列である。
【0018】
配列番号11は、E/91 VP2の変種をコードする植物最適化DNA配列(1425塩基)である。E/91植物最適化VP2のコーディング領域は、塩基16〜1383(1371塩基)を含む。6つのフレーム終止が塩基1384〜1425において認められる。
【0019】
配列番号12は、E/91 VP2コーディング領域の植物最適化バージョン(配列番号11)によってコードされるE/91 VP2タンパク質の配列を含む。
【0020】
配列番号13は、6つのリーディングフレームにおいて翻訳終結(「ストップ」)コドンをコードするDNA配列である。配列は、形質転換中のDNA組み込み後の偶発的オープンリーディングフレームの翻訳を終結させるために使用されたが、これはSacI BstEII、およびBglII制限酵素認識部位を含む(Tsukamoto K.,Kojima,C.,Komori,Y.,Tanimura,N.,Mase,M.,and Yamaguchi.,S.(1999)Protection of chickens against very virulent infectious bursal disease virus(IBDV)and Marek's disease virus(MDV)with a recombinant MDV expressing IBDV VP2.Virol.257:352-362)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本出願の特定の態様は、タンパク質性薬剤を産生するための植物細胞培養物であって、タンパク質性薬剤をコードする導入遺伝子を発現するように安定的に形質転換された植物細胞系統および前記植物細胞培養物の増殖を支持するが、マイコプラズマ(Mycoplasmataceae)の増殖を支持せず、そして動物起源の材料を含有しない増殖培地を含む植物細胞培養物を提供する。植物細胞系統は、継代中に一過性導入遺伝子発現が維持されるように連続的に継代されることが可能であり、そして凍結保存からの回収時に一過性導入遺伝子発現が回復されるように凍結保存されることが可能である。
【0022】
本出願の他の態様は、1つ以上の次の特徴を有するタンパク質性ワクチンまたは治療用薬剤を産生する植物細胞培養物を提供する:a)培養/増殖培地における動物生成物が欠如していること;b)検出可能なレベルの植物二次代謝物(例えば、ニコチン代謝物)が認められないこと;またはc)検出可能なレベルのマイコプラズマ、ウイルス、細菌もしくは真菌が認められないこと。それ故、本発明によって提供される植物細胞培養物は、本段落に記載の特徴のうちのいずれか1つ、2つ、もしくは3つすべて(例えば、特徴a);または特徴b);または特徴c);または特徴a)およびb);または特徴a)およびc);または特徴b)およびc);または特徴a)およびb)およびc))を有することができる。
【0023】
本発明はまた、1つ以上の次の特徴を含む安定的に形質転換された植物に基づくワクチン産生系を提供する:a)タンパク質性薬剤を発現し、恒久的に貯蔵することができ、他のすべてのシードおよび継代物が誘導される他のすべての継代物の供給源としての役割を果たすことができる組み換え植物細胞培養マスター細胞系統の選択および樹立;b)ワーキングシード(マスター細胞系統から誘導され、プロダクションシードを調製するために使用される貯蔵された供給源)およびプロダクションシード(植物から作製されるタンパク質性薬剤の産生を開始するためのさらなる増殖を伴わずに使用される指定された範囲の継代レベルにおける組み換え細胞)を作製する能力;c)タンパク質性薬剤は、動物起源の産物(例えば、ウマ、ウシ胎児などのような哺乳動物起源の血清)の非存在下で(の使用を伴わずに)バイオリアクターにおいて、安定的に形質転換された植物細胞を増殖させることによって、産生させることができる;d)皮膚、筋肉内、鼻腔内、または経口送達を介する動物への投与に安全であること;e)検出可能なレベルの植物二次代謝物(例えば、多環芳香族炭化水素ならびにニトロソアミンであって、アナタビン、アナバシン、ベンゾ(a)ピレン、ニコチンおよびノルニコチンを含む)が認められないこと;f)マイコプラズマ、ウイルス、真菌、または細菌が認められないこと;g)数年間まで、好ましくは、1〜10年間、より好ましくは、1〜5年間の長期間、周囲、冷蔵もしくは凍結条件下で凍結乾燥された粉末として安定であるタンパク質性薬剤またはワクチンを産生すること;h)集成されたタンパク質性薬剤(ワクチン)(例えば、アジュバントと組み合わせられたワクチン抗原またはタンパク質性薬剤)は冷蔵条件下で数箇月間安定である;i)系は、含有される条件においてかつ稔性植物体を再生する必要性を伴わずに実施することができるプロセスにおいて使用することができる;j)系は、高い比率の回収率(例えば、100%までの回収率、あるいは少なくともまたは90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%回収率を超える回収率)で融解することができるマスター細胞系統を提供する;k)凍結保存されたマスター細胞系統から高い回収率(例えば、100%までの回収率あるいは少なくともまたは90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%を超える回収率)を伴う凍結保存されたワーキングシードの調製および回収を提供すること;l)生じるタンパク質性薬剤あるいはワクチンを、従来のワクチン集成体(既知のアジュバントと組み合わせられたタンパク質性薬剤/ワクチン)または新規のワクチン集成体(例えば、細胞ペースト)に処方し、そして、ワクチン接種された個体において血清変換(serological conversion)および/もしくは疾患予防を提供するために投与することができる;m)家畜もしくは家禽の確立された忍容レベル未満の2,4−Dレベルを有する従来または新規のワクチン集成体を提供すること;n)商業的製造プロセスにまで規模を変更することができる(scalable)こと(例えば、系または細胞は、10リットル〜100,000リットル;好ましくは、100リットル〜1,000もしくは5,000もしくは10,000の範囲の振盪フラスコからバイオリアクターの範囲に及ぶ容器において培養することができる);o)安定的に形質転換された植物細胞系統を産生すること;ならびに/あるいはp)マスターおよびワーキング対照(その有効性が、宿主動物において直接または間接的に相関する対照材料(例えば、サイトカインの生物学的活性またはワクチン抗原の抗原性/免疫原性)の調製のために使用することができること。本発明の所定の態様は、上記で同定される特徴のすべてを有する植物から作製されるワクチン産生系を提供する。
【0024】
本明細書において使用するように、二次代謝物の「検出可能なレベルが認められない」という語句は、アッセイされる物質が、GC/MSおよびLC/MS技術のような標準的な技術を使用しても検出することができないことを意味するものと理解すべきである。これらの技術の検出限界は100ng/mlである。「マイコプラズマ、ウイルス、真菌および細菌が認められない」という用語は、本明細書の実施例5に記載の生物学的試験によって決定されるような生物体が存在しないことを意味する。
【0025】
家禽についての2,4−D忍容レベル:トリ疾患ウイルスの予防のためのワクチン接種から生じる2,4−D残留物は、控えめに見積もっても、卵における2,4−Dに対する現在のEPAの確立された忍容性の僅か0.007%に過ぎない。家禽における2,4−Dについて確立された現在のEPA忍容性は、0.05mg/kgまたは50μg/kgである。トリウイルスの予防のためのワクチン接種から生じる2,4−D残留物は、控えめに見積もっても、家禽組織における2,4−Dに対する現在のEPAの確立された忍容性の僅か0.00079%に過ぎない。
【0026】
「安定的に形質転換された」、「安定的に形質転換された植物細胞系統」もしくは「安定的に形質転換された植物に基づくワクチン産生系」または「一過性導入遺伝子発現」という語句は、活発に増殖し、百(100)を超える継代にわたって生物学的かつ免疫学的に活性な抗原を産生し、そして場合により、表現型増殖速度、もしくは導入遺伝子発現レベルにおいて有意な変化を生じないサザンブロット、PCR、またはAFLPのような遺伝子解析に基づいて実証される経時的かつ継代数にわたって不変を保持する組み換え挿入物(遺伝事象)を含有する植物細胞系統あるいは植物に基づくワクチン産生系を提供する。
【0027】
本出願に記載の植物細胞培養物は、下等植物、双子葉植物または単子葉植物から誘導される形質転換植物細胞系統を含有することができる。形質転換細胞系統を誘導することができる双子葉植物の非限定的例は、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ、アルファルファおよびダイズを含むマメ科植物、ニンジン、イチゴ、レタス、オーク、カエデ、クルミ、バラ、ハッカ、ヒマワリ、ベニバナ、ワタ、タバコ、カボチャ、ヒナギク、カノーラまたはサボテンである。本発明の所定の態様は、NT−1またはBY−2のようなタバコ細胞系統を利用する。形質転換植物細胞系統が単子葉植物から誘導される場合、コムギ、芝、芝草(turf grass)、穀類、メイズ(maize)もしくはトウモロコシ、イネ、エンバク、コムギ、オオムギ、モロコシ、ラン、アヤメ、ユリ、タマネギ、バナナ、サトウキビ、モロコシ、またはヤシの植物を使用して、植物細胞系統を樹立することができる。さらに、細胞系統は、シダ、裸子植物、針葉植物、スギナ、ヒカゲノカズラ、苔類、ツノゴケ、コケ、紅藻、褐藻、配偶体、シダ植物の胞子体、または緑藻のような下等植物から樹立することができる。本発明において有用な植物細胞培養物の好適なグループは、トウモロコシ、イネまたはタバコ植物から誘導される植物細胞培養物である。
【0028】
タンパク質性薬学的またはワクチン剤として、酵素、毒素、細胞受容体、リガンド、ウイルスまたは細菌性タンパク質もしくは抗原、シグナル伝達剤、サイトカイン、あるいはトランスジェニック植物細胞培養物において発現される他の治療用タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなタンパク質性薬学的またはワクチン剤をコードするポリヌクレオチド配列は、EMBL、SWISSPROT、もしくはNCBIデータベースのような商業的データベースから得ることができる。タンパク質性薬剤はまた、特定の病原性ウイルス由来の1つ以上のタンパク質(抗原)であって、次のものを含むがこれらに限定されない:AIV(トリインフルエンザウイルス)のHA(ヘマグルチニン)タンパク質、1型糖タンパク質;トリNDV(ニューカッスル病ウイルス)のHN(ヘマグルチニン/ノイラミニダーゼ)タンパク質、2型糖タンパク質(U.S.Patent No.5,310,678(参照により本明細書に援用される)を参照のこと);伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)の構造タンパク質、VP2;酵素ADPリボシルトランスフェラーゼ(大腸菌(E.coli)の易熱性毒素のLT−Aサブユニット);2つのサブユニットからなる大腸菌(E.coli)の細菌毒素LT、ヒトウイルスであって、次のものを含むがこれらに限定されない:ポリオウイルス、ヒトライノウイルス(HRV)、A型肝炎ウイルス(HAV)、免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)のようなピコルナウイルス、デングおよびウエストナイルウイルスのようなフラビウイルスならびに呼吸器多核体ウイルス(RSV)。典型的に、トランスジェニック植物細胞培養物において産生されるタンパク質性薬剤は、機能的または構造的活性において、天然の供給源から単離される同じタンパク質と等価である。ウイルス抗原の非限定的例はまた、配列番号1、2、3、4、11、および12にも記載されている。
【0029】
ワクチン接種およびワクチン接種することは、宿主の免疫系が刺激され、そして病原体の以後の暴露に対する宿主の反応に関連する以後の所望されない病状を予防もしくは減弱するように、タンパク質性薬剤を含有する免疫原性製剤(immunogenic preparation)を宿主に接種することによって、病原体に対して予防を提供するかまたは血清変換(例えば、抗体の産生)を誘導するための手段として規定される。
【0030】
ワクチンは、ヒトを含む動物にワクチン接種するために使用される組成物であって、宿主の免疫系の刺激を誘導し、そして病原体免疫防御抗原物質の以後の暴露に対する宿主の反応に関連する以後の所望されない病状を予防または減弱する少なくとも1つのタンパク質性薬剤を含有する。
【0031】
病原性生物体は、それが感染した動物または宿主において疾患または誘導された/制御された生理学的状態を引き起こす細菌、ウイルス、真菌、あるいは原生動物である。
【0032】
本明細書の目的のために、アジュバントは、免疫原もしくは抗原に対する免疫応答を強化するか、増加するか、緩和するかまたは増強する物質である。アジュバントは、典型的に、体液性および細胞性免疫応答の両方を増強するが、しかし、他方の非存在下でいずれか一方に対して増加した応答も、アジュバントを規定する見込みがある。さらに、アジュバントおよびそれらの使用は免疫学者に周知であり、そして典型的に、免疫原の用量が制限される場合、免疫原が乏しい免疫原性である場合、または投与経路が最適な状態ではない場合、免疫応答を増強するために用いられる。それ故、「アジュバント量」という用語は、所定の免疫原または抗原に対する免疫応答を増強することが可能なアジュバントの量である。「アジュバント量」に等しい質量は変動し、免疫原の特徴、投与される免疫原の量、宿主の種、投与経路、および免疫原を投与するためのプロトコルを含むがそれらに限定されない様々な因子に依存する。「アジュバント量」は、特定の組の環境を所与として、日常的な実験によって容易に定量することができる。これは、当業者の裁量範囲内に十分に当てはまり、そして典型的に、投与される免疫原およびアジュバントの変動する用量に対して日常的な用量応答決定の使用を用いる。応答は、酵素免疫測定法(enzyme linked immunosorbant assay)、ラジオイムノアッセイ、赤血球凝集アッセイなどを使用して、血清抗体力価または免疫原に対して惹起される細胞性応答を決定することによって測定される。
【0033】
有効量は、ヒトもしくは動物が病原因子によって展開される攻撃に効果的に抵抗するのに十分な免疫応答をヒトもしくは動物において誘導するかまたは糖尿病に対する自己免疫抗原のような動物の生理学的要件に応答するのに必要な量である。そのようなヒトまたは動物に投与される用量は、特定の免疫防御粒子(immunoprotective particle)もしくは粒子の組み合わせ、ヒトもしくは動物の病態、および選択された投与経路を含む関連の環境に照らし合わせて、医師、獣医師、または訓練された科学者によって決定される。一般に、有効量は、約1ng〜約0.5mg、好ましくは、約1μg〜約50μgの範囲である。家禽のニューカッスル病ウイルス(HN抗原)では、有効量は、約0.5μg〜約50μg、好ましくは、SQ経路を介して約2.5μg〜約5μgの範囲である。IN/眼粘膜経路を介する家禽におけるHNに対する有効量は、約0.5μg〜約50μg、好ましくは、約5μg〜約25μg、より好ましくは、約10μg〜約12μgの範囲である。トリインフルエンザウイルス(HA抗原)では、有効量は、約0.5μg〜約50μg、好ましくは、約1μg〜約30μg、より好ましくは、IN/眼経路を介して約24μg〜約26μgであり、そして好ましくは、SQ経路を介して約1μg〜約5μgの範囲である。家禽の伝染性ファブリキウス嚢病(VP2抗原)では、有効量は、0.5μg〜約50μg、好ましくは、約5μg〜約25μg、より好ましくは、SQ経路を介して約5μg〜約20μgの範囲である。LT抗原では、有効経口量は、約50ng〜約250ng、好ましくは、約100ng〜約200ngの範囲である。LT抗原では、有効SQまたはIN/眼適用量は、約50ng〜約100μg;好ましくは、約1μg〜約50μg、より好ましくは、約2μg〜約10μgの範囲である。本明細書において示される用量範囲は、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、熟練した実践者のための一般的指針として示される。
【0034】
トランスジェニック植物は、植物細胞培養物、植物細胞系統、植物組織培養物、下等植物、単子葉植物細胞培養物、双子葉植物細胞培養物、または形質転換植物細胞もしくはプロトプラストから誘導されるそれらの子孫として本明細書において規定され、ここで、形質転換植物のゲノムは、実験室技術によって誘導される外来DNAを含有し、同じ種の生来の非トランスジェニック植物細胞には本来存在しない。「トランスジェニック植物」および「形質転換植物」という用語は、DNAが外因性DNA分子を含有する植物を規定するための同義語として当該技術分野において使用されている。
【0035】
形質転換用植物または形質転換植物細胞培養物のための遺伝子カセットの構築は、Sambrook et al.(1989);and Ausubel et al.,(1987)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,New York,NYにおいて開示されているような周知の方法を利用して、容易に達成することができる。本発明はまた、それらが発現に対して開示された効果を有することが可能であるように、免疫防御抗原またはタンパク質性薬剤をコードする開示された配列に実質的な配列相同性を有するDNA配列を含む。本出願において使用されるように、「実質的な配列相同性」という用語は、ヌクレオチド配列(DNAもしくはRNAの場合)またはアミノ酸配列(タンパク質もしくはポリペプチドの場合)が別のヌクレオチドまたはアミノ酸配列との実質的、機能的または構造的等価物を呈することを示すために使用される。実質的な配列相同性を有する配列間の任意の機能的または構造的差異は、僅少であり;即ち、それらは、本出願に示されるように機能する配列の能力に影響を及ぼさない。本明細書において開示される配列と実質的な配列相同性を有する配列は、通常、変異体のような開示された配列の変種であるが、また、合成配列であってもよい。
【0036】
ほとんどの場合、本明細書において具体的に開示した配列に対して95%相同性を有する配列は、等価物として機能し、そして多くの場合、それよりかなり少ない相同性、例えば75%または80%が許容可能である。それほど重要ではないこれらの配列の部分を局在化することは、時間がかかりえるが、しかし、日常的であり、当該技術分野の技術の範囲内に良好に当てはまる。オリゴヌクレオチド配列を改変するための例示的技術は、ポリヌクレオチド仲介部位特異的変異誘発を使用することを含む。Zoller et al.(1984);Higuchi et al.(1988);Ho et al.(1989);Horton et al.(1989);and PCR Technology :Principles and Applications for DNA Amplification,(ed.)Erlich(1989)を参照のこと。
【0037】
本発明に有用な構築物を調製する際に、多様なDNAフラグメントは、適した配向において、必要に応じて、適したリーディングフレームにおいてDNA配列を提供するように、操作され得る。アダプターまたはリンカーは、DNAフラグメントを接続するために用いてもよく、または他の操作は、好都合な制限部位を提供すること、過分のDNAの取り出し、制限部位の取り出しなどに関与し得る。
【0038】
多様な工程を行う際に、所望される宿主細胞への以後の導入のためにプロモーター/目的の遺伝子を含有するベクターを増幅するように、クローニングが用いられる。広範なクローニングベクターが利用可能であり、ここで、クローニングベクターは、大腸菌(E.coli)において機能的である複製系および形質転換細胞の選択を可能にするマーカーを含む。例示的ベクターとして、pBR322、pUC系列、pACYC184、Bluescript系列(Stratagene)などが挙げられる。それ故、配列は、適切な制限部位でベクターに挿入され得、生じるプラスミドを使用して大腸菌(E.coli)宿主(例えば、大腸菌(E.coli)株HB101、JM101およびDH5α)を形質転換し、大腸菌(E.coli)は適切な栄養培地において増殖され、そして細胞は回収および溶解され、そしてプラスミドが回収される。解析は、配列解析、制限酵素解析(restriction analysis)、電気泳動などに関与し得る。それぞれの操作後、最終的構築物におい使用すべきDNA配列は、制限酵素処理(restricted)され、そして次の配列に接続され得、ここで、部分的構築物のそれぞれは、同じまたは異なるプラスミドにクローニングされ得る。
【0039】
ベクターは利用可能であるか、または植物細胞の形質転換のために容易に調製することができる。一般に、プラスミドまたはウイルスベクターは、所定の宿主において異種のDNA配列の維持および発現に必要なすべてのDNA制御配列を含有すべきである。そのような制御配列として、一般に、リーダー配列、および翻訳開始シグナルコドンをコードするDNA配列、翻訳ターミネーターコドン、ならびにメッセンジャーRNAプロセシングを制御する3’UTRシグナルをコードするDNA配列が挙げられる。任意の特定の種において発現を最適化するための適切なエレメントの選択は、本開示内容の教示を利用する当業者の問題である。最後に、ベクターは、望ましくは、ベクターを含有する宿主細胞の同定を可能にする表現型特性を提供することが可能であるマーカー遺伝子を有するべきである。
【0040】
植物細胞に挿入される外来コーディング配列(例えば、免疫防御剤またはタンパク質性薬剤)の活性は、挿入物に隣接する内因性植物DNAの影響に依存する。一般に、異種遺伝子の挿入は、任意の形質転換技術を使用して無作為であるようであるが;しかし、植物細胞へのDNAの部位特異的組み換えを伴う植物を産生させるための技術が現在存在する(WO91/09957を参照のこと)。プロモーターの制御下で所望される1つ以上の配列の発現を生じる任意の方法または方法の組み合わせが許容可能である。
【0041】
本明細書において提供される植物細胞培養物として、植物細胞を形質転換するための特定の任意の方法があるが、これに限定されるわけではない。DNAを植物細胞に導入するための技術は、当業者に周知である。外来DNAを植物細胞に送達するための4つの基本的な方法が記載されている。化学的方法(Graham and van der Eb,Virology,54(02):536-539,1973;Zatloukal,Wagner,Cotten,Phillips,Plank,Steinlein,Curiel,Birnstiel,Ann.N.Y.Acad.Sci.,660:136-153,1992);マイクロインジェクションを含む物理的方法(Capecchi,Cell,22(2):479-488,1980)、エレクトロポレーション(Wong and Neumann,Biochim.Biophys.Res.Commun.107(2):584-587,1982;Fromm,Taylor,Walbot,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82(17):5824-5828,1985;U.S.Pat.No.5,384,253)および遺伝子銃(Johnston and Tang,Methods Cell.Biol., 43(A):353-365, 1994;Fynan,Webster,Fuller, Haynes,Santoro,Robinson,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90(24):11478-11482,1993);ウイルス方法(Clapp,Clin.Perinatol.,20(1): 155-168,1993; Lu,Xiao,Clapp, Li,Broxmeyer, J.Exp.Med.178(6): 2089-2096,1993;Eglitis and Anderson, Biotechniques,6(7): 608-614,1988; Eglitis,Kantoff, Kohn, Karson, Moen, Lothrop, Blaese, Anderson, Avd.Exp.Med.Biol.,241:19-27,1988);および受容体仲介方法(Curiel, Agarwal, Wagner, Cotten, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 88(19):8850-8854, 1991;Curiel, Wagner, Cotten, Birnstiel, Agarwal, Li,Loechel, Hu,Hum.Gen.Ther., 3(2):147-154, 1992;Wagner et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 89(13):6099-6103, 1992)。
【0042】
エレクトロポレーションによるDNAの植物細胞への導入は、当業者に周知である。ペクチン分解酵素のような植物細胞壁分解酵素は、非処置細胞よりエレクトロポレーションによる形質転換をより受け易いレシピエント細胞にするために使用される。エレクトロポレーションによって形質転換を行うために、細胞の懸濁培養物のような脆い組織、または胚状カルス(embryogenic callus)、または未熟な胚または他に由来する組織のいずれかを直接用いてもよい。一般に、ペクチン分解性酵素に対して標的植物材料の細胞壁を部分的に分解するかまたは制御された様式で機械的に損傷することが必要である。そのような処置された植物材料は、エレクトロポレーションによって容易に外来DNAを収容する。
【0043】
外来形質転換用DNAを植物細胞に送達するための別の方法は、マイクロプロジェクタイルボンバードメントによる。この方法では、微小粒子が外来DNAで被覆され、そして推進力によって細胞に送達される。そのような微粒子は、典型的に、タングステン、金、白金、および類似の金属からなる。マイクロプロジェクタイルボンバードメントの利点は、プロトプラストの単離(Cristou et al.,1988,Plant Physiol.,87:671-674)も、またアグロバクテリウム(Agrobacterium)感染に対する感受性のいずれも必要としないことである。加速によりDNAをトウモロコシ細胞に送達するための方法の例示的実施形態がBiolistics Particle Delivery Systemであり、懸濁液において培養したトウモロコシ細胞で被覆されたフィルター表面上のスクリーンを介してDNAまたは細胞で被覆された粒子を推進するために使用することができる。スクリーンは、粒子が大きな凝集体としてレシピエント細胞に送達されないように、粒子を分散する。ボンバードメントでは、懸濁液中の細胞を、フィルターまたは固体培養培地に集中させることが好ましい。あるいは、未熟な胚または他の標的細胞を、固体培養培地上に配置してもよい。衝撃しようとする細胞を、マクロプロジェクタイル停止プレートの下方の適切な距離に置く。ボンバードメント形質転換では、最大数の安定した形質転換体を得るために、プレボンバードメント培養条件およびボンバードメントパラメータを最適化することができる。ボンバードメントのための物理および生物学的パラメータは、この技術において重要である。物理的要因としては、DNA/マイクロプロジェクタイル沈降の操作に関与するものまたはマイクロプロジェクタイルのいずれかの飛行および速度に影響を及ぼすものがある。生物学的因子としては、衝撃前および衝撃直後の細胞の操作に関与する総ての工程、衝撃に関連する損傷の軽減に役立つ標的細胞の浸透圧調整、ならびにまた、線状化DNAまたは無傷(intact)なスーパーコイル状プラスミドのような形質転換用DNAの性質が挙げられる。
【0044】
アグロバクテリウム(Agrobacterium)仲介トランスファーは、DNAをあらゆる植物組織に導入することができ、プロトプラストからの無傷(intact)な植物体を再生せる必要性がなくなるため、外来DNAを植物細胞に導入するための応用範囲の広い系である。DNAを植物細胞に導入するためにアグロバクテリウム(Agrobacterium)を仲介して植物体に組み込むベクターを使用することは、当該技術分野において周知である。例えば、Fraley et al.,1985,Biotechnology,3:629;Rogers et al.,1987,Meth.in Enzymol.,153:253-277に記載の方法を参照のこと。さらに、Ti−DNAの組み込みは、比較的正確なプロセスであり、再配列はほとんど起こらない。トランスファーしようとするDNAの領域は、境界配列によって規定され、Spielmann et al., 1986, Mol.Gen.Genet.,205:34;Jorgensen et al.,1987,Mol.Gen.Genet.,207:471に記載されているように、通常、介在するDNAが植物ゲノムに挿入される。
【0045】
最新のアグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換ベクターは、大腸菌(E.coli)ならびにアグロバクテリウム(Agrobacterium)での複製が可能であり、好都合な操作を可能にする。さらに、アグロバクテリウム(Agrobacterium)仲介遺伝子トランスファー用ベクターにおける最近の技術的進歩により、ベクターにおける遺伝子および制限部位の配列(arrangement)が改善され、多様なタンパク質またはポリペプチドを発現することが可能なベクターの構築を容易にしている。挿入されたポリペプチドコーディング遺伝子の直接発現のための、プロモーターにフランキングする好都合なマルチリンカー領域およびポリアデニル化部位は、本目的に適している。さらに、形質転換には、武装されたおよび非武装Ti遺伝子の両方を含有するアグロバクテリウム(Agrobacterium)を使用することができる。
【0046】
植物プロトプラストの形質転換は、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレングリコール処置、エレクトロポレーション、およびこれらの処置の組み合わせに基づく方法を使用して達成することができる(例えば、Potrykus et al., 1985,Mol.Gen.Genet., 199:183; Marcotte et al., Nature, 335:454,1988を参照のこと)。これらの系の異なる植物種への応用は、プロトプラストから特定の種を再生する能力に依存する。
【0047】
本発明の実施のために、培養し、そして迅速に大規模化することができる植物細胞系統を形質転換することが好適である。植物細胞培養物の使用は、オープンフィールドでの産生を回避し、遺伝子逃避および食品汚染の可能性を顕著に減少する。NT−1およびBY−2のようなタバコ懸濁細胞培養物(Kato et al.1972,Proc.IV IFS: Ferment.Technol.Today 689-695;An,G., 1985Plant Physiol.79, 568-570; Nagata et al.1992, International Review of Cytology 132,1-30)は、これらの系統が培養において得に取り扱いし易く、容易に形質転換され、安定的に組み込まれた事象を産生し、そして凍結保存に適用可能であるため、好適である。
【0048】
タバコ懸濁細胞系統、NT−1は、本発明の実施に適する。NT−1細胞は、本来、タバコ(Nicotiana tabacum)L.cv.bright yellow2から開発された。NT−1細胞系統は広範に使用され、容易に利用可能である;尤も、いずれのタバコ懸濁細胞系統も本発明の実施と矛盾しない。さらに、細胞系統は変動可能であり、培養条件に応じて変化する。以下の実施例における使用に適するNT−1細胞は、受託番号ATCC番号74840下でAmerican Type Culture Collectionから利用可能である。また、U.S.Patent No.6,140,075(その全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
【0049】
多くの植物細胞培養技術および実験室規模の振盪フラスコから数千リットルのバイオリアクター容器の範囲に及ぶ系が記載されており、植物細胞培養の分野において周知である。例えば、Fischer, R.et al, 1999Biotechnol.Appl.Biochem.30,109-112 and Doran,P., 2000Current Opinions in Biotechnology11, 199-204を参照のこと。形質転換植物細胞を所望される嵩(mass)まで培養した後、それらを回収し、穏やかに洗浄し、そして破砕に適する緩衝液に入れる。異なる多くの緩衝液が本発明に適合可能である。一般に、緩衝液は、膜を可溶化するために使用することができる刺激性の強い界面活性剤を含有しない中性またはその付近のpH値の水性の等張性緩衝生理食塩水である。好適な緩衝液として、ダルベッコ(Dulbecco)のリン酸緩衝食塩水および1mM EDTAを含有するPBSが挙げられる。
【0050】
安定的に形質転換された植物細胞系統を調製した後、全遺伝子挿入物のPCR増幅、それに続く制限酵素消化を使用して遺伝子挿入物(遺伝事象)を確認することによって、本発明の培養物を終了し得る。次いで、マスター細胞系統およびワーキング細胞系統は、9CFR113.26に記載の手順に従って、細菌および真菌の混入について評価すべきである。
【0051】
マスターまたはワーキング細胞の最初の回収は、寒天プレート上で、カルスの形態であってもよい。これに続いて、液体懸濁培養への導入が行われ得る。ワーキング細胞および産生培養のための継代の範囲は、1〜50または100回の範囲であり得る。
【0052】
本発明の植物細胞培養物を増殖させるために、動物起源の成分は使用しない。寒天プレートおよび懸濁培養のための培地は、一般的な植物培養培地(ムラシゲ(Murashige)およびスクーグ(Skoog);MS)に基づき、本明細書において詳細に記載する。マスター細胞系統は、液体窒素の蒸気相において貯蔵される。この様式で維持される培養物は、無期限に貯蔵され得、寒天培地上でカルス培養物を調製するために使用され得る。ワーキング細胞系統は、液体窒素の蒸気相において貯蔵され、無期限に貯蔵され、カルス培養物を調製するために使用され得る。
【0053】
ワーキング細胞またはワクチン産生のための接種物として使用されるマスター細胞およびワーキング細胞培養物は、寒天プレート上または懸濁培養物として増殖されるカルスの周期的循環によって維持され得る。凍結されたマスター細胞またはワーキング細胞は、融解し、そして寒天プレートに移し、そして1回以上、25℃で約1〜2週間、培養し得る。次いで、カルスを細かく裂き、ワーキング細胞または産生培養物を産生するための液体懸濁培地のフラスコに接種するために使用する。室温で連続撹拌を伴って増殖され、そして液体懸濁培地に移される産生培養物のための接種物として使用されるワーキング細胞培養。培養物は、観察される増殖の程度に依存して約3〜14日間ごとに移され、それぞれ移すごとに1:3または1:10で分割され得る。
【0054】
マスター細胞寒天プレートからワーキング細胞系統を産生させるために、健康なカルスを選択し、無菌的に裂き、そして部分を、液体懸濁培地を含有するフラスコに入れる。ワーキング細胞系統はまた、振盪フラスコにおいて1リットル容積が達成されるまで培養物の容積を増加しながら、1:3または1:10分割を使用して、液体培養物から液体培養物へ移してもよい。1〜3リットルの振盪フラスコ培養物を、接種物としての10リットルの撹拌型タンクに移し得る。産生培養物は、100リットルの有効容積を伴う撹拌型タンクにおいて産生される。100リットル発酵槽は、撹拌型タンクまたは複数の振盪フラスコ培養物から1:10培養物比で接種され得る。10リットルを超える撹拌型タンクにおける培養物は、選択因子を伴わない液体懸濁培地において増殖される。
【0055】
培養物を、周囲温度で、連続撹拌を伴って、3〜14日間の期間、ワーキング細胞培養のために増殖させる。ほとんどの場合、ワーキング細胞培養物は、1:10の分割を伴って、7日間ごとに移す。ワーキング細胞の大規模化の間、培養物を、1:10の分割で移し、そして少なくとも7日間、増殖させる。回収の前に、産生培養物を7〜15日間、増殖させる。培養物を毎日、特徴的増殖について観察し、そして顕微鏡的調査およびパック細胞容積の決定のために、産生培養物のサンプルを無菌的に、周期的に取り出す。細胞は、密度において、約35%のパック細胞容積(PCV)まで増加すべきであり、回収時の視覚的見積もりに基づいて、少なくとも50%の健康な生細胞を含有すべきである。細胞の顕微鏡的調査では、細胞内において視覚的に認められる核が示されるべきであり、他の細胞構造に注目すべきではない。
【0056】
通気は、培養物の酸素需要に依存して変動してもよい。溶存酸素は、約100%〜20%の間で制御されるべきである。撹拌速度は酸素需要に依存して変動してもよいが、しかし、500rpmを超えるべきではない。典型的に、pHを制御する必要はない。産生培養物は、接種の7〜15日後の間に、重力または従来のろ過媒体を使用する減圧ろ過によって回収し得る。次いで、日常的タンパク質精製手順を用いて、薬学的タンパク質性物質を単離し得る。
【0057】
本明細書において言及し、または引用したすべての特許、特許出願、仮特許出願、および刊行物は、それらが本明細書の明白な教示と矛盾しない程度で、すべての図および表を含むそれらの全体が参照により援用される。
【0058】
以下の実施例では、本発明を実施するための手順について例示する。これらの実施例は、限定的であるものとして解釈されるべきではない。他に示さない限り、すべての百分率は重量によるものであり、すべての溶媒混合割合は容積によるものである。
【実施例】
【0059】
実施例1:ベクター
遺伝子構築:NDV株「ラソタ(Lasota)」(Genbank受託AF077761)のHN遺伝子、AIV株A Turkey/Wisconsin/68のHA遺伝子、IBDV株E19(GenBank受託番号X00493)のVP2遺伝子、ならびに大腸菌(E.coli)のLT遺伝子のコーディング配列を、コドン使用ならびに不純なmRNAプロセシングおよび不安定性を仲介し得る所望されない配列モチーフ、またはゲノムDNAのメチル化について解析した。Adang MJ,Brody MS, Cardineau G, Eagan N, Roush RT, Shewmaker CK, Jones A,Oakes JV, McBride KE(1993)The construction and expression of Bacillus thuringiensis cryIIIA gene in protoplasts and potato plants.Plant Mol Biol21:1131-1145を参照のこと。植物最適化コーディング配列を、トマトおよびジャガイモコドン使用頻度を反映するハイブリッドコドン選択により設計した(Ausubel F.,et al.,eds.(1994)Current Protocols in Molecular Biology,vol.3,p.A.1C.3Haq TA,Mason HS,Clements JD,Arntzen CJ(1995)Oral immunization with a recombinant bacterial antigen produced in transgenic plants.Science268:714-716)。HNについて設計した配列を図1に示す。合成HN遺伝子を商業的供給者(Retrogen)によって集成し、5’(p4187−4203−1)または3’(p42111−4235−1c−1)のいずれか一方を含有する2つの個別のプラスミド(遺伝子の半分がpCR−Bluntにクローニングされている)に収容させた。
【0060】
プラスミド構築:アグロバクテリウム(Agrobacterium)仲介植物形質転換のためのバイナリーベクターを、図2に示すベクターpBBV−PHAS−iaaHに基づいて構築したが、これは、U.S.Patent Number:5,879,903;5,637,489;5,276,268;および5,273,894(参照により本明細書に援用される)に記載の植物選択マーカーホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)を使用し、WO97/48819に記載の構成性キャッサバ葉脈モザイクウイルス(cassava vein mosaic virus)プロモーター(CsVMV)によって駆動される。本発明者らは、はじめに、PacIによるpBBV−PHAS−iaaHの消化およびpCVMV−PATを形成させるための再連結によって、iaaH遺伝子およびファセオリンプロモーター配列を欠失させた;次いで、本発明者らは、それにKlenow酵素を充填し、そしてpCP!Hを形成させるために再連結することによって、単一のHindIII部位を欠失させた。本発明者らは、テンプレートpCP!H上でプライマーCVM−Asc(5’−ATGGCGCGCCAGAAGGTAATTATCCAAG配列番号5)およびCVM−Xho(5’−ATCTCGAGCCATGGTTTGGATCCA配列番号6)を使用するPCRによってCsVMVプロモーターを末端加工し、そしてEcoRV消化Tテイル化pBluescriptKSに産物をクローニングし、pKS−CVM7を作製した。pCP!Hのマップを図3に示す。本発明者らは、ベクターpKS−CVM7/NcoI−EcoRIと、3つの挿入フラグメント:NcoI/PstI上のHN 5’側半分、PstI/KpnI上のHN3’側半分、およびKpnI−EcoRI上のダイズvspB3’エレメントとを連結することによって、HN発現カセットpKS−CHNを構築した(Haq1995)。次いで、バイナリーT−DNAベクターpCHNを、ベクターpCP!H/AscI−EcoRIおよびpKS−CHNのAscI−EcoRIフラグメントの連結によって集成した。pCHNのマップを図4に示す。
【0061】
U.S.Patent No.5,824,798(参照により本明細書に援用される)に記載の顆粒結合デンプンシンターゼ(GBSS)プロモーターを使用して、他のベクターを作製した。これらの構築物は、中国のジャガイモ品種「トンノン(Dongnong)」についてのGenbank受託X83220における配列から設計したプライマーを使用して、ジャガイモ(Solanum tuberosum)L.cv.「デシレ(Desiree)」のゲノムDNAから増幅したプロモーターフラグメントを使用して、作製した。変異誘発プライマー「GSS−Nco」(5’−[TGCCATGGTGATGTGTGGTCTACAA]配列番号7)を使用して、−1800bpの5’領域に相補的な順方向プライマー「GSS−1.8F」(5’−[GATCTGACAAGTCAAGAAAATTG]配列番号8)と共に、翻訳開始コドンに重複するNcoI部位を作製した;1825bpのPCR産物を、Tテイル化pBluescriptKSにクローニングしてpKS−GBNを作製し、そして配列決定した。変異誘発プライマー「GSS−Xho」(5’−[AGCTCGAGCTGTGTGAGTGAGTG]配列番号9)を使用して、プライマー「GSS−1.8F」と共に、転写開始部位の直ぐ3’側にXhoI部位を作製した;1550bpのPCR産物をTテイル化pBluescriptKSにクローニングしてpKS−GBXを作製し、そして配列決定した。
【0062】
HindIII/XhoIで消化したベクターpTH210と、pKS−GBXのHindIII/XhoIフラグメントとの連結によってU.S.Patent No.5,891,665(参照により本明細書に援用される)に記載のTEV 5’UTR(非翻訳領域)を含有するGBSSプロモーター発現カセットを集成し、811bpのGBSSプロモーターによるCaMV35Sプロモーターの置換を生じさせて、pTH252Aを作製した。Haq TA,Mason HS,Clements JD,Arntzen CJ(1995)Oral immunization with a recombinant bacterial antigen produced in transgenic plants.Science268:714-716を参照のこと。NcoI/PstI上のHN5’側半分およびPstI/KpnI上のHN3’側半分との連結によって、HN遺伝子をpTH252A/NcoI−KpnIに挿入して、pHN252Aを作製した。バイナリーT−DNAベクターpgHNを、NsiIおよびEcoRIで消化したベクターpGLTB(図11に示す)と、フラグメントpHN252A/NsiI−KpnIおよびpTH210/KpnI−EcoRIとの連結によって作製した。pgHNのマップを図5に示す。
【0063】
HindIII/NcoIで消化したベクターpTH210(Haq1995)と、pKS−GBNのHindIII/NcoIフラグメントとの連結によってU.S.Patent No.5,824,798(参照により本明細書に援用される)に記載のGBSS 5’UTRを含有するGBSSプロモーター発現カセットを集成し、1084bpのGBSSプロモーター/5’−UTRによる(カリフラワーモザイクウイルス)CaMV35Sプロモーター/TEV 5’UTRの置換を生じさせて、pTH251Aを作製した。バイナリーT−DNAベクターpgHN151を、ベクターpCLT105(図12に示す)とフラグメントpTH251A/HindIII−NcoIおよびpHN252A/NcoI−KpnIとの連結によって作製した。pgHN151のマップを図6に示す。
【0064】
そのイントロンを伴うGBSS 5’UTRおよびマメファセオリン3’エレメントを含有するGBSSプロモーター発現カセット(U.S.Patent No.5,270,200;6,184,437;6,320,101(参照により本明細書に援用される)に記載されている)を構築した。第1に、pCP!Hを、独特なKpnI部位で消化し、T4DNAポリメラーゼで平滑化し、再連結して、KpnI部位が取り出されたpCP!HKを作製した。pCP!HKをNsiIで消化し、続いて、T4DNAポリメラーゼで平滑化し、次いで、PacIで消化した。生じるベクターを、SacIで消化したpgHN151由来の2848bpフラグメントと連結させ、T4DNAポリメラーゼで平滑化し、次いで、PacIで消化して、pgHN153を作製した。gHN153のマップを図7に示す。
【0065】
キメラ構成性プロモーター(4OCSΔMAS U.S.Patent No:5,001,060;5,573,932および5,290,924(参照により本明細書に援用される))を使用して、HNのための別の発現ベクターを構築した。プラスミドpAGM149を、EcoRVで消化およびBamHIで部分消化した。このフラグメントを、PmeI/PstIで消化したpCHNおよびBamHI/PstIによるpKS−CHNの消化によって得られる合成HN遺伝子の5’側半分と連結させた。生じるpMHNを図8に示す。
【0066】
AIV A/turkey/Wisconsin/68(H5N9)のHA遺伝子を含有するプラスミドを、David Suarez(SEPRL、ジョージア州Athens)から入手した(図10)。それを、PCRにより末端処理(end−tailored)して、5’末端に制限部位NcoIおよび3’末端に制限部位KpnIを付加し、そして35Sプロモーター、TEV 5’−UTR、およびvspB3’末端を含有するベクターpIBT210.1(Haq et al.,1995)に挿入した。発現カセットを、HindIIIおよびEcoRI(部分的)による消化によってバイナリーベクターpGPTV−Kan(Becker et al.,Plant Mol Biol1992;20:1195-7)にトランスファーし、pIBT−HAOを作製した。pIBT−HAO由来のHA遺伝子/vspB3’末端フラグメントを、NcoIおよびEcoRI(部分的)による消化によって入手し、そして、pKS−CVM7に挿入して、pKS−CHAを作製した。CsVMVプロモーター、HA遺伝子、およびvspB3’末端を含有するカセットを、AscIおよびEcoRI(部分的)による消化によってpKS−CHAから入手し、そしてpCP!Hと連結させて、図9に示すpCHAを作製した。
【0067】
大腸菌(E.coli)株H10407のLT−B遺伝子をコードする植物最適化配列は、当該技術分野において公知である(Mason HS,Haq TA, Clements JD,Arntzen CJ, 1998, Vaccine16:1336-1343)。大腸菌(E.coli)株H10407のLT−A遺伝子をコードする植物最適化配列については、本来U.S.Provisional Application Number60/113,507として出願されたWO/00/37609に記載されている(それらの教示全体は、参照により本明細書に援用される)。WO/00/37609には、実施例2においてタバコ(Nicotiana tabacum)NT−1細胞のアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)仲介植物細胞形質転換に使用した3つのバイナリーT−DNAベクター(pSLT102、pSLT105、pSLT107)の構築が記載されている。生じる形質転換NT−1細胞系統(SLT102、SLT105およびSLT107)は、LT−Bおよび改変された形態のLT−Aサブユニットからなる十分に集成されたLTおよびLTアナログを発現および蓄積した。図12は、Ala72をArg72で置き換える改変されたLT−A遺伝子を含有するpSLT107を例示する。SLT102およびSLT105発現産物は、それらが、LT−A遺伝子において異なる変更(pSLT102ではSer63からLys63へ;pSLT105ではArg192からGly192へ)を含有したことを除いて、同一であった。これらの系統は、核染色体DNAに安定に組み込まれたプラスミドの未知数のT−DNA領域の複製を含有する。トランスジェニックNT1細胞は、ガングリオシド依存性ELISAによって決定されるように、全可溶性タンパク質の0.4%までのレベルでガングリオシド結合性ペンタマーに集成するLT−Bサブユニットを蓄積する。トランスジェニックNT1細胞はまた、改変されたLT−Aサブユニットを蓄積し、それらのいくつかは、LT−A特異的抗体を使用するガングリオシド依存性ELISAによって決定されるようなLT−Bペンタマーを伴って集成した。
【0068】
アグロバクテリウム(Agrobacterium)仲介植物細胞形質転換のためのバイナリーベクターを、独特なBamHI部位で改変され、VP2および選択マーカー発現カセットの付加のためのAgeIリンカーを伴う基本バイナリーベクター(pBBV)から構築した。VP2は、RB7MARエレメント(U.S.Patent No.5,773,689; U.S.Patent No.5,773,695; U.S.Patent No.6,239,328、WO94/07902、およびWO97/27207)ならびにアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumifaciens)(Atu)ORF24(GenBank受託番号X00493)3’UTRを伴うCsVMVプロモーターにフランキングする。選択マーカーPATは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(At)ユビキチン10プロモーター(Plant J.1997.11(5): 1017;Plant Mol.Biol.1993.21(5): 895;Genetics,1995, 139(2):921)およびAtu ORF1(U.S.Patent No.5428147; Plant Molecular Biology.1983.2:335;GenBank受託番号X00493)3’UTRによってレギュレートされる;生じるプラスミドpDAB2423を図13に示す。
【0069】
伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)ウイルス、超強毒株Ehime91(J Vet Med Sci.1992.54(1): 153;JVI.2002.76(11): 5637)を使用し、株UK661(GenBank受託番号NC004178)由来のアミノ酸番号454〜456を伴う報告されたVP2アミノ酸配列(GenBank受託番号AB024076)に基づいて、VP2植物最適化ヌクレオチド配列を産生させた。(VP2配列についての図14を参照のこと)。
【0070】
実施例2:トランスジェニックタバコ(NICOTIANA TABACUM)の調製
形質転換の3〜4日前に、2mlのNT−1培養物を40mlNT−1培地に添加することによって、1週齢のNT−1培養物を新鮮培地にサブ培養した。サブ培養したものは、暗所、25±1℃、振盪機上100rpmで維持した。
【0071】
【表1】

B1イノシトールストック(100倍)(1リットル)
チアミンHCl(ビタミンB1)−0.1g
MES (20倍) (1リットル)
MES (2−N−モルホリノエタンスルホン酸)−10g
ミオイノシトール−10g
ミラー(Miller)I(1リットル)
KH2PO4−60g
【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
目的の発現ベクターを含有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を、グリセロールストックから50mg/lスペクチノマイシンを含有するLB培地のプレート上に画線した。細菌培養物を、暗所において、30℃で24〜48時間、インキュベートした。1つの良好に形成されたコロニーを選択し、そして50mg/Lスペクチノマイシンを含有する3mlのYM培地に移した。液体培養物を、暗所、30℃、インキュベーター振盪機中250rpmで、OD600が0.5〜0.6となるまで、インキュベートした。これは、約24時間を要した。
【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

(あるいは、粉末形態のYMを購入することができる(Gibco BRL;カタログ番号10090−011)。液体培養培地を作製するために、11.1gを1リットルの水に添加する。)
【0077】
形質転換の日において、NT−1培養物のmlあたり1μlの20mMアセトシリンゴンを添加した。形質転換の日にエタノール中アセトシリンゴンストックを作製した。NT−1細胞を損傷させて、形質転換効率を増加させた。損傷のために、懸濁培養物を、5mlワイドボア滅菌ピペットを介して抜き取り、反復的(20回)に上下させた。4ミリリットルの懸濁液を10枚の60×15mmペトリプレートのそれぞれに移した。1枚のプレートを別に取っておき、非形質転換コントロールとして使用した。約50〜100μlのアグロバクテリウム(Agrobacterium)懸濁液を、残りの9枚のプレートのそれぞれに添加した。プレートをパラフィルムで巻き付け、次いで、暗所、振盪機上、100rpm、25±1℃で3日間、インキュベートした。
【0078】
細胞を、滅菌50ml円錐型遠心管に移し、そしてNTC培地(オートクレーブ後に添加した500mg/Lカルベニシリンを含有するNT−1培地)で45mlの最終容積にした。それらを混合し、次いで、スイングバケットローターを備えた遠心分離機において、1000rpmで10分間、遠心分離した。上清を取り出し、そして得られるペレットを45mlのNTCに再懸濁した。洗浄を反復した。懸濁液を遠心分離し、上清を捨て、そしてペレットを40mlNTCに再懸濁した。5mlのアリコートを、(8g/l寒天/寒天で固化し;オートクレーブ後に添加した10mg/lビアラフォスで補充したNTC培地)を含有する各ペトリプレート(150×15mm)NTCB10培地上にプレート化した。プレートをパラフィルムで巻き付け、次いで、暗所において25±1℃で維持した。培養室に移す前に、プレートを、層流フード中に開放した状態で放置し、過度の液体を蒸発させた。6〜8週間後、推定形質転換体が出現した。それらを選択し、そして新鮮NTCB5(8g/l寒天/寒天で固化し;オートクレーブ後に添加した5mg/lビアラフォスで補充したNTC培地)に移した。プレートをパラフィルムで巻き付け、そして暗所において25±1℃で培養した。
【0079】
推定形質転換体は、死滅した非形質転換細胞のバックグランドに対して、カルスの小さなクラスターとして出現した。これらのカルスをNTCB5培地に移し、そして数週間増殖させた。各推定形質転換体の部分を、ELISA解析のために選択した。ELISAを介する少なくとも2回の稼動後、最も高い抗原レベルを伴う系統を選択した。次いで、選ばれた系統のそれぞれについてのカルス材料の量を、プレート培養物において、および時折、液体培養物において増大させた。
【0080】
実施例3:植物により作製されるタンパク質の安定性
組み換えまたは生来の供給源から抽出したタンパク質は、しばしば、プロテアーゼ、グリコシラーゼ、リパーゼもしくはタンパク質および細胞成分と共に同時精製する他の酵素により不安定である。NT−1細胞から単離されるタンパク質および免疫防御粒子は、本来的に安定であり、異なる多くのタイプの下流のプロセシング活動に対して堅牢である。図14では、CHN−18細胞を、定常期において10リットル発酵槽から回収し、そしてろ過し、遠心分離によって澄明にし、そしてマイクロ流動化した。次いで、上清を、0.2もしくは0.45ミクロンフィルターを介してろ過して、ろ過またはマイクロ流動化を介する操作中に導入され得た任意の細菌因子を取り出し、安定剤をこれらの懸濁液に添加しなかったが、安定性は、これらのトランスジェニック細胞から誘導されるタンパク質に固有である。次いで、材料を、2〜7℃、25℃で貯蔵するかまたは−80℃で凍結させた;材料は、すべての温度で安定であることが見出されたが、しかし、最も興味深い結果は、25℃(周囲温度)で保持した場合、単離されたタンパク質が安定であること(図14に示す)が見出されたことである。シグナルの変動が1箇月ごとに認められたが、単離されたタンパク質の量は数箇月後も顕著な安定性を示したが、これらのデータから算出することができる半減期は、8箇月(0.45ミクロンのサンプル)および0.2ミクロンろ過されたサンプルでは1〜数年を超える外挿された半減期を示す。
【0081】
本明細書に記載の実施例および実施形態は、あくまで例示のためのものであり、それに照らして行われる多様な変形および変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲に含まれることが理解されるべきである。さらに、本明細書において開示した任意の発明またはその実施形態の任意の要素もしくは限定は、本明細書において開示した任意のおよび/または他のすべての要素または限定(個々にもしくは任意の組み合わせで)あるいは他の任意の発明またはその実施形態と組み合わせることができ、そのようなすべての組み合わせは、それに限定を伴うことなく、本発明の範囲にあるとみなされる。
【0082】
実施例4:培地の処方
以下は、寒天上および液体懸濁液において生来のNT−1細胞および組み換えNT−1細胞を培養するために使用される培地の処方である。さらに、NT−1組み換えNT−1を凍結保存するための培地の処方を規定する。
【0083】
培地の処方
A.成分
他で示さない限り、化学薬品を入手するための信頼できる納入業者を使用する
【0084】
【表6】

【0085】
B.処方
1.10倍バッチ塩
【0086】
【表7】

【0087】
b.調製
i.750mLのRO/DI水を適切な容器に添加する。
ii.容器を加熱型撹拌プレート上に配置し、撹拌子で混合する。水を加熱して、すべての成分を溶解する必要があり得る。
iii.すべての成分を水に添加する。
iv.最後の成分を溶解した後、容積を1000mLにする。
v.0.2μフィルターを介して溶液を滅菌する。
vi.室温で貯蔵し、1年間の使用期限を割り当てる。
【0088】
B.2.ビアラホス(5mg/mL)
【0089】
【表8】

【0090】
b.調製
i.50mLのRO/DI水を適切な容器に添加する。
ii.容器を撹拌プレート上に配置し、撹拌子で混合する。
iii.ビアラホスを水に添加し、溶解するまで混合する。
iv.0.2μフィルターを介して滅菌する。
v.凍結し、1年間の使用期限を割り当てる。
【0091】
B. 3. 100倍改変MSビタミン
【0092】
【表9】

【0093】
b.調製
i.500mLのRO/DI水を適切な容器に添加する。
ii.容器を撹拌プレート上に配置し、撹拌子で混合する。
iii.すべての成分を水に添加する。
iv.最後の成分を溶解した後、容積を1000mLにする。
v.0.2μフィルターを介して滅菌する。
vi.2℃〜10℃で貯蔵し、1年間の使用期限を割り当てる。
【0094】
B.4.L−プロリン(2.5M)
【0095】
【表10】

【0096】
b.調製
i.50mLのRO/DI水を適切な容器に添加する。
ii.容器を撹拌プレート上に配置し、撹拌子で混合する。
iii.L−プロリンを水に添加する。
iv.L−プロリンを溶解した後、容積を100mLにする。
v.2℃〜10℃で貯蔵し、3箇月の使用期限を割り当てる。
【0097】
B.5.NT−1寒天プレート
【0098】
【表11】

【0099】
b.調製
i.500mLのRO/DI水を適切な容器に添加する。
ii.容器を加熱型撹拌プレート上に配置し、撹拌子で混合する。
iii.寒天以外のすべての成分を水に添加する。
iv.最後の成分を溶解した後、容積を1000mLにする。
v.寒天を溶液に添加し、寒天が十分に溶解するまで加熱する。
vi.溶液がまだ熱いうちに、溶液を、0.2μフィルターを介して滅菌する。
vii.培地が室温付近になるまで培地を冷却する。
viii.約25mLの寒天を15cm滅菌ペトリ皿のそれぞれにピペッティングし、それぞれのプレートを完全に冷却する。
ix.2℃〜10℃で倒置したプレートを貯蔵し、3箇月の使用期限を割り当てる。
【0100】
B.6.NT−1液体培地
【0101】
【表12】


【0102】
b.調製
i.500mLのRO/DI水を適切な容器に添加する。
ii.容器を撹拌プレート上に配置し、撹拌子で混合する。
iii.すべての成分を水に添加する。
iv.最後の成分を溶解した後、容積を1000mLにする。
v.750mlアリコートに分配し、≧121℃で30分間オートクレーブする。
vi.2℃〜10℃で貯蔵し、1年間の使用期限を割り当てる。
【0103】
B.7.NT1VP培地
【0104】
【表13】



【0105】
b.調製
i.500mLのRO/DI水を適切な容器に添加する。
ii.容器を撹拌プレート上に配置し、撹拌子で混合する。
iii.すべての成分を水に添加する。
iv.最後の成分を溶解した後、容積を1000mLにする。
v.500mlアリコートに分配し、≧121℃で30分間オートクレーブする。
vi.2℃〜10℃で貯蔵し、1年間の使用期限を割り当てる。
【0106】
B.8.凍結保存培地
【0107】
【表14】


【0108】
b.調製
i.グリセロールを適切な容器に添加する。
ii.容器を加熱型撹拌プレート上に配置し、撹拌子で混合する。
iii.NT1VP培地を容器に添加する。
iv.低熱で混合し、溶解するまでスクロースを緩徐に添加する。
v.DMSOを添加する。
vi.0.2μフィルターを介して滅菌する。
vii.2℃〜10℃で培地を貯蔵し、1年間の使用期限を割り当てる。
【0109】
実施例5
マイコプラズマ増殖を支持するための植物細胞増殖培地および懸濁培養物の評価
本明細書において開示した組み換えタバコ由来植物細胞系統、CHN−18NT−1、および増殖培地は、マイコプラズマの増殖を支持しない。本研究の目的は、NT−1増殖培地またはNT−1およびCHN−18NT−1の懸濁培養物が2つの種のマイコプラズマ、マイコプラズマ・ハイオライニス(Mycoplasma hyorhinis)およびマイコプラズマ・ライドラウィ(Acholeplasma laidlawii)の増殖を支持することができるかどうかを決定することであった。
【0110】
方法は、9CFR113.28に従った。試験の0日目、マイコプラズマによる接種の前に、試験材料をマイコプラズマ寒天上に配置して、試験材料中にマイコプラズマがないことを実証した。マイコプラズマポジティブコントロールを接種した試験材料は、試験の0日目に、マイコプラズマ寒天上に配置しなかった。マイコプラズマ接種試験材料のマイコプラズマ寒天へのサブ培養を、3、7、10および14日目に実施した。試験の第1日目に、マイコプラズマブロスおよび寒天にマイコプラズマポジティブコントロールを接種することによって、ポジティブコントロールを調製した。マイコプラズマブロスおよび寒天にマイコプラズマブロスを接種することによって、ネガティブコントロールを調製した。3、7、10および14日目に、ポジティブならびにネガティブコントロールをマイコプラズマ寒天上でサブ培養した。すべてのマイコプラズマ寒天プレートを、典型的なマイコプラズマのコロニーについて、接種の10〜14日後に調べた。
【0111】
試験材料は、NT−1植物細胞増殖培地およびCHN−18植物細胞増殖培地ならびにNT−1およびCHN−18植物懸濁細胞培養物であった。それらが活動的に増殖していた(3〜4日齢の培養物)場合、植物懸濁培養物にマイコプラズマを接種した。
【0112】
NT−1増殖培地は、マイコプラズマの増殖を支持しなかった(表1)。マイコプラズマポジティブコントロール生物体を接種したNT−1増殖培地からサブ培養したいずれのマイコプラズマ寒天プレートにおいても、マイコプラズマのコロニーは観察されなかった。マイコプラズマポジティブコントロールを添加する前に寒天プレート上に配置したNT−1培地もまた、マイコプラズマの増殖を示さなかった。ポジティブコントロールでは、マイコプラズマブロスにおいて混濁増殖が認められ、すべてのマイコプラズマ寒天プレートにおいてマイコプラズマのコロニーが観察された。ネガティブコントロールでは、マイコプラズマブロスにおいて増殖が認められず、いずれのマイコプラズマ寒天プレートにおいてもマイコプラズマのコロニーは存在しなかった。
【0113】
【表15】

TNTC:大過剰のため計数不能、プレートあたり>100コロニー
ND:実施せず、マイコプラズマポジティブコントロール生物体を伴わないNT−1培地を0日目に試験したところ、マイコプラズマのコロニーは認められなかった。
【0114】
NT−1細胞懸濁培養物は、マイコプラズマの増殖を支持しなかった(表2)。マイコプラズマポジティブコントロール生物体を接種したNT−1細胞懸濁培養物からサブ培養したいずれのマイコプラズマ寒天プレートにおいても、マイコプラズマのコロニーは観察されなかった。マイコプラズマポジティブコントロールを添加する前に寒天プレート上に配置したNT−1細胞懸濁培養物もまた、マイコプラズマの増殖を示さなかった。ポジティブコントロールでは、マイコプラズマブロスにおいて混濁増殖が認められ、すべてのマイコプラズマ寒天プレートにおいてマイコプラズマのコロニーが観察された。ネガティブコントロールでは、マイコプラズマブロスにおいて増殖が認められず、いずれのマイコプラズマ寒天プレートにおいてもマイコプラズマのコロニーは認められなかった。
【0115】
【表16】

TNTC:大過剰のため計数不能、プレートあたり>100コロニー
ND:実施せず、マイコプラズマポジティブコントロール生物体を伴わないNT−1細胞懸濁培養物を0日目に試験したところ、マイコプラズマのコロニーは認められなかった。
【0116】
CHN−18増殖培地および細胞懸濁培養物は、マイコプラズマの増殖を支持しなかった(表3)。マイコプラズマポジティブコントロール生物体を接種したCHN−18増殖培地または細胞懸濁培養物からサブ培養したいずれのマイコプラズマ寒天プレートにおいても、観察されたマイコプラズマのコロニーは存在しなかった。マイコプラズマポジティブコントロールを添加する前に寒天プレートに配置したCHN−18培地またはCHN−18細胞懸濁培養物では、マイコプラズマの増殖は観察されなかった。ポジティブコントロールでは、マイコプラズマブロスにおいて混濁増殖が認められ、すべてのマイコプラズマ寒天プレートにおいてマイコプラズマのコロニーが観察された。ネガティブコントロールでは、マイコプラズマブロスにおいて増殖が認められず、いずれのマイコプラズマ寒天プレートにおいてもマイコプラズのマコロニーは認められなかった。
【0117】
【表17】

TNTC:大過剰のため計数不能、プレートあたり>100コロニー
ND:実施せず、マイコプラズマポジティブコントロール生物体を伴わないCHN−18増殖培地を0日目に試験したところ、マイコプラズマのコロニーは認められなかった。
【0118】
マイコプラズマは、NT−1細胞の産生において使用されたNT−1増殖培地またはCHN−18増殖培地のいずれにおいても増殖しなかった。さらに、NT−1の懸濁培養物またはCHN−18細胞の懸濁培養物のいずれも、マイコプラズマの増殖を支持することができなかった。これらのデータは、NT−1およびCHN−18増殖培地、ならびにNT−1およびCHN−18の培養物が、マイコプラズマの増殖を支持することができないことを実証する。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1A】(配列番号1)。NDV株「ラソタ(Lasota)」のHN遺伝子の植物最適化コーディング配列およびタンパク質配列。
【図1B】(配列番号2)。NDV株「ラソタ(Lasota)」のHN遺伝子の植物最適化コーディング配列およびタンパク質配列。
【図2】構成性CsVMV(キャッサバ葉脈モザイクウイルス(cassava vein mosaic virus))プロモーターによって駆動され、MAS3’(マンノピンシンターゼ)エレメントによって末端化される植物選択マーカーPAT(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)を含有するpBBV−PHAS−iaaHのマップ。植物ゲノムに組み込まれるDNAの境界を表すアグロバクテリウム(Agrobacterium)由来のLBおよびRB(左および右のT−DNA境界)エレメント。
【図3】免疫防御抗原を発現するための様々な植物発現ベクターの開始プラスミドとして使用される「テンプレートベクター」であるpC!Hのマップ。
【図4】NDV HNタンパク質のpCHN発現ベクターのマップ。HN発現ベクターまたはカセットは、構成性CsVMVプロモーターによって駆動され、ダイズvspB3’エレメントによって末端化される。
【図5】NDV HNタンパク質のpgHN発現ベクターのマップ。HN発現カセットは、TEV 5’UTRを伴う塊茎特異的GBSSプロモーターによって駆動され、ダイズvspB3’エレメントによって末端化される。
【図6】NDV HNタンパク質のpgHN151発現ベクターのマップ。HN発現カセットは、その生来の5’UTRおよびイントロンを伴う塊茎特異的GBSSプロモーターによって駆動され、ダイズvspB3’エレメントによって末端化される。ベクターは、CsVMVプロモーターによって駆動され、MAS3’エレメントによって末端化される植物選択マーカーPATを含有するpBBV−PHAS−iaaHから誘導される。植物ゲノムに組み込まれるDNAの境界を表すLBおよびRB、左および右のT−DNA境界エレメント。
【図7】NDV HNタンパク質のpgHN153発現ベクターのマップ。HN発現カセットは、その生来の5’UTRおよびイントロンを伴う塊茎特異的GBSSプロモーターによって駆動され、マメファセオリン3’エレメントによって末端化される。ベクターは、CsVMVプロモーターによって駆動され、MAS3’エレメントによって末端化される植物選択マーカーPATを含有するpBBV−PHAS−iaaHから誘導される。植物ゲノムに組み込まれるDNAの境界を表すLBおよびRB、左および右のT−DNA境界エレメント。
【図8】NDV HNタンパク質のpMHN発現ベクターのマップ。HN発現カセットは、構成性4OCSΔMASプロモーター(P2方向)によって駆動され、ダイズvspB3’エレメントによって末端化される。ベクターは、CsVMVプロモーターによって駆動され、MAS3’エレメントによって末端化される植物選択マーカーPATを含有するpBBV−PHAS−iaaHから誘導される。植物ゲノムに組み込まれるDNAの境界を表すLBおよびRB、左および右のT−DNA境界エレメント。
【図9】AIV A/turkey/Wisconsin/68(H5N9)のHA遺伝子のpCHA発現ベクターのマップ。
【図10】(配列番号3および4)。AIV A/turkey/Wisconsin/68(H5N9)のHA遺伝子のDNAおよびタンパク質配列。
【図11】pGLTB中間ベクターのマップ。
【図12】pCLT105中間ベクターのマップ。
【図13】pDAB2423。VP2をコードするバイナリーベクター。
【図14】(配列番号10)。IBDV伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)ウイルス、超強毒株Ehime91のVP2遺伝子のDNA配列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質性薬剤を産生するための植物細胞培養物であって、
a)タンパク質性薬剤をコードする導入遺伝子を発現するように安定的に形質転換された植物細胞系統と、
b)前記植物細胞培養物の増殖を支持するが、マイコプラズマ(Mycoplasmataceae)の増殖を支持せず、そして動物起源の材料を含有しない増殖培地と、
を含み、
ここで、前記植物細胞系統は、継代中に一過性導入遺伝子発現が維持されるように連続的に継代されることが可能であり、前記植物細胞系統は、凍結保存からの回収時に一過性導入遺伝子発現が回復されるように凍結保存されることが可能である植物細胞培養物。
【請求項2】
前記形質転換植物細胞系統は、下等植物細胞系統、双子葉細胞系統または単子葉細胞系統である、請求項1に記載の植物細胞培養物。
【請求項3】
前記形質転換植物細胞系統は双子葉である、請求項2に記載の植物細胞培養物。
【請求項4】
前記形質転換植物細胞系統はタバコ細胞系統である、請求項3に記載の植物細胞培養物。
【請求項5】
前記タバコ細胞系統はNT−1またはBY−2から選択される、請求項4に記載の植物細胞培養物。
【請求項6】
前記双子葉形質転換細胞系統は、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ、アルファルファおよびダイズを含むマメ科植物、ニンジン、イチゴ、レタス、オーク、カエデ、クルミ、バラ、ハッカ、ヒマワリ、ベニバナ、ワタ、タバコ、カボチャ、ヒナギク、カノーラまたはサボテンから選択される植物から誘導される、請求項3に記載の植物細胞培養物。
【請求項7】
前記単子葉形質転換細胞系統は、コムギ、芝、芝草、穀類、メイズまたはトウモロコシ、イネ、エンバク、コムギ、オオムギ、モロコシ、ラン、アヤメ、ユリ、タマネギ、バナナ、サトウキビ、モロコシ、およびヤシから選択される植物から誘導される、請求項2に記載の植物細胞培養物。
【請求項8】
前記形質転換下等植物細胞系統は、シダ、裸子植物、針葉植物、スギナ、ヒカゲノカズラ、苔類、ツノゴケ、コケ、紅藻、褐藻、配偶体、シダ植物の胞子体、または緑藻から誘導される、請求項2に記載の植物細胞培養物。
【請求項9】
前記タンパク質性薬剤はトリウイルス由来のタンパク質である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の植物細胞培養物。
【請求項10】
前記タンパク質は、ニューカッスル病ウイルス(NDV)由来のヘマグルチニン/ノイラミニダーゼタンパク質、トリインフルエンザウイルス(AIV)由来のヘマグルチニンタンパク質、または伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス由来のVP2タンパク質である、請求項9に記載の植物細胞培養物。
【請求項11】
前記タンパク質は、配列番号2、配列番号4または配列番号12を含む、請求項9に記載の植物細胞培養物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−514547(P2009−514547A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540036(P2008−540036)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/041305
【国際公開番号】WO2007/055894
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(390039192)ダウ・アグロサイエンス・エル・エル・シー (20)
【氏名又は名称原語表記】Dow AgroSciences LLC
【Fターム(参考)】