組み立て玩具
【課題】硬質素材且つ接合部に凹凸部を設けた組み立て玩具は、組み立て時にパーツを組み合わせる方向、位置に制限があり、造形する物体の具体性を表現するにあたり、どうしても物足りなく感じる面があった。
【解決手段】本願発明による組み立て玩具は、パーツを、スポンジや綿などの軟質軽量の素材を雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する布で被覆し円柱状の軸とし、その両端部分に接合手段として雄雌混在の面ファスナーを設けたものである。これにより、軸の両端を軸の任意の位置で接合させる事が可能となり、物体における具体性を自由且つ簡単に表現できる事を可能とした。また、パーツの軸には留め具などの凹凸がない為、非常にスマートな、美観に優れた物体を造形する事ができるものである。
【解決手段】本願発明による組み立て玩具は、パーツを、スポンジや綿などの軟質軽量の素材を雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する布で被覆し円柱状の軸とし、その両端部分に接合手段として雄雌混在の面ファスナーを設けたものである。これにより、軸の両端を軸の任意の位置で接合させる事が可能となり、物体における具体性を自由且つ簡単に表現できる事を可能とした。また、パーツの軸には留め具などの凹凸がない為、非常にスマートな、美観に優れた物体を造形する事ができるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、単純な形状の2種類のパーツを複数、あるいは多数組み立てていく事で、自由且つ複雑な形状を造形できる軽量且つ軟質素材の組み立て玩具に関するものである。
【技術背景】
【0002】
組み立て玩具には様々な種類がある。それぞれに特徴があり、パーツの種類を厳選し、興味、嗜好別にパーツをセットにしているもの、多数のパーツにより自由な物体を造形していくものなどがある。その組み立て玩具の大概は、接合部としてパーツに凹凸部を設け、その部分同士を嵌合して造形していくものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
元来、組み立て玩具は、どれもその性質上、パーツにある程度の数量が必要である。その為、素材によっては嵩、重量共に増え、使用場所にもある程度の広さを要し、幼児などの外出時に、手軽に持って行ける様な性質のものではない。また、硬質素材のものは、造形する際、誤って落とすようなことがあった場合などに衝撃音が生じたり、乳幼児の発達段階における「投げて遊ぶ」等の行為を鑑みると、けがや、家具などの破損を伴う危険性もある。
【0004】
また、接合部に凹凸部を設けた組み立て玩具は、硬質素材のものが多く、パーツ自体は、変形不能の固体である。その為、組み立て玩具を造形していく上で、接合は硬いパーツの定位置に存在する凹凸部などの接合部に限定され、接合したい方向を自由に選びながら造形することは難しかった。そしてそれを補うために、さまざまな形状のパーツや、方向を転換する為の連結具としてのパーツ、また、接合部となる凹凸を多数設けたパーツなどが存在したりしている。他にも接合部に磁石を使ったもの、パーツの全面を面ファスナーで被覆したもの、接合部を要しない積み木などが存在する。
【0005】
本願発明者は、これらの事から、幼児の外出時や帰省時など、どこにでも手軽に運搬が可能で、安全、清潔に使用でき、また、組み立てに関しては別途連結具を要さずとも単純な形状のパーツのみでさまざまな造形物を構築できる、軽量、且つ軟質素材の組み立て玩具を発明し、特許申請した過去を持つ(特許文献1参照)。これは、連結具不要であらゆる方向への組み立てを可能にする為、本願発明の第1軸(図2参照)、第2軸(図4参照)と同形状の支軸を考案したもので、尚且つその接合手段として接合部である支軸の両端部分に、雄、または雌のどちらかの留め具を設け、その留め具を嵌合し造形させていくという特徴を持つものであった。しかし組み立て作業を行う点で、二つの問題を抱えていた。
【0006】
一つ目は、第2軸の両端に設けた雄、または雌の留め具を嵌合させる際、第2軸の形状上雄の留め具の凸部が指先の腹に当たり、多少の違和感を感じることであった。違和感を払拭させようとさまざまな種類の留め具を試みたが、現在、劇的に改善されるまでには至っていない。
【0007】
二つ目は、三角すい、四角柱、円形など、さまざまな形状の造形を可能とさせるため、パーツの形状を第1軸、第2軸の2種類とし、更に第2軸において雄、雌の留め具の付け方に2種類のバリエーションを持たせ、パーツは全部で3種類とする必要があったのだが、それでは組み立て時に、第1軸、第2軸共に、留め具を嵌合させるにあたって支軸の両端部に雄雌どちらの留め具が付いているかパーツを見極めなければならず、特に第2軸においては、一見相似する2種類の支軸の留め具を確認あるいは選別する必要が生じるため、組み立ての潤滑さにおいて難点であった。本願発明は、先願発明の組み立て玩具と第1軸、第2軸共に形状は同形とした上で、接合手段を「雄雌の留め具の嵌合」とは別の手段にすることで、これらの二つの難点を一気に解決し、より簡単に造形作業が行えるようにしたものである。
【0008】
また、先願発明の組み立て玩具は、パーツが軟質で変形可能なため、色々な形を造形でき充分楽しく遊べるものであったが、更にその際に湧いてくる、より複雑あるいは具体化させた形状構築への欲求を満足させようとすると、組み立てが嵌合部分(留め具を設けた軸の両端部分)に限られてしまっている事が、足かせとなる部分があった。これは支軸の両端部分のみならず中央部分にも雄雌の留め具を設けることで解決するが、美観的には優れたものとは言えず、生産工程の上からもかなりの手間を要することとなり量産する事において、現実的とは言い難いものであった。
【0009】
パーツを任意の位置、方向で接合させることが可能という意味においては、面ファスナーを接合手段としたものがある(特許文献2参照)。これは、パーツは硬質の図形体であり、それらのさまざまな立体の任意の一面、球体の表面の一部、あるいは、プレート状の円形、多角形などの周縁壁には雄雌混在のテープ状の面ファスナーを、それぞれの他の面には雄、又は雌のどちらかのシート状の面ファスナーを被覆したものである。そしてその図形体を任意の位置、方向に接合させることにより物体を造形していくものである。これは、接合部の範囲が広くなる為、組み立ての自由度が増し、楽しみも広がると思われるが、パーツ形状は多種の図形体でまたそれら自体は変形し得るものではなく、柔軟素材の支軸をパーツとする本願発明とは趣旨の異なるものである。また、本願発明の組み立て玩具の支軸の全面を面ファスナーで被覆した場合、面ファスナー自体の厚み、硬さの面から支軸を屈曲させる事に不自由さが生じてくるため、本願発明の組み立て玩具の特徴を生かす事は難しいと思われる。また、本願発明の組み立て玩具の支軸の基本形状が全て円柱状であることから、長手方向に平行に並べた際、摩擦面が多くなりパーツ同士がくっつき易く、組み立て作業に手間取る懸念もある。
【0010】
また、造形物に具体性を追求していくものとすれば、パーツ自体が変形する特徴を持つものもある(特許文献3参照)。このパーツは、塑性変形が可能な芯材の外周部に軟質の被膜を覆生地で覆ったもので構成され、本願発明の素材とは異なるものである。これは、自由に変形できる面においては大変に面白いが、やはりパーツ同士の接合は、パーツの両端に位置する凹凸の嵌合部分だけとなっている。
【0011】
そういったことから、従来の組み立て玩具は、本願発明者の先願発明を含め、より具体的な形状を構築しようとした場合には、物足りなさを感じることもあった。組み立て玩具の楽しみ方は、人それぞれである。だが今回、玩具を楽しむ一番の目的、醍醐味を、各人が自由に思い描いた創造物をそのまま形にしていく事とした場合、本願発明の組み立て玩具は、かなりの確率でその要求を満たしたものとなった。しかも、組み立て作業が簡素化し、各人は想像を巡らせる事に集中することができ、作品作りは一層楽しいものとなるであろう。今回の発明は、先願発明の軽量且つ柔軟さで生じる利点はそのままに、先の二つの難点を克服しただけでなく、更に組み立てにおいて創造物の構築性、具体性を高めることを可能とした組み立て玩具であり、これを改めて本願発明として申請するものである。
【先行技術文献】
【0012】
【特許文献】
【特許文献1】特開2006−230989号広報
【特許文献2】実登3088771号広報
【特許文献3】特開平07−313741号広報
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明の組み立て玩具は、スポンジや綿などの軽量且つ柔軟性を持つ素材で支軸内部を構成し、それを雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する機能を持つ被覆生地で被覆し円柱状の軸にし、接合部分とするその両端に雄雌混在の面ファスナーを設けたものをパーツとするものである。パーツは、軸の両端の形状に差異を持たせた2種類とする。本願発明は、この2種類の支軸を複数、あるいは多数使用し、物体を造形させるものである。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の組み立て玩具は、雄雌混在の面ファスナーと着脱性を持つ被覆生地に、軽量且つ柔軟な綿やスポンジなどを詰めた円柱状の支軸をパーツとする為、まず、パーツは適度に柔らかく、屈伸可能なものとなる。また、パーツである支軸の両端に、接合手段となる雄雌混在の面ファスナーを設ける。これは、一面にフックとループが混在しているもので、それを支軸の両端につけることにより、支軸は他軸との組み立て時に雄同士、雌同士となり接合出来なくなる心配がなくなり、端部を気にせず自由に他軸のどの端部とも接合する事が可能となる。更に、支軸の被覆生地は、雄雌混在の面ファスナーに着脱する、という特性を持っているものである。これにより、支軸の両端部はそれぞれ、他軸の端部のみならず、いかなる部分においても接合が可能となるのである。あるいは、支軸の1種類は、支軸を折り曲げたり丸めたりすることで、その一端部を支軸自体の任意の場所と接着させ、支軸自体を変形させその形状を維持する事をも可能となる。もちろん、支軸は他軸の任意の場所と接合させることが出来るのは言うまでもない。これらにより、実に簡単に多種多様の物体を造形させることが出来るようになる。また、パーツである支軸には、接合部として留め具などによる凹凸がないため、実にスマートな出来栄えとなり、創作した物体は軽量でぬいぐるみのような感覚で扱うことができ、美観的にも優れたものとなる。
【0015】
本願発明の組み立て玩具は、単純な形体の2種類のパーツを複数あるいは多数組み合わせることで造形させていくものである。図1は、それらを複数使って組み立てた実施例の一つであり、「象」を造形したものである。以下本願発明のパーツを説明する。
【0016】
まず1種類目のパーツとして、第1軸Aがある。第1軸Aは、図2(イ)、(ロ)、(ハ)に示すように、支軸内部3aを構成するスポンジや綿などの軽量且つ柔軟な素材を、雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する被覆生地4aで被覆し、円柱状の支軸としたものである。その両端の面に、それぞれ雄雌混在の面ファスナー1aを縫い付ける。第1軸Aは2か所に雄雌混在の面ファスナー1aが付いている支軸2aである。
【0017】
第1軸A同士の接合は、図3(イ)に示すように、基本的には、互いの端部の雄雌混在の面ファスナー1a同士を接合させ、長手方向へ支軸を延ばしていくことが可能である。また、第1軸Aの両端部分の雄雌混在の面ファスナー1aは、図3(ロ)に示すように、他の第1軸Aの被覆生地4aで覆われているいかなる部分とも接着する事が出来る。つまり、他軸2aの全ての部分と接合が可能なのである。
【0018】
次に、2種類目のパーツとして、第2軸Bがある。第2軸Bも第1軸Aと同様、支軸内部を構成するスポンジや綿などの軽量且つ柔軟な素材を、雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する布で被覆し、円柱状の支軸とする。図4(イ)、(ロ)に示すように、第2軸Bは、その支軸の両端を上下より潰し扁平状にし、その扁平状となった部分の表面、裏面に、それぞれ雄雌混在の面ファスナー1bを縫い付ける。これにより、第2軸Bは、4か所に雄雌混在の面ファスナー1bが付いている支軸2bとなる。第2軸B同士の接合は、基本的には図5のように、雄雌混在の面ファスナー1bを重ね合わせる事によるものである。
【0019】
その際、第2軸B同士の接合は、図6(イ)に示すように、支軸2b同士の一端部の雄雌混在の面ファスナー1bを色々な角度で重ね合わせる事で、平面上においてあらゆる方向に支軸2bを接合する事が出来る。また、数本であれば、図6(ロ)のように、支軸2bの両端の雄雌混在の面ファスナー1bを接合させ、支軸2bをぴったりと重ね合わせる事も可能である。もちろん、第2軸Bの両端部分は、第1軸A同様、他の第2軸Bのいかなる部分とも接合が可能である。
【0020】
また、第2軸Bは図7(イ)に示すように、支軸2bを二つに折り曲げ、一端の雄雌混在の面ファスナー1bを他端の同面の雄雌混在の面ファスナー1bに接着させること、あるいは図7(ロ)のように支軸を二つに折り曲げ、一端の雄雌混在の面ファスナー1bを同面の雄雌混在の面ファスナーと密着性を持つ被覆生地4bに接着させることが可能である。また、図8(イ)に示すように、第2軸Bを輪状にし、一端の雄雌混在の面ファスナー1bを他端の裏面の雄雌混在の面ファスナー1bに接着させること、あるいは、図8(ロ)のように第2軸Bの一端の雄雌混在の面ファスナー1bを、他端を端から巻いていくことで裏面の雄雌混在の面ファスナーと密着性を有する被覆生地4bに接着させることが可能である。つまり、第2軸Bにおいては、曲げたり巻いたりすることで、他軸のみならず、自軸のいかなる部分とも接着が可能となり、支軸2b自体を変形させ、その形状を維持する事も可能なのである。
【0021】
勿論、第1軸Aと第2軸Bが接合可能な事は、改めて言うまでもない。第1軸Aと第2軸Bの両端の雄雌混在の面ファスナー1a、1b同士の接合は、図9のように、容易に3次元への組み立てを可能にするものとなる。
【0022】
また、錐体の造形においても、接合手段を雄雌の留め具から雄雌混在の面ファスナー1bとした事で、留め具の嵌合を気にする必要がなくなり、第2軸Bだけで容易に造形する事ができるものとなった。
【0023】
第2軸Bは、両端の雄雌混在の面ファスナー1bを設けた接合部を扁平状にしている事で、3つの効果をもたらし、本願発明の組み立て玩具の大きな特徴の一つとなっている。1つ目は、面ファスナー部分が扁平状となっている事で、指の力が伝わりやすくなり、支軸同士をしっかりと接合させる事が出来る。2つ目は、接合面を扁平状にする事で、接合させた部分の厚みを取り、創造物の形状を安定したものにする。これは、雄雌混在の面ファスナー同士の結合時のみならず、被覆生地部分との接合の際にも、同様の効果をもたらす。接合面を安定させ、更には、接合部分の凹凸を軽減し、構築物の形状をより美しく見せる効果がある。3つ目は、その薄さゆえ、図6(イ)に示すように、複数の支軸2bの一端部を一か所で重ね合わせる事が可能となる。これにより、錐体の造形など、造形物のバリエーションが広がる事が期待できる。第2軸Bは、第1軸Aと、支軸における接合面を変え、更にその面を扁平状にする事で、第1軸Aのみでは補えない接合、造形を可能とするものである。更に、今願発明で支軸に雄雌混在の面ファスナーや、その特性を生かす被覆生地を組み合わせたことで、相乗効果を生み、正に自由自在に造形を楽しめる玩具となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図10から図13は、第1軸Aや第2軸Bを使用した、造形物の一例である。本願発明の組み立て玩具は、以上のように支軸が柔らかく、支軸の端部を自軸の、あるいは他軸の任意の場所に接合させる事を可能にした為、2種類の支軸だけで、このようなさまざまな形状を造形する事が出来るのである。図10は、「カタツムリ」を造形したものである。これは、第2軸Bを2本使用する。1本目の第2軸Bを一端から巻いていき、巻き終わりは他端に位置する雄雌混在の面ファスナー1bを接着し形を固定させ、カタツムリの殻部分とする。2本目は1本目より短い第2軸Bを用意し、その一端を折り曲げ雄雌混在の面ファスナー1bを支軸2bの任意の場所に接合させ、その曲げた部分をカタツムリの頭部、直線部分を腹部とする。一本目の円形状となった支軸2bの巻き終わり部分にある雄雌混在の面ファスナー1bを2本目の支軸2bの任意の場所に接合させ、「カタツムリ」とする。
【0025】
図10の「カタツムリ」や図1の「象」は、一例であり、各人により色々な「カタツムリ」や「象」が形成される。だが、そのどれもが、接合部に凹凸がない事でより手芸作品の如く、オブジェに値するものとなり、また、軽くやさしい肌触りの為、ぬいぐるみのように使用する事が可能である。
【0026】
図11は、第1軸A4本と中程度の長さの第2軸B8本で立方体を形成したのち、2本の長い第2軸Bと1本の短い第2軸Bで斜面を、中程度の長さの第2軸B2本と短い第2軸B2本で階段部分を作った「すべり台」である。本願発明の組み立て玩具は、パーツに複数の雄雌の留め具のような接合部を設けなくても、図12に示すような「梯子」のような形状も簡単に、誰でも形作る事が出来る。また台と斜面との接合部分も、第2軸Bの端部が扁平状になっていることからしっかりと接合され、「すべり台」として安定した形状のものになっている。他に自由に「ブランコ」などを作り、手持ちの人形を使って、人形遊びをすることも可能である。
【0027】
図13は、第1軸A2本で房を、第2軸Bを輪状にして実に見立てた、「ブドウ」である。これも、第2軸Bを輪状にする事、また、それを第1軸Aの任意の場所に接合する事が可能である事から実現できる形状であろう。これも接合場所が支軸の両端だけに限られていた先願発明の組み立て玩具では、造形は難しかった形である。「ブドウ」の実を房から取ったりつけたりすることで、ままごと遊びをすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本願発明の組み立て玩具は、パーツの基本形状は全て、円柱状の支軸である。そしてその円柱状の支軸のあらゆる方向への組み立てを可能にするため、接合部分である支軸の両端の形状を変え2種類のパーツとした。本願発明の組み立て玩具は、先願発明と支軸の形状を同じくするも、支軸の素材、接合手段を改善することで、先願発明の難点をすべて克服するものとなった。まず、接合部分を全て雄雌混在の面ファスナー(一面に雄雌両方の機能を持つ面ファスナー)とすることで、パーツの種類は第1軸1種類、第2軸1種類の2種類のみとすることが可能となり、その上、組み立て時にパーツの接合部分の雄雌を確認する必要がなくなった。また、雄雌混在の面ファスナーと着脱する機能を有する布を支軸の被覆素材とすることで、支軸のあらゆる部分との接合を可能にした。つまり、パーツの両端部分をパーツの任意の場所に接合させることだけで、線を延ばしていくような感覚で幼児から老年まで、年齢を問わず誰でも簡単に且つ安全に自由な形を造形することができるようになったのである。作成する物体にフィールドを限定させず、植物、動物、構造物、図形、帽子やメガネなどの装飾品に至るまで、各人の想像力一つで何にでも変化させることができる。また、ぬいぐるみのような感覚で、創造物を使用し遊んだり、飾って楽しんだりすることもできる。安全性においても、雄雌混在の面ファスナーを縫い付けるということにより、留め具が落脱する恐れもなくなることでより向上し、また生産工程においても、多数の留め具を付ける必要がなくなることで格段に簡素化し、生産性も向上するものと思われる。
【0029】
本願発明の組み立て玩具は、雄雌混在の面ファスナーとしてフリーマジック(商標登録)、雄雌混在の面ファスナーと着脱する機能を有する被覆生地として、トイクロス(商標登録)が考えられるが、これに限ったものではない。また、支軸の太さ、長さ、また支軸の柔らかさ、色、柄も特に一通りに限定されない。色々な物があってよい。また、特に、長いパーツにおいては支軸内部の中心部に手芸用の針金などのような、塑性変形可能な芯材を入れ、軸の強度を増すと共に変形させた形状を維持する役割を担わせることによって一層造形物の限界を広げることができると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「象」を表す斜視図
【図2】(イ)第1軸Aの断面図 (ロ)第1軸Aの上面図 (ハ)第1軸Aの側面図
【図3】(イ)第1軸A同士の接合例を表す立面図 (ロ)第1軸A同士の接合例を表す立面図
【図4】(イ)第2軸Bの立面図 (ロ)第2軸Bの上面図
【図5】第2軸B同士の接合例を表す立面図
【図6】(イ)第2軸B同士の接合例を表す上面図 (ロ)第2軸B同士の接合例を表す立面図
【図7】(イ)第2軸Bの変形例を表す立面図 (ロ)第2軸Bの変形例を表す立面図
【図8】(イ)第2軸Bの変形例を表す立面図 (ロ)第2軸Bの変形例を表す立面図
【図9】第1軸Aと第2軸Bの接合例を表す斜視図
【図10】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「かたつむり」を表す斜視図
【図11】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「すべりだい」を表す斜視図
【図12】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「梯子」を表す上面図
【図13】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「ぶどう」を表す斜視図
【符号の説明】
【0031】
1.雄雌混在の面ファスナー
2.支軸
3.支軸内部
4.被覆生地
A 第1軸
B 第2軸
【技術分野】
【0001】
本願発明は、単純な形状の2種類のパーツを複数、あるいは多数組み立てていく事で、自由且つ複雑な形状を造形できる軽量且つ軟質素材の組み立て玩具に関するものである。
【技術背景】
【0002】
組み立て玩具には様々な種類がある。それぞれに特徴があり、パーツの種類を厳選し、興味、嗜好別にパーツをセットにしているもの、多数のパーツにより自由な物体を造形していくものなどがある。その組み立て玩具の大概は、接合部としてパーツに凹凸部を設け、その部分同士を嵌合して造形していくものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
元来、組み立て玩具は、どれもその性質上、パーツにある程度の数量が必要である。その為、素材によっては嵩、重量共に増え、使用場所にもある程度の広さを要し、幼児などの外出時に、手軽に持って行ける様な性質のものではない。また、硬質素材のものは、造形する際、誤って落とすようなことがあった場合などに衝撃音が生じたり、乳幼児の発達段階における「投げて遊ぶ」等の行為を鑑みると、けがや、家具などの破損を伴う危険性もある。
【0004】
また、接合部に凹凸部を設けた組み立て玩具は、硬質素材のものが多く、パーツ自体は、変形不能の固体である。その為、組み立て玩具を造形していく上で、接合は硬いパーツの定位置に存在する凹凸部などの接合部に限定され、接合したい方向を自由に選びながら造形することは難しかった。そしてそれを補うために、さまざまな形状のパーツや、方向を転換する為の連結具としてのパーツ、また、接合部となる凹凸を多数設けたパーツなどが存在したりしている。他にも接合部に磁石を使ったもの、パーツの全面を面ファスナーで被覆したもの、接合部を要しない積み木などが存在する。
【0005】
本願発明者は、これらの事から、幼児の外出時や帰省時など、どこにでも手軽に運搬が可能で、安全、清潔に使用でき、また、組み立てに関しては別途連結具を要さずとも単純な形状のパーツのみでさまざまな造形物を構築できる、軽量、且つ軟質素材の組み立て玩具を発明し、特許申請した過去を持つ(特許文献1参照)。これは、連結具不要であらゆる方向への組み立てを可能にする為、本願発明の第1軸(図2参照)、第2軸(図4参照)と同形状の支軸を考案したもので、尚且つその接合手段として接合部である支軸の両端部分に、雄、または雌のどちらかの留め具を設け、その留め具を嵌合し造形させていくという特徴を持つものであった。しかし組み立て作業を行う点で、二つの問題を抱えていた。
【0006】
一つ目は、第2軸の両端に設けた雄、または雌の留め具を嵌合させる際、第2軸の形状上雄の留め具の凸部が指先の腹に当たり、多少の違和感を感じることであった。違和感を払拭させようとさまざまな種類の留め具を試みたが、現在、劇的に改善されるまでには至っていない。
【0007】
二つ目は、三角すい、四角柱、円形など、さまざまな形状の造形を可能とさせるため、パーツの形状を第1軸、第2軸の2種類とし、更に第2軸において雄、雌の留め具の付け方に2種類のバリエーションを持たせ、パーツは全部で3種類とする必要があったのだが、それでは組み立て時に、第1軸、第2軸共に、留め具を嵌合させるにあたって支軸の両端部に雄雌どちらの留め具が付いているかパーツを見極めなければならず、特に第2軸においては、一見相似する2種類の支軸の留め具を確認あるいは選別する必要が生じるため、組み立ての潤滑さにおいて難点であった。本願発明は、先願発明の組み立て玩具と第1軸、第2軸共に形状は同形とした上で、接合手段を「雄雌の留め具の嵌合」とは別の手段にすることで、これらの二つの難点を一気に解決し、より簡単に造形作業が行えるようにしたものである。
【0008】
また、先願発明の組み立て玩具は、パーツが軟質で変形可能なため、色々な形を造形でき充分楽しく遊べるものであったが、更にその際に湧いてくる、より複雑あるいは具体化させた形状構築への欲求を満足させようとすると、組み立てが嵌合部分(留め具を設けた軸の両端部分)に限られてしまっている事が、足かせとなる部分があった。これは支軸の両端部分のみならず中央部分にも雄雌の留め具を設けることで解決するが、美観的には優れたものとは言えず、生産工程の上からもかなりの手間を要することとなり量産する事において、現実的とは言い難いものであった。
【0009】
パーツを任意の位置、方向で接合させることが可能という意味においては、面ファスナーを接合手段としたものがある(特許文献2参照)。これは、パーツは硬質の図形体であり、それらのさまざまな立体の任意の一面、球体の表面の一部、あるいは、プレート状の円形、多角形などの周縁壁には雄雌混在のテープ状の面ファスナーを、それぞれの他の面には雄、又は雌のどちらかのシート状の面ファスナーを被覆したものである。そしてその図形体を任意の位置、方向に接合させることにより物体を造形していくものである。これは、接合部の範囲が広くなる為、組み立ての自由度が増し、楽しみも広がると思われるが、パーツ形状は多種の図形体でまたそれら自体は変形し得るものではなく、柔軟素材の支軸をパーツとする本願発明とは趣旨の異なるものである。また、本願発明の組み立て玩具の支軸の全面を面ファスナーで被覆した場合、面ファスナー自体の厚み、硬さの面から支軸を屈曲させる事に不自由さが生じてくるため、本願発明の組み立て玩具の特徴を生かす事は難しいと思われる。また、本願発明の組み立て玩具の支軸の基本形状が全て円柱状であることから、長手方向に平行に並べた際、摩擦面が多くなりパーツ同士がくっつき易く、組み立て作業に手間取る懸念もある。
【0010】
また、造形物に具体性を追求していくものとすれば、パーツ自体が変形する特徴を持つものもある(特許文献3参照)。このパーツは、塑性変形が可能な芯材の外周部に軟質の被膜を覆生地で覆ったもので構成され、本願発明の素材とは異なるものである。これは、自由に変形できる面においては大変に面白いが、やはりパーツ同士の接合は、パーツの両端に位置する凹凸の嵌合部分だけとなっている。
【0011】
そういったことから、従来の組み立て玩具は、本願発明者の先願発明を含め、より具体的な形状を構築しようとした場合には、物足りなさを感じることもあった。組み立て玩具の楽しみ方は、人それぞれである。だが今回、玩具を楽しむ一番の目的、醍醐味を、各人が自由に思い描いた創造物をそのまま形にしていく事とした場合、本願発明の組み立て玩具は、かなりの確率でその要求を満たしたものとなった。しかも、組み立て作業が簡素化し、各人は想像を巡らせる事に集中することができ、作品作りは一層楽しいものとなるであろう。今回の発明は、先願発明の軽量且つ柔軟さで生じる利点はそのままに、先の二つの難点を克服しただけでなく、更に組み立てにおいて創造物の構築性、具体性を高めることを可能とした組み立て玩具であり、これを改めて本願発明として申請するものである。
【先行技術文献】
【0012】
【特許文献】
【特許文献1】特開2006−230989号広報
【特許文献2】実登3088771号広報
【特許文献3】特開平07−313741号広報
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明の組み立て玩具は、スポンジや綿などの軽量且つ柔軟性を持つ素材で支軸内部を構成し、それを雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する機能を持つ被覆生地で被覆し円柱状の軸にし、接合部分とするその両端に雄雌混在の面ファスナーを設けたものをパーツとするものである。パーツは、軸の両端の形状に差異を持たせた2種類とする。本願発明は、この2種類の支軸を複数、あるいは多数使用し、物体を造形させるものである。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の組み立て玩具は、雄雌混在の面ファスナーと着脱性を持つ被覆生地に、軽量且つ柔軟な綿やスポンジなどを詰めた円柱状の支軸をパーツとする為、まず、パーツは適度に柔らかく、屈伸可能なものとなる。また、パーツである支軸の両端に、接合手段となる雄雌混在の面ファスナーを設ける。これは、一面にフックとループが混在しているもので、それを支軸の両端につけることにより、支軸は他軸との組み立て時に雄同士、雌同士となり接合出来なくなる心配がなくなり、端部を気にせず自由に他軸のどの端部とも接合する事が可能となる。更に、支軸の被覆生地は、雄雌混在の面ファスナーに着脱する、という特性を持っているものである。これにより、支軸の両端部はそれぞれ、他軸の端部のみならず、いかなる部分においても接合が可能となるのである。あるいは、支軸の1種類は、支軸を折り曲げたり丸めたりすることで、その一端部を支軸自体の任意の場所と接着させ、支軸自体を変形させその形状を維持する事をも可能となる。もちろん、支軸は他軸の任意の場所と接合させることが出来るのは言うまでもない。これらにより、実に簡単に多種多様の物体を造形させることが出来るようになる。また、パーツである支軸には、接合部として留め具などによる凹凸がないため、実にスマートな出来栄えとなり、創作した物体は軽量でぬいぐるみのような感覚で扱うことができ、美観的にも優れたものとなる。
【0015】
本願発明の組み立て玩具は、単純な形体の2種類のパーツを複数あるいは多数組み合わせることで造形させていくものである。図1は、それらを複数使って組み立てた実施例の一つであり、「象」を造形したものである。以下本願発明のパーツを説明する。
【0016】
まず1種類目のパーツとして、第1軸Aがある。第1軸Aは、図2(イ)、(ロ)、(ハ)に示すように、支軸内部3aを構成するスポンジや綿などの軽量且つ柔軟な素材を、雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する被覆生地4aで被覆し、円柱状の支軸としたものである。その両端の面に、それぞれ雄雌混在の面ファスナー1aを縫い付ける。第1軸Aは2か所に雄雌混在の面ファスナー1aが付いている支軸2aである。
【0017】
第1軸A同士の接合は、図3(イ)に示すように、基本的には、互いの端部の雄雌混在の面ファスナー1a同士を接合させ、長手方向へ支軸を延ばしていくことが可能である。また、第1軸Aの両端部分の雄雌混在の面ファスナー1aは、図3(ロ)に示すように、他の第1軸Aの被覆生地4aで覆われているいかなる部分とも接着する事が出来る。つまり、他軸2aの全ての部分と接合が可能なのである。
【0018】
次に、2種類目のパーツとして、第2軸Bがある。第2軸Bも第1軸Aと同様、支軸内部を構成するスポンジや綿などの軽量且つ柔軟な素材を、雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する布で被覆し、円柱状の支軸とする。図4(イ)、(ロ)に示すように、第2軸Bは、その支軸の両端を上下より潰し扁平状にし、その扁平状となった部分の表面、裏面に、それぞれ雄雌混在の面ファスナー1bを縫い付ける。これにより、第2軸Bは、4か所に雄雌混在の面ファスナー1bが付いている支軸2bとなる。第2軸B同士の接合は、基本的には図5のように、雄雌混在の面ファスナー1bを重ね合わせる事によるものである。
【0019】
その際、第2軸B同士の接合は、図6(イ)に示すように、支軸2b同士の一端部の雄雌混在の面ファスナー1bを色々な角度で重ね合わせる事で、平面上においてあらゆる方向に支軸2bを接合する事が出来る。また、数本であれば、図6(ロ)のように、支軸2bの両端の雄雌混在の面ファスナー1bを接合させ、支軸2bをぴったりと重ね合わせる事も可能である。もちろん、第2軸Bの両端部分は、第1軸A同様、他の第2軸Bのいかなる部分とも接合が可能である。
【0020】
また、第2軸Bは図7(イ)に示すように、支軸2bを二つに折り曲げ、一端の雄雌混在の面ファスナー1bを他端の同面の雄雌混在の面ファスナー1bに接着させること、あるいは図7(ロ)のように支軸を二つに折り曲げ、一端の雄雌混在の面ファスナー1bを同面の雄雌混在の面ファスナーと密着性を持つ被覆生地4bに接着させることが可能である。また、図8(イ)に示すように、第2軸Bを輪状にし、一端の雄雌混在の面ファスナー1bを他端の裏面の雄雌混在の面ファスナー1bに接着させること、あるいは、図8(ロ)のように第2軸Bの一端の雄雌混在の面ファスナー1bを、他端を端から巻いていくことで裏面の雄雌混在の面ファスナーと密着性を有する被覆生地4bに接着させることが可能である。つまり、第2軸Bにおいては、曲げたり巻いたりすることで、他軸のみならず、自軸のいかなる部分とも接着が可能となり、支軸2b自体を変形させ、その形状を維持する事も可能なのである。
【0021】
勿論、第1軸Aと第2軸Bが接合可能な事は、改めて言うまでもない。第1軸Aと第2軸Bの両端の雄雌混在の面ファスナー1a、1b同士の接合は、図9のように、容易に3次元への組み立てを可能にするものとなる。
【0022】
また、錐体の造形においても、接合手段を雄雌の留め具から雄雌混在の面ファスナー1bとした事で、留め具の嵌合を気にする必要がなくなり、第2軸Bだけで容易に造形する事ができるものとなった。
【0023】
第2軸Bは、両端の雄雌混在の面ファスナー1bを設けた接合部を扁平状にしている事で、3つの効果をもたらし、本願発明の組み立て玩具の大きな特徴の一つとなっている。1つ目は、面ファスナー部分が扁平状となっている事で、指の力が伝わりやすくなり、支軸同士をしっかりと接合させる事が出来る。2つ目は、接合面を扁平状にする事で、接合させた部分の厚みを取り、創造物の形状を安定したものにする。これは、雄雌混在の面ファスナー同士の結合時のみならず、被覆生地部分との接合の際にも、同様の効果をもたらす。接合面を安定させ、更には、接合部分の凹凸を軽減し、構築物の形状をより美しく見せる効果がある。3つ目は、その薄さゆえ、図6(イ)に示すように、複数の支軸2bの一端部を一か所で重ね合わせる事が可能となる。これにより、錐体の造形など、造形物のバリエーションが広がる事が期待できる。第2軸Bは、第1軸Aと、支軸における接合面を変え、更にその面を扁平状にする事で、第1軸Aのみでは補えない接合、造形を可能とするものである。更に、今願発明で支軸に雄雌混在の面ファスナーや、その特性を生かす被覆生地を組み合わせたことで、相乗効果を生み、正に自由自在に造形を楽しめる玩具となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図10から図13は、第1軸Aや第2軸Bを使用した、造形物の一例である。本願発明の組み立て玩具は、以上のように支軸が柔らかく、支軸の端部を自軸の、あるいは他軸の任意の場所に接合させる事を可能にした為、2種類の支軸だけで、このようなさまざまな形状を造形する事が出来るのである。図10は、「カタツムリ」を造形したものである。これは、第2軸Bを2本使用する。1本目の第2軸Bを一端から巻いていき、巻き終わりは他端に位置する雄雌混在の面ファスナー1bを接着し形を固定させ、カタツムリの殻部分とする。2本目は1本目より短い第2軸Bを用意し、その一端を折り曲げ雄雌混在の面ファスナー1bを支軸2bの任意の場所に接合させ、その曲げた部分をカタツムリの頭部、直線部分を腹部とする。一本目の円形状となった支軸2bの巻き終わり部分にある雄雌混在の面ファスナー1bを2本目の支軸2bの任意の場所に接合させ、「カタツムリ」とする。
【0025】
図10の「カタツムリ」や図1の「象」は、一例であり、各人により色々な「カタツムリ」や「象」が形成される。だが、そのどれもが、接合部に凹凸がない事でより手芸作品の如く、オブジェに値するものとなり、また、軽くやさしい肌触りの為、ぬいぐるみのように使用する事が可能である。
【0026】
図11は、第1軸A4本と中程度の長さの第2軸B8本で立方体を形成したのち、2本の長い第2軸Bと1本の短い第2軸Bで斜面を、中程度の長さの第2軸B2本と短い第2軸B2本で階段部分を作った「すべり台」である。本願発明の組み立て玩具は、パーツに複数の雄雌の留め具のような接合部を設けなくても、図12に示すような「梯子」のような形状も簡単に、誰でも形作る事が出来る。また台と斜面との接合部分も、第2軸Bの端部が扁平状になっていることからしっかりと接合され、「すべり台」として安定した形状のものになっている。他に自由に「ブランコ」などを作り、手持ちの人形を使って、人形遊びをすることも可能である。
【0027】
図13は、第1軸A2本で房を、第2軸Bを輪状にして実に見立てた、「ブドウ」である。これも、第2軸Bを輪状にする事、また、それを第1軸Aの任意の場所に接合する事が可能である事から実現できる形状であろう。これも接合場所が支軸の両端だけに限られていた先願発明の組み立て玩具では、造形は難しかった形である。「ブドウ」の実を房から取ったりつけたりすることで、ままごと遊びをすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本願発明の組み立て玩具は、パーツの基本形状は全て、円柱状の支軸である。そしてその円柱状の支軸のあらゆる方向への組み立てを可能にするため、接合部分である支軸の両端の形状を変え2種類のパーツとした。本願発明の組み立て玩具は、先願発明と支軸の形状を同じくするも、支軸の素材、接合手段を改善することで、先願発明の難点をすべて克服するものとなった。まず、接合部分を全て雄雌混在の面ファスナー(一面に雄雌両方の機能を持つ面ファスナー)とすることで、パーツの種類は第1軸1種類、第2軸1種類の2種類のみとすることが可能となり、その上、組み立て時にパーツの接合部分の雄雌を確認する必要がなくなった。また、雄雌混在の面ファスナーと着脱する機能を有する布を支軸の被覆素材とすることで、支軸のあらゆる部分との接合を可能にした。つまり、パーツの両端部分をパーツの任意の場所に接合させることだけで、線を延ばしていくような感覚で幼児から老年まで、年齢を問わず誰でも簡単に且つ安全に自由な形を造形することができるようになったのである。作成する物体にフィールドを限定させず、植物、動物、構造物、図形、帽子やメガネなどの装飾品に至るまで、各人の想像力一つで何にでも変化させることができる。また、ぬいぐるみのような感覚で、創造物を使用し遊んだり、飾って楽しんだりすることもできる。安全性においても、雄雌混在の面ファスナーを縫い付けるということにより、留め具が落脱する恐れもなくなることでより向上し、また生産工程においても、多数の留め具を付ける必要がなくなることで格段に簡素化し、生産性も向上するものと思われる。
【0029】
本願発明の組み立て玩具は、雄雌混在の面ファスナーとしてフリーマジック(商標登録)、雄雌混在の面ファスナーと着脱する機能を有する被覆生地として、トイクロス(商標登録)が考えられるが、これに限ったものではない。また、支軸の太さ、長さ、また支軸の柔らかさ、色、柄も特に一通りに限定されない。色々な物があってよい。また、特に、長いパーツにおいては支軸内部の中心部に手芸用の針金などのような、塑性変形可能な芯材を入れ、軸の強度を増すと共に変形させた形状を維持する役割を担わせることによって一層造形物の限界を広げることができると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「象」を表す斜視図
【図2】(イ)第1軸Aの断面図 (ロ)第1軸Aの上面図 (ハ)第1軸Aの側面図
【図3】(イ)第1軸A同士の接合例を表す立面図 (ロ)第1軸A同士の接合例を表す立面図
【図4】(イ)第2軸Bの立面図 (ロ)第2軸Bの上面図
【図5】第2軸B同士の接合例を表す立面図
【図6】(イ)第2軸B同士の接合例を表す上面図 (ロ)第2軸B同士の接合例を表す立面図
【図7】(イ)第2軸Bの変形例を表す立面図 (ロ)第2軸Bの変形例を表す立面図
【図8】(イ)第2軸Bの変形例を表す立面図 (ロ)第2軸Bの変形例を表す立面図
【図9】第1軸Aと第2軸Bの接合例を表す斜視図
【図10】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「かたつむり」を表す斜視図
【図11】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「すべりだい」を表す斜視図
【図12】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「梯子」を表す上面図
【図13】本願発明の組み立て玩具を使用した実施例「ぶどう」を表す斜視図
【符号の説明】
【0031】
1.雄雌混在の面ファスナー
2.支軸
3.支軸内部
4.被覆生地
A 第1軸
B 第2軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)軽量且つ軟質素材で支軸内部を構成し、それを雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する機能を持つ被覆生地で被覆した円柱状の支軸の両端に、雄雌混在の面ファスナーを付けたものである第1軸の組み立て玩具。
(B)軽量且つ軟質素材で支軸内部を構成し、それを雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する機能を持つ被覆生地で被覆した円柱状の支軸の両端を扁平状にし、扁平状となった両端の表面、裏面にそれぞれ雄雌混在の面ファスナーを付けたものである第2軸の組み立て玩具。
以上の(A)、(B)に示した第1軸、第2軸を複数、あるいは多数使用し、さまざまな物体を造形していく組み立て玩具。
【請求項2】
「請求項1」の第1軸、第2軸内部に、更に塑性変形可能な芯材を長手方向に入れた軸である組み立て玩具。
【請求項1】
(A)軽量且つ軟質素材で支軸内部を構成し、それを雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する機能を持つ被覆生地で被覆した円柱状の支軸の両端に、雄雌混在の面ファスナーを付けたものである第1軸の組み立て玩具。
(B)軽量且つ軟質素材で支軸内部を構成し、それを雄雌混在の面ファスナーと着脱性を有する機能を持つ被覆生地で被覆した円柱状の支軸の両端を扁平状にし、扁平状となった両端の表面、裏面にそれぞれ雄雌混在の面ファスナーを付けたものである第2軸の組み立て玩具。
以上の(A)、(B)に示した第1軸、第2軸を複数、あるいは多数使用し、さまざまな物体を造形していく組み立て玩具。
【請求項2】
「請求項1」の第1軸、第2軸内部に、更に塑性変形可能な芯材を長手方向に入れた軸である組み立て玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−103115(P2013−103115A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262907(P2011−262907)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【特許番号】特許第5019403号(P5019403)
【特許公報発行日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(505105855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【特許番号】特許第5019403号(P5019403)
【特許公報発行日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(505105855)
【Fターム(参考)】
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