組付検査装置、組付検査方法および組付検査プログラム
【課題】高精度な組付判定を効率的に行える組付検査装置を提供する。
【解決手段】組付検査装置は、本体品の空画像を記憶する空画像記憶手段と、被組付品を本体品へ組付けた組付完了品の組画像を記憶する組画像記憶手段と、組付状態を検査する検査品の検査画像を記憶する検査画像記憶手段と、検査領域を記憶する検査領域記憶手段と、検査領域内の空画像の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または検査領域内の組画像の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と検査領域内の検査画像の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、検査画像の検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出手段と、指標値の閾値であり検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶手段と、指標値と指標閾値に基づいて検査品の組付の良否を判定する組付判定手段と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】組付検査装置は、本体品の空画像を記憶する空画像記憶手段と、被組付品を本体品へ組付けた組付完了品の組画像を記憶する組画像記憶手段と、組付状態を検査する検査品の検査画像を記憶する検査画像記憶手段と、検査領域を記憶する検査領域記憶手段と、検査領域内の空画像の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または検査領域内の組画像の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と検査領域内の検査画像の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、検査画像の検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出手段と、指標値の閾値であり検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶手段と、指標値と指標閾値に基づいて検査品の組付の良否を判定する組付判定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体品へ組付けられる被組付品の組付状態を検査できる組付検査装置または組付検査方法およびその組付検査方法に用いられる組付検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本体品へ被組付品を組み付けた組付製品が多用されているが、被組付品の欠品や誤組付等があると、組付製品の機能不全や不良品の改修・回収等の無駄な工数の発生を招く。そこで被組付品の欠品や誤組付等を早期に発見して、不良な組付製品の出荷等を防止することが必要となる。このため、従来から種々の組付検査がなされており、最近では組付製品の画像等を用いた画像検査方法が多く提案されている。これに関連する記載が、例えば下記の特許文献にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−73419号公報
【特許文献2】特開2002−310918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、検査対象となる製品の3次元画像と比較対象となる基準画像とについて、複数の小領域ごとに明度分布の変化量を求め、その変化量に基づくファジィ推論によって判定を行って、被組付品の有無や概略形状を探知することを提案している。しかし、特許文献1中には、具体的な処理方法等に関する記載がない。
特許文献2は、色別の部品要素からなるコネクターの画像中に含まれる、その部品要素に固有な色の画素数を求めることにより、コネクターの組付検査を行うことを提案している。しかし、特許文献2は、組み付けられる部品要素の色がそれぞれ異なっていることを前提としており、利用範囲は非常に限定的である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、従来の画像を用いた検査方法とは異なり、比較的簡単で、適用範囲が広く、正確な検査が可能となる組付検査装置または組付検査方法とその組付検査方法に用いられる組付検査プログラムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、検査対象である検査品の画像と基準となる基準画像とに関して複数の色要素の輝度から求まる指標値を、被組付品に応じて設定した検査領域内で、その検査領域ごとに被組付品の属性に応じて設定した閾値とを対比させて、検査品の組付の良否を判定することを思いついた。この考えに基づいて、実際に検査品を精度良く検査できることを確認した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
【0007】
《組付検査装置》
(1)本発明の組付検査装置は、本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する組付検査装置であって、
前記被組付品の組付前の本体品のカラー電子画像である空画像を記憶する空画像記憶手段と、該被組付品を該本体品へ適正に組付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像を記憶する組画像記憶手段と、前記組付状態を検査する検査品のカラー電子画像である検査画像を記憶する検査画像記憶手段と、該組付状態を検査する対象領域であり該空画像または該組画像に基づき設定される検査領域を記憶する検査領域記憶手段と、該検査領域内の空画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または該検査領域内の組画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と該検査領域内の検査画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、該検査画像の該検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出手段と、該指標値の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶手段と、該指標値と該指標閾値に基づいて該検査品の組付の良否を判定する組付判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
(2)本発明の組付検査装置によれば、検査対象である検査品について、被組付品の本体品への組付の良否を比較的簡易に正確に検査することができる。この理由は次の通りである。
先ず本発明では、被組付品の組付前の本体品、被組付品を組付けた組付完了品および検査品のカラー電子画像(空画像、組画像および検査画像)を用意している。これらカラー電子画像は多数の画素の集合体からなるが、いずれの画素も複数の色要素(例えば、R(赤)、G(緑)、B(青))と各色要素の輝度(例えば、0〜255のいずれか)との組み合わせによってデジタル的に表現される。つまり一つの画素であっても、複数の色要素の輝度を伴う複数の数値データをもつ。本明細書でいう「空輝度群」、「組輝度群」および「検査輝度群」は、そのような複数の数値データにより構成される。
これらのRGB値を用いることにより、各画像を構成する一つ一つの画素について、精細な評価が可能となり、従来よりも、検査画像が空画像または組画像のいずれに近似しているかを、より的確に判定できるようになった。しかも、そのような各画素のカラー電子画像データ(例えばRGB値)は電子カメラ等により容易に取得できるので、本発明の組付検査も容易に行える。
【0009】
ところで、この各画素ごとの判定は、「検査輝度群」の複数の数値データを、予め設定しておいた複数の閾値と比較したり、「空輝度群」または「組輝度群」の少なくとも一方の複数の数値データと比較することで行える。もっとも本発明のように、空輝度群および/または組輝度群と検査輝度群とに基づいて算出した、対象となる画素の特性を的確に指標する指標値を用いることにより、処理効率および判定精度の高い組付検査が可能となる。
さらに本発明では、このような組付検査を、検査対象である被組付品に応じて設定した検査領域に制限して行っている。このため、組付検査に無関係な画素についての判定を省けるので効率的である。また、検査領域の設定を可能とすることで、被組付品の特性に応じた閾値等の属性を各検査領域毎に付与できる。このため、本体品へ組付けられる被組付品が複数種ある場合でも、検査品全体の組付状態を的確かつ効率的に判定できる。
【0010】
《組付検査方法》
本発明は、組付検査装置としてのみならず組付検査方法としても把握できる。すなわち本発明は、本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する組付検査方法であって、
前記被組付品の組付前の本体品のカラー電子画像である空画像を記憶する空画像記憶ステップと、該被組付品を該本体品へ適正に組付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像を記憶する組画像記憶ステップと、前記組付状態を検査する検査品のカラー電子画像である検査画像を記憶する検査画像記憶ステップと、該組付状態を検査する対象領域であり該空画像または該組画像に基づき設定される検査領域を記憶する検査領域記憶ステップと、該検査領域内の空画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または該検査領域内の組画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と該検査領域内の検査画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、該検査画像の該検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出ステップと、該指標値の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶ステップと、該指標値と該指標閾値に基づいて該検査品の組付の良否を判定する組付判定ステップと、を備えることを特徴とする組付検査方法でもよい。
【0011】
《組付検査プログラム》
また本発明は、上記の組付検査方法をコンピュータを機能させて実行することを特徴とする組付検査プログラムとしても把握できる。この組付検査プログラムを用いると、上述した本発明の組付検査装置は、本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する検査品へ可視光からなる検査光を照射する検査照明と、該検査照明以外から入射する外部光を該検査品に対して遮光する遮光体と、該遮光体内で該検査光で照射された該検査品をカラー撮影する電子カメラと、該電子カメラから得られた電子画像に基づき上述の組付検査プログラムを機能させるコンピュータとを備えるものと表現してもよい。
【0012】
なお、プログラムが「物」として把握されない場合であれば、本発明はそのプログラムを記録したコンピュータで読取り可能な記録媒体として把握することができる。さらには、上述したようなプログラムを実行する組付検査装置としても把握される。またプログラムを「物」として把握する場合、本明細書でいうステップを適宜「手段」などに変更して読替えれば良い。例えば、各種の記憶ステップをそれぞれ記憶手段に、各種の算出ステップや判定ステップをそれぞれ算出手段や判定手段などに置換して考えれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】組付検査装置の概略図であり、検査品をセットする様子を示す図である。
【図1B】組付検査装置の概略図であり、検査品の検査を行っている様子を示す図である。
【図2】自動化した組付検査装置を示す図である。
【図3】組付検査装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】組付検査の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本体品の空画像を示す図である。
【図6】本体品に被組付品を組み付けた組付完了品の組画像を示す図である。
【図7】組画像上に検査領域を設定した状態を示す図である。
【図8】組付判定の処理方法の選択とそれらに関する閾値設定を行う画面を示す図である。
【図9】検査品の組付判定結果を示す図である。
【図10】色判定を行う検査品の被組付品(色つき付箋)を示す図である。
【図11】色判定に係る閾値等の設定を行う画面を示す図である。
【図12】検査品の色判定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0014】
S 検査品(車載工具セット)
10 組付検査装置
13 基台
131 セット引出
14 遮光体
110 コンピュータ
111 中央処理装置
112 主記憶装置
120 外部機器
124 画像入力機器(検査照明、電子カメラ)
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、本明細書では組付検査装置について主に説明しているが、その内容は組付検査方法や組付検査プログラム等にも適宜適用される。そして下記の内容から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成は、上述した本発明の構成に付加され得る。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
【0016】
《組付判定》
本明細書でいう組付判定は、本体品と被組付品との組付の良否を判定するものである。この「組付の良否」には、本体品に組み付けられるべき被組付品の有無(欠品の有無)、本体品に組み付けられるべき被組付品の正誤(誤組付の有無)、組付状態の適否(組付不良の有無)等がある。以下、この組付判定の具体的な処理について説明する。
【0017】
〈判定処理1〉
指標値は、検査画像の検査領域内における画素の特性を指標する値である。本発明で指標値を導入している理由は次の通りである。
本発明では、組付判定にカラー電子画像を用いている。このカラー電子画像は、多数の画素から構成され、画素はさらに複数の色要素からなる。そして画素の色は、それら各色要素を数値化して示される。例えば、色要素が三原色からなる場合、赤(R)、緑(G)、青(B)の輝度をそれぞれ数値化したR値、G値、B値(これらまとめて「RGB値」という。)により、その画素の客観的な特性(色)が特定される。もっとも、RGB値を直接用いた画像組付判定では、照明による外乱等の影響が大きく、高精度な判定を効率よく安定的に行うことは容易ではない。
【0018】
そこで本発明では、対比すべき各画像の画素間を相関づける指標値を導入し、この指標値を介して組付判定を行っている。これにより、外乱等の影響を抑制しつつ、高精度で安定的な判定を効率的に行うことが可能となった。このような指標値は、例えば、次のようにして算出される。
【0019】
(1)指標値の算出
検査領域内の任意の位置(座標(x、y))における画素のRGB値を(R、G、B)のように表すことにする。そして各画像の同位置(x、y)における画素(Pixel)のRGB値を、それぞれ、空画像(R0、G0、B0)、組画像(R1、G1、B1)および検査画像(Rs、Gs、Bs)と表す。これらがそれぞれ、本発明でいう空輝度群、組輝度群および検査輝度群に相当する。
【0020】
これらを用いて、先ず、次のような相関値(nR0、nG0、nB0)および(nR1、nG1、nB1)を算出する。
nR0=R0−Rs、nG0=G0−Gs、nB0=B0−Bs
nR1=R1−Rs、nG1=G1−Gs、nB1=B1−Bs
【0021】
さらにこれらを用いて次のような相加平均値を算出する。
an0=(nR0+nG0+nB0)/3
an1=(nR1+nG1+nB1)/3
これらの平均値の差であるdan=an1−an0を、検査領域内の位置(x、y)における画素の特性を指標する指標値とする。
【0022】
この指標値を用いると、検査領域中の一つの画素に対して、その特性を一つの数値で対応づけることができる。しかも、この指標値は空画像および組画像を考慮して算出されているので、検査領域内にある検査画像の画素に関して、組付検査に適した特性を指標するものとなっている。従ってこの指標値を用いると、高精度で高効率な組付検査が可能となる。
【0023】
(2)組付判定
この指標値を用いた具体的な判定は次のように行える。先ず、検査領域の属性に応じて指標閾値svを予め定めておく。この指標閾値svと指標値danとを対比して、dan>svの場合はエラー値(例えば、0)を出力し、それ以外の場合(dan<svまたはdan=sv)は正常値(例えば、1)を出力する。このような操作を検査領域内の他の画素についても行い、それらを集計する。集計された正常な指標値(正常値)の当該検査領域内全体に対する割合(指標含有率)を算出する。この指標含有率(rdan)を、各検査領域ごとに別途設定しておいた指標含有閾値(rsv)と対比する。そしてrdan>rsvまたはrdan=rsvの場合、被組付品の組付は良好であると判定する。一方、それ以外の場合(rdan<rsv)、被組付品の組付不良と判定する。
【0024】
ちなみに、組付不良の場合、検査画像上の検査領域内を着色等して警告すれば、不良箇所を作業者へ告知できるので、その改修等も容易となって、非常に効率よく不良率の大幅な低減を図れる。
【0025】
そこで本発明は、前記指標値算出手段(ステップ)によって画素ごとに算出された複数の前記指標値が適正範囲内となる割合である指標含有率を算出する指標含有率算出手段(ステップ)と、この指標含有率の閾値であり検査領域に対応して設定される指標含有閾値を記憶する指標含有閾値記憶手段(ステップ)と、指標含有率と指標含有閾値との対比により検査品の組付の良否を判定する含有率判定手段(ステップ)と、を備えると好適である。
【0026】
なお、被組付品の有無などの比較的簡単な判定であれば、上記の相関値(nR0、nG0、nB0)または相関値(nR1、nG1、nB1)を指標値として用いてもよい。この場合、例えば、(nR0、nG0、nB0)の各値の絶対値が大きいと被組付品が有る可能性が高くなり、その絶対値が小さいと被組付品が無い可能性が高くなる。逆に(nR1、nG1、nB1)の場合なら、それら各値の絶対値が小さいと被組付品が有る可能性が高くなり、その絶対値が大きいと被組付品が無い可能性が高くなる。そしてこの場合にも、上述した含有率判定を行うことによって、組付判定の精度を効率的に高めることができるようになる。
【0027】
〈判定処理2〉
上述した判定処理1とは別に、または判定処理1と共に、次のような判定処理を行ってもよい。すなわち、検査領域内にある検査画像の任意の画素の各RGB値(Rs、Gs、Bs)自体に対して、上限値または下限値となる閾値(svR、svG、svB)を設定する。そして例えば、Rs>svR かつ Gs>svG かつ Bs>svBのときは正常値を出力し、それ以外の場合はエラー値を出力する。そして、その正常値の集計結果に対しても、上述したような含有率判定を行う。このような判定処理でも、検査品の種類や検査環境によっては、高精度な判定が可能となる。
【0028】
そこで本発明は、前記検査領域に対応して設定される第二閾値群を記憶する第二閾値群記憶手段(ステップ)と、前記検査輝度群と該第二閾値群との対比により前記検査品の組付の良否を判定する第二判定手段(ステップ)とを備えると好適である。上述した例では、(Rs、Gs、Bs)が検査輝度群に、(svR、svG、svB)が第二閾値群にそれぞれ相当する。また第二閾値群は、本体品や被組付品の色に応じて、下限値に限らず、上限値を設定しても良いし、両方を設定しても良い。
【0029】
《色判定》
上述した組付判定とは別に、または組付判定と共に、被組付品の色判定を行うことも可能である。もっとも色判定は、組付判定と異なり、必ずしも、空画像または組画像と検査画像とを対比する必要はない。つまり検査画像データを特定の色データ(RGB値)と対比することで色判定を行うことが可能となる。もっともその際に、検査画像の画素を構成する各色要素の輝度を示すRGB値をそのまま用いると、照明等の外乱の影響を非常に受け易くなり、高精度な判定を安定的に行うことが難しくなる。
【0030】
そこで例えば、次のような差分値(指標値の一つ)および閾値(指標閾値の一つ)を導入して色判定を行うと好適である。すなわち、前述した検査輝度群(Rs、Gs、Bs)を用いて、それらの差の絶対値である差分値群(ndRG、ndGB、ndBR)を求める。ここで、ndRG=|Rs−Gs|、ndGB=|Gs−Bs|、ndBR=|Bs−Rs|である(差分値群算出手段、差分値群算出ステップ)。
【0031】
次に、判定したい色のRGB値に応じて、差分値群と同様な差の絶対値を算出しておく。その値に基づいて差分閾値群(sRG、sGB、sBR)を設定する。この差分値群は、上限値または下限値の一方でもよいが、上限値および下限値の両方を設定すると、より安定した色判定を行えて好ましい。すなわち、差分閾値群(sRG、sGB、sBR)は上限差分値群(suRG、suGB、suBR)および下限差分値群(slRG、slGB、slBR)からなると好ましい。
【0032】
そして差分値群が差分閾値群に基づき定まる範囲内にあるとき、例えば、slRG<ndRG<suRG かつ slGB<ndGB<suGB かつ slBR<ndBR<suBRのとき、正常値を出力し、それ以外の場合はエラー値を出力する。そしてこの正常値の集計結果に対しても、前述したような含有率判定を行う。その含有率が所定の閾値以上であれば、検査対象である被組付品の色は正常色であり、含有率が所定の閾値よりも低ければ被組付品の色は誤色であると判定される(色判定手段、色判定ステップ)。このような色判定により、照明等の外乱の影響を抑制しつつ、高精度な判定を安定的に行うことが可能となる。
【0033】
そこで本発明は、前記検査輝度群内の各輝度の差分値からなる差分値群を求める差分値群算出手段と、この差分値の閾値からなり前記検査領域に対応して設定される差分閾値群を記憶する差分閾値群記憶手段と、差分値群と差分閾値群に基づいて検査品の検査領域内における色または色の適否を判定する色判定手段とを備えると好適である。なお、このような色判定は、上述した組付判定と共に行っても良いし独立的に行ってもよい。
【0034】
《用途》
本発明でいう組付検査の対象となる検査品は、品種、形態、材質等を問わない。検査品の代表例として工具ケースに各種工具を組付収納した車載工具セットがある。その他、自動車の各種組付製品、電子機器の組付製品、電気機器の組付製品等も本発明でいう組付検査の対象となり得る。
でもよい。
【実施例】
【0035】
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《組付検査装置》
(1)図1Aおよび図1Bに本発明に係る組付検査装置10の概要を示す。図1Aは検査品Sをセットする様子を示し、図1Bは組付検査を行っている様子を示す。
組付検査装置10は、検査対象となる検査品Sを内側にセットするセット引出131を備える基台13と、基台13上に密接して配置されセット引出131の上方を覆い、外乱要因となる外部光を遮光する四角錐状の遮光体14と、遮光体14の頂部に配設された画像入力機器124と、画像入力機器124で撮影された検査品S等のカラー電子画像を取り込むコンピュータ110を備える。なお、セット引出131には、検査毎に検査品Sを同位置に配置できる位置決め用突起(図略)が設けられている。この位置決め用突起を基準に座標軸を設定することで、各画像中における画素の座標位置を特定することが可能となる。
【0036】
(2)コンピュータ110は、図3に示すように、各種の算出処理や判定処理等を行う中央処理装置111と、それらに必要な各種の情報(データ)を記憶する主記憶装置112とからなる。主記憶装置112は、空画像を記憶する空画像メモリ113と、組画像を記憶する組画像メモリ114と、検査画像を記憶する検査画像メモリ115と、組画像上に設定された検査領域を記憶する検査領域メモリ116と、各種の算出や判定に必要となる閾値などを記憶する判定情報メモリ117とを有する。なお、コンピュータ110はいわゆるパソコン(PC)で構成され、詳細は図示等していないが、本実施例の実施に必要な種々の一般的な装置、機器等を当然に備える。
【0037】
上述した主記憶装置112の各メモリは、本発明でいう種々の記憶手段に相当し、それら各メモリへの各データの書き込み動作が本発明でいう種々の記憶ステップに相当する。またメモリから取り込んだデータに基づいて中央処理装置111が行う種々の処理が本発明でいう算出ステップや判定ステップ等に相当し、そのときの中央処理装置111が本発明でいう種々の算出手段や判定手段に相当する。
【0038】
(3)コンピュータ110に接続される外部機器120として、前述した画像入力機器124の他、図3に示すように、画像入力機器124から読込んだ電子画像等を表示する表示機器121と、検査品Sに関する品番、数量等が記載されたバーコード(いわゆる「かんばん」)を取り込むバーコードリーダーからなる外部入力機器125と、外部入力機器125とコンピュータ110との間に介在するI/Oインターフェース126と、キーボードやマウス等のデータ入力装置122と、各種の基準画像(空画像と組画像)などを記憶するハードディスクやメモリカード等からなる補助記憶装置123がある。
【0039】
画像入力機器124は、詳細を図示していないが、遮光体14内の検査品Sへ可視光を照射する検査照明と、その検査照明により照射された検査品Sをカラー撮影して、そのカラー電子画像データを出力するCCDカメラ(電子カメラ)からなる。これらは遮光体14と密に接続されている。従って、外部光が画像入力機器124の周辺からも遮光体14内へ漏れることもない。
【0040】
(4)上述した組付検査装置10では、検査品Sを一つ検査するたびに、セット引出131の開閉が必要となる。このセット引出131を図2に示すようなベルトコンベア231に変更してもよい。これにより、検査ごとのセット引出131の開閉が不要となり、多数の検査品Sの検査を効率的に行うことが可能となる。
【0041】
《組付検査処理》
コンピュータ110によりなされる組付検査の主たる処理手順を図4のフローチャートに示した。本実施例では、図5や図6等に示すように、各種の工具(被組付品T)を収納ケースである工具ケース(本体品H)へ組み付けてなる車載工具セット(組付完了品)の組付検査を、そのフローチャートに基づいて行う場合を例示しつつ説明する。
【0042】
(1)組付判定
先ず、検査品Sの製品情報が入力される(ステップS1)。この情報入力は、各種検査品Sごとに付与されたバーコードが外部入力機器125を通じて入力され、コンピュータ110の主記憶装置112内にある判定情報メモリ117に取り込まれる。この情報に基づいて検査品Sに応じた以降の組付検査がなされる。
【0043】
次に、検査品Sの組付検査に必要な基準となるカラー電子画像(基準画像)データがコンピュータ110の主記憶装置112に取り込まれる(ステップS2)。基準画像は、検査品Sを構成する本体品Hのカラー電子画像である空画像(図5参照)と、その本体品Hに被組付品Tを適正に組み付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像(図6参照)とからなる。空画像データは主記憶装置112内の空画像メモリ113へ、組画像データは主記憶装置112メモリ114へそれぞれ取り込まれる。ちなみに、空画像データは本体品Hを画像入力機器124のCCDカメラで撮影して得られ、組画像データは本体品Hへ被組付品Tを適正に組み付けた組付完了品を同じCCDカメラで撮影して得られる。
なお、検査品Sが過去に検査したものと同種であり、その基準画像が既に補助記憶装置123に記録してある場合は、そこから該当する画像ファイル等を指定して各画像データを取り込んでもよい。
【0044】
次に、検査品Sの各被組付品Tの有無および形状を検査するための領域(検査領域)を組画像上にそれぞれ設定し(図7参照)、それらの情報が主記憶装置112の検査領域メモリ116に取り込まれる(ステップS3)。本実施例の場合、この検査領域内の各画素(Pixel)について種々の処理がなされる。なお、図7に示すような検査領域の設定は、組画像上で、被組付品Tごとにその概形を描くことでなされる。このような被組付品Tの概形を示す検査領域を設定することにより、単なる被組付品Tの有無検査(欠品検査)のみならず、被組付品Tの適否検査(誤組付検査)も可能となる。そして、その際に描く被組付品Tの概形が被組付品Tの形状に近いほど、被組付品Tの形状判定精度も向上する。
【0045】
次に、検査品Sの組付状態の判定または色の判定に必要となる各種の閾値が、コンピュータ110に接続されたデータ入力装置122から入力され、主記憶装置112の判定情報メモリ117に取り込まれる(ステップS4)。
【0046】
次に、基準画像データを取り込む場合と同様にして、組付検査対象である検査品Sのカラー電子画像(検査画像)データが画像入力機器124を通じて入力され、検査画像メモリ115に取り込まれる(ステップS5)。当然ながら、この検査画像データの取り込みは、検査品Sごとに行われる。
【0047】
次に、検査画像を構成する画素データを順次走査して(ステップS6)、その画素データが被組付品Tごとに設定した検査領域内のデータか否かが判断される(ステップS7)。
その画素データが検査領域内であれば、前述した「判定処理1」に基づいて、各画素ごとに、その特性を指標する指標値が算出される(ステップS8)。このステップが本発明でいう指標値算出ステップに相当し、このステップを行う中央処理装置111が本発明でいう指標値算出手段に相当する。
【0048】
こうして算出された指標値が、指標閾値の範囲内か否かが判定され、その画素の適否(エラー値か正常値か)が決定される(ステップS9)。
なお、判定処理に必要な各種の算出式や判定式は、検査品Sの製品情報と関連づけられて、主記憶装置112の判定情報メモリ117に格納されている。また各種の閾値も、検査領域メモリ116にある検査領域情報と関連づけられて、判定情報メモリ117に格納されている。
【0049】
ここで検査領域毎の各閾値の設定は、例えば、表示機器121に表示させた図8に示すような設定画面を介してなされる。前述した「判定処理1」を行う場合、「指標閾値で比較」にチェックを入れ、指標閾値を入力する(図8では例えば「65」)。
【0050】
なお、各検査領域にある画素について正常と判定された数の割合(含有率)により、最終的な組付判定を行うための閾値(指標含有閾値)も、ここで入力しておく(図8では例えば「50」)。この含有閾値は、判定する検査領域や判定の種類に応じて適宜変更される。
【0051】
このような画素の判定処理を、被組付品Tに応じて設定された検査領域内の他の画素についても順次行う(ステップS10)。そして指標値が指標閾値の範囲内にあった適合画素の数を検査領域単位で集計する(ステップS11)。
【0052】
次に、その適合画素数の検査領域内の全画素数に対する割合(指標含有率)を求め(指標含有率算出ステップ、指標含有率算出手段)、それが前述した指標含有閾値以上か否かを判断して(含有率判定ステップ、含有率判定手段)、検査領域にある被組付品Tの最終的な組付判定を行う(ステップS12)。なお、ステップ9、ステップ11およびステップ12により本発明でいう組付判定ステップが構成され、これらのステップを行う中央処理装置111が本発明でいう組付判定手段に相当する。
【0053】
指標含有率が指標含有閾値未満の場合は、検査画像が表示されている表示機器121の画面上に警告が表示される。この警告は該当する検査領域の着色によりなされる(図9参照)。そして被組付品Tが複数ある場合は、上述した処理を繰り返し行うことで、全ての被組付品Tを含む検査品S全体について、組付の良否判定を行うことが可能となる。
こうして組付作業者は、被組付品Tの欠品(有無)や誤組付(形状相違)およびその不良箇所などを容易に知ることができる。従って、本実施例の組付検査装置10を用いると、車載工具セット等の組付不良率を非常に効率的に著しい低減できる。
【0054】
(2)色判定
上記の組付判定と同様にして、例えば、図10に示すような有色の付箋(被組付品Tの一つ)の色を判定することが可能である。具体的には、指定した検査領域内の各画素データに、既述した「色判定」で用いた算出式および判定式を適用して行える。
【0055】
この際、例えば、表示機器121に表示させた図11に示すような設定画面上で、「色判定を行う」にチェックを入れ、その判定すべき色を選択する(図11では「赤」を選択)。そして検査画像の検査領域内にある画素のRGB値(検査輝度群)から求めた差分値群の閾値となる差分閾値群の上下限値を入力し、さらに、最終的な色判定に必要となる含有率の閾値(含有閾値)の上下限値を入力する。この条件下で、前述した組付判定の場合と同様な処理を行う。
【0056】
この結果、適合画素数の含有率が含有閾値未満の場合は、検査画像が表示されている表示機器121の画面上に警告が表示される。この警告は該当する検査領域を着色または強調して行われる(図12参照)。これにより作業者は、被組付品Tの有無と共に色の適否を容易に知ることができる。
【0057】
従って、このような色判定が必要な場合でも、本実施例の組付検査装置10を用いると、高精度に不良(誤色、欠品)を発見でき、その低減が非常に容易である。なお、この色判定は、検査品Sに応じて、被組付品Tの有無や形状を判定する組付判定と併行して行うこともできるし、個別に行うこともできる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体品へ組付けられる被組付品の組付状態を検査できる組付検査装置または組付検査方法およびその組付検査方法に用いられる組付検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本体品へ被組付品を組み付けた組付製品が多用されているが、被組付品の欠品や誤組付等があると、組付製品の機能不全や不良品の改修・回収等の無駄な工数の発生を招く。そこで被組付品の欠品や誤組付等を早期に発見して、不良な組付製品の出荷等を防止することが必要となる。このため、従来から種々の組付検査がなされており、最近では組付製品の画像等を用いた画像検査方法が多く提案されている。これに関連する記載が、例えば下記の特許文献にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−73419号公報
【特許文献2】特開2002−310918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、検査対象となる製品の3次元画像と比較対象となる基準画像とについて、複数の小領域ごとに明度分布の変化量を求め、その変化量に基づくファジィ推論によって判定を行って、被組付品の有無や概略形状を探知することを提案している。しかし、特許文献1中には、具体的な処理方法等に関する記載がない。
特許文献2は、色別の部品要素からなるコネクターの画像中に含まれる、その部品要素に固有な色の画素数を求めることにより、コネクターの組付検査を行うことを提案している。しかし、特許文献2は、組み付けられる部品要素の色がそれぞれ異なっていることを前提としており、利用範囲は非常に限定的である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、従来の画像を用いた検査方法とは異なり、比較的簡単で、適用範囲が広く、正確な検査が可能となる組付検査装置または組付検査方法とその組付検査方法に用いられる組付検査プログラムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、検査対象である検査品の画像と基準となる基準画像とに関して複数の色要素の輝度から求まる指標値を、被組付品に応じて設定した検査領域内で、その検査領域ごとに被組付品の属性に応じて設定した閾値とを対比させて、検査品の組付の良否を判定することを思いついた。この考えに基づいて、実際に検査品を精度良く検査できることを確認した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
【0007】
《組付検査装置》
(1)本発明の組付検査装置は、本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する組付検査装置であって、
前記被組付品の組付前の本体品のカラー電子画像である空画像を記憶する空画像記憶手段と、該被組付品を該本体品へ適正に組付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像を記憶する組画像記憶手段と、前記組付状態を検査する検査品のカラー電子画像である検査画像を記憶する検査画像記憶手段と、該組付状態を検査する対象領域であり該空画像または該組画像に基づき設定される検査領域を記憶する検査領域記憶手段と、該検査領域内の空画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または該検査領域内の組画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と該検査領域内の検査画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、該検査画像の該検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出手段と、該指標値の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶手段と、該指標値と該指標閾値に基づいて該検査品の組付の良否を判定する組付判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
(2)本発明の組付検査装置によれば、検査対象である検査品について、被組付品の本体品への組付の良否を比較的簡易に正確に検査することができる。この理由は次の通りである。
先ず本発明では、被組付品の組付前の本体品、被組付品を組付けた組付完了品および検査品のカラー電子画像(空画像、組画像および検査画像)を用意している。これらカラー電子画像は多数の画素の集合体からなるが、いずれの画素も複数の色要素(例えば、R(赤)、G(緑)、B(青))と各色要素の輝度(例えば、0〜255のいずれか)との組み合わせによってデジタル的に表現される。つまり一つの画素であっても、複数の色要素の輝度を伴う複数の数値データをもつ。本明細書でいう「空輝度群」、「組輝度群」および「検査輝度群」は、そのような複数の数値データにより構成される。
これらのRGB値を用いることにより、各画像を構成する一つ一つの画素について、精細な評価が可能となり、従来よりも、検査画像が空画像または組画像のいずれに近似しているかを、より的確に判定できるようになった。しかも、そのような各画素のカラー電子画像データ(例えばRGB値)は電子カメラ等により容易に取得できるので、本発明の組付検査も容易に行える。
【0009】
ところで、この各画素ごとの判定は、「検査輝度群」の複数の数値データを、予め設定しておいた複数の閾値と比較したり、「空輝度群」または「組輝度群」の少なくとも一方の複数の数値データと比較することで行える。もっとも本発明のように、空輝度群および/または組輝度群と検査輝度群とに基づいて算出した、対象となる画素の特性を的確に指標する指標値を用いることにより、処理効率および判定精度の高い組付検査が可能となる。
さらに本発明では、このような組付検査を、検査対象である被組付品に応じて設定した検査領域に制限して行っている。このため、組付検査に無関係な画素についての判定を省けるので効率的である。また、検査領域の設定を可能とすることで、被組付品の特性に応じた閾値等の属性を各検査領域毎に付与できる。このため、本体品へ組付けられる被組付品が複数種ある場合でも、検査品全体の組付状態を的確かつ効率的に判定できる。
【0010】
《組付検査方法》
本発明は、組付検査装置としてのみならず組付検査方法としても把握できる。すなわち本発明は、本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する組付検査方法であって、
前記被組付品の組付前の本体品のカラー電子画像である空画像を記憶する空画像記憶ステップと、該被組付品を該本体品へ適正に組付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像を記憶する組画像記憶ステップと、前記組付状態を検査する検査品のカラー電子画像である検査画像を記憶する検査画像記憶ステップと、該組付状態を検査する対象領域であり該空画像または該組画像に基づき設定される検査領域を記憶する検査領域記憶ステップと、該検査領域内の空画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または該検査領域内の組画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と該検査領域内の検査画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、該検査画像の該検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出ステップと、該指標値の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶ステップと、該指標値と該指標閾値に基づいて該検査品の組付の良否を判定する組付判定ステップと、を備えることを特徴とする組付検査方法でもよい。
【0011】
《組付検査プログラム》
また本発明は、上記の組付検査方法をコンピュータを機能させて実行することを特徴とする組付検査プログラムとしても把握できる。この組付検査プログラムを用いると、上述した本発明の組付検査装置は、本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する検査品へ可視光からなる検査光を照射する検査照明と、該検査照明以外から入射する外部光を該検査品に対して遮光する遮光体と、該遮光体内で該検査光で照射された該検査品をカラー撮影する電子カメラと、該電子カメラから得られた電子画像に基づき上述の組付検査プログラムを機能させるコンピュータとを備えるものと表現してもよい。
【0012】
なお、プログラムが「物」として把握されない場合であれば、本発明はそのプログラムを記録したコンピュータで読取り可能な記録媒体として把握することができる。さらには、上述したようなプログラムを実行する組付検査装置としても把握される。またプログラムを「物」として把握する場合、本明細書でいうステップを適宜「手段」などに変更して読替えれば良い。例えば、各種の記憶ステップをそれぞれ記憶手段に、各種の算出ステップや判定ステップをそれぞれ算出手段や判定手段などに置換して考えれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】組付検査装置の概略図であり、検査品をセットする様子を示す図である。
【図1B】組付検査装置の概略図であり、検査品の検査を行っている様子を示す図である。
【図2】自動化した組付検査装置を示す図である。
【図3】組付検査装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】組付検査の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本体品の空画像を示す図である。
【図6】本体品に被組付品を組み付けた組付完了品の組画像を示す図である。
【図7】組画像上に検査領域を設定した状態を示す図である。
【図8】組付判定の処理方法の選択とそれらに関する閾値設定を行う画面を示す図である。
【図9】検査品の組付判定結果を示す図である。
【図10】色判定を行う検査品の被組付品(色つき付箋)を示す図である。
【図11】色判定に係る閾値等の設定を行う画面を示す図である。
【図12】検査品の色判定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0014】
S 検査品(車載工具セット)
10 組付検査装置
13 基台
131 セット引出
14 遮光体
110 コンピュータ
111 中央処理装置
112 主記憶装置
120 外部機器
124 画像入力機器(検査照明、電子カメラ)
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、本明細書では組付検査装置について主に説明しているが、その内容は組付検査方法や組付検査プログラム等にも適宜適用される。そして下記の内容から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成は、上述した本発明の構成に付加され得る。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
【0016】
《組付判定》
本明細書でいう組付判定は、本体品と被組付品との組付の良否を判定するものである。この「組付の良否」には、本体品に組み付けられるべき被組付品の有無(欠品の有無)、本体品に組み付けられるべき被組付品の正誤(誤組付の有無)、組付状態の適否(組付不良の有無)等がある。以下、この組付判定の具体的な処理について説明する。
【0017】
〈判定処理1〉
指標値は、検査画像の検査領域内における画素の特性を指標する値である。本発明で指標値を導入している理由は次の通りである。
本発明では、組付判定にカラー電子画像を用いている。このカラー電子画像は、多数の画素から構成され、画素はさらに複数の色要素からなる。そして画素の色は、それら各色要素を数値化して示される。例えば、色要素が三原色からなる場合、赤(R)、緑(G)、青(B)の輝度をそれぞれ数値化したR値、G値、B値(これらまとめて「RGB値」という。)により、その画素の客観的な特性(色)が特定される。もっとも、RGB値を直接用いた画像組付判定では、照明による外乱等の影響が大きく、高精度な判定を効率よく安定的に行うことは容易ではない。
【0018】
そこで本発明では、対比すべき各画像の画素間を相関づける指標値を導入し、この指標値を介して組付判定を行っている。これにより、外乱等の影響を抑制しつつ、高精度で安定的な判定を効率的に行うことが可能となった。このような指標値は、例えば、次のようにして算出される。
【0019】
(1)指標値の算出
検査領域内の任意の位置(座標(x、y))における画素のRGB値を(R、G、B)のように表すことにする。そして各画像の同位置(x、y)における画素(Pixel)のRGB値を、それぞれ、空画像(R0、G0、B0)、組画像(R1、G1、B1)および検査画像(Rs、Gs、Bs)と表す。これらがそれぞれ、本発明でいう空輝度群、組輝度群および検査輝度群に相当する。
【0020】
これらを用いて、先ず、次のような相関値(nR0、nG0、nB0)および(nR1、nG1、nB1)を算出する。
nR0=R0−Rs、nG0=G0−Gs、nB0=B0−Bs
nR1=R1−Rs、nG1=G1−Gs、nB1=B1−Bs
【0021】
さらにこれらを用いて次のような相加平均値を算出する。
an0=(nR0+nG0+nB0)/3
an1=(nR1+nG1+nB1)/3
これらの平均値の差であるdan=an1−an0を、検査領域内の位置(x、y)における画素の特性を指標する指標値とする。
【0022】
この指標値を用いると、検査領域中の一つの画素に対して、その特性を一つの数値で対応づけることができる。しかも、この指標値は空画像および組画像を考慮して算出されているので、検査領域内にある検査画像の画素に関して、組付検査に適した特性を指標するものとなっている。従ってこの指標値を用いると、高精度で高効率な組付検査が可能となる。
【0023】
(2)組付判定
この指標値を用いた具体的な判定は次のように行える。先ず、検査領域の属性に応じて指標閾値svを予め定めておく。この指標閾値svと指標値danとを対比して、dan>svの場合はエラー値(例えば、0)を出力し、それ以外の場合(dan<svまたはdan=sv)は正常値(例えば、1)を出力する。このような操作を検査領域内の他の画素についても行い、それらを集計する。集計された正常な指標値(正常値)の当該検査領域内全体に対する割合(指標含有率)を算出する。この指標含有率(rdan)を、各検査領域ごとに別途設定しておいた指標含有閾値(rsv)と対比する。そしてrdan>rsvまたはrdan=rsvの場合、被組付品の組付は良好であると判定する。一方、それ以外の場合(rdan<rsv)、被組付品の組付不良と判定する。
【0024】
ちなみに、組付不良の場合、検査画像上の検査領域内を着色等して警告すれば、不良箇所を作業者へ告知できるので、その改修等も容易となって、非常に効率よく不良率の大幅な低減を図れる。
【0025】
そこで本発明は、前記指標値算出手段(ステップ)によって画素ごとに算出された複数の前記指標値が適正範囲内となる割合である指標含有率を算出する指標含有率算出手段(ステップ)と、この指標含有率の閾値であり検査領域に対応して設定される指標含有閾値を記憶する指標含有閾値記憶手段(ステップ)と、指標含有率と指標含有閾値との対比により検査品の組付の良否を判定する含有率判定手段(ステップ)と、を備えると好適である。
【0026】
なお、被組付品の有無などの比較的簡単な判定であれば、上記の相関値(nR0、nG0、nB0)または相関値(nR1、nG1、nB1)を指標値として用いてもよい。この場合、例えば、(nR0、nG0、nB0)の各値の絶対値が大きいと被組付品が有る可能性が高くなり、その絶対値が小さいと被組付品が無い可能性が高くなる。逆に(nR1、nG1、nB1)の場合なら、それら各値の絶対値が小さいと被組付品が有る可能性が高くなり、その絶対値が大きいと被組付品が無い可能性が高くなる。そしてこの場合にも、上述した含有率判定を行うことによって、組付判定の精度を効率的に高めることができるようになる。
【0027】
〈判定処理2〉
上述した判定処理1とは別に、または判定処理1と共に、次のような判定処理を行ってもよい。すなわち、検査領域内にある検査画像の任意の画素の各RGB値(Rs、Gs、Bs)自体に対して、上限値または下限値となる閾値(svR、svG、svB)を設定する。そして例えば、Rs>svR かつ Gs>svG かつ Bs>svBのときは正常値を出力し、それ以外の場合はエラー値を出力する。そして、その正常値の集計結果に対しても、上述したような含有率判定を行う。このような判定処理でも、検査品の種類や検査環境によっては、高精度な判定が可能となる。
【0028】
そこで本発明は、前記検査領域に対応して設定される第二閾値群を記憶する第二閾値群記憶手段(ステップ)と、前記検査輝度群と該第二閾値群との対比により前記検査品の組付の良否を判定する第二判定手段(ステップ)とを備えると好適である。上述した例では、(Rs、Gs、Bs)が検査輝度群に、(svR、svG、svB)が第二閾値群にそれぞれ相当する。また第二閾値群は、本体品や被組付品の色に応じて、下限値に限らず、上限値を設定しても良いし、両方を設定しても良い。
【0029】
《色判定》
上述した組付判定とは別に、または組付判定と共に、被組付品の色判定を行うことも可能である。もっとも色判定は、組付判定と異なり、必ずしも、空画像または組画像と検査画像とを対比する必要はない。つまり検査画像データを特定の色データ(RGB値)と対比することで色判定を行うことが可能となる。もっともその際に、検査画像の画素を構成する各色要素の輝度を示すRGB値をそのまま用いると、照明等の外乱の影響を非常に受け易くなり、高精度な判定を安定的に行うことが難しくなる。
【0030】
そこで例えば、次のような差分値(指標値の一つ)および閾値(指標閾値の一つ)を導入して色判定を行うと好適である。すなわち、前述した検査輝度群(Rs、Gs、Bs)を用いて、それらの差の絶対値である差分値群(ndRG、ndGB、ndBR)を求める。ここで、ndRG=|Rs−Gs|、ndGB=|Gs−Bs|、ndBR=|Bs−Rs|である(差分値群算出手段、差分値群算出ステップ)。
【0031】
次に、判定したい色のRGB値に応じて、差分値群と同様な差の絶対値を算出しておく。その値に基づいて差分閾値群(sRG、sGB、sBR)を設定する。この差分値群は、上限値または下限値の一方でもよいが、上限値および下限値の両方を設定すると、より安定した色判定を行えて好ましい。すなわち、差分閾値群(sRG、sGB、sBR)は上限差分値群(suRG、suGB、suBR)および下限差分値群(slRG、slGB、slBR)からなると好ましい。
【0032】
そして差分値群が差分閾値群に基づき定まる範囲内にあるとき、例えば、slRG<ndRG<suRG かつ slGB<ndGB<suGB かつ slBR<ndBR<suBRのとき、正常値を出力し、それ以外の場合はエラー値を出力する。そしてこの正常値の集計結果に対しても、前述したような含有率判定を行う。その含有率が所定の閾値以上であれば、検査対象である被組付品の色は正常色であり、含有率が所定の閾値よりも低ければ被組付品の色は誤色であると判定される(色判定手段、色判定ステップ)。このような色判定により、照明等の外乱の影響を抑制しつつ、高精度な判定を安定的に行うことが可能となる。
【0033】
そこで本発明は、前記検査輝度群内の各輝度の差分値からなる差分値群を求める差分値群算出手段と、この差分値の閾値からなり前記検査領域に対応して設定される差分閾値群を記憶する差分閾値群記憶手段と、差分値群と差分閾値群に基づいて検査品の検査領域内における色または色の適否を判定する色判定手段とを備えると好適である。なお、このような色判定は、上述した組付判定と共に行っても良いし独立的に行ってもよい。
【0034】
《用途》
本発明でいう組付検査の対象となる検査品は、品種、形態、材質等を問わない。検査品の代表例として工具ケースに各種工具を組付収納した車載工具セットがある。その他、自動車の各種組付製品、電子機器の組付製品、電気機器の組付製品等も本発明でいう組付検査の対象となり得る。
でもよい。
【実施例】
【0035】
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《組付検査装置》
(1)図1Aおよび図1Bに本発明に係る組付検査装置10の概要を示す。図1Aは検査品Sをセットする様子を示し、図1Bは組付検査を行っている様子を示す。
組付検査装置10は、検査対象となる検査品Sを内側にセットするセット引出131を備える基台13と、基台13上に密接して配置されセット引出131の上方を覆い、外乱要因となる外部光を遮光する四角錐状の遮光体14と、遮光体14の頂部に配設された画像入力機器124と、画像入力機器124で撮影された検査品S等のカラー電子画像を取り込むコンピュータ110を備える。なお、セット引出131には、検査毎に検査品Sを同位置に配置できる位置決め用突起(図略)が設けられている。この位置決め用突起を基準に座標軸を設定することで、各画像中における画素の座標位置を特定することが可能となる。
【0036】
(2)コンピュータ110は、図3に示すように、各種の算出処理や判定処理等を行う中央処理装置111と、それらに必要な各種の情報(データ)を記憶する主記憶装置112とからなる。主記憶装置112は、空画像を記憶する空画像メモリ113と、組画像を記憶する組画像メモリ114と、検査画像を記憶する検査画像メモリ115と、組画像上に設定された検査領域を記憶する検査領域メモリ116と、各種の算出や判定に必要となる閾値などを記憶する判定情報メモリ117とを有する。なお、コンピュータ110はいわゆるパソコン(PC)で構成され、詳細は図示等していないが、本実施例の実施に必要な種々の一般的な装置、機器等を当然に備える。
【0037】
上述した主記憶装置112の各メモリは、本発明でいう種々の記憶手段に相当し、それら各メモリへの各データの書き込み動作が本発明でいう種々の記憶ステップに相当する。またメモリから取り込んだデータに基づいて中央処理装置111が行う種々の処理が本発明でいう算出ステップや判定ステップ等に相当し、そのときの中央処理装置111が本発明でいう種々の算出手段や判定手段に相当する。
【0038】
(3)コンピュータ110に接続される外部機器120として、前述した画像入力機器124の他、図3に示すように、画像入力機器124から読込んだ電子画像等を表示する表示機器121と、検査品Sに関する品番、数量等が記載されたバーコード(いわゆる「かんばん」)を取り込むバーコードリーダーからなる外部入力機器125と、外部入力機器125とコンピュータ110との間に介在するI/Oインターフェース126と、キーボードやマウス等のデータ入力装置122と、各種の基準画像(空画像と組画像)などを記憶するハードディスクやメモリカード等からなる補助記憶装置123がある。
【0039】
画像入力機器124は、詳細を図示していないが、遮光体14内の検査品Sへ可視光を照射する検査照明と、その検査照明により照射された検査品Sをカラー撮影して、そのカラー電子画像データを出力するCCDカメラ(電子カメラ)からなる。これらは遮光体14と密に接続されている。従って、外部光が画像入力機器124の周辺からも遮光体14内へ漏れることもない。
【0040】
(4)上述した組付検査装置10では、検査品Sを一つ検査するたびに、セット引出131の開閉が必要となる。このセット引出131を図2に示すようなベルトコンベア231に変更してもよい。これにより、検査ごとのセット引出131の開閉が不要となり、多数の検査品Sの検査を効率的に行うことが可能となる。
【0041】
《組付検査処理》
コンピュータ110によりなされる組付検査の主たる処理手順を図4のフローチャートに示した。本実施例では、図5や図6等に示すように、各種の工具(被組付品T)を収納ケースである工具ケース(本体品H)へ組み付けてなる車載工具セット(組付完了品)の組付検査を、そのフローチャートに基づいて行う場合を例示しつつ説明する。
【0042】
(1)組付判定
先ず、検査品Sの製品情報が入力される(ステップS1)。この情報入力は、各種検査品Sごとに付与されたバーコードが外部入力機器125を通じて入力され、コンピュータ110の主記憶装置112内にある判定情報メモリ117に取り込まれる。この情報に基づいて検査品Sに応じた以降の組付検査がなされる。
【0043】
次に、検査品Sの組付検査に必要な基準となるカラー電子画像(基準画像)データがコンピュータ110の主記憶装置112に取り込まれる(ステップS2)。基準画像は、検査品Sを構成する本体品Hのカラー電子画像である空画像(図5参照)と、その本体品Hに被組付品Tを適正に組み付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像(図6参照)とからなる。空画像データは主記憶装置112内の空画像メモリ113へ、組画像データは主記憶装置112メモリ114へそれぞれ取り込まれる。ちなみに、空画像データは本体品Hを画像入力機器124のCCDカメラで撮影して得られ、組画像データは本体品Hへ被組付品Tを適正に組み付けた組付完了品を同じCCDカメラで撮影して得られる。
なお、検査品Sが過去に検査したものと同種であり、その基準画像が既に補助記憶装置123に記録してある場合は、そこから該当する画像ファイル等を指定して各画像データを取り込んでもよい。
【0044】
次に、検査品Sの各被組付品Tの有無および形状を検査するための領域(検査領域)を組画像上にそれぞれ設定し(図7参照)、それらの情報が主記憶装置112の検査領域メモリ116に取り込まれる(ステップS3)。本実施例の場合、この検査領域内の各画素(Pixel)について種々の処理がなされる。なお、図7に示すような検査領域の設定は、組画像上で、被組付品Tごとにその概形を描くことでなされる。このような被組付品Tの概形を示す検査領域を設定することにより、単なる被組付品Tの有無検査(欠品検査)のみならず、被組付品Tの適否検査(誤組付検査)も可能となる。そして、その際に描く被組付品Tの概形が被組付品Tの形状に近いほど、被組付品Tの形状判定精度も向上する。
【0045】
次に、検査品Sの組付状態の判定または色の判定に必要となる各種の閾値が、コンピュータ110に接続されたデータ入力装置122から入力され、主記憶装置112の判定情報メモリ117に取り込まれる(ステップS4)。
【0046】
次に、基準画像データを取り込む場合と同様にして、組付検査対象である検査品Sのカラー電子画像(検査画像)データが画像入力機器124を通じて入力され、検査画像メモリ115に取り込まれる(ステップS5)。当然ながら、この検査画像データの取り込みは、検査品Sごとに行われる。
【0047】
次に、検査画像を構成する画素データを順次走査して(ステップS6)、その画素データが被組付品Tごとに設定した検査領域内のデータか否かが判断される(ステップS7)。
その画素データが検査領域内であれば、前述した「判定処理1」に基づいて、各画素ごとに、その特性を指標する指標値が算出される(ステップS8)。このステップが本発明でいう指標値算出ステップに相当し、このステップを行う中央処理装置111が本発明でいう指標値算出手段に相当する。
【0048】
こうして算出された指標値が、指標閾値の範囲内か否かが判定され、その画素の適否(エラー値か正常値か)が決定される(ステップS9)。
なお、判定処理に必要な各種の算出式や判定式は、検査品Sの製品情報と関連づけられて、主記憶装置112の判定情報メモリ117に格納されている。また各種の閾値も、検査領域メモリ116にある検査領域情報と関連づけられて、判定情報メモリ117に格納されている。
【0049】
ここで検査領域毎の各閾値の設定は、例えば、表示機器121に表示させた図8に示すような設定画面を介してなされる。前述した「判定処理1」を行う場合、「指標閾値で比較」にチェックを入れ、指標閾値を入力する(図8では例えば「65」)。
【0050】
なお、各検査領域にある画素について正常と判定された数の割合(含有率)により、最終的な組付判定を行うための閾値(指標含有閾値)も、ここで入力しておく(図8では例えば「50」)。この含有閾値は、判定する検査領域や判定の種類に応じて適宜変更される。
【0051】
このような画素の判定処理を、被組付品Tに応じて設定された検査領域内の他の画素についても順次行う(ステップS10)。そして指標値が指標閾値の範囲内にあった適合画素の数を検査領域単位で集計する(ステップS11)。
【0052】
次に、その適合画素数の検査領域内の全画素数に対する割合(指標含有率)を求め(指標含有率算出ステップ、指標含有率算出手段)、それが前述した指標含有閾値以上か否かを判断して(含有率判定ステップ、含有率判定手段)、検査領域にある被組付品Tの最終的な組付判定を行う(ステップS12)。なお、ステップ9、ステップ11およびステップ12により本発明でいう組付判定ステップが構成され、これらのステップを行う中央処理装置111が本発明でいう組付判定手段に相当する。
【0053】
指標含有率が指標含有閾値未満の場合は、検査画像が表示されている表示機器121の画面上に警告が表示される。この警告は該当する検査領域の着色によりなされる(図9参照)。そして被組付品Tが複数ある場合は、上述した処理を繰り返し行うことで、全ての被組付品Tを含む検査品S全体について、組付の良否判定を行うことが可能となる。
こうして組付作業者は、被組付品Tの欠品(有無)や誤組付(形状相違)およびその不良箇所などを容易に知ることができる。従って、本実施例の組付検査装置10を用いると、車載工具セット等の組付不良率を非常に効率的に著しい低減できる。
【0054】
(2)色判定
上記の組付判定と同様にして、例えば、図10に示すような有色の付箋(被組付品Tの一つ)の色を判定することが可能である。具体的には、指定した検査領域内の各画素データに、既述した「色判定」で用いた算出式および判定式を適用して行える。
【0055】
この際、例えば、表示機器121に表示させた図11に示すような設定画面上で、「色判定を行う」にチェックを入れ、その判定すべき色を選択する(図11では「赤」を選択)。そして検査画像の検査領域内にある画素のRGB値(検査輝度群)から求めた差分値群の閾値となる差分閾値群の上下限値を入力し、さらに、最終的な色判定に必要となる含有率の閾値(含有閾値)の上下限値を入力する。この条件下で、前述した組付判定の場合と同様な処理を行う。
【0056】
この結果、適合画素数の含有率が含有閾値未満の場合は、検査画像が表示されている表示機器121の画面上に警告が表示される。この警告は該当する検査領域を着色または強調して行われる(図12参照)。これにより作業者は、被組付品Tの有無と共に色の適否を容易に知ることができる。
【0057】
従って、このような色判定が必要な場合でも、本実施例の組付検査装置10を用いると、高精度に不良(誤色、欠品)を発見でき、その低減が非常に容易である。なお、この色判定は、検査品Sに応じて、被組付品Tの有無や形状を判定する組付判定と併行して行うこともできるし、個別に行うこともできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する組付検査装置であって、
前記被組付品の組付前の本体品のカラー電子画像である空画像を記憶する空画像記憶手段と、
該被組付品を該本体品へ適正に組付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像を記憶する組画像記憶手段と、
前記組付状態を検査する検査品のカラー電子画像である検査画像を記憶する検査画像記憶手段と、
該組付状態を検査する対象領域であり該空画像または該組画像に基づき設定される検査領域を記憶する検査領域記憶手段と、
該検査領域内の空画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または該検査領域内の組画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と該検査領域内の検査画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、該検査画像の該検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出手段と、
該指標値の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶手段と、
該指標値と該指標閾値に基づいて該検査品の組付の良否を判定する組付判定手段と、
を備えることを特徴とする組付検査装置。
【請求項2】
前記組付判定手段は、前記検査領域に対応して設定される第二閾値群を記憶する第二閾値群記憶手段と、
前記検査輝度群と該第二閾値群との対比により前記検査品の組付の良否を判定する第二判定手段と、
を備える請求項1に記載の組付検査装置。
【請求項3】
前記組付判定手段は、さらに、前記指標値算出手段によって画素ごとに算出された複数の前記指標値が適正範囲内となる割合である指標含有率を算出する指標含有率算出手段と、
該指標含有率の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標含有閾値を記憶する指標含有閾値記憶手段と、
該指標含有率と該指標含有閾値との対比により前記検査品の組付の良否を判定する含有率判定手段と、
を備える請求項1または2に記載の組付検査装置。
【請求項4】
さらに、前記検査輝度群内の各輝度の差分値からなる差分値群を求める差分値群算出手段と、
該差分値の閾値からなり前記検査領域に対応して設定される差分閾値群を記憶する差分閾値群記憶手段と、
該差分値群と該差分閾値群に基づいて該検査品の該検査領域内における色または該色の適否を判定する色判定手段と、
を備える請求項1〜3のいずれかに記載の組付検査装置。
【請求項5】
本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する組付検査方法であって、
前記被組付品の組付前の本体品のカラー電子画像である空画像を記憶する空画像記憶ステップと、
該被組付品を該本体品へ適正に組付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像を記憶する組画像記憶ステップと、
前記組付状態を検査する検査品のカラー電子画像である検査画像を記憶する検査画像記憶ステップと、
該組付状態を検査する対象領域であり該空画像または該組画像に基づき設定される検査領域を記憶する検査領域記憶ステップと、
該検査領域内の空画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または該検査領域内の組画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と該検査領域内の検査画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、該検査画像の該検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出ステップと、
該指標値の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶ステップと、
該指標値と該指標閾値に基づいて該検査品の組付の良否を判定する組付判定ステップと、
を備えることを特徴とする組付検査方法。
【請求項6】
請求項5に記載の組付検査方法をコンピュータを機能させて実行することを特徴とする組付検査プログラム。
【請求項7】
本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する検査品へ検査光を照射する検査照明と、
該検査照明以外から入射する外部光を該検査品に対して遮光する遮光体と、
該遮光体内で該検査光で照射された該検査品をカラー撮影する電子カメラと、
該電子カメラから得られたカラー電子画像に基づき請求項5に記載の組付検査プログラムを機能させるコンピュータと、
を備えることを特徴とする組付検査装置。
【請求項8】
前記被組付品は工具であり、
前記本体品は該工具を収納する工具ケースであり、
前記組付完了品は車載工具セットである請求項1〜4または7に記載の組付検査装置。
【請求項1】
本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する組付検査装置であって、
前記被組付品の組付前の本体品のカラー電子画像である空画像を記憶する空画像記憶手段と、
該被組付品を該本体品へ適正に組付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像を記憶する組画像記憶手段と、
前記組付状態を検査する検査品のカラー電子画像である検査画像を記憶する検査画像記憶手段と、
該組付状態を検査する対象領域であり該空画像または該組画像に基づき設定される検査領域を記憶する検査領域記憶手段と、
該検査領域内の空画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または該検査領域内の組画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と該検査領域内の検査画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、該検査画像の該検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出手段と、
該指標値の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶手段と、
該指標値と該指標閾値に基づいて該検査品の組付の良否を判定する組付判定手段と、
を備えることを特徴とする組付検査装置。
【請求項2】
前記組付判定手段は、前記検査領域に対応して設定される第二閾値群を記憶する第二閾値群記憶手段と、
前記検査輝度群と該第二閾値群との対比により前記検査品の組付の良否を判定する第二判定手段と、
を備える請求項1に記載の組付検査装置。
【請求項3】
前記組付判定手段は、さらに、前記指標値算出手段によって画素ごとに算出された複数の前記指標値が適正範囲内となる割合である指標含有率を算出する指標含有率算出手段と、
該指標含有率の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標含有閾値を記憶する指標含有閾値記憶手段と、
該指標含有率と該指標含有閾値との対比により前記検査品の組付の良否を判定する含有率判定手段と、
を備える請求項1または2に記載の組付検査装置。
【請求項4】
さらに、前記検査輝度群内の各輝度の差分値からなる差分値群を求める差分値群算出手段と、
該差分値の閾値からなり前記検査領域に対応して設定される差分閾値群を記憶する差分閾値群記憶手段と、
該差分値群と該差分閾値群に基づいて該検査品の該検査領域内における色または該色の適否を判定する色判定手段と、
を備える請求項1〜3のいずれかに記載の組付検査装置。
【請求項5】
本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する組付検査方法であって、
前記被組付品の組付前の本体品のカラー電子画像である空画像を記憶する空画像記憶ステップと、
該被組付品を該本体品へ適正に組付けた組付完了品のカラー電子画像である組画像を記憶する組画像記憶ステップと、
前記組付状態を検査する検査品のカラー電子画像である検査画像を記憶する検査画像記憶ステップと、
該組付状態を検査する対象領域であり該空画像または該組画像に基づき設定される検査領域を記憶する検査領域記憶ステップと、
該検査領域内の空画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる空輝度群および/または該検査領域内の組画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる組輝度群と該検査領域内の検査画像を構成する画素の複数の色要素の輝度からなる検査輝度群とに基づき、該検査画像の該検査領域内にある画素の特性を指標する指標値を算出する指標値算出ステップと、
該指標値の閾値であり該検査領域に対応して設定される指標閾値を記憶する指標閾値記憶ステップと、
該指標値と該指標閾値に基づいて該検査品の組付の良否を判定する組付判定ステップと、
を備えることを特徴とする組付検査方法。
【請求項6】
請求項5に記載の組付検査方法をコンピュータを機能させて実行することを特徴とする組付検査プログラム。
【請求項7】
本体品と該本体品に組付けられる被組付品との組付状態を検査する検査品へ検査光を照射する検査照明と、
該検査照明以外から入射する外部光を該検査品に対して遮光する遮光体と、
該遮光体内で該検査光で照射された該検査品をカラー撮影する電子カメラと、
該電子カメラから得られたカラー電子画像に基づき請求項5に記載の組付検査プログラムを機能させるコンピュータと、
を備えることを特徴とする組付検査装置。
【請求項8】
前記被組付品は工具であり、
前記本体品は該工具を収納する工具ケースであり、
前記組付完了品は車載工具セットである請求項1〜4または7に記載の組付検査装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−42370(P2012−42370A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184687(P2010−184687)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(392013305)キムラユニティー株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(392013305)キムラユニティー株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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