説明

組合せオイルリング

【課題】組合せオイルリングにおいて、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保すると共に張力減退率の抑制を図る。
【解決手段】ピストン14の外周面にリング溝44,45,46を形成し、このリング溝44,45,46にトップリング51、セカンドリング52、オイルリング53を嵌合し、このオイルリング53にて、リング形状をなす上下のレール61,62を有するオイルリング本体63に、このオイルリング本体63を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ64を装着すると共に、芯金として冷媒Cが封入された円筒リング65をこのコイルエキスパンダ64の中心部に貫入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に用いられ、ピストンの外周面に形成されたリング溝に装着される組合せオイルリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、内燃機関において、シリンダヘッドはシリンダブロックの上部に組み付けられ、複数の締結ボルトにより締結されており、複数のシリンダボアが設けられ、各シリンダボアにピストンが上下動自在に支持されている。そして、シリンダヘッドとシリンダブロックとピストン区画される各燃焼室に対して吸気ポート及び排気ポートが対向して形成され、この吸気ポート及び排気ポートは吸気弁及び排気弁により開閉自在となっている。また、吸気ポート(または燃焼室)に燃料を噴射するインジェクタが装着されると共に、燃焼室の混合気に着火する点火プラグが装着されている。
【0003】
従って、吸気弁の開放時に、空気が吸気ポートから燃焼室に吸入されると共に、インジェクタから噴射された燃料が燃焼室に吸入され、空気と燃料との混合気がピストンの上昇により圧縮され、この高圧の混合気が点火プラグに導かれて着火して爆発することで駆動力を得ることができ、排気弁の開放時に、燃焼後の排ガスが排気ポートから排出される。
【0004】
そして、上述した内燃機関において、ピストンの外周部には複数のピストンリングが装着されている。ピストンリングには、ガスシール機能、熱伝導機能、オイルコントロール機能、フリクションコントロール機能がある。上方側に装着されるトップリング及びセカンドリング等の圧力リングは、ガスシール機能及び熱伝導機能を有し、その下方側に装着されるオイルリングは、オイルコントロール機能を有している。即ち、ガスシール機能は、内燃機関の吸気、圧縮、膨張、排気行程における燃焼室の機密性を確保するものであり、特に、燃焼室における燃焼ガスの膨張によりピストンが圧力を受けて下降するとき、燃焼ガスがシリンダボアとピストンとの隙間を通ってクランクケース内に漏れないように、ピストンリングがシリンダボアの壁面に接して機密性を確保している。また、熱伝導機能は、ピストンリングがシリンダボアの壁面に接することで、ピストンの熱をシリンダボア側に逃がし、ピストンやピストンリングの性能を確保するものである。更に、オイルコントロール機能は、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボアの壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収するものである。
【0005】
オイルリングは、圧力リングに対して張力(ピストンリングをその径方向外方に拡張する力)を5〜12倍に高くすることにより、オイルコントロール機能を満足させている。例えば、ピストンリング(圧力リング、オイルリング)の張力を合計したリング合計張力をボア径で割った合計張力比についてみると、1984年では、0.6〜1.0N/mmであったが、低フリクション化が求められて徐々に低下し、現状は、0.2〜0.6N/mmまで小さくなり、対応を求められている。このような背景の中で、オイルリングの機能性を満足させることが求められている。オイルリングの張力を低くすれば、フリクションが小さくなって燃費は向上するが、オイルをかき落とす機能が低くなってオイル消費が増大してしまう。
【0006】
ここで、必要になるのがフリクションコントロール機能である。このフリクションコントロール機能は、ピストンとシリンダ内壁面の直接的な接触を避け、ピストンリングとシリンダ内壁面との間に適正な油膜を形成することにより摩擦を小さくし、燃焼によるエネルギが摩擦により損失しないようにする機能である。
【0007】
ところで、オイルリングは、上述したように、オイルコントロール機能を有し、ピストンの上下動に応じて外周部がシリンダボアの壁面に摺動することで、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボアの壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収している。ところが、内燃機関が高回転・高負荷状態になると、燃焼室における燃焼ガスの圧力や温度がより一層高くなると共にシリンダボアが熱変形し、シリンダボアの変形に対するオイルリングの追従性が低下し、潤滑油の消費が増加することから、オイルリングはより大きな張力が必要となる。
【0008】
オイルリングの張力は、内燃機関の高回転・高負荷運転時に必要とされる張力に合わせて設定されている。しかし、低回転・低負荷運転時には、高回転・高負荷運転時ほどの張力は必要ない。そこで、オイルリングとして理想的な機能は、低回転・低負荷運転時には張力を低く、フリクションを低減して燃費を向上し、高回転・高負荷運転時には高い張力を発生して十分なオイルをかき落とす機能である。
【0009】
温度変化により張力が変化する材料の一つとして形状記憶合金があり、オイルリングに張力を付与するコイルエキスパンダに形状記憶合金を用いた技術がある。例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載されたピストンリングは、エキスパンダを、ピストンリング本体に対する拡径方向への押圧力を与えるためのマスターエキスパンダ部材と、このマスターエキスパンダ部材と係合して配置されて形状記憶合金により高温になると張力を発生し、低温になると張力が低くなるように形成されたサブエキスパンダ部材とから構成し、マスターエキスパンダ部材とサブエキスパンダ部材によって与えられるエキスパンダ全体としてのピストンリング本体に対する拡径方向への押圧力が、低温状態より高温状態の方が大きくなるようにしたものである。
【0010】
【特許文献1】特開2004−003574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、形状記憶合金は、低温側と高温側で完全変態し、この完全変態回数が増加するとその性能が低下することが一般的に知られている。現在、コイルエキスパンダに成形可能な形状記憶合金は、運転始動後、早い段階でコイルエキスパンダの温度が逆変態終了温度(AF点)に達してしまい、十分な燃費向上効果が得られない。上述した特許文献1に記載されたピストンリングのように、この形状記憶合金を用いてエキスパンダ部材を内燃機関の運転状態に応じた所定の温度で張力が変化するように設定すると、ピストンリングの温度変化に応じて完全変態が繰り返し実施されることから、張力減退率が大きくなって性能低下して高精度なオイルコントロール機能を維持することができなくなるおそれがある。内燃機関の運転状態に応じた張力を変化させるピストンリング(オイルリング)の張力となるように、このピストンリングを形状記憶合金で形成することは困難であり、早期にピストンリングの張力が高くなってしまい、燃費効果が得られないばかりか、張力減退率が大きくなって性能を低下させてしまうおそれがある。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保すると共に張力減退率の抑制を図った高性能な組合せオイルリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の組合せオイルリングは、二つのレールを柱部で連結した断面略I字形のオイルリング本体と、該オイルリング本体の二つのレールを連結する柱部の内周側に形成された内周溝に配置されて前記オイルリング本体を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金製コイルエキスパンダとからなる組合せオイルリングにおいて、前記コイルエキスパンダの螺旋内空間部に芯金として冷媒を封入した断面略円形状の円筒リングが収納されて配設されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の組合せオイルリングでは、前記冷媒は、前記断面略円形状の円筒リング内容積の50〜70vol%封入されたことを特徴としている。
【0015】
本発明の組合せオイルリングでは、前記オイルリング本体は、前記コイルエキスパンダに伝達される熱を遮断する断熱層を設けたことを特徴としている。
【0016】
本発明の組合せオイルリングでは、前記断熱層は、前記オイルリング本体と前記コイルエキスパンダとの接触面に設けられたことを特徴としている。
【0017】
本発明の組合せオイルリングでは、前記断熱層は、前記オイルリング本体の前記内周溝に設けられたことを特徴としている。
【0018】
本発明の組合せオイルリングでは、前記断熱層は、前記オイルリング本体のリング溝上面と対向する上レールに設けられたことを特徴としている。
【0019】
本発明の組合せオイルリングは、二つのレールを柱部で連結した断面略I字形のオイルリング本体と、該オイルリング本体の二つのレールを連結する柱部の内周側に形成された内周溝に配置されて前記オイルリング本体を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金製コイルエキスパンダとからなる組合せオイルリングにおいて、前記オイルリング本体は前記コイルエキスパンダに伝達される熱を遮断する断熱層を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の組合せオイルリングによれば、二つのレールを柱部で連結した断面略I字形のオイルリング本体と、このオイルリング本体の二つのレールを連結する柱部の内周側に形成された内周溝に配置されてオイルリング本体を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金製コイルエキスパンダとから構成し、コイルエキスパンダの螺旋内空間部に芯金として冷媒を封入した断面略円形状の円筒リングを収納して配設したので、ピストンが温度上昇してこのピストンの熱がオイルリング本体を介してコイルエキスパンダに伝達されるが、このコイルエキスパンダは冷媒が封入された円筒リングにより冷却されることで、完全変態温度に達する頻度が少なくなるため、繰り返し寿命が延びて張力減退率の上昇を抑制することができる。更に、円筒リングがない場合よりも冷媒の効果により温度上昇が遅れるため、燃費向上効果を十分に得ることができると共に、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保することができる。
【0021】
また、本発明の組合せオイルリングによれば、二つのレールを柱部で連結した断面略I字形のオイルリング本体と、このオイルリング本体の二つのレールを連結する柱部の内周側に形成された内周溝に配置されてオイルリング本体を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金製コイルエキスパンダとから構成し、オイルリング本体はコイルエキスパンダに伝達される熱を遮断する断熱層を設けたので、ピストンが温度上昇してこのピストンの熱がピストンリング本体を介してコイルエキスパンダに伝導されるが、断熱層によりその熱伝導が遅らされることで、形状記憶合金からなるコイルエキスパンダの完全変態温度に達する頻度が少なくなるため、張力減退率の上昇を抑制することができる。更に、断熱層がない場合よりも温度上昇が遅れるため、燃費向上効果を十分に得ることができると共に、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係る組合せオイルリングの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例1に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図、図2は、実施例1のオイルリングを表す概略斜視図、図3−1は、コイルエキスパンダの温度変化に対するコイルエキスパンダの張力及び組織変化を表すグラフ、図3−2は、実施例1の組合せオイルリングと従来の組合せオイルリングとの使用する温度領域を表すグラフ、図4は、ニッケル含有量に対する変態終了温度及び性能を表すグラフ、図5は、一般的なエンジンの縦断面図、図6は、2つの圧力リング及び1つの組合せオイルリングが装着されたピストンの要部断面図である。
【0024】
実施例1の内燃機関は、多気筒エンジンであり、図5に示すように、シリンダヘッド11はシリンダブロック12上に組み付けられ、複数の図示しない締結ボルトにより締結されている。シリンダブロック12には複数のシリンダボア13が形成され、各シリンダボア13にピストン14が摺動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック12の下部に図示しないクランクシャフトが回転自在に支持されており、各ピストン14はコネクティングロッド15を介してこのクランクシャフトに連結されている。
【0025】
シリンダブロック12の各シリンダボア13に対応してその上方に燃焼室16が直列するように形成されている。この燃焼室16は、シリンダボア13の内壁面と、シリンダヘッド11の下面と、ピストン14の頂面により囲繞されており、天井部(シリンダヘッド11の下面)の中央部が高くなるように傾斜したペントルーフ形状をなしている。そして、この各燃焼室16の上方、つまり、シリンダヘッド11の下面に吸気ポート17と、排気ポート18が対向して開口している。
【0026】
そして、この吸気ポート17及び排気ポート18に対して吸気弁19及び排気弁20がそれぞれ位置している。この吸気弁19及び排気弁20は、シリンダヘッド11に固定された各ステムガイド21,22により軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、各バルブスプリング23,24により上方、つまり、吸気ポート17及び排気ポート18を閉止する方向に付勢支持されている。また、吸気弁19及び排気弁20は、上端部にローラロッカアーム25,26の一端部が連結され、このローラロッカアーム25,26の他端部はシリンダヘッド11に固定されたラッシュアジャスタ27,28に連結されており、吸気カムシャフト29の吸気カム30及び排気カムシャフト31の排気カム32が各ローラロッカアーム25,26に接触している。
【0027】
従って、エンジンに同期して吸気カムシャフト29及び排気カムシャフト31が回転すると、吸気カム30及び排気カム32がローラロッカアーム25,26を作動させ、各吸気弁19及び排気弁20が所定のタイミングで上下動することで、吸気ポート17及び排気ポート18を開閉し、吸気ポート17と燃焼室16、燃焼室16と排気ポート18とをそれぞれ連通することができる。
【0028】
燃焼室16の側部、つまり、吸気ポート17側のシリンダヘッド11の下面には、この燃焼室16に直接燃料を噴射するインジェクタ33が装着されている。また、燃焼室16の天井部中央、つまり、吸気ポート17と排気ポート18の間のシリンダヘッド11の下面には、点火プラグ34が装着されている。そして、車両には、電子制御ユニット(ECU)が搭載されており、このECUは、インジェクタ33の燃料噴射量や噴射時期、点火プラグ34による点火時期などを制御可能となっており、検出した吸入空気量、スロットル開度(アクセル開度)、エンジン回転数などのエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを決定している。
【0029】
上述したピストン14は、図5及び図6に示すように、ピストン本体41の外周面42に3つのピストンリング51,52,53が装着されて構成されている。そして、このピストン本体41は、シリンダボア13の内径より若干小さい外径を有する円柱形状をなし、外周面42がシリンダボア13の壁面と所定のクリアランスを有している。また、ピストン本体41は、上部に燃焼室16を区画形成する頂面43を有している。
【0030】
また、ピストン本体41は、外周面に周方向に沿って所定深さを有する3つのリング溝44,45,46が上下方向に対して所定間隔で形成されている。そして、各リング溝44,45,46に、トップリング51、セカンドリング52、オイルリング53を装着しており、外周面42は、トップランド42a、セカンドランド42b、サードランド42cとして区画されている。
【0031】
この場合、ピストン本体41の頂面43側に位置するトップリング51及びセカンドリング52は、ガスシール機能及び熱伝導機能を有している。即ち、トップリング51及びセカンドリング52は、エンジンの吸気、圧縮、膨張、排気行程における燃焼室16の機密性を確保することができるものであり、特に、燃焼室16における燃焼ガスの膨張によりピストン14が圧力を受けて下降するが、トップリング51及びセカンドリング52が張力をもってシリンダボア13の壁面に接することで、排ガスがピストン14とシリンダボア13との隙間を通ってクランクケース内に漏れないように機能している。また、トップリング51及びセカンドリング52は、外周面がシリンダボア13の壁面に接することで、ピストン14の熱をシリンダボア13側に逃がし、ピストン14やトップリング51及びセカンドリング52の性能を維持することができる。
【0032】
また、セカンドリング52とその下方側に装着されるオイルリング(組合せオイルリング)53は、外周面がシリンダボア13の壁面に接することで、ピストン14の下降時にシリンダボア13の壁面に付着している潤滑油をかき落とし、必要最小限の量の潤滑油をシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油を回収することができる。
【0033】
ところで、上述したオイルリング53は、オイルコントロール機能を有し、ピストン14の上下動に応じて外周部がシリンダボア13の壁面に摺動し、必要最小限の量の潤滑油を供給して余分な潤滑油をかき落として回収している。この場合、エンジンが高回転・高負荷状態になると、燃焼室16における排ガスの圧力や温度がより一層高くなると共にシリンダボア13が熱変形し、シリンダボア13の変形に対するオイルリング53の追従性が低下し、潤滑油の消費量が増加することから、オイルリング53にはより大きな張力が必要とされる。
【0034】
そのため、オイルリングにおけるコイルエキスパンダを形状記憶合金により構成することで、低温状態では低張力であるが、高温状態では高張力となってシリンダボア13の壁面への押付力を大きくすることで、エンジンの高回転・高負荷状態であっても、適正なオイルコントロール機能を維持できるようにすることが考えられている。しかし、現在、コイルエキスパンダに成形可能な形状記憶合金では、運転始動後の早い段階でコイルエキスパンダの温度が逆変態終了温度(AF点)に達してしまい、十分な燃費向上効果が得られない。更に、オイルリングの温度変化に応じてコイルエキスパンダに対して完全変態が繰り返し作用することから、張力減退率が大きくなって性能が低下して高精度なオイルコントロール機能を維持することが困難となる。
【0035】
そこで、本実施例では、図1及び図2に示すように、オイルリング53は、リング形状をなす上下のレール61,62を有するオイルリング本体63と、このオイルリング本体63を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ64と、このコイルエキスパンダ64の螺旋空間部内に収納する冷媒Cが封入された円筒リング65とから構成されている。
【0036】
具体的に説明すると、図1に示すピストン14に形成されたリング溝46は、リング溝上面46aと、リング溝下面46bと、リング溝底面46cとから構成されている。一方、オイルリング53は、上述したようにオイルリング本体63と、コイルエキスパンダ64と、円筒リング65とから構成されている。このオイルリング本体63は、上部レール61と下部レール62が柱部69で連結された断面略I字形に形成されたリング形状をなし、内周面にコイルエキスパンダ64が嵌合する断面が円弧形状をなす内周溝66が周方向に沿って形成されると共に、上部レール61と下部レール62との間に外周面と内周面を貫通するオイル孔67が周方向に沿って複数形成されている。コイルエキスパンダ64は、ニッケル(Ni)を含有したNi−Ti合金、Ni−Ti−Cu合金などの形状記憶合金製の素線を螺旋形状に形成したものであり、オイルリング本体63の内周溝66に嵌合している。そして、このコイルエキスパンダ64は、所定の温度領域で、マルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高めることができる。また、円筒リング65は、コイルエキスパンダ64の中心部に貫入された円筒形状をなすリングであって、内部容積の50〜70vol%に冷媒Cが封入されている。円筒リング65の材質は特に限定はされないが、ステンレススチール材、鋳鋼材、鋼材等を適用することができる。この冷媒Cは、比較的、熱伝導率の高い金属として、ナトリウム(Na)、カリウムナトリウム合金(NaK)、銅(Cu)を用いることが望ましい。
【0037】
そして、オイルリング53は、上部レール61の上面61aがリング溝上面46aに対向し、下部レール62の下面62aがリング下面46bに対向し、上部レール61及び下部レール62の外周面に形成された上レール摺動部61b及び下レール摺動部62bがシリンダボア13の壁面に接することができる。そして、オイルリング53は、リング溝46内を上下動可能に装着されることから、ピストン14が上に移動する際には、オイルリング53がリング溝下面46bに押えられるため、上部レール61の上面61aとリング溝上面46aとの間に上部隙間S1が設けられる一方、ピストン14が下に移動する際には、オイルリング53がリング溝上面46aに押えられるため、下部レール62の下面62aとリング溝下面46bとの間に下部隙間が設けられる。
【0038】
ここで、本実施例の組合せオイルリングを有する内燃機関における作用を説明する。
【0039】
図5及び図6に示すように、吸気弁19の開放時に、吸気通路の空気が吸気ポート17から燃焼室16に吸入されると共に、インジェクタ33から燃料が燃焼室16に噴射され、この空気と燃料との混合気がピストン14の上昇により圧縮され、この高圧の混合気が点火プラグ34に導かれて着火して爆発することでピストン14が押し下げられて駆動力を得ることができ、排気弁20の開放時に、燃焼室16の排ガスが排気ポート18から排気管に排出される。
【0040】
図5に示すように、内燃機関の運転時には、ピストン14が上昇し燃焼室16の混合気が圧縮され、高圧の混合気に点火することで膨張して爆発するが、爆発後の燃焼ガス、つまり、排ガスには、有害成分であるNOx、HC、COが含まれている。そのため、ピストン14の上下動時に、このピストン14の外周面に装着されたトップリング51及びセカンドリング52がシリンダボア13の壁面に摺接することで、燃焼室16の燃焼ガスがピストン14とシリンダボア13との隙間を通ってクランクケースに漏洩することを防止することができる。クランクケースへのガスの漏洩が起きると、出力の低下が起きたり、排ガスに含まれている有害成分が図示しないオイルパンの潤滑油と反応してこの潤滑油の劣化が起きたりする。
【0041】
また、このとき、図1に示すピストン14の下降時に、ピストン14の外周面に装着されたオイルリング53がシリンダボア13の壁面を押圧しており、上下レール61,62の上下レール摺動部61b,62bがシリンダボア13の壁面に摺動することで、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収する。
【0042】
本実施例では、このオイルリング53が、リング形状をなすオイルリング本体63の内周面に、形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ64を装着すると共に、冷媒Cが封入された円筒リング65をこのコイルエキスパンダ64の中心部に芯金として貫入して設けている。従って、エンジンが高回転・高負荷状態となって、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体63に伝導し、このオイルリング本体63からコイルエキスパンダ64に伝導すると、所定の温度領域で、コイルエキスパンダ64の組織がマルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高めることができる。そのため、完全変態温度に達する頻度が少なくなり、繰り返し寿命が延びて張力減退率の上昇を抑制することができる。また、燃費向上効果を十分に得ることができ、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収することができる。
【0043】
また、オイルリング53は、所定の温度領域を超えると、コイルエキスパンダ64の組織がマルテンサイトからオーステナイトに完全変態する。このような変態が繰り返し行われると、コイルエキスパンダ64の逆変態終了温度(AF)の低下が生じ、張力減退率が大きくなってその性能が低下してしまう。ところが、コイルエキスパンダ64は、冷媒Cが封入された円筒リング65により常時冷却されていることで、組織の一部がマルテンサイトからオーステナイトに変態して張力が高められるものの、完全変態する温度までは上昇しにくくなり、適正なオイルコントロール機能が維持されたまま、性能の低下が抑制される。このとき、円筒リング65内には、内部容積の50〜70vol%に冷媒Cが封入されており、空間部を有するため、ピストン14が上下動するときに円筒リング65内の冷媒Cがシェイクされることとなり、コイルエキスパンダ64を効率良く冷却することができる。
【0044】
一般に、図3−1に示すように、形状記憶合金により構成されたコイルエキスパンダでは、その温度が上昇すると、所定の温度t1にて、その組織がマルテンサイトからオーステナイトへの変態を開始し始めると共に張力が高くなり始める。そして、所定の温度t2になると、その組織がオーステナイトに完全変態して張力が一定となる。従来のオイルリングでは、適用される温度領域A0に、コイルエキスパンダの組織がマルテンサイトからオーステナイトに完全変態する際の完全層変態領域が存在するため、コイルエキスパンダの張力減退率が大きくなってその性能が低下する。一方、本実施例のオイルリング53では、ピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体63に伝導すると、このオイルリング本体63の温度が上昇し、オイルリング本体63の熱がコイルエキスパンダ64に伝導するが、コイルエキスパンダ64は冷媒Cを封入した円筒リング65により冷却されているため、その温度の上昇が抑制される。そのため、本実施例のオイルリング53では、温度領域A1が適用されるため、温度領域A0に達する頻度が少なくなって繰り返し寿命が延び、コイルエキスパンダ64の張力減退率が大きくならずにその性能の低下が防止される。
【0045】
即ち、図3−2に示すように、第1運転条件は、オイルリングにそれほど高い張力を必要としない内燃機関における常用運転領域であり、第2運転条件は、オイルリングに高い張力を必要とする内燃機関の高回転・高負荷運転領域となっている。第2運転条件では、第1運転条件に比べてコイルエキスパンダの温度が上昇し、使用する温度領域が広がるが、本実施例のオイルリング53では、コイルエキスパンダ64が冷媒Cを封入した円筒リング65により冷却されるため、その温度の上昇が抑制され、完全変態に達する頻度が少なくなっている。
【0046】
また、図4に示すように、形状記憶合金におけるニッケルの含有量が増加すると、材料の耐久性が向上する(図4の上部グラフ)一方で、形状記憶合金におけるニッケルの含有量が減少すると、変態終了温度が高くなる(図4の下部グラフ)ことが知られている。従って、図4に実線で示す本実施例のオイルリング53は、図4に点線で示す従来のオイルリングよりも、耐久性が向上するので、要求される耐久性を確保しながらニッケルの含有量を減少して変態終了温度を高温化することができ、その結果、オイルリング53における低張力領域が拡大し、燃費向上効果が十分に得ることができる。
【0047】
このように実施例1の組合せオイルリングにあっては、図6に示すように、ピストン14の外周面にリング溝44,45,46を形成し、このリング溝44,45,46にトップリング51、セカンドリング52、オイルリング53を嵌合する。このオイルリング53にて、リング形状をなす図1に示す上下のレール61,62を有するオイルリング本体63に、このオイルリング本体63を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ64を装着すると共に、冷媒Cが封入された円筒リング65をこのコイルエキスパンダ64の中心部に貫入している。
【0048】
従って、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がオイルリング本体63を介してコイルエキスパンダ64に伝達されるが、このコイルエキスパンダ64は冷媒Cが封入された円筒リング65により冷却されることで、完全変態温度に達する頻度が少なくなり、張力減退率の上昇を抑制することができる。また、所定の温度で張力が高くなることとなり、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保することができる。
【0049】
即ち、コイルエキスパンダ64が円筒リング65に封入されている冷媒Cにより冷却されるため、その温度の上昇が抑制され、図3−1に示す適用される温度領域A1に、材料の完全層変態領域へ到達する頻度が少なくなり、コイルエキスパンダ64の張力減退率の上昇を抑制することができる。その結果、ニッケルの含有量を減少して変態終了温度を上げることができ、エンジンの運転状態に応じた適正な張力を確保することができる。
【0050】
そして、実施例1の組合せオイルリングでは、冷媒を円筒リング65内に容積の50〜70vol%封入しており、この円筒リング65内に空間部が存在するため、ピストン14の移動時に円筒リング65内の冷媒Cがシェイクされ、コイルエキスパンダ64を効率良く冷却することができる。
【実施例2】
【0051】
図7は、本発明の実施例2に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0052】
本実施例において、図7に示すように、オイルリング70は、リング形状をなす上下のレール71,72を有するオイルリング本体73と、このオイルリング本体73を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ74と、このコイルエキスパンダ74の螺旋空間部内に収納する冷媒Cが封入された円筒リング75と、オイルリング本体73に設けられてピストン14の熱がコイルエキスパンダ74に伝達されるのを遮断する断熱層78とから構成されている。
【0053】
具体的に説明すると、このオイルリング70は、上述したように、オイルリング本体73と、コイルエキスパンダ74と、円筒リング75と、断熱層78とから構成されている。このオイルリング本体73は、上部レール71と下部レール72が柱部79で連結された断面I字形に形成されたリング形状をなし、内周面にコイルエキスパンダ74が嵌合する断面が円弧形状をなす内周溝76が周方向に沿って形成されると共に、上部レール71と下部レール72との間に外周面と内周面を貫通するオイル孔77が周方向に沿って複数形成されている。コイルエキスパンダ74は、ニッケル(Ni)が含有されたNi−Ti合金、Ni−Ti−Cu合金などの形状記憶合金により螺旋形状に形成されており、オイルリング本体73の内周溝76に嵌合している。そして、このコイルエキスパンダ74は、所定の温度領域で、マルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高めることができる。円筒リング75は、コイルエキスパンダ74の中心部に貫入された円筒形状をなすリングであって、内部容積の50〜70vol%に冷媒Cが封入されている。また、断熱層78は、オイルリング本体73におけるコイルエキスパンダ74との接触面、つまり、内周溝76に装着されており、例えば、樹脂コーティング、塗料によって構成されている。
【0054】
従って、ピストン14が上下動するときに、このピストン14の外周面に装着されたオイルリング70がシリンダボア13の壁面を押圧しており、上下のレール71,72の外周部がシリンダボア13の壁面に摺動することで、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収する。
【0055】
本実施例では、このオイルリング70は、コイルエキスパンダ74が形状記憶合金により構成されると共に、冷媒Cが封入された円筒リング75をこのコイルエキスパンダ74の中心部に貫入して設けられ、オイルリング本体73とコイルエキスパンダ74との間に断熱層78が設けられている。従って、エンジンが高回転・高負荷状態となって、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体73に伝導し、このオイルリング本体73からコイルエキスパンダ74に伝導すると、所定の温度領域で、コイルエキスパンダ74の組織がマルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高めることができる。そのため、完全変態温度に達する頻度が少なくなり、繰り返し寿命が延びて張力減退率の上昇を抑制することができる。また、燃費向上効果を十分に得ることができ、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収することができる。
【0056】
また、ピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体73に伝導されるが、コイルエキスパンダ74は冷媒Cが封入された円筒リング75により冷却されると共に、断熱層78によりこのオイルリング本体73からコイルエキスパンダ74に伝達される熱が一部遮断されることとなる。そのため、コイルエキスパンダ74は、温度上昇が抑制されることで、組織の一部がマルテンサイトからオーステナイトに変態して張力が高められるものの、完全変態する温度までは上昇しにくくなり、張力減退率の上昇を抑制し、適正なオイルコントロール機能を維持できる。その結果、エンジンの運転状態に応じた適正な張力を確保することができる。
【0057】
このように実施例2の組合せオイルリングにあっては、ピストン14の外周面に形成されたリング溝46に嵌合するオイルリング70にて、リング形状をなす上下のレール71,72を有するオイルリング本体73に、このオイルリング本体73を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ74を装着すると共に、オイルリング本体73の内周溝76にピストン14の熱がコイルエキスパンダ74に伝達されるのを遮断する断熱層78を装着している。
【0058】
従って、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がオイルリング本体73を介してコイルエキスパンダ74に伝達されとき、その熱の一部が断熱層78により遮断されることで、コイルエキスパンダ74の温度の上昇が抑制され、適用される温度領域に材料の完全層変態領域が存在しなくなって張力減退率の上昇を抑制することができると共に、高温時における高張力を確保することができ、その結果、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保することができる。
【0059】
なお、この実施例2では、断熱層78をオイルリング本体73に形成された内周溝76に装着したが、この断熱層78は、オイルリング本体73とコイルエキスパンダ74との接触面に設けられていれば良く、コイルエキスパンダ74の外周面に設けてもよい。
【実施例3】
【0060】
図8は、本発明の実施例3に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図、図9は、実施例3のオイルリングにおけるオイルリング本体の内周面側から見た平面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0061】
本実施例において、図8及び図9に示すように、オイルリング80は、リング形状をなす上下のレール81,82を有するオイルリング本体83と、このオイルリング本体83を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ84と、このコイルエキスパンダ84の螺旋空間部内に収納する冷媒Cが封入された円筒リング85と、オイルリング本体83に設けられてピストン14の熱がコイルエキスパンダ84に伝達されるのを遮断する断熱層88とから構成されている。
【0062】
具体的に説明すると、このオイルリング80は、上述したようにオイルリング本体83と、コイルエキスパンダ84と、円筒リング85と、断熱層88とから構成されている。このオイルリング本体83は、上部レール81と下部レール82が柱部89で連結された断面略I字形に形成されたリング形状をなし、内周面にコイルエキスパンダ84が嵌合する断面が円弧形状をなす内周溝86が周方向に沿って形成されると共に、上部レール81と下部レール82との間に外周面と内周面を貫通するオイル孔87が周方向に沿って複数形成されている。コイルエキスパンダ84は、ニッケル(Ni)が含有されたNi−Ti合金、Ni−Ti−Cu合金などの形状記憶合金により螺旋形状に形成されており、オイルリング本体83の内周溝86に嵌合している。そして、このコイルエキスパンダ84は、加熱された所定の温度領域で、マルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高めることができる。円筒リング85は、コイルエキスパンダ84の中心部に貫入された円筒形状をなすリングであって、内部容積の50〜70vol%に冷媒Cが封入されている。また、断熱層88は、オイルリング本体83におけるコイルエキスパンダ84との接触面、つまり、内周溝86に設けられている。具体的には、上部レール81及び下部レール83に対応した内周溝86の底面が所定深さ切り欠かれることで一つの断熱層88が形成され、この断熱層88は、各オイル孔87の上方及び下方にオイルリング本体83の周方向に沿って所定間隔で形成されている。
【0063】
従って、ピストン14が上下動するときに、このピストン14の外周面に装着されたオイルリング80がシリンダボア13の壁面を押圧しており、上下のレール81,82の外周部がシリンダボア13の壁面に摺動することで、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収する。
【0064】
本実施例では、このオイルリング80は、コイルエキスパンダ84が形状記憶合金により構成されると共に、冷媒Cが封入された円筒リング85をこのコイルエキスパンダ84の中心部に貫入して設けられ、オイルリング本体83とコイルエキスパンダ84との間に断熱層88が設けられている。従って、エンジンが高回転・高負荷状態となって、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体83に伝達され、このオイルリング本体83からコイルエキスパンダ84に伝達されると、所定の温度領域で、コイルエキスパンダ84の組織がマルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高められる。そのため、完全変態温度に達する頻度が少なくなり、繰り返し寿命が延びて張力減退率の上昇を抑制することができる。また、燃費向上効果を十分に得ることができ、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収することができる。
【0065】
また、ピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体83に伝達されるが、コイルエキスパンダ84は冷媒Cが封入された円筒リング85により冷却されると共に、断熱層85によりこのオイルリング本体83からコイルエキスパンダ84に伝達される熱が一部遮断されることとなる。そのため、コイルエキスパンダ84は、温度上昇が抑制されることで、組織の一部がマルテンサイトからオーステナイトに変態して張力が高められるものの、完全変態する温度までは上昇しにくくなり、張力減退率の上昇を抑制し、また、適正なオイルコントロール機能を維持できる。その結果、エンジンの運転状態に応じた適正な張力を確保することができる。
【0066】
このように実施例3の組合せオイルリングにあっては、ピストン14の外周面に形成されたリング溝46に嵌合するオイルリング80にて、リング形状をなす上下のレール81,82を有するオイルリング本体83に、このオイルリング本体83を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ84を装着すると共に、オイルリング本体83の内周溝86にピストン14の熱がコイルエキスパンダ84に伝達されるのを遮断する断熱層88を形成している。
【0067】
従って、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がオイルリング本体83を介してコイルエキスパンダ84に伝達されとき、その熱の一部が断熱層88により遮断されることで、コイルエキスパンダ84の温度の上昇が抑制され、適用される温度領域に材料の完全層変態領域が存在しなくなって張力減退率の上昇を抑制することができると共に、高温時における高張力を確保することができ、その結果、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保することができる。
【実施例4】
【0068】
図10は、本発明の実施例4に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0069】
本実施例において、図10に示すように、オイルリング90は、リング形状をなす上下のレール91,92を有するオイルリング本体93と、このオイルリング本体93を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ94と、このコイルエキスパンダ94の螺旋空間部内に収納する冷媒Cが封入された円筒リング95と、オイルリング本体93の内部に設けられてピストン14の熱がコイルエキスパンダ94に伝達されるのを遮断する断熱層98とから構成されている。
【0070】
具体的に説明すると、このオイルリング90は、上述したようにオイルリング本体93と、コイルエキスパンダ94と、円筒リング95と、断熱層98とから構成されている。このオイルリング本体93は、上部レール91と下部レール92が柱部99で連結された断面略I字形に形成されたリング形状をなし、内周面にコイルエキスパンダ94が嵌合する断面が円弧形状をなす内周溝96が周方向に沿って形成されると共に、上部レール91と下部レール92との間に外周面と内周面を貫通するオイル孔97が周方向に沿って複数形成されている。コイルエキスパンダ94は、ニッケル(Ni)が含有されたNi−Ti合金、Ni−Ti−Cu合金などの形状記憶合金により螺旋形状に形成されており、オイルリング本体93の内周溝96に嵌合している。そして、このコイルエキスパンダ94は、所定の温度領域で、マルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高めることができる。円筒リング95は、コイルエキスパンダ94の中心部に貫入された円筒形状をなすリングであって、内部容積の50〜70vol%に冷媒Cが封入されている。また、断熱層98は、オイルリング本体93における上部レール91内に周方向に沿って空間部を形成することで形成されている。
【0071】
従って、ピストン14が上下動するときに、このピストン14の外周面に装着されたオイルリング90がシリンダボア13の壁面を押圧しており、上下のレール91,92の外周部がシリンダボア13の壁面に摺動することで、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収する。
【0072】
本実施例では、このオイルリング90は、コイルエキスパンダ94が形状記憶合金により構成されると共に、冷媒Cが封入された円筒リング95をこのコイルエキスパンダ94の中心部に貫入して設けられ、オイルリング本体93の内部に断熱層98が設けられている。従って、エンジンが高回転・高負荷状態となって、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体93に伝達し、このオイルリング本体93からコイルエキスパンダ94に伝達すると、所定の温度領域で、コイルエキスパンダ94の組織がマルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高められる。そのため、完全変態温度に達する頻度が少なくなり、繰り返し寿命が延びて張力減退率の上昇を抑制することができる。また、燃費向上効果を十分に得ることができ、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収することができる。
【0073】
また、ピストン14は、燃焼室に近い頂部側が高温となるため、ピストン14の頂部側の熱がリング溝上面46aを介してオイルリング本体93の上部レール91に伝達されるが、コイルエキスパンダ94は、冷媒Cが封入された円筒リング95により常時冷却されると共に、断熱層95によりこの熱が一部遮断されると共に、上部レール91に伝達された熱が下部レール92からリング溝下面46bを介して比較的低温であるピストン14の下部に伝達されて放熱することとなる。そのため、コイルエキスパンダ94は、温度上昇が抑制されることで、組織の一部がマルテンサイトからオーステナイトに変態して張力が高められるものの、完全変態する温度までは上昇しにくくなり、張力減退率の上昇を抑制し、また、適正なオイルコントロール機能を維持できる。その結果、エンジンの運転状態に応じた適正な張力を確保することができる。
【0074】
また、オイルリング本体93の内部に断熱層98として空間部を形成することで、オイルリング90を軽量化することができ、ピストン14が上下動するときの追従性を向上させ、オイル消費を低減することができる。
【0075】
このように実施例4の組合せオイルリングにあっては、ピストン14の外周面に形成されたリング溝46に嵌合するオイルリング90にて、リング形状をなす上下のレール91,92を有するオイルリング本体93に、このオイルリング本体93を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ94を装着すると共に、オイルリング本体93の上部レール91の内部にピストン14の熱がコイルエキスパンダ94に伝達されるのを遮断する断熱層98を形成している。
【0076】
従って、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がオイルリング本体93を介してコイルエキスパンダ94に伝達されとき、その熱の一部が断熱層98により遮断されることで、コイルエキスパンダ94の温度の上昇が抑制され、適用される温度領域に材料の完全変態領域が存在しなくなって張力減退率の上昇を抑制することができると共に、高温時における高張力を確保することができその結果、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保することができる。
【実施例5】
【0077】
図11は、本発明の実施例5に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0078】
本実施例において、図11に示すように、オイルリング100は、リング形状をなす上下のレール101,102を有するオイルリング本体103と、このオイルリング本体103を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ104と、このコイルエキスパンダ104の螺旋空間部内に収納する冷媒Cが封入された円筒リング105と、オイルリング本体103に設けられてピストン14の熱がコイルエキスパンダ104に伝達されるのを遮断する断熱層108とから構成されている。
【0079】
具体的に説明すると、このオイルリング100は、上述したようにオイルリング本体103と、コイルエキスパンダ104と、円筒リング105と、断熱層108とから構成されている。このオイルリング本体103は、上部レール101と下部レール102が柱部109で連結された断面略I字形に形成されたリング形状をなし、内周面にコイルエキスパンダ104が嵌合する断面が台形形状をなす内周溝106が周方向に沿って形成されると共に、上部レール101と下部レール102との間に外周面と内周面を貫通するオイル孔107が周方向に沿って複数形成されている。コイルエキスパンダ104は、ニッケル(Ni)が含有されたNi−Ti合金、Ni−Ti−Cu合金などの形状記憶合金により螺旋形状に形成されており、オイルリング本体103の内周溝106に嵌合している。そして、このコイルエキスパンダ104は、加熱された所定の温度領域で、マルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高めることができる。円筒リング105は、コイルエキスパンダ104の中心部に貫入された円筒形状をなすリングであって、内部容積の50〜70vol%に冷媒Cが封入されている。また、断熱層108は、オイルリング本体103とコイルエキスパンダ104との間に設けられている。具体的には、オイルリング本体103の台形形状をなす内周溝106にコイルエキスパンダ104が嵌合することで、両者は、線接触状態になると共に空間部が形成されることで、断熱層108が構成されている。
【0080】
従って、ピストン14が上下動するときに、このピストン14の外周面に装着されたオイルリング100がシリンダボア13の壁面を押圧しており、上下のレール101,102の外周部がシリンダボア13の壁面に摺動することで、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収する。
【0081】
本実施例では、このオイルリング100は、コイルエキスパンダ104が形状記憶合金により構成されると共に、冷媒Cが封入された円筒リング105をこのコイルエキスパンダ104の中心部に貫入して設けられ、オイルリング本体103とコイルエキスパンダ104との間に断熱層108が設けられている。従って、エンジンが高回転・高負荷状態となって、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体103に伝導し、このオイルリング本体103からコイルエキスパンダ104に伝導すると、所定の温度領域で、コイルエキスパンダ104の組織がマルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高められる。そのため、完全変態温度に達する頻度が少なくなり、繰り返し寿命が延びて張力減退率の上昇を抑制することができる。また、燃費向上効果を十分に得ることができ、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収することができる。
【0082】
また、ピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体103に伝達されるが、コイルエキスパンダ104は冷媒Cが封入された円筒リング105により冷却されると共に、断熱層108によりこのオイルリング本体103からコイルエキスパンダ104に伝達される熱が一部遮断されることとなる。そのため、コイルエキスパンダ104は、温度上昇が抑制されることで、組織の一部がマルテンサイトからオーステナイトに変態して張力が高められるものの、完全変態する温度までは上昇しにくくなり、張力減退率の上昇を抑制し、また、適正なオイルコントロール機能を維持できる。その結果、エンジンの運転状態に応じた適正な張力を確保することができる。
【0083】
また、オイルリング本体103の内周溝106を断面が台形形状となるように形成することで、オイルリング100を軽量化することができ、ピストン14が上下動するときの追従性を向上させ、オイル消費を低減することができる。
【0084】
このように実施例5の組合せオイルリングにあっては、ピストン14の外周面に形成されたリング溝46に嵌合するオイルリング100にて、リング形状をなす上下のレール101,102を有するオイルリング本体103に、このオイルリング本体103を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ104を装着すると共に、オイルリング本体103の内周溝106とコイルエキスパンダ104との間にピストン14の熱がコイルエキスパンダ104に伝達されるのを遮断する断熱層108を形成している。
【0085】
従って、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がオイルリング本体103を介してコイルエキスパンダ104に伝達されとき、その熱の一部が断熱層108により遮断されることで、コイルエキスパンダ104の温度の上昇が抑制され、適用される温度領域に材料の完全層変態領域が存在しなくなって張力減退率の上昇を抑制することができると共に、高温時における高張力を確保することができ、その結果、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保することができる。
【実施例6】
【0086】
図12は、本発明の実施例6に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0087】
本実施例において、図12に示すように、オイルリング110は、リング形状をなす上下のレール111,112を有するオイルリング本体113と、このオイルリング本体113を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ114と、このコイルエキスパンダ114の螺旋空間部内に収納する冷媒Cが封入された円筒リング115と、オイルリング本体113の上面部に設けられてピストン14の熱がコイルエキスパンダ114に伝達されるのを遮断する断熱層118とから構成されている。
【0088】
具体的に説明すると、このオイルリング110は、上述したようにオイルリング本体113と、コイルエキスパンダ114と、円筒リング115と、断熱層118とから構成されている。このオイルリング本体113は、上部レール111と下部レール112が柱部119で連結された断面略I字形に形成されたリング形状をなし、内周面にコイルエキスパンダ114が嵌合する断面が円弧形状をなす内周溝116が周方向に沿って形成されると共に、上部レール111と下部レール112との間に外周面と内周面を貫通するオイル孔117が周方向に沿って複数形成されている。コイルエキスパンダ114は、ニッケル(Ni)が含有されたNi−Ti合金、Ni−Ti−Cu合金などの形状記憶合金により螺旋形状に形成されており、オイルリング本体113の内周溝116に嵌合している。そして、このコイルエキスパンダ114は、加熱された所定の温度領域で、マルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高めることができる。円筒リング115は、コイルエキスパンダ114の中心部に貫入された円筒形状をなすリングであって、内部容積の50〜70vol%に冷媒Cが封入されている。また、断熱層118は、オイルリング本体113における上部レール111の上面が所定深さだけ切り欠かれることで形成され、この断熱層118はリング溝上面46aに対向するように周方向に沿って設けられている。
【0089】
従って、ピストン14が上下動するときに、このピストン14の外周面に装着されたオイルリング110がシリンダボア13の壁面を押圧しており、上下のレール111,112の外周部がシリンダボア13の壁面に摺動することで、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収する。
【0090】
本実施例では、このオイルリング110は、コイルエキスパンダ114が形状記憶合金により構成されると共に、冷媒Cが封入された円筒リング115をこのコイルエキスパンダ114の中心部に貫入して設けられ、オイルリング本体13の上面に断熱層118が設けられている。従って、エンジンが高回転・高負荷状態となって、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がリング溝46を介してオイルリング本体113に伝導し、このオイルリング本体113からコイルエキスパンダ114に伝導すると、所定の温度領域で、コイルエキスパンダ114の組織がマルテンサイトからオーステナイトに変態することで、その張力を高められる。そのため、完全変態温度に達する頻度が少なくなり、繰り返し寿命が延びて張力減退率の上昇を抑制することができる。また、燃費向上効果を十分に得ることができ、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボア13の壁面に供給し、余分な潤滑油をかき落として回収することができる。
【0091】
また、ピストン14は、燃焼室に近い頂部側が高温となるため、ピストン14の頂部側の熱がリング溝46の上面46aを介してオイルリング本体113の上部レール111に伝達されるが、コイルエキスパンダ114は冷媒Cが封入された円筒リング115により冷却されると共に、断熱層118によりこの熱が一部遮断されると共に、上部レール111に伝達された熱が下部レール112からリング溝46の下面46aを介して比較的低温であるピストン14の下部に伝達されて放熱することとなる。そのため、コイルエキスパンダ114は、温度上昇が抑制されることで、組織の一部がマルテンサイトからオーステナイトに変態して張力が高められるものの、完全変態する温度までは上昇しにくくなり、張力減退率の上昇を抑制し、また、適正なオイルコントロール機能を維持できる。その結果、エンジンの運転状態に応じた適正な張力を確保することができる。
【0092】
また、オイルリング本体113の上面を切り欠いて断熱層118を形成することで、オイルリング110を軽量化することができ、ピストン14が上下動するときの追従性を向上させ、オイル消費を低減することができる。
【0093】
このように実施例6の組合せオイルリングにあっては、ピストン14の外周面に形成されたリング溝46に嵌合するオイルリング110にて、リング形状をなす上下のレール111,112を有するオイルリング本体113に、このオイルリング本体113を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金からなるコイルエキスパンダ114を装着すると共に、オイルリング本体113の上部レール111の上面にピストン14の熱がコイルエキスパンダ114に伝達されるのを遮断する断熱層118を形成している。
【0094】
従って、ピストン14が温度上昇してこのピストン14の熱がオイルリング本体113を介してコイルエキスパンダ114に伝達されとき、その熱の一部が断熱層118により遮断されることで、コイルエキスパンダ114の温度の上昇が抑制され、適用される温度領域に材料の完全層変態領域が存在しなくなって張力減退率の上昇を抑制することができると共に、高温時における高張力を確保することができ、その結果、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保することができる。
【0095】
なお、上述した実施例1〜6では、冷媒Cが封入された円筒リング65をコイルエキスパンダ64の中心部に貫入することで、コイルエキスパンダ64の温度上昇を抑制し、実施例2〜6では、更に、オイルリング本体73,83,93,103,113またはコイルエキスパンダ74,84,94,104,114に、ピストン14の熱がこのコイルエキスパンダ74,84,94,104,114に伝達されるのを遮断する断熱層78,88,98,108,118を設けることで、コイルエキスパンダ74,84,94,104,114の温度上昇を抑制したが、各実施例を組み合わせて構成してもよく、冷媒が封入された円筒リングを設けずに、断熱層だけを設けてもよい。
【0096】
上述した各実施例では、燃料を直接燃焼室に噴射する筒内噴射式の内燃機関として説明したが、燃料を吸気ポートに噴射するポート噴射式内燃機関に適用しても前述と同様の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明に係る組合せオイルリングは、温度変化に応じた適正なオイルコントロール機能を確保すると共に、コイルエキスパンダの温度変化による完全変態を抑制して張力減退率の上昇を抑制するものであり、いずれの種類の内燃機関に用いても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施例1に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。
【図2】実施例1のオイルリングを表す概略斜視図である。
【図3−1】コイルエキスパンダの温度変化に対するコイルエキスパンダの張力及び組織変化を表すグラフである。
【図3−2】実施例1の組合せオイルリングと従来の組合せオイルリングとの使用する温度領域を表すグラフである。
【図4】ニッケル含有量に対する変態終了温度及び寿命を表すグラフである。
【図5】一般的なエンジンの縦断面図である。
【図6】2つの圧力リング及び1つの組合せオイルリングが装着されたピストンの要部断面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。
【図8】本発明の実施例3に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。
【図9】実施例3のオイルリングにおけるオイルリング本体の内周面側から見た平面図である。
【図10】本発明の実施例4に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。
【図11】本発明の実施例5に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。
【図12】本発明の実施例6に係る組合せオイルリングの装着状態を表す概略断面図である。
【符号の説明】
【0099】
11 シリンダヘッド
12 シリンダブロック
13 シリンダボア
14 ピストン
16 燃焼室
17 吸気ポート
18 排気ポート
33 インジェクタ
34 点火プラグ
41 ピストン本体
42 外周面
43 頂面
44,45,46 リング溝
51 トップリング
52 セカンドリング
53,70,80,90,100,110 オイルリング(組合せオイルリング)
61,71,81,91,101,111 上部レール
62,72,82,92,102,112 下部レール
63,73,83,93,103,113 オイルリング本体
64,74,84,94,104,114 コイルエキスパンダ
65,75,85,95,105,115 円筒リング
66,76,86,96,106,116 内周溝
67,77,87,97,107,117 オイル孔
69,79,89,99,109,119 柱部
78,88,98,108,118 断熱層
C 冷媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つのレールを柱部で連結した断面略I字形のオイルリング本体と、該オイルリング本体の二つのレールを連結する柱部の内周側に形成された内周溝に配置されて前記オイルリング本体を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金製コイルエキスパンダとからなる組合せオイルリングにおいて、前記コイルエキスパンダの螺旋内空間部に芯金として冷媒を封入した断面略円形状の円筒リングが収納されて配設されていることを特徴とする組合せオイルリング。
【請求項2】
前記冷媒は、前記断面略円形状の円筒リング内容積の50〜70vol%封入されたことを特徴とする請求項1に記載の組合せオイルリング。
【請求項3】
前記オイルリング本体は、前記コイルエキスパンダに伝達される熱を遮断する断熱層を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の組合せオイルリング。
【請求項4】
前記断熱層は、前記オイルリング本体と前記コイルエキスパンダとの接触面に設けられたことを特徴とする請求項3に記載の組合せオイルリング。
【請求項5】
前記断熱層は、前記オイルリング本体の前記内周溝に設けられたことを特徴とする請求項3または4に記載の組合せオイルリング。
【請求項6】
前記断熱層は、前記オイルリング本体のリング溝上面と対向する上レールに設けられたことを特徴とする請求項3に記載の組合せオイルリング。
【請求項7】
二つのレールを柱部で連結した断面略I字形のオイルリング本体と、該オイルリング本体の二つのレールを連結する柱部の内周側に形成された内周溝に配置されて前記オイルリング本体を径方向外方に押圧付勢する形状記憶合金製コイルエキスパンダとからなる組合せオイルリングにおいて、前記オイルリング本体は前記コイルエキスパンダに伝達される熱を遮断する断熱層を設けたことを特徴とする組合せオイルリング。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−69884(P2008−69884A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249666(P2006−249666)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(390022806)日本ピストンリング株式会社 (137)
【Fターム(参考)】