説明

組合せ容器

【課題】 紙製の支持体と合成樹脂製の容器本体とを有する組合せ容器であり、支持体が十分な強度と断熱機能を発揮できることを目的とする。
【解決手段】 支持体10は紙材で折り畳んで形成されている。第1の壁体11と第2の壁体12は共に二重構造で内部に空洞部を有している。よって、支持体10のそれぞれの壁体11,12の強度が高く、容器本体50に内容物を充填しても変形しにくい。また壁体11,12が断熱機能を発揮できるため、容器本体50内の内容物を加熱しても、壁体11,12の外壁部11a,12aが熱くなるのを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙材で形成された支持体の凹部内に、合成樹脂材料で形成された容器本体が設置される組合せ容器に係り、特に、支持体の強度が高く、支持体に断熱機能を発揮させることも可能な組合せ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
弁当や菓子または惣菜などの食品を小分けして収納する容器として、外装体が紙材で形成され、この外装体に合成樹脂製の容器本体が保持された組合せ容器が広く使用されている。この種の組合せ容器は、容器本体内に食品を収納し、紙製の外装体の表面にカラー印刷を施すことで、カラフルな意匠や商標などの表示を可能としている。
【0003】
従来のこの種の組合せ容器は、合成樹脂製の容器本体と紙製の外装体とが接着剤で固定されているのが一般的であった。または、以下の特許文献1などに記載されているように、紙製の外装体に穴を形成し、合成樹脂製の容器本体に外側へ突出する突部を形成し、突部と前記穴とを嵌合させることで、接着剤を使用せずに容器本体と外装体とを組み合わせた容器も考えられている。
【特許文献1】特開2004−83091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いずれにせよ、従来の組合せ容器は、外装体が薄い紙材で形成されているため、外装体が容器本体の強度を補強できるだけの強度を有していない。そのために、容器本体は、合成樹脂材料で肉厚に形成して強度を高める必要があった。しかし、合成樹脂材料で肉厚に形成した容器本体は、重量が重くなり、また使用後に廃棄する際の廃棄樹脂量も多くなる。
【0005】
また、紙製の外装体では断熱機能が弱いため、電子レンジで容器本体内の食品を加熱したときに外装体も熱くなり手で保持するのが困難になる。さらに、容器本体と外装体とをホットメルト型などの接着剤で接着固定しているものでは、熱せられた容器本体が変形したり収縮するために、容器本体とこれに接着されている外装体との間の熱応力により、容器が歪んで内容物がこぼれやすくなるなどの問題も生じる。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、紙で形成された支持体の強度を高くでき、さらに支持体が断熱効果を発揮することもできる組合せ容器を提供することを目的としている。
【0007】
さらに、本発明は、紙製の支持体と合成樹脂製の容器本体との組み合わせで、強度を高く保つことができ、且つ支持体と容器とを凹凸嵌合で簡単に組み立てることができ、また別々に分離して廃棄することができる組合せ容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、周囲が壁体で囲まれた凹部を有する支持体と、凹状の収納部を有する容器本体とを有し、前記収納部が前記凹部内に収納される組合せ容器において、
前記支持体は紙材で形成されて、前記壁体が、外壁部と内壁部とを有し、前記外壁部と前記内壁部との間が空洞部とされており、
前記容器本体は合成樹脂材料で形成されており、前記支持体と前記容器本体との間には、前記収納部が前記凹部内に設置された状態で分離するのを規制する嵌合部が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の組合せ容器は、支持体が紙材で形成されているが、壁体が外壁部および内壁部を有し、外壁部と内壁部との間が空洞部とされているため、壁体の強度が高い。そのため、壁体で容器本体をしっかり支持でき、容器本体が内容物の重さで変形しようとしてもその変形を規制できるようになる。また、壁体が断熱機能を発揮するため、容器本体の内容物が加熱されたときでも、支持体が異常に熱くなるのを防止でき、支持体を手で掴みやすい。
【0010】
また、容器本体と支持体とは嵌合部で嵌合されているため、接着剤を使用して容器本体と支持体とを固定する必要がなく、容器本体と支持体とを互いに押し付けることで簡単に組み立てることができる。そのため容器本体が熱により変形することがあっても、容器本体と支持体との間に応力が発生することがなく、支持体が歪むのを防止できる。なお、本発明では、容器本体と支持体とが接着されていない構造とすることが上記理由から好ましいが、必要に応じて容器本体と支持体とが接着固定されるものであってもよい。
【0011】
本発明は、例えば、前記支持体の前記外壁部と前記内壁部の少なくとも一方には、切断線で囲まれた穴部が形成され、前記容器本体には突部が一体に形成されており、前記突部と前記穴部とで前記嵌合部が構成されているものである。
【0012】
また、本発明は、前記支持体には、前記外壁部と前記内壁部の双方に対して直角に折り曲げられて平坦に形成された頂部が設けられているものが好ましい。
【0013】
この場合に、前記支持体の壁部では、前記凹部の底面から前記外壁部が直角に折り曲げられ、前記底面と前記外壁部との折り曲げ境界線よりも内側へ間隔を空けた位置で、前記内壁部の下端部が前記底面に固定されているものとして構成できる。
【0014】
上記のように、内壁部の下端部が、凹部の底面において内方へずらした位置で固定されていると、外壁部と内壁部を一緒に立ち上げるように折り曲げるだけで、内部の空洞を有する壁体を簡単に形成できる。
【0015】
さらに本発明は、前記内壁部の下端部が前記底面に固定されている一対の前記壁体が第1の壁体とされ、他の一対の壁体である第2の壁体は、前記底面から外壁部が直角に折り曲げられ、この外壁部の上端で前記頂部が直角に折り曲げられ、さらに前記頂部から内壁部が直角に折り曲げられており、第2の壁体の前記内壁部と第1の壁体の前記内壁部の一方には突出片が他方には切欠き部が形成され、前記突出片と前記切欠き部とが嵌合して、第2の壁体の前記内壁部が位置決めされている構造とすることが可能である。
【0016】
上記構造では、先に一対の第1の壁体を折り曲げ、その後に第2の壁体の外壁部と頂部および内壁部を折り曲げ、この内壁部と第1の壁体の内壁部とを、突出片と切欠き部とで嵌合させることで、第2の壁体も簡単に折り曲げ形成することができる。
【0017】
また、本発明は、前記容器本体は、収納部の開口部の周囲にフランジ部を有しており、このフランジ部が前記壁体の頂部の上に設置されているものが好ましい。また、前記フランジ部の表面に、蓋材シートが融着されて前記収納部の開口部が閉鎖されているものとすることができる。
【0018】
さらに、本発明は、前記蓋材シートを前記フランジ部の表面から剥がすのに要する力よりも、前記嵌合部で規制されている前記容器本体と前記支持体とを分離するのに要する力の方が大きいことが好ましい。
【0019】
このように、嵌合部の嵌合力を強くしておくと、容器本体のフランジ部に融着されている蓋材シートを剥がすときに、容器本体が支持体から外れるのを防止できる。しかも使用後は、嵌合部での嵌合を強制的に解除させることで、合成樹脂製の容器本体と紙製の支持体とを分離して廃棄することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、紙材で形成された支持体の壁体の強度を高くでき、合成樹脂製の容器本体を支持体でしっかり保持することができる。また支持体の壁体は断熱機能を発揮するため、容器本体の内容物が熱せられても、支持体が異常に熱くなるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の実施の形態である組合せ容器の分解斜視図、図2は組合せ容器の内部構造を示す断面図である。図3は支持体を折り曲げ形成するための紙材ブランクの展開図、図4と図5は前記紙材ブランクを折り曲げて支持体を形成する過程を示す部分斜視図である。
【0022】
図1に示す組合せ容器1は、支持体10とこの支持体10に支持される容器本体50を有している。
【0023】
図1に示す支持体10は、紙材(厚紙)を切断し且つ折り曲げることで形成されており、平面形状が四角形である。支持体10は、X方向において互いに対向する一対の第1の壁体11,11と、第1の壁体11,11と直交する向きで、Y方向において互いに対向する第2の壁体12,12を有している。支持体10は、第1の壁体11,11と第2の壁体12,12の4つの壁体で囲まれる凹部13を有している。この凹部13は底面14を有し上方は開放されている。
【0024】
図2は、組合せ容器1を、X−Z面と平行な切断面で切断した断面図である。図2の断面図では、中心線Oよりも右側が、容器本体50が設置されていない状態を示し、中心線Oよりも左側が、容器本体50が設置されている状態を示している。
【0025】
支持体10は、複数枚に独立した紙材を互いに接着して各部位を形成することが可能であるが、この実施の形態の支持体10は、図3に示すように展開される1枚の紙材で形成されたブランクから折り曲げ形成されている。
【0026】
図2には、一対の第1の壁体11,11の断面が示されている。それぞれの第1の壁体11は、外方に露出する外壁部11aと、この外壁部11aの内側に間隔を空けて配置された内壁部11cと、外壁部11aの上端と内壁部11cの上端とを連結する頂部11bとを有している。外壁部11aは、凹部13の底面14からZ方向に向けて直角に折り曲げられて形成されており、外壁部11aはY−Z面に平行な平坦な壁面を構成している。底面14と外壁部11aと折り曲げ境界線をL1で示している。頂部11bは、外壁部11aの上端において折り曲げ境界線L2の部分で直角に折り曲げられている。頂部11bは、底面14と平行な平坦面である。
【0027】
内壁部11cは、折り曲げ境界線L3において、頂部11bから直角に折り曲げられている。よって、内壁部11cは、外壁部11aと平行であり、Y−Z面と平行な平坦な壁面である。内壁部11cの下端には、折り曲げ境界線L4において直角に折り曲げられた接着片11dが一体に設けられている。この接着片11dは、底面14の上面に糊で接着固定されている。接着片11dは、外壁部11aよりも凹部13の内側(中心O側)に離れた位置で底面14に接着固定されている。すなわち、接着片11dが底面14に接着固定された状態で、折り曲げ境界線L4は、前記折り曲げ境界線L1よりも凹部13の内側に離れて位置している。
【0028】
折り曲げ境界線L1と折り曲げ境界線L4とのX方向の間隔は、折り曲げ境界線L2と折り曲げ境界線L3とのX方向の間隔とほぼ等しい。よって、外壁部11aと内壁部11cは平行であり、外壁部11aと内壁部11cとの間に空洞部17が形成されている。
【0029】
図3に示すブランクでは、平面に展開された紙材の各部位に、図2と同じ符号を付している。また、図3では、折り曲げ境界線を破線で示している。図3において実線で示す部分は、紙材の外形線または紙材を切断した切断線である。
【0030】
図3に示すブランクでは、トリミングされた紙材の一部が、折り曲げ境界線L2において予め平坦に折り返されており、また、接着片11dと底面14とが予め糊で接着固定されている。
【0031】
なお、それぞれの折り曲げ境界線の折り曲げ方向は、図3に示すブランクを基準とし、折り曲げ境界線を挟む部分を図3の紙面の奥側に向けて折り曲げるのを山折りとし、折り曲げ境界線を挟む部分を紙面の手前側に向けて折り曲げるのを谷折りとしている。
【0032】
図4は、図3に示すブランクから第1の壁体11を立ち上げた状態を示している。これは、図3のブランクにおいて、折り曲げ境界線L1と折り曲げ境界線L4を谷折りで直角に折り曲げ、折り曲げ境界線L3を山折りで直角に折り曲げるという簡単な作業で完成できる。前述のように、図3のブランクの段階で、接着片11dが底面14に予め糊で接着固定されているため、図4に示す折り曲げ作業のみで、外壁部11aと内壁部11cとを平行に立ち上げることが可能である。
【0033】
図3に示すブランクでは、内壁部11cのY方向の両端部に、切断線C1で分離された上部支持片11eが設けられている。そのため、図4に示すように、第1の壁体11を立ち上がると、上部支持片11eがX−Y平面と平行に、すなわち頂部11bと同一面に連続して、凹部13の上方に向けて延びている。
【0034】
図3に示すブランクでは、底面14のY方向の両側に折り曲げ境界線L11が設けられ、この折り曲げ境界線L11よりも外側に外壁部12aが一体に延びている。外壁部12aよりも外側には、折り曲げ境界線L12を介して頂部12bが位置しており、頂部12bの外側には折り曲げ境界線L13を挟んで、内壁部12cが延びている。さらに内壁部12cには、折り曲げ境界線L14を介して底部支持片12dが一体に設けられている。
【0035】
また、折り曲げ境界線L14の途中部分の2箇所から、底面14の方向に向けて凹状の切断線C2が切り込まれており、この切断線C2で囲まれた部分に、底部支持片12dと連続する支持舌片12eが設けられている。
【0036】
さらに、第1の壁体11の外壁部11aと、第2の壁体12を形成する外壁部12aとの境界部には、コーナー片15が一体に設けられており、このコーナー片15には、前記折り曲げ境界線L1と折り曲げ境界線L11との交点に向けて斜めに延びる折り曲げ境界線L21が設けられている。
【0037】
図5は、ブランクを折り曲げてそれぞれの第2の壁体12を形成する行程を示している。
【0038】
図4に示すように、一対の第1の壁体11,11のそれぞれを底面14から直角に折り曲げて形成した後に、折り曲げ境界線L11で紙材を谷折りとなるように直角に折り曲げて、第2の壁体12の外壁部12aを垂直に立ち上げる。このときに、コーナー片15の折り曲げ境界線L21を山折りに折り返し、2つ折りとされたコーナー片15が、外壁部12aの内面に重ねられる。
【0039】
外壁部12aが垂直に立ち上がった後に、折り曲げ境界線L12で谷折り方向へ直角に折り曲げて、頂部12bを底面14と平行な平坦面となるように折り曲げる。次に、折り曲げ境界線L13を谷折り方向へ直角に折り曲げることにより、内壁部12cが形成される。このとき、第1の壁体11の頂部11bに連続する上部支持片11eが、第2の壁体12の頂部12bの下面に当たり、外壁部12aと内壁部12cとで、上部支持片11eが挟み込まれる。
【0040】
図5に示すように、第2の壁体12の外壁部12aを底面14から立ち上げ、さらに頂部12bと内壁部12cとを折り曲げたときに、第2の壁体12の内壁部12cの両側方からそれぞれ一体に突出する突出片12gを、第1の壁体11の内壁部11cの両側下部に凹状に形成された切欠き部11g内に嵌合させる。これにより、内壁部12cが底面14から離れる方向へ持ち上がるのを規制でき、また内壁部12cが外壁部12aから離れる方向へ変形するのを規制できる。
【0041】
図5に示すように、内壁部12cが折り曲げられる時点で、内壁部12cの下端において底部支持片12dを直角に折り曲げておくと、前記突出片12gが切欠き部11gに嵌合されるときに、底部支持片12dとこれと連続面となる支持舌片12eが底面14の上面にほぼ密着する。このとき、支持舌片12eの先端が、外壁部12aの内面に突き当たり、この支持舌片12eによって、内壁部12cが外壁部12aとの間隔が保てるようになる。
【0042】
前記突出片12gと切欠き部11gとの嵌合、および支持舌片12eのスペーサ機能によって、外壁部12aと内壁部12cは、共に底面14から垂直に立ち上がり、外壁部12aと内壁部12cは互いに平行になる。また、図5に示すように、外壁部12aと内壁部12cとの間に空洞部16が形成される。
【0043】
このように、図3のブランクにおいて、第1の壁体11の内壁部11cに連続する接着片11dを底面14に接着しておけば、その後は、図4に示すように、第1の壁体11,11を垂直に立ち上げるように折り曲げ、さらに、図5に示すように、第2の壁体12を構成する各部位を折り曲げることで、接着行程などを経ることなく、四角枠形状の支持体10を完成できる。この実施の形態では、図3に示すブランクから図1に示す支持体10を容易に完成させることができる。なお、必要に応じて、第2の壁体12を構成する前記底部支持片12dを底面14に接着してもよい。
【0044】
容器本体50は合成樹脂材料で形成されている。容器本体50は、PP(ポリプロピレン)またはPET(ポリエチレンテレフタレート)などの熱可塑性の合成樹脂シートを、加熱して軟化させて、凹状の型の内面に吸着させまたは加圧して圧着させる行程で立体形状に成形したものである。
【0045】
前記のように支持体10の第1の壁体11と第2の壁体12は二重構造であり、支持体10は支持強度が非常に高くなっている。そのため、容器本体50が薄い合成樹脂シートで形成されて比較的剛性が低いものであっても、支持体10によって、容器本体50をしっかり保持することができる。よって、容器本体50に内容物を充填したときに、比較的肉厚の薄い容器本体50であっても変形しにくい。
【0046】
容器本体50は、凹状で上方が開口部とされた収納部51と、この収納部51の開口部からX方向およびY方向の双方に対して張り出したフランジ部52を有している。フランジ部52は、X−Y平面と平行な平坦面であり、その外周部には、下向きに細幅で延びる小曲げ片53が設けられている。
【0047】
図2に示すように、容器本体50の収納部51が支持体10の凹部13内に設置されると、フランジ部52が、支持体10の第1の壁体11,11の頂部11b,11bおよび第2の壁体12,12の頂部12b,12bに当接し、小曲げ片53が、外壁部11a,11a,12a,12aの外面に掛止される。これとともに、収納部51の底面54が、支持体10の凹部13の底面14に当たる。
【0048】
支持体10と、容器本体50との間には、図2に示す組立て状態において、両者が容易に分離しないように規制する凹凸嵌合部20が設けられている。この凹凸嵌合部20では、支持体10と容器本体50のいずれか一方に穴部が設けられ、他方に突部が設けられる。
【0049】
図1ないし図5に示す実施の形態では、第1の壁体11の内壁部11c,11cと、第2の壁体12の内壁部12c,12cに穴部21が形成されている。この穴部21は、それぞれの内壁部11c,12cを形成している紙材を、切断線C5で分離することで形成されている。切断線C5は、X−Y平面と平行に延びる横線と、その線の両側から底面14に延びる縦線とを有してコの字形状に形成されている。前記横線で切断された部分が、穴部21の上縁部21aである。また、穴部21内では、内壁部11cを構成する紙材または内壁部12cを構成する紙材で形成された四角形の舌片が上向きに延びている。
【0050】
容器本体50の収納部51の上部外面には、外側に向けて隆起する突部22が設けられている。図2に示すように、この突部22はその上端部22aが、ほぼ支持体10の底面14と平行に突出する平坦面であり、それよりも下側部分は底面14および底面54に向かうにしたがって中心線Oに向かうように傾斜した傾斜面22bである。ここでの傾斜面22bは、傾斜平面または傾斜突曲面である。
【0051】
図2に示すように、容器本体50の収納部51が、支持体10の凹部13内に収納され、容器本体50の底面54が、支持体10の底面14に当たり、あるいは容器本体50のフランジ部52が、第1の壁体11と第2の壁体12のそれぞれの頂部11b,12bに当たると、容器本体50に設けられた突部22が、それぞれの内壁部11c,12cに形成された穴部21内に入り込む。このとき図2に示すように、穴部21内に位置する紙材の舌片は、突部22で押されて空洞部16,17の内部に向けて変形する。
【0052】
突部22には平坦面である上端部22aが形成され、穴部21には水平な上縁部21aが設けられており、上端部22aと上縁部21aとが対向するため、全ての突部22が全ての穴部21内に入り込んだ状態で、凹凸嵌合部20により、容器本体50が支持体10から上方へ容易には抜け出ないように規制される。
【0053】
特に、図2に示す、穴部21内への突部22の入り込み寸法δを、支持体10を構成する紙材の厚み寸法よりも大きく、好ましくは紙材の厚み寸法の3倍以上などに設定することで、容器本体50が支持体10に設置された状態で、支持体10を破壊しない限り、容器本体50を支持体10から分離できなくなる。
【0054】
ただし、突部22の上端部22aを傾斜面形状や曲面形状としたり、または前記入り込み寸法δを小さくしておくことにより、突部22と穴部21とが嵌合した後であっても、容器本体50を上方へ向けてやや強めに引き上げることにより、容器本体50を支持体10から比較的容易に分離できるように構成できる。
【0055】
また、前記のように突部22と穴部21との嵌合強度を高くして、容器本体50と支持体10とを分離しにくい構造とした場合には、図1に示すように、第1の壁体11の外壁部11aと第2の壁体の外壁部12aの少なくとも一部において、紙材をミシン目の部分で切断して剥がせるような分離部25を設けることが好ましい。組合せ容器1を使用した後に、前記分離部25で外壁部11a,12aの少なくとも一部において、紙材を分離し、その部分から指を入れて突部22を手で押して穴部21内から抜き出させることで、合成樹脂製の容器本体50と、紙製の支持体10を別々に廃棄できるようになる。
【0056】
この組合せ容器1は、支持体10が紙製(厚紙製)であるが、第1の壁体11,11と第2の壁体12,12が、外壁部11a,12aと内壁部11c,12cを有する二重構造であるために、強度が高く、特に上方から頂部11b,12bに作用する圧力に対する強度が高い。そのため、容器本体50をしっかり保持でき、容器本体50が比較的薄い樹脂シートから形成され、しかも収納部51内に、食品などの内容物が充填されていても、収納部51が変形しにくい。
【0057】
また、第1の壁体11は内部に空洞部17を有し、第2の壁体12も内部に空洞部16を有しているため、それぞれの壁体11,12は十分な断熱機能を発揮できる。容器本体50に収納された内容物を電子レンジなどで加熱したときに、内容物の熱が、第1の壁体11の外壁部11aおよび第2の壁体12の外壁部12aに伝達されにくく、外壁部11a,12aを手で保持しやすくなる。
【0058】
さらに、容器本体50と支持体10とを接着剤で固定する必要がないため、容器本体50が内容物の熱で変形しても、容器本体50と支持体10との間で熱応力が作用することがない。また、変形しようとする容器本体50が支持体10に拘束されることがなく、容器本体50が異常に歪むことを防止できる。
【0059】
図6は、容器本体50の上方の開口部が、蓋材シート30で密封された実施の形態を示している。蓋材シート30はPETシートやPPシートであり、その容器本体50に向く面には、低密度ポリエチレンなどのシーラント層が設けられている。蓋材シート30を、前記シーラント層を介して容器本体50のフランジ部52の表面に熱シールや超音波シールで融着させることにより、容器本体50の収納部51の内部を密閉できる。
【0060】
図2に示すように、凹凸嵌合部20を構成する突部22の上端部22aを平坦面とし、また突部22が穴部21内に介入する入り込み寸法δを十分に大きくすることにより、容器本体50が支持体10から上方へ抜け出にくくなる。よって、図6に示す蓋材シート30を、容器本体50のフランジ部52の表面から剥がすのに要する力よりも、容器本体50を支持体10から上方へ分離するのに要する力の方を大きくすることが可能である。この場合に、容器本体50が支持体10に支持された状態のまま、容器本体50の開口部を塞いでいる蓋材シール30を剥がすことができる。よって、加熱された内容物を収納した容器本体50を断熱性のある支持体10で保持したまま、蓋材シート30を剥がすことができ、使いやすくなる。
【0061】
そして、使用後は、紙製の支持体10を一部壊すことにより、または図1に示す分離部25を分離することにより、容器本体50と支持体10とを分離して廃棄することができる。
【0062】
また、支持体10の第1の壁体11と第2の壁体12は、二重構造で上方からの圧力に対して高い強度を発揮できる。よって、図6に示すように、支持体10および容器本体50を平坦面を有する搬送部31の上に設置し、上方からシールヘッド32で直接に蓋材シート30および容器本体50のフランジ部52を押圧して加熱することで、蓋材シート30を容器本体50のフランジ部52に融着することができる。
【0063】
すなわち、組合せ容器1の製造方法として、支持体10に支持された容器本体50の収納部51内に内容物を供給した後に、容器本体50のフランジ部52を冶具などで個別に支えることなく、このフランジ部52が支持体10の第1の壁体11と第2の壁体12に支えられたままの状態で、蓋材シール30で容器本体50をシールすることが可能である。
【0064】
あるいは、この実施の形態では、支持体10から分離された状態の容器本体50に内容物を充填し、容器本体50を蓋材シート30でシールした後に、容器本体50を支持体10に対して上方から押し込むという簡単な作業によっても、組合せ容器1を製造することができる。
【0065】
または、図7に示すように、容器本体50と同様にして熱可塑性樹脂シートで立体形状に成形した蓋体35を使用し、この蓋体35の外周の嵌合部35aを、容器本体50のフランジ部52に機械的に嵌合させて容器本体50の収納部51を密封してもよい。
【0066】
この場合も、蓋体35を、容器本体50のフランジ部52から外すのに要する力よりも、容器本体50を支持体10から上方へ分離するのに要する力の方を大きくしておくことにより、容器本体50が支持体10に支持されたままの状態で、容器本体50の開口部から蓋体35を外すことができる。
【0067】
本発明の組合せ容器は、前記実施の形態の他に種々の変形が可能である。図8ないし図11は、本発明の組合せ容器の変形例を示している。
【0068】
図8に示す形態では、支持体10の第1の壁体11の内壁部11cと容器本体50の収納部51との間に凹凸嵌合部20Aが設けられている。この凹凸嵌合部20Aは、前記内壁部11cに、舌片121が一体に形成されている。この舌片121の自由端121aは下向きであり、支持体10の凹部13内に向けて突出するように変形されている。容器本体50の収納部51には、この収納部51の内方へ向けて凹状に形成された嵌合凹部122が形成されており、その下端部122aはほぼ水平面である。
【0069】
図8に示す組合せ容器も、容器本体50を支持体10に対して上方から組込むと、舌片121が嵌合凹部122内に入り込んで、容器本体50が支持体10から上方へ抜け出ないように規制される。
【0070】
図9に示す変形例では、支持体10と容器本体50とが分離するのを規制する凹凸嵌合部20Bが、第1の壁体11の外側に設けられている。
【0071】
第1の壁体11の外壁部11aには、コの字形状の切断線C6が形成され、この切断線C6で舌片が分離されて穴部221が形成されている。容器本体50では、フランジ部52の外周部にスカート部253が一体に形成されており、このスカート部253には、内側へ向けて隆起する突部222が形成されている。そして突部222の上端部222aは底面14と平行な平坦面である。
【0072】
容器本体50を支持体10に装着し、このときに、容器本体50のフランジ部52を、第1の壁体11の頂部11bに押し付けると、スカート部253に形成されている突部222が、外壁部11aに形成された穴部221内に入り込んで、容器本体50が支持体10から容易に抜け出ないように規制される。
【0073】
図10に示す変形例では、支持体10の第1の壁体11と第2の壁体12との角部に、容器本体50が外れるのを規制する嵌合部20Cが設けられている。
【0074】
図10に示す支持体10は、第1の壁体11の外壁部11aを構成している紙材の一部が、第2の壁体12の外壁部12aよりも外側へ突出し、外壁部11aと外壁部12aとの角部に、突出部321が形成されている。一方、容器本体50では、フランジ部52の外周に設けられたスカート部253において、その角部に内側へ向く突出部322が形成され、突出部322の上に嵌合空間322aが形成されている。容器本体50を支持体10に装着すると、支持体10の角部の突出部321が前記嵌合空間322a内に嵌合して、支持体10が容易に抜けないように規制される。
【0075】
図11に示す変形例では、第1の壁体11の頂部11bと、容器本体150との間に嵌合部20Dが設けられている。
【0076】
この形態では、第1の壁体11の頂部11bを形成している紙材の一部が支持体10の凹部13に向けて突出する突出部421となっている。容器本体150では、収納部151の開口部の周囲に上方に向く突部フランジ152が形成されている。
【0077】
容器本体150が支持体10の凹部13内に装着されると、突部フランジ152が突出部421の下側に入り込み、すなわち、突出部421が突部フランジ152の上端に掛止されることで、容器本体150の抜け止めがなされている。
【0078】
なお、本発明は、さらに変形が可能であり、支持体10の壁体が5角形以上の多角形であったり、円筒形であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態の組合せ容器の分解斜視図、
【図2】組合せ容器の断面図、
【図3】支持体を形成する紙材のブランクを示す展開平面図、
【図4】ブランクから第1の壁体を立ち上がる行程を示す部分斜視図、
【図5】ブランクから第2の壁体を立ち上がる行程を示す部分斜視図、
【図6】容器本体に蓋材シートを融着する仮定を示す説明図、
【図7】蓋材が容器本体に嵌合された実施の形態を示す断面図、
【図8】容器本体と支持体とを規制する嵌合部の変形例を示す断面図、
【図9】容器本体と支持体とを規制する嵌合部の変形例を示す断面図、
【図10】容器本体と支持体とを規制する嵌合部の変形例を示す部分斜視図、
【図11】容器本体と支持体とを規制する嵌合部の変形例を示す部分斜視図、
【符号の説明】
【0080】
1 組合せ容器
10 支持体
11 第1の壁体
11a 外壁部
11b 頂部
11c 内壁部
12 第2の壁体
12a 外壁部
12b 頂部
12c 内壁部
13 凹部
14 底面
16,17 空洞部
20 凹凸嵌合部
21 穴部
22 突部
50 容器本体
51 収納部
52 フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲が壁体で囲まれた凹部を有する支持体と、凹状の収納部を有する容器本体とを有し、前記収納部が前記凹部内に収納される組合せ容器において、
前記支持体は紙材で形成されて、前記壁体が、外壁部と内壁部とを有し、前記外壁部と前記内壁部との間が空洞部とされており、
前記容器本体は合成樹脂材料で形成されており、前記支持体と前記容器本体との間には、前記収納部が前記凹部内に設置された状態で分離するのを規制する嵌合部が設けられていることを特徴とする組合せ容器。
【請求項2】
前記支持体の前記外壁部と前記内壁部の少なくとも一方には、切断線で囲まれた穴部が形成され、前記容器本体には突部が一体に形成されており、前記突部と前記穴部とで前記嵌合部が構成されている請求項1記載の組合せ容器。
【請求項3】
前記支持体には、前記外壁部と前記内壁部の双方に対して直角に折り曲げられて平坦に形成された頂部が設けられている請求項1または2記載の組合せ容器。
【請求項4】
前記支持体の壁部では、前記凹部の底面から前記外壁部が直角に折り曲げられ、前記底面と前記外壁部との折り曲げ境界線よりも内側へ間隔を空けた位置で、前記内壁部の下端部が前記底面に固定されている請求項3記載の組合せ容器。
【請求項5】
前記内壁部の下端部が前記底面に固定されている一対の前記壁体が第1の壁体とされ、他の一対の壁体である第2の壁体は、前記底面から外壁部が直角に折り曲げられ、この外壁部の上端で前記頂部が直角に折り曲げられ、さらに前記頂部から内壁部が直角に折り曲げられており、第2の壁体の前記内壁部と第1の壁体の前記内壁部の一方には突出片が他方には切欠き部が形成され、前記突出片と前記切欠き部とが嵌合して、第2の壁体の前記内壁部が位置決めされている請求項4記載の組合せ容器。
【請求項6】
前記容器本体は、収納部の開口部の周囲にフランジ部を有しており、このフランジ部が前記壁体の頂部の上に設置されている請求項3ないし5のいずれかに記載の組合せ容器。
【請求項7】
前記フランジ部の表面に、蓋材シートが融着されて前記収納部の開口部が閉鎖されている請求項1ないし6のいずれかに記載の組合せ容器。
【請求項8】
前記蓋材シートを前記フランジ部の表面から剥がすのに要する力よりも、前記嵌合部で規制されている前記容器本体と前記支持体とを分離するのに要する力の方が大きい請求項7記載の組合せ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−12809(P2009−12809A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176280(P2007−176280)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(596005780)ライニングコンテナー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】