組合せ秤及び計量包装システム
【課題】表示部に表示された複数の計量ヘッドに関する表示を作業者にとってより理解し易いものとできる操作設定表示器を備えた組合せ秤、及びこのような組合せ秤を備えた計量包装システムを提供する。
【解決手段】計量容器(計量ホッパ8)を具備する計量ヘッドを複数備えて組合せ秤量を行い目標重量の被計量物を排出する組合せ秤本体99Aと、組合せ秤本体99Aの制御を行うとともに組合せ演算を行う演算制御器16と、表示部17bを具備する操作設定表示器17と、組合せ秤本体99Aの方位を検出する第一の方位角センサ72と、操作設定表示器17の方位を検出する第二の方位角センサ73とを、組合せ秤99に備える。そして、組合せ秤本体99Aと操作設定表示器17との方位の差に基づいて、操作設定表示器17の表示部17bに、表示部17bに対峙する作業者から見た実際の複数の計量ヘッドの配置と整合させて、複数の計量ヘッドを図的に表示させる。
【解決手段】計量容器(計量ホッパ8)を具備する計量ヘッドを複数備えて組合せ秤量を行い目標重量の被計量物を排出する組合せ秤本体99Aと、組合せ秤本体99Aの制御を行うとともに組合せ演算を行う演算制御器16と、表示部17bを具備する操作設定表示器17と、組合せ秤本体99Aの方位を検出する第一の方位角センサ72と、操作設定表示器17の方位を検出する第二の方位角センサ73とを、組合せ秤99に備える。そして、組合せ秤本体99Aと操作設定表示器17との方位の差に基づいて、操作設定表示器17の表示部17bに、表示部17bに対峙する作業者から見た実際の複数の計量ヘッドの配置と整合させて、複数の計量ヘッドを図的に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ秤、並びに、組合せ秤と包装機とを併せ備えた計量包装システムに関し、特に、組合せ秤が備える操作設定表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ秤と包装機とは、これらを組み合わせることにより、計量包装システムとして構築されている(特許文献1、参照)。計量包装システムに備えられる組合せ秤は、複数の計量容器内の被計量物の計量値を種々に組合せ、これらの組合せの中から、合計重量が目標重量に最も近い値の組合せを選択し、選択された組合せの計量容器から被計量物を排出するものである。また、包装機は、組合せ秤から排出された被計量物を逐次包装するものである。
【0003】
一般的な組合せ秤の動作について簡単に説明する。例えば、特許文献1に記載の計量及び包装システムが備える組合せ秤では、まず、供給フィーダにより、被計量物が円錐状の分散フィーダの頂点に供給される。分散フィーダに供給された計量物は、分散フィーダの周りに放射状に配置された複数の直進フィーダへ分散して搬送されたのち、供給ホッパを介して計量ホッパ(計量容器)に投入される。直進フィーダ、供給ホッパ、及び計量ホッパは、「計量ヘッド」と呼ばれる1つのユニットとして構成されており、組合せ秤には計量ヘッドが複数備えられ、これらの計量ヘッドは環状に配列されている。
【0004】
そして、各計量ホッパで被計量物の重量がそれぞれ計量されて、その計量結果が制御部に出力される。制御部では、当該計量結果に基づいて、計量物の重量が目標重量となる最適な計量ホッパの組合せが選択されるとともに、選択された計量ホッパに対して保持している被計量物を放出するよう指示が与えられる。制御部からの指示を受けた計量ホッパから放出された被計量物は、集合シュートで集められたのち、排出シュートを介して包装機へ投入されて1つの袋に袋詰めされる。
【0005】
ところで、携帯電話の地図案内システムや電子コンパス等などの、方位角センサを備え、この方位角センサで自身の方向変化を検出し、これに対応する情報をディスプレイに表示する技術が知られている。例えば、特許文献2では、キーボードやマウスを必要とせず、ディスプレイ装置自体を空間内で上下左右に動かすことによって、地磁気を測定する方位角センサがディスプレイ装置の姿勢変化に対応した変化量を検出し、それに応じて3次元情報を計算して表示する小型・軽量の3次元表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開閉10−115545号公報
【特許文献2】特開2004−46006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の計量及び包装システムには、操作設定表示器に関して、表示部に表示された複数の計量ヘッドに関する表示を作業者にとってより理解し易くするという点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、表示部に表示された複数の計量ヘッドに関する表示を作業者にとってより理解し易いものとできる操作設定表示器を備えた組合せ秤、及びこのような組合せ秤を備えた計量包装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、上記課題を本発明の計量包装システムに関する図1及び図12を利用して具体的に説明する。
【0009】
図1では計量包装システムの正面図が示されている。この図1に示すように、計量包装システム100は、工場内に組み上げられた架台65に据え付けられる。計量包装システム100では、組合せ秤99と包装機98とを上下に配置する必要があるため、組合せ秤99は架台65に床から浮いた状態で支持され、包装機98は組合せ秤99の下方の床に載置されている。このように高い位置に設置される組合せ秤99の操作設定表示器17は、組合せ秤99から離れて、架台65の脚に取り付けられたり、架台65又は天井から吊り下げられたりするなどして、床に立った作業者が操作しやすい位置に設けられる。操作設定表示器17の配置は計量包装システム100が設置されるスペースや作業者の動線に応じて定められ、例えば、計量包装システム100が同じ形状の架台65に据え付けられる場合であっても、操作設定表示器17の位置や向きが異なることがある。
【0010】
組合せ秤が備える膨大な数の可動部品の調整・保守点検を容易にするため、操作設定表示器に表示されるメンテナンス画面では、例えば、図12に示すように、組合せ秤に具備される各計量ヘッドが図的に表示され、調整又は点検が必要な計量ヘッドを色分けするなどして一目で状態を把握できるようになっている。
【0011】
ところが、上述のメンテナンス画面において、組合せ秤に具備される複数の計量ヘッドが環状に配列表示されていると、各計量ヘッドは同一形状であるので、調整又は点検が必要な計量ヘッドが実物のどの計量ヘッドに相当するのか、わかりにくい場合がある。これは、操作設定表示器に表示された複数の計量ヘッドと、実際に工場内に設置されている複数の計量ヘッドとの間に、作業者から見た方向のズレが存在することが原因である。例えば、操作設定表示器に表示された複数の計量ヘッドのうち最も上部に配置されている計量ヘッドが、実際に工場内に設置されている複数の計量ヘッドのうち作業者から見て最も右方向に配置されているような場合には、作業者の感覚にズレが生じることから一目で所定の計量ヘッドを特定することは困難である。
【0012】
しかし、従来の組合せ秤及び計量包装システムにおいて、特許文献2に記載された技術のように、装置が設置される空間とその装置の表示とを整合させるという考え方は存在しない。
【0013】
そこで、本発明の組合せ秤は、計量容器を具備する計量ヘッドを複数備えて組合せ秤量を行い目標重量の被計量物を排出する組合せ秤本体と、予め設定された運転条件に則って前記組合せ秤本体の制御を行うとともに前記計量容器から計量値の出力を受けて組合せ演算を行う演算制御器と、前記演算制御器に対して操作を入力するとともに前記演算制御器からの出力を受けて情報を画面表示する表示部を具備する操作設定表示器と、前記組合せ秤本体の方位を検出する第一の方位角センサと、前記操作設定表示器の方位を検出する第二の方位角センサとを備え、前記操作設定表示器は、前記第一の方位角センサ及び前記第二の方位角センサの検出信号より導き出される前記組合せ秤本体と前記操作設定表示器との方位の差に基づいて、前記複数の計量ヘッドを、前記表示部に対峙する作業者から見た実際の前記複数の計量ヘッドの配置と整合させて、前記表示部に図的に表示するように構成されているものである。
【0014】
上記構成の組合せ秤によれば、実際の複数の計量ヘッドと、操作設定表示器の表示部に表示された複数の計量ヘッドとの配置が、操作設定表示器の表示部を見ながら作業する作業者から見て整合しているので、操作設定表示器の表示が作業者にとってより理解し易いものとなる。よって、作業者は、操作設定表示器の表示部で指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができ、計量ヘッドのメンテナンスを間違いなく且つ速やかに行うことができる。
【0015】
前記組合せ秤において、前記複数の計量ヘッドは環状に配列され、前記操作設定表示器は、環状に配列された前記複数の計量ヘッドを表示するように構成されていることが好ましい。
【0016】
上記構成の組合せ秤によれば、実際の複数の計量ヘッドが環状に配列されたものであっても、作業者は、操作設定表示器の表示部を見ることで、その表示部で指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができる。
【0017】
また、本発明の計量包装システムは、前記組合せ秤と、前記組合せ秤から排出された被計量物を包装する包装機とを、備えるものである。
【0018】
上記構成の計量包装システムによれば、組合せ秤が備える実際の複数の計量ヘッドと、操作設定表示器の表示部に表示された複数の計量ヘッドとの配置が、操作設定表示器の表示部を見ながら作業する作業者から見て整合しているので、操作設定表示器の表示が作業者にとってより理解し易いものとなる。よって、作業者は、操作設定表示器の表示部で指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができ、計量ヘッドのメンテナンスを間違いなく且つ速やかに行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
本発明によれば、組合せ秤が備える実際の複数の計量ヘッドと、操作設定表示器の表示部に表示された複数の計量ヘッドとの配置が、操作設定表示器の表示部を見ながら作業する作業者から見て整合しているので、組合せ秤が備える操作設定表示器の表示が作業者にとってより理解し易いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。
【0022】
(実施の形態)
まず、本発明の実施の形態に係る計量包装システム100の概略構成から説明する。図1は本発明の実施の形態に係る計量包装システムの全体的な構成を示す正面図、図2は計量包装システムの平面図、図3は組合せ秤の正面図、図4は組合せ秤の構成図、図5は組合せ秤の制御構成を示すブロック図、図6は包装機の構成図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、計量包装システム100は、組合せ秤99と、組合せ秤99で組合せ秤量された被計量物を包装する包装機98とを、備えている。計量包装システム100は、長い脚67,67・・・を備えた架台65に据え付けられており、組合せ秤99は架台65によって浮いた状態に支持され、包装機98は組合せ秤99の下方の床に載置されている。組合せ秤99の操作設定表示器17は、架台65の脚67に取り付けられている。架台65には、上って組合せ秤99をメンテナンスできるように、階段69と手摺68とが設けられている。
【0024】
ストックフィーダ61にある被計量物は、供給装置1としてのバケットリフタを用いて、組合せ秤99へ供給される。本実施の形態において供給装置1は、無端状ベルトとこの無端状ベルトに列状に配置された複数の容器とを備えたバケットリフタで構成されているが、供給装置1はバケットリフタに限定されず、トラフ(大型の細長い容器)と、このトラフを加振する加振器とを備え、トラフの振動によってトラフ上の被計量物を組合せ秤99へ供給するものであってもよい。
【0025】
そして、組合せ秤99へ供給された被計量物は組合せ秤量されて所定量ずつ排出され、組合せ秤99の下部に設けられた集合ホッパ10に収容される。集合ホッパ10に収容された所定量の被計量物は、包装機98からの排出許可信号を受けて集合ホッパ10より放出され、包装機側シュート66を滑走して包装機98に投入され、袋詰めされる。
【0026】
〔組合せ秤99〕
ここで、組合せ秤99の構成を詳細に説明する。
【0027】
図3及び図4に示すように、組合せ秤99は、被計量物の組合せ秤量を行う複数の計量ホッパ8と、供給装置1より供給された被計量物を各計量ホッパ8へ搬送する分散フィーダ30、複数の直進フィーダ50及び複数の供給ホッパ7と、組合せ秤量された被計量物を包装などの次工程へ送り出す集合シュート11、集合ファンネル12及び集合ホッパ10と、組合せ秤99の制御及び組合せ演算を行う演算制御器16とを備えている。このうち、直進フィーダ50、供給ホッパ7、及び計量ホッパ8で一組の「計量ヘッド」が構成され、複数の計量ヘッドが組合せ秤99に備えられている。複数の計量ヘッドは、分散フィーダ30を包囲するように環状に配列されている。なお、本実施の形態に係る組合せ秤99は、14組の計量ヘッドを備えている。
【0028】
分散フィーダ30は、組合せ秤99の本体の上部(集合シュート11の上方)に設けられている。分散フィーダ30は、円錐形状のトップコーン3と、このトップコーン3を加振する加振器4とを備えている。供給装置1より分散フィーダ30のトップコーン3上に供給された被計量物は、振動によってトップコーン3上を滑り落ちるうちに放射状に分散する。なお、分散フィーダ30の上方には、層厚調整リング75が設けられ、同じく分散フィーダ30の上方に設けられたレベル検出器取り付け金具76には、分散フィーダ30のトップコーン3上にある被計量物の層厚を検出するためのレベル検出器2が取り付けられている。レベル検出器2は、例えば、超音波センサで構成することができる。
【0029】
分散フィーダ30の周囲には、複数の直進フィーダ50が放射状に配設されている。各直進フィーダ50は、フィーダパン5と、このフィーダパン5を加振する加振器6とを備えている。分散フィーダ30より直進フィーダ50のフィーダパン5上に送られた被計量物は、振動によって供給ホッパ7に送り出される。
【0030】
各直進フィーダ50の被計量物の送出側に供給ホッパ7が1つずつ設けられ、複数の供給ホッパ7は環状に配列されている。さらに、各供給ホッパ7の下方には計量容器としての計量ホッパ8が1つずつ設けられ、複数の計量ホッパ8は環状に配列されている。各供給ホッパ7はゲート7aを備えており、このゲート7aが開かれると、供給ホッパ7に保持されている被計量物は、その下方に位置する計量ホッパ8に投入される。
【0031】
各計量ホッパ8は、計量ホッパ8内の被計量物の重量を計量するために、ロードセル等の重量センサ9を備えている。各重量センサ9の計量値(検出信号)は、演算制御器16へ伝達される。
【0032】
複数の計量ホッパ8の下方には、集合シュート11が設けられ、集合シュート11の下端部には集合ファンネル12が設けられ、集合ファンネル12の下方には集合ホッパ10が設けられている。各計量ホッパ8はゲート8aを備えており、このゲート8aが開かれると、計量ホッパ8に保持されている被計量物は集合シュート11に放出されその上を滑り落ちて集合ファンネル12から排出され、集合ホッパ10へ投入される。また、集合ホッパ10はゲート10aを備えており、このゲート10aが開かれると、集合ホッパ10に保持されている被計量物は、包装機98へ投入される。
【0033】
続いて、組合せ秤99の制御系統の構成について説明する。
【0034】
図4及び図5に示すように、演算制御器16は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU等からなる演算制御部21と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部22と、演算制御部21に接続されたI/O回路18、A/D変換回路13、ゲート駆動回路14、及び振動制御回路15とを、備えている。さらに、演算制御器16には、組合せ秤99のユーザーインターフェースである操作設定表示器17が接続されている。この操作設定表示器17は、組合せ秤99の運転の操作を行うタッチパネル式の入力部17aと、演算制御器16の出力を受けて組合せ秤99の運転状態などを表示する表示部17bと、入力部17a及び表示部17bを制御する制御回路17cとを備えている。
【0035】
演算制御部21には、I/O回路18を介してレベル検出器2からの分散フィーダ30上の被計量物の量の検出信号、A/D変換回路13を介して重量センサ9からの各計量ホッパ8に収容された被計量物の計量信号、及び操作設定表示器17からの入力信号などが入力されている。また、演算制御部21からは、振動制御回路15を介して各加振器4,6への駆動信号、ゲート駆動回路14を介して各ゲート7a,8a,10aへの駆動信号、及び操作設定表示器17への表示画像信号などが出力されている。また、演算制御部21は、I/O回路18を介して包装器98の包装制御器81(正確には演算制御部82)との間で所定の信号や情報の送受信を行う。
【0036】
記憶部22には、運転条件登録テーブル、運転条件テーブル、運転中データレジスタ、及び表示バッファ等が格納されている。運転条件登録テーブルには、多数の運転条件データ(例えば、運転条件データ番号、品名、目標重量値、供給機振幅等)が記憶されている。運転条件テーブルには、運転条件登録テーブルの中から選択された一つの運転条件データが書き込まれ、この運転条件テーブルに書き込まれた運転条件データに基づいて組合せ秤99が制御される。運転中データレジスタには、運転中の組合せ秤99の運転状況データが記憶されている。表示バッファには、運転状況データのうち必要なデータを含む表示データが書き込まれ、この表示データが表示画像信号として操作設定表示器17の制御回路17cへ送信されて表示部17bに表示される。
【0037】
なお、本実施の形態において、演算制御器16とは、単独の演算制御器のみならず複数の演算制御器からなる演算制御器群をも意味する。従って、演算制御器16は、単独の演算制御器で構成されていてもよく、分散配置され共働して制御する複数の演算制御器で構成されていてもよい。
【0038】
〔包装機98〕
次に、包装機98の構成について説明する。
【0039】
包装機98は、例えば、袋を製造しながら、この袋に組合せ秤99から投入される被計量物を充填して包装するものである。図6に示すように、包装機98は、包装フィルム42を筒状にヒートシールする縦シール用ヒータ43と、このヒータ43を進退移動させる縦シール用エアーシリンダ44と、筒状となった包装フィルム42を下方に送り出すプルベルト45と、組合せ秤99の集合ホッパ10から排出された被計量物を充填した後に横シールを行う横シール用ヒータ46と、このヒータ46を進退移動させる横シール用エアーシリンダ47,47と、横シールの後に包装フィルム42を切断するカッタ48と、カッタ48を駆動するカッタ用エアーシリンダ49とを備えている。
【0040】
続いて、包装機98の制御系統の構成について説明する。包装機98の包装制御器81は、CPU等からなる演算制御部82と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部83等を備えている。記憶部83には、包装機の運転用プログラム、運転用設定データである多数の運転パラメータのデータ等が記憶されており、この運転用プログラムを演算制御部82が実行することにより、包装機98の動作が制御される。
【0041】
さらに、包装制御器81の演算制御部82には、動作制御回路85、A/D変換回路86、及び通信回路84が接続されている。演算制御部82は、動作制御回路85を介して、縦シール用エアーシリンダ44、横シール用エアーシリンダ47、カッタ用エアーシリンダ49、及びプルベルト45の動作を制御する。また、演算制御部82は、A/D変換回路86を介して、縦シール用ヒータ43、及び横シール用ヒータ46に備えられた温度コントローラによる計測値を取得する。さらに、演算制御部82は、通信回路84を介して、組合せ秤99(正確には演算制御部21)との間で排出許可信号や排出完了信号の送受信、並びに各種情報の送受信を行う。
【0042】
〔計量包装システム100の動作〕
以上のように構成された計量包装システム100の動作について説明する。組合せ秤99の演算制御器16は、運転用プログラムを実行して、組合せ秤99の動作制御を行うとともに組合せ演算を行う。予め、演算制御器16の演算制御部21に対して操作設定表示器17から組合せ目標重量値や運転速度の条件を示すパラメータ等が入力され、記憶部22に格納される。これらのパラメータ等は、必要に応じて記憶部22より読み出される。
【0043】
演算制御器16は、計量動作を開始するに際して、まず、分散フィーダ30の加振器4、及び直進フィーダ50の加振器6を動作させるように、振動制御回路27を介してそれぞれ制御する。これにより、供給装置1から分散フィーダ30上に供給された被計量物は、分散フィーダ30から円周方向に分散されて、放射状に配置された直進フィーダ50を通じて、各供給ホッパ7へ送給される。このとき、演算制御器16は、レベル検出器2により分散フィーダ30上の被計量物の層厚を検出し、その被計量物の量が所定量(下限値)より少なくなると、供給装置1を動作させることにより、分散フィーダ30上に、所定量以上の被計量物が常時供給されるようにしている。
【0044】
続いて、演算制御器16は、計量ホッパ8が空であることを検知し、ゲート駆動回路26を介して、供給ホッパ7のゲート7aを開放するように制御する。これにより、供給ホッパ7から計量ホッパ8に被計量物が投入される。計量ホッパ8に被計量物が投入されると、演算制御器16は、重量センサ9による計測値(各計量ホッパ8に保持されている被計量物の重量)をA/D変換回路25を介して検出し、検出された被計量物の重量に基づいて組合せ演算を行う。この組合せ演算では、複数の計量ホッパ8の中から、重量センサ9により計量された被計量物の重量値の合計が、予め定められた所定重量範囲(目標重量に対する許容重量範囲)内にある組合せが1つ求められ、被計量物を放出すべき計量ホッパ8の組合せが選択される。
【0045】
そして、演算制御器16は、ゲート駆動回路26を介して組合せ演算で求めた組合せに選択されている計量ホッパ8のゲート8aを開放させ、被計量物を集合シュート11上へ放出させる。被計量物は、集合シュート11上を滑り集合ファンネル12で集められて、集合ホッパ10に収容される。演算制御器16は、包装機98から排出許可信号が入力されると、集合ホッパ10のゲート10aを開放させ、集合ホッパ10に保持されている所定量の被計量物を包装機98へ放出させるとともに、包装機98へ排出完了信号を出力する。包装機98では、組合せ秤99からの排出完了信号の入力タイミングに基づいてシール動作等の動作を行う。
【0046】
〔計量ヘッドの配置表示整合機能〕
組合せ秤99が備える各計量ヘッドの相互位置関係は変化しないが、操作設定表示器17の表示部17bに表示された或計量ヘッドと、表示部17bに対峙する作業者から見た或計量ヘッドとの配置(位相や方向)が異なることがある。そこで、本実施の形態に係る組合せ秤99は、操作設定表示器17の表示部17bに図的に表示される各計量ヘッドの配置と、表示部17bに対峙する作業者から見た実際の各計量ヘッドの配置とを整合させる、「計量ヘッドの配置表示整合機能」を備えている。ここで、計量ヘッドを「図的に表示する」とは、計量ヘッドの写真(映像)や絵に限定されず、例えば、計量ヘッドを表す記号や文字を各計量ヘッドの配置に合わせて表示することも含まれる。
【0047】
以下に、計量ヘッドの配置表示整合機能について詳細に説明する。図7は組合せ秤の平面図、図8は計量ヘッドの配置の説明図、図9は計量ヘッドの配置表示整合機能を実現するための構成を示す図、図10は自動運転画面の一例を示す図、図11は自動運転画面の変形例を示す図、図12はメンテナンス画面の一例を示す図、図13は計量ヘッドの配置表示整合機能を実現するための構成の変形例を示す図である。図7及び図8に示すように、本実施の形態に係る組合せ秤99は、環状に配列された14組の計量ヘッドを備えている。説明の便宜を図って、これらの図において最も下部に位置する2組の計量ヘッドのうち左側を第1番ヘッドと呼び、この第1番ヘッドから時計回りに第2番ヘッド〜第14番ヘッドと呼ぶこととする。
【0048】
図8及び図9に示すように、組合せ秤本体99Aに、組合せ秤本体99Aの方位を検出する第一の方位角センサ72が設けられている。ここで、「組合せ秤本体99A」とは、組合せ秤99のうち計量ヘッドが含まれる部分であり、本実施の形態においては、組合せ秤99のうち演算制御器16及び操作設定表示器17を除く部分である。また、操作設定表示器17に、操作設定表示器17の方位を検出する第二の方位角センサ73が設けられている。これら第一の方位角センサ72及び第二の方位角センサ73は、その検出信号を操作設定表示器17の制御回路17cに送信するように構成されている。
【0049】
一般に、方位角センサとは、或方向と基準となる方向との間の角度で、方向を数値で表す場合の水平成分を検出する手段である。本実施の形態において、二つの方位角センサ72,73は何れも磁気方位角センサであって、北の方位を規準として原点と移動点との方位角をアナログ電圧出力するものであり、東西南北及びこれらの中間方位を各電圧で出力できるように構成されている。
【0050】
第一の方位角センサ72及び第二の方位角センサ73から検出信号を受け取った操作設定表示器17の制御回路17cは、これらの検出信号に基づいて、第一の方位角センサ72で検出された方位と第二の方位角センサ73で検出された方位との差である「偏差角Δθ」を求める。そして、操作設定表示器17は、演算制御器16から表示画像信号を受け取って操作設定表示器17の表示部17bに計量ヘッド群を図的に表示する際に、表示される複数の計量ヘッドの配置を偏差角Δθに応じて調整する。
【0051】
但し、図13に示すように、第一の方位角センサ72及び第二の方位角センサ73は、その検出信号を演算制御器16の演算制御部21に送信するように構成され、これらの検出信号を受けた演算制御器16の演算制御部21が、操作設定表示器17の制御回路17cに出力する表示画像信号を作成する際に、図的に表示される計量ヘッド群の配置を偏差角Δθに応じて調整するように構成されていてもよい。
【0052】
本実施の形態において、第一の方位角センサ72は、第1番ヘッドから第14番ヘッドに向かう方向(図8中の矢印72a)の方位を検出し、第二の方位角センサ73は、操作設定表示器17の表示部17b(スクリーン)の左右方向(図8中の矢印73a)の方位を検出する。
【0053】
図8において、組合せ秤本体99Aに設けた第一の方位角センサ72で検出される方位と、A位置の操作設定表示器17に設けた第二の方位角センサ73で検出される方位とは、等しく、偏差角Δθは0度となる。偏差角Δθが0度の場合には、例えば、図10に示すように、操作設定表示器17の表示部17bに表示される自動運転画面120では、最下位置に第1番ヘッド及び14番ヘッドが配置され、第1番ヘッドから時計回りに順次第2番ヘッド〜第13番ヘッドが環状に配列された計量ヘッド群が表れる。以下、図10に示すような、偏差角Δθが0度の場合の計量ヘッド群の表示を「基準配置表示」と呼ぶこととする。
【0054】
なお、図10に示す自動運転画面120には、品種番号・品種名表示エリア121、ヘッド円形表示エリア122、組合せ運転状況表示エリア124、「運転ON−OFF」タッチキー123、フィーダ調整タッチキーエリア125、及び、「復帰」タッチキー126が設けられている。このうち、ヘッド円形表示エリア122には、複数の計量ヘッドが環状に配列表示され、環の最も内周側に計量ヘッドに付与された番号(第1番〜第14番)が表示されている。従って、図10に示す自動運転画面120からは、第1番ヘッドで秤量されたキャンディの平均重量は23.5gであると、読み取ることができる。
【0055】
また、図8において、操作設定表示器17をA位置から組合せ秤本体99Aを中心として反時計回りに90度回転させてC位置に移動させると、組合せ秤本体99Aに設けた第一の方位角センサ72で検出される方位と、C位置の操作設定表示器17に設けた第二の方位角センサ73で検出される方位との偏差角Δθは90度となる。偏差角Δθが90度の場合には、例えば、図11に示すように、操作設定表示器17に表示される自動運転画面120において、計量ヘッド群は基準配置表示(図10)から90度だけ反時計回りに回転して表れる。即ち、最下位置に第4番ヘッドが配置され、この第4番ヘッドから時計回りに順次第5番ヘッド〜第14番ヘッド、第1番ヘッド〜第3番ヘッドが環状に配列された計量ヘッド群が表示される。
【0056】
上述のように、第一の方位角センサ72と第二の方位角センサ73とで検出される方位の偏差角Δθに応じて、操作設定表示器17の表示部17bに表示される計量ヘッド群の配置が調整(変更)されることにより、操作設定表示器17の表示部17bに図的に表示される複数の計量ヘッドの配置(位相)は、表示部17bに対峙する作業者から見た実際の組合せ秤99の複数の計量ヘッドの配置(位相)と整合している。よって、操作設定表示器17の表示は、作業者にとってより理解し易いものとなり、作業者は、操作設定表示器17の表示部17bで指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができる。
【0057】
図12では、操作設定表示器17の表示部17bに表示されるメンテナンス画面130の一例が示されている。このメンテナンス画面130には、メッセージ表示エリア131、ヘッド表示エリア132、及び、ヘッド構成表示エリア133が設けられている。メンテナンス画面130のメッセージ表示エリア131には、「No.7のヘッドの計量ホッパの零点が大幅に変わっています。No.7のヘッドの計量ホッパに被計量物の付着形成がないかチェックしてください。」というメッセージが表示されている。また、メンテナンス画面130のヘッド表示エリア132には、環状に配列された複数の計量ヘッドの絵が表示され、そのうちメンテナンスが必要な第7番ヘッドが色別(斜線掛け)に表示されている。また、ヘッド構成表示エリア133では、組合せ秤99の各構成要素の絵が表示され、そのうちメンテナンスが必要な計量ホッパが色別(斜線掛け)に表示されている。このように、メンテナンス画面130では、組合せ秤99のメンテナンスが必要な箇所が、文字と絵とにより分かり易く表示されている。そして、このメンテナンス画面130のヘッド表示エリア132においても、表示されている各計量ヘッドの配置と、操作設定表示器17の表示部17bに対峙する作業者から見た実際の各計量ヘッドの配置とが整合しているので、操作設定表示器17の表示が作業者にとってより理解し易いものとなる。よって、作業者は、操作設定表示器17の表示部17bで指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができ、計量ヘッドのメンテナンスに間違いなく且つ速やかに取りかかることができる。
【0058】
上述の通り、操作設定表示器17の表示部17bに表示される自動運転画面120のヘッド円形表示エリア122並びにメンテナンス画面130のヘッド表示エリア132では、組合せ秤99が備える各計量ヘッドが図的に表示され、しかも、表示された各計量ヘッドの配置と実際の計量ヘッドとの配置が、操作設定表示器17の表示部17bを見ながら作業する作業者から見て整合しているので、計量ヘッドの特定が容易となる。本実施の形態に係る組合せ秤99のように、複数の同形状の計量ヘッドが環状に配列されている場合には、配列の起点がわかりにくく、作業者が特定の計量ヘッドを一目で探し出すことは困難であるが、操作設定表示器17が上述の計量ヘッドの配置表示整合機能を備えることで、作業者は特定の計量ヘッドを一目で探し出すことが可能となり、特に有用である。但し、組合せ秤99が備える複数の計量ヘッドは、環状に配列されていることに限定されない。例えば、組合せ秤99が備える複数の計量ヘッドが行列に配列されている場合であっても、操作設定表示器17が上述の計量ヘッドの配置表示整合機能を備えることで、操作設定表示器17の表示部17bで図的に表示された複数の計量ヘッドと実際の複数の計量ヘッドとの配置が整合することとなる。これにより、操作設定表示器17を見ながら作業する作業者にとって実際の複数の計量ヘッドの中から特定の計量ヘッドを探し出すことが容易となる。
【0059】
なお、上記において操作設定表示器17は架台65の脚67に固定されているが、操作設定表示器17が可搬である態様の場合には、組合せ秤本体99Aに対する操作設定表示器17の位置及び向きは自在に変化できる。このような場合に、操作設定表示器17が上述の計量ヘッドの配置表示整合機能を備えることで、操作設定表示器17の位置及び向きの変化に追従して操作設定表示器17に図的に表示される複数の計量ヘッドの配置が変化して、常に計量ヘッドの特定が容易となる状態が維持されるので、特に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る組合せ秤及び計量包装システムは、計量ホッパに限定されず、組合せ秤に備えられた構成要素を操作設定表示器の表示部に図的に表示させる場合に応用させることができ、これにより、操作設定表示器の表示部を見ながら作業する作業者が表示部で指定された構成要素を特定することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る計量包装システムの全体的な構成を示す正面図である。
【図2】計量包装システムの平面図である。
【図3】組合せ秤の正面図である。
【図4】組合せ秤の構成図である。
【図5】組合せ秤の制御構成を示すブロック図である。
【図6】包装機の構成図である。
【図7】組合せ秤の平面図である。
【図8】計量ヘッドの配置の説明図である。
【図9】計量ヘッドの配置表示整合機能を実現するための構成を示す図である。
【図10】自動運転画面の一例を示す図である。
【図11】自動運転画面の変形例を示す図である。
【図12】メンテナンス画面の一例を示す図である。
【図13】計量ヘッドの配置表示整合機能を実現するための構成の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
100 計量包装システム
99 組合せ秤
99A 組合せ秤本体
98 包装機
1 供給装置
2 レベル検出器
30 分散フィーダ
50 直進フィーダ
7 供給ホッパ
8 計量ホッパ
9 重量センサ
10 集合ホッパ
11 集合シュート
12 集合ファンネル
16 演算制御器
17 操作設定表示器
65 架台
72 第一の方位角センサ
73 第二の方位角センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ秤、並びに、組合せ秤と包装機とを併せ備えた計量包装システムに関し、特に、組合せ秤が備える操作設定表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ秤と包装機とは、これらを組み合わせることにより、計量包装システムとして構築されている(特許文献1、参照)。計量包装システムに備えられる組合せ秤は、複数の計量容器内の被計量物の計量値を種々に組合せ、これらの組合せの中から、合計重量が目標重量に最も近い値の組合せを選択し、選択された組合せの計量容器から被計量物を排出するものである。また、包装機は、組合せ秤から排出された被計量物を逐次包装するものである。
【0003】
一般的な組合せ秤の動作について簡単に説明する。例えば、特許文献1に記載の計量及び包装システムが備える組合せ秤では、まず、供給フィーダにより、被計量物が円錐状の分散フィーダの頂点に供給される。分散フィーダに供給された計量物は、分散フィーダの周りに放射状に配置された複数の直進フィーダへ分散して搬送されたのち、供給ホッパを介して計量ホッパ(計量容器)に投入される。直進フィーダ、供給ホッパ、及び計量ホッパは、「計量ヘッド」と呼ばれる1つのユニットとして構成されており、組合せ秤には計量ヘッドが複数備えられ、これらの計量ヘッドは環状に配列されている。
【0004】
そして、各計量ホッパで被計量物の重量がそれぞれ計量されて、その計量結果が制御部に出力される。制御部では、当該計量結果に基づいて、計量物の重量が目標重量となる最適な計量ホッパの組合せが選択されるとともに、選択された計量ホッパに対して保持している被計量物を放出するよう指示が与えられる。制御部からの指示を受けた計量ホッパから放出された被計量物は、集合シュートで集められたのち、排出シュートを介して包装機へ投入されて1つの袋に袋詰めされる。
【0005】
ところで、携帯電話の地図案内システムや電子コンパス等などの、方位角センサを備え、この方位角センサで自身の方向変化を検出し、これに対応する情報をディスプレイに表示する技術が知られている。例えば、特許文献2では、キーボードやマウスを必要とせず、ディスプレイ装置自体を空間内で上下左右に動かすことによって、地磁気を測定する方位角センサがディスプレイ装置の姿勢変化に対応した変化量を検出し、それに応じて3次元情報を計算して表示する小型・軽量の3次元表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開閉10−115545号公報
【特許文献2】特開2004−46006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の計量及び包装システムには、操作設定表示器に関して、表示部に表示された複数の計量ヘッドに関する表示を作業者にとってより理解し易くするという点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、表示部に表示された複数の計量ヘッドに関する表示を作業者にとってより理解し易いものとできる操作設定表示器を備えた組合せ秤、及びこのような組合せ秤を備えた計量包装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、上記課題を本発明の計量包装システムに関する図1及び図12を利用して具体的に説明する。
【0009】
図1では計量包装システムの正面図が示されている。この図1に示すように、計量包装システム100は、工場内に組み上げられた架台65に据え付けられる。計量包装システム100では、組合せ秤99と包装機98とを上下に配置する必要があるため、組合せ秤99は架台65に床から浮いた状態で支持され、包装機98は組合せ秤99の下方の床に載置されている。このように高い位置に設置される組合せ秤99の操作設定表示器17は、組合せ秤99から離れて、架台65の脚に取り付けられたり、架台65又は天井から吊り下げられたりするなどして、床に立った作業者が操作しやすい位置に設けられる。操作設定表示器17の配置は計量包装システム100が設置されるスペースや作業者の動線に応じて定められ、例えば、計量包装システム100が同じ形状の架台65に据え付けられる場合であっても、操作設定表示器17の位置や向きが異なることがある。
【0010】
組合せ秤が備える膨大な数の可動部品の調整・保守点検を容易にするため、操作設定表示器に表示されるメンテナンス画面では、例えば、図12に示すように、組合せ秤に具備される各計量ヘッドが図的に表示され、調整又は点検が必要な計量ヘッドを色分けするなどして一目で状態を把握できるようになっている。
【0011】
ところが、上述のメンテナンス画面において、組合せ秤に具備される複数の計量ヘッドが環状に配列表示されていると、各計量ヘッドは同一形状であるので、調整又は点検が必要な計量ヘッドが実物のどの計量ヘッドに相当するのか、わかりにくい場合がある。これは、操作設定表示器に表示された複数の計量ヘッドと、実際に工場内に設置されている複数の計量ヘッドとの間に、作業者から見た方向のズレが存在することが原因である。例えば、操作設定表示器に表示された複数の計量ヘッドのうち最も上部に配置されている計量ヘッドが、実際に工場内に設置されている複数の計量ヘッドのうち作業者から見て最も右方向に配置されているような場合には、作業者の感覚にズレが生じることから一目で所定の計量ヘッドを特定することは困難である。
【0012】
しかし、従来の組合せ秤及び計量包装システムにおいて、特許文献2に記載された技術のように、装置が設置される空間とその装置の表示とを整合させるという考え方は存在しない。
【0013】
そこで、本発明の組合せ秤は、計量容器を具備する計量ヘッドを複数備えて組合せ秤量を行い目標重量の被計量物を排出する組合せ秤本体と、予め設定された運転条件に則って前記組合せ秤本体の制御を行うとともに前記計量容器から計量値の出力を受けて組合せ演算を行う演算制御器と、前記演算制御器に対して操作を入力するとともに前記演算制御器からの出力を受けて情報を画面表示する表示部を具備する操作設定表示器と、前記組合せ秤本体の方位を検出する第一の方位角センサと、前記操作設定表示器の方位を検出する第二の方位角センサとを備え、前記操作設定表示器は、前記第一の方位角センサ及び前記第二の方位角センサの検出信号より導き出される前記組合せ秤本体と前記操作設定表示器との方位の差に基づいて、前記複数の計量ヘッドを、前記表示部に対峙する作業者から見た実際の前記複数の計量ヘッドの配置と整合させて、前記表示部に図的に表示するように構成されているものである。
【0014】
上記構成の組合せ秤によれば、実際の複数の計量ヘッドと、操作設定表示器の表示部に表示された複数の計量ヘッドとの配置が、操作設定表示器の表示部を見ながら作業する作業者から見て整合しているので、操作設定表示器の表示が作業者にとってより理解し易いものとなる。よって、作業者は、操作設定表示器の表示部で指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができ、計量ヘッドのメンテナンスを間違いなく且つ速やかに行うことができる。
【0015】
前記組合せ秤において、前記複数の計量ヘッドは環状に配列され、前記操作設定表示器は、環状に配列された前記複数の計量ヘッドを表示するように構成されていることが好ましい。
【0016】
上記構成の組合せ秤によれば、実際の複数の計量ヘッドが環状に配列されたものであっても、作業者は、操作設定表示器の表示部を見ることで、その表示部で指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができる。
【0017】
また、本発明の計量包装システムは、前記組合せ秤と、前記組合せ秤から排出された被計量物を包装する包装機とを、備えるものである。
【0018】
上記構成の計量包装システムによれば、組合せ秤が備える実際の複数の計量ヘッドと、操作設定表示器の表示部に表示された複数の計量ヘッドとの配置が、操作設定表示器の表示部を見ながら作業する作業者から見て整合しているので、操作設定表示器の表示が作業者にとってより理解し易いものとなる。よって、作業者は、操作設定表示器の表示部で指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができ、計量ヘッドのメンテナンスを間違いなく且つ速やかに行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
本発明によれば、組合せ秤が備える実際の複数の計量ヘッドと、操作設定表示器の表示部に表示された複数の計量ヘッドとの配置が、操作設定表示器の表示部を見ながら作業する作業者から見て整合しているので、組合せ秤が備える操作設定表示器の表示が作業者にとってより理解し易いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。
【0022】
(実施の形態)
まず、本発明の実施の形態に係る計量包装システム100の概略構成から説明する。図1は本発明の実施の形態に係る計量包装システムの全体的な構成を示す正面図、図2は計量包装システムの平面図、図3は組合せ秤の正面図、図4は組合せ秤の構成図、図5は組合せ秤の制御構成を示すブロック図、図6は包装機の構成図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、計量包装システム100は、組合せ秤99と、組合せ秤99で組合せ秤量された被計量物を包装する包装機98とを、備えている。計量包装システム100は、長い脚67,67・・・を備えた架台65に据え付けられており、組合せ秤99は架台65によって浮いた状態に支持され、包装機98は組合せ秤99の下方の床に載置されている。組合せ秤99の操作設定表示器17は、架台65の脚67に取り付けられている。架台65には、上って組合せ秤99をメンテナンスできるように、階段69と手摺68とが設けられている。
【0024】
ストックフィーダ61にある被計量物は、供給装置1としてのバケットリフタを用いて、組合せ秤99へ供給される。本実施の形態において供給装置1は、無端状ベルトとこの無端状ベルトに列状に配置された複数の容器とを備えたバケットリフタで構成されているが、供給装置1はバケットリフタに限定されず、トラフ(大型の細長い容器)と、このトラフを加振する加振器とを備え、トラフの振動によってトラフ上の被計量物を組合せ秤99へ供給するものであってもよい。
【0025】
そして、組合せ秤99へ供給された被計量物は組合せ秤量されて所定量ずつ排出され、組合せ秤99の下部に設けられた集合ホッパ10に収容される。集合ホッパ10に収容された所定量の被計量物は、包装機98からの排出許可信号を受けて集合ホッパ10より放出され、包装機側シュート66を滑走して包装機98に投入され、袋詰めされる。
【0026】
〔組合せ秤99〕
ここで、組合せ秤99の構成を詳細に説明する。
【0027】
図3及び図4に示すように、組合せ秤99は、被計量物の組合せ秤量を行う複数の計量ホッパ8と、供給装置1より供給された被計量物を各計量ホッパ8へ搬送する分散フィーダ30、複数の直進フィーダ50及び複数の供給ホッパ7と、組合せ秤量された被計量物を包装などの次工程へ送り出す集合シュート11、集合ファンネル12及び集合ホッパ10と、組合せ秤99の制御及び組合せ演算を行う演算制御器16とを備えている。このうち、直進フィーダ50、供給ホッパ7、及び計量ホッパ8で一組の「計量ヘッド」が構成され、複数の計量ヘッドが組合せ秤99に備えられている。複数の計量ヘッドは、分散フィーダ30を包囲するように環状に配列されている。なお、本実施の形態に係る組合せ秤99は、14組の計量ヘッドを備えている。
【0028】
分散フィーダ30は、組合せ秤99の本体の上部(集合シュート11の上方)に設けられている。分散フィーダ30は、円錐形状のトップコーン3と、このトップコーン3を加振する加振器4とを備えている。供給装置1より分散フィーダ30のトップコーン3上に供給された被計量物は、振動によってトップコーン3上を滑り落ちるうちに放射状に分散する。なお、分散フィーダ30の上方には、層厚調整リング75が設けられ、同じく分散フィーダ30の上方に設けられたレベル検出器取り付け金具76には、分散フィーダ30のトップコーン3上にある被計量物の層厚を検出するためのレベル検出器2が取り付けられている。レベル検出器2は、例えば、超音波センサで構成することができる。
【0029】
分散フィーダ30の周囲には、複数の直進フィーダ50が放射状に配設されている。各直進フィーダ50は、フィーダパン5と、このフィーダパン5を加振する加振器6とを備えている。分散フィーダ30より直進フィーダ50のフィーダパン5上に送られた被計量物は、振動によって供給ホッパ7に送り出される。
【0030】
各直進フィーダ50の被計量物の送出側に供給ホッパ7が1つずつ設けられ、複数の供給ホッパ7は環状に配列されている。さらに、各供給ホッパ7の下方には計量容器としての計量ホッパ8が1つずつ設けられ、複数の計量ホッパ8は環状に配列されている。各供給ホッパ7はゲート7aを備えており、このゲート7aが開かれると、供給ホッパ7に保持されている被計量物は、その下方に位置する計量ホッパ8に投入される。
【0031】
各計量ホッパ8は、計量ホッパ8内の被計量物の重量を計量するために、ロードセル等の重量センサ9を備えている。各重量センサ9の計量値(検出信号)は、演算制御器16へ伝達される。
【0032】
複数の計量ホッパ8の下方には、集合シュート11が設けられ、集合シュート11の下端部には集合ファンネル12が設けられ、集合ファンネル12の下方には集合ホッパ10が設けられている。各計量ホッパ8はゲート8aを備えており、このゲート8aが開かれると、計量ホッパ8に保持されている被計量物は集合シュート11に放出されその上を滑り落ちて集合ファンネル12から排出され、集合ホッパ10へ投入される。また、集合ホッパ10はゲート10aを備えており、このゲート10aが開かれると、集合ホッパ10に保持されている被計量物は、包装機98へ投入される。
【0033】
続いて、組合せ秤99の制御系統の構成について説明する。
【0034】
図4及び図5に示すように、演算制御器16は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU等からなる演算制御部21と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部22と、演算制御部21に接続されたI/O回路18、A/D変換回路13、ゲート駆動回路14、及び振動制御回路15とを、備えている。さらに、演算制御器16には、組合せ秤99のユーザーインターフェースである操作設定表示器17が接続されている。この操作設定表示器17は、組合せ秤99の運転の操作を行うタッチパネル式の入力部17aと、演算制御器16の出力を受けて組合せ秤99の運転状態などを表示する表示部17bと、入力部17a及び表示部17bを制御する制御回路17cとを備えている。
【0035】
演算制御部21には、I/O回路18を介してレベル検出器2からの分散フィーダ30上の被計量物の量の検出信号、A/D変換回路13を介して重量センサ9からの各計量ホッパ8に収容された被計量物の計量信号、及び操作設定表示器17からの入力信号などが入力されている。また、演算制御部21からは、振動制御回路15を介して各加振器4,6への駆動信号、ゲート駆動回路14を介して各ゲート7a,8a,10aへの駆動信号、及び操作設定表示器17への表示画像信号などが出力されている。また、演算制御部21は、I/O回路18を介して包装器98の包装制御器81(正確には演算制御部82)との間で所定の信号や情報の送受信を行う。
【0036】
記憶部22には、運転条件登録テーブル、運転条件テーブル、運転中データレジスタ、及び表示バッファ等が格納されている。運転条件登録テーブルには、多数の運転条件データ(例えば、運転条件データ番号、品名、目標重量値、供給機振幅等)が記憶されている。運転条件テーブルには、運転条件登録テーブルの中から選択された一つの運転条件データが書き込まれ、この運転条件テーブルに書き込まれた運転条件データに基づいて組合せ秤99が制御される。運転中データレジスタには、運転中の組合せ秤99の運転状況データが記憶されている。表示バッファには、運転状況データのうち必要なデータを含む表示データが書き込まれ、この表示データが表示画像信号として操作設定表示器17の制御回路17cへ送信されて表示部17bに表示される。
【0037】
なお、本実施の形態において、演算制御器16とは、単独の演算制御器のみならず複数の演算制御器からなる演算制御器群をも意味する。従って、演算制御器16は、単独の演算制御器で構成されていてもよく、分散配置され共働して制御する複数の演算制御器で構成されていてもよい。
【0038】
〔包装機98〕
次に、包装機98の構成について説明する。
【0039】
包装機98は、例えば、袋を製造しながら、この袋に組合せ秤99から投入される被計量物を充填して包装するものである。図6に示すように、包装機98は、包装フィルム42を筒状にヒートシールする縦シール用ヒータ43と、このヒータ43を進退移動させる縦シール用エアーシリンダ44と、筒状となった包装フィルム42を下方に送り出すプルベルト45と、組合せ秤99の集合ホッパ10から排出された被計量物を充填した後に横シールを行う横シール用ヒータ46と、このヒータ46を進退移動させる横シール用エアーシリンダ47,47と、横シールの後に包装フィルム42を切断するカッタ48と、カッタ48を駆動するカッタ用エアーシリンダ49とを備えている。
【0040】
続いて、包装機98の制御系統の構成について説明する。包装機98の包装制御器81は、CPU等からなる演算制御部82と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部83等を備えている。記憶部83には、包装機の運転用プログラム、運転用設定データである多数の運転パラメータのデータ等が記憶されており、この運転用プログラムを演算制御部82が実行することにより、包装機98の動作が制御される。
【0041】
さらに、包装制御器81の演算制御部82には、動作制御回路85、A/D変換回路86、及び通信回路84が接続されている。演算制御部82は、動作制御回路85を介して、縦シール用エアーシリンダ44、横シール用エアーシリンダ47、カッタ用エアーシリンダ49、及びプルベルト45の動作を制御する。また、演算制御部82は、A/D変換回路86を介して、縦シール用ヒータ43、及び横シール用ヒータ46に備えられた温度コントローラによる計測値を取得する。さらに、演算制御部82は、通信回路84を介して、組合せ秤99(正確には演算制御部21)との間で排出許可信号や排出完了信号の送受信、並びに各種情報の送受信を行う。
【0042】
〔計量包装システム100の動作〕
以上のように構成された計量包装システム100の動作について説明する。組合せ秤99の演算制御器16は、運転用プログラムを実行して、組合せ秤99の動作制御を行うとともに組合せ演算を行う。予め、演算制御器16の演算制御部21に対して操作設定表示器17から組合せ目標重量値や運転速度の条件を示すパラメータ等が入力され、記憶部22に格納される。これらのパラメータ等は、必要に応じて記憶部22より読み出される。
【0043】
演算制御器16は、計量動作を開始するに際して、まず、分散フィーダ30の加振器4、及び直進フィーダ50の加振器6を動作させるように、振動制御回路27を介してそれぞれ制御する。これにより、供給装置1から分散フィーダ30上に供給された被計量物は、分散フィーダ30から円周方向に分散されて、放射状に配置された直進フィーダ50を通じて、各供給ホッパ7へ送給される。このとき、演算制御器16は、レベル検出器2により分散フィーダ30上の被計量物の層厚を検出し、その被計量物の量が所定量(下限値)より少なくなると、供給装置1を動作させることにより、分散フィーダ30上に、所定量以上の被計量物が常時供給されるようにしている。
【0044】
続いて、演算制御器16は、計量ホッパ8が空であることを検知し、ゲート駆動回路26を介して、供給ホッパ7のゲート7aを開放するように制御する。これにより、供給ホッパ7から計量ホッパ8に被計量物が投入される。計量ホッパ8に被計量物が投入されると、演算制御器16は、重量センサ9による計測値(各計量ホッパ8に保持されている被計量物の重量)をA/D変換回路25を介して検出し、検出された被計量物の重量に基づいて組合せ演算を行う。この組合せ演算では、複数の計量ホッパ8の中から、重量センサ9により計量された被計量物の重量値の合計が、予め定められた所定重量範囲(目標重量に対する許容重量範囲)内にある組合せが1つ求められ、被計量物を放出すべき計量ホッパ8の組合せが選択される。
【0045】
そして、演算制御器16は、ゲート駆動回路26を介して組合せ演算で求めた組合せに選択されている計量ホッパ8のゲート8aを開放させ、被計量物を集合シュート11上へ放出させる。被計量物は、集合シュート11上を滑り集合ファンネル12で集められて、集合ホッパ10に収容される。演算制御器16は、包装機98から排出許可信号が入力されると、集合ホッパ10のゲート10aを開放させ、集合ホッパ10に保持されている所定量の被計量物を包装機98へ放出させるとともに、包装機98へ排出完了信号を出力する。包装機98では、組合せ秤99からの排出完了信号の入力タイミングに基づいてシール動作等の動作を行う。
【0046】
〔計量ヘッドの配置表示整合機能〕
組合せ秤99が備える各計量ヘッドの相互位置関係は変化しないが、操作設定表示器17の表示部17bに表示された或計量ヘッドと、表示部17bに対峙する作業者から見た或計量ヘッドとの配置(位相や方向)が異なることがある。そこで、本実施の形態に係る組合せ秤99は、操作設定表示器17の表示部17bに図的に表示される各計量ヘッドの配置と、表示部17bに対峙する作業者から見た実際の各計量ヘッドの配置とを整合させる、「計量ヘッドの配置表示整合機能」を備えている。ここで、計量ヘッドを「図的に表示する」とは、計量ヘッドの写真(映像)や絵に限定されず、例えば、計量ヘッドを表す記号や文字を各計量ヘッドの配置に合わせて表示することも含まれる。
【0047】
以下に、計量ヘッドの配置表示整合機能について詳細に説明する。図7は組合せ秤の平面図、図8は計量ヘッドの配置の説明図、図9は計量ヘッドの配置表示整合機能を実現するための構成を示す図、図10は自動運転画面の一例を示す図、図11は自動運転画面の変形例を示す図、図12はメンテナンス画面の一例を示す図、図13は計量ヘッドの配置表示整合機能を実現するための構成の変形例を示す図である。図7及び図8に示すように、本実施の形態に係る組合せ秤99は、環状に配列された14組の計量ヘッドを備えている。説明の便宜を図って、これらの図において最も下部に位置する2組の計量ヘッドのうち左側を第1番ヘッドと呼び、この第1番ヘッドから時計回りに第2番ヘッド〜第14番ヘッドと呼ぶこととする。
【0048】
図8及び図9に示すように、組合せ秤本体99Aに、組合せ秤本体99Aの方位を検出する第一の方位角センサ72が設けられている。ここで、「組合せ秤本体99A」とは、組合せ秤99のうち計量ヘッドが含まれる部分であり、本実施の形態においては、組合せ秤99のうち演算制御器16及び操作設定表示器17を除く部分である。また、操作設定表示器17に、操作設定表示器17の方位を検出する第二の方位角センサ73が設けられている。これら第一の方位角センサ72及び第二の方位角センサ73は、その検出信号を操作設定表示器17の制御回路17cに送信するように構成されている。
【0049】
一般に、方位角センサとは、或方向と基準となる方向との間の角度で、方向を数値で表す場合の水平成分を検出する手段である。本実施の形態において、二つの方位角センサ72,73は何れも磁気方位角センサであって、北の方位を規準として原点と移動点との方位角をアナログ電圧出力するものであり、東西南北及びこれらの中間方位を各電圧で出力できるように構成されている。
【0050】
第一の方位角センサ72及び第二の方位角センサ73から検出信号を受け取った操作設定表示器17の制御回路17cは、これらの検出信号に基づいて、第一の方位角センサ72で検出された方位と第二の方位角センサ73で検出された方位との差である「偏差角Δθ」を求める。そして、操作設定表示器17は、演算制御器16から表示画像信号を受け取って操作設定表示器17の表示部17bに計量ヘッド群を図的に表示する際に、表示される複数の計量ヘッドの配置を偏差角Δθに応じて調整する。
【0051】
但し、図13に示すように、第一の方位角センサ72及び第二の方位角センサ73は、その検出信号を演算制御器16の演算制御部21に送信するように構成され、これらの検出信号を受けた演算制御器16の演算制御部21が、操作設定表示器17の制御回路17cに出力する表示画像信号を作成する際に、図的に表示される計量ヘッド群の配置を偏差角Δθに応じて調整するように構成されていてもよい。
【0052】
本実施の形態において、第一の方位角センサ72は、第1番ヘッドから第14番ヘッドに向かう方向(図8中の矢印72a)の方位を検出し、第二の方位角センサ73は、操作設定表示器17の表示部17b(スクリーン)の左右方向(図8中の矢印73a)の方位を検出する。
【0053】
図8において、組合せ秤本体99Aに設けた第一の方位角センサ72で検出される方位と、A位置の操作設定表示器17に設けた第二の方位角センサ73で検出される方位とは、等しく、偏差角Δθは0度となる。偏差角Δθが0度の場合には、例えば、図10に示すように、操作設定表示器17の表示部17bに表示される自動運転画面120では、最下位置に第1番ヘッド及び14番ヘッドが配置され、第1番ヘッドから時計回りに順次第2番ヘッド〜第13番ヘッドが環状に配列された計量ヘッド群が表れる。以下、図10に示すような、偏差角Δθが0度の場合の計量ヘッド群の表示を「基準配置表示」と呼ぶこととする。
【0054】
なお、図10に示す自動運転画面120には、品種番号・品種名表示エリア121、ヘッド円形表示エリア122、組合せ運転状況表示エリア124、「運転ON−OFF」タッチキー123、フィーダ調整タッチキーエリア125、及び、「復帰」タッチキー126が設けられている。このうち、ヘッド円形表示エリア122には、複数の計量ヘッドが環状に配列表示され、環の最も内周側に計量ヘッドに付与された番号(第1番〜第14番)が表示されている。従って、図10に示す自動運転画面120からは、第1番ヘッドで秤量されたキャンディの平均重量は23.5gであると、読み取ることができる。
【0055】
また、図8において、操作設定表示器17をA位置から組合せ秤本体99Aを中心として反時計回りに90度回転させてC位置に移動させると、組合せ秤本体99Aに設けた第一の方位角センサ72で検出される方位と、C位置の操作設定表示器17に設けた第二の方位角センサ73で検出される方位との偏差角Δθは90度となる。偏差角Δθが90度の場合には、例えば、図11に示すように、操作設定表示器17に表示される自動運転画面120において、計量ヘッド群は基準配置表示(図10)から90度だけ反時計回りに回転して表れる。即ち、最下位置に第4番ヘッドが配置され、この第4番ヘッドから時計回りに順次第5番ヘッド〜第14番ヘッド、第1番ヘッド〜第3番ヘッドが環状に配列された計量ヘッド群が表示される。
【0056】
上述のように、第一の方位角センサ72と第二の方位角センサ73とで検出される方位の偏差角Δθに応じて、操作設定表示器17の表示部17bに表示される計量ヘッド群の配置が調整(変更)されることにより、操作設定表示器17の表示部17bに図的に表示される複数の計量ヘッドの配置(位相)は、表示部17bに対峙する作業者から見た実際の組合せ秤99の複数の計量ヘッドの配置(位相)と整合している。よって、操作設定表示器17の表示は、作業者にとってより理解し易いものとなり、作業者は、操作設定表示器17の表示部17bで指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができる。
【0057】
図12では、操作設定表示器17の表示部17bに表示されるメンテナンス画面130の一例が示されている。このメンテナンス画面130には、メッセージ表示エリア131、ヘッド表示エリア132、及び、ヘッド構成表示エリア133が設けられている。メンテナンス画面130のメッセージ表示エリア131には、「No.7のヘッドの計量ホッパの零点が大幅に変わっています。No.7のヘッドの計量ホッパに被計量物の付着形成がないかチェックしてください。」というメッセージが表示されている。また、メンテナンス画面130のヘッド表示エリア132には、環状に配列された複数の計量ヘッドの絵が表示され、そのうちメンテナンスが必要な第7番ヘッドが色別(斜線掛け)に表示されている。また、ヘッド構成表示エリア133では、組合せ秤99の各構成要素の絵が表示され、そのうちメンテナンスが必要な計量ホッパが色別(斜線掛け)に表示されている。このように、メンテナンス画面130では、組合せ秤99のメンテナンスが必要な箇所が、文字と絵とにより分かり易く表示されている。そして、このメンテナンス画面130のヘッド表示エリア132においても、表示されている各計量ヘッドの配置と、操作設定表示器17の表示部17bに対峙する作業者から見た実際の各計量ヘッドの配置とが整合しているので、操作設定表示器17の表示が作業者にとってより理解し易いものとなる。よって、作業者は、操作設定表示器17の表示部17bで指示された計量ヘッドを実際の複数の計量ヘッドの中から容易に特定することができ、計量ヘッドのメンテナンスに間違いなく且つ速やかに取りかかることができる。
【0058】
上述の通り、操作設定表示器17の表示部17bに表示される自動運転画面120のヘッド円形表示エリア122並びにメンテナンス画面130のヘッド表示エリア132では、組合せ秤99が備える各計量ヘッドが図的に表示され、しかも、表示された各計量ヘッドの配置と実際の計量ヘッドとの配置が、操作設定表示器17の表示部17bを見ながら作業する作業者から見て整合しているので、計量ヘッドの特定が容易となる。本実施の形態に係る組合せ秤99のように、複数の同形状の計量ヘッドが環状に配列されている場合には、配列の起点がわかりにくく、作業者が特定の計量ヘッドを一目で探し出すことは困難であるが、操作設定表示器17が上述の計量ヘッドの配置表示整合機能を備えることで、作業者は特定の計量ヘッドを一目で探し出すことが可能となり、特に有用である。但し、組合せ秤99が備える複数の計量ヘッドは、環状に配列されていることに限定されない。例えば、組合せ秤99が備える複数の計量ヘッドが行列に配列されている場合であっても、操作設定表示器17が上述の計量ヘッドの配置表示整合機能を備えることで、操作設定表示器17の表示部17bで図的に表示された複数の計量ヘッドと実際の複数の計量ヘッドとの配置が整合することとなる。これにより、操作設定表示器17を見ながら作業する作業者にとって実際の複数の計量ヘッドの中から特定の計量ヘッドを探し出すことが容易となる。
【0059】
なお、上記において操作設定表示器17は架台65の脚67に固定されているが、操作設定表示器17が可搬である態様の場合には、組合せ秤本体99Aに対する操作設定表示器17の位置及び向きは自在に変化できる。このような場合に、操作設定表示器17が上述の計量ヘッドの配置表示整合機能を備えることで、操作設定表示器17の位置及び向きの変化に追従して操作設定表示器17に図的に表示される複数の計量ヘッドの配置が変化して、常に計量ヘッドの特定が容易となる状態が維持されるので、特に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る組合せ秤及び計量包装システムは、計量ホッパに限定されず、組合せ秤に備えられた構成要素を操作設定表示器の表示部に図的に表示させる場合に応用させることができ、これにより、操作設定表示器の表示部を見ながら作業する作業者が表示部で指定された構成要素を特定することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る計量包装システムの全体的な構成を示す正面図である。
【図2】計量包装システムの平面図である。
【図3】組合せ秤の正面図である。
【図4】組合せ秤の構成図である。
【図5】組合せ秤の制御構成を示すブロック図である。
【図6】包装機の構成図である。
【図7】組合せ秤の平面図である。
【図8】計量ヘッドの配置の説明図である。
【図9】計量ヘッドの配置表示整合機能を実現するための構成を示す図である。
【図10】自動運転画面の一例を示す図である。
【図11】自動運転画面の変形例を示す図である。
【図12】メンテナンス画面の一例を示す図である。
【図13】計量ヘッドの配置表示整合機能を実現するための構成の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
100 計量包装システム
99 組合せ秤
99A 組合せ秤本体
98 包装機
1 供給装置
2 レベル検出器
30 分散フィーダ
50 直進フィーダ
7 供給ホッパ
8 計量ホッパ
9 重量センサ
10 集合ホッパ
11 集合シュート
12 集合ファンネル
16 演算制御器
17 操作設定表示器
65 架台
72 第一の方位角センサ
73 第二の方位角センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量容器を具備する計量ヘッドを複数備えて組合せ秤量を行い目標重量の被計量物を排出する組合せ秤本体と、
予め設定された運転条件に則って前記組合せ秤本体の制御を行うとともに前記計量容器から計量値の出力を受けて組合せ演算を行う演算制御器と、
前記演算制御器に対して操作を入力するとともに前記演算制御器からの出力を受けて情報を画面表示する表示部を具備する操作設定表示器と、
前記組合せ秤本体の方位を検出する第一の方位角センサと、
前記操作設定表示器の方位を検出する第二の方位角センサとを備え、
前記操作設定表示器は、前記第一の方位角センサ及び前記第二の方位角センサの検出信号より導き出される前記組合せ秤本体と前記操作設定表示器との方位の差に基づいて、前記複数の計量ヘッドを、前記表示部に対峙する作業者から見た実際の前記複数の計量ヘッドの配置と整合させて、前記表示部に図的に表示するように構成されている、
組合せ秤。
【請求項2】
前記複数の計量ヘッドは環状に配列され、
前記操作設定表示器は、環状に配列された前記複数の計量ヘッドを表示するように構成されている、請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の組合せ秤と、
前記組合せ秤から排出された被計量物を包装する包装機とを、
備える、計量包装システム。
【請求項1】
計量容器を具備する計量ヘッドを複数備えて組合せ秤量を行い目標重量の被計量物を排出する組合せ秤本体と、
予め設定された運転条件に則って前記組合せ秤本体の制御を行うとともに前記計量容器から計量値の出力を受けて組合せ演算を行う演算制御器と、
前記演算制御器に対して操作を入力するとともに前記演算制御器からの出力を受けて情報を画面表示する表示部を具備する操作設定表示器と、
前記組合せ秤本体の方位を検出する第一の方位角センサと、
前記操作設定表示器の方位を検出する第二の方位角センサとを備え、
前記操作設定表示器は、前記第一の方位角センサ及び前記第二の方位角センサの検出信号より導き出される前記組合せ秤本体と前記操作設定表示器との方位の差に基づいて、前記複数の計量ヘッドを、前記表示部に対峙する作業者から見た実際の前記複数の計量ヘッドの配置と整合させて、前記表示部に図的に表示するように構成されている、
組合せ秤。
【請求項2】
前記複数の計量ヘッドは環状に配列され、
前記操作設定表示器は、環状に配列された前記複数の計量ヘッドを表示するように構成されている、請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の組合せ秤と、
前記組合せ秤から排出された被計量物を包装する包装機とを、
備える、計量包装システム。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【公開番号】特開2010−78491(P2010−78491A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248106(P2008−248106)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
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