説明

組合せ計量装置

【課題】物品を計量ホッパに安定して供給することが可能な組合せ計量装置を提供する。
【解決手段】供給シュート2は、平板状の支持部材2a上に設けられる。当該支持部材2aには、例えばステンレス等からなる金属板により形成され、供給シュート2により供給された物品が跳ね返って外部に飛び散る(または飛び出す)ことを防止する飛び散り防止部30が、着脱可能にかつ回動可能に上吊りされている。また、分散フィーダ4により径方向(搬送方向)dに沿って搬送される物品は飛び散り防止部30にゆっくり当接することで、当該飛び散り防止部30は、回動方向に沿って回動する。飛び散り防止部30の回動量は制限されているので、一定量の物品のみ整列されて下流に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の計量ホッパに投入された物品の重量の組合せ演算を行い、許容範囲内の組合せ重量となる計量ホッパを選択する組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ計量装置について研究開発が進められている。例えば、特許文献1には、組合せ秤における層厚調整装置が開示されている。当該層厚調整装置は、分散フィーダの上面の範囲内に配置した枠体と、枠体を分散フィーダの上面と接触する下方位置と当該上面から離隔する上方位置との間の任意の位置に移動させる支持部とを含む。
【0003】
また、特許文献2には、組合せ計量システムが開示されている。当該組合せ計量システムにおいては、組合せ計量装置は、複数の計量ホッパに投入された物品の重量の組合せ演算を行い、許容範囲内の組合せ重量となる計量ホッパを選択する計量装置と、この計量装置に物品を供給する供給装置とを主に備える。この組合せ計量装置では、供給装置から供給された物品がフィーダ(分散フィーダ)により複数経路に分散されながら搬送されて計量ホッパに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−75627号公報
【特許文献2】特開平7−311077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の組合せ計量装置では、例えばウインナーのような、部材上に落下した場合に跳ね易い物品を取り扱う場合には、当該物品が供給装置からフィーダ上に供給された際に、跳ねて外部に飛び散る場合がある。そのため、物品を計量ホッパに安定して供給することが困難となり、計量装置による計量が良好に行えない。
【0006】
本発明の目的は、物品を計量ホッパに安定して供給する組合せ計量装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)一の局面に従う組合せ計量装置は、物品を供給する供給部と、供給部により供給された物品を複数経路に分散させる分散部と、複数経路の下流にそれぞれ設けられ、物品を受け取り、さらに下流側に搬送する放射フィーダと、供給部から供給された物品が跳ね返って外部に飛び散ることを防止する、金属板からなる飛び散り防止部と、放射フィーダの下流に設けられ、放射フィーダから搬送された物品を計量する複数の計量部と、を含み、飛び散り防止部は、上部に設けられた支持部材に回動可能に上吊りされたものである。
【0008】
一の局面に従う組合せ計量装置においては、供給部により物品が供給される。当該供給部により供給された物品は分散部により複数経路に分散される。また、当該複数経路からの物品は放射フィーダにより受け取られてさらに下流側に搬送される。さらに、放射フィーダから搬送された物品は複数の計量部により計量される。ここで、供給部から供給された物品が跳ね返って外部に飛び出ることが金属板からなる飛び散り防止部によって防止される。また、飛び散り防止部は、上部に設けられた支持部材に回動可能に上吊りされている。
【0009】
この場合、飛び散り防止部によって物品(例えば、跳ね易いウインナー等)が外部に飛び出ることが防止されるので、下流への物品の供給を安定して行うことができる。
【0010】
また、飛び散り防止部の下端面が回動自在であり、物品の上面に対して撫でるように回動するため、物品供給の層厚(高さ)を一定にすることができる。これにより、計量処理に対して必要以上の物品の流出が飛び散り防止部で塞き止められるので、適量の物品を下流に導くことができる。したがって、必要以上の物品が下流に搬送されて計量処理を良好に行えなくなることを回避できる(オーバースケール防止効果)。
【0011】
また、従来、プラスチック材料からなる軟らかいバンコランフェンスを用いることによって物品の層厚制御のみ(飛び散り防止機能は無し)を行っていた。この場合、上記バンコランフェンスにおいて強度的に強い部分(いわゆるバンコランフェンスのこし)に依存して物品を塞き止めることにより層厚制御を行わなければならないので、当該バンコランフェンスの高さ調整が必要となる。これに対して、金属板の飛び散り防止部を用いた場合には、上記のような高さ調整は不要となり、作業工数を削減できる。
【0012】
さらに、金属板の飛び散り防止部を用いることによって、当該金属板自体の欠け等が生じず異物混入を防止できる。
【0013】
(2)飛び散り防止部は、支持部材に着脱可能に取り付けられてもよい。この場合、既存の部材である上記支持部材に飛び散り防止部を取り付ける構成を採用することで、当該飛び散り防止部を取り付けるための新たな部材を配設する必要がない。また、当該飛び散り防止部は着脱可能となっているので、物品の接触により飛び散り防止部が汚れた場合であっても、容易に取り外して洗浄することができる。
【0014】
(3)飛び散り防止部は、各計量部に対応して設けられてもよい。この場合、分散部により例えば放射状からなる複数経路に分散された物品の全ての飛び散りを防止できるとともに、各計量部に対するオーバースケール防止効果もある。
【0015】
(4)飛び散り防止部は、ステンレスからなることが好ましい。この場合、ステンレスは、プラスチック素材よりも比重が大きい。プラスチックの飛び散り防止部(以下、前者と呼ぶ)とステンレスの飛び散り防止部(以下、後者と呼ぶ)との長さが同じ場合には、これらが回動するのに必要な力(モーメント)は、自重(質量)に比例する。そのため、前者の方が後者よりも小さな力で回動し始める。したがって、ステンレスの飛び散り防止部は、ウインナー等の飛び跳ねた物品の衝撃に対しては動き難いので、飛散防止壁としての機能を発揮する。これに対して、上流から徐々に搬送されてくる物品に対しては、これらの物品が上記飛び散り防止部にゆっくり当接するので、飛び散り防止部は、回動動作により層厚制御板としての機能を発揮する。
【0016】
また、後工程のX線異物検査において、プラスチックは検出できないが、ステンレス等の金属は検出することができる。したがって、仮に飛び散り防止部に欠け等が生じた場合でも、X線異物検査において欠け等を異物として検出でき、異物混入を回避できる。
【0017】
(5)飛び散り防止部は、当該飛び散り防止部の厚さ方向に交差する方向に互いに並んで配設される複数の飛び散り防止部を含んでもよい。
【0018】
この場合、1つの飛び散り防止部が設けられる場合に比べ、各飛び散り防止部の軽重化を図ることができ、物品が当接したときに当該飛び散り防止部がスムーズに回動する。したがって、物品が飛び散り防止部の前で詰まることが防止され、物品の層厚制御の円滑化を図ることができる。
【0019】
(6)各放射フィーダは、トラフを含み、飛び散り防止部は、各放射フィーダにおいて、各トラフの搬送方向に交差するようにトラフの幅内に複数枚設けられてもよい。
【0020】
この場合、各放射フィーダに対して飛び散り防止部を複数枚設けることにより、物品の当接に対する抵抗力を向上できる。それにより、適量の物品を下流に導くことができるので、スムーズな搬送を実現できる。
【0021】
(7)飛び散り防止部の回動中心は、供給部の排出口の高さと略同じ高さに設けられてもよい。
【0022】
この場合、飛び散り防止部の回動中心が供給部の排出口と略同等の高さにあるので、跳ね返って飛び散り防止部に衝突する物品については、金属板からなる重い飛び散り防止部を回動させるほどの大きな回転モーメントを生じさせることはない。したがって、当該飛び散り防止部は、飛散防止壁としての機能を発揮する。一方、上流から徐々に搬送されてくる物品については、当該物品が飛び散り防止部の下端面近傍にゆっくり当接するので、当該飛び散り防止部は、回動動作により層厚制御板としての機能を発揮する。
【0023】
(8)供給部と飛び散り防止部との間にさらに供給高さ制御筒が設けられてもよい。この場合、物品の飛散防止がさらに確実となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る組合せ計量装置によれば、物品を計量ホッパに安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る組合せ計量装置の模式的側面図である。
【図2】組合せ計量装置の模式的上面図である。
【図3】飛び散り防止部の回動の様子を示す模式図である。
【図4】飛び散り防止部の他例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る組合せ計量装置について図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る組合せ計量装置の模式的側面図である。
【0027】
図1に示すように、組合せ計量装置100は、供給装置1から物品が供給される供給シュート2と、分散フィーダ4と、放射フィーダ6−1〜6−N(N:2以上の整数、以下同じ)と、プールホッパ8−1〜8−Nと、計量ホッパ10−1〜10−Nと、本体に内蔵された重量検出器(ロードセル)12−1〜12−Nと、排出シュート14と、架台16と、を含む。なお、本実施形態に係る組合せ計量装置100で取り扱う物品の一例としては、ウインナーが挙げられる。
【0028】
供給装置1は、ベルトコンベヤまたは振動トラフ等からなる供給機1aおよびモータまたは加振機等からなる駆動機1bにより構成される。
【0029】
分散フィーダ4は、所定時間における振動により、供給シュート2の排出口2bから排出された物品を周方向に分散させながら径方向に搬送し、各放射フィーダ6−1〜6−Nに供給する。なお、分散フィーダ4の下方に当該分散フィーダ4用の計量器Wが設けられる。
【0030】
放射フィーダ6−1〜6−Nの各々は、所定時間における振動により、分散フィーダ4によって供給された物品を、対応するプールホッパ8−1〜8−Nの各々に搬送する。放射フィーダ6−1〜6−Nは、分散フィーダ4を中心として放射状にそれぞれ配設される。
【0031】
プールホッパ8−1〜8−Nの各々は、対応する計量ホッパ10−1〜10−Nに物品を排出するための排出ゲート18−1〜18−Nを有する。プールホッパ8−1〜8−Nは、放射フィーダ6−1〜6−Nの各々に対応するように放射状に配設される。
【0032】
計量ホッパ10−1〜10−Nの各々は、対応する重量検出器12−1〜12−Nに物品を排出するための排出ゲート19−1〜19−Nを有する。計量ホッパ10−1〜10−Nは、プールホッパ8−1〜8−Nの各々に対応するように放射状に配設される。
【0033】
重量検出器12−1〜12−Nは、プールホッパ8−1〜8−Nのそれぞれに投入された物品の重量およびプールホッパ8−1〜8−Nのそれぞれから対応する計量ホッパ10−1〜10−Nのそれぞれに投入された物品の重量を計測し、重量検出信号を出力する。なお、重量検出器12−1〜12−Nは、計量ホッパ10−1〜10−Nの各々に対応するように放射状に配設される。なお、各計量ホッパ10−1〜10−N内の物品の重量増減に応じて、制御装置(図示せず)により分散フィーダ4および放射フィーダ6−1〜6−Nの振動時間および振幅が調整されることによって、物品の搬送量が調節される。
【0034】
本実施形態では、供給シュート2は、平板状の支持部材2a上に設けられる。そして、当該支持部材2aには、例えばステンレス等からなる金属板により形成され、供給シュート2により供給された物品が跳ね返って外部に飛び散る(または飛び出す)ことを防止する飛び散り防止部30が、着脱可能にかつ回動可能に上吊りされている。
【0035】
図2は組合せ計量装置100の模式的上面図である。なお、図2では、説明を行わない一部構成部の図示を省略している。
【0036】
図2に示すように、上述のNに関して、例えばN=8個の場合について例示する。図2の8つの計量ホッパ10―1〜10−8が設けられる場合には、これらの計量ホッパ10−1〜10−8の各々に対応する16個の飛び散り防止部30が、上方から視た場合に略8角形を描くようにかつ分散フィーダ4を取り囲むように規則的に配設される。本実施形態では、1つの計量ホッパ10(1つの放射フィーダ6)に対して、2つの飛び散り防止部30が、当該飛び散り防止部30の厚さ方向に交差する方向に互いに並んで配設される。なお、1つの放射フィーダ6と1つの放射フィーダ6との間において、隣り合う飛び散り防止部30の各端部が重なり合う直前まで伸びているので、物品が当該各端部の隙間から外部に漏れ出すことが防止される。
【0037】
また、本実施形態では、上述の図1および図2に示すように、供給シュート2の排出口2bと飛び散り防止部30との間にさらに、供給高さ制御筒40が上記支持部材2aに上吊りされている。これにより、上記排出口2bから排出されて落下した物品が跳ね返っても、供給高さ制御筒40の内壁に当たることで外部に飛び散ることが防止される。
【0038】
図3は飛び散り防止部30の回動の様子を示す模式図である。図3に示すように、飛び散り防止部30は、支持部31により回動可能に支持されている。支持部31は支持部材2aの下面に設けられる。
【0039】
供給シュート2から供給されて跳ね返った物品は、飛び散り防止部30に接触し、当該飛び散り防止部30が回動しないことで外部に飛び出ることが防止される。一方、分散フィーダ4(図1参照)により径方向(搬送方向)dに沿って搬送される物品は飛び散り防止部30にゆっくり当接することで、当該飛び散り防止部30は、回動方向vに沿って回動する。ここで、飛び散り防止部30の回動量は制限されているので、一定量の物品のみ整列されて下流に導かれる。
【0040】
また、図3において、飛び散り防止部30の回動中心である支持部31は、供給シュート2の排出口2bの高さと略同じ高さに設けられる。それにより、跳ね返って飛び散り防止部30に衝突する物品については、金属板からなる重い飛び散り防止部30を回動させるほどの大きな回転モーメントを生じさせることはない。したがって、当該飛び散り防止部30は、飛散防止壁としての機能を発揮する。一方、上流から徐々に搬送されてくる物品については、当該物品が飛び散り防止部30の下端面近傍にゆっくり当接するので、当該飛び散り防止部30は、回動動作により層厚制御板としての機能を発揮する。
【0041】
続いて、本実施形態に係る組合せ計量装置100の動作について説明する。最初に、供給装置1から搬送されてきた物品は、供給シュート2の排出口2bを介して分散フィーダ4の中央に集められる。
【0042】
そして、これらの物品は、分散フィーダ4の所定時間における振動により、周方向に分散されながら径方向dに沿って搬送され、放射状に配設された各放射フィーダ6−1〜6−8に供給される。供給された物品は、放射フィーダ6−1〜6−8の各々に対応するプールホッパ8−1〜8−8に搬送される。
【0043】
次に、プールホッパ8−1〜8−8の各々において、物品が一時的にプールされた後、対応する排出ゲート18−1〜18−8が必要に応じて開放されて、対応する計量ホッパ10−1〜10−8に投入される。重量検出器12−1〜12−8は、対応するプールホッパ8−1〜8−8および計量ホッパ10−1〜10−8に投入された物品の重量を計測して重量検出信号を出力する。重量が計測された物品は、組合せ演算された後、許容範囲内の組合せ重量となる計量ホッパ10−1〜10−8が選択されて、対応する排出ゲート19−1〜19−8が開放され、排出シュート14から排出される。
【0044】
<本実施形態における効果>
本実施形態に係る組合せ計量装置100においては、供給シュート2から供給された物品(例えば、跳ね易いウインナー等)が跳ね返って外部に飛び出ることが、例えばステンレス等の金属板からなる飛び散り防止部30によって防止される。これにより、計量ホッパ10−1〜10−Nにおいて計量すべき物品が不足することはない。したがって、下流への物品の供給を安定して行うことができる。
【0045】
また、飛び散り防止部30の下端面が回動自在であり、物品の上面に対して撫でるように回動するため、物品供給の層厚(高さ)を一定にすることができる。これにより、計量ホッパ10−1〜10−Nによる計量処理に対して必要以上の物品の流出が飛び散り防止部30で塞き止められる。これにより、適量の物品を下流に導くことができる。したがって、必要以上の物品が下流に搬送されて計量処理を良好に行えなくなることを回避できるという、いわゆるオーバースケール防止効果が奏される。
【0046】
さらに、本実施形態では、1つの放射フィーダ6に対して、2つの飛び散り防止部30が、当該飛び散り防止部30の厚さ方向に交差する方向に互いに並んで配設される。これにより、1つの放射フィーダ6に対して1つの飛び散り防止部30が設けられる場合に比べ、各飛び散り防止部30の軽重化を図ることができ、物品が当接したときに当該飛び散り防止部30がスムーズに回動する。したがって、物品が飛び散り防止部30の前で詰まることが防止され、物品の層厚制御の円滑化を図ることができる。
【0047】
また、従来、プラスチック材料からなる軟らかいバンコランフェンスを用いることによって物品の層厚制御のみ(飛び散り防止機能は無し)を行っていた。この場合、上記バンコランフェンスにおいて強度的に強くなる部分(いわゆるバンコランフェンスのこし)に依存して物品を塞き止めることにより層厚制御を行わなければならないので、当該バンコランフェンスの高さ調整が必要となる。これに対して、本実施形態のように、金属板からなる飛び散り防止部30を用いた場合には、上記のような高さ調整は不要となり、作業工数が削減できる。
【0048】
また、金属板の飛び散り防止部30を用いることによって、当該金属板自体の欠け等が生じず異物混入を防止できる。
【0049】
また、本実施形態では、飛び散り防止部30が支持部材2aに着脱可能に取り付けられているので、当該飛び散り防止部30を取り付けるための新たな部材を配設する必要がない。また、飛び散り防止部30が着脱可能となっていることにより、物品の接触により汚れた場合にも、当該飛び散り防止部30を容易に取り外して洗浄することができる。
【0050】
また、本実施形態では、飛び散り防止部30が計量ホッパ10−1〜10−Nの各々に対応して設けられることにより、分散フィーダ4により放射状からなる複数経路に分散された物品の全ての飛び散りを防止できるとともに、各計量ホッパ10−1〜10−Nに対するオーバースケール防止効果も奏される。
【0051】
また、飛び散り防止部30をステンレスで構成することにより以下の効果が奏される。ステンレスは、プラスチック素材よりも比重が大きい。プラスチックの飛び散り防止部(以下、前者と呼ぶ)とステンレスの飛び散り防止部30(以下、後者と呼ぶ)との長さが同じ場合には、これらが回動するのに必要な力(モーメント)は、自重(質量)に比例する。そのため、前者の方が後者よりも小さな力で回動し始める。したがって、ステンレスの飛び散り防止部30は、ウインナー等の飛び跳ねた物品の衝撃に対しては動き難いので、飛散防止壁としての機能を発揮する。これに対して、上流から徐々に搬送されてくる物品に対しては、これらの物品が上記飛び散り防止部30にゆっくり当接するので、飛び散り防止部30は、回動動作により層厚制御板としての機能を発揮する。
【0052】
また、後工程のX線異物検査において、プラスチックは検出できないが、ステンレス等の金属は検出することができる。したがって、飛び散り防止部30に欠け等が生じた場合でも、X線異物検査において欠け等を異物として検出でき、異物混入を回避できる。
【0053】
また、飛び散り防止部30の回動中心(支持部31)が供給シュート2の排出口2bと略同じ高さにあるので、跳ね返って飛び散り防止部30に衝突する物品については、金属板からなる重い飛び散り防止部30を回動させるほどの大きな回転モーメントを生じさせることはない。したがって、当該飛び散り防止部30は、飛散防止壁としての機能を発揮する。一方、上流から徐々に搬送されてくる物品については、当該物品が飛び散り防止部30の下端面近傍にゆっくり当接するので、当該飛び散り防止部30は、回動動作により層厚制御板としての機能を発揮する。
【0054】
さらに、本実施形態では、供給シュート2の排出口2bと飛び散り防止部30との間にさらに供給高さ制御筒40が設けられるので、上記排出口2bから排出されて落下した物品が跳ね返っても、供給高さ制御筒40の内壁に当たることで物品が外部に飛び散ることが防止される。
【0055】
<請求項の各構成要素と本実施形態の各構成部との対応関係>
上記実施形態においては、組合せ計量装置100が組合せ計量装置に相当し、供給装置1および供給シュート2が供給部に相当し、分散フィーダ4が分散部に相当し、放射フィーダ6−1〜6−Nが放射フィーダに相当し、飛び散り防止部30が飛び散り防止部に相当し、計量ホッパ10−1〜10−Nが計量部に相当し、支持部材2aが支持部材に相当し、トラフ6aがトラフに相当し、搬送方向dが搬送方向に相当し、排出口2bが排出口に相当し、供給高さ制御筒40が供給高さ制御筒に相当する。
【0056】
<変形例>
なお、上記実施形態では、放射フィーダ6−1〜6−Nにおける物品の搬送方向dの交差方向において、それぞれ2枚の飛び散り防止部30を設けることとしたが、これに限定されるものではなく、図4に示すように、各放射フィーダ6−1〜6−Nの各トラフ6aの搬送方向dに交差するように、当該トラフ6aの幅s2内に、幅s1を有する複数枚(図4では、2枚)の飛び散り防止部30を設けてもよい。この場合、各放射フィーダ6−1〜6−Nの各トラフ6aに対して飛び散り防止部30を複数枚設けることにより、物品の当接に対する飛び散り防止部30の抵抗力を向上できる。これにより、適量の物品を下流に導くことができるので、スムーズな搬送をより確実に実現できる。
【0057】
また、各放射フィーダ6−1〜6−Nの隣り合う2つのトラフ6aに対して飛び散り防止部30を設けてもよい。この場合、飛び散り防止部30の部材点数を削減することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、1つの放射フィーダ6に対して2つの飛び散り防止部30を当該飛び散り防止部30の厚さ方向に交差する方向に互いに並べて配設したが、これに限定されるものではなく、同方向において1つの飛び散り防止部30を設けることとしてもよい。
【0059】
また、取り扱う物品に応じて、飛び散り防止部30の高さを調節する高さ調節手段(層厚調整手段)を設けてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、飛び散り防止部30をステンレスで構成したが、これに限定されるものではなく、例えば鉄またはアルミニウム等の他の金属で飛び散り防止部30を構成しても、同様の効果を奏することができる。
【0061】
さらに、本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0062】
1 供給装置
2 供給シュート
2a 支持部材
2b 排出口
4 分散フィーダ
6−1〜6−N 放射フィーダ
6a トラフ
8−1〜8−N プールホッパ
10−1〜10−N 計量ホッパ
12−1〜12−N 重量検出器
14 排出シュート
18−1〜18−N、19−1〜19−N 排出ゲート
30 飛び散り防止部
31 支持部
40 供給高さ制御筒
100 組合せ計量装置
d 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を供給する供給部と、
前記供給部により供給された前記物品を複数経路に分散させる分散部と、
前記複数経路の下流にそれぞれ設けられ、前記物品を受け取り、さらに下流側に搬送する放射フィーダと、
前記供給部から供給された前記物品が跳ね返って外部に飛び散ることを防止する、金属板からなる飛び散り防止部と、
前記放射フィーダの下流に設けられ、前記放射フィーダから搬送された物品を計量する複数の計量部と、を含み、
前記飛び散り防止部は、上部に設けられた支持部材に回動可能に上吊りされたことを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項2】
前記飛び散り防止部は、前記支持部材に着脱可能に取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項3】
前記飛び散り防止部は、各前記計量部に対応して設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組合せ計量装置。
【請求項4】
前記飛び散り防止部は、ステンレスからなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
【請求項5】
前記飛び散り防止部は、当該飛び散り防止部の厚さ方向に交差する方向に互いに並んで配設される複数の飛び散り防止部を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
【請求項6】
各前記放射フィーダは、トラフを含み、
前記飛び散り防止部は、前記各放射フィーダにおいて、各前記トラフの搬送方向に交差するように前記トラフの幅内に複数枚設けられたこと特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
【請求項7】
前記飛び散り防止部の回動中心は、前記供給部の排出口の高さと略同じ高さに設けられたこと特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
【請求項8】
前記供給部と前記飛び散り防止部との間にさらに供給高さ制御筒が設けられたこと特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−179939(P2011−179939A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43804(P2010−43804)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)