説明

組合せ計量装置

【課題】オペレータが識別表示を確実に把握できる組合せ計量装置を提供する。
【解決手段】制御部は、計量部106による計量値に基づき合計値が目標重量値となるように組合せ選択した各物品Gが載置されている計量皿を、これに対応する発光部103を点灯させることで識別させる。各発光部103に対応付けられ、各発光部103からの光を別位置(オペレータが上方向から視認可能な位置)にそれぞれ導く複数の導光部材104が設けられる。各導光部材104は、例えば青色透明色の樹脂部材からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の計量部によって得られた各物品の重量により組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に近い組合せとなるように計量部の組合せを選択して、組合せごとに識別表示する組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ計量装置について研究開発が進められている。例えば、特許文献1には、組合せによる定量計重方法とその装置が開示されている。当該組合せによる定量計重方法とその装置においては、計量部と制御・指示部からなる減算式計重器において、上記制御・指示部に設けられた操作キー部より定量範囲及び定量から被計量物の1個の平均重量を差し引いた重量値にほぼ近い定量前範囲をそれぞれ設定し、次に被計量物を入れた容器を上記計量部に載せてその重量値が制御・指示部の記憶部に記憶され、その容器から複数の被計量物を取り出しその重量が上記制御・指示部内の演算制御部にて減算により算出され、この値が上記定量前範囲と比較され、制御・指示部内の定量前判別表示部が適量となるまで上記の取り出し作業を繰り返す。
【0003】
そして、定量にすべき容器に投入して定量前重量の被計量物が入った容器を複数用意し、それらを各記憶保管場所に置くことで保管場所に設けた容器検知センサが働いて各保管場所に対応した重量値が記憶され、一方計量部に載せられている被計量物を入れた容器の総量が計重記憶され、その容器から1個の被計量物を取り出すことで減算によりその重量値が算出され、上記各保管場所に置かれた複数の容器内の各重量値とで組合せ演算され、上記保管場所に設けられた容器指示ランプにより指示された容器に上記1個の被計量物を投入することで、組合せによる目標値に最も近い定量計重を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−240474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の定量計重装置では、容器内の物品の大きさによっては指示ランプが隠れてしまい、オペレータが識別表示を確実に把握することができない場合がある。そのため、誤作業が生じたり、作業が遅延したりする問題がある。
【0006】
本発明の目的は、オペレータが識別表示を確実に把握できる組合せ計量装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)一の局面に従う組合せ計量装置は、物品を計量する複数の計量部と、計量部によって得られた各計量値に基づいて組合せ演算を行い、当該組合せ演算に基づき各計量部の組合せを選択する選択部と、各計量部にそれぞれ対応付けられ、選択部によって選択された旨を示す複数の発光部と、を備え、物品を各計量部に手動で載降する組合せ計量装置であって、各発光部からの光を当該発光部の位置と別位置にそれぞれ導き、各発光部に対応付けられた複数の導光部材と、を備えたものである。
【0008】
一の局面に従う組合せ計量装置においては、物品が複数の計量部によって計量される。計量部によって得られた各計量値に基づいて選択部により組合せ演算が行われる。そして、得られた組合せ重量が目標重量に近い組合せとなるように、各計量部の組合せが選択部により選択される。選択部によって選択された旨が各計量部にそれぞれ対応付けられた各発光部により行われる。また、各発光部からの光が、対応する各導光部材によって、別位置にそれぞれ導かれる。
【0009】
この場合、計量皿に物品が載置されることによって、各計量部に対応付けられた各発光部による識別表示をオペレータが視認するのが困難なときでも、導光部材によって、対応する発光部からの光が別位置に導かれる。それにより、オペレータは別位置を視認することで、上記識別表示を的確に把握できる。したがって、オペレータは物品の載降作業を正確に行うことができる。
【0010】
(2)別位置は、上方向から視認可能な位置であることが好ましい。この場合、オペレータが作業をしながら上記別位置を視認し易くなる。
【0011】
(3)導光部材は、物品を保持する保持部材と一体形成されてもよい。例えば、魚の切り身等の物品を計量する際には、隣接する物品同士の干渉を防止するために、保持部材により物品を略直立状態で保持することがある。このような場合、保持部材と導光部材とを一体形成することで、低コスト化を図ることができる。
【0012】
(4)保持部材は、各発光部よりも高い位置に配されてもよい。この場合、保持部材および当該保持部材に保持された物品の存在により発光部が視認困難であっても、オペレータは、保持部材と一体形成された導光部材の光を認識することで、識別表示を的確に把握できる。
【0013】
(5)組合せ計量装置は、保持部材の端面に、発光部からの光を拡散させる拡散板をさらに備えてもよい。
【0014】
この場合、拡散板において発光部からの光が拡散されるので、オペレータが認識し得る光を相当範囲で発生させることができる。それにより、オペレータは識別表示をより的確に把握できる。
【0015】
(6)組合せ計量装置は、保持部材の端面に、発光部からの光を分光させるプリズムをさらに備えてもよい。
【0016】
この場合、プリズムにおいて発光部からの光が分光されるので、オペレータが認識し得る光を相当範囲で発生させることができる。それにより、オペレータは識別表示をより的確に把握できる。
【0017】
(7)導光部材は、透明色からなることが好ましい。この場合、発光部からの光を上記別位置に導くことが容易となる。
【0018】
(8)導光部材は、青色透明色からなることが好ましい。この場合、物品が導光部材(保持部材)に保持されているか否かについて画像処理で特定し易くなる。また、青色透明色を有する導光部材の欠片が物品に混入した場合でも、異物検査が容易となる。自然界においては青色を有するものが非常に少ないので、取り扱う物品が自然物である場合に、特に意義がある。
【0019】
(9)組合せ計量装置は、各計量部に対応付けられた複数の計量皿をさらに備え、複数の計量皿のうち少なくとも一部の計量皿は、複数の発光部の高さよりも高い位置に配設されてもよい。
【0020】
この場合、複数の発光部の高さよりも高い位置に上記一部の計量皿があることで、当該発光部が当該計量皿およびこれに載置された物品の存在により隠れてしまう場合でも、オペレータは、上記別位置を視認することで識別表示を的確に把握できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る組合せ計量装置によれば、発光部からの光が導光部材により別位置に導かれるので、オペレータは当該別位置を視認することで識別表示を確実に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る組合せ計量装置の構成を示す模式的上面図である。
【図2】組合せ計量装置の構成を示す模式的前側面図である。
【図3】組合せ計量装置の構成を示す模式的左側面図である。
【図4】計量皿および計量部の構成を示す模式図である。
【図5】第2実施形態に係る組合せ計量装置の構成を示す模式的左側面図である。
【図6】計量皿の配設が異なる場合の導光部材の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る組合せ計量装置について図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は本実施形態に係る組合せ計量装置100の構成を示す模式的上面図であり、図2は組合せ計量装置100の構成を示す模式的前側面図である。なお、図1では、後述の物品Gおよび導光部材104の図示を省略する。また、図1、図2および後述の図3では、X方向が組合せ計量装置100の左右方向(−Xが左側、+Xが右側)に相当し、Y方向が組合せ計量装置100の前後方向(−Yが前側、+Yが後ろ側)に相当し、Z方向が組合せ計量装置100の高さ方向に相当する。X方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する。
【0025】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る組合せ計量装置100は、箱型の本体101と、物品Gを計量する複数の計量部106と、各計量部106の支持部163(後述の図3)に支持されて物品Gが載置される複数の計量皿102と、組合せ選択された物品Gが載置されている計量皿102を識別表示する発光部103と、組合せ計量の目標重量、組合せ数およびその他の設定等をするための操作表示部105と、を備える。物品Gの組合せ選択および発光部103に対する点灯指示等の処理は制御部107により行われる。
【0026】
計量部106は、本体101に例えば12台配設される。各計量部106は、本体101に内蔵されるロードセル161と、当該ロードセル161に連結されて外部に突出する略L字型の支持アーム162と、当該支持アーム162の上端に取り付けられて計量皿102を支持する支持部163(後述の図3)と、を備える。
【0027】
計量皿102は、各計量部106の支持部163(後述の図3)の上面に配設される台座(例えばステンレス板)102aと、当該台座102aの上面に、傾斜した状態で固定される保持部材(例えば樹脂部材)102bと、台座102aの上面に立設されて保持部材102bを動かないように受止支持する受止部材102cと、保持部材102bの下端側に、湾曲するように一体形成されるずれ止め102dと、を備える。
【0028】
本実施形態では、計量の対象となる物品Gは、例えば魚の切身等である。そのため、当該物品Gを計量皿102上に水平に寝かせて載置した場合には、物品Gが計量皿102の側方から大きくはみ出ることがある。その結果、隣接する計量皿102に載置された各物品G同士が干渉してしまい、正確な計量が実現できない。
【0029】
したがって、図2において、上記のような保持部材102bを設けることにより、物品Gを略直立状態で載置することができる。これにより、計量皿102への載置時において、隣接する物品G同士の干渉およびこれによる計量不良を防止できる。
【0030】
本体101の上面には、前側上面101a、後ろ側上面101bおよび前側上面101aと後ろ側上面101bとの間に形成された傾斜面101c(後述の図3参照)が含まれる。このような構成により、オペレータが組合せ計量装置100の前側(−Y側)に立って作業を行う場合に、傾斜面101cが当該オペレータの顔に対向する。なお、前側上面101aが後ろ側上面101bよりも低くなっている。
【0031】
また、本体101の前面101dおよび後ろ面101e(後述の図3)には、当該本体101の外部に向かって突出する上述の各支持アーム162を保護するガードバー121、122が取り付けられている。
【0032】
本実施形態では、本体101の前側上面101aに、例えば6つの計量皿102が一列に並んで配設され、本体101の後ろ側上面101bにも、例えば6つの計量皿102が一列に並んで配設される。前側(−Y側)の6つの計量皿102は、後ろ側(+Y側)の6つの計量皿102よりも低く配される。
【0033】
また、本体101の傾斜面101cには、12個の各計量部106にそれぞれ対応付けられ、制御部107によって選択された旨を示す12個の発光部(例えば発光ダイオード)103が設けられている。制御部107は、計量部106による計量値に基づき合計値が目標重量値となるように組合せ選択した各物品Gが載置されている計量皿102を、これに対応する発光部103を点灯させることで識別させる。それにより、オペレータは、回収すべき物品Gを視認できる。
【0034】
ここで、図2において、各発光部103に対応付けられ、各発光部103からの光を別位置(オペレータが上方向から視認可能な位置で、本実施形態では、計量皿102(台座102aまたは保持部材102b)の端部)にそれぞれ導く複数の導光部材104が設けられる。各導光部材104は、例えば青色透明色で管状の樹脂部材からなり、樹脂成型加工により保持部材102bと一体形成される。なお、別位置とは、発光部103とは異なる位置でかつオペレータが上方向から視認可能な位置を意味する。
【0035】
図3は組合せ計量装置100の構成を示す模式的左側面図である。
【0036】
図3に示すように、通常、各オペレータHは、本体101の前側(−Y側)および後ろ側(+Y側)にそれぞれ立って作業を行う。オペレータHは、計量皿102に計量対象となる物品Gを載置する。その結果、各計量部106により各物品Gが計量され、当該計量値に基づき制御部107により合計重量値が目標重量値となる複数の物品Gが組合せ選択される。
【0037】
この場合、組合せ選択された物品Gが載置された計量皿102に対応する各発光部103が各々点灯されることによって、識別表示が行われる。そして、オペレータHは、識別表示された計量皿102上の物品Gを回収し、空いた他の計量皿102に、次に計量すべき新しい物品Gを載置する。その結果、それらの計量が行われ、上記と同様に、組合せ選択および識別表示が順次繰り返される。
【0038】
図3において、各計量部106のロードセル161は、負荷された荷重を電気信号に変換して出力する荷重変換器である。前側(−Y側)の各ロードセル161は、本体101の内部において、後ろ側(+Y側)の各ロードセル161よりも低い位置に設けられている。
【0039】
支持アーム162は、ロードセル161と支持部163とを連結させることにより、計量皿102に載置されて支持部163に作用する物品Gの荷重をロードセル161に伝達する。前側のロードセル161に連結される6本の支持アーム162は、前面101dから前方へ突出する一方、後ろ側のロードセル161に連結される6本の支持アーム162は、後ろ面101eから後方へ突出している。なお、各支持アーム162は、略L字型に屈曲して上方に伸びている。
【0040】
支持部163は、支持アーム162の上端にそれぞれ水平状態で固定される略矩形の板状部材である。また、支持部163は、計量皿102の凹部(図示せず)に嵌り込むことで当該計量皿102を水平方向に位置ずれしないように支持する。なお、計量誤差を低減するために、支持部163の中心は、連結されるロードセル161の変位中心を通る鉛直線C上に位置される。
【0041】
前側の発光部103に対応付けられた各導光部材104は、一方列の発光部103の近傍から一方のオペレータHの直近位置まで伸びた形状を有する。後ろ側の発光部103に対応付けられた各導光部材104は、他方列の発光部103の近傍から途中で屈曲し他方のオペレータHの直近位置まで伸びた形状を有する。
【0042】
各発光部103からの光は、対応する導光部材104により、オペレータHが上方向から視認可能な位置、つまり、各オペレータHの直近位置(手前位置)に導かれる。それにより、図3に示すように、各オペレータHは、計量皿102に物品Gが載置されることで発光部103が当該物品Gに隠れて識別表示を認識できない場合でも、導光部材104により識別表示を確実に把握できる。
【0043】
図4は計量皿102および計量部106の構成を示す模式図である。計量皿102に載置される物品Gの形状としては、例えば、その厚みTに対してそれと直交する方向の幅Wが大きく、当該幅Wが計量皿102の幅より大きいものである。
【0044】
図4(a)、(b)に示すように、台座102aは、その周壁(図示せず)が支持部163の外周縁と互いに当接しているので、側方にずれ動いて脱落することはない。また、台座102aは、上下方向の外れ止めとなるロック部材等を備えていないので、支持部163に対して当該台座102aを載せ降ろしすることで、取り付けまたは取り外しが可能となる。
【0045】
保持部材102bは、図4(b)に示すように、計量皿102に載置される物品Gを側方から支えることにより略直立状態で保持する。また、保持部材102bは、傾斜面102b1を有する。当該傾斜面102b1に物品Gを沿わせた状態で保持することで、当該物品Gの幅が小さくなるようにしている。それにより、隣接する物品G同士の干渉を防止するとともに、計量皿102上で物品Gを安定した姿勢に維持することができ、載置後に物品Gが姿勢を崩して計量皿102から脱落することを防止できる。
【0046】
保持部材102bは、物品Gを載置していないときおよび物品Gを載置したときにおいても、計量皿102の水平方向における重心位置が台座102aの中心位置と概ね一致するように配設位置および傾斜角度が調整されている。これにより、計量皿102が不意に転倒して支持部163から脱落することが防止されるほか、物品載置時における計量皿102の重心位置がロードセル161の変位中心の略鉛直上方に位置することになり、ロードセル161に回転モーメントが加わって計量精度を悪化させたり、計量値の安定に要する時間が長くなることが防止される。
【0047】
ずれ止め102dは、保持部材102bの下端側において、湾曲するように一体形成されている。これにより、ずれ止め102dは、傾斜面102b1によって側方から支持される物品Gの下端に上側方から押さえ込むように当接される。これにより、物品Gの下端がずれ動いて当該物品Gが落下することが防止される。また、受止部材102cは、保持部材102bを傾斜状態に支持する。
【0048】
なお、保持部材102bは、その前後方向において壁がなく、素通し状に形成されている。これにより、オペレータHは、物品Gを上方向に持ち上げる必要がなく、左右方向にスライド移動させるように当該物品Gの載置回収作業を行うことができる。したがって、オペレータHの作業負担が低減されている。
【0049】
導光部材104の一端部には、導光部材104(発光部103)からの光を相当範囲に分散する光分散部材130が設けられる。したがって、オペレータHは識別表示をより的確に把握できる。当該光分散部材130として、例えば拡散板またはプリズム等が用いられる。
【0050】
(第1実施形態における効果)
このように、本実施形態に係る組合せ計量装置100では、物品Gが複数の計量部106によって計量される。計量部106によって得られた各計量値に基づいて制御部107により組合せ演算が行われる。そして、得られた組合せ重量が目標重量に近い組合せとなるように、各計量部106の組合せが制御部107により選択される。制御部107によって選択された旨が各計量部106にそれぞれ対応付けられた各発光部103により行われる。各発光部103からの光が、対応する各導光部材104によって、オペレータHが上方向から視認可能な位置、すなわち、各オペレータHに対して発光部103の位置よりも近い位置に導かれる。
【0051】
この場合、計量皿102に物品Gが載置されることによって、各計量部106に対応付けられた各発光部103による識別表示をオペレータHが視認するのが困難なときでも、導光部材104によって、対応する発光部103からの光が上記位置に導かれる。それにより、オペレータHは当該位置を視認することで、上記識別表示を的確に把握できる。したがって、オペレータHは物品の載降作業を正確に行うことができる。
【0052】
また、本実施形態では、導光部材104は、例えば成型加工により保持部材102bと一体形成されることによって、低コスト化を図ることができる。また、保持部材102bを、導光部材104と同様に樹脂により形成することによって、物品Gを保持する場合に当該物品Gに傷などが付き難い。
【0053】
また、保持部材102bが各発光部103よりも高い位置に配されることにより、保持部材102bおよび当該保持部材102bに保持された物品Gの存在により発光部103が視認困難であっても、オペレータHは、導光部材104からの光を認識することで、識別表示を的確に把握できる。
【0054】
また、前側(−Y側)よりも後ろ側(+Y側)の各計量皿102の方が高い位置にあるため、オペレータHが前側に立った際の、後ろ側の計量皿102に対する物品Gの載置回収作業において、前側の計量皿102およびこれに載置された物品Gが邪魔になることはない。
【0055】
また、光分散部材130により導光部材104に導かれた光が相当範囲に分散されることによって、オペレータHは識別表示をより的確に把握できる。
【0056】
また、保持部材102bが例えば青色透明色の樹脂部材からなることによって、物品Gが保持部材102bに保持されているか否かについて画像処理で特定し易くなる。また、青色透明色の保持部材102bの欠片が物品Gに混入した場合でも、異物検査が容易となる。自然界においては青色を有するものが非常に少ないので、取り扱う物品Gが例えば魚の切り身等の自然物である場合に、特に有効である。
【0057】
さらに、本実施形態のように、複数の発光部103の高さよりも高い位置に一部の計量皿102があることで、発光部103が計量皿102およびこれに載置された物品Gの存在により隠れてしまう場合でも、オペレータHは、上記位置を視認することで識別表示を的確に把握できる。
【0058】
(第2実施形態)
図5は第2実施形態に係る組合せ計量装置の構成を示す模式的左側面図である。図5に示すように、第2実施形態に係る組合せ計量装置100aが第1実施形態に係る組合せ計量装置100と異なる点は、本体101の上方には、傾斜面101cがなく、平面101fのみ設けられる点である。これにより、前側および後ろ側の各計量皿102および各計量部106の配設高さは略同一となる。
【0059】
本実施形態に係る組合せ計量装置100aにおいて、前側の発光部103に対応付けられた各導光部材104は、一方列の発光部103の近傍から途中で屈曲し、一方のオペレータHの直近位置まで伸びた形状を有する。後ろ側の発光部103に対応付けられた各導光部材104も、他方列の発光部103の近傍から途中で屈曲し、他方のオペレータHの直近位置まで伸びた形状を有する。
【0060】
このような構成により、図5に示すように、計量皿102に物品Gが載置されることにより、発光部103が当該物品Gによって隠れてしまう場合でも、オペレータHは、導光部材104aの一端を視認することで、識別表示を的確に認識できる。なお、図示は省略したが、組合せ計量装置100aにおいても、光分散部材130(図4)を設けることで、オペレータHが識別表示を認識し易くなる。なお、その他の効果は第1実施形態と同じである。
【0061】
(請求項の各構成要素と本実施形態の各構成部との対応関係)
上記実施形態においては、組合せ計量装置100、100aが組合せ計量装置に相当し、物品Gが物品に相当し、計量部106が計量部に相当し、制御部107が選択部に相当し、発光部103が発光部に相当し、導光部材104、104aが導光部材に相当し、保持部材102bが保持部材に相当し、光分散部材130が拡散板およびプリズムに相当し、計量皿102が計量皿に相当し、計量皿102(台座102aまたは保持部材102b)の端部が別位置に相当する。
【0062】
(変形例)
なお、次のように構成してもよい。図6は計量皿102の配設が異なる場合の導光部材104の構成を示す模式図である。
【0063】
図6に示すように、各計量皿102の物品Gを保持する側の平面が本体101の前側(−Y側)を向くように当該各計量皿102が配される。この場合、オペレータHが物品Gを載置および回収し易くなる。なお、図示はしないが、他方側の各計量皿102は、それらの上記平面が本体101の後ろ側(+Y側)を向くように当該各計量皿102が配される。
【0064】
導光部材104は、発光部103の近傍から保持部材102bの一端面までをつなぐような形で配される。導光部材104の一端部には、導光部材104(発光部103)からの光を相当範囲に分散する上述の光分散部材130が設けられる。それにより、オペレータHは識別表示をより的確に把握できる。導光部材104の上記の一端部および光分散部材130が物品Gにより隠れないように調整されることで、オペレータHは当該導光部材104の一端部および光分散部材130を視認できる。なお、導光部材104の導光位置は適宜変更可能であり、図6(b)において、例えばオペレータHに対してより近い位置Lに導光してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、保持部材102bと導光部材104とを一体形成することとしたが、これに限定されるものではなく、これらを別個に形成し、保持部材102bに導光部材104を後付けしてもよい。そして、導光部材104を着脱可能な構成としてもよい。この場合、身長がある程度高いオペレータHが発光部103を確実に認識可能な場合には、識別表示を確実に把握できるので、導光部材104を取り外すことができる。
【0066】
また、計量皿102に発光体を設け、当該発光体を発光部103と連動させて発光させてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、二人のオペレータHで作業を行うこととしたが、これに限定されるものではなく、一人のオペレータHのみが作業を行ってもよい。この場合、一人のオペレータHが本体101の前側(−Y側)に立って作業をするときには、上述の図3および図5において、当該オペレータHから遠い側の導光部材104、104aによる導光位置については、図3および図5における現状位置では視認できないので、当該現状位置と逆側の位置であることが必要となる。
【0068】
さらに、本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これらの作用および効果は一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0069】
100、100a 組合せ計量装置
101 本体
101a 前側上面
101b 後ろ側上面
101c 傾斜面
102 計量皿
102a 台座
102b 保持部材
102c 受止部材
102d ずれ止め
103 発光部
104、104a 導光部材
106 計量部
107 制御部
130 光分散部材
161 ロードセル
162 支持アーム
163 支持部
G 物品
H オペレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を計量する複数の計量部と、
前記計量部によって得られた各計量値に基づいて組合せ演算を行い、当該組合せ演算に基づき各前記計量部の組合せを選択する選択部と、
前記各計量部にそれぞれ対応付けられ、前記選択部によって選択された旨を示す複数の発光部と、を備え、前記物品を前記各計量部に手動で載降する組合せ計量装置であって、
各前記発光部からの光を別位置にそれぞれ導き、当該各発光部に対応付けられた複数の導光部材と、を備えたことを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項2】
前記別位置は、上方向から視認可能な位置であることを特徴とする請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項3】
前記導光部材は、前記物品を保持する保持部材と一体形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組合せ計量装置。
【請求項4】
前記保持部材は、前記各発光部よりも高い位置に配されたことを特徴とする請求項3に記載の組合せ計量装置。
【請求項5】
前記保持部材の端面に、前記発光部からの光を拡散させる拡散板をさらに備えたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の組合せ計量装置。
【請求項6】
前記保持部材の端面に、前記発光部からの光を分光させるプリズムをさらに備えたことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
【請求項7】
前記導光部材は、透明色からなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
【請求項8】
前記導光部材は、青色透明色からなることを特徴とする請求項7に記載の組合せ計量装置。
【請求項9】
前記各計量部に対応付けられた複数の計量皿をさらに備え、
前記複数の計量皿のうち少なくとも一部の計量皿は、前記複数の発光部の高さよりも高い位置に配設されたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−185756(P2011−185756A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51585(P2010−51585)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)