説明

組成物、該組成物を含む処理済みバッキング、および被覆研磨物品

硬化性組成物は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能なエポキシ樹脂、多官能性(メタ)アクリレート、ジシアンジアミドおよび光開始剤を含む。本硬化性組成物は、処理済みバッキングおよび被覆研磨物品を製造するために有用である。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般に、被覆研磨物品はバッキングに固定された研磨粒子を有する。より典型的には、被覆研磨物品は、対向する2つの主面および主面に固定された研磨層を有するバッキングを含む。研磨層は、典型的には、研磨粒子と、研磨粒子をバッキングに固定するように機能する結合剤とを含む。
【0002】
被覆研磨物品の1つの一般的タイプは、メーク層、サイズ層および研磨粒子を含む研磨層を有する。こうした被覆研磨物品を製造する際に、第1の結合剤前駆体を含むメーク層はバッキングの主面に被着される。その後、研磨粒子はメーク層に少なくとも部分的に埋め込まれ(例えば静電塗布を経由して)、第1の結合剤前駆体は硬化(すなわち架橋)されて、粒子をメーク層に固定する。その後、第2の結合剤前駆体を含むサイズ層はメーク層および研磨粒子上に被着され、その後、結合剤前駆体を硬化させる。幾つかの被覆研磨物品は研磨層を覆うスーパーサイズ層を更に含む。スーパーサイズ層は、典型的には粉砕添加剤および/または抗負荷材料を含む。
【0003】
被覆研磨物品のもう1つの一般的タイプは、バッキングの主面に固定された研磨層を含み、ここで、結合剤前駆体および研磨粒子よりなるスラリーをバッキングの主面上に被着させ、その後、結合剤前駆体を硬化させることにより研磨層は提供される。
【0004】
幾つかの被覆研磨物品は、バックサイズ層(すなわち、研磨層を有する主面とは逆のバッキングの主面上の被膜)、プレサイズ層、繋ぎ層(すなわち、研磨層が固定されている主面と研磨層との間の被膜)および/または含浸剤などのバッキング処理剤を更に含む。任意に、バッキングはサブサイズ処理剤を更に含んでもよい。サブサイズは、サブサイズが以前に処理されたバッキングに被着されることを除き、含浸剤に似ている。
【0005】
被覆研磨構造中で用いられる従来のバッキング処理剤には、レゾールフェノール樹脂、フェノール/ラテックスブレンド、ウレア−ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。これらなどのバッキング処理剤は、典型的には、レゾールフェノール、ウレア−ホルムアルデヒドおよびエポキシ系メーク層およびスラリー層への良好な粘着性を示す。しかし、バッキング処理剤のこれらのタイプがメークコート塗布の前に典型的には部分的にのみ硬化されるので、バッキング処理剤は水、フェノールおよびホルムアルデヒドなどの種々の揮発分を放出し、それらの揮発分は研磨層に追加のポロシティを与えうる、および/またはメーク層の硬化を妨げうる。
【0006】
使用中、被覆研磨材の温度は、典型的には摩擦熱のゆえに上昇する。こうした熱は、バッキングが処理されているか、処理されていないかを問わず研磨層がバッキングから分離するなどの問題につながる場合がある。被覆研磨物品に含めることが可能であるとともに研磨層に対して良好な粘着性を有する処理済みバッキングを有することが望ましいであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む硬化性組成物を提供する。
【0008】
本発明による組成物は、例えばバッキングおよび被覆研磨物品の製造において有用である。
【0009】
一態様において、本発明は、少なくともその一部に接触する組成物を有する布地を含む処理済みバッキングであって、前記組成物が
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む成分の反応生成物を含む処理済みバッキングを提供する。
【0010】
一態様において、本発明は、布地の少なくとも一部を硬化性組成物に接触させることを含む処理済みバッキングを製造する方法であって、前記硬化性組成物が
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む成分から調製可能である方法を提供する。
【0011】
一態様において、本発明は、バッキングと研磨粒子および少なくとも1種の結合剤を含む研磨層とを含む被覆研磨物品であって、前記結合剤が
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む成分の反応生成物を含む被覆研磨物品を提供する。
【0012】
一態様において、本発明は、プレサイズ層、含浸剤、サブサイズ、バックサイズ層、または結合剤を含む繋ぎ層の少なくとも1層を更に含むバッキングおよび研磨層を含む被覆研磨物品であって、前記結合剤が
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む成分の反応生成物である被覆研磨物品を提供する。
【0013】
一態様において、本発明は、ワークピースを研磨する方法であって、
本発明による被覆研磨物品を提供する工程と、
研磨層の少なくとも一部を前記ワークピースの表面の少なくとも一部に摩擦接触させる工程と、
前記被覆研磨物品またはワークピースの少なくとも一方を他方に対して動かして、前記表面の少なくとも一部を研磨する工程と、
を含むワークピースを研磨する方法を含む、方法を提供する。
【0014】
本発明のこれらの態様および他の態様は以下の詳細な説明から明らかであろう。しかし、上の発明の開示は請求された主題に関する限界と決して解釈されるべきでなく、その主題は、審査中に補正してもよいような添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0015】
本明細書において用いられる時、
「(メタ)アクリレート」という用語はアクリルとメタクリルの両方を含み、物質を「本質的に含まない」任意の組成物は、組成物の全重量%を基準にして1重量%未満の当該物品を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一態様による硬化性組成物は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%、多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%、ジシアンジアミド1〜15重量%、光開始剤0.1〜10重量%およびエポキシ硬化触媒2重量%以下を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む。
【0017】
本発明による組成物は、成分a)〜e)の全重量を基準にしてエピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50、55、60または65重量%から、70以下、75以下、80以下、85以下または90重量%以下さえも含む。典型的には、こうした樹脂は2個の平均エポキシ官能基を有する。但し、より多い官能基およびより少ない官能基も有用な場合がある。
【0018】
エポキシ樹脂は液体または固体であってもよい。液体であろうと固体であろうと、エポキシ樹脂は、本発明による組成物に可溶性であるように選択してもよい。場合によって、本発明による組成物を加熱するのはエポキシ樹脂の溶解を促進する場合がある。
【0019】
有用なエポキシ樹脂の例には、ビスフェノールAまたはビスフェノールFとエピクロロヒドリンの反応によって形成されるエポキシ樹脂、およびこうした樹脂の混合物が挙げられる。例には、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン誘導エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(当該技術分野において、一般にDGEBAと呼ばれる)およびビスフェノールFジグリシジルエーテルならびに「エポン(EPON)」(例えば、「エポンレジン(EPON RESIN)」825、「エポンレジン(EPON RESIN)」828、「エポンレジン(EPON RESIN)」1001F、「エポンレジン(EPON RESIN)」1002F、「エポンレジン(EPON RESIN)」1004F、「エポンレジン(EPON RESIN)」1009Fおよび「エポンレジン(EPON RESIN)」2003)という商品名を有するテキサス州ヒューストンのレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products(Houston,TX))によって市販されているエポキシ樹脂ならびにD.E.R.(例えば、D.E.R.331、D.E.R.332、D.E.R.351、D.E.R.352、D.E.R.354およびD.E.R.356)という商品名を有するミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル(Dow Chemical Conpany(Midland,MI))によって販売されている多くのエポキシ樹脂が挙げられる。
【0020】
本発明による組成物は、成分a)〜e)の全重量を基準にして多官能性(メタ)アクリレート1、5または10重量%から、12以下、15以下、18以下または20重量%以下さえも含む。多官能性(メタ)アクリレートは、少なくとも2個、例えば少なくとも3、4または5個さえものアクリレート官能基を有し、異なる(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー、および/または(メタ)アクリレートポリマーのブレンドであってもよい。
【0021】
様々な(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマーおよび(メタ)アクリレートポリマーは、例えば、ペンシルバニア州エクストンのサートマー(Sartomer Company(Exton,PA))およびジョージア州スミルナのUCBラドキュア(UCB Radcure(Smyrna,GA))などの供給業者から容易に商業的に入手できる。例証的なアクリレートモノマーには、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
有用な例証的なアクリレートオリゴマーには、アクリレート化エポキシオリゴマー(例えば、「エベクリル(EBECRYL)」3500、「エベクリル(EBECRYL)」3600、「エベクリル(EBECRYL)」3720および「エベクリル(EBECRYL)」3700という商品名でUCBラドキュア(UCB Radcure)によって販売されているものなどの、例えばビスフェノールA系エポキシアクリレートオリゴマー)、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、「エベクリル(EBECRYL)」8402という商品名でUCBラドキュア(UCB Radcur)によって販売されているもの)、芳香族ウレタンアクリレートオリゴマー、およびアクリレート化ポリエステル(例えば、「エベクリル(EBECRYL)」870という商品名でUCBラドキュア(UCB Radcure)によって販売されているもの)が挙げられる。さらなる有用な多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーには、例えば「SR259」という商品名でサートマー(Sartomer Company)によって販売されているようなポリエチレングリコール200ジアクリレートおよび例えば「SR344」という商品名でサートマー(Sartomer Company)によって販売されているようなポリエチレングリコール400ジアクリレートなどのポリエーテルオリゴマーが挙げられる。
【0023】
本発明による硬化性組成物は、組成物を硬化させるために有効量のジシアンジアミドを含む。例えば、硬化性組成物は、成分a)〜e)の全重量を基準にして1、2または5重量%から、10以下、15以下または20重量%以下でさえあるジシアンジアミドを含んでもよい。ジシアンジアミドは、例えば、「アミキュア(AMICURE)」CG−1200および「アミキュア(AMICURE)」CG−1400という商品名でペンシルバニア州アレンタウンのエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(Air Products and Chemicals(Allentown,PA))によって販売されているように商業的に広く入手できる。
【0024】
本発明による組成物は組成物を硬化させるために有効量の光開始剤を含む。例えば、硬化性組成物は、成分a)〜e)の全重量を基準にして0.1、1または3重量%から、5以下、7以下または10重量%以上でさえある光開始剤を含んでもよい。
【0025】
光開始剤は、単一の光開始剤あるいは2種以上の光開始剤の組み合わせであってもよい。本発明の実施技術において有用な光開始剤には、ラジカル多官能性(メタ)アクリレートを光硬化させるために有用として知られている光開始剤が挙げられる。例証的な光開始剤には、ベンゾインおよびα−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−ベンジルベンゾインなどのベンゾイン誘導体、ベンジルジメチルケタール(例えば、「イルガキュア(IRGACURE)」651という商品名でニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY))から入手できる)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテルなどのベンゾインエーテル、アセトフェノンおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン(例えば、「ダロキュア(DAROCUR)1173」という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から入手できる)および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、「イルガキュア(IRGACURE)184」という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から入手できる)などのアセトフェノン誘導体、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパン(例えば、「イルガキュア(IRGACURE)907」という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から入手できる)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(例えば、「イルガキュア(IRGACURE)369」という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から入手できる)が挙げられる。
【0026】
有用な他の光開始剤には、ピバロインエチルエーテル、アニソインエチルエーテル;、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−メトキシアントラキノンおよびベンズアントラキノンハロメチルトリアジンなどのアントラキノン、ベンゾフェノンおよびその誘導体、上述したようなヨードニウム塩およびスルホニウム塩、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウム(「CGI784DC」という商品名でこれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から得られるもの)などのチタニウム錯体、4−ブロモメチルニトロベンゼンなどのハロメチルニトロベンゼン、モノ−およびビス−アシルホスフィン(例えば、「イルガキュア(IRGACURE)1700」、「イルガキュア(IRGACURE)1800」、「イルガキュア(IRGACURE)1850」および「ダロキュア(DAROCURE)4625」という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から入手できる)が挙げられる。
【0027】
場合によって、本発明による組成物中にエポキシ硬化触媒を含めることが有用である場合がある。エポキシ硬化触媒は周知されており、例えば、2−エチルイミダゾールおよび2−エチル−4−メチルイミダゾール(例えば、「イミキュア(IMICURE)EMEI−2,4」という商品名でペンシルバニア州アレンタウンのエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(Air Products and Chemicals(Allentown,PA))によって販売されているもの)、および2−プロピルイミダゾール(例えば、「アクチロン(ACTIRON)NXJ−60」という商品名でノースカロライナ州モルガントンのシントロン(Synthron(Morganton,NC))によって販売されているもの)などのイミダゾール、例えば、「オミキュア(OMICURE)BC−120」という商品名でニュージャージー州メープルシェードのCVCスペシャルティ・ケミカルズ(CVC Specialty Chemicals(Maple Shade,NJ))によって販売されているBF・ジエチルアミン錯体およびBCl・アミン錯体を含む三弗化硼素錯体および三塩化硼素錯体などのルイス酸錯体が挙げられる。
【0028】
他の既知のエポキシ硬化触媒には、例えば、ジメチルプロピルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンおよびジメチルベンジルアミンを含む脂肪族および芳香族の第三アミンが挙げられる。
【0029】
エポキシ硬化触媒を含める場合、エポキシ硬化触媒の量は、典型的には、成分a)〜e)の全重量を基準にして0.5〜2重量%の量である。
【0030】
本発明による組成物は任意に1種以上のエポキシ化強化剤を含んでもよい。エポキシ化強化剤を含める場合、こうしたエポキシ化強化剤は、10以下、20以下または30%あるいは遙かに多い量であってもよい。有用なエポキシ化強化剤には、例えば、エポキシ化ゴム(例えば、「ヒポックス(HYPOX)RA1340」という商品名でCVCスペシャルティ・ケミカルズ(CVC Specialty Chemicals)によって販売されているもの)、ウレタンゴム変性エポキシ樹脂(例えば、「パシフィック6246フレキシブル・エポキシレジン(PACIFIC6246FLEXIBLE EPOXY RESIN)」または「パシフィック6246フレキシブル・エポキシレジンHV(PACIFIC6246FLEXIBLE EPOXY RESIN HV)」という商品名でミズーリ州リッチモンドのパシフィック・エポキシ・ポリマーズ(Pacific Epoxy Polymers(Richmond,MO))によって販売されているもの)およびエポキシ化ポリブタジエン(例えば、「オキシロン(OXIRON)」2001という商品名でペンシルバニア州フィラデルフィアのFMCコーポレーション(FMC Corporation(Philadelphia,PA))によって、または「ポリBD(POLY BD)600E」および「ポリBD(POLY BD)605E」という商品名でペンシルバニア州フィラデルフィアのアトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals(Philadelphia,PA))によって販売されているもの)が挙げられる。
【0031】
本発明による組成物は、任意に、硬化性組成物の全重量を基準にして5以下、10以下、15以下、20以下または25重量%以上さえもの1種以上のノボラックフェノール樹脂を含んでもよい。
【0032】
典型的には、ノボラック樹脂は、酸触媒の存在下でフェノールモノマー(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ナフトールまたはそれらの組み合わせ)をアルデヒドと反応させることにより製造される。アルデヒド対フェノールのモル比は1未満である。ノボラックを調製するために用いられるアルデヒドの例には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、グリオキサールおよびフルフラールが挙げられる。典型的には、これらのノボラック樹脂は、300〜1,500の範囲の分子量を有する。但し、より高い分子量およびより低い分子量も有用な場合がある。更に、出発フェノールモノマーは、ノボラックを形成させるために少なくとも2個の反応サイトが残る限り、アルキル、アルコキシ、カルボキシおよびスルホなどの種々の基で置換されることが可能である。
【0033】
多くのノボラックフェノール樹脂は、例えば、ジョージア州アトランタのジョージア・パシフィック・レジンズ(Georgia Pacific Resins(Atlanta,GO))(例えば、「GP2074」、「GP5300」、「GP5833」、「レジフレーク(RESI−FLAKE)GP−2049」、「レジフレーク(RESI−FLAKE)GP−2050」または「レジフレーク(RESI−FLAKE)GP−2211」という商品名で販売されている)、ドイツ国フリーレンドルフのベークライト(Bakelite,AG(Frielendorf,Germany))(例えば、「ルタフェン(RUTAPHEN)8656F」という商品名で販売されている)、ボーデン・ケミカル(Borden Chemical,Inc.)(例えば、「ドライト(DURITE)423A」または「ドライト(DURITE)SD1731」という商品名で販売されている)を含む商業供給業者から容易に入手できる。ノボラック樹脂が典型的には有用である一方で、レゾールフェノール樹脂は、本発明による硬化性組成物の硬化を妨げる傾向がある場合があり、それを含める場合、慎重に用いられるべきである。
【0034】
本発明による硬化性組成物は、任意の二反応性重合性成分、例えば、少なくとも1個のラジカル重合性基および少なくとも1個のカチオン重合性基を有する化合物を更に含んでもよい。二反応性化合物は、例えば、少なくとも1個のエチレン系不飽和基を1個以上のエポキシ基を既に含んでいる化合物に導入するか、または逆に、少なくとも1個のエポキシ基を1個以上のエチレン系不飽和基を既に含む化合物に導入することにより製造することが可能である。
【0035】
本発明による硬化性組成物は、例えば、充填剤、増粘剤、強化剤、研磨助剤、顔料、繊維、粘着性付与剤、潤滑剤、湿潤剤、界面活性剤、消泡剤、染料、カップリング剤、可塑剤および懸濁剤などの様々な添加剤を含んでもよい。
【0036】
有利には、幾つかの実施形態において、本発明による硬化性組成物は低粘度(例えば250ミリパスカル秒未満)で配合することが可能である。低粘度は、多くの一般的な塗布技術のために有用である。しかし、場合によって、それは硬化中にバッキング(例えばプレサイズ)の内部への塗料の好ましくない拡散につながりうる。こうした場合、硬化性組成物は、熱エネルギーに供する前に化学線を照射することにより被覆後に増粘してもよい。
【0037】
例えばバッキング処理剤のように低粘度が望ましい用途において、本発明による硬化性組成物は、溶解した熱可塑性ポリマー(例えば、5000以上の重量平均分子量を有する熱可塑性ポリマー)を本質的に含まなくてよく、そのような材料は非常に粘度を上げる傾向があるため、塗布プロセスを難しくする場合がある(例えば、多孔質バッキングを含浸させる)。
【0038】
本発明による硬化性組成物は、例えば、(例えば、軟質ゴムロールを用いる)ロール塗布、噴霧、転写塗布、浸漬塗布、スクリーン印刷、グラビア塗布、カーテン塗布、バー塗布、ナイフ塗布またはダイ塗布などの従来の方法を用いて様々な基材に被着させてもよい。硬化性組成物は、均一方式または模様付き方式で基材に被着させてもよく、連続または不連続であってもよい。
【0039】
固体成分を含む硬化性組成物を用いる場合、こうした組成物は、例えば、材料の少なくとも幾つかを攪拌しつつ効率的に混合して、成分の熱劣化なしに硬化性組成物を形成させるように材料の少なくとも幾つかを液化させるのに十分な例えば100℃より低い高温で適する容器内で硬化性組成物の種々の材料の一部または全部を混合することにより調製してもよい。
【0040】
硬化性組成物は、熱エネルギーに供するか、化学線を照射するか、またはより典型的にはそれらの組み合わせにより硬化させてもよい。こうした場合、硬化性組成物の硬化は、典型的には硬化性組成物に適切な化学線源(例えば、紫外線、可視光線または粒子線)を照射すると始まり、その後の期間にわたって続く場合がある。
【0041】
熱エネルギーの有用な形態には、例えば、熱および赤外線が挙げられる。例証的な熱エネルギー源には、オーブン、加熱ロール、ホットエアブロア、赤外線ランプおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
化学線源の選択は、典型的には、意図した処理条件に応じて、および光開始剤を適切に活性化するために選択される。例証的な有用な紫外線源および可視光線源には、水銀、キセノン、炭素アーク、タングステンフィラメントランプおよび日光が挙げられる。特に中圧水銀アークランプまたはメリーランド州ガイザースバーグのフュージョンUVシステムズ(Fusion UV Systems(Gaithersburg,MD))から市販されているランプなどの高周波誘導H型、D型またはV型水銀ランプからの紫外線は特に望ましい。
【0043】
化学線のための照射時間は、典型的には、含まれる反応性成分の量とタイプ、エネルギー源、ウェブ速度、エネルギー源からの距離および硬化させるべきメーク層の厚さに応じて、例えば平方センチメートル当たり0.1〜10ジュール(J/cm)の全エネルギー照射を提供する0.01秒未満から1分以上の範囲である。例えば、化学線に付随する熱エネルギーを減らすために、フィルタおよび/または二色リフレクタも有用である。
【0044】
電子ビーム線を用いる場合、必要な線量は、一般に1メガラド未満〜100メガラド以上である。
【0045】
一態様において、本発明による硬化性組成物は、例えば、被覆研磨物品の製造において処理済みバッキングとして用いるための布地に被着させてもよい。こうした処理済みバッキングは、典型的には、本発明による硬化性組成物を布地の少なくとも一部に被着させ、硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させることにより調製される。例えば、布地が対向する2つの主面を有する場合、硬化性組成物は主面の一方のみと接触するような方式で、または両方の主面に接触するような方式(例えば、硬化性組成物を布地に含浸させるか、または布地の各主面に硬化性組成物を被着させるか、あるいは両方によって)で被着させてもよい。
【0046】
有用な布地には、例えば、不織(例えば、ニードルタック、メルトスパン、スパンボンド、水中交絡、またはメルトブローン不織布)、編み、スティッチボンドおよび織布(例えば、織物)が挙げられる。
【0047】
有用な布地は、天然繊維、合成繊維または天然繊維と合成繊維のブレンドを問わず、既知のいかなる繊維からも製造することが可能である。有用な繊維材料の例には、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、ヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム)、ポリプロピレン、アクリル(アクリロニトリルのポリマーから形成される)、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、グラファイト、ポリイミド、シルク、コットン、リネン、ジュートまたはレーヨンを含む繊維またはヤーンが挙げられる。本発明による処理済みバッキングは硬質または軟質であってもよい。布地は、意図する用途に応じていかなる厚さも有してよい。布地に被着される硬化性組成物の量は、再び特定の用途に応じていかなる量であってもよい。
【0048】
有用な繊維は、バージン材料の繊維、あるいは例えば被服裁断、カーペット製造、繊維製造または織物加工から再生されたリサイクル材料または廃棄材料の繊維であってもよい。有用な繊維は、均質または二成分繊維(コ−スパンさや−芯繊維)などの複合であってもよい。繊維は伸張してもよく、捲縮してもよいが、押出プロセスによって形成されたフィラメントなどの連続フィラメントであってもよい。
【0049】
本発明による硬化性組成物および処理済みバッキングは、被覆研磨物品を製造する際にも有用である。ここで、本発明による硬化性組成物および処理済みバッキングは研磨層とバッキングとの間に良好な粘着性を提供しうる。
【0050】
こうした1つの被覆研磨物品は図1に例示されている。ここで図1を参照すると、例証的な被覆研磨物品100はバッキング112を含む。バッキング112は、任意に含浸剤111で含浸されていてもよい。更に、バッキング112は、任意のバックサイズ層113および/または任意のプレサイズ層115で処理してもよい。バッキング112が多孔質である場合、バックサイズ層113およびプレサイズ層115はバッキングに浸透し、場合によってバッキングの多孔質内部内で互いに接触さえしうる。埋め込み研磨グリット118と、メーク層116および研磨グリット118の上にあるサイズ層117が中にあるメーク層116を含む研磨層114はプレサイズ層115の上にある。任意に、スーパーサイズ層119はサイズ層117の上にある。
【0051】
本発明によるもう1つの例証的な被覆研磨物品は図2である。ここで図2を参照すると、被覆研磨物品200はバッキング212を含む。バッキング212は、任意に含浸剤211で含浸されていてもよい。更に、バッキング212は、任意のバックサイズ層213および/または任意のプレサイズ層215で処理してもよい。バッキング212が多孔質である場合、バックサイズ層213およびプレサイズ層215はバッキングに浸透し、場合によってバッキングの多孔質内部内で互いに接触さえしうる。結合剤209全体を通して分配された複数の研磨グリット218を含む研磨層214はプレサイズ層215の上にある。
【0052】
本発明による硬化性組成物の反応生成物を含む結合剤は、例えば、含浸剤、サブサイズ、プレサイズ層、バックサイズ層の1つ以上として用いてもよい。これらの材料の目的は、典型的には、バッキングをシールし、バッキング中のヤーンまたは繊維を保護し、および/またはバッキングへの他の層の粘着性を促進することである。バッキングが布地である場合、これらの材料の少なくとも1種が典型的に用いられる。プレサイズ層またはバックサイズ層の添加は、バッキングの前側および/または裏側のいずれかの上に「より滑らかな」表面を更にもたらしうる。
【0053】
本発明による硬化性組成物の反応生成物を含む結合剤のバッキングへの良好な粘着性は繋ぎ層としても、または研磨層中で用いるためにも結合剤を適させる。例えば、本発明による硬化性組成物は、メークコートまたはスラリーコートとしてバッキング上に被着させてもよく、その後、製造プロセスの適切な点で少なくとも部分的に硬化させて、中に分配された研磨粒子を有するメーク層または結合剤を形成させてもよい。
【0054】
被覆研磨物品中で用いるために、バッキングの厚さは、一般には0.02〜5ミリメートル、例えば0.05〜2.5ミリメートルまたは0.1〜1ミリメートルの範囲である。但し、これらの範囲外の厚さも有用な場合がある。
【0055】
上述した処理済みバッキングを製造するために用いられる布地に加えて、被覆研磨物品の製造のために有用なバッキングには、ポリオレフィンフィルム(例えば、二軸配向ポリプロピレンを含むポリプロピレン、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、セルロースエステルフィルム)などの高分子フィルム(下塗りフィルムを含む)、金属フォイル、メッシュ、発泡体(例えば、天然スポンジ材料またはポリウレタン発泡体)、紙、被覆紙、加硫紙、加硫繊維およびそれらの組み合わせなどの軟質バッキング、ならびに例えば金属板またはセラミック板などの硬質バッキングが挙げられる。適する硬質バッキングのもう1つの例は、例えば米国特許第5,417,726号明細書(スタウト(Stout)ら)に記載されている。
【0056】
バッキングは、2種の材料の貼合せ体(例えば、紙/フィルム、織物/紙またはフィルム/織物)であってもよい。バッキングは、例えば米国特許第5,417,726号明細書(スタウト(Stout)ら)に記載されているような繊維状強化熱可塑性樹脂、または例えば米国特許第5,573,619号明細書(ベネディクト(Benedict)ら)に記載されているエンドレススライスレスベルトであってもよい。
【0057】
バッキングは、例えば米国特許第5,505,747号明細書(チェスレー(chesley)ら)に記載されている突出フッキングステムを有する高分子基材または米国特許第5,565,011号明細書(フォレット(Follett)ら)に記載されているものなどのループファブリックであってもよい。
【0058】
バッキング材料の選択は、被覆研磨物品の意図した用途に応じて異なってもよい。バッキングの厚さおよび平滑度も被覆研磨物品の所望の厚さおよび平滑度を提供するために適していなければならない。被覆研磨物品のこうした特性は、例えば、被覆研磨物品の意図した用途または使用に応じて異なってもよい。
【0059】
帯電防止材料は、これらのバッキング処理材料のいずれかの中に含めてもよい。帯電防止材料の添加は、木材または木材様材料をサンダー仕上げする時に静電気を蓄積させる被覆研磨物品の傾向を減少させることが可能である。帯電防止バッキングに関する追加の詳細は、例えば、米国特許第5,108,463号明細書(ブキャナン(Buchanan)ら)、同第5,137,542号明細書(ブキャナン(Buchanan)ら)、同第5,328,716号明細書(ブキャナン(Buchanan)ら)および同第5,560,753号明細書(ブキャナン(Buchanan)ら)において見ることができる。
【0060】
場合によって、得られる被覆研磨物品をバックアップパッドに固定することができるように、被覆研磨物品の裏側上に感圧接着剤を導入することが望ましい場合がある。例証的な感圧接着剤には、ラテックスクレープ、ロジン、アクリルポリマーおよびポリアクリレートエステルを含むコポリマー(例えば、ポリ(ブチルアクリレート)、ビニルエーテル(例えば、ポリ(ビニルn−ブチルエーテル)、アルキッド接着剤、ゴム接着剤(例えば、天然ゴム、合成ゴム、塩素化ゴム)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
バッキングへの結合剤樹脂の粘着性を促進するために、バッキングの1つ以上の表面は、コロナ放電、紫外線照射、電子ビーム照射、火炎放電および/またはスカッフィングを含む既知の方法によって改質してもよい。
【0062】
研磨粒子およびメーク、サイズおよび任意のスーパーサイズ層を含む被覆研磨物品に関する詳細は周知されており、例えば、米国特許第4,734,104号明細書(ブロバーグ(Broberg)、同第4,737,163号明細書(ラーケイ(Larkey)、同第5,203,884号明細書(ブキャナン(Buchanan)ら)、同第5,152,917号明細書(ピエルパー(Pierper)ら)、同第5,378,251号明細書(キュラー(Culler)ら)、同第5,417,726号明細書(スタウト(Stout)ら)、同第5,436,063号明細書(フォレット(Follett)ら)、同第5,496,386号明細書(ブロバーグ(Broberg)ら)、同第5,609,706号明細書(ベネディクト(Benedict)ら)、同第5,520,711号明細書(ヘルミン(Helmin))、同第5,954,844号明細書(ロー(Law)ら)、同第5,961,674号明細書(ガグリアルディ(Gagliardi)ら)、同第4,751,138号明細書(バンゲ(Bange)ら)、同第5,766,277号明細書(デヴォー(DeVoe)ら)、同第6,077,601号明細書(デヴォー(DeVoe)ら)、同第6,228,133号明細書(サーバー(Thurber)ら)および同第5,975,988号明細書(クロスチャンソン(Christianson))に記載されている。
【0063】
用いられるメーク層の坪量は、例えば、意図する用途、研磨材のタイプ、製造される被覆研磨物品の性質に応じて異なってもよいが、一般には1、2または5から20、25、400または600グラム/平方メートル(すなわちg/m)でさえある範囲内である。メーク層は、例えば、ロール塗布、押出ダイ塗布、カーテン塗布、ナイフ塗布、グラビア塗布およびスプレー塗布を含むバッキングにメーク層を被着させる既知のいかなる塗布方法によっても被着させてよい。
【0064】
メーク層をバッキングに被着させた後、且つメーク層の固化(例えば硬化による)前に、研磨粒子はメーク層上に沈着させる。
【0065】
例証的な有用な研磨粒子には、酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム(1種以上の金属酸化物変性剤および/または種剤または核剤を含んでもよい)、熱処理酸化アルミニウムなどの融合酸化アルミニウム系材料、炭化珪素、共融合アルミナ−ジルコニア、ダイヤモンド、セリア、二硼化チタン、立方晶窒化硼素、炭化硼素、ガーネット、フリント、エメリー、ゾルゲル誘導研磨粒子、およびそれらのブレンドが挙げられる。ゾルゲル研磨粒子の例には、米国特許第4,314,827号明細書(レイセイサー(Leitheiser)ら)、同第4,518,397号明細書(レイセイサー(Leitheiser)ら)、同第4,623,364号明細書(コッティンガ(Cottinger)ら)、同第4,744,802号明細書(シュワベル(Schwabel))、同第4,770.671号明細書(モンロー(Monroe)ら)、同第4,881,951号明細書(ウッド(Wood)ら)、同第5,011,508号明細書(ワルド(Wald)ら)、同第5,090,968号明細書(ペロー(Pellow))、同第5,139,978号明細書(ウッド(Wood))、同第5,201,916号明細書(ベルグ(Berg)ら)、同第5,227,104号明細書(バウアー(Bauer))、同第5,366,523号明細書(ローエンホースト(Rowenhorst)ら)、同第5,429,647号明細書(ラーミー(Larmie))、同第5,498,269号明細書(ラーミー(Larmie))および同第5,551,963号明細書(ラーミー(Larmie))に記載されたものが挙げられる。研磨粒子は、例えば、個々の粒子、凝集物、研磨複合粒子およびそれらの混合物の形態を取ってもよい。
【0066】
例証的な凝集物は、例えば、米国特許第4,652,275号明細書(ブロエチャ(Bloecher)ら)および同第4,799,939号明細書(ブロエチャ(Bloecher)ら)に記載されている。例えば米国特許第5,078,753号明細書(ブローベルグ(Broberg)ら)に記載された希釈侵食性凝集物粒子を用いることも本発明の範囲内である。この特許の開示は本明細書に引用して援用する。研磨複合粒子は結合剤中に研磨粒子を含む。
【0067】
例証的な研磨複合粒子は、例えば米国特許第5,549,962号明細書(ホームズ(Holmes)ら)に記載されている。
【0068】
研磨粒子のための塗布量は、例えば、必要とされる特定の被覆研磨物品、研磨物品を被着させるプロセス、および研磨粒子のサイズに応じて異なってもよいが、典型的には1〜2000g/cmの範囲である。
【0069】
サイズ層の坪量も、意図する用途、研磨粒子のタイプ、製造される被覆研磨物品の性質に応じて異なってもよいが、一般には1または5g/cmから300または800g/m以上でさえある範囲内である。サイズ層は、例えば、ロール塗布、押出ダイ塗布、カーテン塗布およびスプレー塗布を含むバッキングにサイズ層を被着させる既知のいかなる塗布方法によっても被着させてよい。
【0070】
本発明による被覆研磨物品の幾つかの実施形態において、研磨層は研磨粒子および本発明による硬化性組成物の反応生成物である結合剤の分散液を含む(典型的にはスラリーとして被覆される)。スラリー塗布技術は研磨材技術上周知されており、米国特許第5,378,251号明細書(キュラー(Culler)ら)、同第5,942,015号明細書(キュラー(Culler)ら)および同第6,277,160号明細書(スタッブス(Stubbs)ら)に記載された技術が挙げられる。
【0071】
本発明による被覆研磨物品は、例えば、ベルト、テープ、ロール、ディスク(穴付きディスクを含む)および/またはシートに加工することが可能である。ベルト用途のために、研磨シートの2つの自由端は既知の方法を用いて互いに接続して継目付きベルトを形成してもよい。継目付きベルトは、米国特許第5,573,619号明細書(ベネディクト(Benedict)ら)に記載されたように形成してもよい。
【0072】
本発明による被覆研磨物品はワークピースを研磨するために有用である。1つのこうした方法には、被覆研磨物品の研磨層の少なくとも一部をワークピースの表面の少なくとも一部に摩擦接触させる工程と、被覆研磨物品またはワークピースの少なくとも一方を他方に対して動かして、表面の少なくとも一部を研磨する工程と、を含む。
【0073】
ワークピース材料の例には、金属、金属合金、外来金属合金、セラミック、ガラス、木材、木材様材料、複合材、塗装済み表面、プラスチック、強化プラスチック、石、および/またはそれらの組み合わせが挙げられる。ワークピースは平坦であってもよいか、または形状または形状に付随した地形線を有してもよい。例証的なワークピースには、金属部品、プラスチック部品、パーティクルボード、カムシャフト、クランクシャフト、ファーニチャーおよびタービンブレードが挙げられる。
【0074】
本発明による被覆研磨物品は手によって用いてよい、および/または機械と組み合わせて用いてもよい。被覆研磨物品とワークピースの少なくとも一方または両方は、研磨する時に一般に他方に対して動く。
【0075】
研磨は湿り条件下または乾燥条件下で行ってもよい。湿り研磨のための例証的な液体には、水、従来の錆抑制化合物を含む水、潤滑剤、油、石鹸および切削液が挙げられる。液体は、脱泡剤、脱脂剤および/または類似物を含んでもよい。
【0076】
本発明の目的および利点を以下の非限定的な実施例によって更に例示するが、これらの実施例で挙げた特定の材料およびその量、ならびに他の条件、および詳細は本発明を不当に限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0077】
特に注記がないかぎり、以下の実施例で報告されたすべての部、百分率および比は重量基準である。実施例で用いられたすべての試薬は購入したか、またはミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich Chemical Company(Saint Louis,MO))などの一般化学品供給業者から入手できるか、あるいは従来の技術によって合成してもよい。
【0078】
以下の略語を以下の実施例で用いる。
「ACRI」:トリメチロールプロパントリアクリレート、「TMPTA−N」という商品名でユーシービー・ラドキュア(UCB Radcure)から得られる。
「ACR2」:アクリレート化二官能性エポキシ樹脂、「エベクリル(EBECRYL)」3720という商品名でユーシービー・ラドキュア(UCB Radcure)から得られる。
「ACR3」:アクリレート化二官能性ポリエステル、「エベクリル(EBECRYL)」870という商品名でユーシービー・ラドキュア(UCB Radcure)から得られる。
「ACR4」:アクリレート化脂肪族ウレタン、「エベクリル(EBECRYL)」8402という商品名でユーシービー・ラドキュア(UCB Radcure)から得られる。
「ADHCUR1」:変性脂肪族アミン、「アナカミンADキュアリングエージェント(ANACAMINE AD CURING AGENT)」という商品名でエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(Air Products and Chemicals)から得られる。
「ADHCUR2」:脂環式ジアミン、「PACM」という商品名でエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(Air Products and Chemicals)から得られる。
「ALO」:ANSIグレード36酸化アルミニウム研磨鉱物、「ドラルムG52ブラウンアルミナムオキシドグレード36(DURALUM G52 BROWN ALUMINUM OXIDE GRADE36)という商品名でニューヨーク州ナイアガラフォールのワシントン・ミル・エレクトロ・ミネラルズ・コーポレーション(Niagara Falls,NY)」から得られる。
「AZ」:ANSIグレード50酸化アルミニウム/酸化ジルコニウム共融ブレンド、「ノルゾン(NORZON)」という商品名でマサチューセッツ州ウィスターのサンゴバン・アブレーシブズ(Saint−Gobain Abrasives(Worcester,MA))から得られる。
「CTBN」:アクリロニトリルブタジエンコポリマー(M=3500、アクリロニトリル18%)、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ(Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI))から得られる。
「CUR1」:2−プロピルイミダゾール、「アクチロンNXJ−60リクイッド(ACTIRON NXJ−60LIQUID)」という商品名でノースカロライナ州モーガントンのシントロン(Synthron(Morganton,NC))から得られる。
「CUR2」:ジメチルベンジルアミン、「デスモラピッド(DESMORAPID)」という商品名でペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル・コーポレーション(Bayer Corporation(Pittburgh,PA))から得られる。
「DICY」:ジシアンジアミド(10マイクロメートル未満の平均粒子サイズを有する)、「アミキュア(AMICURE)CG−1400」という商品名でエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(Air Products and Chemicals)から得られる。
「EMI」:2−エチル−4−メチルイミダゾール、「イミキュア(IMICURE)2,4EMI」という商品名でエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(Air Products and Chemicals)から得られる。
「EPI」:ビスフェノールAエポキシ官能性材料、「エポン(EPON)828」という商品名でテキサス州ヒューストンのレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products(Houston,TX))から得られる。
「ETA1」:エポキシ化ゴム、「ヒポックス(HYPOX)RA1340」という商品名でCVCスペシャルティ・ケミカルズ(CVC Specialty Chemicals)から得られる。
「ETA2」:エポキシ化ポリウレタン、「パシフィック6246フレキシブル・エポキシレジン(PACIFIC6246FLEXIBLE EPOXY RESIN)」という商品名でミズーリ州リッチモンドのパシフィック・エポキシ・ポリマーズ(Pacific Epoxy Polymers(Richmond,MI))から得られる。
「FIL1」:炭酸カルシウム、「Q325」という商品名でジョージア州アトランタのJ.M.フーバー・コーポレーション(J.M.Huber Corporation(Atlanta,GA))から得られる。
「FIL2」:クリオライト、「RTNクリオライト(RTN CRYOLITE)」という商品名でテキサス州ヒューストンのTRインターナショナル・トレーディング・カンパニー(TR International Trading Company(Houston,TX))から得られる。
「HHPA」:ヘキサヒドロフタル酸無水物、ニューヨーク州バッファローのバッファロー・カラー・コーポレーション(Buffalo Color Corporation,(Buffalo,NY))から得られる。
[HMA]:ポリアミドホットメルト接着剤、「ジェット・メルト・ブランド・アドヘシブ(JET MELT BRAND ADHESIVE)」PG3779という商品名でミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company(Saint Paul,MN))から得られる。
「NOV1」:ノボラック樹脂、「ルタフェン(RUTAPHEN)」8656Fという商品名でドイツ国フリーレンドルフのベークライト(Bakelite AG(Frielendorf,Germany))から得られる。
「PI1」:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ニューヨーク州ホーソンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals(Hawthorne,NY))から得られる。
「RIO」:赤鉄酸化物顔料、「クロマ(KROMA)RO−3097」という商品名でイリノイ州イーストセントルイスのエレメンチス(Elementis,East Saint Louis,IL))から得られる。
【0079】
以下の試験方法を以下の実施例において用いた。
【0080】
スイングアーム試験
パーツ番号05114145192として3Mカンパニー(3M Company)から市販されている20.3cmの円形バックアッププレートに評価しようとする研磨ディスクを取り付けた。その後、「スイング・アーム・テスター(SWING ARM TESTER)という商品名でミネソタ州センタービルのリール・マニュファクチャリング(Reel Manufacturing(Centerville,MN))から得られる試験装置に金属スクリューファスナーを用いてバックアッププレートを固定した。厚さ1.897mmの4130スチール(C0.28〜0.33重量%、Si0.20〜0.35重量%、Mn0.40〜60重量%、Cr0.80〜1.10重量%、P0.025重量%最大、Mo0.15〜0.25重量%、S0.025重量%最大を含む合金鋼)円筒状ワークピース(直径30.5cm×厚さ1.897mm)を秤量し、金属ファスナーにより試験装置に固定した。各試験中、スチールワークピースを39.2ニュートンの力で研磨物品ディスクに被着させた。研磨物品ディスクを3500回転/分(rpm)で回転させ、ワークピースを2rpmで回転させつつワークピースを7度の角度で2分にわたりディスクに相対して置いた。除去された(トータルカット)スチールの量および各研磨ディスクの重量損失(すなわちシェリング)を記録した。
【0081】
ストリップバック試験
17.8cm×7.6cm×厚さ6mmの木製ボードを従来型積層用接着剤1および従来型積層用接着剤2から選択された積層用組成物で被覆した。
【0082】
従来型積層用接着剤1を用いた場合、接着剤1をホットメルト接着剤グルーガンを用いて分配した。試験しようとする被覆研磨材の25cm×8cm細片の15cm区画を研磨材側が積層用組成物に面した状態で溶融積層用組成物上に部分的に載せた。その後、研磨細片を所定の位置にプレスし、その後、アセンブリーを25℃に冷却した。
【0083】
従来型積層用接着剤2を用いた場合、試験しようとする被覆研磨材の25cm×8cm細片の15cm区画を、(ボードだけでなく)研磨材側にも積層接着剤を被覆させて、研磨材側がボードに面した状態で、積層用接着剤上に部分的に載せた。その後、研磨細片を所定の位置にプレスし、その後、100℃で60分にわたり、120℃で20分にわたり、130℃で15分にわたり、その後最後に140℃で15分にわたり硬化させた。
【0084】
その後、被覆研磨材を幅5.1cmに加工し、よって木製ボードを超えて伸びる被覆研磨材料の10cm×5.1cm細片を提供する。
【0085】
「シンテック(SINTECH)6W」という商品名でミネソタ州エーデンプレーリーのMTSシステムズ・コーポレーション(MTS Systems Corporation(Eden Prairie,MN))から得られる引張試験機の上方顎に木製ボードを水平に取り付けた。その後、被覆研磨材の自由端を引張試験機の下方顎に取り付け、0.5cm/秒の速度で下方顎は90度の角度で木製ボードから被覆研磨材を引張った。試験片の破壊を引き起こすために必要なサンプル幅センチメートル当たりのニュートン(N/cm)で表現された力を報告した。試験を指示された温度で行った。
【0086】
実施例1
メカニカルスターラーを用いてEP1(12060g)を1507gのACR1および151gのPI1と均質になるまで20℃で混合した。その後、混合物をオーブン内で50℃で2時間にわたり加熱した。混合物をオーブンから取り出した後、10分にわたり攪拌しつつ1206gのDICYを添加した。その後、EMI(76グラム)を添加し、溶解するまで攪拌を続け、組成物1をもたらした。
【0087】
実施例2
EP1の量を11306グラムに減らし、DICYの添加後に754グラムのNOV1を混合物に添加し、EMIを114グラムのCUR1で置き換えたことを除き、実施例1の手順を繰り返し、組成物2をもたらした。
【0088】
実施例3
EP1の量を10553gに減らし、NOV1を1507グラムのETA2で置き換え、CUR1を76gのEMIで置き換えたことを除き、実施例2の手順を繰り返し、組成物3をもたらした。
【0089】
実施例4
EP1の量を9799gに減らし、ACR1の量を2261gに増やし、ETA2を等量のNOV1で置き換えたことを除き、実施例3の手順を繰り返し、組成物4をもたらした。
【0090】
実施例5
55gのEP1、15gのACR1、8gのDICY、10gのNOV1、10gのETA2、1gのEMIおよび1gのPI1の成分および量を用いたことを除き、実施例4の手順を繰り返し、組成物5をもたらした。
【0091】
実施例6
EMIを1gのCUR2で置き換えたことを除き、実施例5の手順を繰り返し、組成物6をもたらした。
【0092】
実施例7
CUR2を1gのCUR1で置き換えたことを除き、実施例6の手順を繰り返し、組成物7をもたらした。
【0093】
実施例8
18.75gのEP1、3.75gのACR4、2gのDICY、0.25gのEMI、0.25gのPI1の成分量を用いたことを除き、実施例1の手順を繰り返し、組成物8をもたらした。
【0094】
実施例9
2.5gのEMIを2.5gのETA1で置き換え、ACR4を3.75gのACR2で置き換えたことを除き、実施例8の手順を繰り返し、組成物9をもたらした。
【0095】
実施例10
ACR2を3.75gのACR3で置き換えたことを除き、実施例9の手順を繰り返し、組成物10をもたらした。
【0096】
比較例A
DICYを除き、70gのEP1、15gのACR1、10gのNOV1、0.5gのEMIおよび1gPI1の成分量を用いたことを除き、実施例4の手順を繰り返し、比較組成物Aをもたらした。
【0097】
比較例B
ACR3を3.75gのACR1で置き換え、ETA1を2.8グラムのCTBNで置き換えたこと除き、実施例10の手順を繰り返し、比較組成物Bをもたらした。
【0098】
従来型バックサイズ組成物
FIL1(450g)および15gのRIOをフェノール対ホルムアルデヒド比1.5〜2.1/1のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂285gに対して機械的に攪拌した。2.5重量%の水酸化ナトリウムにより触媒作用させた。その後、混合物を水で1キログラムに希釈した。
【0099】
比較例C
237mlのジャーに70グラムのEP1、30グラムのHHPAおよび1グラムのPI1を投入した。組成物を含むジャーを50℃に加熱されたオーブン内に15分にわたり入れ、オーブンから取り出し、5.4グラムのACR1を組成物に混合し、もう15分にわたりオーブンに戻した。樹脂組成物をオーブンから除去し、1グラムのEMIを混合しつつ添加した。
【0100】
フロリダ州ポンパノビーチのポールN.ガードナー・カンパニー(Paul N.Gardner Company(Pompano Beach,FL)から得られた幅30.5cmの塗布ナイフおよび30cm×30cm×2.5cmの機械加工ステンレススチール塗布プラットホームを66℃に加熱した。ナイフを225マイクロメートルの最小ギャップに設定した。「パワーストレート(POWERSTRAIT)」という商品名でサウスカロライナ州スパータンブルグのミリケン&カンパニー(Milliken & Company(Spartanburg,SC))から得られる300〜400グラム/平方メートル(g/m)の重量を有する未処理ポリエステル織物を塗布ナイフの下に置いた。樹脂組成物をポリエステル織物上に注ぎ、その後、織物をナイフ下で手で引張って、織物上にプレサイズコートを形成させた。その後、761ワット/インチ(118W/cm)および16.4フィート/分(5m/分)で「フュージョン(FUSION)」Dバルブを用いる「UVプロセッサー(UV PROCESSOR)」という商品名でメリーランド州ゲーサーズバーグのフュージョンUVシステムズ(Fusion UV Systems(Geithersburg,MA))から得られるUVプロセッサーに一度通すことによりプレサイズ織物に照射し、その後、160℃で5分にわたり熱硬化させた。得られたプレサイズの塗料量は106g/mであった。その後、同じナイフ塗布手順を用いて織物の裏側を従来型バックサイズ組成物で被覆し、90℃で60分にわたり、その後105℃で60分にわたり硬化させた。硬化後に得られたバックサイズの塗布量は104.3g/mであった。
【0101】
比較例D
「パワーストレート(POWERSTRAIT)」という商品名でミリケン・アンド・カンパニー(Milliken and Company)から得られるバッキング材料(平方メートル当たり約300〜400グラムの重量のオープンエンド紡績糸から製造された100%ポリエステル4/1サティーン布地)を従来型バックサイズ組成物中で用いられる90重量%のレゾールフェノール/「ハイカー(HYCAR1581)」という商品名でオハイオ州クリーブランドのノベオン(Noveon(Clevland,OH))から入手できる10重量%のニトリルラテックス樹脂の含浸剤で処理し、重量を416グラム/平方メートルにして、その後、55%のF1、従来型バックサイズ組成物中で用いられる43%のレゾールフェノールおよび色のための少量のFeのブレンドでバックサイズし、重量を約516グラム/平方メートルにした。その後、このバッキングを同じメークコート組成物で且つ比較例Cと同じ条件下で被覆した。
【0102】
実施例11
0.003インチ(76マイクロメートル)のブレードギャップを有するポールN.ガードナー・カンパニー(Paul N.Gardner Company)から得られる幅4インチ(10.2cm)の幅広塗布ナイフを用いて「パワーストレート(POWERSTRAIT)」という商品名でミリケン・アンド・カンパニー(Milliken and Company)から得られるポリエステル織布(300〜400グラム/平方メートルg/m)坪量の6インチ(16.2cm)ウェブ上に組成物1をプレサイズとして被着させた。その後、761ワット/インチ(118W/cm)および16.4フィート/分(5m/分)で「フュージョン(FUSION)Dバルブ」を用いる上述したUVプロセッサーに一度通すことによりプレサイズ済み織物に照射し、その後、160〜170℃で5分にわたり熱硬化させた。得られたプレサイズの塗料量は127.5g/mであることが判明した。その後、同じナイフ塗布手順を用いて織物の裏側を従来型バックサイズ組成物で被覆し、90℃で10分にわたり、その後105℃で15分にわたり硬化させた。硬化後に得られたバックサイズの塗布量は111.5g/mであった。
【0103】
実施例12〜17および比較例E−F
表1(以下)に報告された組成物を用いて実施例11の手順により実施例12〜17および比較例EとFを製造した。
【0104】
表1

【0105】
実施例18
「タイプAマイラ(TYPE A MYLAR)」という商品名でニュージャージー州ケニルワースのベルティング・インダストリーズ・カンパニー(Belting Industries Company(Kenilworth,NJ))から得られるポリエステルフィルムの幅2インチ(5.1cm)、厚さ0.014インチ(360マイクロメートル)のウェブを組成物8で被覆し、その後、実施例11の手順によりUV硬化させた。ナイフギャップは0.010インチ(250マイクロメートル)であった。
【0106】
実施例19および20
実施例19および20をそれぞれ組成物9および10を用いて実施例18の手順により製造した。
【0107】
比較例G
237mlのジャーに70gのEPI、30gのHHPAおよび1gのPI1を投入し、50℃でオーブン内に15分にわたり入れた。ジャーをオーブンから取り出し、5.4gのACR1を添加し、マニュアルで攪拌した後、もう15分にわたりオーブンに戻した。その後、ジャーを再びオーブンから取り出し、1gのEMIを添加した。混合物を攪拌し、実施例18に記載されたように直ちに被覆した。
【0108】
被覆フィルムを約60度の角度で手で曲げ、塗料がポリエステルフィルムから綺麗に離層するか否か(ポリエステルフィルムへの劣った粘着性示唆する)またはポリエステルフィルムから離層すると、塗料が多少のポリエステルを保持するか否か(ポリエステルフィルムへの良好な粘着性の示唆)を観察することにより、粘着性を測定した。比較例Gおよび実施例18、19および20は試験中に多少のポリエステルを保持した。従って、ポリエステルフィルムへの良好な粘着性を示唆している。
【0109】
従来型積層用接着剤1
HMAを積層用組成物として用いた。
【0110】
従来型積層用接着剤2
237mlのジャーに100gのEPI、28gのADHCUR2、5gのADHCUR1および80gのFIL1を投入し、その後、均質になるまで低剪断ミキサーで混合した。
【0111】
実施例21〜24
237mlのガラスジャーにEPI、ACR1およびPI1を投入した。混合物をオーブン内に入れ、50℃でオーブン内に2時間にわたり入れた。サンプルをオーブンから取り出し、オーバーヘッドスターラーを用いて混合した。NOV1およびDICYを添加し、攪拌を10分にわたり続けた。FIL1を混合物に添加し、混合物をもう15分にわたり攪拌した。その後、EMIを攪拌しつつ混合物に添加した。
【0112】
実施例21〜24において、表2(以下)に報告された量を用いてそれぞれ組成物21〜24を調製するために上の手順を用いた。
【0113】
表2

【0114】
従来型メークコート組成物
FIL1(425g)をフェノール対ホルムアルデヒド比1.5〜2.1/1のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂425gに添加し、2.5%の水酸化カリウムにより触媒作用させた。その後、混合物を1キログラム全重量に水で希釈した。
【0115】
従来型サイズコート組成物
FIL2(561g)および17gのRIOをフェノール対ホルムアルデヒド比1.5〜2.1/1のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂272gに機械的に混合し、2.5%の水酸化カリウムで触媒作用させた。その後、混合物を水で1キログラムに希釈した。
【0116】
実施例25〜31
0.003インチ(8マイクロメートル)のブレードギャップを有する上述した幅4インチ(10cm)の幅広塗布ナイフを用いて湿り厚さ76マイクロメートルおよび20℃で表3に示したように種々のバッキングに上で調製された従来型メークコート組成物を被着させた。ALOを1000g/mの塗布量でメークコート上に滴被覆し、得られた製品を90℃で60分にわたり、その後105℃で更に10時間にわたり硬化させた。冷却後、得られた各被覆研磨材をストリップバック試験によって評価するために8cm×25cm細片に加工した。結果を表3(以下)で報告している。
【0117】
表3

表3において、「NM」という言葉は測定しなかったことを意味する。
【0118】
実施例32〜35および比較例L
ペンキブラシを用いて、実施例21〜24および従来型メークコート組成物を「ウルトラミド(ULTRAMID)」という商品名でニューヨーク州マウントオリーブのバスフ・コーポレーション(BASF Corporation(Mount Olive,NY))から得られる直径17.8cm、厚さ0.76mmのナイロンディスク上に被覆した。その後、761ワット/インチ(118W/cm)および16.4フィート/分(5m/分)で「フュージョン(FUSION)」Dバルブを用いる上述した「UVプロセッサー」に一度通すことにより実施例21〜24に照射し、その後、AZをメーク樹脂上に静電被覆し、得られた物品を160〜170℃で30分にわたり熱硬化させ、それぞれ実施例32〜35をもたらした。
【0119】
比較(比較例L)として、従来型メーク組成物をAZで静電被覆し、90℃で60分にわたり、そして105℃で60分にわたり硬化させた。ロールによって従来型サイズコート組成物をすべての被覆ディスクに被着させ、90℃で60分にわたり、そして105℃で12時間にわたり硬化させた。2つ調製された実施例の塗布量は表4(以下)で報告されている。
【0120】
表4

【0121】
スイングアーム試験を用いて研磨ディスクを評価した。結果を表5(以下)で報告している。
【0122】
表5

【0123】
本発明の種々の予見できない修正および変更は、本発明の範囲および精神を逸脱せずに当業者によってなしうる。本発明が本明細書において記載された例証的な実施形態に不当に限定されないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明による例証的な被覆研磨物品の断面図である。
【図2】本発明によるもう1つの例証的な被覆研磨物品の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む硬化性組成物。
【請求項2】
溶解した熱可塑性ポリマーを本質的に含まない、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂が成分a)〜e)の全重量の55〜80%を構成する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
多官能性(メタ)アクリレートが成分a)〜e)の全重量の1〜15%を構成する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
多官能性(メタ)アクリレートが成分a)〜e)の全重量の5〜15%を構成する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
ジシアンジアミドが成分a)〜e)の全重量の5〜10%を構成する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
エポキシ硬化触媒が成分a)〜e)の全重量の0.5〜2%を構成する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記硬化性組成物の全重量を基準にして30重量%以下のエポキシ化強化剤を更に含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記硬化性組成物の全重量を基準にして25重量%以下のノボラック樹脂を更に含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
多官能性(メタ)アクリレートがトリアクリレートを含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
少なくともその一部に接触する組成物を有する布地を含む処理済みバッキングであって、前記組成物が
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む成分の反応生成物を含む処理済みバッキング。
【請求項12】
前記組成物が溶解した熱可塑性ポリマーを本質的に含まない、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項13】
前記処理済みバッキングが軟質である、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項14】
前記エポキシ樹脂が成分a)〜e)の全重量の55〜80%を構成する、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項15】
前記多官能性(メタ)アクリレートが成分a)〜e)の全重量の5〜15%を構成する、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項16】
前記多官能性(メタ)アクリレートが成分a)〜e)の全重量の10〜15%を構成する、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項17】
前記組成物が5〜10重量%のジシアンジアミドを含む、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項18】
前記組成物が0.5〜2重量%のエポキシ硬化触媒を含む、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項19】
前記組成物が30重量%以下のエポキシ化強化剤を更に含む、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項20】
前記組成物が25重量%以下のノボラック樹脂を更に含む、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項21】
前記多官能性(メタ)アクリレートがトリアクリレートを含む、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項22】
前記布地が第1の主面および第2の主面を有し、前記組成物が両方の主面に接触する、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項23】
前記処理済みバッキングが第1の主面および第2の主面を有し、前記組成物が一方の主面のみに接触する、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項24】
前記硬化性組成物が研磨粒子を更に含む、請求項11に記載の処理済みバッキング。
【請求項25】
布地の少なくとも一部を硬化性組成物に接触させることを含む処理済みバッキングを製造する方法であって、前記硬化性組成物が
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む成分から調製可能である方法。
【請求項26】
前記硬化性組成物が溶解した熱可塑性ポリマーを本質的に含まない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記エポキシ樹脂が成分a)〜e)の全重量の55〜80%を構成する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記多官能性(メタ)アクリレートが成分a)〜e)の全重量の5〜15%を構成する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
ジシアンジアミドが成分a)〜e)の全重量の5〜10%を構成する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
エポキシ硬化触媒が成分a)〜e)の全重量の0.5〜2%を構成する、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が前記組成物の全重量を基準にして30重量%以下のエポキシ化強化剤を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が前記組成物の全重量を基準にして25重量%以下のノボラック樹脂を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記多官能性(メタ)アクリレートがトリアクリレートを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記布地が第1の主面および第2の主面を有し、前記組成物が両方の主面に接触する、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記布地が第1の主面および第2の主面を有し、前記組成物が一方の主面のみに接触する、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記硬化性組成物が研磨粒子を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
バッキングと研磨粒子および結合剤を含む研磨層とを含む被覆研磨物品であって、前記結合剤が
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む成分の反応生成物を含む被覆研磨物品。
【請求項38】
前記結合剤が溶解した熱可塑性ポリマーを本質的に含まない、請求項37に記載の被覆研磨材。
【請求項39】
前記結合剤が前記結合剤の全重量を基準にして30重量%以下のエポキシ化強化剤を更に含む、請求項37に記載の被覆研磨材。
【請求項40】
前記結合剤が前記組成物の全重量を基準にして25重量%以下のノボラック樹脂を更に含む、請求項37に記載の被覆研磨材。
【請求項41】
前記研磨層がメーク層とサイズ層を含む、請求項37に記載の被覆研磨材。
【請求項42】
前記研磨粒子が結合剤に分散される、請求項37に記載の被覆研磨材。
【請求項43】
ワークピースを研磨する方法であって、
請求項37に記載の被覆研磨物品を提供する工程と、
研磨層の少なくとも一部を前記ワークピースの表面の少なくとも一部に摩擦接触させる工程と、
前記被覆研磨物品またはワークピースの少なくとも一方を他方に対して動かして、前記表面の少なくとも一部を研磨する工程と、
を含むワークピースを研磨する方法を含む、方法。
【請求項44】
プレサイズ層、含浸剤、サブサイズ、バックサイズ層、または結合剤を含む繋ぎ層の少なくとも1層を更に含む、バッキングおよび研磨層を含む被覆研磨物品であって、前記結合剤が
a)エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFの少なくとも一方との反応によって調製可能な少なくとも1種のエポキシ樹脂50〜90重量%と、
b)多官能性(メタ)アクリレート1〜20重量%と、
c)ジシアンジアミドと、
d)光開始剤と、
e)任意のエポキシ硬化触媒と、
を成分a)〜e)の全重量を基準にして含む成分の反応生成物である被覆研磨物品。
【請求項45】
前記結合剤が溶解した熱可塑性ポリマーを本質的に含まない、請求項44に記載の被覆研磨材。
【請求項46】
前記結合剤が前記結合剤の全重量を基準にして30重量%以下のエポキシ化強化剤を更に含む、請求項44に記載の被覆研磨材。
【請求項47】
前記結合剤が前記結合剤の全重量を基準にして25重量%以下のノボラック樹脂を更に含む、請求項44に記載の被覆研磨材。
【請求項48】
前記研磨層がメーク層とサイズ層および研磨粒子を含む、請求項44に記載の被覆研磨材。
【請求項49】
スーパーサイズを更に含む、請求項48に記載の被覆研磨材。
【請求項50】
前記研磨粒子が結合剤に分散される、請求項44に記載の被覆研磨材。
【請求項51】
ワークピースを研磨する方法であって、
請求項44に記載の被覆研磨物品を提供する工程と、
研磨層の少なくとも一部を前記ワークピースの表面の少なくとも一部に摩擦接触させる工程と、
前記被覆研磨物品またはワークピースの少なくとも一方を他方に対して動かして、前記表面の少なくとも一部を研磨する工程と、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−504320(P2007−504320A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525320(P2006−525320)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/021942
【国際公開番号】WO2005/026229
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】