説明

組成物、転写シート、メラミン化粧板、及びメラミン化粧板の製造方法

【課題】指紋等が目立ちにくく、化粧紙の絵柄が鮮明に表現できるメラミン化粧板の製造に使用できる組成物、転写シート、メラミン化粧板、及びメラミン化粧板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の組成物は、(a)オルガノシリカゾルと、(b1)フッ素樹脂又はアクリル樹脂と、シロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマー、及び/又は(b2)常温ガラスコーティング剤とを含むことを特徴とする。本発明のメラミン化粧板5は、上記組成物の硬化物からなる低屈折率層6が表面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、転写シート、メラミン化粧板、及びメラミン化粧板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メラミン化粧板は、表面硬度、耐熱性、耐摩耗性等の諸物性に優れることから、カウンター、机などの水平面用途に用いられている。このメラミン化粧板は、一般に、化粧板用パターン原紙にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主な成分とする樹脂液を含浸、乾燥させたメラミン樹脂含浸パターン紙と、クラフト紙にフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主な成分とする樹脂液を含浸、乾燥させたフェノール樹脂含浸コア紙とを積層し、平板プレス機で加熱加圧することにより得られる(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−199528号公報
【特許文献2】特開2005−199495号公報
【特許文献3】特開2005−146272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メラミン化粧板は、その樹脂の特徴から表面硬度、耐熱性、耐摩耗性等に優れる一方で、指紋等の皮脂膜(以下、指紋と表記)等の油汚れが目立ちやすいという欠点があった。さらに、メラミン樹脂層での光の照り返しや白ボケにより、印刷紙の絵柄が鮮明に表現できないという欠点があった。
【0005】
本発明はかかる従来の欠点を解消するためになされたものであり、指紋等が目立ちにくく、印刷紙の絵柄が鮮明に表現できるメラミン化粧板の製造に使用できる組成物、転写シート、メラミン化粧板、及びメラミン化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の組成物は、
(a)オルガノシリカゾルと、
(b1)フッ素樹脂又はアクリル樹脂と、シロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマー、及び/又は(b2)常温ガラスコーティング剤と、
を含むことを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明の組成物には、上記(a)成分と上記(b1)成分を含むもの、上記(a)成分と上記(b2)成分を含むもの、及び、上記(a)成分と上記(b1)成分と上記(b2)成分を含むものがある。
【0008】
本発明の組成物は、例えば、メラミン化粧板の表面に、本発明の組成物の硬化物からなる低屈折率層を形成する用途に用いることができる。本発明の組成物の硬化物からなる低屈折率層が表面に形成されたメラミン化粧板は、指紋が目立ちにくい。これは、低屈折率層は、メラミン樹脂層よりも屈折率が低いので、指紋と低屈折率層との屈折率差は、指紋とメラミン樹脂層との屈折率差よりも小さくなるためである。さらに、低屈折率層は、低反射率・低屈折率であるため、光の照り返し、白ボケが改善され、メラミン化粧板に用いられる印刷紙の絵柄が鮮明になり、意匠性が高い。
【0009】
本発明の化粧板は、上述した組成物の硬化物からなる低屈折率層が表面に形成されているため、指紋が目立ちにくく、印刷紙の絵柄が鮮明になり、意匠性が高い。低屈折率層の
屈折率は、1.5以下であることが好ましい。屈折率が1.5以下であることにより、指紋が一層目立ちにくく、印刷紙の絵柄が一層鮮明になる。
【0010】
本発明の転写シートは、基材と、前記基材上に配置された、上述した組成物とからなる。この転写シートは、メラミン化粧板の表面に低屈折率層を形成するために用いることができる。この転写シートを用いれば、低屈折率層を容易に形成することができる。
【0011】
本発明のメラミン化粧板の製造方法は、上述した転写シート、メラミン樹脂含浸紙、及びコア材を積層して熱圧成形し、転写シートの基材を除去する方法である。この製造方法によれば、表面に低屈折率層を有するメラミン化粧板を容易に製造することができる。熱圧成形における温度条件は、110〜180℃の範囲が好適であり、加圧条件は5〜10MPaの範囲が好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】メラミン化粧板の製造方法を表す説明図である。
【図2】メラミン化粧板の構成を表す側断面図である。
【図3】メラミン化粧板の表面における鮮明性を表す写真であり、右半分は実施例1のメラミン化粧板に対応し、左半分は比較例1のメラミン化粧板に対応する。
【図4】メラミン化粧板の表面における指紋の付着度合いを表す写真であり、右半分は実施例1のメラミン化粧板に対応し、左半分は比較例1のメラミン化粧板に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の組成物で用いるシロキサングラフト型ポリマー((b1)成分)は、フッ素樹脂又はアクリル樹脂と、シロキサンとが複合化されたものである。具体的には、(A)ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂2〜70重量%、(B)下記化学式1(化学式1中、R1は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R2、R3、R4、R5、及
びR6は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素
基であり、nは2以上の整数である)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及び/又は下記化学式2(化学式2中、R7は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素
基であり、R8、R9、R10、R11、及びR12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、pは0〜10の整数であり、qは2以上の整数である)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン4〜40重量%、及び(C)ラジカル重合反応条件下において、上記(A)成分と、二重結合による重合反応以外には反応しないラジカル重合性単量体15〜94重量%を共重合することにより得ることができる。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
また、他の、フッ素樹脂又はアクリル樹脂とシロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーとしては、(A)ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂2〜70重量%、(B)上記化学式1で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及び/又は上記化学式2で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン5〜55重量%、(C)アルコキシシリル基を有する単量体5〜55重量%、(D)水酸基を有する単量体15〜50重量%、及び(E)上記(A)〜(D)成分とラジカル重合以外に反応しない官能基を有する単量体0〜73重量%を共重合させて得られるものが挙げられる。
【0017】
また、他の、フッ素樹脂又はアクリル樹脂とシロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーとしては、上述した各シロキサングラフト型ポリマーにおいて、上記(A)成分の代わりに、ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有し、かつ有機溶剤に可溶なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体を用いたものが挙げられる。
【0018】
フッ素樹脂又はアクリル樹脂と、シロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーの市販例としては、ZX−007C、ZX−001、ZX−022、ZX−022H,ZX−028R、ZX−036(いずれも富士化成工業株式会社製)等が挙げられる。
【0019】
本発明の組成物で用いる常温ガラスコーティング剤((b2)成分)としては、アルコール可溶型有機ケイ素化合物を、水や有機溶媒などからなる溶液中でイオン化し、触媒としてハロゲン、ホウ素を添加したものがある。
【0020】
3+イオンの役割は、F-イオンと反応することで、SiF6の生成・揮発によるSiO2量の減少を防ぐことにある。B3+イオンはF-イオンと反応することでBF4-錯イオンを生成し、Si(OR)nのSiと極めて容易に交換してSiF-n+1錯イオンとなり、下式の加水分解、脱水縮合が促進される結果、常温領域で金属酸化物ガラスが得られる。残存するB3+イオンはメタノール(CH3+)の存在によりB(OCH33として気化消失し、F-イオンは基材等に含まれるOH-基等と接触反応しHFとして気化消失する。ここで、Rはアルキル基、Mは金属、Xはハロゲンである。
【0021】
3++4X- → BX4-
M(OR)n +BX4-+n/2H2O → MX-n+1+nROH+B3+
MX-n+1 +nH2O → M(OH)n + (n+1)X-
M(OH)n → 金属酸化物ガラス + H2
ホウ素イオンB3+を与える化合物としては、例えば、トリアルコキシボランB(OR)3が挙げられる。中でもトリエトキシボランB(OEt)3が好ましい。反応液中のB3+イオン濃度は、1.0〜10.0モル/リットルの範囲が好ましい。また、ハロゲンイオンとしては、F-、Cl-、又はこれらの混合物が好ましい。ハロゲンイオン源として用いる化合物は、上記反応液中でF-イオンやCl-イオンを生ずるものであればよい。F-イオ
ン源としては、例えば、フッ化水素アンモニウムNH4F・HF、フッ化ナトリウムNa
F等が好ましい。Cl-イオン源としては、例えば、塩化アンモニウムNH4Cl等が好ましい。
【0022】
常温ガラスコーティング剤の市販例としては、シラグシタールA6200、シラグシタールB4373(BN)(いずれも墨東化成工業株式会社製)等が挙げられる。
本発明の組成物で用いるオルガノシリカゾルとしては、例えば、粒径1〜40nm(さらに好ましくは粒径7〜30nm)のコロイダルシリカを有機溶媒に安定的に分散させたコロイド溶液が挙げられる。シリカ濃度は1〜50重量%の範囲が好ましく、ゲル化防止のために40重量%以下のものがより好ましい。
【0023】
オルガノシリカゾルの市販品としては、日産化学工業株式会社製のIPA−ST、IPA−ST−ZL、メタノールシリカゾル、NPC−ST−30、EG−ST、DMAC−ST等や、触媒化成工業株式会社製のOSCAL、扶桑化学工業株式会社製のクォートロン(登録商標)、クラリアントジャパン株式会社製のHighlink(登録商標)OG
シリカ オルガノゾル等が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物で用いるオルガノシリカゾルとしては、水性シリカゾルをアルコール等の親水性溶媒で置換したものが好ましい。水性シリカゾルを原料としたオルガノシリカゾルでは、シリカ表面の水酸基量が十分となるため、本発明の組成物を用いてメラミン化粧板の低屈折率層を形成した場合、低屈折率層とメラミン層の密着性が良く、メラミン化粧板の表面耐久性が向上する。疎水性溶媒に分散させる際、ゾルを安定化させるため表面を疎水化処理したオルガノシリカゾルでは、シリカ表面の水酸基量が不十分であり、低屈折率層とメラミン層の密着性が劣りやすくなる。
【0025】
ここで、親水性(極性)溶媒とは、水との親和性を有する溶媒であり、例えば、分子内に水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等の親水基を有する親水性有機溶媒である。親水性(極性)溶媒としては、プロトン性極性溶媒や非プロトン性極性溶媒が挙げられる。プロトン性極性溶媒の具体例として、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレンジアルコール、プロパノール等のアルコール系溶媒や、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、n−プロピルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン等が挙げられる。
【0026】
本発明の組成物において、上記(a)成分と、上記(b1)成分との配合割合は、上記(b1)成分1重量部(固形分換算)に対して、上記(a)成分4〜18重量部(固形分換算)とすることが好ましい。上記(a)成分が4重量部以上であることにより、シリカ表面の水酸基量が十分となり、低屈折率層とメラミンとの密着性が良く、メラミン化粧板の表面耐久性が向上する。また、18重量部以下であることにより、上記(b1)成分の量が低すぎることがなく、メラミン化粧板において、指紋が一層目立ちにくく、印刷紙の絵柄が一層鮮明になる。
【0027】
本発明の組成物において、上記(a)成分と、上記(b2)成分との配合割合は、上記(b2)成分1重量部(固形分換算)に対して、上記(a)成分4〜18重量部(固形分換算)とすることが好ましい。上記(a)成分が4重量部以上であることにより、シリカ表面の水酸基量が十分となり、低屈折率層とメラミンとの密着性が良く、メラミン化粧板の表面耐久性が向上する。また、18重量部以下であることにより、上記(b2)成分の量が低すぎることがなく、メラミン化粧板において、指紋が一層目立ちにくく、印刷紙の絵柄が一層鮮明になる。
【0028】
本発明の転写シートに用いる基材としては、例えば、プラスチックフィルムや金属箔が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等を使用することができる。
【0029】
金属箔としては、例えば、金箔、銀箔、銅箔、亜鉛箔、インジウム箔、アルミニウム箔、錫箔、鉄(ステンレス(SUS)箔を含む)箔、チタン箔等を使用することができる。
本発明の転写シートは、例えば、基材に組成物を塗布する方法で製造できる。塗布方法としては、公知の方法、例えば、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、カーテンコート法、リバースコート法、コンマコート法等を用いることができる。このような方法で得られた転写シートは、メラミン樹脂含浸紙(例えばメラミン樹脂含浸パターン紙、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙)の上に組成物の塗布面が当接するように積層され、コア材とともに熱圧成型される。
【0030】
本発明の組成物を用いて形成された低屈折率層の厚み(乾燥時)は、上記(a)成分及び上記(b1)成分から成る組成物の場合は、0.5〜15μmの範囲が好ましい。厚みがこの範囲内であることにより、低屈折率層の屈折率を1.5以下にすることが容易になる。また、膜厚を0.5μm以上とすることにより、メラミン化粧板において、指紋が一層目立ちにくく、印刷紙の絵柄が一層鮮明になる。また、膜厚が15μm以下であることにより、低屈折率層の白化が起こりにくく、メラミン化粧板の外観が良好になる。
【0031】
本発明の組成物を用いて形成された低屈折率層の厚み(乾燥時)は、上記(a)成分及び上記(b2)成分から成る組成物の場合は、0.5〜15μmの範囲が好ましい。厚みがこの範囲内であることにより、低屈折率層の屈折率を1.5以下にすることが容易になる。また、膜厚を0.5μm以上とすることにより、メラミン化粧板において、指紋が一層目立ちにくく、印刷紙の絵柄が一層鮮明になる。また、膜厚が15μm以下であることにより、低屈折率層の白化が起こりにくく、メラミン化粧板の外観が良好になる。
【0032】
本発明のメラミン化粧板、及び本発明のメラミン化粧板の製造方法では、例えば、化粧板用の化粧紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を含浸し、乾燥させて得たメラミン樹脂含浸紙(メラミン樹脂含浸パターン紙)を用いることができる。化粧板用の化粧紙の坪量は、例えば、80〜140g/m2程度の範囲が好ましい。また
、数式1で定義される樹脂液の含浸率は、例えば、70〜160%の範囲が好ましい。
【0033】
【数1】

【0034】
本発明のメラミン化粧板、及び本発明のメラミン化粧板の製造方法では、メラミン化粧板の表面における耐摩耗性を向上させる目的で、オーバーレイ原紙にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を含浸したメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を最上層(但し、低屈折率層を除く)に積層して熱圧成形してもよい。メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙は、例えば、坪量20〜60g/m2程度のオーバーレイ原紙に、メラミン−ホル
ムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を200〜400%の含浸率で含浸し、乾燥させて得ることができる。
【0035】
本発明のメラミン化粧板、及び本発明のメラミン化粧板の製造方法では、例えば、クラフト紙に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を含浸し、乾燥させて得られたコア材を用いることができる。クラフト紙の坪量は、例えば、150〜300g/m2程度の範囲が好ましい。また、上記数式1で定義される樹脂液の含浸率は、例え
ば、30〜80%の範囲が好ましい。
【0036】
以下、本発明を実施例、比較例により説明するが、本発明は以下に示される例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0037】
1.組成物の製造
シロキサングラフト型ポリマー1重量部(固形分換算)と、オルガノシリカゾル10重量部(固形分換算)とを混合した。シロキサングラフト型ポリマーとしては、フッ素樹脂とシロキサンとが複合化されたZX−022H(水酸基価120、酸価0、溶剤種;キシレン/酢酸ブチル/イソプロパノール、富士化成工業株式会社製)を用いた。また、オルガノシリカゾルとしては、IPA−ST(イソプロパノール分散シリカゾル、平均粒径10〜20nm、SiO230重量%、日産化学工業株式会社製)を用いた。なお、IPA
−STは、親水性溶媒(イソプロパノール)を用いたオルガノシリカゾルである。
【0038】
上記の混合物を、イソプロパノールにて総固形分が20重量%となるように希釈して組成物を得た。
2.転写シートの製造
上記の組成物を、厚み30μmのOPPフィルムに、乾燥膜厚が3μmとなるようにバーコート法で均一に塗布し、乾燥して、転写シート1を得た。転写シート1では、OPPフィルム上に、上記組成物の乾燥物からなる層が形成されている。
【0039】
3.メラミン化粧板の製造
坪量40g/m2の化粧板用のオーバーレイ紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を
主成分とする樹脂液を、上記数1で定義される算出方法で、含浸率が300%となるように含浸し、乾燥して、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙2を得た。
【0040】
坪量100g/m2の黒色の化粧板用の化粧紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を
主成分とする樹脂液を、上記数1で定義される算出方法で、含浸率が100%となるように含浸し、乾燥して、メラミン樹脂含浸化粧紙3を得た。
【0041】
坪量200g/m2のクラフト紙に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とす
る樹脂液を、上記数1で定義される算出方法で、含浸率が50%となるように含浸し、乾燥して、フェノール樹脂含浸コア紙4を得た。
【0042】
図1に示すように、フェノール樹脂含浸コア紙4を5枚、メラミン樹脂含浸化粧紙3を1枚、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙2を1枚、転写シート1を1枚、順次積層した。なお、転写シート1は、OPPフィルム1aと、組成物の乾燥膜1bとからなるが、積層するときにおける転写シート1の向きは、乾燥膜1bがメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙2に当接する向きとした。積層物を、温度135℃、圧力8MPa、時間80分で熱圧成形し、その後、図2に示すように、OPPフィルム1aを除去して、メラミン化粧板5を得た。このメラミン化粧板5の表面には、上記組成物の硬化物からなる低屈折率層6が形成されている。低屈折率層6は、組成物の乾燥膜1bから生じた層である。
【実施例2】
【0043】
転写シートにおける組成物の乾燥膜の厚み(低屈折率層の厚み)を0.5μmとした点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シートを製造した。また、その転写シートを用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例3】
【0044】
転写シートにおける組成物の乾燥膜の厚み(低屈折率層の厚み)を15μmとした点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シートを製造した。また、その転写シートを用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例4】
【0045】
シロキサングラフト型ポリマーとオルガノシリカゾルとの配合比を、
シロキサングラフト型ポリマー:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:4重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。
【0046】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例5】
【0047】
シロキサングラフト型ポリマーとオルガノシリカゾルとの配合比を、
シロキサングラフト型ポリマー:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:6重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。
【0048】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例6】
【0049】
シロキサングラフト型ポリマーとオルガノシリカゾルとの配合比を、
シロキサングラフト型ポリマー:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:14重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。
【0050】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例7】
【0051】
シロキサングラフト型ポリマーとオルガノシリカゾルとの配合比を、
シロキサングラフト型ポリマー:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:18重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。
【0052】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例8】
【0053】
オルガノシリカゾルとして、IPA−STの代わりに、同量のメタノールシリカゾル(メタノール分散シリカゾル、平均粒径10〜20nm、SiO230%、日産化学工業株
式会社製)を用いた点以外は前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。なお、メタノールシリカゾルは、親水性溶媒(メタノール)を用いたオルガノシリカゾルである。
【0054】
また、上記の組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例9】
【0055】
オルガノシリカゾルとして、IPA−STの代わりに、同量のNPC−ST―30(平均粒径10〜20nm、n−プロピルセロソルブ分散シリカゾル、SiO230%、日産
化学工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。なお、NPC−ST―30は、親水性溶媒(n−プロピルセロソルブ)を用いたオルガノシリカゾルである。
【0056】
また、上記の組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例10】
【0057】
シロキサングラフト型ポリマーとして、ZX−022Hの代わりに、同量の、フッ素樹脂とシロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーZX−007C(水酸基価58、酸価5、溶剤種;キシレン/酢酸ブチル、富士化成工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例11】
【0058】
シロキサングラフト型ポリマーとして、ZX−022Hの代わりに、同量の、フッ素樹脂とシロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーZX−001(水酸基価94、酸価0、溶剤種;キシレン/イソブタノール、富士化成工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例12】
【0059】
シロキサングラフト型ポリマーとして、ZX−022Hの代わりに、同量の、フッ素樹脂とシロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーZX−022(水酸基価120、酸価5、溶剤種;キシレン/酢酸ブチル、富士化成工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例13】
【0060】
シロキサングラフト型ポリマーとして、ZX−022Hの代わりに、同量の、アクリル樹脂とシロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーZX−028−R(水酸基価100,酸価5、溶剤種 酢酸ブチル、富士化成工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例14】
【0061】
シロキサングラフト型ポリマーとして、ZX−022Hの代わりに、同量の、アクリル樹脂とシロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーZX−036(水酸基価119,溶剤種 酢酸ブチル/2−プロパノール、富士化成工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例15】
【0062】
1.組成物の製造
常温ガラスコーティング剤1重量部(固形分換算)と、オルガノシリカゾル10重量部(固形分換算)とを混合した。常温ガラスコーティング剤としては、1液型のコーティング剤(商品名シラグシタールA6200 墨東化成工業株式会社製)を用いた。この常温ガラスコーティング剤は、アルコール可溶型有機ケイ素化合物(Si(OR)4)と、ア
ルコール類(イソプロパノ−ル)とを混合し、さらに、触媒としてホウ素イオンB3+とハロゲンイオンF-を添加し、pHを4.5〜5.0に調整したものである。また、オルガ
ノシリカゾルとしては、IPA−ST(イソプロパノール分散シリカゾル、平均粒径10〜20nm、SiO230%、日産化学工業株式会社製)を用いた。
【0063】
上記の混合物を、イソプロパノールにて総固形分が20重量%となるように希釈して組成物を得た。
2.転写シートの製造
上記の組成物を、厚み30μmのOPPフィルムに、乾燥膜厚が3μmとなるようにバーコート法で塗布し、乾燥して、転写シート11を得た。
【0064】
3.メラミン化粧板の製造
上記転写シート11を用い、前記実施例1と同様にして(図1参照)、表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を得た。
【実施例16】
【0065】
転写シートにおける組成物の乾燥膜の厚み(低屈折率層の厚み)を0.5μmとした点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シートを製造した。また、その転写シートを用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例17】
【0066】
転写シートにおける組成物の乾燥膜の厚み(低屈折率層の厚み)を15μmとした点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シートを製造した。また、その転写シートを用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例18】
【0067】
常温ガラスコーティング剤とオルガノシリカゾルとの配合比を、
常温ガラスコーティング剤:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:4重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例15と同様にして、組成物を製造した。
【0068】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例19】
【0069】
常温ガラスコーティング剤とオルガノシリカゾルとの配合比を、
常温ガラスコーティング剤:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:6重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例15と同様にして、組成物を製造した。
【0070】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例20】
【0071】
常温ガラスコーティング剤とオルガノシリカゾルとの配合比を、
常温ガラスコーティング剤:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:14重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例15と同様にして、組成物を製造した。
【0072】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例21】
【0073】
常温ガラスコーティング剤とオルガノシリカゾルとの配合比を、
常温ガラスコーティング剤:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:18重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例15と同様にして、組成物を製造した。
【0074】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例22】
【0075】
オルガノシリカゾルとして、IPA−STの代わりに、同量のメタノールシリカゾル(メタノール分散シリカゾル、日産化学工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例15と同様にして、組成物を製造した。また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例23】
【0076】
オルガノシリカゾルとして、IPA−STの代わりに、同量のNPC−ST―30(n−プロピルセロソルブ分散シリカゾル、日産化学工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例15と同様にして、組成物を製造した。また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
【実施例24】
【0077】
常温ガラスコーティング剤として、シラグシタールA6200の代わりに、同量の、シラグシタールB4373(BN)(墨東化成工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。このシラグシタールB4373(BN)は、アルコール可溶型有機ケイ素化合物(Si(OR)4)を主剤とし、ホウ素イオンB3+とハロ
ゲンイオンX-を触媒とする2液型のコーティング剤である。主剤と触媒は、主剤:触媒
=10重量部:1重量部の割合で混合し、希釈溶剤で任意の濃度に希釈して用いる。
【0078】
また、上記の組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
(実験例1)
シロキサングラフト型ポリマーとオルガノシリカゾルとの配合比を、
シロキサングラフト型ポリマー:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:3重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。
【0079】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表
面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
(実験例2)
シロキサングラフト型ポリマーとオルガノシリカゾルとの配合比を、
シロキサングラフト型ポリマー:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:20重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。
【0080】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
(実験例3)
オルガノシリカゾルとして、IPA−STの代わりに、同量の、nBAC−ST(酢酸ブチル分散シリカゾル、日産化学工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例1と同様にして、組成物を製造した。このnBAC−STは、溶媒種が疎水性であるオルガノシリカゾルである。
【0081】
また、上記組成物を用いる点以外は、前記実施例1と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
(実験例4)
常温ガラスコーティング剤とオルガノシリカゾルとの配合比を、
常温ガラスコーティング剤:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:3重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例15と同様にして、組成物を製造した。
【0082】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
(実験例5)
常温ガラスコーティング剤とオルガノシリカゾルとの配合比を、
常温ガラスコーティング剤:1重量部(固形分換算)
オルガノシリカゾル:20重量部(固形分換算)
とした点以外は、前記実施例15と同様にして、組成物を製造した。
【0083】
また、その組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
(実験例6)
オルガノシリカゾルとして、IPA−STの代わりに、同量の、nBAC−ST(酢酸ブチル分散シリカゾル、日産化学工業株式会社製)を用いた点以外は前記実施例15と同様にして、組成物を製造した。このnBAC−STは、溶媒種が疎水性であるオルガノシリカゾルである。
【0084】
また、上記組成物を用いる点以外は、前記実施例15と同様にして、転写シート、及び表面に低屈折率層が形成されたメラミン化粧板を製造した。
(比較例1)
フェノール樹脂含浸コア紙を5枚、メラミン樹脂含浸化粧紙を1枚、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を1枚積層し、温度135℃、圧力8MPa、時間80分で熱圧成形し、メラミン化粧板を得た。フェノール樹脂含浸コア紙、メラミン樹脂含浸化粧紙、及びメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙はそれぞれ、前記実施例1と同様のものである。
【0085】
次に、実施例1〜24、実験例1〜6、及び比較例1で製造したメラミン化粧板の評価を行った。
(評価方法)
(i)実指紋による耐指紋性の評価
メラミン化粧板の表面に実際に指紋を付着させ、目視にて指紋がどれだけ目立つかを評価した。評価の基準は以下のとおりとした。
【0086】
○:指紋が目立たない。
△:指紋が若干目立つ。
×:指紋が目立つ。
【0087】
(ii)鮮明性
メラミン化粧板の化粧紙の鮮明性について、斜光にて目視で観察した。評価の基準は以下のとおりとした。
【0088】
○:化粧紙が鮮明に確認できる。
△:若干光の照り返し・白ボケがある。
(iii)表面耐久性(その1)
メラミン化粧板の表面を、乾燥した綿ウエスにより、約300g/cm2の荷重で10
0往復払拭し、表面の艶の変化を目視で評価した。評価の基準は以下のとおりとした。
【0089】
○:艶の変化無し。
△:若干艶の変化有り。
×:艶の変化有り。
(iv)表面耐久性2(その2)
メラミン化粧板の表面を乾燥した綿ウエスにより、約1kg/cm2の荷重で往復払拭
し、表面の艶の変化を目視で評価した。評価の基準は以下のとおりとした。
【0090】
5:500往復以内で艶の変化無し。
4:400往復以内で艶の変化有り。
3:300往復以内で艶の変化有り。
【0091】
2:200往復以内で艶の変化有り。
1:100往復以内で艶の変化有り。
(v)屈折率
多波長アッベ屈折計(DR−M2、株式会社アタゴ製)により、メラミン化粧板表面の屈折率を測定した。測定波長は589nmとした。
(vi)表面硬度
JIS K 5600;1999(塗料一般試験方法)に基づき、荷重1kgにて、メラミン化粧板の表面硬度を測定した。
(vii)耐摩耗性
JIS K 6902;1998(熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法)に基づいて、メラミン化粧板の表面における耐摩耗性を測定した。
(評価結果)
評価結果を表1、2に示す。なお、表1における「(b1):(a)」は、シロキサングラフト型ポリマー(b1)と、オルガノシリカゾル(a)との重量比(固形分換算)である。また、表2における「(b2):(a)」は、常温ガラスコーティング剤(b2)と、オ
ルガノシリカゾル(a)との重量比(固形分換算)である。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
表1、表2に示すように、実施例1〜24のメラミン化粧板は、指紋が目立ちにくく、印刷柄の鮮明性が高かった。また、実施例1〜24のメラミン化粧板は、表面耐久性、表面硬度、耐摩耗性が高かった。それに対し、比較例1のメラミン化粧板では、指紋が目立ち、化粧紙の鮮明性が低かった。
【0095】
実施例1と比較例1のメラミン化粧板については、図3の写真に、メラミン化粧板の表面状態を表す。写真の右半分は実施例1のメラミン化粧板に対応し、左半分は比較例1のメラミン化粧板に対応する。この写真から明らかなとおり、実施例1のメラミン化粧板は、化粧紙の鮮明性が高かったが、比較例1のメラミン化粧板は白っぽく、化粧紙の鮮明性が低かった。
【0096】
また、実施例1と比較例1のメラミン化粧板については、上記実指紋による耐指紋性の評価の際にメラミン化粧板の表面に付着した指紋を、図4の写真に示す。写真の右半分は実施例1のメラミン化粧板に対応し、左半分は比較例1のメラミン化粧板に対応する。この写真から明らかなとおり、実施例1のメラミン化粧板は、比較例1のメラミン化粧板よりも、表面の指紋が遙かに目立ちにくかった。これは、実施例1のメラミン化粧板が低屈折率層6を有するためであると考えられる。
【0097】
実験例1、3のメラミン化粧板は、表面耐久性が実施例1〜24に比較してやや劣る結果であった。
実験例2のメラミン化粧板では、耐指紋性、鮮明性が実施例1〜24に比較してやや劣る結果であった。
【0098】
実験例4、6のメラミン化粧板では、表面耐久性、表面硬度が実施例1〜24に比較してやや劣る結果であった。
実験例5のメラミン化粧板では、耐指紋性、鮮明性が実施例1〜24に比較してやや劣る結果であった。
【符号の説明】
【0099】
1、11・・・転写シート、1a・・・OPPフィルム、
1b・・・乾燥膜、2・・・メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙、
3・・・メラミン樹脂含浸化粧紙、4・・・フェノール樹脂含浸コア紙、
5・・・メラミン化粧板、6・・・低屈折率層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)オルガノシリカゾルと、
(b1)フッ素樹脂又はアクリル樹脂と、シロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマー、及び/又は(b2)常温ガラスコーティング剤と、
を含む組成物。
【請求項2】
基材と、前記基材上に配置された請求項1記載の組成物とからなる転写シート。
【請求項3】
請求項1記載の組成物の硬化物からなる低屈折率層が表面に形成されたメラミン化粧板。
【請求項4】
前記低屈折率層の屈折率が1.5以下であることを特徴とする請求項3記載のメラミン化粧板。
【請求項5】
請求項2に記載の転写シート、メラミン樹脂含浸紙、及びコア材を積層して熱圧成形し、前記基材を除去することを特徴とするメラミン化粧板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−161772(P2009−161772A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97106(P2009−97106)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【分割の表示】特願2008−135662(P2008−135662)の分割
【原出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】