説明

組成物およびそれからのナノコンポジットの作製方法

層状ケイ酸塩、第1の層状ケイ酸塩と相溶である少なくとも1つのブロックを有するブロックコポリマー、および溶媒の混合物を、その溶媒を除去しながらせん断する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
多くの材料が添加されて、ポリマー樹脂が強化されている。このような強化ポリマー樹脂は、一般に複合材料または「コンポジット」と呼ばれる。このような強化材料の一般的な1つのタイプは、繊維である。薄片状および粒子状の材料を使用して、ポリマーマトリックスを強化することも行われている。具体的には、強化材料の1つまたは複数の寸法がナノメートル程度であるコンポジットのタイプが近年出現している。このようなコンポジットは、当技術分野で「ナノコンポジット」として知られている。ナノコンポジットの1つのタイプは、層状構造が崩壊し、個々のケイ酸塩小板(platelet)がポリマー樹脂全体にわたって分散する剥離層状ケイ酸塩を強化材料として有する。
【0002】
層状ケイ酸塩は、通常は積み重ねられたケイ酸塩小板から構成されている。ケイ酸塩小板は、通常は厚さが約1ナノメートル程度であり、通常はアスペクト比が少なくとも約100である。これらの小板間の空間は、ギャラリー空間(gallery space)と呼ばれる。適切な条件下で、ギャラリー空間にモノマー、オリゴマー、またはポリマーを充填することができる。これによって、ケイ酸塩小板間の距離が増大し、インターカレーションと呼ばれる方法で層状ケイ酸塩が膨張する。個々のケイ酸塩小板の少なくとも一部がもはやスタックに構築されないほど層状ケイ酸塩が大きく膨張する場合、これらの個々のケイ酸塩小板は、「剥離している」と言われる。
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,252,757号明細書
【特許文献2】米国特許第3,666,407号明細書
【特許文献3】米国特許第3,671,190号明細書
【特許文献4】米国特許第3,844,978号明細書
【特許文献5】米国特許第3,844,979号明細書
【特許文献6】米国特許第3,852,405号明細書
【特許文献7】米国特許第3,855,147号明細書
【特許文献8】米国特許第4,469,639号明細書
【特許文献9】米国特許第6,036,765号明細書
【特許文献10】米国特許第6,521,678号B1明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0024130号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2004/0023016号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要旨)
一態様では、本発明は、組成物の作製方法を提供し、この方法は、
第1のd層スペーシング(d-layer spacing)を有する第1の層状ケイ酸塩、第1の層状ケイ酸塩と相溶である少なくとも1つのブロックを有するブロックコポリマー、および溶媒を含む成分を混合する工程であって、この第1の混合物が、第1の混合物の全重量を基準にして少なくとも10重量パーセントの溶媒を含む、工程と、
第1の混合物から溶媒の少なくとも一部分を除去しながら、第1の混合物を真空混練機または押出機で素練りして、第2の混合物を提供する工程であって、この第2の混合物は、
a)第1のd層スペーシングより大きい第2のd層スペーシングを有する第2の層状ケイ酸塩;または
b)剥離ケイ酸塩小板
のうちの少なくとも1つをその中に分散させたブロックコポリマーを含み、かつこの第2の混合物は、第2の混合物の全重量を基準にして5重量パーセント以下の溶媒を含む、工程とを包含する。
【0005】
一実施形態では、第2の混合物をポリマー樹脂と混合して、ナノコンポジットを形成することができる。
【0006】
本発明による方法は、通常は広範囲のナノコンポジット材料の製造向けに好都合で用途の広い方法を提供する。
【0007】
別段の示唆のない限り、d層スペーシング値は、25℃で決定されたd層スペーシング値を指す。
【0008】
本明細書で使用される場合、
「ブロック」という用語は、隣接した部分に存在しない少なくとも1つの特徴を有する、多くのモノマー単位を含むブロックコポリマーの一部分を指し、
「ブロックコポリマー」という用語は、線形に配列した構成的に異なるブロックからなるコポリマーを指し、
「モノマー単位」という用語は、単一のモノマー分子によってポリマーの構造に寄与される最大の構成単位を指し、
「層状ケイ酸塩と相溶である」という語句は、層状ケイ酸塩をインターカレートすることができることを意味し、
「剥離ケイ酸塩小板」という用語は、ケイ酸塩小板が、層状ケイ酸塩を剥離させることによって作製されたか、それとも何らかの他の方法によって作製されたかに関わらず、厚さが5ナノメートル未満であり、アスペクト比が少なくとも10であり、少なくとも1つの他のこのようなケイ酸塩小板と向かい合ったスタックとして結合されていない個々のケイ酸塩小板を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(詳細な説明)
本方法の例示的一実施形態を図1に示す。層状ケイ酸塩110、ブロックコポリマー120、および溶媒130を一緒に混合して、第1の混合物140を形成する。次いで、第1の混合物140の素練りを適切な装置145(すなわち、混練機または押出機)で行い、同時に溶媒130をそれから除去し、第2の混合物150を得る。次いで、第2の混合物150を流体ポリマー樹脂160と組み合わせ、ナノコンポジット180を得る。
【0010】
本発明による第1の層状ケイ酸塩として使用することができる有用な層状ケイ酸塩には、例えば天然フィロケイ酸塩、合成フィロケイ酸塩、有機改質フィロケイ酸塩(例えば、有機粘土(organoclay))、およびその組合せが含まれる。
【0011】
天然フィロケイ酸塩の例としては、スメクタイト、ならびにモンモリロナイト、ノントロナイト、ベントナイト、バイデライト(beidellite)、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト(sauconite)、フルオロヘクトライト、ステベンサイト、ボルコンスコイト、マガディアイト、ケニヤアイト(kenyaite)、ハロイサイト、およびハイドロタルサイトなどのスメクタイト型粘土が挙げられる。
【0012】
適切な合成フィロケイ酸塩には、例えば(特許文献1)(グランクイスト(Granquist));(特許文献2)(オールマン(Orlemann));(特許文献3)(ノイマン(Neumann));(特許文献4)(ヒックソン(Hickson));(特許文献5)(ヒックソン(Hickson));(特許文献6)(グランクイスト(Granquist));および(特許文献7)(グランクイスト(Granquist))に開示するような熱水方法で調製されるものが含まれる。市販の合成スメクタイト粘土は、例えば米国テキサス州ゴンザレスのサザン・クレイ・プロダクツ・インコーポレーテッド(Southern Clay Products,Inc.,Gonzales, Texas)から、例えば「ラポニテ(Laponite)B」(合成の層状フルオロケイ酸塩)、「ラポニテ(Laponite)D」(合成の層状ケイ酸マグネシウム)、および「ラポニテ(Laponite)RD」(合成の層状ケイ酸塩)を含めて、商品名「ラポニテ(Laponite)」で市販されている。
【0013】
有機粘土は、通常はスメクタイト、または非官能化粘土(unfunctionalized clay)と1つもしくは複数の適切な層間物(intercalant)を相互作用させることによって生成させたスメクタイト型粘土である。これらの層間物は、通常は中性またはイオン性である有機化合物である。有用な中性有機層間物には、アミド、エステル、ラクタム、ニトリル、尿素、カーボネート、ホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホネート、ニトロ化合物などの極性化合物が含まれる。中性有機層間物は、モノマー、オリゴマー、またはポリマーとすることができる。元の電荷均衡イオンを完全に置換することなく、中性有機層間物を水素結合によって粘土層にインターカレートすることができる。有用なイオン性層間物は、通常は例えば脂肪族、芳香族または脂肪族のアミン、ホスフィン、およびスルフィドの(第一級、第二級、第三級、および第四級)アンモニウム、ホスホニウム、またはスルホニウム誘導体などのオニウム化合物などのカチオン性界面活性剤である。有用なオニウムイオンには、例えば第四級窒素原子に結合している少なくとも1つの長鎖脂肪族基(例えば、オクタデシル、ミリスチル、またはオレイル)を有する第四級アンモニウムイオンが含まれる。その調製のための有機粘土および方法に関するさらなる詳細は、例えば(特許文献8)(トンプソン(Thompson)ら);(特許文献9)(ファロー(Farrow)ら);および(特許文献10)(チャイコ(Chaiko))に見出すことができる。
【0014】
様々な有機粘土は、商業的供給源から入手可能である。例えば、サザン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products)は、「クレイトン(Claytone) HY」、「クレイトン(Claytone) AF」、「クロイサイト(CLOISITE) 6A」(改質剤濃度140meq/100g)、「クロイサイト(CLOISITE) 15A」(改質剤濃度125meq/100g)、および「クロイサイト(CLOISITE) 20A」(改質剤濃度95meq/100g)を含めて、商品名「クロイサイト(CLOISITE)」(層状ケイ酸アルミニウムマグネシウム由来)および「クレイトン(Claytone)」(天然ナトリウムベントナイト由来)の様々な有機粘土を提供している。有機粘土は、米国イリノイ州アーリントンハイツのナノコル(Nanocor,Arlington Heights,Illinois)からも商品名「ナノマー(NANOMER)」で市販されている。
【0015】
通常は、層状ケイ酸塩は、X線回折(XRD)および/または透過型電子顕微鏡(TEM)などの周知の技法で決定することができるd層スペーシングを示す。本発明の方法の最中、層が剥離と見なされ、XRDまたはTEMで観察されるd層スペーシングがなくなるほど層が広く分離するまでブロックコポリマーによる個々のケイ酸塩層間のインターカレーションが進行するにつれて、d層スペーシングは通常は増大する。
【0016】
ブロックコポリマーは、一般に様々なモノマーを順次重合させることによって形成される。ブロックコポリマーを形成するための有用な方法には、例えばアニオン重合、カチオン重合、配位重合、およびラジカル重合の方法が含まれる。
【0017】
有用なブロックコポリマーは、2つ以上の任意の数のブロック(例えば、ジ−ブロックコポリマー、トリ−ブロックコポリマー、テトラ−ブロックコポリマー)を有することができ、例えば線形、星形、櫛形、梯子形など任意の形を有することができる。一般に、少なくとも1つのブロックは、選択された層状ケイ酸塩(有機粘土を含めて)に対して親和性を有するべきである。このブロックは、親水性または疎水性(例えば、有機粘土を使用する場合)とすることができる。通常は、ブロックコポリマーは熱可塑性であるものの、ポリマーは層状ケイ酸塩をインターカレートすることができる限り熱可塑性でなくてもよい。例えば、ブロックコポリマーは液体とすることができる。
【0018】
親水性ブロックは、通常は例えば酸(例えば、−CO2H、−SO3H、−PO3H);−OH;−SH;第一級、第二級、または第三級のアミン;アンモニウム N−置換または非置換のアミドおよびラクタム;N−置換または非置換のチオアミドおよびチオラクタム;無水物;線状または環状のエーテルおよびポリエーテル;イソシアネート;シアネート;ニトリル;カルバメート;尿素;チオ尿素;複素環式アミン(例えば、ピリジンまたはイミダゾール))など1つまたは複数の極性部分を有する。このような基を導入するために使用することができる有用なモノマーには、例えば酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、および(特許文献11)(ネルソン(Nelson)ら)に記載されているようなt−ブチルメタクリレートモノマー単位の酸触媒脱保護で形成されるメタクリル酸官能基を含む);アクリレートおよびメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート)、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、N−置換およびN,N−二置換のアクリルアミド(例えば、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド)、N−エチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、およびN−エチル−N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド)、脂肪族アミン(例えば、3−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン);ならびにヘテロ環系モノマー(例えば、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−(2−アミノエチル)ピリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、3−アミノキヌクリジン、N−ビニルピロリドン、およびN−ビニルカプロラクタム)が含まれる。
【0019】
疎水性ブロックは、通常は例えば少なくとも4個、8個、12個、またはさらには18個の炭素原子を有するものなど脂肪族および芳香族の炭化水素部分;例えば少なくとも4個、8個、12個の炭素原子、または18個の炭素原子さえ有するものなどフッ素化脂肪族および/またはフッ素化芳香族の炭化水素部分など1つまたは複数の疎水性部分;ならびにシリコーン部分を有する。
【0020】
このようなブロックを導入するのに有用なモノマーには例えば、例えばエチレン、プロピレン、イソプレン、スチレン、およびブタジエンなどの炭化水素オレフィン;例えばデカメチルシクロペンタシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサンなどの環状シロキサン;例えばテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、およびクロロフルオロエチレンなどのフッ素化オレフィン;例えばブチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなどの非フッ素化アルキルアクリレートおよびメタクリレート;例えば式H2C=C(R2)C(O)O−X−N(R)SO2Rf’(式中、Rf’は、−C613、−C49、または−C37であり、Rは、水素、C1〜C10アルキル、またはC6〜C10アリールであり、Xは、2価連結基である)を有するパーフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアクリレートおよびメタクリレートなどのフッ素化アクリレートが含まれる。例としては、
49SO2N(CH3)C24OC(O)NH(C64)CH264NHC(O)OC24OC(O)CH=CH2または
【化1】

が挙げられる。
【0021】
このようなモノマーは、容易に商業的供給源から入手し、または例えば(特許文献12)(セルノホウス(Cernohous)ら)の手順に従って調製することができる。
【0022】
疎水性および親水性のブロックを有する有用なブロックコポリマーの例としては、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(イソプレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸));ポリ(スチレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−2−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−アクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−メタクリルアミド);ポリ(スチレン−ブロック−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド);ポリ(スチレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(スチレン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−N−ビニルピロリドンコポリマー);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸));ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸));ならびにポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸))、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(イソプレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)、スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−メタクリル酸)(ここで、「MeFBSEMA」は、例えば米国ミネソタ州セントポールのスリーエム・カンパニー(3M Company,Saint Paul,Minnesota)から入手可能であるような2−(N−メチルパーフルオロブタンスルホンアミド)エチルメタクリレートを指す)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−無水メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−イソプレン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−(メタクリル酸−コ−無水メタクリル酸))、ポリ(スチレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸−コ−MeFBSEMA))、およびポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))の水素化した形態が挙げられる。
【0023】
一般に、上記ブロックコポリマーは、少なくとも1つのブロックが層状ケイ酸塩をインターカレートすることができるように選択すべきである。天然および合成の層状ケイ酸塩の場合、これは、通常は少なくとも1つのブロックを親水性とすべきであることを意味するが、有機粘土の場合は、ブロックは親水性でも疎水性でもよい。ブロックコポリマーの残りのブロックの選択は、通常は第2の混合物と引き続いて組み合わせる任意のポリマー樹脂の性質によって支配される。
【0024】
任意の量のブロックコポリマーを使用することができるが、上記ブロックコポリマーは、通常は第1の混合物に含まれる層状ケイ酸塩1部当たり0.01〜10重量部以上の範囲の量を含む。さらに典型的に、上記ブロックコポリマーは、第1の混合物に含まれる層状ケイ酸塩1部当たり0.05〜2重量部以上の範囲の量を含む。
【0025】
有用な溶媒には、例えば有機溶媒、水、およびその組合せが含まれる。有機溶媒の例としては、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸β−エトキシエチル、酢酸β−ブトキシ−β−エトキシエチル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸セロソルブ、ジエチレングリコールモノアセテート、メトキシトリグリコールアセテート、およびソルビトールアセテート)、ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン、2−ブタノン、アセトニルアセトン、およびアセトン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン)、脂肪族炭化水素(例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、およびドデカン)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、およびジグリム)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、ブチルカルビトール、メチルカルビトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、およびジアセトンアルコール)、ハロカーボン(例えば、四塩化炭素、塩化メチレン、トリフルオロトルエン、およびクロロホルム)、およびその組合せが挙げられる。一実施形態では、溶媒は、水を本質的に含まない(すなわち、1パーセント未満を含む)ことがある。
【0026】
理論に拘泥するものではないが、溶媒の一役割は、層状ケイ酸塩および/または剥離ケイ酸塩小板をブロックコポリマーに分散させる助けとなる滑沢剤であると考えられる。しかし、意外なことに、溶媒は、層状ケイ酸塩を膨張させ、またはブロックコポリマーさえ膨張させるその能力に基づいて選択する必要がないことが見出された。したがって、本発明によるいくつかの実施形態では、層状ケイ酸塩を膨張させないような溶媒を選択することができる。別の実施形態では、ブロックコポリマーを膨張させないような溶媒を選択することができる。
【0027】
溶媒をせん断下で少なくとも部分的に除去する。通常は、これは、プロセスを実施するために使用するせん断装置に真空ポンプまたは圧力を低減させるための他の装置を連結させることによって行うことができる。溶媒を除去する前に、溶媒、ブロックコポリマー、および層状ケイ酸塩の混合物は、混合物の全重量を基準にして少なくとも10重量パーセントの溶媒を含む。例えば、混合物は、混合物の全重量を基準にして少なくとも10重量パーセント、20重量パーセント、30重量パーセント、40重量パーセント、50重量パーセント、60重量パーセント、70重量パーセント、80重量パーセントの溶媒、または少なくとも90重量パーセント以上の溶媒さえ含むことができる。
【0028】
除去した後、処理した混合物は、第2の混合物の全重量を基準にして5重量パーセント以下の溶媒を含む。例えば、第2の混合物は、第2の混合物の全重量を基準にして4重量パーセント、3重量パーセント、2重量パーセント、1重量パーセント以下の溶媒、または0.1重量パーセント未満の溶媒を含む可能性がある。さらに典型的には、本発明の方法に従って実現可能な溶媒レベルは、第2の混合物の全重量を基準にして0.2〜0.5重量パーセントの範囲の溶媒である。
【0029】
本発明の方法の最中に、インターカレーションおよび/または剥離が起こるので、第1の層状ケイ酸塩(すなわち、第1のd層スペーシングを有する層状ケイ酸塩)の重量は、ブロックコポリマーおよび溶媒と除去配合する前のその初期の重量(すなわち、最初の重量)の20パーセント未満に低減する。例えば、混合、および溶媒の少なくとも部分的な除去の最中に、第1の層状ケイ酸塩の量を、初期の重量の20パーセント、15パーセント、10パーセント、5パーセント未満の重量、または1パーセント未満あるいはそれ以下の重量にさえ低減することがある。
【0030】
インターカレーションおよび/または剥離を実現するために、溶媒の少なくとも部分的な除去の最中に、第1の混合物の素練りを行う。第1の混合物の素練りを行うのに有用な装置には、例えば真空混練機および押出機が含まれる。このような装置は、周知であり、かつ/または容易に商業的に入手可能であり、通常は揮発分を除去する機能(例えば、真空ポート)および/または温度制御ゾーンを装備している。装置は、材料を導入し抽出するための単一のポート(任意の真空ポート以外)を有することがあり、あるいは押出機または高粘度プロセッサーの場合のように入口および出口のポートを別々に有することがある。
【0031】
典型的に真空装置を設けた適切な高粘度プロセッサー(すなわち、混練機)の一例は、米国マサチューセッツ州アクトンのリストUSAインコーポレーテッド(List USA,Inc.,Acton,Massachusetts)によって商品名「ディスコサーム(DISCOTHERM) B」で市販されている高粘度プロセッサーである。この高粘度プロセッサーによって、大型の伝熱面および長期の滞留時間と組み合わせて強力な混合および混練がもたらされる。伝熱面は混練エレメント(kneading element)によって連続的に掃引され、それによって熱効率が向上し、高い伝熱速度が確実になる。内部キャビティ(inner cavity)は、比較的大きい作業容積(すなわち、反応混合物で占有されている容積)および充填レベルも有し、したがって高いスループットおよび長い保持時間が可能になる。しかし、作業容積は、反応器の全容積の60パーセントしか占有しておらず、それによって、発生気体および蒸気が強力な混合によってバルク表面に導かれた場合にその開放およびフラッシングが可能になる十分な余地が提供される。
【0032】
真空システムを設けた適切な混練機の別の例は、米国ノースカロライナ州ウィルミントンのイカ・ワークス・インコーポレーテッド(IKA Works,Inc.,Wilmington,North Carolina)によって商品名「MKD 0,6−H60高性能計量混練機(HIGH−PERFORMANCE MEASURING KNEADER)」で市販されているものである。
【0033】
適切な高性能混練機の別の例は、スルゴ・マシーンズ・エンジニアリング、イスラエル ネチボト(Srugo Machines Engineering,Netivot,Israel)から商品名「SRUGO SIGMA KNEADER」で市販されている。この混練機を、混練機の真空ポートによって真空装置に連結することができる。
【0034】
有用な押出機には、例えば単軸および多軸の押出機、ならびに往復押出機が含まれる。適切な押出機の例としては、スイス プラッテルンのコペリオン・バスAG(Coperion Buss AG,Pratteln,Switzerland)によって商品名「MKS」、例えば「MKS 30」で市販されているものが挙げられる。
【0035】
層状ケイ酸塩のインターカレーションおよび/または剥離の程度は通常は、例えば成分の濃度または組成、混合装置の圧力(すなわち、真空)、プロセスの温度プロフィル(例えば、等温または傾斜)、軸設計、材料の添加順序、適用するせん断力および/または速度のレベル、ならびに混合プロセスの時間を含めて、変数によって大部分制御することができる。例えば、インターカレーションおよび/または剥離は、通常は溶媒除去の温度を上げることまたは速度を下げることによって(例えば、適用する真空度を低減することによって)、向上させることができる。温度を選択する際に、例えば第1の層状ケイ酸塩および/またはブロックコポリマーの分解を比較的低いレベルに維持することができるような、溶媒、第1の層状ケイ酸塩、およびブロックコポリマーの物理的諸特性および化学的諸特性を考慮すべきである。このような変数を連続的にまたは段階的に改変してもよく、あるいは一定レベルに維持してもよい。処理を助けるために、混練機または押出機の温度を、通常はブロックコポリマーのガラス転移温度および/または融点を超えて維持するが、これは要件ではない。
【0036】
意外なことに、本発明によれば、溶媒は、素練りプロセス用の滑沢剤として働くことができ、第1の層状ケイ酸塩および/またはブロックコポリマーをプロセス条件下で膨張させ得る必要がないことが見出される。
【0037】
いくつかの実施形態では、第2の混合物を、ポリマー樹脂またはポリマー樹脂の混合物と混合する(すなわち、それに入れる)ことができる。一実施形態では、第2の混合物は、通常は比較的高い含有量のインターカレートした層状ケイ酸塩および/または剥離ケイ酸塩小板を有するマスターバッチを含むことができる。例えば、マスターバッチの第2の層状ケイ酸塩と剥離ケイ酸塩小板の全量は、第2の混合物の少なくとも30重量パーセント、40重量パーセント、50重量パーセント、60重量パーセントまたはそれ以上を構成することができる。
【0038】
第2の混合物を含む混合物とポリマー樹脂との混合は、通常はポリマー樹脂の性質に応じて任意の適切な技法によって実現することができる。このような技法には、例えば、場合によっては溶媒の存在下での押出し、撹拌、および混練が含まれる。
【0039】
第2の混合物および/またはポリマー樹脂は、例えば粒状の形、または流体(例えば、溶融した形)で添加することができる。ポリマー樹脂と第2の混合物を組み合わせる他の方法を使用することもできるが、有用な一実施形態では、第2の混合物を、スクリュー押出機の本体内で流体ポリマー樹脂と組み合わせ、そこで流体(例えば、溶融)ナノコンポジット材料を成し、押出機から抽し出した後(例えば、冷却または硬化することによって)固化することができる。
【0040】
任意の量の第2の混合物を、例えば得られるナノコンポジットの所期の物理的諸特性に応じて任意の量のポリマー樹脂に入れることができる。例えば、ポリマー樹脂とブロックコポリマーの重量比は、20〜200(両端を含む)の範囲とすることができる。
【0041】
任意の有機ポリマー樹脂を本発明の実施で使用することができる。例えば、有用なポリマー樹脂は、熱可塑性、熱硬化性、またはその組合せとすることができる。通常は、本発明による方法は、熱可塑性ポリマー樹脂の場合の使用によく適している。
【0042】
有用な熱可塑性ポリマー樹脂には例えば、例えばポリ(ピバロラクトン)やポリ(カプロラクトン)などのポリラクトン;例えば1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、または4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンなどのジイソシアネートと、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(2,3−ブチレンスクシネート)、ポリエーテルジオールなどの線状長鎖ジオールとの反応から誘導されるものなどのポリウレタン;ポリ(メタンビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(1,1−エーテルビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(ジフェニルメタンビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(1,1−シクロヘキサンビス(4−フェニル)カーボネート)、またはポリ(2,2−(ビス4−ヒドロキシフェニル)プロパン)カーボネートなどのポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;例えばポリ(4−アミノ酪酸)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(6−アミノヘキサン酸)、ポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(p−キシリレンセバクアミド)、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)、およびポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)などのポリアミド;例えばポリ(エチレンアゼレート)、ポリ(エチレン−1,5−ナフタレート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンオキシベンゾエート)、ポリ(パラ−ヒドロキシベンゾエート)、ポリ(1,4−シクロヘキシリデンジメチレンテレフタレート)(シス)、ポリ(1,4−シクロヘキシリデンジメチレンテレフタレート)(トランス)、ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)およびポリ(2,6−ジフェニル−1,1フェニレンオキシド)などのポリ(アリーレンオキシド);例えばポリフェニレンスルフィドなどのポリ(アリーレンスルフィド);ポリエーテルイミド;例えばポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニリデン、およびエチレンビニルアセテートコポリマーなど、ビニルポリマーならびにそのコポリマー;例えばポリ(エチルアクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(n−プロピルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマーなどのアクリルポリマー;アクリロニトリルコポリマー(例えば、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン−コ−スチレン)およびポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル));例えばポリスチレン、ポリ(スチレン−コ 無水マレイン酸)ポリマーおよびその誘導体、メチルメタクリレート−スチレンコポリマー、ならびにメタクリル化ブタジエン−スチレンコポリマーなどのスチレン系ポリマー;例えばポリエチレン、ポリブチレン、ポリプロピレン、塩素化低密度ポリエチレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリオレフィン;イオノマー;ポリ(エピクロルヒドリン);例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのナトリウム塩と4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとの反応生成物などのポリスルホン;例えばポリ(フラン)などのフラン樹脂;例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、およびプロピオン酸セルロースなどのセルロースエステルプラスチック;タンパク質プラスチック;例えばポリフェニレンオキシドなどのポリアリーレンエーテル;ポリイミド;ポリビニリデンハリド;ポリカーボネート;芳香族ポリケトン;ポリアセタール;ポリスルホネート;ポリエステルイオノマー;およびポリオレフィンイオノマーが含まれる。上記のこれらのポリマーのコポリマーおよび/または組合せも使用することができる。
【0043】
有用な熱可塑性エラストマーポリマー樹脂には、例えばポリブタジエン、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、スルホン化エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、ポリクロロプレン、ポリ(2,3−ジメチルブタジエン)、ポリ(ブタジエン−コ−ペンタジエン)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルフィドエラストマー;ポリスチレン、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(t−ブチルスチレン)、ポリエステルなど、ガラス質または結晶質のブロック、およびポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブチレンコポリマー、ポリエーテルエステルなどのエラストマーブロックのブロックで構成されているブロックコポリマー、例えば米国テキサス州ヒューストンのシェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Company,Houston,Texas)によって商標「クラトン(KRATON)」で製造されているポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)ブロックコポリマーのコポリマーなどが含まれる。上記のこれら熱可塑性ポリマーのコポリマーおよび/または混合物も使用することができる。
【0044】
有用なポリマー樹脂には、フルオロポリマー、すなわち少なくとも部分的にフッ素化されたポリマーも含まれる。有用なフルオロポリマーには、例えばクロロトリフルオロエチレン、2−クロロペンタフルオロプロペン、3−クロロペンタフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、2−ヒドロペンタフルオロプロペン、1,1−ジクロロフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニルフルオリド、パーフッ素化ビニルエーテル(例えば、CF3OCF2CF2CF2OCF=CF2などのパーフルオロ(アルコキシビニルエーテル)、またはパーフルオロ(メチルビニルエーテル)またはパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル));例えばニトリル含有モノマー(例えば、CF2=CFO(CF2LCN、CF2=CFO[CF2CF(CF3)O]q(CF2O)yCF(CF3)CN、CF2=CF[OCF2CF(CF3)]rO(CF2tCN、またはCF2=CFO(CF2uOCF(CF3)CN(式中、L=2〜12;q=0〜4;r=1〜2;y=0〜6;t=1〜4;およびu=2〜6))、臭素含有モノマー(例えば、Z−Rf−Ox−CF=CF2(式中、Zは、BrまたはIであり、Rfは、置換または非置換のC1〜C12フルオロアルキレンであり、これは、パーフッ素化されていてもよく、1つまたは複数のエーテル酸素原子を含んでいてもよく、xは、0または1である)などの硬化部位モノマー;あるいはその組合せを含むモノマーから、場合によっては例えばエチレンまたはプロピレンなどの追加の非フッ素化モノマーと組み合わせて(例えば、フリーラジカル重合によって)調製することができるものが含まれる。このようなフルオロポリマーの特有の例としては、ポリフッ化ビニリデン;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンのコポリマー;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロプロピルビニルエーテル、およびフッ化ビニリデンのコポリマー;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー;テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(プロピルビニルエーテル));およびその組合せが挙げられる。
【0045】
有用な市販の熱可塑性フルオロポリマーには、例えば米国ミネソタ州オークデールのダイニオンLLC(Dyneon LLC,Oakdale,Minnesota)によって商品名「THV」(例えば、「THV 220」、「THV 400G」、「THV 500G」、「THV 815」、および「THV 610X」)、「PVDF」、「PFA」、「HTE」、「ETFE」、および「FEP」で市販されているもの;米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのアトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals,Philadelphia,Pennsylvania)によって商品名「カイナー(Kynar)」(例えば、「カイナー(Kynar) 740」)で市販されているもの;米国ニュージャージー州ソロフェアのソルベイ・ソレクシス(Solvay Solexis,Thorofare,New Jersey)によって商品名「ハイラー(HYLAR)」(例えば、「ハイラー(HYLAR) 700」)および「ハイラー(HALAR) ECTFE」で市販されているものが含まれる。
【0046】
有用な熱硬化性ポリマー樹脂には、例えばエポキシ樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、一液および二液ウレタン樹脂(one-part and two-part urethane resin)、シアネート樹脂、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、およびその組合せが含まれる。熱硬化性樹脂を使用する場合、その樹脂に対して適切な硬化剤(curative)(例えば、熱硬化剤および/または光硬化剤)を、ポリマー樹脂と共に含むこともできる。
【0047】
場合によっては、第1の混合物および/または第2の混合物、ならびに/またはナノコンポジットは、例えば界面活性剤、防炎剤、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与剤樹脂、着色剤、芳香剤、または抗菌剤など、1つまたは複数の添加剤をさらに含有することができる。
【0048】
本発明による方法は、バッチプロセスでまたは連続式で実施することができる。
【0049】
本発明に従って調製されたナノコンポジットは、分散液、通常はポリマー樹脂中の剥離ケイ酸塩小板の等方性分散液である。ナノコンポジット中の剥離ケイ酸塩小板の量は、任意の量とすることができるが、ナノコンポジットの全重量を基準にして典型的には0.1〜10重量パーセントの範囲、より典型的には0.5〜7重量パーセントの範囲、さらにより典型的には1〜5重量パーセントの範囲(両端を含む)である。同様に、いくつかの実施形態では、ナノコンポジット中の剥離ケイ酸塩小板と第2の層状ケイ酸塩の重量比は、より低い重量比も使用することができるが、少なくとも1、2、3、4、5、10、50、またはそれ以上とすることができる。
【0050】
ナノコンポジット中のポリマー樹脂は、例えば熱可塑性樹脂の場合には冷却することによって、または熱硬化性ポリマー樹脂の場合には少なくとも部分的に硬化することによって、固めることができる。
【0051】
本発明に従って調製されたナノコンポジットは、例えば遮断フィルムまたはビン、および難燃性材料の製造に有用である。
【0052】
下記の非限定的実施例によって、本発明の目的および利点をさらに説明するが、これらの実施例に記載されている特定の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を不当に限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0053】
別段の注記のない限り、実施例および本明細書の残りの部分における部、百分率、比などはすべて、重量によるものであり、実施例で使用する試薬はすべて、例えば米国ミズーリ州セントルイスのシグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich Company,Saint Louis,Missouri)などの一般化学品供給業者から得、または入手可能であるか、あるいは通常の方法によって合成することができる。
【0054】
下記の略語は、実施例全体にわたって使用されている。
【0055】
【表1】

【0056】
下記の手順を実施例で使用した。
【0057】
(XRDおよびTEM分析用のフィルム調製)
厚さ1mmのフィルムで、XRDおよびTEMによる分析を行った。フィルムを形成するために、分析対象の材料をそれぞれ、厚さ0.051mmの未処理のポリエステルライナーの間に配置し、ポリエステルライナーを2枚のアルミニウムプレート(それぞれ、厚さ3.2mm)の間に配置して、スタックを形成した。2つのシム(それぞれ、厚さ1mm)を、組み立てたスタックをプレスする際に混合物がどちらのシムとも接触しないようにスタックの両側に配置した。各スタックを、商品名「ウォバシュ・エムピーアイ(WABASH MPI) モデルG30H−15−LP」で米国インディアナ州ウォバシュのウォバシュMPI(Wabash MPI,Wabash,Indiana)から入手可能な加熱した液圧プレスに配置した。上部と底部の両方のプレスプレートを193℃に加熱した。スタックを1500psi(10MPa)で1分間プレスした。次いで、熱いスタックを低圧水冷プレス(low-pressure water-cooled press)に30秒間移して、スタックを冷却した。スタックを分解し、混合物をプレスして得られたフィルムディスクの両側からライナーを取り外した。
【0058】
(X線回折(XRD))
4軸回折計(商品名「フーバー(HUBER)(424/511.1)」でフーバー・ディフラクションズテクニック、ドイツ リムスティング(Huber Diffraktionstechnik GmbH,D83253 Rimsting,Germany)から入手可能)、銅K−α線、および散乱線のシンチレーション検出器レジストリを使用して、反射ジオメトリX線散乱データを収集した。入射ビームを0.70mmの円形アパーチャに視準した。0.5〜10度(2θ)の反射ジオメトリにおいて、ステップサイズ(step size)0.05度および静止時間(dwell time)10秒を用いて走査を実施した。シールド管X線供給源、ならびにX線発生器設定40kVおよび20mAを使用した。商品名「ジェード(JADE)」で米国カリフォルニア州リバーモアのMDIインコーポレーテッド(MDI,Inc.,Livermore,California)から入手可能なX線回折分析ソフトウェアを使用して、データ解析およびピーク位置定義(peak position definition)を決定した。
【0059】
(透過型電子顕微鏡(TEM))
商品名「JEOL 200CX」で米国マサチューセッツ州ピーボディーのJEOL USA(Peabody,Massachusetts)から入手可能な透過電子顕微鏡を200kVで操作して使用して、TEMを行った。
【0060】
(分子量および多分散性)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析で、平均分子量および多分散性を決定した。約25mgの試料を10ミリリットル(mL)のTHFに溶解して、混合物を形成した。孔径0.2ミクロンのポリテトラフルオロエチレンシリンジフィルタを使用して、混合物を濾過した。次いで、150マイクロリットルの濾過溶液を、商品名「PLGEL−混合B(PLGEL−MIXED B)」で米国マサチューセッツ州アマーストのポリマー・ラボズ(PolymerLabs,Amherst,Massachusetts)から入手可能な、オートサンプラーおよびポンプを装備したGPCシステムの一部分である長さ25cm、直径1cmのゲル充填カラムに注入した。約0.95mL/分の流量で移動するTHF溶離液を使用して、GPCを室温でシステム操作した。屈折率検出器を使用して、濃度変化を検出した。600〜6×106g/モルの分子量の多分散性の狭いポリスチレン対照を使用して、数平均分子量(Mn)および多分散指数(PDI)の計算値を較正した。実際の計算は、ソフトウェア(商品名「カリバー(CALIBER)」で米国マサチューセッツ州アマーストのポリマー・ラボズ(Polymer Labs,Amherst,Massachusetts)から入手可能)を用いて行った。
【0061】
1H NMR分光法)
1H核磁気共鳴(1H NMR)分光法分析で、各ブロックの相対的濃度を決定した。試験体を重水素化クロロホルムに約10重量パーセントの濃度で溶解し、商品名「ユニティ(UNITY) 500MHZ NMR分光計」で米国カリフォルニア州パロアルトのバリアン・インコーポレーテッド(Varian,Inc.,Palo Alto,California)から入手可能な500MHz NMR分光計に配置した。ブロック濃度を、特徴的なブロック成分スペクトルの相対面積から計算した。
【0062】
下記の一般的手順を実施例で使用した。
【0063】
(マスターバッチ調製の一般的手順)
商品名「リスト・ディスコサームB6高粘度プロセッサー(LIST DISCOTHERM B6 HIGH VISCOSITY PROCESSOR)」で米国マサチューセッツ州アクトンのリストAG(List AG,Acton,Massachusetts)から入手可能な高粘度プロセッサー(HVP)を使用して、マスターバッチの連続調製を実施する。HVPは、同心撹拌シャフトをもつ水平型円柱状本体を有する。斜めの周縁混合−混練棒(angled peripheral mixing-kneading bar)を有するディスクエレメントがシャフトに搭載されて(シャフトに対して垂直に伸びて)おり、静止鉤状棒(stationary hook-shaped bar)がハウジングの内部に搭載され、シャフトおよびディスクエレメントが回転するときそれと相互作用し、それを清浄する。HVPは、材料取出し用の二軸ディスチャージ(twin-screw discharge)を有する。HVPの全容積は、17.5Lであり、作業容積は12Lである。ハウジング、シャフト、およびディスクエレメントをすべて、熱油加熱システムで加熱する。反応器の伝熱面積は0.67m2である。HVP内の3つの場所で、温度を制御し、モニタリングする:(1)反応器入口ゾーン(ゾーン1)、(2)反応器中間ゾーン(ゾーン2)、および(3)反応器出口ゾーン(ゾーン3)。変速電動機は、最大トルク1200Nmで撹拌シャフトを駆動する。蒸気除去のため、真空ポンプが反応器のゾーン2の上部に取り付けられている。
【0064】
フィード溶液を、540ml/分で作動する歯車ポンプによってHVPに送り込む。真空設定70トールで、HVPを165℃に加熱する。主撹拌シャフトを速度63rpmで撹拌し、ディスチャージ用スクリューを166rpmで作動させる。HVP内の温度は、ゾーン1=100℃、ゾーン2=178℃、およびゾーン3=168℃である。
【0065】
(連続二軸押出の一般的手順)
商品名「コペリオンZSK−25ワールドラボ押出機(COPERION ZSK−25 WORLD LAB EXTRUDER)」で米国ニュージャージー州ラムジーのコペリオン(Coperion,Ramsey,New Jersey)から入手可能なL/Dが41:1の25−mm同方向回転二軸押出機(TSE)を使用して、連続二軸押出を実施する。押出機のバレルゾーンは、長さ4D(100mm)である。押出機を320°F(160℃)、スクリュー速度300rpmで運転する。
【0066】
TSEは、OC1および/またはP(S−VP)をバレルゾーン3の押出機に添加した後に溶融PS樹脂に組み込むための混練セクションをバレルゾーン4に有する。この混練セクションは、長さ3D(すなわち、内径の3倍)であり、分散混合のための高中程度のせん断強度の順回転混練エレメント(forwarding kneading element)、および溶融シールを生成し、分布混合を行うための低せん断強度の逆回転混練エレメント(reversing kneading element)が組み込まれている。バレルゾーン5の初めの部分にある長さ1Dの小型大気ベントは、バレルゾーン3での粉末添加によって捕捉された空気を排出するために使用される。3つの下流混合セクションが組み込まれて、分散混合および分布混合のためのせん断エネルギーが集約される。3.5D混合セクションはバレルゾーン5および6にまたがり、2.5D混合セクションはバレルゾーン7で利用され、3D混合セクションはバレルゾーン8および9にまたがった。すべての場合において、中低度のせん断強度の順回転混練エレメント、および狭いパドルを有する低せん断強度の逆回転混練エレメントを利用して、適切な分散および分布の混合を生じる。52トール(6.9kPa)の真空は、バレルゾーン9の2D(50mm)の真空ベントで引いて、揮発性物質を除去する。熱均質性および追加の分布混合を実現するために、コペリオン(Coperion)から入手可能な商品名「ZME」の歯車型混合エレメントを、真空ベントの下流で利用する。浸漬深さ熱電対(immersion-depth thermocouple)で、溶融流の温度をそれぞれバレルゾーン4および6の混練セクションにわたってモニタリングし記録する。TSEのゾーン1への溶融樹脂の連続押出は、24枚のフライト(flight)を有する3.0:1圧縮汎用スクリューを装備した1.25インチ(3.18cm)の単軸押出機(SSE)(商品名「キリオンKTS−125単軸押出機(KILLION KTS−125 SINGLE−SCREW EXTRUDER)」でデイビス−スタンダード(Davis−Standard);米国コネティカット州ポーカタック(Pawcatuck,Connecticut)から入手可能)を使用して実施する。二軸押出機のバレルゾーン3の雰囲気に開放している2D(50mm)のポートへのOC1および/またはP(S−VP)の送入は、商品名「K−トロン重量式フィーダ、モデルKCLKT20(K−TRON GRAVIMETRIC FEEDER,MODEL KCLKT20)」で米国ニュージャージー州ピットマンのK−トロン・インターナショナル(K−Tron International,Pitman,New Jersey)から入手可能なツインのオーガスクリュー(twin auger screw)を装備した重量式フィーダを使用して行う。
【0067】
TSEからの押出物を、商品名「ノルマグ(NORMAG)」で米国ノースカロライナ州ヒッコリーのダイニスコ・エクストルージョン(Dynisco Extrusion,Hickory,North Carolina)から入手可能な10.3mL/回転歯車ポンプで計量し、直径1/2インチ(1.3cm)のパイプを経由して押し出して、ストランドを形成する。ストランドを水浴で8℃に冷却し、ペレット化する。
【0068】
(実施例1〜4)
THF中に様々な量のP(S−VP)およびOC1を有する4つの別々のフィード溶液を作製した。フィード溶液1〜4の組成を表1(下記)に報告する。
【0069】
【表2】

【0070】
マスターバッチ調製の一般的手順に従って、フィード溶液1〜4を、マスターバッチ1〜4にそれぞれ配合した。いずれの場合も、乾燥押出物がHVPから得られ、フィルムにプレスし、XRDで分析した。これによって、20パーセント超のOC1が、他の形に変換されたことが判明した。
【0071】
(実施例5〜8)
次いで、連続二軸押出の一般的手順に従って、マスターバッチ1〜4を追加のPSと配合して、表2(下記)に報告するようにナノコンポジット1〜4を形成した。
【0072】
【表3】

【0073】
XRDおよびTEMの分析によって、ナノコンポジット1〜4の剥離性が確認された(例えば、XRD分析によって、d層スペーシングが観察可能であり、TEMによって、剥離ケイ酸塩小板が明らかであった)。ナノコンポジット1〜4の代表的なTEM顕微鏡写真を、図2〜5にそれぞれ示す。
【0074】
(実施例9)
P(S−VP)、OC1、およびアセトンでスラリーを調製した。スラリー組成を表4(下記)に示す。
【0075】
【表4】

【0076】
スラリーは、揮発分を除去し、比較例Dのバッチ真空混練機で配合した。混練機を160℃に加熱し、真空150トール(20kPa)を保持した。撹拌機は、速度50rpmで撹拌した。得られたコンポジットを45分間混合し、揮発分を除去した。バッチ方法によって、溶媒を除去し、P(S−VP)およびOC1粘土を配合することができた。コンポジットをフィルムにプレスし、XRDで分析した。粘土自体の初期のd層スペーシング、および最終コンポジットのd層スペーシングを表4に示す。XRDで判断して、明らかに崩壊した粘土はなかった。
【0077】
(比較例A)
重量式フィーダを速度3.4kg/hrで使用して、粉砕P(S−VP)を連続二軸押出の一般的手順で使用するTSEのゾーン1に計り入れた。P(S−VP)を押出機の最初の2つのゾーンで溶融させた。重量式フィーダを速度3.4kg/hrで使用して、OC1をゾーン3で添加した。得られたマスターバッチAには、重量比1:1のP(S−VP):OC1があった。マスターバッチAを押し出し、ペレット化し、XRDで分析した。これによって、3.65nmのd層スペーシングがあることが判明した。
【0078】
連続二軸押出の一般的手順に従って、マスターバッチAをPSに入れた。この手順では、PSを溶融し、速度6.12kg/hrで単軸押出機を介して二軸押出機に送り込み、ペレット化されたマスターバッチAを速度0.68kg/hrでゾーン3に送り込んだ。得られた押出物には、重量比90:5:5のPS:P(S−VP):OC1があった。押出物の一部分をフィルムにプレスし、XRDで分析した。これによって、押出物中の有機粘土は、3.82nmのd層スペーシングを有することが判明した。
【0079】
(比較例B)
1kgのP(S−VP)を13.5kgのTHFに溶解した。この溶液に、1kgのOC1を添加した。THFがすべて除去されるまで、溶液をバッチ真空オーブン中、110℃で12時間乾燥した。得られたマスターバッチBには、重量比1:1のP(S−VP):OCIがあった。マスターバッチBの一部分をフィルムにプレスし、XRDで分析し、3.35nmのd層スペーシングが判明した。
【0080】
連続二軸押出の一般的手順に従って、マスターバッチBをPSに入れた。この手順では、PSを溶融し、速度6.12kg/hrでTSEに送り込み、マスターバッチBを速度0.68kg/hrでゾーン3に送り込んだ。得られた押出物には、重量比90:5:5のPS:P(S−VP):OC1があった。押出物の一部分をXRDおよびTEMで分析した。これによって、押出物の有機粘土には、3.32nmのd層スペーシングがあることが判明したが、TEMによって剥離されていないことが判明した。
【0081】
(比較例C)
PS:OC1の重量比が95:5である点以外は実施例1と同様にして、OC1を、二軸押出機でPSと配合した。TEM分析によって、これらのコンポジットの非剥離性が確認された。非剥離性を示すコンポジットの代表的なTEM顕微鏡写真を、図6〜7に示す。
【0082】
(比較例D〜E)
2つのフィード溶液をP(I−VP)で調製した。表3(下記)に報告する量を使用して、一方の溶液(フィード溶液D1)はTHF中のタルクで作製し、他方(フィード溶液E1)はTHF中のカオリン粘土で作製した。
【0083】
【表5】

【0084】
フィード溶液はそれぞれ、バッチ真空混練機(BVP)で揮発分を除去し、配合した。BVPは、商品名「MKD 0,6−H60 イカビスク計量混練機(IKAVISC MEASURING KNEADER)」でイカ・ラボルテクニック、ドイツ シュタウフェン(IKA Labortechnik Gmbh & Co.KG,D−79219 Staufen,Germany)から得られた。BVPは、600mLを保持する混練桶(kneading trough)を有し、作業容積が300mLであった。桶の底部は二重壁であり、バッチを熱油循環器で加熱することが可能であった。混練は、電動機に固定した2つの混練パドルで実施し、水平と垂直の両方向に混合した。パドルは、継続的に壁を拭い、相互に拭う。BVPの蓋には、真空を確立することができ、液体を導入することができるポートがあった。一定出力160WのDC電動機を、トルク60Nmを伝達して、パドルを駆動することができる歯車組立体から下流に搭載した。BVPを120℃に加熱し、真空25トール(3.3kPa)を保持し、その間、主撹拌シャフトを63rpmで回転させた。フィード溶液D1およびE1は、BVPで揮発分を除去させ、45分間混合し、それぞれ混合物D1およびE1が得られ、フィルムにプレスし、XRDで分析した。混合物1およびE1についてのXRD測定の結果を、表3に報告する。
【0085】
本発明の様々な修正および変更は、当業者が本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく行うことができ、本発明は、本明細書に記載する例示的実施形態に不当に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の例示的一実施形態によるプロセスフロー図である。
【図2】実施例5のナノコンポジット1のTEM顕微鏡写真である。
【図3】実施例6のナノコンポジット2のTEM顕微鏡写真である。
【図4】実施例7のナノコンポジット3のTEM顕微鏡写真である。
【図5】実施例8のナノコンポジット4のTEM顕微鏡写真である。
【図6】比較例CのコンポジットのTEM顕微鏡写真である。
【図7】比較例CのコンポジットのTEM顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の作製方法であって、
第1のd層スペーシングを有する第1の層状ケイ酸塩、第1の層状ケイ酸塩と相溶である少なくとも1つのブロックを有するブロックコポリマー、および溶媒を含む成分を混合して第1の混合物を提供する工程であって、該第1の混合物は、該第1の混合物の全重量を基準にして少なくとも10重量パーセントの溶媒を含む、工程と、
第1の混合物から溶媒の少なくとも一部分を除去しながら、第1の混合物を素練りして第2の混合物を提供する工程であって、該第2の混合物は、
a)第1のd層スペーシングより大きい第2のd層スペーシングを有する第2の層状ケイ酸塩;または
b)剥離ケイ酸塩小板
のうちの少なくとも1つをその中に分散させたブロックコポリマーを含み、かつ
該第2の混合物は、第2の混合物の全重量を基準にして5重量パーセント以下の溶媒を含む、工程とを包含する方法。
【請求項2】
前記素練りが、真空混練機または押出機を使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、前記第1の層状ケイ酸塩を膨張させない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の層状ケイ酸塩と剥離ケイ酸塩小板の全量が、前記第2の混合物の少なくとも30重量パーセントを構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の層状ケイ酸塩と剥離ケイ酸塩小板の全量が、前記第2の混合物の少なくとも40重量パーセントを構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2の層状ケイ酸塩と剥離ケイ酸塩小板の全量が、前記第2の混合物の少なくとも50重量パーセントを構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第2の層状ケイ酸塩と剥離ケイ酸塩小板の全量が、前記第2の混合物の少なくとも60重量パーセントを構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の混合物が、1パーセント未満の前記溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、連続式で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ブロックコポリマーがジブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ブロックコポリマーが高フッ素化ブロックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ブロックコポリマーが、ポリ(スチレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、およびポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)の水素化した形態からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記層状ケイ酸塩が、モンモリロナイト、ノントロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、フルオロヘクトライト、ステベンサイト、ボルコンスコイト、マガディアイト、ケニヤアイト、ハロイサイト、ハイドロタルサイト、合成層状ケイ酸塩、またはその組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記層状ケイ酸塩が有機粘土を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の混合物をポリマー樹脂と混合して、前記ポリマー樹脂に分散された剥離ケイ酸塩小板を含むナノコンポジットを提供する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、連続式で実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー樹脂が熱可塑性樹脂を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性樹脂を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー樹脂がエラストマー樹脂を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー樹脂が、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリロニトリルコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、芳香族ポリケトン、またはその組合せを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマー樹脂がポリオレフィンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマー樹脂と前記ブロックコポリマーの重量比が、20〜200の範囲(両端を含む)である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記ナノコンポジット中の前記剥離ケイ酸塩小板と前記第2の層状ケイ酸塩の重量比が、少なくとも1である、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記剥離ケイ酸塩小板が、前記ナノコンポジット中に前記ナノコンポジットの全重量を基準にして1〜5重量パーセント(両端を含む)の量で含まれる、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−514748(P2008−514748A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533477(P2007−533477)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/029891
【国際公開番号】WO2006/036390
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】