説明

組成物における改良又は組成物に関連した改良

摂取可能な粒子状組成物は、(a)2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシチジン、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェン、パラセタモール、ペクチン、メントール及びベンジダミンから成る群から選択される少なくとも1種の化合物と、(b)1種以上の生体接着性材料とを含む。得られるし粒子状組成物は優れた流動特性、粉塵抑制性、感覚刺激特性及び安定性を有する。組成物は、患者の口内に向かっての投与に極めて適しており、摂取されることによって咽頭痛の症状が和らげられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物、特には咽頭痛の治療のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
咽頭痛は、糖をベースとしたトローチ剤(lozenge)を舐めることによって治療されることが多い。トローチ剤は、咽頭痛に有効な少なくとも1種の化合物を含有する。加えて、トローチを舐める行為によって唾液が分泌され、この唾液によって喉の潤滑性が良くなり、個人が感じる痛みや不快感が軽減される。
のど飴(boiled sugar lozenge)は、「ガラス」又は過冷液体であり、極めて高い粘度でアモルファスな非結晶状態を有する。この状態において、その他の成分を溶解又は懸濁させることができる(着色料、香料、薬学的活性成分等)。このようなのど飴の含水量は低い(約2%)。この水分の一部は「自由な」状態にあるが、水分の大半はその状態にない。このため、安定した化学的及び物理的環境が得られる。
【0003】
しかしながら、このようなのど飴の含水量が少しでも上昇すると、以下の悪影響が起こる。つまり、「ガラス」の粘度が低下し、のど飴は徐々に「コールドフロー」を起こす。「自由な」水の存在は反応媒質を提供することになり、添加された成分の劣化が促進される可能性がある。水によってのど飴は粘着性となり、魅力的ではない上、包装装置又は服用者による取り扱いが困難なものになる。水は、典型的に添加される風味をより良くするための有機酸によってもたらされる酸性条件下で触媒される糖中の二糖結合の加水分解に使用される。二糖結合の開裂によってグルコース及びフルクトースが生成され、これらは両方共、糖(ショ糖)より吸湿性が高く、また周囲の環境からの更なる水の吸収を加速させる傾向がある。糖含有量が低下すると、のど飴の物理的な硬さが損なわれてしまう。場合によっては、のど飴の完全な液化が起こる可能性がある。水の吸収は加速性の過程であることから、最初の含水量が低いこと、またのど飴を取り巻く環境からたとえ小量の水であっても排除することが、貯蔵寿命を最長にするために重要である。医薬品成分を含有している薬用のど飴にとって、安定性の問題は、糖菓としてののど飴と比較すると特に重要である。例えば、医薬品ではより長い貯蔵寿命が必要とされ、含水量の上昇によって引き起こされる化学的変化に関連した健康へのリスクがあり、また高価な商品が台無しになってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、咽頭痛を治療するための、糖をベースとしたトローチ剤を使用しない代替製品を開発することが望ましい。
【0005】
本発明において、口内に直接投与可能な流動性粒子状組成物を達成することが、好ましい実施形態の重要な目的である。トローチ剤の経口投与に関連した問題は、粒子状組成物の経口投与に関連した問題とは極めて異なる。例えば、トローチ剤の場合は、単純に嚥下する、より好ましくは舐めるだけである。舐めることで刺激されて唾液が分泌され、この唾液によって喉の潤滑性が良くなり、痛み及び不快感又はその知覚が軽減される。粒子状組成物を投与すると、口内が急激に乾燥する作用が起こる可能性があるが、この作用を緩和するための舐める動作は行われない。
【0006】
本製剤の開発目的は、局所的な除痛を行い、また喉の炎症を軽減するための適切な医薬活性化合物の送達方法として顆粒方式を作り出すことであった。幾つかの顆粒状組成物が知られているが、これらは生体接着物質を含まず、また喉からすぐに押し流されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様において、
(a)2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシチジン(hexitidine)、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェン、パラセタモール、ペクチン、メントール及びベンジダミンから成る群から選択される少なくとも1種の化合物と、
(b)1種以上の生体接着性材料と
を含む摂取可能な粒子状組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の製剤を調製するための方法を示す。
【図2】本発明の生体接着性における改善の測定に使用されるIVORモデルを示す。
【図3】得られた試験管内フルルビプロフェン放出データを示す。
【図4a】カーボポール非含有製剤について得られた画像を示す。
【図4b】本発明のカーボポール含有製剤について得られた画像を示す。
【図5】活性医薬品を局所的に送達するための製剤の能力の測定に使用されるFRANZセルを示す。
【図6】FRANZセルを使用して得られた結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましくは、この組成物は流動性粒子であり、流動性粒子という表現によって発明者は、容器(例えば、小袋)から砂糖又は塩のように流し込めるものを意味する。
【0010】
好ましい1種以上の化合物には、限定するものではないが、2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン及びこれらの組み合わせが含まれる。好ましい実施形態において、この少なくとも1種の医薬活性化合物は、フルルビプロフェンから選択される。
本発明の組成物は、重炭酸塩(bicarbonate)及び/又は有機酸を含むこともできる。本発明の組成物は、患者の口内で発泡性であってもよく、好ましくは重炭酸塩と有機酸との組み合わせで発泡させる。
重炭酸塩の例は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ土類金属重炭酸塩である。1種以上の異なる重炭酸塩も使用し得る。
【0011】
存在する場合、重炭酸塩は、適切には本発明の組成物中に最高15質量%、好ましくは5〜10質量%の量で存在し、2種以上の重炭酸塩が存在する場合、これは合計量である。
好ましくは、有機酸はカルボン酸である。最も好ましくは、有機酸はポリカルボン酸である。好ましくは、有機酸は、2〜5個のカルボン酸基、より好ましくは3〜4個のカルボン酸基、特には3個のカルボン酸基を有する。好ましい有機酸の例には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸及びフマル酸が含まれる。
【0012】
有機酸対重炭酸塩(2種以上が存在する場合は合計質量)モル比は、
3(酸):1(重炭酸塩)、
2(酸):1(重炭酸塩)、
1(酸):1(重炭酸塩)、
1(酸):1より大きい(重炭酸塩)、
1(酸):少なくとも1.5(重炭酸塩)、
1(酸):少なくとも2(重炭酸塩)及び
1(酸):3(重炭酸塩)になり得る。
【0013】
発泡のための好ましい組み合わせは、重炭酸ナトリウム及びクエン酸である。
好ましくは、粒子状組成物は、少なくとも0.3質量%、より好ましくは少なくとも1質量%、より好ましくは少なくとも2質量%、最も好ましくは2.5質量%の有機酸を含有する。これらの値は、2種以上の有機酸が存在する場合は合計量を意味し、組成物の総質量に対する量である。
適切には、1種以上の生体接着性材料はポリマー又はオリゴマー化合物であり、好ましくは最高数百万ダルトンもの高分子量を有するポリマー又はオリゴマー化合物である。
【0014】
好ましい1種以上の生体接着性材料は、カルボマー(カーボポール(Carbopol)974P、カーボポール941P等)、キサンタンガム、イナゴマメガム、アルギネート、カラギーナン又はセルロースを含む群から選択される。その他の適切なカルボマーも使用することができる。
本発明の好ましい組成物は、ポリビニルピロリドン又はアラビアゴムを含有しない。
1種以上の生体接着性材料は好ましくは最高10質量%、好ましくは最高5質量%、最も好ましくは最高3質量%の量で存在する。各ケースにおいて、これらの定義は、2種以上の生体接着性材料が存在する場合は合計量を意味し、また成分の総量に対する量である。
【0015】
本発明の組成物は、更なる任意の成分も含み得る。
本発明の組成物は、1種以上の希釈剤、1種以上の着色料、甘味料、香料、pH調節成分、増量剤、流動性改善剤、保存料、酸化防止剤、水分捕捉剤、着色剤及び加工助剤も含み得る。その他の適切な賦形剤も含めることができる。本発明の組成物を徐放性組成物として使用する場合、胃への特異的な送達に適した少なくとも1種の活性成分(薬剤等)も含まれる。好ましい希釈剤は、キシリトール及び/又はマンニトール及び/又はイソマルト及び/又はショ糖である。好ましい甘味料には、アスパルテームが含まれる。好ましい香料には、ペパーミント及びミント粉末用のクールミックスが含まれる。好ましい賦形剤は塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムである。
好ましくは、本発明の組成物はクロエスチラミン(chloestyramine)を含有しない。
【0016】
好ましくは、当然のことながら、本発明の全ての成分は摂取可能なものであり、行政当局から許容可能と見なされるものである。
好ましくは、組成物は、ステアリン酸マグネシウムを含有しない。より好ましくは、組成物はいずれのステアレート又は硬化脂肪も含有しない。好ましくは、組成物は、いずれの圧縮補助剤又は離型剤も含有しない。好ましくは、組成物は、いずれの打錠補助剤も含有しない。好ましくは、組成物は、炭酸アパタイトを含むアパタイトを含有しない。
【0017】
本発明の好ましい組成物は流動形態であり続けるため、例えばスプーンで又は注ぎ込むことによって口内へとまっすぐに入れることが可能になる。好ましくは、組成物は粉末及び/又は顆粒形態である。好ましくは、組成物は、粉末と顆粒との混合物と見なされ得る。たとえ組成物が粉末を含んでいたとしても、組成物は、好ましくは、実質的に粉塵を空気中に放出しない。このため、組成物には好ましくは、粉塵を吸い込むことによる咳又はむせを引き起こす傾向がない。
好ましくは、篩過法を採用して求められる組成物の平均粒径は1.0mm以下であり、好ましくは0.5mm以下である。好ましくは、平均粒径は少なくとも0.1mmである。好ましくは、本発明で使用される粒子状組成物は、1mm標準篩を通過しない粒子を実質的に有さない。
【0018】
好ましくは、組成物は、流動性改善剤と共に提供される。典型的には、この流動性改善剤は二酸化ケイ素である。
本発明の更なる態様において、本発明の第1又は第2の態様の組成物の1回量を収容する個包装の投薬形態(単位投薬パックとも称される)が提供される。個包装の投薬形態はアンプルが考えられ、又はブリスター包装の容器であってもよいが、好ましくは小袋である。
好ましくは、本発明で使用するための個包装の投薬形態は0.5〜2g、より好ましくは0.75〜1グラムの組成物を収容する。
【0019】
最も好ましくは、個包装の投薬形態は、その内容物を広い領域にではなくて口内のある一点又は狭い領域、好ましくは舌上に投薬できるように適合される。このため、この個包装の投薬形態は、好ましくは、「ターゲットアウトレットパック(targeted outlet pack)」とも名づけられ得るパックである。個包装の投薬形態は例えばチューブ状アンプルであるが、好ましくはスティック形態の小袋である。スティック形態の小袋は食品(例えば、ソース、可溶性コーヒー顆粒)に使用されている。スティック形態の小袋は本質的に細い袋又はチューブから成り、好ましくは可撓性材料から形成され、その端部が封止される。服用者は一方の端部を除去(例えば、千切る)し、次にその内容物を開封された端部から出すことができる(例えば、注ぐ動作によって)。好ましくは、適切なスティックパック小袋は、少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、最も好ましくは少なくとも5のアスペクト比を有する(ただし、慣用の小袋は典型的には1.3のアスペクト比を有し得る)。アスペクト比は、本明細書の目的においては、スティックパック小袋にその対象となる1回分の本発明の組成物を充填した際に測定される、その(封止された端部からは離れた)中央領域の最大幅(すなわち、スティックパック小袋が円筒状である場合、直径である)に対する小袋の長さの比と定義される。
或いは、組成物を、本発明の組成物と一緒に投薬計量情報又は手段(例えば、スコップ、計量カップ)を入れたバルクパックで提供することができる。
【0020】
本発明の更なる態様において、組成物を必ず口内の狭い領域上に置き、また第1の態様において定義されたような摂取可能な粒子状組成物の1回量を収容するターゲットアウトレットパックが提供される。
このターゲットアウトレットパックは、先行の段落に従って更に定義され得て、また好ましくはスティックパック小袋である。
本発明の更なる態様において、ヒト又は動物の体の治療による処置の方法における使用のための、本願で定義されるような本発明の組成物が提供される。
このため、本発明の組成物は、ヒト又は動物の体の治療による処置の方法、特には咽頭痛の治療において使用され得る。
【0021】
本発明の組成物は、咽頭痛の治療のための又は徐放性若しくは標的送達用組成物としての使用のための薬物の製造において使用され得る。
本発明の組成物は、咽頭痛の治療方法において又は送達用組成物の徐放若しくは標的化に使用され得て、有効量の組成物を必要とする又は必要とする傾向のある患者に経口投与することを含む。
組成物は一般に、1用量あたり医薬活性成分が1〜100、好ましくは5〜50mg、より好ましくは5〜15mgの量で投与される。
【0022】
本発明の組成物は好ましくは流動性であり、実質的に凝集することなく、咳を誘発する可能性のある粉末状又は粉塵状の物質を実質的に放出することがない。本発明の組成物は粉末状ではないという事実、また酸及び/又はこの組成物が引き起こす発泡が唾液の分泌を刺激し、攪拌によって分散を補助し、凝集を防止するという事実により、口内で過度に粘着性となる傾向が軽減されるように見える。加えて、発泡は、製剤の服用者の喉への粘着/付着を支援すると考えられる。スティックパック物品又は粒子状組成物を舌の特定の領域上に向かって方向付けするための別の手段を採用した本発明の実施形態には、更なる利点がある。粒子状物質を口内の表面の広い領域上に投与することは、服用者が知覚する快適さという点で不利である。口内の大部分がねばつく恐れがあるからである。
【0023】
本発明の組成物は、原料の混合によって調製され得る。特定の成分を粒子形態で混合し、次に残りの成分を添加する前にこれらを適切な造粒剤(水、エタノールやイソプロパノール等のC〜Cアルコール、これらの混合物等)を使用して造粒することが特に好ましい。その他の造粒剤も使用し得て、セルロース誘導体(HPMC、でんぷんペースト等)が挙げられる。好ましいでんぷんペーストでは、水を造粒溶媒として使用する。C〜Cポリオール又は様々なグレードのポリアルキレングリコールも、造粒剤として使用され得る。
このようにして適切に造粒される成分は、医薬活性成分、重炭酸塩、1種以上の生体接着性材料及び希釈剤である。
本発明の更に別の態様において、口腔内で医薬活性化合物を含む粒子状組成物を保持するための生体接着性材料の使用が提供される。
【0024】
医薬活性化合物は、2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシチジン(hexitidine)、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェン、パラセタモール、ペクチン、メントール及びベンジダミンを含む群から選択することができる。特に好ましい化合物は、2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、ヘキシルレゾルシノール及びフルルビプロフェンである。
好ましい1種以上の生体接着性材料は、カルボマー(カーボポール974P、カーボポール941P等)、キサンタンガム、イナゴマメガム、アルギネート、カラギーナン又はセルロースを含む群から選択される。その他の適切なカルボマーも使用することができる。
更に別の実施形態において、医薬活性化合物及び生体接着性材料を含む粒子状組成物を個体に投与することによって、医薬活性化合物の局所作用を改善する方法が提供される。
【0025】
医薬活性化合物は、2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシチジン(hexitidine)、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェン、パラセタモール、ペクチン、メントール及びベンジダミンを含む群から選択することができる。特に好ましい化合物は、2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、ヘキシルレゾルシノール及びフルルビプロフェンである。
【0026】
好ましい1種以上の生体接着性材料は、カルボマー(カーボポール974P、カーボポール941P等)、キサンタンガム、イナゴマメガム、アルギネート、カラギーナン又はセルロースを含む群から選択される。その他の適切なカルボマーも使用することができる。
本願の文脈において、生体接着性材料は水膨潤性であるが非水溶性であり、粘膜又は皮膚組織等の表面に付着する。膨潤に使用される水は、治療の対象である動物の体(例えば、胃液、唾液等の粘膜分泌物)によって提供され得る。
本発明を以下の実施例及び図において更に説明する。
【実施例】
【0027】
組成物の成分及び量を以下の表に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
フルルピブロフェンは、強力な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であり、多数の第2相及び第3相の臨床試験において咽頭痛の治療に有効であることが判明している。
キシリトール及びマンニトールは、医薬品用希釈剤として広く使用されている。これらは、口内で溶解すると清涼作用も示す。
【0032】
カルボマーは、調合薬において増粘剤又はゲル化剤として使用され、低濃度で極めて高い粘度のゲルを形成し、良好なフィルム形成特性を有する。しかしながら、本発明の製剤において、主要な役割は、製品が口内で溶解した際にコーティングされた感覚を付与することである。賦形剤は造粒補助剤としても使用され、原料をまとめあげるのに役立つことから、より丈夫な顆粒が形成される。また、カルボマーは、好ましくは流動する形態に成分をまとめあげ、その上、空気中に患者の咳又はむせを引き起こす可能性のある微粒子(すなわち、粉塵)を実質的に放出しない。
【0033】
重炭酸ナトリウム及びクエン酸によって、製品を発泡させることが可能になる。
顆粒製造及び包装中のブレンド物の流動性を最適化するために、流動性改善剤である二酸化ケイ素が添加された。二酸化ケイ素は水分捕捉剤としても機能するため、製品成分からの水分の取り込みが最小限に抑えられる。
顆粒は、プロセス溶媒に純水を使用した高せん断造粒技法で製造される。湿塊を一定の質量%含水量にまで流動層乾燥させ、次に、鋸歯状のスクリーンを通して粉砕することによってより均一な粒径にする。
【0034】
香料、アスパルテーム、クエン酸及び二酸化ケイ素を粉砕された顆粒にブレンドし、次にアルミホイルのスティックパックで包装して最終製品を製造する。
以下の粒子状組成物は、以下のようにして調製された。
フルルビプロフェン、キシリトール、マンニトール、カルボマー及び重炭酸ナトリウムを1000μmスクリーンで篩過し、次にタンブルブレンド技法を使用して予混合する。次に、ブレンドされた粉末を、4.5%w/wの純水でPMA150(GEA)造粒機を使用して3分間にわたって造粒する。
【0035】
次に、湿潤した顆粒塊をT/SG3(GEA)流動層乾燥装置に移し、15分間にわたって55℃、気流500m/時間で乾燥させる。
得られた乾燥顆粒塊を、鋸歯状のスクリーンに通して粉砕することによって均一な顆粒粒径とする。
【0036】
ミント用のクールミックス及びペパーミント香料、アスパルテーム、クエン酸及び二酸化ケイ素を1000μmスクリーンで篩過し、次に、粉砕されたフルルビプロフェン顆粒とリボンブレンド技法を採用して混合する。得られたブレンド物をポリエチレンを内張りした容器内に保管する。
包装前に、バルク顆粒ブレンド物を、タンブルブレンド技法を採用して10分間にわたって混合することによって、製造領域から包装領域への移動中に製品の偏析が起こっていないようにする。
顆粒を包装ラインホッパに移し、次に個別に形成されたスティックパックに0.85gを充填する。
【0037】
使用時、製剤を口内に注ぎ込むと、顆粒は発泡を開始する。顆粒が口内に入ると、発泡(クエン酸と重炭酸塩との反応)によって、カーボポールを効果的に延長するのに必要なせん断力が得られ、また十分な水和が行われ、短時間で水性分散が得られると考えられる。次に、唾液とポリマーとの半ゲル化した空気混和塊として、製品が、溶解/懸濁状態の活性成分(フルルビプロフェン)と共に速やかに嚥下される。カーボポールゲルは嚥下の際に喉の表面に付着し、付着性のフィルム又はゲル層を形成すると考えられる。この層において、含まれているフルルビプロフェンは、嚥下によって速やかに胃に送られるのではなく、喉で保持され、局在する。この局在によって、咽頭組織へのフルルビプロフェンの局所作用(局所的)が可能になる。また、このゲル層が喉における炎症を軽減し、またフルルビプロフェンの薬理作用(抗炎症作用)に加えて、物理的な手段によって痛みがやわらぐ感覚がもたらされるとも考えられる。
【0038】
実施例において調製された製剤の生体接着性及び活性成分送達を、IVORモデル及びFRANZセルを使用して試験した。IVORモデル、FRANZセル及びこれらから得られた結果を図に示す。
【0039】
IVORモデルは、口/舌を再現するために、傾斜部の最上部にあるプラットフォームに顆粒を置くことができるように設計された。間隔を置いて適用された人工唾液は、製品を押し流して自然な嚥下動作をシミュレーションするために使用された(傾斜:30〜15°)。試験管内での食道内滞留モデルを使用して、活性成分であるフルルビプロフェンについての滞留プロファイルを90分にわたって求めた。
カーボポールがある場合とない場合の処方を比較し、また1サンプルあたり同量のフルルビプロフェンを含有している市販のトローチ剤製品と比較した。
【0040】
滞留プロファイルは、代替仕様間での表面付着性における差を示す。全体として、トローチ剤及び顆粒のサンプルのプロファイルは、初期における活性成分の迅速な放出(5分後に75%が放出)と、それに続く残留活性成分の緩慢な放出(トローチ剤又はカーボポールを含有していない顆粒より本発明の製剤のほうが高い)であると表現することができる。
90分で約100%のフルルビプロフェンが、全てのサンプルについて表面から放出された。
【0041】
製剤へのカーボポールの添加によって、モデル表面上での滞留性が向上し、それでもなお咽頭痛の治療に適した時間枠内での活性成分の放出が可能になる。カーボポールを含有していない対照製剤は標的とされた表面に付着せず、また本発明の製剤ほど活性成分の放出を緩慢にしない。
FRANZセルからのデータは、生体接着性ポリマーを含めることによってフルルビプロフェンの放出及び輸送が遅れ、局所的な標的(付着対象である表面)は、継続的且つ長い投薬を受けることを実証している。
【0042】
このような性質のない製剤では、活性成分であるフルルビプロフェンがすぐに送達されてしまい、この結果、除痛作用の殆どが局所的ではなく全身的なものになってしまう。
本発明の製剤によって、標的領域である喉で生体接着が起こり、また製剤中に保持された活性成分が(1)標的領域における生体接着機能の一部として保持され、また(2)保持された活性成分が、生体接着物質から周囲へと適切な時間枠内で解離可能になる。
【0043】
更なる改変及び開発を、本明細書に記載の本発明の範囲から逸脱することなく成すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摂取可能な粒子状組成物であって、
(a)2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシチジン、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェン、パラセタモール、ペクチン、メントール及びベンジダミンから成る群から選択される少なくとも1種の化合物と、
(b)1種以上の生体接着性材料と、
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記組成物が、流動性粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の医薬活性化合物が、2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、ヘキシルレゾルシノール及びフルルビプロフェンから成る群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の医薬活性化合物がフルルビプロフェンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、重炭酸塩及び/又は有機酸を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記重炭酸塩が、重炭酸ナトリウムであり、前記有機酸が、クエン酸である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記1種以上の生体接着性材料が、ポリマー又はオリゴマー化合物であり、好ましくは最高数百万ダルトンまでの高分子量を有するポリマー又はオリゴマー化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、流動性改善剤と共に提供される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
ヒトの身体又は動物の体の治療による処置の方法、特に咽頭痛の治療において使用するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の1回量を収容する個包装の投薬形態であって、前記組成物を必然的に口内の狭い領域上に置くターゲットアウトレットパックであることを特徴とする個包装の投薬形態。
【請求項11】
スティック形態の小袋である、請求項10に記載の個包装の投薬形態。
【請求項12】
投薬計量手段又は投薬情報と共に請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物のバルク供給源を収容するバルクパック。
【請求項13】
咽頭痛の治療のための薬物の製造における、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
咽頭痛の治療のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
咽頭痛の治療方法であって、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の有効量の組成物を必要とする又は必要とする傾向のある患者に経口投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシチジン、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェン、パラセタモール、ペクチン、メントール及びベンジダミンから成る群から選択される少なくとも1種の医薬活性化合物と、1種以上の生体接着性材料とを含む流動性粒子状組成物の、患者の口内に前記組成物を投与することによる前記患者の治療への使用。
【請求項17】
2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシチジン、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェン、パラセタモール、ペクチン、メントール及びベンジダミンから成る群から選択される少なくとも1種の医薬活性化合物及び1種以上の生体接着性材料の、患者の口内に注ぎ込むのに適した粒子状組成物の製造における使用。
【請求項18】
摂取可能な流動性粒子状組成物の1回量を収容するターゲットアウトレットパックであって、前記ターゲットアウトレットパックが、口内の狭い領域上に前記組成物を置くように適合され、前記組成物が、
(a)2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシチジン、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェン、パラセタモール、ペクチン、メントール及びベンジダミンから成る群から選択される少なくとも1種の医薬活性化合物と、
(b)1種以上の生体接着性材料と
を含むことを特徴とするターゲットアウトレットパック。
【請求項19】
口腔内で医薬活性化合物を含む粒子状組成物を保持するための生体接着性材料の使用。
【請求項20】
医薬活性化合物と生体接着性材料とを含む粒子状組成物を個体に投与することによって、医薬活性化合物の局所作用を改善する方法。
【請求項21】
前記医薬活性化合物を、2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシチジン、ヘキシルレゾルシノール、フルルビプロフェン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェン、パラセタモール、ペクチン、メントール及びベンジダミンを含む群から選択することができ、特に好ましい化合物が2,4−ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、ヘキシルレゾルシノール及びフルルビプロフェンである、請求項19に記載の使用又は請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記1種以上の生体接着性材料が、カーボポール974P、カーボポール941P等のカルボマー、キサンタンガム、イナゴマメガム、アルギネート、カラギーナン又はセルロースを含む群から選択され、その他の適切なカルボマーも使用することができる、請求項19若しくは21に記載の使用又は請求項20若しくは21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−500786(P2012−500786A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523446(P2011−523446)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002014
【国際公開番号】WO2010/020772
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(501427803)レキット ベンキサー ヘルスケア (ユーケイ) リミテッド (11)
【Fターム(参考)】