説明

組成物を分配するための容器の上で使用するためのブラシヘッド

基部(104)と、基部に機能的に取り付けられている遠位端と、近位端と、を有する複数のブラシ毛(102)と、を含み、遠位端が、近位端よりも高いブラシ毛密度を有し、当該複数のブラシが、当該遠位端から当該近位端の方に向けて少なくとも1つの流路を形成する、ブラシ。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な材料及び種類のブラシが当該技術分野において既知である。ブラシは、材料を適用するため、滑らかに仕上げるため、表面にエネルギーを供給するためなどに使用されてきた。ブラシには多くの用途が存在するが、その基本設計及び形状は、長い間ほとんど変わっていない。
【0002】
化粧ブラシもまた、ブラシ業界では一般的である。化粧ブラシは、例えば粉末、液体、及びその他の形態の美容製品などの組成物を皮膚に適用するのに使用されることが多い。シェービング製剤用ブラシもまた、ブラシ業界では既知である。シェービング製剤用ブラシは、シェービング製剤を塗布し、組成物中に空気を取り込むことによって「泡立てる」ために、シェービング製剤と組み合わせて使用される。典型的には、最高のブラシはイノシシの毛で作られていると考えられている。しかしながら、これら美顔用の及びシェービングブラシは問題点を有しており、この問題点が、効率の悪さと消費者の否定的な反応を招いている。
【0003】
化粧ブラシ及びシェービング製剤用ブラシなどの多くのブラシは、イノシシの毛などの天然の毛髪製品で作られているブラシ毛を含んでいる。これらのブラシは、多くの消費者にとって受け入れ難いと考えられる臭気を引き起こす場合がある。更に、これらのブラシは、典型的には、適用されることが意図される製品を、ブラシの中に取り込む。この製品の取り込みが、製品の不十分な適用、使用可能な製品の無駄、並びに細菌の集積の増加の機会をもたらす。
【0004】
更に、ブラシを備えた分配容器もまた開示されている。例えば、米国特許公開第2009/0263175号、同第2009/0263174号、及び同第2005/0045200号、並びに米国特許第6,003,523号、同第4,252,455号、及び同第4,603,992号を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公開第2009/0263175号
【特許文献2】米国特許公開第2009/0263174号
【特許文献3】米国特許公開第2005/0045200号
【特許文献4】米国特許第6,003,523号
【特許文献5】米国特許第4,252,455号
【特許文献6】米国特許第4,603,992号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの分配容器は、典型的には、容器からの組成物をブラシのブラシ毛に方向付けるために、プラスチック又はゴム製の分配チャネルを必要とする。チャネルから分配される組成物は、ブラシ内に広がる傾向があるが、最も必要とされるブラシの先端に到達しない場合がある。したがって、ブラシに常に付き物であった負の特徴を解消すると同時に、改善されたユーザー・エクスペリエンスを提供するブラシが必要とされている。本発明のブラシは、これら又はその他の問題の1つ以上を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明一態様は、組成物を分配するための容器と共に使用するためのブラシヘッドを提供し、当該ブラシヘッドが、基部と、基部に取り付けられている遠位端と、皮膚接触領域を形成している近位端と、を有する複数のブラシ毛と、を含み、遠位端が、近位端よりも高いブラシ毛密度を有し、及び、複数のブラシ毛が、当該遠位端から当該近位端の方に向けて少なくとも1つの流路を形成する、ブラシヘッドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の少なくとも一つの実施形態によるブラシヘッドの側部平面図を示す。
【図2】図1に示されるブラシヘッドの底面図を示す。
【図3】本発明の少なくとも一つの実施形態による別のブラシヘッドの側部平面図を示す。
【図4】図3に示されるブラシヘッドの底面図を示す。
【図5】図3に示されるブラシヘッドの上面図を示す。
【図6】本発明の少なくとも一つの実施形態による別のブラシヘッドの側部平面図を示す。
【図7】図5に示されるブラシヘッドの高位から見た斜視図を示す。
【図8】本発明の少なくとも一つの実施形態による別のブラシヘッドの側部平面図を示す。
【図9】図5に示されるブラシヘッドの高位から見た斜視図を示す。
【図10】本発明によるブラシヘッドで使用することができる分配管の上面図を示す。
【図11】本発明によるブラシヘッドで使用することができる別の分配管の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0010】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0011】
本明細書は、本発明を詳細に示し、明確に請求することによって結論付けられるが、本発明は次の記述によって更によく理解されるものと考えられる。
【0012】
本発明の装置、器具、方法、構成要素、及び/又は組成物は、本発明の構成要素並びに本明細書に記載したその他の成分を含むか、本発明の構成要素並びに本明細書に記載したその他の成分から実質的になるか又はなることができる。本明細書で使用するとき、「実質的になる」とは、装置、器具、方法、構成要素、及び/又は組成物が、追加の成分を含んでよいことを意味する。ただし、追加の要素によって、請求する装置、器具、方法、構成要素、及び/又は組成物の基本的かつ新規な特徴が実質的に変わらない場合に限る。
【0013】
特に記述しない限り、本明細書で使用するあらゆるパーセンテージ及び比率は全組成物の重量によるものであり、行った測定は全て25℃におけるものである。1度は、完全回転の1/360の大きさと等しい角度の平面単位である。
【0014】
本明細書で使用されるすべての測定値は、特に指定のない限り、メートル法である。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に非平行」とは、比較する対象が、少なくとも約15度の角度の差を有することを意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に平行」とは、比較する対象が、約15度未満の角度の差を有することを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に垂直」とは、比較する対象が、垂直から約15度以内であることを意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「表面」とは、組成物を適用することができる領域を意味する。シェービング組成物に関する場合、表面は、例えば、顔、頭皮、腋窩、恥部等といった、毛を生やすことができる皮膚の部分に関する。
【0019】
本発明は、製品を分配するためのパッケージと共に使用するためのブラシヘッドに関し、当該ブラシヘッドが、基部と、基部に取り付けられている前記遠位端と、近位端と、を有する複数のブラシ毛と、を含み、遠位端が、近位端よりも高いブラシ毛密度を有し、及び、当該複数のブラシ毛が、当該遠位端から当該近位端の方に向けて少なくとも1つの流路を形成する。
【0020】
理論に束縛されるものではないが、近位端におけるよりも遠位端において高いブラシ毛密度は、ブラシ毛の遠位端から近位端への組成物の移送を容易にすると考えられている。この機構は、乱雑状態が低減した、より使いやすいブラシをもたらす。本発明のブラシはまた、少量の組成物のみがブラシ毛の遠位端に入ることができ、したがってこれらの物質を除去する必要性を排除することができるので、より手入れが簡単である。近位端は密度が低いので、ブラシ毛の密度の低い端部により、近位端の手入れが更に容易になる。
【0021】
更に、一実施形態では、ブラシ毛の分布数の少ない分離領域によって、流路が画定される。ブラシ毛の分布数の少ない領域とは、基部からブラシ毛の近位端である皮膚接触領域の方に向けてブラシが延びている場合、分離領域内の面積当たりのブラシ毛の数が、当該領域を囲む面積当たりのブラシ毛よりも計れる程度に少ないことを意味する。一実施形態では、面積当たりのブラシ毛の数は、当該領域を囲む面積当たりのブラシ毛の数よりも、少なくとも約20%少ない、あるいは少なくとも約40%少ない、あるいは少なくとも約50%少ない、あるいは少なくとも約75%少ない。ブラシ毛の分布数は、面積の平方mm又は平方cmを単位として計算され得る。一実施形態では、ブラシ毛密度の低い領域には、ブラシ毛がない又はブラシ毛が本質的にない。「ブラシ毛が本質的にない」とは、領域内に形成されるブラシ毛がないことを意味する。ブラシ毛は可撓性であり、流路であることが企図される領域内にブラシ毛が曲がることができることは、当業者には理解されよう。ブラシ毛が流路内に曲がることができるのは、本発明の範囲内である。一実施形態では、流路は、基部から皮膚接触領域に至る実質的に一貫性のある形状を保つ。
【0022】
一実施形態では、流路はまた、流路の一部分として延びることができる1つ以上の分配管を備える。一実施形態では、分配管は、分配容器を出てすぐに流路の一部分を形成し、基部の上方であるが接触領域の下方まである距離延在する。ブラシは基部から離れて延びるので、流路は分配管を越えて続き得ることを、当業者は理解するであろう。理論に制限されるものではないが、分配管及びブラシ毛の分布数の少ない領域の両方で作られている流路を設けることによって、ブラシヘッドが組成物を基部から皮膚接触領域まで移送し易くなると考えられる。一実施形態では、分配管を通って分配される組成物が、基部から離れて同じ一般経路を移動し続けるように、ブラシ毛の分布数の少ない領域は分配管と流体連通する。一実施形態では、分配管は、ゴムなどの可撓性のあるエラストマー材で作られている。
【0023】
一実施形態において、分配管の少なくとも一部分は、分配管の長さの少なくとも一部分にわたって延びる内部構造を有することができる。好適な内部構造の非限定的な例としては、1つ以上の隔壁が挙げられ、これにより、管内に2つの半円、又は分配管内に3つ、若しくは4つの経路を形成する。理論に制限されるものではないが、1つ以上の隔壁を提供することによって、基部を離れて出口オリフィスの方に向けて、最終的にブラシヘッドの皮膚接触領域の方に向けて組成物の直接流動を助けることができると考えられる。一実施形態では、1つ以上の隔壁は、管内に管を形成することができる。これは、容器の中で複数種類の組成物を使用する場合に、特に有用であり得る。
【0024】
基部
本発明の基部は、ブラシ毛を機能的に取り付けることができる任意の材料で作られ得る。一実施形態において、基部は、プラスチック、金属、複合材料、磁器、ガラス、又はこれらの組み合わせから選択される材料で作られている。当業者は、基部を作るのに好適な材料を容易に選択することができるであろう。
【0025】
本発明の基部は、複数のブラシ毛の遠位端に機能的に取り付けられる。複数のブラシ毛を基部に固定するために用いることができる多くの取り付け機構が存在することを、当業者は認識するであろう。機械的、化学的、及び/又は熱に基づく機構によって、ブラシ毛を基部に取り付けることが考えられる。本発明のブラシ毛を基部に取り付ける方法は、当業者には良く知られている。
【0026】
一実施形態において、基部は容器に機能的に取り付けられる。本発明の容器は、組成物を不定の期間保持することができるあらゆる入れ物(vessel)に関連している。本発明の容器は、例えばプラスチック、金属等などの任意の数の材料で作られてもよい。容器は、ブラシで適用される任意の組成物を収容する。一実施形態では、ブラシは容器に着脱自在に取り付けられる。そのような実施形態では、組成物は皮膚に直接適用される、及び/又は容器内にありかつ表面に適用される組成物の中にブラシ(brushed)を設置する。
【0027】
基部の代替実施形態は、分配装置を備える。分配装置は、基部に流体的に取り付けられて、複数のブラシ毛の間の基部を通って容器の外側に組成物を伝達することができ、これにより、組成物を表面に適用することができる。一実施形態では、分配装置は、複数のブラシ毛に対して実質的に平行な方向に組成物を分配することができる。代替実施形態では、分配装置は、複数のブラシ毛に対して実質的に非平行な方向に組成物を分配することができる。更に、分配装置は、複数のブラシ毛に対して実質的に垂直な方向に組成物を分配することができる。複数のブラシ毛に実質的に垂直な様式で組成物が分配されると、組成物に空気を取り込む更なる機会を提供するのに加えて、ブラシのブラシ毛内への組成物の送達がより均一になると考えられている。更に、複数のブラシを通り抜ける組成物の移送は、組成物を複数のブラシ毛の近位端に推進するブラシ毛密度、並びにブラシ毛の疎水性によって促進される。
【0028】
ブラシ形状
本発明のブラシは、特に顔面上での使用し易い形状を有する。一実施形態において、ブラシの基部に平行なブラシ毛の断面を測定することにより画定されるブラシの断面の外形の形状は、長方形である。形状が長方形であることにより、断面は、第2の寸法よりも長い第1の寸法、例えば、幅より長い全長を有する。長方形状は、楕円形、長方円、矩形、長円等を包含する。別の実施形態では、ブラシの断面の外形は、円、正方形、又は正多角形である。任意の多角形の角を丸くするとができることが考えられる。「D」字形などのその他の形状も考えられる。
【0029】
一実施形態において、ブラシの近位端は、基部に対して実質的に平行である。代替実施形態では、ブラシの近位端は、最も高いブラシ毛をほぼ中央に含む。その場合ブラシ毛の高さは、中央から縁部の方に向けて、曲線状、段階的、角度の付いた、及び/又は弓形の様式で減少する。一実施形態において、ブラシの中央のブラシ毛の平均高さと、ブラシの縁部のブラシ毛の平均高さとの差異は、約2.54mm(0.1インチ)〜約12.7mm(0.5インチ)、代替実施形態では、約2.54mm(0.1インチ)〜約7.62mm(0.3インチ)である。高さが減少するブラシ毛を有することによって、ユーザーは、適用力を変化させることによって、表面と接触するブラシ毛の量を変化させることが可能になる、と考えられる。このような機構は、機械的作用の増加をもたらし、ブラシによる泡生成の増加を引き起こす。
【0030】
ブラシの少なくとも一部分に、四角形縁部などの実質的に角度の付いた縁部を有することもまた考えられる。そのような縁部は、表面のよりタイトな部分に入るように成形されることによって、ブラシ動作の増大した制御を提供することができる。
【0031】
ブラシ毛
本発明は、複数のブラシ毛を包含する。複数のブラシ毛の遠位端は、基部に機能的に取り付けられる。一実施形態において、当該複数のブラシ毛の少なくとも1本は、疎水性材料を含む。別の実施形態では、当該複数のブラシ毛の少なくとも1本は、親水性材料を含む。更に別の実施形態では、複数のブラシ毛は、疎水性材料、親水性材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。特に好ましい材料は、特に組成物が水性である場合には、疎水性の材料ということになる。理論に束縛されるものではないが、複数のブラシ毛の疎水性は、近位端よりも遠位端でブラシ毛密度が高い複数のブラシ毛との併用で相乗的に作用して、組成物を複数のブラシ毛の近位端の方に向けて及び表面上に移送すると考えられる。この組成物の移送は、改善されたブラシの使用経験、並びにより効率的かつ清潔なブラシ操作をもたらす。
【0032】
一実施形態では、任意の親水性材料を選択して複数のブラシ毛を作る。親水性のプラスチックが、本発明に適している。一実施形態では、ナイロンは、複数のブラシ毛に利用される親水性のプラスチックである。一実施形態では、少なくとも1本のブラシ毛の少なくとも一部分を作るのに使用される疎水性材料は、ナイロン、天然の毛髪(アナグマの毛が挙げられるがこれに限定されない)及びポリエチレンテレフタレンからなる群から選択される。他の既知のブラシのブラシ毛材料を使用することも可能である。
【0033】
ブラシ毛の使用に関し、ブラシ毛の材料及び物理的特性は、例えば、肌触り及び泡立ち性などのブラシ性能に影響を与える可能性がある。一実施形態において、ブラシ毛の直径は、約0.025〜約0.254mm(約0.001〜約0.01インチ)、代替実施形態では約0.051〜約0.152mm(約0.002〜約0.006インチ)、代替実施形態では約0.076〜約0.102mm(約0.003〜約0.004インチ)である。本発明のブラシ毛は、約2.54〜約33.02mm(約0.1〜約1.3インチ)、代替実施形態では約7.62〜約25.4mm(約0.3〜約1.0インチ)、代替実施形態では約12.7〜約22.86mm(約0.5〜約0.9インチ)の平均長さを有する。ブラシ毛の寸法設定は、使用中にブラシ毛が折り重なるべきではなく又は圧壊すべきではなく、ブラシ毛がほぼ元の形状に戻ることができるようなものでなければならない。
【0034】
一実施形態において、ブラシは、米国特許出願第2005/0045200号(Zeunik)に記載の空洞と同様の凹部を、ブラシの皮膚接触領域に含む。一実施形態において、組成物の流路は、前記基部から延びて、前記凹部の中に放出する。凹部は、下にあるブラシ毛の高さが、ブラシの残りの部分を形成しているブラシ毛の残りの部分の平均長さよりも低い、ブラシの分離領域である。このようにして、ブラシの凹部が形成される。理論に制限されるものではないが、容器から基部を通って最終的に凹部の中に組成物を移動させることにより、ユーザーは、ブラシの先端を越えて組成物があふれ出る又は先端から落ちることを心配せずに、所望量の組成物を分配することが可能になる。一実施形態において、凹部は、複数の前記ブラシ毛をクリンプして、これらクリンプされたブラシ毛が、凹部を囲んでいるブラシ毛と同じだけ基部から離れて延在しないようにすることによって、形成される。別の実施形態では、凹部は、クリンプ状のブラシ毛又は相対的により短いブラシ毛の組み合わせによって形成される。
【0035】
一実施形態において、組成物の分配管は、前記凹部の前記基部に面する部分に開口している分配オリフィスを含む。分配オリフィスは、分配管の一部で形成されることができ、又はブラシ毛の分布数の少ない領域から形成され得る。一実施形態では、凹部は、約0.254mm(0.010インチ)〜約25.4mm(1インチ)、あるいは約1.27mm(0.05インチ)〜約12.7mm(0.5インチ)、あるいは約5.08mm(0.2インチ)〜約10.16mm(0.4インチ)の深さを有する。凹部が、皮膚に接触する前の組成物の体積を収容する役割を果たすことができる限り、凹部の寸法は様々であり得ることを、当業者は理解するであろう。一実施形態において、凹部は、円、長円、楕円形、三角形、正方形、矩形、星形、月形、文字又は数字などからなる群から選択される形状を有する。一実施形態において、凹部の形状は、ブラシの形状と略同一である。
【0036】
一実施形態において、ブラシヘッドは、中心軸と、当該中心軸に垂直な断面と、を有し、断面が、凹部の断面積及びブラシの断面積を規定し、凹部の断面積は、当該ブラシの断面積の約10%〜約75%、あるいは約25%〜約50%、あるいは約30%〜約40%である。
【0037】
一実施形態において、複数のブラシ毛は前記流体流路を形成する。一実施形態において、流体流路は、分配管、ブラシ毛がない若しくは本質的にない領域、又はこれらの組み合わせを含む。
【0038】
このブラシと共に使用するために、複数のブラシ毛の近位端に様々な処理を施すことが考えられる。一実施形態では、末端部の丸み付け、傾斜付け、先細化等を用いて、複数のブラシ毛に、ユーザーが許容できる感触をもたらす。
【0039】
様々な色合い及び/又は色のブラシ毛を、ブラシ内で利用し得ることが考えられる。例えば、色は、増大及び/又は減少した硬度のブラシがどこにあるかを示すようにする機能を提供してもよい。色を使用して、ブランド、ブランド名、スタイル、及び/又は他の美的尺度を表すことも可能である。色を使用して、関連組成物の利益を表すことも可能である(例えば、アロエを表すための緑のブラシ毛など)。
【0040】
ブラシ毛密度
本発明のブラシは複数のブラシ毛を含み、遠位端のブラシ毛密度は、近位端のブラシ毛密度よりも高い。ブラシ毛密度は、個々のブラシ毛の断面積の合計を決定して、最も外側のブラシ毛によって画定される断面(断面はブラシ毛の間の空隙を本質的に含む)でこの合計を割り、次にパーセンテージを決定することによって決定される。
【0041】
例示的な計算として、10,000本のブラシ毛を収容している半径5.08mm(0.2インチ)の円形パッチで、各ブラシ毛の直径が0.051mm(0.002インチ)の場合、ブラシ毛密度は次のように計算されることになる。
0.051mm(0.002インチ)直径/2=0.025mm(0.001インチ)半径
(1本のブラシ毛の半径)
pi0.025mm(0.001)^2=0.0798ミクロン(0.00000314インチ)^2
(1本のブラシ毛の断面積→pi(ブラシ毛の半径)^2)
0.0798ミクロン(0.00000314)10,000=0.798mm(0.0314インチ)^2
(10,000本のブラシ毛の断面積→単一ブラシ毛の断面積ブラシ毛の総数)
Pi5.08mm(0.2)^2=3.2mm(0.126インチ)^2
(ブラシ毛及び空隙領域を含む総面積→pi(円形パッチの半径)^2)
0.798mm(0.0314)/3.2mm(0.126)100=25%
(ブラシ毛密度→10,000本のブラシ毛の断面積/総面積100)
【0042】
一実施形態では、遠位端のブラシ毛密度は、近位端のブラシ毛密度より高い。一実施形態では、複数のブラシ毛の遠位端におけるブラシ毛密度は、30〜約80%超過、代替実施形態では約35〜約70%、代替実施形態では約40〜約60%、代替実施形態では約45〜約55%である。一実施形態では、複数のブラシ毛の近位端におけるブラシ毛密度は、10%から最大30%、代替実施形態では約15%〜約28%、代替実施形態では約19〜約26%である。
【0043】
ブラシ毛内に追加の空隙を形成するための1つの手段は、ブラシ毛を外広がりにする又は大きく広げる(flairout)ことである。一実施形態では、外広がりは、波状又はクリンプ状のブラシ毛を、複数のブラシ毛の少なくとも一部として使用することによって形成される。クリンプ状のブラシ毛は、クリンプ毛深さ(ピーク・トゥ・ピーク振幅、ピークからトラフまで)及びクリンプ頻度を有する、実質的に周期波形を有するブラシ毛である。クリンプ状のブラシ毛は、約0.127mm(0.005インチ)〜約0.76mm(0.03インチ)、あるいは約0.254mm(0.010インチ)〜約0.51mm(0.020インチ)のクリンプ深さを含む。クリンプ状のブラシ毛は、1センチメートル当たり約0.8〜約4.0クリンプ(1インチ当たり約2〜約10クリンプ)、あるいは1センチメートル当たり約1.0〜約2.8クリンプ(1インチ当たり約3〜約7クリンプ)のクリンプ毛頻度を含む。
【0044】
理論に束縛されるものではないが、クリンプ状のブラシ毛の間の隙間が大きいほど、ブラシが対象とする表面にこすりつけられているときに、各ブラシ毛が更に不規則に動くことができると考えられる。この隙間は、ブラシ毛が増加された機械的作用を提供するのを可能にし、組成物のエアレーションを強化する。シェービング組成物と一緒に使用する場合、この機械的作用は、更なる泡を形成(crates)し、カットしやすくするために表面の毛髪を持ち上げ、皮膚剥脱を助ける。
【0045】
組成物
本発明の組成物は、ブラシに適用する及び/又はブラシで分配することができるあらゆる組成物を含む。一実施形態において、本発明の組成物は、例えば、化粧品、ローション、ボディソープ、シャンプー、(ジェル、泡、オイル、エアゾール及び非エアゾール製剤含むがこれらに限定されない)シェービング製剤、並びにクリームなどといったパーソナルケア組成物を包含する。これら及びその他の好適な組成物の例は、当該技術分野において既知であり、市販されている。組成物は、エアゾール、加圧ガス、機械的に加圧された、及び/又は非加圧組成物を更に含んでもよい。ジェルタイプ、泡タイプ、及びクリームタイプのシェービング製剤もまた考えられる。
【0046】
組成物分配装置と共に使用するための代表的なブラシヘッドが、図1〜図9に例示されている。図1及び図2では、ブラシヘッド100は、複数のブラシ毛102と、基部104と、を有している。ブラシ毛は、前記基部に対向する皮膚接触領域129を形成する。例示された実施形態では、ブラシ100は、基部104に流体的に接続され、複数のブラシ毛132の間の基部104を通って容器の外側に組成物を伝達することができる分配管106を備える。前記分配管及び複数のブラシ毛領域を貫流する組成物は、流路130を形成する。図1は、ブラシに流れ込む分配管を示しているが、ブラシ毛領域全体に流体流路が作られ得る。一実施形態では、ブラシ毛の領域132は、上で定義したブラシ毛の分布数の少ない領域である。分配装置106は、少なくとも1つの入口オリフィス112と、少なくとも1つの出口オリフィス108と、を含む。スタビライザ110を使用して、ブラシ100の基部104を容器(図示せず)に固定することができる。
【0047】
図3は、分配管が中心軸140を含んでいる別の実施形態を示している。前記分配管の少なくとも一部分は、前記中心軸に平行でない。一実施形態では、分配管の一部分は、前記中心軸と0°〜約90°、若しくは約30°〜約60、又は約45°の角度を形成する。図3に示される分配管は、前記中心軸とおよそ90°を形成する2つの分配アーム136を含む。一実施形態では、3つ以上の分配アームが含まれる。更に、分配管は追加の出口オリフィス138を含むことも可能であり、分配された組成物が前記ブラシを通って移動することができるように、当該分配管に沿ったあらゆる場所に追加の出口オリフィス138を位置付けることもできる。上で説明したように、ブラシに分配管が設けられると、当該分配管の上方領域は、典型的には、ブラシ毛を有さない。図3では、分配アームの下に形成されるあらゆるブラシ毛は、分配アームを収容するために押し出される必要があるので、当該分配アームの上方領域にはブラシ毛がない。したがって、皮膚接触領域は、一般に、分配管及び/又は分配アームの上方のブラシ毛の分布数の少ない領域120を有し得る。近位端のブラシ毛密度は、遠位端のブラシ毛密度よりも依然として低い。図4は、図3のブラシヘッドの底面図を示している。図5は、同じブラシヘッドの上面図を示しており、上側からブラシ毛の分布数の少ない領域120が見え、前記分配アーム及び/又は分配管が露出することを示している。
【0048】
図6は、本発明の更に別の実施形態の側面図を示しており、図中、複数のブラシ毛102は、前記基部から離れて通じるが、容器の中に存在する組成物と流体連通することになる分配管106、と流体連通している、流路132を形成している。流路は、出口オリフィス122で終端して、分配された流体を凹部120の中に位置付ける。ブラシは、前記中心軸に垂直な断面139を有して、ブラシの断面積並びに凹部の両方を形成している。凹部は、特定の断面積を有する断面積127を有している。一実施形態において、凹部の断面積は、ブラシの断面積137の約10%〜約75%である。図7は、図6に示されるのと同じブラシヘッドの斜視図を示している。
【0049】
図8及び図9は、本発明の少なくとも一実施形態による更に別のブラシヘッド100の側面図及び斜視図である。ここに示されているのは、複数の流路(この場合は3つ)を形成する複数のブラシ毛102であり、各流路は出口オリフィス121を形成する。一実施形態において、組成物144の横方向への動きを可能にする流路部分は、基部の上方又は下方に存在し得る。ブラシ毛は前記基部から離れて延びるので、ブラシ毛の設置に与える影響を最小限にするために、流路の横方向部分は基部の下にあるのが好ましい。
【0050】
図10又は図11は、本発明と共に使用するのに好適な2種類の分配管の上平面図を示している。分配管132は、直線的な壁であることができ、又は一方が他方の中にある同心管であることができる、内部隔壁133を有する。更に、分配管は円形として図示されているが、正方形、三角形などの非円形状を用いることも可能である。一実施形態では、分配管は内壁を有さない。
【0051】
本発明の別の実施形態は、基部と、基部に機能的に取り付けられている遠位端と、近位端と、を有する複数のブラシ毛と、含み、遠位端は近位端よりも高いブラシ毛密度を有する、表面に組成物を供給するためのブラシを提供する。
【0052】
本発明の別の実施形態は、遠位端が約35%〜約70%又は約45%〜約50%のブラシ毛密度を有するブラシを提供する。本発明の別の実施形態は、複数のブラシ毛が少なくとも1本のクリンプ状のブラシ毛を含むブラシを提供する。本発明の別の実施形態は、少なくとも1本のクリンプ状のブラシ毛が、約0.254mm(0.010インチ)〜約0.51mm(0.020インチ)のクリンプ深さと、1センチメートル当たり約1.0〜約2.8クリンプ(1インチ当たり約3〜約7クリンプ)のクリンプ毛頻度と、を含むブラシを提供する。本発明の別の実施形態は、複数のブラシ毛が、約1〜約6グラムのブラシ毛抵抗力を含むブラシを提供する。更に別の実施形態は、複数のブラシ毛が疎水性であり、ナイロンから作られ得るブラシを提供する。
【0053】
更に別の実施形態は、基部と、基部に機能的に取り付けられている前記遠位端と、近位端と、を有する複数のブラシ毛と、を含み、遠位端が30%〜約80%を超えるブラシ毛密度を有し、近位端が約10%から最大30%のブラシ毛密度を有する、表面に組成物を供給するためのブラシを提供する。一実施形態では、ブラシは、ブラシ毛密度が約35%〜約70%、又は約45%〜約50%である遠位端を有する。一実施形態では、複数のブラシ毛は、少なくとも1本のクリンプ状のブラシ毛を含む。一実施形態では、複数のブラシ毛は、約1〜約6グラムのブラシ毛抵抗力を含む。複数のブラシ毛は、疎水性であることができ、ナイロンから作られ得る。
【0054】
別の実施形態では、ブラシは、基部と、基部に機能的に取り付けられている前記遠位端と、近位端と、を有する複数のブラシ毛と、基部と流体的に係合し、組成物を基部に貫流させることができる分配装置と、を含み、遠位端は30%〜約80%を超えるブラシ毛密度を有し、近位端は約10%から最大30%のブラシ毛密度を有する。一実施形態では、分配装置は、複数のブラシ毛に対して実質的に非平行な方向に組成物を分配することができる。別の実施形態では、分配装置は、複数のブラシ毛に対して実質的に垂直な方向に組成物を分配することができる。更に別の実施形態では、遠位端は、約40%〜約60%のブラシ毛密度を有する。
【0055】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0056】
本明細書を通して記載されているあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、こうしたそれより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように包含することを理解すべきである。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体をわたって記載されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0057】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0058】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を分配するための容器と共に使用するブラシヘッドであって、
当該ブラシヘッドが、
a)基部と、
b)前記基部に取り付けられている遠位端と、皮膚接触領域を形成している近位端と、を有する複数のブラシ毛と、
を含み、
c)前記遠位端が、前記近位端よりも高いブラシ毛密度を有し、及び
d)前記複数のブラシ毛が、前記遠位端から前記近位端の方に向けて少なくとも1つの流路を形成する、ブラシヘッド。
【請求項2】
前記流路が分配管を更に包含する、請求項1に記載のブラシヘッド。
【請求項3】
前記複数のブラシ毛が、約0.254mm〜約25.4mmの深さを有する凹部を形成している、請求項1又は2に記載のブラシヘッド。
【請求項4】
前記ブラシヘッドが、中心軸と、当該中心軸に垂直な断面と、を有し、
前記断面が、凹部の断面積及びブラシの断面積を規定し、
前記凹部の断面積が、前記ブラシの断面積の10%〜75%である、請求項3に記載のブラシヘッド。
【請求項5】
前記複数のブラシ毛が、1〜6グラムのブラシ毛抵抗力を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項6】
前記複数のブラシ毛が疎水性である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項7】
前記複数のブラシ毛がナイロンから作られている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項8】
前記複数のブラシ毛が、少なくとも1本のクリンプ状のブラシ毛を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項9】
前記遠位端が、30%〜80%を超えるブラシ毛密度を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項10】
前記近位端が、10%〜30%のブラシ毛密度を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項11】
当該ブラシヘッドが、容器と流体係合して、前記基部を貫通して当該流路の中に至る流路を形成する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項12】
前記複数のブラシ毛が、少なくとも2つの流路を形成する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のブラシヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−520747(P2012−520747A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500958(P2012−500958)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/027788
【国際公開番号】WO2010/107988
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】