説明

組成物中におけるエステルクワットの砂付着防止物質としての使用

【課題】組成物中におけるエステルクワットの砂付着防止物質としての使用を提供する。
【解決手段】本発明の主題は、組成物に砂付着防止作用を生じさせるエステルクワットを化粧品組成物を含む組成物中に使用することと、この砂付着防止作用を有する化粧品組成物を局所適用するため、例えば皮膚を紫外線から保護するために使用することとに関する。本特許出願の主題は、特に、組成物に砂付着防止作用を生じさせる、アルカノールアミンをベースとする少なくとも1種のエステルクワットであって、そのアシル成分が、
(a)モノカルボン酸、
(b)ジカルボン酸、
(c)トリカルボン酸、
またはこれらの混合物から誘導されたエステルクワットを、組成物中において使用することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカノールアミンをベースとするエステルクワットの、組成物中における砂付着防止(sand−repellent)物質としての使用、および砂付着防止物質としてのエステルクワットを含む化粧品組成物、および砂付着防止作用を有するこのような局所用化粧品組成物の、特に皮膚を紫外線から保護するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽放射の中の紫外部分が皮膚を損傷する作用を有することは一般に知られている。光線が皮膚組織に与える影響は具体的な波長に応じて様々である。波長が290nmよりも短い「UV−C放射」は、地球大気中のオゾン層によって吸収されてしまうため、生理学的には重要ではない。一方、290nm〜320nmの領域の光線すなわち「UV−B領域」は、紅斑や単純な日焼けを引き起こしたり、程度の差はあるが重症な熱傷さえも引き起こす。308nm周辺のより狭い領域が太陽光の中でも最も紅斑作用が強いことが指摘されている。
【0003】
地表に到達する紫外線の約90%はUV−A光線から構成されている。UV−B放射が、時期や時間帯および緯度といった数々の因子に依存して大きく変化する一方で、UV−A放射は時期にも時間にも地理的な因子にも左右されず、比較的日々の変化がないままである。また、UV−A放射の大部分は生体の表皮内に侵入し、一方、UV−B光線の約70%は角質層で止まる。
【0004】
したがって、日焼け止め用化粧製剤がUV−B放射に対してもUV−A放射に対しても十分な保護を行うことが基本的に重要である。
【0005】
日光浴の後に使用される皮膚の手入れ用品は先行技術においてもよく知られており、これらは、通常、特殊な有効成分、例えば、保油剤(refatting agent)および保湿剤、炎症を緩和および鎮静化する物質、局所麻酔物質、ならびに/または殺菌物質(例えば、可能性のある感染から皮膚を保護することを目的とする)等を含んでいる。このような「アフターサン(aftersun)」または「アプレソレイユ(apres−soleil)」製剤は、日光浴後の皮膚を鎮静化するとともにその保湿力を高めることを目的としたものであり、その役割は鎮静作用の仲介が中心である。しかしながら、先行技術においては、皮膚を乾燥から保護するとともに紫外線を浴びている間でさえも皮膚を十分に手入れする製品が存在しなかった。
【0006】
先行技術の欠点の一つは、慣用の日焼け止め製剤および皮膚の手入れ用品を用いると、皮膚に通常べたつきのある皮膜が残ることにある。この種の製品を砂浜で使用した場合、砂が体に張り付いたままになり、これが使用者に不快感を与えるため、結果として、日焼け止め製剤および皮膚の手入れ用品の使用量が極端に少なくなったり、もはやまったく使用されないということが起こり得る。浜辺では、強度の差はあれ風が広範囲に吹いているのが通常であるから、一般に、体が直接砂に触れることがまったくない場合でさえも(例えば籐製のビーチチェアやデッキチェアで日光浴していても)同じように、風に舞った砂埃が皮膚のクリームを塗った部分に張り付いたままになるため、この欠点が生じてしまう。
【0007】
【特許文献1】WO91/01295
【特許文献2】独国特許DE4308794C1号明細書
【特許文献3】欧州特許EP 0 750 606 B1号明細書
【特許文献4】EP−A−0 518 772
【特許文献5】EP−A−0 518 773
【特許文献6】EP 1 555 015 0 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、それを使用した後もクリームを塗った皮膚に砂が張り付いて残らないか、あるいは少なくとも砂の付着が大幅に低減される新規な物質およびこれを含む化粧品組成物、特に日焼け止め製剤を見出すことにあった。このような所望の特性を有する物質を、以下、砂付着防止物質と称する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、また当業者にも予測できなかったことであるが、アルカノールアミンをベースとするエステルクワットであって、そのアシル成分が、
(a)モノカルボン酸、
(b)ジカルボン酸、
(c)トリカルボン酸、
またはこれらの混合物から誘導されるエステルクワットを組成物中に使用することによって、その組成物に砂付着防止作用が生じる。
【0010】
本発明によるエステルクワットを含む、砂付着防止作用を有する組成物は、エタノールアミン(特にトリエタノールアミン)、イソプロパノールアミン(特にトリイソプロパノールアミン)を、0重量%以上〜5重量%以下、場合により0.01重量%以上〜3重量%以下、0.1重量%以上〜2重量%以下の重量含有率で含んでいてもよい。エステルクワットを含む組成物中の遊離トリエタノールアミン含有量は最大で1000ppmを構成するのが好ましいであろう。
【0011】
このエステルクワットを調製するために、モノ−、ジ−、および/またはトリアルカノールアミンを含む群から選択される本発明によるアルカノールアミンを使用してもよい。いずれの場合も、アルカノール基は、同一であるかまたは互いに独立して、分岐または非分岐の飽和または不飽和のC〜C炭素原子を有するヒドロキシアルキル基であってもよく、好ましくは、分岐または非分岐のC〜Cヒドロキシアルキル、分岐または非分岐のC〜Cヒドロキシアルケニル、特に好ましくは、ヒドロキシエチルまたはヒドロキシイソプロピルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、「エステルクワット」とも称される「アルカノールアミンをベースとするエステルクワット」という呼称は、一般に、四級化された脂肪酸アルカノールアミンエステルおよびその塩を意味するものと理解される。
【0013】
これらは有機製造化学の該当する方法に従い得ることができる周知の物質である。エステルクワットの調製は例えば(特許文献1)に記載されており、これによると、トリエタノールアミンが次亜リン酸の存在下に脂肪酸で部分的にエステル化され、空気が導入された後、この混合物が硫酸ジメチルを用いることによって四級化される。固体エステルクワットの調製方法も(特許文献2)より周知であり、これにおいては、好適な脂肪族アルコールの存在下にトリエタノールアミンエステルの四級化が実施される。さらなる周知のエステルクワットの調製方法においては、脂肪酸から出発することも、ジカルボン酸との混合物中で対応するトリグリセリドから出発することも可能である。このような調製方法は(特許文献3)に記載されている。
【0014】
「砂付着防止作用を有するエステルクワット」という呼称は、エステルクワットを本発明に従い組成物中に使用することによってこれらに砂付着防止作用が付与されること、すなわち、こうしたことによって例えば皮膚への砂の付着が低減されることを意味するものと理解される。
【0015】
驚くべきことに、エステルクワットが組成物中において砂付着防止作用を有し、日焼け止め製剤を含む化粧品組成物および皮膚の手入れ用品にこれらを使用すると、砂の付着が低減され、皮膚の感触が向上されることがここに見出された。
【0016】
本発明による化粧用日焼け止め製剤は、皮膚の治療、手入れ、および洗浄に使用しても、装飾用化粧におけるメーキャップ用品として使用してもよい。以下、日焼け止め製剤を日焼け止めとも称する。その構造によれば、本発明の趣旨の範囲内における化粧品組成物を、例えば、皮膚の保護クリーム、クレンジングミルク、昼または夜用クリーム等として使用してもよい。場合により、本発明による組成物を医薬品製剤のベースとして用いることも可能かつ有利である。この化粧品組成物を適用する場合は、化粧に慣用されている方法で十分な量を皮膚に適用する。
【0017】
しかしながら、本発明の趣旨の範囲内における砂付着防止作用を有する化粧品組成物には、皮膚用組成物も含まれる。以下、皮膚用組成物とも称される本発明による化粧品組成物は、太陽光からの保護が主目的ではないものの、UV保護物質をその内容物として含み得る。昼用クリームやメーキャップ用品には、UV−Aおよび/またはUV−B遮蔽物質(filter substance)が含まれ得ることは周知である。
【0018】
本発明によるエステルクワットおよびエステルクワットを含む組成物は官能特性および化粧特性が非常に優れており、特に、皮膚上での分散性が良好である。本発明のさらなる利点は、組成物に砂付着防止作用を生じさせるエステルクワットを含む本発明による本組成物の場合、このエステルクワットは別として、場合によってはさらなる乳化剤を添加せずに済ませられることにある。
【0019】
特にアレルギー患者の場合、十分な皮膚の耐容性を保証するために、異なる成分の数を可能な限り少なく維持することが重要である。エステルクワットは周知のように殺生物作用を有し、また、上述したように乳化剤の添加を場合により省くことが可能であることから、成分の数を少なくした皮膚の症状緩和および手入れ用光遮断(lightscreen)製剤および製品を使用に供することが可能になる。
【0020】
本発明の趣旨の範囲内で使用することができる本発明による好適なモノ−、ジ−、およびトリエステルクワットは、そのアシル成分が式RCO−OH(式中、Rは、直鎖または分岐の飽和または不飽和の場合によりヒドロキシ置換された5〜23個の炭素原子を有するアシル基である)のモノカルボン酸から誘導された生成物である。本発明による好適なカルボン酸は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アラキン酸、ベヘン酸、およびエルカ酸、ならびにその工業用混合物(technical mixture)(例えば、天然の油脂を加圧分解することによって得られるもの)である。
【0021】
さらに、エステルクワットの少なくとも1種のアシル成分が式HOOC(CHCOOHのジカルボン酸(式中、nは、1〜10の数である)から誘導されたものであるエステルクワットは、本発明による組成物中で砂付着防止作用を生じることができる。好適なジカルボン酸は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、ソルビン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、および/またはドデカン二酸である。
【0022】
本発明によれば、少なくとも1種の砂付着防止エステルクワットを使用することが好ましく、以下の式I、式II、および/または式III、
【化1】

(式中、
は、H、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピル、好ましくは、メチルまたはエチルであり、
、Rは、同一であるかまたは互いに独立して、R、分岐または非分岐の飽和または不飽和のC〜C炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、好ましくは、分岐または非分岐のC〜Cヒドロキシアルキル、分岐または非分岐のC〜Cヒドロキシアルケニル、特に好ましくは、ヒドロキシエチルまたはヒドロキシイソプロピルであり、
、R、およびRは、同一であるかまたは互いに独立して、分岐または非分岐の飽和または不飽和のC〜C23炭素原子、好ましくはC〜C21炭素原子、特に好ましくはC11〜C19炭素原子、最も好ましくはC15〜C17炭素原子を有するアシル基であり、
T、Y、およびZは、同一であるかまたは互いに独立して、メチレン、エチレン、エテニレン、分岐または非分岐の飽和または不飽和のC〜C炭素原子を有するアルキレンであり、
Xは、陰イオンであり、好ましくは、この陰イオンは、ハロゲン化物イオン、アルキル硫酸イオン、またはアルキルリン酸イオンであり、特に好ましくは、この陰イオンは、Cl、CHOSO、またはCHCHOSOである)を含む混合物が好ましい。
【0023】
本発明の特に好ましい実施態様によれば、ジ(オレイルカルボキシエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、ジ(牛脂脂肪酸エチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、N,N−ジ(β−ステアロイルエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N,N−ジ(β−パルミトイルエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム塩、ジココイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ジパルモイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ジナタネ種子油脂肪酸エチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、および/もしくはジ大豆油脂肪酸エチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ならびに/またはこれらの水素添加された類縁体を含む群から選択される砂付着防止エステルクワットを使用してもよい。
【0024】
本発明によれば、砂付着防止作用を有するエステルクワットは、単独または混合物の形態で使用することができる。砂付着防止エステルクワットの適用性に関して言えば、平均エステル化度が1〜3、好ましくは1.5〜2.5、好ましくは1.7〜2.2であるものがエステルクワット混合物に特に有利であることが明らかになった。さらに、平均エステル化度が1.5〜1.9のモノ−、ジ−、およびトリエステルの工業用混合物を砂付着防止エステルクワットとして使用することが好ましい。
【0025】
所望のヨウ素価に調整するために、エステルクワットを慣用の方法に従い水素添加してもよい。
【0026】
つまり、砂付着防止エステルクワットのヨウ素価を高くすると、ヨウ素価のより低いエステルクワットと比較して砂付着防止作用を著しく改善できることがわかった。したがって、ヨウ素価が20以上〜100以下、好ましくはヨウ素価が30以上〜90以下、特に好ましくはヨウ素価が40以上〜80以下の砂付着防止エステルクワットを使用することが、本発明により最も好ましい可能性がある。特に、ヨウ素価が60以上〜95以下および70以上〜85以下の範囲にあるエステルクワットは、より高い砂付着防止作用を有することができる。ヨウ素価は、別段の指定がない限り、各エステルクワット化合物のそのままの状態に関するものである。
【0027】
エステル化度が1.5〜2.5、好ましくは1.7〜2.2であり、かつヨウ素価が20〜60、好ましくはヨウ素価が30〜40のエステルクワットを使用すると、このエステルクワットが良好な砂付着防止作用を付与できることが示された。特に好ましくは、エステル化度が1.75でありかつヨウ素価が32〜36のエステルクワットを使用してもよい。
【0028】
本発明のさらなる主題は、砂付着防止作用を有するエステルクワットを含む化粧品組成物に関し、この化粧品組成物には、日焼け止め製剤ならびに皮膚の刺激緩和用および皮膚の手入れ用品が含まれる。
【0029】
好ましくは、本発明の主題は、砂付着防止作用を有するエステルクワットを含む、人の表皮の保護または日焼け止めのための組成物およびその使用に関し、この砂付着防止作用を有する化粧品組成物は、非イオン性ベシクル分散液、エマルジョン(特に水中油型エマルジョン)、クリーム、乳液、ゲル、ゲルクリーム、懸濁液、分散液、粉末、固形スティック、フォーム、またはスプレーの形態で存在する。
【0030】
本発明によれば、エステルクワットを含む砂付着防止作用を有する化粧品組成物および睫毛、眉毛、または皮膚をメーキャップするためのその使用も同様に好適であり、これは、無水または水性の固体またはペースト形態、エマルジョン、懸濁液、分散液の形態で存在してもよい。
【0031】
本発明による好適な砂付着防止作用を有する局所用化粧品組成物は、化粧的に許容可能な担体および砂付着防止物質としての少なくとも1種のエステルクワットを含む。
【0032】
この化粧品組成物は、砂付着防止物質としてのエステルクワットを、化粧品組成物の総重量を基準として、0.1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜8重量%、特に好ましくは2重量%〜4重量%の重量含有率で含んでいてもよい。
【0033】
本発明の趣旨の範囲内における化粧品組成物は、好ましくは、O/Wエマルジョンの形態で存在する。特に、化粧的に許容可能な担体を水中油型エマルジョン形態で存在させることが選択されるであろう。したがって、本発明の趣旨の範囲内における組成物は、好ましくは、1種またはそれ以上の油相に加えてさらに1種またはそれ以上の水相を含み、例えば、O/W、W/O/W、または多種多様な複合エマルジョンの形態で存在してもよい。好ましくは、これらの製剤は、マイクロエマルジョン、固形エマルジョン(すなわち固体により安定化されているエマルジョン、例えばピッカリング(Pickering)エマルジョン)、噴霧可能なエマルジョン、または水分散液(hydrodispersion)であってもよい。
【0034】
油相は、例えば、レシチン、脂肪酸トリグリセリド、飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐のC原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有するアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルを含む極性油からなる群から選択してもよい。
【0035】
脂肪酸トリグリセリドは、カカオ脂脂肪酸グリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、ナタネ種子油、扁桃油、パーム油、ヤシ油、ヒマシ油、小麦胚芽油、ブドウ種子油、アザミ油、月見草油等を含む、合成、半合成、および/または天然油からなる群から選択してもよい。
【0036】
さらに、ミツロウおよび他の昆虫ロウ、好ましくはベリーロウ(berry wax)、シヤ脂、および/または羊毛脂を含む、動物および植物由来の天然ロウを使用してもよい。
【0037】
極性油成分は、飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐のC原子3〜30個の鎖長を有するアルカンカルボン酸と飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐のC原子3〜30個の鎖長を有するアルコールとのエステル、芳香族カルボン酸と飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐のC原子3〜30個の鎖長を有するアルコールとのエステルを含むエステルからなる群から選択してもよい。
【0038】
好ましいエステル油には、パルミチン酸オクチル、ヤシ油脂肪酸オクチル、イソステアリン酸オクチル、ドデシルミリスチン酸オクチル、オクチルドデカノール、イソノナン酸セテアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ヤシ油脂肪酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、ドデシルパルミチン酸2−オクチル、ヘプタン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ステアリン酸トリデシル、トリメリット酸トリデシル、ならびにこのようなエステルの合成、半合成、および天然の混合物、特にホホバ油が含まれる。
【0039】
しかしながら、油相には、ジアルキルエーテルおよび炭酸ジアルキル、ジカプリリルエーテルおよび/または炭酸ジカプリリル、ジエチルヘキシルエーテルおよび/または炭酸ジエチルヘキシルも含まれてもよい。
【0040】
好適な油成分は、イソエイコサン、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、(ジカプリル酸/ジカプリン酸)プロピレングリコール、コハク酸ジ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、(ジカプリル酸/ジカプリン酸)ブチレングリコール、乳酸C12〜13アルキル、酒石酸ジC12〜13アルキル、トリイソステアリン、(ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸)ジペンタエリスリチル、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、トリカプリリン、ジメチルイソソルビド、安息香酸C12〜15アルキル、サリチル酸ブチルオクチル、安息香酸ヘキサデシル、および安息香酸ブチルオクチル、ならびにこれらの混合物を含む群から選択してもよい。
【0041】
油相として、分岐および非分岐の炭化水素およびロウ、特に、鉱油、ワセリン、パラフィン油、スクアランおよびスクアレン、ポリオレフィン、水添ポリイソブテン、およびイソヘキサデカンを含む非極性油も使用してもよい。
【0042】
油相は、環状または鎖状のシリコーン油をさらに含んでいても、あるいは、この種の油から完全に構成されていてもよい。このシリコーン油は、系統的にはポリオルガノシロキサンと称されるものである。メチル置換されたポリオルガノシロキサンは、この群のなかでも量的に最も重要な化合物であり、これは、ポリジメチルシロキサンまたはジメチコン(INCI)とも称される。様々な鎖長および様々な分子量を有するジメチコンが存在する。
【0043】
本発明による好適なポリオルガノシロキサンには、例えば、商品名アビル(Abil)(登録商標)10〜10000としてゴールドシュミット・ゲーエムベーハー(Goldschmidt GmbH)より入手可能なジメチルポリシロキサン、セチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、フェニルメチルポリシロキサン(INCI:フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン)、INCIに準拠してシクロメチコンとも称される環状シリコーン(オクタメチルシクロテトラシロキサンまたはデカメチルシクロペンタシロキサン)、アミノ変性シリコーン(INCI:アモジメチコン)、ならびにシリコーンワックス、例えば、ポリシロキサン−ポリアルキレンコポリマー(INCI:ステアリルジメチコンおよびセチルジメチコン)およびジアルコキシジメチルポリシロキサン(ステアロキシジメチコンおよびベヘノキシジメチコン)(これらはゴールドシュミット・ゲーエムベーハーから様々な種類のアビル(登録商標)ワックスとして入手可能である)が含まれる。
【0044】
この化粧品組成物が日焼け止め組成物である場合は、UV−Aおよび/またはUV−B遮蔽物質が含まれていてもよい。有利には、本発明による組成物は、紫外線領域全域から皮膚を保護できる化粧品組成物が利用できるように、UV−Aおよび/またはUV−B領域の紫外線を吸収する物質を含み、その総量は、それぞれの場合における組成物の総重量を基準として、0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に1.0〜15.0重量%である。
【0045】
本発明による化粧品組成物、特に日焼け止め組成物は、UV−Aおよび/またはUV−B領域において有効な1種またはそれ以上の補助的な親水性または親油性の遮蔽剤を含んでいてもよい。
【0046】
好適な有機遮蔽剤は、例えば、ケイヒ酸誘導体、サリチル酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、高分子遮蔽剤、およびシリコーン遮蔽剤である。
【0047】
UV−Aおよび/またはUV−B領域において有効な日焼け止め遮蔽剤は、p−アミノ安息香酸、エトキシル化p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N−プロポキシル化p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−メトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル、ジイソプロピルケイヒ酸メチル、4−メトキシケイヒ酸イソアミル、4−メトキシケイヒ酸ジエタノールアミン、アントラニル酸メンチル、2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリル酸エチル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびその塩、3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルサルフェート、1,4−ベンゼンジ(3−メチリデン−10−カンファースルホン酸)およびその塩、ウロカニン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、α−(2−オキソボルン−3−イリデン)トリル−4−スルホン酸およびその塩、3−(4’−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オンおよびその塩、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、2,4,6−トリス[p−(2’−エチルヘキシル−1’−オキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、2−[p−(tert−ブチルアミド)アニリノ]−4,6−ビス[(p−(2’−エチルヘキシル−1’−オキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、1,4−ビスベンズイミダゾリルフェニレン−3,3’,5,5’−テトラスルホン酸およびその塩、N−[(2および4)−[(2−オキソボルン−3−イリデン)メチル]ベンジル]アクリルアミドのポリマー、アルキル安息香酸2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]、マロネート基を有するポリオルガノシロキサンを含む群から選択することができる。
【0048】
本発明に従い使用することができる砂付着防止作用を有する組成物は、皮膚にブロンズ光沢を与えかつ/または人工的に褐色に着色する、ジヒドロキシアセトン等の少なくとも1種の試剤をさらに含んでいてもよい。
【0049】
さらに、本発明による化粧品組成物は、被覆されているかまたは無被覆の顔料またはその替わりとして5〜100nmの範囲、好ましくは10〜50nmの範囲のナノ顔料を含有してもよい。使用可能な好適な金属酸化物のナノ顔料には、チタンの酸化物(例えば、非晶質またはルチルおよび/もしくはアナターゼ型結晶)、鉄、マンガン、亜鉛、ジルコニウム、またはセリウムの酸化物(これらはいずれもUV光遮断物質として周知である)が含まれる。従来の被覆剤は、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、ステアリン酸アルミニウム、ジメチコン、および/またはメチコンであってもよい。本発明に従い使用してもよい、場合により被覆されていてもよい金属酸化物のナノ顔料は、例えば、特許出願(特許文献4)および(特許文献5)に記載されている。
【0050】
本発明の趣旨の範囲内におけるさらなる油溶性UV−Bおよび/または広域スペクトル遮蔽物質には、3−ベンジリデンカンファー誘導体(好ましくは、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデンカンファー)、4−アミノ安息香酸誘導体(好ましくは、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシルエステル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、ベンゾフェノン誘導体(好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)、および3−(4−(2,2−ビス−エトキシカルボニルビニル)フェノキシ)プロペニル)メトキシシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー等のポリマーに結合したUV遮蔽剤が含まれる。
【0051】
本発明により使用してもよい化粧品組成物は、1種またはそれ以上の油溶性UV遮蔽物質を、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%含んでいてもよい。
【0052】
この化粧品組成物はさらに、添加剤および/または化粧品用賦形剤を、0.001〜15重量%、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%含んでいてもよい。
【0053】
本発明による化粧品組成物は、脂肪性物質、有機溶媒、増粘剤、刺激緩和剤、抗酸化剤、クラウディ剤(clouding agent)、安定剤、エモリエント剤、ヒドロキシ酸、消泡組成物、水和剤、ビタミン類、香料、防腐剤、界面活性物質、増量剤、マスキング剤、ポリマー、噴射剤、アルカリ化剤もしくは酸性化剤、および/または着色剤から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0054】
本発明による化粧品組成物は、防腐剤、防腐助剤、殺菌剤、香料、発泡防止物質、染料、着色作用を有する顔料、増粘剤、湿潤および/もしくは保湿物質、皮膚感触を向上させる増量剤、脂肪、油、ロウ、ならびに/または化粧製剤に慣用される他の化粧品用賦形剤(アルコール、ポリオール、ポリマー、整泡剤、電解質、有機溶媒、および/またはシリコーン誘導体を含む)を含む、この種の組成物に慣用されているものなどの化粧品用賦形剤をさらに含んでいてもよい。
【0055】
本発明による好ましい化粧品用賦形剤には、アルコール(エタノールおよび/またはイソプロパノール)、ジオール、またはポリオール、およびこれらのエーテル(特に、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル、またはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、および類似の生成物)、ポリマー、整泡剤、電解質、ジヒドロキシアセトン、および場合により1種またはそれ以上の増粘剤(二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖類およびその誘導体、ヒアルロン酸、キタンサンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸エステル、カーボポール(Carbopol)、例えばカーボポールの980、981、1382、2984、5984タイプ等)が含まれ、これらはそれぞれの場合において、単独または組み合わせて使用することができる。好適に使用することができる化粧品用賦形剤は、例えば、(特許文献6)に記載されており、当該明細書全体を本発明の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0056】
本発明による砂付着防止エステルクワットを含む化粧品組成物は、保湿剤も含んでいてもよい。保湿剤とは、化粧品組成物を皮膚表面に塗布または分散させた後に、角質層の水分の放出を抑えかつ/または角質層の水和にプラスに作用する特性を化粧品組成物に付与する物質または物質の混合物を意味する。
【0057】
使用可能な保湿剤には、グリセロール、乳酸、および/または乳酸塩(特に乳酸ナトリウム)、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ビオサッカリド、グリシン、大豆、エチルヘキシルオキシグリセロール、ピロリドンカルボン酸、および尿素、ならびに水溶性かつ/または水中で膨潤可能かつ/または水によりゲル化可能な多糖類からなる群からの高分子保湿剤が含まれる。ヒアルロン酸、キトサン、および/またはフコースに富む多糖類(これは、ケミカルアブストラクトに登録番号178463−23−5として収録されており、例えば、フコゲル(Fucogel)(登録商標)1000という名称でソラビア・エスア(SOLABIA S.A.)から入手可能である)も同様に好適である。
【0058】
本発明の趣旨の範囲内で使用することができる防腐剤には、ホルムアルデヒド分解剤、ヨードプロピルブチルカルバメート、パラベン、p−ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル(メチル−、エチル−、プロピル−および/またはブチルパラベン等)、フェノキシエタノール、エタノール、安息香酸が含まれる。通常、本発明による防腐系に、例えば、オクトキシグリセロール、グリシン、および/または大豆等の防腐助剤も含まれるとさらに有利である。
【0059】
本発明の趣旨の範囲内で使用することができる抗酸化剤には、水溶性抗酸化剤、ビタミン類、特にアスコルビン酸およびその誘導体が含まれる。さらなる好ましい抗酸化剤は、ビタミンEおよびその誘導体ならびにビタミンAおよびその誘導体である。
【0060】
化粧品組成物の総重量を基準とした抗酸化剤の総量は、0.001〜30重量%であってもよく、好ましくは0.05〜15重量%、特に0.5〜10重量%である。
【0061】
使用可能な天然の活性化合物および/またはその誘導体には、アルファ−リポ酸、フィトエン、D−ビオチン、コエンザイムQ10、アルファ−グルコシルルチン、カルニチン、カルノシン、天然および/または合成のイソフラボノイド、クレアチン、タウリンおよび/またはβ−アラニンが含まれる。
【0062】
砂付着防止エステルクワットを含む化粧品組成物は、製剤の感覚特性および化粧特性をさらに向上させるとともに、例えば、皮膚にベルベットまたは絹のような感触を生じさせるかまたはそれを高める増量剤も含んでもよい。使用可能な増量剤には、タピオカデンプン、リン酸ジスターチ、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウムまたはナトリウム等のデンプンおよびデンプン誘導体、UV遮蔽作用が主ではなく着色作用も有しない顔料、例えば窒化ホウ素および/またはエアロジル(Aerosil)(登録商標)(CAS番号7631−86−9)が含まれる。
【0063】
さらに、例えば組成物の耐水性を向上させるかまたはUV保護力を高めることを目的として、本発明による化粧品組成物に皮膜形成剤を添加すると、場合により有利となり得る。水溶性、分散性、および/または脂溶性の皮膜形成剤をそれぞれの場合において単独または互いに組み合わせたものがいずれも好適である。
【0064】
本発明に従い使用してもよい皮膜形成剤には、ポリウレタン、ジメチコンコポリオール、ポリアクリル酸エステル、PVP/VAコポリマー(PVP−ポリビニルピロリドン、VA−酢酸ビニル)が含まれる。
【0065】
脂溶性膜形成剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)をベースとするポリマー、ポリビニルピロリドンのコポリマー、PVP/ヘキサデセンコポリマー、および/またはPVP/エイコセンコポリマーからなる群から選択することができる。
【0066】
以下の実施例1〜8を用いて本発明を限定することなく例示する。別段の指定がない限り、実施例内の数値は、各組成物の総重量を基準とした重量百分率である。
【実施例】
【0067】
一般的な試験方法
以下に示す実施例1〜8のエマルジョン0.3gを、年齢30〜50歳の被験者の汗をかいていない乾いた前腕部の内側150cmに塗布した。検査の際には、各々の乾いた前腕部にさらに室温で10分間空気を当てた後、エマルジョンが吸収されるまで2分間均等に擦り込んだ。次いで、インターゼロ(Interseroh)より入手可能な、商品コード388−2849の微細な水槽用砂30mlを、エマルジョンを塗布した前腕部の内側に15秒間流しかけた。この砂は、温度80℃の乾燥用オーブンで48時間予め乾燥しておいたものを室温に冷ましたものである。手を3回叩くことによって軽く付着していた砂を落とした。次いで、前腕部内側表面に付着したままの砂をエタノールで完全に洗い流し、ビーカーに回収した。エタノールを除去し、ビーカーに残った砂を計量した。
【0068】
【表1】

【0069】
レオクワット(登録商標)WE15*1:ゴールドシュミット・レオ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー(Goldschmidt Rewo GmbH&Co.KG)より入手可能なジ(オレイルカルボキシエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトサルフェート

レオクワット(登録商標)WE28*2:ゴールドシュミット・レオ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲーより入手可能なジ(パルモイル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトサルフェート+イソプロパノール

レオクワット(登録商標)WE38DPG*3:ゴールドシュミット・レオ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲーより入手可能なジ(パルモイル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトサルフェート+ジプロピレングリコール

レオクワット(登録商標)WE18−E*4:ゴールドシュミット・レオ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲーより入手可能なジ(パルモイル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトサルフェート+エタノール

アビル(登録商標)クワット3272*5:ゴールドシュミット・ゲーエムベーハーより入手可能なアルファ−オメガ−四級化ポリジメチルシロキサン

テギン(登録商標)M*6:ゴールドシュミット・ゲーエムベーハーより入手可能なステアリン酸グリセリル

テゴ(登録商標)アルカノール18*7:ゴールドシュミット・ゲーエムベーハーより入手可能なC18アルコール

テゴソフト(登録商標)TN*8:ゴールドシュミット・ゲーエムベーハーより入手可能な安息香酸C12〜C15アルキル

テゴソフト(登録商標)DEC*9:ゴールドシュミット・ゲーエムベーハーより入手可能な炭酸ジヘキシルエチル

テゴソフト(登録商標)CR*10:ゴールドシュミット・ゲーエムベーハーより入手可能なリシノール酸セチル

テゴソフト(登録商標)TIS*11:ゴールドシュミット・ゲーエムベーハーより入手可能なトリイソステアリン

BMDM*12:ブチルメトキシジベンゾイルメタン

EHMC*13:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル

OC*14:オクトクリレン
【0070】
表1に示した成分をそれぞれ混合することによって実施例1〜8の組成物を得た。
【0071】
上述した一般的な試験方法に従い、本発明による実施例1〜8のそれぞれの砂付着防止組成物を、各場合ごとに年齢30〜50歳の群の10人の被験者の前腕部内側表面に塗布した後、付着した砂を上述したように測定し、実施例1〜8の各化粧品組成物の各平均値を、それぞれ10人づつの砂付着試験から求めた。
【0072】
比較試験として、アルディ・ズート(ALDI Sued)(独国エッセンのアルディ・アインカウフ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・オーハーゲー(Aldi Einkauf GmbH&Co. oHG,Essen,Germany))より入手可能な日焼け止めオンブラ(Ombra)(登録商標)を用いて、別の10人の被験者を上述した一般的な試験方法に従って処置し、砂の付着を測定した。結果を各場合ごとに平均し、表2において実施例1〜8および比較例について評価した。
【0073】
【表2】

【0074】
+ = 砂付着防止性が良好(1g未満)
++〜+++ = 砂付着防止性が非常に良好(0.5g未満)
++++ = 砂付着防止性が最も良好(0.3g未満)
− = 砂付着防止性に劣る(1gを超える)
−− = 砂付着防止性に非常に劣る(1.5gを超える)
【0075】
実施例1〜8および比較例の各場合において最も良かった結果を表3に示す。
【0076】
【表3】

【0077】
ふるい分析
まず、インターゼロより入手可能な商品コード388 2849の微細な水槽用砂を、1回使用分ごとに、以下のようにふるい分析にかけた。
26重量%〜34重量%は粒度が0.315mm未満
42重量%〜50重量%は粒度が0.315mm超
19重量%〜24重量%は粒度が0.5mm超
0.5重量%〜3重量%は粒度が0.8mm超
【0078】
当然ではあるが、使用した水槽用の砂は使用分ごとに粒度分布が異なっているが、使用分ごとの重量を合計すると100重量%となる。
【0079】
本明細書に述べた引例および特許出願/特許全体を参照し、これらの内容を本出願の一部を構成するものとしてここに援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物に砂付着防止作用を生じさせる、アルカノールアミンをベースとする少なくとも1種のエステルクワットの、前記組成物中における使用であって、前記エステルクワットのアシル成分が、
(a)モノカルボン酸、
(b)ジカルボン酸、
(c)トリカルボン酸、
またはこれらの混合物から誘導される、使用。
【請求項2】
前記エステルクワットが、以下の式I、式II、および/または式III、
【化1】

(式中、
は、H、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピル、好ましくは、メチルまたはエチルであり、
、Rは、同一であるかまたは互いに独立して、R、分岐または非分岐の飽和または不飽和のC〜C炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、好ましくは、分岐または非分岐のC〜Cヒドロキシアルキル、分岐または非分岐のC〜Cヒドロキシアルケニル、特に好ましくは、ヒドロキシエチルまたはヒドロキシイソプロピルであり、
、R、およびRは、同一であるかまたは互いに独立して、分岐または非分岐の飽和または不飽和のC〜C23炭素原子、好ましくはC〜C21炭素原子、特に好ましくはC11〜C19炭素原子、最も好ましくはC15〜C17炭素原子を有するアシル基であり、
T、Y、およびZは、同一であるかまたは互いに独立して、メチレン、エチレン、エテニレン、分岐または非分岐の飽和または不飽和のC〜C炭素原子を有するアルキレンであり、
Xは、陰イオンであり、好ましくは、前記陰イオンは、ハロゲン化物イオン、アルキル硫酸イオン、またはアルキルリン酸イオンであり、特に好ましくは、前記陰イオンは、Cl、CHOSO、またはCHCHOSOである)
を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記エステルクワットが、ジ(オレイルカルボキシエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、ジ(牛脂脂肪酸エチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、N,N−ジ(β−ステアロイルエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N,N−ジ(β−パルミトイルエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム塩、ジココイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ジパルモイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ジナタネ種子油脂肪酸エチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、および/もしくはジ大豆油脂肪酸エチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ならびに/またはこれらの水素添加された類縁体を含む群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記エステルクワットの平均エステル化度が、1〜3、好ましくは、1.5〜2.5、特に好ましくは、1.7〜2.2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記エステルクワットのヨウ素価が、20以上〜100以下、好ましくは、ヨウ素価が30以上〜90以下、特に好ましくは、ヨウ素価が40以上〜80以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
砂付着防止作用を有する局所用化粧品組成物であって、化粧的に許容可能な担体および請求項1〜5のいずれか一項に記載の少なくとも1種の砂付着防止物質としてのエステルクワットを含む、化粧品組成物。
【請求項7】
前記化粧品組成物が、砂付着防止物質としてのエステルクワットを、前記化粧品製剤の総重量を基準として、0.1重量%〜10重量%、好ましくは、1重量%〜8重量%、特に好ましくは、2重量%〜4重量%の重量含有率で含む、請求項6に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記化粧的に許容可能な担体が、水中油型エマルジョンの形態で存在する、請求項6または7に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
UV−Aおよび/もしくはUV−B領域において有効な1種もしくはそれ以上の補助的な親水性もしくは親油性の有機遮蔽剤ならびに/または被覆されているかもしくは無被覆の金属酸化物の顔料もしくはナノ顔料をさらに含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
皮膚にブロンズ光沢を与え、かつ/または人工的に褐色に着色するための少なくとも1種の成分をさらに含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
脂肪性物質、有機溶媒、増粘剤、刺激緩和剤、抗酸化剤、クラウディ剤、安定剤、エモリエント剤、ヒドロキシ酸、消泡組成物、水和剤、ビタミン類、香料、防腐剤、界面活性物質、増量剤、マスキング剤、ポリマー、噴射剤、アルカリ化剤もしくは酸性化剤、および/または着色剤から選択される少なくとも1種の化粧品用賦形剤および/または添加剤をさらに含む、請求項6〜10のいずれか一項に化粧品組成物。
【請求項12】
人の表皮の保護または日焼け止めのための組成物であって、非イオン性ベシクル分散液、エマルジョン、特に水中油型エマルジョン、クリーム、乳液、ゲル、ゲルクリーム、懸濁液、分散液、粉末、固形スティック、フォーム、またはスプレーの形態で存在する、請求項6〜11のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
睫毛、眉毛、または皮膚をメーキャップするための組成物であって、無水または水性の固体またはペースト形態、エマルジョン、懸濁液、または分散液の形態で存在する、請求項6〜12のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
砂付着防止作用を達成する目的および場合によりさらに紫外線、特に太陽光から保護するために皮膚を局所的に化粧処理するための方法であって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物の有効量を皮膚に適用する方法。

【公開番号】特開2007−277237(P2007−277237A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96666(P2007−96666)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(500442021)ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (28)
【Fターム(参考)】