説明

組成物及びその使用(2)

本発明は:重合体ビグアニドを単独で、又は第四級アンモニウム化合物、モノ第四級複素環アミン塩、尿素誘導体、アミノ化合物、イミダゾール誘導体、ニトリル化合物、錫化合物又は錯体、イソチアゾリン−3−オン、チアゾール誘導体、ニトロ化合物、沃素化合物、アルデヒド遊離剤、チオン、トリアジン誘導体、オキサゾリジン及びその誘導体、フラン及びその誘導体、カルボン酸及びその塩及びエステル、フェノール及びその誘導体、スルホン誘導体、イミド、チオアミド、2−メルカプト−ピリジン−N−オキシド、アゾール殺真菌剤、ストロビルリン(strobilurin)、アミド、カルバメート、ピリジン誘導体、活性ハロゲン基を有する化合物、及び有機金属化合物からなる群から選択された少なくとも一種類の他の微生物学的に活性な成分と組合せて含む抗菌剤;及び式(1):〔式中、[A]は式(9)を有し、[B]は式(10)を有し、[C]は式(12)を有し、[D]は式(13)を有し、そして、Xは、式(11)を有し、式中、[A]、[B]、[C]、及び[D]は、どのような順序で存在していてもよく;Tは、場合により置換された置換基であり;L、G、及びZは、夫々独立に、場合により置換された結合基であり;R、R、及びRは、夫々独立に、H、場合により置換されたC1−20−アルキル又は場合により置換されたC3−20−シクロアルキルであり;R及びRは、夫々独立に、H、又はC1−4−アルキルであり;qは、15〜1000であり;pは、3〜50であり;Jは、場合により置換されたヒドロカルビル基であり;Fは、酸性置換基であり;Eは、塩基性置換基であり;mは、0〜350であり;nは、1〜75であり;vは、0〜100であり;yは、1〜100であり;bは、0、1、又は2であり;sは、0又は1であり;wは、1〜4であり;但し、R及びRの少なくとも一方はHであるものとする。〕の両性共重合体を含む組成物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両性ビニル櫛型共重合体及び抗菌剤を含む組成物により、表面上の微生物の増殖を阻止する方法に関する。抗菌剤は、調節可能な仕方で時間と共に両性共重合体から遊離され、それにより効果的な抗菌防除を与える。
【背景技術】
【0002】
多くの無生物及び生物の表面上に微生物を見出すことができる。そのような微生物の存在は、病院及び医療環境、台所、浴室、トイレ、及び食品の調製及び包装で非衛生的状態を与え、健康上の危険や汚染を起こす結果になることがある。
【0003】
食品及び健康保護環境中で見出される多くのビルレント(virulent)型微生物に対し有効である幾つかの抗菌剤が存在する。残念ながら、そのような薬剤の活性度は、持続した表面衛生効果を与えることに関しては不充分である。このことは、表面上の抗菌剤の大きな水溶性及び/又は永続性が欠如していることによるものであろうが、そのことは抗菌剤が容易に移動してしまうことを意味している。従って、抗菌剤、又は持続した時間に亙って高度の抗菌殺菌性を与える送出システムと組合せた抗菌剤に対する必要性が存在する。
【0004】
文献には、微生物、特にバクテリアによる汚染が、例えば、水泳プール、工業的配管、建築構造物、船体、病院、劇場、歯及び台所の表面を含めた表面の損傷又は汚染を起こす種々の場合があることが記載されている。実際、特に無生物及び生物表面上のバクテリア増殖を伴う微生物学的問題を解決するために、多くの試み及び方法が行われてきた。
【0005】
欧州特許0182523には、或る重合体組成物が、歯の表面上に口内バクテリアが集落化を起こさないようにするのに如何に有効であるかが記載されている。英国特許2213721には、抗菌剤と共に重合体を含む抗汚染組成物が、口内環境中で見出されるバクテリアに対し効果的であることが示されている。
【0006】
欧州特許0232006には、海洋環境中で用いるためのスルホン化重合体及び殺微生物剤を含む被覆組成物が、加水分解不安定性を有することが示されている。この場合、殺微生物剤を含むか又はそれを含まない水性環境中で、その重合体の被覆の実質的な侵食が可能になり、それにより自己研磨効果により作用して、保護すべき表面でバクテリアの集落化能力を減少していた。
【0007】
WO/02449には、高分子量グラフト重合体を含む表面の殺生物処理法が記載されている。
【0008】
しかし、上記文献のいずれにも、微生物を効果的に除去する能力を有し、持続した表面衛生効果を有する抗菌システムは記載されていない。
【0009】
今後用いられる用語「持続(sustained)」は、薬剤が適用されてきた表面を、例えば、その表面を拭うか、濯ぐか、又は洗浄することにより清浄にした後でも、依然として活性である抗菌剤を指す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
我々は、或る抗菌剤と、両性ビニル櫛形共重合体(今後両性共重合体と呼ぶ)との組合せが、表面での微生物の増殖を阻止するために用いた場合、効果的で持続性のある抗菌力(ant-microbial activity)を与えることを今度思いがけなく見出した。本発明は、抗菌剤、特に殺生物剤と組合せた、主鎖及び側鎖の両方に種々の官能性を有する両性共重合体に基づく表面処理のための組成物を与える。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明の第一の態様によれば、
(i) 重合体ビグアニドを単独で、又は第四級アンモニウム化合物、モノ第四級複素環アミン塩、尿素誘導体、アミノ化合物、イミダゾール誘導体、ニトリル化合物、錫化合物又は錯体、イソチアゾリン−3−オン、チアゾール誘導体、ニトロ化合物、沃素化合物、アルデヒド遊離剤、チオン、トリアジン誘導体、オキサゾリジン及びその誘導体、フラン及びその誘導体、カルボン酸及びその塩及びエステル、フェノール及びその誘導体、スルホン誘導体、イミド、チオアミド、2−メルカプト−ピリジン−N−オキシド、アゾール殺真菌剤、ストロビルリン(strobilurin)、アミド、カルバメート、ピリジン誘導体、活性ハロゲン基を有する化合物、及び有機金属化合物からなる群から選択された少なくとも一種類の他の微生物学的に活性な成分と組合せて含む抗菌剤;及び
(ii) 式(1):
【0012】
【化1】

【0013】
〔式中、
[A]は、式(9)を有し、
【0014】
【化2】

【0015】
[B]は、式(10)を有し、
【0016】
【化3】

【0017】
[C]は、式(12)を有し、
【0018】
【化4】

【0019】
[D]は、式(13)を有し、
【0020】
【化5】

【0021】
そして、Xは、式(11)を有し、
【0022】
【化6】

【0023】
式中、[A]、[B]、及び[D]は、どのような順序で存在していてもよく;
Tは、場合により置換された置換基であり;
L、G、及びZは、夫々独立に、場合により置換された結合基であり;
、R、及びRは、夫々独立に、H、場合により置換されたC1−20−アルキル又は場合により置換されたC3−20−シクロアルキルであり;
及びRは、夫々独立に、H、又はC1−4−アルキルであり;
qは、15〜1000であり;
pは、3〜50であり;
Jは、場合により置換されたヒドロカルビル基であり;
Fは、酸性置換基であり;
Eは、塩基性置換基であり;
mは、0〜350であり;
nは、1〜75であり;
vは、0〜100であり;
yは、1〜100であり;
bは、0、1、又は2であり;
sは、0又は1であり;
wは、1〜4であり;
但し、R及びRの少なくとも一方はHであるものとする。〕
を有する両性共重合体;
を含む組成物が与えられる。
【0024】
本発明の第一の態様による組成物に用いるのに好ましい抗菌剤は、抗バクテリア剤、一層好ましくは重合体ビグアニドである。
【0025】
重合体ビグアニド
好ましくは、重合体ビグアニドは、少なくとも一つのメチレン基を含む架橋基により結合された、少なくとも二つの式(2)のビグアニド単位を含む:
【0026】
【化7】

【0027】
架橋基は、酸素、硫黄、又は窒素のような一つ以上のヘテロ原子により置換された、又は場合によりそれを組込んだ、ポリメチレン鎖を含むのが好ましい。架橋基は、一つ以上の環式部分を含んでいてもよく、それは飽和していてもいなくてもよい。架橋基は、二つの隣接する式(2)のビグアニド単位の間に、少なくとも三つ、特に少なくとも四つの炭素原子が直接挿入されるような架橋基であるのが好ましい。二つの隣接する式(2)のビグアニド単位の間に介在する炭素原子は、10個以下であり、特に8個以下であるのが好ましい。
【0028】
重合体ビグアニドは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、又はアミン基、式(3)の又はシアノグアニジン基のような適当な基によって末端封鎖されていてもよい:
【0029】
【化8】

【0030】
末端基がヒドロカルビルである場合、それは、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであるのが好ましい。ヒドロカルビル基がアルキルである場合、それは、直鎖又は分岐鎖でもよいが、直鎖であるのが好ましい。
【0031】
好ましいアルキル基には、C1−8−アルキルが含まれる。好ましいアルキル基の例には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ペンチル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、及びn−オクチルが含まれる。
【0032】
ヒドロカルビル基がシクロアルキルである場合、それは、シクロプロピル、シクロフェニル、又はシクロヘキシルであるのが好ましい。ヒドロカルビル基がアラルキルである場合、それは、アリール基をビグアニドへ結合しているアルキレン基中に好ましくは1〜6、一層好ましくは1又は2個の炭素原子を含む。好ましいアラルキル基には、ベンジル及び2−フェニルエチル基が含まれる。
【0033】
好ましいアリール基にはフェニル基が含まれる。末端基が置換ヒドロカルビルである場合、置換基は、重合体ビグアニドの微生物学的性質に望ましくない悪影響を示さないどのような置換基でもよい。そのような置換基の例は、アリールオキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、ハロゲン、及びニトリルである。
【0034】
重合体ビグアニドが、二つの式(2)のビグアニド基を含む場合、そのビグアニドはビスビグアニドである。二つのビグアニド基は、ポリメチレン基、特にヘキサメチレン基によって結合されているのが好ましい。
【0035】
重合体ビグアニドは、二つより多くの式(1)のビグアニド単位を含むのが好ましく、式(4)によって表される反復重合体鎖を有する線状重合体ビグアニド、又はその塩であるのが好ましい:
【0036】
【化9】

【0037】
式中、d及びeは、架橋基を表し、それは同じでも異なっていてもよく、それらを一緒にして、dにより結合された窒素原子対の間に直接介在した炭素原子数と、eにより結合された窒素原子対の間に直接介在する炭素原子数との合計は、9より大きく、17より小さい。
【0038】
架橋基d及びeは、ポリメチレン鎖からなるのが好ましく、場合によりヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄、又は窒素によって中断されている。d及びeは、飽和又は不飽和でもよい部分が組込まれていてもよく、その場合、d及びeにより結合された窒素原子対の間に直接介在する炭素原子数は、環式基(単数又は複数)の最も短いセグメントを含むものとして数える。例えば、基:
【0039】
【化10】

【0040】
の中の窒素原子の間に直接介在する炭素原子数は、4であり、8ではない。
【0041】
式(4)の反復重合体単位を有する線状重合体ビグアニドは、重合体鎖が異なる長さを有する場合の重合体混合物として得られるのが典型的である。好ましくは、式(5a)及び(5b):
【0042】
【化11】

【0043】
の個々のビグアニド単位の数は、一緒にして3〜約80である。
【0044】
好ましい線状重合体ビグアニドは、d及びeが同じである重合体鎖の混合物であり、末端基を除いた個々の重合体鎖は、式(6)を有するか、又はその塩である:
【0045】
【化12】

【0046】
式中、nは、4〜20であり、特に4〜18である。nの平均値が約16であるのが特に好ましい。遊離塩基型の重合体の平均分子量は、1100〜4000であるのが好ましい。
【0047】
線状重合体ビグアニドは、式(7):
【0048】
【化13】

【0049】
を有するビスジシアンジアミドと、ジアミン、HN−e−NHとの反応によって製造することができ、この場合、d及びeは、上に定義した意味を有し、或は式(8):
【0050】
【化14】

【0051】
を有するジシアンアミドのジアミン塩と、ジアミンHN−e−NHとの反応により製造してもよく、この場合d及びeは、上に定義した意味を有する。これらの製造方法は、英国特許第702,268号及び第1,152,243号明細書に夫々記載されており、そこに記載された重合体ビグアニドは、いずれも本発明で用いることができる。
【0052】
前に述べたように、線状重合体ビグアニドの重合体鎖は、アミノ基、又は式(9)のシアノグアニジン基により末端封鎖されていてもよい:
【0053】
【化15】

【0054】
このシアノグアニジン基は、線状重合体ビグアニドの製造中、加水分解し、グアニジン末端基を生ずることがある。末端基は、夫々の重合体鎖で、同じでも異なっていてもよい。
【0055】
Rが、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基を表す場合、第一級アミンR−NHを僅かな割合で、上に記載したような重合体ビグアニドの製造中にジアミンHN−e−NHと共に含ませてもよい。第一級アミンは末端封鎖剤として働き、従って、重合体ビグアニド重合体鎖の一方又は両方の末端が−NHR基によって封鎖されていてもよい。これらの−NHR末端封鎖重合体ビグアニドも用いることができる。
【0056】
重合体ビグアニドは、無機酸及び有機酸の両方と容易に塩を形成する。重合体ビグアニドの好ましい塩は、水溶性である。
【0057】
本発明に従って用いられる重合体ビグアニドは、線状重合体の混合物であるのが特に好ましく、それらの個々の重合体鎖は、末端基を除いて、式(6)により、塩酸塩の形で表される。このポリ(ヘキサメチレンビグアニド)化合物は、アベシア社(Avecia Limited)から、商標名バントシル(Vantocil)、コスモシル(Cosmocil)、及びレピューテックス(Reputex)として市販されている。
【0058】
両性共重合
本発明の両性共重合体は、次の実験構造式で例示されるのが好ましい。
【0059】
【化16】

【0060】
両性共重合体は、側鎖が成分[B]により導入される式(1)の反復単位を一つ以上含む少なくとも一つの重合体を含む:
【0061】
【化17】

【0062】
〔式中、
[A]は、式(9)を有し、
【0063】
【化18】

【0064】
[B]は、式(10)を有し、
【0065】
【化19】

【0066】
[C]は、式(12)を有し、
【0067】
【化20】

【0068】
[D]は、式(13)を有し、
【0069】
【化21】

【0070】
そして、Xは、式(11)を有し、
【0071】
【化22】

【0072】
式中、[A]、[B]、及び[D]は、どのような順序で存在していてもよく;
Tは、場合により置換された置換基であり;
L、G、及びZは、夫々独立に、場合により置換された結合基であり;
、R、及びRは、夫々独立に、H、場合により置換されたC1−20−アルキル又は場合により置換されたC3−20−シクロアルキルであり;
及びRは、夫々独立に、H、又はC1−4−アルキルであり;
qは、15〜1000であり;
pは、3〜50であり;
Jは、場合により置換されたヒドロカルビル基であり;
Fは、酸性置換基であり;
Eは、塩基性置換基であり;
mは、0〜350であり;
nは、1〜75であり;
vは、0〜100であり;
yは、1〜100であり;
bは、0、1、又は2であり;
sは、0又は1であり;
wは、1〜4であり;
但し、R及びRの少なくとも一方はHであるものとする。〕
【0073】
用語「両性」とは、重合体が、[D]及び[C]の形の正(プロトン化することができる陽イオン性又は塩基性物質)及び負(塩を形成することができる陰イオン性又は酸性物質)の両方を含むことを意味する。酸性溶液では、塩基性単位[D]は陽イオンを形成し、共重合体は全体として正に帯電するであろう。アルカリ性溶液では、酸性単位[C]は陰イオン性物質を形成し、重合体は負に帯電するであろう。pHが中性(pH7)に近づくにつれて、共重合体は負電荷及び正電荷の両方を有するようになり、従って、性質が両性であると呼ばれる。別法として、両性共重合体は、両性イオンを[D]中へ組込む結果として両性になることがある。
【0074】
用語「四級化内部塩」は、[C]自身が四級化内部塩である場合の式(1)を指すためにも用いることができる。ここで言及する用語「両性共重合体」は、付加重合反応、即ち、3種類以上のオレフィン系不飽和単量体の水性又は非水性媒体中で行うことができる遊離ラジカル開始法により誘導することができる共重合体を記載するために用いられている。従って、本文中で用いられている用語「ビニル単量体」とは、オレフィン系不飽和単量体を指す。
【0075】
本発明で用いられる両性共重合体を形成するのに用いることができるビニル単量体の例には、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジルメタクリレート、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エチレン又はプロピレンオキシドのビニルポリエーテル、例えば、ヒドロキシポリエトキシ(5)ポリプロポキシ(5)モノアリルエーテル〔ビマックス・ケミカルズ社(Bimax Chemicals Ltd)から入手できるBX−AA−E5P5〕、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、4−アミノスチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、アミノメチルスチレンが含まれるが、それらに限定されるものではない。塩基性アミン含有単量体は、遊離アミン、プロトン化塩、又は四級化アミン塩として重合することができる。例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル第四級塩〔チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からエージフレックス(AGEFLEX)FA1Q80MCとして、又は三菱レーヨン社(Mitsubishi Rayon Co. Ltd)からDMCMAとして入手することができる〕、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化ベンジル第四級塩(チバ・スペシャルティー・ケミカルズからエージフレックスFM1Q80BCとして入手することができる)、及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化ベンジル第四級塩(チバ・スペシャルティー・ケミカルズからエージフレックスFA1Q80BCとして入手することができる)、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、無水マレイン酸及びその半エステル、及び無水フタル酸とヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリレートとの半エステル、β−カルボキシエチルアクリレート〔ビマックス・ケミカルズ社(Bimax Chemicals Ltd)から入手することができる〕、3−アクリルアミド−3−メチル−ブタン酸、10−アクリルアミド−ウンデカン酸、ビニル安息香酸として重合することができる。スルホン酸、ホスホン酸、又は燐酸−含有単量体も適切である。例えば、スチレン、p−スルホン酸(又は対応するスチレンp−スルホニルクロリド)も適切である。
【0076】
酸含有単量体は、遊離酸又は塩として、例えば、エチルメタクリレート−2−スルホン酸のアンモニウム又はアルカリ金属塩〔ビオマー(Bisomer)SEMとしてラポルテ(Laporte)から入手することができる〕、1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸ナトリウム、又は対応する遊離酸として、重合することができる。N,N−ジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン〔ラッシッヒAG(Raschg AG)からSPEとして入手することができる〕、N,N−ジメチル−N−(3−メタクリルアミドプロピル)−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン〔ラッシッヒAGからSPPとして入手することができる〕、1−(3−スルホプロピル)−2−ビニルピリジニウムベタイン〔ラッシッヒAGからSPEとして入手することができる〕。酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、及びバーサティック・アシッド(versatic acid)のビニルエステル〔レゾリューション・パーフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)から商標名ベオバ(VeoVa)として入手することができる〕のようなビニルエステル、複素環ビニル化合物のビニルエーテル、モノオレフィン系不飽和ジカルボン酸のアルキルエステル(例えば、マレイン酸ジ−n−ブチル及びフマール酸ジ−n−ブチル)、特にアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、共重合体を後で架橋するための付加的官能性を有するビニル単量体、例えば、ジアセトンアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−(トリメチルシロキシ)エチルメタクリレートも用いることができる。
【0077】
本発明の特に好ましい両性共重合体は、主にアクリル又はメタクリル単量体に基づくアクリル共重合体である。
【0078】
式(1)で、場合による単位[A]は、イオン化可能な、又はイオン化された官能基を含まないどのようなオレフィン系不飽和重合可能単量体からでも誘導される。[B]は、両性共重合体の懸垂ポリエーテル櫛型官能性を与える。[C]は、遊離酸又は塩の形で酸性官能基を与え〔式(1)中で[C]は任意的なものであり、vが0に等しくなる場合である、[D]がベタイン塩にはならない限り〕、そして、[D]は、遊離アミン、プロトン化アミン塩、四級化アミン塩、又はベタイン塩(v=0の場合)の形で塩基性官能基を与える。
【0079】
式(1)の両性共重合体は、懸垂ポリアルキレンオキシド、塩基性及び酸性官能性を有する主鎖を含む。酸性及び塩基性単位[C]及び[D]が、夫々、イオン化された塩の形態として、又は遊離酸又は塩基として存在する程度は、組成物のpH値、[C]及び[D]が誘導される単量体中の官能基のpKa値、及び塩基性単位[D]と酸性単位[C]の相対的量に依存するであろう。[C]中の酸性成分[F]のpKaは、5.5より低いのが好ましい。[D]中の塩基性置換基[E]のpKa値は、5.5〜13.5の範囲にあるのが好ましい。一層好ましくは、[D]中の塩基性置換基[E]のpKa値は、8〜12の範囲にある。
【0080】
[D]中の塩基性置換基[E]についてのpKaは、塩基性基[E]の共役酸[EH]の酸性強度の尺度である。ここで、Kaは次のように定義される:
【0081】
【数1】

【0082】
式中、pKa=−logKaであり、Keqは、平衡定数である。
【0083】
本発明の両性共重合体は、5〜95重量%、一層好ましくは10〜90重量%、最も好ましくは15〜80重量%の範囲の[B]、及び0〜45重量%の範囲の[A]を含む。
【0084】
酸性単位[C]は、好ましくは0〜50重量%、一層好ましくは1〜40重量%の範囲で存在する。
【0085】
塩基性単位[D]は、好ましくは1〜50重量%、一層好ましくは1〜40重量%の範囲で存在する。
【0086】
[A]対[B]対[C]対[D]のモル比(m:n:v:y)は、夫々、両性共重合体の曇り点が0℃より高く、一層好ましくは15℃より高く、最も好ましくは25℃より高くなるように選択する。
【0087】
曇り点値は、重合体の水に対する溶解度に関係し、二種類以上の成分の混合物中で光を散乱する凝集物の形成により溶液が曇ることによって示される液・液相分離が行われる境界を指す。蒸留水に入れた重合体の1重量%溶液が曇るようになる温度が、曇り点温度である。
【0088】
本発明の両性共重合体は、[B]により導入されるポリエチレンオキシドを、好ましくは5〜95重量%、一層好ましくは10〜80重量%のポリエチレンオキシド、特に15〜70重量%のポリエチレンオキシドを含有する。好ましい範囲内の曇り点を達成するのに必要な[B]により導入されたポリエチレンオキシドの正確なレベルは、数多くの因子に依存する。例えば、:
(i) 両性共重合体中の[A]のレベル及び疎水性。
(ii) 塩基性単位[D]のレベル及び疎水性、及び[D]が、両性共重合体中、遊離アミンとして存在するか、又は塩の形で存在するか。
(iii) 酸性単位[C]のレベル及び疎水性、及び[C]が、両性共重合体中、遊離酸として存在するか、又は塩の形で存在するか。
(iV) R、R、式(11)中のR、R、及びpの値により定められる[B]の構造。
(v) 溶液中に有機物又は電解質が存在するか否か。
【0089】
本発明による抗菌剤と両性共重合体の組成物は、透明な溶液を形成するのが好ましい。即ち、抗菌剤〔例えば、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(PHMB)〕が存在する中での両性共重合体の曇り点が、15℃より高く、一層好ましくは25℃より高いのが好ましい。
【0090】
qの値は、15〜1000であるのが好ましいが、qは、20〜400であるのが最も好ましい。
【0091】
、R、及びRは、夫々独立に、H、場合により置換されたC1−20−アルキル、又はC3−20−シクロアルキルであるが、R、R、及びRは、夫々、H、非置換C1−10−アルキル、又はC3−8−シクロアルキルであるのが好ましい。最も好ましくはRは、H又はCHであり、Rは、H又はCHであり、Rは、H又は非置換C1−6−アルキル、特にH又はCHである。
【0092】
式(10)中の[X]の反復単量体単位中のR及びRは、同じか又は異なっていてもよく、R及びRの少なくとも一方がHである限り、夫々独立に、H、又はC1−4−アルキルである。好ましくは、R及びRの一方がHであり、他方が−CH、又は−Cであり、その結果、[X]はオキシエチレン単位を含むか、又はオキシエチレン、オキシプロピレン、及び/又はオキシブチレン単位の混合物を含む。最も好ましくはR及びRは、両方共Hであり、その結果、[X]はオキシエチレン単位を含む。
【0093】
式(10)中のpの値は、好ましくは3〜50であり、一層好ましくは3〜40であり、最も好ましくは3〜25である。
【0094】
Tは、場合により置換された置換基であり、その例には、CN、OH、F、Cl、Br、−OR、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、及び場合により−OC(O)R、F、Cl、Br、C1−6−アルキル、−CHCl、又は−C(O)ORにより置換されたアリールが含まれる。
【0095】
は、C1−10−アルキルであり、一層好ましくはC1−8−アルキルであり、例えば、場合によりケトン、エーテル、エポキシド、シラン、又はケトエステル基により置換された、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、又はt−ブチルである。
【0096】
及びRは、夫々独立に、H、場合により−OH、ケトン、又はアルキルエーテル基により置換された、C1−8−アルキル又はC3−8−シクロアルキルであり、最も好ましくは、R及びRは、H、−CH、又はCである。
【0097】
Tは、式、C(O)OR、−C(O)NR、又は−OC(O)Rを有するのが好ましく、最も好ましくは、Tは、C(O)ORであり、ここでR、R、及びRは、前に記載した通りである。
【0098】
各Lは、[X]を式(10)のヒドロカルビル重合体主鎖に結合する、場合により置換された結合基である。Lは、種々の結合基にすることができ、同じでも異なっていてもよい。Lの例は、一つ以上の炭素及び/又はヘテロ原子、例えば、窒素又は酸素を含むのが好ましい。Lにより表される好ましい結合基の例には、次のものが含まれる:
【0099】
【化23】

【0100】
式中、結合基の右手側は[X]に結合し、結合基の左手側はヒドロカルビル主鎖に結合している。
【0101】
各Lは、次の式を有するのが特に好ましい:
【0102】
【化24】

【0103】
[J]は、場合により置換されたヒドロカルビル基であり、同じでも、異なっていてもよい。[J]([G]に関連して示されている)の例には、次のものが含まれる:
【0104】
【化25】

【0105】
[J]は、次の式を有するのが特に好ましい:
【0106】
【化26】

【0107】
式中、R、v及び[G]は、前に記載した通りである。
【0108】
式(12)中の[F]は、酸性置換基である。各[F]は、直接ヒドロカルビル基[J]に結合しているか、又は一つ以上の結合基[G]により[J]に結合している。wが、式(12)中2〜4である場合、[F]は、直接[J]に結合してもよく、その場合、b([G]の比率を表している)は、0である。別法として、[F]は、[G]により[J]の同じか、又は異なる炭素原子に結合してもよい。[G]は、[C]の反復単位の中で同じでも、異なっていてもよい。
【0109】
[G]が存在する場合、それは、[J]に直接結合しているか、又は原子の、一つ以上の基を有する結合基により結合している結合基から選択されるのが好ましい。それらの各基は、[F]と[J]とを結合するための一つ以上の原子の鎖を与える。但し、唯一つの[F]が、[J]中の単一の炭素原子に直接結合することができるものとする。
【0110】
[G]が、原子の、一つ以上の基を表す場合、[G]は、原子の結合鎖を与える。その鎖は、通常一つ以上の炭素原子(例えば、アルキル及び/又はアリール基の形)を含み、それは、場合により、−N、−O、−S、又はPのようなヘテロ原子、最も好ましくはN又はOによって置換されていてもよい。
【0111】
[G]結合基([F]に関連して示されている)の例には、次のものが含まれる:
【0112】
【化27】

【0113】
式中、d′は、2以上であり、好ましくは2、3、4、及び5であり、Fは、酸性置換基である。
【0114】
[F]は、直接[J]に結合しているか、又は[F]は、[G]によって表される次の好ましい結合基の一つにより[J]に結合しているのが好ましい:
【0115】
【化28】

【0116】
式中、d′及び[F]は、前に記述した通りである。
【0117】
[F]は、[C]中のヒドロカルビル鎖[J]に直接結合しているのが最も特に好ましい。
【0118】
式(12)中の酸性置換基[F]の例には、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、及び燐酸が含まれる。[E]は、カルボン酸を含むのが好ましい。
【0119】
式(13)の[E]は塩基性置換基であり、各[E]は、[D]のヒドロカルビル残基に直接結合しているか、又は場合により置換された結合基[Z]によりそれに結合している。
【0120】
[Z]が、原子の、一つ以上の基を表す場合、[Z]は、原子の結合鎖を与える。その鎖は、通常一つ以上の炭素原子(アルキル又はアリール基の形の)を含み、それは場合により、−N、−O、−S、又はPのようなヘテロ原子、好ましくはN又はOによって置換されていてもよい。
【0121】
[Z]によって表され([E]に関連して示された)結合基の例には、次のものが含まれる:
【0122】
【化29】

【0123】
式中、R及び[E]は、前に記載した通りである。
【0124】
[E]は、式:
【0125】
【化30】

【0126】
の結合基[Z]により[D]のヒドロカルビル主鎖に結合しているのが好ましい。
[E]は、式:
【0127】
【化31】

【0128】
によって表される結合基[Z]により[D]のヒドロカルビル鎖に結合しているのが特に好ましい。
従って、単量体[D]の中のsは、1であるのが好ましい。
【0129】
[D]の式(13)中の塩基性基[E]の例には、場合により置換された第一級、第二級、及び第三級脂肪族及び芳香族アミン、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピリミジン、ピラジン、ピリミダジン、テトラゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、ピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、ピロール、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、ピラジン、ピリダジン、インダゾール、インドール、及びベンゾチアゾール基、及びそれらの四級化及びプロトン化塩が含まれる。ここで用いられる塩基性置換基[E]の定義には、四級化塩及び内部ベタイン塩も含まれる。
【0130】
[E]は、第二級又は第三級脂肪族アミン、又はそれらのプロトン化又は四級化塩、例えば、次のようなものを含むのが好ましい([Z]に関して示す):
【0131】
【化32】

【0132】
[E]は、第三級脂肪族アミン、及びそのプロトン化又は四級化塩、例えば、下記のものを含むのが特に好ましい:
【0133】
【化33】

【0134】
式(1)中の[A]のために用いることができる、オレフィン系不飽和単量体の例には、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、及びバーサティック・アシッド(versatic acid)のビニルエステル、例えば、ベオバ(VeoVa)9及びべオバ10〔レゾリューション・パーフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)から入手することができる〕、複素環ビニル化合物のビニルエーテル、特にアクリル酸及びメタクリル酸のエステルが含まれるが、それらに限定されるものではない。後の架橋及び/又は接着を促進するための付加的官能性を有するオレフィン系不飽和単量体も本発明で[A]を形成するために用いてもよい。そのような単量体の例には、ジアセトンアクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0135】
式(1)中の[B]のために用いることができるオレフィン系不飽和単量体の例には、エチレン又はプロピレンオキシドのビニルポリエーテル、例えば、ヒドロキシポリエトキシ(5)ポリプロポキシ(5)モノアリルエーテル(ビマックス・ケミカルズ社から入手できるBX−AA−E5P5)、メトキシポリエチレングリコール350メタクリレート〔ラポルテ(Laporte)からの商標名で入手することができる〕、メトキシポリエチレングリコール550メタクリレート〔ラポルテからビスオマー(Bisomer)MPEG350MA及びビスオマーMPEG550MAの商標名で入手することができる〕、メトキシポリエチレングリコール350アクリレート、ポリエチレングリコール(6)メタクリレートPEM6、ポリエチレングリコール(6)アクリレートPEA6が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0136】
式(1)の陰イオン性又は酸性単位[C]のために用いることができるオレフィン系不飽和単量体の例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、β−カルボキシエチルアクリレート、1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムが含まれるが、それらに限定されるものではない。スルホン酸、ホスホン酸、又は燐酸−含有単量体も用いることができ、例えば、スチレンp−スルホン酸(又は対応するスチレンp−スルホニルクロリド)を用いることができる。酸含有単量体は、遊離酸又は塩として、例えば、エチルメタクリレート−2−スルホン酸のアンモニウム又はアルカリ金属塩〔ビオマー(Bisomer)SEMとしてラポルテから入手することができる〕、又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸として、重合することができる。
【0137】
式(1)中の陽イオン性又は塩基性単位[D]ために用いることができるオレフィン系不飽和単量体の例には、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、4−アミノスチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、及びアミノメチルスチレンが含まれるが、それらに限定されるものではない。塩基性アミン含有単量体は、遊離アミン、プロトン化塩、又は四級化アミン塩として、或はベタイン塩として重合することができ、例えば、塩基性第四級アンモニウム単量体には、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル第四級塩(チバ・スペシャルティー・ケミカルズからエージフレックスFA1Q80BCMCとして、又は三菱レーヨン社からDMCMAとして入手することができる)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化ベンジル第四級塩(チバ・スペシャルティー・ケミカルズからエージフレックスFM1Q80BCとして入手することができる)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化ベンジル第四級塩(チバ・スペシャルティー・ケミカルズからエージフレックスFA1Q80BCとして入手することができる)、N,N−ジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン(ラッシッヒAGからSPEとして入手することができる)、N,N−ジメチル−N−(3−メタクリルアミドプロピル)−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン(ラッシッヒAGからSPPとして入手することができる)、及び1−(3−スルホプロピル)−2−ビニルピリジニウムベタイン(ラッシッヒAGからSPEとして入手することができる)、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)−アンモニウムヒドロキシド〔アルドリッヒ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手することができる)、3−(メタクリロイルアミノ)プロピルジメチル−(3−スルホプロピル)−アンモニウムヒドロキシド〔アルドリッヒ・ケミカルズから入手することができる)が含まれる。
【0138】
本発明で用いるのに好ましい両性共重合体は、アクリル共重合体に基づいており、即ち、アクリル又はメタクリルエステルに基づく重合体である。本発明の好ましい両性共重合体について、式(1)の[A]、[B]、[C]、及び[D]は、夫々、式(14)、(15)、(16)、及び(17)を有する。即ち、[A]は、式(14)を有し、
【0139】
【化34】

【0140】
[B]は、式(15)を有し、
【0141】
【化35】

【0142】
[C]は、式(16)を有し、
【0143】
【化36】

【0144】
[D]は、式(17)を有し、
【0145】
【化37】

【0146】
式中:
は、場合によりケトン、エーテル、−OH、エポキシド、シラン、又はケトエステル基により置換された、C1−10−アルキル、一層好ましくはC2−4−アルキルであり;そして
及びR10は、同じか又は異なり、夫々独立に、H、場合により置換されたC1−10−アルキル、又はC3−8−シクロアルキルであり;そして
、R、R、m、n、v、y、p、b、s、[G]、[Z]、及び[X]は、前に定義した通りである。
最も好ましくは、R及びR10は、H又は非置換C1−6−アルキルであり、特に非置換CH又はCである。
【0147】
[D]が四級化塩として存在する場合、それは式(18)を有するのが好ましい:
【0148】
【化38】

【0149】
、R10、Z、R、及びsは、既に上に記載されており、そして
11は、場合により置換された、C1−10−アルキル、C3−8−シクロアルキルである。最も好ましくは、R11は、非置換C1−10−アルキル、又は、例えば、式:
【0150】
【化39】

【0151】
のスルホネート基により置換されたC1−5−アルキルである。
【0152】
式(14)の[A]のために用いることができる好ましいオレフィン系不飽和単量体には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、及び対応するアクリレートが含まれる。例えば、エポキシド、アルキルエーテル及びアリールエーテル、ヒドロキシアルキル、例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル及び変性類似体のような置換基を、場合によりRに有するメタクリレート又はアクリレートを、式(14)の[A]の一部として用いてもよい。ケト官能性単量体、例えば、ヒドロキシアルキルアクリレート及びメタクリレートのアセトアセトキシエステル、例えば、アセトアセトキシエチルメタクリレートのみならず、シラン官能性単量体、例えば、2−(トリメチルシロキシ)エチルメタクリレートも用いることができる。官能性化単量体を用いる利点は、得られる重合体に、後で架橋性又は接着促進性を与えることにある。
【0153】
式(15)中の[B]のために用いることができる好ましいアクリル単量体の例には、メトキシポリエチレングリコール350メタクリレート、及びメトキシポリエチレングリコール550メタクリレート(ラポルテからビスオマーMPEG350MA及びビスオマーMPEG550MAの商標名で入手することができる)、メトキシポリエチレングリコール350アクリレート、ポリエチレングリコール(6)メタクリレートPEM6、及びポリエチレングリコール(6)アクリレートPEA6が含まれる。
【0154】
式(16)中の[C]のために用いることができる好ましいアクリル単量体の例には、メタクリル酸、アクリル酸、及びβ−カルボキシエチルアクリレートが含まれる。
【0155】
式(17)中の[D]のために用いることができる好ましいアクリル単量体の例には、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びそれらの四級化又はプロトン化塩が含まれる。
【0156】
式(1)に例示したように、本発明の両性共重合体は、懸垂側鎖を有するビニル主鎖を含む。本発明の好ましい両性共重合体は、0重量%〜45重量%の[A]、15重量%〜80重量%の[B]、1%〜40%の酸性[C]、及び1%〜40%の塩基性[D]を含むのが最も好ましい。
【0157】
本発明で用いられる両性共重合体は、当分野で既知のどのような共重合法によって製造してもよい。共重合反応は、遊離ラジカル開始剤を用いて、水、有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合物中で行うのが好ましい。適当な遊離ラジカル生成開始剤には、無機過酸化物、例えば、過硫酸カリウム、ナトリウム、又はアンモニウム、過酸化水素、又は過炭酸塩;有機過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイルを含めた、過酸化アシル、アルキルヒドロペルオキシド、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、及びクメンヒドロペルオキシド;過酸化ジ−t−ブチルのようなジアルキル過酸化物;過安息香酸t−ブチルのようなペルオキシエステル;が含まれるが、それらの混合物も用いることができる。ペルオキシ化合物は、或る場合には、ピロ亜硫酸又は亜硫酸水素ナトリウム又はカリウム、及びイソアスコルビン酸のような適当な還元剤(レドックス系)と組合せて用いるのが有利である。アゾ化合物、例えば、アゾイソブチロニトリル、又はジメチル2,2′−アゾビス−イソブチレートも用いることができる。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)鉄のような金属化合物も、レドックス開始剤系の一部分として用いるのに有用であろう。他の遊離ラジカル開始剤には、コバルトキレート錯体、特にポルフィリンのCo(II)及びCo(III)錯体、ジオキシム及びベンジルジオキシム二硼素化合物が含まれる。水性相と有機相との間で分配される開始剤系、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、イソアスコロビン酸、及びエチレンジアミン四酢酸鉄の組合せを用いることもできる。好ましい開始剤には、アゾ化合物、例えば、アゾ−イソブチロニトリル、又はジメチル2,2′−アゾビス−イソブチレート、及び過酸化物、例えば、過酸化水素又は過酸化ベンゾイルが含まれる。用いるのに便利な開始剤又は開始剤系の量は、例えば、用いるビニル単量体の全量に基づき、0.05〜6重量%、一層好ましくは0.1〜3重量%、最も好ましくは0.5〜2重量%の範囲内にある。有機溶媒は極性有機溶媒であるのが好ましく、ケトン、アルコール、又はエーテルでもよい。適当な極性溶媒の例には、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エトキシエチル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ジエチルグリコール、モノ−n−ブチルエーテル、及びブトキシエタノールが含まれる。別法として、極性有機溶媒を、非極性有機液体と共に用いてもよい。
【0158】
適当な非極性有機溶媒には、トルエン・キシレン混合物、及び塩化メチレン・ジメチルホルムアミド混合物が含まれる。最も好ましくは、共重合反応は、水性アルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ジエチルグリコール、又はブトキシエタノール中で行い、最も好ましくは水性エタノール混合物中で行う。
【0159】
溶液重合で製造した場合、重合体の数平均分子量(Mn)は、5,000〜200,000の範囲にあるのが典型的であり、一層好ましくは10,000〜50,000の範囲にある。
【0160】
両性共重合体は、水性エマルジョン又は懸濁重合により製造することもでき〔「重合の原理」(Principles of Polymerisation)、G.オジアン(Odian)、ウィリー(Wiley)、インターサイエンス(Interscience)、第3版、1991に記載されている〕、その場合、Mnの値は遥かに高く、20,000〜500,000の範囲にあるであろう。
【0161】
本発明によれば、前に記載したような両性共重合体を含む組成物に用いるのに好ましい抗菌剤は、抗バクテリア剤、一層好ましくは末端基を除いた個々の重合体鎖が、前に記載したように式(6)のものであるか、又はその塩である重合体鎖の混合物である線状重合体ビグアニドを含む。本発明で用いるのに好ましい線状重合体ビグアニドは、アベシア社(Avecia Limited)から商標名バントシル(Vantocil)IBとして入手することができるポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩(PHMB)である。
【0162】
両性共重合体の量に対する、本発明の組成物で用いられる重合体ビグアニドの量は、その組成物の最終用途、それが保存される条件、その組成物が適用される表面の性質に依存する。組成物中の両性共重合体に対する線状重合体ビグアニドの重量比は、広い範囲、例えば、100:1〜1:1000、一層好ましくは20:1〜1:500の広い限界に亙って変化させることができる。
【0163】
抗菌組成物中の両性共重合体に対する線状重合体ビグアニド基の比は、1:1〜1:200であるのが特に好ましい。
【0164】
本発明の組成物で用いられる線状重合体ビグアニド、例えば、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(PHMB)の濃度は、0.001重量%〜25重量%、好ましくは0.005重量%〜10重量%、特に0.01重量%〜5重量%の範囲にある。組成物のpHは、特定の用途に最も適切になるように選択されるのが典型的であるが、pH1〜12の範囲にあるのが好ましく、最も好ましくはpH3〜9の範囲にある。
【0165】
本発明の組成物は、その組成物の目的とする特定の用途により他の添加剤を含んでいてもよい。組成物中に場合により含有される付加的成分は、例えば、付加的重合体材料、洗剤、植物抽出物、香料、芳香剤、濃化剤、湿気付与剤、防腐剤、表面活性剤、着色剤、キレート剤、緩衝剤、酸性度及びアルカリ性度調節剤、湿潤剤、金属イオン封鎖剤、ヒドロトロピー剤、助剤、汚染防止剤、及び酵素でもよい。
【0166】
取扱い及び投与をし易くするため、一般に線状重合体ビグアニドと両性共重合体とを、適当なキャリヤーを用いて配合物として一緒にするのが便利である。キャリヤーは固体でもよいが、液体であるのが好ましく、配合物は、抗菌組成物を液体に入れた溶液、懸濁物、又はエマルジョンであるのが好ましい。
【0167】
組成物のための好ましいキャリヤーは水であるが、水混和性有機溶媒のような他の溶媒も組成物中に存在させることができる。適当な水混和性有機溶媒の例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールのようなグリコール;メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、C1−6−アルキルエステル、例えば、酢酸ブチルエチル、酢酸ペンチル、N−メチル−2−ピロリドン、及び低級C1−4−アルキルカルビトール、例えば、メチルカルビトールが含まれる。好ましい水混和性有機溶媒は、2〜6個の炭素原子を有するグリコール、4〜9個の炭素原子を有するポリアルキレングリコール、又は3〜13個の炭素原子を有するグリコールのモノC1−4−アルキルエーテルである。最も好ましい水混和性有機溶媒は、プロピレングリコール、エチルヘキシルグリコール、エタノール、酢酸ブチルエチル、又は酢酸ペンチルである。
【0168】
従って、本発明の第二の態様によれば:
(i) 線状重合体ビグアニド;
(ii) 両性共重合体;及び
(iii) キャリヤー;
を含む配合物が与えられる。
【0169】
本発明の第二の態様に従う最終的に希釈された適用液体の好ましい配合物は、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩(PHMB)の形の線状重合体ビグアニドを0.01〜5重量%、一層好ましくは線状重合体ビグアニドを0.1〜1重量%含有する。配合物中の両性共重合体の量は、0.01〜50重量%であるのが好ましく、特に0.1〜25重量%である。好ましいキャリヤーは、水又は水/アルコール混合物である。配合物のpHは、用途に対し最も適切になるように選択されるのが典型的であり、pH1〜12の範囲にあるのが好ましい。最も好ましくは、配合物のpHは、3〜9の範囲にある。本発明の第二態様に従って特に好ましい配合物は、水溶液の形で、0.5重量%のポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩(PHMB)及び2〜15重量%の両性共重合体を含有する希釈した適用溶液を含む。
【0170】
配合物は、その組成物が目的とする特定の用途により、他の添加剤を含んでいてもよい。場合により配合物中に含有される付加的添加剤は、例えば、本発明の第一の態様による組成物に関連して列挙したものである。
【0171】
本発明の研究過程中に、重合体ビグアニド及び両性共重合体を含む組成物を表面に適用した場合、グラム陽性菌、グラム陰性菌、病原菌、酵母、真菌、及び藻を含めた広い範囲の微生物に対して持続した抗菌効果が、思いがけなく見出された。従って、本発明の更に別の態様によれば、本発明の第一及び第二の態様に関連して前に記載してきたような組成物又は配合物で表面を処理することを含む表面処理方法が与えられる。
【0172】
好ましい抗菌剤、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩が、組成物又は配合物中に存在する唯一の微生物学的に活性な化合物になっていてもよい。別法として、重合体ビグアニドと組合せて、他の微生物学的に活性な化合物が存在していてもよい。他の微生物学的に活性な化合物の例には、例えば:第四級アンモニウム化合物、例えば、塩化N,N−ジエチル−N−ドデシル−N−ベンジルアンモニウム、塩化N,N−ジメチル−N−オクタデシル−N−(ジメチルベンジル)アンモニウム、塩化N,N−ジメチル−N,N−ジデシルアンモニウム、塩化N,N−ジメチル−N,N−ジドデシルアンモニウム;塩化N,N,N−トリメチル−N−テトラデシルアンモニウム、塩化N−ベンジル−N,N−ジメチル−N−(C12−C18アルキル)アンモニウム、塩化N−(ジクロロベンジル)−N,N−ジメチル−N−ドデシルアンモニウム、塩化N−ヘキサデシルピリジニウム、臭化N−ヘキサデシルピリジニウム、臭化N−ヘキサデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウム、塩化N−ドデシルピリジニウム、硫酸水素N−ドデシルピリジニウム、塩化N−ベンジル−N−ドデシル−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アンモニウム、塩化N−ドデシル−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム、塩化N−ベンジル−N,N−ジメチル−N−(C12−C18アルキル)アンモニウム、エチル硫酸N−ドデシル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム、塩化N−ドデシル−N,N−ジメチル−N−(1−ナフチルメチル)アンモニウム、塩化N−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム、塩化N−ドデシル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム、又は塩化1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニア−アダマンタン、ココアルキルベンジル−ジメチルアンモニウム、塩化テトラデシルベンジルジメチルアンモニウム、ミリスチルトリメチルアンモニウム又はセチルトリメチルアンモニウムの臭化物、モノ第四級複素環アミン塩、例えば、ラウリルピリジニウム、セチルピリジニウム、又は(C12−C14)アルキルベンジルイミダゾリウムの塩化物;
【0173】
尿素誘導体、例えば、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、ビス(ヒドロキシメチル)尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素〔ジウロン(Diuron)〕、3−(4−イソプロピルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、テトラキス(ヒドロキシメチル)−アセチレンジ尿素、1−(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、又はイミダゾリジニル尿素;アミノ化合物、例えば、1,3−ビス(2−エチル−ヘキシル)−5−メチル−5−アミノヘキサヒドロ−ピリミジン、ヘキサメチレンテトラミン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、ドデシルアミン又は2−[(ヒドロキシメチル)−アミノ]エタノール;イミダゾール誘導体、例えば、1[2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−2−(2−プロペニルオキシ)エチル]−1H−イミダゾール、又は2−(メトキシカルボニル−アミノ)−ベンズイミダゾール〔カルベンダジム(Carbendazim)〕;ニトリル化合物、例えば、2−ブロモ−2−ブロモメチル−グルタロニトリル、2−クロロ−2−クロロ−メチルグルタロ−ニトリル、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、又は2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−ベンゼンジカルボニトリル〔クロロタロニル(Chlorothalonil)〕;チオシアネート誘導体、例えば、メチレン(ビス)チオシアネート、又は2−(チオシアノメチルチオ)−ベンゾチアゾール;錫化合物又は錯体、例えば、トリブチル錫オキシドクロリド、ナフトエート、ベンゾエート、又は2−ヒドロキシベンゾエート;
【0174】
イソチアゾリン−3−オン、例えば、4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMIT)、2−オクチルイソチアゾリン−3−オン(OIT)、又は4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT);ベンズイソチアゾリン−3−オン化合物、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)、2−メチルベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オン、N−エチル、N−n−プロピル、N−n−ペンチル、N−シクロプロピル、N−イソブチル、N−n−ヘキシル、N−n−オクチル、N−n−デシル、及びN−t−ブチル1,2−ベンズイソチアゾリノン;チアゾール誘導体、例えば、2−(チオシアノメチルチオ)−ベンズチアゾール、又はメルカプトベンズチアゾール;ニトロ化合物、例えば、トリ(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール〔ブロノポル(Bronopol)〕;沃素化合物、例えば、トリ−ヨードアリルアルコール;アルデヒド(一種類以上の)遊離剤、例えば、グルタルアルデヒド(ペンタンジアル)、ホルムアルデヒド、又はグリオキサル;アミド、例えば、クロルアセトアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)クロルアセトアミド、N−ヒドロキシメチル−クロルアセトアミド、又はジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド);
【0175】
グアニジン誘導体、例えば、1,6−ヘキサメチレン−ビス[5−(4−クロロフェニル)ビグアニド]、1,6−ヘキサメチレン−ビス[5−(4−クロロフェニル)グアニド]、ビス(グアニジノオクチル)アミントリアセテート、1,6−D−(4′−クロロフェニルジグアニド)−ヘキサン〔クロルヘキシジン(Chlorhexidine)〕、ポリオキシアルキレン−グアニジン塩酸塩、ポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩(PHMG)、ポリ−(2−(2−エトキシ)エトキシエチルグアニジウムクロリド(PEEG)、又はドデシルグアニジン塩酸塩;チオン、例えば、3,5−ジメチルテトラヒドロ−1,3,5−2H−チオジアジン−2−チオン;スルファミド、例えば、N−ジメチル−N′−フェニル−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド〔プレベントール(Preventol)A4〕;チアジン誘導体、例えば、ヘキサヒドロトリアジン、1,3,5−トリ−(ヒドロキシエチル)−1,3,5−ヘキサヒドロトリアジン、6−クロロ−2,4−ジエチル−アミノ−s−トリアジン、又は4−シクロプロピルアミノ−2−メチルチオ−6−t−ブチルアミノ−s−トリアジン〔イルガロール(Irgarol)〕;オキサゾリジン及びそれらの誘導体、例えば、ビス−オキサゾリジン;フラン及びその誘導体、例えば、2,5−ジヒドロ−2,5−ジアルコキシ−2,5−ジアルキルフラン;カルボン酸及びその塩及びエステル、例えば、ソルビン酸、及び4−ヒドロキシ安息香酸;フェノール及びその誘導体、例えば、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)フェノール、チオ−ビス(4−クロロフェノール)、2−フェニルフェノール、2,4,5−トリクロロ−2′−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル〔トリクロサン(Triclosan)〕、及び4−クロロ−3,5−ジメチル−フェノール(PCMX);スルホン誘導体、例えば、ジヨードメチル−パラトリルスルホン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、又はヘキサクロロジメチルスルホン;
【0176】
イミド、例えば、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド(プレベントールA3)、N−(トリクロロメチルチオ)フタルイミド〔フォルペット(Folpet)〕、又はN−(トリクロロメチル)チオ−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド〔キャプタン(Captan)〕;チオアミド、その金属錯体及び塩、例えば、ジメチルジチオカルバメート、エチレンビスジチオカルバメート、2−メルカプト−ピリジン−N−オキシド(特に2:1亜鉛錯体及びナトリウム塩);アゾール殺真菌剤、例えば、ヘキサコナゾール、テブコナゾール(tebuconazole)、プロピコナゾール、エタコナゾール(etaconazole)、又はテトラコナゾール;ストロビルリン(strobilurin)、例えば、メチル−()−2−[2−(6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル]−3−メトキシアクリレート〔アゾキシストロビン(Azoxystrobin)〕、メチル−()−メトキシイミノ[α−(o−トリルオキシ)−o−トリル]アセテート、N−メチル−()−メトキシイミノ[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]アセトアミド、N−メチル−()−2−メトキシイミノ−2−(2−フェノキシフェニル)アセトアミド〔メトミノストロビン(Metominostrobin)〕、又はトリフロキシストロビン(Trifloxystrobin);アミド、例えば、ジチオ−2,2′−ビス(ベンズメチルアミド)〔デンシル(Densil)P〕、又は3,4,4′−トリクロロカルバニリド〔トリクロカルバン(Triclocarban)〕;カルバメート、例えば、3−ヨードプロパルギル−N−ブチルカルバメート(IPBC)、3−ヨードプロパルギル−N−フェニルカルバメート(IPPC)、又はビス−(ジメチルチオカルバモイル)−ジスルフィド〔チラム(Thiram)〕;ピリジン誘導体、例えば、2−メルカプトピリジン−N−オキシドのナトリウム又は亜鉛塩(ナトリウム又は亜鉛ピリチオン);活性化ハロゲン基を有する化合物、例えば、テトラクロロイソフタロジニトリル〔クロルタロニル(Chlorthalonil)〕、1,2−ジブロモ−2,4−ジチアノブタン〔テクタメール(Tektamer)38〕;有機金属化合物、例えば、10,10′−オキシビスフェノキシアルシン(OBPA);
が含まれる。
【0177】
組成物中の付加的抗菌化合物(一種又は多種)の量は、その付加的抗菌化合物の性質及び細菌による劣化に対し保護すべき表面の性質に依存するであろう。
【0178】
本発明の組成物又は配合物について前に記載したように、抗菌化合物と、前に記載したような式(1)の二種類以上の両性共重合体との組合せを、例えば、家庭、工業的又は施設領域中で見出される表面を殺菌するために使用することも更に可能である。その処理は、次のような例示する多種類の表面に適用することができるが、それらに限定されるものではない。表面への適用には、例えば、壁、床、作業表面、家庭、工業、食品処理、衛生、健康、及び医学的環境中で見出される設備、皮膚、合成及び天然組織及び繊維、ステンレス鋼、重合体、及び重合体被覆、例えば、ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン及びポリエチレン、木材、ガラス、ゴム、ペイント表面、石、大理石、グラウト、包装、及びフイルムが含まれる。
【0179】
前に記載したように、本発明の第一及び第二の態様に従う抗菌組成物は、活性度が長い期間に亙って維持される抗菌組成物で処理した表面の微生物のレベルを著しく減少する。
【0180】
従って、本発明の第四の態様に従い、表面を処理するために、本発明の第一の態様による組成物の使用、又は本発明の第二の態様による配合物の使用が与えられる。
【0181】
本発明による両性共重合体は、抗真菌化合物と組合せて用いることができることも判明している。驚いたことに、殺真菌化合物も、制御された仕方で両性共重合体から時間と共に遊離され、それにより持続した効果的抗真菌防除が与えられることが判明している。
【0182】
殺真菌剤
極めて多種類の殺真菌剤を、上に記載した両性共重合体と組合せて用いることができる。そのような殺真菌剤の例には:メトキシアクリレート、例えば、メチル(E)−2,2,6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシフェニル−3−メトキシアクリレート;カルボキサミド及びアセトアミド、例えば、5,6−ジヒドロ−2−メチル−N−フェニル−1,4−オキサチイン−3−カルボキサミド、及び2−シアノ−N−[(エチルアミノ)カルボニル]−2−(メトキシアミノ)アセトアミド;アルデヒド、例えば、シンナムアルデヒド、及び3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド;ピリミジン、例えば、4−シクロプロピル−6−メチル−N−フェニル−2−ピリミジンアミン、及び5−ブチル−2−エチルアミノ−6−メチルピリミジン−4−オール;モルホリン、例えば、(E,Z)−4−[3−(4−クロロフェニル)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)アクリロイル]モルホリン、及びC11−14−アルキル−2,6−ジメチルモルホリン同族体、例えば、トリデモルフ(Tridemorph)、及び(±)−シス−4−[3−t−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル]−2,6−ジメチルモルホリン〔フェンプロピモルフ(Fenpropimorph)〕;グアニジン、例えば、1−ドデシルグアニジンアセテート;ピロール、例えば、4−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−4−イル)−1Hピロール−3−カルボニトリル;イミダゾール及びベンズイミダゾール、例えば、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(2−プロペニルオキシ)エチル]−1H−イミダゾール、3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−(1−メチルエチル)−2,4−ジオキソ−1−イミダゾリジンカルボキサミド、カルベンダジム(Carbendazim)(MBC)、ベノミル(Benomyl)、フベリダゾール(Fuberidazole)、チアベンダゾール(Thiabendazole)、1−[N−プロピル−N−(2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)−エチル)−カルバモイル]−イミダゾール〔プロクロラズ(prochlorz)〕、及びそれらの塩;アラニン誘導体、例えば、N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(メトキシアセチル)−D−アラニンメチルエステル、及びN−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(メトキシアセチル)−DL−アラニンメチルエステル;
【0183】
トリアゾール、例えば、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール−α−[2−(4−クロロフェニル)−エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル−メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール〔アザコナゾール(azaconazole)〕、1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2−ブタノン〔トリアジメフォン(triadimefone)〕、β−(4−クロロフェノキシ)−α−(1,1−ジメチル−エチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール〔トリアジメノール(triadimenol)〕、α−[2−(4−クロロフェニル)−エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール〔テブコナゾール(tebuconazole)〕、(RS)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−2−イル)−ヘキサン−2−オール〔ヘキサコナゾール(hexaconazole)〕、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル]−メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール〔プロピコナゾール(propiconazole)〕。トリアゾール殺真菌剤は、遊離塩基の形態で存在するのみならず、それらの金属塩錯体の形態として、又は酸付加塩、例えば、元素周期表の第II〜IV族及び亜族I及びII及びIV〜VIIの金属の塩として存在することができ、それら金属の例には、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、錫、鉄、カルシウム、アルミニウム、鉛、クロム、コバルト、及びニッケルを含めることができる。それら塩の可能な陰イオンは、好ましくは次の酸:ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、燐酸、硝酸、及び硫酸;から誘導されているものである。化合物が非対称性炭素原子を有する場合には、異性体及び異性体混合物も可能である。
【0184】
殺真菌剤の更に別の例には次のものが含まれる:オキサゾリジン、例えば、3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−メチル−5−ビニル−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン;p−ヒドロキシベンゾエート、例えば、安息香酸、パラメチル安息香酸、サリチル酸、デヒドロアセト酸、及びそれらの塩;イソチアゾリノン、例えば、2−メチルイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−N−オクチル−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、シクロペンテンイソチアゾリノン;ベンズイソチアゾリン−3−オン化合物、例えば、2−メチルベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オン N−エチル、N−n−プロピル、N−n−ペンチル、N−n−ヘキシル、N−シクロプロピル、及びN−イソブチル ベンズイソチアゾリン−3−オン;
【0185】
第四級アンモニウム化合物、例えば、ココアルキルベンジル−ジメチルアンモニウム、塩化テトラデシルベンジルジメチルアンモニウム、ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、モノ第四級複素環アミン塩、ラウリルピリジニウム、セチルピリジニウム、又は(C12−C14)アルキルベンジルイミダゾリウムクロリド、塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、塩化ベンジル−ジメチル−ドデシルアンモニウム、塩化ジデシル−ジメチル−アンモニウム、アルキルアンモニウムハロゲン化物、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、及び塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、アルキルアリールアンモニウムハロゲン化物、例えば、臭化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化エチルジメチルステアリルアンモニウム、塩化トリメチルステアリルアンモニウム、塩化トリメチルセチルアンモニウム、塩化ジメチルエチルラウリルアンモニウム、塩化ジメチルプロピルミリスチルアンモニウム、塩化ジノニルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジウンデシルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジノニルエチルアンモニウム、塩化ジメチルエチルベンジルアンモニウム、3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルメチルアンモニウム、塩化ジメチルジオクチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジメチルジテトラデシルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、塩化デシルジメチルオクチルアンモニウム、塩化ジメチルドデシルオクチルアンモニウム、塩化ベンジルデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、塩化デシルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム、塩化デシルジメチル(ジメチルベンジル)−アンモニウム、塩化(クロロベンジル)−デシルジメチルアンモニウム、塩化デシル−(デシル−(ジクロロベンジル)−ジメチルアンモニウム、塩化ベンジルジデシルメチルアンモニウム、塩化ベンジルジドシルメチルアンモニウム、塩化ベンジルジテトラデシルメチルアンモニウム、及び塩化ベンジルドデシルエチルアンモニウム;
【0186】
ヨードプロパルギル誘導体、例えば、3−ヨード−2−プロピニル−N−n−ブチルカルバメート(IPBC)、プロピル3−(ジメチルアミノ)プロピルカルバメート塩酸塩、3−ヨード−2−プロピニル−N−n−プロピルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル−N−n−ヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル−N−シクロヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル−N−フェニルカルバメート、及びチオカルバメート、例えば、S−エチルシクロヘキシル(エチル)チオカルバメート;スルフェンアミド、例えば、ジクロフルアニド(Dichlofluand)〔ユーパレン(Euparen)〕、トリルフルアリド(Tolylfluarid)〔メチルユーパレン(Methyleuparen)〕、フォルペット(Folpet)、フルオルフォルペット(Fluorfolpet)、テトラメチルジウラムジスルフィド(TMTD)、及び2−メチルベンズアミド−1,1′ジスルフィド〔アベシア社からデンシル(Densil)Pとして入手することができる〕;チオシアネート、例えば、チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール(TCMTB)、及びメチレンビスチオシアネート(MBT);フェノール、例えば、o−フェニルフェノール、トリブロムフェノール、テトラクロルフェノール、ペンタクロルフェノール、2−フェノキシエタノール、3−メチル−4−クロルフェノール、ジクロロフェン、及びクロロフェン;ヨード誘導体、例えば、ジヨードメチル−p−アリールスルホン、及びジヨードメチル−p−トリルスルホン;ブロモ誘導体、例えば、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール〔ブロノポール(Bronopol)〕、及び1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン〔テクタマー(Tektamer)(商標名)38〕;ピリジン、例えば、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン、又はピリジン−2−チオール−1−オキシド〔アーク・ケミカルズ(Arch Chemicals)から商標名ソディアム・オマジン(Sodium Omadine)として市販されているナトリウム、鉄、マンガン、又は亜鉛の塩〕、テトラクロル−4−メチルスルホニルピリジン、2,3,5,6−テトラクロロ−4(メチルスルホニル)ピリジン(アベシア社からデンシルSとして入手することができる);金属石鹸、例えば、錫、銅、亜鉛のナフテン酸塩、オクト酸塩(octoate)、2−エチルヘキサン酸塩、オレイン酸塩、燐酸塩、安息香酸塩、又は酸化物、例えば、TBTO、CuO、CuO、及びZnO;有機錫誘導体、例えば、トリブチル錫ナフテン酸塩、又はトリブチル酸化錫;ジアルキルジチオカルバメート、例えば、ジアルキルジチオカルバミン酸のナトリウム及び亜鉛塩;ニトリル、例えば、2,4,5,6−テトラクロルイソフタロニトリル〔クロルタロニル(Chlorthalonil)〕;ベンズチアゾール、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール;ダゾメット(Dazomet);
【0187】
キノリン、例えば、8−ヒドロキシキノリン;トリス−N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)−アルミニウム、N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)−トリブチル錫又はカリウム塩、及びビス−(N−シクロヘキシル)ジアジニウム(−ジオキシ−銅又はアルミニウム);パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、特にメチル、エチル、プロピル エステル、及び;2,4,4′−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル〔商標名トリクロサン(Triclosan)として入手することができる〕、又は4,4′−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル〔商標名ジクロサン(Diclosan)として入手することができる〕;ホルムアルデヒド遊離化合物、例えば、ヒダントイン、N,N″−メチレンビス[N′−(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル]尿素、クオーターニウム(Quaternium)−15、及び1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン(DMDMH)、N−(ヒドロキシメチル)−N−(1,3−ジヒドロキシメチル−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)−N′−(ヒドロキシメチル);尿素及び塩化1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンのシス異性体;ベンジルアルコールモノ(ポリ)ヘミホルマル、オキサゾリジン、ヘキサヒドロ−s−トリアジン、及びN−メチロールクロルアセトアミド;環式チオヒドロキサム酸化合物、例えば、イミダゾリジン−2−チオン、ピロリンチオン、ピロリジンチオン、イソインドリンチオン、3−ヒドロキシ−4−メチルチアゾール−2(3H)−チオン、3−ヒドロキシ−4−フェニルチアゾール−2(3H)−チオン、3−ヒドロキシ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾール−2(3H)−チオン、5,5−ジメチル−1−ヒドロキシ−4−イミノ−3−フェニルイミダゾリジン−2−チオン、1−ヒドロキシ−4−イミノ−3−フェニル−2−チオノ−1,3−ジアザスピロ[4,5]−デカン、1−ヒドロキシ−5−メチル−4−フェニルイミダゾリン−2−チオン、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン、4−エチル−3−ヒドロキシ−5−メチルチアゾール−2(3H)−チオン、4−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン、3−ヒドロキシ−5−メチル−4−フェニルチアゾール−2(3H)−チオン、1−ヒドロキシピロリジン−2−チオン、5,5−ジメチル−1−ヒドロキシピロリジン−2−チオン、及び2−ヒドロキシ−2,3−ジヒロ−1H−イソインドール−1−チオン。
【0188】
好ましい抗真菌化合物には、第四級アンモニウム化合物、イソチアゾリオン及びベンズイソチアゾリノン化合物、カルバメート及びピリジン化合物が含まれる。
【0189】
従って、本発明の第5の態様によれば:
(i) 殺真菌剤;及び
(ii) 式(1)の両性共重合体:
【0190】
【化40】

【0191】
〔式中、
[A]は、式(9)を有し、
【0192】
【化41】

【0193】
[B]は、式(10)を有し、
【0194】
【化42】

【0195】
[C]は、式(12)を有し、
【0196】
【化43】

【0197】
[D]は、式(13)を有し、
【0198】
【化44】

【0199】
そして、Xは、式(11)を有し、
【0200】
【化45】

【0201】
式中、[A]、[B]、及び[D]は、どのような順序で存在していてもよく;
Tは、場合により置換された置換基であり;
L、G、及びZは、夫々独立に、場合により置換された結合基であり;
、R、及びRは、夫々独立に、H、場合により置換されたC1−20−アルキル又は場合により置換されたC3−20−シクロアルキルであり;
及びRは、夫々独立に、H、又はC1−4−アルキルであり;
qは、15〜1000であり;
pは、3〜50であり;
Jは、場合により置換されたヒドロカルビル基であり;
Fは、酸性置換基であり;
Eは、塩基性置換基であり;
mは、0〜350であり;
nは、1〜75であり;
vは、0〜100であり;
yは、1〜100であり;
bは、0、1、又は2であり;
sは、0又は1であり;
wは、1〜4であり;
但し、R及びRの少なくとも一方はHであるものとする。〕
を有する両性共重合体;
を含む組成物が与えられる。
【0202】
本発明の第五の態様において、[A]、[B]、[C]、[D]、m、n、v、y、q、T、L、X、J、G、F、Z、E、p、b、w、s、R、R、R、R、及びRについて好ましいものは、本発明の第一の態様に関連して前に記述した通りである。
【0203】
本発明を、更に次の実施例により例示するが、それら実施例において、別に述べない限り、全ての部は重量による。
【0204】
実験の詳細
1. 両性共重合体の製造
重合体例2(表1)両性共重合体の製造
清浄な乾燥2リットルのガラス反応器に、頂部撹拌器、窒素流通管、熱電対、及び凝縮器を取付けた。溶媒(エタノール/蒸留水50/50混合物96.1g)中にジメチル2,2′アゾビスイソブチレート(2.1g、0.009モル)を溶解することにより開始剤溶液(1)を調製した。溶媒(エタノール/蒸留水50/50混合物247.6g)、メタクリル酸(25.8g、0.3モル)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(47.2g、0.3モル)、及びメトキシ(ポリエチレングリコール350)モノメタクリレート(130.5g、0.3モル)を含む単量体溶液(2)を調製した。単量体溶液(2)を、付加的溶媒(エタノール/蒸留水50/50混合物378g)と共に反応器へ入れた。更に付加的溶媒(エタノール/蒸留水50/50混合物100g)で単量体溶液を反応器中へ洗い入れた。反応器をハーケ(Haake)循環水浴を用いて75℃に加熱し、窒素雰囲気中で180rpmで撹拌した。時間0で、24.5gの開始剤溶液(1)を反応器へ添加し、30分後、49.1gの開始剤溶液(1)を添加した。反応混合物を3時間30分間放置し、然る後、反応器温度を80℃へ上昇させた。必要な温度に到達した時、12.3gの開始剤溶液(1)を反応器へ添加し、更に2時間継続し、然る後、開始剤溶液(1)の最終部分12.3gを添加した。更に2時間後、重合体溶液を冷却し、反応器から取り出した。
【0205】
全重合時間は8時間であった。最終溶液はウォーターホワイトであり、粒状物質を含んでいなかった。重合体溶液の試料から蒸発乾固することにより重量差により決定して、99%より高い収率で共重合体が形成された。
【0206】
共重合体の分子量を、分子量標準物質としてポリエチレンオキシドを用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて決定した。NMR分析を用いて、単量体反復単位[A]、[B]、[C]、及び[D]の比を確認した。動的機械的熱分析(DMTA)を用いて、共重合体のTgを決定した。
【0207】
表1の、異なった単量体[A]、[B]、[C]及び[D]を種々のモル比で含む重合体1〜23を、上に概説したのと同じ手順に従い製造した。
【0208】
【表1】

【0209】
MAA メタクリル酸
BMA ブチルメタクリレート
iBMA イソ−ブチルメタクリレート
Styr スチレン
EMA エチルメタクリレート
iBnM イソ−ボルニルメタクリレート
DMAEMA ジメチルアミノエチルメタクリレート
AMPS 2−アクリルイミドメチルプロパンスルホン酸
p-AminoSTY p−アミノスチレン
AMPHO1 [2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(ス
ルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド
AMPHO2 3−(メタクリロイルアミノ)プロピルジメチル−(3ス
ルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド
PPG5MA 5個のプロピレンオキシド単位を有するメトキシポリプロ
ピレングリコールモノメタクリレート
PEG150MA 3〜4個のエチレンオキシド単位を有するメトキシポリエ
チレングリコールモノメタクリレート
PEG350MA 7〜8個のエチレンオキシド単位を有するメトキシポリエ
チレングリコールモノメタクリレート
PEG550MA 12〜13個のエチレンオキシド単位を有するメトキシポ
リエチレングリコールモノメタクリレート
【0210】
表1の両性共重合体の曇り点及び重合体の組成による曇り点変化の決定
表1の両性共重合体の曇り点を、蒸留水中に入れた重合体の1重量%溶液を作ることにより決定した。各重合体溶液を加熱し、それが曇るまで撹拌した。次に撹拌した溶液を、温度を監視しながら冷却した。溶液が透明になる温度が曇り点である。この方法により決定した重合体2の曇り点は、98℃より高かった(ポリエチレンオキシド含有量60重量%)。
【0211】
グラフ1は、重合体20、21、及び22のメチルメタクリレート含有量の関数として、どのように曇り点が変化するかを示している。
【0212】
【表2】

【0213】
グラフ1から、MMA含有量の増大及びメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEG)含有量の減少の結果として重合体が一層疎水性になるに従って、曇り点が低下することを結論付けることができる。
【0214】
【表3】

【0215】
グラフ2から、MMA含有量の増大及びPEG含有量の減少の結果として、重合体が一層疎水性になるに従って、曇り点が低下することを結論付けることができる。
【0216】
両性共重合体/抗菌剤組成物の調製
ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩(PHMB)〔バンシトル(商標名)IBとしてアベシア社(Avecia Limited)から入手することができる〕(5g)の20%水溶液を、表2に記載したような種々の量で(水/エタノール1/1か又は水中に入れた)20%溶液として表1の重合体1〜33の各々に混合することにより、組成物1〜104を調製した。組成物を24時間放置した後、ガラス又はセラミックタイルのような基体に適用した。組成物は全て低粘度無色透明の溶液で沈澱物を含まず、優れた貯蔵安定性を持っていた。貯蔵安定性は、52℃で2カ月間組成物を保存することにより試験し、もし組成物の粘度が未変化のままであり、沈澱物又はゲル粒子が形成されなかったならば優れていると考えられた。
【0217】
重合体例15を用いた、抗真菌性を見るための種々の殺生物剤を含む塩基性共重合体組成物の調製
組成物105〜112を、種々の殺生物剤と混合することにより調製した。重合体溶液の試料に、溶液全重量に基づき0.1重量%〜0.5重量%の範囲の濃度で殺生物剤を添加した。組成物を回転混合機の上に24時間乗せ、均質な組成物を形成し、次にガラス又はセラミックタイルのような基体に適用した。組成物は低粘度で、沈澱物を含まなかった。
【0218】
【表4】

【0219】
【表5】

【0220】
【表6】

【0221】
【表7】

【0222】
殺生物剤A nブチル1,2,ベンズイソチアゾリン
殺生物剤B 臭化ドデシルエチルジメチルアンモニウム
殺生物剤C カルバミン酸3−ヨードプロパルギルブチル
殺生物剤D 2−オクチルイソチアゾリン−3−オン
【0223】
UV分光測定法を用いたポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(PHMB)濃度の較正による、両性共重合体/PHMB組成物のフイルムからの抗菌剤(PHMB)遊離速度の測定
最初に、水に溶解した既知の濃度のポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(PHMB)のUV吸光度を236nmで測定した〔パーキン・エルマー・ラムダ(Perkin Elmer Lambda)900UV/Vis/NIR分光光度計〕。同様なやり方で、元のPHMB水溶液の既知の希釈物から調製した一連の試料について、236nmでのUV吸光度を測定した。PHMB濃度に対しUV吸光度をプロットすることにより、水溶液中のPHMB濃度についての較正曲線を作成した(グラフ3)。
【0224】
更に、組成物22(表2)について、同様なUV較正曲線(グラフ3)を作成した。グラフ3は、両性共重合体が存在しても、この方法でPHMB濃度を決定することに対し余り妨害しないことを例示している。
【0225】
【表8】

【0226】
共重合体/PHMB組成物1〜104のフイルムからのPHMBの遊離速度プロファイルの決定
両性共重合体/PHMB組成物を、清浄なガラスパネル(150mm×100mm)に別々に適用し、シーン(Sheen)250μm塗布棒を用いて組成物のフイルムを塗布した。それらフイルムを乾燥し、被覆重量を書き留めた。
各被覆ガラスパネルを2リットルビーカー中の蒸留水(1リットル)中に別々に浸漬し、磁気撹拌器を用いて一定速度で撹拌した。
試料(約5cm)を、頻繁な時間間隔で繰り返しビーカーから取った。
試料をUV分光光度計を用いて分析し、各試料の吸光度を、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(PHMB)の最大λに相当する特定ピークの所で測定した。測定した吸光度は、較正グラフ3を用いて、ビーカー中のPHMBの濃度に直接関係付けた。
上に記載した方法を用いて、次の遊離プロファイル(グラフ4〜9)が得られた。
【0227】
【表9】

【0228】
グラフ4から、次の結論を引き出すことができる:
(i) 組成物1、8、及び22は、夫々PHMBの制御された遊離を実証している。
(ii) 重合体5を含み、3つの組成物の中で最も高いPEG含有量を有する組成物22は、最も大きな速度でPHMBを遊離する。
(iii) 重合体1を含み、3つの組成物の中で最も低いPEG含有量を有する組成物1は、最も小さな速度でPHMBを遊離する。
(iv) 組成物22は、約25分後に全てのPHMBを完全に遊離する。
(v) 組成物1及び8は、1時間後PHMBの約80%を遊離する。
(vi) 両性共重合体/PHMBフイルムからのPHMB遊離速度プロファイルは、重合体構造により制御することができる。
【0229】
【表10】

【0230】
グラフ5から、次の結論を引き出すことができる:
(i) 組成物8、44、及び61は、夫々PHMBの制御された遊離を実証している。
(ii) 重合体2を含み、3つの組成物の中で最も高いPEG含有量を有する組成物8は、最も大きな速度でPHMBを遊離する。
(iii) 重合体15を含み、3つの組成物の中で最も低いPEG含有量を有する組成物61は、最も小さな速度でPHMBを遊離する。
(iv) 組成物8、44、及び61は、約1時間後にPHMBの約90、60、及び40%を、夫々遊離する。
(v) 導入される疎水性成分[A]が多くなる結果として、重合体組成物の疎水性が大きくなるに従って、重合体フイルムがPHMBを遊離速度は低下する。
(vi) 重合体フイルムからのPHMB遊離速度プロファイルは、重合体構造により制御することができる。
【0231】
【表11】

【0232】
グラフ6から、次の結論を引き出すことができる:
(i) 組成物22及び25は、夫々PHMBの制御された遊離を実証している。
(ii) 重合体5を含み、高い方のPEG含有量を有する組成物22は、最も大きな速度でPHMBを遊離する。
(iii) 組成物25は、60分後に存在PHMBの約60%を遊離するのに対し、組成物22は、約25分後にそのPHMBの全てを遊離した。
(iv) 共重合体/PHMBフイルムからのPHMBの遊離速度プロファイルは、重合体構造により制御することができる。
【0233】
【表12】

【0234】
組成物8及び3は重合体2に基づいているが、組成物8はPHMBを5重量%含有するのに対し、組成物3はPHMBを50重量%含有する。グラフ6は、組成物3のフイルムが、持続した制御された遊離を与えることができないことを示している。なぜなら、PHMBの全てが、5分未満でフイルムから遊離してしまうからである。従って、遊離速度プロファイルを決定するのに、フイルムのPHMB導入量が重要な因子になる。
【0235】
【表13】

【0236】
グラフ8から、次の結論を引き出すことができる:
(i) 3つの組成物全てが、1時間後、PHMBの制御された遊離を与える。
(ii) 3つの配合物全てが、1時間後にPHMBの約60%を遊離する。
(iii) 重合体23を含む一層疎水性の組成物93が、最初の30分間に亙り最も低いPHMB遊離速度を有する。
【0237】
【表14】

【0238】
グラフ9から、次の結論を引き出すことができる:
(i) 組成物8、44、及び50は、夫々PHMBの制御された遊離を実証している。
(ii) 重合体2を含み、3つの組成物の中で最も高いPEG含有量を有する組成物8は、最も大きな速度でPHMBを遊離する。
(iii) 重合体11を含み、3つの組成物の中で最も低いPEG含有量を有する組成物50は、最も小さな速度でPHMBを遊離する。
(iv) 組成物8、44、及び50は、約1時間後にPHMBの約90、60、及び45%を夫々遊離する。
(v) 導入されたMMA(単量体成分[A])が多くなることにより、重合体組成物の疎水性が大きくなるに従って、共重合体/PHMBフイルムがPHMBを遊離する速度は低下する。
(vi) 共重合体フイルムからのPHMB遊離速度プロファイルは、重合体構造により制御することができる。
【0239】
従って、本発明によれば、両性共重合体から重合体ビグアニド(PHMB)の解離速度を、両性重合体の構造及び組成物中へのPHMB導入量により調節することができることが判明した。更に、上のことは、水及び水/エタノール混合物の両方の中で安定な両性共重合体溶液を、PHMBのような重合体ビグアニドを用いて製造することができることを例示している。PHMBは、アベシア社からバントシルIBとして入手することができるポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩である。
【0240】
抑制最低濃度の計算
重合体/PHMB組成物の内在性抗菌力を、抑制最低濃度(MIC)を測定することにより評価した。
1. 普通寒天上で、バクテリア(Pseudomonas aeruginosa ATCC 15442)を37℃で16〜24時間増殖させた(約10細胞/mlを与えた)。
2. 0.1%(体積)接種材料を用いて、新しい培地に接種し、次にマイクロプレートの各々のウエルに100μl入れた。但し、第一ウエルには200μl入れた。
3. 倍加希釈法を用いて、研究中の化合物の濃度を、縦軸に沿った各ウエルで変化させた。
4. 37℃で24時間培養した後、目で検査することにより、増殖の有無を決定した。
MICは、バクテリアの増殖を阻止するのに必要な試料の最低濃度である。
【0241】
【表15】

【0242】
【表16】

【0243】
両性共重合体とPHMBとの持続殺菌力
両性共重合体/PHMB配合物の残留殺菌力の実験的決定
前に記載したようにして、両性共重合体/PHMB組成物を調製した(表2)。
試料の残留抗菌活性度を、次の方法により判定した:
1. 全ての組成物を、活性成分(PHMB)0.5%へ希釈した。各試料の50μl部分をセラミックタイルのウエル中に入れ、約1時間乾燥させた。
2. 普通ブロス中でバクテリア(Ps. aeruginosa ATCC 15442)を37℃で16〜20時間増殖した。
3. 約10有機体/mlの接種材料を、生理食塩水(NaCl 0.85%)に入れて調製した。
4. バクテリア接種材料の150μl部分を、予めPHMB/重合体組成物で被覆したセラミックタイルのウエル中へピペットで入れ、室温で培養した。
5. 5分の接触時間後、ピペットで接種材料を取り出し、生存、生存可能有機体の数を数えた(試料を連続的にCEN中和剤で10ずつ希釈し、1ml分を9mlのインピーダンス・ブロスに添加し、RABIT(商標名)を用いてバクテリアの細胞を数えた)。
6. 次に、PHMB/重合体被覆セラミックウエルを、殺菌蒸留水の5ml分で5回まで洗浄した。
7. 各洗浄工程後、試料をバクテリア接種材料の150μl分で再び接種した。
8. 上で述べたように、5分後、接種材料を取り出し、生存可能有機体の数を、上に記載した方法により数えた。
【0244】
RABIT〔高速自動バクテリア・インピーダンス法(Rapid Automated Bacterial Impedance Technique)〕で、バクテリア懸濁物のコンダクタンスの変化を時間と共に測定した。活発に増殖するバクテリアが、規定された媒体中の非対電又は弱く対電した分子に分解し、高度に対電した最終生成物を与える。得られたコンダクタンスの増大は、較正曲線を使用することによりバクテリア濃度へ直接関連付けることができる。〔この既知の方法に関連した背景については、英国ウエストヨークシャ、BD177SE、シプレイ、オルトレイロード14、ドン・ホワイトレイ・サイエンティフィック(Don Whitley Scientific)、技術参考書類(Technical Reference Paper)−RAB−03に見出すことができる〕。
表4は、上記方法を用いて得られた両性共重合体/PHMB配合物の持続殺菌力を要約したものである。
【0245】
【表17】

【0246】
【表18】

【0247】
【表19】

【0248】
【表20】

【0249】
nt=試験されていない。
=表参照。
=重合体とPHMBの組成物については表2を参照。
【0250】
上記表4から、次の結論を引き出すことができる:
(i) 両性共重合体が存在しないと、2回の洗浄サイクル後にPHMBは有用な殺生物力を持たなくなる。
(ii) 両性共重合体に基づいて10重量%未満のPHMB導入量を有する配合物については、最も高い持続殺生物力が一般に観察された。
(iii) 多くの配合物で、2回の洗浄後、log5より大きな減少が達成されたが、このことは、PHMB単独の場合の0.2のlog減少に匹敵する。
【0251】
両性共重合体と種々の殺生物剤との持続殺真菌力
両性共重合体/殺生物剤配合物の残留殺真菌力の実験的決定
前に記載したようにして両性共重合体/殺生物剤組成物を調製した(表2)。
試料の残留抗菌活性度を、次の方法により決定した:
1. ‘O'K−棒(Bar)を用いて顕微鏡ガラス・スライドの上に各組成物のフイルムを作り、24時間以上乾燥させた。
2. 真菌(Aspergillus niger ATCC 16404)を、麦芽寒天プレートの上で25℃で約7日間増殖させた。
3. 約10胞子/mlの接種材料を、生理食塩水(NaCl 0.85%)を用いて調製した。
4. 真菌接種材料の150μl分を、組成物の表面に添加し、室温で24時間培養した。
5. 次に生存、生存可能有機体の数を数えた(試料を中和媒体中へ洗い入れ、生理食塩水で連続的に希釈し、麦芽寒天上に塗布した)。
6. 次に、各組成物を殺菌蒸留水を噴霧することにより、10回洗浄した。
7. 各組成物を、次に再び接種し、24時間後、上に記載した方法により生存有機体の数を数えた。
【0252】
表5は、上記方法を用いて得られた両性共重合体/殺生物剤配合物の持続殺真菌力を要約したものである。
【0253】
【表21】

【0254】
種々の殺生物剤を用いて安定な配合物を調製することができるのみならず、噴霧洗浄プロトコルを用いて持続効果を維持することができたことを結論することができる。
【0255】
表5の結果は、二つの配合物が、優れた持続殺真菌力を与えたことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 重合体ビグアニドを単独で、又は第四級アンモニウム化合物、モノ第四級複素環アミン塩、尿素誘導体、アミノ化合物、イミダゾール誘導体、ニトリル化合物、錫化合物又は錯体、イソチアゾリン−3−オン、チアゾール誘導体、ニトロ化合物、沃素化合物、アルデヒド遊離剤、チオン、トリアジン誘導体、オキサゾリジン及びその誘導体、フラン及びその誘導体、カルボン酸及びその塩及びエステル、フェノール及びその誘導体、スルホン誘導体、イミド、チオアミド、2−メルカプト−ピリジン−N−オキシド、アゾール殺真菌剤、ストロビルリン(strobilurin)、アミド、カルバメート、ピリジン誘導体、活性ハロゲン基を有する化合物、及び有機金属化合物からなる群から選択された少なくとも一種類の他の微生物学的に活性な成分と組合せて含む抗菌剤;及び
(ii) 式(1):
【化1】


〔式中、
[A]は、式(9)を有し、
【化2】


[B]は、式(10)を有し、
【化3】


[C]は、式(12)を有し、
【化4】


[D]は、式(13)を有し、
【化5】


そして、Xは、式(11)を有し、
【化6】


式中、[A]、[B]、及び[D]は、どのような順序で存在していてもよく;
Tは、場合により置換された置換基であり;
L、G、及びZは、夫々独立に、場合により置換された結合基であり;
、R、及びRは、夫々独立に、H、場合により置換されたC1−20−アルキル又は場合により置換されたC3−20−シクロアルキルであり;
及びRは、夫々独立に、H、又はC1−4−アルキルであり;
qは、15〜1000であり;
pは、3〜50であり;
Jは、場合により置換されたヒドロカルビル基であり;
Fは、酸性置換基であり;
Eは、塩基性置換基であり;
mは、0〜350であり;
nは、1〜75であり;
vは、0〜100であり;
yは、1〜100であり;
bは、0、1、又は2であり;
sは、0又は1であり;
wは、1〜4であり;
但し、R及びRの少なくとも一方はHであるものとする。〕
を有する両性共重合体;
を含む組成物。
【請求項2】
抗菌剤が、線状重合体ビグアニドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
重合体ビグアニドは、重合体鎖の混合物を含む線状重合体ビグアニドであり、然も、末端基を除いた前記個々の重合体鎖が、式(4):
【化7】


(式中、d及びeは、架橋基を表し、それは同じでも異なっていてもよく、それらを一緒にして、dにより結合された窒素原子対の間に直接介在した炭素原子数と、eにより結合した窒素原子対の間に直接介在する炭素原子数との合計は、9より大きく、17より小さい)
の二つのビグアニド基を有する少なくとも一つの反復単位を含んでいる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
重合体ビグアニドが、式(6):
【化8】


(式中、nは、4〜20である。)
を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
両性共重合体が、15℃より高く、好ましくは25℃より高い曇り点を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
両性共重合体が、10〜95重量%の[B]、0〜50重量%の[C]、1〜50重量%の[D]、及び0〜45重量%の[A]を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
、R、及びRが、夫々独立に、H又は−CHである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
及びRが、夫々独立に、Hである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
Tが、式、−C(O)OR(ここでRは、C1−10−アルキルを含む)の基を含み、そしてLが、式:
【化9】


の基を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
[C]中の[J]が、式:
【化10】


を有し、[C]中の[G]が式:
【化11】


(式中、Rv、及び[F]は、請求項1〜9に定義されている通りであり、d′は、2、3、4、又は5である。)
を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
[D]中の[Z]が、式:
【化12】


を有し、[E]は、第二級又は第三級脂肪族アミン、又はそれらのプロトン化又は四級化塩を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
酸性置換基[F]が、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、又は燐酸を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
式(1)の両性共重合体が、式(14)の[A]:
【化13】


式(15)の[B]:
【化14】


式(16)の[C]:
【化15】


及び式(17)の[D]:
【化16】


(式中:
、R、及びRは、夫々、H又はCHであり;
は、場合によりケトン、エーテル、−OH、エポキシド、シラン、又はケトエステル基により置換された、C1−10アルキル、一層好ましくはC2−4−アルキルであり;
及びR10は、夫々独立に、H、場合により置換されたC1−10−アルキル、又はC3−8−シクロアルキルであり;そして
n、m、v、y、p、b、s、[X]、[G]、及び[Z]は、請求項1〜12に関連して定義されている通りである。)
を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
重合体ビグアニド対両性共重合体の重量比が、100:1〜1:1000重量%、一層好ましくは20:1〜1:500重量%である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
1〜12、好ましくは3〜9のpHを有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
抗菌剤が、殺真菌剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
(i) 線状重合体ビグアニド;
(ii) 両性共重合体;及び
(iii) キャリヤー;
を含み、然も、前記重合体ビグアニド及び両性共重合体が、請求項1〜15のいずれか1項に定義されている通りである、配合物。
【請求項18】
キャリヤーが、水、又は水及び/又は水混和性有機溶媒の混合物である、請求項17に記載の配合物。
【請求項19】
0.01〜5重量%の重合体ビグアニド、及び0.01〜50重量%の両性共重合体を含む、請求項17又は19に記載の配合物。
【請求項20】
1〜12、好ましくは3〜9の範囲のpHを有する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項21】
表面を、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項17〜20のいずれか1項に記載の配合物と接触させることを含む、表面上の微生物のレベルを実質的に減少し、それを持続する方法。

【公表番号】特表2007−505988(P2007−505988A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530490(P2006−530490)
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002046
【国際公開番号】WO2004/100666
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505421696)アーチ ユーケイ バイオサイドズ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】