説明

組成物及び光学フィルム

【課題】広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを与える組成物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される化合物と、式(20)で表される化合物等を含有する組成物。


11−E11−(B11−A11−B12−G(20)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、光学フィルム、表示装置及び光学フィルムの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置(FPD)には、偏光板、位相差板などの光学フィルムを用いた部材が含まれている。光学フィルムには、たとえば、式(B5−1)で表される化合物と光重合開始剤とを含む組成物を、基板に塗布後、重合して得られる光学フィルムなどが知られている。(特許文献1)。

【0003】
そして、波長λnmの光が与える光学フィルムの位相差(Re(λ))は、複屈折率Δnとフィルムの厚みdとの積で決定されることが知られている(Re(λ)=Δn×d)。また、波長が長くなるほど位相差が大きくなる傾向(いわゆる逆波長分散特性)を示す光学フィルムは、その波長域で、一様の偏光変換が可能であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許出願公開第200938906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、広い波長域において、より一層一様の偏光変換が可能な光学フィルムを与える組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の発明である。
[1]式(1)で表される化合物と、式(20)で表される化合物及び式(21)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する組成物。
【0007】

【0008】
[式(1)中、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基又は炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は、−O−、又は−S−を表す。
は、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族複素環基、置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族複素環基を表す。
及びDは、それぞれ独立に、2つ以上の−CR−を有する2価の連結基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
、E、B及びBは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NR−で置き換わっていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換わっていてもよい。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。kが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよく、lが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表す。該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
は、重合性基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。]
【0009】
11−E11−(B11−A11−B12−G (20)
[式(20)中、A11は、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数3〜18の2価の複素環基を表し、該芳香族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該複素環基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はスルファニル基で置換されていてもよい。
11及びB12は、それぞれ独立に、−CR1415−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR16−、−NR16−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−NR16−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R14及びR15が連結して炭素数4〜7の環を構成してもよい。R16は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Gは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のN−アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基又は−E12−P12を表す。
11及びE12は、炭素数1〜18のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−で置き換わっていてもよい。
11及びP12は、重合性基を表す。
tは、1〜5の整数を表す。tが2以上の整数である場合、複数のB11及びA11は、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0010】

【0011】
[式(21)中、Z21及びZ22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基又は炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は−S−、又は−O−を表す。
は、チエニル基、フリル基、フェニル基、ベンゾ[d]チエニル基、ベンゾ[d]チアゾリル基、ベンゾ[d]フリル基、チエノ[3,2−b]チエニル基又はチエノ[2,3−b]チエニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
及びGは、それぞれ独立に、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は−O−、−S−又は−NH−で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換わっていてもよい。
21、E22、B21及びB22は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
k’及びl’は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。k’が2以上の整数である場合、複数のA及びB21は、互いに同一であっても異なっていてもよく、l’が2以上の整数である場合、複数のA及びB22は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
21及びF22は、それぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表す。該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
21は、重合性基を表す。
22は、水素原子又は重合性基を表す。]
【0012】
[2]G及びGが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である[1]記載の組成物。
[3]Yが、式(Y−1)〜式(Y−5)のいずれかで表される基である[1]又は[2]記載の組成物。

[式(Y−1)〜式(Y−5)中、*は結合手を表す。
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基又は炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基を表す。
、J及びVは、それぞれ独立に−CO−、−NR−、−SO−、−O−、又は−S−を表す。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、−CH=又は−N=を表す。
aは、0〜5の整数を表す。
bは、0〜3の整数を表す。]
【0013】
[4]Yが、式(Y−1)〜式(Y−3)のいずれかで表される基である[1]〜[3]のいずれか記載の組成物。

[式(Y−1)〜式(Y−3)中、Z、a、b、及びJは、式(Y−1)〜式(Y−5)におけるものと同じ意味を表す。]
[5]Jが、−S−、又は−O−である[3]又は[4]記載の組成物。
[6]A及びAが、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい1,4−フェニレン基である[1]〜[5]のいずれか記載の組成物。
[7]Aのみと結合しているB、及びAのみと結合しているBが、それぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であり、かつ
と結合しているB、及びFと結合しているBが、それぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合である[1]〜[6]のいずれか記載の組成物。
[8]重合性基が、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[7]のいずれか記載の組成物。
【0014】
[9]さらに重合開始剤を含有する[1]〜[8]のいずれか記載の組成物。
【0015】
[10][1]〜[9]のいずれか記載の組成物を重合してなる光学フィルム。
[11]波長549nmにおける位相差値が、113nm以上163nm以下である[10]記載の光学フィルム。
[12]波長549nmにおける位相差値が、250nm以上300nm以下である[10]記載の光学フィルム。
[13]偏光フィルム及び[10]〜[12]のいずれか記載の光学フィルムを含む偏光板。
[14][10]〜[12]のいずれか記載の光学フィルムを含むカラーフィルタ。
[15][13]記載の偏光板及び[14]記載のカラーフィルタからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む液晶表示装置。
[16][13]記載の偏光板を含む有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
[17][1]〜[9]のいずれか記載の組成物を基板に塗布し、乾燥し、重合する光学フィルムの製造方法。
[18]式(1)で表される化合物。
【発明の効果】
【0016】
本発明の組成物によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るカラーフィルタ1を示す概略図である。
【図2】本発明に係る液晶表示装置5を示す概略図である。
【図3】本発明に係る偏光板30を示す概略図である。
【図4】本発明に係る液晶表示装置の液晶パネル20と偏光板30との貼合品21を示す概略図である。
【図5】本発明に係る有機EL表示装置の有機ELパネル23を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の組成物は、式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」という場合がある)を含む。化合物(1)は、式(20)で表される化合物及び式(21)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と組合せて用いることにより、これらからなる組成物から製造される光学フィルムが有する「偏光変換にかかる特性」をより優れたもの(すなわち、広い波長域においてより一層一様の偏光変換が可能な光学フィルム)に改善することができる。
【0019】

【0020】
[式(1)中、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基又は炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は、−O−、又は−S−を表す。
は、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族複素環基、置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族複素環基を表す。
及びDは、それぞれ独立に、2つ以上の−CR−を有する2価の連結基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
、E、B及びBは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NR−で置き換わっていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換わっていてもよい。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。kが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよく、lが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表す。該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
は、重合性基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。]
【0021】
及びZを表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0022】
及びZを表す炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
フッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0023】
及びZを表す炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシル基スルフィニル等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルスルフィニル基が好ましく、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基がより好ましく、メチルスルフィニル基が特に好ましい。
【0024】
及びZを表す炭素数1〜6のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基がより好ましく、メチルスルホニル基が特に好ましい。
【0025】
及びZを表す炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0026】
及びZを表す炭素数1〜6のアルキルスルファニル基としては、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、イソブチルスルファニル基、sec−ブチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基、ペンチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルスルファニル基が好ましく、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基がより好ましく、メチルスルファニル基が特に好ましい。
【0027】
及びZを表す炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−イソブチルアミノ基、N−sec−ブチルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基、N−ペンチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基等が挙げられ、炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基が好ましく、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基がより好ましく、N−メチルアミノ基が特に好ましい。
【0028】
及びZを表す炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N,N−ジペンチルアミノ基、N,N−ジヘキシルアミノ基等が挙げられ、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルアミノ基がより好ましく、N,N−ジメチルアミノ基が特に好ましい。ここでの炭素数は、窒素原子と結合する2つのアルキル基の炭素数の合計をいう。
【0029】
及びZを表す炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基としては、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基等が挙げられ、炭素数1〜4のN−アルキルスルファモイル基が好ましく、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基がより好ましく、N−メチルスルファモイル基が特に好ましい。
【0030】
及びZを表す炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−メチル−N−エチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N,N−ジイソプロピルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジイソブチルスルファモイル基、N,N−ジペンチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基等が挙げられ、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルスルファモイル基がより好ましく、N,N−ジメチルスルファモイル基が特に好ましい。ここでの炭素数は、窒素原子と結合する2つのアルキル基の炭素数の合計をいう。
【0031】
及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、メチルスルホニル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルスルファニル基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチルスルファモイル基又はN,N−ジメチルスルファモイル基であることが好ましい。Z及びZが上記の基であると、光学特性に優れることから、好ましい。また、Z及びZは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、N,N−ジメチルアミノ基がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がさらに好ましい。Z及びZが上記の基であると、合成が容易であることから、より好ましい。
【0032】
は、−O−又は−S−である。化合物(1)の合成が容易になる傾向があることから、Qは、−S−であることが好ましい。
【0033】
は、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族複素環基、置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族複素環基であり、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基が好ましい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、又は芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、又は芳香環集合に由来する基をいう。中でも、Yは、式(Y−1)〜式(Y−5)で表される基のいずれかであることが好ましく、化合物(1)の合成が簡便であること、原料入手が容易であることから式(Y−1)又は式(Y−3)で表される基であることがより好ましい。
【0034】

【0035】
[式(Y−1)〜式(Y−5)中、*は結合手を表す。
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基又は炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基を表す。
、Vは、それぞれ独立に−CO−、−S−、−NR−、−O−、−Se−又は−SO−を表す。
〜Wは、それぞれ独立に、−CH=又は−N=を表す。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
aは、0〜5の整数を表す。
bは、0〜3の整数を表す。]
【0036】
さらにYは、式(Y−1)〜式(Y−5)で表される基のいずれかであることがより好ましく、式(Y−1)又〜式(Y−3)で表される基のいずれかであることが特に好ましい。
【0037】

【0038】
[式(Y−1)〜式(Y−5)中、*は結合手を表す。
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基又は炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基を表す。
、J、Vは、それぞれ独立に−CO−、−NR−、−SO−、−O−、又は−S−を表す。
は、−CH=又は−N=を表す。
aは、0〜5の整数を表す。
bは、0〜3の整数を表す。]
【0039】

【0040】
は、−S−、−O−であるとより好ましく、化合物(1)の安定性に優れるので−O−が特に好ましい。
【0041】
は、−CH=であると、化合物(1)の着色が少なく、化学的に安定性が増すのでより好ましい。
【0042】
aは0〜2であることが好ましい。bは0又は1であることが好ましい。
【0043】
及びDは、2つ以上の−CR−を有する2価の連結基である。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、Z及びZを表す炭素数1〜6のアルキル基で挙げた基のうち、炭素数1〜4の基が挙げられる。
【0044】
及びGを表す炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としては、式(a−1)〜式(a−8)で表される基等が挙げられる。ここでの炭素数は、芳香族炭化水素基に含まれる芳香環の炭素数の合計をいう。
【0045】

【0046】
上記式(a−1)〜式(a−8)で表される基の水素原子は、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基又はエトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基;トリフルオロメチルオキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子又は臭素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0047】
及びGとしては、それぞれ独立に、合成が容易になるため、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基が好ましく、1,4−フェニレン基がより好ましい。
【0048】
、E、B及びBを表す2価の連結基としては、例えば、−CR10−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR11−、−O−CH−、−S−CH−、−NR11−、−CR=CR10−等が挙げられる。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R11は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0049】
及びEとしては、それぞれ独立に、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR11−、−NR11−CO−、−CH−O−、−CH−S−又は単結合が好ましく、−CO−O−又は−O−CO−がより好ましい。
【0050】
のみと結合しているB、及びAのみと結合しているBが、それぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であり、かつFと結合しているB、及びFと結合しているBが、それぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合であることが好ましい。また、B及びBはともに同じ種類の2価の基であることがより好ましい。B及びBが前記の基であると、化合物(1)をより容易に製造することができる。
【0051】
及びAを表す炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、(g−1)〜式(g−10)で表される基等が挙げられる。
及びAを表す炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、上記式(a−1)〜式(a−8)で表される基等が挙げられる。
【0052】

【0053】
式(g−1)〜(g−10)で表される基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基等の炭素数1〜4のフッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0054】
及びAとしては、ともに同種類の基であることが好ましく、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキサンジイル基がより好ましく、1,4−フェニレン基がさらに好ましい。A及びAが上記の基であると、化合物(1)をより容易に製造することができる。
【0055】
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましい。k及びlの合計は、2〜5が好ましく、2〜4がより好ましい。k及びlが上記の数であると、化合物(1)が液晶性を示しやすいため好ましい。特に合成が容易で光学特性に優れるため、k及びlがともに1であることが特に好ましい。
【0056】
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
中でも、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状アルカンジイル基が好ましく、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CF−、−(CF−、−(CF−がより好ましく、−(CH−、−(CH−が特に好ましい。
【0057】
は、重合性基である。
は、水素原子又は重合性基であり、重合性基であることが好ましい。
及びPのいずれもが重合性基であると、得られる光学フィルムの膜硬度が優れる傾向があることから好ましい。
重合性基とは、本発明の化合物(1)を重合させることのできる置換基であり、具体的には、ビニル基、ビニルオキシ基、スチリル基、p−(2−フェニルエテニル)フェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシ基、アセチル基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、アミノ基、オキシラニル基、オキセタニル基、ホルミル基、イソシアナト基又はイソチオシアナト基などが例示される。また重合性基には、上記例示の基とF及びFを結合するために、B及びBを表す2価の連結基が含まれていてもよい。P及びPの重合性基としては、光重合させるのに適した、ラジカル重合性、カチオン重合性基が好ましく、特に取り扱いが容易な上、製造も容易であることからアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0058】
化合物(1)としては、式(1−1)〜式(24−8)で表される化合物が挙げられる。下式において、例えば式(1−1)で表される化合物とは、式(1−1)で表される基の左側に示した2価の基の両端の*に、式(1−1)で表される基2つが*の位置で結合した構造の化合物を表す。下式中、xは、1〜17の整数を表す。
【0059】

【0060】

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】

【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】
化合物(1)の製造方法について説明する。
化合物(1)は、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウィリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応など)を、その構造に応じて、適宜組み合わせることにより、製造することができる。
【0084】
例えば、D及びDが−CH−CH−である化合物(1)の場合、二つの製造方法が挙げられる。第一の方法は、式(2)
【0085】

(式中、Y、Q、Z及びZは、式(1)におけるものと同じ意味を表す。)
で表される化合物と式(3)及び(4)を逐次的あるいは同時に反応させて化合物(2)を得ることができる。
【0086】

(式中、G、E、A、B、F、P、G、E、A、B、F、P、k及びlは式(1)におけるものと同じ意味を表す。X、Xはそれぞれ独立に、ハロゲノ基、メシチル基、トシル基又はヒドロキシ基を表す。)
【0087】
及びXが、それぞれ独立に、ハロゲノ基、メシチル基、トシル基である場合には、式(2)で表される化合物と塩基性条件下でウィリアムソン反応させればよい。ウィリアムソン反応に用いる塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムが好ましい。
【0088】
及びXがともにヒドロキシ基である場合には、光延反応を適用すれば化合物(1)が得られる。
【0089】
第二の方法では、<1>式(2)で表される化合物と式(5)及び式(6)で表される化合物を反応させて式(7)で表される化合物を合成し、<2>式(7)で表される化合物を脱保護して式(8)で表される化合物を合成し、さらに<3>式(8)で表される化合物と式(9)及び式(10)で表される化合物とを反応させることによって化合物(1)が得られる。
【0090】

(式(5)及び式(6)中、G、G、X及びXは上記と同一の意味を表す。M、Mはそれぞれ独立に、保護基で保護されたカルボキシ基、保護基で保護されたヒドロキシ基を表す。)
【0091】


(式(7)中、Y、Q、Z、Z、G、G、M、及びMは、式(5)及び式(6)におけるものと同じ意味を表す。)
【0092】

(式(8)中、Y、Q、Z、Z、G、Gは、式(5)及び式(6)におけるものと同じ意味を表す。N、Nはそれぞれ独立に、カルボキシ基又はヒドロキシ基を表す。)
【0093】

(式中、A、B、F、P、A、B、F、P、k及びlは、式(1)におけるものと同じ意味を表す。N、Nはそれぞれ独立に、カルボキシ基又はヒドロキシ基を表す。ただし、Nがカルボキシ基である場合Nはヒドロキシ基であり、Nがヒドロキシ基である場合Nはカルボキシ基である。また、Nがカルボキシ基である場合Nはヒドロキシ基であり、Nがヒドロキシ基である場合Nはカルボキシ基である。)
【0094】
反応<1>における式(2)で表される化合物と式(5)あるいは式(6)で表される化合物との反応は、ウィリアムソン反応、光延反応が好ましい。反応後の精製が容易であることから、ウィリアムソン反応がより好ましい。
【0095】
ウィリアムソン反応に用いる塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミンなどの有機塩基が挙げられる。反応が速やかに進行するので、塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウムがより好ましい。
【0096】
及びXは、ハロゲノ基であるとより好ましく、ブロモ基、クロロ基であることが好ましい。
【0097】
及びMに含まれる保護基としては、pH=7以下の条件で脱保護できる保護基、水素還元で脱保護できる保護基が好ましい。中でも、脱保護が容易であるので、pH=7以下の条件で脱保護できる保護基がより好ましい。
【0098】
及びMに含まれるpH=7以下の条件で脱保護できる保護基としては、CH−S−CH−、CH−O−CH−、CH−CH−O−CH−、CH−O−CH(CH)−O−CH−、CH−CH−O−CH−CH−、Ph−CH−O−CH−、p−MeO−Ph−CH−O−CH−,p−NO−Ph−CH−O−CH−、2−MeO−Ph−O−CH−,C(CH−O−CH−,CH=CH−(CHOCH−,RSi−O−CH−,ClC−CH−O−CH−,テトラヒドロピラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル基、1−メチル−1−フェノキシエチル基、C(CH−、Ph−CH−、p−MeO−Ph−CH−、3,4−(CHO)Ph−CH−、4−NO−Ph−CH−、(Ph)C−、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル基、−SiR、−SiRPh、−SiRPh、Ph−C(=O)−CH−、ClC−CH−、t−ブチルジメチルシリル基、あるいはシクロプロピルメチル基が挙げられる(R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜8のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜8のアルコキシ基或いは−CHPh基を表す。)。
【0099】
脱保護が容易かつ式(7)で表される化合物が安定であることから、M及びMに含まれるpH=7以下で脱保護できる保護基としては、CH−S−CH−、CH−O−CH−、CH−CH−O−CH−、CH−O−CH(CH)−O−CH−、CH−CH−O−CH−CH−、Ph−CH−O−CH−、p−MeO−Ph−CH−O−CH−,p−NO−Ph−CH−O−CH−、2−MeO−Ph−O−CH−,C(CH−O−CH−、ClC−CH−O−CH−,テトラヒドロピラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル基、1−メチル−1−フェノキシエチル基、C(CH−、Ph−CH−、p−MeO−Ph−CH−、3,4−(CHO)Ph−CH−、4−NO−Ph−CH−、(Ph)C−、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル基、Ph−C(=O)−CH−がより好ましく、原料の入手が容易であることから、CH−S−CH−、CH−O−CH−、CH−CH−O−CH−、CH−O−CH−CH−O−CH−、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、C(CH−、Ph−CH−、(Ph)C−がより好ましい。さらに原料が安価であるのでCH−O−CH−、CH−CH−O−CH−、CH−O−CH−CH−O−CH−、テトラヒドロピラニル基、C(CH−、Ph−CH−、(Ph)C−が特に好ましい。
【0100】
<2>の脱保護反応をpH=7以下で行う場合、ブレンステッド酸による脱保護、ルイス酸による脱保護による脱保護が挙げられる。ブレンステッド酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸等の無機ブレンステッド酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフロオロメタンスルホン酸等の有機ブレンステッド酸が挙げられ、有機溶媒を用いて均一系で脱保護することができることから、ブレンステッド酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフロオロメタンスルホン酸等の有機ブレンステッド酸がより好ましく、さらに有機溶媒への溶解性が高いこと、反応が穏やかに進むことから、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸が特に好ましい。
【0101】
脱保護は、例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis−THIRD EDITION」(Greene Wuts著、 WILEY−INTERSCIENCE社)に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0102】
<3>の式(8)で表される化合物と式(9)及び式(10)で表される化合物との反応は、縮合剤を用いたエステル化反応が好ましい。
【0103】
縮合剤としては、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−パラ−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(一部水溶性カルボジイミド:WSCとして市販されている)、ビス(2、6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、などのカルボジイミド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、1,1’−オキサリルジイミダゾール、ジフェニルホスフォリルアジド、1(4−ニトロベンゼンスルフォニル)−1H−1、2、4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−カルボベンゾキシスクシンイミド、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2−ブロモ−1−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスフェート、2−クロロ−1−メチルピリジニウムアイオダイド、2−クロロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート、2−フルオロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート、トリクロロ酢酸ペンタクロロフェニルエステル等が挙げられる。反応性、コスト、使用できる溶媒の点から、縮合剤としてはジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩、ビス(2、6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾールがより好ましい。
【0104】
化合物(1)の製造方法としては副反応が少ないことから、化合物(1)の合成方法としては第二の方法がより好ましい。
【0105】
本発明の組成物は、化合物(1)と、式(20)で表される化合物(以下「化合物(20)」という場合がある)及び式(21)で表される化合物(以下「化合物(21)」という場合がある)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する組成物(以下「組成物(1)」という場合がある)である。
化合物(1)と、式(20)で表される化合物及び式(21)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を混合させることにより、位相差値及びその波長分散特性などの光学特性、熱物性等を所望の値に調整することができる。
中でも、位相差値及びその波長分散特性などの光学特性が良好であるため、化合物(1)と、式(21)で表される化合物とを含有する組成物が好ましい。
【0106】
11−E11−(B11−A11−B12−G (20)
[式(20)中、A11は、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数3〜18の2価の複素環基を表し、該芳香族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該複素環基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はスルファニル基で置換されていてもよい。
11及びB12は、それぞれ独立に、−CR1415−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR16−、−NR16−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−NR16−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R14及びR15が連結して炭素数4〜7の環を構成してもよい。R16は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Gは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のN−アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基又は−E12−P12を表す。
11及びE12は、炭素数1〜18のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−で置き換わっていてもよい。
11及びP12は、重合性基を表す。
tは、1〜5の整数を表す。tが2以上の整数である場合、複数のB11及びA11は、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0107】
11及びP12を表す重合性基としては、化合物(1)のP及びPと同様の基が挙げられる。なかでも、光重合に適するという点で、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易で、液晶化合物の製造も容易であるという点で、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基又はビニルオキシ基が好ましい。
また、A11の芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び複素環基の炭素数は、それぞれ、例えば3〜18であり、5〜12であることが好ましく、5又は6であることが特に好ましい。
【0108】
中でも、P11がエーテル結合又はエステル結合を介してE11と結合している化合物が好ましい。さらに、Gが−E12−P12であり、P12がエーテル結合又はエステル結合を介してE12と結合している化合物が好ましい。
【0109】
化合物(20)のうち、例えば、tが5であり、かつGが−E12−P12である化合物の具体例として、式(I−1)〜式(I−8)、式(C1−1)〜式(C4−8)で表される化合物が挙げられ、
tが4でであり、かつGが−E12−P12である化合物の具体例として式(II−1)〜式(II−6)で表される化合物が挙げられ、
tが3であり、かつGが−E12−P12である化合物の具体例として式(III−1)〜式(III−19)で表される化合物が挙げられ、
tが3であり、かつGが−E12−P12以外の基である化合物の具体例として式(IV−1)〜式(IV−14)表される化合物が挙げられ、
tが2であり、かつGが−E12−P12以外の基である化合物の具体例として式(V−1)〜式(V−5)で表される化合物などが挙げられる。ただし、式中mは、1〜11の整数を表す。これらの液晶化合物であれば、合成が容易であり、市販されているなど、入手が容易であることから好ましい。
【0110】

【0111】

【0112】

【0113】

【0114】

【0115】

【0116】

【0117】

【0118】

【0119】

【0120】

【0121】

【0122】

【0123】

【0124】

【0125】

【0126】

【0127】

【0128】

【0129】

【0130】

【0131】

【0132】

【0133】

【0134】
[式(21)中、Z21及びZ22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基又は炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は−S−、又は−O−を表す。
は、チエニル基、フリル基、フェニル基、ベンゾ[d]チエニル基、ベンゾ[d]チアゾリル基、ベンゾ[d]フリル基、チエノ[3,2−b]チエニル基又はチエノ[2,3−b]チエニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
及びGは、それぞれ独立に、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は−O−、−S−又は−NH−で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換わっていてもよい。
21、E22、B21及びB22は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
k’及びl’は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。k’が2以上の整数である場合、複数のA及びB21は、互いに同一であっても異なっていてもよく、l’が2以上の整数である場合、複数のA及びB22は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
21及びF22は、それぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表す。該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
21は、重合性基を表す。
22は、水素原子又は重合性基を表す。]
【0135】
21及びZ22としては、化合物(1)のZ及びZと同様の基が挙げられ、水素原子、ハロゲン原子及びメチル基が好ましい。
21、E22、B21及びB22としては、化合物(1)のE、E、B及びBと同様の基が挙げられる。E21及びE22は、−CO−O−又は−O−CO−が好ましい。B21及びB22は、ともに同じ種類の2価の基であることがより好ましい。
21及びF22としては、化合物(1)のF及びFと同様の基が挙げられ、−(CH−及び−(CH−が好ましい
21及びP22としては、化合物(1)のP及びPと同様の基が挙げられ、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0136】
及びGとしては、A及びAとして挙げた基と同様の基が挙げられる。中でも、5員環又は6員環の脂環式炭化水素基であることが好ましく、シクロヘキサンジイル基基であることがより好ましく、1,4−シクロヘキサンジイル基であることがさらに好ましく、trans−1,4−シクロへキサンジイル基であることが特に好ましい。
【0137】
及びAを表すとしては、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、上述した式(g−1)〜式(g−4)で表される基等が挙げられる。
及びAを表す炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としては、G及びGとして挙げた基と同様の基が挙げられる。A及びAは、ともに同種類の基であることが好ましく、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキサンジイル基であるとより好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。A及びAが上記の基であると、化合物(21)を容易に製造することができる。
【0138】
は、チエニル基、フリル基、フェニル基、ベンゾ[d]チエニル基、ベンゾ[d]チアゾリル基、ベンゾ[d]フリル基、チエノ[3,2−b]チエニル基又はチエノ[2,3−b]チエニル基を表し、これらの基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基又は炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基で置換されていてもよい。
【0139】
炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基及び炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基としては、Z及びZを表す基として上述した基と同様の基が挙げられる。
炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N,N−ジイソプロピルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N−ジイソブチル−N−メチルスルファモイル基、N−ジsec−ブチル−N−メチルスルファモイル基、N−tert−ブチル−N−メチルスルファモイル基、N,N−ジペンチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基等が挙げられる。
の置換基としては、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、シアノ基、ニトロ基、メチルスルホニル基、ニトロソ基、カルボキシ基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルスルファニル基、N,N−ジメチルアミノ基又はN−メチルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が特に好ましい。
【0140】
化合物(21)の具体例として、式(B1−1)〜式(B20−8)で表される化合物などが挙げられる。
【0141】

【0142】

【0143】

【0144】

【0145】

【0146】

【0147】

【0148】

【0149】

【0150】

【0151】

【0152】

【0153】

【0154】

【0155】

【0156】

【0157】

【0158】

【0159】

【0160】


【0161】
本発明の組成物中、化合物(1)の含有量は、化合物(20)及び化合物(21)からなる群から選ばれる少なくとも1種と化合物(1)との合計100質量部に対して、3質量部以上90質量部以下であり、好ましくは3質量部以上50質量部以下であり、より好ましくは3質量部以上30質量部以下である。
【0162】
本発明の組成物は、さらに重合開始剤を含有する組成物であることが好ましい。重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましく、光照射によりラジカルを発生する光重合開始剤がより好ましい。
【0163】
光重合開始剤としては、たとえばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンジルケタール等のベンジルケタール類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシ−1−エタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン類;2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン等のα−アミノケトン類、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられる。イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン(株)製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学(株)製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬(株)製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152又はアデカオプトマーSP−170(以上、全て(株)ADEKA製)など市販されている光重合開始剤を使用することもできる。
【0164】
また重合開始剤の含有量は、化合物(20)及び化合物(21)からなる群から選ばれる少なくとも1種と化合物(1)との合計100質量部に対して、たとえば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは、0.5質量部〜10質量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、化合物(1)等を重合させることができる。
【0165】
本発明の光学フィルムとは、光を透過し得るフィルムであって、光学的な機能を有するフィルムをいう。光学的な機能とは、屈折、複屈折などを意味する。光学フィルムの一種である位相差フィルムは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したりするために用いられる。
【0166】
本発明の光学フィルムの波長分散特性は、光学フィルムにおける化合物(1)に由来する構造単位の含有量によって、調整することができる。光学フィルムにおける構造単位の中で化合物(1)に由来する構造単位の含有量を増加させると、光学フィルムの逆波長分散特性を強くすることができる。
【0167】
具体的には、組成物(1)について、化合物(1)に由来する構造単位の含有量が異なる組成物を1〜5種類程度調製し、それぞれの組成物について後述するように、同じ膜厚の光学フィルムを製造して得られる光学フィルムの位相差値を求め、その結果から、化合物(1)に由来する構造単位の含有量と光学フィルムの位相差値との相関を求め、得られた相関関係から、上記膜厚における光学フィルムに所望の位相差値を与えるために必要な化合物(1)に由来する構造単位の含有量を決定すればよい。
波長が長くなるほど位相差が大きくなる逆波長分散性を示す波長域では、一様の偏光変換が可能である。
【0168】
本発明の組成物は、有機溶剤を含むことが好ましい。
〔有機溶剤〕
有機溶剤としては、化合物(1)、化合物(20)及び化合物(21)など組成物(1)を構成する成分を溶解し得る有機溶剤であり、重合反応に不活性な溶剤であればよく、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ又はプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン又はフェノールなどの非塩素系芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;クロロホルム又はクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0169】
本発明の組成物の固形分は、質量分率で、たとえば5〜50質量%が好ましい。固形分の濃度が5%以上であると、光学フィルムが薄くなりすぎず、液晶パネルの光学補償に必要な複屈折率が与えられる傾向があり、50%以下であると、混合溶液の粘度が低いことから、光学フィルムの膜厚にムラが生じにくくなる傾向があることから好ましい。
ここで、固形分とは、本発明の組成物から溶媒を除いた量のことをいう。
【0170】
本発明の組成物の粘度は、塗布しやすいように、たとえば0.1〜10Pa・s、好ましくは1〜7Pa・sに調整することが好ましい。
【0171】
本発明の組成物は、さらに、重合禁止剤、光増感剤又はレベリング剤等を含有してもよい。
【0172】
〔重合禁止剤〕
重合禁止剤としては、たとえばハイドロキノン又はアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のカテコール類、ピロガロール類、2,2、6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類或いはβ−ナフトール類等を挙げることができる。
【0173】
重合禁止剤を用いることにより、化合物(1)等の重合を制御することができ、得られる光学フィルムの安定性を向上させることができる。また重合禁止剤の使用量は、化合物(20)及び化合物(21)からなる群から選ばれる少なくとも1種と化合物(1)との合計100質量部に対して、たとえば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.5質量部〜10質量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、化合物(1)等を重合させることができる。
【0174】
〔光増感剤〕
光増感剤としては、たとえばキサントン又はチオキサントン等のキサントン類、アントラセン又はアルコキシ基などの置換基を有するアントラセン類、フェノチアジン或いはルブレンを挙げることができる。
【0175】
光増感剤を用いることにより、化合物(1)等の重合を高感度化することができる。また光増感剤の使用量としては、化合物(20)及び化合物(21)からなる群から選ばれる少なくとも1種と化合物(1)との合計100質量部に対して、たとえば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.5質量部〜10質量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
【0176】
〔レベリング剤〕
レベリング剤としては、たとえば放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング(株)製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越化学工業(株)製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(DIC(株)製:F−445、F−470、F−479)などを挙げることができる。
【0177】
レベリング剤を用いることにより、より平滑な光学フィルムを得ることができる。さらに光学フィルムの製造過程で、本発明の組成物の流動性を制御したり、化合物(20)及び化合物(21)からなる群から選ばれる少なくとも1種や化合物(1)を重合して得られる光学フィルムの架橋密度を調整したりすることができる。またレベリング剤の含有量は、化合物(20)及び化合物(21)からなる群から選ばれる少なくとも1種と化合物(1)との合計100質量部に対して、たとえば0.01質量部〜30質量部であり、好ましくは0.05質量部〜10質量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
【0178】
本発明の光学フィルムの製造方法について、以下に説明する。
組成物(1)を、基板に塗布し、乾燥し、重合することにより、基板上に目的の光学フィルムを得ることができる。
【0179】
[未重合フィルム調製工程]
基板の上に、組成物(1)を塗布し、乾燥すると、未重合フィルムが得られる。該基板上には、配向膜が形成されていてもよい。未重合フィルムがネマチック相などの液晶相を示す場合、得られる光学フィルムは、モノドメイン配向による複屈折性を有する。
【0180】
基板への塗布方法としては、たとえば押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法又はダイコーティング法などが挙げられる。またディップコーター、バーコーター又はスピンコーターなどのコーターを用いて塗布する方法などが挙げられる。
【0181】
上記基板としては、たとえばガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム又は透光性フィルムを挙げることができる。なお上記透光性フィルムとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム又はポリフェニレンオキシドフィルムなどが挙げられる。
【0182】
たとえば本発明の光学フィルムの貼合工程、運搬工程、保管工程など、光学フィルムの強度が必要な工程でも、基板を用いることにより、破れなどなく容易に取り扱うことができる。
【0183】
また、配向膜を形成した基板上に組成物(1)を塗布することが好ましい。配向膜は、組成物(1)の塗布時に、混合液に溶解しない溶剤耐性を持つこと、溶剤の除去や液晶の配向の加熱処理時に、耐熱性をもつこと、ラビング時に、摩擦などによる剥がれなどが起きないことが好ましく、ポリマー又はポリマーを含有する組成物からなることが好ましい。
【0184】
上記ポリマーとしては、たとえば分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上混ぜたり、共重合体したりしてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミンなどによる重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等で容易に得ることができる。
【0185】
またこれらのポリマーは、溶剤に溶解して、塗布することができる。溶剤は、特に制限はないが、具体的には、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ又はプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン又はキシレンなどの非塩素系芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;クロロホルム又はクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0186】
また配向膜を形成するために、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)又はオプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
【0187】
このような配向膜を用いれば、延伸による屈折率制御を行う必要がないため、複屈折の面内ばらつきが小さくなる。それゆえ、基板上にフラットパネル表示装置(FPD)の大型化にも対応可能な大きな光学フィルムを提供できるという効果を奏する。
【0188】
上記基板上に配向膜を形成する方法としては、たとえば上記基板上に、市販の配向膜材料や配向膜の材料となる化合物を溶液にして塗布し、その後、アニールすることにより、上記基板上に配向膜を形成することができる。
【0189】
このようにして得られる配向膜の厚さは、たとえば10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。上記範囲とすれば、化合物(1)等を該配向膜上で所望の角度に配向させることができる。
【0190】
またこれら配向膜は、必要に応じてラビングもしくは偏光UV照射を行うことができる。これらにより化合物(1)等を所望の方向に配向させることができる。
【0191】
配向膜をラビングする方法としては、たとえばラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられ、搬送されている配向膜に接触させる方法を用いることができる。
【0192】
上記の通り、未重合フィルム調製工程では、任意の基板の上に積層した配向膜上に未重合フィルム(液晶層)を積層する。それゆえ、液晶セルを作製し、該液晶セルに液晶化合物を注入する方法に比べて、生産コストを低減することができる。さらにロールフィルムでのフィルムの生産が可能である。
【0193】
溶剤の乾燥は、重合を進行させるとともに行ってもよいが、重合前にほとんどの溶剤を乾燥させることが、成膜性の点から好ましい。
【0194】
溶剤の乾燥方法としては、たとえば自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などの方法が挙げられる。未重合フィルムを加熱乾燥する場合、具体的な加熱温度としては、0〜250℃が好ましく、50〜220℃がより好ましく、80〜170℃がさらに好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。加熱温度及び加熱時間が上記範囲内であれば、上記基板として、耐熱性が必ずしも十分ではない基板を用いることができる。
【0195】
[未重合フィルム重合工程]
未重合フィルム重合工程では、上記未重合フィルム調製工程で得られた未重合フィルムを重合し、硬化させる。これにより化合物(1)の配向性が固定化されたフィルム、すなわち重合フィルムとなる。したがって、熱による複屈折への影響を受けにくくすることができる。
【0196】
未重合フィルムを重合させる方法は、化合物(1)等の種類に応じて、選択することができる。化合物(1)に含まれるP及び/又はP、並びに化合物(20)や化合物(21)に含まれる重合性基が光重合性であれば光重合、該重合性基が熱重合性であれば熱重合により、上記未重合フィルムを重合することができる。本発明の光学フィルムにおいては、光重合により未重合フィルムを重合させることが好ましい。光重合によれば低温で未重合フィルムを重合させることができるので、より耐熱性の低い基板も選択することができる。また工業的にも製造が容易となる。また成膜性の観点からも光重合が好ましい。光重合は、未重合フィルムに可視光、紫外光又はレーザー光を照射することにより行う。取り扱いやすいという点から、紫外光が特に好ましい。光照射は、組成物(1)が液晶相をとる温度に加温しながら行ってもよい。この際、マスキングなどによって重合フィルムをパターニングすることもできる。
【0197】
さらに本発明の光学フィルムは、ポリマーを延伸することによって位相差を与える延伸フィルムと比較して、薄膜である。
【0198】
本発明の光学フィルムの製造方法において、上記工程に続いて、基板を剥離する工程を含んでいてもよい。このような構成とすることにより、得られる積層体は、配向膜と光学フィルムとからなるフィルムとなる。また上記基板を剥離する工程に加えて、配向膜を剥離する工程をさらに含んでいてもよい。このような構成とすることにより、光学フィルムを得ることができる。
【0199】
光学フィルムの位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(30)のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るためには、膜厚d及び複屈折率Δn(λ)を調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ) (30)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
【0200】
膜厚dは、未重合フィルム調製工程において、組成物(1)の固形分濃度や塗布量を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように調製することができる。本発明の光学フィルムの厚み(膜厚d)は、0.1〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.5〜3μmであることがより好ましい。ここで、光学フィルムの厚みとは、組成物(1)がなす層の厚みを意味する。
また複屈折率Δn(λ)は、未重合フィルム重合工程のおいて、重合時の露光量、加熱温度、加熱時間適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように調製することができる。
【0201】
かくして得られた光学フィルムは、透明性に優れ、様々な表示装置用フィルムとして使用される。
【0202】
配向膜を用いて複屈折性を有する場合には、たとえば位相差値としては、50〜500nm程度であり、好ましくは100〜300nmである。
【0203】
このような薄膜でより広い波長域において一様の偏光変換が可能なフィルムは、すべての液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などのフラットパネル表示装置において、光学補償フィルムとして用いることができる。
【0204】
本発明の光学フィルムを広帯域λ/4板として使用する場合、光学フィルムのRe(549)は、113nm以上163nm以下、好ましくは135以上140nm以下、特に好ましくは約137以上138nm以下である。また、本発明の光学フィルムを広帯域λ/2板として使用する場合、光学フィルムのRe(549)は、250nm以上300nm以下、好ましくは273以上277nm以下、特に好ましくは約274以上276nm以下である。
光学フィルムの膜厚と、組成物(1)に含まれる化合物(1)の含有量を変更することで、位相差値を調整することができる。組成物(1)に含まれる化合物(1)の含有量は、広帯域λ/4板として使用する場合、化合物(20)及び化合物(21)からなる群から選ばれる少なくとも1種と化合物(1)との合計100質量部に対して、3質量部〜30質量部が好ましく、広帯域λ/2板として使用する場合、3質量部〜50質量部が好ましい。
【0205】
本発明の光学フィルムをVA(Vertical Alingment)モード用光学フィルムとして使用するためには、化合物(1)に由来する構造単位の含有量を適宜、選択する。Re(549)を好ましくは40〜100nm、より好ましくは60〜80nm程度となるように膜厚を調整すればよい。
【0206】
化合物(1)を少量添加するだけで、光学フィルムの波長分散特性を1に近い値へとシフトさせることができ、所望の波長分散特性を簡便な方法で調製することができる。
【0207】
本発明の光学フィルムは、アンチリフレクション(AR)フィルムなどの反射防止フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、視野角拡大フィルム又は透過型液晶ディスプレイの視野角補償用光学補償フィルムなどに利用することができる。また本発明の光学フィルムは1枚でも優れた光学特性を示すが、複数枚を積層させてもよい。
【0208】
また他のフィルムと組み合わせてもよい。他のフィルムと組み合わせたものとして、例えば、偏光フィルムと本発明の光学フィルムとを含む偏光板が挙げられる。具体的には偏光フィルムに本発明の光学フィルムを貼合させた楕円偏光板、該楕円偏光板にさらに本発明の光学フィルムを広帯域λ/4板として貼合させた広帯域円偏光板などが挙げられる。
【0209】
本発明の光学フィルムは、配向膜上に塗布、紫外線照射で重合させることによって形成させることができるため、図1に示すように従来よりも簡便にカラーフィルタ上に広帯域の例えばλ/4、λ/2の光学フィルムを形成させることができる。
【0210】
図1は、本発明に係るカラーフィルタ1を示す概略図である。
カラーフィルタ1は、本発明の光学フィルム2が、配向膜3を介して該カラーフィルタ層4上に形成されてなるカラーフィルタである。
【0211】
上記構成のカラーフィルタ1の製造方法の一例を記載する。まず、カラーフィルタ層4の上に配向性のポリマーを印刷し、ラビング処理を施して、配向膜3を形成する。
次に得られた配向膜3上に所望の波長分散特性をもつように、組成物(1)を調製し、所望の位相差値になるよう厚みを調製しながら塗布して、光学フィルム2を形成する。
【0212】
一方、上記カラーフィルタ1を用いれば、光学フィルム2の数を減らした薄型の液晶表示装置を製造することが可能となる。その一例として、図2に示した、一対の基板に液晶層が挟持され形成されてなる液晶表示素子において少なくとも一方の基板の液晶層側に形成された、薄型液晶表示装置が挙げられる。
【0213】
図2は、本発明に係る液晶表示装置5を示す概略図である。
図2に示す液晶表示装置5では、偏光板6上に例えばガラス基板などのバックライトと対向する基板7が接着剤を介して固定されており、基板7上に作成されたカラーフィルタ層4’上に配向膜3’を介して光学フィルム2’が形成されている。さらに光学フィルム2’上に対向電極8が形成され、対向電極8上に液晶相9が形成されている。バックライト側は、偏光板10にガラス基板などの基板11が接着剤を介して固定されており、さらに基板11には液晶層をアクティブ駆動させるための薄膜トランジスタ(TFT)及び絶縁層12が形成され、さらにTFT上にAg、Al又はITO(Indium Tin Oxide)による透明電極13及び/又は反射電極13’が形成されている。図2に示す液晶表示装置5の構成は、従来の液晶表示装置と比較して、光学フィルムの枚数を減らすことができ、より薄型の液晶表示装置の製造を可能とする。
【0214】
以下にカラーフィルタ1’が一方の基板の液晶層側に形成された液晶表示装置5の製法の一例を記載する。バックライト側の基板上にはホウケイ酸ガラス上に、MoやMoW等からなるゲート電極、ゲート絶縁膜、及びアモルファスシリコンを堆積・パターニングそして、アモルファスシリコンをエキシマレーザでアニールすることによって結晶化してなる半導体薄膜を形成、その後、ゲート電極両脇の領域にP、Bなどをドープさせ、nチャンネル、pチャンネルのTFTを形成させることができる。さらにSiOからなる絶縁膜を形成させることにより、バックライト側の基板が得られる。さらにバックライト側基板11上にITOをスパッタさせることによりバックライト側基板上に全透過型表示装置用の透明電極13を積層させることができる。また、同じくITOの換わりにAg、Al等を用いることにより全反射型表示装置用の反射電極13’が得られる。さらに反射電極、透明電極を適宜組み合わせることにより、半透過型の液晶表示装置用のバックライト側の電極も得られる。
【0215】
一方、対向する基板7に、カラーフィルタ層4’を形成させる。R,G、Bのカラーフィルタを併用することにより、フルカラーの液晶表示装置も得られる。次にカラーフィルタ層4’上に配向性ポリマーを塗布し、ラビングすることにより、配向膜3’を形成させる。この配向膜3’上に本発明に係る組成物(1)を塗布して、液晶相をとる温度範囲に加熱しながら、紫外線照射によって重合、光学フィルム2’を形成させる。光学フィルム形成後、ITOをスパッタさせることにより対向電極8を形成させることができる。さらに該対向電極上に配向膜を生成させ、液晶相9を形成させ、最後に上記バックライト側の基板とあわせて組み立てることにより、液晶表示装置5を作成することができる。また、本発明の光学フィルムは、該光学フィルムを形成する組成物の組成を変化させることにより所望の波長分散特性を得ることができ、膜厚から位相差値を制御できることから、光学フィルムの積層も省略することができる。
【0216】
さらに本発明の光学フィルムは、反射型液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイの位相差板並びに該位相差板や上記光学フィルムを備えるFPDにも利用することができる。上記FPDとしては、液晶表示装置(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置であることが好ましい。
【0217】
このように本発明に係るフィルムは、広範囲な用途が考えられる。たとえばこのうち本発明に係る光学フィルム及び偏光フィルムを積層してなる偏光板並びに該偏光板を備えるFPDについて、以下説明する
本発明に係る偏光板は、偏光機能を有するフィルム、すなわち偏光フィルムの片面もしくは両面に直接、又は接着剤もしくは粘着剤を用いて前記光学フィルムを張り合わせることにより得られるものである。なお以下の図3〜図5の説明では、接着剤及び粘着剤を総称して接着剤と呼ぶ場合がある。
【0218】
図3(a)〜図3(e)は、本発明に係る偏光板1を示す概略図である。
図3(a)に示す偏光板30aは、積層体14と、偏光フィルム15とが直接貼り合わされており、積層体14は、基板16、配向膜17及び光学フィルム18からなる。偏光板30aは、支持基材16、配向膜17、光学フィルム18、偏光フィルム15の順に積層されている。
【0219】
図3(b)に示す偏光板30bは、積層体14と偏光フィルム15とが、接着剤層19を介して貼り合わされている。
【0220】
図3(c)に示す偏光板30cは、積層体14と積層体14’とが直接貼り合わされ、さらに積層体14’と偏光フィルム15とが直接貼り合わされている。
【0221】
図3(d)に示す偏光板30dは、積層体14と積層体14’とが接着剤層19を介して貼り合わされ、さらに積層体14’上に偏光フィルム15が直接貼り合わされている。
【0222】
図3(e)に示す偏光板30eは、積層体14と積層体14’とを接着剤層19を介して貼り合わせ、さらに積層体14’と偏光フィルム15とを接着剤層19’を介して貼り合せた構成を示す。
【0223】
本発明の偏光板とは、偏光フィルムと本発明の光学フィルムを含む積層体とを張り合わせたものである。積層体14及び積層体14’の代わりに、積層体14から基板16及び配向膜17を剥離した、光学フィルム18を用いてもよいし、積層体14から基板16を剥離した、配向膜17及び光学フィルム18からなるフィルムを用いてもよい。
【0224】
本発明の偏光板は、積層体を複数積層してもよく、その複数の積層体は、全て同一であっても、異なっていてもよい。
【0225】
偏光フィルム15は、偏光機能を有するフィルムであればよく、たとえばポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性色素を吸着させて延伸したフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素や二色性色素を吸着させたフィルムなどが挙げられる。
【0226】
接着剤層19及び接着剤層19’に用いられる接着剤は、透明性が高く耐熱性に優れた接着剤であることが好ましい。そのような接着剤としては、たとえばアクリル系、エポキシ系又はウレタン系接着剤などが用いられる。
【0227】
本発明のフラットパネル表示装置は、本発明の光学フィルムを備えるものであり、たとえば本発明の偏光フィルムと液晶パネルとが貼り合わされた貼合品を備える液晶表示装置や、本発明の偏光フィルムと、発光層とが貼り合わされた有機ELパネルを備える有機EL表示装置を挙げることができる。
【0228】
本発明にかかるフラットパネル表示装置の実施形態として、液晶表示装置と、有機EL表示装置とについて、以下詳細に述べる。
【0229】
〔液晶表示装置〕
図4は、本発明に係る液晶表示装置の液晶パネル20と偏光板30との貼合品21を示す概略図である。
【0230】
液晶表示装置としては、たとえば図2に示すような液晶パネル20と偏光板30との貼合品21を備える液晶表示装置などが挙げられる。貼合品21は、本発明の偏光板30と液晶パネル20とが、接着層22を介して貼り合わされてなるものである。図示しない電極を用いて、液晶パネル20に電圧を印加することにより、液晶分子が駆動し、光シャッター効果を奏する。
【0231】
〔有機EL表示装置〕
図5は、本発明に係る有機EL表示装置の有機ELパネル23を示す概略図である。
【0232】
有機EL表示装置としては、図5に示す有機ELパネル23を備える有機EL表示装置などが挙げられる。有機ELパネル23は、本発明の偏光フィルム30と、発光層24とを、接着層25を介して貼り合わせてなるものである。
【0233】
上記有機ELパネルにおいて、偏光フィルム30は、広帯域円偏光板として機能する。また上記発光層24は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層である。
【実施例】
【0234】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0235】
〔実施例1〕
<化合物(7−1)の合成例>
化合物(7−1)は下記のスキームに従って合成した。
【0236】

【0237】
[化合物(A−1)の合成例]
化合物を以下のスキームで合成した。原料のモノテトラヒドロピラニル保護ヒドロキノン(a)は特許文献(特開2004−262884)に記載されている方法により合成した。
【0238】
[化合物(A−2)の合成例]
化合物(A−1)20.00g(102.97mmol)、炭酸カリウム35.58g(257.43mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド3.32g(10.30mmol)、1、2−ジブロモエタン96.72g(514.85mmol)、アセトニトリル160gを混合させた。窒素雰囲気で40℃で8時間攪拌後、80℃で72時間反応させた。反応溶液をエバポレーションして、溶媒と過剰のジブロモエタンを留去後、2規定水酸化ナトリウム水溶液200mLで3回洗浄した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水させた後、活性炭3gを加えた。溶液をセライトを通して濾過した。濾液を回収し、減圧濃縮させた。残渣にn−ヘプタンを加えて不溶成分を濾過により除去した。濾液を回収し、真空乾燥させて化合物(A−2)を白色粉末として22.00g得た。収率は化合物(A―1)基準で71%であった。
【0239】
化合物(A−2)のH−NMR(CDCl):δ(ppm)1.58〜2.06(m、6H)、3.56〜3.63(m、3H)、3.88〜3.97(dt、1H)、4.22〜4.26(t、2H)、5.29〜5.31(t、1H)、6.82〜7.00(m、4H)。
【0240】
[化合物(A−3)の合成例]
2,5−ジメトキシアニリン28.34g(185mmol)、ベンゾフラン−2−カルボン酸20.0g(123mmol)及び脱水クロロホルム125.0gを混合し反応させた。得られた混合液にN、N−ジメチルアミノピリジン1.51g(12mmol)を加えた。得られた混合液を氷浴で冷却して、水溶性カルボジイミド(WSCD)21.06g(136mmol)を加えて一時間反応させた。その後室温まで戻し、終夜反応させた。得られた混合液をシリカゲルを通して濾過して白色沈殿及び褐色成分を除去後、減圧濃縮した。残渣に1規定塩酸水溶液−メタノールの2/1(v/v)溶液を加えて結晶化させた。析出した結晶を濾過、1規定水酸化カリウム水溶液で洗浄後、真空乾燥して、淡黄色粉末として化合物(A−3)を28.5g得た。収率は2,5−ジメトキシアニリン基準で79%であった。
【0241】
化合物(A−3)のH−NMR(CDCl):δ(ppm)3.82(s、3H)、3.94(s、3H)、6.62〜6.67(dd、1H)、6.84〜6.88(d、1H)、7.26〜7.34(m、1H)、7.42〜7.48(dt、1H)、7.57〜7.71(m、3H)、8.27〜8.29(d、1H)、9.03(br、1H)。
【0242】
[化合物(A−4)の合成例]
化合物(A−3)28.53g(96mmol)、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(ローソン試薬)20.18g(50.0mmol)及びトルエン90gを混合し、得られた混合液を80℃に昇温して5時間反応させた。冷却後濃縮し、化合物(A−4)とローソン試薬の分解物とを主成分とする赤色粘長固体を得た。
【0243】
[化合物(A−5)の合成例]
前項で得られた化合物(A−4)を含む混合物、水酸化ナトリウム40.0g(576mmol)及び水270gを混合し、得られた混合液を氷冷下で反応させた。続いてフェリシアン化カリウム86.19g(262mmol)を含む水溶液を、氷冷下で加え、反応させた。室温で12時間反応させて、析出した黄色沈殿を濾取した。濾取した沈殿を水、次いでヘキサンで洗浄し、エタノールで洗浄して、真空乾燥して、化合物(A−5)を主成分とする淡黄色固体17.0gを得た。収率は化合物(A−3)基準で57%であった。
【0244】
化合物(A−5)のH−NMR(CDCl):δ(ppm)3.97(s、3H)、4.05(s、3H)、6.75〜6.87(m、2H)、7.23〜7.41(m、2H)、7.57〜7.69(m、3H)。
【0245】
[化合物(A−6)の合成例]
化合物(A−5)17.0g(54.60mmol)及び塩化ピリジニウム85.0g(5倍質量)を混合し、180℃に昇温して2時間反応させた。得られた混合液を冷却後、水を加え、得られた沈殿を濾取し、水、ヘキサンで洗浄して、化合物(A−6)を主成分とする固体14.51gを得た。収率は化合物(A−5)基準で94%であった。
【0246】
[化合物(A−7)の合成例]
化合物(A−6)7.00g(24.71mmol)及び水酸化カリウム4.16g(74.13mmol)、化合物(A−2)18.60g(61.77mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド0.80g(2.47mmol)、ジメチルアセトアミド56gを混合した。反応溶液を窒素雰囲気下で40℃で1時間攪拌後、80℃に昇温し、さらに5時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後にメチルイソブチルケトン300mL、n−ヘプタン600mL、純水300mLを加えた。析出した沈殿を濾取して純水300mLで2回洗浄、n−ヘプタン500mLで二回洗浄した。真空乾燥させることにより、化合物(A−7)を黄色粉末として15.2gを得た。収率は化合物(A−6)基準で85%であった。
【0247】
化合物(A−7)のH−NMR(CDCl):δ(ppm)1.58〜2.08(m、12H)、3.57〜3.61(m、2H)、3.90〜3.97(m、2H)、4.33〜4.37(m、2H)、4.41〜4.48(m、4H)、4.59〜4.63(t、2H)、5.29〜5.33(m、2H)、6.89〜7.04(m、10H)、7.29〜7.41(m、2H)、7.57〜7.69(m、3H)。
【0248】
[化合物(A−8)の合成例]
化合物(A−7)15.00g(20.72mmol)及びピリジニウムパラトルエンスルホン酸1.97g(10.36mmol)、テトラヒドロフラン75g、純水1.49g(82.89mmol)を混合した。反応溶液を40℃まで昇温し、窒素雰囲気下で3時間攪拌した。得られたスラリーにエタノール300mLを加えて減圧濃縮した。残渣に純水500mLを加えて、析出した沈殿を回収した。さらに沈殿をn−ヘプタンで洗浄し真空乾燥させることにより、淡い黄土色粉末として化合物(A−8)10.06gを得た。収率は化合物(A−7)基準で88%であった。
【0249】
化合物(A−8)のH−NMR(d−DMSO):δ(ppm)4.26〜4.30(br、4H)、4.47(br、4H)、6.68〜6.86(m、8H)、7.08〜7.12(m、2H)、7.32〜7.49(m、2H)、7.72〜7.80(m、3H)、8.96(s、2H)。
【0250】
[化合物(7−1)の合成例]
化合物(A−8)5.00g(9.00mmol)、化合物(A−9)5.52g(18.90mmol)、ジメチルアミノピリジン0.11g(0.90mmol)及びクロロホルム39mLを混合した。得られた混合液にN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド2.73g(21.60mmol)を氷冷下で加えた。得られた反応溶液を室温で終夜反応させ、シリカゲル濾過したのち、減圧濃縮した。残渣にメタノールを加えて結晶化させた。結晶を濾取し、クロロホルムに再溶解させ0.3gの活性炭を加えて、室温で1時間攪拌した。溶液を濾過して濾液をエバポレータ減圧濃縮後、残渣にエタノールを加えて、生成した淡黄色沈殿を濾取し、エタノール、ヘプタンで洗浄、真空乾燥して化合物(7−1)を淡黄色粉末として8.25g得た。収率は化合物(A−8)基準で83%であった。
【0251】
化合物(7−1)のH−NMR(CDCl):δ(ppm)1.46〜1.86(m、16H)、4.02〜4.06(t、4H)、4.16〜4.21(t、4H)、4.40〜4.66(m、8H)、5.80〜5.84(dd、2H)、6.07〜6.18(m、2H)、6.37〜6.44(dd、2H)、6.83〜7.16(m、14H)、7.26〜7.40(m、2H)、7.56〜7.67(m、3H)、8.12〜8.15(d、4H)。
【0252】
<化合物(B5−1)の合成例>
化合物(B5−1)は下記のスキームに従って合成した。

【0253】
[化合物(B5−a)の合成例]
化合物(B5−a)は安息香酸クロリドを出発物質とし、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1誌、205−210頁(2000年)に記載されている方法により合成した。
【0254】
[化合物(B5−b)の合成例]
化合物(B5−a)10.8g(39.8mmol)と塩化ピリジニウム54.0g(5倍質量)とを混合し、180℃に昇温して攪拌した。混合液を冷却後、水を加え、得られた沈殿を濾別し、水、トルエン、次いでn−ヘプタンで洗浄して、化合物(B5−b))を主成分とするオフホワイト粉末8.7gを得た。収率は化合物(B5−a)基準で89%であった。
【0255】
[化合物(B5−1)の合成例]
化合物(B5−b)2.55g(11mmol)、化合物(B)9.67g(23mmol)、ジメチルアミノピリジン0.28g(2mmol)及びクロロホルム50mLを混合した。得られた混合液にジシクロヘキシルカルボジイミド5.31g(28mmol)のクロロホルム溶液40mLを氷冷下で滴下した。得られた反応溶液を攪拌し、濾過したのち、分離した有機層を回収した。有機層を乾燥後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルを加えて溶解し、減圧濃縮後、メタノール200mLを加えて氷冷下で再沈殿させた。沈殿を濾取し、n−ヘプタンで洗浄、濾過後、得られた固体を真空乾燥して化合物(B5−1)を6.1g得た。収率は化合物(B5−b)基準で56%であった。
【0256】
化合物(B5−1)のH−NMR(DMSO):δ(ppm)1.44〜1.80(m、24H)、2.38〜2.83(m、12H)、3.93〜3.97(t、4H)、4.11〜4.14(t、4H)、5.89〜5.94(dd、2H)、6.10〜6.20(m、2H)、6.29〜6.36(m、2H)、6.91〜7.03(m、8H)、7.36(s、2H)、7.60(m、3H)、8.06(m、2H)
【0257】
得られた化合物(B5−1)の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行った。化合物(B5−1)は、昇温時において、96℃から115℃までスメクチック相を呈し、115℃から226℃までネマチック相を呈し、降温時において、226℃から50℃までネマチック相を呈した。
【0258】
〔実施例2、比較例1〕
<光学フィルムの製造例>
ガラス基板に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2質量%水溶液を塗布し、乾燥後、厚さ89nmの膜を形成した。続いて、得られた膜の表面にラビング処理を施し、ラビング処理を施した面に、表1の組成の組成物をスピンコート法により塗布し、表2に記載の乾燥温度で1分間乾燥した。次いで表2に記載の光照射時の温度まで加温しながら、表2に記載の積算光量の紫外線を照射して、表3に記載の膜厚の光学フィルムを形成させた。
表1は、組成物全量に対する各成分の含有量(質量%)を表す。
【0259】
【表1】

【0260】
B5−1:上記に記載の化合物
重合開始剤:イルガキュア819(チバ・ジャパン(株)製)
レベリング剤:BYK361N(ビックケミージャパン製)
溶剤:シクロペンタノン
【0261】
【表2】

【0262】
<光学特性の測定>
光学フィルムの正面位相差値を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。尚、基材に使用したガラス基板には、複屈折性が無いため、ガラス基板付きフィルムを測定機で計測することにより、ガラス基板上に作製した光学フィルムの正面位相差値を得ることができる。得られた光学測定正面位相差値は、波長451nm、549nm、及び628nmにおいて、それぞれ測定し、[Re(451)/Re(549)](αとする)及び[Re(628)/Re(549)](βとする)を算出した。また、光学フィルムの膜厚d(μm)をレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス社製)を用いて測定した。結果を表3に示す。Δnは、Re(549)の値を膜厚で割って算出した(Δn=Re(549)/d)。
【0263】
【表3】

【0264】
本発明の組成物を重合してなる光学フィルムである実施例2は、[Re(451)/Re(549)](表中α)の値が1以下であることから、逆波長分散特性を示すことが明らかとなった。これにより、本発明の組成物を重合してなる光学フィルムは、広い波長域においてより一層一様の偏光変換が可能であることが確認できた。さらに、本発明の組成物を重合してなる光学フィルムは、複屈折が大きいことから、より膜厚を薄くできることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0265】
本発明の組成物によれば、広い波長域においてより一層一様の偏光変換が可能な光学フィルムを与えることができる。このような光学フィルムは、液晶表示装置等の表示装置を製造するために有用である。
【符号の説明】
【0266】
1,1’ カラーフィルタ
2,2’ 光学フィルム
3,3’ 配向膜
4,4’ カラーフィルタ層
5 液晶表示装置
6,10 偏光板
7,11 基板
8 対向電極
9 液晶層
12 TFT、絶縁層
13 透明電極
13’ 反射電極
30,30a,30b,30c,30d,30e 偏光板
14,14’ 積層体
15 偏光フィルム
16,16’ 基板
17,17’ 配向膜
18,18’ 光学フィルム
19,19’,22,25 接着剤層
20 液晶パネル
21 貼合品
23 有機ELパネル
24 発光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物と、式(20)で表される化合物及び式(21)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する組成物。


[式(1)中、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基又は炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は、−O−、又は−S−を表す。
は、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族複素環基、置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族複素環基を表す。
及びDは、それぞれ独立に、2つ以上の−CR−を有する2価の連結基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
、E、B及びBは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NR−で置き換わっていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換わっていてもよい。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。kが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよく、lが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表す。該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
は、重合性基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。]

11−E11−(B11−A11−B12−G (20)
[式(20)中、A11は、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数3〜18の2価の複素環基を表し、該芳香族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該複素環基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はスルファニル基で置換されていてもよい。
11及びB12は、それぞれ独立に、−CR1415−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR16−、−NR16−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−NR16−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R14及びR15が連結して炭素数4〜7の環を構成してもよい。R16は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Gは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のN−アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基又は−E12−P12を表す。
11及びE12は、炭素数1〜18のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−で置き換わっていてもよい。
11及びP12は、重合性基を表す。
tは、1〜5の整数を表す。tが2以上の整数である場合、複数のB11及びA11は、互いに同一であっても異なっていてもよい。]

[式(21)中、Z21及びZ22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基又は炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は−S−、又は−O−を表す。
は、チエニル基、フリル基、フェニル基、ベンゾ[d]チエニル基、ベンゾ[d]チアゾリル基、ベンゾ[d]フリル基、チエノ[3,2−b]チエニル基又はチエノ[2,3−b]チエニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
及びGは、それぞれ独立に、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は−O−、−S−又は−NH−で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換わっていてもよい。
21、E22、B21及びB22は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
k’及びl’は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。k’が2以上の整数である場合、複数のA及びB21は、互いに同一であっても異なっていてもよく、l’が2以上の整数である場合、複数のA及びB22は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
21及びF22は、それぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表す。該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
21は、重合性基を表す。
22は、水素原子又は重合性基を表す。]
【請求項2】
及びGが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
が、式(Y−1)〜式(Y−5)のいずれかで表される基である請求項1又は2記載の組成物。

[式(Y−1)〜式(Y−5)中、*は結合手を表す。
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基又は炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基を表す。
、J及びVは、それぞれ独立に−CO−、−NR−、−SO−、−O−、又は−S−を表す。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、−CH=又は−N=を表す。
aは、0〜5の整数を表す。
bは、0〜3の整数を表す。]
【請求項4】
が、式(Y−1)〜式(Y−3)のいずれかで表される基である請求項1〜3のいずれか記載の組成物。

[式(Y−1)〜式(Y−3)中、Z、a、b、及びJは、式(Y−1)〜式(Y−5)におけるものと同じ意味を表す。]
【請求項5】
が、−S−、又は−O−である請求項3又は4記載の組成物。
【請求項6】
及びAが、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい1,4−フェニレン基である請求項1〜5のいずれか記載の組成物。
【請求項7】
のみと結合しているB、及びAのみと結合しているBが、それぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であり、かつ
と結合しているB、及びFと結合しているBが、それぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合である請求項1〜6のいずれか記載の組成物。
【請求項8】
重合性基が、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか記載の組成物。
【請求項9】
さらに重合開始剤を含有する請求項1〜8のいずれか記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか記載の組成物を重合してなる光学フィルム。
【請求項11】
波長549nmにおける位相差値が、113nm以上163nm以下である請求項10記載の光学フィルム。
【請求項12】
波長549nmにおける位相差値が、250nm以上300nm以下である請求項10記載の光学フィルム。
【請求項13】
偏光フィルム及び請求項10〜12のいずれか記載の光学フィルムを含む偏光板。
【請求項14】
請求項10〜12のいずれか記載の光学フィルムを含むカラーフィルタ。
【請求項15】
請求項13記載の偏光板及び請求項14記載のカラーフィルタからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む液晶表示装置。
【請求項16】
請求項13記載の偏光板を含む有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか記載の組成物を基板に塗布し、乾燥し、重合する光学フィルムの製造方法。
【請求項18】
式(1)で表される化合物。


[式(1)中、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基又は炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は、−O−、又は−S−を表す。
は、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい1価の単環系芳香族複素環基、置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい1価の多環系芳香族複素環基を表す。
及びDは、それぞれ独立に、2つ以上の−CR−を有する2価の連結基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
、E、B及びBは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NR−で置き換わっていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換わっていてもよい。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。kが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよく、lが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表す。該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
は、重合性基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。]

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−162678(P2011−162678A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27549(P2010−27549)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】