説明

組成物及び薬物送達方法

【課題】医薬組成物の投与の1つ以上の副作用の減少方法、医薬組成物における微生物増殖及び酸化の阻害方法、並びに細胞への医薬の輸送及び結合の増大方法および医薬組成物の提供。
【解決手段】パクリタキセルなどの医薬をヒト血清アルブミンと特定比率で含有する医薬組成物であって、骨髄抑制、神経毒性、過敏症、静脈刺激、炎症、静脈炎、疼痛、皮膚刺激などの副作用の低減とヒトにおける疾患部位への医薬の輸送を増大させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本特許出願は、2002年12月9日出願の米国仮特許出願第60/432,317号、2003年12月3日出願の米国仮特許出願(弁理士整理番号225519)、2003年12月4日出願の米国仮特許出願(弁理士整理番号225549)、及び2003年12月5日出願の米国仮特許出願(弁理士整理番号225585)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、同様の薬剤の入手できる製剤と比較したとき、投与時の特定の非所望の副作用の減少効果を有する、非経口使用又は他の内服のための医薬活性剤を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
非経口使用の多数の薬剤、特に静脈内投与される薬剤が、静脈刺激、静脈炎、注射での焼灼や疼痛、静脈血栓、血管外漏出、及び他の投与関連副作用などの望ましくない副作用を引き起こすことはよく認識されている。これらの薬剤の多数は水不溶性であり、従って、患者に投与するときに刺激性、アレルギー性、又は毒性である、可溶化剤、界面活性剤、溶媒、及び/又は乳化剤と共に製剤化される(例えば、Briggs et al., Anesthesis 37, 1099 (1982)、及びWaugh et al., Am. J. Hosp. Pharmacists, 48, 1520 (1991)参照)。しばしば、製剤中に存在する遊離薬剤は、投与で疼痛又は刺激を引き起こす。例えば、進行性非小細胞肺癌の最前線化学療法としてイフォスファミドとビノレルビンの末梢静脈投与を受けた患者の50%で静脈炎が観察された(例えば、Vallejo et al., Am. J. Clin. Oncol., 19(6), 584−8 (1996)参照)。更に、バンコマイシンは、静脈炎などの副作用を誘導することが示されている(例えば、Lopes Rocha et al., Braz. J. Infect. Dis., 6(4), 196−200 (2002)参照)。固形腫瘍を有する患者でシスプラチン、ゲンシタビン、及びSU5416の使用により、深部静脈血栓や静脈炎などの有害事象が起こった(例えば、Kuenen et al., J. Clin. Oncol., 20(6), 1657−67 (2002)参照)。更に、麻酔剤であるプロポフォールは、特に、レシチン安定化脂肪エマルジョンとして投与されるとき、注射時疼痛、焼灼及び静脈刺激を引き起こしうる(例えば、Tan et al., Anathesia, 53, 468−76, (1998)参照)。投与関連副作用を示す他の薬剤として、例えば、タキソール(パクリタキセル)(例えば、タキソールI.V.用の添付文書参照)、コダロン(アミオダロン塩酸塩)(例えば、コダロンI.V.用の添付文書参照)、甲状腺ホルモンT3即ちリオチロニン(トリオスタットとして市販)、チオテパ、ブレオマイシン、及び診断用放射線造影剤が挙げられる。
【0004】
注射用薬剤、特に水不溶性薬剤の製造に関連した別の問題は、無菌性の保証である。薬剤エマルジョン/分散液の無菌製造は、製造前の全ての成分の完全滅菌、次いで、製造の全ての工程での完全無菌技術によって達成されうる。しかし、このような方法は、時間がかかり、高価である。更に、製造又は保管中の空気への暴露による薬剤の製剤の酸化により、例えば、pH減少、薬剤分解、及び脱色が起こりえ、それによって、薬剤の製剤の不安定化及び/又は保存寿命の減少が起こりうる。
【0005】
薬剤の製剤の投与関連副作用と関連した問題を避けるために、別の製剤が試みられた。例えば、プロポフォールに関し、プロポフォール誘導疼痛の減少方法として、溶媒の脂肪含量増加(例えば、長鎖トリグリセライド(LCT))、前投薬、非ステロイド剤による前処置、局所麻酔剤、オピオイド、リドカインの添加、シクロデキストリンの添加、及び精密濾過が挙げられる(例えば、Mayer et al., Anaesthesist, 45(11), 1082−4 (1996)、Davies, et al. Anaesthesia, 57, 557−61 (2002)、Doenicke, et al., Anaesth. Analg., 82, 472−4 (1996)、Larsen et al., Anaesthesitis 50, 842−5 (2001)、Lilley et al., Anaesthesia, 51, 815−8 (1996)、Bielen et al., Anesth. Analg., 82(5), 920−4 (1996)、及びKnibbe et al., Br. J. Clin. Pharmacol., 47(6), 653−60 (1999)参照)。しかし、これらの製剤は他の副作用(例えば、心臓血管合併症)を誘導するか、又はプロポフォールエマルジョンの不安定化を引き起こす。
【0006】
細菌汚染の問題を克服するために、プロポフォール製剤は、EDTA等価物(例えば、エデテート)、ペンテテート、又はサルファイト含有薬剤などの抗菌剤と共に開発されてきたか、又は、低pHで製剤化されてきた(例えば、米国特許5,714,520、5,731,355、5,731,356、6,028,108、6,100,302、6,147,122、6,177,477、6,399,087、6,469,069、及び国際特許出願番号第WO99/39696号参照)。しかし、エデテートやペンテテートは金属イオンキレーターなので、身体系から必須金属イオンをスカベンジすることにより危険である可能性を有する。更に、薬剤の製剤へのサルファイトの添加は、小児科集団や硫黄にアレルギーがある一般集団の人々に副作用の可能性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、薬剤の非経口投与又はインビボ投与と関連した副作用を減少又は除去する組成物及び方法の必要性が依然としてある。また、滅菌性である医薬組成物、及びこのような組成物の製造方法の必要性がある。更に、薬剤不安定化を防止するために、医薬製剤の酸化を減少又は除去する医薬組成物及び方法の必要性がある。
【0008】
本発明はこのような組成物及び方法を提供する。本発明のこれらの、そして他の利点、並びに更なる本発明の特徴は、本明細書で提供される発明の説明から明白となろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
本発明は、医薬組成物の様々な実施態様を提供する。種々の実施態様の性質の1つ、幾つか、又は全部は、本発明の様々な実施態様で見出すことができ、依然として添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【0010】
本発明は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物であって、医薬として許容できる担体は、ヒトへの医薬組成物の投与の1つ以上の副作用を減少するのに有効な量でアルブミンなどの蛋白質、より好ましくはヒト血清アルブミンを含み、医薬として許容できる担体は、医薬組成物における微生物増殖を阻害するのに有効な量でデフェロキサミンを含む、医薬組成物を提供する。本発明はまた、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物であって、医薬として許容できる担体は、ヒトへの医薬組成物の投与の1つ以上の副作用を減少するのに有効な量でアルブミンなどの蛋白質を含み、医薬として許容できる担体は、医薬組成物中の酸化を阻害するのに有効な量でデフェロキサミンを含む、医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明は、(a)医薬と医薬として許容できる担体を含む医薬組成物をヒトへ投与することを含む、ヒトへの医薬組成物投与と関連した1つ以上の副作用の減少方法であって、医薬として許容できる担体がアルブミンとデフェロキサミンを含む、方法を提供する。また、医薬組成物における微生物増殖の阻害方法、又は酸化の阻害方法、又は微生物増殖及び酸化の阻害方法が提供される。これらの方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物を製造することを含み、医薬として許容できる担体は、医薬組成物における微生物増殖の阻害に有効な量で又は酸化の阻害に有効な量で、デフェロキサミンを含む。
【0012】
本発明はまた、疾患部位への医薬の輸送の増大方法を提供し、該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物のヒトへの投与を含み、医薬として許容できる担体はアルブミンを含み、医薬組成物中のアルブミンと医薬との比は約18:1以下である。本発明は更に、インビトロ又はインビボの細胞への医薬の結合の増大方法を提供し、該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物をインビトロ又はインビボの細胞へ投与することを含み、医薬として許容できる担体はアルブミンを含み、医薬組成物中のアルブミンと医薬との比は約18:1以下である。
【0013】
本発明はまた、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物を提供し、該医薬として許容できる担体は、ヒトにおける疾患部位への薬剤の輸送を増大させるのに有効な量でアルブミンを含み、アルブミンと医薬との比は約18:1以下である。
【0014】
本発明は更に、医薬と蛋白質を組み合わせることによる、インビトロ又はインビボの細胞への医薬の輸送の増大方法を提供し、該蛋白質は、該細胞上の特異的細胞表面レセプターと結合し、蛋白質−医薬の組み合わせと該レセプターとの結合によって輸送が引き起こされ、蛋白質と医薬の比は約18:1以下である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物を提供し、該医薬として許容できる担体は、ヒトへの医薬組成物の投与の1つ以上の副作用を減少するのに有効な量でアルブミンなどの蛋白質、好ましくはヒト血清アルブミンを含み、医薬として許容できる担体は、医薬組成物における微生物増殖を阻害するのに有効な量でデフェロキサミンを含む。本発明はまた、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物を提供し、医薬として許容できる担体は、ヒトへの医薬組成物の投与の1つ以上の副作用を減少するのに有効な量でアルブミンなどの蛋白質を含み、医薬として許容できる担体は、医薬組成物における酸化を阻害するのに有効な量でデフェロキサミンを含む。
【0016】
任意の適切な医薬が、本発明の医薬組成物で使用できる。適切な医薬として、抗癌剤又は抗新生物剤、抗微小管剤、免疫抑制剤、麻酔剤、ホルモン、心臓血管障害で使用する薬剤、抗不整脈剤、抗生物質、抗真菌剤、抗高血圧剤、抗喘息剤、鎮痛剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、及び血管作用剤が挙げられるが、それらに限定されない。本発明は、多数の他の薬剤クラスとも同様に有用である。より詳細には、適切な医薬として、タキサン、(例えば、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)及びタキソテール(商標)(ドセタキセル))、エポチロン、カンプトテシン、コルヒチン、アミオダロン、甲状腺ホルモン、血管作用性ペプチド(例えば、血管作用性腸管ペプチド)、アムホテリシン、コルチコステロイド、プロポフォール、メラトニン、シクロスポリン、ラパマイシン(シロリムス)、タクロリムス、マイコフェノール酸、イフォスファミド、ビノレルビン、バンコマイシン、ゲンシタビン、SU5416、チオテパ、ブレオマイシン、診断用放射線造影剤、及びそれらの誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の組成物で有用な他の薬剤は、例えば、米国特許5,916,596及び同時係属中の米国特許出願番号第09/446,783号に記載されている。好ましくは、医薬は、プロポフォール、パクリタキセル、又はドセタキセルである。より好ましくは、医薬は、プロポフォール又はパクリタキセルである。最も好ましくは、医薬はプロポフォールである。
【0017】
タキソール(登録商標)(パクリタキセル)(Bristol−Myers Squibb)は、卵巣、乳房、肺、食道、及び頭頚部の癌腫に対し活性である。しかし、タキソールは、投与に関連した毒性、その上、骨髄抑制、好中球減少性熱、アナフィラキシー反応、及び末梢神経障害などの重大な急性及び累積性の毒性を誘導することが示されている。パクリタキセルは、水に僅かしか溶けないので、典型的には、クレモホールが溶媒として使用され、大きな注入容量と特殊なチューブ及びフィルターを必要とする。クレモホールは、アナフィラキシーや他の過敏性反応(コルチコステロイド、抗ヒスタミン、及びHブロッカーによる前処置を必要としうる)を含む、重大でありうる副作用と関連する(例えば、Gelderblom et al., Eur. J. of Cancer, 37, 1590−1598, (2001)参照)。タキソテール(商標)(ドセタキセル)は、アントラサイクリン耐性乳癌の治療に使用されるが、また、重大でありうる過敏症や体液貯留の副作用を誘導することが以前に示されている。エポチロン(及びその誘導体)はまた、典型的には、クレモホール中で投与され、重大な好中球減少症、過敏症及び神経障害を誘導することが示されている。
【0018】
プロポフォール(2,6−ジイソプロピルフェノール)は疎水性の、水不溶性の油であり、ヒトや動物の全身麻酔や鎮静を誘導及び維持するために、静脈内麻酔剤として広く使用される。典型的には、プロポフォールは血流中に直接投与され、血液−脳関門を乗り越える。プロポフォールを含有する医薬組成物は、この障壁を乗り越え、脳の関連機構を抑制するために十分な脂質溶解性を有するに違いない。プロポフォールは、22.5℃で1.0+/−0.02μMの水中最大溶解度を有する(例えば、Tonner et al., Anesthesiology, 77, 926−931 (1992)参照)。従って、プロポフォールは一般的に、可溶化剤、界面活性剤、溶媒を含むエマルジョンとして、又は水中油型エマルジョンとして製剤化される(例えば、米国特許6,150,423、6,326,406、及び6,362,234参照)。活性な医薬に加えて、本発明の組成物は、医薬担体又は賦形剤を含む。担体の選択は必ずしも重要ではなく、当業界公知の担体の任意のものが、組成物で使用できる。担体の選択は好ましくは、部分的には、医薬組成物を投与する特定の部位、及び医薬組成物を投与するのに使用される特定の方法により決定される。好ましくは、医薬として許容できる担体は蛋白質を含む。任意の適切な蛋白質が使用できる。適切な蛋白質の例として、アルブミン、IgAを含む免疫グロブリン、リポ蛋白質、アポリポ蛋白質B、ベータ−2−マクログロブリン、チログロブリンなどが挙げられるが、それらに限定されない。最も好ましくは、医薬として許容できる担体はアルブミンを含み、最も好ましくはヒト血清アルブミンを含む。本発明に適したアルブミンを含む蛋白質は、起源が天然であってもよいし、合成製造されてもよい。
【0019】
ヒト血清アルブミン(HSA)は、M65Kの非常に可溶性の球形蛋白質であり、585アミノ酸からなる。HSAは血漿中で最も豊富な蛋白質で、ヒト血漿のコロイド性浸透圧の70〜80%を占める。HSAのアミノ酸配列は、合計17ジスルフィド架橋、1つの遊離チオール(Cys34)、及び唯一のトリプトファン(Trp214)を含む。HSA溶液の静脈内使用は、乏血性ショック(hypovolumic shock)の予防と治療のために(例えば、Tullis, JAMA, 237, 355−360, 460−463, (1977))及びHouser et al., Surgery, Gynecology and Obstetrics, 150, 811−816 (1980)参照)、そして、新生児の高ビリルビン血症の治療での交換輸血に関連して(例えば、Finlayson, Seminars in Thrombosis and Hemostasis, 6, 85−120, (1980)参照)記載された。
【0020】
ヒト血清アルブミン(HSA)は、複数の疎水性結合部位(HSAの内因性リガンドである脂肪酸のための合計8つ)を有し、多様なセットの薬剤、特に中性及び陰性荷電の疎水性化合物と結合する(Goodman et al., The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th ed, McGraw−Hill New York (1996))。2つの高親和性結合部位がHSAのサブドメインIIAとIIIAで提案され、それは、極性リガンド性質の結合点として機能する、表面近傍の荷電したリジン残基及びアルギニン残基をもった非常に伸長した疎水性ポケットである(例えば、Fehske et al., Biochem. Pharmcol., 30, 687−92 (1981)、Vorum, Dan. Med. Bull., 46, 379−99 (1999)、Kragh−Hansen, Dan. Med. Bull., 1441, 131−40 (1990)、Curry et al., Nat. Struct. Biol., 5, 827−35 (1998)、Sugio et al., Protein. Eng., 12, 439−46 (1999)、He et al., Nature, 358, 209−15 (1992)、及びCarter et al., Adv. Protein. Chem., 45, 153−203 (1994)参照)。パクリタキセル及びプロポフォールはHSAと結合することが示されている(例えば、Paal et al., Eur. J. Biochem., 268(7), 2187−91 (2001)、Purcell et al., Biochim. Biophys. Acta, 1478(1), 61−8 (2000)、Altmayer et al., Arzneimittelforschung, 45, 1053−6 (1995)、及びGarrido et al., Rev. Esp. Anestestiol. Reanim., 41, 308−12 (1994)参照))。更に、ドセタキセルは、ヒト血漿蛋白質に結合することが示されている(例えば、Urien et al., Invest. New Drugs, 14(2), 147−51 (1996)参照)。従って、いずれの特定の理論にも縛られることは望まないが、本発明の医薬組成物中にアルブミンなどの蛋白質を含めることにより、医薬組成物の投与と関連した副作用における減少が起こる(減少は、少なくとも部分的には、組成物中に存在する任意の遊離薬剤へのヒト血清アルブミンの結合によるものである)と考えられる。
【0021】
本発明の医薬組成物中に包含されるアルブミンの量は、医薬活性剤、他の賦形剤、意図した投与の経路と部位に依存して変化しよう。望ましくは、組成物中に包含されるアルブミンの量は、ヒトへの本発明の医薬組成物の投与に起因する1つ以上の副作用活性医薬を減少させるのに有効な量である。典型的には、医薬組成物は液体形態で製造され、次いで、アルブミンが溶液に添加される。好ましくは、液体形態の医薬組成物は、アルブミンを約0.1重量%〜約25重量%(例えば、約0.5重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、又は約20重量%)含む。最も好ましくは、液体形態の医薬組成物は、アルブミンを約0.5重量%〜約5重量%含む。医薬組成物は、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥、湿式顆粒化、及び当業界公知の他の適切な方法により脱水できる。組成物が、湿式顆粒化、流動床乾燥、当業者公知の他の方法などにより、組成物が固体形態で製造されるとき、好ましくは、アルブミンは、活性医薬及び他の賦形剤(存在すれば)に溶液として適用される。好ましくは、HSA溶液は、アルブミンが約0.1重量%〜約25重量%(約0.5重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、又は約20重量%)である。
【0022】
アルブミンに加えて、好ましくは、本発明の組成物はデフェロキサミンを含む。デフェロキサミンは、Streptomyces pilosusから単離された天然物であり、鉄錯体を形成することができる。例えば、USP注射用メシル酸デフェロキサミンは、鉄キレート剤として食品医薬品局に承認され、筋肉内、皮下、静脈内投与に利用できる。メシル酸デフェロキサミンUSPは白色乃至オフホワイトの粉末である。それは、水に自由に溶け、その分子量は656.79である。メシル酸デフェロキサミンの化学名は、N−[5−[3−[(5−アミノペンチル)−ヒドロキシカルバモイル]−プロピオン−アミド]ペンチル]−3[[5−((N−ヒドロキシアセトアミド)ペンチル]−カルバモイル]プロピオノヒドロキサミン酸 一メタンスルホネート(塩)であり、その構造式は、C2548.CHSOHである。実施例に記載するように、デフェロキサミン、又はそのアナログ、誘導体、あるいは塩(例えば、メシル酸塩)は、医薬組成物における微生物増殖と酸化を阻害し、組成物中の遊離薬剤と結合すると考えられている。デフェロキサミンはまた、フェノール性化合物に結合することが示されている(例えば、Juven et al., J. Appl. Bacteriol., 76(6), 626−31 (1994)参照)。パクリタキセル、ドセタキセル、プロポフォールなどは、フェノール性様であるか、又はフェノール性もしくはフェニル置換基を有する。従って、デフェロキサミンは、本発明の医薬組成物中の遊離薬剤に結合、又はその量を減少しえ、それによってまた、注射の際の刺激又は疼痛を減少又は軽減しうると考えられる。
【0023】
組成物中に包含されるデフェロキサミン、又はその好適塩、即ち、デフェロキサミンのメシル酸塩の量は、活性医薬及び他の賦形剤に依存しよう。望ましくは、組成物中のデフェロキサミン、その塩、及びそのアナログの量は、微生物増殖及び/又は酸化の阻害に有効な量である。上記のように、典型的には、医薬組成物は液体形態で製造され、次いで、デフェロキサミン、その塩、及びそのアナログを溶液に加える。好ましくは、液体形態の医薬組成物は、デフェロキサミン、その塩、又はそのアナログを約0.0001重量%〜約0.5重量%(例えば、約0.005重量%、約0.1重量%、又は約0.25重量%)含む。より好ましくは、液体形態の組成物は、好適なデフェロキサミンの塩、即ちメシル酸デフェロキサミンの同様の量を含む。最も好ましくは、液体形態の医薬組成物は、メシル酸デフェロキサミンを約0.1重量%含む。湿式顆粒化、流動床乾燥、及び当業者公知の他の方法などによって、上記のように、組成物が固体形態で製造されるとき、好ましくは、メシル酸デフェロキサミンは、溶液として、活性医薬及び他の賦形剤(存在すれば)に適用される。好ましくは、メシル酸デフェロキサミン溶液は、デフェロキサミンを約0.0001重量%〜約0.5重量%(例えば、約0.005重量%、約0.1重量%、又は約0.25重量%)である。
【0024】
本発明に従い、医薬組成物は、組成物の性質を改善するために、他の薬剤、賦形剤、又は安定化剤を含みうる。例えば、ナノ粒子又はナノ小滴の陰性ゼータ電位を増加させることによって安定性を増大させるために、特定の陰性荷電成分を加えうる。このような陰性荷電成分として、グリコール酸、コール酸、ケノデオキシコール酸、タウロコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸及びその他からなる胆汁酸の胆汁塩;以下のホスファチジルコリンを含むレシチン(卵黄)ベースのリン脂質を含むリン脂質:パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、パルミトイルリノレオイルホスファチジルコリン、ステアロイルリノレオイルホスファチジルコリン ステアロイルオレオイルホスファチジルコリン、ステアロイルアラキドイルホスファチジルコリン、及びジパルミトイルホスファチジルコリンが挙げられるが、それらに限定されない。L−α−ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアリオルホスファチジルコリン(distearyolphosphatidylcholine)(DSPC)、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、D−α−ホスファチジルコリン、β−アセチル−γ−O−ヘキサデシル,L−α−ホスファチジルコリン、β−アセチル−γ−O−ヘキサデシル,DL−α−ホスファチジルコリン、β−アセチル−γ−O−ヘキサデシル,L−α−ホスファチジルコリン、β−アセチル−γ−O−オクタデシル,L−α−ホスファチジルコリン、β−アラキドノイル−γ−O−ヘキサデシル,L−α−ホスファチジルコリン、β−アセチル−γ−O−(オクタデク−9−シス−エンイル),D−α−ホスファチジルコリン、β−アラキドノイル−γ−O−パルミトイル,3−sn−ホスファチジルコリン、2−アラキジノイル−1−ステアロイル,L−α−ホスファチジルコリン、β−アラキドノイル−γ−ステアロイル,L−α−ホスファチジルコリン、ジアラキドイル,L−α−ホスファチジルコリン、ジベヘノイル,L−α−ホスファチジルコリン、β−(cis−8,11,14−エイコサトリエノイル)−γ−O−ヘキサデシル,L−α−ホスファチジルコリン、β−オレオイル−γ−ミリストイル,L−α−ホスファチジルコリン、β−(ピレン−1−イル)デカノイル−γ−パルミトイル,3−sn−ホスファチジル−N,N−ジメチルエタノールアミン、1,2−ジパルミトイル,L−α−ホスファチジルエタノールアミン、ジヘプタデカノイル,3−sn−ホスファチジルエタノールアミン、1,2−ジラウロイル,3−sn−ホスファチジルエタノールアミン、1,2−ジミリストイル,3−sn−ホスファチジルエタノールアミン、1,2−ジオレオイル,3−sn−ホスファチジルエタノールアミン、1,2−ジパルミトイル,L−α−ホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイル,L−α−ホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイル,N−ダンシル,L−α−ホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイル,N,N−ジメチル,L−α−ジミリストイルホスファチジルグリセロール(ナトリウム塩)(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(ナトリウム塩)(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(ナトリウム塩)(DSPG)、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム(MPEG−DSPE)、L−α−ホスファチジン酸,ジデカノイルナトリウム塩、L−α−ホスファチジン酸,ジヘプタデカノイルナトリウム塩、3−sn−ホスファチジン酸,1,2−ジミリストイルナトリウム塩、L−α−ホスファチジン酸,ジオクタノイルナトリウム塩、L−α−ホスファチジン酸,ジオレオイルナトリウム塩、L−α−ホスファチジン酸,ジパルミトイルナトリウム塩、L−α−ホスファチジル−DL−グリセロール,ジミリストイルナトリウム塩、L−α−ホスファチジル−DL−グリセロール,ジオレオイルナトリウム塩、L−α−ホスファチジル−DL−グリセロール,ジパルミトイルアンモニウム塩、L−α−ホスファチジル−DL−グリセロール,ジステアロイルアンモニウム塩、L−α−ホスファチジル−DL−グリセロール,β−オレオイル−γ−パルミトイルアンモニウム塩、L−α−ホスファチジルイノシトールアンモニウム塩、L−α−ホスファチジルイノシトールナトリウム塩、L−α−ホスファチジル−L−セリン,ジオレオイルナトリウム塩、L−α−ホスファチジル−L−セリン及びジパルミトイルナトリウム塩を含む、他のリン脂質。乳化剤の陰性荷電界面活性剤、例えば、コレステリル硫酸ナトリウムなども添加剤として適切である。
【0025】
医薬(例えば、プロポフォール)は単独で使用してもよいし、水不混和性溶媒に溶解してもよい。ダイズ、サフラワー、綿実、コーン、ヒマワリ、ラッカセイ、ヒマシ、又はオリーブの油などの広範囲の水不混和性溶媒が使用されうる。好適な油は植物油であり、ダイズ油が最好適である。ダイズ油は、組成物の1重量%〜10重量%の範囲で使用されうる。好ましくは、ダイズ油は、医薬組成物中に約3重量%の量で存在する。
【0026】
本発明の医薬組成物は、医薬として許容できる界面活性剤で安定化できる。本明細書で使用する用語「界面活性剤」は、両親媒性分子の界面活性の群(単数又は複数)を指す。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、及び両性イオン性でありうる。任意の適切な界面活性剤が本発明の医薬組成物に含められうる。適切な界面活性剤として、ホスファチド、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、及びトコフェリルポリエチレングリコールスクシネートなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。好適な界面活性剤は、卵レシチン、ツウィーン80、及びビタミンE−t d−α−トコフェリルポリエチレングリコール−1000スクシネート(TPGS)である。ダイズ油含有製剤に関しては、卵レシチンが好適で、3%ダイズ油含有製剤について1.2重量%以下であり、好ましくは組成物の1.1重量%である。ダイズ油無しの製剤に関しては、ツウィーン80又はビタミンE−TPGSが好適な界面活性剤である。典型的には、0.1〜1.5重量%のツウィーン80又は0.5〜4重量%のビタミンE−TPGSが適切である。好ましくは、1.5重量%のツウィーン80又は1重量%のビタミンE−TPGSが使用される。他の適切な界面活性剤の例は、例えば、Becher, Emulsions: Theory and Practice, Robert E. Krieger Publishing, Malabar, Fla. (1965)に記載されている。
【0027】
本発明の医薬組成物の種々の適切な製剤がある(例えば、米国特許5,916,596参照)。以下の製剤と方法は単に例示であり、決して限定的なものではない。経口投与に適した製剤は、(a)水、生理食塩水、又はオレンジジュースなどの希釈剤中に溶解した有効量の化合物などの液体溶剤、(b)カプセル、サッシェ、又は錠剤(各々は、固体又は顆粒として、所定量の活性成分を含有する)、(c)適切な液体中の懸濁剤、及び(d)適切なエマルジョンからなりうる。錠剤形態は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、ポテトスターチ、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド性二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、並びに、他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、矯味剤、及び薬理的に適合性のある賦形剤の1つ以上を含有しうる。ロゼンジ形態は、フレーバー(通常、シュークロース及びアカシアもしくはトラガカント)中に活性成分を含有しうるし、並びに、芳香錠は、ゼラチンやグリセリン、又はシュークロースやアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含有しえ、エマルジョン、ゲルなどは、活性成分の他に、当業界公知のような賦形剤を含有しうる。
【0028】
非経口投与に適切な製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び、意図した受容者の血液と製剤を等張にする溶質を含有しうる、水性及び非水性の等張滅菌注射液、並びに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び保存剤を含有しうる、水性及び非水性の滅菌懸濁剤が挙げられる。製剤は、アンプルやバイアルなどの、単回投与又は多回投与の密封容器で存在でき、使用直前に注射用の滅菌液体賦形剤(例えば、水)の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存できる。即時注射液及び懸濁剤は、既に記載した種類の滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製できる。注射可能な製剤が好適である。
【0029】
本発明の医薬組成物を含むエアロゾル投与に適した製剤として、単独で、又は吸入により投与されるエアロゾル製剤に製造できる他の適切な成分と組み合せて、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び、溶質を含有しうる、水性及び非水性の等張滅菌溶剤、並びに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び保存剤を含有しうる、水性及び非水性の滅菌懸濁剤が挙げられる。これらのエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧可能な噴射剤中に入れることができる。それらはまた、ネブライザー又はアトマイザー中のような非加圧製剤のための医薬として製剤化できる。
【0030】
他の適切な製剤も可能である。例えば、座薬は、乳化基剤又は水溶性基剤などの種々の基剤の使用によって製造することができる。膣投与に適した製剤は、活性成分の他に、適切であると当業界で知られているような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡状物、又はスプレー製剤として存在できる。
【0031】
本発明の好適実施態様では、医薬組成物は、4.5〜9.0のpH範囲、より好ましくは5.0〜8.0のpHを有するように製剤化される。医薬組成物はまた、グリセロールなどの適切な張性改変剤の添加によって血液と等張にすることができる。更に、好ましくは、医薬として許容できる担体はまた、発熱物質非含有水、又はUSP注射用水を含む。好ましくは、本発明の医薬組成物は、滅菌水性製剤、ナノ粒子、水中油型エマルジョン、又は油中水型エマルジョンとして製造される。最も好ましくは、医薬組成物は水中油型エマルジョンである。
【0032】
本発明のプロポフォールを含む医薬組成物に関しては、水中油型エマルジョンは、水不混和性溶媒単独にプロポフォールを溶解し、アルブミン、デフェロキサミン、界面活性剤、及び他の水溶性成分を含む水相を製造し、油を水相と混合することによって製造される。粗エマルジョンは、10,000〜25,000psiの圧力で高圧ホモジナイズし、5〜20サイクル再循環させ、理想のエマルジョンを形成する。好適な圧力は、15,000〜20,000psi.、より好ましくは10,000psi.である。粗エマルジョンは、7〜15サイクル再循環されえ、好ましくは15サイクル再循環される。あるいは、ホモジナイザーを通した不連続な通過物が使用されうる。
【0033】
好ましくは、本発明の医薬組成物は、約200ナノメートル(nm)未満の粒子又は小滴サイズを有しうる。例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ラパマイシン、シクロスポリン、プロポフォール及びその他の場合に、これらの分散物の平均サイズは200nm未満である。
【0034】
本発明は更に、ヒトへの医薬組成物の投与と関連した1つ以上の副作用の減少方法を提供する。該方法は、医薬と医薬として許容できる担体とを含有する医薬組成物をヒトへ投与することを含み、該医薬として許容できる担体は、アルブミン及びデフェロキサミンを含む。本発明の医薬組成物と関連して上記した、医薬組成物、医薬、及び医薬として許容できる担体、並びにそれらの成分の説明はまた、本発明の方法のそれらの同じ局面に適用できる。
【0035】
本発明の文脈で、ヒトに投与される本発明の医薬組成物の投与量は、特定の医薬組成物、投与方法、治療する特定部位と共に変わろう。投与量は、所望の時間枠内で特定疾患に対し治療応答又は予防応答などの所望の応答を、又は、医薬がプロポフォールなどの麻酔剤のとき麻酔応答を、生じさせるのに十分であるべきである。
【0036】
ヒトへの医薬組成物の投与の任意の適切な手段が本発明の文脈内で使用できるが、好ましくは、本発明の医薬組成物は、静脈内投与、動脈内投与、肺内投与、経口投与、吸入、小嚢内(intravesicular)投与、筋肉内投与、気管内投与、皮下投与、眼内投与、くも膜下腔(intrathecal)投与、又は経皮投与により、ヒトに投与される。例えば、本発明の医薬組成物は、吸入により投与でき、気道の状態を治療できる。アルブミンは、気道の内面と分泌における天然の成分なので、本発明の医薬組成物の吸入と関連する最小の副作用が存在する。本発明の組成物を用いて、肺線維症、閉塞性細気管支炎(broncheolitis obliterans)、肺癌、細気管支肺胞上皮癌などの呼吸器状態を治療できる。
【0037】
本発明の方法により、ヒトへの医薬組成物の投与に関連した1つ以上の副作用が減少する。このような副作用として、例えば、骨髄抑制、神経毒性、過敏症、炎症、静脈刺激、静脈炎、疼痛、皮膚刺激、及びそれらの組み合わせが挙げられる。しかし、これらの副作用は単なる例示であり、種々の医薬と関連した他の副作用又は副作用の組み合わせは、本発明の新規な組成物及び方法の使用により減少又は避けられうる。
【0038】
本発明は更に、医薬組成物における微生物増殖の阻害方法を提供する。「微生物増殖の阻害」は、医薬組成物からの微生物の完全除去、又は医薬組成物における微生物増殖の量もしくは速度の減少を意味する。該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含む医薬組成物を製造することを含み、該医薬として許容できる担体は、医薬組成物における微生物増殖の阻害に有効な量で、デフェロキサミン、その塩、そのアナログ、及びそれらの組み合わせを含む。更に、本発明は、医薬組成物の酸化の阻害方法を提供する。この方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含む医薬組成物を製造することを含み、該医薬として許容できる担体は、医薬組成物の酸化の阻害に有効な量で、デフェロキサミン、その塩、そのアナログ、及びそれらの組み合わせを含む。本発明の医薬組成物と関連して上記した、医薬組成物、医薬、及び医薬として許容できる担体、並びにそれらの成分の説明はまた、本発明の方法のそれらの同じ局面に適用できる。
【0039】
組成物中に含まれるデフェロキサミン、又はその好適塩、デフェロキサミンのメシル酸塩の量は、活性医薬と他の賦形剤に依存しよう。望ましくは、組成物中のデフェロキサミン、その塩、そのアナログの量は、微生物増殖の阻害及び/又は酸化の阻害に有効な量である。上記のように、典型的には、医薬組成物は液体形態で製造され、次いで、デフェロキサミン、その(it)塩、そのアナログが溶液に加えられる。好ましくは、液体形態の医薬組成物は、デフェロキサミン、その塩、又はそのアナログを、約0.0001重量%〜約0.5重量%(例えば、約0.005重量%、約0.1重量%、又は約0.25重量%)含む。より好ましくは、液体形態の医薬組成物は、好適なデフェロキサミン塩、即ちメシル酸デフェロキサミンを同様の量含む。最も好ましくは、液体形態の医薬組成物は、メシル酸デフェロキサミンを約0.5重量%含む。湿式顆粒化、流動床乾燥、及び当業者公知の他の方法などにより、上記のように、組成物が固体形態で製造されるとき、好ましくは、メシル酸デフェロキサミンは、活性医薬及び他の賦形剤(存在すれば)に溶液として適用される。好ましくは、メシル酸デフェロキサミン溶液は、デフェロキサミンが約0.0001重量%〜約0.5重量%(例えば、約0.005重量%、約0.1重量%、又は約0.25重量%)である。
【0040】
本発明はまた、疾患部位への医薬の輸送の増大方法を提供し、該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物をヒトへ投与することを含み、該医薬として許容できる担体はアルブミンを含み、医薬組成物中のアルブミンと医薬との比は約18:1以下である。本発明は更に、インビトロ又はインビボの細胞への医薬の結合の増大方法でを提供し、該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物をインビトロ又はインビボの細胞へ投与することを含み、該医薬として許容できる担体はアルブミンを含み、医薬組成物中のアルブミンと医薬との比は約18:1以下である。本発明の医薬組成物及び本発明の方法と関連して上記した、医薬組成物、医薬、医薬として許容できる担体、投与経路並びにそれらの成分の説明はまた、輸送方法と結合方法のそれらの同じ局面に適用できる。
【0041】
疾患部位への医薬の輸送の増大方法又は細胞への医薬の結合の増大方法において、医薬として許容できる担体は、好ましくは、アルブミン、最も好ましくは、ヒト血清アルブミンを含む。いずれの1つの特定の理論に縛られないが、医薬組成物中の蛋白質(例えば、ヒト血清アルブミン)と医薬との比は、細胞に医薬を結合し輸送する医薬の能力に影響を与えると考えられる。この点に関し、医薬に対する蛋白質の高い比は一般的に、乏しい医薬の細胞結合と輸送に関連するが、これは可能性として、細胞表面のレセプターに関する競合の結果である。蛋白質(例えば、アルブミン)と活性医薬との比は、医薬の十分量が細胞に結合するか、又は細胞によって輸送されるようなものでなくてはならない。蛋白質−薬剤製剤の代表的範囲は、蛋白質と薬剤との比(w/w)が0.01:1〜約100:1である。より好ましくは、比は、0.02:1〜約40:1の範囲である。蛋白質と医薬との比は、異なる蛋白質と医薬の組み合わせに対し最適化されなければならないであろうが、一般的には、蛋白質(例えば、アルブミン)と医薬との比は約18:1以下(例えば、約15:1、約10:1、約5:1、又は約3:1)である。より好ましくは、比は、約0.2:1〜約12:1である。最も好ましくは、比は約1:1〜約9:1である。好ましくは、製剤は本質的に、クレモホール非含有であり、より好ましくはクレモホールEL(登録商標)(BASF)非含有である。クレモホールEL(登録商標)は、ヒマシ油とエチレンオキサイドのポリエーテルである非イオン性乳化剤である。上記のように、典型的には、クレモホールは、パクリタキセルの溶媒として使用され、重大でありうる副作用と関連する(例えば、Gelderblom et al., 上記参照)。
【0042】
医薬は、本明細書で記載した任意の適切な医薬でありうる(例えば、プロポフォール、パクリタキセル、又はドセタキセル)。更に、医薬は核酸配列、最も好ましくはDNA配列でありうる。この点に関し、本発明の医薬組成物は、レセプター媒介/小胞/小嚢輸送により遺伝子を細胞へ輸送するために使用できる。プラスミド又はc−DNAを含む(しかし、これらに限定されない)遺伝子や他の遺伝物質などのDNA配列を細胞(例えば、内皮細胞又は腫瘍細胞)に輸送するために、遺伝物質と組み合わせてアルブミンを含む医薬組成物が製造できる。腫瘍細胞や炎症部位の他の細胞は蛋白質の高い取り込みを有するので、遺伝物質は優先的に、これらの細胞型に取り込まれ、有用な治療効果のために、細胞の遺伝物質に組み込まれうる。ヒト血清アルブミンなどの蛋白質の使用は、ウイルス関連疾患又は副作用の危険性無く、遺伝物質の送達のための非ウイルスベクターとして役立つ。例えば、β−ガラクトシダーゼ又は緑色蛍光蛋白質(GFP)及びアルブミンをコードする核酸配列を含む医薬組成物を製造でき、ヒト臍静脈又はヒト肺微細血管由来の内皮細胞と接触させ、内皮細胞への核酸配列の組み込みを容易にできる。例えば、蛍光又は染色などの当業界公知の方法を用いて、核酸配列の組み込みが検出できる。
【0043】
疾患部位への医薬の輸送の増大の本発明の方法において、疾患は任意の適切な疾患又は状態でありうる。好ましくは、疾患は、癌、心臓血管疾患、又は関節炎である。
【0044】
インビトロ又はインビボの細胞への医薬の結合の増大の本発明の方法において、医薬組成物はインビトロ又はインビボの細胞に投与される。望ましくは、細胞は動物細胞である。より好ましくは、細胞は哺乳動物細胞であり、最も好ましくは細胞はヒト細胞である。好ましくは、医薬組成物はインビボの細胞に投与される。細胞は、医薬組成物の投与の望ましい標的である任意の適切な細胞でありうる。例えば、細胞は、例えば、食道、胃、小腸、結腸、直腸、肛門、肝臓、胆嚢、膵臓を含む消化器系の組織に位置しうるか、又はそれ由来でありうる。細胞はまた、例えば、喉頭、肺、気管支を含む呼吸器系の組織に位置しうるか、又はそれ由来でありうる。細胞は、例えば、子宮頚部、子宮体(uterine corpus)、卵巣 外陰部、膣、前立腺、精巣、ペニス(これらは男性及び女性生殖系を構成する)、並びに膀胱、腎臓、腎盂、尿管(これらは泌尿器系を含む)に位置しうるか、又はそれ由来でありうる。細胞は、例えば、内皮細胞や心筋細胞を含む心臓血管系の組織に位置しうるか、又はそれ由来でありうる。細胞はまた、リンパ系(例えば、リンパ球)、神経系(例えば、ニューロン又はグリア細胞)、及び内分泌系(例えば、甲状腺細胞)の組織に位置しうるか、又はそれ由来でありうる。好ましくは、細胞は、心臓血管系の組織に位置するか、又はそれ由来である。最も好ましくは、細胞は内皮細胞である。細胞への医薬の輸送増大と結合増大の本発明の方法の文脈で、望ましくは、医薬組成物は1つより多い細胞と接触する。
【0045】
本発明の別の局面で、細胞への医薬の輸送増大と結合増大の本発明の方法を用いて、腫瘍細胞を治療できる。腫瘍細胞は、正常細胞と比べて、例えば、アルブミンやトランスフェリンを含む蛋白質の取り込みの増大を示す。腫瘍細胞は、速い速度で分裂しているので、これらは、正常細胞と比べて、更なる栄養源を必要とする。パクリタキセルとヒト血清アルブミンを含む本発明医薬組成物の腫瘍研究は、腫瘍へのアルブミン−パクリタキセルの高い取り込みを示した。これは、アルブミンに特異的である糖蛋白質60(「gp60」)レセプターによるアルブミン−薬剤輸送の、以前には認識されていない現象によるものであることが見出された。
【0046】
従って、本発明の別の局面に基づき、腫瘍細胞上に存在するアルブミン特異的gp60レセプターと他の蛋白質輸送レセプターは、腫瘍増殖を阻害するための標的として使用できる。gp60レセプターに対する抗体を用いて、あるいは、腫瘍細胞又は腫瘍内皮細胞上のgp60及び他の蛋白質輸送レセプターを結合、ブロック、又は不活化する他の大きなもしくは小さな分子化合物を用いて、gp60レセプターをブロックすることによって、これらの細胞への蛋白質の輸送をブロックすることが可能であり、それによって、その増殖速度を減少させ、細胞死を引き起こすことが可能である。従って、この機構のブロックにより、癌又は他の疾患を有する被験体(例えば、ヒト)の治療をもたらす。特異的蛋白質レセプターのブロック/結合の同定は、単離gp60、又はgp16もしくはgp30などの他のレセプターに対する任意数の化合物のスクリーニングによって、又は全細胞調製物を使用することによって、なされる。更に、例えば、gp60又はカベオリン−1、又は輸送に特異的な他の蛋白質をコードする遺伝子の「ノックアウト」変異を含むマウスなどの、適切な動物モデルもこの目的のために使用できる。従って、gp60、gp16、gp30、又は他の蛋白質レセプターをブロック又は結合する化合物の同定方法は、本発明の範囲内である。
【0047】
更に、gp60レセプター又は他の蛋白質レセプターをブロック又は結合する化合物は、癌を含む幾つかの疾患の治療で使用できる。癌治療に関し、ブロック化合物又は結合化合物は、単一剤として、又は他の標準的化学療法(単数又は複数)と組み合わせて使用されうる。例えば、通常の化学療法又は本発明のアルブミン−薬剤医薬組成物(これは腫瘍で高い蓄積を示す)で、次いで、腫瘍細胞への蛋白質の輸送をブロックする化合物で癌を治療することは有用である。ブロック化合物は、他の化学療法剤又は抗癌剤の前に、又は共に投与できる。従って、gp60レセプター又は他の蛋白質レセプターをブロック又は結合できる任意の化合物は、本発明の範囲内である。
【0048】
例えば、アルブミン−パクリタキセル、アルブミン−ドセタキセル、アルブミン−エポチロン、アルブミン−カンプトテシン、又はアルブミン−ラパマイシン、及びその他などの本発明のアルブミン−薬剤組成物は、疾患の治療に有用である。このような薬剤組成物は、必要部位、例えば、腫瘍への蛋白質−薬剤組成物のレセプター媒介輸送を増大することにより有効である。いずれの特定の理論にも縛られることを望まないが、治療効果を生じる、レセプター媒介輸送による蛋白質−薬剤組成物の輸送は、例えば、アルブミン−パクリタキセル組成物の腫瘍への輸送、並びに肺を横断してのアルブミン−パクリタキセルとアルブミン−ラパマイシンの輸送の機構と考えられる。このような組織で、gp60、gp16、又はgp30の存在によって輸送が生じる。従って、疾患部位、例えば、炎症(例えば、関節炎)又は腫瘍へのそれらの輸送がgp60、gp16、又はgp30レセプターと関連し、治療効果を生じる薬剤及び蛋白質−薬剤組成物は、本発明の組成物と考えられる。
【0049】
本発明の別の局面に基づき、内皮細胞は、特異的機能を有する細胞と共培養できる。内皮細胞と、島細胞、肝細胞、神経内分泌細胞、及びその他などの他の細胞型とのインキュベーションは、これらの細胞に蛋白質や他の利点のある成分などの成分の必要な輸送を可能とする。内皮細胞は、インビボ条件(即ち、ここで、これらの細胞型は、通常、内皮細胞の近傍にあって、それらの適切な機能に必要な栄養素、増殖因子、ホルモンシグナルなどの輸送のために内皮細胞に依存するだろう)をシミュレートするために、培養細胞型へのこれらの成分の輸送を提供する。内皮細胞が存在しないとき、これらの異なる細胞型を十分に培養し、生理的成果を得ることは、以前は不可能であった。所望の細胞型を用いた培養での内皮細胞の存在は、インビトロ又はエキソビボの、膵島、肝細胞、又は神経内分泌組織の分化と適当な機能化を可能とする。従って、内皮細胞非存在下で培養したものと比べた場合、膵島との内皮細胞の共培養により、生理的性質(例えば、インスリン分泌能力)が改善した膵島が得られることがわかる。次いで、この組織をエキソビボで使用して、又はインビボで移植して、十分な細胞機能の欠如によって引き起こされる疾患(例えば、島細胞の場合の糖尿病、肝細胞の場合の肝機能不全、及び神経内分泌細胞の場合の神経内分泌障害又は鎮痛)を治療できる。他の組織や臓器(上記)起源の細胞も内皮細胞と共培養して、同じ利益を提供しうる。更に、共培養を用いて、標的細胞型に遺伝物質を組み込ませうる。これらの培養でのアルブミンの存在は、おおいに利点があることがわかる。
【0050】
以下の実施例で本発明を更に説明するが、勿論、その範囲を制限するものとは決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0051】
実施例1
本実施例は、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。パクリタキセル−アルブミン組成物の製造は、米国特許5,439,686及び5,916,596に記載されている(これらは、引用によりそれら全体が援用される)。詳細には、パクリタキセル30mgを塩化メチレン3.0mlに溶解した。溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(2% w/v)27.0mlに加えた。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー、モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をロータリーエバポレーターに移し、塩化メチレンを、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じたパクリタキセル粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成できた。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。
【0052】
本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。クレモホール製剤に溶解したパクリタキセルの毒性と比較したとき、アルブミン含有の本発明の医薬組成物はかなり低い毒性を示した。
【0053】
実施例2
本実施例は、アミオダロンとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。アミオダロン30mgを塩化メチレン3.0mlに溶解した。溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)27.0mlに加えた。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー、モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をロータリーエバポレーターに移し、塩化メチレンを、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じたアミオダロン粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。
【0054】
本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。ツウィーン製剤に溶解したアミオダロンの毒性と比較したとき、アルブミン含有の本発明の医薬組成物はかなり低い毒性を示した。
【0055】
実施例3
本実施例は、リオチロニンとアルブミン組成物を含む医薬組成物の製造を示す。リオチロニン(又は適切な塩)を、濃度0.5〜50mg/mlで水性アルコール性溶液又はアルカリ溶液に溶解した。アルコール性(又はアルカリ)溶液を、アルブミン溶液(0.1〜25% w/v)に加え、撹拌した。撹拌は、スターラーでの低い剪断、又は超音波処理器もしくはホモジナイザーでの高い剪断であった。リオチロニンの低濃度(5〜1000μg/ml)で清澄溶液が得られた。濃度が増加するにつれ、ミルク状安定懸濁液が得られた。これらの溶液又は懸濁液を、滅菌フィルターを通し濾過した。有機溶媒を蒸発又は他の適切な方法で除去した。
【0056】
実施例4
本実施例は、ラパマイシンとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。ラパマイシン30mgをクロロホルム/エタノール2mlに溶解した。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(3% w/v)27.0mlに加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をRotavapに移し、溶媒を、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じた粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。
【0057】
実施例5
本実施例は、エポチロンBとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。エポチロンB30mgをクロロホルム/エタノール2mlに溶解した。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(3% w/v)27.0mlに加えた。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をRotavapに移し、溶媒を、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じた粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。クレモホール製剤に溶解したエポチロンBの毒性と比較したとき、アルブミン含有の医薬組成物はかなり低い毒性を示した。
【0058】
実施例6
本実施例は、コルヒチンダイマーとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。コルヒチン−ダイマー30mgをクロロホルム/エタノール2mlに溶解した。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(3% w/v)27.0mlに加えた。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をRotavapに移し、溶媒を、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じた粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、限定的ではないことを認識すべきである。ツウィーンに溶解したコルヒチンダイマーの毒性と比較したとき、アルブミン含有の医薬組成物はかなり低い毒性を示した。
【0059】
実施例7
本実施例は、ドセタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。ドセタキセル30mgをクロロホルム/エタノール2mlに溶解した。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(3% w/v)27.0mlに加えた。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をRotavapに移し、溶媒を、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じた粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本実施例で使用した薬剤、溶媒、及び蛋白質の量、型及び割合は、限定的ではないことを認識すべきである。ツウィーン/エタノール(これはこの薬剤用の標準的溶媒である)に溶解したドセタキセルの毒性と比較したとき、アルブミン含有の医薬組成物はかなり低い毒性を示した。
【0060】
実施例8
本実施例は、ドセタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。ドセタキセル150mgを酢酸エチル/酢酸ブチル1ml及び油(例えば、ダイズ油又はビタミンE油)0.5mlに溶解した。溶媒と油の他の比を使用し、これらの組成物も本発明の一部と考えられる。少量の陰性荷電成分(例えば、安息香酸(0.001%〜0.5%))も場合によっては加えられた。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(5% w/v)27.0mlに加えた。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をRotavapに移し、溶媒を、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じた粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、限定的ではないことを認識すべきである。ツウィーン/エタノール(これはこの薬剤用の標準的溶媒である)に溶解したドセタキセルの毒性と比較したとき、アルブミン含有の医薬組成物はかなり低い毒性を示した。
【0061】
実施例9
本実施例は、タキサンIDN5390とアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。IDN5390 150mgを酢酸エチル/酢酸ブチル1ml及び油(例えば、ダイズ油又はビタミンE油)0.5mlに溶解した。溶媒と油の他の比を使用し、これらの組成物も本発明の一部と考えられる。少量の陰性荷電成分(例えば、安息香酸(0.001%〜0.5%))も場合によっては加えられた。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(5% w/v)27.0mlに加えた。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をRotavapに移し、溶媒を、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じた粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、限定的ではないことを認識すべきである。ツウィーンに溶解したIDN5390の毒性と比較したとき、アルブミン含有の医薬組成物はかなり低い毒性を示した。
【0062】
実施例10
本実施例は、タキサンIDN5109とアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。IDN5109 150mgをクロロホルム/エタノール2mlに溶解した。溶媒と油の他の比を使用し、これらの組成物も本発明の一部と考えられる。少量の陰性荷電成分(例えば、安息香酸(0.001%〜0.5%))も場合によっては加えられた。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(5% w/v)27.0mlに加えた。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をRotavapに移し、溶媒を、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じた粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本実施例で使用した薬剤、溶媒、及び蛋白質の量、型及び割合は、限定的ではないことを認識すべきである。ツウィーンに溶解したIDN5109の毒性と比較したとき、アルブミン含有の医薬組成物はかなり低い毒性を示した。
【0063】
実施例11
本実施例は、10−ヒドロキシカンプトテシン(10HC)とアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。10−HC 30mgをDMF/塩化メチレン/ダイズ油2.0mlに溶解した。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(3% w/v)27.0mlに加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をRotavapに移し、溶媒を、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じた粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。
【0064】
実施例12
本実施例は、シクロスポリンとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。シクロスポリン30mgを塩化メチレン3.0mlに溶解した。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)27.0mlに加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をRotavapに移し、塩化メチレンを、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じた粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。
【0065】
実施例13
本実施例は、油を含みかつシクロスポリンとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。シクロスポリン30mgを適切な油(10%オレンジ油を含むゴマ油)3.0mlに溶解した。次いで、溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(1% v/w)27.0mlに加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー、モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた分散液は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)の典型的平均直径を有した。分散液は直接使用するか、又は適切な凍結保護剤を場合によっては添加することによって48時間凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成された。本実施例で使用した薬剤、溶媒、及び蛋白質の量、型及び割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。
【0066】
実施例14
本実施例は、アムホテリシンとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。アムホテリシン30mgをメチルピロリジノン/塩化メチレン3.0mlに溶解した。溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)27.0mlに加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー、モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をロータリーエバポレーターに移し、溶媒を、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じたアムホテリシン粒子の典型的平均直径は、50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元の分散物に容易に再構成することができた。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本実施例で使用した薬剤、溶媒、及び蛋白質の量、型及び割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。脂質、胆汁塩などの他の成分の添加によっても、適切な製剤が得られた。
【0067】
実施例15
本実施例は、アルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物の前臨床の薬物動態学と薬力学を示す。
【0068】
マウスとラットでの幾つかの前臨床の薬物動態学的研究を行い、クレモホール−パクリタキセル(タキソール)医薬組成物に対するアルブミン−パクリタキセル医薬組成物の利点の可能性を評価した。これらの研究は以下を示した:(1)ラットでのアルブミン−パクリタキセルの薬物動態学は投与量に対し線形であるが、タキソール薬物動態学は、非線形であった、(2)アルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物は、低血漿AUCとCmaxを示し、タキソールと比べて、組織へのアルブミン−パクリタキセル組成物のより速い分布が示唆された(排泄も同様)、(3)アルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物は、低Cmaxを示し、これは、タキソールに対してのピーク血液レベルと関連する毒性の減少の恐らく説明となる、(4)示したアルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物の半減期は、タキソールに対し、ラットで約2倍大きく、腫瘍保持マウスで約4倍大きかった、及び、(5)アルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物中でのパクリタキセルの代謝は、タキソール医薬組成物におけるよりも遅かった。ラットで注射24時間後、タキソールでのほんの22%と比べて、アルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物での全放射活性の44%がまだパクリタキセルと関連していた。上記薬力学の最終的な効果、即ち、示されたアルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物の、細胞内取り込みの増加、半減期の増加、遅い代謝により、腫瘍保持マウスでタキソールよりも、腫瘍AUCが1.7倍高く、腫瘍Cmaxが1.2倍高く、腫瘍半減期が1.7倍長くなった。
【0069】
実施例16
本実施例は、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物に関連する副作用の減少及び毒性の減少を示す。
【0070】
クレモホールの非存在下、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の独特の性質のために、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の毒性はタキソールよりもかなり低い。マウスとラットでの前臨床研究で、マウスでの単回投与の急性毒性研究は、タキソールよりも、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物で約59倍大きいLD50投与量を示した。マウスでの多回投与の毒性研究で、LD50投与量は、タキソールよりも、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物で約10倍大きかった。更なる研究は、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物とタキソールで処置したラットでの骨髄抑制の程度を評価した。等投与量で、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物は、タキソールよりもラットでの骨髄抑制がかなり小さいことを結果は示した。ラットでの急性毒性研究で、9mg/kgのタキソールを受けた動物で大脳皮質壊死又は重度の神経毒性が観察されたが、120mg/kgまでの投与量でパクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物を受けた動物ではなかった。従って、パクリタキセルを含む医薬組成物でのアルブミンの存在により、パクリタキセルを含む通常の医薬組成物と比べて、副作用と毒性のかなりの減少が生じる。
【0071】
実施例17
本実施例は、ヒトでのパクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の臨床効果を示す。
【0072】
現在まで500人超のヒト患者での臨床研究により、クレモホール−パクリタキセル組成物(タキソール)と比較して、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物(「アルブミン−パクリタキセル」)の毒性と副作用の減少を支持する証拠が提供される。19人の患者のフェーズI研究で、3週毎に与えられるアルブミン−パクリタキセルの最大耐量は300mg/mであった。3週毎に1回投与される175mg/mであるクレモホール−パクリタキセルの一般的投与量よりも、これはかなり高い。これらの患者での血液毒性は穏和で、過敏症はなく、神経障害は穏和で、静脈刺激などの投与関連副作用は無かった。
【0073】
27人の患者の別のフェーズI研究で、1週スケジュールで与えられるアルブミン−パクリタキセルの最大耐量は125〜150mg/mであった。1週スケジュールで投与されるとき80mg/mであるクレモホール−パクリタキセルの一般的投与量よりも、これはかなり高い。これらの患者での血液毒性は穏和で、過敏症はなく、神経障害は穏和で、静脈刺激などの投与関連副作用は無かった。
【0074】
43人と63人の患者で3週毎にそれぞれ175又は300mg/mで与えられるアルブミン−パクリタキセルの2つのフェーズII研究で、血液毒性は小さく、患者のほんの7%と24%において、それぞれ175mg/m及び300mg/mでANC<500/mmであった。175mg/m及び300mg/mでそれぞれ、患者の0%及び14%で重篤な神経障害が起こった。重篤な過敏症の発生は無く、静脈刺激、注射時疼痛などの投与関連副作用の発生も無かった。これらの副作用は、タキソールでの経験よりもかなり小さかった。
【0075】
タキソール(これはクレモホール−パクリタキセルを含む)に対しアルブミン−パクリタキセル組成物ABI−007を比較するフェーズIIIトライアルで、ABI−007の投与量はかなり高く(260mg/m対175mg/m(タキソール))、それは良く許容されることが示された。アルブミン−パクリタキセル組成物はまた、クレモホール−パクリタキセルと比較するとき、かなりの好中球減少症の減少を示した。
【0076】
実施例18
本実施例は、アルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物を用いる前臨床効能の増大を示す。
【0077】
子宮扁平上皮癌腫A431に対するアルブミン−パクリタキセル及びタキソールの効果を比較するインビトロ細胞毒性研究によって、アルブミン−パクリタキセルに関し細胞毒性活性で約4倍の増加が示され、アルブミン−パクリタキセルとタキソールのIC50は、それぞれ0.0038及び0.012μg/mlであった。
【0078】
胸腺欠損マウスでの5つの異なるヒト異種移植腫瘍モデルで(MX−1乳房、NCI−H522肺、SK−OV−3卵巣、PC−3前立腺、HT−29結腸)、ABI−007のMTD又は等毒性投与量は、タキソールよりも1.5〜3.4倍大きく、肺腫瘍(p=0.15)を除いて全ての腫瘍で(p<0.05)、腫瘍増殖遅延での統計的に有意な改善が起こった。
【0079】
MX 1乳房モデルで、タキソールの等投与量で処置した群で20〜40%の生存であったのに対し、アルブミン−パクリタキセル処置動物の100%が103日生存した。
【0080】
実施例19
本実施例は、動脈内投与したアルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物を用いる臨床効能の増大を示す。
【0081】
本明細書に記載したように、アルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物の動脈内投与のフェーズI/II研究で、頭頚部癌(N=31)と肛門管癌(N=12)の故に患者が登録された。投与量は、経皮的超選択的動脈内注入3〜4週毎、30分にわたって投与される120〜300mg/mから段階的に増加した。頭頚部癌患者は応答率76%(N=29)を示し、一方、肛門管癌患者は応答率64%(N=11)を示した。
【0082】
実施例20
本実施例は、3%油を含みかつプロポフォールとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。
【0083】
プロポフォール1%(重量)を含む水中油型エマルジョンを以下のように製造した。注射用水にグリセロール(2.25重量%)とヒト血清アルブミン(0.5重量%)を加えることによって水相を製造し、溶解するまで、撹拌した。水相をフィルター(0.2umフィルター)を通過させた。約50℃〜60℃で、ダイズ油(3重量%)中に卵レシチン(0.4重量%)とプロポフォール(1重量%)を溶解することによって油相を製造し、溶解するまで、撹拌した。油相を水相に加え、10,000RPMで5分間ホモジナイズした。粗エマルジョンを20,000psiで高圧ホモジナイズし、5℃で15サイクル再循環させた。あるいは、ホモジナイザーを通過した不連続な通過物を用いた。最終エマルジョンを濾過し(0.2μmフィルター)、窒素下保存した。生じた医薬組成物は、以下の一般的範囲の成分(重量%)を含んでいた:プロポフォール0.5〜5%;ヒト血清アルブミン0.5〜3%;ダイズ油0.5〜3.0%;卵レシチン0.12〜1.2%;グリセロール2.25%;注射用水100まで適量;pH5〜8。適切なキレーター、例えばデフェロキサミン(0.001〜0.1%)も場合によっては加えた。
【0084】
実施例21
本実施例は、5%油を含みかつプロポフォールとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。
【0085】
プロポフォール1%(重量)を含む水中油型エマルジョンを以下のように製造した。注射用水にグリセロール(2.25重量%)とヒト血清アルブミン(0.5重量%)を加えることによって水相を製造し、溶解するまで、撹拌した。水相をフィルター(0.2umフィルター)を通過させた。約50℃〜60℃で、ダイズ油(5重量%)中に卵レシチン(0.8重量%)とプロポフォール(1重量%)を溶解することによって製造した油相、溶解するまで、撹拌した。油相を水相に加え、10,000RPMで5分間ホモジナイズした。粗エマルジョンを20,000psiで高圧ホモジナイズし、5℃で15サイクル再循環させた。あるいは、ホモジナイザーを通過した不連続な通過物を用いた。最終エマルジョンを濾過し(0.2μmフィルター)、窒素下保存した。生じた医薬組成物は、以下の一般的範囲の成分(重量%)を含んでいた:プロポフォール0.5〜5%;ヒト血清アルブミン0.5〜3%;ダイズ油0.5〜10.0%;卵レシチン0.12〜1.2%;グリセロール2.25%;注射用水100まで適量;pH5〜8。適切なキレーター、例えばデフェロキサミン(0.001〜0.1%)も場合によっては加えた。
【0086】
実施例22
本実施例は、油非含有の、プロポフォールとアルブミンを含む医薬組成物の製造を示す。
【0087】
実施例18に記載したのと同様の手順を用いて、アルブミンとツウィーン80を含むプロポフォール組成物を製造した。注射用水にグリセロール(2.25重量%)、ヒト血清アルブミン(0.5重量%)、ツウィーン80(1.5重量%)及びメシル酸デフェロキサミン(0.1重量%)を加えることによって水相を製造し、溶解するまで、撹拌した。水相をフィルター(0.2μmフィルター)を通過させた。プロポフォール(1重量%)を水相に加え、10,000RPMで5分間ホモジナイズした。粗エマルジョンを20,000psiで高圧ホモジナイズし、5℃で15サイクル再循環させた。あるいは、ホモジナイザーを通過した不連続な通過物を用いた。最終エマルジョンを濾過し(0.2umフィルター)、窒素下保存した。生じた医薬組成物は、以下の一般的範囲の成分を含んでいた(重量%):プロポフォール0.5〜5;ヒト血清アルブミン0.5〜3%;ツウィーン80 0.1〜1.5%;メシル酸デフェロキサミン0.0001〜0.1%;グリセロール2.25%;注射用水100まで適量;pH5〜8。
【0088】
実施例23
本実施例は、油非含有の、プロポフォール、アルブミン、及びビタミンE−TPGSを含む医薬組成物の製造を示す。
【0089】
実施例19に記載したのと同様の手順を用いて、アルブミンとビタミンE−TPGSを含むプロポフォール組成物を製造した。注射用水にグリセロール(2.25重量%)、ヒト血清アルブミン(0.5重量%)、ビタミンE−TPGS(1重量%)、メシル酸デフェロキサミン(0.1重量%)を加えることによって水相を製造し、溶解するまで、撹拌した。水相をフィルター(0.2umフィルター)を通過させた。プロポフォール(1重量%)を水相に加え、10,000RPMで5分間ホモジナイズした。粗エマルジョンを20,000psiで高圧ホモジナイズし、5℃で15サイクル再循環させた。あるいは、ホモジナイザーを通過した不連続な通過物を用いた。最終エマルジョンを濾過し(0.2μmフィルター)、窒素下保存した。生じた医薬組成物は、以下の一般的範囲の成分を含んでいた(重量%):プロポフォール0.5〜5;ヒト血清アルブミン0.5〜3%;ビタミンE−TPGS 0.5〜4.0%;場合によってはメシル酸デフェロキサミン0.0001〜0.1%;グリセロール2.25%;注射用水100まで適量;pH5〜8。
【0090】
実施例24
本実施例は、プロポフォール、アルブミン、ビタミンE−TPGS、及び1%油を含む医薬組成物の製造を示す。
【0091】
プロポフォール1%(重量)を含むエマルジョンを以下の方法によって製造した。注射用水にグリセロール(2.25重量%)とヒト血清アルブミン(0.5重量%)を加えることによって水相を製造し、溶解するまで、撹拌した。水相をフィルター(0.2μmフィルター)を通過させた。界面活性剤(例えば、ビタミンE−TPGS(0.5%))を水相に加えた。油相はプロポフォール(1重量%)と1%ダイズ油からなっていた。油相を水相に加え、10,000RPMで5分間ホモジナイズした。粗エマルジョンを20,000psiで高圧ホモジナイズし、5℃で15サイクルまで再循環させた。あるいは、ホモジナイザーを通過した不連続な通過物を用いた。最終エマルジョンを濾過し(0.2μmフィルター)、窒素下保存した。
【0092】
生じた医薬組成物は、以下の一般的範囲の成分を含んでいた(重量%):プロポフォール0.5〜5%;ヒト血清アルブミン0.01〜3%;ビタミンE−TPGS 0.1〜2%;ダイズ油又は他の油(0.1%〜5%);グリセロール2.25%;注射用水100まで適量;pH5〜8。デフェロキサミンを場合によっては加えた(0.001重量%〜0.1重量%)。
【0093】
実施例25
本実施例は、プロポフォール、アルブミン、ビタミンE−TPGS、1%油、及び陰性荷電成分を含む医薬組成物の製造を示す。
【0094】
プロポフォール1%(重量)を含むエマルジョンを以下の方法によって製造した。注射用水にグリセロール(2.25重量%)とヒト血清アルブミン(0.5重量%)を加えることによって水相を製造し、溶解するまで、撹拌した。水相をフィルター(0.2μmフィルター)を通過させた。界面活性剤(例えば、ビタミンE−TPGS(0.5%))を水相に加えた。油相はプロポフォール(1重量%)と1%ダイズ油からなっていた。少量の陰性荷電成分(0.001%〜1%)(例えば、リン脂質又は胆汁塩)を加えた。油相を水相に加え、10,000RPMで5分間ホモジナイズした。粗エマルジョンを20,000psiで高圧ホモジナイズし、5℃で15サイクルまで再循環させた。あるいは、ホモジナイザーを通過した不連続な通過物を用いた。最終エマルジョンを濾過し(0.2μmフィルター)、窒素下保存した。
【0095】
生じた医薬組成物は、以下の一般的範囲の成分を含んでいた(重量%):プロポフォール0.5〜5%;ヒト血清アルブミン0.01〜3%;ビタミンE−TPGS 0.1〜2%;ダイズ油又は他の油(0.1%〜5%);グリセロール2.25%;注射用水100まで適量;pH5〜8。デフェロキサミンを場合によっては加えた(0.001重量%〜0.1重量%)。
【0096】
実施例26
本実施例は、プロポフォール、アルブミン、ビタミンE−TPGS、1%油、及び陰性荷電成分(デオキシコール酸ナトリウム)を含む医薬組成物の製造を示す。
【0097】
プロポフォール1%(重量)を含むエマルジョンを以下の方法によって製造した。注射用水にグリセロール(2.25重量%)とヒト血清アルブミン(0.5重量%)を加えることによって水相を製造し、溶解するまで、撹拌した。水相をフィルター(0.2μmフィルター)を通過させた。界面活性剤(例えば、ビタミンE−TPGS(0.5%))を水相に加えた。油相はプロポフォール(1重量%)と1%ダイズ油からなっていた。少量の陰性荷電成分(0.001%〜1%)(例えば、デオキシコール酸ナトリウム)を加えた。油相を水相に加え、10,000RPMで5分間ホモジナイズした。粗エマルジョンを20,000psiで高圧ホモジナイズし、5℃で15サイクルまで再循環させた。あるいは、ホモジナイザーを通過した不連続な通過物を用いた。最終エマルジョンを濾過し(0.2μmフィルター)、窒素下保存した。
【0098】
生じた医薬組成物は、以下の一般的範囲の成分を含んでいた(重量%):プロポフォール0.5〜5%;ヒト血清アルブミン0.01〜3%;ビタミンE−TPGS 0.1〜2%;ダイズ油又は他の油(0.1%〜5%);グリセロール2.25%;注射用水100まで適量;pH5〜8。デフェロキサミンを場合によっては加えた(0.001重量%〜0.1重量%)を加えた。
【0099】
実施例27
本実施例は、プロポフォール、アルブミン、ビタミンE−TPGS、1%油、及び陰性荷電成分(リン脂質、胆汁酸塩、ポリアミノ酸等)を含む医薬組成物の製造を示す。
【0100】
プロポフォール1%(重量)を含むエマルジョンを以下のように製造した。注射用水にグリセロール(2.25重量%)とヒト血清アルブミン(0.5重量%)を加えることによって水相を製造し、溶解するまで、撹拌した。水相をフィルター(0.2μmフィルター)を通過させた。界面活性剤(例えば、ビタミンE−TPGS(0.5%))を水相に加えた。油相はプロポフォール(1重量%)と1%ダイズ油からなっていた。少量の陰性荷電成分(0.001%〜1%)(例えば、ホスファチジルコリン)を加えた。油相を水相に加え、10,000RPMで5分間ホモジナイズした。粗エマルジョンを20,000psiで高圧ホモジナイズし、5℃で15サイクルまで再循環させた。あるいは、ホモジナイザーを通過した不連続な通過物を用いた。最終エマルジョンを濾過し(0.2μmフィルター)、窒素下保存した。
【0101】
生じた医薬組成物は、以下の一般的範囲の成分を含んでいた(重量%):プロポフォール0.5〜5%;ヒト血清アルブミン0.01〜3%;ビタミンE−TPGS 0.1〜2%;ダイズ油又は他の油(0.1%〜5%);グリセロール2.25%;注射用水100まで適量;pH5〜8。デフェロキサミンを場合によっては加えた(0.001重量%〜0.1重量%)を加えた。
【0102】
実施例28
本実施例は、アルブミンへのプロポフォールの結合を示す。
【0103】
アルブミンへのプロポフォールの結合は以下のように測定した。プロポフォールの溶解度は水中とアルブミンを含む溶液中で試験した。プロポフォール250μLを、水又はアルブミン溶液10mLに加え、2時間、シンチレーションバイアル中で撹拌した。次いで、溶液を、15mLポリエチレン遠心分離管に移し、約16時間40℃に保った。水とアルブミン溶液のサンプルを、プロポフォールについてアッセイした。水へのプロポフォールの溶解度は0.12mg/mlであると測定された。アルブミン溶液へのプロポフォールの溶解度は、アルブミンの濃度に依存し、アルブミンの濃度が2%(20mg/ml)のとき、0.44mg/mlまで増加した。溶液を、30kD MWCOフィルターで限外濾過し、濾液をプロポフォールについてアッセイした。プロポフォール/水溶液では、プロポフォール61%を濾液に回収することができたが、プロポフォール/アルブミン溶液では、ほんの14%が濾液に回収され、プロポフォールのアルブミンとのかなりの結合が示された。これらの結果に基づき、プロポフォールを含む医薬組成物へのアルブミンの添加により、プロポフォールのアルブミン結合に由来する遊離プロポフォール量の減少が起こる。
【0104】
実施例29
本実施例は、濾過/膜接触による医薬組成物中での遊離プロポフォールの減少を示す。
【0105】
実施例28で記載した実験で観察されたように、プロポフォールを含む医薬組成物の濾過又は限外濾過により、遊離プロポフォール量の減少が起こる。ディプリバン、及びアルブミンを含む本発明に基づき製造された医薬組成物(それらの各々は1%プロポフォール(10mg/ml)を含んでいた)を、30kD膜を用いて限外濾過した。遊離プロポフォール量を、HPLCを用いて濾液で測定した。ディプリバンに関し、濾液中の遊離プロポフォールの濃度は約17μg/mであり、本発明の医薬組成物に関し、濾液中の遊離プロポフォールの濃度は約7μg/mlであった。結果は、プロポフォールとアルブミンを含む医薬組成物に関し、ファクターが2より大きい、遊離プロポフォールの有効な減少に相当する。
【0106】
実施例30
本実施例は、ヒトへのプロポフォールとアルブミンを含む医薬組成物の投与を示す。
【0107】
プロポフォールとアルブミンを含む医薬組成物の有害皮膚知覚と、市販のプロポフォール製剤であるディプリバンのそれを比較するために、無作為化、二重盲検の臨床試験を行った。試験は、優良臨床規範を遵守して行い、インフォームドコンセントを被験体からとった。どちらの性の成人ヒト被験体も、手の背面の傷の無い、見かけ上正常の皮膚を有するならば、参加に適格であった。
冷蔵庫に元々は保存してあった製剤を室温にし、次いで、製剤10μLを、同時に被験体の両手の背面にゆっくりと配置した。製剤に関する彼らの手の全体反応及び感触を記録した。本研究の結果を表1に記載する。
【0108】
【表1】

【0109】
実施例31
本実施例は、プロポフォールを含む医薬組成物中の抗酸化剤としてのデフェロキサミンの使用を示す。
【0110】
プロポフォールの酸化を防止する上でのメシル酸デフェロキサミンの効果を試験するために、プロポフォールとメシル酸デフェロキサミンを含みかつツウィーン又はTPGSを含む医薬組成物を、4°、25°、又は40℃で保存した。プロポフォールの濃度を、経時、これらの製剤について測定し、デフェロキサミンの抗酸化剤活性を測定した。データは、時間ゼロに対する%力価として表2及び3に下記する。
【0111】
【表2】

【0112】
【表3】

【0113】
これらの条件下では、デフェロキサミンは、プロポフォール酸化のレベルの減少に有効であった。効果は、より高温でより顕著であった。4℃では有意な酸化は発生しなかった。本研究は、不活性又はテフロンコートのストッパーを用いて行った。
【0114】
実施例32
本実施例は、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物(ABI−007)の肺内送達を示す。
【0115】
本研究の目的は、Sprague Dawleyラットへの気管内注入後、血液中で[H]ABI−007の時間経過を測定し、組織を選択することであった。
【0116】
動物に投与する気管内投与製剤の標的容量は、kg体重当たり投与容量1.5mLに基づき計算した。投与装置は、1−mL気密ルアーロックシリンジに装着したPenn−Century微量噴霧器(モデル 1A−1B; Penn−Century, Inc., フィラデルフィア, PA; DeLong Distributors, ロングブランチ, NJから購入)からなっていた。投与製剤の適切な容量が投与装置中に引かれ、充填された装置の重量を量り、重量を記録した。カテーテルを、麻酔した動物の気管に配置し、投与装置の微量噴霧器部分をカテーテルを通して気管に配置し、投与量を投与した。投与量投与後、空の投与装置の重量を再計量し、投与された投与量を、投与前後の投与装置の重量の差として計算した。全ての動物の平均投与量は、体重kg当たりパクリタキセル4.7738±0.0060(CV 1.5059)mgであった。
【0117】
血液サンプル約250μLを、以下の所定の投与後時点でJVCラットの留置頚部カニューレから集めた:1、5、10、15、30、及び45分(分)、ならびに1、4、8、及び24時間(時間)。24時間血液サンプル、ならびに10分、45分、及び2時間で供死した動物から集めた血液サンプルを、供死した麻酔したラットから心臓穿刺で集めた。全放射活性につき分析した全ての血液サンプルを、予め秤量したサンプル管に分注し、サンプル管を再秤量し、各サンプルの重量を引き算によって計算した。頚部静脈から集めた血液サンプル及び供死した各動物から集めた血液の250−μLアリコートを、全トリチウム含量に関しアッセイした。
【0118】
全てのラットに関し、血液中のトリチウムの最大濃度は、投与後5分(0.0833時間)に観察された。4時間〜24時間の時間間隔にわたって測定したトリチウムの除去半減期は、19.73時間〜43.02時間の範囲であった。この間隔は、ほんの3つのデータ点のみを含み、それは、このパラメーターの変動性を説明しうることに注意すべきである。血液からのトリチウムの見かけのクリアランスは、0.04L/時間のオーダーであった。これらの実験の結果を表4に下記する。
【0119】
【表4】

【0120】
ラットへの静脈内投与後の[H]ABI−007由来の放射活性の平均血液濃度を、時間の関数として解析し、[H]ABI−007の気管内投与由来のトリチウムのバイオアベイラビリティーを評価した。この解析により、24時間AUC(AUClast)6.1354mg−eq□hr/Lが得られた。これらのデータに基づき、[H]ABI−007の気管内投与由来の放射活性は、高度に生物的に利用可能である。これらの解析は、全放射活性に基づいている。
【0121】
H]ABI−007由来のトリチウムは、気管内注入後、急速に吸収される。[H]ABI−007の気管内投与後の血液中のトリチウムの平均吸収及び除去半減期(それぞれ、k01半減期及びk10半減期)(平均+/−SD)は、それぞれ0.0155+/−0.0058時間及び4.738+/−0.366時間であった。血液からのトリチウムの平均の見かけのクリアランスは0.1235+/−0.0180L/時間であった(上記表4参照)。
【0122】
H]ABI−007由来のトリチウムは、気管内投与後、吸収され、分配された。血液中のトリチウムの時間経過は、2コンパートメントモデルによって良く記載され、平均吸収及び除去半減期は、それぞれ0.0155及び4.738時間であった。投与した投与量の約28%が、気管内投与後10分に肺で回収された。試験した全ての時点で、消化管を除き、他の組織で最大で投与量の1%未満が回収された。
【0123】
H]Capxol(登録商標)を用いて以前に行われた静脈内投与研究からの結果に基づき、気管内投与由来のトリチウムのバイオアベイラビリティーは、この投与量群での3匹の動物で1.229±0.268(平均±SD)であった。しかし、バイオアベイラビリティーのこの推定値は、全放射活性に基づくことに注意すべきである。驚くべきことに、アルブミンを含む本発明の組成物を用いる肺経路によって送達されたパクリタキセルは急速に生物的に利用可能であり、肺内皮を通っての優秀な移行が示された。動物で毒性は記録されず、細胞毒性物質の肺送達は、肺毒性を引き起こすことが知られているので、それは驚くべきことであった。
【0124】
放射活性のかなりの量が、投与後24時間で消化管(内容物を含む)に存在した(気管内投与量の27%)。消化管でのトリチウムの存在は、胆汁排出によるものかもしれないし、次なる嚥下を伴う粘膜毛様体クリアランスによる気道からのトリチウムのクリアランスによるものかもしれない。
【0125】
実施例33
本実施例は、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の肺送達でのAerotech II及びPariネブライザーの研究を示す。
【0126】
研究は、以下の条件下、パクリタキセル−アルブミン医薬組成物ABI−007を用いて行われた:室温(20〜23℃)、相対湿度(48〜54%)、周囲圧(629mmHg)、ネブライザー流速(Aerotech IIで10L/分、Pariで7L/分)、全流速(28.3L/分)、ネブライザー圧力低下(Aerotech IIで23 lb/in、Pariで32 lb/in)、実行時間(15〜60秒)、サンプル容量(1.5mL)、ABI−007パクリタキセル濃度(5、10、15及び20mg/mL)。
【0127】
ABI−007が濃度範囲5〜15mg/mLで再構成されたとき、Aerotech II及びPariネブライザーの両方は、許容できる全体の効率(30%〜60%)を提供した。Pariネブライザー効率は、Aerotech IIネブライザーよりも高いネブライザー効率を有した。Pariネブライザー効率は、ABI−007濃度が増加するにつれ、いくらか減少した。良好な微細粒子分画が観察された(74%〜96%)。Aerotech IIネブライザーは、Pariネブライザーよりも高い微細粒子分画を有した。微細粒子分画は、濃度とは無関係であった。
【0128】
Pariネブライザーは、ABI−007の15mg/mL溶液を用いて30分未満でパクリタキセル100mgを送達した。Aerotech IIネブライザーは、ABI−007の10mg/mL又は15mg/mL溶液を用いて約65分でパクリタキセル100mgを送達した。性能安定性を、Aerotech II及びPariネブライザーの両方について試験した。薬剤が尽きるまで、両方のネブライザーのエアロゾル濃度と効率は安定であった。15mg/mLで、Pariネブライザーは、Aerotech IIネブライザーの2倍の速度で薬剤を消費し、Aerotech IIネブライザーよりも高いエアロゾル濃度を産生した。
【0129】
結論として、パクリタキセル(ABI−007)のナノ粒子/アルブミン製剤は、肺経路で投与したとき、ラットで良好なバイオアベイラビリティーを示す。投与した投与量で初期毒性の明白な徴候は無かった。ナノ粒子パクリタキセル(ABI−007)の肺送達は、通常のネブライザーを用いて達成されうる。
【0130】
実施例34
本実施例は、アルブミンとラパマイシンを含む医薬組成物の肺内送達を示す。本研究の目的は、静脈内導入と比較した、Sprague Dawleyラットへの気管内注入後の血中ラパマイシンの肺吸収を測定することであった。
【0131】
動物に投与した気管内投与製剤の標的容量は、kg体重当たり1mLの投与容量に基づき計算した。気管内投与装置は、1mL気密ルアーロックシリンジに装着したPenn−Century微量噴霧器(モデル 1A−1B; Penn−Century, Inc., フィラデルフィア, PA; DeLong Distributors, ロングブランチ, NJから購入)からなっていた。投与製剤の適切な容量が投与装置に引かれ、充填された装置の重量を量り、重量を記録した。カテーテルを、麻酔した動物の気管内に配置し、投与装置の微量噴霧器部分をカテーテルを通して気管に配置し、投与した。投与量投与後、空の投与装置の重量を再計量し、投与された投与量を、投与前後の投与装置の重量の差として計算した。
【0132】
サンプル250μLを、以下の所定の投与後時点でラットの留置頚部カニューレから集めた:1、5、10、15、30、及び45分(分)、ならびに1、4、8、及び24時間(時間)。分析した全ての血液サンプルを、予め秤量したサンプル管に分注し、サンプル管を再秤量し、各サンプルの重量を引き算によって計算した。集めた血液サンプルを、LC/MS/MSを用いて、全ラパマイシン濃度に関し分析した。
【0133】
驚くべきことに、結果は、静脈内に対し肺経路により送達されたラパマイシンの血液濃度に有意な差を示さなかった。アルブミンを含む医薬組成物を用いて肺経路によって送達されたラパマイシンのバイオアベイラビリティーは109%と計算され、肺内皮を通る良好な移行が示された。
【0134】
実施例35
本実施例は、本発明に従い製造したラパマイシンとアルブミンを含む医薬組成物の肺内投与後のアルブミン−ラパマイシンの組織分布を示す。本研究の目的は、静脈内導入と比較した、Sprague Dawleyラットへの気管内注入後、組織中ラパマイシンの肺吸収を測定することであった。
【0135】
動物に投与した気管内投与製剤の標的容量は、kg体重当たり1mLの投与容量に基づき計算した。投与装置は、1−mL気密ルアーロックシリンジに装着したPenn−Century微量噴霧器(モデル 1A−1B; Penn−Century, Inc., フィラデルフィア, PA; DeLong Distributors, ロングブランチ, NJから購入)からなっていた。投与製剤の適切な容量が投与装置に引かれ、充填された装置の重量を量り、重量を記録した。カテーテルを、麻酔した動物の気管に配置し、投与装置の微量噴霧器部分をカテーテルを通して気管内に配置し、投与した。投与量投与後、空の投与装置の重量を再計量し、投与された投与量を、投与前後の投与装置の重量の差として計算した。
【0136】
10分、45分、2時間、及び24時間の時点当たり群当たり3匹のラットの脳、肺、及び肝臓からサンプルを集めた。サンプルを集め、LC/MS/MSを用いて、全ラパマイシン濃度に関し分析した。静脈内送達と比べて、肺を介して送達したとき、ラパマイシン濃度は肺組織で、より大きいことを結果は示す。しかし、静脈内(IV)と比べて、気管内(IT)を介して送達したとき、脳の全ラパマイシンの全濃度はより小さい。肝臓では、IT送達であろうとIV送達であろうと、ラパマイシンの濃度で差異は無いようである。これらの結果に基づき、ラパマイシンの肺送達は、状態(即ち、肺移植)の治療に適切でありえ、そこでは、ラパマイシンの高い局所濃度は利点があろう。
【0137】
実施例36
本実施例は、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物(ABI−007)の経口送達を示す。
【0138】
トリチウム化ABI−007を用いて、ラットで経口強制供給後、パクリタキセルの経口バイオアベイラビリティーを測定した。一晩絶食後、5匹のラットに、ABI−007中の5.5mg/kgパクリタキセルを与え(A群)、別の5匹のラット(B群)を、シクロスポリン(5.0mg/kg)で前処理し、次いでABI−007中の5.6mg/kgパクリタキセルを与えた。0.5、1、2、3、4、5、6、8、12、及び24時間で採った血液サンプルの薬物動態解析は、燃焼による血液サンプル中の放射活性の測定後行った。経口バイオアベイラビリティーは、以前に得られた静脈内データとの比較によって測定した。結果を表5に下記する。
【0139】
【表5】

【0140】
パーセント吸収の計算のために、AUC0−24 IV(6.06μg×時間/mL) 及びIV投与量(5.1mg/kg)を用いた(ABI−007のIV投与に基づくデータ)。
【0141】
経口バイオアベイラビリティー44%がABI−007単独について観察された。これは、パクリタキセルの他の製剤について見られるよりも劇的に高い。動物をシクロスポリン(CsA)で処置したとき、バイオアベイラビリティーは121%に増加した。CsAは、GI管からパクリタキセルなどの化合物の吸収を通常妨げるであろうp−糖蛋白質ポンプの公知の抑制剤であるので、これは予期される。100%超のバイオアベイラビリティーは、GI管へのパクリタキセルの胆汁排出後の再吸収によって説明できる。他の公知の吸収の抑制剤又は増大剤も、この目的のために利用されうる。
【0142】
実施例37
本実施例は、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の投与で、赤血球と腫瘍細胞へのパクリタキセルの浸透の改善を示す。
【0143】
ヒトMX−1乳房腫瘍フラグメントを胸腺欠損マウスに皮下移植した。上記のように、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物(「パクリタキセル−アルブミン」)とタキソールを、Hパクリタキセルを用いて、比活性25μCi/mgパクリタキセルへ製造した。腫瘍体積が約500mmに到達したとき、20mg/kg放射標識パクリタキセル−アルブミン又はタキソールを生理食塩水中で静脈投与した。投与後5、15、及び30分、ならびに1、3、8、及び24時間で、血漿、血液、腫瘍組織のサンプルをとり、放射活性を分析した。WinNonlin, Pharsight, USAを用いて、腫瘍の薬物動態(AUC及び吸収定数)を解析した。
【0144】
薬剤の静脈投与後収束(unity)まで血漿/血液放射活性比の急速低下によって示されるように、パクリタキセル−アルブミンは、赤血球(RBC)への急速分配を示した。RBCへの完全分配は、パクリタキセル−アルブミンの投与後1時間という速さで起こった。対照的に、RBCへの、タキソールとして製剤化されたパクリタキセルの分配はかなり遅く、8時間超まで完了しなかった。
【0145】
パクリタキセル−アルブミンは、腫瘍組織への急速分配を示し、タキソールより3.3倍大きい吸収定数(K)であった。Kは、パクリタキセル−アルブミンとタキソールについてそれぞれ、0.43時間−1及び0.13時間−1であった。パクリタキセルの迅速取り込みのため、タキソールについてよりもパクリタキセル−アルブミンについて33%大きい腫瘍AUCが得られた。AUCは、パクリタキセル−アルブミンとタキソールについてそれぞれ、3632 nCi*時間/g及び2739 nCi*時間/gであった。
【0146】
実施例38
本実施例は、マウスに投与した、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の安全性を示す。
【0147】
5連続日毎日、パクリタキセル−アルブミン又はタキソールの増加していく投与量で胸腺欠損マウスを処置した。生存を投与量に対しプロットし、LD50を求めた。生存は、タキソールに対しパクリタキセル−アルブミンで非常に改善された(p=0.017、ANOVA)。パクリタキセル−アルブミンとタキソールのLD50は、q1d×5スケジュールで、それぞれ47mg/kg/日及び30mg/kg/日と計算された。13.4mg/kg/日の投与量レベルで、パクリタキセル−アルブミンとタキソール両方が良く許容され、それぞれ死亡率は1%(72匹マウス中1匹死亡)と4%(47匹マウス中2匹死亡)であった。20mg/kg/日の投与量レベルで、パクリタキセル−アルブミンで1%死亡率(72匹マウス中1匹死亡)対タキソールで17%死亡率(47匹マウス中8匹死亡)(p=0.0025)であった。30mg/kg/日の投与量レベルで、パクリタキセル−アルブミンで4%死亡率(72匹マウス中3匹死亡)対タキソールで49%死亡率(47匹マウス中23匹死亡)(p<0.0001)であった。
【0148】
実施例39
本実施例は、パクリタキセル−アルブミン組成物の微細血管内皮細胞(EC)を通る新規なパクリタキセル輸送機構を示す。
【0149】
ナノ粒子及びアルブミン−パクリタキセル組成物は、腫瘍の「漏れる」血管から生じるEPR効果により、腫瘍組織に蓄積しうる。アルブミン特異的gp60レセプター(アルボンディン)は、細胞表面の小胞内のレセプターのトランスサイトーシスによってECを通してアルブミンを輸送した。このトランスサイトーシス機構により、下にある間質空間へのアルブミン−パクリタキセルの輸送が可能となる。対照的に、タキソール中のクレモホールは、アルブミンへのパクリタキセルの結合を阻害し、腫瘍へのパクリタキセル輸送を非常に減少させた。更に、gp16とgp30レセプターはまた、結合パクリタキセルを含む改変アルブミンの細胞内輸送に関与し、これにより、タキソールと比較して、より大きな抗血管形成効果をもって、内皮細胞へのパクリタキセルの結合の増大が起きた。
【0150】
実施例40
本実施例は、タキソールと比べて、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物の内皮トランスサイトーシスの増大を示す。
【0151】
ヒト肺微細血管内皮細胞(HLMVEC)を、トランスウエルでコンフルエンスまで増殖させた。濃度20μg/mLで、パクリタキセルとアルブミンを含む本発明の医薬組成物、又は蛍光パクリタキセルを含むタキソール(Flutax)を上部トランスウエルチャンバーに加えた。
【0152】
上部チャンバーから下部チャンバーへのトランスサイトーシスによるパクリタキセルの輸送を、蛍光光度計を用いて連続してモニターした。アルブミン無くしてFlutaxのみを含む対照も用いた。Flutaxを含む対照は、輸送を示さず、コンフルエントなHLMVEC単層の完全性が立証された。アルブミン−パクリタキセル組成物からのパクリタキセルの輸送は、HSA5%存在下で(生理的濃度)、タキソールからのパクリタキセルよりもかなり速かった。アルブミン−パクリタキセル組成物とタキソールの輸送速度定数(K)はそれぞれ、1.396時間−1及び0.03時間−1であった。単層を通って輸送されたパクリタキセルの全量は、タキソールよりも、アルブミン−パクリタキセル組成物で3倍大きかった。
【0153】
実施例41
本実施例は、タキソールと比べた、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物による内皮細胞(EC)結合の改善を示す。
【0154】
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、96ウエルマイクロタイタープレートで増殖させた。1つの実験では、パクリタキセル(Flutax−Oregon Green標識パクリタキセル)を、クレモホールEL/EtOH(タキソールのビヒクルである)の増加する濃度の存在下、HUVECと反応させた。別の実験では、アルブミンとFlutaxを含む医薬組成物とタキソール−Flutax組成物を、種々の最終濃度でHUVECと反応させた。パクリタキセルの細胞への結合はクレモホールによって阻害された。阻害は、クレモホールEL/EtOH0.02%のIC50によって示された。この濃度のクレモホールは、少なくとも24時間、タキソール化学療法の間持続することが示されている。従って、それは、インビボの関連プロセスである。試験した全ての濃度で、アルブミン−パクリタキセル組成物からのパクリタキセルのかなりの量が細胞に結合した。比較して、タキソールでは、殆ど、又は全く結合が観察されなかった。
【0155】
実施例42
本実施例は、タキソールと比べて、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物によるアルブミン結合の改善を示す。
【0156】
ヒト血清アルブミン(HSA)をプラスチックELISAプレートに固定した。クレモホールEL/EtOHの増加していく濃度の存在下、パクリタキセル(Flutax−Oregon Green標識パクリタキセル)を、固定したHSAと反応させた。別の実験では、最終濃度20μgパクリタキセル/mLで、アルブミン−パクリタキセル−Flutax組成物及びタキソール−Flutax組成物を固定したHSAと反応させた。パクリタキセルのアルブミンへの結合はクレモホールによって阻害された。阻害は、クレモホールEL/EtOHの0.003%のIC50によって示された。この濃度のクレモホールは、少なくとも24時間、タキソール化学療法の間持続することが示されている。従って、それは、インビボの関連プロセスである。関連薬理学的パクリタキセル濃度(20μg/mL)で、アルブミン−パクリタキセル組成物からのパクリタキセルのかなりの量が固定したHSAに結合した。比較して、タキソールでは、全く結合が観察されなかった。
【0157】
実施例43
本実施例は、タキソールと比べて、パクリタキセルとアルブミンを含む医薬組成物についてのパクリタキセルのアルブミンへの輸送の増大を示す。
【0158】
タキソール−Flutax及びアルブミン−パクリタキセル−Flutax組成物を、20μg/mL、40μg/ml、及び80μg/mlで、Hanks緩衝液中の5% HSA又は血清と混合した。混合物を直ちに、ネイティブ3〜14%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、アルブミンに結合したパクリタキセル量を、走査蛍光光度計で測定した。HSAへのパクリタキセルの輸送は、タキソールに対しアルブミン−パクリタキセル組成物でより迅速であった。血清又は5% HSAを、アルブミン−パクリタキセル−Flutax組成物又はタキソール−Flutax組成物とインキュベートしたとき、より多くのパクリタキセルがHSAと共に電気泳動した。5% HSAへの暴露で、20μg/ml、40μg/ml、及び80μg/mlで、タキソール−Flutax組成物よりもアルブミン−パクリタキセル−Flutax組成物で、それぞれ45%、60%、及び33%多いパクリタキセルがHSAに移行した。ヒト血清への暴露で、20μg/ml、40μg/ml、及び80μg/mlで、タキソール−Flutax組成物よりもアルブミン−パクリタキセル−Flutax組成物で、それぞれ121%、31%、及び83%多いパクリタキセルがHSAに移行した。260mg/mでABI−007のCmaxは約20μg/mLで、従って、これは、インビボの重要なプロセスである。
【0159】
実施例44
本実施例は、糖蛋白質gp60が、アルブミン−パクリタキセルの結合とトランスサイトーシスの責を担うことを示す。
【0160】
蛍光標識パクリタキセル(Flutax)アルブミン組成物を、培養中の微細血管内皮細胞と接触させた。アルブミン−パクリタキセルと結合するgp60レセプターと仮定された明確な領域の証拠を示して、蛍光染色が顕微鏡下観察された。パクリタキセルの明確な蛍光と共に局在化するローダミン標識アルブミンを用いることによって、これは確認された。
【0161】
実施例45
本実施例は、アルブミン量の増加は、パクリタキセルの結合と競合しうることを示す。
【0162】
アルブミンを、マイクロタイタープレートに固定した。蛍光パクリタキセルをウエルに加え、パクリタキセルの結合を、走査蛍光光度計を用いて測定した。アルブミンの増加していく量をウエルに加え、固定したアルブミンへのパクリタキセル結合の阻害のレベルを測定した。添加アルブミン量の増加につれ、結合での対応する減少が見られることをデータは示した。同様の効果は、内皮細胞への結合でも見られた。より高いアルブミン濃度は、パクリタキセルの結合を阻害することを上記は示した。従って、より少量のアルブミンを有する本発明の組成物が好適である。
【0163】
実施例46
本実施例は、本発明組成物中より少量のアルブミンが安定な組成物を生じることを示す。
【0164】
組成物中のより少量のアルブミンが本発明医薬組成物の安定性に影響を与えるかどうかを研究するために、少量のアルブミンを有するアルブミン−パクリタキセル組成物を製造した。パクリタキセル力価、不純物形成、粒子サイズ、pH及び安定性の他の典型的パラメーターに関し、異なる温度(2〜8℃、25℃及び40℃)で数ヶ月間試験したとき、これらの組成物は、より多量のアルブミンを有する組成物と同程度に安定であることが見出された。従って、より少量のアルブミンを有する組成物が好適である。これは、コストを非常に減少し、また、細胞との結合及び細胞への輸送の増大を可能としうるからである。
【0165】
実施例47
本実施例は、高いパクリタキセルに対するアルブミンの比を有するアルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物を示す。
【0166】
パクリタキセル30mgを塩化メチレン3.0mlに溶解した。溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(3% w/v)27.0mlに加えた(パクリタキセルに対するアルブミンの比27に対応)。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー、モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をロータリーエバポレーターに移し、塩化メチレンを、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じたパクリタキセル粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元々の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。
【0167】
本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型、割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。クレモホール製剤に溶解したパクリタキセルの毒性と比較したとき、アルブミン含有の本発明の医薬組成物は大幅に低い毒性を示した。
【0168】
実施例48
本実施例は、低いパクリタキセルに対するアルブミンの比を有するアルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物を示す。
【0169】
詳細には、パクリタキセル300mgを塩化メチレン3.0mlに溶解した。溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(5% w/v)27mlに加えた(パクリタキセルに対するアルブミンの比4.5に対応)。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー、モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をロータリーエバポレーターに移し、塩化メチレンを、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じたパクリタキセル粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元々の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。
【0170】
本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。クレモホール製剤に溶解したパクリタキセルの毒性と比較したとき、アルブミン含有の本発明の医薬組成物は大幅に低い毒性を示した。
【0171】
実施例49
本実施例は、中間のパクリタキセルに対するアルブミンの比を有するアルブミンとパクリタキセルを含む医薬組成物を示す。
【0172】
詳細には、パクリタキセル135mgを塩化メチレン3.0mlに溶解した。溶液を、ヒト血清アルブミン溶液(5% w/v)27mlに加えた。デフェロキサミンを必要に応じ加えた。混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー、モデル Tempest I.Q.)で5分ホモジナイズし、粗エマルジョンを形成させ、次いで、高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを少なくとも5サイクルの間リサイクルしつつ、乳化を9000〜40,000psiで行った。生じた系をロータリーエバポレーターに移し、塩化メチレンを、20〜30分間、減圧下(30mmHg)、40℃で急速除去した。生じた分散液は半透明で、生じたパクリタキセル粒子の典型的平均直径は、範囲50〜220nm(Z平均、Malvern Zetasizer)であった。分散液を更に48時間、凍結乾燥した。生じたケーキは、滅菌水又は生理食塩水の添加によって、元々の分散物に容易に再構成された。再構成後の粒子サイズは、凍結乾燥前と同じであった。本発明の組成物中のパクリタキセルに対するアルブミンの計算した比(w/w)は約10である。
【0173】
本実施例で使用した薬剤、溶媒、蛋白質の量、型及び割合は、決して限定的ではないことを認識すべきである。クレモホール製剤に溶解したパクリタキセルの毒性と比較したとき、アルブミン含有の本発明の医薬組成物は大幅に低い毒性を示した。
【0174】
実施例50
本実施例は、アルブミン−パクリタキセル組成物を用いた動物モデルでの慢性関節リウマチの治療を示す。
【0175】
Louvainラットのコラーゲン誘導関節炎モデルを用いて、関節炎に対するアルブミン−パクリタキセル組成物の治療効果を試験した。実験動物の脚サイズをモニターし、関節炎の重篤度を評価した。
【0176】
関節炎が十分に進行した後(通常、コラーゲン注入後約9〜10日)、実験動物を異なる群に分け、腹腔内6回アルブミン−パクリタキセル1mg/kg q.o.d又はアルブミン−パクリタキセル0.5mg/kg+プレドニゾン0.2mg/kg q.o.d.(併用治療)、次いで、3週間1週当たり1回受けさせた。脚サイズを治療開始(0日)で測定し、薬剤注入時毎回測定した。1つの群は、対照として正常生理食塩水のみを受けた。実験終了までに、治療開始時に対し、アルブミン−パクリタキセルを受けた群は、脚サイズの42%減少を達成し、併用治療群は脚サイズの33%減少を示し、一方、対照群は、脚サイズの約20%増加を有した。
【0177】
結論として、アルブミン−パクリタキセル組成物は、関節炎に対し治療効果を示した。アルブミン−パクリタキセルの組み合わせは、gp60のようなレセプター媒介機構を通じて輸送によって関節炎病巣部位に局在化するらしい。
【0178】
実施例51
本実施例は、心臓血管再狭窄を治療するためのアルブミン−パクリタキセル組成物の使用を示す。
【0179】
動物中のパクリタキセル溶出ステントは不完全な治癒を引き起こし、場合によっては、動脈で新生内膜増殖の持続性抑制の欠如を引き起こす。本研究では、インステント再狭窄減少のための、新規全身的送達アルブミン−パクリタキセル本発明組成物の効力を試験した。
【0180】
両側腸骨動脈ステントを入れた38羽のNew Zealand Whiteウサギで、生理食塩水再構成のアルブミン−パクリタキセルを試験した。アルブミン−パクリタキセル(1.0〜5.0mg/kgパクリタキセル投与量)を10分動脈内点滴として投与した;対照動物はビヒクルを受けた(0.9%正常生理食塩水)。
【0181】
追跡慢性実験で、28日で、静脈内3.5−mg/kg繰り返しアルブミン−パクリタキセル投与有り又は無しで、ステントにアルブミン−パクリタキセル5.0mg/kgを与えた;これらの研究は3ヶ月で終了した。28日で、アルブミン−パクリタキセル>=2.5mg/kgの投与量によって、新生内膜厚さの平均は減少し(p<=0.02)、治癒の遅延の証拠を示した。しかし、アルブミン−パクリタキセル5.0mg/kgの単回投与の効力は90日までに失われた。対照的に、ステント設置後28日与えられたアルブミン−パクリタキセル3.5mg/kgの第2繰り返し投与により、90日で新生内膜厚さの持続性抑制が生じ(p<=0.009。対単回投与アルブミン−パクリタキセル5.0mg/kg及び対照)、ほぼ完全な新生内膜治癒であった。
【0182】
全身的アルブミン−パクリタキセルは、28日で新生内膜増殖を減少するが、持続性新生内膜抑制には、単回繰り返し投与が必要であった。従って、本発明組成物は、最狭窄などの心臓血管疾患の治療に適切である。パクリタキセル以外の医薬(例えば、ラパマイシン、他のタキサン、エポチロン等)を含む発明組成物は全て、血液透析を必要とする患者での動脈−静脈アクセスのために使用されるものなどの血管又は人工血管グラフトにおける再狭窄の治療に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物であって、医薬として許容できる担体は、ヒトへの医薬組成物の投与の1つ以上の副作用を減少するのに有効な量でアルブミンを含み、医薬として許容できる担体は、医薬組成物における微生物増殖を阻害するのに有効な量でデフェロキサミンを含む、医薬組成物。
【請求項2】
医薬が、抗癌剤、麻酔剤、抗微小管剤、心臓血管障害治療剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、抗喘息剤、鎮痛剤、血管作用剤、免疫抑制剤、抗真菌剤、抗不整脈剤、抗生物質及びホルモンからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
医薬が、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン、カンプトテシン、プロポフォール、アミオダロン、シクロスポリン、ラパマイシン、アムホテリシン、リオチロニン、エポチロン、コルヒチン、甲状腺ホルモン、血管作用性腸管ペプチド、コルチコステロイド、メラトニン、タクロリムス、マイコフェノール酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
医薬がプロポフォールである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
液体であり、アルブミンを約0.1重量%〜約25重量%含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
アルブミンを約0.5重量%〜約5重量%含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
脱水されている、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
凍結乾燥されている、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
デフェロキサミンのメシル酸塩を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
液体であり、メシル酸デフェロキサミンを約0.0001重量%〜約0.5重量%含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
メシル酸デフェロキサミンを約0.1重量%含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
脱水されている、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
凍結乾燥されている、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
水中油型エマルジョンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
医薬がプロポフォールである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項16】
医薬がプロポフォールである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項17】
医薬がプロポフォールであり、プロポフォールが約0.1重量%〜約5重量%の量で存在し、アルブミンが約0.1重量%〜約25重量%の量で存在し、メシル酸デフェロキサミンが約0.0001重量%〜約0.5重量%の量で存在する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項18】
医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物であって、医薬として許容できる担体は、ヒトへの医薬組成物の投与の1つ以上の副作用を減少するのに有効な量でアルブミンを含み、医薬として許容できる担体は、医薬組成物における酸化を阻害するのに有効な量でデフェロキサミンを含む、医薬組成物。
【請求項19】
ヒトへの医薬組成物投与と関連した1つ以上の副作用の減少方法であって、該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含む医薬組成物をヒトへ投与することを含み、医薬として許容できる担体はアルブミンとデフェロキサミンを含む、方法。
【請求項20】
医薬が、抗癌剤、麻酔剤、抗微小管剤、心臓血管障害治療剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、抗喘息剤、鎮痛剤、血管作用剤、免疫抑制剤、抗真菌剤、抗不整脈剤、抗生物質及びホルモンからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
医薬が、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン、カンプトテシン、プロポフォール、アミオダロン、シクロスポリン、ラパマイシン、アムホテリシン、リオチロニン、エポチロン、コルヒチン、甲状腺ホルモン、血管作用性腸管ペプチド、コルチコステロイド、メラトニン、タクロリムス、マイコフェノール酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
医薬がプロポフォールである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
医薬組成物が液体であり、アルブミンを約0.1重量%〜約25重量%含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
医薬組成物がアルブミンを約0.5重量%〜約5重量%含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
医薬組成物が脱水されている、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
医薬組成物が凍結乾燥されている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
医薬がプロポフォールである、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
医薬組成物がデフェロキサミンのメシル酸塩を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
医薬組成物が液体であり、メシル酸デフェロキサミンを約0.0001重量%〜約0.5重量%含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
医薬組成物がメシル酸デフェロキサミンを約0.1重量%含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
医薬組成物が脱水されている、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
医薬組成物が凍結乾燥されている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
医薬がプロポフォールである、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
医薬がプロポフォールであり、プロポフォールが約0.1重量%〜約5重量%の量で存在し、アルブミンが約0.1重量%〜約25重量%の量で存在し、メシル酸デフェロキサミンが約0.0001重量%〜約0.5重量%の量で存在する、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
医薬組成物が、静脈内投与、動脈内投与、肺内投与、経口投与、吸入、気管内投与、小嚢内投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、くも膜下腔投与又は経皮投与により、ヒトに投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項36】
1つ以上の副作用が、骨髄抑制、神経毒性、過敏症、静脈刺激、炎症、静脈炎、疼痛、皮膚刺激及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項37】
医薬組成物における微生物増殖の阻害方法であって、該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物を製造することを含み、医薬として許容できる担体は、医薬組成物における微生物増殖の阻害に有効な量のデフェロキサミンを含む、方法。
【請求項38】
医薬組成物がデフェロキサミンのメシル酸塩を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
医薬組成物が液体であり、メシル酸デフェロキサミンを約0.0001重量%〜約0.5重量%含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
医薬組成物がメシル酸デフェロキサミンを約0.1重量%含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
医薬組成物が脱水されている、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
医薬組成物が凍結乾燥されている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
医薬組成物がアルブミンを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
医薬組成物の酸化阻害方法であって、該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物を製造することを含み、医薬として許容できる担体は、医薬組成物の酸化阻害に有効な量のデフェロキサミンを含む、方法。
【請求項45】
医薬組成物がデフェロキサミンのメシル酸塩を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
医薬組成物が液体であり、メシル酸デフェロキサミンを約0.0001重量%〜約0.5重量%含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
医薬組成物がメシル酸デフェロキサミンを約0.1重量%含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
医薬組成物が脱水されている、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
医薬組成物が凍結乾燥されている、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
医薬組成物がアルブミンを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
疾患部位への医薬の輸送の増大方法であって、該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物をヒトへ投与することを含み、医薬として許容できる担体はアルブミンを含み、医薬組成物中のアルブミンと医薬との比は約18:1以下である、方法。
【請求項52】
医薬が、抗癌剤、麻酔剤、抗微小管剤、心臓血管障害治療剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、抗喘息剤、鎮痛剤、血管作用剤、免疫抑制剤、抗真菌剤、抗不整脈剤、抗生物質及びホルモンからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
医薬が、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン、カンプトテシン、プロポフォール、アミオダロン、シクロスポリン、ラパマイシン、アムホテリシン、リオチロニン、エポチロン、コルヒチン、甲状腺ホルモン、血管作用性腸管ペプチド、コルチコステロイド、メラトニン、タクロリムス、マイコフェノール酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
医薬が核酸配列である、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
核酸配列がDNA配列である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
疾患が、癌、関節炎及び心臓血管疾患からなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
医薬組成物が液体であり、アルブミンを約0.1重量%〜約25重量%含む、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
医薬組成物がアルブミンを約0.5重量%〜約5重量%含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
医薬組成物が脱水されている、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
医薬組成物が凍結乾燥されている、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約12:1以下である、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約9:1以下である、請求項51に記載の方法。
【請求項63】
医薬組成物が、静脈内投与、動脈内投与、肺内投与、経口投与、吸入、気管内投与、小嚢内投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、くも膜下腔投与又は経皮投与により、ヒトに投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項64】
インビトロ又はインビボの細胞への医薬の結合の増大方法であって、該方法は、医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物をインビトロ又はインビボの細胞へ投与することを含み、医薬として許容できる担体はアルブミンを含み、医薬組成物中のアルブミンと医薬との比は約18:1以下である、方法。
【請求項65】
医薬が、抗癌剤、麻酔剤、抗微小管剤、心臓血管障害治療剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、抗喘息剤、鎮痛剤、血管作用剤、免疫抑制剤、抗真菌剤、抗不整脈剤、抗生物質及びホルモンからなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
医薬が、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン、カンプトテシン、プロポフォール、アミオダロン、シクロスポリン、ラパマイシン、アムホテリシン、リオチロニン、エポチロン、コルヒチン、甲状腺ホルモン、血管作用性腸管ペプチド、コルチコステロイド、メラトニン、タクロリムス、マイコフェノール酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
医薬が核酸配列である、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
核酸配列がDNA配列である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
細胞が内皮細胞である、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
医薬組成物が液体であり、アルブミンを約0.1重量%〜約25重量%含む、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
医薬組成物がアルブミンを約0.5重量%〜約5重量%含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
医薬組成物が脱水されている、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
医薬組成物が凍結乾燥されている、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約12:1以下である、請求項64に記載の方法。
【請求項75】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約9:1以下である、請求項64に記載の方法。
【請求項76】
医薬組成物が、静脈内投与、動脈内投与、肺内投与、経口投与、吸入、気管内投与、小嚢内投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、くも膜下腔投与又は経皮投与により、インビボの細胞に投与される、請求項64に記載の方法。
【請求項77】
医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物であって、医薬として許容できる担体は、ヒトへの医薬組成物の投与の1つ以上の副作用を減少させるのに有効な量でアルブミンを含み、アルブミンと医薬との比は約18:1以下である、医薬組成物。
【請求項78】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約12:1以下である、請求項77に記載の医薬組成物。
【請求項79】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約9:1以下である、請求項77に記載の医薬組成物。
【請求項80】
医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物であって、医薬として許容できる担体は、ヒトにおける疾患部位への薬剤の輸送を増大させるのに有効な量でアルブミンを含み、アルブミンと医薬との比は約18:1以下である、医薬組成物。
【請求項81】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約12:1以下である、請求項80に記載の医薬組成物。
【請求項82】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約9:1以下である、請求項80に記載の医薬組成物。
【請求項83】
疾患が、癌、関節炎及び心臓血管疾患からなる群から選択される、請求項80に記載の医薬組成物。
【請求項84】
アルブミンと医薬との比が約18:1以下である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項85】
医薬と蛋白質を組み合わせることによる、インビトロ又はインビボの細胞への医薬の輸送の増大方法であって、該蛋白質は、該細胞上の特異的細胞表面レセプターと結合し、蛋白質−医薬組み合わせの該レセプターとの結合によって輸送が引き起こされ、蛋白質と医薬との比は約18:1以下である、方法。
【請求項86】
蛋白質がアルブミンである、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
医薬が、抗癌剤、麻酔剤、抗微小管剤、心臓血管障害治療剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、抗喘息剤、鎮痛剤、血管作用剤、免疫抑制剤、抗真菌剤、抗不整脈剤、抗生物質及びホルモンからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
医薬が、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン、カンプトテシン、プロポフォール、アミオダロン、シクロスポリン、ラパマイシン、アムホテリシン、リオチロニン、エポチロン、コルヒチン、甲状腺ホルモン、血管作用性腸管ペプチド、コルチコステロイド、メラトニン、タクロリムス、マイコフェノール酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約12:1以下である、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
医薬組成物中のアルブミンと医薬との比が約9:1以下である、請求項85に記載の方法。
【請求項91】
医薬と医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物であって、医薬として許容できる担体が、ヒトへの医薬組成物の投与の1つ以上の副作用を減少させるのに有効な量で蛋白質を含み、蛋白質と医薬との比は約18:1以下である、医薬組成物。
【請求項92】
医薬組成物中の蛋白質と医薬との比が約12:1以下である、請求項91に記載の医薬組成物。
【請求項93】
医薬組成物中の蛋白質と医薬との比が約9:1以下である、請求項91に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2012−6942(P2012−6942A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−167073(P2011−167073)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2004−559417(P2004−559417)の分割
【原出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508235494)アブラクシス バイオサイエンス リミテッド ライアビリティー カンパニー (22)
【Fターム(参考)】