説明

組成物及び電子素子

【課題】光吸収末端波長が長波長である組成物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される構造単位を有する第1の化合物と、式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位のみからなる第2の化合物とを含む組成物。


(1)
〔式中、Q及びQは、−S−、−O−、−Se−又は−N(R)−を表し、R、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有する化合物を用いた組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止のため、大気中に放出されるCO2の削減が求められている。例えば、家屋の屋根にpn接合型のシリコン系太陽電池などを用いるソーラーシステムへの切り替えが提唱されているが、上記シリコン系太陽電池に用いられる単結晶、多結晶及びアモルファスシリコンは、その製造過程において高温、高真空条件が必要であるという問題がある。
【0003】
一方、電子素子の一態様である有機薄膜電子素子は、シリコン系電子素子の製造プロセスに用いられる高温、高真空プロセスを省略でき、塗布プロセスのみで安価に製造できる可能性があり、近年注目されてきている。有機薄膜太陽電池としては、繰り返し単位(A)及び繰り返し単位(B)からなる高分子化合物とフラーレン誘導体とを含む組成物を有機太陽電池に用いることが記載されている(非特許文献1)。
【0004】

繰り返し単位(A) 繰り返し単位(B)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Applied Physics Letters Vol.84, No.10 1653−1655 (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記高分子化合物は光吸収末端波長が短波長であり、吸収することができる太陽光波長の範囲が十分でない。そのため、該高分子化合物を含む組成物の光吸収末端波も短波長であり、該組成物を用いて製造した光電変換素子は、変換効率が必ずしも十分ではない。
【0007】
本発明は、光吸収末端波長が長波長である組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は第一に、式(1)で表される構造単位を有する第1の化合物と、式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位のみからなる第2の化合物とを含む組成物を提供する。

(1)
〔式中、Q及びQは、同一又は相異なり、−S−、−O−、−Se−又は−N(R)−を表し、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。〕
【0009】
本発明は第二に、前記組成物を含む薄膜を提供する。
【0010】
本発明は第三に、前記組成物と溶媒とを含むインクを提供する。
【0011】
本発明は第四に、前記組成物又は前記薄膜を含む電子素子を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の組成物は、光吸収末端波長が長波長である化合物を含むため、極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は式(1)で表される構造単位を有する第1の化合物と、式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位のみからなる第2の化合物とを含むことを特徴とする。

(1)
〔式中、Q及びQは、同一又は相異なり、−S−、−O−、−Se−又は−N(R)−を表し、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。〕
【0014】
ここで、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素数は、通常1〜30である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0015】
アルキルオキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルオキシ基であってもよい。アルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキルオキシ基の炭素数は、通常1〜20程度であり、アルキルオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
【0016】
アルキルチオ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルチオ基であってもよい。アルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、通常1〜20程度であり、アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0017】
アリール基は、その炭素数が通常6〜60程度であり、置換基を有していてもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル基(C1〜C12アルキルは、炭素数1〜12のアルキルであることを示す。C1〜C12アルキルは、好ましくはC1〜C8アルキルであり、より好ましくはC1〜C6アルキルである。C1〜C8アルキルは、炭素数1〜8のアルキルであることを示し、C1〜C6アルキルは、炭素数1〜6のアルキルであることを示す。C1〜C12アルキル、C1〜C8アルキル及びC1〜C6アルキルの具体例としては、上記アルキル基で説明し例示したものが挙げられる。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
【0018】
アリールオキシ基は、その炭素数が通常6〜60程度であり、芳香環上に置換基を有していてもよい。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられる。
【0019】
アリールチオ基は、その炭素数が通常6〜60程度であり、芳香環上に置換基を有していてもよい。アリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルキルオキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
【0020】
アリールアルキル基は、その炭素数が通常7〜60程度であり、置換基を有していてもよい。アリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
【0021】
アリールアルキルオキシ基は、その炭素数が通常7〜60程度であり、置換基を有していてもよい。アリールアルキルオキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基が挙げられる。
【0022】
アリールアルキルチオ基は、その炭素数が通常7〜60程度であり、置換基を有していてもよい。アリールアルキルチオ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
【0023】
アシル基は、その炭素数が通常2〜20程度である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
【0024】
アシルオキシ基は、その炭素数が通常2〜20程度である。アシルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0025】
アミド基は、その炭素数が通常2〜20程度である。アミド基とは、アミドから窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる基をいう。アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
【0026】
酸イミド基とは、酸イミドから窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる基をいう。酸イミド基の具体例としては、スクシンイミド基、フタル酸イミド基などが挙げられる。
【0027】
置換アミノ基は、その炭素数が通常1〜40程度である。置換基アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルキルオキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
【0028】
置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−iso−プロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが挙げられる。
【0029】
置換シリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−プロピルシリルオキシ基、トリ−iso−プロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基などが挙げられる。
【0030】
置換シリルチオ基としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリ−n−プロピルシリルチオ基、トリ−iso−プロピルシリルチオ基、tert−ブチルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、tert−ブチルジフェニルシリルチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基などが挙げられる。
【0031】
置換シリルアミノ基としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリ−n−プロピルシリルアミノ基、トリ−iso−プロピルシリルアミノ基、tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、tert−ブチルジフェニルシリルアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基、ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(トリエチルシリル)アミノ基、ジ(トリ−n−プロピルシリル)アミノ基、ジ(トリ−iso−プロピルシリル)アミノ基、ジ(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基、ジ(トリフェニルシリル)アミノ基、ジ(トリ−p−キシリルシリル)アミノ基、ジ(トリベンジルシリル)アミノ基、ジ(ジフェニルメチルシリル)アミノ基、ジ(tert−ブチルジフェニルシリル)アミノ基、ジ(ジメチルフェニルシリル)アミノ基が挙げられる。
【0032】
1価の複素環基としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、プラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β-カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン等の複素環化合物から水素原子を1個除いた基が挙げられる。1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
【0033】
複素環オキシ基、複素環チオ基としては、前記1価の複素環基に酸素原子又は硫黄原子が結合した基が挙げられる。
複素環オキシ基は、その炭素数が通常4〜60程度である。複素環オキシ基の具体例としては、チエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、チアゾールオキシ基、チアジアゾールオキシ基が挙げられる。
複素環チオ基は、その炭素数が通常4〜60程度である。複素環チオ基の具体例としては、チエニルメルカプト基、C1〜C12アルキルチエニルメルカプト基、ピロリルメルカプト基、フリルメルカプト基、ピリジルメルカプト基、C1〜C12アルキルピリジルメルカプト基、イミダゾリルメルカプト基、ピラゾリルメルカプト基、トリアゾリルメルカプト基、オキサゾリルメルカプト基、チアゾールメルカプト基、チアジアゾールメルカプト基が挙げられる。
【0034】
アリールアルケニル基は、通常、その炭素数7〜20であり、アリールアルケニル基の具体例としては、スチリル基が挙げられる。
【0035】
アリールアルキニル基は、通常、その炭素数7〜20であり、アリールアルキニル基の具体例としては、フェニルアセチレニル基が挙げられる。
【0036】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0037】
、Rは、溶媒への溶解性の観点からは、少なくとも一方がアルキル基であることが好ましい。
【0038】
、Qは、本発明の組成物の光吸収端波長を長波長吸収にする観点からは、−S−、−O−が好ましい。中でも、Q、Qの少なくとも一方が、−S−であることが好ましい。
【0039】
式(1)で表される構造単位としては、例えば、式301〜式351で表される構造単位が挙げられる。
【0040】

【0041】

【0042】

【0043】

【0044】

【0045】

【0046】

【0047】
式301〜式351中、R10はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基を表す。アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、1価の複素環基の定義、具体例としては、前述のRで表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。R10としては、好ましくはアルキル基である。
10はハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の具体例としては、前述のRで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。Rは前述と同じ意味を表す。
【0048】
式301〜式351で表される構造単位の中でも、好ましくは式301〜式306で表される構造単位であり、より好ましくは式302、式303で表される構造単位であり、特に好ましくは式302で表される構造単位である。
【0049】
第1の化合物は、式(1)で表される構造単位以外の構造単位を有していてもよい。式(1)で表される構造単位以外の構造単位を有している場合、式(1)で表される構造単位と式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位とが、共役を形成していることが好ましい。本発明における共役とは、不飽和結合−単結合−不飽和結合の順に連鎖し、π軌道の2個のπ結合が隣り合い、それぞれのπ電子が平行に配置し、ある二重結合又は三重結合上にπ電子が局在するのではなく、隣の単結合上にπ電子が広がって非局在化している状態のことを指す。ここで不飽和結合とは二重結合や三重結合を指す。
式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位としては、例えば、アリーレン基、2価の複素環基が挙げられる。好ましくは、式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位は、アリーレン基、2価の芳香族複素環基である。
【0050】
ここで、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、環を構成する炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。ここに芳香族炭化水素としては、ベンゼン環をもつもの、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接結合してもの又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
【0051】
アリーレン基としては、フェニレン基(例えば、下図の式1〜3)、ナフタレンジイル基(下図の式4〜13)、アントラセンジイル基(下図の式14〜19)、ビフェニル−ジイル基(下図の式20〜25)、ターフェニル−ジイル基(下図の式26〜28)、縮合環化合物基(下図の式29〜38)などが例示される。縮合環化合物基には、フルオレン−ジイル基(下図の式36〜38)が含まれる。
【0052】
2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、環を構成する炭素数は通常3〜60程度である。
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。
【0053】
2価の複素環基としては、例えば以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基:ピリジン−ジイル基(下図の式39〜44)、ジアザフェニレン基(下図の式45〜48)、キノリンジイル基(下図の式49〜63)、キノキサリンジイル基(下図の式64〜68)、アクリジンジイル基(下図の式69〜72)、ビピリジルジイル基(下図の式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下図の式76〜78);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下図の式79〜93);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基(下図の式94〜98);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素基(下図の式99〜110);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基(下図の式111〜112);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(下図の式113〜119);
ヘテロ原子として酸素、窒素、硫黄、などを含む5員環縮合複素環基にフェニル基やフリル基、チエニル基が置換した基(下図の式120〜127);
ヘテロ原子として窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環が縮合した基(下記の図128〜139);ベンゼン環とチオフェン環が縮合した基(下記の図140〜143)などを例示することが出来る。
【0054】

【0055】

【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

【0060】

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】
式1〜式143中、Rは水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。Rが置換基である場合、該置換基の例としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる基があげられる。これらの置換基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
【0072】
Rで表されるアルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、1価の複素環基の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。
【0073】
置換カルボキシル基としては、通常炭素数2〜20のものが用いられ、メチルエステル構造を有する基、エチルエステル構造を有する基、ブチルエステル構造を有する基などが挙げられる。
【0074】
a、bは、同一又は相異なり、繰り返しの数を表し、通常1〜5であり、好ましくは1〜3であり、特に好ましくは1である。
【0075】
本発明の組成物に含まれる第1の化合物は、高分子化合物であってもよい。本発明における高分子化合物とは、重量平均分子量が1000以上のものを指すが、重量平均分子量が3000〜10000000の高分子化合物が好ましく用いられる。重量平均分子量が3000より低いとデバイス作製時の膜形成に欠陥が生じることがあり、10000000より大きいと溶媒への溶解性や素子作製時の塗布性が低下することがある。重量平均分子量としてさらに好ましくは8000〜5000000であり、特に好ましくは10000〜1000000である。
なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、ポリスチレンの標準試料を用いて算出したポリスチレン換算の重量平均分子量のことを指す。
【0076】
第1の化合物が高分子化合物である場合、該高分子化合物中の式(1)で表される構造単位の含有量は、化合物中に少なくとも1つ含まれていればよい。好ましくは高分子化合物中、高分子鎖一本あたり平均2個以上、さらに好ましくは高分子鎖一本あたり平均3個以上含まれる。
【0077】
第1の化合物が高分子化合物である場合、該高分子化合物は、素子に用いられる場合、デバイス作製の容易性から、溶媒への溶解度が高いことが望ましい。具体的には、本発明の高分子化合物が、該高分子化合物を0.01重量(wt)%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することが好ましく、0.1wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがより好ましく、0.4wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがさらに好ましい。
【0078】
本発明の組成物は、式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位のみからなる第2の化合物を含む。該第2の化合物としては、例えば、電子受容性化合物、電子供与性化合物等が挙げられる。
【0079】
電子受容性化合物としては、酸化チタン、カーボンナノチューブ等の炭素材料、フラーレン、フラーレン誘導体、金属酸化物、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、2、9−ジメチル−4、7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン(バソクプロイン)等のフェナントロリン誘導体等が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン、フラーレン誘導体である。フラーレン及びフラーレン誘導体としてはC60、C70、C84及びその誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を表す。
【0080】
フラーレン誘導体としては、例えば、式(4)で表される化合物、式(5)で表される化合物、式(6)で表される化合物、式(7)で表される化合物が挙げられる。

(4) (5) (6) (7)

(式(4)〜(7)中、Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はエステル構造を有する基である。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。Rはアルキル基又はアリール基を表す。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。)
【0081】
及びRで表されるアルキル基、アリール基の定義、具体例は、Rで表されるアルキル基、アリール基の定義、具体例と同じである。
【0082】
で表されるヘテロアリール基は、通常、炭素数が3〜60であり、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。
【0083】
で表されるエステル構造を有する基は、例えば、式(8)で表される基が挙げられる。

(8)
(式中、u1は、1〜6の整数を表す、u2は、0〜6の整数を表す、Rは、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)
【0084】
で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の定義、具体例は、Rで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の定義、具体例と同じである。
【0085】
60フラーレンの誘導体の具体的構造としては、以下のようなものが挙げられる。

【0086】
70フラーレンの誘導体の具体的構造としては、以下のようなものが挙げられる。

【0087】
電子受容性化合物は、仕事関数が3.0eV以上であることが好ましく、3.2eV以上であることがさらに好ましい。ここで仕事関数は、真空準位を0eVとした時の最低非占有分子軌道(LUMO)の絶対値を指す。
【0088】
電子供与性化合物としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等が挙げられる。
【0089】
なお、前記電子受容性化合物、前記電子供与性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。第2の化合物として好ましくは電子受容性化合物である。
【0090】
本発明中の組成物中の第1の化合物の含有量は特に制限はなく、0重量%を超えて、100重量%未満までの範囲で目的に応じて適宜選択されるが、好ましくは5wt%〜95wt%であり、さらに好ましくは10wt%〜75wt%であり、特に好ましくは20wt%〜50wt%である。
【0091】
本発明のインクは、前記組成物と溶媒とを含む。溶媒としては溶解性の観点から芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン置換芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、ハロゲン置換脂肪族炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、環状エーテル系溶媒などが挙げられるが、好ましくは芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン置換脂肪族炭化水素溶であり、さらに好ましくはハロゲン置換芳香族炭化水素溶媒である。ハロゲン置換芳香族炭化水素溶媒としてはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどを挙げることができるが、好ましくはジクロロベンゼンであり、特に好ましくはオルトジクロロベンゼンである。
【0092】
また、成膜の容易さの観点からは、25℃における溶媒の表面張力が25mN/mより大きいことが好ましく、25mN/mより大きく60mN/mよりも小さいことがより好ましい。具体例としては、トルエン(27.9mN/m)、ベンゾニトリル(34.5mN/m)、1,3−ベンゾジオキソール(28.8mN/m)、オルトキシレン(29.8mN/m)、メタキシレン(28.5mN/m)、パラキシレン(28.0mN/m)、シクロヘキサノン(34.6mN/m)、クロロベンゼン(33.0mN/m)、オルトジクロロベンゼン(36.7mN/m)、メタジクロロベンゼン(35.4mN/m)、パラジクロロベンゼン(32.5mN/m)、cis−デカリン(32.2mN/m)、trans−デカリン(29.9mN/m)、エチルベンゼン(28.7mN/m)、1,2,4−トリメチルベンゼン(29.2mN/m)、1,3,5−トリメチルベンゼン(27.5mN/m)、クロロホルム(26.7mN/m)、テトラデカン(26.1mN/m)、エチレングリコール(48.4mN/m)があげられる。括弧内の数値は25℃における表面張力を表す。表面張力は、「Lange‘s Handbook of Chemistry 13th edition」、John.A.Dean編著、McGaw−Hill社、1972年発刊、pp.10/103−10/116に記載された値を記した。第1の化合物が共役高分子化合物である場合、共役高分子化合物の溶解性の観点からは、置換基を有する芳香族化合物が好ましく、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、トルエンがより好ましい。
【0093】
インク中の第1の化合物の含有量は、インク中の重量分率で表して、好ましくは0.01重量%〜99.9重量%、より好ましくは0.1重量%〜50重量%、さらに好ましくは0.3重量%〜30重量%、特に好ましくは0.5重量%〜10重量%である。
インク中の第2の化合物の含有量は特に制限がないが、第1の化合物の含有量との和が該インク全体の重量に対して100重量%未満である範囲であり、好ましくは0.01重量%〜99.9重量%、より好ましくは0.1重量%〜50重量%、さらに好ましくは0.3重量%〜30重量%、特に好ましくは0.5重量%〜10重量%である。
【0094】
また、第2の化合物が電子受容性化合物の場合、本発明のインク中の電子受容性化合物の含有量と第1の化合物の含有量は、(電子受容性化合物の含有量)/(第1の化合物の含有量)=0.1〜10であることが好ましく、0.2〜5であることがさらに好ましい。
【0095】
第1の化合物が高分子化合物である場合、該高分子化合物は、例えば、式(1−2)で表される化合物を原料の一つとして用いることにより合成することが出来る。

〔式中、W及びWは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ボロン酸残基、ホルミル基、ビニル基又は有機スズ残基を表す。R、Rは前述と同じ意味を表す。〕
【0096】
式(1−2)で表わされる化合物は式(1−3)で表される化合物に公知のウィッティヒ反応などで置換基を導入することにより製造しうる。

〔式中、W及びWは前記と同じ意味を表す。〕
【0097】
ウィッティヒ反応は、公知の方法を用いることができる。例えば、ウィッティヒ試薬存在下、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N―メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の溶媒中、冷却下又は加熱下で反応を行うことができる。ウィッティヒ試薬は、例えば、対応するホスホニウム塩を炭酸カリウム、tert−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、n-ブチルリチウム等のアルキルリチウム等の塩基と反応させることにより得ることが出来る。
【0098】
式(1−2)で表される化合物を高分子量化することにより、本発明に用いることができる高分子化合物を製造することが出来る。本発明に用いることができる高分子化合物の製造方法としては、特に制限されるものではないが、高分子化合物の合成の容易さからは、Suzukiカップリング反応やStilleカップリング反応を用いる方法が好ましい。
【0099】
Suzukiカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式(100):
100−E1−Q200 (100)
〔式中、Eは、芳香環を含む2価の基を表す。Q100及びQ200は、同一又は相異なり、ボロン酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、式(200):
1−E2−T2 (200)
〔式中、Eは、式(1)で表される基を含む構造単位を表す。T及びTは、同一又は相異なり、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。Eとして好ましくは2価の芳香族基であり、さらに好ましくは前述の式1〜式143で表される基が挙げられる。
この場合、反応に用いる式(200)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計が、式(100)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計に対して、過剰であることが好ましい。反応に用いる式(200)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計を1モルとすると、式(100)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計が0.6〜0.99モルであることが好ましく、0.7〜0.95モルであることがさらに好ましい。
【0100】
ホウ酸エステル残基としては、下記式:

(式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)
で表される基等が例示される。
【0101】
式(200)における、T及びTで表わされるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、臭素原子であることがさらに好ましい。
【0102】
式(200)における、T及びTで表わされるアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が例示される。アリールアルキルスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基が例示される。
【0103】
具体的には、Suzukiカップリング反応を行う方法としては、任意の溶媒中において、触媒としてパラジウム触媒を用い、塩基の存在下で反応させる方法等が挙げられる。
【0104】
Suzukiカップリング反応に使用するパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒等が挙げられ、具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム等が挙げられるが、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム類が好ましい。
パラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.1モルである。
【0105】
Suzukiカップリング反応に使用するパラジウム触媒としてパラジウムアセテート類を用いる場合は、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン等のリン化合物を配位子として添加することができる。この場合、配位子の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0106】
Suzukiカップリング反応に使用する塩基としては、無機塩基、有機塩基、無機塩等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。無機塩としては、例えば、フッ化セシウム等が挙げられる。
塩基の添加量は、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル〜100モル、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0107】
Suzukiカップリング反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が例示される。本発明に用いられる高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。また、塩基は、水溶液として加え、水相と有機相の2相系で反応させてもよい。塩基として無機塩を用いる場合は、無機塩の溶解性の観点から、通常、水溶液として加えて反応させる。
なお、塩基を水溶液として加え、水相と有機相の2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩などの相間移動触媒を加えてもよい。
【0108】
Suzukiカップリング反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、高分子化合物の高分子量化の観点から、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。反応時間は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が効率的で好ましい。
【0109】
Suzukiカップリング反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd(0)触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、式(100)で表される化合物、式(200)で表される化合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより、脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、この溶液に、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより脱気した塩基、例えば、炭酸ナトリウム水溶液を滴下した後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0110】
Stilleカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式(300):
300−E−Q400 (300)
〔式中、Eは、芳香環を含む2価の基を表す。Eとして好ましくは2価の芳香族基であり、さらに好ましくは前述の式1〜式143で表される基が挙げられる。Q300及びQ400は、同一又は相異なり、有機スズ残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、前記式(200)で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。
【0111】
有機スズ残基としては、例えば、-SnR100などが挙げられる。ここでR100はアルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2一メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。有機スズ残基として好ましくは-SnMe、-SnEt、-SnBu、-SnPhであり、さらに好ましくは-SnMe、-SnEt、-SnBuである。上記好ましい例において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基を表す。
【0112】
式(200)における、T1及びT2で表わされるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましい。
【0113】
式(200)における、T1及びT2で表わされるアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基が例示される。
【0114】
具体的には、触媒として、例えば、パラジウム触媒下で任意の溶媒中で反応する方法が挙げられる。
Stilleカップリング反応に使用するパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒等が挙げられ、具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムが挙げられ、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが好ましい。
Stilleカップリング反応に使用するパラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.2モルである。
【0115】
また、Stilleカップリング反応において、必要に応じて配位子や助触媒を用いることもできる。配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン等のリン化合物やトリフェニルアルシン、トリフェノキシアルシン等の砒素化合物が挙げられる。助触媒としてはヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、2−テノイル酸銅(I)などが挙げられる。
配位子又は助触媒を用いる場合、配位子又は助触媒の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0116】
Stilleカップリング反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が例示される。本発明に用いられる高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。
【0117】
Stilleカップリング反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、高分子化合物の高分子量化の観点から、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。
前記反応を行う時間(反応時間)は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が効率的で好ましい。
【0118】
Stilleカップリング反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、式(300)で表される化合物、式(200)で表される化合物、パラジウム触媒を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより、脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、必要に応じて配位子や助触媒を加え、その後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0119】
前記の高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは1×10〜1×10である。ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10以上である場合には、強靭な薄膜が得られやすくなる。一方、1×10以下である場合には、溶解性が高く、薄膜の作製が容易である。
【0120】
前記の高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子の作製に用いたときに得られる素子の特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていてもよい。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、また、例えば、ビニレン基を介してアリール基又は複素環基と結合している構造であってもよい。
【0121】
本発明の組成物、及び、本発明の組成物に用いられる第1の化合物は、光吸収末端波長が長波長であることが好ましい。光吸収末端波長は以下の方法で求めることができる。
測定には、紫外、可視、近赤外の波長領域で動作する分光光度計(例えば、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計JASCO−V670)を用いる。JASCO−V670を用いる場合、測定可能な波長範囲が200〜1500nmであるため、該波長範囲で測定を行う。まず、測定に用いる基板の吸収スペクトルを測定する。基板としては、石英基板、ガラス基板等を用いる。次いで、その基板の上に第1の化合物を含む溶液若しくは第1の化合物を含む溶融体から第1の化合物を含む薄膜を形成する。溶液からの製膜では、製膜後乾燥を行う。その後、薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルを得る。薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルと基板の吸収スペクトルとの差を、薄膜の吸収スペクトルとして得る。
該薄膜の吸収スペクトルは、縦軸が第1の化合物の吸光度を、横軸が波長を示す。最も大きい吸収ピークの吸光度が0.5〜2程度になるよう、薄膜の膜厚を調整することが望ましい。吸収ピークの中で一番長波長の吸収ピークの吸光度を100%とし、その50%の吸光度を含む横軸(波長軸)に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第1の点とする。その25%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第2の点とする。第1の点と第2の点とを結ぶ直線と基準線の交点を光吸収末端波長と定義する。ここで、基準線とは、最も長波長の吸収ピークにおいて、該吸収ピークの吸光度を100%とし、その10%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点の波長を基準として、基準となる波長より100nm長波長である吸収スペクトル上の第3の点と、基準となる波長より150nm長波長である吸収スペクトル上と第4の点を結んだ直線をいう。
【0122】
本発明の組成物は、高い電子及び/又はホール輸送性を発揮し得ることから、該組成物を含む有機薄膜を素子に用いた場合、電極から注入された電子やホール、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして光電変換素子、有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子等の種々の素子に好適に用いることができる。以下、これらの素子について個々に説明する。
【0123】
<光電変換素子>
本発明の組成物を有する光電変換素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、本発明の組成物を含む1層以上の活性層を有する。
本発明の組成物を有する光電変換素子の好ましい形態としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、p型の有機半導体とn型の有機半導体との有機組成物から形成される活性層を有する。本発明の組成物は、活性層として用いることが好ましい。この形態の光電変換素子の動作機構を説明する。透明又は半透明の電極から入射した光エネルギーが本発明の組成物中の電子受容性化合物(n型の有機半導体)及び/又は電子供与性化合物(p型の有機半導体)で吸収され、電子とホールが結合した励起子を生成する。生成した励起子が移動して、電子受容性化合物と電子供与性化合物が隣接しているヘテロ接合界面に達すると、界面でのそれぞれのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの違いにより電子とホールが分離し、独立に動くことができる電荷(電子とホール)が発生する。発生した電荷は、それぞれ電極へ移動することにより外部へ電気エネルギー(電流)として取り出すことができる。
本発明の組成物を用いて製造される光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に化学的に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
【0124】
前記の透明又は半透明の電極材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性材料を用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0125】
一方の電極は透明でなくてもよく、該電極の電極材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができる。電極材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又は、1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
【0126】
光電変換効率を向上させるための手段として活性層以外の付加的な中間層を使用してもよい。中間層として用いられる材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化チタン等の酸化物、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。
【0127】
<活性層>
前記活性層は、本発明の組成物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、前記活性層のホール輸送性を高めるため、前記活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物として、第1の化合物及び第2の化合物以外の材料を混合して用いることもできる。
【0128】
活性層の厚さは、通常、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
【0129】
前記活性層の製造方法は、如何なる方法で製造してもよく、例えば、高分子化合物を含む溶液からの成膜や、真空蒸着法による成膜方法が挙げられる。
【0130】
<光電変換素子の製造方法>
光電変換素子の好ましい製造方法は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に本発明の組成物と溶媒とを含む、本発明のインクを塗布法により塗布して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法である。
【0131】
本発明のインクを用いて成膜する場合、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェットコート法、スピンコート法が好ましい。
【0132】
<有機薄膜トランジスタ>
本発明の組成物は、有機薄膜トランジスタにも用いることができる。有機薄膜トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる有機半導体層(活性層)と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられ、有機半導体層が上述した有機薄膜によって構成されるものである。このような有機薄膜トランジスタとしては、電界効果型、静電誘導型等が挙げられる。
【0133】
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。
特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。電界効果型有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層が、本発明の組成物を含む有機薄膜によって構成される。
【0134】
静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を有し、このゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。特に、ソース電極、ドレイン電極が、有機半導体層に接して設けられていることが好ましい。ここで、ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、且つゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし形電極が挙げられる。静電誘導型有機薄膜トランジスタにおいても、有機半導体層が、本発明の組成物を含む有機薄膜によって構成される。
【0135】
<素子の用途>
本発明の組成物を用いた光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
【0136】
また、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
上述の有機薄膜トランジスタは、例えば電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画面輝度の均一性や画面書き換え速度を制御するために用いられる画素駆動素子等として用いることができる。
【0137】
<太陽電池モジュール>
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の高分子を用いて製造される有機薄膜太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0138】
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム又は充填樹脂の形で用いてもよい。また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
【0139】
本発明の組成物は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に用いることもできる。有機EL素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に発光層を有する。有機EL素子は、発光層の他にも、正孔輸送層、電子輸送層を含んでいてもよい。該発光層、正孔輸送層、電子輸送層のいずれかの層中に本発明の組成物が含まれる。発光層中には、本発明の組成物の他にも、電荷輸送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意味する)を含んでいてもよい。有機EL素子としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層の間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子、さらに陽極と発光層の間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する素子、陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子等が挙げられる。
【実施例】
【0140】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0141】
(NMR測定)
NMR測定は、化合物を重クロロホルムに溶解させ、NMR装置(Varian社製、INOVA300)を用いて行った。
【0142】
(数平均分子量及び重量平均分子量の測定)
数平均分子量及び重量平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)によりポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。測定する高分子化合物は、約0.5重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに30μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0143】
参考例1
(化合物1の合成)

アルゴン置換した(以下、フラスコ内の気体をアルゴンで置換したことを「アルゴン置換した」と記載する場合がある。)1000mLの4つ口フラスコに3−ブロモチオフェン13.0g(80.0mmol)、ジエチルエーテル80mLを入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ったままn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(2.6M、31mL、80.6mmol)を滴下した。−78℃で2時間反応させた後、3−チオフェンアルデヒド8.96g(80.0mmol)をジエチルエーテル20mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下後−78℃で30分攪拌し、さらに室温(25℃)で30分攪拌した。反応液を再度−78℃に冷却し、n−BuLiのヘキサン溶液(2.6M、62mL、161mmol)を15分かけて滴下した。滴下後、反応液を−25℃で2時間攪拌し、さらに室温(25℃)で1時間攪拌した。その後、反応液を−25℃に冷却し、ヨウ素60g(236mmol)をジエチルエーテル1000mLに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下後、室温(25℃)で2時間攪拌し、1規定のチオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを加えて反応を停止させた。ジエチルエーテルで反応生成物を抽出した後、硫酸マグネシウムで反応生成物を乾燥し、ろ過後、ろ液を濃縮して35gの粗生成物を得た。クロロホルムを用いて粗生成物を再結晶することにより精製し、化合物1を28g得た。
【0144】
参考例2
(化合物2の合成)

300mLの4つ口フラスコに、参考例1で合成したビスヨードチエニルメタノール(化合物1) 10.5g(23.4mmol)、塩化メチレン150mLを加えて均一な溶液とした。該溶液にクロロクロム酸ピリジニウム7.50g(34.8mmol)を加えて室温(25℃)で10時間攪拌した。反応液をろ過して不溶物を除去後、ろ液を濃縮し、化合物2を10.0g(22.4mmol)得た。
【0145】
参考例3
(化合物3の合成)

アルゴン置換した300mLフラスコに、参考例2で合成した化合物2を10.0g(22.4mmol)、銅粉末を6.0g(94.5mmol)、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと呼称することもある)を120mL加えて、120℃で4時間攪拌した。反応後、フラスコを室温(25℃)まで冷却し、反応液をシリカゲルカラムに通して不溶成分を除去した。その後、水500mLを加え、クロロホルムで反応生成物を抽出した。クロロホルム溶液である有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、有機層をろ過し、ろ液を濃縮して粗製物を得た。組成物をシリカゲルカラム(展開液:クロロホルム)で精製し、化合物3を3.26g得た。
【0146】
参考例4
(化合物4の合成)

アルゴン置換した200mLの4つ口フラスコに参考例3で合成した化合物3を2.27g(11.8mmol)と脱水DMF48mLを入れて均一溶液とした。フラスコを0℃に保ち、N−ブロモスクシンイミド4.86g(26.0mmol)を加えた。0℃で2時間攪拌した後、1Nのチオ硫酸ナトリウム水溶液200mLを加えて反応を停止した。クロロホルムで有機層を抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層をろ過し、ろ液を濃縮して粗製物を得た。これをシリカゲルカラム(展開液:クロロホルム)で精製し、目的の化合物4を3.88g(11.1mmol)得た。
【0147】
参考例5
(化合物5の合成)

アルゴン置換した200mLの4つ口フラスコにトリフェニル(テトラデシル)ホスホニウムブロミド0.700g(1.30mmol)と脱水テトラヒドロフラン10mLを入れて均一溶液とした。フラスコを−78℃に保ってn−ブチルリチウム(2.6Mヘキサン溶液)を0.48mL(1.25mmol)加えた。−78℃で1時間攪拌した後に、参考例4で合成した化合物4を0.350g(1.00mmol)をテトラヒドロフラン(THF)5mLに溶解させた溶液を滴下した。−78℃で3時間反応した後、水50mL加えて反応を停止し、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、ろ液の溶媒を留去した。シリカゲルカラム(溶出液:ヘキサン)で精製して化合物5を350mg(0.648mmol)得た。
【0148】
参考例6
(重合体Aの合成)

アルゴン置換した100mLフラスコに、参考例5で合成した化合物5を150mg(0.282mmol)、化合物6(4,7−bis(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−2,1,3−benzothiadiazole)(Aldrich社製)を107mg(0.276mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)を100mg加え、トルエン5mLに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、酢酸パラジウム2.0mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)10.0mg、炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%)4.0mLを加え、100℃で5時間攪拌を行った。その後、フェニルホウ酸30mgを加え、さらに100℃で2時間反応させた。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム1gと水10mLを加え、2時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水20mlで2回、酢酸水溶液(3wt%)20mLで2回、さらに水20mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエン5mLに再度溶解し、アルミナ/シリカゲルカラムを通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、精製した重合体102mgを得た。以下、この重合体を重合体Aと呼称する。GPCで測定した重合体Aのポリスチレン換算の分子量は、重量平均分子量(Mw)が8200であり、数平均分子量(Mn)が3200であった。
【0149】
実施例1
(組成物、インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板を、オゾンUV処理して表面処理を行った。次に、重合体A及びフラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61-butyric acid methyl ester、フロンティアカーボン社製)を混合し、組成物1を製造した。組成物1中、重合体Aの重量に対するC60PCBMの重量の比は3であった。該組成物1をオルトジクロロベンゼンに溶解し(重合体AとC60PCBMとの重量の合計は2.0重量%)、インク1を製造した。該インク1を用い、スピンコートにより基板上に塗布して、重合体Bを含む有機膜を作製した。該有機膜の膜厚は、約100nmであった。このようにして作製した有機膜の光吸収末端波長は865nmであった。その後、有機膜上に真空蒸着機によりフッ化リチウムを厚さ2nmで蒸着し、次いでAlを厚さ100nmで蒸着した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機薄膜太陽電池にソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO-SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定して光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)は1.91mA/cm2であり、Voc(開放端電圧)は0.59Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.49であり、光電変換効率(η)は0.55%であった。
【0150】
参考例7
(重合体Bの合成)

アルゴン置換した100mLフラスコに、化合物7(9,9−Dioctyl−2,7−dibromofluorene)(Aldrich社製)を308mg(0.560mmol)、化合物6(4,7−bis(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−2,1,3−benzothiadiazole)(Aldrich社製)を110mg(0.552mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)を200mg加え、トルエン15mLに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、酢酸パラジウム4.0mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)18.8mg、炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%)8.0mLを加え、100℃で6時間攪拌を行った。その後、フェニルホウ酸50mgを加え、さらに100℃で2時間反応させた。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム1gと水10mLを加え、2時間還流下で攪拌を行った。反応終了後、水層を除去後、トルエン層を水20mlで2回、酢酸水溶液(3wt%)20mLで2回、さらに水20mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエン5mLに再度溶解した。トルエン溶液を、アルミナ/シリカゲルカラムを通して精製し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、重合体92mgを得た。以下、この重合体を重合体Bと呼称する。GPCで測定した重合体Bのポリスチレン換算の分子量は、Mwが45000であり、Mnが21000であった。
【0151】
比較例1
(組成物、インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例1において、重合体Aの代わりに重合体Bを用いた以外は同様にして、組成物、インク及び有機薄膜太陽電池を製造した。有機膜の光吸収末端波長の測定し、有機薄膜太陽電池の短絡電流密度、開放電圧、フィルファクター、光電変換効率の測定を行ったところ、光吸収末端波長は545nmであり、Jsc(短絡電流密度)は0.07mA/cm2であり、Voc(開放端電圧)は0.80Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.43であり、光電変換効率(η)は0.03%であった。
【0152】
参考例8
(化合物8の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物5を1.00g(1.89 mmol)、脱水THFを50mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ち、該溶液に2.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液1.81mL(4.71mmol)を10分かけて滴下した。滴下後、反応液を−78℃で3時間攪拌した。その後、フラスコを−78℃に保ったまま、反応液にトリブチルスズクロリドを1.69g(5.20mmol)加えた。添加後、反応液を−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で5時間攪拌した。その後、反応液に水200mlを加えて反応を停止し、酢酸エチルを加えて反応生成物を含む有機層を抽出した。酢酸エチル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、ろ液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られたオイル状の物質を展開溶媒がヘキサンであるシリカゲルカラムで精製した。シリカゲルカラムのシリカゲルには、あらかじめ5wt%のトリエチルアミンを含むヘキサンに5分間浸し、その後、ヘキサンで濯いだシリカゲルを用いた。精製後、化合物8を1.14g(1.20mmol)得た。
【0153】
参考例9
(重合体Cの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mLフラスコに、化合物8を300mg(0.316mmol)、化合物9(4,7−dibromo−2,1,3−benzothiadiazole)(Aldrich社製)を88mg(0.299mmol)、トルエン19mlを入れて均一溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを4.33mg(0.00473mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを8.6mg(0.0284mmol)加え、100℃で5時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミドを500mg加え、さらに5時間攪拌した。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール200mLに注いだ。析出したポリマーをろ過して回収し、得られたポリマーを、円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、アセトン及びヘキサンでそれぞれ5時間抽出した。円筒ろ紙内に残ったポリマーを、o−ジクロロベンゼン100mLに溶解させ、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水50mLを加え、8時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水50mlで2回洗浄し、次いで、3wt%の酢酸水溶液50mLで2回洗浄し、次いで、水50mLで2回洗浄し、次いで、5%フッ化カリウム水溶液50mLで2回洗浄し、次いで、水50mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン50mLに再度溶解し、アルミナ/シリカゲルカラムを通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、精製された重合体185mgを得た。以下、この重合体を重合体Cと呼称する。GPCで測定した重合体Cのポリスチレン換算の分子量は、Mwが23000であり、Mnが13000であった。
【0154】
実施例2
(組成物、インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例1において、重合体Aの代わりに重合体Cを用いた以外は同様にして、組成物、インク及び有機薄膜太陽電池を製造した。有機膜の光吸収末端波長の測定し、有機薄膜太陽電池の短絡電流密度、開放電圧、フィルファクター、光電変換効率の測定を行ったところ、光吸収末端波長は865nmであり、Jsc(短絡電流密度)は3.52mA/cm2であり、Voc(開放端電圧)は0.59Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.48であり、光電変換効率(η)は1.00%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される構造単位を有する第1の化合物と、式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位のみからなる第2の化合物とを含む組成物。

(1)
〔式中、Q及びQは、同一又は相異なり、−S−、−O−、−Se−又は−N(R)−を表し、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。〕
【請求項2】
第2の化合物が、電子供与性化合物又は電子受容性化合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第2の化合物が、電子受容性化合物である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
電子受容性化合物が、フラーレン誘導体であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物を含む薄膜。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物と溶媒とを含むインク。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物又は請求項5に記載の薄膜を含む電子素子。
【請求項8】
第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有し、該活性層に請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物または請求項5に記載の薄膜を含む電子素子。

【公開番号】特開2011−116962(P2011−116962A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242051(P2010−242051)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】