説明

組成物

架橋剤で架橋したカチオン変性ポリマーであって、架橋剤が、少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪酸および少なくとも10個の炭素原子を有するアニオン性界面活性剤から選択されることを特徴とする、ポリマー。こうしたポリマーを含むパーソナルケア組成物および少なくとも2つのアニオン性基を有する架橋剤と反応させることによってポリマーを架橋する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋したポリマーを提供する。本発明はまた、架橋したポリマーを含む組成物、および架橋したポリマーを製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
EP−A−1 490 408(Lamberti)には、カチオン変性したグアーを架橋するグリオキサールの使用が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1490408号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術にかかわらず、ホルムアルデヒド、ホウ素またはグリオキサールを使用しない架橋したカチオン変性ポリマーが必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、架橋剤が、少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪酸および少なくとも10個の炭素原子を有するアニオン性界面活性剤から選択されることを特徴とする架橋剤で架橋したカチオン変性ポリマーを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
好ましくは、ポリマーは、多糖、ポリビニルアルコール、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリスチレンおよびポリウレタンから選択される。より好ましくは、ポリマーは多糖であり、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプンおよびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースである。最も好ましくは、ポリマーはグアーまたはこれらの誘導体である。
【0007】
好ましくは、脂肪酸は直鎖アルキル基を含む。これは、有効な架橋剤を提供するのに役立つ。
【0008】
最も好ましい脂肪酸はラウリン酸である。
【0009】
好ましくは、界面活性剤は直鎖アルキル基を含む。これも有効な架橋剤を提供するのに役立つ。
【0010】
好ましくは、界面活性剤はアニオン性基を含む。好ましくは、アニオン性基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、およびホスホナートから選択される。
【0011】
最も好ましい界面活性剤としては、ナトリウムデシルスルファート、ナトリウムドデシルスルファート、ナトリウムテトラデシルスルファート、1または2つのエトキシル化基を含むナトリウムラウリルエーテルスルファートが挙げられる。
【0012】
架橋は、塩の添加により逆転する。こうした塩の添加は、組成物の配合または別個のプロセスの一部に組み込まれ得る。こうしたカチオン変性ポリマーを含み得る好適な配合物としては、パーソナルケア配合物、例えばヘアケア組成物、パーソナルウォッシュ組成物、デオドラント組成物、洗濯およびオーラルケア組成物が挙げられる。
【0013】
別の組成物としては、塗料、水処理組成物およびインクジェットプリントが挙げられる。
【0014】
好適な塩としては、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム クロリド、ブロミド、ヨージド、スルファート、スルホナート、およびホスファートが挙げられる。
【0015】
架橋したポリマーは、好適な脱架橋電解質の存在下では架橋されないことを理解すべきである。
【0016】
誤解を避けるために、本発明は、少なくとも95%のポリマーが架橋した架橋ポリマー組成物に関する。または、組成物は、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%の脱架橋剤を含む。
【0017】
より好ましくは、組成物は、架橋したポリマーおよび架橋剤から本質的になる。
【0018】
第2の態様において、架橋したカチオン変性ポリマーを調製するための方法を提供する。
【0019】
こうした方法は、ポリマー水溶液中にて、本明細書で記載されるような架橋剤を反応させることを含む。
【0020】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に従って架橋したポリマーを、架橋したポリマーを含む組成物のpHを低下させることによって脱架橋する方法を提供する。
【0021】
第4の態様において、本発明は、第1の態様に従って架橋したポリマーを、架橋したポリマーを含む組成物に電解質を添加することによって脱架橋する方法を提供する。好適な電解質としては、塩化ナトリウムが挙げられる。
【0022】
第5の態様において、本発明は、第1の態様に従って架橋したポリマーを、架橋したポリマーを含む組成物にシクロデキストリンを添加することによって脱架橋する方法を提供する。
【0023】
本発明の第3、第4、および第5の態様に関して、十分な脱架橋剤を添加してポリマーを再び可溶化する。
【0024】
第6の態様において、本発明は、第4から第6の態様のいずれかに従う方法によって得られる組成物を提供する。
【実施例】
【0025】
すべての濃度は、重量%として言及される。
【0026】
溶液の調製
グアーの四級化
グアーガムをメタノールで抽出し、メタノール可溶性の油を除去する。乾燥したグアーガムを、水または水/イソプロパノール混合物(50:50)に溶解し、次いで40℃に加熱する。この溶液またはスラリーに苛性溶液を添加し、15分間撹拌する。四級化剤の4−クロロ−2−ブテニルトリメチルアンモニウムクロリドを混合物に添加し、エーテル化反応を40℃で5時間行う。反応混合物を室温まで冷却し、架橋剤であるビス−またはポリ酸、例えばポリアクリラート、またはSDSを添加した。得られた沈殿物をろ過し、空気乾燥または凍結乾燥した。
【0027】
架橋剤の全詳細を以下に示す。
【0028】
JaguarC17の1%溶液を次の手順によって調製した:
Glydant1.6gを水394.4gに溶解した後、Jaguar flower4gを電気撹拌機で撹拌しながら徐々に添加した。すべての溶液を、Jaguar flowerが完全に溶解および膨潤するまで撹拌した。溶液は、この時点で粘稠になった。それぞれ400gの3つの等価溶液を調製した。
【0029】
架橋実験に使用する化合物それぞれについて2%の溶液を調製した。規定の塩基度を有するカルボン酸を、等塩基性量の0.5M水酸化ナトリウム溶液に溶解し、架橋剤の濃度が2%になるまで水で希釈した。界面活性剤だけを水に溶解した。多電解質を、近似量の0.5M水酸化ナトリウム溶液に溶解し、2%溶液まで水で希釈した。
【0030】
表4.1に、すべての化合物の正確な量を示す。
【0031】
【表1】

表4.1:潜在的架橋剤の2%溶液を調製するための正確な量
【0032】
飽和塩化ナトリウム溶液を、NaCl40gを蒸留水100gと混合することによって調製した。混合物を6時間撹拌した。
【0033】
シクロデキストリンの2%溶液を、β−シクロデキストリンおよび(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンそれぞれ1gを蒸留水49gに溶解させることによって調製した。
【0034】
架橋
各架橋実験のために、1%のJaguar溶液のサンプル25gを調製した。異なる化合物の2%溶液3mlをこれらのサンプルと混合した。混合物のpHを測定した後、0.5M水酸化ナトリウム溶液を、pHが8から9になるまで(必要により)添加した。表4.2から4.7は、測定されたpH値および所見を示す。
【0035】
【表2】

表4.2:脂肪酸を添加し、pHを調節した後のpH値および所見
【0036】
【表3】

表4.3:界面活性剤を添加し、pHを調節した後のpH値および所見
【0037】
架橋の破壊
3つの異なる方法により、Jaguar分子間の架橋を破壊しようと試みた。
【0038】
第1の実験では、架橋した溶液のpHを、クエン酸(50%水溶液)を添加することによって、5.5付近に低下させた。この、または同様のpH値は、普通はシャンプーおよびコンディショナー配合物に使用される。
【0039】
酸性化による架橋の破壊が成功しなかった場合、飽和塩化ナトリウム溶液を、沈殿物が消失するまで、またはこれ以上の添加が妥当でないと思われるときまで滴下した。
【0040】
新しいサンプル(同様に4.2に従って調製)を用いる第3の実験において、pHを5.5付近に設定し、次いで(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリンそれぞれの2%溶液を添加した。
【0041】
表4.8に、これらの方法の値および所見を示す。
【0042】
【表4】

表4.5:解架橋の方法の値および所見
*1:β−シクロデキストリン;2:(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋剤で架橋したカチオン変性ポリマーであって、架橋剤が、少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪酸および少なくとも10個の炭素原子を有するアニオン性界面活性剤から選択されることを特徴とする、架橋したポリマー。
【請求項2】
脂肪酸が直鎖アルキル基を含む、請求項1に記載の架橋したポリマー。
【請求項3】
界面活性剤が、アルキル基と、スルファート、スルホナートおよびカルボキシラートから選択されるアニオン性部分を含む、請求項1に記載の架橋したポリマー。
【請求項4】
アルキル基が直鎖アルキル基である、請求項3に記載の架橋したポリマー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の架橋したポリマーを含むパーソナルケア組成物。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の架橋したポリマーを含むヘアトリートメント組成物。
【請求項7】
少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪酸および少なくとも10個の炭素原子を有するアニオン性界面活性剤から選択される架橋剤の存在下、水中でポリマーを反応させることによって、カチオン変性したポリマーを架橋する方法。
【請求項8】
架橋したポリマーを含む組成物のpHを低下させることによって、請求項1から3のいずれか一項に記載の架橋したポリマーを脱架橋する方法。
【請求項9】
架橋したポリマーを含む組成物に電解質を添加することによって、請求項1から3のいずれか一項に記載の架橋したポリマーを脱架橋する方法。
【請求項10】
架橋したポリマーを含む組成物にシクロデキストリンを添加することによって、請求項1から3のいずれか一項に記載の架橋したポリマーを脱架橋する方法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれかに記載の方法によって得ることができる組成物。

【公表番号】特表2011−517463(P2011−517463A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550139(P2010−550139)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052597
【国際公開番号】WO2009/112419
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】