説明

組成物

本発明は、(i)にソマトトロピンホルモン; (ii)生分解性ポリマー成分;及び(iii)解放調整剤を含む組成物を提供する。そのような組成物の調整方法及び使用もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソマトトロピンホルモンの投与のための医薬組成物に関する。
【0002】
この明細書における先に公開された文献のリスト又は考察は、その文献が最高水準の技術の一部、又は共通の一般知識であることの承認として必ずしも見なされるべきではない。
【背景技術】
【0003】
ソマトトロピンホルモンは通常、注射によって投与されなければならないが、それはソマトトロピンホルモンが他のルートによって投与される場合、十分に体に吸収されないからである。例えば、現在、ヒト成長ホルモン(hGH)による治療を必要としている患者は、再構成を必要とする凍結乾燥された製剤としたhGHを1日1回の注射で投与される。この治療計画は、患者の寿命に対して相当な影響を有しており、患者コンプライアンスに影響することを示した。ソマトトロピンホルモンの徐放性製剤は望ましく、理想的には患者の快適さ及びコンプライアンス及び製品能力の改善を提供する。
【0004】
ソマトトロピンホルモンの放出が制御され/遅延され/持続され、患者のコンプライアンス及び利便性の改善を生じさせる、ソマトトロピンホルモンの投与のための組成物を提供することは有利である。したがって、既知の投与のための組成物よりも頻繁に投与されないソマトトロピンホルモンを含む組成物を提供することが望ましい。hGHの場合、2日おき、週2回、週1回、隔週、月1回、又はより少ない頻度で投与できる組成物が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(i)ソマトトロピンホルモン、(ii)生分解性ポリマー成分、及び(iii)放出調整剤を含む固体組成物を提供する。特に明記しない限り、これは本発明の組成物として以下に言及される。
【0006】
通常、ソマトトロピンホルモン(i)は、組成物の約1から約50重量%、例えば約2から約40%、好ましくは約5から約30重量%、例えば約10から約20%の量で存在する。
【0007】
生分解性高分子成分(ii)は、通常は組成物の約5から約98重量%、例えば約25から約96.5%、好ましくは約45から約93%、例えば約60から約85%の量で存在する。
【0008】
通常は、放出調整剤(iii)は、組成物の約1から約45重量%、例えば約1.5から約35%、好ましくは約2から約25重量%、例えば約5から約20%の量で存在する。
【0009】
用語「ソマトトロピンホルモン」は、ヒト及び動物の成長ホルモンを含む、身体成長に対して刺激作用を有するあらゆるホルモンを意味する。ヒト及び動物の成長ホルモンの例は、ウシ及びブタの成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン及びヒト成長ホルモン(hGH)を含む。
【0010】
対象発明において使用されるソマトトロピンホルモンは、組換えDNA技術によって製造されてもよい。このような方法で製造されるソマトトロピンホルモンは、通常は単離され、水溶液として精製される。対象発明において、ソマトトロピンホルモンは、通常は、本発明の組成物を作るために、パウダーの形態で用いられる。
【0011】
ソマトトロピンホルモン・パウダーは、公知技術のあらゆる適切な方法を用いて、ソマトトロピンホルモン溶液から形成されてもよい。適切な方法は、フリーズドライ(凍結乾燥)、噴霧乾燥、空気乾燥、真空乾燥及び超臨界溶液技術を含むが、これに限定されるものではない。噴霧乾燥が、好ましい。
【0012】
ソマトトロピンホルモンは、単独で乾燥されるか、安定性を改善するために添加物の存在下で乾燥される。適切な添加物は、これに限定されないが、緩衝塩(例えばリン酸塩、クエン酸塩及び酢酸緩衝液);糖(例えばスクロース及びトレハロース);界面活性剤(例えばポリソルベート);アミノ酸(例えばグリシン);ポリオール(例えばマンニトール及びソルビトール);及びポリエチレングリコール。添加物の存在下でソマトトロピンホルモンを乾燥させることが好ましい。
【0013】
用語「ソマトトロピンホルモン・パウダー」は、ソマトトロピンホルモン及び場合によって添加物からなるパウダーを意味する。一般的に、添加物は、高分子成分(ii)又は放出調整剤(iii)を含まない。しかしながら、本発明の組成物に存在する少なくとも一部の放出調整剤をソマトトロピンホルモンと組み合わせることが好ましい。
【0014】
乾燥ソマトトロピンホルモン・パウダーは、好ましくはは、少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60重量%のソマトトロピンホルモンを含む。
【0015】
乾燥ソマトトロピンホルモン・パウダーは、好ましくは1nmから100μm、より好ましくは1から50μm、最も好ましくは1から20μm(例えば1から5μm)の範囲の粒径を有する。より詳細には、平均粒径(体積平均径(VMD)として表され、画像分析と組み合わせた光学顕微鏡のような技術で測定される)が、これらの範囲内にある。
【0016】
本発明の組成物に用いられる特に好ましいソマトトロピンホルモンは、ヒト・ソマトトロピンホルモン(hGH)であり、それはソマトロピンとしても公知であり、22kDaの分子量を有する。「ヒト・ソマトトロピンホルモン」又は「hGH」は、自然発生の又は合成のソマトロピン、又はその類似体(例えばソマトレム)を意味する。hGHは、一般的に本発明の組成物において固体の形態で、好ましくはスプレー乾燥パウダーとして用いられる。
【0017】
ヒト又は動物の体への導入又は関連に適したあらゆる適切な生分解性ポリマーは、本発明の組成物の成分(ii)において用い得る。好ましくは、本発明の組成物を製造するために用いられるポリマーは、パウダーの形態である。
【0018】
好ましくは、生分解性ポリマーは、直鎖、(高)分岐又は架橋モノマーのホモポリマー、ブロック及びランダムコポリマー、ポリマーブレンド及び混合物から選択される。
【0019】
適切な合成生分解性ポリマーは、「Polymeric Biomaterials」 ed. Severian Dumitriu, ISBN 0-8247-8969-5, Publ. Marcel Dekker, New York, USA, 1994に開示されるものを含む(本願明細書に援用したものとする)。本発明の組成物において用いられ得る合成生分解性ポリマーの種類の例は、下記の通りである。
【0020】
ポリ(乳酸)(PLA)、乳酸及びグリコール酸(PLGA)のポリ(グリコール酸)(PGA)コポリマー、ポリ(エチレングリコール)を伴う乳酸及びグリコール酸のコポリマー、ポリ(−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸塩)(PHB)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(プロピレン・フマル酸塩)を含むポリエステル類。
【0021】
ポリオール/ジケテン・アセタール付加重合体(HellerによってACS Symposium Series 567, 292-305, 1994(本願明細書に援用したものとする)に記載される)、及びポリ(エチレングリコール)及びポリ(ブチレンテレフタレート)に基づくもなどのポリ(エーテルエステル)マルチ・ブロックコポリマー)を含むポリ(オルソエステル)などの改変エステル。
【0022】
Journal of Biomaterials Science- Polymer Edition, 3, 315-353,1992においてTamada及びLangerによって、及びHandbook of Biodegradable Polymers, ed. Domb A.J. and Wiseman R.M., Harwood Academic Publishersの第8章においてDombによって(いずれも本願明細書に援用したものとする)記載されているような、ポリ(セバシン酸無水物)(PSA)、ポリ(カルボキシ・ビスカルボキシ・フェノキシ・フェノキシヘキサン)(PCPP)、ポリ[ビス(p−カルボキシフェノキシ)メタン](PCPM)及びそのコポリマーを含むポリ酸無水物。
【0023】
Controlled Drug Delivery Challenges and Strategies, American Chemical Society, Washington DC(本願明細書に援用したものとする)の389−403頁においてJames及びKohnによって記載されているものを含む、ポリ(アミノ酸)及びポリ(疑似アミノ酸)。
【0024】
Biotechnology and Bioengineering, 52, 102-108, 1996(本願明細書に援用したものとする)においてSchachtによって記載されている、ポリ[(ジクロロ)ホスファゼン]、ポリ[(オルガノ)ホスファゼン]、の誘導体を含むポリホスファゼン。International Journal of Pharmaceutics, 106, 255-260, 1994(本願明細書に援用したものとする)においてLloydによって記載されているものを含む、アゾ・ポリマー。
【0025】
本発明の組成物の成分(ii)において用いられ得る天然の生分解性ポリマーは、エチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含むセルロース及びその誘導体、デンプンを含む。更なる天然ポリマーは、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、アルギン酸塩、キチン、キトサン及びその誘導体を含む。
【0026】
上記の生分解性ポリマーの一つ以上の混合物は、生分解性ポリマー成分として用いられてもよい。誤解を避けるために、ポリマーの一つ以上の種類の混合物が用いられてもよく(例えばポリエステル及びポリ無水物)、及び/又は一つのクラスの一つ以上の特定のポリマーであってもよい。
【0027】
生分解性ポリマー成分は、現在のところ、好ましくはPCL、PHB、ポリ(エーテルエステル)マルチ・ブロックコポリマー、PLGA、PLA又はその組合せ、最も好ましくはPLGA、PLA、又はPLA及びPLGAの組合せを含む。
【0028】
PLGAは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である。本発明において用いられ得るPLGA中に存在する乳酸及びグリコール酸コモノマーの量は、広範囲にわたって変化しうる。PLGAは、およそ90:10からおよそ10:90、例えばおよそ75:25から25:75など、例として50:50の乳酸:グリコール酸のモル比を有してもよい。
【0029】
ポリマーの分子量は、その固有の粘度に関連する。本発明の組成物の成分(ii)において用いられる生分解性ポリマー(例えばPLGA及びPLA)の固有粘度は、一般的に、約0.1から約1.5dl/g、例えば約0.11から約1又は約0.12から約0.5など、例として約0.15から約0.30又は約0.16から約0.24である。
【0030】
現在の特に好ましい本発明の態様において、生分解性ポリマー成分はPLGA及びPLAを含む。PLGA:PLAの比率(重量)は、それら両方が生分解性ポリマー成分中に存在する場合、一般的におよそ95:5からおよそ5:95である。好ましくは、PLAよりも同じかより多くのPLGAが存在し、例えばPLGA:PLAの重量比はおよそ90:10からおよそ40:60、例えばおよそ85:15からおよそ50:50など、例としておよそ75:25頃からおよそ60:40である。
【0031】
理論によって縛られなければ、体に注射される場合、生分解性ポリマー成分が本発明の組成物の「バースト放出」を低減させるのに役立つと考えられる。「バースト放出」とは、標準溶出試験(例えば本明細書に記載されているように)を用いて、インビボでの投与又はインビトロでの溶解に続いて、直ちに又は実質的に直ちに(例えば約1時間以内で)放出される、組成物中のソマトトロピンホルモンの総量の割合として、ソマトトロピンホルモンの量を意味する。
【0032】
一般的に、本発明の組成物のバースト放出は約80%未満であり、好ましくは70、60、50、40、30、20又は10%未満である。
【0033】
生分解性ポリマー成分は、「バースト」に続くソマトトロピンホルモンの放出を制御/持続/遅延するのに役立つとも考えられる。事実、場合によって、バーストに続くソマトトロピンホルモンの放出は、生分解性ポリマーのみを用いると、遅くなり過ぎると思われる。本発明の組成物の放出調整剤は、バーストに続くタンパク質の放出率を増加させるのに役立つと考えられる。
【0034】
理論によって縛られなければ、放出調整剤がより緊密にソマトトロピンホルモンと生分解性ポリマー成分とを混合することができると考えられる。適切な放出調整剤は、両親媒性特性を有するオリゴマー又はポリマーを含む。一般的に、放出調整剤は、親水性成分及び疎水性成分を有する。そのような放出調整剤の一つ以上は、対象発明の放出調整剤(iii)に含まれうる。
【0035】
放出調整剤は、一般的に約200から約30000のDa又は約250から約20000、例えば約300から10000など、例として約400から6000の分子量を有する。放出調整剤は、室温で、固体(例えばパウダー)又は液体であってもよい。
【0036】
適切な放出調整剤には、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒドロキシ脂肪酸エステル、ピロリドン又はポリエーテルのオリゴマー又はポリマー、中鎖及び長鎖トリグリセリド、ポロクサマー、リン脂質、その誘導体及びその混合物が含まれる。
【0037】
加工助剤としての用途に適切な脂肪酸は、6から40、好ましくは9から30、最も好ましくは11から18までの炭素原子を含む、直鎖状及び環状(好ましくは直鎖状)の、飽和及び不飽和脂肪酸を含む。飽和脂肪酸は、nが7から40、好ましくは9から30、最も好ましくは11から18までの、一般式C2nを有する。不飽和脂肪酸は、nが7から40、好ましくは9から30、最も好ましくは11から18までの、一般式C2n−2又はC2n−4又はC2n−6を有し得る。4つ以上の二重結合を伴う不飽和脂肪酸もまた用い得る。場合によって、脂肪酸はヒドロキシル化されてもよい(例えば12−ヒドロキシステアリン酸)。ヒドロキシ基(一又は複数)は、他の脂肪酸と更にエステル化されてもよい(すなわち脂肪酸オリゴマー又はポリマー)。不飽和脂肪酸はcis−又はtrans−構成であってもよく、両方の構成の混合が用いられてもよい。
【0038】
好ましい脂肪酸の例は、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、カプリル酸及びカプリン酸を含む。これら及び前述のいずれかの脂肪酸を含むオイルもまた加工助剤として用いられてもよい(例えば綿実油、ゴマ油及びオリーブ油)。
【0039】
適切な脂肪酸誘導体(例えばエステル)は、上に定義した脂肪酸及びヒドロキシル脂肪酸から誘導されるものを含む。好ましい脂肪酸エステルは、例えばポリエチレングリコール(PEG)モノエステル及び脂肪酸のジエステルなどの、脂肪酸のモノエステル及びジエステル、及びその誘導体である。適切なPEGは、2から200のモノマー単位、好ましくは4から100のモノマー単位、例えば10から15のモノマー単位を有するものを含む。例として、様々なPEG鎖長、例えばステアリン酸ポリオキシル40(CrodetS40、Croda)及びPEG−8ジステアリン酸塩(Lipopeg4−DS、Adina)などの利用可能なPEGステアリン酸塩及びPEGジステアリン酸塩を含む。
【0040】
本発明の方法に用いられる特に好ましい脂肪酸エステルは、Solutol(登録商標)HS15であり、BASFから入手できる。Solutol(登録商標)は、12−ヒドロキシステアリン酸のポリグリコールモノ及びジエステルと、約30%の遊離ポリエチレングリコールからなり、約14及び16間の親水‐親油性バランスを有する両親媒性物質である。
【0041】
脂肪酸誘導体の更なる例は、例えば「Tween」化合物(例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノ・オレイン酸剤(別名Tween80))などのポリオキシエチレン・ソルビタン化合物とエステル化された脂肪酸、及び例えば「Span」化合物(例えばソルビタン・モノ・オレイン酸(別名Span80))などのソルビタン化合物とエステル化した脂肪酸を含む。
【0042】
適切なピロリドンは、2−ピロリドン及びN−メチル−2−ピロリドンを含む。
【0043】
適切なポリエーテルには、2から10の炭素原子を含むモノマーを含むもの、好ましくはポリエチレングリコール(PEGs)及びポリプロピレングリコール(PPG)が含まれる。
【0044】
適切なトリグリセリドは、飽和及び不飽和の、中鎖及び長鎖の、モノ−、ジ−及びトリ−グリセリドを含む。
【0045】
一般的に、中鎖の、モノ−、ジ−及びトリ−グリセリドは、R、R及びRが独立してH又は−C(O)(CHCH(n=6から8)であり、R、R及びRの全てがHではない化学式(CHOR)(CHOR)(CHOR)を有する。好ましい中鎖モノ−、ジ−及びトリ−グリセリドは、主にカプリル酸及びカプリン酸の飽和脂肪酸のエステルの混合物からなる(例えばCrodamol GTC/C(Croda)、Miglyol810、Miglyol812、NeobeeM5)。
【0046】
一般的に、長鎖モノ−、ジ−及びトリ−グリセリドは、R、R及びRが独立してH又は−C(O)(CHCH(m=7から17)であり、R、R及びRの全てがHではない化学式(CHOR)(CHOR)(CHOR)を有する。好ましい長鎖モノ−、ジ−及びトリ−グリセリドは、Witepsolである。
【0047】
ポロクサマーは、現在のところ、放出調整剤の特に好ましい群である。ポロクサマーは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのブロックコポリマーである。それらは、aが一般的に2から130であり、bが一般的に15から67である、一般式HO(CO)(CO)(CO)Hを有する。
【0048】
いくつかの異なる型のポロクサマーは、例えばBASFなどの供給源から商業的に入手でき、分子量及びエチレンオキサイド「a」単位及びプロピレンオキサイド「b」単位の比率に関して異なる。対象発明の放出調整剤として用いるのに適切なポロクサマーは、一般的に2,500から18,000、例えば7,000から15,000Daの分子量を有する。対象発明における使用に適切な市販のポロクサマーの例は、ポロクサマー188(構造的に80の「a」単位及び27の「b」単位を含み、7680から9510の分子量を有する)及びポロクサマー407(構造的に101の「a」単位及び56の「b」単位を含み、9840から14600の分子量を有する)を含む(Handbook of Pharmaceutical Excipients, editor A. H. Kippe, third edition, Pharmaceutical Press, London, UK, 2000、本願明細書に援用したものとする)。
【0049】
さらなる任意の成分が本発明の組成物に含まれ得る。例えば、無機塩(例えば炭酸亜鉛及び炭酸マグネシウムなど)が添加されてもよい。ある態様では、そのような塩は、本発明の組成物に含まれない。
【0050】
本発明の組成物は、一般的に固体、好ましくはパウダーの形態である。成分(i)、(ii)及び(iii)の組合せが、皮下投与のための既知のソマトトロピンホルモン含有組成物と比較して改良された粒子特性を有するソマトトロピンホルモン含有組成物をもたらしたと考えられる。
【0051】
本発明の組成物は微小粒子の形態であってもよく、そのような微小粒子は好ましくは比較的均一のサイズを有する。そのような微小粒子は、本発明の微小粒子として以下に言及されてもよい。
【0052】
微小粒子は、一般的に、約10から約500μm、好ましくは約20から約200又は250μm、より好ましくは約30から約150μm、さらに好ましくは約40から100μm、例えば約50から約80μmの、体積平均径(VMD)として表される平均粒径を有する。微小粒子の体積平均径は、公知技術の技術(例えばレーザー回折)で測定することができる。
【0053】
一般的に、微小粒子のわずか10%が上述のそれぞれの径の範囲の下限未満の直径(D10%)を有し、粒子の少なくとも90%が上述のそれぞれの径の範囲の上限を越えない直径(D90%)を有する。
【0054】
本発明の微小粒子は、その横断切片の解析によって決定され得る形態学によって特徴づけられてもよい。
【0055】
本発明の微小粒子は、一般的に、比較的滑らかな表面及び先行技術の超臨界流体法によって製造される微小粒子のそれより低い表面積を有してもよい。
【0056】
本発明の微小粒子のための理想的な平均表面積(IASA)は、以下の方程式を用いて、体積平均径(VMD)を基に算出することができる。
【0057】
IASA=4(π)r
rは体積平均半径(つまりVMDの半分)である。
【0058】
もちろん、この計算は、微小粒子が球体であると仮定している。理想的には、本発明の微小粒子は球体である。しかしながら、製造される微小粒子の全てが球形であるとは考えにくい(それらが実質的に球形ではあるが)。さらに、本発明の方法によって製造される微小粒子の表面は、一般的に以前用いられた方法によって製造された微小粒子のそれよりも滑らかであるにもかかわらず、粒子の全てが滑らかな表面を有するわけでない。
【0059】
これは、4(π)rが本発明の微小粒子の生じうる最も低い表面積であることを意味する。本発明の微小粒子は一般的に、約4(π)rから約10,000×4(π)r、好ましくは約4(π)rから約1000×4(π)r、より好ましくは4(π)rから約100×4(π)r、例えば4(π)rから約10×4(π)rの表面積を有する(rはVMDの半分である)。
【0060】
先に示されるように、成分(i)、(ii)及び(iii)の組み合わせにより、既知の投与のためのソマトトロピンホルモン含有組成物と比較して、成分がより緊密に混合されたソマトトロピンホルモン含有組成物がもたらされたと考えられる。言い換えると、本発明の組成物は、既知のソマトトロピンホルモン含有組成物の特徴である分相化された混合物に対して、「真性混合物」であると考えられる。
【0061】
「真性混合物」とは、組成物が外気温度において溶剤を含まない一回の工程で十分に混合され、驚くほど良好な徐放性プロファイルをもたらすという意味を含む。
【0062】
ソマトトロピンホルモン含有組成物が真性混合物であるか分相化された混合物であるかは、示差走査熱量測定(DSC)によって決定することができる。これは、以下に更に詳細に説明される。
【0063】
成分(ii)の生分解性ポリマーそのもの又はそれぞれは、ガラス転移点(T)、融解温度(T)又はT及びTmの両方を有する。固体である場合、放出調整剤を構成する成分(iii)そのもの又はそれぞれは、ガラス転移点(T)又は融解温度(T)を有する。
【0064】
良く混合された組成物において、生分解性ポリマー成分のTそのもの又はそれぞれは、DSCで示されるように、放出調整剤そのもの又はそれぞれのTと(一つのTを示すように)合併する傾向がある。これに対し、先行技術における典型的な分相化された混合物において、生分解性ポリマー成分そのもの又はそれぞれのTは、DSCで示されるように、放出調整剤そのもの又はそれぞれのTとは異ったままの傾向がある。
【0065】
同様に、組成物がそれぞれTを有する二以上の生分解性ポリマーを有する成分(ii)を含む場合、生分解性ポリマー成分のそれぞれTは、DSCで示されるように、(一つのTを示すように)お互いに合併する傾向がある。対照的に、対応する分相化された混合物における生分解性ポリマー成分のそれぞれのTは、DSCで示すように、それぞれの異ったままの傾向がある。
【0066】
放出調整剤がTを有する場合、Tは本発明の良く混合された組成物では見えなくなる傾向があり、DSCで示すように、対応する分相化された組成物においては明白である。
【0067】
本発明の組成物の成分の驚くほど有利な組合せの結果として、「真性混合物」又は上記の緊密混合物は、単に成分を共に混合することによって達成され得る。
【0068】
したがって、本発明はソマトトロピンホルモン含有組成物を調製する方法を提供し、その方法は均一の混合物を提供するために(i)ソマトトロピンホルモン、(ii)生分解性ポリマー成分及び(iii)放出調整剤を共に混合することを含む。特に明記しない限り、これは本発明の方法として以下に言及される。
【0069】
本発明の方法の利点は、処理工程が最低限に保たれており、それによってソマトトロピンホルモンの完全性及び生物学的活性が保存される。
【0070】
本発明の方法の混合工程は、あらゆる適当な手段によって達成され得る。ソマトトロピンホルモン含有パウダーがフリーズドライによって製造される場合、その粒径は不均一でもよく、十分に定義されなくてもよい。したがって、組成物を調製する前に、ソマトトロピンホルモン・パウダーは、好ましくは明確な大きさの粒子を製造するための過程をたどる。粒径を減少するための方法は、当業者に周知である。好ましいソマトトロピンホルモン・パウダーの大きさを減少するための方法には、製粉(milling)が含まれる。粒径は、例えば篩過などの標準技術を用いて調節することができる。
【0071】
ソマトトロピンホルモンの分解を最小にするために、粒径減少は、好ましくは低い剪断力を用いて及び/又は低温で行われる。多数の型の入手可能な製粉機があり、これらはPharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms, J. T. Carstensen, Technomic, Lancaster, PA, 1993の2章、及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Lipincott, Williams and Wilkins, Baltimore, 2000の第37章(いずれも本願明細書に援用したものとする)などの文献に広く記載されている。
【0072】
小規模で均一のパウダー混合物を調製するために、乳棒及び乳鉢及び/又は篩が適切であるが、機械的ミキサーはより大規模な製造のために必要とされる。多数の型の入手可能なミキサーがあり、これらは例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Lipincott, Williams and Wilkins, Baltimore, 2000の第37章(本願明細書に援用したものとする)などの文献に広く記載されている。
【0073】
本発明の組成物を調製するための別の方法は、噴霧乾燥、コアセルベーション及び超臨界流体法を含む。
【0074】
噴霧乾燥法において、ソマトトロピンホルモン、生分解性ポリマー成分及び放出調整剤を含む水性懸濁液は、パウダーを製造するために水の急速な蒸発を生じる熱気流に吹き付けられる。製薬の噴霧乾燥に関する更なる詳細は、Broadhead et al., Drug Dev. Ind. Pharm., 18, 1169-1206, 1992において見出される。
【0075】
好ましくは、本発明の方法は、超臨界流体法によって調製される。
【0076】
したがって、本発明の組成物は、以下の工程を含む方法によって得ることができる:
a.ソマトトロピンホルモン、ポリマー又はその前駆体及び放出調整剤の混合物を、超臨界状態の液体を維持するのに必要な温度及び圧力条件下でポリマーを増大することが可能な超臨界溶液と接触させる;
b.液体が超臨界状態で維持されるように温度及び圧力条件を維持する間、超臨界溶液がポリマーを浸透及び液化するようにする;
c.組成物を沈殿するように圧力を解放する。
【0077】
これは、本発明の超臨界流体法として以下に言及される。
【0078】
この方法によって製造される組成物において、ソマトトロピンホルモンは、実質的に不変の化学形態であり、場合によって実質的に不変の物理的形態である。
【0079】
この方法は、好ましくは実質的に付加的な担体又は溶媒がない状態で行われる。より好ましくは、この方法は付加的な担体又は溶媒がない状態で行われる。
【0080】
理論によって縛られることを望まない場合、付加的な担体及び溶媒の欠如が、ホルモンが本発明の方法の間、化学形態、及び好ましくは物理的形態においても実質的に不変であることを確認するのに役立つと考えられる。これは、ホルモンがその活性/能力を保持することを意味する。
【0081】
本発明の超臨界流体法の工程bにおいて、ポリマーは膨張する。これは超臨界溶液がポリマーに溶解又は浸透し、ポリマーの融点の低下を導くことを意味する。ポリマーの融点の低下は、融点以下の温度で液化する(つまり溶解することなく液体になる)ことを可能にする。したがって、ポリマー及び超臨界溶液が、溶液は膨張するがポリマーを溶解しないように選択されることは重要である。例えばShine、Polymers and Supercritical Fluids in Physical Properties of polymers Handbook, 249-256 (passim) (James E Mark ed. 1993):第18章などの文献(本願明細書に援用したものとする)は、ポリマー及び超臨界溶液の適切な組合せを決定するために用いることができる。
【0082】
工程bにおいて、混合物は混合又は混ぜられてもよいが、必須ではない。例えば関連するずり流動化を伴う振動、例えば通気又は流動化ガスフロー、撹拌等、より好ましくは米国特許第5,548,004号(Ferro Corp)の方法(その内容は本願明細書に援用したものとする)などの公知技術の方法を用いて達成され得る。
【0083】
工程bは、一般的に1分から数時間(例えば5分から3時間)にわたって行われ、約30分から2時間の期間(例えば約1時間)が好ましい。
【0084】
超臨界条件の適用前又はその間などあらゆる所望の順番において、この方法で用いられる構成要素は組み合わせられてもよい。例えば工程aの前に、ポリマー及びホルモン、場合によって放出調整剤が混合されてもよい。特定の、限定しない例として、ホルモンは凍結乾燥技術を用いてポリマーと混合されてもよい。この方法を用いることで、ホルモンがポリマーの表面上に分散されるポリマー及びホルモンの混合物を製造することができる。
【0085】
本発明の(超臨界液体)方法は、バッチ方式又は連続法として行われてもよい。
【0086】
工程cは、公知技術のあらゆる適切な方法を用いて行われ得る。例えばインサイチューで、その方法が行われる圧力容器を減圧し、同時あるいは別々に混合するのを中止することによって。あるいは、その方法が行われる圧力容器の内容物は、より圧力の低い第二の圧力容器に放出され、既知の手段により先に定義されたポリマーの均一な多孔性パウダーが得られる。液体窒素に噴霧することを含む方法もまた用いることができる。
【0087】
工程cは、ガスを取り除くための技術を用いて行うことができ、それは噴霧乾燥技術に類似している。これらの技術に適した装置及びその技術そのものは、周知である。
【0088】
工程cは、組成物の大きさの調節を容易にするために用いることができる。一般的に、混合された混合物は、混合容器から(超臨界条件下)、ノズル又はオリフィスのようなものを通して別の容器に移される(超臨界条件下ではなく、例えば大気条件下)。ノズル又はオリフィスの開口の大きさは、粒子の大きさを調整するために選択的に調節できる。混合された物質が超臨界溶液から除去される条件及び除去される速度を変化させることは、その粒径にも影響を及ぼすことができる。
【0089】
工程cにおいて、圧力は1秒から数日の画分の期間にわったて解放することができる。現在では、急速に圧力を解放するのが好まれる。急速とは、5分以下、より好ましくは1分以下、より好ましくは1秒以下、例えば1秒の半分以下の期間を意味する。
【0090】
本発明で用いられる超臨界溶液は、超臨界状態に至り得るあらゆる液体であり得る。その分野において既知であるように、そのような液体は、液状と蒸気領域との間の平衡線が消える臨界点まで、温度及び圧力条件にさらされてもよい。超臨界溶液は、ガス及び液状のような特性によって特徴づけられる。特に、あらゆる培地の粘性、表面張力及び液体拡散速度がガスのそれらに似ており、培地の浸透性をガスのようにするのに対して、流体密度及び溶解性特性は液体のそれらに似ている。
【0091】
用いられ得る超臨界溶液には、二酸化炭素、一酸化二窒素、二硫化炭素、四フッ化炭素又はエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、エチレンなどの脂肪族のC2−10炭化水素及びそのハロゲン化誘導体(例えば四フッ化炭素又は塩化炭素及び一塩化炭素三フッ化物)、フルオロホルム又はクロロホルム、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどのC6−10芳香族化合物、メタノール及びエタノールなどのC1−3アルコール、六フッ化硫黄などの硫黄ハロゲン化物、アンモニア、キセノン、クリプトンなどが含まれる。好ましくは、液体は、二酸化炭素のみ、又は上記の液体の一つ以上の組み合わせである。
【0092】
場合によって、超臨界溶液は、アセトン又はアルコールなどの共存溶媒を含んでもよい。
【0093】
一般的に、これらの液体は、約0から約300℃の温度及び約7×10Nm−2から約1×10Nm−2の圧力、好ましくは約12×10Nm−2から約8×10Nm−2(7−1000バール、好ましくは12−800バール)の超臨界条件に至り得る。
【0094】
液体の選択がポリマーの性質を含む種々の因子に依存することはいうまでもない。ポリマーの性質は、超臨界溶液の選択において特に重要である。混合物への圧力が解放される場合、液体が混合物の総容積の圧倒的大部分を占めるように(一般的に総容積の90%以上)、その液体は、充分な程度までポリマーを増大しなければならない。実際の問題として、液体が高密度(つまり、大気の温度及び圧力における密度より非常に大きい)の適切な組合せ及びポリマーの高溶解度を有することを意味する。
【0095】
本発明の方法で用いられる超臨界溶液の量は、広い範囲で変化し、例えばポリマーの性質及び反応器の性質などの因子に依存し得る。
【0096】
本明細書で用いられるように、用語「超臨界溶液」は、ほぼ超臨界の溶液を含むことは理解されるべきである。それは、臨界温度以下であるが、真の超臨界溶液と同じ性質の多くを示す高圧縮の液体である。それに応じて、用語「超臨界状態」は、ほぼ超臨界の状態を含むと考えられる。
【0097】
本発明の方法で用いられるさらなる成分は、これに限定されないが、イニシエーター、アクセラレーター、硬化剤、スタビライザー、抗酸化剤、付着促進剤、充填材などを含み、ポリマーの範囲内に包含される。マーカー及びタグなどは、既知の技術に従って、組成物の投与又は消費を追跡又は検出するために組み込まれてもよい。
【0098】
付着促進剤をポリマー組成物に導入することが望まれる場合、促進剤は、先に定義された液体の存在下又は非存在下で、単純混合、噴霧又は他の既知の被覆技術などの手段によって、ポリマー組成物に導入される前にホルモンの粒子を浸透又は被覆するために用いられる。好ましくは、コーティングは、先に定義された液体との混合と共に行われる。例えば、付着促進剤は、先に定義された液体及び先に定義されたホルモンと接触させた溶液に溶解してもよい。あるいは、付着促進剤は、混合及び/又は重合工程の間、オートクレーブに導入され、それにより所望の方法で生物活性物質粒子に付着する。
【0099】
ホルモンは、その性能又はその機械的性質を増強するのに適したあらゆる適切な物質を伴うポリマーへの取り込み前、またはその間に処理されてもよい。ホルモンは、例えば、ポリマーへの付着を促進するのに適している結合剤、超臨界溶液全体にわたって懸濁液として分散を増加させるために、ポリマー全体にわたって分散を増加させ、会合体形成を妨ぐことができる分散剤、インサイチューなどであらゆる生物機能的作用を促進する活性化因子などの成分と共に処理されてもよい。
【0100】
好ましい付着促進剤は、先に定義された液体に可溶である。これは、微小粒子が超臨界溶液から取り除かれる場合、ホルモン又はポリマーに結合しないあらゆるプロモーターの残渣が取り除かれることを意味する。
【0101】
皮下、筋肉内、腹腔内、経鼻、局所的及び肺経路(吸入によって)で投与できるように、本発明の組成物は製剤化されてもよい。皮下及び筋肉内投与が好ましい。
【0102】
したがって、本発明は、皮下、筋肉内、腹腔内、経鼻、肺及び局所投与のための製剤を提供し、該製剤は(i)ソマトトロピンホルモン、(ii)生分解性ポリマー成分、(iii)放出調整剤及び(iv)製薬的に許容可能な担体を含む。
【0103】
投与様式に従い、あらゆる製薬的に許容可能な担体が用いられ得る。例えば、製薬的担体は、本発明の組成物を懸濁させた脱イオン水又は緩衝溶液(例えば3%w/vカルボキシメチルセルロース、1mMリン酸塩の0.9%w/v塩化ナトリウム)であってもよい。そのような製剤は、皮下、筋肉内又は腹腔内、好ましくは皮下又は筋肉内に投与されてもよい。
【0104】
組成物は、デポー製剤のように、皮下又は筋肉内に投与されてもよい。この製剤において、製薬的に許容可能な担体は、一般的に油(例えばゴマ油)、固体又は移植組織である。
【0105】
組成物は、例えば損傷の治癒を容易にするために、損傷の上など局所的に投与されてもよい。この製剤において、製薬的に許容可能な担体は、クリーム、ゲル、ペースト、スプレー、懸濁液であってもよい。あるいは、本発明の組成物は、製薬的に許容可能な担体なしで、パウダー、微小粒子又は顆粒として局所的に投与されてもよい。
【0106】
本発明の組成物は、ヒト又は動物の身体の成長を促進するために用いられてもよい。
【0107】
本発明の組成物は、例えば乳又は肉の生産を増加させるためなど、成長を促進するために動物(例えば家畜)に投与されてもよい。
【0108】
ヒト成長ホルモンは、ヒト成長遅延、成長ホルモン欠損症、又は、HIVに関連する消耗及びカヘキシー(例えばHIV関連脂肪再分布症候群(HARS))を治療及び/又は予防するために投与されてもよい。
【0109】
成長遅延は、不十分なソマトトロピンホルモン欠損、ターナー症候群、又は慢性腎不全によって生じ得る。
【0110】
本発明は、以下の限定されない実施例に例示される。
【実施例】
【0111】
実施例1
Hospira(Adelaide)から入手可能なhGHは、重炭酸アンモニウム溶液の形態であり、以下のように生分解性ポリマー及び放出調整剤と組合せる前に、(Maa et al, J. Pharm. Sci., no. 2, page 152 (1998)、文献として本明細書に援用されたにて記載されるように)スプレー乾燥される。
【0112】

【0113】
PLGA(RG502H)は、Boehringer Ingelheimから得られ、0.16−0.24dL/g及び乳酸の固有粘度、及び50:50の乳酸:グリコール酸の比率を有する。PLA(R202H)は、Boehringer Ingelheimから得られ、0.16−0.24dL/gの固有粘度である。
【0114】
スプレー乾燥hGH及び賦形剤は、高圧混合容器中に入れられ、scCO(>76バール/32°C)を用いて液化され、1時間混合された。ノズルを通して混合物を噴霧することは、hGHを含むPLGA微小粒子を産生した。製剤化された薬剤のカプセル化効率は98±3%であり、認識可能なhGHの凝集はなかった。
【0115】
実施例2
インビトロでの放出は、エッペンドルフチューブ中のそれぞれの組成物の3つの試料の重さを量り、10mMHEPES、pH7.4、100mMNaCl、0.1%Tween20及び0.1%NaNからなるバッファー中に懸濁させることによって評価した。試料は、10rpmに設定されたローテーターミキサー上に置かれ、37℃でインキューベートされた。様々な時点で、放出培地はサンプリング及び交換され、European Pharmacopoeia(本願明細書に援用したものとする)に記載されるSEC法を用いてhGH含有量が定量された。
【0116】
比較組成物1〜4の結果は、図1に示すように確定される。PLGA含有量を増加させることによって、バースト放出は減少したが、後の放出速度は所望するものよりも遅かった。
【0117】
本発明の組成物5及び6の結果を図2に示す。異なるポロクサマーを導入することによって、バースト放出が制御され、後の放出速度が修正された。
【0118】
実施例3
実施例1に記載されている組成物5及び6は、0.5%w/vカルボキシメチルセルロース、0.9%w/v塩化ナトリウムの1mMリン酸緩衝液からなる再懸濁バッファー中に懸濁され、2つの群のカニクイザルに皮下投与によりインビボで一度投与され、毎日1回の用量7回の即時放出hGH(上記した再懸濁ビヒクル中に溶解されたスプレー乾燥hGH)と比較した。血清hGHレベルは、投与後に7日間、1日ごとに酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)によって決定された。結果は、図3に例示される。
【0119】
本発明の組成物の初期の解放は即時放出可溶性製剤と同等であり、1日1回の投与と比較して、持続的血清中濃度が上昇した。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】hGH放出に対するPLGA:PLA混合物の効果。インビトロデータは平均±1標準偏差を表す(n=3)。
【図2】hGH放出に対する異なるポロクサマーの効果。インビトロデータは平均±1標準偏差を表す(n=4バッチ)。
【図3】本明細書に記載される2つの放出制御hGH組成物の1回投与後の血清レベル(ng/ml)。これらを可溶性hGH製剤の連日投与と比較した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ソマトトロピンホルモン;(ii)生分解性ポリマー成分;及び(iii)放出調整剤を含む、固体組成物。
【請求項2】
ソマトトロピンホルモンが組成物の約1から約50重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
生分解性ポリマー成分が組成物の約1から98重量%を構成する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
放出調整剤が組成物の約1から45重量%を構成する、請求項1ないし3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ソマトトロピンホルモンがヒト成長ホルモン(hGH)である、請求項1ないし4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が約10から約500μm、好ましくは約40から100μmの体積平均径(VMD)を有する粒子の形態である、請求項1ないし5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
生分解性ポリマー成分が(i)ポリエステル、改変ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリホスファゼン、それらの混合物及びそれらの誘導体、及び/又は(ii)天然の生分解性ポリマー成分を含む、請求項1ないし6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
生分解性ポリマー成分がポリエステルを含む、請求項1ないし7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
生分解性ポリマー成分がポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)又はその混合物を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
生分解性ポリマー成分がPLGA及びPLAをおよそ95:5からおよそ5:95のPLGA:PLAの重量比で含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
放出調整剤が脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒドロキシ脂肪酸エステル、ピロリドン又はポリエーテルのオリゴマー又はポリマー、中鎖又は長鎖トリグリセリド、ポロクサマー、リン脂質、それらの誘導体及びそれらの混合物から選択される、請求項1ないし10の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
放出調整剤がポロクサマーを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
放出調整剤がポロクサマー188、ポロクサマー407又はそれらの混合物を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
微小粒子の形態である、請求項1ないし13の何れか一項に記載の組成物。
【請求項15】
微小粒子が約4(π)rから約1000×4(π)rの表面積を有し、rが体積平均径の半分である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
示差走査熱量測定によって決定される真性組成物である、請求項1ないし15の何れか一項に記載の組成物。
【請求項17】
均一な混合物を提供するために、(i)ソマトトロピンホルモン、(ii)生分解性ポリマー成分及び(iii)放出調整剤を共に混合することを含む、ソマトトロピンホルモンを含む組成物の調整方法。
【請求項18】
hGHがスプレー乾燥パウダーの形態である、請求項18に記載の組成物。
【請求項19】
混合が超臨界流体法を含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
a.ソマトトロピンホルモン、ポリマー又はその前駆体及び放出調整剤の混合物を、超臨界状態の液体を維持するのに必要な温度及び圧力条件下でポリマーを増大することが可能な超臨界溶液と接触させる;
b.液体が超臨界状態で維持されるように温度及び圧力条件を維持する間、超臨界溶液がポリマーを浸透及び液化するようにする;
c.組成物を沈殿するように圧力を解放する、
ことを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1ないし16の何れか一項に定義される組成物、及び場合により製薬的に許容可能な担体を含む、皮下、筋肉内、腹腔内及び局所投与のための製剤。
【請求項22】
薬として使用するための、請求項1ないし16の何れか一項に記載の組成物又は請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
ヒト又は動物の患者に対して請求項1ないし16の何れか一項に記載の組成物又は請求項21に記載の製剤を投与することを含む、ヒト又は動物の身体の成長を促進するため、ヒト成長遅延、成長ホルモン欠損症又はHIVに関連する消耗及びカヘキシーを治療及び/又は予防するため方法。
【請求項24】
ヒト又は動物の身体の成長を促進するため、ヒト成長遅延、成長ホルモン欠損症又はHIVに関連する消耗及びカヘキシーを治療及び/又は予防するための、請求項1ないし16の何れか一項に記載の組成物又は請求項21に記載の製剤。
【請求項25】
ヒト又は動物の身体の成長を促進するため、ヒト成長遅延、成長ホルモン欠損症又はHIVに関連する消耗及びカヘキシーを治療及び/又は予防するための医薬を製造するための、請求項1ないし16の何れか一項に記載の組成物又は請求項21に記載の製剤の使用。
【請求項26】
成長遅延が不十分なヒト成長ホルモン欠損、ターナー症候群又は慢性腎不全によって生じる、請求項23ないし25の何れか一項に記載の方法、組成物、製剤又は使用。
【請求項27】
HIVに関連する消耗及びカヘキシーがHIV関連脂肪再分布症候群(HARS)である、請求項23ないし25の何れか一項に記載の方法、組成物、製剤又は使用。
【請求項28】
本明細書に記載される、あらゆる新規な組成物又は製剤。
【請求項29】
実施例に関して本明細書に記載される、あらゆる新規な組成物又は製剤。
【請求項30】
本明細書に記載される、あらゆる新規な方法。
【請求項31】
実施例に関して本明細書に記載される、あらゆる新規な方法。
【請求項32】
本明細書に記載される、あらゆる新規な方法又は使用。
【請求項33】
実施例に関して本明細書に記載される、あらゆる新規な方法又は使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−527329(P2011−527329A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517233(P2011−517233)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001727
【国際公開番号】WO2010/004299
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511008779)クリティカル ファーマシューティカルズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】