組換えα−L−イズロニダーゼ、その生成及び精製方法及びその欠失により引き起こされる疾病の処理方法
【課題】新規な組換えα−L−イズロニターゼ酵素組成物の提供。
【解決手段】配列番号2の組換えα−L−イズロニターゼ酵素、又は配列番号2の配列を有する組換えα−L−イズロニターゼ酵素に対して同じか又は類似する生物学的活性を有する配列番号2の生物学的活性フラグメント又は配列番号2の配列を有する組換えα−L−イズロニターゼ酵素に対して同じか又は類似する生物学的活性を有する配列番号2の生物学的活性変異体を含んで成り、そして99%に等しいか又はそれ以上の純度を有する組換えα−L−イズロニターゼ酵素調製物を含む医薬組成物。
【解決手段】配列番号2の組換えα−L−イズロニターゼ酵素、又は配列番号2の配列を有する組換えα−L−イズロニターゼ酵素に対して同じか又は類似する生物学的活性を有する配列番号2の生物学的活性フラグメント又は配列番号2の配列を有する組換えα−L−イズロニターゼ酵素に対して同じか又は類似する生物学的活性を有する配列番号2の生物学的活性変異体を含んで成り、そして99%に等しいか又はそれ以上の純度を有する組換えα−L−イズロニターゼ酵素調製物を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学、酵素学、生化学及び臨床医学の分野に関する。特に、本発明は、ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ(α−L−iduronidase)、商用銘柄のヒト組換えα−L−イズロニダーゼ酵素の大規模生成及び精製方法、及び一定の遺伝子疾患、例えばα−L−イズロニダーゼ欠失及び1型コム糖症(MPS I)の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭水化物は、生存生物の機能において多くの重要な役割を演じる。それらの代謝役割の他に、炭水化物は、多くの他の実在物、例えばタンパク質及び脂質に共有結合されるヒト身体の構造生物(糖接合体を呼ばれる)である。例えば、ヒト結合組織及び細胞膜は、タンパク質、炭水化物及びプロテオグリカンマトリックスを含んで成る。このプロテオグリカンマトリックスの炭水化物部分は、身体構造に重要な性質を提供する。
【0003】
炭水化物−分解性リソソーム酵素α−L−イズロニダーゼの遺伝子欠失は、I型ムコ多糖症(MPS I)として知られているリソソーム貯蔵障害を引き起こす(Neufeld abd Nyebzer, pp. 1565-1587, The Metabolic Basis of Inherited Disease, Eds., C. R. Scriver, A. L. Beaudet, W. S. Sly, and D. Valle, McGraw-Hill, New York (1989))。
【0004】
厳密な形においては、MPS Iは通常、Hurler症候群として知られており、そして多くの問題、例えば、精神遅滞、角膜の曇り、粗雑化された顔面特徴、心疾患、呼吸疾患、肝臓及び脾臓拡大、ヘルニア及び関節硬直化に関連している。Hurler症候群を有する患者は、通常10歳の前に死亡する。Hurler−Scheie症候群として知られている中間形においては、精神機能は一般的に影響されないが、しかし物理的問題が10代又は20代までに死を導く。Scheie症候群は、MPS Iの中間形である。それは正常な生存期間と適合するが、しかし関節硬直化、角膜曇り及び心臓弁疾患が有意な問題を引き起こす。
【0005】
MPS Iの頻度は、すべての新生児のBritish Columbia調査によれば1:100,000であり(Lowry, など., Human Genetics 85:389-390 (1990))、そしてIrish研究によれば1:70,000である(Nelson, Human Genetics 101: 355-358 (1990))。この疾病に関しての人類的先入観は見られない。患者は、診断が行われる前、合併症により死亡するので、又は症候群の中間形の関節炎として間違えられ、又は全体的に見過ごされているので、たぶん世界的には、その疾病は下方診断されている。MPS Iについての効果的な新生児スクリーニングはたぶん、何人かのこれまで検出されていない患者に見出すことができるであろう。
【0006】
骨髄移植のために適している数人の患者を除いて、すべてのMPS I患者のために利用できる有意な治療法は存在しない。Hobbs, など(Lancet2: 709-712 (1981))は、骨髄移植がHurler患者を好都合良く処理したことを最初に報告している。この時以来、いくつかの移植センターでの臨床学的研究が、身体疾患の改良、又は初期に行われる場合、進行性減退の遅延又は安定化を示している(Whitley, など., Am. J. Med. Genet. 46: 209-218 (1993));Vellodi, など., Arch. Dis. Child. 76 : 92-99 (1997); Peters, など., Blood 91: 2601-2608 (1998); Guffonなど., J. pediatrics 133: 119-125 (1998))。しかしながら、有意な罹病率及び死亡率、及び適合されたドナー骨髄のための必要性は、骨髄移植の利用性を制限する。すべての影響された患者に利用できる他の治療は、この疾病の処理及び管理において重要な進歩を提供するであろう。
【0007】
酵素置換治療は、α−L−イズロニダーゼが培養におけるHurler細胞の酵素欠陥を矯正できる発見に従って、MPS Iのための可能性ある治療として見なされて来たが、しかしヒト治療への開発は、現在まで、技術的に実行できていない。調整的な肯定においては、マンノース−6−リン酸残基を含む酵素が、受容体介在エンドサイトーシスを通して細胞中に摂取され、そしてリソソームに輸送され、ここでそれは貯蔵された基質、ヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸をクリアランスする。ヒトへのこの治療の適用は、組織におけるα−L−イズロニダーゼの不適切な源のために、これまで可能ではなかった。
【0008】
MPS Iにおけるα−L−イズロニダーゼ酵素治療に関しては、酵素の組換え源が、酵素の治療的に十分な供給を得るために必要とされて来た。イヌ酵素についてのcDNAは1991年にクローン化され(Stolzfus, など., J. Biol. Chem. 267: 6570-6575 (1992))、そしてヒト酵素についてのcDNAは同じ年にクローン化された(Scott, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 9695-9699 (1991)、Moskowitz,など., FASEB J 6: A77 (1992))。
【0009】
α−L−イズロニダーゼについてのcDNAのクローニングに続いて、適切な量の組換えα−L−イズロニダーゼの生成は、イヌMPS Iにおける酵素置換治療の研究を可能にした(Kakkis, など., Protein Expr. Purif. 5: 225-232 (1994))。イヌMPS Iモデルにおける酵素置換研究は、静脈内投与された組換えα−L−イズロニダーゼが広く分布し、そして多くの組織からリソソーム貯蔵を低めたことを示した(Shull, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 12937-12841 (1994); Kakkis, など., Biochem. Mol. Med. 58: 156-167 (1996))。
【0010】
発明の簡単な要約:
1つの観点においては、本発明は、酵素治療の長期患者使用のための大規模生成を可能にするために、適切な純度で大規模な量でヒト組換えα−L−イズロニダーゼを多量生成するための方法を特徴とする。広い態様においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼのすべて又は一部をコードするcDNAを、その発現のために適切な細胞中にトランスフェクトする段階を含んで成る。いくつかの態様においては、完全なα−L−イズロニダーゼ、好ましくはヒトα−L−イズロニダーゼをコードするcDNAが使用される。しかしながら、他の態様においては、その生物学的活性フラグメント又は変異体をコードするcDNAが使用され得る。
【0011】
特に、1又は複数のアミノ酸置換が、酵素の生物学的活性を保存するか又は増強しながら、行われ得る。他の好ましい態様においては、発現ベクターは、cDNAを、その発現のための適切な細胞又は細胞系中にトランスファーするために使用される。1つの特に好ましい態様においては、cDNAが、細胞系2.131を創造するためにチャイニーズハムスター卵巣細胞中にトランスフェクトされる。さらに他の好ましい態様においては、生成方法は、特に高い生成レベルを示している1又は複数の次の特徴を特徴とする:
【0012】
(a)細胞増殖培養物のpHが、生成工程の間、約6.5〜7.0、好ましくは約6.8〜7.0に低められ得;
(b)培地の2〜3.5培養体積が連続灌流により、それぞれ24時間、変更され得;
(c)酸素飽和が約40%まで最適化されるが、しかし80%ほどの高さでもあり得;
(d)最初に、培地中、約5%血清と共に高多孔性セルロースマイクロキャリヤーが細胞塊状物を生成するために使用され、続いて生成のためのタンパク質フリー培地への急速な洗浄シフトが伴ない;
(e)タンパク質フリー又は低タンパク質培地、例えばJRH Biosciences PF-CHO 生成物が、グルタメート、アスパーテート、グリシン、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドから成る群から選択された1又は複数の成分の補充量を包含するよう最適化され得;
(f)撹拌されたタンク懸濁培養物が、イズロニダーゼを生成するために連続工程で灌流され得る。
【0013】
第2の観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成する能力を特徴とする、トランスフェクトされた細胞系を提供する。好ましい態様においては、本発明は、組換えチャイニーズハムスター卵巣細胞系、例えば治療的に酵素の使用を可能にする多量のα−L−イズロニダーゼを、安定し、且つ確かに生成する2.131細胞系を特徴とする。いくつかの好ましい態様においては、細胞系は、発現構造体の1つよりも多くのコピーを含むことができる。さらにより好ましい態様においては、細胞系は、少なくとも20μg/107個の細胞/日の量で組換えα−L−イズロニダーゼを発現する。
【0014】
第3の観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニターゼを生成するために適切な新規ベクターを提供する。好ましい態様においては、本発明は、サイトメガロウィルスプロモーター/エンハンサン要素、ネズミCαイントロンから成る5’イントロン、α−L−イズロニダーゼのすべて、又はフラグメント又は変異体をコードするcDNA、及び3’ウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含んで成る発現ベクターを特徴とする。また、好ましくは、α−L−イズロニダーゼンすべて、又はフラグメント又は変異体をコードするcDNAは、約2.2kbの長さである。この発現ベクターは、複数のコピー挿入を増強するために、いずれかの適切な選択ベクター、例えばpSV2NEOにより、50:1の比でトランスフェクトされ得る。他方では、遺伝子増幅が、複数のコピー挿入を誘発するために使用され得る。
【0015】
第4の観点においては、本発明は、本発明の方法に従って生成され、そしてそれにより、治療的に酵素の使用を可能にする量で存在する新規α−L−イズロニダーゼを提供する。本発明のα−L−イズロニダーゼの比活性は、1mgタンパク質当たり200,000単位以上で存在する。好ましくは、それは1mgタンパク質当たり約240,000単位以上で存在する。本発明のα−L−イズロニダーゼの分子量は、約82,000ドルトンであり、ここで約70,000ドルトンがアミノ酸であり、そして約12,000ドルトンが炭水化物である。
【0016】
第5の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼを精製するための新規方法を特徴とする。第1の態様においては、細胞塊状物が約5%血清含有培地において増殖され、続いて精製のための高い比活性出発材料を生成するためにいずれの有意な適合も伴なわないで、修飾されたタンパク質フリー生成培地に交換される。1つの好ましい態様においては、3段階カラムクロマトグラフィーが、酵素を精製するために使用され得る。
【0017】
そのような3段階カラムクロマトグラフィーは、ブルーセファロースFF、Cu2+キレート化セファロース及びフェニルセファロースHPクロマトグラフィーの使用を包含することができる。もう1つの好ましい態様においては、酸性pH処理段階が、酵素を害しないで、可能性あるウィルスを不活性化するために使用される。コンカナバリンA−セファロース、ヘパリン−セファロース及びSephacryl200カラムが除去され、そしてブルーセファロース及び銅キレート化カラムが付加され、大規模精製工程の能力が高められた、長期患者使用のために不適切である所望しない浸出性が低められ、そして生成物の純度が改良される。
【0018】
第6の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼの欠失によりすべて又は部分的に引き起こされる疾病の新規処理方法を特徴とする。1つの態様においては、この方法は、組換えα−L−イズロニダーゼ又はその生物学的活性フラグメント又は変異体のみを、又は医薬的に適切なキャリヤーと組合して投与することを特徴とする。他の態様においては、この方法は、α−L−イズロニダーゼのすべて又は一部をコードする核酸を、1又は複数の宿主細胞中にインビボでトランスファーすることを特徴とする。好ましい態様は、疾病症状を効果的に改善するために、処理されるべき生物、好ましくは哺乳類又はヒトへの用量の最適化を包含する。好ましい態様においては、疾病は、I型ムコ多糖症(MPS I)、Hurler症候群、Hurler−Scheie症候群又はScheie症候群である。
【0019】
第7の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼの欠失によりすべては又は部分的に引き起こされる疾病の処理のために有用なα−L−イズロニダーゼを含んで成る新規医薬組成物を特徴とする。そのような組成物は、多くの手段、例えば非経口、局部、鼻腔内、吸入又は経口投与による投与のために適切であり得る。α−L−イズロニダーゼ欠失により影響される細胞中にインビボで投与され得るα−L−イズロニダーゼのすべて又は一部をコードする核酸配列を特徴とする態様は、この観点の範囲内である。
【0020】
発明の特定の記載:
1つの観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するための方法を特徴とする。一般的に前記方法は、α−L−イズロニダーゼのすべて、又はその生物学的活性フラグメント又は変異体をコードするcDNAにより適切な細胞系を形質転換することを特徴とする。当業者は、発現構造体によりトランスフェクトされた適切な細胞系におけるα−L−イズロニダーゼの最適な生成のために本明細書に記載されるそれらの発現構造体以外の発現構造体を調製することができる。さらに、当業者は、天然に存在する十分な長さの酵素と同じか又は類似する生物学的活性を有する、天然に存在するα−L−イズロニダーゼの生物学的活性フラグメント及び変異をコードするcDNAのフラグメントを容易に企画することができる。
【0021】
α−L−イズロニダーゼのための組換え源を創造するためには、多数のシリーズの発現ベクターが構成され、そしてα−L−イズロニダーゼcDNAの発現について試験され得る。一時的なトランスフェクション実験、及び適切なトランスフェクションに基づけば、特に高いレベルの発現を提供する発現構造体が同定され得る。本発明の1つの態様によれば、α−L−イズロニダーゼ発現構造体のトランスフェクション及び高発現クローンの選択により開発されたチャイニーズハムスター細胞系2.131は、特に高いレベルの発現を提供する。本発明のこの態様によるそのようなチャイニーズハムスター細胞系は、正常な細胞系よりも約5,000〜7,000倍以上、α−L−イズロニダーゼを分泌することができる。それにより生成されるα−L−イズロニダーゼは、正しくプロセッシングされ、高い親和性で細胞中に摂取され、そしてα−L−イズロニダーゼ欠失細胞、例えばHurlers症候群を有する患者からのそれらの細胞のために調整的である。
【0022】
治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するための方法は、商用銘柄の酵素を多量生成するために特に企画された生成方法を特徴とし、ここで前記酵素の品質は、種々の国の規則機関によれば、ヒトへの投与のために許容できると思われている。商用銘柄の酵素の大規模生成は、細胞培養規模、マイクロキャリヤーシステム及び精製スキームの改良を必要とする。好ましい態様においては、細胞培養規模は、連続灌流への変換を伴なって、45L〜110L又はそれ以上に高められる。規模の上昇は、長期患者使用のために可能性ある大規模生成のための十分な材料を生成する必要がある。
【0023】
そのような工程の好ましい態様によれば、マイクロキャリヤーは、付着細胞を増殖する低費用の計量できる表面として使用される。特に好ましい態様においては、そのようなマイクロキャリヤーは、高多孔性であり、そして特に修飾された炭水化物、例えばセルロース、例えばPharmaciaにより製造されるCytoporeビーズから構成される。高多孔性マイクロキャリヤーは、改良された細胞結合を可能にし、そして培養工程の間、高められた細胞密度を生成することが予測される、結合のためのより大きな表面積を提供する。
【0024】
好ましい態様においては、ヘパリン−セファロース及びSephacryl 200カラムが、大規模生成工程の能力を高めるために、及び生物の純度を改良するために、ブルー−セルファロース及び銅キレート化カラムにより置換される。特に好ましい態様においては、銅キレート化カラムが、大規模分布のために適切な非常に低いレベルに、チャイニーズハムスター卵巣細胞タンパク質汚染物を減じるために使用される。下記に記載される修飾及び誘発を特徴とする本発明の方法の態様を用いれば、ピーク培養密度で約15mg/培養物1L/日又はそれ以上が、110Lの培養システムにより出発して生成され得る。
【0025】
本発明のα−L−イズロニダーゼの生成方法の他の好ましい態様によれば、培養システムが最適化される。第1の態様においては、培養物pHは、生成工程の間、約6.5〜7.0、好ましくは約6.7〜7.0に低められる。そのようなpHの1つの利点は、酸性pHでより安定するリソソーム酵素の蓄積を増強することである。第2の態様においては、2〜3.5培養体積の培地が、連続灌流により、それぞれ24時間で変更され得る。第3の態様においては、酸素飽和が約40%で最適化される。第4の態様においては、培地における最初の約5%血清と共に高多高性マイクロキャリヤーが、細胞塊状物を生成するために使用され、続いて生成のためのタンパク質フリー培地に急速な洗浄により移行される(図3)。
【0026】
第5の態様においては、タンパク質フリーの増殖培地、例えば、JRH Biosciences PF-CHO生成物は、グルタメート、アスパーテート、グリシン、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドから成る群から選択された、補充量の1又は複数の成分を包含するよう最適化され得る。第6の態様においては、2〜3.5培養体積の培地が、連続灌流により、それぞれ24時間、変更され得る。そのような誘発工程は、後−翻訳プロセッシングを有意に変更しないで、生成において約2倍の上昇性をもたらすことができる。
【0027】
本発明の方法に従ってのα−L−イズロニダーゼの生成方法の特に好ましい態様は、本明細書に記載される、1つ、1つよりも多くの、又はすべての最適化を特徴として、そして下記により詳細に記載されるように使用され得る。従って、本発明の生成方法は、次の特徴を有する生成培養工程を提供することができる:
【0028】
1.変性されたセルロース又はその同等物から製造された高多孔マイクロキャリヤービーズを用いてのマイクロキャリヤー基材の培養が好ましくは、オーバーヘッド撹拌機又はその同等物を備えた大規模培養フラスコにおいて使用される。それらのビーズへの細胞の結合は、DME/F12(1:1)に添加される5%ウシ胎児血清におけるか、又は成分、例えばリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド、ピルベート、非必須アミノ酸及びHEPESにより変性されたタンパク質フリー培地における培養により達成され得る。この培地における約3〜6日後、タンパク質フリー培地が、グルコース含有率及び培養条件に依存して、上昇する灌流速度で血清含有培地を置換する洗浄工程が始められる。続いて、及び残る全培養期間を通して、細胞は、タンパク質フリー培地において培養される。
【0029】
酵素生成へのタンパク質フリー培地の使用は、酵素により処理される患者への、ウシ海綿状脳障害(BSE)及び他の感染性生物学的剤、例えばウィルスの暴露危険性を低めることにおいて有益であり、個々で前記BSE又は他の有害な剤は可能性ある血清暴露の量に依存する。従来の公開された研究においては、細胞を増殖するために使用されるキャリヤーは、1L当たり1g又は生成物濃度の100倍で使用されるウシゼラチンマイクロキャリヤーであった。マイクロキャリヤーからのゼラチンタンパク質の1%の浸出は、相対的に100%の汚染性を表し、そしてそれにより、BSEの危険性に寄与する。従って、新規キャリヤーは、デキストラン又はセルロース基材のいずれかであり、そして炭水化物から成り、そして動物由来の材料ではない。
【0030】
図3は、細胞が5%血清含有培地において一定密度まで増殖され、そして次に、タンパク質フリー培地のいずれの適合も伴なわないで交換されることを示す。図3は、
1)細胞が、適合を伴なわないで移行される場合、生存し、そしてイズロニダーゼを生成し続けることを、特に示す。対照的に、他の研究は、タンパク質フリー培地への適合が必要であることを示唆している。本発明の方法においては、酵素生成は、血清含有培地に匹敵するレベルで持続する。
【0031】
2)タンパク質培地において生成されるα−L−イズロニダーゼは、4mg/L又は1,000単位/ml以上の生成のレベルを維持する。
3)タンパク質フリー培地において生成されるα−L−イズロニダーゼは高い摂取性を有し、このことは、培地における移行、及び従って、細胞に供給される炭水化物における移行が酵素の高い摂取特徴に悪影響を及ぼさないことを示唆する。
α−L−イズロニダーゼの8個のロットが生成され、そしてすべてのロットにおいて2nM以下の最大値の半分の摂取値を伴なってのこの態様で開放された。
【0032】
2.培養条件は好ましくは、約6.8〜7.0のpH及び約35〜37℃の温度で40%の空気飽和の溶解された酸素で維持される。これは、調節単位、モニター単位、及び適切なプローブ、例えばApplikon(商標)又はMetter(商標)により製造されるそれらのプローブを用いて達成され得る。しかしながら、当業者は、これが他の製造業者により製造される同等の調節システムにより容易に達成され得ることを容易に理解するであろう。約40%の空気飽和は、80%までの空気飽和が使用され得るが、改良されたα−L−イズロニダーゼ分泌をもたらす。
【0033】
しかしながら、例えば90%の空気飽和までの酵素のさらなる上昇は、80%の空気飽和よりも有意に高められた分泌を提供しない。溶解された酸素は、5ミクロンのステンレス鋼又は大きな開口スパージャー又はその同等物を用いて、断続的又は連続的酵素スパージングにより供給され得る。約6.8〜7.0のpHが、α−L−イズロニダーゼ酵素の蓄積のために最適である。酵素は特に、約7.0以上のpHでは不安定である。約6.7以下のpHで、特に約6.5以下のpHで、分泌速度は低下する。従って、培養は、約6.8〜7.0のpHで最適に維持される。
【0034】
3.生成培養培地は、Excell PF CHOと呼ばれるJRH Biosciencesからの市販の培地の変性された形であり得る。この培地は、細胞系、例えば2.131細胞系を用いて、血清の分泌レベルに等しい分泌レベルを支持する。それは好ましくは、約6.8〜7.0(±0.1)の酸性pHを包含するよう変性され得、そして7.5mM又は15mMでのHEPESにより緩衝化され得る。培地は、0.05〜0.1%のPluronics F-68 (BASF)、非イオン性界面活性剤、又はスパージングに関連する剪断力から細胞を保護する利点を特徴とするその同等物を含むことができる。
【0035】
培地はさらに、現在入手できる他のタンパク質フリー培地よりも培地の生産性を高めることにおいて重要である市販の補充物含む事ができる。当業者は、培養培地の選択が特定の時点で入手できる特定の市販の態様に従って連続的に最適化され得ることを容易に理解するであろう。そのような変化は、通常の実験のみを包含し、そして本発明の範囲内に存在することが意図される。
【0036】
4.生成培地は、出発培地と消費された培地とを比較するアミノ酸分析器を用いて分析され得る。そのような分析は、2.131細胞系が、グリシン、グルタメート及びアスパテートの標準のPF CHO培地を、その出発濃度の約10%のレベルまで消耗することを示している。それらのアミノ酸のより高いレベルへの補充は、基線でよりも2〜3倍高い生成を導くことができる増強された培養密度及び生産性をもたらすことができる。当業者は、本発明の範囲内の他の細胞系が本発明の方法に従ってα−L−イズロニダーゼを生成するために同じ程度に有用であることを理解するであろ。従って、多かれ少なかれ、補充栄養物が培地を最適化するために必要とされ得る。そのような最適化は、本発明の範囲内に存在することが意図され、そして過度の実験を伴なわないで実施され得る。
【0037】
5.培地は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠失細胞系2.131を支持するために、それぞれ約10mg/lでの4種のリボヌクレオシド及4種のデオキシリボヌクレオシドにより補充され得る。当業者は、本発明の範囲内の他の細胞系が本発明の方法に従ってα−L−イズロニダーゼを生成するために同じ程度に有用であることを理解するであろう。従って、多かれ少なかれ、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドは培地を最適化するために必要とされ、そして核酸合成のためのプリン及びピリミジンの他の源、例えばヒポキサンチン及びチミジンが使用され得る。そのような最適化は、本発明の範囲内で意図され、そして過度の実験を伴なわないで実施され得る。
【0038】
6.培養の約3〜6日で宗密性(confluence)に達した後、上昇する速度の連続灌流が開始される。培地の変更は、例えば培養物が撹拌され得る場合でさえ、マイクロキャリヤーを除去しないで、培地の摂取を可能にするよう構成され、そして位置決定されたスラント供給管を用いて達成され得る。スラント供給管を通して培地をポンプ輸送することによって、マイクロキャリヤーは、培養物内の管の本体内で沈降し、そして培地上の変化の間、培養物から除去されない。この態様においては、細胞塊状物と共にマイクロキャリヤーが、酵素を含む上清液から分離される。
【0039】
7.培地の急速及び時おりのターンオーバーは、細胞培養物からの酵素の改良された全体的収集をもたらすために生産性研究により示されている。培地の低いターンオーバーは、毎日の基準に基づけば、酵素の低い全体的生成をもたらす。1日当たり2〜3.5培養物体積の灌流を用いれば、細胞は、高い程度の生存性及び高レベルの生産性を伴なって、卓越した条件で維持され得る。
【0040】
8.α−L−イズロニダーゼの生成は、遺伝子発現の酪酸ナトリウム誘発の使用により増強され得る(図3)。α−L−イズロニダーゼの20個のロットが、21日の生成期間の間、48時間ごとの誘発及び再誘発の後、12時間ごとに2/3洗浄を伴なって、2nMの濃度での酪酸誘発を用いて生成された。図3においては、底部での垂直の矢印は、酪酸誘発現象を示す。個々の誘発は、培地におけるα−L−イズロニダーゼ濃度の上昇を誘発した。
【0041】
2.131細胞系の組織的研究は、約2mMの酪酸が供給され、そして炭水化物プロセッシングに対する最少の効果を伴なって、約2倍又はそれ以上の酵素生成の誘発をもたらすことを示した。低レベルの酪酸は誘発することが示されておらず、そして実質的に高いレベルがより高い誘発をもたらすことができるが、しかしα−L−イズロニダーゼ欠失を有する患者からの細胞に対して生成される酵素の親和性の低下をもたらすことができる。2mM又はより通常使用される濃度である5mMでインビトロで行われる酪酸誘発は、3nM又は40U/ml、又は生成ロットにおいて観察される値の平均3倍の過剰摂取をもたらした。さらに、通常使用される24時間又はそれ以上の時間、及び5mMの濃度は、α−L−イズロニダーゼの生成細胞に対して毒性であり、そして細胞塊状物の分離及び損失をもたらした。
【0042】
結果は、2倍又はそれ以上の誘発が炭水化物の低いプロセッシング及び酵素への低いリン酸付加、及び上昇する毒性をもたらすことを示唆する。炭水化物プロセッシング及びリン酸基の付加に関しては、酵素置換治療におけるマンノース−リン酸の重要性が、2種のリソソーム酵素、すなわちグルコシダーゼ及びガラクトサミン−4−スルファターゼのリン酸の除去が低められた摂取を導く観察により示されている(Vander Ploeg, など., J. Clin. Invest. 87: 513-518 (1991); Crawley, など., J. Clin. Invest. 97: 1864-1873 (1996))。
【0043】
さらに、低いリン酸含有酵素(Van Hove, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 65-70 (1996))は、摂取実験に関して1ml当たり1,000単位を必要とし(イズロニダーゼに関しては、約100倍が使用される)、そして動物モデルにおける有効用量は、14mg/kg, 又は高いリン酸含有イズロニダーゼにより使用される用量の28倍を必要とする(Kikuchi, など., J. Clin. Invest. 101: 827-833 (1998))。
本発明の方法の1つの特に好ましい観点は、48時間ごとに培養システムへの2mMの酪酸添加を用いる。この態様は、酵素の摂取親和性(30U/ml又は2.0mM以下のK−摂取)に対しての有意な効果を伴なわないで、この方法を用いて酵素生成の約2倍の誘発をもたらす。
【0044】
9.第2の観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するユニーク能力を有する、トランスフェクトされた細胞系を提供する。好ましい態様においては、本発明は、組換えチャイニーズハムスター卵巣細胞系、例えば多量のα−L−イズロニダーゼを安定し且つ確かに生成する2.131細胞系を特徴とする。好ましい態様においては、前記細胞系は、CMVプロモーター、αイントロン、ヒトα−L−イズロニダーゼcDNA及びウシ成長ホルモンポリアデニル化配列を含んで成る発現構造体の1つよりも多くのコピーを含むことができる。
【0045】
さらにより好ましい態様においては、細胞系は、酵素置換治療のために適切な、正しくプロセッシングされた高い摂取形で、少なくとも20〜40μg/107個の細胞/日の量でα−L−イズロニダーゼを発現する。本発明のこの観点の好ましい態様によれば、治療に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するよう適合化された、トランスフェクトされた細胞系は、1又は複数の次の特徴を有する:
【0046】
1.好ましい態様の細胞系は、親細胞系に由来し、ここで前記親細胞系は、それらがより小さなサイズ及びより急速な増殖速度を獲得するまで、及びそれらが基質に容易に結合するまで、培養において継代培養される。
【0047】
2.好ましい態様の細胞系は、サイトメガロウィルスプロモーター/エンハンサー要素、エキソン2及び3間のネズミCαイントロンから成る5’イントロン、約2.2kbの長さのヒトcDNA及び3’ウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含む発現ベクターによりトランスフェクトされる。この発現ベクターは、いずれかの適切な通常の選択ベクター、例えばpSV2NEOにより50:1の比でトランスフェクトされ得る。選択ベクターpSV2NEOは、都合良くトランスフェクトされた細胞に対してG418耐性を付与する。特に好ましい態様においては、約50:1の比が使用される。
【0048】
何故ならば、この比は、複数のコピー数挿入体の獲得を増強するからである。チャイニーズハムスター卵巣細胞系2.131が供給される1つの態様によれば、α−L−イズロニダーゼのための発現ベクターの少なくとも1つのコピーが存在する。そのような細胞系は、多量のヒトα−L−イズロニダーゼを生成する能力を示している(最少20μg/107個の細胞/日)。特に好ましい態様、例えば2.131細胞系は、高い親和性(3nM以下のK−摂取)を有する酸素を生成するための十分な量で6位置でのリン酸により修飾された高いマンノース鎖を含むN−結合されたオリゴ糖を含む、適切にプロセッシングされた酸素を生成する能力を有する。
【0049】
3.本発明の細胞系、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞系2.131から生成された酵素は、細胞中に急速に同化され、グリコサミノグリカン貯蔵を排除し、そしてα−L−イズロニダーゼ欠失を有する患者からの細胞において約5日の半減期を有する。
4.好ましい態様の細胞系、例えば2.131細胞系は、大規模培養に適合し、そしてそれらの条件下でヒトα−L−イズロニダーゼを安定して生成する。好ましい態様の細胞は、α−L−イズロニダーゼの増強された蓄積が生じ得る約6.6〜7.0の酸性pHで増殖し、そしてα−L−イズロニダーゼを分泌することができる。
5.本発明の細胞系、例えば2.131細胞系の特に好ましい態様は、特別に配合されたタンパク質フリー培地を用いて、2,000単位/ml(8μg/ml)/日(1日当たり2度収穫される)以上のレベルで、又は15mg/1Lの培養物/日以上のレベルでヒトα−L−イズロニダーゼを分泌することができる。
【0050】
第3の観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するのに適切な新規ベクターを提供する。適切な量の組換えα−L−イズロニダーゼの生成は、酵素の構造に対する研究、及び酵素置換治療のための決定的な先行条件である。本発明の細胞系は、摂取のために適切にプロセッシングされる有意な量の組換えα−L−イズロニダーゼの生成を可能にする。
【0051】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における過剰発現が、種々のプロモーター及び1つの場合、増幅を用いて、次の3種の他のリソソーム酵素について記載されている:α−ガラクトシダーゼ(Ioannou, など., J. Cell. Biol. 119: 1137-1150 (1992))、イズロン酸2−硫酸(Bielicki, など., Biochem. J. 289: 241-246 (1993))、及びN−アセチルガラクトサミン硫酸(Amson, など., Biochem, J. 284: 789-794 (1992))。本発明は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ−欠失CHO細胞を特徴とするが、しかし本発明の好ましい態様によれば、増幅は不必要である。さらに、本発明は、CMV即時初期遺伝子プロモーター/エンハンサーを用いてのヒトα−L−イズロニダーゼの高いレベル発現を提供する。
【0052】
本発明は、好ましい態様においては、サイトメガロウィルスプロモーター/エンハンサー要素、エキソン2及び3間のネズミ長鎖免疫グロブリンCα遺伝子に由来するネズミCαイントロンから成る5’イントロン、約2.2kbの長さのヒトcDNA、及び3’ウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含んで成る発現ベクターを特徴とする。この発現ベクターは、いずれかの適切な通常の選択ベクター、例えばpSV2NEOにより50:1の比でトランスフェクトされ得る。
【0053】
その選択ベクター、例えばpSV2NEOは、都合良くトランスフェクトされた細胞に対してG418耐性を付与する。特に好ましい態様においては、約50:1の比の発現ベクター:選択ベクターが使用される。何故ならば、この比は複数のコピー数の挿入体の獲得を増強するからである。チャイニーズハムスター卵巣細胞系2.131が供給される1つの態様によれば、α−L−イズロニダーゼについての発現ベクターの約10のコピーが存在する。そのような発現構造体は、適切な細胞系、例えばチャイニースハムスター卵巣細胞系2.132においても多量のα−L−イズロニダーゼ(最少20μg/107個の細胞/日)を生成する能力を示している。
【0054】
第4の観点においては、本発明は、本発明の方法に従って生成され、そしてそれにより、治療的に酵素を可能にする量で存在する新規α−L−イズロニダーゼを提供する。本発明の方法は、適切にプロセッシングされ、そして酵素置換治療のために適切で且つインビボ治療において効果的な、高い摂取形で存在する、実質的に純粋なα−L−イズロニダーゼを生成する。
【0055】
本発明のα−L−イズロニダーゼの比活性は、約200,000単位/mgタンパク質以上である。好ましくは、それは、活性及びタンパク質濃度について元のアッセイ方法を用いれば、mgのタンパク質当たり約240,000単位以上である。μモル/分として表される単位による同じ酵素についての新規の確認されたアッセイは、100単位/ml(70〜130の範囲)の活性、及び143単位/mlの平均活性性を有する0.7mg/ml(0.6〜0.8)のタンパク質濃度(280nMでの吸光度による)を示す。本発明の十分な長さのα−L−イズロニダーゼの分子量は、約82,000ドルトンであり、ここで約70,000ドルトンはアミノ酸であり、そして12,000ドルトンは炭水化物である。
【0056】
本発明の組換え酸素は、部分的に精製された尿酵素の調製についてこれまで報告されて来たよりも一層効果的にエンドサイトーシスされる。本発明の組換え酵素は、α−L−イズロニダーゼ−欠失繊維芽細胞における放射性S−ラベルされたGAGの蓄積を減じることにおいて効果的であり、このことは、それがリソソーム、すなわちGAG貯蔵の部位に輸送されることを示す。そのような矯正(0.7pMで最大の半分の矯正)のために必要とされる、著しく低い濃度のα−L−イズロニダーゼは、酵素置換治療の成功のために非常に重要であり得る。
【0057】
α−L−イズロニダーゼのヒトcDNAは、シグナルペプチド分解の後、653個のアミノ酸のタンパク質及び70,000ドルトンの予測される分子量を測定する。アミノ酸配列決定は、N−末端でアラニン26を示し、629個のアミノ酸の予測されるタンパク質を付与する。ヒト組換えのα−L−イズロニダーゼは、成熟タンパク質の位置8でヒスチジンを有する。予測されるタンパク質は、6個の可能性あるN−結合されたオリゴ糖修飾部位を含んで成る。それらのすべては、組換えタンパク質においては修飾され得る。第3及び第6部位は、細胞中への高い親和性摂取を担持する1又は複数のマンノース6−リン酸残基を含むことが示されている。次のペプチドは、N−末端アラニン及び次の配列(配列番号2)を有するヒト組換えα−L−イズロニダーゼのアミノ酸26−45に対応する:
ala-glu-ala-pro-his-leu-val-his-val-asp-ala-ala-arg-ala-leu-trp-pro-leu-arg-arg。
【0058】
本発明のα−L−イズロニダーゼの過剰発現は、マンノース−6−P標的化に依存する他のリソソーム酵素の一般化された分泌をもたらさない。分泌された組換えα−L−イズロニダーゼは、多くの観点において、通常の分泌された酵素に類似する。77, 82, 84及び89kDaであることが種々の決定において見出されるその分子サイズは、尿矯正因子について見出される87kDa (Barton, など., J. Biol. Chem. 246: 7773-7779 (1971))、及び培養されたヒト繊維芽細胞により分泌される酵素について見出される76kDa及び82kDa(Myerowitz, など., J. Biol. Chem. 256: 3044-3048 (1981); Taylor, など., Biochem. J. 274: 263-268 (1991))に相当する。研究内の及び研究の差異は、測定の不精確性に帰因する。組換え酵素の細胞内プロセッシング、分子サイズのゆっくりした低下及び9kDaによる追加の小さなバンドの結果的な出現のパターンは、ヒト繊維芽細胞酵素に関して同じである。この早いバンドは、80個のN−末端アミノ酸のタンパク質加水分解により現れる。
【0059】
第5の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼを精製するための新規方法を特徴とする。好ましい態様においては、本発明は、確認できるクロマトグラフィー樹脂及び容易な充填、洗浄及び溶出液操作による急性且つ効果的な精製を行うために最適化された組換えα−L−イズロニダーゼを精製する方法を特徴とする。本発明のα−L−イズロニダーゼの精製方法は、タンパク質フリー生成培地からの酵素の高収率精製を可能にする一連のカラムクロマトグラフィー段階を包含する。
【0060】
特に、コンカナバリンA−セファロース、ヘパリン−セファロース及びセファクリル200カラムが、大規模精製工程の能力を高めるために、浸出できるものを低めるために、及び生成物の純度を改良するために、ブルーセファロース及び銅キレート化カラムにより交換された。コンカナバリンAレクチンはしばしば、従来の公開された研究における初期精製段階において酵素を結合するために使用され、そして植物由来のタンパク質レクチンである。コンカナバリンAはカラムから浸出することが知られており、そしてリソソーム酵素調製物を汚染する。
【0061】
そのような浸出は、処理された患者におけるT細胞の活性を引き起こし、そして従って、ヒト投与のためには不適切であると思われる(Furbish、など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 356-3563 (1977))。従って、コンカナバリンAの使用は、本発明の精製スキームにおいては回避される。従来の研究においては、ヒト肝臓α−L−イズロニダーゼは、高濃度の界面活性剤(1%Triton X100)変性を伴なわないでは、フェニルカラムから回収され得ない。従って、フェニルカラムは、この酵素の公開された精製スキームには使用されていない(Clements, など., Eur. J. Biochem. 152: 21-28 (1985)。内因性ヒト肝臓酵素は、シアル酸及びリン酸残基を除去するヒドロラーゼ、及び酵素をニックするプロテアーゼにより、リソソーム内で高く修飾される。
【0062】
対照的に、組換えα−L−イズロニダーゼの過剰発現は、酵素の50%がリソソームに輸送されるよりむしろ分泌されることを引き起こす(Zhao, など., J. Biol. Chem. 272: 22758-22765 (1997))。従って、組換えイズロニダーゼは、高い程度の水溶解性及びフェニルカラムへの低い親和性を導く、十分に整列したシアル酸及びリン酸残基を有するであろう。高められた親水性は、約150〜700mMのNaClの低塩溶液を用いて、非変性条件下で酵素の溶出を可能にする。組換え酵素のこの特徴は、界面活性剤の使用を伴なわないでその大規模精製を可能にする。
【0063】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系において過剰発現される組換えα−L−イズロニダーゼは、3段階カラムクロマトグラフィー工程に従って、ほぼ均質性に精製されている。第1のカラムは、ブルーセファロース6FFを用いての親和性クロマトグラフィー段階を包含する。次に、ブルーセファロース6FF溶出液が、Cu2+キレート化セファロースFFを用いて、もう1つの親和性クロマトグラフィー段階によりさらに精製される。高く精製された酵素の最終仕上げは、フェニルセファロース高性能(HP)を用いて、疎水性相互作用クロマトグラフィーにより達成される。全体的な収率は45〜55%であり、そして最終生成物の純度は99%以上である。この工程は、強く、再生でき、そして大規模製造のために計量できる。精製された酵素は、蛍光基材の基質を用いてのその酵素活性及び線維芽細胞によるその機能的摂取に関して特徴づけられた。酵素は、基質特異性、炭水化物プロフィール、及び等電気泳動(IEF)プロフィールにより特徴づけられている。
【0064】
本発明のα−L−イズロニダーゼの精製方法の特に好ましい態様は、次の特定の態様に従って、1つより多くの又はすべての最適化を特徴とする。従って、本発明の精製方法は、本明細書に記載される特徴を有する、精製されたα−L−イズロニダーゼを提供することができる。
【0065】
【表1】
【0066】
1.pH調節/濾過:濾過された収穫物流体(HF)のpHが、1MのH3PO4により5.3に調節され、そして次に、0.45μのフィルター(例えば、Sartoclean, Sartorins)を通して濾過される。
【0067】
2.ブルーセファロースFFクロマトグラフィー:この親和性クロマトグラフィー段階は、イズロニダーゼを捕獲し、その体積を減じ、そしてそのイズロニダーゼを約7〜10倍に精製するよう作用する。
【表2】
【0068】
3.Cu2+キレート化セファロースFFクロマトグラフィー:Cu2+キレート化親和性クロマトグラフィー段階は、いくらかの汚染性をCHOタンパク質を除去するために非常に効果的である。すべての緩衝液における10%グルセロールの包含は、イズロニダーゼの定量回収のために決定的であると思われる。
【表3】
【0069】
4.フェニルセファロースHPクロマトグラフィー:フェニルセファロースが、生成物をさらに精製し、そして浸出された残留Cibacronブルー色素及び前のカラムからの担持されるCu2+イオンを減じるために最後の段階として使用される。
【表4】
【0070】
5.限外濾過(UF)/ダイアフィルトレーション(DF)/最終配合:精製されたイズロニダーゼが接線流濾過(TFF)システム(例えば、SartoriusからのSartocon Slice)を用いて配合緩衝液(150mMのNaCl, 100mMのNaPO4, pH5.8)において1mg/mlの最終濃度に濃縮され、そしてダイアフィルトレートされる。次に、酵素は、0.2ミクロンのフィルター(例えば、酢酸セルロース又はポリスルホン)を通して濾過することによって減菌され、そして減菌バイアル中に充填される。
6.精製されたイズロニダーゼの特徴化:クーマシーブルー又は銀により染色されたSDS−PAGEを用いての酵素純度の分析及びウェルターンブロット分析。基質として4MU−硫酸を用いての酵素活性の分析。線維芽細胞アッセイを用いての機能的摂取の分析。FACEによる炭水化物の分析。IEFプロフィールの分析。
【0071】
この態様で精製された酵素は、酵素1ml当たり30単位以下(2nM以下)の酵素摂取親和性を得るために、N−結合された糖の位置3及び6で十分な量のマンノース6−リン酸を含むことが示されている。酵素は、イズロニダーゼ欠失により引き起こされるグリコサミノグリカン貯蔵疾患のために実質的に矯正的であり、そして約5日の細胞内半減期を有する。
【0072】
従来のα−L−イズロニダーゼ精製スキーム(Kakkis, など., Protein Expr. Purif. 5: 225-232 (1994); Kakkis, など., Biochem. Mol. Med. 58: 156-167 (1996); アメリカ特許出願第09/078,209号及び09/170,977号)は、長期のヒト投与のために最適ではない、90%〜99%の程度の純度を生成した(図12を参照のこと)。(本明細書におけるそれらの及びすべての他のアメリカ特許は、完全に引用により本明細書に特に組み込まれる。)97%の最少純度を有するヒト組換えα−L−イズロニダーゼによる処理は、いくつかの臨床学的反応、特に5人の患者において蕁麻疹及び4人の患者において補体活性化に関連した。
【0073】
すべての患者は、α−L−イズロニダーゼに対して微量汚染性であるタンパク質に対する反応を示した(図2)。このタンパク質は最終生成物及び血清フリーのブランCHO細胞系上清液の両者に存在するので、外来性タンパク質はCHO細胞にほとんど起因する。臨床学的アレルギー応答を活性化すると思われる通常のタンパク質は、組換えヒトイズロニダーゼであるには小さ過ぎる、それぞれ約60kドルトン及び50kドルトンである。4人の患者は、少なくとも一時的に、α−L−イズロニダーゼに対して、及びチャイニーズハムスター卵巣細胞宿主タンパク質に対して免疫反応を進行した。患者を処理するために使用される酵素が高く精製されたとしても、精製の程度は汚染物に対する免疫応答を低めることにおいて重要であることは明白である。
【0074】
図2(SDS−PAGE)及び図12(CHOPアッセイ)は、本発明のの生成/精製スキームにより生成され、そして精製されるα−L−イズロニダーゼが高い程度の純度及び低い程度のCHOP汚染度を、従来の生成/精製方法のそれに比較して有することを示している。図12に示されるように、上記に記載される、最適化された精製スキームは、99%以上である程度の純度を達成し、そして重要なことには、チャイニーズハムスター卵巣タンパク質(CHOP)アッセイにより決定されるように、チャイニーズハムスター卵巣細胞宿主タンパク質1%以下まで低める。
【0075】
第6の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼの欠失により完全に又は部分的に引き起こされる疾病の新規処理方法を特徴とする。組換えα−L−イズロニダーゼは、MPS1のイヌモデルにおいて酵素置換治療を提供する。このイヌモデルは、遺伝子突然変異のためにα−L−イズロニダーゼを欠いており、そしてヒトMPS1に類似する。精製され、適切にプロセッシングされたα−L−イズロニダーゼが、11匹のイヌに静脈内投与された。0.5、 3、6又は13ヶ月間、25,000〜125,000単位/kgの毎週の用量により処理されたそれらのイヌにおいて、酵素が種々の組織において取られ、そして多くの組織においてリソソーム貯蔵を低めた。疾病の長期処理は、表情、関節の硬直、被膜及び成長における臨床学的改良性に関連した。より高い用量の治療(125,000単位/kg/週)は、表情、関節の硬直及び被膜のより急速な臨床学的改良性の他に、良好な効率、例えば尿GAG排泄の正常化をもたらす。
【0076】
25,000単位(0.1mg/kg/週)のさらに低い用量での酵素治療は、いくつかの組織に対して有意な酵素分布をもたらし、そしてGAG貯蔵を低める。1年以上にわたって続けられる場合、いくつかの臨床学的効果が、高められた活性及び健康の全体的な外観により明らかであった。この用量での治療は、この実在物、例えば軟膏及び脳における疾病のための重要な部位である他の組織を改良しなかった。2週間にわたって5度与えられる125,000単位(0.5mg/kg)のより高い用量は、改良された組織侵入が達成され得、そして組織レベルでの治療効果が2週間ほどで達成されたことを示す。
【0077】
この高められた用量での研究は、15ヶ月間、2匹のイヌにおいて完結された。それらのMPS Iイヌは、ほぼ正常な範囲への尿GAG排泄の有意な臨床学的改良性及び実質的な低下を示している。変更された投与技法、すなわち酵素治療により調節される免疫反応以外は、有意な臨床学的又は精製学的毒素を示さなかった。この毎週の高い用量での酵素治療は、MPS Iのいくつかの臨床学的特徴の改良、及び有意な毒性を伴なわないでの貯蔵の低下で効果的である。
【0078】
第7の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼの欠失の処理のために有用なヒトα−L−イズロニダーゼを含んで成る新規医薬組成物を特徴とする。組換え酵素は、多くの手段、例えば非経口、局部、鼻腔内、吸入又は経口に投与により投与され得る。本発明のもう1つの観点は、酵素を、固体、半固体、液体又は摂取できるカプセルであり得る医薬的に許容できるキャリヤーと共に配合することによって、その酵素の投与を提供することである。医薬組成物の例は、錠剤、ドロップ、例えば鼻腔用ドロップ、局部適用のための組成物、例えば軟膏、ジェリー、クリーム及び懸濁液、吸入のためのエーロゾル、鼻腔用スプレー、及びリポソームを包含する。通常、組換え酵素は、組成物の0.01〜99%、又は0.01〜99重量%、例えば注射のために意図された組成物の0.01〜20%、及び経口投与のために意図された組成物の0.1〜50%を構成する。
【0079】
治療用酵素を含む経口投与のための投与量単位のこの形での医薬組成物を生成するためには、酵素は、固体の微紛キャリヤー、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、例えばジャガイモ澱粉、トウモロコシ、アミロペクチン、コンブ粉末、又はカンキツ属パルプ粉末、セルロース誘導体又はゼラチンと共に混合され得、そしてまた、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、又はCarbowax(商標)又は他のポリエチレングリコールワックスを包含することができ、そして錠剤又は糖剤のためのコアーを形成するために圧縮され得る。糖剤が必要とされる場合、コアーは、例えばアラビアゴム、タルク及び/又は二酸化チタンを含むことができる濃縮された糖溶液により、又は他方では、容易に有機溶媒又は有機溶媒の混合物に溶解されたフィルム形成剤により被覆され得る。
【0080】
色素が、例えば活性物質の異なった含有物間を区別するために、それらの被膜に添加され得る。ゼラチン及び例えば可塑剤としてのグリセロールから成る軟質ゼラチンカプセル、又は類似する密封されたカプセルの組成物に関しては、活性物質は、Carbowax(商標)又は適切な油、例えばゴマ油、オリーブ油、又はピーナッツ油と共に混合され得る。硬質ゼラチンカプセルは、活性物質の粒質物、及び固体の微紛キャリヤー、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、例えばジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉又はアミロペクチン、セルロース誘導体又はゼラチンを含むことができ、そしてまた、滑剤としてスラアリン酸マグネシウムステアリン酸を含むことができる。
【0081】
本発明の治療用酵素はまた、非経口、例えば皮下、筋肉内又は静脈内注射により、又は持効性皮下移植物により投与され得る。皮下、筋肉内及び静脈内注射においては、治療用酵素(活性成分)は、液体キャリヤービークルに溶解され、又は分散され得る。非経口投与に関しては、活性材料は、許容できるビークル、好ましくは植物油、例えばピーナッツ油、綿花種子油及び同様のものと共に適切に混合され得る。他の非経口ビークル、例えばソルケタール、グルセロール、ホルマール及び水性非経口配合物を用いての有機組成物がまた使用され得る。
【0082】
注射による非経口投与に関しては、組成物は、所望には0.01〜10%の濃度での、本発明の活性酸の医薬的に許容できる水溶性塩の水溶液、及び任意には、また水溶液中、安定剤及び/又は緩衝物質を含むことができる。溶液の用量単位は好都合には、アンプル中に密封され得る。
治療用酵素が皮下移植物の形で投与される場合、化合物は当業者に知られているゆっくり分散される材料に懸濁されるか又は溶解され、又は一定の駆動力、たとえば浸透ポンプの使用により活性材料をゆっくりと開放する装置により投与される。そのような場合、延長された時間にわたっての投与が可能である。
【0083】
局部投与に関しては、医薬組成物は適切には、軟膏、ゲル、懸濁液、クリーム又は同様のものの形で存在する。活性物質の量は、例えば0.05〜20重量%であり得る。局部投与のためのそのような医薬組成物は、活性物質と、既知のキャリヤー材料、例えばイソプロパノール、グリセロール、パラフィン、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、等とを混合することによって、既知の態様で調製され得る。医薬的に許容できるキャリヤーはまた、既知の化学的吸収プロモーターを包含することができる。
【0084】
吸収プロモーターの例は、例えばジメチルアセトアミド(アメリカ特許第3,472,931号)、トリクロロエタノール又はトリフルオロエタノール(アメリカ特許第3,891,757号)、一定のアルコール及びそれらの混合物(イギリス特許第1,001,449号)である。損なわれていない皮膚への局部投与のためのキャリヤー材料はまた、イギリス特許第1, 464,975号明細書にも記載されており、ここで前記特許は、40〜70%(v/v)のイソプロパノール及びO〜60%(v/v)のグリセロールを含んで成る溶媒、及び存在するなら、溶媒の合計体積の40%を越えない希釈剤の不活性構成成分である残余から成るキャリヤー材料を開示する。
【0085】
治療用酵素含有医薬組成物が投与される用量は、広範囲内で変化することができ、そして種々の要因、例えば疾病の重症度、患者の年齢、等に依存し、そして個々に調節されるべきである。1日当たりに投与され得る治療用酵素の量についての可能な範囲は、約0.1mg〜約2000mg、又は約1mg〜約2000mgである。
治療酵素を含む医薬組成物は適切には、それらが1回の用量単位として、又は複数の用量単位として、それらの範囲内での用量を提供するよう配列され得る。治療用酵素を含む他に、対象配合物は、組成物における治療用酵素により触媒される反応のための1又は複数の基質又は補因子を含むことができる。治療用酵素含有の組成物はまた、1つよりも多くの治療用酵素を含むことができる。
【0086】
本発明の方法及び組成物に使用される組換え酵素はまた、組換えα−L−イズロニターゼをコードする核酸により患者細胞を形質転換する手段により投与され得る。そのようなコードされる核酸配列は、処理されるべき対象の細胞を形質転換するためのベクター中に込みこまれ得る。そのようなベクターの好ましい態様は、本明細書に記載されている。ベクターは、対象、例えばレトロウィルスベクターの染色体中に組み込むよう、又は宿主細胞において自律的に複製するよう企画され得る。α−L−イズロニダーゼヌクレオチド配列を含むベクターは、酵素の連続的又は調節された発現を提供するよう企画され得る。
【0087】
さらに、酵素をコードする遺伝子ベクターは、細胞ゲノム中に安定して組み込み、又は単に一時的に存在するよう企画され得る。従来の遺伝子治療の一般的な方法は、α−L−イズロニダーゼをコードするポリヌクレオチド配列に適用され得る。従来の遺伝子治療技法は集中的に再考されて来た。(Friedman, Science 244: 1275-1281 (1989); Ledley, J. Inherit. Metab. Dis. 13: 587-616 (1990); Tososhev, など., Curr. Opinions Biotech. 1: 55-61 (1990))。
【0088】
組換え酵素を投与する、特に好ましい方法は、静脈内的である。特に好ましい組成物は、α−L−イズロニダーゼ、約5.8のpHを維持するための通常のリン酸緩衝溶液及びヒトアルブミンを含んで成る。それらの成分は、次の量で提供され得る:
α−L−イズロニダーゼ:0.05−0.2mg/ml又は12,500-50,000単位/ml;
塩化ナトリウム溶液:IVバッグにおいて150mM、50−250ccの合計体積;
リン酸ナトリウム緩衝液:10−50mM、pH5.8:
ヒトアルブミン:1mg/ml。
次の例は、本発明を例示するために提供されており、本発明を制限するものではない。
【0089】
実施例
例1:
組換えα−L−イズロニダーゼの生成:
標準技法、例えばSombrook, など., (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Sprinngu Habor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. Y. (1987))により記載されるそれらの技法を用いて、ヒトα−L−イズロニダーゼをコードするcDNAをクローン化した。前もってクローン化されたヒトα−L−イズロニダーゼcDNAを、Bluescript KSサブクローンからのHind III−XbaIフラグメントとしてPRCCMV(InVitrogen)中にサブクローン化した。
【0090】
エキソン2及び3間のネズミ免疫グロブリンCotイントロンに由来するイントロンカセットを、クローンpRIR14.5 (Kakiss, など., Nucleic Acids Res. 16: 7796 (1988)) の塩基788−1372のPCR増幅を用いて構成した(Tucker, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 7684-7688 (1991))。前記カセットは、適切にスプライスされたcDNAに存続する、エキソン2の3’末端の136bp, 及びエキソン3の5’末端の242bpを含んだ。ATG配列は、イントロンカセットのコード領域には存在しない。イントロンカセットを、α−L−イズロニダーゼcDNAの5’側のHind III部位中にクローン化した。neo遺伝子を、XhoIによる消化により欠失せしめ、続いて、ベクターを再環化し、pCMVhlduを製造した。
【0091】
使用細胞バンクの1つのバイアルを融解し、そしてDME/F12又はPF−CHO, 補充物、5%FBS及び500μg/mlのG418を含む3個のT225フラスコに配置する。2〜5日後、細胞を、同じ培地における1Lのスピナーフラスコにおいて、トリプシン−EDTAを用いて2〜5日間、継代培養する。次に、細胞を、2個の3Lのスピナーフラスコに2〜5日間、続いて、4個の8Lのスピナーフラスコに2〜5日間、移す。8Lのスピナーフラスコからの接種物を、80〜90Lの使用体積を有する、2個の110LのApplikon(商標)撹拌タンクバイオリアクターに添加する。高多孔性セルロースマイクロキャリヤーを、80〜90Lの最終体積でのPF−CHO又はDME/F12、補充物、5%FBS及び500μg/mlのG418のフラスコに2g/l(160g)で添加する。フラスコを、海洋羽根車備えたオーバーヘッド駆動装置により撹拌する。
【0092】
培養物を、撹拌速度、温度、DO及びpHプローブについてモニターし、そしてPC界面を備えたAppkikon(商標)制御システムを調節した。パラメーターは、加熱ブランケット、酸素スパージャー及び基本ポンプを用いて、培養条件、すなわち40%の空気飽和率及びpH6.95に依存して、整定値又は35〜37℃の範囲で調節される。培養物を3〜5日間インキュベートし、この時点で、培養物は、1〜3×106個の細胞/mlで対数増殖期から現れる。その後、灌流を、PF−CHO培地(市販の変性剤、JRH Biosciences)により上昇する速度で開始する。収集の最初の4日(3〜5日の範囲)は、“洗浄”として見なされる。
【0093】
その後、収集は、生成運転の開始である。生成は、20〜36日間、1日当たり2〜3.5培養物体積の培地交換を伴なって継続する。培養物は、40日又はそれよりも長い間、拡張され得る。培養物を、連続的に、温度、pH及びDOについてモニターする。酵素の精製は、上記のようにして進行する。次に、イズロニダーゼを含む、収集された生成培地を、pH5.3に酸性化し、0.2ミクロンのフィルターを通して濾過し、そしてブルーセファロースクロマトグラフィーを用いて精製する。次に、複数回のブルーセファロースクロマトグラフィー処理からの精製された酵素をプールし、そして銅キレート化カラムに適用し、そして3.7のpHでの緩衝液中、グリセロールにより溶出した。
【0094】
酵素を、酸性pHで維持し、可能性あるウィルスを不活性化する。次に、銅カラム溶出物を、pH5.7及び2MのNaClに調節し、そしてフェニルセファロースカラム上に負荷する。酵素を、0.7MのNaClで溶出する。溶出物を濃縮し、そして150mMのNaCl, 100mMのNaPO4(pH5.8)の配合緩衝液中にダイアフィルトレートする。酵素を、40nMフィルターを通して濾過し、可能性あるウィルスを除去し、そして濾液を0.001%ポリソルベート80に調節する。配合された酵素を、無菌ポリエチレン容器中に無菌大量充填する。次に、大量酵素を濾過し、そして注射用医薬のために適切な5ccの1型ガラスバイアル中ニ充填し、栓をし、そしてキャップをする。
【0095】
例2:
単一細胞懸濁液を用いてのバイオリアクターのために、種々系統を、上記例1に記載のようにして調製する。単一細胞懸濁液の使用は、バイオリアクター調製及び接種を単純化する。バイオリアクターを、DMEM/F12培地(反応器体積の25%)及び変性されたJRH325(反応器体積の25%)における細胞により接種する。使用反応器体積の50%に等しい培地を、48時間にわたって添加する。灌流(及び収穫)を、細胞密度が1.0e6に達すると開始し、そして前記灌流培地は上記の通りである。
【0096】
例3:
9匹のMPS Iイヌ及び6匹のMPS Iネコへの精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼの短期間静脈内投与は、一回の投与の24時間後、組織における推定される50%又はそれ以上の回収率を伴なって、種々の組織における酵素の有意摂取を示した。肝臓及び脾臓は最大の酵素を摂取し、そして最良の病理学的改良性を有するが、病理学及びグルコサミノグリカン含有率の改良性がすべてではないが、多くの組織において観察されている。特に、軟骨、脳及び心臓弁は有意な改良性を有さなかった。臨床学的改良性が13ヶ月間の長期処理に基づいて1匹のイヌに観察されたが、しかし他の研究は6ヶ月又はそれ以下に制限されている。
【0097】
組換えヒト酵素を受けたすべてのイヌ及びほとんどのネコは、ヒト生成物に対する抗体を生成した。IgG抗体は、補体活性化型(たぶん、イヌIgG同等物)のものである。この現象はまた、少なくとも13%のアルグルセラーゼ処理されたGaucher患者においても観察される。タンパク尿が、免疫複合体疾患に関連する1匹のイヌにおいて観察された。抗体の他の効果は、他の処理された動物においては観察されなかった。特定の毒性は観察されず、そして臨床学的実験室研究(完全な血液計数、電解質、BLJN/クレアチニン、肝臓酵素、尿検査)は正常であった。
【0098】
25,000単位の少用量(0.1mg/kg/週)での酵素治療は、いくつかの組織への有意な酵素分布、及びGAG貯蔵の低下をもたらした。1年以上にわたって続けられる場合、この治療の有意な臨床学的効果は、活性、サイズ、及び健康の全体的な出現に関して明らかであった。この用量での治療は、この実在物、例えば軟骨及び脳における疾病のための重要な部位である他の組織を改良しなかった。2週間にわたって5度与えられた125,000単位のより高い用量(0.5mg/kg)は、改良された組織侵入が達成され、そして組織レベルでの治療効果が2週間ほどで達成されたことを示す。
【0099】
この高められた用量での研究は、今日まで6ヶ月間、2匹のイヌにおいて進められている。それらのMPS Iイヌは、有意な臨床学的改良性、及び尿GAG排泄の正常な範囲への実質的な低下を示す。免疫反応以外が変更された投与技法により調節される場合、酵素治療は有意な臨床学的又は生化学的毒性を示さなかった。この毎週の高い用量での酵素治療は、MPS Iのいくつかの臨床学的特徴の改良、及び有意な毒性を伴なわないでの貯蔵の低下で効果的である。
【0100】
MPS Iイヌにおけるそれらの種々の研究及びMPS Iネコにおける1つの研究の結果は、ヒト組換えα−L−イズロニダーゼが安定であることを示す。それらの同じ結果は、この組換え酵素がα−L−イズロニダーゼ欠失の処理において効果的であるべきである有意な理論論的解釈を提供するが、それらはヒトにおける酵素治療の臨床学的有益性又は可能性ある免疫学的危険性を予測しない。
【0101】
例4:
α−L−イズロニダーゼのヒトcDNAは、シグナルペプチド分解の後、653個のアミノ酸及び70,000ドルドンの予測される分子量のタンパク質を予測する。アミノ酸配列決定は、629個のアミノ酸の予測されるタンパク質を付与する、N−末端でのアラニン26を示す。ヒト組換えα−L−イズロニダーゼは、成熟タンパク質の位置8でヒスチジンを有する。予測されるタンパク質配列は、6個の可能性あるN−結合されたオリゴ糖修飾部位を含んで成る。それらの部位のすべては、組換えタンパク質において修飾される。3及び6番目の部位は、細胞経の高い親和性摂取を担当する、1又は複数のマンノース6−リン酸残基を含むことが示されている。
【0102】
このペプチドは、N−末端アラニン及び次の配列(配列番号2)を有するヒト組換えα−L−イズロニダーゼのアミノ酸26−45に相当する:
ala-glu-ala-pro-his-leu-val-his-val-asp- ala -ala-arg-ala-leu-trp-pro-leu-ary-ary。
【0103】
組換え酵素は、炭水化物修飾のために、SDS−PAGEに基づいて82,000ドルトンお見掛け分子量を有する。精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼは、UCLAタンパク質配列決定施設により配列決定されている。組換え酵素は静脈内投与されることが好ましい。ヒト組換えα−L−イズロニダーゼは、100,000−200,000単位/mlの濃度で、10mlのポリプロピレンバイアルに、臨床試験のために供給された。臨床試験に使用される酵素の最終投与量形は、ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ、通常の塩溶液及びpH5.8での100mMのリン酸緩衝液を含む。それらは、通常の塩溶液のバッグにおいて調製される。0.001%の最終濃度でのポリソルベート80を配合物に添加し、剪断に対してタンパク質を安定化し、それにより、最終生成物バイアルにおける沈殿を回避した。
【0104】
【表5】
【0105】
例5:
ムコ多糖症を有する患者におけるα−L−イズロニダーゼの静脈内投与の効果:
α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのクローニングの研究(Scott, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 9695-99 (1991); Stoltzfus, など., J. Biol. Chem. 267: 6570-75 (1992))、及び多くの組織におけるリソソーム貯蔵を低めるためのα−L−イゾロニダーゼの効果を示す動物研究(Shull, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 12937-41 (1994); Kakkis, など., Biochem. Mol. Med. 58: 156-67 (1996))に基づいて、52週の研究を行い、I型ムコ多糖症(MPS I)を有する10人の患者における高く精製されたα−L−イズロニダーゼの静脈内投与の安全性及び臨床学的効能を評価した。
【0106】
組換えヒトα−L−イズロニダーゼを生成し、そして97〜99%以上に精製した。患者は障害の典型的な臨床学的出現を示し、そして診断を、白血球におけるα−L−イズロニダーゼ欠失の生化学的決定により確認した。
患者は、125,000単位/kgの用量(元のアッセイ及び単位定義を用いて)て、ヒトα−L−イズロニダーゼ(通常の塩溶液中、0.1%のヒト血清アルブミンにより希釈された)を静脈内投与され;3,000単位/kgが最初の1時間にわたって与えられ、そして61,000単位/kgが次の1時間にわたってそれぞれ与えられた。125,000単位/kgの用量は、新規アッセイを用いれば、100SI単位/kgに相当する。
【0107】
評価に依存して、基線で、及び6, 12, 26及び52週で、患者は、病歴、専門医による身体検査、心エコー検査、EKG, MRI, 睡眠ポリグラフ計(週0及び 26)、骨格調査(週0, 26, 52)、運動範囲の測定、角膜写真、及び酵素決定及び遺伝子型決定のための線維芽細胞培養物を設定するための皮膚生検(週0)に関する試験を受けた。運動範囲の測定を、ゴニオメーターにより行い、そして最大活性(患者が開始した)範囲を個々の運動について記録した。肩の屈曲は、身体の側部からの肘の前方への運動であり、そして肘及び膝の拡張は関節の直線化を表す。制限の程度は、年齢についての運動の通常の最大範囲と測定された値との間の差異を表す。
【0108】
睡眠ポリグラフ計は、American Thoracic Society ガイドに従って行われ、そして無呼吸現象(10秒又はそれ以上の間、口鼻空気流の停止)、減呼吸現象(2%又はそれ以上の脱飽和を伴なって、50%又はそれ以上の低められた口鼻空気流)、89%以下の酸素飽和及び合計の睡眠時間が必要とされる標準測定間で記録された。それらのデータから、無呼吸/減呼吸指数を、睡眠の時間数により、無呼吸及び減呼吸現象の合計数を割り算することによって計算した。生化学的研究は、白血球及び頬粘膜の掃き集め物における酵素活性、尿グリコサミノグリカンレベルの測定、及び組換えヒトα−L−イズロニダーゼに対する血清抗体についての試験(ELISA及びウェスターンブロット)を包含した。
【0109】
器官体積を、General ElectricからのAdvantage Windows(登録商標) ワークステーションソフトウェアを用いてのMRIデジタルイメージの分析により決定した。器官体積をmlで測定し、そして重量に転換し、1g/mlの密度を仮定した。尿グリコサミノグリカン排泄を、公開された方法の適用によりアッセイした。組換えヒトα−L−イズロニダーゼに対する抗体についてのウェスターンブロット及びELISAアッセイを、標準方法により行った。尿グリコサミノグリカンのウロン酸及びN−硫酸を、オルシノール、カルバゾール及びMBTH方法により、及び電気泳動分離により分析した。
【0110】
すべての患者は、52週間、投与される組換えヒトα−L−イズロニダーゼの毎週の注入を受けた。白血球におけるα−L−イズロニダーゼの平均活性は、処理の前、0.04単位/mgであり、そして注入の後、平均7日目で測定される場合(すなわち、次の注入の直前)、4.98単位/mgであり、又は正常の15.0%であった。酵素活性は、処理の前、頬粘膜の掃き集めものには検出できなかったが、しかし注入の7日後、それは正常の1%レベルに達した。
【0111】
肝臓体積は、52週で、9人の患者において基線から19〜37%、及び1人の患者において5%低下し;平均低下率は25.0%(n=10, P<0.001)であった。26週までに、肝臓サイズは、8人の患者において、体重及び年齢に関して正常であった(図1)。基線で最大の相対的肝臓サイズを有する2人の患者(患者6及9)ににおいては、肝臓サイズは、52週で正常に近かった(それぞれ、体重の3.2%及び3.3%)。脾臓サイズは、8人の患者においては、基線から13〜42%低下した(10人の患者において20%の平均低下率、P<0.001)。
【0112】
尿グリコサミノグリカン排泄は3〜4週までに急速に低下し、そして8〜12週までに、基線の60〜80%まで低下した。52週で、平均低下率は63%であった(53〜74%範囲;P<0.001)。10人の患者のうち8人が、年齢相当の正常値の上限以上の尿グリコサミノグリカンの基線量の75%又はそれ以上の低下率を有した。その結果は、ウロン酸及びN−硫酸のアッセイ(ヘパラン硫酸に対して特異的な試験)により確認された。尿の電気泳動研究は、ヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸排泄の有意な低下を検出したが、しかしいくらかの過剰デルマタン硫酸排泄がすべての患者に持続した。
【0113】
平均身長は、6人の思春期前患者において6.0cm (5.2%)上昇し(表2)、そしてそれらの平均身長上昇速度は、処理の間、2.8cm/年〜5.2cm/年上昇した。すべての10人の患者に関して、平均体重は、3.2kg(8.8%)上昇し、そして平均上昇量は6人の思春期前患者に関して4.2kg (17.1%)であった(表2)。それらの6人の患者においては、平均前処理体重上昇速度は、処理の間、1.7kg/年〜3.8kg/年に上昇した(P=0.04)。
【0114】
肩屈曲(肘の前方向への運動)は、それぞれ28°及び26°(P<0.002;図2)の右及び左の肩に関しての平均改良性を伴なって、基線で評価された8人の対象のうち6人において高まった。肘の延長及び膝の延長は、10人の患者においてそれぞれ平均7.0°(P<0.03)及び3.2°(P=0.10)上昇した(図2)。
個々の患者における改良性の分析は、最も制限された関節が最高の改良性を有したことを示した。例えば、基線で、患者5,9及び10は、100°以上、彼らの肩を屈曲することができず(肘お前方向への運動)、これは処理の後、21°〜51°上昇した。同様に、患者2及び9は、膝の延長の実質的な上昇性を有した。運動の範囲の変化は、物理的活動性、例えば髪を洗浄でき、ハンバーガーを通常通りに保持でき、モンキー棒から吊下がることができ、そしてスポーツを良好に演じる活性の、患者により報告される上昇性により達成された。
【0115】
7人の患者は、2.1〜1.0の平均無呼吸/減呼吸指数(1時間当たりの現象の合計数)の変化を伴なって、処理の後、1晩当たり155から60への無呼吸及び減呼吸現象の低下(61%の低下率)を有した。3人の患者は、臨床学的に有意な睡眠無呼吸を有し、そしてすべての3人は、処理の間、改良された。患者2においては、無呼吸/減呼吸指数が、26週間で基線での4.5から0.4に低下し、そして酸素脱飽和の合計時間は一晩当たり48時間から1分に低下した。
【0116】
患者6は、重度の脱飽和のために、処理の前、毎夜、連続した正の気道圧治療を必要としたが(368分の睡眠において連続した正の気道圧を伴なって、61分の89%以下の飽和)、しかし52週までに、患者は、CPAPを伴なわないで睡眠に対して耐性になり、そして332分の睡眠の間、わずか8分間、89%以下に脱飽和化された。患者9は、9.5の無呼吸/減呼吸指数を有し、これは26週までに4.0に低下した。患者8は、0.1の無呼吸/減呼吸指数が、核理由のために26週で3.1及び52週で9.3に上昇した。10人の患者のうち8人又は彼らの家族は改良された呼吸を報告しており、そして7人のうち5人は静かな夜間呼吸を示し、睡眠性質を改良し、そして昼間の眠気を低めた。
【0117】
New York Heart Association の機能的分類を、一連の患者のインタビューにより決定した。すべての10人の患者は、1又は2つの種類による改良性を報告しているが、しかし直接的な心臓利益を確かめるための、心エコー検査研究からの有意な客観的データは存在しなかった。改良された機能的評点は、心臓機能以外のMPS I疾病の他の観点における改良性に影響を及ぼすことができる。52週の処理に基線を比較すると、心エコー検査は、4人の患者において低めされた三尖逆流又は肺逆流を示したが、しかし2人の患者(患者2及び7)は増帽弁逆流を悪化した。基線で、患者6は心房粗動、及び心疾患の臨床学的徴候、例えば休息での呼吸困難及び末梢水腫を有した。12週までに、前記患者は第一度ブロックを伴なっての正常な洞節律、及び休息での呼吸困難性を有し、そしてくぼみ水腫が解決された。
【0118】
すべての10人の患者は、処理の前、耐久性の欠乏及び毎日の活動の制限を報告しているが、しかし自動運動耐久性は形式的には試験されなかった。処理の間、すべての患者は改善し、そして26週までには、多くはより一層、歩き、走り、そしてスポーツを行うことができる。患者3,4及び5は、6〜12週間の処理の後、重度の無能力になる頭痛の解決を報告した。
数人の患者は、低められたまぶしがり症又は結膜刺激を報告した。視力が1人の患者において改良され(1つの眼において20/1000〜20/200)、そして他の2人において適度な改善が見られた。
【0119】
この研究の結果は、本発明の高く精製された組換えヒトα−L−イズロニダーゼの静脈内投与がI型ムコ多糖症を有する患者における臨床学的及び生化学的改良性をもたらすことを示す。肝臓サイズの正常化及び尿グリコサミノグリカン排泄のほぼ正常化が、I型ムコ多糖症を有するイヌにおける研究からのデータと一致し、これは、肝臓における貯蔵のクリアランス及び2週間ほどで、低められた尿グリコサミノグリカン排泄を示した。
【0120】
組換えヒトα−L−イズロニダーゼの注入に対する過敏性反応は、イヌにおける研究から予測されるよりも非常に低かった。何人かの患者において重要であるけれども、再発性蕁麻疹は、前投薬及び注入速度の調節により管理できた。α−L−イズロニダーゼに対して特異的な抗体は、通常無症状の補体活性化を有する4人の患者において検出され、そして抗体及び補体活性化の両者は時間と共に低下した。類似するIgG−介在性免疫反応が、グルコセレブロシダーゼにより処理されたGaucher病を有する患者においてこれまで示されているが、但し、前記疾病は本発明の患者においてより頻度が高かった。ヌル遺伝子型を有するI型ムコ多糖症患者は、ヌル遺伝子型を有さないそれらの10人の患者においてよりも高い免疫応答性を有することができ、
従って、組換えヒトα−L−イズロニダーゼは、リソソーム貯蔵を低めることができ、そしてI型ムコ多糖症の臨床学的疾病のいくつかの観点を改善する。
【0121】
本発明、及びそれを製造し、そして使用する態様及び方法が現在、当業者による製造及び使用を可能にするために十分、明白、簡明且つ正確な態様で記載されている。前述は、本発明の好ましい態様を記載し、そして修飾が本発明の範囲内で行われ得ることが理解されるべきである。本発明に関する対象物を特別に指摘し、そして明確に請求するために、次の請求の範囲が本明細書を結論付ける。
開示の要約
1. 配列番号2の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素、又は配列番号2において1〜数個のアミノ酸の置換、欠失又は付加より修飾されたアミノ酸配列を有し且つ配列番号2の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素と同じか又は類似するα−L−イズロニダーゼ活性を有する変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を含んで成り、そして99%に等しいか又はそれ以上の純度を有する組換えα−L−イズロニダーゼ酵素調製物。
2. 前記組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又はその変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する項1記載の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素調製物。
3. 項1記載のヒト組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素、及び任意には、医薬的に適切なキャリヤーを含んで成る医薬生成物。
4. 塩化ナトリウム溶液、緩衝液又はポリソルベート80をさらに含んで成る項3記載の医薬組成物。
5. 前記α−L−イズロニダーゼ又はフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、0.05〜0.2mg/ml又は12,500〜50,000単位/mlの濃度で存在有する項3又は4記載の医薬組成物。
6. 前記塩化ナトリウム溶液が、150mMの濃度で存在する項4又は5記載の医薬組成物。
7. 前記緩衝液が、100mMの濃度及びpH5.4−5.9のリン酸ナトリウム緩衝液である項4〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
8. さらに、少なくとも1mg/mlの濃度でのヒトアルブミンを含んで成る項4〜7のいずれか1項記載の医薬組成物。
9. 前記ヒトアルブミンが、前記ヒト対象における急性アレルギー又は補体介在性反応を妨げるか又は低めるために使用される項8記載の医薬組成物。
10. 前記溶液のpHが、5.8で維持される項4〜9のいずれか1項記載の医薬組成物。
11. 前記ポリソルベート80が、0.001%で維持される項4〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。
12. 前記ソルベートが、最終生成物においてタンパク質を安定化するために使用される項4〜11のいずれか1項記載の医薬組成物。
13. 多量生成のための項1記載のα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を99%に等しいか又はそれ以上の純度に精製するための方法であって、
(a)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素をコードする核酸により形質転換された細胞の培養物から得られる流体を収穫し、そして濾過し;
(b)前記流体のpHを、酸性pHに調節し、続いて0.2〜0.54ミクロンのフィルターを通して濾過し;
(c)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を捕獲するために、ブルーセファロースFFカラムに前記流体を通し;
(d)汚染性CHOタンパク質を除去するために、銅キレート化クロマトグラフィーカラムに前記流体を通し;
(e)前記カラム上に担持される残留浸出Cibacronブルー色素及び銅イオンを減じるために、フェニルセファロースカラムに前記流体を通して;そして
(f)精製された前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を濃縮し、そしてダイアフィルトレーションする;
段階を含んで成る方法。
14. 前記ブルーセファロースFFカラムが、前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を7〜10倍に精製するために使用される項13記載の方法。
15. すべての緩衝液中、10%グリセロールを用いることを含んで成る項13記載の方法。
16. α−L−イズロニダーゼの欠失により完全に又は部分的に引き起こされる疾病の処理のための項3〜12のいずれか1項記載の医薬組成物。
17. 前記疾病がムコ多糖症である項16記載の医薬組成物。
18. 前記疾病がI型ムコ多糖症(MPS I)である項16記載の医薬組成物。
19. 前記疾病が、Hurler病、Scheie症候群及びHurler−Scheie症候群から成る群から選択される項16記載の医薬組成物。
20. 前記疾病を有する対象が、1%又はそれ以下の通常のα−L−イズロニダーゼ活性を示す項16〜19のいずれか1項記載の医薬組成物。
21. 少なくとも100SIU/kg、125,000単位/kg又は0.5mg/kgの前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニターゼ酵素の用量が、その欠失の患者に毎週投与される項16〜20のいずれか1項記載の医薬組成物。
22. 少なくとも125,000単位/kg又は100SIU/kg又は0.5mg/kgの用量を達成するために、少なくとも3000単位の前記配合物の1時間のゆっくりした注入、続く少なくとも122,000単位の2時間の急速な注入による投与のための項16〜21のいずれか1項記載の医薬組成物。
23. 前記注入が、補体介在性臨床学的アレルギー反応を最少にする速度で行われる項22記載の医薬組成物。
24. 前記ヒト組換えα−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素による処理が、組織におけるグリコサミノグルカンのリソソーム貯蔵を減じる項16〜23のいずれか1項記載の医薬組成物。
25. 前記処理が、前記ヒト対象の臨床学的及び生化学的徴候の改良を引き起こす項16〜24のいずれか1項記載の医薬組成物。
26. 前記処理が、肝臓体積及び尿グリコサミノグルカン排泄の正常化、脾臓サイズ及び無呼吸/減呼吸現象の低下、思春期前患者における身長及び成長速度の上昇、肩屈曲及び肘及び膝延長の改良、三尖弁逆流又は肺逆流の改良、又は毎日の活動の持久力及び限界の改良をもたらす項16〜25のいずれか1項記載の医薬組成物。
27. ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の精製方法であって、
a)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又はそのフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素をコードする核酸により形質転換されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の培養物から培養培地を獲得し;
b)前記培養培地のpHを酸性pHに調節し;
c)前記pH−調節された培地を限外濾過にゆだね;
d)段階(c)により生成された、濾過された培地を、第1の色素−親和性クロマトグラフィー精製段階にゆだね;
e)段階(d)からの溶離液を、第1の金属−イオンキレートクロマトグラフィー段階にゆだね;
f)段階(e)からの溶離液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)段階にゆだね;そして
g)精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の精製された調製物における合計タンパク質mg当たりの汚染性CHOタンパク質の量により決定される場合、99%又はそれ以上の純度を有する前記調製物を得るために、段階(f)からの溶離物を濃縮し、そしてダイアフィルトレーションする段階を含んで成る方法。
28. 前記第1の色素−親和性クロマトグラフィー精製段階が、Cibacron−Blue親和性クロマトグラフィーマトリックス上で行われる項27記載の方法。
29. 前記第1の金属−イオンキレートクロマトグラフィー段階が、銅−キレート化セファロースFFマトリックス上で行われる項27又は28記載の方法。
30. 前記HIC段階が、フェニル−セファロース高性能クロマトグラフィーマトリックス上で行われる項27〜29のいずれか1項記載の方法。
31. 前記Cibacron−Blu色素相互作用クロマトグラフィーカラム上での前記精製が、前記クロマトグラフィーカラムに適用される初期培地に比較し、前記ヒトα−L−イズロニダーゼ又はそのフラグメント又は変異体の7〜10倍の精製をもたらす項28〜30のいずれか1項記載の方法。
32. 前記ヒトα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の定量的回収を高めるために、すべての緩衝液中、10%グリセロールを用いることを含んで成る項27〜31のいずれか1項記載の方法。
33. 段階(b)が、pH5.3に調節された流体のpHをもたらす項27〜32のいずれか1項記載の方法。
34. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり200,000単位以上の比活性を有する項27〜33のいずれか1項記載の方法。
35. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する項27〜34のいずれか1項記載の方法。
36. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、1又は複数のマンノース−6−リン酸残基を含んで成る項27〜35のいずれか1項記載の方法。
37. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、位置3に結合されるマンノース−6−リン酸残基及び位置6に結合されるマンノース−6−リン酸残基を含んで成る項36記載の方法。
38. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、約5日の細胞内半減期を有する項27〜37のいずれか1項記載の方法。
39. CHO細胞の前記培養物が、細胞系2.131 CHO細胞の培養物である項27〜38のいずれか1項記載の方法。
40. 前記CHO細胞が、7.6mg/Lのチミジン、13.6mg/Lのヒポキサンチン、375μg/mlのG418及び5%ウシ胎児血清により補充された、6.8〜7.0のpHを有する、タンパクを有さない培養培地において培養される項27〜39のいずれか1項記載の方法。
41. 前記CHO細胞が、2.0×105〜2.5×105個の細胞/mlの密度での集密性まで増殖される項40記載の方法。
42. 集密性での前記細胞の培地が、前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素のために収穫される項41記載の方法。
43. 集密での前記細胞の培地が、連続灌流により収穫される項42記載の方法。
44. 前記連続灌流が、24時間にわたって、前記培地の2〜3.5培養物体積を交換することを含んで成る項43記載の方法。
45. 前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又はそのフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の生成が、前記α−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の遺伝子発現を誘発するために、12時間、酪酸ナトリウムにより前記培地を補充することによって増強される項27〜39のいずれか1項記載の方法。
46. 前記酪酸ナトリウムが、前記酪酸ナトリウムによる初期誘発の12時間後、前記培地から除去される項45記載の方法。
47. 前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニターゼ酵素の生成が、21日のタンパク質生成期間にわたって、48時間ごとに、酪酸ナトリウムにより再誘発される項46記載の方法。
48. 段階(b)が、前記流体のpHを、pH5.3に調節することを含んで成る請求項13記載の方法。
49. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり200,000単位以上の比活性を有する請求項13又は48記載の方法。
50. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する請求項13、48又は49記載の方法。
51. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、1又は複数のマンノース−6−リン酸残基を含んで成る請求項13、48又は49記載の方法。
52. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、位置3に結合されるマンノース−6−リン酸残基及び位置6に結合されるマンノース−6−リン酸残基を含んで成る請求項51記載の方法。
53. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、約5日の細胞内半減期を有する請求項13、48又は49記載の方法。
54. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、配列番号2の残基26〜653のアミノ酸配列を含んで成る請求項15、48又は49記載の方法。
55. 前記酵素が、配列番号2の残基26〜653を含んで成る請求項1記載の組換えα−L−イズロニダーゼ調製物。
56. 前記酵素又はフラグメント又は変異体が、99.9%に等しいか又はそれ以上の純度を有する項1記載の組換えα−L−イズロニダーゼ調製物。
57. 前記α−L−イズロニダーゼが、100SIU/ml又は125,000単位/mlの濃度で存在する項5記載の医薬組成物。
58. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼの精製された調製物が、99.9%又はそれ以上の純度を有する項27記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1A】図1Aは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1B】図1Bは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1C】図1Cは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1D】図1Dは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1E】図1Eは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1F】図1Fは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1G】図1Gは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1H】図1Hは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図2】図2は、下記に記載される方法に従って得られた溶出物のSDS−PAGE試験からの結果を示す。上部パネルは、Kakkis, など., Protein Expr. Purif. 5: 225-232 (1994) に開示される生成/精製スキームからの精製されたα−L−イズロニダーゼ(3ミクロン)及び汚染物のSDS−PAGE結果を示す。レーン2(7.5μgのα−L−イズロニダーゼ)及びレーン3(5.0μgのα−L−イズロニダーゼ)における、Carson方法として言及される未公開の従来の生成/精製方法(アメリカ特許出願番号第09/078,209号及び第09/170,977号)からの精製されたα−L−イズロニダーゼ及び汚染物のSDS−PAGE結果が、Galli方法として言及される本発明の生成/精製方法のそれ(レーン4:5μgのα−L−イズロニダーゼ)に引比較される。レーン1は、分子量マーカーである。図2は、本発明のGalli生成/精製方法が、従来の精製スキームに比較して、より少ない汚染物を伴って、高く精製されたα−L−イズロニダーゼ生成物を生成することを示す。
【図3】図3は、30日間にわたってのα−イズロニダーゼ生成レベルを示し、この間、細胞は血清含有培地からの血清フリー培地に5日目で交換される。α−イズロニダーゼ生成は、(1)細胞が、連続した生産性の上昇(上部パネル)を伴なって、100200(上部及び底部パネル)で血清含有培地から血清フリー培地に交換される場合、適合のための必要性の不在;(2)タンパク質フリー培地(底部パネル)における4mg/l(100mg/ml)以上の高レベルの生成;及び(3)酪酸誘発現象(底部パネル)を伴なってのα−イズロニダーゼ生成の増強により特徴づけられた。
【図4】図4は、MPS I患者における酵素治療の間の肝臓体積の低下を示す。
【図5】図5は、酵素治療の間の尿GAG排泄を示す。
【図6】図6は、酵素治療の間、HAC002における肘及び膝の延長を示す。
【図7】図7は、酵素治療の間、最もの制限を有する4人の患者における104週までの肩の屈曲を示す。
【図8】図8は、治療の前及び治療の6週間後、睡眠無呼吸症の改良を示す。
【図9】図9は、個々の患者における酵素治療の間の無呼吸症及び減呼吸症の改良を示す。
【図10】図10は、1人の患者における酵素治療の前、及び12及び52週間後の肺機能試験における改良性を示す。
【図11】図11は、酵素治療による早められた身長成長速度を示す。
【図12】図12は、(1)Carson方法、すなわち未公開の従来の生成/精製方法(アメリカ特許出願第09/078,209号及び第09/170,977号)、及び(2)Galli方法、すなわち本発明の生成/精製方法により生成されたα−L−イズロニダーゼの純度の程度、及びチャイニースハムスター卵巣タンパク質(CHOP)による汚染の程度を示す。従って、図12は、Galli方法により生成され、そして精製されたα−L−イズロニダーゼが、Carson方法のそれに比較して、高い程度の純度及び低い程度のCHOP汚染性を有することを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学、酵素学、生化学及び臨床医学の分野に関する。特に、本発明は、ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ(α−L−iduronidase)、商用銘柄のヒト組換えα−L−イズロニダーゼ酵素の大規模生成及び精製方法、及び一定の遺伝子疾患、例えばα−L−イズロニダーゼ欠失及び1型コム糖症(MPS I)の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭水化物は、生存生物の機能において多くの重要な役割を演じる。それらの代謝役割の他に、炭水化物は、多くの他の実在物、例えばタンパク質及び脂質に共有結合されるヒト身体の構造生物(糖接合体を呼ばれる)である。例えば、ヒト結合組織及び細胞膜は、タンパク質、炭水化物及びプロテオグリカンマトリックスを含んで成る。このプロテオグリカンマトリックスの炭水化物部分は、身体構造に重要な性質を提供する。
【0003】
炭水化物−分解性リソソーム酵素α−L−イズロニダーゼの遺伝子欠失は、I型ムコ多糖症(MPS I)として知られているリソソーム貯蔵障害を引き起こす(Neufeld abd Nyebzer, pp. 1565-1587, The Metabolic Basis of Inherited Disease, Eds., C. R. Scriver, A. L. Beaudet, W. S. Sly, and D. Valle, McGraw-Hill, New York (1989))。
【0004】
厳密な形においては、MPS Iは通常、Hurler症候群として知られており、そして多くの問題、例えば、精神遅滞、角膜の曇り、粗雑化された顔面特徴、心疾患、呼吸疾患、肝臓及び脾臓拡大、ヘルニア及び関節硬直化に関連している。Hurler症候群を有する患者は、通常10歳の前に死亡する。Hurler−Scheie症候群として知られている中間形においては、精神機能は一般的に影響されないが、しかし物理的問題が10代又は20代までに死を導く。Scheie症候群は、MPS Iの中間形である。それは正常な生存期間と適合するが、しかし関節硬直化、角膜曇り及び心臓弁疾患が有意な問題を引き起こす。
【0005】
MPS Iの頻度は、すべての新生児のBritish Columbia調査によれば1:100,000であり(Lowry, など., Human Genetics 85:389-390 (1990))、そしてIrish研究によれば1:70,000である(Nelson, Human Genetics 101: 355-358 (1990))。この疾病に関しての人類的先入観は見られない。患者は、診断が行われる前、合併症により死亡するので、又は症候群の中間形の関節炎として間違えられ、又は全体的に見過ごされているので、たぶん世界的には、その疾病は下方診断されている。MPS Iについての効果的な新生児スクリーニングはたぶん、何人かのこれまで検出されていない患者に見出すことができるであろう。
【0006】
骨髄移植のために適している数人の患者を除いて、すべてのMPS I患者のために利用できる有意な治療法は存在しない。Hobbs, など(Lancet2: 709-712 (1981))は、骨髄移植がHurler患者を好都合良く処理したことを最初に報告している。この時以来、いくつかの移植センターでの臨床学的研究が、身体疾患の改良、又は初期に行われる場合、進行性減退の遅延又は安定化を示している(Whitley, など., Am. J. Med. Genet. 46: 209-218 (1993));Vellodi, など., Arch. Dis. Child. 76 : 92-99 (1997); Peters, など., Blood 91: 2601-2608 (1998); Guffonなど., J. pediatrics 133: 119-125 (1998))。しかしながら、有意な罹病率及び死亡率、及び適合されたドナー骨髄のための必要性は、骨髄移植の利用性を制限する。すべての影響された患者に利用できる他の治療は、この疾病の処理及び管理において重要な進歩を提供するであろう。
【0007】
酵素置換治療は、α−L−イズロニダーゼが培養におけるHurler細胞の酵素欠陥を矯正できる発見に従って、MPS Iのための可能性ある治療として見なされて来たが、しかしヒト治療への開発は、現在まで、技術的に実行できていない。調整的な肯定においては、マンノース−6−リン酸残基を含む酵素が、受容体介在エンドサイトーシスを通して細胞中に摂取され、そしてリソソームに輸送され、ここでそれは貯蔵された基質、ヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸をクリアランスする。ヒトへのこの治療の適用は、組織におけるα−L−イズロニダーゼの不適切な源のために、これまで可能ではなかった。
【0008】
MPS Iにおけるα−L−イズロニダーゼ酵素治療に関しては、酵素の組換え源が、酵素の治療的に十分な供給を得るために必要とされて来た。イヌ酵素についてのcDNAは1991年にクローン化され(Stolzfus, など., J. Biol. Chem. 267: 6570-6575 (1992))、そしてヒト酵素についてのcDNAは同じ年にクローン化された(Scott, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 9695-9699 (1991)、Moskowitz,など., FASEB J 6: A77 (1992))。
【0009】
α−L−イズロニダーゼについてのcDNAのクローニングに続いて、適切な量の組換えα−L−イズロニダーゼの生成は、イヌMPS Iにおける酵素置換治療の研究を可能にした(Kakkis, など., Protein Expr. Purif. 5: 225-232 (1994))。イヌMPS Iモデルにおける酵素置換研究は、静脈内投与された組換えα−L−イズロニダーゼが広く分布し、そして多くの組織からリソソーム貯蔵を低めたことを示した(Shull, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 12937-12841 (1994); Kakkis, など., Biochem. Mol. Med. 58: 156-167 (1996))。
【0010】
発明の簡単な要約:
1つの観点においては、本発明は、酵素治療の長期患者使用のための大規模生成を可能にするために、適切な純度で大規模な量でヒト組換えα−L−イズロニダーゼを多量生成するための方法を特徴とする。広い態様においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼのすべて又は一部をコードするcDNAを、その発現のために適切な細胞中にトランスフェクトする段階を含んで成る。いくつかの態様においては、完全なα−L−イズロニダーゼ、好ましくはヒトα−L−イズロニダーゼをコードするcDNAが使用される。しかしながら、他の態様においては、その生物学的活性フラグメント又は変異体をコードするcDNAが使用され得る。
【0011】
特に、1又は複数のアミノ酸置換が、酵素の生物学的活性を保存するか又は増強しながら、行われ得る。他の好ましい態様においては、発現ベクターは、cDNAを、その発現のための適切な細胞又は細胞系中にトランスファーするために使用される。1つの特に好ましい態様においては、cDNAが、細胞系2.131を創造するためにチャイニーズハムスター卵巣細胞中にトランスフェクトされる。さらに他の好ましい態様においては、生成方法は、特に高い生成レベルを示している1又は複数の次の特徴を特徴とする:
【0012】
(a)細胞増殖培養物のpHが、生成工程の間、約6.5〜7.0、好ましくは約6.8〜7.0に低められ得;
(b)培地の2〜3.5培養体積が連続灌流により、それぞれ24時間、変更され得;
(c)酸素飽和が約40%まで最適化されるが、しかし80%ほどの高さでもあり得;
(d)最初に、培地中、約5%血清と共に高多孔性セルロースマイクロキャリヤーが細胞塊状物を生成するために使用され、続いて生成のためのタンパク質フリー培地への急速な洗浄シフトが伴ない;
(e)タンパク質フリー又は低タンパク質培地、例えばJRH Biosciences PF-CHO 生成物が、グルタメート、アスパーテート、グリシン、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドから成る群から選択された1又は複数の成分の補充量を包含するよう最適化され得;
(f)撹拌されたタンク懸濁培養物が、イズロニダーゼを生成するために連続工程で灌流され得る。
【0013】
第2の観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成する能力を特徴とする、トランスフェクトされた細胞系を提供する。好ましい態様においては、本発明は、組換えチャイニーズハムスター卵巣細胞系、例えば治療的に酵素の使用を可能にする多量のα−L−イズロニダーゼを、安定し、且つ確かに生成する2.131細胞系を特徴とする。いくつかの好ましい態様においては、細胞系は、発現構造体の1つよりも多くのコピーを含むことができる。さらにより好ましい態様においては、細胞系は、少なくとも20μg/107個の細胞/日の量で組換えα−L−イズロニダーゼを発現する。
【0014】
第3の観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニターゼを生成するために適切な新規ベクターを提供する。好ましい態様においては、本発明は、サイトメガロウィルスプロモーター/エンハンサン要素、ネズミCαイントロンから成る5’イントロン、α−L−イズロニダーゼのすべて、又はフラグメント又は変異体をコードするcDNA、及び3’ウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含んで成る発現ベクターを特徴とする。また、好ましくは、α−L−イズロニダーゼンすべて、又はフラグメント又は変異体をコードするcDNAは、約2.2kbの長さである。この発現ベクターは、複数のコピー挿入を増強するために、いずれかの適切な選択ベクター、例えばpSV2NEOにより、50:1の比でトランスフェクトされ得る。他方では、遺伝子増幅が、複数のコピー挿入を誘発するために使用され得る。
【0015】
第4の観点においては、本発明は、本発明の方法に従って生成され、そしてそれにより、治療的に酵素の使用を可能にする量で存在する新規α−L−イズロニダーゼを提供する。本発明のα−L−イズロニダーゼの比活性は、1mgタンパク質当たり200,000単位以上で存在する。好ましくは、それは1mgタンパク質当たり約240,000単位以上で存在する。本発明のα−L−イズロニダーゼの分子量は、約82,000ドルトンであり、ここで約70,000ドルトンがアミノ酸であり、そして約12,000ドルトンが炭水化物である。
【0016】
第5の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼを精製するための新規方法を特徴とする。第1の態様においては、細胞塊状物が約5%血清含有培地において増殖され、続いて精製のための高い比活性出発材料を生成するためにいずれの有意な適合も伴なわないで、修飾されたタンパク質フリー生成培地に交換される。1つの好ましい態様においては、3段階カラムクロマトグラフィーが、酵素を精製するために使用され得る。
【0017】
そのような3段階カラムクロマトグラフィーは、ブルーセファロースFF、Cu2+キレート化セファロース及びフェニルセファロースHPクロマトグラフィーの使用を包含することができる。もう1つの好ましい態様においては、酸性pH処理段階が、酵素を害しないで、可能性あるウィルスを不活性化するために使用される。コンカナバリンA−セファロース、ヘパリン−セファロース及びSephacryl200カラムが除去され、そしてブルーセファロース及び銅キレート化カラムが付加され、大規模精製工程の能力が高められた、長期患者使用のために不適切である所望しない浸出性が低められ、そして生成物の純度が改良される。
【0018】
第6の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼの欠失によりすべて又は部分的に引き起こされる疾病の新規処理方法を特徴とする。1つの態様においては、この方法は、組換えα−L−イズロニダーゼ又はその生物学的活性フラグメント又は変異体のみを、又は医薬的に適切なキャリヤーと組合して投与することを特徴とする。他の態様においては、この方法は、α−L−イズロニダーゼのすべて又は一部をコードする核酸を、1又は複数の宿主細胞中にインビボでトランスファーすることを特徴とする。好ましい態様は、疾病症状を効果的に改善するために、処理されるべき生物、好ましくは哺乳類又はヒトへの用量の最適化を包含する。好ましい態様においては、疾病は、I型ムコ多糖症(MPS I)、Hurler症候群、Hurler−Scheie症候群又はScheie症候群である。
【0019】
第7の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼの欠失によりすべては又は部分的に引き起こされる疾病の処理のために有用なα−L−イズロニダーゼを含んで成る新規医薬組成物を特徴とする。そのような組成物は、多くの手段、例えば非経口、局部、鼻腔内、吸入又は経口投与による投与のために適切であり得る。α−L−イズロニダーゼ欠失により影響される細胞中にインビボで投与され得るα−L−イズロニダーゼのすべて又は一部をコードする核酸配列を特徴とする態様は、この観点の範囲内である。
【0020】
発明の特定の記載:
1つの観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するための方法を特徴とする。一般的に前記方法は、α−L−イズロニダーゼのすべて、又はその生物学的活性フラグメント又は変異体をコードするcDNAにより適切な細胞系を形質転換することを特徴とする。当業者は、発現構造体によりトランスフェクトされた適切な細胞系におけるα−L−イズロニダーゼの最適な生成のために本明細書に記載されるそれらの発現構造体以外の発現構造体を調製することができる。さらに、当業者は、天然に存在する十分な長さの酵素と同じか又は類似する生物学的活性を有する、天然に存在するα−L−イズロニダーゼの生物学的活性フラグメント及び変異をコードするcDNAのフラグメントを容易に企画することができる。
【0021】
α−L−イズロニダーゼのための組換え源を創造するためには、多数のシリーズの発現ベクターが構成され、そしてα−L−イズロニダーゼcDNAの発現について試験され得る。一時的なトランスフェクション実験、及び適切なトランスフェクションに基づけば、特に高いレベルの発現を提供する発現構造体が同定され得る。本発明の1つの態様によれば、α−L−イズロニダーゼ発現構造体のトランスフェクション及び高発現クローンの選択により開発されたチャイニーズハムスター細胞系2.131は、特に高いレベルの発現を提供する。本発明のこの態様によるそのようなチャイニーズハムスター細胞系は、正常な細胞系よりも約5,000〜7,000倍以上、α−L−イズロニダーゼを分泌することができる。それにより生成されるα−L−イズロニダーゼは、正しくプロセッシングされ、高い親和性で細胞中に摂取され、そしてα−L−イズロニダーゼ欠失細胞、例えばHurlers症候群を有する患者からのそれらの細胞のために調整的である。
【0022】
治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するための方法は、商用銘柄の酵素を多量生成するために特に企画された生成方法を特徴とし、ここで前記酵素の品質は、種々の国の規則機関によれば、ヒトへの投与のために許容できると思われている。商用銘柄の酵素の大規模生成は、細胞培養規模、マイクロキャリヤーシステム及び精製スキームの改良を必要とする。好ましい態様においては、細胞培養規模は、連続灌流への変換を伴なって、45L〜110L又はそれ以上に高められる。規模の上昇は、長期患者使用のために可能性ある大規模生成のための十分な材料を生成する必要がある。
【0023】
そのような工程の好ましい態様によれば、マイクロキャリヤーは、付着細胞を増殖する低費用の計量できる表面として使用される。特に好ましい態様においては、そのようなマイクロキャリヤーは、高多孔性であり、そして特に修飾された炭水化物、例えばセルロース、例えばPharmaciaにより製造されるCytoporeビーズから構成される。高多孔性マイクロキャリヤーは、改良された細胞結合を可能にし、そして培養工程の間、高められた細胞密度を生成することが予測される、結合のためのより大きな表面積を提供する。
【0024】
好ましい態様においては、ヘパリン−セファロース及びSephacryl 200カラムが、大規模生成工程の能力を高めるために、及び生物の純度を改良するために、ブルー−セルファロース及び銅キレート化カラムにより置換される。特に好ましい態様においては、銅キレート化カラムが、大規模分布のために適切な非常に低いレベルに、チャイニーズハムスター卵巣細胞タンパク質汚染物を減じるために使用される。下記に記載される修飾及び誘発を特徴とする本発明の方法の態様を用いれば、ピーク培養密度で約15mg/培養物1L/日又はそれ以上が、110Lの培養システムにより出発して生成され得る。
【0025】
本発明のα−L−イズロニダーゼの生成方法の他の好ましい態様によれば、培養システムが最適化される。第1の態様においては、培養物pHは、生成工程の間、約6.5〜7.0、好ましくは約6.7〜7.0に低められる。そのようなpHの1つの利点は、酸性pHでより安定するリソソーム酵素の蓄積を増強することである。第2の態様においては、2〜3.5培養体積の培地が、連続灌流により、それぞれ24時間で変更され得る。第3の態様においては、酸素飽和が約40%で最適化される。第4の態様においては、培地における最初の約5%血清と共に高多高性マイクロキャリヤーが、細胞塊状物を生成するために使用され、続いて生成のためのタンパク質フリー培地に急速な洗浄により移行される(図3)。
【0026】
第5の態様においては、タンパク質フリーの増殖培地、例えば、JRH Biosciences PF-CHO生成物は、グルタメート、アスパーテート、グリシン、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドから成る群から選択された、補充量の1又は複数の成分を包含するよう最適化され得る。第6の態様においては、2〜3.5培養体積の培地が、連続灌流により、それぞれ24時間、変更され得る。そのような誘発工程は、後−翻訳プロセッシングを有意に変更しないで、生成において約2倍の上昇性をもたらすことができる。
【0027】
本発明の方法に従ってのα−L−イズロニダーゼの生成方法の特に好ましい態様は、本明細書に記載される、1つ、1つよりも多くの、又はすべての最適化を特徴として、そして下記により詳細に記載されるように使用され得る。従って、本発明の生成方法は、次の特徴を有する生成培養工程を提供することができる:
【0028】
1.変性されたセルロース又はその同等物から製造された高多孔マイクロキャリヤービーズを用いてのマイクロキャリヤー基材の培養が好ましくは、オーバーヘッド撹拌機又はその同等物を備えた大規模培養フラスコにおいて使用される。それらのビーズへの細胞の結合は、DME/F12(1:1)に添加される5%ウシ胎児血清におけるか、又は成分、例えばリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド、ピルベート、非必須アミノ酸及びHEPESにより変性されたタンパク質フリー培地における培養により達成され得る。この培地における約3〜6日後、タンパク質フリー培地が、グルコース含有率及び培養条件に依存して、上昇する灌流速度で血清含有培地を置換する洗浄工程が始められる。続いて、及び残る全培養期間を通して、細胞は、タンパク質フリー培地において培養される。
【0029】
酵素生成へのタンパク質フリー培地の使用は、酵素により処理される患者への、ウシ海綿状脳障害(BSE)及び他の感染性生物学的剤、例えばウィルスの暴露危険性を低めることにおいて有益であり、個々で前記BSE又は他の有害な剤は可能性ある血清暴露の量に依存する。従来の公開された研究においては、細胞を増殖するために使用されるキャリヤーは、1L当たり1g又は生成物濃度の100倍で使用されるウシゼラチンマイクロキャリヤーであった。マイクロキャリヤーからのゼラチンタンパク質の1%の浸出は、相対的に100%の汚染性を表し、そしてそれにより、BSEの危険性に寄与する。従って、新規キャリヤーは、デキストラン又はセルロース基材のいずれかであり、そして炭水化物から成り、そして動物由来の材料ではない。
【0030】
図3は、細胞が5%血清含有培地において一定密度まで増殖され、そして次に、タンパク質フリー培地のいずれの適合も伴なわないで交換されることを示す。図3は、
1)細胞が、適合を伴なわないで移行される場合、生存し、そしてイズロニダーゼを生成し続けることを、特に示す。対照的に、他の研究は、タンパク質フリー培地への適合が必要であることを示唆している。本発明の方法においては、酵素生成は、血清含有培地に匹敵するレベルで持続する。
【0031】
2)タンパク質培地において生成されるα−L−イズロニダーゼは、4mg/L又は1,000単位/ml以上の生成のレベルを維持する。
3)タンパク質フリー培地において生成されるα−L−イズロニダーゼは高い摂取性を有し、このことは、培地における移行、及び従って、細胞に供給される炭水化物における移行が酵素の高い摂取特徴に悪影響を及ぼさないことを示唆する。
α−L−イズロニダーゼの8個のロットが生成され、そしてすべてのロットにおいて2nM以下の最大値の半分の摂取値を伴なってのこの態様で開放された。
【0032】
2.培養条件は好ましくは、約6.8〜7.0のpH及び約35〜37℃の温度で40%の空気飽和の溶解された酸素で維持される。これは、調節単位、モニター単位、及び適切なプローブ、例えばApplikon(商標)又はMetter(商標)により製造されるそれらのプローブを用いて達成され得る。しかしながら、当業者は、これが他の製造業者により製造される同等の調節システムにより容易に達成され得ることを容易に理解するであろう。約40%の空気飽和は、80%までの空気飽和が使用され得るが、改良されたα−L−イズロニダーゼ分泌をもたらす。
【0033】
しかしながら、例えば90%の空気飽和までの酵素のさらなる上昇は、80%の空気飽和よりも有意に高められた分泌を提供しない。溶解された酸素は、5ミクロンのステンレス鋼又は大きな開口スパージャー又はその同等物を用いて、断続的又は連続的酵素スパージングにより供給され得る。約6.8〜7.0のpHが、α−L−イズロニダーゼ酵素の蓄積のために最適である。酵素は特に、約7.0以上のpHでは不安定である。約6.7以下のpHで、特に約6.5以下のpHで、分泌速度は低下する。従って、培養は、約6.8〜7.0のpHで最適に維持される。
【0034】
3.生成培養培地は、Excell PF CHOと呼ばれるJRH Biosciencesからの市販の培地の変性された形であり得る。この培地は、細胞系、例えば2.131細胞系を用いて、血清の分泌レベルに等しい分泌レベルを支持する。それは好ましくは、約6.8〜7.0(±0.1)の酸性pHを包含するよう変性され得、そして7.5mM又は15mMでのHEPESにより緩衝化され得る。培地は、0.05〜0.1%のPluronics F-68 (BASF)、非イオン性界面活性剤、又はスパージングに関連する剪断力から細胞を保護する利点を特徴とするその同等物を含むことができる。
【0035】
培地はさらに、現在入手できる他のタンパク質フリー培地よりも培地の生産性を高めることにおいて重要である市販の補充物含む事ができる。当業者は、培養培地の選択が特定の時点で入手できる特定の市販の態様に従って連続的に最適化され得ることを容易に理解するであろう。そのような変化は、通常の実験のみを包含し、そして本発明の範囲内に存在することが意図される。
【0036】
4.生成培地は、出発培地と消費された培地とを比較するアミノ酸分析器を用いて分析され得る。そのような分析は、2.131細胞系が、グリシン、グルタメート及びアスパテートの標準のPF CHO培地を、その出発濃度の約10%のレベルまで消耗することを示している。それらのアミノ酸のより高いレベルへの補充は、基線でよりも2〜3倍高い生成を導くことができる増強された培養密度及び生産性をもたらすことができる。当業者は、本発明の範囲内の他の細胞系が本発明の方法に従ってα−L−イズロニダーゼを生成するために同じ程度に有用であることを理解するであろ。従って、多かれ少なかれ、補充栄養物が培地を最適化するために必要とされ得る。そのような最適化は、本発明の範囲内に存在することが意図され、そして過度の実験を伴なわないで実施され得る。
【0037】
5.培地は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠失細胞系2.131を支持するために、それぞれ約10mg/lでの4種のリボヌクレオシド及4種のデオキシリボヌクレオシドにより補充され得る。当業者は、本発明の範囲内の他の細胞系が本発明の方法に従ってα−L−イズロニダーゼを生成するために同じ程度に有用であることを理解するであろう。従って、多かれ少なかれ、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドは培地を最適化するために必要とされ、そして核酸合成のためのプリン及びピリミジンの他の源、例えばヒポキサンチン及びチミジンが使用され得る。そのような最適化は、本発明の範囲内で意図され、そして過度の実験を伴なわないで実施され得る。
【0038】
6.培養の約3〜6日で宗密性(confluence)に達した後、上昇する速度の連続灌流が開始される。培地の変更は、例えば培養物が撹拌され得る場合でさえ、マイクロキャリヤーを除去しないで、培地の摂取を可能にするよう構成され、そして位置決定されたスラント供給管を用いて達成され得る。スラント供給管を通して培地をポンプ輸送することによって、マイクロキャリヤーは、培養物内の管の本体内で沈降し、そして培地上の変化の間、培養物から除去されない。この態様においては、細胞塊状物と共にマイクロキャリヤーが、酵素を含む上清液から分離される。
【0039】
7.培地の急速及び時おりのターンオーバーは、細胞培養物からの酵素の改良された全体的収集をもたらすために生産性研究により示されている。培地の低いターンオーバーは、毎日の基準に基づけば、酵素の低い全体的生成をもたらす。1日当たり2〜3.5培養物体積の灌流を用いれば、細胞は、高い程度の生存性及び高レベルの生産性を伴なって、卓越した条件で維持され得る。
【0040】
8.α−L−イズロニダーゼの生成は、遺伝子発現の酪酸ナトリウム誘発の使用により増強され得る(図3)。α−L−イズロニダーゼの20個のロットが、21日の生成期間の間、48時間ごとの誘発及び再誘発の後、12時間ごとに2/3洗浄を伴なって、2nMの濃度での酪酸誘発を用いて生成された。図3においては、底部での垂直の矢印は、酪酸誘発現象を示す。個々の誘発は、培地におけるα−L−イズロニダーゼ濃度の上昇を誘発した。
【0041】
2.131細胞系の組織的研究は、約2mMの酪酸が供給され、そして炭水化物プロセッシングに対する最少の効果を伴なって、約2倍又はそれ以上の酵素生成の誘発をもたらすことを示した。低レベルの酪酸は誘発することが示されておらず、そして実質的に高いレベルがより高い誘発をもたらすことができるが、しかしα−L−イズロニダーゼ欠失を有する患者からの細胞に対して生成される酵素の親和性の低下をもたらすことができる。2mM又はより通常使用される濃度である5mMでインビトロで行われる酪酸誘発は、3nM又は40U/ml、又は生成ロットにおいて観察される値の平均3倍の過剰摂取をもたらした。さらに、通常使用される24時間又はそれ以上の時間、及び5mMの濃度は、α−L−イズロニダーゼの生成細胞に対して毒性であり、そして細胞塊状物の分離及び損失をもたらした。
【0042】
結果は、2倍又はそれ以上の誘発が炭水化物の低いプロセッシング及び酵素への低いリン酸付加、及び上昇する毒性をもたらすことを示唆する。炭水化物プロセッシング及びリン酸基の付加に関しては、酵素置換治療におけるマンノース−リン酸の重要性が、2種のリソソーム酵素、すなわちグルコシダーゼ及びガラクトサミン−4−スルファターゼのリン酸の除去が低められた摂取を導く観察により示されている(Vander Ploeg, など., J. Clin. Invest. 87: 513-518 (1991); Crawley, など., J. Clin. Invest. 97: 1864-1873 (1996))。
【0043】
さらに、低いリン酸含有酵素(Van Hove, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 65-70 (1996))は、摂取実験に関して1ml当たり1,000単位を必要とし(イズロニダーゼに関しては、約100倍が使用される)、そして動物モデルにおける有効用量は、14mg/kg, 又は高いリン酸含有イズロニダーゼにより使用される用量の28倍を必要とする(Kikuchi, など., J. Clin. Invest. 101: 827-833 (1998))。
本発明の方法の1つの特に好ましい観点は、48時間ごとに培養システムへの2mMの酪酸添加を用いる。この態様は、酵素の摂取親和性(30U/ml又は2.0mM以下のK−摂取)に対しての有意な効果を伴なわないで、この方法を用いて酵素生成の約2倍の誘発をもたらす。
【0044】
9.第2の観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するユニーク能力を有する、トランスフェクトされた細胞系を提供する。好ましい態様においては、本発明は、組換えチャイニーズハムスター卵巣細胞系、例えば多量のα−L−イズロニダーゼを安定し且つ確かに生成する2.131細胞系を特徴とする。好ましい態様においては、前記細胞系は、CMVプロモーター、αイントロン、ヒトα−L−イズロニダーゼcDNA及びウシ成長ホルモンポリアデニル化配列を含んで成る発現構造体の1つよりも多くのコピーを含むことができる。
【0045】
さらにより好ましい態様においては、細胞系は、酵素置換治療のために適切な、正しくプロセッシングされた高い摂取形で、少なくとも20〜40μg/107個の細胞/日の量でα−L−イズロニダーゼを発現する。本発明のこの観点の好ましい態様によれば、治療に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するよう適合化された、トランスフェクトされた細胞系は、1又は複数の次の特徴を有する:
【0046】
1.好ましい態様の細胞系は、親細胞系に由来し、ここで前記親細胞系は、それらがより小さなサイズ及びより急速な増殖速度を獲得するまで、及びそれらが基質に容易に結合するまで、培養において継代培養される。
【0047】
2.好ましい態様の細胞系は、サイトメガロウィルスプロモーター/エンハンサー要素、エキソン2及び3間のネズミCαイントロンから成る5’イントロン、約2.2kbの長さのヒトcDNA及び3’ウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含む発現ベクターによりトランスフェクトされる。この発現ベクターは、いずれかの適切な通常の選択ベクター、例えばpSV2NEOにより50:1の比でトランスフェクトされ得る。選択ベクターpSV2NEOは、都合良くトランスフェクトされた細胞に対してG418耐性を付与する。特に好ましい態様においては、約50:1の比が使用される。
【0048】
何故ならば、この比は、複数のコピー数挿入体の獲得を増強するからである。チャイニーズハムスター卵巣細胞系2.131が供給される1つの態様によれば、α−L−イズロニダーゼのための発現ベクターの少なくとも1つのコピーが存在する。そのような細胞系は、多量のヒトα−L−イズロニダーゼを生成する能力を示している(最少20μg/107個の細胞/日)。特に好ましい態様、例えば2.131細胞系は、高い親和性(3nM以下のK−摂取)を有する酸素を生成するための十分な量で6位置でのリン酸により修飾された高いマンノース鎖を含むN−結合されたオリゴ糖を含む、適切にプロセッシングされた酸素を生成する能力を有する。
【0049】
3.本発明の細胞系、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞系2.131から生成された酵素は、細胞中に急速に同化され、グリコサミノグリカン貯蔵を排除し、そしてα−L−イズロニダーゼ欠失を有する患者からの細胞において約5日の半減期を有する。
4.好ましい態様の細胞系、例えば2.131細胞系は、大規模培養に適合し、そしてそれらの条件下でヒトα−L−イズロニダーゼを安定して生成する。好ましい態様の細胞は、α−L−イズロニダーゼの増強された蓄積が生じ得る約6.6〜7.0の酸性pHで増殖し、そしてα−L−イズロニダーゼを分泌することができる。
5.本発明の細胞系、例えば2.131細胞系の特に好ましい態様は、特別に配合されたタンパク質フリー培地を用いて、2,000単位/ml(8μg/ml)/日(1日当たり2度収穫される)以上のレベルで、又は15mg/1Lの培養物/日以上のレベルでヒトα−L−イズロニダーゼを分泌することができる。
【0050】
第3の観点においては、本発明は、治療的に酵素の使用を可能にする量でα−L−イズロニダーゼを生成するのに適切な新規ベクターを提供する。適切な量の組換えα−L−イズロニダーゼの生成は、酵素の構造に対する研究、及び酵素置換治療のための決定的な先行条件である。本発明の細胞系は、摂取のために適切にプロセッシングされる有意な量の組換えα−L−イズロニダーゼの生成を可能にする。
【0051】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における過剰発現が、種々のプロモーター及び1つの場合、増幅を用いて、次の3種の他のリソソーム酵素について記載されている:α−ガラクトシダーゼ(Ioannou, など., J. Cell. Biol. 119: 1137-1150 (1992))、イズロン酸2−硫酸(Bielicki, など., Biochem. J. 289: 241-246 (1993))、及びN−アセチルガラクトサミン硫酸(Amson, など., Biochem, J. 284: 789-794 (1992))。本発明は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ−欠失CHO細胞を特徴とするが、しかし本発明の好ましい態様によれば、増幅は不必要である。さらに、本発明は、CMV即時初期遺伝子プロモーター/エンハンサーを用いてのヒトα−L−イズロニダーゼの高いレベル発現を提供する。
【0052】
本発明は、好ましい態様においては、サイトメガロウィルスプロモーター/エンハンサー要素、エキソン2及び3間のネズミ長鎖免疫グロブリンCα遺伝子に由来するネズミCαイントロンから成る5’イントロン、約2.2kbの長さのヒトcDNA、及び3’ウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含んで成る発現ベクターを特徴とする。この発現ベクターは、いずれかの適切な通常の選択ベクター、例えばpSV2NEOにより50:1の比でトランスフェクトされ得る。
【0053】
その選択ベクター、例えばpSV2NEOは、都合良くトランスフェクトされた細胞に対してG418耐性を付与する。特に好ましい態様においては、約50:1の比の発現ベクター:選択ベクターが使用される。何故ならば、この比は複数のコピー数の挿入体の獲得を増強するからである。チャイニーズハムスター卵巣細胞系2.131が供給される1つの態様によれば、α−L−イズロニダーゼについての発現ベクターの約10のコピーが存在する。そのような発現構造体は、適切な細胞系、例えばチャイニースハムスター卵巣細胞系2.132においても多量のα−L−イズロニダーゼ(最少20μg/107個の細胞/日)を生成する能力を示している。
【0054】
第4の観点においては、本発明は、本発明の方法に従って生成され、そしてそれにより、治療的に酵素を可能にする量で存在する新規α−L−イズロニダーゼを提供する。本発明の方法は、適切にプロセッシングされ、そして酵素置換治療のために適切で且つインビボ治療において効果的な、高い摂取形で存在する、実質的に純粋なα−L−イズロニダーゼを生成する。
【0055】
本発明のα−L−イズロニダーゼの比活性は、約200,000単位/mgタンパク質以上である。好ましくは、それは、活性及びタンパク質濃度について元のアッセイ方法を用いれば、mgのタンパク質当たり約240,000単位以上である。μモル/分として表される単位による同じ酵素についての新規の確認されたアッセイは、100単位/ml(70〜130の範囲)の活性、及び143単位/mlの平均活性性を有する0.7mg/ml(0.6〜0.8)のタンパク質濃度(280nMでの吸光度による)を示す。本発明の十分な長さのα−L−イズロニダーゼの分子量は、約82,000ドルトンであり、ここで約70,000ドルトンはアミノ酸であり、そして12,000ドルトンは炭水化物である。
【0056】
本発明の組換え酸素は、部分的に精製された尿酵素の調製についてこれまで報告されて来たよりも一層効果的にエンドサイトーシスされる。本発明の組換え酵素は、α−L−イズロニダーゼ−欠失繊維芽細胞における放射性S−ラベルされたGAGの蓄積を減じることにおいて効果的であり、このことは、それがリソソーム、すなわちGAG貯蔵の部位に輸送されることを示す。そのような矯正(0.7pMで最大の半分の矯正)のために必要とされる、著しく低い濃度のα−L−イズロニダーゼは、酵素置換治療の成功のために非常に重要であり得る。
【0057】
α−L−イズロニダーゼのヒトcDNAは、シグナルペプチド分解の後、653個のアミノ酸のタンパク質及び70,000ドルトンの予測される分子量を測定する。アミノ酸配列決定は、N−末端でアラニン26を示し、629個のアミノ酸の予測されるタンパク質を付与する。ヒト組換えのα−L−イズロニダーゼは、成熟タンパク質の位置8でヒスチジンを有する。予測されるタンパク質は、6個の可能性あるN−結合されたオリゴ糖修飾部位を含んで成る。それらのすべては、組換えタンパク質においては修飾され得る。第3及び第6部位は、細胞中への高い親和性摂取を担持する1又は複数のマンノース6−リン酸残基を含むことが示されている。次のペプチドは、N−末端アラニン及び次の配列(配列番号2)を有するヒト組換えα−L−イズロニダーゼのアミノ酸26−45に対応する:
ala-glu-ala-pro-his-leu-val-his-val-asp-ala-ala-arg-ala-leu-trp-pro-leu-arg-arg。
【0058】
本発明のα−L−イズロニダーゼの過剰発現は、マンノース−6−P標的化に依存する他のリソソーム酵素の一般化された分泌をもたらさない。分泌された組換えα−L−イズロニダーゼは、多くの観点において、通常の分泌された酵素に類似する。77, 82, 84及び89kDaであることが種々の決定において見出されるその分子サイズは、尿矯正因子について見出される87kDa (Barton, など., J. Biol. Chem. 246: 7773-7779 (1971))、及び培養されたヒト繊維芽細胞により分泌される酵素について見出される76kDa及び82kDa(Myerowitz, など., J. Biol. Chem. 256: 3044-3048 (1981); Taylor, など., Biochem. J. 274: 263-268 (1991))に相当する。研究内の及び研究の差異は、測定の不精確性に帰因する。組換え酵素の細胞内プロセッシング、分子サイズのゆっくりした低下及び9kDaによる追加の小さなバンドの結果的な出現のパターンは、ヒト繊維芽細胞酵素に関して同じである。この早いバンドは、80個のN−末端アミノ酸のタンパク質加水分解により現れる。
【0059】
第5の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼを精製するための新規方法を特徴とする。好ましい態様においては、本発明は、確認できるクロマトグラフィー樹脂及び容易な充填、洗浄及び溶出液操作による急性且つ効果的な精製を行うために最適化された組換えα−L−イズロニダーゼを精製する方法を特徴とする。本発明のα−L−イズロニダーゼの精製方法は、タンパク質フリー生成培地からの酵素の高収率精製を可能にする一連のカラムクロマトグラフィー段階を包含する。
【0060】
特に、コンカナバリンA−セファロース、ヘパリン−セファロース及びセファクリル200カラムが、大規模精製工程の能力を高めるために、浸出できるものを低めるために、及び生成物の純度を改良するために、ブルーセファロース及び銅キレート化カラムにより交換された。コンカナバリンAレクチンはしばしば、従来の公開された研究における初期精製段階において酵素を結合するために使用され、そして植物由来のタンパク質レクチンである。コンカナバリンAはカラムから浸出することが知られており、そしてリソソーム酵素調製物を汚染する。
【0061】
そのような浸出は、処理された患者におけるT細胞の活性を引き起こし、そして従って、ヒト投与のためには不適切であると思われる(Furbish、など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 356-3563 (1977))。従って、コンカナバリンAの使用は、本発明の精製スキームにおいては回避される。従来の研究においては、ヒト肝臓α−L−イズロニダーゼは、高濃度の界面活性剤(1%Triton X100)変性を伴なわないでは、フェニルカラムから回収され得ない。従って、フェニルカラムは、この酵素の公開された精製スキームには使用されていない(Clements, など., Eur. J. Biochem. 152: 21-28 (1985)。内因性ヒト肝臓酵素は、シアル酸及びリン酸残基を除去するヒドロラーゼ、及び酵素をニックするプロテアーゼにより、リソソーム内で高く修飾される。
【0062】
対照的に、組換えα−L−イズロニダーゼの過剰発現は、酵素の50%がリソソームに輸送されるよりむしろ分泌されることを引き起こす(Zhao, など., J. Biol. Chem. 272: 22758-22765 (1997))。従って、組換えイズロニダーゼは、高い程度の水溶解性及びフェニルカラムへの低い親和性を導く、十分に整列したシアル酸及びリン酸残基を有するであろう。高められた親水性は、約150〜700mMのNaClの低塩溶液を用いて、非変性条件下で酵素の溶出を可能にする。組換え酵素のこの特徴は、界面活性剤の使用を伴なわないでその大規模精製を可能にする。
【0063】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系において過剰発現される組換えα−L−イズロニダーゼは、3段階カラムクロマトグラフィー工程に従って、ほぼ均質性に精製されている。第1のカラムは、ブルーセファロース6FFを用いての親和性クロマトグラフィー段階を包含する。次に、ブルーセファロース6FF溶出液が、Cu2+キレート化セファロースFFを用いて、もう1つの親和性クロマトグラフィー段階によりさらに精製される。高く精製された酵素の最終仕上げは、フェニルセファロース高性能(HP)を用いて、疎水性相互作用クロマトグラフィーにより達成される。全体的な収率は45〜55%であり、そして最終生成物の純度は99%以上である。この工程は、強く、再生でき、そして大規模製造のために計量できる。精製された酵素は、蛍光基材の基質を用いてのその酵素活性及び線維芽細胞によるその機能的摂取に関して特徴づけられた。酵素は、基質特異性、炭水化物プロフィール、及び等電気泳動(IEF)プロフィールにより特徴づけられている。
【0064】
本発明のα−L−イズロニダーゼの精製方法の特に好ましい態様は、次の特定の態様に従って、1つより多くの又はすべての最適化を特徴とする。従って、本発明の精製方法は、本明細書に記載される特徴を有する、精製されたα−L−イズロニダーゼを提供することができる。
【0065】
【表1】
【0066】
1.pH調節/濾過:濾過された収穫物流体(HF)のpHが、1MのH3PO4により5.3に調節され、そして次に、0.45μのフィルター(例えば、Sartoclean, Sartorins)を通して濾過される。
【0067】
2.ブルーセファロースFFクロマトグラフィー:この親和性クロマトグラフィー段階は、イズロニダーゼを捕獲し、その体積を減じ、そしてそのイズロニダーゼを約7〜10倍に精製するよう作用する。
【表2】
【0068】
3.Cu2+キレート化セファロースFFクロマトグラフィー:Cu2+キレート化親和性クロマトグラフィー段階は、いくらかの汚染性をCHOタンパク質を除去するために非常に効果的である。すべての緩衝液における10%グルセロールの包含は、イズロニダーゼの定量回収のために決定的であると思われる。
【表3】
【0069】
4.フェニルセファロースHPクロマトグラフィー:フェニルセファロースが、生成物をさらに精製し、そして浸出された残留Cibacronブルー色素及び前のカラムからの担持されるCu2+イオンを減じるために最後の段階として使用される。
【表4】
【0070】
5.限外濾過(UF)/ダイアフィルトレーション(DF)/最終配合:精製されたイズロニダーゼが接線流濾過(TFF)システム(例えば、SartoriusからのSartocon Slice)を用いて配合緩衝液(150mMのNaCl, 100mMのNaPO4, pH5.8)において1mg/mlの最終濃度に濃縮され、そしてダイアフィルトレートされる。次に、酵素は、0.2ミクロンのフィルター(例えば、酢酸セルロース又はポリスルホン)を通して濾過することによって減菌され、そして減菌バイアル中に充填される。
6.精製されたイズロニダーゼの特徴化:クーマシーブルー又は銀により染色されたSDS−PAGEを用いての酵素純度の分析及びウェルターンブロット分析。基質として4MU−硫酸を用いての酵素活性の分析。線維芽細胞アッセイを用いての機能的摂取の分析。FACEによる炭水化物の分析。IEFプロフィールの分析。
【0071】
この態様で精製された酵素は、酵素1ml当たり30単位以下(2nM以下)の酵素摂取親和性を得るために、N−結合された糖の位置3及び6で十分な量のマンノース6−リン酸を含むことが示されている。酵素は、イズロニダーゼ欠失により引き起こされるグリコサミノグリカン貯蔵疾患のために実質的に矯正的であり、そして約5日の細胞内半減期を有する。
【0072】
従来のα−L−イズロニダーゼ精製スキーム(Kakkis, など., Protein Expr. Purif. 5: 225-232 (1994); Kakkis, など., Biochem. Mol. Med. 58: 156-167 (1996); アメリカ特許出願第09/078,209号及び09/170,977号)は、長期のヒト投与のために最適ではない、90%〜99%の程度の純度を生成した(図12を参照のこと)。(本明細書におけるそれらの及びすべての他のアメリカ特許は、完全に引用により本明細書に特に組み込まれる。)97%の最少純度を有するヒト組換えα−L−イズロニダーゼによる処理は、いくつかの臨床学的反応、特に5人の患者において蕁麻疹及び4人の患者において補体活性化に関連した。
【0073】
すべての患者は、α−L−イズロニダーゼに対して微量汚染性であるタンパク質に対する反応を示した(図2)。このタンパク質は最終生成物及び血清フリーのブランCHO細胞系上清液の両者に存在するので、外来性タンパク質はCHO細胞にほとんど起因する。臨床学的アレルギー応答を活性化すると思われる通常のタンパク質は、組換えヒトイズロニダーゼであるには小さ過ぎる、それぞれ約60kドルトン及び50kドルトンである。4人の患者は、少なくとも一時的に、α−L−イズロニダーゼに対して、及びチャイニーズハムスター卵巣細胞宿主タンパク質に対して免疫反応を進行した。患者を処理するために使用される酵素が高く精製されたとしても、精製の程度は汚染物に対する免疫応答を低めることにおいて重要であることは明白である。
【0074】
図2(SDS−PAGE)及び図12(CHOPアッセイ)は、本発明のの生成/精製スキームにより生成され、そして精製されるα−L−イズロニダーゼが高い程度の純度及び低い程度のCHOP汚染度を、従来の生成/精製方法のそれに比較して有することを示している。図12に示されるように、上記に記載される、最適化された精製スキームは、99%以上である程度の純度を達成し、そして重要なことには、チャイニーズハムスター卵巣タンパク質(CHOP)アッセイにより決定されるように、チャイニーズハムスター卵巣細胞宿主タンパク質1%以下まで低める。
【0075】
第6の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼの欠失により完全に又は部分的に引き起こされる疾病の新規処理方法を特徴とする。組換えα−L−イズロニダーゼは、MPS1のイヌモデルにおいて酵素置換治療を提供する。このイヌモデルは、遺伝子突然変異のためにα−L−イズロニダーゼを欠いており、そしてヒトMPS1に類似する。精製され、適切にプロセッシングされたα−L−イズロニダーゼが、11匹のイヌに静脈内投与された。0.5、 3、6又は13ヶ月間、25,000〜125,000単位/kgの毎週の用量により処理されたそれらのイヌにおいて、酵素が種々の組織において取られ、そして多くの組織においてリソソーム貯蔵を低めた。疾病の長期処理は、表情、関節の硬直、被膜及び成長における臨床学的改良性に関連した。より高い用量の治療(125,000単位/kg/週)は、表情、関節の硬直及び被膜のより急速な臨床学的改良性の他に、良好な効率、例えば尿GAG排泄の正常化をもたらす。
【0076】
25,000単位(0.1mg/kg/週)のさらに低い用量での酵素治療は、いくつかの組織に対して有意な酵素分布をもたらし、そしてGAG貯蔵を低める。1年以上にわたって続けられる場合、いくつかの臨床学的効果が、高められた活性及び健康の全体的な外観により明らかであった。この用量での治療は、この実在物、例えば軟膏及び脳における疾病のための重要な部位である他の組織を改良しなかった。2週間にわたって5度与えられる125,000単位(0.5mg/kg)のより高い用量は、改良された組織侵入が達成され得、そして組織レベルでの治療効果が2週間ほどで達成されたことを示す。
【0077】
この高められた用量での研究は、15ヶ月間、2匹のイヌにおいて完結された。それらのMPS Iイヌは、ほぼ正常な範囲への尿GAG排泄の有意な臨床学的改良性及び実質的な低下を示している。変更された投与技法、すなわち酵素治療により調節される免疫反応以外は、有意な臨床学的又は精製学的毒素を示さなかった。この毎週の高い用量での酵素治療は、MPS Iのいくつかの臨床学的特徴の改良、及び有意な毒性を伴なわないでの貯蔵の低下で効果的である。
【0078】
第7の観点においては、本発明は、α−L−イズロニダーゼの欠失の処理のために有用なヒトα−L−イズロニダーゼを含んで成る新規医薬組成物を特徴とする。組換え酵素は、多くの手段、例えば非経口、局部、鼻腔内、吸入又は経口に投与により投与され得る。本発明のもう1つの観点は、酵素を、固体、半固体、液体又は摂取できるカプセルであり得る医薬的に許容できるキャリヤーと共に配合することによって、その酵素の投与を提供することである。医薬組成物の例は、錠剤、ドロップ、例えば鼻腔用ドロップ、局部適用のための組成物、例えば軟膏、ジェリー、クリーム及び懸濁液、吸入のためのエーロゾル、鼻腔用スプレー、及びリポソームを包含する。通常、組換え酵素は、組成物の0.01〜99%、又は0.01〜99重量%、例えば注射のために意図された組成物の0.01〜20%、及び経口投与のために意図された組成物の0.1〜50%を構成する。
【0079】
治療用酵素を含む経口投与のための投与量単位のこの形での医薬組成物を生成するためには、酵素は、固体の微紛キャリヤー、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、例えばジャガイモ澱粉、トウモロコシ、アミロペクチン、コンブ粉末、又はカンキツ属パルプ粉末、セルロース誘導体又はゼラチンと共に混合され得、そしてまた、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、又はCarbowax(商標)又は他のポリエチレングリコールワックスを包含することができ、そして錠剤又は糖剤のためのコアーを形成するために圧縮され得る。糖剤が必要とされる場合、コアーは、例えばアラビアゴム、タルク及び/又は二酸化チタンを含むことができる濃縮された糖溶液により、又は他方では、容易に有機溶媒又は有機溶媒の混合物に溶解されたフィルム形成剤により被覆され得る。
【0080】
色素が、例えば活性物質の異なった含有物間を区別するために、それらの被膜に添加され得る。ゼラチン及び例えば可塑剤としてのグリセロールから成る軟質ゼラチンカプセル、又は類似する密封されたカプセルの組成物に関しては、活性物質は、Carbowax(商標)又は適切な油、例えばゴマ油、オリーブ油、又はピーナッツ油と共に混合され得る。硬質ゼラチンカプセルは、活性物質の粒質物、及び固体の微紛キャリヤー、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、例えばジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉又はアミロペクチン、セルロース誘導体又はゼラチンを含むことができ、そしてまた、滑剤としてスラアリン酸マグネシウムステアリン酸を含むことができる。
【0081】
本発明の治療用酵素はまた、非経口、例えば皮下、筋肉内又は静脈内注射により、又は持効性皮下移植物により投与され得る。皮下、筋肉内及び静脈内注射においては、治療用酵素(活性成分)は、液体キャリヤービークルに溶解され、又は分散され得る。非経口投与に関しては、活性材料は、許容できるビークル、好ましくは植物油、例えばピーナッツ油、綿花種子油及び同様のものと共に適切に混合され得る。他の非経口ビークル、例えばソルケタール、グルセロール、ホルマール及び水性非経口配合物を用いての有機組成物がまた使用され得る。
【0082】
注射による非経口投与に関しては、組成物は、所望には0.01〜10%の濃度での、本発明の活性酸の医薬的に許容できる水溶性塩の水溶液、及び任意には、また水溶液中、安定剤及び/又は緩衝物質を含むことができる。溶液の用量単位は好都合には、アンプル中に密封され得る。
治療用酵素が皮下移植物の形で投与される場合、化合物は当業者に知られているゆっくり分散される材料に懸濁されるか又は溶解され、又は一定の駆動力、たとえば浸透ポンプの使用により活性材料をゆっくりと開放する装置により投与される。そのような場合、延長された時間にわたっての投与が可能である。
【0083】
局部投与に関しては、医薬組成物は適切には、軟膏、ゲル、懸濁液、クリーム又は同様のものの形で存在する。活性物質の量は、例えば0.05〜20重量%であり得る。局部投与のためのそのような医薬組成物は、活性物質と、既知のキャリヤー材料、例えばイソプロパノール、グリセロール、パラフィン、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、等とを混合することによって、既知の態様で調製され得る。医薬的に許容できるキャリヤーはまた、既知の化学的吸収プロモーターを包含することができる。
【0084】
吸収プロモーターの例は、例えばジメチルアセトアミド(アメリカ特許第3,472,931号)、トリクロロエタノール又はトリフルオロエタノール(アメリカ特許第3,891,757号)、一定のアルコール及びそれらの混合物(イギリス特許第1,001,449号)である。損なわれていない皮膚への局部投与のためのキャリヤー材料はまた、イギリス特許第1, 464,975号明細書にも記載されており、ここで前記特許は、40〜70%(v/v)のイソプロパノール及びO〜60%(v/v)のグリセロールを含んで成る溶媒、及び存在するなら、溶媒の合計体積の40%を越えない希釈剤の不活性構成成分である残余から成るキャリヤー材料を開示する。
【0085】
治療用酵素含有医薬組成物が投与される用量は、広範囲内で変化することができ、そして種々の要因、例えば疾病の重症度、患者の年齢、等に依存し、そして個々に調節されるべきである。1日当たりに投与され得る治療用酵素の量についての可能な範囲は、約0.1mg〜約2000mg、又は約1mg〜約2000mgである。
治療酵素を含む医薬組成物は適切には、それらが1回の用量単位として、又は複数の用量単位として、それらの範囲内での用量を提供するよう配列され得る。治療用酵素を含む他に、対象配合物は、組成物における治療用酵素により触媒される反応のための1又は複数の基質又は補因子を含むことができる。治療用酵素含有の組成物はまた、1つよりも多くの治療用酵素を含むことができる。
【0086】
本発明の方法及び組成物に使用される組換え酵素はまた、組換えα−L−イズロニターゼをコードする核酸により患者細胞を形質転換する手段により投与され得る。そのようなコードされる核酸配列は、処理されるべき対象の細胞を形質転換するためのベクター中に込みこまれ得る。そのようなベクターの好ましい態様は、本明細書に記載されている。ベクターは、対象、例えばレトロウィルスベクターの染色体中に組み込むよう、又は宿主細胞において自律的に複製するよう企画され得る。α−L−イズロニダーゼヌクレオチド配列を含むベクターは、酵素の連続的又は調節された発現を提供するよう企画され得る。
【0087】
さらに、酵素をコードする遺伝子ベクターは、細胞ゲノム中に安定して組み込み、又は単に一時的に存在するよう企画され得る。従来の遺伝子治療の一般的な方法は、α−L−イズロニダーゼをコードするポリヌクレオチド配列に適用され得る。従来の遺伝子治療技法は集中的に再考されて来た。(Friedman, Science 244: 1275-1281 (1989); Ledley, J. Inherit. Metab. Dis. 13: 587-616 (1990); Tososhev, など., Curr. Opinions Biotech. 1: 55-61 (1990))。
【0088】
組換え酵素を投与する、特に好ましい方法は、静脈内的である。特に好ましい組成物は、α−L−イズロニダーゼ、約5.8のpHを維持するための通常のリン酸緩衝溶液及びヒトアルブミンを含んで成る。それらの成分は、次の量で提供され得る:
α−L−イズロニダーゼ:0.05−0.2mg/ml又は12,500-50,000単位/ml;
塩化ナトリウム溶液:IVバッグにおいて150mM、50−250ccの合計体積;
リン酸ナトリウム緩衝液:10−50mM、pH5.8:
ヒトアルブミン:1mg/ml。
次の例は、本発明を例示するために提供されており、本発明を制限するものではない。
【0089】
実施例
例1:
組換えα−L−イズロニダーゼの生成:
標準技法、例えばSombrook, など., (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Sprinngu Habor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. Y. (1987))により記載されるそれらの技法を用いて、ヒトα−L−イズロニダーゼをコードするcDNAをクローン化した。前もってクローン化されたヒトα−L−イズロニダーゼcDNAを、Bluescript KSサブクローンからのHind III−XbaIフラグメントとしてPRCCMV(InVitrogen)中にサブクローン化した。
【0090】
エキソン2及び3間のネズミ免疫グロブリンCotイントロンに由来するイントロンカセットを、クローンpRIR14.5 (Kakiss, など., Nucleic Acids Res. 16: 7796 (1988)) の塩基788−1372のPCR増幅を用いて構成した(Tucker, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 7684-7688 (1991))。前記カセットは、適切にスプライスされたcDNAに存続する、エキソン2の3’末端の136bp, 及びエキソン3の5’末端の242bpを含んだ。ATG配列は、イントロンカセットのコード領域には存在しない。イントロンカセットを、α−L−イズロニダーゼcDNAの5’側のHind III部位中にクローン化した。neo遺伝子を、XhoIによる消化により欠失せしめ、続いて、ベクターを再環化し、pCMVhlduを製造した。
【0091】
使用細胞バンクの1つのバイアルを融解し、そしてDME/F12又はPF−CHO, 補充物、5%FBS及び500μg/mlのG418を含む3個のT225フラスコに配置する。2〜5日後、細胞を、同じ培地における1Lのスピナーフラスコにおいて、トリプシン−EDTAを用いて2〜5日間、継代培養する。次に、細胞を、2個の3Lのスピナーフラスコに2〜5日間、続いて、4個の8Lのスピナーフラスコに2〜5日間、移す。8Lのスピナーフラスコからの接種物を、80〜90Lの使用体積を有する、2個の110LのApplikon(商標)撹拌タンクバイオリアクターに添加する。高多孔性セルロースマイクロキャリヤーを、80〜90Lの最終体積でのPF−CHO又はDME/F12、補充物、5%FBS及び500μg/mlのG418のフラスコに2g/l(160g)で添加する。フラスコを、海洋羽根車備えたオーバーヘッド駆動装置により撹拌する。
【0092】
培養物を、撹拌速度、温度、DO及びpHプローブについてモニターし、そしてPC界面を備えたAppkikon(商標)制御システムを調節した。パラメーターは、加熱ブランケット、酸素スパージャー及び基本ポンプを用いて、培養条件、すなわち40%の空気飽和率及びpH6.95に依存して、整定値又は35〜37℃の範囲で調節される。培養物を3〜5日間インキュベートし、この時点で、培養物は、1〜3×106個の細胞/mlで対数増殖期から現れる。その後、灌流を、PF−CHO培地(市販の変性剤、JRH Biosciences)により上昇する速度で開始する。収集の最初の4日(3〜5日の範囲)は、“洗浄”として見なされる。
【0093】
その後、収集は、生成運転の開始である。生成は、20〜36日間、1日当たり2〜3.5培養物体積の培地交換を伴なって継続する。培養物は、40日又はそれよりも長い間、拡張され得る。培養物を、連続的に、温度、pH及びDOについてモニターする。酵素の精製は、上記のようにして進行する。次に、イズロニダーゼを含む、収集された生成培地を、pH5.3に酸性化し、0.2ミクロンのフィルターを通して濾過し、そしてブルーセファロースクロマトグラフィーを用いて精製する。次に、複数回のブルーセファロースクロマトグラフィー処理からの精製された酵素をプールし、そして銅キレート化カラムに適用し、そして3.7のpHでの緩衝液中、グリセロールにより溶出した。
【0094】
酵素を、酸性pHで維持し、可能性あるウィルスを不活性化する。次に、銅カラム溶出物を、pH5.7及び2MのNaClに調節し、そしてフェニルセファロースカラム上に負荷する。酵素を、0.7MのNaClで溶出する。溶出物を濃縮し、そして150mMのNaCl, 100mMのNaPO4(pH5.8)の配合緩衝液中にダイアフィルトレートする。酵素を、40nMフィルターを通して濾過し、可能性あるウィルスを除去し、そして濾液を0.001%ポリソルベート80に調節する。配合された酵素を、無菌ポリエチレン容器中に無菌大量充填する。次に、大量酵素を濾過し、そして注射用医薬のために適切な5ccの1型ガラスバイアル中ニ充填し、栓をし、そしてキャップをする。
【0095】
例2:
単一細胞懸濁液を用いてのバイオリアクターのために、種々系統を、上記例1に記載のようにして調製する。単一細胞懸濁液の使用は、バイオリアクター調製及び接種を単純化する。バイオリアクターを、DMEM/F12培地(反応器体積の25%)及び変性されたJRH325(反応器体積の25%)における細胞により接種する。使用反応器体積の50%に等しい培地を、48時間にわたって添加する。灌流(及び収穫)を、細胞密度が1.0e6に達すると開始し、そして前記灌流培地は上記の通りである。
【0096】
例3:
9匹のMPS Iイヌ及び6匹のMPS Iネコへの精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼの短期間静脈内投与は、一回の投与の24時間後、組織における推定される50%又はそれ以上の回収率を伴なって、種々の組織における酵素の有意摂取を示した。肝臓及び脾臓は最大の酵素を摂取し、そして最良の病理学的改良性を有するが、病理学及びグルコサミノグリカン含有率の改良性がすべてではないが、多くの組織において観察されている。特に、軟骨、脳及び心臓弁は有意な改良性を有さなかった。臨床学的改良性が13ヶ月間の長期処理に基づいて1匹のイヌに観察されたが、しかし他の研究は6ヶ月又はそれ以下に制限されている。
【0097】
組換えヒト酵素を受けたすべてのイヌ及びほとんどのネコは、ヒト生成物に対する抗体を生成した。IgG抗体は、補体活性化型(たぶん、イヌIgG同等物)のものである。この現象はまた、少なくとも13%のアルグルセラーゼ処理されたGaucher患者においても観察される。タンパク尿が、免疫複合体疾患に関連する1匹のイヌにおいて観察された。抗体の他の効果は、他の処理された動物においては観察されなかった。特定の毒性は観察されず、そして臨床学的実験室研究(完全な血液計数、電解質、BLJN/クレアチニン、肝臓酵素、尿検査)は正常であった。
【0098】
25,000単位の少用量(0.1mg/kg/週)での酵素治療は、いくつかの組織への有意な酵素分布、及びGAG貯蔵の低下をもたらした。1年以上にわたって続けられる場合、この治療の有意な臨床学的効果は、活性、サイズ、及び健康の全体的な出現に関して明らかであった。この用量での治療は、この実在物、例えば軟骨及び脳における疾病のための重要な部位である他の組織を改良しなかった。2週間にわたって5度与えられた125,000単位のより高い用量(0.5mg/kg)は、改良された組織侵入が達成され、そして組織レベルでの治療効果が2週間ほどで達成されたことを示す。
【0099】
この高められた用量での研究は、今日まで6ヶ月間、2匹のイヌにおいて進められている。それらのMPS Iイヌは、有意な臨床学的改良性、及び尿GAG排泄の正常な範囲への実質的な低下を示す。免疫反応以外が変更された投与技法により調節される場合、酵素治療は有意な臨床学的又は生化学的毒性を示さなかった。この毎週の高い用量での酵素治療は、MPS Iのいくつかの臨床学的特徴の改良、及び有意な毒性を伴なわないでの貯蔵の低下で効果的である。
【0100】
MPS Iイヌにおけるそれらの種々の研究及びMPS Iネコにおける1つの研究の結果は、ヒト組換えα−L−イズロニダーゼが安定であることを示す。それらの同じ結果は、この組換え酵素がα−L−イズロニダーゼ欠失の処理において効果的であるべきである有意な理論論的解釈を提供するが、それらはヒトにおける酵素治療の臨床学的有益性又は可能性ある免疫学的危険性を予測しない。
【0101】
例4:
α−L−イズロニダーゼのヒトcDNAは、シグナルペプチド分解の後、653個のアミノ酸及び70,000ドルドンの予測される分子量のタンパク質を予測する。アミノ酸配列決定は、629個のアミノ酸の予測されるタンパク質を付与する、N−末端でのアラニン26を示す。ヒト組換えα−L−イズロニダーゼは、成熟タンパク質の位置8でヒスチジンを有する。予測されるタンパク質配列は、6個の可能性あるN−結合されたオリゴ糖修飾部位を含んで成る。それらの部位のすべては、組換えタンパク質において修飾される。3及び6番目の部位は、細胞経の高い親和性摂取を担当する、1又は複数のマンノース6−リン酸残基を含むことが示されている。
【0102】
このペプチドは、N−末端アラニン及び次の配列(配列番号2)を有するヒト組換えα−L−イズロニダーゼのアミノ酸26−45に相当する:
ala-glu-ala-pro-his-leu-val-his-val-asp- ala -ala-arg-ala-leu-trp-pro-leu-ary-ary。
【0103】
組換え酵素は、炭水化物修飾のために、SDS−PAGEに基づいて82,000ドルトンお見掛け分子量を有する。精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼは、UCLAタンパク質配列決定施設により配列決定されている。組換え酵素は静脈内投与されることが好ましい。ヒト組換えα−L−イズロニダーゼは、100,000−200,000単位/mlの濃度で、10mlのポリプロピレンバイアルに、臨床試験のために供給された。臨床試験に使用される酵素の最終投与量形は、ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ、通常の塩溶液及びpH5.8での100mMのリン酸緩衝液を含む。それらは、通常の塩溶液のバッグにおいて調製される。0.001%の最終濃度でのポリソルベート80を配合物に添加し、剪断に対してタンパク質を安定化し、それにより、最終生成物バイアルにおける沈殿を回避した。
【0104】
【表5】
【0105】
例5:
ムコ多糖症を有する患者におけるα−L−イズロニダーゼの静脈内投与の効果:
α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのクローニングの研究(Scott, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 9695-99 (1991); Stoltzfus, など., J. Biol. Chem. 267: 6570-75 (1992))、及び多くの組織におけるリソソーム貯蔵を低めるためのα−L−イゾロニダーゼの効果を示す動物研究(Shull, など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 12937-41 (1994); Kakkis, など., Biochem. Mol. Med. 58: 156-67 (1996))に基づいて、52週の研究を行い、I型ムコ多糖症(MPS I)を有する10人の患者における高く精製されたα−L−イズロニダーゼの静脈内投与の安全性及び臨床学的効能を評価した。
【0106】
組換えヒトα−L−イズロニダーゼを生成し、そして97〜99%以上に精製した。患者は障害の典型的な臨床学的出現を示し、そして診断を、白血球におけるα−L−イズロニダーゼ欠失の生化学的決定により確認した。
患者は、125,000単位/kgの用量(元のアッセイ及び単位定義を用いて)て、ヒトα−L−イズロニダーゼ(通常の塩溶液中、0.1%のヒト血清アルブミンにより希釈された)を静脈内投与され;3,000単位/kgが最初の1時間にわたって与えられ、そして61,000単位/kgが次の1時間にわたってそれぞれ与えられた。125,000単位/kgの用量は、新規アッセイを用いれば、100SI単位/kgに相当する。
【0107】
評価に依存して、基線で、及び6, 12, 26及び52週で、患者は、病歴、専門医による身体検査、心エコー検査、EKG, MRI, 睡眠ポリグラフ計(週0及び 26)、骨格調査(週0, 26, 52)、運動範囲の測定、角膜写真、及び酵素決定及び遺伝子型決定のための線維芽細胞培養物を設定するための皮膚生検(週0)に関する試験を受けた。運動範囲の測定を、ゴニオメーターにより行い、そして最大活性(患者が開始した)範囲を個々の運動について記録した。肩の屈曲は、身体の側部からの肘の前方への運動であり、そして肘及び膝の拡張は関節の直線化を表す。制限の程度は、年齢についての運動の通常の最大範囲と測定された値との間の差異を表す。
【0108】
睡眠ポリグラフ計は、American Thoracic Society ガイドに従って行われ、そして無呼吸現象(10秒又はそれ以上の間、口鼻空気流の停止)、減呼吸現象(2%又はそれ以上の脱飽和を伴なって、50%又はそれ以上の低められた口鼻空気流)、89%以下の酸素飽和及び合計の睡眠時間が必要とされる標準測定間で記録された。それらのデータから、無呼吸/減呼吸指数を、睡眠の時間数により、無呼吸及び減呼吸現象の合計数を割り算することによって計算した。生化学的研究は、白血球及び頬粘膜の掃き集め物における酵素活性、尿グリコサミノグリカンレベルの測定、及び組換えヒトα−L−イズロニダーゼに対する血清抗体についての試験(ELISA及びウェスターンブロット)を包含した。
【0109】
器官体積を、General ElectricからのAdvantage Windows(登録商標) ワークステーションソフトウェアを用いてのMRIデジタルイメージの分析により決定した。器官体積をmlで測定し、そして重量に転換し、1g/mlの密度を仮定した。尿グリコサミノグリカン排泄を、公開された方法の適用によりアッセイした。組換えヒトα−L−イズロニダーゼに対する抗体についてのウェスターンブロット及びELISAアッセイを、標準方法により行った。尿グリコサミノグリカンのウロン酸及びN−硫酸を、オルシノール、カルバゾール及びMBTH方法により、及び電気泳動分離により分析した。
【0110】
すべての患者は、52週間、投与される組換えヒトα−L−イズロニダーゼの毎週の注入を受けた。白血球におけるα−L−イズロニダーゼの平均活性は、処理の前、0.04単位/mgであり、そして注入の後、平均7日目で測定される場合(すなわち、次の注入の直前)、4.98単位/mgであり、又は正常の15.0%であった。酵素活性は、処理の前、頬粘膜の掃き集めものには検出できなかったが、しかし注入の7日後、それは正常の1%レベルに達した。
【0111】
肝臓体積は、52週で、9人の患者において基線から19〜37%、及び1人の患者において5%低下し;平均低下率は25.0%(n=10, P<0.001)であった。26週までに、肝臓サイズは、8人の患者において、体重及び年齢に関して正常であった(図1)。基線で最大の相対的肝臓サイズを有する2人の患者(患者6及9)ににおいては、肝臓サイズは、52週で正常に近かった(それぞれ、体重の3.2%及び3.3%)。脾臓サイズは、8人の患者においては、基線から13〜42%低下した(10人の患者において20%の平均低下率、P<0.001)。
【0112】
尿グリコサミノグリカン排泄は3〜4週までに急速に低下し、そして8〜12週までに、基線の60〜80%まで低下した。52週で、平均低下率は63%であった(53〜74%範囲;P<0.001)。10人の患者のうち8人が、年齢相当の正常値の上限以上の尿グリコサミノグリカンの基線量の75%又はそれ以上の低下率を有した。その結果は、ウロン酸及びN−硫酸のアッセイ(ヘパラン硫酸に対して特異的な試験)により確認された。尿の電気泳動研究は、ヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸排泄の有意な低下を検出したが、しかしいくらかの過剰デルマタン硫酸排泄がすべての患者に持続した。
【0113】
平均身長は、6人の思春期前患者において6.0cm (5.2%)上昇し(表2)、そしてそれらの平均身長上昇速度は、処理の間、2.8cm/年〜5.2cm/年上昇した。すべての10人の患者に関して、平均体重は、3.2kg(8.8%)上昇し、そして平均上昇量は6人の思春期前患者に関して4.2kg (17.1%)であった(表2)。それらの6人の患者においては、平均前処理体重上昇速度は、処理の間、1.7kg/年〜3.8kg/年に上昇した(P=0.04)。
【0114】
肩屈曲(肘の前方向への運動)は、それぞれ28°及び26°(P<0.002;図2)の右及び左の肩に関しての平均改良性を伴なって、基線で評価された8人の対象のうち6人において高まった。肘の延長及び膝の延長は、10人の患者においてそれぞれ平均7.0°(P<0.03)及び3.2°(P=0.10)上昇した(図2)。
個々の患者における改良性の分析は、最も制限された関節が最高の改良性を有したことを示した。例えば、基線で、患者5,9及び10は、100°以上、彼らの肩を屈曲することができず(肘お前方向への運動)、これは処理の後、21°〜51°上昇した。同様に、患者2及び9は、膝の延長の実質的な上昇性を有した。運動の範囲の変化は、物理的活動性、例えば髪を洗浄でき、ハンバーガーを通常通りに保持でき、モンキー棒から吊下がることができ、そしてスポーツを良好に演じる活性の、患者により報告される上昇性により達成された。
【0115】
7人の患者は、2.1〜1.0の平均無呼吸/減呼吸指数(1時間当たりの現象の合計数)の変化を伴なって、処理の後、1晩当たり155から60への無呼吸及び減呼吸現象の低下(61%の低下率)を有した。3人の患者は、臨床学的に有意な睡眠無呼吸を有し、そしてすべての3人は、処理の間、改良された。患者2においては、無呼吸/減呼吸指数が、26週間で基線での4.5から0.4に低下し、そして酸素脱飽和の合計時間は一晩当たり48時間から1分に低下した。
【0116】
患者6は、重度の脱飽和のために、処理の前、毎夜、連続した正の気道圧治療を必要としたが(368分の睡眠において連続した正の気道圧を伴なって、61分の89%以下の飽和)、しかし52週までに、患者は、CPAPを伴なわないで睡眠に対して耐性になり、そして332分の睡眠の間、わずか8分間、89%以下に脱飽和化された。患者9は、9.5の無呼吸/減呼吸指数を有し、これは26週までに4.0に低下した。患者8は、0.1の無呼吸/減呼吸指数が、核理由のために26週で3.1及び52週で9.3に上昇した。10人の患者のうち8人又は彼らの家族は改良された呼吸を報告しており、そして7人のうち5人は静かな夜間呼吸を示し、睡眠性質を改良し、そして昼間の眠気を低めた。
【0117】
New York Heart Association の機能的分類を、一連の患者のインタビューにより決定した。すべての10人の患者は、1又は2つの種類による改良性を報告しているが、しかし直接的な心臓利益を確かめるための、心エコー検査研究からの有意な客観的データは存在しなかった。改良された機能的評点は、心臓機能以外のMPS I疾病の他の観点における改良性に影響を及ぼすことができる。52週の処理に基線を比較すると、心エコー検査は、4人の患者において低めされた三尖逆流又は肺逆流を示したが、しかし2人の患者(患者2及び7)は増帽弁逆流を悪化した。基線で、患者6は心房粗動、及び心疾患の臨床学的徴候、例えば休息での呼吸困難及び末梢水腫を有した。12週までに、前記患者は第一度ブロックを伴なっての正常な洞節律、及び休息での呼吸困難性を有し、そしてくぼみ水腫が解決された。
【0118】
すべての10人の患者は、処理の前、耐久性の欠乏及び毎日の活動の制限を報告しているが、しかし自動運動耐久性は形式的には試験されなかった。処理の間、すべての患者は改善し、そして26週までには、多くはより一層、歩き、走り、そしてスポーツを行うことができる。患者3,4及び5は、6〜12週間の処理の後、重度の無能力になる頭痛の解決を報告した。
数人の患者は、低められたまぶしがり症又は結膜刺激を報告した。視力が1人の患者において改良され(1つの眼において20/1000〜20/200)、そして他の2人において適度な改善が見られた。
【0119】
この研究の結果は、本発明の高く精製された組換えヒトα−L−イズロニダーゼの静脈内投与がI型ムコ多糖症を有する患者における臨床学的及び生化学的改良性をもたらすことを示す。肝臓サイズの正常化及び尿グリコサミノグリカン排泄のほぼ正常化が、I型ムコ多糖症を有するイヌにおける研究からのデータと一致し、これは、肝臓における貯蔵のクリアランス及び2週間ほどで、低められた尿グリコサミノグリカン排泄を示した。
【0120】
組換えヒトα−L−イズロニダーゼの注入に対する過敏性反応は、イヌにおける研究から予測されるよりも非常に低かった。何人かの患者において重要であるけれども、再発性蕁麻疹は、前投薬及び注入速度の調節により管理できた。α−L−イズロニダーゼに対して特異的な抗体は、通常無症状の補体活性化を有する4人の患者において検出され、そして抗体及び補体活性化の両者は時間と共に低下した。類似するIgG−介在性免疫反応が、グルコセレブロシダーゼにより処理されたGaucher病を有する患者においてこれまで示されているが、但し、前記疾病は本発明の患者においてより頻度が高かった。ヌル遺伝子型を有するI型ムコ多糖症患者は、ヌル遺伝子型を有さないそれらの10人の患者においてよりも高い免疫応答性を有することができ、
従って、組換えヒトα−L−イズロニダーゼは、リソソーム貯蔵を低めることができ、そしてI型ムコ多糖症の臨床学的疾病のいくつかの観点を改善する。
【0121】
本発明、及びそれを製造し、そして使用する態様及び方法が現在、当業者による製造及び使用を可能にするために十分、明白、簡明且つ正確な態様で記載されている。前述は、本発明の好ましい態様を記載し、そして修飾が本発明の範囲内で行われ得ることが理解されるべきである。本発明に関する対象物を特別に指摘し、そして明確に請求するために、次の請求の範囲が本明細書を結論付ける。
開示の要約
1. 配列番号2の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素、又は配列番号2において1〜数個のアミノ酸の置換、欠失又は付加より修飾されたアミノ酸配列を有し且つ配列番号2の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素と同じか又は類似するα−L−イズロニダーゼ活性を有する変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を含んで成り、そして99%に等しいか又はそれ以上の純度を有する組換えα−L−イズロニダーゼ酵素調製物。
2. 前記組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又はその変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する項1記載の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素調製物。
3. 項1記載のヒト組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素、及び任意には、医薬的に適切なキャリヤーを含んで成る医薬生成物。
4. 塩化ナトリウム溶液、緩衝液又はポリソルベート80をさらに含んで成る項3記載の医薬組成物。
5. 前記α−L−イズロニダーゼ又はフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、0.05〜0.2mg/ml又は12,500〜50,000単位/mlの濃度で存在有する項3又は4記載の医薬組成物。
6. 前記塩化ナトリウム溶液が、150mMの濃度で存在する項4又は5記載の医薬組成物。
7. 前記緩衝液が、100mMの濃度及びpH5.4−5.9のリン酸ナトリウム緩衝液である項4〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
8. さらに、少なくとも1mg/mlの濃度でのヒトアルブミンを含んで成る項4〜7のいずれか1項記載の医薬組成物。
9. 前記ヒトアルブミンが、前記ヒト対象における急性アレルギー又は補体介在性反応を妨げるか又は低めるために使用される項8記載の医薬組成物。
10. 前記溶液のpHが、5.8で維持される項4〜9のいずれか1項記載の医薬組成物。
11. 前記ポリソルベート80が、0.001%で維持される項4〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。
12. 前記ソルベートが、最終生成物においてタンパク質を安定化するために使用される項4〜11のいずれか1項記載の医薬組成物。
13. 多量生成のための項1記載のα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を99%に等しいか又はそれ以上の純度に精製するための方法であって、
(a)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素をコードする核酸により形質転換された細胞の培養物から得られる流体を収穫し、そして濾過し;
(b)前記流体のpHを、酸性pHに調節し、続いて0.2〜0.54ミクロンのフィルターを通して濾過し;
(c)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を捕獲するために、ブルーセファロースFFカラムに前記流体を通し;
(d)汚染性CHOタンパク質を除去するために、銅キレート化クロマトグラフィーカラムに前記流体を通し;
(e)前記カラム上に担持される残留浸出Cibacronブルー色素及び銅イオンを減じるために、フェニルセファロースカラムに前記流体を通して;そして
(f)精製された前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を濃縮し、そしてダイアフィルトレーションする;
段階を含んで成る方法。
14. 前記ブルーセファロースFFカラムが、前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を7〜10倍に精製するために使用される項13記載の方法。
15. すべての緩衝液中、10%グリセロールを用いることを含んで成る項13記載の方法。
16. α−L−イズロニダーゼの欠失により完全に又は部分的に引き起こされる疾病の処理のための項3〜12のいずれか1項記載の医薬組成物。
17. 前記疾病がムコ多糖症である項16記載の医薬組成物。
18. 前記疾病がI型ムコ多糖症(MPS I)である項16記載の医薬組成物。
19. 前記疾病が、Hurler病、Scheie症候群及びHurler−Scheie症候群から成る群から選択される項16記載の医薬組成物。
20. 前記疾病を有する対象が、1%又はそれ以下の通常のα−L−イズロニダーゼ活性を示す項16〜19のいずれか1項記載の医薬組成物。
21. 少なくとも100SIU/kg、125,000単位/kg又は0.5mg/kgの前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニターゼ酵素の用量が、その欠失の患者に毎週投与される項16〜20のいずれか1項記載の医薬組成物。
22. 少なくとも125,000単位/kg又は100SIU/kg又は0.5mg/kgの用量を達成するために、少なくとも3000単位の前記配合物の1時間のゆっくりした注入、続く少なくとも122,000単位の2時間の急速な注入による投与のための項16〜21のいずれか1項記載の医薬組成物。
23. 前記注入が、補体介在性臨床学的アレルギー反応を最少にする速度で行われる項22記載の医薬組成物。
24. 前記ヒト組換えα−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素による処理が、組織におけるグリコサミノグルカンのリソソーム貯蔵を減じる項16〜23のいずれか1項記載の医薬組成物。
25. 前記処理が、前記ヒト対象の臨床学的及び生化学的徴候の改良を引き起こす項16〜24のいずれか1項記載の医薬組成物。
26. 前記処理が、肝臓体積及び尿グリコサミノグルカン排泄の正常化、脾臓サイズ及び無呼吸/減呼吸現象の低下、思春期前患者における身長及び成長速度の上昇、肩屈曲及び肘及び膝延長の改良、三尖弁逆流又は肺逆流の改良、又は毎日の活動の持久力及び限界の改良をもたらす項16〜25のいずれか1項記載の医薬組成物。
27. ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の精製方法であって、
a)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又はそのフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素をコードする核酸により形質転換されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の培養物から培養培地を獲得し;
b)前記培養培地のpHを酸性pHに調節し;
c)前記pH−調節された培地を限外濾過にゆだね;
d)段階(c)により生成された、濾過された培地を、第1の色素−親和性クロマトグラフィー精製段階にゆだね;
e)段階(d)からの溶離液を、第1の金属−イオンキレートクロマトグラフィー段階にゆだね;
f)段階(e)からの溶離液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)段階にゆだね;そして
g)精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の精製された調製物における合計タンパク質mg当たりの汚染性CHOタンパク質の量により決定される場合、99%又はそれ以上の純度を有する前記調製物を得るために、段階(f)からの溶離物を濃縮し、そしてダイアフィルトレーションする段階を含んで成る方法。
28. 前記第1の色素−親和性クロマトグラフィー精製段階が、Cibacron−Blue親和性クロマトグラフィーマトリックス上で行われる項27記載の方法。
29. 前記第1の金属−イオンキレートクロマトグラフィー段階が、銅−キレート化セファロースFFマトリックス上で行われる項27又は28記載の方法。
30. 前記HIC段階が、フェニル−セファロース高性能クロマトグラフィーマトリックス上で行われる項27〜29のいずれか1項記載の方法。
31. 前記Cibacron−Blu色素相互作用クロマトグラフィーカラム上での前記精製が、前記クロマトグラフィーカラムに適用される初期培地に比較し、前記ヒトα−L−イズロニダーゼ又はそのフラグメント又は変異体の7〜10倍の精製をもたらす項28〜30のいずれか1項記載の方法。
32. 前記ヒトα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の定量的回収を高めるために、すべての緩衝液中、10%グリセロールを用いることを含んで成る項27〜31のいずれか1項記載の方法。
33. 段階(b)が、pH5.3に調節された流体のpHをもたらす項27〜32のいずれか1項記載の方法。
34. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり200,000単位以上の比活性を有する項27〜33のいずれか1項記載の方法。
35. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する項27〜34のいずれか1項記載の方法。
36. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、1又は複数のマンノース−6−リン酸残基を含んで成る項27〜35のいずれか1項記載の方法。
37. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、位置3に結合されるマンノース−6−リン酸残基及び位置6に結合されるマンノース−6−リン酸残基を含んで成る項36記載の方法。
38. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、約5日の細胞内半減期を有する項27〜37のいずれか1項記載の方法。
39. CHO細胞の前記培養物が、細胞系2.131 CHO細胞の培養物である項27〜38のいずれか1項記載の方法。
40. 前記CHO細胞が、7.6mg/Lのチミジン、13.6mg/Lのヒポキサンチン、375μg/mlのG418及び5%ウシ胎児血清により補充された、6.8〜7.0のpHを有する、タンパクを有さない培養培地において培養される項27〜39のいずれか1項記載の方法。
41. 前記CHO細胞が、2.0×105〜2.5×105個の細胞/mlの密度での集密性まで増殖される項40記載の方法。
42. 集密性での前記細胞の培地が、前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素のために収穫される項41記載の方法。
43. 集密での前記細胞の培地が、連続灌流により収穫される項42記載の方法。
44. 前記連続灌流が、24時間にわたって、前記培地の2〜3.5培養物体積を交換することを含んで成る項43記載の方法。
45. 前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又はそのフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の生成が、前記α−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の遺伝子発現を誘発するために、12時間、酪酸ナトリウムにより前記培地を補充することによって増強される項27〜39のいずれか1項記載の方法。
46. 前記酪酸ナトリウムが、前記酪酸ナトリウムによる初期誘発の12時間後、前記培地から除去される項45記載の方法。
47. 前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニターゼ酵素の生成が、21日のタンパク質生成期間にわたって、48時間ごとに、酪酸ナトリウムにより再誘発される項46記載の方法。
48. 段階(b)が、前記流体のpHを、pH5.3に調節することを含んで成る請求項13記載の方法。
49. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり200,000単位以上の比活性を有する請求項13又は48記載の方法。
50. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する請求項13、48又は49記載の方法。
51. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、1又は複数のマンノース−6−リン酸残基を含んで成る請求項13、48又は49記載の方法。
52. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、位置3に結合されるマンノース−6−リン酸残基及び位置6に結合されるマンノース−6−リン酸残基を含んで成る請求項51記載の方法。
53. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、約5日の細胞内半減期を有する請求項13、48又は49記載の方法。
54. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、配列番号2の残基26〜653のアミノ酸配列を含んで成る請求項15、48又は49記載の方法。
55. 前記酵素が、配列番号2の残基26〜653を含んで成る請求項1記載の組換えα−L−イズロニダーゼ調製物。
56. 前記酵素又はフラグメント又は変異体が、99.9%に等しいか又はそれ以上の純度を有する項1記載の組換えα−L−イズロニダーゼ調製物。
57. 前記α−L−イズロニダーゼが、100SIU/ml又は125,000単位/mlの濃度で存在する項5記載の医薬組成物。
58. 前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼの精製された調製物が、99.9%又はそれ以上の純度を有する項27記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1A】図1Aは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1B】図1Bは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1C】図1Cは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1D】図1Dは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1E】図1Eは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1F】図1Fは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1G】図1Gは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図1H】図1Hは、α−L−イズロニダーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列及び推定されるアミノ酸配列(配列番号1及び2)を示す。ヌクレオチド1〜6200が供給される。アミノ酸は、読み取り枠における最初のメチオニンから出発して、供給される。
【図2】図2は、下記に記載される方法に従って得られた溶出物のSDS−PAGE試験からの結果を示す。上部パネルは、Kakkis, など., Protein Expr. Purif. 5: 225-232 (1994) に開示される生成/精製スキームからの精製されたα−L−イズロニダーゼ(3ミクロン)及び汚染物のSDS−PAGE結果を示す。レーン2(7.5μgのα−L−イズロニダーゼ)及びレーン3(5.0μgのα−L−イズロニダーゼ)における、Carson方法として言及される未公開の従来の生成/精製方法(アメリカ特許出願番号第09/078,209号及び第09/170,977号)からの精製されたα−L−イズロニダーゼ及び汚染物のSDS−PAGE結果が、Galli方法として言及される本発明の生成/精製方法のそれ(レーン4:5μgのα−L−イズロニダーゼ)に引比較される。レーン1は、分子量マーカーである。図2は、本発明のGalli生成/精製方法が、従来の精製スキームに比較して、より少ない汚染物を伴って、高く精製されたα−L−イズロニダーゼ生成物を生成することを示す。
【図3】図3は、30日間にわたってのα−イズロニダーゼ生成レベルを示し、この間、細胞は血清含有培地からの血清フリー培地に5日目で交換される。α−イズロニダーゼ生成は、(1)細胞が、連続した生産性の上昇(上部パネル)を伴なって、100200(上部及び底部パネル)で血清含有培地から血清フリー培地に交換される場合、適合のための必要性の不在;(2)タンパク質フリー培地(底部パネル)における4mg/l(100mg/ml)以上の高レベルの生成;及び(3)酪酸誘発現象(底部パネル)を伴なってのα−イズロニダーゼ生成の増強により特徴づけられた。
【図4】図4は、MPS I患者における酵素治療の間の肝臓体積の低下を示す。
【図5】図5は、酵素治療の間の尿GAG排泄を示す。
【図6】図6は、酵素治療の間、HAC002における肘及び膝の延長を示す。
【図7】図7は、酵素治療の間、最もの制限を有する4人の患者における104週までの肩の屈曲を示す。
【図8】図8は、治療の前及び治療の6週間後、睡眠無呼吸症の改良を示す。
【図9】図9は、個々の患者における酵素治療の間の無呼吸症及び減呼吸症の改良を示す。
【図10】図10は、1人の患者における酵素治療の前、及び12及び52週間後の肺機能試験における改良性を示す。
【図11】図11は、酵素治療による早められた身長成長速度を示す。
【図12】図12は、(1)Carson方法、すなわち未公開の従来の生成/精製方法(アメリカ特許出願第09/078,209号及び第09/170,977号)、及び(2)Galli方法、すなわち本発明の生成/精製方法により生成されたα−L−イズロニダーゼの純度の程度、及びチャイニースハムスター卵巣タンパク質(CHOP)による汚染の程度を示す。従って、図12は、Galli方法により生成され、そして精製されたα−L−イズロニダーゼが、Carson方法のそれに比較して、高い程度の純度及び低い程度のCHOP汚染性を有することを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素、又は配列番号2において1〜数個のアミノ酸の置換、欠失又は付加より修飾されたアミノ酸配列を有し且つ配列番号2の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素と同じか又は類似するα−L−イズロニダーゼ活性を有する変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を含んで成り、そして99%に等しいか又はそれ以上の純度を有する組換えα−L−イズロニダーゼ酵素調製物、並びに塩化ナトリウム溶液、緩衝液又はポリソルベート80を含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
前記組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又はその変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記α−L−イズロニダーゼ又はフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、0.05〜0.2mg/ml又は12,500〜50,000単位/mlの濃度で存在有する請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記塩化ナトリウム溶液が、150mMの濃度で存在する請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記緩衝液が、100mMの濃度及びpH5.4−5.9のリン酸ナトリウム緩衝液である請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項6】
さらに、少なくとも1mg/mlの濃度でのヒトアルブミンを含んで成る請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ヒトアルブミンが、前記ヒト対象における急性アレルギー又は補体介在性反応を妨げるか又は低めるために使用される請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記溶液のpHが、5.8で維持される請求項1〜7のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ポリソルベート80が、0.001%で維持される請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ソルベートが、最終生成物においてタンパク質を安定化するために使用される請求項1〜9のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
α−L−イズロニダーゼの欠失により完全に又は部分的に引き起こされる疾病の処理のための請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記疾病がムコ多糖症である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記疾病がI型ムコ多糖症(MPS I)である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記疾病が、Hurler病、Scheie症候群及びHurler−Scheie症候群から成る群から選択される請求項11記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記疾病を有する対象が、1%又はそれ以下の通常のα−L−イズロニダーゼ活性を示す請求項11〜14のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項16】
少なくとも100SIU/kg、125,000単位/kg又は0.5mg/kgの前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニターゼ酵素の用量が、その欠失の患者に毎週投与される請求項11〜15のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項17】
少なくとも125,000単位/kg又は100SIU/kg又は0.5mg/kgの用量を達成するために、少なくとも3000単位の前記配合物の1時間のゆっくりした注入、続く少なくとも122,000単位の2時間の急速な注入による投与のための請求項11〜16のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記注入が、補体介在性臨床学的アレルギー反応を最少にする速度で行われる請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記ヒト組換えα−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素による処理が、組織におけるグリコサミノグルカンのリソソーム貯蔵を減じる請求項11〜18のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記処理が、前記ヒト対象の臨床学的及び生化学的徴候の改良を引き起こす請求項11〜19のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記処理が、肝臓体積及び尿グリコサミノグルカン排泄の正常化、脾臓サイズ及び無呼吸/減呼吸現象の低下、思春期前患者における身長及び成長速度の上昇、肩屈曲及び肘及び膝延長の改良、三尖弁逆流又は肺逆流の改良、又は毎日の活動の持久力及び限界の改良をもたらす請求項11〜20のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項22】
多量生成のための請求項1記載のα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を99%に等しいか又はそれ以上の純度に精製するための方法であって、
(a)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素をコードする核酸により形質転換された細胞の培養物から得られる流体を収穫し、そして濾過し;
(b)前記流体のpHを、酸性pHに調節し、続いて0.2〜0.54ミクロンのフィルターを通して濾過し;
(c)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を捕獲するために、ブルーセファロースFFカラムに前記流体を通し;
(d)汚染性CHOタンパク質を除去するために、銅キレート化クロマトグラフィーカラムに前記流体を通し;
(e)前記カラム上に担持される残留浸出Cibacronブルー色素及び銅イオンを減じるために、フェニルセファロースカラムに前記流体を通して;そして
(f)精製された前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を濃縮し、そしてダイアフィルトレーションする;
段階を含んで成る方法。
【請求項23】
前記ブルーセファロースFFカラムが、前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を7〜10倍に精製するために使用される請求項22記載の方法。
【請求項24】
すべての緩衝液中、10%グリセロールを用いることを含んで成る請求項22又は23記載の方法。
【請求項25】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり200,000単位以上の比活性を有する請求項22〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する請求項22〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、1又は複数のマンノース−6−リン酸残基を含んで成る請求項22〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、位置3に結合されるマンノース−6−リン酸残基及び位置6に結合されるマンノース−6−リン酸残基を含んで成る請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、約5日の細胞内半減期を有する請求項22〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
CHO細胞の前記培養物が、細胞系2.131 CHO細胞の培養物である請求項22〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記CHO細胞が、7.6mg/Lのチミジン、13.6mg/Lのヒポキサンチン、375μg/mlのG418及び5%ウシ胎児血清により補充された、6.8〜7.0のpHを有する、タンパクを有さない培養培地において培養される請求項22〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記CHO細胞が、2.0×105〜2.5×105個の細胞/mlの密度での集密性まで増殖される請求項31記載の方法。
【請求項33】
集密性での前記細胞の培地が、前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素のために収穫される請求項32記載の方法。
【請求項34】
集密での前記細胞の培地が、連続灌流により収穫される請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記連続灌流が、24時間にわたって、前記培地の2〜3.5培養物体積を交換することを含んで成る請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又はそのフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の生成が、前記α−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の遺伝子発現を誘発するために、12時間、酪酸ナトリウムにより前記培地を補充することによって増強される請求項22〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記酪酸ナトリウムが、前記酪酸ナトリウムによる初期誘発の12時間後、前記培地から除去される請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニターゼ酵素の生成が、21日のタンパク質生成期間にわたって、48時間ごとに、酪酸ナトリウムにより再誘発される請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、配列番号2の残基26〜653のアミノ酸配列を含んで成る請求項22〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記酵素が、配列番号2の残基26〜653を含んで成る請求項1記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記α−L−イズロニダーゼが、100SIU/ml又は125,000単位/mlの濃度で存在する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼの精製された調製物が、99.9%又はそれ以上の純度を有する請求項22記載の方法。
【請求項1】
配列番号2の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素、又は配列番号2において1〜数個のアミノ酸の置換、欠失又は付加より修飾されたアミノ酸配列を有し且つ配列番号2の組換えα−L−イズロニダーゼ酵素と同じか又は類似するα−L−イズロニダーゼ活性を有する変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を含んで成り、そして99%に等しいか又はそれ以上の純度を有する組換えα−L−イズロニダーゼ酵素調製物、並びに塩化ナトリウム溶液、緩衝液又はポリソルベート80を含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
前記組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又はその変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記α−L−イズロニダーゼ又はフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、0.05〜0.2mg/ml又は12,500〜50,000単位/mlの濃度で存在有する請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記塩化ナトリウム溶液が、150mMの濃度で存在する請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記緩衝液が、100mMの濃度及びpH5.4−5.9のリン酸ナトリウム緩衝液である請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項6】
さらに、少なくとも1mg/mlの濃度でのヒトアルブミンを含んで成る請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ヒトアルブミンが、前記ヒト対象における急性アレルギー又は補体介在性反応を妨げるか又は低めるために使用される請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記溶液のpHが、5.8で維持される請求項1〜7のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ポリソルベート80が、0.001%で維持される請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ソルベートが、最終生成物においてタンパク質を安定化するために使用される請求項1〜9のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
α−L−イズロニダーゼの欠失により完全に又は部分的に引き起こされる疾病の処理のための請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記疾病がムコ多糖症である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記疾病がI型ムコ多糖症(MPS I)である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記疾病が、Hurler病、Scheie症候群及びHurler−Scheie症候群から成る群から選択される請求項11記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記疾病を有する対象が、1%又はそれ以下の通常のα−L−イズロニダーゼ活性を示す請求項11〜14のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項16】
少なくとも100SIU/kg、125,000単位/kg又は0.5mg/kgの前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニターゼ酵素の用量が、その欠失の患者に毎週投与される請求項11〜15のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項17】
少なくとも125,000単位/kg又は100SIU/kg又は0.5mg/kgの用量を達成するために、少なくとも3000単位の前記配合物の1時間のゆっくりした注入、続く少なくとも122,000単位の2時間の急速な注入による投与のための請求項11〜16のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記注入が、補体介在性臨床学的アレルギー反応を最少にする速度で行われる請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記ヒト組換えα−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素による処理が、組織におけるグリコサミノグルカンのリソソーム貯蔵を減じる請求項11〜18のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記処理が、前記ヒト対象の臨床学的及び生化学的徴候の改良を引き起こす請求項11〜19のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記処理が、肝臓体積及び尿グリコサミノグルカン排泄の正常化、脾臓サイズ及び無呼吸/減呼吸現象の低下、思春期前患者における身長及び成長速度の上昇、肩屈曲及び肘及び膝延長の改良、三尖弁逆流又は肺逆流の改良、又は毎日の活動の持久力及び限界の改良をもたらす請求項11〜20のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項22】
多量生成のための請求項1記載のα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を99%に等しいか又はそれ以上の純度に精製するための方法であって、
(a)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ酵素又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素をコードする核酸により形質転換された細胞の培養物から得られる流体を収穫し、そして濾過し;
(b)前記流体のpHを、酸性pHに調節し、続いて0.2〜0.54ミクロンのフィルターを通して濾過し;
(c)前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を捕獲するために、ブルーセファロースFFカラムに前記流体を通し;
(d)汚染性CHOタンパク質を除去するために、銅キレート化クロマトグラフィーカラムに前記流体を通し;
(e)前記カラム上に担持される残留浸出Cibacronブルー色素及び銅イオンを減じるために、フェニルセファロースカラムに前記流体を通して;そして
(f)精製された前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を濃縮し、そしてダイアフィルトレーションする;
段階を含んで成る方法。
【請求項23】
前記ブルーセファロースFFカラムが、前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素を7〜10倍に精製するために使用される請求項22記載の方法。
【請求項24】
すべての緩衝液中、10%グリセロールを用いることを含んで成る請求項22又は23記載の方法。
【請求項25】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり200,000単位以上の比活性を有する請求項22〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、タンパク質mg当たり240,000単位以上の比活性を有する請求項22〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、1又は複数のマンノース−6−リン酸残基を含んで成る請求項22〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、位置3に結合されるマンノース−6−リン酸残基及び位置6に結合されるマンノース−6−リン酸残基を含んで成る請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、約5日の細胞内半減期を有する請求項22〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
CHO細胞の前記培養物が、細胞系2.131 CHO細胞の培養物である請求項22〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記CHO細胞が、7.6mg/Lのチミジン、13.6mg/Lのヒポキサンチン、375μg/mlのG418及び5%ウシ胎児血清により補充された、6.8〜7.0のpHを有する、タンパクを有さない培養培地において培養される請求項22〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記CHO細胞が、2.0×105〜2.5×105個の細胞/mlの密度での集密性まで増殖される請求項31記載の方法。
【請求項33】
集密性での前記細胞の培地が、前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素のために収穫される請求項32記載の方法。
【請求項34】
集密での前記細胞の培地が、連続灌流により収穫される請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記連続灌流が、24時間にわたって、前記培地の2〜3.5培養物体積を交換することを含んで成る請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又はそのフラグメント又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の生成が、前記α−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素の遺伝子発現を誘発するために、12時間、酪酸ナトリウムにより前記培地を補充することによって増強される請求項22〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記酪酸ナトリウムが、前記酪酸ナトリウムによる初期誘発の12時間後、前記培地から除去される請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記ヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニターゼ酵素の生成が、21日のタンパク質生成期間にわたって、48時間ごとに、酪酸ナトリウムにより再誘発される請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼ又は変異体α−L−イズロニダーゼ酵素が、配列番号2の残基26〜653のアミノ酸配列を含んで成る請求項22〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記酵素が、配列番号2の残基26〜653を含んで成る請求項1記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記α−L−イズロニダーゼが、100SIU/ml又は125,000単位/mlの濃度で存在する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記精製されたヒト組換えα−L−イズロニダーゼの精製された調製物が、99.9%又はそれ以上の純度を有する請求項22記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−312648(P2006−312648A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215076(P2006−215076)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【分割の表示】特願2004−242343(P2004−242343)の分割
【原出願日】平成12年11月9日(2000.11.9)
【出願人】(502170153)バイオマリン ファーマシューティカル インコーポレイテッド (6)
【出願人】(502170175)ロサンゼルス バイオメディカル リサーチ インスティテュート アット ハーバー− ユーシーエルエー メディカル センター (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【分割の表示】特願2004−242343(P2004−242343)の分割
【原出願日】平成12年11月9日(2000.11.9)
【出願人】(502170153)バイオマリン ファーマシューティカル インコーポレイテッド (6)
【出願人】(502170175)ロサンゼルス バイオメディカル リサーチ インスティテュート アット ハーバー− ユーシーエルエー メディカル センター (11)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]