説明

組換えオキサレート分解酵素の精製及び単離並びにオキサレート分解酵素を含む噴霧乾燥粒子

本発明は、ヒトにおけるオキサレートの低減方法及び低減用組成物並びに組換えオキサレート低減酵素タンパク質の精製及び単離方法を含む。本発明は、粒子組成物中のオキサレート低減酵素の送達方法及び送達用組成物を提供する。本発明の組成物は、オキサレートに関連する状態の治療又は予防に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、オキサレート低減酵素がその効果を発揮する胃に、活性形態にある酵素を送達するためのオキサレート低減酵素を含む噴霧乾燥粒子に関する。よって、本発明は、胃におけるオキサレートの低減手段を提供する。さらに、本発明は、
a) 可溶性の宿主細胞タンパク質から封入体として見出されない不溶性の組換えタンパク質を分離する工程と;
b) 分離した組換えタンパク質を可溶化する工程と
を含む、宿主細胞の細胞質において不溶性であり、不活性でミスフォールディングされたタンパク質の沈殿物とみなされる封入体として見出されない組換えタンパク質の単離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
腎臓/尿管結石症(尿路結石症)は、世界全体の主要な健康問題である。尿路結石症に関連する結石の多くは、シュウ酸カルシウム単独で又はシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムとから構成される。その他の疾患状態もまた、過剰なオキサレートに関連している。これらは、外陰部痛、末期の腎臓病に伴うシュウ酸症、心伝導障害、クローン病及びその他の腸の疾患状態を含む。
【0003】
シュウ酸及び/又はその塩であるオキサレートは、広範多種の食品において見出され、したがって、ヒト及び動物の食事の多数の構成要素の一員である。増大されたオキサレート吸収は、大量のシュウ酸を含む食物を食べた後に起こる。ホウレンソウ及びダイオウのような食物は、多量のオキサレートを含むことが周知であるが、数多くのその他の食物及び飲料もまたオキサレートを含む。オキサレートは、このような広範多種の食物において見出されるので、オキサレートが少なく口にも合う食事を作ることは難しい。さらに、オキサレートの少ない食事を遵守することは多くの場合困難である。
【0004】
腎結石の形成のリスクには、まだ完全に理解されていない多くの要因が関わっている。腎結石症又は尿路結石症は、西洋諸国の人口の12%程度において起こり、これら結石の約70%は、カルシウムオキサレート単独で又はカルシウムオキサレートとカルシウムホスフェートとから構成される。幾らかの個体(例えば、クローン病、炎症性腸疾患又は脂肪便のような腸疾患を罹患する患者及び空回腸バイパス手術を受けた患者も)は、その他の個体よりも多くのオキサレートを食事から吸収する。これらの個体について、オキサレート尿路結石症の発生率は、著しく増加する。罹患率の増加は、腎臓及び尿におけるオキサレートレベルの増加によるもので、これは、ヒトにおいて最も一般的な高シュウ酸尿症候群であり、腸管性高シュウ酸尿症として知られる。オキサレートはまた、末期の腎臓病を罹患する患者において問題であり、尿中のオキサレートの増加が外陰前庭炎(外陰部痛)にも関与するという最近の証拠が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オキサレート低減細菌を含む腸溶性コート組成物又はその他の組成物は、全身に吸収される前の小腸の通過の間に、オキサレートの濃度を低減させることが示唆されている。腸溶性コーティング組成物は、インタクト(intact)な形態で、すなわちコーティングがインタクトであり、したがって、オキサレートが胃において分解されない状態で胃を通過する。より良いアプローチは、小腸において吸収される前に、胃のオキサレートを低減することである。したがって、例えば食物中のオキサレートを低減するために、胃のオキサレートの低減を可能にする組成物を開発する必要がある。さらに、このような組成物は、再発性結石疾患を引き起こす高シュウ酸尿症のような腸管性及び吸収性高シュウ酸尿症の治療に適する。このような治療の目的は、患者の尿中オキサレートレベルを正常にするか、又は少なくとも低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
本発明は、オキサレート分解酵素を含む噴霧乾燥粒子に関する。噴霧乾燥粒子は、活性形態にある酵素を胃に送達し、胃でオキサレートを分解するための医薬組成物及び/又は食品組成物に使用するのに適する。よって、本発明はまた、噴霧乾燥粒子又はそれを含む組成物の投与によるオキサレートに関連する状態の治療及び予防方法を提供する。
【0007】
本発明はまた、宿主細胞の細胞質において不溶性又はほんのわずかに可溶性であり、宿主細胞において封入体として見出されない組換えタンパク質の単離及び精製方法も提供する。特に、組換えタンパク質は、組換えオキサレート分解酵素である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、部分的塩濃度勾配溶出(segment gradient salt elution)によりフェニルセファロースカラムから溶出した野生型OxDCのクロマトグラムである。ピーク1及び2は共にOxDCを含むが、ピーク1はより高い比活性を有する80〜90%のOxDC(50〜60 U/mgの精製OxDC)を含み、ピーク2はより低い比活性を有する30〜70%のOxDC(30-50 U/mgの精製OxDC)を含む。ピーク2のOxDCは、損傷を受けているか、又は不正確に折り畳まれていると考えられる。ピーク3は不純物である(ピーク1〜3を点線で示す)。種々の曲線を点、三角、四角、菱形及び十字で示す。
【図2】図2は、0 mgのオキサレートを給餌されたラット(基線、no ox)、2.3%のカリウムオキサレートを給餌されたラット(HOD)及び本発明のオキサレートデカルボキシラーゼ粒子を2.3%のカリウムオキサレートと組み合わせて給餌されたラット(Oxazyme)の尿中オキサレートの平均排出量を示すグラフである。尿中オキサレートはクレアチニンに対して基準化され、4日目〜9日目に回収した尿の蓄積である。Ox/Crは、オキサレート/クレアチニンである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な開示
上記から理解されるように、本発明は、
i) 組換えタンパク質、特にオキサレート分解酵素の単離及び精製方法、
ii) 1又はそれより多いオキサレート分解酵素を含む噴霧乾燥粒子及び
iii) このような粒子を含む組成物
を提供する。
【0010】
よって、本発明は、オキサレート関連疾患を治療するための以前に記載された組成物及び方法のさらなる発展形である(例えば、同一出願人によるWO 2007/075447を参照されたい)。さらに、本発明者らは、野生型オキサレートデカルボキシラーゼの特定の変異、特に383位のシステイン残基をセリン、アラニン又はアルギニンで置換することが、酵素の単離及び精製に特に有利な物理化学的特性を該酵素に付与することを驚くべきことに見出した。よって、本発明の単離及び精製方法は、通常見られるものよりも必要とされる工程が少なく、細胞質及び精製用媒体における酵素の可溶性の変化を利用する。
【0011】
さらに、本発明者らは、活性型オキサレート分解酵素を胃に送達するためのよりシンプルな解決策を見出した。(同一出願人による)WO 2007/075447において、組成物は、オキサレート分解酵素を内容物として有する特定の粒子を含有すると記載されている。該粒子は、様々なポリマーの組合せを含み、該ポリマーの複数の層及び/又は該ポリマーの架橋により胃の苛酷な環境から保護され、胃内のペプシン及びpHへの耐性を増強されている。しかしながら、非常に特定されたグループのポリマー、特にポリ(メタ)アクリレートを1又はそれより多いオキサレート分解酵素と組み合わせて使用するというよりシンプルな解決策が開発された。前記粒子はマイルドなプロセス、すなわち噴霧乾燥を用いて製造される。たとえ酵素が噴霧乾燥粒子内に取り込まれることにより胃の環境から完全に保護されないとしても、本明細書中の実施例は、噴霧乾燥法及び胃の模擬的環境への曝露後の著しい活性を示す。
【0012】
定義
本明細書中で用いられる用語「オキサレート低減酵素(oxalate reducing enzyme)」は、オキサレートを低減できる全ての酵素を意味することを意図する。それはオキサレートそれ自体を低減してもよいし、且つ/又はオキサレート低減経路において機能してもよい。この明細書において、用語「オキサレート」は、シュウ酸及び/又はその全ての塩(シュウ酸塩)を包含する。本発明は、任意の公知のオキサレート低減又は分解酵素の使用を意図する。
【0013】
本発明の粒子、組成物及び方法において用いられる酵素は、限定されないが、天然型又は変異型のオキサレートオキシダーゼ、(OxDCと略称される)オキサレートデカルボキシラーゼ、オキサリル-CoAデカルボキシラーゼ若しくはフォルミルCoAトランスフェラーゼ又はその組合せを含む。さらに、オキサレート分解経路の代替物であるか又はオキサレート代謝経路、特にオキサレート低減に関与するその他の酵素、補因子及び補酵素はまた、単独で又は1若しくはそれより多い上述の酵素との組み合わせで用いるのに適する。この明細書において、酵素がこの定義に包含されるだけでなく、オキサレート低減遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列及びタンパク質もまた本発明により意図される。本発明はまた、これら酵素の全ての結合パートナーも意図し、酵素と結合するか又は相互作用する抗体及び抗体フラグメントを含む。
【0014】
酵素は、生物から単離することにより得てもよいし、精製されてもよいし、合成、半合成又は組換えの手法により調製されてもよいし、或いは細胞溶解物として用いられてもよい。通常、酵素としては、精製された組換えタンパク質が採用される。(薬物のような)医薬用途又は(食物サプリメント、機能性食品又は予防手段のような)食物に用いられるとき、用いられる1又はそれより多い酵素は、純度及び活性が十分に規定されていることが好ましい。
【0015】
オキサレート分解酵素の3つの主要なクラスからの1又はそれより多い変異型又は野生型酵素が、一般的に採用される。オキサレートオキシダーゼは高等植物において発現され、H2O2を付随的に形成するオキサレートのCO2への酸素依存的酸化を触媒する。この反応は、尿中オキサレートレベルの検出のための本発明のアッセイの基礎を形成する。3工程のrOxOx精製手順は、オキサレートオキシダーゼを大麦の根から得るために開発された。この酵素はまた、ビートルートの茎及び根、ヒユの葉、モロコシ及びその他の多くの穀物において存在する。
【0016】
第2のクラスのオキサレート代謝酵素であるオキサレートデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.2)は、真菌類において主に存在する。これは、ミロテシウム・ベルカリア(Myrothecium verrucaria)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の特定の株、白色腐敗菌類であるコリオルス・ベルシコラー(Coriolus versicolor)及びコリビア・ベルティペス(Collybia velutipes)のような数種の真菌類において報告され、特徴付けられている。この酵素は、酸素依存的反応においてオキサレートをフォルメート及び二酸化炭素に変換する。オキサレートデカルボキシラーゼもまた、血液及び尿中のオキサレートの臨床アッセイに用いられており、食物及び環境中のオキサレートレベルを低減させるのに用いることができる。YvrKタンパク質(B. スブチリス(B. subtilis)のオキサレートデカルボキシラーゼ)は、E. コリ(E. coli)において機能的な組換えタンパク質として発現され、均質に精製され、完全に特徴付けられている。
【0017】
オキサリル-CoAデカルボキシラーゼは、CoAで活性化された基質について活性であり、該基質をフォルミルCoAに変換する。フォルミルCoAトランスフェラーゼが次いでCoAに作用して、フォルメートとオキサレートとを交換する。これら酵素は、オキサレート低減細菌であり、一般的に土壌に見られるシュードモナス・オキサラティクス(Pseudomonas oxalaticus)並びに脊椎動物及びヒトのGI管に棲むオキサロバクター・フォルミジェネス(Oxalobacter formigenes)において研究されている。前記酵素は、本明細書中にその全容が組み込まれる「The enzymes of oxalate metabolism: Unexpected structures and metabolism」、Svedruzic Dら、Arch Biochem Biophys. 2005 Jan 1;433(1):176-92において十分に概説されている。天然の酵素、単離された酵素又は組換え技術により作製された酵素のいずれであっても、前記酵素は、組換え又は化学的手段により改変されていてもよく、側基又はその他の付加分子を含んでいてもよい。例えば、酵素は改変され、その他の分子又は化合物への付加のためのリンカー分子を有していてもよい。
【0018】
本明細書中の実施例から理解されるように、システイン383のアミノ酸の置換えをもたらすオキサレートデカルボキシラーゼの特定の変異(例えばC383S、C383A、C383R)が有利である。したがって、このような組換え酵素は、本発明の様々な態様において特に興味の対象である。
【0019】
本明細書中で「酵素(an enzyme)」と単独で用いられる用語は、タンパク質分子に関して一般的に理解されるように、酵素分子の複数のコピーを指す。
本明細書中で用いられるように、酵素は、組換え酵素タンパク質を含む。
【0020】
本明細書中で用いられるように、用語「1又はそれより多い酵素」は、フォルミルCoAトランスフェラーゼを意図するような1タイプの酵素が存在すること、又は例えばオキサリルCoAデカルボキシラーゼ及びフォルミルCoAトランスフェラーゼ;オキサレートデカルボキシラーゼ及びオキサレートオキシダーゼ或いは野生型酵素及び変異型酵素の組合せを含む組成物のような1より多いタイプの酵素が組成物中に存在することを意味する。
【0021】
用語「封入体」(「タンパク質封入体」又は「細胞質封入体」とも呼ばれ得る)は、細胞の細胞質において見られる不溶性ポリペプチド鎖の凝集により形成される物体を意味する。このような封入体は、組換えにより産生された外来タンパク質の宿主としての役割を果たす原核細胞において見られる。いくらかの活性が組換えにより産生された蛍光タンパク質において見られるが、封入体中の組換えタンパク質の大半は、ミスフォールディングされているか又は生物学的に不活性であると現在のところ考えられている。上記から理解されるように、本発明は、例えばE. コリのような宿主において発現される不活性な封入体として見出される組換えタンパク質とは関係せず、結果的に、本発明は、発現されて酵素的に活性な形態になるように折り畳まれた状態になる組換えタンパク質に関する。
【0022】
用語「粒子」は、ポリマーと組み合わせられた1又はそれより多いタイプのオキサレート低減酵素を含む組成物を記載するために、本明細書中で用いられる。一般的に、用語「粒子」は、最も広い、すなわちサイズ又は形状の属性の如何なる特定もしない用語として用いられる。
用語「噴霧乾燥粒子」は、噴霧乾燥法により得られる粒子を意味する。
【0023】
本明細書及び添付される特許請求の範囲において用いられるように、単数形の「一つの(a, an)」及び「その(the)」は、前後の文脈にそうでないと明確に記載されていない限り、複数の指示対象を含む。
【0024】
組換えタンパク質、特にオキサレート分解酵素の単離及び精製方法
本発明は、宿主細胞からの組換えタンパク質の単離及び精製方法を提供する。該方法は、効率的かつ簡素化された工程を用いてオキサレート低減酵素を精製する工程を含み、タンパク質収率の改善をもたらす。
【0025】
組換えタンパク質は、変異型オキサレート低減酵素を含み得る。本発明の方法は、細胞質において可溶性でなく、沈殿するようであるが、封入体として見出されない、活性型酵素タンパク質として宿主細胞の細胞質において存在する組換えタンパク質を指す。このようなタンパク質は、宿主細胞の細胞質において不溶性又はほんのわずかに可溶性であると考えられる。本発明のある態様は、宿主細胞の溶解及び可溶性細胞質タンパク質からの組換えタンパク質の容易化された分離を含む。分離は、細胞質の遠心分離又は濾過により容易に達成され得る。分離後、組換えタンパク質は、制限されないが、結合リガンドを加えること又はpHを変化させることを含む方法によって、優先的に可溶化される。一旦可溶性になれば、タンパク質は、例えば沈降により溶液から除去することができ、例えば本明細書に開示される粒子として保存されるか又は用いられる。
【0026】
本発明の方法は、組換えオキサレート低減酵素、例えば変異型組換えオキサレート低減酵素タンパク質の単離及び精製方法を含む。組換えタンパク質の発現は、封入体中のタンパク質が可溶性組換えタンパク質よりも低い宿主細胞への毒性負荷を呈するので、E. コリにおける封入体中のタンパク質の封鎖をしばしばもたらす。封入体中のタンパク質はまた、不溶性形態が原因で、E. コリのプロテアーゼによる分解をより受けにくい。しかしながら、封入体由来タンパク質をリフォールディングして活性型酵素を産生することは随分と困難である。E. コリ細胞において発現の間不溶性又はほんのわずかに可溶性であり、封入体として見出されないが、活性型形態にあるタンパク質が発現され得る場合、タンパク質発現は、封入体が形成されるときに見られるものと類似するレベルにあり得る。細胞質において溶解能が制限されており、したがって細胞の細胞質において沈殿しているタンパク質は、リフォールディングの工程を必要としない。
【0027】
例えば、細胞溶解物において可溶性タンパク質として見出されるより小さな部分(5%、表1)と破壊された細胞ペレットにおいて不溶性タンパク質として見出されるより大きな部分(95%、表1)とを有するオキサレートデカルボキシラーゼ (OxDC)野生型組換えタンパク質は、E.コリ細胞質においてあるレベルの溶解能を有する。不溶性部分は、高い塩濃度、例えば1 M NaCl又は0.75 M (NH4)SO4に溶解でき、溶解したOxDCは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムにより分離できる2つの主要な形態を含む(図1)。両方のOxDCピークは活性であるが、より高い塩濃度にて溶出したピーク(ピーク1、図1)におけるOxDCは、約20%高い比活性を示す。より低い塩濃度にて溶出するピーク(ピーク2、図1を参照されたい)におけるOxDCは損傷しているとみられる。このタンパク質画分はより疎水性であり、活性がより低い。細胞質において可溶性のタンパク質は、プロテアーゼによる加水分解、その他の酵素による触媒反応、化学反応及び物理的改変による損傷をより受けやすい。
【0028】
封入体として発現されるタンパク質は広く報告されているが、不溶性又はわずかに可溶性の状態、例えば沈殿し、活性形態にあるタンパク質を如何にして発現するかについての報告はない。組換えタンパク質の可溶性を宿主の細胞質においてより低くすることは、タンパク質の精製方法を簡素化する。組換えタンパク質が不溶性であるか又はより低い可溶性を有するので、宿主生物、例えばE.コリの可溶性タンパク質は、一般的に宿主細胞の溶解後の第一の工程として遠心分離又は濾過により容易に分離される。遠心分離ペレット又は濾過後の残渣において見出される不溶性又はわずかに可溶性の組換えタンパク質は、例えば選択バッファーを用いる可溶化により処理してもよい。選択バッファーは、pH及び/又はスクリーニング特異的結合リガンドの選択により見出される。多くのタンパク質は、pHがpIに近いときに可溶性が非常に限定されているが、pHがpIの2 pHユニットを越えて上又は下であるときに可溶性を増している。タンパク質の可溶性はまた、ペレットを結合リガンドを含む溶液に懸濁することにより変化させてもよい。例えば、OxDCは、野生型組換えタンパク質についてpH 4.5〜7.8及びC383S変異型タンパク質についてpH 4.0〜8.0で可溶性が制限されている。C383とは、オキサレートデカルボキシラーゼアミノ酸配列におけるアミノ酸383位のシステインを指す。Sとは、システインがセリンで置き換えられていることを示す。OxDCの可溶性は、pHが、野生型OxDCについて8.5及びC383S変異型について9.0よりも大きいならば増大する。Tris及びアルギニンは、OxDCへの選択的結合リガンドであり、それらのいずれかの使用は、OxDCの可溶性を増大させる。本発明の方法は、結合リガンドを加えるか、又は培地のpHを変化させることにより、宿主細胞の可溶性タンパク質の遠心分離後のペレット又は濾過後の残渣において見出される酵素又はタンパク質の可溶性を助長することを含む精製工程を含む。
【0029】
さらに、変異型オキサレート低減酵素組換えタンパク質のこのような単離方法は、回収されるタンパク質の量の増大及び組換え野生型オキサレート低減酵素タンパク質で見られるものよりも多い量をもたらし得る。該方法は、通常よりも工程が少ないので、より単純な精製工程が可能である。例えば、宿主生物、例えばE.コリの可溶性タンパク質を、例えば宿主細胞の細胞質の宿主タンパク質よりも不溶性であるか又はより低い可溶性を有する組換えタンパク質からの遠心分離又は濾過により分離する。変異型オキサレート低減組換えタンパク質は、その他の方法における野生型組換えタンパク質と同様ではなく、例えば変異型タンパク質は、凝集体形成をもたらすタンパク質−タンパク質相互作用を形成し得ない。例えば、オキサレートデカルボキシラーゼのシステインアミノ酸の置換えは、ジスルフィド結合を形成できない変異型タンパク質をもたらし、このことは、タンパク質の凝集体をより少なくもたらすか乃至は全くもたらさない。
【0030】
本発明の方法の例は、組換え変異型オキサレート低減酵素タンパク質を産生する宿主細胞の溶解を含む。宿主細胞、例えばE.コリ細胞の溶解後、全ての可溶性宿主タンパク質を、例えば濾過又は遠心分離により除去する。宿主細胞の細胞質において可溶性でないか又はほんのわずかに可溶性であり、封入体として見出されない組換えタンパク質、例えば変異型組換えオキサレート低減酵素タンパク質は、遠心分離ペレット又は濾過における残渣において見出される。変異型タンパク質を次いで、例えば選択バッファー若しくは結合リガンドを用いる可溶化により、又は当業者に公知のその他の方法により可溶化する。選択バッファーは、例えばpHパラメータにより決定され得る。多くのタンパク質は、pHがpIに近いときに可溶性が制限されているが、pHがpIの2 pHユニットを越えて上又は下であるとき可溶性は増大される。例えば、OxDCは、野生型組換えタンパク質についてpH 4.5〜7.8及びC383S変異型組換えタンパク質についてpH 4.0〜8.0で可溶性が制限されている。
【0031】
可溶化はまた、タンパク質結合リガンドによっても影響され得る。タンパク質の可溶性は、結合リガンドが溶液中に存在するときに変化し得る。この特性は、選択的な沈殿及び溶解を介するタンパク質の精製に応用できる。特定のタンパク質の結合リガンドは、当業者に公知の方法、例えば示唆走査熱量測定法、UV分光法、赤外分光法、蛍光分光法及びリガンドとタンパク質との相互作用を検出するその他の方法により発見できる。例えば、Tris、アルギニン、Mn2+、Mg2+及びCa2+のような、OxDCに結合して可溶性に影響を与えることのできる化合物及びイオンが幾つか存在する。酵素の活性を阻害しない化合物若しくはイオン、又は容易に除去されて活性型酵素タンパク質を回復する場合に活性を阻害する化合物若しくはイオンを用いることが好ましい。例えば、Tris及びアルギニンは、pHが野生型OxDCについて8.0及びOxDCのC383S変異型について8.5よりも大きいときに、OxDCの活性を阻害せず、OxDCの可溶性を増大させる。
【0032】
本発明の変異型組換えオキサレート低減酵素タンパク質の単離及び精製方法は、例えば結合リガンドを加えること及び/又はpHを調整することにより、可溶化条件を変化させた後に、宿主細胞質中の組換え変異型タンパク質の低い可溶性及び変異型組換えオキサレート低減酵素タンパク質の高い可溶性の一方又は両方を含んでいてもよい。
【0033】
現在用いられている組換えタンパク質の単離及び精製プロセスにおいては、大規模な単離及び精製に必要とされるスケールで構築及び操作することが難しい大きなクロマトグラフィーカラムの使用における問題がしばしば発生する。このプロセスは実施例1に示す。このような工程を除去することは、より安価な精製コスト及び実施例4に示されるように、より単純なプロセスをもたらす。
【0034】
本発明の方法は、宿主細胞からの組換えタンパク質の精製又は単離を含む。単離方法は、宿主生物の細胞質においてわずかに可溶性乃至不溶性である組換えタンパク質を単離することを含む。単離工程は、宿主細胞の溶解物を得ること、例えば溶解物を再懸濁し、それを遠心分離して溶解物ペレットを形成させることにより溶解物を洗浄すること;溶解物ペレットをタンパク質可溶化媒体、例えば結合リガンドを含むか又はタンパク質のpH応答を変更する(例えばタンパク質の可溶性を増大させる)その他の化合物を含む媒体に懸濁させること;混合物を遠心分離すること並びに不溶性ペレットではなく液相を用いることを含む。組換えタンパク質は、液相から除去される。例えば、液相のpHを調整し、組換えタンパク質を溶液から沈殿させる。不溶性ペレットは、複数回再抽出してもよく、液相を形成させ、該液相から組換えタンパク質を例えば沈殿により除去する。組換えタンパク質は、1又はそれより多い回数洗浄され、保存され、必要なときに用いられ得る。
【0035】
細胞質において不溶性又はほんのわずかに可溶性であり、宿主細胞、例えばE.コリの封入体として見出されず、本明細書に教示される方法により単離される酵素は、制限されないが、オキサレート低減酵素のオキサレート低減活性部位を含むドメイン又はペプチドフラグメント、とりわけ該活性部位を含むか又は活性部位からなるものを用いて形成されるキメラ;制限されないが、欠失、挿入、置換え、復帰変異、活性を増大する変異、自然に存在するアミノ酸の非天然アミノ酸での置換又は当業者に公知のその他の改変を含む改変又は変異を含む組換えの非天然又は変異型オキサレート低減酵素タンパク質を含み得る。このような改変された酵素は、天然酵素よりも大きいか、小さいか又は同等の活性を有していてもよいか、或いは天然又は非改変酵素と同一であるか又は異なる特徴を有していてもよい。本発明は、酵素全体、フラグメント、ペプチド、結合領域、活性部位又はオキサレート低減酵素のその他の機能的領域、セグメント、配列及びプロモーター並びにコントロール配列を含む方法及び組成物を意図する。
【0036】
本発明は、組換えタンパク質の使用、及び野生型又は非変異型組換えタンパク質において見られるものよりも高い率で、宿主の細胞質において、タンパク質を、不溶性又はほんのわずかに可溶性にするように変異された組換えタンパク質を含む。さらに、これら組換えタンパク質は、宿主細胞の封入体として見出されない。親水性がより低い残基での親水性残基の置換え、荷電アミノ酸の非荷電アミノ酸での置換え並びに/或いはC-及び/又はN-末端部における疎水性ペプチド尾部の付加のようなタンパク質の可溶性を改変する方法が幾つかある。改変はタンパク質を不活化せず、可溶性の低い改変タンパク質は、宿主細胞、例えばE.コリにより活性型として発現される。本発明は、オキサレート低減酵素の変異方法並びにオキサレートデカルボキシラーゼ、オキサレートオキシダーゼ、オキサリルco-Aデカルボキシラーゼ及びフォルミルCoAトランスフェラーゼを含むが、これらに制限されない変異型酵素を含む。変異は、好ましくは、酵素の機能を減少させないか、又は不活化させない。
【0037】
本発明により意図される変異の例を記載する。OxDCのN-及びC-末端部は共に触媒部位から遠く、随分可撓性である。x-線結晶構造解析から決定された2つの末端部の可撓性は、N-末端尾部の最初の7アミノ酸及びC-末端部の最後の6アミノ酸が、コンホメーションの不均質性により回折を起こさないことを示す。C-末端部の6残基のうち、置換えのために選択できる多くのアミノ酸がCysよりも親水性又は疎水性であるので、C383を変異として選択した。C383は、オキサレートデカルボキシラーゼのアミノ酸配列における383位システインを表す。さらに、C383はOxDCにおける唯一のCysであるが、OxDC六量体のなかでジスルフィド結合を容易に形成し、さらに凝集体を生成することが示されている。C383の置換えは、このような凝集体の形成を排除し、よって溶液におけるOxDCの安定性を増大させ得る。変異はC-末端領域に導入した。
【0038】
複数の遺伝子が元のyvrk遺伝子配列(野生型yvrk)、オキサレートデカルボキシラーゼから作製される。元の遺伝子はバシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来であり、その遺伝子配列は、GenScript Corporation, Piscataway, NJからのアルゴリズムを用いて、E.コリにおける発現に最適化させた。遺伝子は、コドンの用法、GC含量の調整、繰り返し要素の除去及びクローニングのために内部に制限部位が存在しないことを確実にすることについて最適化させた。コドン最適化遺伝子は、野生型yvrkと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質をもたらした。
【0039】
次いで、野生型yvrk遺伝子及び最適化yvrk遺伝子の両方の単一のシステインコドンに改変を行い、さらにユニークな遺伝子配列をもたらした。システインコドンをセリン、アルギニン又はアラニンコドンで置き換えた。
【0040】
野生型yvrk遺伝子の遺伝子配列は、同一の方法を用いて、ピキア(Pichia)又はサッカロミセス(Saccharomyces)のようなさらなる発現系に最適化できる。さらに、バシルス発現系における発現は、最適コドンの用法、GC含量及び繰り返し要素の除去のために遺伝子を最適化させることにより改善され得る。コドン最適化はまた、既に改変されたシステインコドン以外の位置におけるタンパク質の二次構造の改変のために用いられてもよいか、又はシステイン改変に加えて、例えばペグ化、マイクロスフェア結合若しくはカプセル化を改善するための方法、低pHにおけるpH安定性を改善するための方法又はタンパク質の活性を改善するための方法であってもよい。
【0041】
配列番号 1
太字で印されたシステインコドンを有する元のyvrk配列。
【化1−1】

【化1−2】

【0042】
5'及び3'末端部(下線付)の制限部位と、太字で印されているシステインコドンとを有するE.コリに最適化されたYvrk遺伝子配列。
【0043】
配列番号 2
【化2−1】

【化2−2】

【0044】
本発明のその他の配列は、配列番号3〜16の塩基1142-1152を含む配列番号1のyvrk遺伝子を含む。番号3〜8はセリンであり、番号9〜14はアルギニンであり、番号15〜19はアラニンである。
【0045】
【表1】

【0046】
噴霧乾燥粒子を含む粒子
ある態様においては、本発明は、オキサレート低減酵素及びポリマー材料を含む粒子に関する。オキサレート低減酵素は、変異型組換えオキサレート低減酵素タンパク質であり得る。
【0047】
粒子は、ヒト又は動物の胃においてオキサレートを分解でき、すなわち粒子の形成が酵素活性の著しい喪失をもたらし得ず、該粒子の特性は、粒子に含まれる酵素を分解及び/又は不活化から保護しなければならない。よって、酵素は、胃において通常見られるpH(食後にpH 2.5-5)に相当するpHにて活性でなければならないか、或いは、pH調整剤が粒子にさらに組み込まれているか又は投与前に粒子と混ぜられてもよい。適切なpH調節剤は、当業者に周知の緩衝物質を含む。
【0048】
(粒子を製造するための特定の方法及び採用される特定のポリマー又はコポリマーの使用と組み合わせる)粒子形成は、酵素タンパク質をペプシンによる消化から保護し、酵素活性を確実にすることを意図する。タンパク質及びポリマー材料の粒子形成は、本発明により意図される。本明細書において用いられるように、粒子形成とは、タンパク質とポリマー又はコポリマー溶液とが会合し、活性型酵素及びポリマー又はコポリマーを含む小粒子が形成されることを意味する。活性型酵素粒子のこのような形成方法は、粒子中の活性型酵素の量を増大させ、治療又は予防計画に用いられるときに、粒子を含む剤形の有効性を増大させ得る。粒子形成は、ペプシンによる消化からの酵素の保護を助長する。
【0049】
粒子形成に採用される方法が、酵素の不活化のリスクをもたらす試薬、溶媒、温度、装置などを含まないことを確実にすることが重要である。よって、例えば有機溶媒、高温及び低又は高pHを含む方法を回避するためには注意が必要である。
【0050】
コアセルベーション、相分離、重合、噴霧乾燥、静電気的方法及びエアサスペンションによるアプローチのような多くの粒子形成アプローチがある。噴霧乾燥は、1930年代に開発された機械的マイクロカプセル化方法である。この技術は、医薬又は活性物質をポリマー及び/又はその他の賦形剤と混合して利用して、溶液、懸濁液、分散液又は乳液のいずれかであり得る供給材料を形成させる。供給材料を霧化して小滴とし、乾燥チャンバーに乾熱ガスと共に導入する。小滴は乾熱ガスにより水分を失い、乾燥粉末を形成する。
【0051】
本発明の活性型酵素粒子を製造するための適切な方法は、噴霧乾燥である。このような方法においては、酵素及びポリマーを水性媒体中に分散させるか又は溶解させ、ノズルを介して適切な噴霧乾燥装置に装填する。比較的高い注入口及び流出口温度が採用されるとしても条件は穏やかであり、本明細書中の実施例は、粒子中に含まれる酵素の活性が高いレベルのままであり、より高いレベルさえ観察されたことを示す。その他の方法もまた、酵素の活性が深刻に破壊されない(少なくとも80%の活性が維持される)という条件で適切である。噴霧乾燥に関して、本明細書中の実施例は、少なくとも85%の残存活性、少なくとも90%の残存活性及び少なくとも100%も見られることを示す。
【0052】
多くの粒子形成方法においては、通常、タンパク質を溶液中に準備する。通常、粒子中のタンパク質は均一に分配されており、このことにより、適切な又は増大されたレベルの酵素活性を提供するのに有効な濃度の粒子中の酵素を得ることが困難になる。噴霧乾燥方法において、タンパク質は、溶液中に又は酵素タンパク質が固体状態、例えば酵素タンパク質のナノ又はマイクロ凝集体である分散液若しくは懸濁液中に準備され得る。粒子が意図される送達部位に提供されるとき、粒子中の固体酵素のナノ又はマイクロ凝集体を溶媒和し、有効な濃度の酵素溶液を形成する。酵素濃度は、比活性が増大するようなレベルにあり得る。例えば、OxDCのC383S変異型はpH 4.5〜7.8の間のバッファーに極微量のみ溶解し、pH 4.5〜7.8の水懸濁液中のタンパク質のナノ又はマイクロ凝集体として準備され得る。C383Sのナノ又はマイクロ凝集体の懸濁液を次いでポリマー溶液又は懸濁液と混合し、粒子を噴霧乾燥又はその他の乾燥技術により形成させる。粒子中のC383S変異型OxDCの濃度は、元の比活性に対して最大141%のC383S変異型の比活性を示す。よって、噴霧乾燥は、粒子を製造するための好ましい方法である。
【0053】
本明細書中の非限定的な実施例には、酵素をポリマー材料に化合させるための方法が記載される。本発明による組成物を製造するのに好ましいその他の方法が当業者により見出され得る。ポリマー材料への酵素の組込みにより、酵素は、pH及びペプシンに関して胃液に類似する条件に対して、ある種の保護を得る。得られるオキサレート低減酵素組成物は、粒子、すなわちマイクロ又はナノサイズの別々の単位のようである。
【0054】
通常、本発明の組成物の粒子は、例えば約500 nm〜500 μm、約1 μm〜約500 μm、約2 μm〜約100 μm、約4 μm〜約80 μm、約6 μm〜約60 μm、約8 μm〜約40 μm、約10 μm〜約20 μmのような約50 nm〜約1 mmの平均直径を有する。
【0055】
アルギネート、デキストラン、セルロース、コラーゲン、キトサン、アルギネート、ペクチン、ヒアルロン酸、PLGA、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エステル)などを含むが、これらに制限されない天然又は合成ポリマーのような多くの種々のポリマー及びコポリマーが粒子形成に適切であり得る。
【0056】
しかしながら、この関係においては、Eudragit(登録商標)ポリマーが、望ましい結果、すなわち酵素の適切な活性並びにペプシン又は胃に存在するその他の酵素及び胃の内容物の低pHからの酵素の十分な保護をもたらすことが見出されている。
【0057】
Eudragit(登録商標)ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレートをベースとするポリマーであり、例えば胃への耐性(gastoresistance)及びGI標的化、保湿及び臭い/風味のマスキング、時間制御薬物放出のためのいくつかの種類が利用可能である。幾つかのEudragit(登録商標)ポリマー(Eudragit(登録商標)シリーズL、S及びFS)は、酸性及び中性/アルカリ性環境における種々の可溶性並びに5.5から>7までのpHカットオフ値(すなわち、ポリマーが可溶性になる値)を有する。その他のEudragit(登録商標)ポリマー(シリーズE及びEPO)は、pH 5までの胃液に可溶性であり、より高いpH値にて膨潤性である。幾つかのEudragit(登録商標)ポリマー(シリーズRL、RS、NE及びNM)は不溶性であり、pH依存的な膨潤性を示す。
【0058】
本明細書中の実施例から理解されるように、上述されるEudragit(登録商標)ポリマーの第1及び第3グループは、本発明の粒子への使用に適切である。第1グループにはEudragit(登録商標)L100-55、L30-55、L100、L12.5、S100、S12.5及びFS30Dが含まれ、ポリマーはカルボン酸を官能基として有するメタクリルコポリマーである。すなわち、ポリマーはアニオン性ポリマーである。第2グループにはEudragit(登録商標)E100、E12.5及びEPOが含まれ、ポリマーは、ジメチルアミノエチルを官能基として有するアミノアルキルメタクリレートコポリマーである。最後のグループにはEudragit(登録商標)RL30、RL PO、RL100、RL12.5、RS30D、RS PO、RS100、RS12.5、NE 30D、NE40D、NM30Dが含まれ、ポリマーは、トリメチル-アンモニオエチル-メタクリレートを官能基として有するアミノアルキルメタクリレートコポリマー(シリーズRL及びRS)であるか、又はメタクリレートの中性ポリマー(シリーズNE及びNM)である。ポリマーは、Evonik Industriesから入手可能である。
【0059】
粒子中のポリマーの濃度は、約5〜約70% w/w、約5〜約60% w/w、約5〜約50% w/w、約10〜約50% w/w又は約10〜約40% w/wのような約5〜約80% w/wである。
【0060】
本明細書中の実施例においては、適切な粒子は、Eudragit(登録商標)L-100、L-100-55、RS、RL、すなわち上記のグループ1及び3を代表するものを用いて形成されている。
【0061】
噴霧乾燥された組成物は、酵素とは別個であってもよく、ポリマー材料はまた、1又はそれより多い賦形剤又は添加剤を含む。賦形剤は、糖、アミノ酸、界面活性剤、塩などのような、熱、脱水及び保存から酵素を保護する任意の分子であり得る。本明細書中に記載されるものような医薬的に許容される賦形剤もまた採用され得る。
【0062】
粒子は、公知の方法、好ましくは噴霧乾燥により形成され得る。1又はそれより多い酵素及びポリマー材料を含む粒子の形成後、例えば乾燥、凍結‐乾燥(freeze-drying)又は凍結乾燥(lyophilization)によって、粒子をさらに処理してもよい。凍結‐乾燥は粒子形成を生じないが、酵素及びポリマー材料を含む既に形成された粒子を乾燥させることができる。粒子は、懸濁液、分散液又は乳液の状態にあり得る。これを次いで凍結‐乾燥条件に供する。凍結‐乾燥は酵素の加熱を避け、熱感受性タンパク質に適した乾燥プロセスをなす。凍結‐乾燥又はその他の方法(例えばコーティング)は省略されてもよく、次いでポリマー及びオキサレート低減酵素の粒子を噴霧乾燥のみによって形成させる。このような粒子は次いで、例えば充填剤と共に混合されること及び例えばサシェ(sachet)に充填されること、粒子をカプセルに入れること、粒子を圧縮して錠剤にすること、粒子をチュアブル錠に組み込むこと、粒子を速溶錠若しくは口腔内崩壊錠に組み込むこと又は粒子を液剤、シロップ剤、エリキシル剤若しくは食糧に加えることによって、経口医薬製剤として製剤化されるか又は食品調合物として調合される。
【0063】
例えば、粒子は、オキサレートデカルボキシラーゼ(OxDC)をポリマー材料Eudragit L100と組み合せることにより調製した。比較のために、OxDCをアルギニンバッファーのみで凍結乾燥させた。ポリマー材料を含まない凍結乾燥させた酵素及びOxDCとEudragit L100との組合せを噴霧乾燥させ、凍結‐乾燥させることにより形成させた粒子の両方は、100%の回収率をもたらし、活性の喪失を示さなかった。Eudragit L100と共にOxDCを含む粒子は、pH 3.25〜pH 5.0の溶液中で少なくとも40分間、少なくとも60分間、少なくとも90分間、少なくとも120分間ペプシンによる分解から保護された。
【0064】
本発明は、野生型又は変異型オキサレート低減酵素と、胃の条件(ペプシン)下での分解から酵素を保護するポリマー材料との粒子を含む。粒子は任意のオキサレート低減酵素又は補因子を含んでいてもよいことが予見でき、本発明は、オキサレート低減酵素、例えばオキサレートデカルボキシラーゼ、オキサレートオキシダーゼ、オキサリル-CoAデカルボキシラーゼ若しくはフォルミルCoAトランスフェラーゼ;又はオキサリル-CoAデカルボキシラーゼとフォルミルCoAトランスフェラーゼとの組合せ、又はそれらの全ての組合せを含み、このような酵素が天然又は野生型酵素であり得るか、又は核酸配列、アミノ酸配列、結合基、炭水化物又は脂質に変異、改変又は変更を有する非天然又は変異型酵素であり得る組成物を意図する。これら酵素はオキサレートを基質として使用するか、又はオキサレート代謝又は異化のステップにおいて活性である。
【0065】
よって、本発明の粒子は、オキサレート-分解酵素を胃腸の環境から保護する。さらに、本発明の粒子は、胃腸の環境に酵素を実質的に放出しない。言い換えれば、酵素は、胃内のオキサレートが分解されるか又は低減され得るために十分な期間、経口投与後に粒子中に残存する。酵素は、粒子の調製に用いられるポリマーのタイプ又はコーティング若しくは架橋のような粒子への処理に依存して、胃内にある間又は胃を通過した後に粒子から放出され得る。粒子において、ポリマー材料は、酵素の保護キャリアとして機能してもよく、同時に基質、すなわちオキサレートの拡散を許容し得るか、又はそうでなければ組成物中に輸送されてオキサレートのインサイチュ(in situ)分解を可能にする。本発明の粒子の特徴は、特にペプシンの存在下において、このような粒子の形態にない酵素について観察されるものよりも長時間酵素活性を保持するその能力である。したがって、ある態様において、本発明は、1又はそれより多いオキサレート低減酵素及びポリマー材料を含む粒子に関し、ここで酵素は、3.2 mg/mlのペプシンを含むpH 3.25のバッファーと37℃にて少なくとも60分間インキュベーション後に同一のバッチから得られる1又はそれより多い遊離の(すなわち、このような粒子の形態にない)酵素の少なくとも2倍の活性を保持する。本発明による粒子及び遊離の酵素の分析条件は、例えば酵素の性質及び純度、酵素の初期濃度、分析容量、インキュベーション用媒体(例えばバッファー)の組成、温度などに関して同一であることが重要である。
【0066】
通常、粒子に含まれる酵素は、3.2 mg/mlのペプシンを含むpH 3.25のバッファーと37℃にて少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも60分間、少なくとも75分間、少なくとも90分間、少なくとも105分間又は少なくとも120分間インキュベーション後に同一のバッチから得られる1又はそれより多い遊離の酵素の少なくとも3倍の活性、少なくとも4倍の活性又は少なくとも5倍の活性を保持する。
【0067】
具体的な実施態様においては、本発明の粒子中の1又はそれより多いオキサレート低減酵素は、3.2 mg/mlのペプシンを含むpH 3.25のバッファーと37℃にて少なくとも60分間インキュベーション後に同一のバッチから得られる1又はそれより多い遊離の酵素の活性の少なくとも2倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍又は少なくとも100倍を保持する。
【0068】
特定のpHを有するバッファー溶液を提供するのに適切な緩衝物質は、当業者に公知である。例として、グリシンバッファー、アセテートバッファー、ホスフェートバッファー、ボレートバッファーなどがある。バッファー溶液は、例えばバッファー溶液のイオン強度を調整するための無機塩、又はバッファー溶液中の条件が、包埋された酵素がこのような苛酷な条件に耐えられるか否かが確実に調べられるようにするための1若しくはそれより多いプロテアーゼ、例えばペプシンのようなさらなる成分を含んでいてもよい。
【0069】
その他のポリマーもまた、1又はそれより多いポリ(メタ)アクリレートポリマーと一緒に粒子中に存在し得る。このようなポリマーは、制限されないが、
i) ポリサッカライド:アルギン酸、アルギネート、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、プロパン-1,2-ジオールアルギネートを含むアルギネート、アカシア、カラギナン、キトサン及びその誘導体、コンドロイチンスルフェート、デキストラン誘導体、ヘパリン、ヒアルロン酸、イヌリン、セルロース又はメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルメチルセルロースなど若しくはそれらの組合せを含むセルロース誘導体;ii) ムコポリサッカライド、
iii) ローカストビーンガム、グァーガム、トラガカント、アガー、アカシアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タラガム、ゲランガムなど又はそれらの組合せを含むガム;
iv) ヒドロコロイド及びヒドロゲル化剤、例えばアガー、カラギナン、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなど又はそれらの組合せを含むゲル化剤又は膨潤剤;
v) 例えばタンパク質及びポリアミドのようなその他のもの:コラーゲン、アルブミン、プロタミン、スペルミン、合成ポリマー:ポリ(アクリル酸)、ポリリン酸、トリポリホスフェート、ポリ(L-乳酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(DL-乳酸-co-グリコール酸)、L-100、L-100-55、RS、RLを含むがこれらに制限されないEudragitポリマー、又はコポリマー或いはそれらの混合物及び組合せ
を含む人工又は天然のポリマーを含む。ある実施態様においては、ポリマー材料は、L-100、L-100-55、RS又はRLを含むがこれらに制限されないEudragitポリマーである。
【0070】
ポリ(メタ)アクリレートポリマー配合物に加えられ得るその他のポリマー材料は、バイオポリマー又は合成ポリマーであり得る。バイオポリマーの例としては、制限されないが、タンパク質、ポリサッカライド、ムコポリサッカライド、ヘパリン、ヘパリンスルフェート、ヘパリノイド、デルマタンスルフェート、ペントサンポリスルフェート、コンドロイチンスルフェート、セルロース、アガロース、キチン、カラギナン、リノール酸及びアラントイン、架橋コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、架橋エラスチン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キトサンアルギネート、デキストラン、メチルセルロース、ポリリジン及び天然ゴムを含む。ポリマーマトリックスが形成される本発明の組成物において、これらマトリックスは、オキサレート、ギ酸、フォルメート、二酸化炭素、酸素又はオキサリル-CoAのような分子を含むがこれらに制限されない、水溶性の小分子がポリマーマトリックスに出入りできるように多孔性である。本発明の組成物中のポリマー材料の濃度は、通常、乾燥材料全体の10%〜90%の範囲にある。
【0071】
1又はそれより多い酵素及びポリマー材料に加えて、粒子はまた、例えばpH調整剤、緩衝剤、可溶化剤、安定化剤、防腐剤、酵素の補因子又は例えば、増量剤、充填剤、希釈剤、キャリアなどのような1若しくはそれより多い医薬的に許容される賦形剤のような1又はそれより多い添加物を含み得る。
【0072】
さらに、生理的条件が酵素の理論上の機能範囲よりも十分に低いpHをもたらすとき、タンパク質周辺に限局した酸性pH環境を作り出すことが有利であり得る。例えば、より低pHの位置においては、pH 4にて最大活性を有するオキサレート低減酵素は、酵素周辺に近接した位置のpHをおよそpH 4に増大できる送達用ビヒクルの恩恵を受ける。
【0073】
さらに、インビボpH若しくは限局したpH又は両方の組合せと一緒に機能する塩基、塩基含有又は塩基生成材料の形態にある送達用ビヒクル中に緩衝用物質を含めて、酵素周辺の位置のpHを最適化/制御することが望ましいことがある。これら緩衝用物質は、有機若しくは無機化合物の塩又は幾つかのその他の緩衝用物質を含み得る。緩衝用物質に関連/由来する共役酸のpKaは、緩衝用物質の適切な選択に利用できることが理解される。
【0074】
ある場合において、ポリマー材料は、粒子の貯蔵寿命を増大させるために、又は酵素の分解を阻害するために、(例えばコーティングとして)粒子に適用され得る。このようなポリマー材料は、適切であれば、さらに架橋されてもよい。架橋は、物理的又は化学的架橋によるものであり得る。物理的架橋は、塩の結合(例えば:負に荷電しているポリマーであるトリポリホスフェート又はヘパリンと架橋している、正に荷電しているキトサン)により互いに架橋した反対に荷電しているポリマー、反対に荷電しているイオンに架橋した荷電ポリマー(例えば: Ca2+とアルギネート、Al3+とカルボキシメチル-セルロース)を含み得る。この文脈において用いられる用語「物理的架橋」はまた、非共有結合及び/又は相互作用を含む。
【0075】
化学的架橋は、一般的に、アミン基を有するポリマー、例えばタンパク質、ポリアミド、キトサン及びその誘導体による2つの反応性官能基を有する架橋剤による架橋を含み、グルタルアルデヒド又はゲニピンを介して架橋され得る。UV照射は、光感受性の基を有するポリマーが共有結合的に架橋を形成するように誘導するのに用いることができる。
【0076】
粒子の特性、例えば:マイクロ環境緩衝能、機械的強度、粒子サイズ、オキサレート拡散速度、酵素との相互作用は、選択されるポリマー、ポリマーの組成及び比、任意の架橋方法及び製造手順に大きく依存する。
【0077】
粒子には、コーティングを施すこともできる。このようなコーティングは、一般的に、ポリマー材料と同一の機能を有し、すなわちポリマーに包埋された酵素の保存中及び/又は経口投与後における酵素活性の実質的な減少を回避する。
【0078】
適切なコーティング材料は、オキサレートを含む水性組成物が、本発明の粒子に拡散又はそうでなければ本発明の粒子に入ることを許容するような材料である。上述のように、基質(すなわちオキサレート含有媒体)は、オキサレートの酵素分解を生じ得るように本発明の粒子組成物に入る。したがって、拡散コーティング又はそうでなければ透過可能コーティング(例えば実質的に水溶性である孔形成物質を含むコーティング)のいずれかをもたらすコーティング材料を適用できる。
【0079】
適切なコーティング材料の例としては、制限されないが、ポリマー材料として意図される材料を含む。コーティング材料は、ポリマー材料として用いられるものとは異なるものから選択されてもよいが、ポリマー材料及びコーティング材料は同一であってもよい。コーティング材料の具体的な例は、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリデキストロース、マルトデキストリン又はキトサン、アルギネート及びヒアルロン酸を含むその他のポリサッカライドのような被膜形成剤である。存在するならば、コーティング材料は、通常、粒子の重量増加が最大で約40%であるような量で適用される。
【0080】
組成物
上記の粒子をヒト又は動物の胃に送達するために、粒子は、経口投与に適切な投与形態に製剤化され得る。
【0081】
経口製剤は、制限されないが、カプセル剤、錠剤、チュアブル錠、速溶錠、口腔内崩壊錠、液剤及び医薬用途又は食品用途に適切なその他の公知の経口製剤を含む。
【0082】
本発明の組成物は、対象への経口投与への使用に適切である。組成物は、経口医薬製剤として提供され、口腔、口、頬側パッチ、胃に送達され得るか、胃粘膜に付着し得るか、徐放性液剤(slow release liquid)であり得るか、口又は胃における速放性錠剤(quick release tablet)であり得るか、食道をコーティングするか、食物摂取前に又は食物摂取直後に液体又は固体形態の食品に付随するものであり得る。
【0083】
本発明の組成物は、例えばプロテアーゼの存在下に食物消費後に見られるもののような、胃の条件下における食餌中のオキサレートを低減させる。本発明の組成物は、ヒト及びその他の動物の胃において、オキサレートを低減させる。組成物は、オキサレート、例えば胃腸管、とりわけ胃のオキサレートを低減させ、外来オキサレート (例えば食物由来)の少なくとも一部が体循環に入ることを妨げる。
【0084】
本発明の組成物は、上記の粒子を含む。粒子は、経口投与形態で別々に又は一緒に提供される、1又はそれより多いオキサレート低減酵素及びポリマー材料;又はオキサレート分解経路に関連するその他の酵素、補因子及び補酵素をポリマー材料と組み合わせて含む粒子、或いは両方の粒子を含む。
【0085】
その他の酵素、補因子又は補酵素のみを含む粒子を含むこのような組成物は、オキサレート低減酵素を含む粒子の組成物の投与と同時に、連続的に又は前若しくは後に投与され得る。その他の酵素、補因子又は補酵素のみを含む粒子を含む組成物は、オキサレート低減酵素を含む粒子を含む組成物と組み合わせて単回投与用量を形成してもよく、胃管のオキサレート低減の有効量を提供する。
【0086】
組成物は、天然の配列を有する、すなわち自然界に見られるオキサレート低減酵素の遺伝子及びタンパク質配列を有するオキサレート低減酵素を含み得るか、或いは核酸若しくはタンパク質変異を有するか又はある様式で変更されている非天然の変異型オキサレート低減タンパク質である組換えタンパク質であり得る。例えば、非天然オキサレート低減酵素、例えばオキサレートデカルボキシラーゼは、1又はそれより多いアミノ酸の置換えを有し得る。酵素は、本明細書中に詳細に記載されている。
【0087】
本発明の組成物は、変異型組換えオキサレート低減酵素の比活性が、溶液中で遊離のタンパク質の比活性よりも粒子中で高い変異型組換えオキサレート低減酵素タンパク質及びポリマー材料を含む粒子を含む。このような粒子は、経口製剤、例えば医薬製剤又は食品調合物のような組成物として投与されてもよい。
【0088】
製剤は、制限されないが、サシェ、錠剤、カプセル剤、速溶錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、散剤、顆粒剤、ペレット、液剤、シロップ剤、エリキシル剤又は医薬の技術における当業者に公知のその他の経口投与製剤を含む。経口製剤は、任意に緩衝能を有するものを含む。例えば、組成物は、組成物のpH及びしたがって組成物を一旦摂取した胃のように、周辺の環境のpHを約pH 4に調節する緩衝化合物を含み得る。pH 4の酵素の環境で、本発明の酵素は活性であり、オキサレートを低減させる。このような緩衝化合物は、アセテート、シトレート、ホスフェート又はその他の緩衝化合物であり得る。本発明の組成物の特徴は、制限されないが、ペプシンのようなプロテアーゼによる分解を含む胃の環境において見られるような条件による分解からオキサレート分解酵素を保護する粒子の能力である。
【0089】
本発明の組成物はまた、酵素活性を改善し得る1又はそれより多いさらなる因子を含み得る。これらのさらなる因子は、例えばオキサリルCoA、MgCl2及び/又はチアミンジホスフェート(ビタミンB1の活性形態)又はpH緩衝化合物であり得る。
【0090】
投与される組成物は、通常、固体形態、例えば散剤の形態にあるか、又は固体剤形、例えばサシェ、カプセル剤若しくは錠剤の形態にある(例えば、粒子は、当業者に周知の方法により適切な剤形にさらに加工される)。このために、例えば増量剤、結合剤、崩壊剤、着色剤、着香剤、pH調整剤、安定化剤などのような適切な医薬的に許容される賦形剤が加えられてもよい。さらに、1又はそれより多いさらなる治療用及び/又は予防用物質並びに/或いはその他の酵素、補因子、基質、補酵素、ミネラル及びオキサレートの低減に役立つその他の物質が加えられてもよい。
【0091】
適切な医薬的に許容される賦形剤の例としては:デキストリン、マルトデキストリン、デキストロース、フルクトース、グルコース、ラクトース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むセルロース誘導体、微晶質セルロース(例えば様々な階級のAvicel(登録商標))、澱粉又は化工澱粉(例えばジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉、米澱粉、α澱粉)、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、アガー、アルギン酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルシウムホスフェート(例えば塩基性カルシウムホスフェート、リン酸水素カルシウム)、カルシウムスルフェート、カルボキシアルキルセルロース、デキストレート、二塩基性カルシウムホスフェート、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド及び滑沢剤としての:タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、植物硬化油などを含む。
【0092】
本発明の組成物は、ヒト又は動物におけるオキサレートレベルの低減への使用に適切である。それらはまた、制限されないが、高シュウ酸尿症、吸収型高シュウ酸尿症、腸管性高シュウ酸尿症、原発性高シュウ酸尿症、特発性シュウ酸カルシウム腎結石疾患(尿路結石症)、外陰部痛、末期の腎臓病に伴うシュウ酸症、心伝導障害、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、胃腸手術後の状態及び肥満手術(肥満状態の手術)後の状態及び/又は抗生物質による治療を行った患者を含むオキサレートに関連する状態を治療又は予防するのに適切であり得る。本発明は、ヒト及び動物におけるオキサレートに関連する状態の治療及び予防を意図する。
【0093】
本発明のオキサレート分解粒子又は組成物は、所望の量、例えば標準的な食事中に通常存在する実質的に全てのオキサレートのうち相当な量を分解するのに十分である量で投与される。食事の選択に依存して、平均的な洋食には、100〜300 mg/dayのオキサレートが含まれ得る。一般に、オキサレート分解酵素を含む約0.2gの粒子(1 mLの粒子懸濁液中の50 mgのOxDcに等しい)は、約300 mgのオキサレートを30分未満で胃の模擬的環境において分解できる。典型的な胃の模擬的環境は:100 mlのUSP模擬的胃液ジュースを(小さな欠片に砕かれた)400グラムのバランス洋風食及び500グラムの水と混合し、3.5〜4.5の範囲のpHを作り出すことにより作製した。オキサレート吸収の低減は、血液、血清若しくは尿又はその他の体液において見られるオキサレートレベルの低減により示され得る。
【0094】
有効量は、存在するオキサレートの一部を低減させるオキサレート低減酵素活性の活性ユニットの量或いは組成物の投与前に存在するオキサレートの量と比較して、個体においてオキサレート量の低減を開始させるか又は低減されたオキサレート量を維持するオキサレート低減酵素活性の活性ユニットのレベルを含む。単回用量の組成物として用いることのできるオキサレート低減酵素活性の活性ユニット数は、通常、約0.001ユニット〜約20,000ユニット、0.01〜15,000ユニット、0.1〜10,000ユニット、1〜5000ユニット、10〜4000ユニット、50〜3,000ユニット又は100〜2,500ユニットの範囲にある。低用量を必要とする場合において、範囲は、約5ユニット〜100ユニット、0.05〜50ユニット、0.5〜500、約0.01ユニット〜約50ユニット、約0.01ユニット〜約5ユニット、約1ユニット〜約100ユニット、約25ユニット〜約50ユニット、約30ユニット〜約100ユニット、約40ユニット〜約120ユニット、約60ユニット〜約15、約50ユニット〜約100ユニット、約100ユニット〜約500ユニット、約100ユニット〜約300ユニット、約100ユニット〜約400ユニット、約100ユニット〜約5,000ユニット、約1,000ユニット〜約5,000ユニット、約2,500ユニット〜約5,000ユニット、約0.001ユニット〜約2,000ユニット及びこれらに包含される全ての範囲であり得る。1ユニットの酵素は、37℃にて1分あたり1マイクロモルのオキサレートを分解する酵素量である。
【0095】
粒子及び組成物の使用 - 治療方法
本発明の方法は、粒子、好ましくは噴霧乾燥粒子、組成物をヒト又は動物の胃に提供し、例えば胃のオキサレートの低減を可能にする組成物を提供して、胃腸管からのオキサレートの吸収を低減させることを含む。粒子の組成物は、酵素を損傷する胃の環境からオキサレート低減酵素を保護し、酵素がこのような苛酷な環境下で酵素活性を維持することを可能にし得る。
【0096】
治療及び予防方法は、オキサレート分解酵素がポリマー材料と一緒になって粒子中に含まれる本明細書に教示される組成物を提供することを含む。
【0097】
本発明の粒子及び組成物は、身体におけるオキサレート吸収を低減する方法に適切であり、制限されないが、高シュウ酸尿症、吸収型高シュウ酸尿症、腸管性高シュウ酸尿症、原発性高シュウ酸尿症、特発性シュウ酸カルシウム腎結石疾患(尿路結石症)、外陰部痛、末期の腎臓病に伴うシュウ酸症、心伝導障害、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、胃腸手術後の状態及び肥満手術(肥満状態の手術)後の状態及び/又は抗生物質による治療を行った者を含むオキサレートに関連する状態を治療又は予防するのに適切であり得る。
【0098】
本発明の方法は、例えば食物源由来のオキサレートを低減することにより、ヒト又は動物の身体によるオキサレートの吸収を回避するために、胃のオキサレートの低減を可能にする組成物を投与することを含む。オキサレート低減酵素を胃に提供する方法は、経口医薬製剤のポリマー材料中のオキサレート低減酵素を提供することである。
【0099】
オキサレート吸収の低減は、オキサレート分解酵素を胃腸管、特に胃に提供し、したがって吸収に利用可能なオキサレートの濃度を低減させることによって達成され得る。胃のオキサレートの低減はまた、小腸に入り、胃腸管のこの部分において吸収されるオキサレートの量を低減させる。吸収経路に加えて、オキサレート分泌経路が近年ヒトの胃において同定されている。本発明の組成物はまた、循環系から胃に分泌されるオキサレートを分解するのに有用であり、したがって、本発明の方法は、個体におけるオキサレート量の全体的な低減を意図する。
【0100】
ヒト又は動物におけるオキサレートの低減方法は、1又はそれより多いオキサレート低減酵素又はオキサレート低減活性を有するフラグメントを本発明の粒子組成物中に含む組成物の有効量を対象、ヒト又は動物に投与し、存在するオキサレートを低減させることを含む。低減は、対象の任意の組織又は体液環境において測定され得る。体液は、身体の分泌物、例えば鼻腔又は胃の分泌物、唾液、血液、血清、尿、糜粥又は消化物、組織液及びヒト又は動物によって作られる流体又は半固体の物質を含む。例えば、オキサレート低減酵素の粒子組成物は、ヒト又は動物に経口的に投与でき、オキサレート低減酵素活性は、ヒト又は動物の胃に存在するオキサレートを低減させる。本発明の粒子組成物は、混合して液体、食物又はその他の食糧物質としてもよく、粒子のオキサレート分解酵素活性が胃の環境において有効となるようにヒト又は動物に提供される。本発明の粒子組成物はまた、オキサレートが見出される食塊又はその他の物質と混合されてもよく、粒子のオキサレート低減酵素活性は、食塊又はその他の物質中に存在するオキサレートを低減させる。
【0101】
ヒト又は動物によるオキサレートの吸収を低減させる方法及びオキサレートに関連する状態を治療又は予防する方法は、オキサレート低減酵素の有効量を含む粒子を含む組成物を投与することを含む。有効量は、存在するオキサレートの一部を低減させるオキサレート低減酵素活性の活性ユニットの量或いは組成物の投与前に存在するオキサレートの量と比較して、食事中に存在するか、又は対象の組織液若しくは体液に存在するオキサレート量の低減を開始させるか、或いは対象において低減されたオキサレート量を維持するオキサレート低減酵素活性の活性ユニットのレベルを含む。
【0102】
治療方法において、本明細書中に教示される粒子組成物の有効量は、少なくとも1日1回、少なくとも1日2回、少なくとも1日3回、少なくとも1日4回又は必要ならばそれよりも多く経口的に投与されて対象に摂取され、このような投与は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、又は1週間、2週間、3週間、又は1ヵ月間、2か月間、3ヵ月間、4ヵ月間、5ヵ月間、6ヵ月間、6ヵ月よりも長い間、1年間、2年間、数年間又は継続して患者の寿命の間であり得る。このような治療は、対象において所望のオキサレートレベルを維持するために継続され得る。
【0103】
全ての特許、特許出願及び本明細書中に含まれる参照は、参照によりその全容を具体的に組み込まれる。
【0104】
勿論、前記の事項は、本発明の例示的な実施態様のみに関し、それらに多数の改変又は変更が、この開示において定義される本発明の精神及び範囲から離れない限り、加えられ得ることが理解されるべきである。
【0105】
本発明の例示的な実施態様が本明細書中に提供されるが、本発明は、これら実施態様に制限されない。それら自体が当業者に示唆を与え得る多数の改変又は変更がある。
【0106】
本発明はさらに、本明細書中に含まれる実施例によって説明され、これらは明確な理解を提供する。例示的な実施態様は、それらの範囲に限定を強要するようには全く解釈されるべきでない。対照的に、本発明の精神及び/又は添付される特許請求の範囲から逸脱せずに、本明細書の記載を読み終わった後に当業者に示唆される、様々なその他の実施態様、改変及びそれらに等しいものが作られ得ることが明確に理解されるべきである。
【実施例】
【0107】
実施例
方法
酵素活性のアッセイ
オキサレートデカルボキシラーゼ活性を、フォルメート形成率を測定することにより定量化する。40 mMのオキサレートを40 mMのクエン酸pH 4.0中に含む活性混合物(390μl)を37℃で5分間インキュベートし、0.2〜1 mg/mlのOxDCを含む10μlのOxDC溶液を加えることにより反応を開始させる。10分の反応時間後、100μlの0.5 M H2SO4を加えて反応を停止させる。14000 gにて10分間遠心分離後、上清をHPLCにより分析する。
【0108】
全てのHPLC分析をAgilent 1100シリーズシステムを用いて行った。40℃にてヒーターの外側に置いたAminex Cation H Micro-Guardカートリッジ(Bio-Rad)で保護された、Aminex HPX-87H (Bio-Rad)強イオン交換カラム(300 x 7.8 mm ID)で分離する。全ての分析について、移動相は、0.6 ml/分の流速の5 mM H2SO4 (試薬グレード(Sigma))である。注入容量は、40μlである。検出は210 nmであり、定量化はフォルメートのピーク領域による。
【0109】
1ユニットの活性は、上記の条件下で1分間にオキサレートから1マイクロモルのフォルメートを生成するOxDCの量として定義されるか、又は1ユニットの酵素は、37℃で1分あたり1マイクロモルのオキサレートを分解させる酵素の量である。
【0110】
安定性試験
3.2 mg/mlのペプシンを含むpH 3.25の100 mMグリシンバッファー中の遊離のOxDc酵素又はポリマー材料に包埋されたOxDc酵素を含む問題の組成物を一定期間インキュベートした後、OxDcの残存活性を分析した。
【0111】
実施例1
E.コリによるバシルス・スブチリス由来オキサレートデカルボキシラーゼの製造のプロセス
YvrK遺伝子のクローニング及びより高発現のための遺伝子コドンの最適化
バシルス・スブチリス由来OxDCは、ホモ六量体の酵素である。各々の単量体は、およそ44 kDaの分子量を有する385アミノ酸を含む。YvrKとして公知のOxDC遺伝子を、B.スブチリスのゲノムDNAからPCR増幅し、pET9aプラスミド(Novagen、カタログ# 69431-3)のNdeI及びBamHI制限部位に挿入した。
【0112】
YvrK遺伝子は、Genscript Corp (Boston, MA)により最適化されたコドンであった。元の遺伝子配列の幾つかのコドンは、タンパク質発現を増大させるために、E.コリに好ましいコドンに変更した。E.コリに最適化された遺伝子を、NdeI及びBamHI制限部位を介してpET-9aベクターに挿入しなおし、pET-9a:YvrKを得て、E.コリのコドンに最適化された遺伝子の配列をDNAシーケンシングにより確認した。コドンが最適化された遺伝子を有するプラスミドを次いでE.コリBL21(DE3)に形質転換して、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて誘導することによりOxDCを産生した。
【0113】
E.コリにおけるオキサレートデカルボキシラーゼ(OxDC)の発現(発酵)
E.コリBL21(DE3)におけるOxDCの発現を、3つの異なる発酵スケール:0.4、50及び1000 L (リットル)の培地で行った。総じて、発酵プロセスは、培養培地に細菌の種培養物(0.1%の接種原)を播種し、37℃での振盪又は撹拌によって開始した。IPTGを培地に加え、OD600 = 1.0-2.0であるときにOxDCの発現を誘導した。誘導後、E.コリ細胞を、遠心分離(1000 L未満のスケール)又は中空糸フィルターを用いる濾過(1000L)により誘導後およそ8〜10時間後に回収した。
【0114】
E.コリ細胞からのオキサレートデカルボキシラーゼ (OxDC)の精製
E.コリ細胞の溶解及びOxDCを含む不溶性の細胞残骸の回収
回収したE.コリ細胞をホモジナイゼーションにより溶解し、OxDCを含む細胞残骸を遠心分離により回収した。細胞残骸ペレットをまず脱イオン(DI) H2Oに 3:1のH2O対ペレットの重量比で懸濁し、残存する任意の水溶性タンパク質及びその他のE.コリ細胞の構成成分を除去した。洗浄した細胞残骸を遠心分離により再び回収した。およそ10グラムの細胞残骸ペレットを1.0 Lの培地から得たが、これは40〜200 mgのOxDCを含んだ。
【0115】
高濃度の(NH4)2SO4によるOxDCの抽出
洗浄した細胞残骸を、0.75 M (NH4)2SO4を含む3倍重量の50 mM Tris HClバッファーpH 8.0に再懸濁し、OxDCを抽出した。懸濁液を20〜25℃で30分間撹拌し、抽出したOxDCを遠心分離により回収した。発現したOxDCのおよそ60%は、通常、この方法によりペレットから抽出した。
【0116】
アニオン交換クロマトグラフィーカラム
抽出物をpH 8.0の50 mM Tris HClで3倍に希釈し、次いで0.25 M (NH4)2SO4を含むpH 8.0の50 mM Tris HClで予め平衡化されたQ-セファロースカラムに通した。DNA及びその他の不純物を、OxDCが通過する間にカラムに結合させ、回収した。
【0117】
勾配展開を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム
Q-セファロースカラムから回収したOxDC溶液の(NH4)2SO4濃度を、固体(NH4)2SO4を加えることにより2.0 Mに調整し、予め平衡化されたフェニル-セファロースカラムにロードした。OxDCを(NH4)2SO4勾配により溶出させた。OxDCは、それぞれ1.3 M及び0.9 Mの(NH4)2SO4における2つの主要なピークとして溶出した(図1)。1.3 Mの(NH4)2SO4のピークは、OxDC全量のおよそ70%を含み、より高い純度(>95%)を有していた。このピークからのOxDCを、通常、次なる工程に選択した。
【0118】
脱塩用G-25カラム
1.3 Mの(NH4)2SO4のピークから回収したOxDCを、脱塩用カラムを含むG-25セファロースにロードした。およそ30 mgの精製OxDCが、通常、10グラムの細胞残骸から得られた。
【0119】
実施例2
発現レベルを増大させるためのOxDCの溶解性の改変
OxDCの可溶性は、pH 4.5〜7.8において制限されている。E.コリ細胞質のpHは、7.6に近い;よって、E.コリ細胞質におけるOxDCの可溶性は、非常に制限されている。事実、E. コリにより発現される殆どのOxDCは、上清よりもむしろ溶解したペレットにおいて見出されることが観察される。
【0120】
OxDCのC-末端尾部における最後の6アミノ酸(残基380-385)のうち、4つは正に荷電したリジンであり、2つは極性アミノ酸:セリン及びシステイン(Cys383)である。システイン又はセリンを選択的に置き換えるために選択される、多かれ少なかれ極性の側鎖を有するアミノ酸は多数ある。しかしながら、OxDCに存在する唯一のシステイン残基であるCys383を選択した。システインを置き換えるために選択された3つのアミノ酸は:アルギニン(R)、セリン(S)及びアラニン(A)であった。C383R、C383S及びC383A変異型を標準的な部位特異的突然変異生成によって作製し、各々の遺伝子の配列をDNAシーケンシングにより確認した。C383R、C383S及びC383A変異型を、実施例1に記載されるようにして、0.4 Lのスケールの振盪フラスコ中で発現させた。E.コリ細胞を遠心分離により回収し、標準プロトコルにより溶解させた:E.コリ細胞をリゾチーム溶液に懸濁し、2サイクルの凍結/ねじれ(freeze/thrawing)に付した。E.コリ細胞の完全な溶解を顕微鏡分析により確認した。これら変異型酵素の可溶性及び不溶性部分を遠心分離により分離した。不溶性ペレット中の変異型酵素を実施例1に記載される方法に従って抽出した。可溶性部分及び不溶性部分(抽出した酵素)中の全ての変異型酵素の量を、活性測定及びタンパク質濃度により測定した。抽出した変異型酵素の純度をSDS-PAGEにより評価した。3つの変異型及び野生型酵素の結果を表1に示す。
【0121】
野生型OxDC (C383C)、OxDCのC383R、C383S及びC383A変異型の発現レベル並びに溶解物(可溶性形態)及び細胞残骸ペレット(不溶性形態であるが抽出されている)におけるそれらの分布を以下に示す。データは、およそ4グラムの溶解細胞ペレット又は0.4 Lの培養物と等価である6グラムのE.コリ細胞ペーストから得られた。
【0122】
【表2】

【0123】
表1に示されるように、変異C383は、可溶性及び不溶性画分間のOxDCの分布を変更し、より極性の側鎖を生成する変異型は、溶解物中の可溶性タンパク質比がより高かった。溶解物中の可溶性タンパク質のより高い比は、より低い発現レベルと相関するが、より高い比活性と相関する。C383R変異型は、野生型よりも6%高い比活性を示したが、発現レベルはより低かった。C383A変異型OxDCは、C383S変異型よりもわずかに高い発現レベルを示したが、比活性は、C383S変異型の半分よりも低かった。C383S変異型の発現レベルは、野生型OxDCの発現レベルよりもおよそ5倍高く、その比活性は、野生型と比較して90%であった。C383S変異型酵素のその他の特性をさらに特徴付けし、野生型と比較した。OxDCの野生型及びC383S変異型の両方がpH 3.5〜5.5の間で活性であり、pH 4.0で最適な活性を有する。両酵素は、pH 3.5〜9.5の間で、60℃に達する温度で少なくとも1時間安定である。さらに、野生型は、1より多いOxDCアイソフォームを示す少なくとも2つの主要ピークをフェニル-セファロースカラムで示すが、C383S変異型は同一のカラム及び同一の条件下で1つだけのピークを示す (図1)。野生型OxDCの2つのアイソフォームは、2つの類似するアイソフォームの分離が原因で、精製という観点からより多くの障害を導入する。例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムでの勾配溶出により2つのアイソフォームを分離することを必要とし得る。2つのアイソフォームはまた、より多くの精製工程を必要とし、各々の追加的な精製工程が収率の低下をもたらすので、精製酵素の最終収率を低下させ得る。さらに、2つのアイソフォームの一方は役に立たない。
【0124】
実施例3
C383S変異型の代替発現系
発現ベクターの構築
IPTGによる誘導を、2つのその他の誘導方法:対応するプロモーターを組み込んだLybradynが専売するベクターを用いるラムノース及び温度と比較した。小規模の発酵実験からの結果は、全ての方法がOxDCを効果的に発現したことを示す。
【0125】
ベクターを標準的な分子生物学的方法によって構築した。E.コリに最適化されたYvrK遺伝子を有するNdeI/BamHIフラグメントを、ラムノース誘導型プロモーターの制御下にあるLabradynベクター101番のNdeI/BamHI部位に挿入してプラスミドpOTrhamC383Sを作製し、これをOxDC産生のためにE.コリBW25113に形質転換した。温度誘導型ベクターpOTlprC383Sを、MunI及びAflII制限部位を介してLybradynベクター102番により保持されるλファージ由来温度誘導型プロモーターλPR(lpr)でpOTrhamC383S由来ラムノース誘導型プロモーターを置き換えることにより生成させた。発現ベクターを、その後、OxDC産生のために、E.コリBW25113に形質転換した。ベクター中に見られるその他の因子としては、プロモーター及び調節配列、リボソーム結合部位、カナマイシン/ネオマイシン耐性、cer分離安定性因子及びRopプラスミドコピー数調節配列を含む。
【0126】
3つの発現ベクターの発現レベルの比較
発酵は、200 mLフラスコ中で行った。ラムノースにより誘導されるOxDCの発酵は、誘導時に1.0 mMのIPTGの代わりに0.2%のラムノースが加えられることを除いては、実施例1に記載されるIPTGによる誘導と同一であった。温度により誘導されるOxDCの発酵は、2つの違い:E.コリが37℃の代わりに30℃で培養されたこと及び誘導が培養温度の42℃への昇温により行われたことを除いては、IPTG及びラムノースによる誘導と同一であった。
【0127】
E.コリ細胞を回収し、溶解し、OxDCを、実施例1に記載される方法に従って、細胞残骸から抽出した。ラムノースにより誘導された発現系及び温度により誘導された発現系の両方は、IPTGによる発現(1リットルの培養物当たり500 mgのOxDC)に近いレベルである、1リットルの培養物当たり400〜600 mgの活性型C383S OxDCを生じた。したがって、温度誘導型発現系を選択した。
【0128】
実施例4
pHによる可溶性の調整を含む簡素化された精製工程
背景。
OxDCの可溶性は、野生型についてpH 4.5〜7.8及びC383S変異型についてpH 4.0〜8.0に制限されている。OxDCの可溶性は、pHが野生型について8.5及びC383S変異型についてpH 9.0よりも大きいならば増大する。Tris及びアルギニンは、OxDCに選択的に結合するリガンドである;したがって、両者は、OxDCの可溶性を大きく増大できる。精製プロセスは、野生型及びC383S変異型について適用可能である;しかしながら、C383S変異型のみを用いて精製方法を説明する。
【0129】
工程1:細胞残骸ペレットからのC383Sの抽出。
全ての精製工程を室温で行った。C383Sの抽出前に、実施例1に記載される方法に従って、E.コリ細胞を溶解させ、細胞残骸を回収し、水で洗浄して任意の可溶性の細胞成分を除去した。しかしながら、ここでの細胞残骸ペレットからのOxDCの抽出は、実施例1とは異なっていた。実施例1において、0.75 Mの(NH4)2SO4を50 mMのTrisバッファー(pH 8.0)に加え、ペレットからOxDCを抽出した。この方法においては、抽出バッファーは、(NH4)2SO4を加えない50 mMのアルギニン又はTris HCl (pH 9.5)であった。該方法は、実施例1に記載される方法(発現したC383S変異型全量の75%)よりも多くのC383S変異型酵素(ペレット中のC383S全量の>90%)を抽出でき、宿主細胞DNA及びその他の不純物がより少なかった。C383Sの純度は、通常、99%よりも大きかった(表2)。さらに、抽出物中のC383S変異型OxDCの濃度は120 g/Lに達し、これは水の使用を減少させ、また次なる工程(工程2)のスケールも減少させた。
【0130】
工程2:濾過。
抽出物中に見られる不純物の大半は、0.6 MのNaClの添加後に2〜3個のデプスフィルターにより除去できるエンドトキシンであった:第1のフィルターは3ミクロンであり、第2は1.2ミクロンであり、最後に、第3のデプスフィルターは0.2又は0.1ミクロンであった。濾過後、抽出物は、減少されたレベルのエンドトキシン(表2)を含み、沈殿のための準備ができていた。より高い純度を必要とする場合には、1つの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムを導入し、沈殿前にさらに処理した。
【0131】
工程3(任意):HICカラム。
濾過されたC383S変異型OxDC溶液を、50 mMのArg又はTris, pH 9.5中の0.6 M NaClで予め平衡化されたHICカラムにロードした。OxDCはカラムを通過するが、不純物はカラムに結合してC383S溶液から除去された。通過したC383S変異型を、沈殿のために回収した。
【0132】
工程3:pH調整による沈殿。
pH調整のために、0.2 MのシトレートバッファーpH 3.0を、pH 7.0に達するまで撹拌しながらC383S溶液に滴下して加えた。C383S変異型の可溶性は、pH 7.0において1 g/L未満に下落した;したがって、99%のC383S(C383S変異型の開始濃度が100 g/Lであるならば)が沈殿し、遠心分離により回収された。回収されたC383S変異型のペレットは、50 mMのシトレートバッファーpH 6.0により2〜3回洗浄して残存するNaCl、アルギニン又はTrisを除去してもよい。洗浄したC383Sペレットは、非常に純粋な形態にあった(表2)。
【0133】
【表3】

【0134】
実施例5
噴霧乾燥剤形(粒子製剤)
プロセス。
全ての噴霧乾燥実験は、Niro社のMoble Minorを用いて行った。典型的な噴霧乾燥操作の条件は次のとおりである:入口温度:180〜220℃、出口温度:85〜95℃、乾燥空気流速:60〜90 kg/h、微粒化用空気流:8〜15 kg/h、ノズル孔の直径:1〜2 mm、供給流速:1〜4 kg/h。表3は、本発明による種々の粒子製剤の組成物の一覧である。
【0135】
結果。
表4は、種々の噴霧乾燥粒子製剤及びホスフェートバッファーpH 7.5に粒子を再溶解後の溶液のC383S変異型の比活性の一覧である。ポリマーL 100-55を、pHが5.5より大きいときに水に溶解させた。コントロールは、50 mMのシトレートバッファー中に懸濁された、ポリマーからの如何なる保護も受けていないC383S変異型であり、これは、噴霧乾燥プロセス中に晒された高温及び脱水によって、39%の活性を失った。製剤1及び2のC383S変異型は溶液中にあり、均等に分配された。噴霧乾燥小滴の外側の層におけるC383S変異型の分布は、噴霧乾燥プロセス中不活化されていてもよく、よって、それぞれ13%及び7%の活性喪失をもたらす。対照的に、製剤3〜8のC383S変異型の比活性は、製剤1よりも大きかった。これら粒子の構造が破壊されている、例えば製剤4〜7が50 mMのホスフェートpH 7.5に溶解されているとき、比活性は、噴霧乾燥中の部分的不活化によって、遊離のC383Sと比較して正常又は一層低いレベルに戻った。
【0136】
表5は、これら乾燥粒子から得た安定性データの一覧である。45℃における特定時間のインキュベーションは、製剤1、4及び5の優れた安定性を示す。
【0137】
表6は、インビトロにおけるペプシン保護試験からの結果の一覧である。粒子を、40分間37℃にて1100 rpmで撹拌しながらペプシン(3.2 g/L)/アセテートバッファーpH 3.25に懸濁した。処理後に残存する活性を活性測定により測定した。製剤1は、水に溶解して粒子構造が破壊されているので、著しい保護を与えない。製剤2〜8は全て、ペプシンからの保護を示した。
【0138】
【表4】

【0139】
【表5】

【0140】
Aコントロール: 50 mMのシトレートバッファーpH 6.0に懸濁し、同一の条件下に噴霧乾燥させたC383S。
BC383Sの比活性の算出:B/A。ここで、 A =固形質量で供給物1グラム中のC383S量(mg);B = 噴霧乾燥により得られる乾燥粒子1グラム中の全活性(U)。
【0141】
【表6】

【0142】
【表7】

【0143】
実施例6
オキサレート低減粒子のインビボ用量
10日間の研究を、雄性Sprague-Dawley系ラットで行った。この研究の目的は、雄性Sprague-Dawley系ラットでのオキサレート負荷に対する尿中の応答に対する、表2の製剤5の投与効果を評価することであった。
【0144】
この研究では、表7に示されるように3つのグループに分けられた18匹の雄性Sprague-Dawley系ラットを用い、これらに、製剤5(グループ3)又はビヒクル(グループ2、コントロール、50 mMクエン酸ナトリウム pH 4.49)の経口用量を、オキサレートを多く含む食餌と一緒に投与した。グループ1は別のコントロールグループであり、このグループの6匹のラットには、オキサレートを多く含む食餌も製剤5も投与しなかった。ラットは、1日2回経口的に胃管栄養を受けた(BID)。グループ3のラットは、500Uの製剤5を受けた。ラットに投与した後、給餌の開始から30分後に、朝(7:00-9:00AM)及び夕方(3:30-5:30PM)にさらに1.5時間、ラットを食餌に接触させた。食餌の重量を、朝の給餌前並びに朝及び午後の給餌後に測定した。ラットは、通常のケージ中で給餌され、尿及び便の排出を捕捉するために、-1、4及び9日目の用量の投与後直ちに代謝ケージに移された。
【0145】
オキサレート測定
尿由来オキサレートの定量的測定は、Trinity Biotech USA (St. Louis, MO)から購入した比色キットにより行った。測定は、次の2つの酵素反応を含む:(1)オキサレートをオキサレートオキシダーゼによりCO2及びH2O2に酸化し、(2) H2O2をペルオキシダーゼの存在下に3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)及び3-(ジメチルアミノ)安息香酸(DMAB)と反応させ、590 nmで検出できるインダミン色素を生成させる。尿中オキサレートは、標準曲線から算出される。
【0146】
クレアチニン測定
クレアチニン測定は、LiquiColor(登録商標)手順番号0420により行った。尿中クレアチニンの定量的測定のためのクレアチニン比色キットは、StanBio Laboratory (Bocrne, Texas)から購入した。測定は、クレアチニンがピクリン酸とアルカリ条件下に反応し、510 nmにて有色の複合体を形成するFabinay及びEringshausenの方法の自動反応率の改変に基づく。発色は、クレアチニン濃度に正比例する。尿中クレアチニンは、標準曲線から算出する。
【0147】
【表8】

【0148】
HOD = オキサレートを多く含む食餌 (Harlan Teklad社製TD04493)
No Ox= Harlan Teklad社製TD89222
グループ1及び2:50 mMクエン酸ナトリウム pH 4.49
グループ3:製剤5
【0149】
結果
製剤5を、オキサレートを多く含む食餌と一緒に投与することにより、グループ3の6匹のラット全ての尿中オキサレート排出が著しく減少した。食餌中のオキサレートと共に与えられた平均500Uの製剤5は、尿中オキサレート排出を49〜59%減少させることが見出された(図2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 可溶性の宿主細胞タンパク質から封入体として見出されない不溶性の組換えタンパク質を分離する工程と;
b) 分離した組換えタンパク質を可溶化する工程と
を含む、宿主細胞の細胞質において不溶性であり、封入体として見出されない組換えタンパク質の単離方法。
【請求項2】
c) 可溶化された組換えタンパク質を、可溶化溶液から単離する工程
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組換えタンパク質を分離する工程が、遠心分離又は濾過を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
組換えタンパク質を可溶化する工程が、結合リガンドを加える工程又はタンパク質が可溶性であるpHを提供する工程を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
組換えタンパク質が、オキサレート低減酵素である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
組換えタンパク質が、変異型オキサレート分解酵素である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
単離する工程が、可溶化溶液から組換えタンパク質を沈殿させる工程を含む請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
沈殿させた組換えタンパク質を洗浄する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
組換えタンパク質が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18又は配列番号19から選択される配列によりコードされる請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
組換えタンパク質が、OxDC野生型組換えタンパク質のC383S変異型又は配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8から選択される配列によりコードされるタンパク質である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
組換えタンパク質が、OxDC野生型組換えタンパク質のC383A又はC383R変異型又は配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18又は配列番号19から選択される配列によりコードされるタンパク質である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に定義されるようにして単離される1又はそれより多い組換えタンパク質とポリマー材料とを含む噴霧乾燥粒子。
【請求項13】
組換えタンパク質が、オキサレート低減酵素である請求項12に記載の噴霧乾燥粒子。
【請求項14】
1又はそれより多いオキサレート低減酵素が、オキサレートデカルボキシラーゼ、オキサレートオキシダーゼ又はオキサリル-CoAデカルボキシラーゼ及びフォルミルCoAトランスフェラーゼの組合せ、或いは1よりも多い酵素の組合せである請求項13に記載の噴霧乾燥粒子。
【請求項15】
1又はそれより多いオキサレート低減酵素が、オキサレートデカルボキシラーゼである請求項13又は14に記載の噴霧乾燥粒子。
【請求項16】
オキサレート低減酵素が、OxDC野生型組換えタンパク質の C383S変異型又は配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8から選択される配列によりコードされるタンパク質である請求項13〜15のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粒子。
【請求項17】
オキサレート低減酵素が、OxDC野生型組換えタンパク質のC383A又はC383R変異型又は配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18又は配列番号19から選択される配列によりコードされるタンパク質である請求項13〜15のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粒子。
【請求項18】
1又はそれより多いオキサレート低減酵素の活性が、約3.2のpHを有する3.2 mg/mlのペプシン溶液中で40分間インキュベートされるとき、最初の活性を100%と設定して、最大限約30%に減少される請求項13〜17のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粒子。
【請求項19】
ポリマー材料が、ポリ(メタ)アクリレートである請求項12〜18のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粒子。
【請求項20】
請求項12〜19のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粒子を含む組成物。
【請求項21】
組成物が、経口剤形である請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
サシェ、錠剤、カプセル剤、チュアブル錠、速溶錠、口腔内崩壊錠、液剤、シロップ剤又はエリキシル剤の形態或いはその他の送達用形態にある請求項20又は21に記載の組成物。
【請求項23】
a) ヒト又は動物の胃に、1又はそれより多いオキサレート低減酵素及びポリマー材料を含む噴霧乾燥粒子を含む組成物を経口投与する工程と、
b) 胃に存在するオキサレートの少なくとも実質的な部分を減少させる工程と
を含むオキサレート吸収の低減方法。
【請求項24】
噴霧乾燥粒子が、請求項13〜19のいずれか1項に定義されるとおりである請求項23に記載の方法。
【請求項25】
オキサレート吸収の低減が、高シュウ酸尿症、吸収型高シュウ酸尿症、腸管性高シュウ酸尿症、原発性高シュウ酸尿症、特発性シュウ酸カルシウム腎結石疾患(尿路結石症)、外陰部痛、末期の腎臓病に伴うシュウ酸症、心伝導障害、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、胃腸手術後の状態及び肥満手術後の状態、肥満状態の手術後の状態又は抗生物質による治療後からなる群より選択されるオキサレートに関連する状態の治療を提供する請求項23又は24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−531186(P2012−531186A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516581(P2012−516581)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003864
【国際公開番号】WO2011/000523
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(512000581)オクステラ インテレクチュアル プロパティ エービー (1)
【氏名又は名称原語表記】OXTHERA INTELLECTUAL PROPERTY AB
【住所又は居所原語表記】Dragarbrunnsgatan 45, S−75320 Uppsala, SWEDEN
【Fターム(参考)】