説明

組換えヘテロカルピンの製造方法

本発明は、組換えヘテロカルピンの製造方法に関する。ヘテロカルピンの完全配列(配列番号10)、ヘテロカルピンをコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクター、前記発現ベクターによって形質転換されるか又は形質導入された宿主細胞及び前記の形質転換又は形質導入された宿主細胞を用いてヘテロカルピンを得る方法が特に記載される。本発明によって得られる組換えヘテロカルピンは、特に癌を治療するための医薬の製造に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、組換えヘテロカルピンの製造方法である。
【背景技術】
【0002】
ヘテロカルピンは、国際出願第WO02/068461号明細書において本出願人によって初めて報告された抗癌性を有するタンパク質である。この単離タンパク質は、約90.9 kDaの分子量を有し、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のペプチド配列の断片(配列表の記載の部を参照)を含有し且つ上記の親出願に記載のようにして生体外で培養されたピロカルパス・ヘテロフィルス(Pilocarpus heterophyllus)の植物細胞から抽出することによって得ることができる。しかし、このタンパク質の完全な配列は、クローニングがこれまで行われていなかったという点で、これまで知られないままでいる。
【発明の開示】
【0003】
本出願は、今般、ヘテロカルピンのクローニング用プライマーとして役立ち得るポリヌクレオチド、ヘテロカルピンをコードするDNA、ヘテロカルピンに対応するmRNA、該mRNAを含有する発現ベクター、これらのベクターを用いて形質転換又は形質導入された宿主細胞、及び組換えヘテロカルピンの製造方法を記載する。
【0004】
従って、本発明の主題は、第一には、配列番号8のポリヌクレオチド配列からなる単離ポリヌクレオチドである。前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチド配列のみからなることが好ましい。
【0005】
本発明の主題はまた、配列番号8のポリヌクレオチド配列からなる前記の単離ポリヌクレオチドの配列に相補的な配列からなるアンチセンスポリヌクレオチドである。前記のアンチセンスポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチド配列に相補的な配列のみからなることが好ましい。
【0006】
本発明はまた、配列番号8のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つからなる単離ポリヌクレオチドに関する。前記ポリヌクレオチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するポリペプチドをコードするようなものである。前記の単離ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つのみからなることが好ましい。
【0007】
従って、具体的には、本発明は、配列番号9のヌクレオチド配列の単離ポリヌクレオチド又は配列番号9のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列の単離ポリヌクレオチドに関する。
【0008】
ヘテロカルピン、すなわち配列番号10の配列のタンパク質は、位置115の塩基(メチオニンをコードする開始コドンATG)と2437の塩基(停止コドンUAA)の間に含まれる配列番号8のポリヌクレオチド配列のポリヌクレオチドの断片、すなわち配列番号9のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0009】
従って、本発明はまた、配列番号8のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つからなるかあるいは配列番号8のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つに相補的な配列からなる単離ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターに関する。但し、前記の単離ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、ヒトGHRHに結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである。前記の発現ベクターは、配列番号9のポリヌクレオチド配列からなるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列からなることが好ましい。
【0010】
同様に、本発明は、前記の発現ベクターを用いて形質転換又は形質導入された宿主細胞に関する。
【0011】
本発明はまた、配列番号14のポリペプチド配列又はその断片の一つからなる単離ペプチドに関する(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)。前記の単離ポリペプチドは、配列番号14の配列のポリペプチド又はその断片の一つのみからなることが好ましい。特に、前記ポリペプチドは配列番号14の配列を有する。
【0012】
本発明の主題はまた、前記の単離ポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片であり、特に配列番号14の配列のタンパク質を特異的に結合するが配列番号10の配列のタンパク質を特異的に結合しないモノクロナール抗体又はその抗原結合断片である。
【0013】
本発明はまた、医薬としての単離ポリヌクレオチドであって、
− 配列番号8のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つ、あるいは、
− 配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つ
からなる単離ポリヌクレオチド(但し、前記の単離ポリヌクレオチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有する単離ポリペプチドをコードするようなものである)に関する。
【0014】
前記の単離ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチド配列のポリヌクレオチド又はその断片の一つだけからなるか、あるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列のポリヌクレオチド又はその断片の一つだけからなることが好ましい。
【0015】
特に、前記の単離ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチド配列のポリヌクレオチド又は配列番号9のポリヌクレオチド配列のポリヌクレオチドのみからなる。
【0016】
また、医薬として使用される前記の単離ポリヌクレオチドは、ウイルスベクター中に存在することが好ましい。前記のウイルスベクターは、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス及びポックスウイルスからなる群の中から選択される。
【0017】
本発明はまた、医薬としての、配列番号14の配列のポリペプチド又はその断片の一つからなる単離ポリペプチド(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)に関する。前記の単離ポリペプチドは、配列番号14の配列のポリペプチド又はその断片の一つだけからなることが好ましい。特に、前記のポリペプチドは配列番号14の配列を有する。
【0018】
本発明はまた、医薬としての、配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つによってコードされるかあるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つに相補的な配列によってコードされるタンパク質からなる単離ポリペプチド(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)を特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片に関する。前記のモノクロナール抗体又はその抗原の前記断片は、配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つによってコードされるかあるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列又はその断片の一つによってコードされるタンパク質のみからなる単離ポリペプチドを特異的に結合することが好ましい。前記のモノクロナール抗体又はその抗原の前記断片は、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質(すなわち、配列番号10の配列のタンパク質)のみからなる単離ペプチドを特異的に結合することがさらに好ましい。
【0019】
本発明の別の主題は、
− 配列番号8のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つ、あるいは、
− 配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つ
からなる単離ポリヌクレオチド(但し、前記の単離ポリヌクレオチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有する単離ポリペプチドをコードするようなものである)を、製薬学的に許容し得る賦形剤の1種又はそれ以上と一緒に含有してなる医薬組成物である。
【0020】
有効成分として働く単離ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチド配列のヌクレオチド又はその断片の一つのみからなるか、あるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列のヌクレオチド又はその断片の一つのみからなることが好ましい。
【0021】
特に、有効成分として働く単離ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチド配列のヌクレオチドのみからなるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列のヌクレオチドのみからなることが好ましい。
【0022】
本発明の医薬組成物に配合される前記の単離ポリヌクレオチドは、ウイルスベクター中に存在することが好ましい。前記のウイルスベクターは、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス及びポックスウイルスからなる群の中から選択される。
【0023】
本発明はまた、配列番号14の配列のポリペプチド又はその断片の一つからなる単離ポリペプチド(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)を含有してなる医薬組成物に関する。前記の単離ポリペプチドは、配列番号14の配列のポリペプチド又はその断片の一つのみからなることが好ましい。特に、前記ポリペプチドは、配列番号14の配列を有することが好ましい。
【0024】
さらにまた、本発明の主題は、配列番号9のポリヌクレオチドによってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチドに相補的な配列によってコードされるタンパク質の少なくとも一つの断片からなる単離ポリペプチド(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHに結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)を特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片を含有してなる医薬組成物である。前記の組成物は、さらに製薬学的に許容し得る賦形剤の1種又はそれ以上を含有する。本発明の前記医薬組成物は、配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つによってコードされるかあるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つに相補的な配列によってコードされるタンパク質のみからなる単離ポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片を含有してなるようなものであることが好ましい。
【0025】
特に、本発明は、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質(すなわち、配列番号10のタンパク質)を特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片を、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤と共に含有してなる医薬組成物に関する。
【0026】
本発明の別の主題は、増殖性疾患を治療する医薬を製造するための単離ポリヌクレオチドの使用であって、
− 配列番号8のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つ、あるいは、
− 配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つ
からなる単離ポリヌクレオチド(但し、前記の単離ポリヌクレオチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有する単離ペプチドをコードするようなものである)の使用である。
【0027】
使用する前記の単離ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチド配列のポリヌクレオチド又はその断片の一つだけからなるか、あるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列のポリヌクレオチド又はその断片の一つだけからなることが好ましい。
【0028】
特に、使用する前記の単離ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチド配列のポリヌクレオチドのみからなるか、又は配列番号9のポリヌクレオチド配列のポリヌクレオチドのみからなる。
【0029】
使用する前記の単離ポリヌクレオチドは、ウイルスベクター中に存在することが好ましい。前記のウイルスベクターは、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス及びポックスウイルスからなる群の中から選択される。
【0030】
本発明はまた、増殖性疾患を治療する医薬を製造するための単離ポリペプチドの使用であって、配列番号14の配列のポリペプチド又はその断片からなる単離ペプチド(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)の使用に関する。前記の単離ポリペプチドは、配列番号14の配列のポリペプチド又はその断片の一つだけからなることが好ましい。特に、前記のポリペプチドは、配列番号14の配列を有する。
【0031】
また、さらに本発明によれば、配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つによってコードされるかあるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つに相補的な配列によってコードされるタンパク質からなる単離ポリペプチド(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)を特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片は、増殖性疾患を治療する医薬を製造するのに使用できる。前記のモノクロナール抗体又はその抗原の前記断片は、配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つによってコードされるかあるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つに相補的な配列によってコードされるタンパク質のみからなるポリペプチドを特異的に結合することが好ましい。
【0032】
特に、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片(すなわち、配列番号10の配列のタンパク質を特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片)は、増殖性疾患を治療する医薬を製造するのに使用できる。
【0033】
前記の使用の好ましい態様によれば、前記のポリペプチド又はポリヌクレオチドによって治療されるべき増殖性疾患は癌である。さらに好ましい態様によれば、癌は前立腺癌、乳癌、肺癌(特に小細胞肺癌)及び結腸直腸癌からなる群の中から選択される。乳房癌及び小細胞肺癌がさらに特に好ましい。
【0034】
また、本発明は、配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つによってコードされるか、あるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つに相補的な配列によってコードされるタンパク質からなる単離ペプチド(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)の製造方法であって、次の連続する工程:すなわち、
(a) 適当な条件下で培養して、配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列、配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列に相補的な配列、又はその断片の一つからなる単離ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを用いて形質転換又は形質導入された宿主細胞の前記ポリペプチドを発現させる工程(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)及び
(b) 宿主細胞培養物から前記ポリペプチドを単離する工程
からなる前記の単離ペプチドの製造方法を提供する。
【0035】
好ましくは、前記の製造方法は、配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つによってコードされるか、あるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つに相補的な配列によってコードされるタンパク質のみからなる単離ペプチド(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)の製造方法であって、次の連続する工程:すなわち、
(a) 適当な条件下で培養して、配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列、配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列に相補的な配列、又はその断片の一つからなる単離ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを用いて形質転換又は形質導入された宿主細胞の前記ポリペプチドを発現させる工程(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)及び
(b) 宿主細胞培養物から前記ポリペプチドを単離する工程
からなる前記の単離ペプチドの製造方法に関する。
【0036】
特に、前記の方法の目的は、配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列によってコードされるか、あるいは配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列に相補的な配列よってコードされる単離ポリペプチドの製造(すなわち、配列番号10の配列のタンパク質の製造)である。
【0037】
前記の方法のさらに好ましい態様によれば、前記の方法は、配列番号10のタンパク質の製造に関するものであり且つ次の工程:すなわち、
(a) 適当な条件下で培養して、配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列あるいは配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列に相補的な配列からなる単離ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを用いて形質転換又は形質導入された宿主細胞の前記ポリペプチドを発現させる工程(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)及び
(b) 宿主細胞培養物から前記ポリペプチドを単離する工程
からなる。
【0038】
本発明はまた、ヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物の同定方法であって、次の連続する工程:すなわち、
(a) 各候補化合物を、
− 配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、あるいは
− 配列番号13のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号13のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、
からなる単離ポリペプチドと、前記候補化合物が前記ポリペプチドに結合することを可能にするのに十分な条件及び時間のもとで接触させる工程(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)、及び
(b) 前記ポリペプチドに対する各候補化合物の結合を検出し、候補化合物の中からヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物を同定する工程
からなるヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物の同定方法を提供する。
【0039】
特に、前記のヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物の同定方法は、その工程(a)において、各候補化合物を、前記候補化合物が下記ポリペプチドに結合することを可能にするのに十分な条件及び時間のもとで、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチド(すなわち、配列番号10の配列のタンパク質と)と接触させることからなる。
【0040】
ヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物の別の同定方法は、次の連続する工程:すなわち、
(a) 各候補化合物を、前記候補化合物と下記細胞が相互作用することを可能にする十分な条件及び時間の下で、
− 配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、あるいは
− 配列番号13のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号13のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、
からなる単離ポリペプチドを発現することができる細胞と接触させる工程(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)、及び
(b) ポリペプチドの細胞濃度に対する各候補化合物の影響を調べ、候補化合物の中からヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物を同定する工程
からなる。
【0041】
特に、前記の別の方法は、その工程(a)において、各候補化合物を、前記候補化合物と下記細胞が相互作用することを可能にする十分な条件及び時間の下で、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチドを発現することができる細胞(すなわち、配列番号10の配列のタンパク質を発現することができる細胞)と接触させることからなる。
【0042】
前記のヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物の同定方法を実施する好ましい方法によれば、前記候補化合物は、コンビナトリアル・ケミストリー・プログラムから得られる小分子ライブラリーに由来するであろう。
【0043】
本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドについて得られる薬理学的性質は、医薬用途に適している。実際に、前記の単離ポリペプチドであって、
− 配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、あるいは
− 配列番号13のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号13のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、
からなり、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有する単離ポリペプチド、及び前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明に従って、癌患者に投与されてその腫瘍の進行を鈍化させるか又は腫瘍を退縮させることができる。
【0044】
前記の方法において、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係があるタンパク質は、特に、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチド(すなわち、配列番号10の配列のタンパク質)であることができる。
【0045】
最後に、本発明は、特にヘテロカルピンクローニングのPCR反応においてプライマーとして使用できる配列番号4、配列番号5、配列番号11及び配列番号12の配列のポリヌクレオチドに関する。
【0046】
前記の種々の構成要素は、本発明の種々の態様のさらに詳細な説明を一度読んだ当業者には明らかになるであろう。
【0047】
発明の種々の態様の詳細な説明
前述のように、本発明は、一般的に細胞増殖を調節すること及び癌を治療することを目的とした化合物及び方法に関する。本発明は、部分的には、細胞増殖の調節に関係するポリペプチド及びポリヌクレオチド配列である“細胞増殖の調節に関係する配列”の同定に基づく。このようなcDNA分子は、RNA又はmRNAの調製物から逆転写などの標準的な技法を使用して調製することができる。同様に、分化に関係するタンパク質又はポリペプチドは、細胞分化に関係するmRNAによってコードされる配列からなる。
【0048】
本明細書に記載の医薬組成物は、1種又はそれ以上のポリペプチド、核酸配列及び/又は抗体を含有することができる。本発明のポリペプチドとしては、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質又はその変異体の少なくとも一つの部分が挙げられる。本発明の核酸配列としては、少なくともこのようなポリペプチドをコードするかあるいはこのようなコード化配列に相補的であるDNA又はRNA配列が挙げられる。
【0049】
前記抗体は、前記のポリペプチドの一部分を結合することができる免疫系のタンパク質であるか又はその抗原に結合する断片である。
【0050】
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド及びタンパク質:
本発明の具体的な主題は、配列番号8、配列番号9又は配列番号13の配列のポリヌクレオチド及び配列番号14の配列のポリペプチド又はタンパク質である。
【0051】
本発明はまた、前記のポリヌクレオチドの配列、特に配列番号8、配列番号9及び配列番号13の配列に対して少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%又は場合によっては95%の相同性のポリヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドからなる。これはまた、必要な変更を加えて、本発明の一部を形成するその他のポリヌクレオチド、ポリペプチド及びタンパク質、特に配列番号14の配列のタンパク質にも適用される。
【0052】
%で表される相同性の度合いは、次のようにして算出される:
100−100×(N´/N)
但し、N´は配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号13又は配列番号14について修飾されたヌクレオチド又はアミノ酸の個数を表し且つNは配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号13又は配列番号14のヌクレオチドの個数を表す。
【0053】
本発明によれば、本発明のポリペプチド又はタンパク質、及びこれらのポリペプチド又はタンパク質の断片又は融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、これらのポリペプチド又はタンパク質、あるいはその活性部分の発現に関する組換えDNA分子を適切な宿主細胞中で産生させることを目的として使用することができる。また、本発明のポリヌクレオチドの一部分とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列もまた、核酸のハイブリダイゼーション、サザンブロット、ノーザンブロット試験などで使用することができる。
【0054】
遺伝暗号の縮重により、本発明のポリペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列を実質的にコードするその他のDNA配列を、前記のポリペプチド又はタンパク質のクローニング及び発現に使用することができる。このようなDNA配列としては、本発明のポリヌクレオチドのポリヌクレオチド配列を、幾つかの方法で調節することができるある種の緊縮条件下でハイブリダイズすることができるDNA配列が挙げられる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の間に、プライマーをマトリックスにハイブリダイズさせる温度又は反応緩衝液のMgCl2の濃度は、調節することができる。放射線標識DNA断片、膜をプローブするためのオリゴヌクレオチドの使用中、緊縮(stringency)は、洗浄溶液のイオン濃度を変化させることによって又は洗浄温度を注意深く調節することによって調節することができる。
【0055】
このような相同性ヌクレオチド配列は、配列番号8、配列番号9又は配列番号13の配列に相補的な配列と、緊縮条件(又は“高”緊縮の条件)下で特異的にハイブリダイズする。緊縮の条件を規定するパラメーターは、対になった鎖の50%が分離する温度(Tm)に依存する。
【0056】
30個を越える塩基を含有する配列について及びSambrook et al., (Molecular cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, NY, 1989) に従って、Tmは次式によって定義される:
Tm=81.5 + 0.41×(% G+C)+ 16.6×log[陽イオン] − 0.63×(%ホルムアミド) − (600/塩基の個数)
本発明に関して、Tmよりも10℃低いハイブリダイゼーション温度と、6×SSC(0.9M塩化ナトリウム及び0.09Mクエン酸ナトリウム)溶液を含有するハイブリダイゼーション緩衝液とを使用する場合に、緊縮条件が“高”いと呼ぶ。このような条件下で、特異配列のポリヌクレオチドは、配列番号8、配列番号9又は配列番号13の配列に相補的な配列のポリヌクレオチドとハイブリダイズしないであろう。
【0057】
本発明に従って使用できる改変されたDNA配列は、同じ遺伝子産物又は均等の機能をコードする配列をもたらす種々のヌクレオチド残基の欠失、付加又は置換を含む。前記遺伝子産物もまた、いわゆるサイレント変化をもたらし、従って均等の機能のポリペプチド及びタンパク質を産生する本発明のタンパク質の配列においてアミノ酸残基の欠失、付加又は置換を含むことができる。
【0058】
このようなアミノ酸置換は、関係する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性に基づいて行うことができる。
【0059】
例えば、負帯電アミノ酸としては、アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ、正帯電アミノ酸としてはリシン及びアルギニンが挙げられ、近疎水性値を有する極性基をもつアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、バリン;グリシン、アラニン;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;フェニルアラニン、チロシンが挙げられる。
【0060】
本発明のDNA配列は、非限定的な方法で、方法及び遺伝子産物の発現を修飾する改変を含め多数の理由から、本発明のポリヌクレオチド配列を変化させることを目的として修飾することができる。例えば、突然変異は、当業者に周知の技法、例えば、直接突然変異誘発、新しい制限部位の挿入、グリコシル化の改変、リン酸化などを使用して誘導することができる。
【0061】
特に、酵母などのある種の発現系において、宿主細胞は遺伝子産物を過剰グリコシル化することができる。このような系においては、ポリヌクレオチド配列を変化させてグリコシル化部位を除去することが好ましい。本発明の開示の範囲内で、修飾されたポリヌクレオチド配列もまた、融合タンパク質をコードすることを目的として異種配列と結合されると思われる。融合タンパク質(これは例えば、配列番号14の配列のタンパク質であることができる)は、本発明のタンパク質の配列を異種部分から切断し得るように、修飾して本発明のタンパク質の配列(例えば、配列番号10の配列)と異種タンパク質の配列の間に配置された切断部位を含有することができる。
【0062】
細胞増殖の調節に関係するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド:
本明細書に記載のようにポリペプチド又はその部分もしくは変異体をコードし、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するポリヌクレオチドは、本発明によって保護される。このようなポリヌクレオチドは、一本鎖(コード鎖又はアンチセンス鎖)又は二本鎖であることができ且つDNA(ゲノムDNA、cDNA又は合成DNA)又はRNA分子であることができる。
【0063】
ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、当業者が利用できる方法を使用して調製することができる。例えば、このようなポリヌクレオチドは、細胞から調製されるcDNAからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅することができる。このアプローチについては、特異的プライマーをデザイン及びオーダー(order)することができるし又は合成することができる;これらのプライマーは、前記のポリヌクレオチドの配列に基づく。次いで、増幅部分を使用して、ゲノムDNAライブラリーから又はcDNAライブラリーから、当業者に周知であり且つ以下に簡単に示す方法によって、任意の細胞又は任意の組織の完全遺伝子を単離することができる。別法として、完全遺伝子は、幾つかのPCR断片から組み立てることができる。ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質をコードするcDNA分子又はその部分は、例えば細胞又は組織のmRNAから得られるcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって調製することができる。このようなライブラリーは、商業的に入手できるし、又は標準的な方法(Sambrook et al., Molecular cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, NY, 1989 参照)を使用して調製することができる。
【0064】
別法として、当業者に周知のその他のスクリーニング法を使用できる。
【0065】
ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するポリペプチドをコードするcDNA分子は、酵素、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、シークエナーゼX(US Biochemical Corp., Cleveland, OH, 米国)、Taqポリメラーゼ (Perkin Elmer, Foster City, CA, 米国)、熱安定ポリメラーゼT7 (Amersham, Chicago, IT, 米国)、又は組換ポリメラーゼとElongase増幅系 (Gibco BRL, Gaithersburg, MD, 米国)などの再読み取り活性をもつエキソヌクレアーゼとの組合せを使用する標準方法を使用することによって配列決定できる。自動配列決定装置を、Perkin Elmer社やPharmacia社などの商業的供給業者から入手できる装置を使用して、使用することができる。
【0066】
cDNAの部分配列を使用して、細胞増殖の調節に関係する完全タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を、当業者に周知の標準的な技法を使用して同定することができる。これらの技法の中で、cDNAライブラリーは、RecA組換え特性を使用する1種又はそれ以上のポリヌクレオチドプローブ(ClonCapture cDNA Selection Kit, Clontech Laboratories, 米国)を使用してスクリーニングされる。
【0067】
ハイブリダイゼーション法について、部分配列は標準的な技法を使用して放射線標識することができる(例えば、ニックトランスレーションによって又は32P又は33Pを使用する末端の標識により)。次いで、細菌又はバクテリオファージライブラリーは、変性細菌コロニーを含有する濾紙(又はファージプレートを含有するブロット)上で標識プローブを用いてハイブリダイゼーションによってスクリーニングされる(Sambrook et al., Molecular cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, NY, 1989 参照)。次いで、陽性クローン又はプレートが選択され、増幅され且つDNAが将来の分析のために単離される。
【0068】
次いで、標準的な技法を使用して完全配列を決定することができる。次いで、重複する複数の配列を、連続単一配列に組み立てる。標準的な技法を使用して関心事の断片の廉潔反応によって完全cDNA分子を生成させることができる。
【0069】
別法として、部分cDNA配列から完全コード化配列を得るために、増幅に基づいた多数の方法が存在する。これらの中で、増幅は一般にPCRによって行われる。商業的に入手できるキットの全てが、増幅工程に使用できる。プライマーは、例えば当該技術で周知のソフトウエアを使用してデザインすることができる。ヌクレオチドプライマーは、少なくとも50%のグアニン及びシトシン含有率を有する20〜30個のヌクレオチドを有し且つ50〜72℃の温度で標的配列とハイブリダイズする分子であることが好ましい。増幅された領域は、前記のようにして配列決定し、重複する配列を連続配列に組み立てることができる。
【0070】
別のアプローチの中で、部分配列に隣り合った配列は、結合配列のプライマー及び既知領域に特異的なプライマーを用いて増幅することによって見出すことができる。次いで、増幅された配列は、第二の増幅サイクルに供される。
【0071】
別の方法としては、capture PCR (Lagerstrom et al., PCR Methods Applic., (1991), 1, 111-19) 及び progressive PCR (Parker et al., Nucl. Acids. Res., (1991), 19, 3055-60)が挙げられる。増幅を使用するその他の方法も、完全cDNA配列を得るために使用できる。
【0072】
GenBankから入手できる複数の公開“Expressed Sequence Tag”(EST)ベースに記載の配列を分析することによって完全cDNA配列を得ることができる。複数のESTを対照とする調査は、当業者に周知のコンピュータープログラム(例えば、NCBI BLAST)を使用して行うことができ、このようなESTは連続する完全な配列を生成させるのに使用できる。
【0073】
前記のポリヌクレオチド配列の変異体(特に、配列番号8、配列番号9及び配列番号13の配列)もまた本発明の範囲に含まれる。ポリヌクレオチド変異体は、1つ又はそれ以上の置換、欠失又は挿入を含むことができる(“本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド及びタンパク質”という標題の部も参照)。
【0074】
コード化配列に相補的な配列の部分(すなわち、アンチセンスポリヌクレオチド)もまた、遺伝子発現のプローブ又はモデュレーターとして使用できる。アンチセンスRNAに転写することができるcDNA組立て体を細胞又は組織に導入して、アンチセンスRNAの産生を促進させることができる。アンチセンスポリヌクレオチドを、本明細書に記載のように、細胞増殖の調節に関連した遺伝子の発現を阻害するために使用することができる。ポリメラーゼ、転写因子又は調節分子を固定するために十分に広げる(open)ことができる二重らせんの能力に影響を及ぼす(compromise)アンチセンス技術を使用して、三重らせんを形成することによって遺伝子の発現を調節することができ、(Gee et al., in Huber and Carr, Molecular and Immunologic Approaches (1994), Futura Publishing Co., Mt. Kisco, NY 参照)。別法として、アンチセンス分子を、遺伝子調節領域(例えば、プロモーター又は転写の開始部位)とハイブリダイズさせるために及び遺伝子の転写を妨害するために、又は転写物のリボソームの固定を阻害することによって翻訳を妨害するために使用することができる。
【0075】
次いで、ポリヌクレオチドは、その生体内安定性を高めるために修飾することができる。可能な修飾としては(以下に限定されないが)、5´及び/又は3´末端に対する配列の付加;主鎖のホスホジエステラーゼ結合よりもむしろホスホロチオエート又は2´O-メチルの使用;及び/又は塩基、例えばイノシン、キューオシン及びワイブトシン並びにアセチルアデニン、メチルチオアデニン並びに修飾体であってアデニン、シチジン、グアニン、チミン及びウリジンの修飾体の導入が挙げられる。
【0076】
また、本発明のポリヌクレオチドの別の変種が、“本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド及びタンパク質”という標題の部に既に記載されている。
【0077】
本発明で説明したようなヌクレオチド配列は、確立された組換えDNA法を使用して別のヌクレオチド配列に結合させることができる。例えば、ポリヌクレオチドは、発現ベクター、例えばプラスミド、ファージミド、λファージ誘導体及びコスミドの大きなパネル中でクローン化することができる。特に重要なベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター及び配列決定ベクターが挙げられる。一般に、ベクターは、少なくとも一つの生物中に機能的複製起点、適当なエンドヌクレアーゼ制限部位及び1つ又はそれ以上の選別マーカーを含有する。その他の要素の存在は、必要な機能として発現ベクターの特徴及び利用できる方法を選択するであろう当業者によって所望される特定の用途に応じるであろう。
【0078】
ポリヌクレオチドは、細胞に入れ且つ対応するポリペプチドを発現させるために製剤化することができる。このような製剤は、以下に記載の療法に特に有用である。
【0079】
当業者には、標的細胞中でポリヌクレオチドを発現させるための幾つかの手段が存在すること及び適切な方法を使用できることが理解されるであろう。例えば、ポリヌクレオチドは、ウイルスベクター、例えばアデノウイルス又はレトロウイルスに組み込むことができる(しかし、他のベクターにも組み込むことができる)。このようなベクターにDNAを組み込む方法は、当業者には周知である。レトロウイルスベクターは、ベクターを標的特異的にするために、選別標識用の遺伝子及び/又はスクリーニングエンティティ(entity)、例えば標的細胞の特異受容体のリガンドをコードする遺伝子を伝達又は組み込むことができる。
【0080】
ポリヌクレオチドの別の配合物としては、コロイド分散系、例えば巨大分子複合体、ナノカプセル、微小球、球、及び脂質の使用に基づく系、例えば油/水エマルジョン、ミセル、混成ミセル及びリポソームが挙げられる。生体外及び生体内生成物を送達するために使用するのに好ましいコロイド系は、リポソーム(すなわち、人工膜小胞)である。
【0081】
ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖を調節するポリペプチド
開示の範囲内で、本発明のポリペプチドは、細胞増殖の調節に関係するタンパク質の少なくとも一つの部分又はその変異体を含む。前記の部分は、免疫学的に及び/又は生物学的に活性である。このようなポリペプチドは、任意の長さ、例えば完全タンパク質、オリゴペプチド(すなわち、ペプチド結合によって結合された比較的限定された個数、例えば8〜10残基のアミノ酸からなる)又は中間サイズのペプチドを有することができる。ポリペプチドはまた、追加の配列を含有することもできる。
【0082】
同様に、ポリペプチドは、ヒトGHRHの結合に関係し且つ細胞増殖の調節に関係する天然タンパク質から出発して1つ又はそれ以上の構造的、調節的及び/又は生化学的機能を有する場合に、“生物学的に活性”である。
【0083】
生物学的活性の有無は、当業者に周知の方法に従って調べることができる。しかし、本発明の構成の範囲内の定義によって、ポリペプチドは、本出願明細書の実施例6に記載の条件下で測定されるその阻止濃度IC50が10 nM以下(好ましくは1nM以下)であると、“ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有する”とみなされる。
【0084】
例えば、配列の比較研究は、タンパク質の具体的な生物学的活性を示すことができる。この場合、前記の活性を評価するための試験は、当該技術で既に知られている試験に基づいて実施することができる。このようなタンパク質のある一定の部分及びその他の変異体もまた、生体外又は生体内試験に従ってこの特性を示すべきである。
【0085】
既に述べてあるように、本発明のポリペプチドは、部分が免疫学的に及び/又は生物学的に活性である(すなわち、部分が完全タンパク質の1つ又はそれ以上の抗原性、免疫原性及び/又は生物学的特徴を有する)内在性タンパク質の変異体の一つ又はそれ以上の部分を含有することができる。このような部分は、このような特性の検出を可能にする試験中に全タンパク質と少なくとも同程度に活性であることが好ましい。“変異体”ポリペプチドは、アミノ酸の置換、挿入、欠失及び/又は修飾により、天然タンパク質と異なっているポリペプチドである。ある種の変異体は同類置換を含む。“同類置換”は、一つのアミノ酸が同じ性質、例えばポリペプチドの二次構造及び親水性に変化がないことを予期する当業者によって決定される性質をもつ別のアミノ酸によって置換される置換である。アミノ酸置換は、一般に残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性の類似性に基づいて行うことができる。例えば、負帯電アミノ酸としては、アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ;正帯電アミノ酸としてはリシン及びアルギニンが挙げられ;且つ類似の疎水性値を有する極性非帯電アミノ酸としてはロイシン、イソロイシン及びバリン;グリシン及びアラニン;アスパラギン及びグルタミン;セリン、スレオニン、フェニルアラニン及びチロシンが挙げられる。同類変化を表すことができる別のアミノ酸基は、特に次のもの:すなわち(1) Ala、Pro、Gly、Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Thr;(2) Cys、Ser、Tyr、Thr;(3) Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe;(4) Lys、Arg、His;及び(5) Phe、Tyr、Trp、Hisである。変異体もまた、あるいは別法として、非同類変化を含むことができる。
【0086】
本発明の一部を構成する変異体としては、天然タンパク質の一次構造が共有結合共役体の形成によって修飾されているかあるいは別のポリペプチド又は化学構造体、例えば脂質基又はグリコシル基、又はリン酸アセチル基によって修飾されていないポリペプチドが挙げられる。
【0087】
本発明はまた、グリコシル化パターンを有するか又は有していないポリペプチドを包含する。酵母又は哺乳動物細胞の発現系で発現されるポリペプチドは、分子量及びグリコシル化パターンの点からみて、使用される発現系に従って天然分子に類似することができるし又は若干異なることができる。
【0088】
大腸菌のような細菌中でのDNAの発現は、非グリコシル化分子をもたらす。真核細胞タンパク質のN-グリコシル化部位は、アミノ酸のトリプレットAsn−A1−Z(式中、A1はPro以外の任意のアミノ酸であり且つZはセリン又はスレオニンである)に特徴がある。
【0089】
さらにまた、本発明のポリペプチド及びタンパク質の別の変異体は、“本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチド”という標題の部に既に記載されている。
【0090】
ポリペプチド変異体を調製することを目的として、標準的な突然変異誘発法、例えば指向性オリゴヌクレオチドを使用する定方向突然変異誘発を使用できる。
【0091】
一般的に、当業者に知られている発現ベクターを使用して本発明の組換えポリペプチドを発現させることができる。この発現は、組換えポリペプチドをコードするDNA配列を含有する発現ベクターを用いて形質転換又は形質導入されている適当な宿主細胞中で得ることができる。適当な宿主細胞としては、原核細胞、高級真核細胞又は酵母細胞が挙げられる。使用する宿主細胞は、大腸菌、酵母細胞又は哺乳動物細胞、例えばCOS、CHO、HEK-293、MCF7(乳癌から単離されたヒト腫瘍細胞)又はDU 145(前立腺癌から単離されたヒト腫瘍細胞)であることが好ましい。
【0092】
ある部分及びその他の変異体もまた、当業者に周知の技法を使用する合成手段によって生成させることができる。例えば、500個未満のアミノ酸、好ましくは100個未満のアミノ酸、さらに好ましくは50未満のアミノ酸を有する部分及び変異体は、化学的経路によって合成できる。ポリペプチドは、商業的に入手できる固相合成法、例えばアミノ酸が合成プロセス中にアミノ酸の鎖に連続的に付加されるメリフィールド樹脂合成法を使用して合成することができる(Merrifield, J. Am. Chem. Soc., (1963), 85, 2149-2146 参照)。多数の別の固相合成法も利用できる(例えば、Roberge et al., Science (1995), 269, 202-204 の方法)。ポリペプチドの自動合成用装置は、Applied Biosystems, Inc. (Foster City, CA, 米国) などの供給業者から商業的に入手できる;ポリペプチドの合成は、この場合、製造業者の推奨に従って実施することができる。
【0093】
単離ポリヌクレオチド又はポリペプチド:
一般的に、本発明に記載されたポリペプチド及びポリヌクレオチドが単離される。“単離”ポリペプチド又はポリヌクレオチドは、その元の環境から取り出されたポリヌクレオチド又はペプチドである。例えば、天然タンパク質は、天然系に共存する生物材料 から分離される場合に単離される。ポリヌクレオチドは、例えば、天然環境の一部を形成していないベクター中でクローン化される場合に単離されるとみなされる。
【0094】
抗体及びその断片:
本発明は、GHRHの結合に関係し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質を特異的に結合する抗体などの結合剤を提供する。このような結合剤は、細胞増殖の調節に関係するタンパク質又はその部分もしくは変異体を用いて検出できる(例えば、ELISA試験によって)レベルで反応し且つその他のタンパク質と検出可能な方法で反応しない場合には、細胞増殖調節タンパク質に“特異的に結合する”といわれる。“結合”とは、複合体を形成するような2つの別々の分子の間の非共有的結合をいう。結合能は、例えば、複合体の形成について結合定数を測定することによって評価することができる。結合定数は、複合体の濃度の値をその成分同士の濃度の値の生成物で乗する場合に得られる値である。一般的に、2つの生成物は、結合定数が103 1/molに到達する場合に“結合された”と呼ばれる。結合定数は、当業者に周知の方法を使用して測定することができる。
【0095】
前記の基準を満たすことができる薬剤は、結合剤とみなすことができる。
【0096】
本発明において、結合剤は、抗体又はその断片であることが好ましい。抗体は、当業者が利用できる方法によって調製することができる(Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988 参照)。一般に、抗体は、細胞培養法、例えばモノクロナール抗体の産生によって、又は組換え抗体を産生させることを目的として細菌又は哺乳動物の宿主細胞への抗体の遺伝子の移入によって調製することができる。
【0097】
その他の技法の中で、以下に記載の方法を使用することが好ましい。ポリペプチドを含有する免疫原は、一群の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ又はヤギ)に注射される。この段階で、本発明のポリペプチドは、変性することなく免疫原として働くことできる。別法として及び特に小さなペプチドについて、よりよい免疫応答は、ポリペプチドが輸送タンパク質、例えばウシ血清アルブミン又はカブトガイヘモシアニンに連結される場合に誘導することができる。免疫原を、宿主動物に好ましくは所定のスキーマに従って注射し、この動物から定期的に採血する。このようにしてポリペプチドに特異的なポリクロナール抗体を、このような抗血清から、例えば、適当な固体支持体に連結されたペプチドを使用してアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。
【0098】
配列Aのタンパク質を特異的に結合するが配列Bのタンパク質を特異的に結合しない抗体を調製するためには、配列Aのタンパク質を宿主動物に、好ましくは所定のスキーマに従って注射し、この動物から定期的に採血する。このようにして、配列Aのタンパク質に特異的なポリクロナール抗体を、適当な固体支持体に連結された配列Bのタンパク質を使用してアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。対応する溶出液は、配列Aのタンパク質を特異的に結合するが配列Bのタンパク質を特異的に結合しない抗体を含有する。
【0099】
融合タンパク質:
融合遺伝子は、本発明のタンパク質の細胞下の配置、特に配列番号10の配列のタンパク質の細胞下の配置を分析することを目的として当業者によって製造され得る。多数のプラスミド組立て体、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タンパク質、又は蛍光タンパク質、例えばGreen Fluorescent Protein(緑色蛍光タンパク質)(GFP) 又は非徹底的には(non-exhaustively) ポリヒスチジン標識は、商業的に入手できる。
【0100】
ヒト真核宿主細胞 (例えば、HEK-293) を、細胞の正常代謝及びよりよいランスフェクション有効性を可能にするトランスフェクションプロトコールの前に、24時間継代培養する。ディベロッパー(developer)タンパク質(GFP、GST又は標識ヒスチジン)を含有するベクター単独又はディベロッパータンパク質と融合された配列番号8の配列のポリヌクレオチド又は配列番号9の配列のポリヌクレオチドを含有するベクターの増大させた濃度(1、5及び10 μg)を、試薬Effectene(登録商標)を使用して製造業者(Qiagen)の推奨に従って調製する。
【0101】
次いで、細胞を、例えば、タンパク質の配置を検出するために共焦点顕微鏡で分析した。タンパク質が例えば分泌されていると疑われる場合には、上清を回収し、凍結乾燥し、アクリルアミドゲル上に置き、ディベロッパータンパク質に対して指向化された抗体を使用してウエスタンブロットにより分析する。
【0102】
医薬組成物:
本発明のある種の態様によれば、ポリペプチド、抗体及び/又は核酸などの生成物は、医薬組成物又はワクチンに配合することができる。医薬組成物は、1種又はそれ以上のこれらの生成物と、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤(担体)を含有してなる。場合によってはワクチンとして使用できるある種の医薬組成物は、1種又はそれ以上のポリペプチドと、免疫応答活性化物質、例えばアジュバント又はリポソーム(この中に前記生成物が配合される)を含有することができる。医薬組成物及びワクチンは、さらに、投与系、例えば生分解性微小球(例えば、乳酸とグリコール酸の共重合体又はPLGAからなる微小球)を含有することができる。本発明の開示の範囲内の医薬組成物及びワクチンはまた、生物学的に活性であるか又は不活性であることができるその他の生成物も含有することができる。
【0103】
医薬組成物又はワクチンは、前記のポリペプチドの1種又はそれ以上をコードするDNAを、該ポリペプチドがその場で生じるように含有することができる。上記で述べたように、DNAは当業者に知られている投与形態に、例えば核酸の細菌又はウイルス発現系に存在させることができる。核酸の適当な発現系は、患者において発現に必要なDNA配列を含有する。
【0104】
細菌に基づいた投与系は、細菌表面でポリペプチド免疫原性部分を発現する細菌(例えばカルメットゲラン氏菌(Bacillus-Calmette-Guerrin))の投与を包含する。DNAは、(不完全)非病原性因子の使用を伴うウイルス発現系(例えば、ポックス、レトロウイルス又はアデノウイルス)を使用して誘導することができる。
【0105】
当業者に知られている適当な担体を本発明の医薬組成物に使用することができるが、担体の種類は選択される投与方法に従って変化するであろう。本発明の組成物は、それぞれの適当な投与方法、例えば、局所、鼻内、静脈内、頭蓋内、腹腔内、皮下及び筋肉内経路の投与方法用に製剤化することができる。
【0106】
非経口投与、例えば皮下注射については、担体は、水、塩、アルコール、脂質、パラフィン又は緩衝液を含有することが好ましい。経口投与については、前記の担体又は固形担体、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース及び炭酸マグネシウムを使用できる。生分解性微小球もまた本発明の医薬組成物の担体として使用できる。ある種の局所用途については、クリーム又はローションなどの製剤が好ましい。
【0107】
このような組成物はまた、緩衝液(例えば、中性又はリン酸緩衝食塩水溶液)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロース又はデキストリン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド又はグリシンなどのアミノ酸、抗酸化剤、EDTAなどのキレート化剤又はグルタチオン、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)及び/又は保護剤を含有することができる。また、本発明の組成物は、凍結乾燥物の形態で提供することができる。生成物はまた、標準的な技術を使用してリポソーム中にカプセル化することができる。
【0108】
本発明によれば、種々様々なアジュバントのそれぞれをワクチンに使用して免疫応答を誘導することができる。アジュバントの大部分は、急速異化作用から抗原を保護する物質、例えば水酸化アルミニウム又は鉱油及び免疫応答促進剤、例えばリピドA、 百日咳菌(Bordetella pertussis)又はヒト結核菌(Mycobacteium tuberculosis)由来のタンパク質を含有する。適当なアジュバントは、商業的に入手でき、例えば、フロイントアジュバント及び完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, MIY, 米国; Merck Ajuvant 65 (Merck and Company, Inc., Rahway, NJ, 米国))、生分解性微小球;モノホスホリルリピドA;及びサイトカイン類、例えばGM-CSF又はインターロイキン-2、インターロイキン-7又はインターロイキン-12である。
【0109】
前記の組成物は、遅延型製剤(すなわち、投与後に生成物の徐放を引き起こすカプセル又はスポンジなどの製剤)の形で投与することもできる。このような製剤は、一般に、当業者に周知の技術を使用して調製することができ且つ例えば、経口、直腸経路又は皮下移植又は所定の対象部位での移植により投与することができる。遅延型製剤は、担体マトリックスに分散させたポリペプチド、ポリヌクレオチド又は抗体及び/又は拡散膜によって保護された容器に入れたポリペプチド、ポリヌクレオチド又は抗体を含有することができる。このような製剤に使用する担体は、生体適合性であり、しかも生分解性でなければならない;該製剤は、活性成分の比較的一定のレベルの放出を提供することが好ましい。遅延型製剤に含有される活性物質の量は、移植部位に左右される。
【0110】
抗癌療法:
本発明の別の態様によれば、前記の生成物は抗癌療法に使用できる。特に、ヒトGHRHの結合に関係し且つ細胞増殖の調節に関係するポリヌクレオチド及びポリペプチドは、乳癌、前立腺癌又は肺癌に特異的な腫瘍において細胞の増殖を阻害し且つ調節を誘導することを目的として使用することができる。
【0111】
このようなポリペプチド又はポリヌクレオチドはまた、多数の癌、例えばメラノーマ、多数の形の神経膠芽腫、肺癌及び結腸直腸癌の治療に使用できる。このようなポリペプチド又はポリヌクレオチドの発現を活性化する薬剤もまた、これらの療法の構成の範囲内で使用できる。
【0112】
本発明のこれらの要旨によれば、前記生成物(これはポリペプチド又は核酸であることができる)は、前記のような医薬組成物に配合されることが好ましい。
【0113】
治療に適した患者は、全ての温血動物、好ましくはヒトである。本発明の療法に適した患者は、癌に冒されていると診断されていてもよいし、又は診断されていなくてもよい。すなわち、前記の医薬組成物は、このようにして種々の段階の癌の発育を抑制するために(癌の出現を抑制するために又は癌に冒された患者を治療するために)使用することができる。
【0114】
本発明の医薬組成物は、治療すべきそれぞれの特定の癌に適した方法で投与される。
【0115】
投与の経路、期間及び頻度は、患者の状態、疾患の種類及び重症度、並びに投与方法の関数として決定される。投与の経路及び頻度は、ある個人から別の個人まで変化させることができる。一般に、前記の医薬組成物及びワクチンは、注射によって(例えば、皮内、筋肉内、静脈内又は皮下経路によって)、鼻内経路によって(例えば、吸入によって)又は経口経路によって投与することができる。1〜10回分(doses)を52週にわたって投与することが好ましい。別のプロトコールが、それぞれの患者に適したものであり得る。
【0116】
一般に、適当な投薬及び治療計画は、有効成分を、治療及び/又は予防を提供するのに十分な量で含有する。このような応答は、より少ない用量を用いて治療されなかった患者又は治療された患者と比べて治療された患者において改良された臨床治療見通し(例えば、より頻繁な寛解、完全な、部分的な又はより長く疾患がない状態での延命)の確立によって行い得る。
【0117】
本発明の別の態様によれば、ポリペプチドは100μg〜5mgの範囲の用量で投与することができる。このようなポリペプチドをコードするDNA分子は、一般に、同程度のポリペプチド量を生成させるのに十分な量で投与することができる。適当な用量は、一般に実験モデル及び/又は臨床試験を使用して決定することができる。一般に、効果的な治療を提供するのに十分な最小用量を使用することが好ましい。患者は、一般に、当業者によく知られていると思われる治療又は予防の状態に適当な試験を使用して治療の有効性について追跡し得る。
【0118】
特に定義しない限りは、本明細書で用いた技術用語及び科学用語は全て、本発明が属する分野の通常の専門家によって普通に理解される意味と同じ意味を有する。同様に、本明細書に挙げた全ての刊行物、特許出願明細書、全ての特許公報、及び全てのその他の文献は、参考として組み込まれる。
【0119】
以下の実施例は、前記の方法を例証するために示すものであり、いずれの場合にも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【実施例】
【0120】
実施例1:ヘテロカルピンをコードするcDNAのクローニング
1.1)ピロカルパス・ヘテロフィルス(Pilocarpus heterophyllus)の細胞からRNA類の抽出:
培養細胞を、全RNA抽出の工程の前に、−80℃で保存した。全RNA抽出は、Trizol試薬(Gibco/BRL)を使用して科学文献(Chomczynski and Sacchi, Anal. Biochem., (1987), 162, 156)に記載の方法に基づいて行った。このようにして抽出したRNAの品質を、臭化エチジウムの存在下で1%アガロースゲル上で分析した。
【0121】
1.2)逆転写によるcDNAの合成:
前記RNAを、SMART(商標) RACE cDNA 増幅キット (Clontech) を使用してRNAの5´及び3´部分を解離させ且つ逆転写を促進させるために、2種類の操作方法に従って逆転写させた。
【0122】
1.3)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のデザイン及び合成:
ヘテロカルピンのcDNAに特異的な2つの配列の増幅を、配列番号4及び配列番号5のそれぞれの配列の5´特異的cDNAの生成物用のRev1プライマーと3´特異的cDNAの生成物用のFwd1プライマーとを使用して、逆転写生成物についてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により行った。
【0123】
配列番号4及び配列番号5の配列は次の通りである:
配列番号4:

配列番号5:

【0124】
1.4)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及びその結果:
反応条件は、最終容量50μl中に3´特異的cDNAの生成物用のFwd1 0.2μM及び5´特異的cDNAの生成物用のRev1 0.2μM、200μM dNTP類、40mM Tricine-KOH (pH 8.7)、15mM KOAc、3.5mM Mg(OAc)2 、3.75μg/ml BSA、0.005%Tween-20、0.005%Nonidet-P40、及び0.5U Taq DNA ポリメラーゼを含む。PCR反応をPerkin-Elmer 9700 サーモサイクラー中で次の熱サイクルパラメーター:すなわち、94℃で5秒間の変性、72℃でプライマーのハイブリダイゼーションからなるサイクル5回、94℃で5秒間の変性、70℃で10秒間のプライマーのハイブリダイゼーション及び72℃で3分間の重合の伸長からなるサイクル5回、並びに最後に94℃で5秒間の変性、68℃で10秒間のプライマーのハイブリダイゼーション及び72℃で3分間のポリメラーゼ伸長からなるサイクル25回を使用して行った。
【0125】
PCRによって得られた生成物を1%アガロースゲル上で分離し、臭化エチジウム染色を使用して可視化した。
【0126】
5´特異的及び3´特異的cDNAのPCR生成物の核酸配列は、自動配列決定装置を使用して決定した。これらの配列は、それぞれ以下に示す配列番号6及び配列番号7の配列である:
配列番号6:


配列番号7:


【0127】
配列番号6及び配列番号7の配列の重複は、ヘテロカルピンをコードする配列番号8の配列のcDNAの完全配列を推定することを可能にする。配列番号8の配列を以下に示す:
配列番号8:



【0128】
配列番号8において、読み取り枠が、位置115の開始剤メチオニンをコードする開始コドン(ATG)及び位置2437の停止コドン(UAA)の存在下で認められる。ヘテロカルピンをコードする配列を含有するポリヌクレオチドは、以下に示す配列番号9の配列に相当する:
配列番号9:



【0129】
774個のアミノ酸からなり且つ以下に示す配列番号10の配列のタンパク質は、このようにして翻訳されたポリヌクレオチドに相当する:
配列番号10:


【0130】
実施例2:組換えヘテロカルピンを製造するためのヘテロカルピンをコードする完全cDNAの調製:
2.1)ピロカルパス・ヘテロフィルス(Pilocarpus heterophyllus)の細胞培養物からのRNA類の調製:
培養細胞を、全RNA抽出の工程の前に、−80℃で保存した。全RNA抽出は、Trizol試薬 (Gibco/BRL)を使用して科学文献 (Chomczynski and Sacchi, Anal. Biochem., (1987), 162, 156) に記載の方法に基づいて行った。このようにして抽出したRNAの品質を、臭化エチジウムの存在下で1%アガロースゲル上で分析した。
【0131】
2.2)RNA類からの逆転写:
得られた全RNAを、製造業者(Gibco/BRL)のマニュアルに教示されているようにしてSuperscript(登録商標)逆転写酵素を使用して、Oligo(dT)プライマーを用いて逆転写した。
【0132】
2.3)逆転写により得られた生成物についてのポリラーゼ連鎖反応(PCR):
ヘテロカルピンのcDNAの増幅を、配列番号11及び配列番号12のそれぞれの配列のプライマーFwd2及びRev2を使用して、逆転写生成物についてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により行った。
【0133】
配列番号11及び配列番号12の配列は次の通りである:
配列番号11:

配列番号12:

【0134】
プライマーFwd2は、配列番号8のヌクレオチド118〜140に相当し且つBamHI部位(下線部)及びクローニングを促進させるために5´部分に3個のさらなるヌクレオチドを含有する。プライマーRev2は、配列番号8のヌクレオチド2405〜2436を含有する領域に相補的な配列に相当し且つXho1部位(下線部)及びクローニングを促進させるために5´部分に3個のさらなるヌクレオチドを含有する。
【0135】
反応条件は、最終容量50μl中に前記の逆転写反応のcDNA生成物50 ng、0.2μMのFwd2(配列番号11)及び0.2μMのRev2(配列番号12)、200μM dNTP類、40mM Tricine-KOH (pH8.7)、15mM KOAc、3.5mM Mg(Oac)2 、3.75μg/ml BSA、0.005%Tween-20、0.005%Nonidet-P40及び0.5U Taq DNAポリメラーゼを含有する。PCR反応をPerkin-Elmer 9700サーモサイクラー中で次の熱サイクルパラメーター:すなわち、94℃で5秒間の変性、72℃でプライマーのハイブリダイゼーションからなるサイクル5回、94℃で5秒間の変性、70℃で10秒間のプライマーのハイブリダイゼーション及び72℃で3分間のポリメラーゼ伸長からなるサイクル5回、最後に94℃で5秒間の変性、68℃で10秒間のプライマーのハイブリダイゼーション及び72℃で3分間のポリメラーゼ伸長からなるサイクル25回を使用して行った。
【0136】
PCRによって得られた生成物を1%アガロースゲル上で分離し、臭化エチジウム染色を使用して可視化した。約2.3kbのバンドが得られた。
【0137】
PCR生成物の核酸配列は、自動配列決定装置を使用して確認され且つBamH1部位を有するpQE-TriSystem (Qiagen) ファージベクターからの組換えヘテロカルピンの発現を可能にするために人工的に行われた開始コドンATGの欠失と、タンパク質へのファージ翻訳を保存し且つこのようにしてヘテロカルピンのC末端領域において8xHis配列の合成を可能にするための人工的に行われた停止コドンの欠失とを有する配列番号9の配列に相当する。この配列は、以下に示す配列番号13の配列に相当する:
配列番号13:



【0138】
この配列は、以下に示す配列番号14の配列のタンパク質をコードする:

【0139】
実施例3:細菌による組換えヘテロカルピンの産生:
ヘテロカルピンをコードするcDNAの部分を、pQE-TriSystem (Qiagen) 発現ベクターのBamH1/Xho1部位に挿入し、大腸菌M15を宿主細菌として使用して発現させた。100μg/mlのアンピシリンと25μg/mlのカナマイシンを含有するLB培地20mlに接種し、前記細菌を攪拌下で12時間37℃にした。この培養物から、100μg/mlのアンピシリンと25μg/mlのカナマイシンを含有するLB培地1リットルに接種し、600nmで0.6の光学濃度が得られるまで細菌を37℃で攪拌した。
【0140】
組換えヘテロカルピンの発現は、IPTGを1mMの最終濃度で4〜5時間にわたって加えることにより生じさせた。次いで、細菌を4000×gで20分間遠心分離することにより回収し、次いで液体窒素中で凍結させた。次いで、得られたペレットを氷中で15分間解凍し、50mM NaH2PO4 、300mM NaCl及び10mMイミダゾールからなるpH8.0の溶解用緩衝液に、氷中で1mg/mlのリゾチームの存在下で30分間懸濁した。溶解は、音波粉砕工程により最終的に完結させ、砕片を遠心分離で除去した。このようにして浄化した溶菌液(4ml)を、1mlのニッケルマトリックス懸濁液と混合し、4℃で60分間攪拌した。反応培地をカラムに入れ、50mM NaH2PO4 、300mM NaCl及び20mMイミダゾールの存在下で洗浄した。ヘテロカルピンが50mM NaH2PO4 、300mM NaCl及び250mMイミダゾールからなる緩衝液4×0.5 mlで最終的に溶出した。
【0141】
実施例4:バキュロウイルスに感染した昆虫由来の細胞による組換えヘテロカルピンの製造:
ヘテロカルピンをコードするcDNAの部分を、pQE-TriSystem (Qiagen) 発現ベクターのBamH1/Xho1部位に挿入した。pQE-TriSystemベクターは、相同的組換えを可能にするAutographa California核多核体病ウイルス(AcNPV)のウイルス配列を含有する。ヘテロカルピン配列を含有する組換えバキュロウイルスは、pQE-TriSystemベクターと、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)幼虫の卵巣組織から確立されたsf9又はsf21昆虫細胞中のバキュロウイルスのゲノム線状化DNAとの同時トランスフェクションにより調製される。移入された細胞をリン酸緩衝液で洗浄し、1000×gで5分間遠心分離することにより回収した。得られたペレットを、50mM NaH2PO4 、300mM NaCl及び10mMイミダゾールからなるpH8.0の溶解用緩衝液に懸濁した。溶解は音波粉砕工程により最終的に完結させ、砕片を遠心分離で除去した。このようにして浄化した溶菌液(4ml)を、200μlのニッケルマトリックス懸濁液と混合し、4℃で60分間攪拌した。反応媒体全部をカラムに入れ、50mM NaH2PO4 、300mM NaCl及び20mMイミダゾールの存在下で洗浄した。ヘテロカルピンを、50mM NaH2PO4 、300mM NaCl及び250mMイミダゾールからなる緩衝液4×0.5 mlで最終的に溶出した。
【0142】
実施例5:哺乳動物細胞による組換えヘテロカルピンの製造:
ヘテロカルピンをコードするcDNAの部分を、pQE-TriSystem (Qiagen) 発現ベクターのBamH1/Xho1部位に挿入した。pQE-TriSystemベクターは、極めて著しい多様な発現を可能にするニワトリのβ-アクチンプロモーターに融合されたサイトメガロウイルス(CMV)の活性化配列を含有する。ヒト胎児腎(HEK-293)細胞を、100 U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン硫酸塩を含有し、10%ウシ胎児血清を補足したDMEM培地(ダルベッコの変性イーグル培地)中で培養した。細胞の正常な代謝及びよりよいトランスフェクション効率を可能にするトランスフェクションの前に、細胞を24時間継代培養した。ヘテロカルピンをコードするcDNAを含有するpQE-TriSystem 1μgのトランスフェクションを、Effectene(登録商標)試薬を使用して製造業者(Qiagen)の推奨に従って行った。
【0143】
移入された細胞をリン酸緩衝液で洗浄し、1000×gで5分間遠心分離することにより回収した。得られたペレットを、50mM NaH2PO4 、300mM NaCl及び10mMイミダゾールからなるpH8.0の溶解用緩衝液に、0.05%Tween(登録商標)20の存在下で懸濁した。溶解は音波粉砕工程により最終的に完結させ、砕片を遠心分離で除去した。このようにして浄化した溶菌液(4ml)を、200μlのニッケルマトリックス懸濁液と混合し、4℃で60分間攪拌した。反応媒体全部をカラムに入れ、50mM NaH2PO4 、300mM NaCl及び20mMイミダゾールの存在下で洗浄した。ヘテロカルピンを、50mM NaH2PO4 、300mM NaCl及び250mMイミダゾールからなる緩衝液4×0.5 mlで最終的に溶出した。
【0144】
実施例6:ヒトGHRH受容体に対する結合の測定:
ヒトGHRH受容体(hGHRH-R)の安定なトランスフェクション:
ヒトGHRH受容体を安定に発現するHEK-293ヒト胎児腎細胞(Dr. Stuart Sealfon, Mount Sinai Medical School, New York, New Yorkによって開発された細胞系)を、Dr. Kelly Mayo (Northwestern University, Chicago, IL) から入手した。
【0145】
細胞培養及び膜調製:
前記のヒトGHRH受容体を用いて安定した方法で移入されたHEK-293細胞を、10%ウシ胎児血清及び4mMのL-グルタミン(Life Technologies)の存在下で0.4mg/mlのG418 (Life technologies)を補足したDMEM (ダルベッコの変性イーグル培地、高グルコース含有;Life technologiesから供給される)中で培養した。この細胞を50mM HEPES (pH7.4)、5mMの塩化マグネシウム (MgCl)、2mMのエチレングリコール-ビス(2-アミノ-エチル)-N,N,N´,N´-四酢酸 (EGTA) 及び50μg/mlのバシトラシン(細胞壁合成阻害)を含有する緩衝液A中でホモジナイズし、次いで上記と同じ緩衝液A中で音波粉砕に供した。このようにしてホモジナイズされた細胞を、4℃で39,000 gで10分間遠心分離し、緩衝液Aに懸濁し、4℃で40,000 gで10分間再度遠心分離した。全膜タンパク質をBradford法で定量した。ペレット化膜このようにしてその後の使用のために−80℃で保存した。
【0146】
hGHRH-Rに対する競合結合試験:
ヒトGHRH受容体を安定した方法で移入されたHEK-293細胞の膜を、50mM HEPES(pH7.4)、5mMのMgCl2 、2mMのEGTA、50μg/mlのバシトラシン及び0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する反応緩衝液に100μg/mlの濃度まで希釈した。この膜を最終容量200μl中で0.05 nMの[125I]GHRH(1-44アミド) (Amersham)と共にヘテロカルピンの存在下でヘテロカルピンの濃度を高めながら23℃で2時間インキュベートした。ポリエチレンイミン0.1%を予め加えたGF/C 96ウエルフィルターを用いて迅速に濾過することにより反応を停止させた。次いで、フィルターを、Packard 96ウエルフィルターステーションを使用して50 mM Tris(pH 7.4)を含有する洗浄用緩衝液を用いて4℃で3回洗浄した。このようにして乾燥したフィルターを20μlのシンチレーション混合液(Microscint 0, Packard)に浸し、Topcount (Packard)によるカウントに供した。非特異活性を100 nMのhGHRHの存在下で測定した。容量応答曲線をhGHRH (0.001 nM〜100 nM) について作成し、50%ヒトGHRHがヒトGHRH受容体に結合しないタンパク質/ポリペプチドの阻止濃度IC50を測定することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号8の配列又はその断片の一つからなる単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
配列番号8の配列のポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号9の配列のポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号4、配列番号5、配列番号11又は配列番号12の配列のポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号13の配列のポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号14の配列又はその断片の一つからなる単離ポリペプチド。
【請求項7】
配列番号14の配列のポリペプチドであることを特徴とする請求項6に記載の単離ポリペプチド。
【請求項8】
配列番号13の配列のポリヌクレオチドを含有する発現ベクター。
【請求項9】
請求項8に記載の発現ベクターによって形質転換又は形質導入された宿主細胞。
【請求項10】
配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つによってコードされるか、あるいは配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその断片の一つに相補的な配列によってコードされるタンパク質からなる単離ポリペプチド(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)の製造方法であって、次の連続する工程:すなわち、
(a) 適当な条件下で培養して、配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列、配列番号9又は配列番号13のポリヌクレオチド配列に相補的な配列、又はその断片の一つからなる単離ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを用いて形質転換又は形質導入された宿主細胞の前記ポリペプチドを発現させる工程(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)及び
(b) 宿主細胞培養物から前記ポリペプチドを単離する工程
からなる、前記単離ペプチドの製造方法。
【請求項11】
配列番号14の配列のタンパク質を特異的に結合するが配列番号10の配列のタンパク質を結合しない抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
医薬としての請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
医薬としての請求項6又は7に記載のポリペプチド。
【請求項14】
有効成分として請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬組成物。
【請求項15】
有効成分として請求項6又は7に記載のポリペプチドを含有してなる医薬組成物。
【請求項16】
増殖性疾患を治療する医薬を製造するための請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドの使用。
【請求項17】
増殖性疾患を治療する医薬を製造するための請求項6又は7に記載のポリペプチドの使用。
【請求項18】
ヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物の同定方法であって、次の連続する工程:すなわち、
(a) 各候補化合物を、
− 配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、あるいは
− 配列番号13のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号13のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、
からなる単離ポリペプチドと、前記候補化合物が前記ポリペプチドに結合することを可能にするのに十分な条件及び時間のもとで接触させる工程(但し、前記の単離ポリペプチドは、ヒトGHRHを結合し且つ細胞増殖の調節に関係するタンパク質に特有の少なくとも一つの免疫学的及び/又は生物学的活性を有するものである)、及び
(b) 前記ポリペプチドに対する各候補化合物の結合を検出し、候補化合物の中からヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物を同定する工程
からなるヒトGHRHを結合することができ且つ細胞増殖を調節することができる化合物の同定方法。


【公表番号】特表2007−528192(P2007−528192A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566105(P2004−566105)
【出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003629
【国際公開番号】WO2004/063376
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505474717)ソシエテ ド コンセイユ ド ルシェルシェ エ ダアップリカーション シャンティフィック(エス.セー.エール.アー.エス.) (41)
【Fターム(参考)】