説明

組換えマンネンタケ(Ganodermalucidium)免疫調節タンパク質(rLZ−8)およびその使用

本発明は、抗腫瘍、白血球数の増加および免疫学的拒絶の阻害等のための、組換えマンネンタケ(Ganoderma lucidium)免疫調節タンパク質(rLZ−8)の医学的使用に関する。該タンパク質遺伝子配列は、マンネンタケに由来し、そしてピキア・パストリス(Pichia pastoris)の真核生物発現系による組換え発現により適するように再設計された。rLZ−8の結晶構造(三次および四次構造)は、X線回折によって得られ、前記結晶構造および関連する機能の組み合わせに基づいて分析を行い、前記構造を有する任意のタンパク質分子は、前記医学的使用を有するという結論が導き出され、これは多数のin vivoおよびin vitro薬力学的研究によってすでに検証されている。結論として、本発明の組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質は、抗腫瘍薬剤または白血球数を増加させる薬剤または免疫阻害剤として使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、腫瘍、白血球減少症およびアレルギー性疾患等の適応症のための、真菌免疫調節タンパク質、特に特定の空間的構造を有する組換えマンネンタケ(Ganoderma lucidium)免疫調節タンパク質の医学的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]現存する研究ファイルにおいて、マンネンタケ由来の特定の種類のタンパク質は、制御、赤血球凝集、接着分子の遺伝子調節、アレルギー反応の抑制および免疫抗腫瘍効果を含む広範囲の免疫調節活性を発揮する。
【0003】
[0003]マンネンタケ属菌糸体の抽出物からの小分子タンパク質の分離および精製は、日本人、キノらによって1989年に行われ(Kohsuke Kinoら, J. Bio. Chem. 1989, 1:472−478)、このタンパク質はLZ−8と名付けられ、そのアミノ酸配列および免疫の生理学的活性もまた試験され、LZ−8のタンパク質配列は110アミノ酸残基で構成され、アセチル化されており、分子量は12.4KDであり、そして等電点は4.4であることが示されている。
【0004】
[0004]本発明者らは、二量体化の形成に必要な重要なN末端ドメインおよびC末端FNIIIドメインを主に含む、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質の結晶構造を初めて開示した。前記N末端ドメインは、αらせん(2−SDTA−LIFRLAWDVK−15のアミノ酸配列を有し、そして14アミノ酸からなる)およびβ鎖(16−KLSFD−20のアミノ酸配列を有し、そして5アミノ酸からなる)で構成され、αらせん上のSer残基はアセチル化によってブロッキングされている。1つのLZ−8単量体のN末端αらせんおよびβ鎖は、別のLZ−8単量体の同じドメインと一緒に、ドメイン交換を介して、重要なダンベル型の二量体結合ドメインを形成する。C末端FNIIIドメインは、免疫グロブリン様サンドイッチ構造に属し、そしてそれぞれ、β鎖A−B−Eおよびβ鎖G−F−C−Dによって形成される、βシートIおよびβシートIIを含む。研究結果によって、N末端αらせんAを通じてホモ二量体を形成し(研究によって、13のN末端アミノ酸残基がFipのための機能的ホモ二量体を形成するのに非常に必須であることが示された)、前記ホモ二量体を通じてリンパ球に結合し、そしてリンパ球が一連の情報伝達を通じて多様なサイトカインを分泌するように促進することによって、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質の免疫調節機能が本質的に達成されうることが示された。
【0005】
[0005]白血球数を増加させる効果を有する、現存する臨床薬剤のうち、組換えコロニー刺激因子(組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子など)が、多様な理由によって引き起こされる白血球減少症または顆粒球減少症、ならびに骨髄抑制治療によって引き起こされる白血球減少症を治療するために用いられる、唯一の遺伝子組換えタンパク質調製物である。長年の臨床適用によって、組換えコロニー刺激因子の優れた効果が証明されたが、これを含有するすべての製品は、「あなたが経験しうる一般的な副作用は、骨および筋肉の痛み、発熱、皮疹、掻痒、腹痛、下痢等です。少数の患者は、顔面紅潮、発汗、血圧低下、血中酸素飽和度低下を含む、最初の投与後の用量反応を経験する可能性もあります。深刻だが稀な副作用には、アレルギー、気管支痙攣、心不全、上室性頻拍症、毛細血管漏出症候群、脳血管疾患、精神異常、痙攣、血圧低下、頭蓋内圧高進、肺浮腫等が含まれます」のような副作用が記されている。
【0006】
[0006]LZ−8に関する先の報告は、LZ−8が、免疫調節経路を通じて、腫瘍細胞を殺すと示唆した。本発明において、本発明者らは、rLZ−8が、HL−60、NB4、K562腫瘍細胞を、間接的な免疫調節経路ではなく、直接的経路によって殺すことを見出した。
【0007】
[0007]マンネンタケ免疫調節タンパク質の主な機能は、末梢リンパ球および脾臓細胞の過形成を刺激し、ヒトおよび動物両方のマクロファージが多様な細胞因子(インターロイキン、腫瘍壊死因子およびインターフェロン等)を分泌するよう誘導し、そして病原体の侵害を防御しそして一掃し、健康を守りそして維持し、そして免疫調節機能を達成する点にある。本発明は、rlZ−8が全身性アレルギー反応および臓器移植後の免疫拒絶を有効に予防しうることを示唆する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Kohsuke Kinoら, J. Bio. Chem. 1989, 1:472−478
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0008]本発明の目的は組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質(rLZ−8)の結晶構造およびその新規の医学的使用を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0009]本発明は、生物医薬操作の分野に属し、抗腫瘍、白血球の産生および免疫抑制のための組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質の医学的使用を伴う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】[0022]rLZ−8結晶構造を示す図である。。
【図2】[0023]NB4腫瘍細胞に対するrLZ−8のin vitroの結果。
【図3】[0024]K562腫瘍細胞に対するrLZ−8のin vitroの結果。
【図4−1】[0025]rLZ−8が誘導するK562およびNB4細胞のアポトーシス、PI単染色試験結果。
【図4−2】[0025]rLZ−8が誘導するK562およびNB4細胞のアポトーシス、PI単染色試験結果。
【図5−1】[0026]rLZ−8が誘導するHl60およびNB4細胞のアポトーシス、アネキシンV/PI二重染色試験結果。
【図5−2】[0026]rLZ−8が誘導するHl60およびNB4細胞のアポトーシス、アネキシンV/PI二重染色試験結果。
【図6】[0027]S180エールリッヒ腹水腫瘍細胞をマウスに接種した際の体重変化。
【図7】[0028]H22腫瘍細胞をマウスに接種した際の体重変化。
【図8】[0029]FITC−rLZ−8(100ng.ml−1)ラット心筋組織マーカー(暗、DIC視野)。
【図9】[0030]FITC−rLZ−8(100ng.ml−1)ウサギ軟骨細胞マーカー(暗、DIC視野)。
【図10】[0031]FITC−rLZ−8(100ng.ml−1)HL−60細胞マーカー(暗、DIC視野)。
【図11】[0032]rLZ−8によって影響を受けるラット骨髄像。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0010]本発明の組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質(rLZ−8)は、遺伝子操作技術を介した、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)における組換え発現によって得られ、そしてrLZ−8のヌクレオチド配列は、天然マンネンタケ免疫調節タンパク質の公表される遺伝子配列(M58032)にしたがって再設計され、そして人工的に合成される。
【0013】
[0011]本発明は、X線回折によって、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質(rLZ−8)の結晶構造を初めて得る。前記タンパク質の結晶を培養するための条件は:1.75M硫酸アンモニウム、0.1M Tris、pH6.0および6.4%PEG 400である。空間群P32の単結晶は、ハンギングドロップ蒸気拡散法によって得られた。X線回折計の回折データ収集系によって、1.80Å解像度で結晶データを収集した。CCP4などのソフトウェアを用いて構造解析を行い、そして相交換を介して結晶構造を得た。各非対称単位において、4つの分子があることが見出され、ここでN末端αらせんの間で疎水性相互作用によって、そして逆平行β鎖の間で水素結合によって、2つの分子間に二量体が形成された。単分子のC末端は、FNIII型免疫グロブリン様フォールディングを有し、このドメインは2つのβシートで構成される。βシートの表面および接合部に、それぞれ、糖結合部位があると推測される。
【0014】
[0012]IMDM培地を用いて調製した異なる濃度のrLZ−8を、in vitroで培養した急性前骨髄球性白血病細胞株NB4および慢性骨髄性白血球細胞株K562に添加する、本発明のin vitro抗腫瘍試験において、rLZ−8が前記の2つの腫瘍細胞に対して殺傷効果を課すことが明らかに観察され、そしてMTT法の実験データは、薬剤効果が投薬量に有意に依存することを示した。本発明のin vivo抗腫瘍試験において、精製rLZ−8をS180/H22所持マウスに連続して10日間投与し、腹水腫瘍所持マウスを毎日重量測定し、そして頸椎脱臼によって屠殺し、腫瘍を皮下接種したマウスから腫瘍を切除して、そして重量測定し、その後、腫瘍阻害率を計算し、そして薬剤投与前および投与後の血中白血球数を測定した。結果によって、腫瘍に対するrLZ−8の阻害は投薬量に依存することが示された。in vitroおよびin vivo試験はどちらも、本発明のrLZ−8が優れた抗腫瘍効果を有することを示した。
【0015】
[0013]本発明において、蛍光色素(フルオレセイン−5−イソチオシアネート、FITC)を用いてrLZ−8を標識し、FITC−rLZ−8を形成し、これをHl60細胞、ラット心筋組織およびウサギ軟骨細胞とインキュベーションし、細胞を収集し、そして洗浄し、蛍光顕微鏡観察下で観察すると、FITC−rLZ−8と1時間および6時間インキュベーションしたHL−60は強い緑色蛍光を持ち、ラット心筋組織およびウサギ軟骨細胞と比較すると、有意な相違がある。これらの結果は、特定の受容体がrLZ−8によって認識されうることを示すのに役立った。rLZ−8のC末端FNIIIドメイン上に2つの炭水化物鎖結合部位があり、そして正常細胞表面上にはいかなるオリゴ糖連結も決して見られていないため、認識機構がHL−60細胞表面上のオリゴ糖連結に関連しうることが暗示される。これに基づいて、本発明は、rLZ−8の特異的殺傷効果が、細胞表面上の受容体の認識と関連するためでありうることを示唆する。
【0016】
[0014]抗腫瘍機構をさらに研究するため、rLZ−8で処理したK562およびHl60細胞のアポトーシス・パーセントを、ヨウ化プロピジウム(PI)染色およびアネキシンVおよびFITC染色を用いたフローサイトメトリーによって測定し、結果によって、細胞のアポトーシスは、rLZ−8が腫瘍細胞を殺す方式の1つであるという結論が導き出された。
【0017】
[0015]本発明は、rLZ−8が白血球減少症を予防しそして治療する際に有効であることを開示する。シクロホスファミドによって引き起こされた白血球減少症を患うラット/マウスに対する治療実験において、GenleiTM ScimaxTM(組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子注射剤)を陽性薬剤として、通常の生理食塩水で調製されたrLZ−8を、シクロホスファミドによって引き起こされた白血球減少症を患うラットモデルに、連続して7日間投与し、3日目および7日目に、尾静脈血液採取を行い、血液中の白血球数を測定し、治療前および治療後の白血球数相違を比較し、そして薬剤効果を分析した。シクロホスファミド対照群と比較すると、rLZ−8群ラットにおける白血球数は、投与3日目に非常に増加し、相違は非常に有意であり、そして投与7日目には、白血球数は正常レベルに回復した。
【0018】
[0016]γ線照射によって引き起こされる白血球減少症を患うマウスに対する治療実験において、正常対照群を除く各群のマウスに、同体積の通常の生理食塩水、陽性薬剤(GenleiTM ScimaxTM)および異なる用量のrLZ−8を、放射線照射当日から腹腔内注射した。放射線照射条件は:1分あたり150レントゲンの用量率で7.50Gy、180mV、15mAであった。投与前、ならびに照射5日目、7日目および9日目に、各群のマウスに対して尾静脈血液採取を行い、そして白血球数を計数した。照射7日後、マウスを重量測定し、そして頸椎脱臼によって屠殺し、脾臓を収集し、そして重量測定し、次いで脾臓指数を計算した。その後、脾臓をブアン液中で固定し、そして6時間後、脾臓表面上の造血巣数(CFU−S)を計数した。γ線照射によって引き起こされる白血球減少症を患うマウスに対する予防実験において、照射5日前に薬剤を投与し、そして続く工程は、上記の治療実験と同じであった。どちらの実験の実験データも、rLZ−8が、γ線照射によって引き起こされる白血球減少症を予防しそして治療するのに有効であることを示した。
【0019】
[0017]本発明は、rLZ−8が溶血効果を生じず、4種のヒト血液型の赤血球に対して凝血効果を課さず、そしてマウス骨髄に異常な変化を引き起こさないことを証明する。
[0018]本発明のrLZ−8は免疫抑制剤として使用可能である。実験において、rLZ−8がマウスの全身性アナフィラキシー反応を阻害する際に有効であり、そしてBSA(ウシ血清アルブミン)によって刺激されたマウスに対して、痙攣(hyperspasmia)などの陽性反応、運動の減少または死を引き起こさないことが見出された。
【0020】
[0019]本発明は、活性成分としてrLZ−8を含有する薬学的調製物を調製することを含み、該薬学的調製物は、主に、通常の注射剤、凍結乾燥注射剤、リポソーム注射剤、ターゲット送達注射剤などの非経口投与調製物であり、そして胃腸投与調製物、例えば、錠剤、カプセル、スプレー、ゲル、ゲル吸収剤、経口薬剤、懸濁物、インスタント薬剤、パッチ、丸剤、散剤、注射剤、注入溶液、座薬、希釈調製物、徐放調製物などに調製してもよい。
【0021】
[0020]本発明の薬学的調製物におけるrLZ−8の内容量は、1〜99%であり、残りは、デンプン、デキストリン、スクロース、ラクチン、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、Tween80、Carbomer、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、グリセリン、ゼラチン、ポリエチレングリコール、チメロサール、プロピルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、アセトンクロロホルム、安息香酸ナトリウム、ホウ砂、ブロモ−ゲラミン(geramine)、ソルビトール、プロパンジオール、イソプロパノール、ラウロカプラム、イソプロパノール/プロパンジオール(1:1)、イソプロパノール/(1:2)およびイソプロパノール/プロパンジオール(2:1)、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、ワセリン、ステアリン酸、流動パラフィン、ラノリン、オクタデカノール、ヘキサデカノール、モノステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、S−60、ペレガル0、マンニトール、ソルビトール等からなる群より選択される薬学的に許容されうるキャリアーである。
【0022】
[0021]本発明の薬学的調製物は、分野における慣用的プロセスによって調製可能である。
【実施例】
【0023】
実施例1 組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質の獲得
1.合成rLZ−8遺伝子、遺伝子操作細菌の構築、構築およびスクリーニング
[0033]ピキア・パストリスの遺伝暗号優先性にしたがって、元来のマンネンタケ免疫調節タンパク質遺伝子配列(M58032)に基づいて、全遺伝子に関して、LZ−8遺伝子(配列1)を再設計しそして合成し、配列1およびM58032は、同じアミノ酸配列をコードし、そしてこれらの間の相違は、再設計配列において、ピキア・パストリスの発現系により適したコドンが利用されていることであった。
【0024】
[0034]配列(配列1)を酵母α因子リーダーペプチドコード配列に連結して融合遺伝子とし、α−LZ−8遺伝子をpMD18−Tキャリアー内にクローニングし、正しい配列のキャリアーを直線化し、そして酵母遺伝子ゲノム内に導入し、そしてMMおよびMDプレート上でメタノールを効率的に利用するMut株をスクリーニングした。
【0025】
[0035]天然マンネンタケ免疫調節タンパク質(M58032)のコード配列は:
【0026】
【化1】

【0027】
である。
[0036]再設計された組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質(rLZ−8)のヌクレオチド配列(配列1)は:
【0028】
【化2】

【0029】
である。
[0037]前記組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質(rLZ−8)のアミノ酸配列は:
【0030】
【化3】

【0031】
である。
2.rLZ−8遺伝子操作細菌の発現
[0038]100L発酵槽規模発現rLZ−8条件において、発酵規模の発現、温度、回転速度、pH値、液体体積、メタノールの補充および他の検出によって、酵母の最適化されたプロセスが確立されている。本発明者らは、rLZ−8の物理的および化学的特性にしたがって、パイロット発酵培地配合物を設計した。rLZ−8アウトプットは約800mg・L−1である。
【0032】
3. rLZ−8の精製プロセス
[0039]発酵ブロス遠心分離装置→上清管状分離装置→限外ろ過→陽イオン交換カラム精製→ターゲットタンパク質調製のためのAKTAタンパク質精製ワークステーション→強陰イオン交換クロマトグラフィー精製→疎水性相互作用カラム→ゲルろ過クロマトグラフィー。
【0033】
4. RLZ−8純度および分子量決定
[0040]RP−HPLCを用いた分離および精製の純度分析によると、rLZ−8の純度は>99%である。組換え発現のrLZ−8分子量のレーザー飛行質量分析の評価は12,722Daである。
【0034】
5. rLZ−8のより高次の空間的構造の決定
[0041]空間群P32の単結晶をハンギングドロップ水蒸気拡散法によって得て、培養条件は:1.75M硫酸アンモニウム、0.1M Tris、pH6.0および6.4% PEG 400であった。MarResearch 345 dtd回折データ収集系によって、1.80Å解像度でrLZ−8のX線回折データを収集した。CCP4などのソフトウェアを用いて、構造解析を行い、そして相交換によって結晶構造を得た。結晶rLZ−8の構造は、簡潔に、以下のように記載された:LZ−8の構造は、二量体化の形成に必要な重要なN末端ドメイン、およびC末端FNIIIドメインを含む。前記N末端ドメインは、αらせん(2−SDTA−LIFRLAWDVK−15のアミノ酸配列を有し、そして14アミノ酸からなる)およびβ鎖(16−KLSFD−20の配列を有し、そして5アミノ酸からなる)で構成され、αらせん上のSer残基はアセチル化によってブロッキングされる。1つのLZ−8単量体のN末端αらせんおよびβ鎖は、別のLZ−8単量体の同じドメインと一緒に、ドメイン交換を介して、重要なダンベル型の二量体結合ドメインを形成する。C末端FNIIIドメインは、免疫グロブリン様サンドイッチ構造に属し、そして図1に示すように、それぞれ、β鎖A−B−Eおよびβ鎖G−F−C−Dによって形成される、βシートIおよびβシートIIを含み、β鎖の配列は、A. 21−TPNWGRG−27; B. 34−IDTVTFP−39; C. 48−YTYRVAV−54; D. 57−RNLGVKP−63; E. 72−SQKVN−76; F. 91−TIQVFVVDPD−100; G. 102−NNDFIIAQW−110であった。
【0035】
実施例2:ヒト前骨髄球性白血病NB4細胞に対するrLZ−8の殺傷効果
1.実験試薬
[0042]ろ過および病原菌除去後、IMDM培地を用いて、それぞれ、0.78μg・ml−1、1.56μg・ml−1、3.125μg・ml−1、6.25μg・ml−1、12.5μg・ml−1、25μg・ml−1、50μg・ml−1、100μg・ml−1である8つの濃度を調製した。
【0036】
2.実験法
[0043]96穴培地プレート上、パイロット穴には、NB4腫瘍細胞0.1mlおよび低濃度から高濃度のrLZ−8 0.1mlを加え;陰性対照群には、NB4腫瘍細胞および培地それぞれ0.1mlを加え;陽性薬剤対照群には亜ヒ酸Asを加え;各群に関して、複数の穴として6穴作製する。37℃、5%COインキュベーター中に48時間入れ、終結4時間前に、MTT15μl(5mg ml−1)を添加し、100μlの0.1mol L−1塩酸イソプロピルアルコールを添加することによる細胞培養の終結後、酵素結合免疫吸着法で、OD570nm値に関して試験した。
【0037】
3.実験結果
[0044]表1および図1は、rLZ−8薬剤群およびNB4正常対照群のOD570nm吸光値を示し、rLZ−8はNB4腫瘍細胞に対して、in vitroで強い致死効果を有する、有意な相違がある。
【0038】
表1 NB4腫瘍細胞に対するin vitroのrLZ−8の致死効果
【0039】
【化4】

【0040】
【表1】

【0041】
NB正常対照群と薬剤群の比較、p<0.01
実施例3:ヒト慢性骨髄性白血病K562細胞に対するrLZ−8の致死効果
1.実験試薬
[0045]rLZ−8の滅菌後、IMDM培地を用いて、それぞれ、3.125μg・ml−1、6.25μg・ml−1、12.5μg・ml−1、25μg・ml−1、50μg・ml−1、100μg・ml−1である6つの濃度を調製した。
【0042】
2.実験法
[0046]96穴培地プレート上、パイロット穴には、K562腫瘍細胞0.1mlおよび低濃度から高濃度のrLZ−8 0.1mlを加え;陰性対照群には、K562腫瘍細胞および培地それぞれ0.1mlを加え;陽性薬剤対照群には亜ヒ酸Asを加え;各群に関して、複数の穴として6穴作製する。37℃、5%COインキュベーター中に48時間入れ、終結4時間前に、MTT15μl(5mg ml−1)を添加し、100μlの0.1mol L−1塩酸イソプロピルアルコールを添加することによる細胞培養の終結後、酵素結合免疫吸着法で、OD570nm値を試験した。
【0043】
3.実験結果
[0047]表2および図3は、rLZ−8薬剤群およびK562正常対照群のOD570nm吸光値を示し、rLZ−8はK562腫瘍細胞に対して、in vitroで強い致死効果を有する、有意な相違がある。
【0044】
表2 腫瘍細胞K562に対するin vitroのrLZ−8の致死効果
【0045】
【化5】

【0046】
【表2】

【0047】
K562正常対照群と薬剤群の比較、p<0.01
実施例4:血液腫瘍細胞のアポトーシスに対するrLZ−8の影響
1. PI単染色フローサイトメトリー
1.1 実験装置および細胞株
[0048]蛍光顕微鏡、モデルLeica ASLMD、K562、NB4。
【0048】
1.2 実験試薬
[0049]rLZ−8は、それぞれ、高用量、中用量および低用量の3つの群に分類され、ここで本発明者らは、2%FCSを含有するIMDM培地を用いて、2.5μg・ml−1、0.5μg/ml、0.1μg・ml−1の調製物に調製した。ヨウ化プロピジウム(PI)50μg・ml−1
【0049】
1.3 実験群分け
[0050]正常対照群、陽性薬剤対照群(As)、rLZ−8低用量群(0.1μg・ml−1)、rLZ−8中用量群(0.5μg・ml−1)、rLZ−8高用量群(2.5μg・ml−1)としてK562を確立し;正常対照群、rLZ−8低用量群(0.1μg・ml−1)、rLZ−8中用量群(0.5μg・ml−1)、rLZ−8高用量群(2.5μg・ml−1)としてNB4をセットする。
【0050】
1.4 実験法
[0051]K562およびNB4細胞を、それぞれ、24穴プレート内で混合し、そして1ml/穴の異なる濃度のrLZ−8を供給し、各群に関して、複数の穴として3穴セットする。これらを37℃、5%COインキュベーター中に24時間入れ、各濃度の細胞を収集し、PBSで2回洗浄し、そして細胞密度を1×10/mlに調節して、70%氷冷エタノールで固定し、−20℃に調整し、そして一晩放置する。細胞を固定した後、細胞をPBSで2回洗浄し、PI(最終密度50μg・ml−1)を室温で添加し、そして10分間、遮光してインキュベーションし、1000r・分−1で5分間遠心分離し、上清を使い捨て器具で除去し、沈殿物を400μlのPBSに再懸濁する。そしてコンピュータ上で1時間試験する。
【0051】
1.5 実験結果
[0052]表3および図4は、K562およびNB4正常対照群と比較すると、rLZ−8薬剤群のアポトーシス率が増加していることを示し、本発明者らは、細胞のアポトーシスが、rLZ−8が腫瘍細胞を殺す方法の1つであるという結論を導き出しうる。
【0052】
表3 K562およびNB4に対してrLZ−8が誘導するアポトーシス率(%)
【0053】
【表3】

【0054】
2.アネキシンV−FITCフローサイトメトリー・キットは、細胞のアポトーシスを試験する
2.1 実験装置および細胞株
[0053]FACS Caliburフローサイトメトリー、U.S. Becton−Dickinson社、NB4、HL−60。
【0055】
2.2 実験試薬
[0054]2%FCSを含有するIMDM培地を用いて、0.1μg・ml−1、0.5μg・ml−1、2.5μg・ml−1の調製物にrLZ−8を調製、0.5μg・ml−1の亜ヒ酸(As)。アネキシンV−FITCキット:緩衝溶液4×を合わせる;ヨウ化プロピジウム溶液(PI)20μg・ml−1、0.2ml。
【0056】
2.3 実験群分け
[0055]NB4正常対照群、陽性薬剤群(As、0.5μg・ml−1)、タンパク質低用量群(0.1μg・ml−1)、中用量群(0.5μg・ml−1)、高用量群(2.5μg・ml−1)を確立し;HL−60正常対照群、タンパク質低用量群(0.1μg・ml−1)、中用量群(0.5μg・ml−1)、高用量群(2.5μg・ml−1)を確立する。
【0057】
2.4 実験法
[0056]NB4およびHL−60細胞を、それぞれ、24穴プレート内で混合し、1ml/穴の異なる濃度のrLZ−8を供給し、各群に関して、複数の穴として3穴セットする。これらを37℃、5%COインキュベーター中に24時間入れ、各濃度の細胞を収集し、あらかじめ4℃に冷却したPBSで細胞を2回洗浄し、250μlの結合緩衝溶液で細胞を再懸濁し、そして細胞密度を1×10/mlに調節して、100μlを5mlフローサイトメトリー用チューブに取り、そして5μlアネキシンV/FITCおよび10μlの20μg・ml−1 PI溶液を添加し、混合した後、室温に置いて、そして15分間、遮光してインキュベーションし、400μl PBSを添加してフローサイトメトリー分析する。
【0058】
2.5 実験結果
[0057]図5および表4は、NB4−rLZ−8群およびHL−60−rLZ−8群において、アポトーシス率が正常対照群より有意に高く、そしてHL−60−rLZ−8群のアポトーシスがまた、rLZ−8濃度が増加するにつれて上昇することを示す。
【0059】
表4 NB4およびHL−60細胞に対するrLZ−8誘導性アポトーシス率(%)
【0060】
【表4】

【0061】
実施例5:マウスS180エールリッヒ腹水腫瘍に対するrLZ−8による阻害実験
1.実験材料
[0058]吉林大学実験動物センターより提供されたマウス、18〜22gの雄および雌を等しく分けた;本発明者らの研究室によって提供されたマウス・エールリッヒ腹水細胞株S180;Jiangsu Hengrui Medicine Co., Ltd.によって提供されたシクロホスファミド(CTX)、ロット番号:06101921。実験群中のS180腹水腫瘍および固形腫瘍を、正常対照群、陰性対照群、陽性対照群、rLZ−8低用量治療群(0.25mg・kg−1)、rLZ−8中用量治療群(0.5mg・kg−1)、rLZ−8高用量治療群(1mg・kg−1)に分けた。各群10匹のマウス。
【0062】
2.実験法
[0059]S180皮下腫瘍阻害実験法:よく増殖しているS180細胞を選択し、滅菌生理食塩水で適切に希釈して腫瘍細胞懸濁物にし、10・L−1の細胞数で、各マウスの右の脇の下に0.2ml皮下接種する(正常対照群を除く)。接種の24時間後に治療する。正常対照群および陰性対照群には、一匹あたり生理食塩水0.2ml・d−1を腹腔内注射し;陽性対照群には、シクロホスファミド20mg・kg−1、一匹あたり0.2ml・d−1を腹腔内注射した。rLZ−8治療群には、それぞれ尾静脈注射で、一匹あたり0.2ml・d−1の用量を連続10日間投与した。投薬のそれぞれ10日前および10日後に、眼窩静脈叢から血液を抜き取り、吉林大学第一病院臨床実験室に送り、試験して、そしてWBC数を分析した。投薬中止翌日にすべてのマウスを頸椎脱臼によって殺し、解剖して、そして腫瘍を取り出し、腫瘍の重量を測定し、以下の等式を用いて阻害率を計算する:
[0060]阻害率(%)=(対照群の平均腫瘍重量−実験群の平均腫瘍重量)/対照群の平均腫瘍重量×100%
[0061]S180腹水腫瘍阻害実験法:よく増殖しているS180細胞を選択し、滅菌生理食塩水で適切に希釈して腫瘍細胞懸濁物にし、10・L−1の細胞数で、各マウスに0.2ml腹腔内接種する(正常対照群を除く)。接種の24時間後に治療する。正常対照群および陰性対照群には、一匹あたり生理食塩水0.2ml・d−1を腹腔内注射し;陽性対照群には、シクロホスファミド20mg・kg−1、一匹あたり0.2ml・d−1を腹腔内注射した。rLZ−8治療群には、それぞれ尾静脈注射で、一匹あたり0.2ml・d−1の用量を連続10日間投与した。毎日重量測定し、マウスの重量変化を観察し、重量増殖曲線を描く。
【0063】
3.実験結果:
[0062]S180皮下腫瘍阻害実験結果:表5からわかるように、rLZ−8の3つの用量は、S180の増殖を阻害可能であり、阻害率は16.8%、25.7%および45.5%である。rLZ−8治療群の腫瘍重量を陰性対照群と比較すると、非常に有意な相違(p<0.01)がある。
【0064】
[0063]表6からわかるように、投薬前、マウスにおけるWBC数は、すべての群で同じレベルであり、陰性対照群と比較して、相違は示されなかった(p>0.05)。治療10日後、陰性対照群WBC数は正常対照群より高く、rLZ−8低用量群および中用量群WBC数および陰性対照群は相違を示さず(p>0.05)、高用量群および正常対照群でもまた相違はなく(p>0.05)、陽性対照群のWBC数は有意に減少し、そして正常対照群および陰性対照群と比較すると、大きな相違があった(p<0.01)。
【0065】
表5. マウス移植S180腫瘍に対するrLZ−8の阻害効果
【0066】
【化6】

【0067】
【表5】

陰性対照群との比較、P<0.01
表6. マウス移植S180腫瘍の白血球に対するrLZ−8の影響
【0068】
【化7】

【0069】
【表6】

陰性対照群との比較、p<0.01;**p>0.05
[0064]S180腹水腫瘍阻害実験結果:実験結果によって、すべての群のマウス腹水は、基本的に同時に現れ、陰性対照群のマウス体重は迅速に増加し、生存時間は減少することが示された。図6から、rLZ−8群のマウスでは正常群より平均体重が増加するが、陰性対照群よりも比較的小さい傾向がわかる。rLZ−8は、ある程度まで、マウス腹腔S180腫瘍細胞増殖を阻害したことに注目されたい。
【0070】
実施例6: マウス肝癌細胞H22に対するrLZ−8による阻害実験
1.実験材料
[0065]吉林大学実験動物センターより提供されたマウス、18〜22gの雄および雌を等しく分けた。本発明者らの研究室によって提供されたマウス肝癌細胞株H22。Jiangsu Hengrui Medicine Co., Ltd.によって提供されたシクロホスファミド(CTX)、ロット番号:06101921。
【0071】
2.実験法
[0066]H22肝癌細胞実験群を、正常対照群、陰性対照群、陽性対照群、rLZ−8低用量治療群(0.25mg・kg−1)、rLZ−8中用量治療群(0.5mg・kg−1)、rLZ−8高用量治療群(1mg・kg−1)に分けた。各群10匹のマウス。
【0072】
[0067]H22皮下腫瘍阻害実験法:よく増殖しているH22細胞を選択し、滅菌生理食塩水で適切に希釈して腫瘍細胞懸濁物にし、10・L−1の細胞数で、各マウスの右の脇の下に0.2ml皮下接種する(正常対照群を除く)。接種の24時間後に治療する。正常対照群および陰性対照群には、一匹あたり生理食塩水0.2ml・d−1を腹腔内注射し;陽性対照群には、シクロホスファミド20mg・kg−1、一匹あたり0.2ml・d−1を腹腔内注射した。rLZ−8治療群には、それぞれ尾静脈注射で、一匹あたり0.2ml・d−1の用量を連続10日間投与した。投薬のそれぞれ10日前および10日後に、眼窩静脈叢から血液を抜き取り、吉林大学第一病院臨床実験室に送り、試験して、そしてWBC数を分析した。投薬中止翌日にすべてのマウスを頸椎脱臼によって殺し、解剖して、そして腫瘍を取り出し、腫瘍の重量を測定し、以下の等式を用いて阻害率を計算した:
[0068]阻害率(%)=(対照群の平均腫瘍重量−実験群の平均腫瘍重量)/対照群の平均腫瘍重量×100%
[0069]H22腹水腫瘍阻害実験法:よく増殖しているH22細胞を選択し、滅菌生理食塩水で適切に希釈して腫瘍細胞懸濁物にし、10・L−1の細胞数で、各マウスに0.2ml腹腔内接種する(正常対照群を除く)。接種の24時間後に治療する。正常対照群および陰性対照群には、一匹あたり生理食塩水0.2ml・d−1を腹腔内注射し;陽性対照群には、シクロホスファミド20mg・kg−1、一匹あたり0.2ml・d−1を腹腔内注射した。rLZ−8治療群には、それぞれ尾静脈注射で、一匹あたり0.2ml・d−1の用量を連続10日間投与した。毎日重量測定し、マウスの重量変化を観察し、重量増殖曲線を描く。
【0073】
3.実験結果:
[0070]H22皮下腫瘍阻害実験結果:表7からわかるように、rLZ−8の3つの用量群は、S180の増殖を阻害可能であり、阻害率は16.7%、30.0%および42.5%であった。rLZ−8治療群の腫瘍重量を陰性対照群と比較すると、非常に有意な相違(p<0.01)がある。
【0074】
表7. マウス移植腫瘍H22に対するrLZ−8の阻害効果
【0075】
【化8】

【0076】
【表7】

陰性群との比較、p<0.01
[0071]表8からわかるように、投薬前、これらの群におけるマウスのWBC数は、陰性対照群と比較して、同じレベルであり、相違は示されなかった(p>0.05)。治療10日後、陰性対照群WBC数は正常対照群のものより高く、rLZ−8低用量群および中用量群WBC数ならびに陰性対照群のものは相違を示さず(p>0.05)、高用量群を正常対照群と比較すると相違はなく(p>0.05)、陽性対照群のWBC数は、正常対照群および陰性対照群と比較すると、有意に減少し、有意に相違があった(p<0.01)。
【0077】
表8. マウス移植腫瘍H22の白血球に対するrLZ−8の影響
【0078】
【化9】

【0079】
【表8】

陰性群との比較、p<0.01;**p>0.05
[0072]H22腹水腫瘍阻害実験結果:結果によって、マウスのrLZ−8群が陰性対照群より長く生き残り、陰性対照群のマウスは食欲の喪失を示したが、重量は迅速に増加し、そして運動は減少したことがわかった。図7から、rLZ−8群では、マウスの体重増加は平均して正常群より大きいが、陰性対照群より少ないことがわかる。これは、rLZ−8がマウス腹腔内H22腫瘍細胞増殖をある程度阻害したことを示す。
【0080】
実施例7: rLZ−8蛍光標識、ならびに正常組織細胞およびHl−60細胞に対するその影響
1. FITC標識のrLz−8蛍光
1.1 実験試薬および装置
[0073]蛍光色素(フルオレセイン−5−イソチオシアネート、FITC)、GL Biochem(上海);ジメチルスルホキシド;炭酸緩衝溶液(pH8〜9.5)(NaCO 4.3g、NaHCO 8.6g、ddHOを500mlまで添加);リン酸緩衝生理食塩水(PBS);脱塩Hiprep 26/10脱塩カラム;AKTA精製装置;Hitachiモデルとしての分光光度計。
【0081】
1.2 実験法
[0074]精製rLZ−8(7.5mg・ml−1)20mlと炭酸緩衝液(pH8.3)を混合して、一晩透析し、3.75mg FITCを重量測定し、ジメチルスルホキシド(DMSO)3.75mlを添加してFITC−DMSO溶液とする。まず、rLZ−8を小さい50mlビーカーに入れ、そして次いで、FITC−DMSO溶液滴をrLZ−8溶液内に混合して、そしてPBSで30mlに増加させ、磁気スターラーを用いて室温および遮光化で4時間攪拌し、AKTA精製系において、脱塩Hiprep 26/10でカラムを脱塩して、遊離フルオレセインを除去し、75mlのPBSで溶出し、280nm、495nmで検出し、そしてピークを収集する。
【0082】
1.3 実験結果:
[0075]調製したFITC−rLZ−8(10倍希釈)を220nm〜520nmでスキャンすると、A495=0.445、A280=0.67であり、タグ効率(F/P)を計算すると3.80である。
【0083】
2. ラット心筋組織に対する標識の影響
2.1 実験試薬および装置
[0076]Leica CM1850凍結切片作製装置;ウィスターラット;蛍光顕微鏡80i(Nikon);等張PBS緩衝液(pH7.2);ウシ胎児血清(FBS、Gibco);FITC−rLZ−8は本発明者らの研究室で調製される。
【0084】
2.2 実験法
[0077]ラットの首を切断し、そして殺し、そして心臓を取り出し、切片作製のために−20℃に温度が低下するまで、これらを凍結マイクロトームに入れ、そして心筋およびFITC−rLZ−8溶液(100ng・ml−1)のPBS調製物を合わせて37℃で1時間インキュベーションし、蛍光顕微鏡下で観察し、ブランク対照群を確立した。
【0085】
2.3 実験結果:
[0078]心筋組織の蛍光顕微鏡観察下、可視蛍光はなく、ブランク対照群と比較すると、相違はなかった。図8を参照されたい。
【0086】
3. ウサギ軟骨細胞の初代培養に対する標識の影響
3.1 実験試薬および装置
[0079]日本白ウサギ(雄、2.5kg)4匹;手術器具;0.25%トリプソゲン+0.02%EDTA;0.2%コラゲナーゼ;D−Hanks;IMDM培地(50ml・ml−1、ビタミンC、二重抗体);0.025mg・ml−1ポリリジン溶液;注射用滅菌水(WFI)。
【0087】
3.2 実験法
[0080]実験動物を固定し、そして空気塞栓によって死亡させ、腹部の中央の皮を剥ぎ、そして肢を暴露し、筋膜をはさみで切り、長骨から背骨を外し、大まかに余分なものを削りながら、膝全体、臀部および肩の骨を注意深く取り除き、D−Hanks内に浸した。組織を入れたビーカーを超清潔装置内に移し、削ってそしてきれいにした後、組織を第二の滅菌D−Hanksカップ内に移し;ナイフを組み立て、軟骨の薄い層を取り除き、カーブしたピンセットを用いて、6cm培養インキュベーター内に移し、D−Hanksで3回洗浄し、D−Hanksの大部分を廃棄し、眼科用はさみを用いて、軟骨を1mmスライスに切り、D−Hanksの大部分を廃棄し、壊れた骨片をすくって取り除き、10cm培養フラスコ内に入れ、消化のため、トリプソゲンEDTAと37℃で30分間混合し;トリプソゲンをコラゲナーゼと置き換え、37℃のインキュベーターに入れ、1時間ごとに取り出してそして5分間振盪し、4〜4.5時間で消化を終了する。これを調製して細胞懸濁物溶液として、そしてFBS 15%を含有する3ml IMDMと混合し、5×10・ml−1を培養フラスコ内に接種する。
【0088】
[0081]24穴プレート上、細胞を0.5ml/穴で播種し、ブランク対照群を確立し、最終濃度0.25μg・ml−1 FITC−rLZ−8 0.5mlと37℃で1時間インキュベーションし、細胞を1.5ml EP遠心分離(1000r・分−1、7分間)内に移し、等張PBSで3回洗浄し、EP試験管を0.1ml PBSと混合し、細胞を再懸濁し、懸濁物をチェックして、蛍光顕微鏡下で観察を行う。
【0089】
3.3 実験結果:
[0082]蛍光顕微鏡下で観察すると、ウサギの軟骨細胞型は損なわれておらず(intact)、緑色蛍光を伴わず、対照群と比較して、有意な相違はなかった。実験群の写真を図9に示す。
【0090】
4. Hl−60細胞の標識の影響
4.1 実験試薬および装置
[0083]蛍光顕微鏡80i(Nikon)、IMDM細胞培地(Hyclone)、ウシ胎児血清(FBS、Gibco)、FITC−rLZ−8および等張PBS溶液(pH7.2)を本発明者らの研究室で調製した。
【0091】
4.2 実験法
[0084]24穴プレート上、各穴0.5mlで、2×10を接種することによって、HL−60を播種し、IMDM(2%FBS)培地でFITC−rLZ−8を100ng・ml−1に調製し、各穴0.5mlでインキュベーションし(37℃)、対照群、実験群1時間および実験群6時間を確立し、細胞を1時間および6時間でそれぞれ抜き取って、1.5ml EP試験管内で混合し、1000r・分−1で遠心分離し、上清を除去し、FBSで3回洗浄し、洗浄後に再懸濁する。
【0092】
4.3 実験結果
[0085]図10は、蛍光顕微鏡下で観察したものであり、1時間および6時間、FITC−rLZ−8とともにHL−60細胞をインキュベーションしたものでは強い緑色蛍光を伴い、6時間群では、細胞の凝集があるが、ブランク対照群では、前者に比較して、緑色蛍光はなく、有意な相違がある。
【0093】
実施例8: マウスにおける白血球の予防におけるrLZ−8の影響
1. 薬剤調製
[0086]滅菌生理食塩水のrLZ−8調製。これらを5μg・kg−1、2.5μg・kg−1、1.25μg・kg−1、0.62μg・kg−1用量群、0.2ml/片に分けた。
【0094】
[0087]GenleiTM ScimaxTM[組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子注射剤(rhG−CSF)]、製造ロット番号:20060403;75μg/片を通常の滅菌生理食塩水で調製して、3.2μg・kg−1、0.2ml/片の調製物にした。
【0095】
[0088]注射用のシクロホスファミド(CTX)(製造ロット番号07121821;200mg/バイアル)を通常の滅菌生理食塩水で調製して、12.5mg・kg−1、0.2ml/片の調製物にした。
【0096】
[0089]3ml氷酢酸を取り、そしてHOを100mlまで添加し、次いで、生じた溶液をろ過することによって、酢酸の3%溶液を調製する。
2 実験法
[0090]マウスを7つの群に分け、そして各群は5匹の雄マウスおよび5匹の雌マウスを含む。同一体積の通常の滅菌生理食塩水を投与した正常対照群のマウスを除いて、各群の各マウスに、1日1回3日間の腹腔内注射を通じて、0.2mlのシクロホスファミド溶液(12.5mg・kg−1)を連続投与した。尾静脈血液試料採取を3日目に行い、血液中の白血球数を顕微鏡下で測定した。モデリングに成功した後、同一体積の滅菌生理食塩水を投与した、正常対照群のマウスおよびシクロホスファミド(CTX)治療群のマウスを除いて、各群の前記各マウスを、対応する用量のrLZ−8および陽性薬剤(GenleiTM ScimaxTM)で治療した。尾静脈血を治療の3日目、7日目、14日目に、それぞれ収集する。治療前および後の白血球数相違を比較し、そして薬剤効果を分析した。
【0097】
[0091]白血球数を計数するための方法:赤血球を溶解させるため、3%酢酸溶液で、血液を20倍希釈する。生じた溶液を白血球計数セル内に滴下し、そして顕微鏡下で白血球数を計数し、そして白血球数/mmを計算した。
【0098】
3 実験結果
[0092]表9からわかるように、CTX群と比較すると、マウスにおけるrLZ−8薬剤群の治療3日目、有意により多いWBCがあり、相違は非常に有意であり、WBCは治療7日目に回復する。
【0099】
表9 低インターロイキンマウスモデルに対するrLZ−8の影響
【0100】
【化10】

【0101】
【表9】

比較は、CP対照群間である、P<0.01
実施例9: ラットにおける白血球の治療におけるrLZ−8の影響
1. 薬剤調製
[0093]滅菌生理食塩水のrLZ−8調製。これらを20μg・kg−1、10μg・kg−1、5μg・kg−1、2.5μg・kg−1、1.25μg・kg−1、0.625μg・kg−1、0.31μg・kg−1用量群に分けた。
【0102】
[0094]GenleiTM ScimaxTM[組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子注射剤(rhG−CSF)]、製造ロット番号:20071104;150μg/片を通常の滅菌生理食塩水で調製して、9.45μg・ml−1、0.1ml/片の調製物にした。
【0103】
[0095]注射用のシクロホスファミド(CTX)(製造ロット番号07121821;200mg/バイアル)を通常の滅菌生理食塩水で調製して、49mg・kg−1、0.2ml/片にした。
【0104】
[0096]3ml氷酢酸を取り、そしてdHOを100mlまで添加し、次いで、生じた溶液をろ過することによって、酢酸の3%溶液を調製する。
2 実験法
[0097]ラットを10群に分け、そして各群は5匹の雄ラットおよび5匹の雌ラットを含む。同一体積の通常の滅菌生理食塩水を投与した正常対照群のラットを除いて、各群の各ラットに、1日1回3日間の腹腔内注射を通じて、0.2mlのシクロホスファミド溶液(49mg・kg−1)を連続投与した。尾静脈血液試料採取を3日目に行い、血液中の白血球数を顕微鏡下で計数した。モデリングに成功した後、同一体積の滅菌生理食塩水を投与した、正常対照群のラットおよびシクロホスファミド(CTX)治療群のラットを除いて、各群の前記各ラットを、対応する用量のrLZ−8および陽性薬剤(GenleiTM ScimaxTM)で治療した。尾静脈血を、治療の3日目、7日目、14日目に、それぞれ収集する。治療前および後の白血球数相違を比較し、そして薬剤効果を分析した。
【0105】
[0098]白血球数を計数するための方法:赤血球を溶解させるため、3%酢酸溶液で、血液を20倍希釈する。生じた溶液を白血球計数セル内に滴下し、そして顕微鏡下で白血球数を計数し、そして白血球数/mmを計算した。
【0106】
3 実験結果
[0099]表10からわかるように、CTX群と比較すると、ラットにおけるrLZ−8薬剤群の治療3日目、有意により多いWBCがあり、相違は非常に有意であり、WBCは治療7日目に回復した。
【0107】
表10 低インターロイキンラットモデルに対するrLZ−8の影響
【0108】
【化11】

【0109】
【表10】

比較は、CP対照群間である、p<0.01
実施例10
放射線照射によるマウスモデルの予防におけるrLZ−8の影響
1. 薬剤調製
[0100]滅菌生理食塩水のrLZ−8調製。これらを5μg・kg−1、2.5μg・kg−1、1.25μg・kg−1、0.62μg・kg−1用量群に分ける。0.2ml/片。
【0110】
[0101]GenleiTM ScimaxTM[組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子注射剤(rhG−CSF)]、製造ロット番号:20060403;150μg/片を通常の滅菌生理食塩水で調製して、3.2μg・kg−1、0.2ml/バイアルの調製物にした。
【0111】
[0102]注射用のシクロホスファミド(CTX)(製造ロット番号07121821;200mg/バイアル)を通常の滅菌生理食塩水で調製して、12.5mg・kg−1、0.2ml/片とした。
【0112】
2 実験法
[0103]マウスを7つの群に分け、そして各群は5匹の雄マウスおよび5匹の雌マウスを含む。同一体積の通常の滅菌生理食塩水を投与した正常対照群のマウスを除いて、各群の各マウスに、陽性薬剤(GenleiTM ScimaxTM)および異なる用量のrLZ−8を1日1回5日間連続投与した。放射線照射を5日目に行い、そして放射線照射条件は、1分あたり150レントゲンの用量率で7.50Gy、180mV、15mAであった。投与前、および投与5日目、ならびに照射5日目および7日目に、各群のマウスに対して尾静脈血液採取を行い、そして白血球数を計数した。白血球計数法は上述のものと同じである。マウスを重量測定し、そして頸椎脱臼によって屠殺し、脾臓を収集し、そして重量測定し、次いで脾臓指数を計算した。その後、脾臓をブアン液中で固定し、そして6時間後、脾臓表面上の造血巣数(CFU−S)を計数した。
【0113】
3 実験結果
[0104]表11からわかるように、CTXモデル群と比較すると、投与5日目、異なる用量のrLZ−8で治療した群のマウスの白血球数は有意に増加しており、そしてCTX群およびrLZ−8群間には有意差が存在する(p<0.05)。rLZ−8群の白血球数は、放射線照射5日目に最低であり、そして7日目に増加し、そしてモデル群およびrLZ−8群間には有意差が存在する(p<0.05)。
【0114】
表11. 照射によるマウスモデルの予防における影響の結果
【0115】
【化12】

【0116】
【表11】

比較は、モデル群間である、p<0.05
実施例11
放射線照射によるマウスモデルの治療におけるrLZ−8の影響
1. 薬剤調製
[0105]滅菌生理食塩水のrLZ−8調製。これらを5μg・kg−1、2.5μg・kg−1、1.25μg・kg−1、0.62μg・kg−1用量群に分ける。0.2ml/片。
【0117】
[0106]GenleiTM ScimaxTM[組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子注射剤(rhG−CSF)]、製造ロット番号:20060403;150μg/バイアルを通常の滅菌生理食塩水で調製して、3.2μg・kg−1、0.2ml/バイアルにした。
【0118】
[0107]注射用のシクロホスファミド(CTX)(製造ロット番号07121821;200mg/バイアル)を通常の滅菌生理食塩水で調製して、12.5mg・kg−1、0.2ml/バイアルの調製物にした。
【0119】
2 実験法
[0108]マウスを7つの群に分け、そして各群は5匹の雄マウスおよび5匹の雌マウスを含む。正常対照群のマウスを除く各群の各マウスに、同体積の通常の滅菌生理食塩水、陽性薬剤(GenleiTM ScimaxTM)および異なる用量のrLZ−8を、放射線照射当日から腹腔内注射した。放射線照射条件は:1分あたり150レントゲンの用量率で7.50Gy、180mV、15mAであった。投与前、ならびに照射5日目、7日目および9日目に、各群のマウスに対して尾静脈血液採取を行い、そして白血球数を計数した。照射7日後、マウスを重量測定し、そして頸椎脱臼によって屠殺し、脾臓を収集し、そして重量測定し、そして次いで脾臓指数を計算した。その後、脾臓をブアン液中で固定し、そして6時間後、脾臓表面上の造血巣数(CFU−S)を計数した。
【0120】
3 実験結果
[0109]表12からわかるように、rLZ−8群の白血球数は、照射7日目に最低であり、そして9日目に増加し、そしてモデル群およびrLZ−8群間には有意差が存在する(p<0.05)。
【0121】
[0110]表13からわかるように、すべてのrLZ−8群は、脾臓増殖の過形成を刺激した。各rLZ−8群のマウスの脾臓指数およびコロニー形成単位−脾臓(CFU−S)は、モデル群のマウスのものより高かった(p<0.05)。
【0122】
表12. 照射によるマウスモデルの治療における影響の結果
【0123】
【化13】

【0124】
【表12】

比較は、モデル群間である、p<0.05
表13. 照射によるマウスモデルにおけるコロニー形成単位−脾臓の数値
【0125】
【化14】

【0126】
【表13】

比較は、モデル群間である、p<0.01
実施例12:マウスにおけるrLZ−8が阻害する全身アレルギー反応実験
1.実験試薬
[0111]rLZ−8(700μg/ml−1)を通常の生理食塩水で調製して、700μg・ml−1の調製物にした;水酸化アルミニウム(アジュバント)をPBS緩衝液で調製して、15mg・ml−1の調製物にした;ウシ血清アルブミン(BSA)およびオボアルブミン(OVA)。
【0127】
2.実験法
[0112]熱源のない環境に置いた40匹の雄マウス(15週齢、体重18〜22g)を、4群に分けた:rLZ−8の第I群、rLZ−8の第II群、陽性対照群、正常対照群。rLZ−8の第I群の各マウスに、0.1ml/10g体重のrLZ−8を週2回腹腔内注射し、そして全部で6回注射し;2回注射した後、感作のため、前記マウスにBSA(1mg)および0.2mlの水酸化アルミニウムの懸濁物(15mg・ml−1)の混合物を腹腔内注射し;そしてこれらに、感作17日目に、尾静脈を介して、0.2ml PBSに加えた1mg BSAを注射し、そしてアレルギー反応を観察した。正常対照群の各マウスには、rLZ−8の代わりに、等体積の通常の生理食塩水を投与した。rLZ−8の第II群の各マウスには、感作17日目に、静脈を介して、BSA−rLZ−8の混合物(rLZ−8 70μg・ml−1およびBSA 5mg・ml−1、PBSで調製)を0.1ml/10g体重で注射した。陽性対照群の各マウスには、感作17日目に、静脈を介して、BSAの代わりに1mg OAを注射した。観察基準:静脈を通じた注射後、30分間、全身アレルギー性反応を観察した。陽性反応の判断基準:過剰痙攣症、運動減少または死。陰性反応の判断基準:通常の運動。
【0128】
[0113]表14に示すように、rLZ−8は、BSAによって引き起こされたマウスの全身性アレルギー反応を阻害した。rLZ−8、およびショックを引き起こす用量のBSAを同時注射すると、rLZ−8は全身性アレルギー反応を予防しなかった。
【0129】
表14. マウスにおいて、rLZ−8が阻害する全身性アレルギー反応の結果
【0130】
【表14】

実施例13 rLZ−8の溶血試験
1.実験試薬
[0114]rLZ−8を5%グルコース溶液で調製して、1mg・ml−1の調製物にした;血液細胞懸濁物調製:ヒト血液4mlを1000r/分で10分間遠心分離し、上清を除去する。赤血球沈降物に、5%グルコース溶液を体積の約10倍添加し、振盪し、1000r/分で20分間遠心分離し、上清を除去し、上清が顕著に赤くなくなるまで、洗浄を2〜3回反復する。実験のため、得た赤血球を5%グルコース溶液で調製して、2%懸濁物に調製する。
【0131】
2.実験法
[0115]28の清浄な試験管を取り、そしてこれらに番号を付け、第1〜5番をrLZ−8薬剤群とし、第6番を陰性対照群(5%グルコース溶液)とし、第7番を陽性対照試験管(蒸留水)とし、そして総数4つの平行比較試験管を用意する。2%赤血球懸濁物、5%グルコースまたは蒸留水を順番に供給し、振盪し、これらをインキュベーションするため、37℃±0.5℃のインキュベーター内に直ちに入れる。15分ごとに1時間これらを観察した後、3時間で1回観察する。観察終了後、試験管からすべての溶液を遠心分離乾燥試験管に入れ、1500r・分−1で25分間遠心分離した。上清を除去し、OD値に関してブランク蒸留水試験管を読み取って、溶血率を計算する。
【0132】
3.実験結果
[0116]表15中、薬剤群のrLZ−8溶血率は、第1〜5群で<5%であり、溶血反応の徴候はないことがわかる。
【0133】
表15 ヒト赤血球可溶化に対するrLZ−8溶血の実験結果
【0134】
【化15】

【0135】
【表15】

実施例14:ラット骨髄像に対するrLZ−8の影響
1.実験試薬
[0117]ウィスター、9匹、約100g。rLZ−8を滅菌生理食塩水溶液で60mg・kg−1、30mg・kg−1、15mg・kg−1の3用量群用に調製する。
【0136】
2.実験法
[0118]正常対照群3匹(ラット)、タンパク質低用量群2匹、タンパク質中用量群2匹、およびタンパク質高用量群2匹。rLZ−8薬剤群ラットには、それぞれ、1回/日で、rLZ−8の異なる用量を尾静脈注射で投与する;正常対照群には等量の生理食塩水を投与する。注射7日目、右大腿骨骨髄をスメアについてチェックする。
【0137】
3.実験結果
[0119]図11に示されるように、ラット骨髄スメアを正常対照群と比較したところ、異常は見られない。
【0138】
実施例15:ヒト赤血球接着に対するrLZ−8の影響
1.実験試薬
[0120]A、B、OおよびAB血液型の健康な志願者から、それぞれ2ml、SRBC(ヒツジ赤血球)2ml。上記RBCを1200g・分−1で10分間遠心分離し、上清を除去し、そして5ml PBSで洗浄し、上記の操作を3〜5回反復し、そして次いで、1.5%の0.01mol/L PBS懸濁調製物を用いる。通常の生理食塩水で最終濃度50μg・ml−1、25μg・ml−1、12.5μg・ml−1、6.25μg・ml−1、3.13μg・ml−1、1.56μg・ml−1、0.78μg・ml−1、0.39μg・ml−1、0.20μg・ml−1、0.10μg・ml−1、0.05μg・ml−1、0.03μg・ml−1に調製する。植物凝集素(PHA)調製、前記。
【0139】
2.実験法
[0121]実験被験体をrLZ−8濃度群、陽性薬剤対照、および正常対照群に分ける。96穴赤血球凝集板上、A型1.5%の赤血球25μl/穴を添加し、そして次いで、0.2%ゼラチン、75μl/穴を添加する。薬剤群には、異なる濃度のrLZ−8を上記最終濃度まで添加し;陽性薬剤対照群にはPHA 25μl/穴を添加し;正常対照群にはPBS 25μl/穴を添加する。各群6つの平行対照群。通常の室温で30秒間振盪し、37℃でインキュベーションし、1時間後に被験体を観察する。B型、AB型、O型、およびSRBC(ヒツジ赤血球)に関しては、上記と同じ実験法である。
【0140】
3.実験結果
[0122]以下の表16は、陽性薬剤PHAが、ヒト赤血球の4つの型すべておよびヒツジ赤血球に対して凝集性であり;rLZ−8がヒト赤血球の4つの型に対して凝集性ではないが、12.5μg・ml−1〜50μg・ml−1の濃度でSRBCが活性凝集を示すことを示す。
【0141】
表16 4つの型のヒト赤血球凝集のrLZ−8実験結果
【0142】
【表16】

実施例16:組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質抗腫瘍調製物
[0123]上記薬理学的実験を通じて、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8の抗腫瘍効果およびインターロイキンレベル上昇効果が非常に高く、そして非毒性で副作用を伴わないことが証明される。したがって、抗腫瘍調製物として組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8が薬剤使用に適切であり、そして安全であると言ってもよい。
【0143】
[0124]抗癌薬剤の適用として本発明の組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8を経口投与し、そして非腸管薬剤送達してもよい。症状、年齢、重量および他の要因によって投薬型を決定してもよい。成人に関しては、1人あたりの経口投薬量は10〜1000mgを1日数回であり、非腸管送達は10〜100mgを1日数回である。
【0144】
[0125]本発明において、経口錠剤、丸剤およびカプセル(硬および軟カプセルを含む)のキットを有し、これらの調製配合物には、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8および少なくとも1つの不活性希釈剤(ラクトース、マンノースアルコール、グルコース、デンプン、ポリビニルピロリドンなど)が含まれ、不活性希釈剤薬理学以外に潤滑剤、崩壊剤、安定化剤などの許容されうる添加剤が加わってもよい。必要であれば、1または1より多い層のコーティング上、胃可溶性または溶腸コーティング物質で錠剤または丸剤をコーティングしてもよい。非腸管注射には、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8および少なくとも1つの不活性水希釈剤(例えば蒸留注射用水および通常の生理食塩水)が含まれ、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8はまた、凍結乾燥粉末であってもよく;該粉末を使用前に注射用不活性希釈水に溶解してもよい。
【0145】
(1)調製例1
[0126]組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8 1000mgを取り;100mlの滅菌生理食塩水中に溶解し、均等に混合し、次いで、rLZ−8 10mg/ml/片の濃度で溶液注射瓶内にこれらをサブパッキングし;密封し、滅菌し、そして製品にした。他の項目は、注射の必要条件下、中国薬局方2005年版に一致するものとする。
【0146】
(2)調製例2
[0127]組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8 100g;薬剤デンプン0.5kgを取り、公的に知られる技術および装置にしたがって、これらをカプセル型、rlz8 10mg/錠剤にし、そして他の項目は、カプセルの必要条件下、中国薬局方2005年版に一致するものとする。
【0147】
(3)調製例3
[0128]組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8 100g;結晶セルロース560g;無水ラクトース380g;ステアリン酸マグネシウム200gを取り、公的に知られる技術および装置にしたがって、これらを丸剤/錠剤、rLZ−8 10mg/錠剤にし、他の項目は、錠剤の必要条件下、中国薬局方2005年版に一致するものとする。
【0148】
(4)調製例4
[0129]適量の組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質rLZ−8を取り、項目は、経口液体の必要条件下、中国薬局方2005年版に一致するものとし、公的に知られる技術および装置にしたがって経口液体を製造する。
【産業上の利用可能性】
【0149】
[0130]本発明の結果によって、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質は、多様な理由によって引き起こされる白血球減少症の治療および予防に対して顕著な効果を有し、そして臨床用量、治療効果および臨床的不快感において、現存する臨床薬剤より優れている。動物試験によって、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質の副作用が、組換えコロニー刺激因子よりはるかに低いことが示される。
【0150】
[0131]本発明者らは:ピキア・パストリスの真核生物発現系を用いて、組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質を発現し;世界の類似の研究の中で、最初に、rLZ−8の100L発酵産生を実現し、そして産生および精製プロセスを確立し;そしてrLZ−8の空間的構造の決定を最初に完了し、そしてこうしてrLZ−8の抗腫瘍機構に対してさらに研究するための優れた基盤を提供することに成功した。
【0151】
[0132]本発明は、革新的に:rLZ−8が、低リンパ球レベルを持つ動物モデルの白血球数を増加させるのに有効であり、そしてコロニー刺激因子より明らかに優れた薬力学効果を有し;rLZ−8が白血病細胞Nb4、K562およびHL−60のアポトーシスを誘導可能である(本発明者らは、初めて、これが、真菌免疫調節タンパク質が腫瘍細胞を殺す別の可能な方法であるという結論を導き出した)ことを見出す。腫瘍所持マウスに対する治療実験によって、rLZ−8がin vivoで移植腫瘍の増殖を阻害するのに有効であることがさらに示され;安全性実験によって、rLZ−8がラット血球に対して明らかな病原性を持たず、そして大動脈および大静脈の血管壁に病的な破壊的影響を課さないことが示され;そして骨髄スメアの結果によって、rLZ−8が造血機能に対して病原性の影響を持たないことが示された。本発明は、初めて、LZ−8の結晶空間的構造を開示し、LZ−8が正常細胞を損傷することなく、腫瘍細胞を直接殺すことが可能であることを開示し、そして多様な理由によって引き起こされる白血球減少症の予防および治療におけるLZ−8の新規治療を開示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の空間的構造を有し、そしてヌクレオチド配列(配列1)によってコードされる組換えマンネンタケ(Ganoderma lucidium)免疫調節タンパク質(rLZ−8)の、抗腫瘍、白血球数の増加および免疫学的拒絶の阻害のための薬剤調製における使用。
【請求項2】
前記ヌクレオチド配列(配列1)が:
【化1】

であり;
前記組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質(rLZ−8)のアミノ酸配列が:
【化2】

であり;
前記組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質(rLZ−8)の高次構造が:
二量体化の形成に必要な重要なN末端ドメイン;および
C末端FNIIIドメインを含み;
前記N末端ドメインが、αらせん(2−SDTALIFRLAWDVK−15のアミノ酸配列を有し、そして14アミノ酸からなる)およびβ鎖(16−KLSFD−20のアミノ酸配列を有し、そして5アミノ酸からなる)で構成され、前記αらせん上のSer残基がアセチル化によってブロッキングされており;1つのLZ−8単量体のN末端αらせんおよびβ鎖が、別のLZ−8単量体の同じドメインと一緒に、ドメイン交換を介して、重要なダンベル型の二量体結合ドメインを形成しており;C末端FNIIIドメインが、免疫グロブリン様サンドイッチ構造に属し、そしてそれぞれ、β鎖A−B−Eおよびβ鎖G−F−C−Dによって形成される、βシートIおよびβシートIIを含み;β鎖の配列が、A. 21−TPNWGRG−27; B. 34−IDTVTFP−39; C. 48−YTYRVAV−54; D. 57−RNLGVKP−63; E. 72−SQKVN−76; F. 91−TIQVFVVDPD−100; G. 102−NNDFIIAQW−110である
請求項1記載の使用。
【請求項3】
腫瘍が、白血病、肺癌、膵臓癌、肝臓癌、腸癌、リンパ腫、前立腺癌、子宮癌、骨癌、乳癌等である、請求項1記載の使用。
【請求項4】
白血球数の増加に関する適応症が、癌の化学療法および放射線療法によって引き起こされる好中球性顆粒球減少症であってもよい、請求項1記載の使用。
【請求項5】
白血球数の増加に関する前記適応症が、骨髄移植、または骨髄異形成症候群、または骨髄異形成症候群によって引き起こされる好中球性顆粒球減少症であってもよい、請求項4記載の使用。
【請求項6】
白血球数の増加に関する適応症が、再生不良性貧血によって引き起こされる好中球性顆粒球減少症、または先天性もしくは特発性好中球性顆粒球減少症、または周期性好中球性顆粒球減少症であってもよい、請求項4記載の使用。
【請求項7】
白血球数の増加に関する前記適応症が、化学的中毒または放射線への曝露によって引き起こされる白血球減少症であってもよい、請求項4記載の使用。
【請求項8】
白血球数の増加に関する前記適応症が、腸チフス、ウイルス感染、マイコプラズマ肺炎、感染性肺炎、粟粒結核症等を含んでもよい感染性疾患によって引き起こされる白血球減少症であってもよい、請求項4記載の使用。
【請求項9】
白血球数の増加に関する前記適応症が、慣用的な薬剤投与によって引き起こされる白血球減少症であってもよく、そして前記薬剤が、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、マクロライド、クロロマイセチン、リンコサミドなどの抗生物質薬剤、ポリペプチド等、甲状腺機能亢進症を治療するための薬剤、および糖尿病を治療するための薬剤を含む、請求項4記載の使用。
【請求項10】
白血球数の増加機能を用いて、化学療法および放射線療法または骨髄移植によって引き起こされる白血球減少症を予防しうる、請求項1記載の使用。
【請求項11】
免疫学的拒絶の前記阻害が、臓器移植によって引き起こされる免疫学的拒絶の阻害であり;全抗原提示プロセスを抑制するために抗原被覆を行う、請求項1記載の使用。
【請求項12】
免疫学的拒絶の阻害のための適応症が、肝臓移植または腎臓移植によって引き起こされる免疫学的拒絶、あるいは慣用的免疫抑制剤に対する、肝臓移植または腎臓移植によって引き起こされる免疫学的拒絶の薬剤耐性であってもよい、請求項10記載の使用。
【請求項13】
請求項1記載の組換えマンネンタケ免疫調節タンパク質(rLZ−8)および場合によって薬学的に許容されうるアジュバントを含む、薬学的組成物。
【請求項14】
経口投与されても、そして非経口投与されてもよい、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項15】
経口投与される薬剤が、錠剤、丸剤およびカプセルを含む、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項16】
非経口投与される薬剤が、外用および注射用の薬剤を含む、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項17】
注射剤が凍結粉末注射および液体注射剤を含む、請求項13記載の薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−508749(P2011−508749A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541002(P2010−541002)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【国際出願番号】PCT/CN2008/002142
【国際公開番号】WO2009/094850
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510185789)
【Fターム(参考)】