説明

組換え乳頭腫ウイルスL1

【課題】 有用な乳頭腫ウイルスL1タンパク質を提供する。
【解決手段】 本発明は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こし得、細胞外に多重構造またはVLPを形成し得る組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質に関し、この多重構造は複数の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質から成っている。本発明はまた、乳頭腫ウイルスの存在を検知するための組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質の使用を含み、予防的および治療的利用のためのワクチンの基礎をなし得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、L1タンパク質乳頭腫ウイルスに関する。特に、本発明は、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質、および乳頭腫ウイルス感染を検知し、処置するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
乳頭腫ウイルスは、ヒト、ウシ、ヒツジ、イヌおよびネコを含む一連の宿主に感染する。より完全なリストとしては、K. Syrjanen, L. Grissman および L. G. Koss 編集の乳頭腫ウイルスおよびヒトの疾患(Springer Verlag, 1987 年発行)に掲載されている J. P. Sundberg による”Papilloma Virus Infections in Animals"を参照。
【0003】
ヒト乳頭腫ウイルスは、皮膚および粘膜の上皮の悪性過増殖病変をもたらす。ヒトに感染する70の相違するウイルスタイプのうち、20以上が肛門性器間の病変に関連している(de Villiers, 1989, J. Virol. 63, 4898-4903)。乳頭腫ウイルスはまた、種々の型の癌に関連している。ヒト乳頭腫ウイルスタイプ16および18は、多くの頚部上皮内新生物および頚部癌に関連している( Lancaster et al., 1987, Cancer Metast. Rev. 6, 6653-6664 and Pfister, 1987, Adv. Cancer Res. 48, 113-147 )。
【0004】
乳頭腫ウイルスは、8初期および2後期遺伝子までをコードする小さいDNAウイルスである。後期遺伝子L1およびL2は、細胞内でカプシド中に集まる構造タンパク質をコードする(Galloway et al., 1989, Adv. Cancer Res.37, 125-171)。単一のウイルスカプシドは、360の5量体化のカプソメアからなるT=7dの正二十面体であり、カプソメアの各々は主カプシドタンパク質L1の5分子を含有する(Baker et al., 1991, Biophys. J. 60, 1445-1456 and Finch et al., 1965, J. Mol. Bio. 13, 1-12)。小カプシドタンパク質L2は、豊富なL1の約10分の1存在する(Doorbar et al., 1987, J. Virol. 61, 2793-2799)。
【0005】
ヒト乳頭腫ウイルスのin vitroでの繁殖は達成されておらず(Taichman et., 1984, J. Invest. Dermatol. 83, 25) そして、ただ少量のHPVタンパク質が感染組織から分離されている(Androphy et al., 1987, Embo J. 6, 1989; Banks et al., 1987, J. Gen. Virol. 68, 1351; Firzlaff et al., 1988, Virology 164 467; Oltersdorf et al., 1987, J. Gen. Virol. 68, 2933; Schneider-Gadicke et al., 1988, Cancer Res. 48, 2969; Seedorf et al., Embo J. 6, 139 and Smotkin et al., 1986, PNAS 83, 4680)。しかし、L1タンパク質をコードする遺伝子は、組換えワクシニアウイルスを用いる真核発現系において(Browne et al., 1988, J. Gen. Virol. 69, 1263-1273; Zhou et al., 1990, J. Gen. Virol. 71, 2185-2190 and Zhou et al., 1991, Virology 185, 251-257)、バキュロウイルス発現系において(Park et al., 1993, J. Virol. Meth. 45, 303-318)および細菌発現系において(Strike et al., 1989, J. Gen. Virol. 70, 543-555) クローン化され、発現されている。
【0006】
L1タンパク質は主カプシドタンパク質であるので、乳頭腫ウイルス感染に対する保護ワクチンの開発のための基礎として用いられてきた。Zhouらは、HPV16のL1およびL2タンパク質についてのワクシニアウイルス二重組換え体を用いて、合成HPV16ウイルス様粒子(VLP)でマウスを免疫にした。ネズミ抗VLP抗血清は、ELISAによってHPV16カプシドを、および免疫ブロット法でのバキュロウイルス組換えHPV16L1およびL2タンパク質を認識した。しかし、ネズミ抗VLP抗血清は、組換えL1融合タンパク質に対する抗HPV16L1モノクローナル抗体によって認識される2ペプタイドを認識しなかった(Zhou et al., 1992, Virology 189, 592-599)。ウイルス様粒子を用いて定義づけされたHPV16の免疫活性エピトープは、組換えHPV16L1融合タンパク質を用いて定義づけされたものとは顕著に異なっていることを、これらの研究者は結論している。
【0007】
これらの問題を克服するために、ウイルス様粒子を用いてワクチンが開発された。組換えワクシニアウイルスによりコードされた組換えL1またはL1およびL2タンパク質から細胞内でVLPが形成される(Zhou et al., 1991,Virology 185, 251-257; Zhou et al., 1991, Virology 181, 203-210 and International Patent Specification WO93/02184)。合成ウイルス様粒子を用いるこれらのワクチンは、多くの欠点を有している。最初に、組換えL1またはL1およびL2遺伝子は、ワクチンの生産に適当でないワクシニアウイルスのベクターから発現される。第二に、ウイルス様粒子が細胞内で生産されるが、これは速度制限ステップである。第三に、ウイルス様粒子は細胞DNAと、共に細胞内で生産されることから、合体し、そしてDNA合体ウイルス様粒子はワクチンの使用のために適切でない。第四に、ウイルス様粒子は、その統合性および適切なエピトープ提示を保持する必要性から、部分的にのみ精製され得る。従って、ウイルス様粒子と結合しているタンパク質等はワクチンの製造を汚染する。第五に、組換えワクシニアウイルスからウイルス様粒子でもって商業規模でワクチンを製造する方法は、比較的高価につく。
【0008】
同様の欠点が、患者の血清中の抗体の検出のため組換えワクシニアウイルスからつくられたウイルス様粒子の使用についてある。
【発明の詳細な説明】
【0009】
発明の概要
本発明は、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が多重構造を細胞外に形成し、もとの乳頭腫ウイルスカプシドを認識する免疫応答を起こすとの驚くべき発見から得られたものである。
【0010】
本発明のひとつの目的は、免疫原性多重構造を形成できる組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を提供することにある。
【0011】
ひとつの観点では、本発明は、(His)を含むN末端アミノ酸配列を有する組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を提供する。(His)は6個の連結したヒスチジン残基を意味する。
【0012】
組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、下記のN末端アミノ酸配列を持ち得る。配列番号1:
【表1】

【0013】
組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質はいかなる乳頭腫ウイルスからも誘導され得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、乳頭腫ウイルスL1タンパク質の全体のまたは部分的アミノ酸配列で有り得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答をおこす1またはそれ以上のエピトープをコードするアミノ酸配列で有り得る。例示として、HPV6bから誘導された組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質および組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は図1に示す。
【0014】
組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質によりおこされる免疫応答は、抗体応答または細胞媒介応答を伴う抗体応答である。起きた応答は、組換えおよび/またはもとの乳頭腫ウイルスVLPL1タンパク質を認識し得る。抗体応答は、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対して抗体が生じ、そしてこれらの抗体が乳頭腫ウイルスVLP L1タンパク質を認識するところにある。細胞媒介および液性の応答は、T細胞、大顆粒リンパ球、単核食細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、種々の組織細胞、血小板、補体、炎症媒介体およびインタフェロン、インタロイキン、コロニ促進因子、癌壊死因子、形質転換成長因子を含むサイトカインを含み得る。細胞媒介および液性応答は、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質で生じ、そして成された結果である。適当な細胞媒介および液性応答の例は、遅延型過敏症である。
【0015】
第二の点において、本発明は複数の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む多重構造である;各組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は(His)を含むN末端アミノ酸配列を有する。1個またはそれ以上の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は上記のようなN末端アミノ酸配列を有し得る。
【0016】
多重構造はいかなる大きさでもよいが、望ましくは5量体構造である。多重構造はVLPであり得る。用語VLPは乳頭腫ウイルス粒子および組換えVLPを含む。多重構造は、望ましくは組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が実質的に精製された後に形成される。多重構造は適当な緩衝液中で細胞外で自己集合し得る。さらに、多重構造は乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を誘発できる。
【0017】
本発明の第三の点は、第一点による組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする組換えDNA分子である。組換えDNA分子は、乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こすエピトープを含む該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質の部分をコードし得る。他方、組換えDNA分子は、該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質または該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質の該部分をコードする同義的DNA配列であり得る。組換えDNA分子は、該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質または該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質の該部分をコードする配列と標準的な条件でハイブリダイズし得る配列をコードし得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする組換えDNA分子は、トリヌクレオチド配列CATの6回反復を含む5'ヌクレオチド配列を有し得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする組換えDNA分子は、好ましくは、配列番号2:
【表2】


を含む5'ヌクレオチド配列を有し得る。適当な組換えDNA分子を図1に示す。
【0018】
本発明の第四点は、複数の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む多重構造を製造する方法であり、該多重構造は乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を誘発し得、次のステップを含む。
(1)組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする組換えDNA分子を
細菌から発現せしめる;
(2)組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を実質的に精製する;および
(3)細胞外に該多重構造を形成する。
本方法は、(His)を含むN末端アミノ酸配列を有する組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む多重構造に使用し得る。N末端アミノ酸配列は、配列番号1:
【表3】

を含み得る。
【0019】
組換えDNA分子は、標準的クローニングおよび/またはPCR技法を用いてヒト乳頭腫ウイルスまたはウシ乳頭腫ウイルスなどの乳頭腫ウイルスDNAの適当な供給源から構築され得る。組換えDNA分子は、発現ベクターをも含む。発現ベクターは、プラスミド、コスミド、ファージミドまたはウイルスであり得る。適切な発現ベクターは、(次の順序で)ATG部位、(His)−ペプチドおよびクローニング部位をコードする。そこでは、乳頭腫ウイルスL1タンパク質DNA配列が正しい読み取り枠に挿入され、翻訳の結果、(His)−L1タンパク質の融合タンパク質が得られる。望ましい発現ベクターは、プラスミドpTrcHisA、pTrcHisBおよびpTrcHisCのいずれかである。好ましい宿主はエシェリキア・コリ(E.coli)である。
【0020】
好ましい発現系は、エシェリキア・コリおよびプラスミドpTrcHisBの細菌発現系である。組換えDNA分子の適当な宿主への挿入は、トランスフェクションおよび形質転換を含む適切な技術で達成される。望ましい組換えDNA分子は、pTrc6bL1を形成するために、正しい読み取り枠の方向において、pTrcHisBに挿入されたHPV6bL1タンパク質の完全なDNA配列である。組換えDNA分子pTrc6bL1は、好ましくはエシェリキア・コリ株DH5中に形質転換される。
【0021】
発現後、発現系は破壊され得る。発現系が細胞系であるときは、グアニジニウム塩酸塩を含む緩衝液中での音波処理などの適当な技術および試薬で細胞が溶解され得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、部分的にまたは完全に精製され得る。精製は、1またはそれ以上の適当なクロマトグラフィー技法を用いて達成され得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質はニッケルカラムのアフィニティクロマトグラフィーを用いて精製され得る。追加の精製ステップに予備的ゲル電気泳動がある。
【0022】
第五点として、本発明は、乳頭腫ウイルスの存在を検知する方法を提供する。 本方法は、乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対する抗体を用いてサンプル中の乳頭腫ウイルスL1タンパク質の存在を検知し得る。ELISA、RIAまたは他のイムノアッセイ法が用いられる。本方法は次のステップを含み得る。
(1)乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含有している可能性のあるサンプル
でマイクロタイタープレートのウエルをコートする。
(2)組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対する抗血清を加えて、乳頭
種ウイルスL1タンパク質-抗体複合体を形成せしめる。
(3)検出試薬で乳頭腫ウイルスL1タンパク質-抗体複合体の存在を検知
する。
【0023】
ステップ(1)に関し、サンプルの添加に先立って、マイクロタイターのウエルを最初に組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対する抗血清でコートできる。検出試薬は、適当な標識と結合した抗体および他の適当なリガンドであり得る。適当な標識には、ホースラディッシュペルオキシダーゼなどの適当な酵素標識、放射活性アイソトープまたは蛍光分子がある。
【0024】
第六点として、本方法は、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を用いて、サンプル中の乳頭腫ウイルスL1タンパク質に特異な抗体の存在を検知するための方法を提供する。
【0025】
本方法でELISA、RIAまたは他のイムノアッセイ法が用いられる。この方法は次のステップを含み得る。
(1)乳頭腫ウイルスL1タンパク質でマイクロタイタープレートのウエル
をコートする。
(2)乳頭腫ウイルスL1タンパク質に特異な抗体を含有している可能性の
あるサンプルを加え、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質−抗体複
合体を形成せしめる。
(3)検出試薬で組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質−抗体複合体の存在
を検知する。
【0026】
第七点として、サンプル中の乳頭腫ウイルスL1タンパク質の存在を検知するためのキットを提供し、そして該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対する抗体を含む。
【0027】
第八点として、本発明は、サンプル中の乳頭腫ウイルスL1タンパク質に特異な抗体の存在を検知するためのキットを提供し、そして該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む。
【0028】
第九点として、本発明は、該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含有する予防的または治療的ワクチンを提供する。このワクチンは、ISCOMS、アラム、フロインド不完全アジュバント、フロインド完全アジュバント、クイルA、他のサポニン類、水酸化アルミニウム アルガムリンおよび百日咳原などの適当なアジュバントを含み得る。他方、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質がアジュバントなしで免疫原性であるときは、ワクチンはアジュバントを含み得ない。
【0029】
図面の簡単な説明
図1は、HPV6bL1HEXAHISタンパク質をコードするDNAヌクレオチド配列(配列番号3)およびHPV6bL1HEXAHISタンパク質のアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
図2は、HPV6bL1HEXAHISタンパク質 凝集体の5量体構造の電子顕微鏡写真である。
本発明の種々の望ましい具体例について述べる。これらの具体例において、特殊な乳頭腫ウイルス、ワクチンおよび組換えDNA分子の構築は例示としてのみ言及されていることに注意すべきである。
【0030】
実験的
実施例1:HPV6b L1 HEXAHISタンパク質の製造
pTRC6bL1の構築
HPV6bのL1開放読み取り枠を、プライマーとして:
GCGGATCCAGATGTGGCGGCCTAGCGACAGCACAGTATATG
および
CGCCCGGGTTACCTTTTAGTTTTGGCCTCGCTTACGTTTTAGG
を使用したポリメラーゼ連鎖反応により臨床的単離体からクローン化した。
【0031】
得られた1.5kb PCR生産物をBamH1およびSma1で開裂し、プラスミドpTRCHIS B(Invitrogen)内に製造したBamH1/クレノウ平滑末端Eco R1部位にクローン化した。得られたL1組換えプラスミドはpTRC6bL1であり、タンパク質配列:
Met.Arg.Gly.Ser.His.His.His.His.His.His.Gly.Met.Ala.Ser.Met.Thr.Gly.Gly.Gln.Gln.Met.Gly.Arg.Asp.Leu.Tyr.Asp.Asp.Asp.Lys.Asp.(HPV6b L1 aas 1-520)をコードする。
【0032】
HPV6b L1 HEXAHISタンパク質をコードする細菌の成育
アンピシリン(最終濃度100μg/ml)含有2YTブロス(トリプトン16mg、酵母10mg、NaCl 5mg)10mlに、グリセロール・ストックからの白金耳一杯(loopful)の細菌(エシェリキア・コリDH5)10μlを接種した。培養物を、120rpmで酸素供給しながら37℃で6時間インキュベートした。
【0033】
アンピシリン(最終濃度100μg/ml)含有2YTブロス200mlに6時間10ml培養物を接種した。培養物を、120rpmで酸素供給しながら37℃で一晩インキュベートした。
【0034】
アンピシリン(最終濃度100μg/ml)含有2YTブロス800mlに一晩200ml培養物を接種した。培養物を、120rpmで酸素供給しながら37℃で吸光度が600nmで0.6−0.8O.D.単位に到達するまで(通常2−3時間)インキュベートした。HPV6b L1 HEXAHISタンパク質は、4−6時間0.5mM IPTGを添加することにより誘導した。
【0035】
細菌を遠心(Beckman JA14ローター、20℃で5000rpm、10分遠心)によりペレット化した。ペレットを、細菌ペレットを50ml遠心管中で再懸濁することにより、リン酸緩衝化食塩水50mlで洗浄した。洗浄細菌を、遠心(Beckman TJ-6、20℃で3000rpm、10分遠心)により再ペレット化した。上清を廃棄した。ペレットを必要になるまで−20℃または−70℃で貯蔵した。
【0036】
HPV6b L1 HEXAHISタンパク質の精製
細菌をグアニジニウム溶解緩衝液(6Mグアニジニウム塩酸塩および5.8ml/リットルの溶液A[177mM NaH2PO4および5M NaCl]、HClを使用してpH7.8)50mlに再懸濁し溶解した。懸濁液を2分間30%出力で超音波処理した。細胞残骸を遠心(Beckman JA21ローター、4℃で10000rpm、30分遠心)してペレット化した。HPV6b L1 HEXAHISタンパク質含有上清を保持した。
HPV6b L1 HEXAHISタンパク質を続いて、必須2工程精製工程で精製した。
【0037】
HPV6b L1 HEXAHISタンパク質含有上清をBIORAD ECONO系を使用したニッケルカラム(2.6cm×6cm)に4℃で掛けた。上清を掛ける前に、カラムをNA緩衝液1ml/分で徹底的に洗浄した。NA緩衝液は6M尿素、尿素添加前にHClでpH7.8にした5.8ml/リットルの溶液A[177mM NaH2PO4および5MNaCl]、94ml/リットルの溶液B[200mM Na2HPO4および5M NaCl]から成る。上清をニッケルカラムに1ml/分で掛けた。カラムに掛け過ぎになり、非結合タンパク質がカラムから洗い出されない場合、10mlフラクションを回収した。上清を掛けた後、カラムを1ml/分の流速でNB緩衝液で洗浄した。NB緩衝液は6M尿素、尿素添加前にHClでpH4.0にした100ml/リットルの溶液A[177mM NaH2PO4および5M NaCl]から成る。カラムを表1の方法に従いNB緩衝液で洗浄し、そこではpH勾配の減少が汚染タンパク質を除去した。溶出液の10mlフラクションを回収した。
【0038】
HPV6b L1 HEXAHISタンパク質含有フラクションを、ドット・ブロット、ELISAまたはSDS PAGEで測定した。フラクションを同定した後、pHが一様になるまで100%NB緩衝液で、カラムの洗浄を続けた。次いでカラムをNA緩衝液で洗浄した。(カラムを20%エタノール中で保存した。)
【0039】
HPV6b L1 HEXAHISタンパク質含有フラクションをプールし、5リットルのdHOまたは10mM トリスHCl、pH7.5に対して一晩4℃(または室温で2時間)で透析した。次いで、タンパク質を8:2アセトン対サンプル比でアセトンにより、2時間、−70℃または一晩、−20℃で沈殿させた。タンパク質−アセトン溶液を遠心した(Beckman TJ-6、4℃で3000rpm、20分)。上清を廃棄した。ペレットを窒素ガス流下5分間乾燥させ、残ったアセトンを除去した。
【0040】
ペレットをddHO 1mlおよび4×充填溶媒[0.5Mトリス pH6.8、グリセロール0.8ml、10%SDSw/v 1.6ml、DTT1%w/v 0.1g、0.1%w/v ブロモフェノールブルー0.2mlおよびdHO 4.4ml]4−5mlに再懸濁した。再懸濁ペレットを65−70℃で15分間加熱し、全てのタンパク質の溶解を確実にした。
【0041】
再懸濁液を10%分離ゲル(4.5cm高4cm直径)および4%積層ゲル(4cm高4cm直径)含有BIORADO Prep Cellに掛けた。Prep Cellは12Wの一定圧で走らせた。
【0042】
ゲルの前の色素が下から2cmに達した場合、1ml/分溶出速度で10mlフラクションを回収した。フラクションはHPV6b L1 HEXAHISについて、ドット・ブロット、直接ELISAまたはSDS PAGE(Phast System)のいずれかで試験した。陽性フラクションをSDS PAGEで試験し、単一HPV6b L1 HEXAHISタンパク質バンドを有すると判明したものをプールした。プールフラクションをddHO 5リットルに対して透析し、グリシンを除去した。透析は一晩4℃で、ddHOを2回代えて行った。
【0043】
透析HPV6b L1 HEXAHISタンパク質をアセトンで沈殿させ、SDSを除去した。8:2アセトン対サンプル比を、2時間、−70℃または一晩、−20℃において使用した。タンパク質−アセトン溶液を遠心した(Beckman TJ-6、4℃で3000rpm、20分)。上清を廃棄し、ペレットを窒素ガス流下5分乾燥させ、残ったアセトンを除去した。
【0044】
次いで、タンパク質を選択し、濃度を測定した緩衝液に再懸濁できた。このタンパク質を続いて記載のようにHPV6b L1 HEXAHISタンパク質の精製、10mM トリスHCl pH7.5に対する透析による尿素の勾配除去および得られる免疫沈降物の走査電子顕微鏡による試験によりカプソメア形成を証明した。図2は典型的なHPV6b L1 HEXAHISタンパク質凝集体の5量体構造を示す。
【0045】
実施例2:HPV6b L1 HEXAHISタンパク質に対する抗体産生の証明
HPV6b L1 HEXAHISタンパク質に対する抗体を産生させるために、マウス(C57BI/6系)に4週間の間隔で2回、表2の実験プロトコールに従って50μgタンパク質/マウスを皮下注射した。2回目の注射の2週間後、マウスから採血した。血清を標準方法を使用して抽出血液から得た。
【0046】
血清は3つの異なる抗原を使用してHPV6b L1 HEXAHISタンパク質に対する抗体の産生を試験した。
【0047】
血清はヒト乳頭腫ウイルスHPV6Bカプシド調製物に対して試験した。血清を、RIPA緩衝液(20mM トリス−HCl pH7.6;2mM EDTA;50mM NaCl;1%デオキシコレート;1%トリトンX−100;0.25%SDS;1%アプロチニン;および1mM PMSF)中で1/200に希釈し、HPV6Bカプシド調製物に対して試験した。抗体−抗原沈殿を10%SDS PAGEで流し、免疫複合体の個々の成分に分けた。HPV6b L1タンパク質の存在が、ウサギ抗−HPV6b L1抗体で検出された。HPV6b L1タンパク質の存在は、抗−HPV6b L1抗体がマウスにおいて6b L1 HEXAHISタンパク質に対して産生されたことを示唆する。A、B、C、D、EおよびF群が陽性結果となった。
【0048】
血清を、バキュロウイルスから産生されたHPV6b L1についてウエスタン・ブロット分析でまた試験した。陽性結果は、抗−HPV6b L1抗体が、マウスにおいてHPV6b L1 HEXAHISタンパク質に対して産生されたことを示唆する。A、B、C、D、EおよびF群が陽性結果となり、水酸化アルミニウムをアジュバントとして使用した場合、最も良い結果が得られた。対照群A、B、C、DおよびEは陰性結果であった。
【0049】
血清は、標準技術を使用して、ドット・ブロットおよびELISAでウシ乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対して試験した。最も良い結果が、D群マウス(すなわち、アルミニウムをアジュバントとして使用した場合)由来の血清で達成され、OD読み取りは0.96であった。これに、OD読み取り0.70のC群(すなわち、フロインド完全アジュバント添加)由来の血清、OD読み取り0.34のE群(すなわち、アルガムリン添加)由来の血清、次いでOD読み取り0.24のB群(すなわち、1%SDS中で沸騰および冷却)由来の血清およびOD読み取り0.34のA群(アジュバントなし)由来の血清が続く。全ての対照群はOD読み取り0.05を有した。
【0050】
3つの異なった抗原に対する血清の試験は、HPV6b L1 HEXAHISタンパク質が免疫原性であり、抗原としてアジュバント存在下または非存在下で使用した場合、抗−HPV6b L1抗体を産生することを示した。
【0051】
実施例3:HPV6b L1 HEXAHISタンパク質によるマウスにおける遅延型過敏症の証明(および抗体産生確認)
遅延型過敏症は細胞媒介免疫応答およびある液性免疫応答を含む。マウス(BALB/c系)を、表3に概説の種々の条件下でHPV6b L1 HEXAHISタンパク質で処理(腹腔内注射)した。11日目、耳を、皮内注射でHPV6b L1 HEXAHISタンパク質または他のHEXAHISタンパク質を投与した。耳の厚さを13および14日目に測定した。14日目に陽性の反応があったマウスを殺し、耳の組織を試験した。
【0052】
本実施例により、アジュバント無しのHPV6b L1 HEXAHISタンパク質は、50μg/マウスの初期投与量で良好な遅延型過敏症を誘発するが、5μg/マウスでは誘発しないことが証明された。しかしながら、マウスは遅延型過敏症応答を誘発するために、百日咳原処置が必要であった。
【0053】
3つの実施例に関して、実施例1の方法で発現および単離したHPV6b L1タンパク質はカプソメア凝集体を形成し、別のアジュバント無しのHPV6b L1タンパク質カプソメア凝集体は、抗体応答および細胞媒介応答を産生する免疫原性であることが示される。従って、HPV6b L1 HEXAHISタンパク質は、中和抗体の誘導によりヒト乳頭腫ウイルス感染の予防のために、またはL1タンパク質特異的細胞媒介免疫性の導入の存在領域を処置するために設計されたワクチンの好適な主成分として働く。実施例1から3は、調製物の免疫原性を証明する例としてHPV6b L1タンパク質を使用しているが、本実施例のように、本発明はこの例に限定されず、任意の乳頭腫ウイルスL1タンパク質が使用できる。
【0054】
実施例4:HPV6b L1 HEXAHISタンパク質に対する抗体がHPV6b-L1ウイルス−様粒子(VLPS)を認識する証明
プレートのウェルを、PBS中、pH7.2のエシェリキア・コリ産生HPV6b L1 HEXAHIS、バキュロウイルス産生HPV6 VLP-L1ならびに対照としてバキュロウイルスおよびエシェリキア・コリ調製物(細胞発酵上清)のいずれかで0.2μgタンパク質/ウェルでコートし、一晩室温でインキュベートした。一回の洗浄をpH7.2のPBSで行った。非特異的結合をプレートを1%(w/v)カゼインで、1時間室温でインキュベートすることにより阻止した。
【0055】
ウサギHPV6b L1 HEXAHIS抗血清を、(2個づつ調製した)HPV6b L1 HEXAHIS、HPV VLP-1、バキュロウイルス調製物対照およびエシェリキア・コリ調製物対照でコートした各ウェルに添加し、連続してプレートの下の方へ1/2希釈した。インフルエンザウイルスA/PR−8に対する血清を陰性対照として使用した。HPV VLP-L1に対する血清をHPV VLP-L1プレートで陽性対照として使用した。プレートを1時間室温でインキュベートし、次いで、0.05%(v/v)トゥイン20含有PBS、pH7.2で3回洗浄した。ヤギ−ウサギIgG−HRPコンジュゲートを各ウェルに添加し、プレートを前記のようにインキュベートおよび洗浄した。抗血清の抗原に対する特異的結合をTMBを使用して測定した。反応は5分後0.5M HClを使用して停止させた。
【0056】
結果
実験の結果は表4に示す。HPV6b L1 HEXAHISタンパク質に対する抗体と結合したHPV6b L1 HEXAHISタンパク質およびHPV6 VLP-L1の両方は、HPV6b L1 が、HPV VLP-L1で示される1個またはそれ以上のエピトープをインビボで正確に示すことを示唆する。HPV6 L1タンパク質に対する血清はまたバキュロウイルスまたはエシェリキア・コリのウェルで陰性であり、反応の特異性を示唆する。これはHPVL1 HEXAHISの、ウイルスと相互作用し、有効に中和できる抗体の誘導に好適なワクチン免疫原としての使用の支持を提供する。更に、本実施例は、ウェルにおける種々のタンパク質のコーティングにより証明された、乳頭腫ウイルスL1タンパク質の検出のための免疫検定および組換えHPV6b L1 HEXAHISタンパク質に対する抗体の使用の支持を提供する。HPV6b由来抗原の何れかを含むウェルは陽性結果であった。この実施例はまた、組換えHPV6b L1 HEXAHISタンパク質でのウェルのコーティングにより証明された乳頭腫ウイルスL1タンパク質に特異的な抗体の検出のための免疫検定およびインフルエンザウイルスA/PR−8に対する血清およびHPV6b L1 HEXAHISタンパク質に対する血清の使用の支持を提供する。この場合、HPV6b L1 HEXAHISタンパク質に対する血清を含むウェルは陽性結果となるが一方インフルエンザウイルスに対する血清は陰性である。
【0057】
実施例5:多重構造抗体複合体の形成を証明するELISA捕獲検定
ウエスタン・ブロットおよびELISA実験を前記のようにまたは標準方法に従って行った。ELISA捕獲検定は以下の方法に従って行った:
(1)VLPに特異的なモノクローナル抗体(moAb 8)をマイクロタイタープレートのコーティングに使用した;
(2)HPV VLP L1タンパク質を添加し、好適な条件下でインキュベートし、0.1%トゥイン20含有PBS、pH7.4で洗浄した;
(3)種々の動物(表5のカラム1に示す)における種々の免疫原に対する抗体(表5のカラム2に示す)を添加した;および
(4)好適な検出抗原(ウサギ抗血清の場合、ヤギ−抗ウサギペルオキシダーゼコンジュゲートを使用した)を添加し、多重構造/VLP−抗体複合体を検出した。
【0058】
結果
ウェル当たりの捕獲組換え乳頭腫ウイルスHEXAHISの量を表5に示す。これらの実験は、組換え乳頭腫ウイルスL1 HEXAHISタンパク質に対する抗血清は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を誘発することを証明する。
L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こす乳頭腫ウイルスL1タンパク質の活性には、適切なエピトープの正しい提示を必要とする。VLPを形成しない組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を惹起しない。組換えGST乳頭腫ウイルスL1タンパク質、組換えMS2乳頭腫ウイルスL1タンパク質および変質乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こさない。今まですべてのVLPは、乳頭腫ウイルスL1またはL1およびL2遺伝子の発現で細胞内に生産される。本発明の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こす1またはそれ以上のエピトープを正しく提示する。本発明の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、多重構造またはVLPを細胞外に形成し得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質から形成されたVLPの多重構造は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こす1またはそれ以上のエピトープを正しく提示すると、思われている。従って、本発明は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こし得る多重構造またはVLPを細胞外に形成し得る組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を提供する。なお、この多重構造は、複数の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質からなっている。
【0059】
多重構造またはVLPが細胞外に形成し得るとの事実は、細胞内VLP形成に関連する多くの問題を克服する。これらの問題には、低いVLP濃度、VLP中へDNAが合体する可能性および精製に伴うVLPの完全性を損なう可能性がある。
【0060】
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【0061】
説明文
表2
a 各群のマウスは4匹のマウスを含む
b 6b L1 HEXAHISタンパク質をマウス当たり50μgタンパク質で投与した
表3
a 群は4から6匹のBalb/Cマウス(68−102)を含む
b L1は6b L1 HEXAHISタンパク質を意味し、IRRは不適切なHEXAHISタンパク質を意味する
c PBSはリン酸緩衝化食塩水およびCFAは完全フロインドアジュバントである
d 6b L1 HEXAHISタンパク質を最大容量2μl中10μgで投与した
e 30μgの百日咳原を添加した
f 耳測定(μm×10)
表5
ND:技術的に測定できない
図1
HPV6bL1HEXAHISタンパク質をコードするDNAヌクレオチド配列(配列番号3)、HPV6bL1HEXAHISタンパク質のアミノ酸配列(配列番号4)を示す
図2
HPV6b L1 HEXAHISタンパク質凝集体の5量体構造の電子肉眼図
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1−1】図1は、HPV6bL1HEXAHISタンパク質をコードするDNAヌクレオチド配列(配列番号3)およびHPV6bL1HEXAHISタンパク質のアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【図1−2】図1−1の続きである。
【図1−3】図1−1の続きである。
【図2】図2は、HPV6b L1 HEXAHISタンパク質凝集体の5量体構造の電子肉眼図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の細菌発現された組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む多重構造を調製する方法であって、下記の工程:
(i)組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする組換えDNA分子を細菌細胞において発現させること、
(ii)該細菌細胞から該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を変性条件で得ること、
(iii)工程(ii)で得られた該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を精製すること、および
(iv)工程(iii)で精製された1以上の該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質から該多重構造を形成せしめること、
を含む方法。
【請求項2】
工程(iv)における該多重構造の形成が塩の不存在で起きる、請求項1の方法。
【請求項3】
組換えDNA分子が配列番号2の5’ヌクレオチド配列を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
組換えDNA分子が配列番号3のヌクレオチド配列を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
組換えDNA分子が、配列番号2または配列番号3のヌクレオチド配列と標準的条件でハイブリドし得るヌクレオチド配列を含む、請求項1の方法。
【請求項6】
組換えDNA分子を、乳頭腫ウイルスL1タンパク質の発現に関して正しい読み取り枠内でpTrcHisBに挿入する、請求項1の方法。
【請求項7】
乳頭腫ウイルスL1タンパク質をE.coli細菌細胞中で発現せしめる、請求項1の方法。
【請求項8】
多重構造をワクチンに組み込む工程をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項9】
該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が融合タンパク質である、請求項2の方法。
【請求項10】
複数の乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む5量体構造であって、1以上の該乳頭腫ウイルスL1タンパク質が、ニッケルに結合し得るN末端アミノ酸配列を含む組換え融合タンパク質であり、そして細菌から変性条件で取得される、5量体構造。
【請求項11】
各々の該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が、ニッケルに結合し得るN末端アミノ酸配列を含む組換え融合タンパク質であり、そして細菌から変性条件で取得される、請求項10の5量体構造。
【請求項12】
全または各々の該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が、(His)を含むN末端アミノ酸配列を有する、請求項10または11の5量体構造。
【請求項13】
全または各々の該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が、配列番号1または配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項10または11の5量体構造。
【請求項14】
乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を誘発し得る、請求項10または11の5量体構造。
【請求項15】
請求項10の5量体構造を含む治療的または予防的ワクチン。
【請求項16】
さらにアジュバントを含む、請求項15の治療的または予防的ワクチン。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−1936(P2006−1936A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196551(P2005−196551)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【分割の表示】特願平7−529247の分割
【原出願日】平成7年5月17日(1995.5.17)
【出願人】(500020760)ザ・ユニバーシティ・オブ・クイーンズランド (20)
【Fターム(参考)】