説明

組換え多価ワクチン

【課題】組換え水痘帯状疱疹ウイルス、およびその製造方法、ならびに組換え水痘帯状疱疹ウイルスを含む薬学的組成物を提供すること、さらに、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム遺伝子の特定の遺伝子にBACベクター配列を含むベクター、およびそのようなベクターを含む細胞、ならびに水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同組換えし得るフラグメント、およびBACベクター配列を含む核酸カセット、ならびに多価ワクチンを提供することが課題である。
【解決手段】特定のウイルス遺伝子にBACベクター配列挿入した組換え水痘帯状疱疹ウイルス製造方法を開発することによって上記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換え水痘帯状疱疹ウイルス、特にBAC(大腸菌人工染色体)を用いて調製した組換え水痘帯状疱疹ウイルス、およびそのようなウイルスを含む薬学的組成物に関する。さらに、本発明は、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム遺伝子とBACベクター配列とを含むベクター、ならびにそのようなベクターを含む細胞に関する。さらに、本発明は、組換え水痘帯状疱疹ウイルスを製造する方法に関する。また、本発明は、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同組換えし得るフラグメント、およびBACベクター配列を含む核酸カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
水痘帯状疱疹ウイルス(varicella−zoster virus;VZV)は、ヒトヘルペス科に属するウイルスであり、二つの異なる臨床像を呈する疾患(水痘および帯状疱疹)の原因である。このウイルスの初期感染は水痘(水疱瘡)を引き起こす。その後、ウイルスは、神経節に潜伏感染し、長い年月を経た後、何らかの誘因によって再活性化され、帯状疱疹(ウイルス粒子が形成され、神経を伝わって表皮細胞に達し、神経分布領域に水痘を形成する症状)を引き起こす。
【0003】
VZVのゲノムは、二本鎖DNAであって、約125000塩基からなる。全塩基配列は、Davisonらによって決定されており、ゲノム上には少なくとも72の遺伝子が存在することが知られている。
【0004】
VZVのワクチンの開発は困難であり、VZVワクチンOka株は、高橋ら(特公昭53−41202号)によって開発された世界で唯一の水痘帯状疱疹ウイルス用ワクチンである。現行の弱毒生水痘ワクチンは、弱毒水痘ウイルスOka株に由来のウイルスをシードに用いて製造され、世界の諸国で広く実用に供されている(RequirementsforVaricella Vaccine(Live)Adopted 1984;Revised 1993:WHO Technical Report Series,No.848,pp.22−38,1994)。このOka株は、典型的な水痘を呈した患児から、分離されたウイルス(Oka原株)を、ヒト胎児肺細胞を用いて34℃で12代、モルモット胎児細胞を用いて11代継代した後、ヒト二倍体細胞で数代継代して得られたものである。Oka原株は、強い病原性を有するのに対して、Okaワクチン株(Oka株)は、健常児に接種してもほとんど副作用は認められない。そのため、Oka株は、病原性のほとんどないワクチン株として有用である。
【0005】
ウイルスワクチンは、その継代培養とともに、遺伝子型が変化する可能性を有する。また、Oka株自体の調製過程において多数の継代培養がされていることから、Oka株自体も遺伝的に多様性を有する可能性がある。実際に、ワクチンの安全性と有効性とを確保するために、ワクチン製造工程での継代によるウイルスの遺伝的変異を考慮し、製造承認された水痘シードウイルスの継代数の制限、即ち、シード承認時の継代数を0代としてそこから総継代数10代以内のウイルスをワクチンに用いるとするシードロットシステムが制定されている。
【0006】
一方、水痘ワクチンの効果の追跡や市販後調査(PMS:Post−MarketingSurveillance)、また、疫学の観点から、自然感染による水痘患者から分離した水痘ウイルス新鮮野外株と上記Oka株に由来のワクチン株との間のウイルス学的相違の解析が必要となり、免疫学および遺伝子工学等を駆使した解析が、既に種々試みられている。例えば、水痘ウイルス株間での遺伝子構造やDNA塩基配列の違い(JournalofGeneral Virology,59,660−668,1986;同前,67,1759−1816,1986)、制限酵素Pst Iサイトの有無(JapaneseJournalof Experimental Medicine,59,233−237,1989)、PCR(Polymerase Chain Reaction)を用いるRFLP(RestrictionFragmentLength Polymorphism)に基づく判定(Journal of Virology,66,1016−1020,1992)、上記PstIサイトの有無とRFLPとの組合わせ(Journalof Clinical Microbiology,33,658−660,1995)等による試行が報告されている。しかし、これらはいずれも、新鮮野外株とOka株に由来のワクチン株とを鑑別するための条件を提起しているものであるが、Oka株自体の遺伝的多様性の問題から、信頼性に欠け、確定的ではなく、そのため、ワクチンの品質管理において問題がある。更に、水痘ウイルスのgene14領域を用いる水痘ウイルスOka株の同定方法(米国特許第6,093,535号)や、gene62領域を用いる弱毒生水痘ワクチン用ウイルス株の同定方法(国際公開番号WO00/50603)等も知られているが、いずれの技術も、水痘ウイルスOka株(強毒親株)、これより派生したワクチン株(弱毒Oka株)、及びOka株以外の水痘ウイルス株の三者間の相違の検定を可能にしたものの、弱毒生水痘ワクチンの品質管理及び品質保証のための製剤基準としては必ずしも十分ではない。
【0007】
現状では、ワクチンの品質を評価および確認するための方法、例えば、シードウイルスやワクチンウイルスのゲノムDNAの直接的ないしは定量的な遺伝子解析による品質管理は行われていないので、生ワクチン用の弱毒株の品質管理及び品質保証の精度は算出不能であり曖昧である。従って、品質管理及び品質保証の精度を高めることは、弱毒生水痘ワクチンの有効性・安全性・均質性を確保し保証する上で極めて重要である。しかし、上述の通り、未だその方法は確立されておらず、解決すべき急務の課題として残されていた。
【0008】
また、Oka株よりも優れた改変体水痘帯状疱疹ウイルスワクチンを開発するために、変異導入による組換え水痘帯状疱疹ウイルスおよびその作製方法も求められていた。
【0009】
さらに、BACベクター配列を用いるウイルスワクチンの製造方法においては、BACベクター配列を導入するための非必須遺伝子の同定が必要である。さらに、BACベクターを用いて多価ワクチンを製造する場合には、多数の抗原をウイルスゲノム上に挿入することが必要であるという問題も存在する。
【0010】
従って、多価ワクチンの製造のためのBACベクター由来のベクターの開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭53−41202号
【特許文献2】米国特許第6,093,535号
【特許文献3】国際公開番号WO 00/50603
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Requirements for VaricellaVaccine(Live)Adopted 1984;Revised 1993:WHO TechnicalReport Series,No.848,pp.22−38,1994
【非特許文献2】Journal of General Virology,59,660−668,1986
【非特許文献3】Journal of General Virology,67,1759−1816,1986
【非特許文献4】Japanese Journal of ExperimentalMedicine,59,233−237,1989
【非特許文献5】Journal of Virology,66,1016−1020,1992
【非特許文献6】Journal of Clinical Microbiology,33,658−660,1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、水痘帯状疱疹ウイルスワクチンの品質管理及び品質保証の精度を高め、弱毒生水痘ワクチンの有効性・安全性・均質性を確保し保証することにある。本発明の課題は、Oka株よりも優れた改変体水痘帯状疱疹ウイルスワクチンを開発するために、変異導入による組換え水痘帯状疱疹ウイルスを作製する方法を確立して、そのようなウイルスを提供することにある。さらに、本発明の課題は、上記利点を有する多価ワクチンを提供することにある。
【0014】
BACベクターを用いて多価ワクチンを製造する場合には、ウイルスゲノム配列中に多種の抗原をコードする遺伝子を挿入する必要がある。しかし、外来遺伝子の挿入によってゲノムサイズが大きくなりすぎると、ゲノムDNAがカプシドにパッケージされず、組換えウイルスが作製できないことが知られている。そこで、多数の抗原遺伝子をOkaワクチン株に挿入するためには、Okaワクチン株の非必須遺伝子をノックアウトして、ゲノムDNAサイズを減少させる必要があると考えられる。
【0015】
その一方で、従来、非必須遺伝子であると予測された遺伝子の中には、ノックアウトするとウイルスの増殖に影響を与える遺伝子があることが、本発明において、予想外に見出された。
【0016】
従って、本発明の課題は、ウイルス産生量の減少などの問題を生じない、BACベクターを用いた多価ワクチンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの特定の遺伝子をBACベクター配列の挿入配列として用いる組換え水痘帯状疱疹ウイルス製造方法を開発することによって、本発明を完成した。
【0018】
従って、本発明は、以下を提供する。
(項目1)水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの非必須領域内にBACベクター配列の少なくとも一部が挿入されている、組換え水痘帯状疱疹ウイルスであって、ここで該非必須領域が、以下の領域からなる群から選択される、組換え水痘帯状疱疹ウイルス:
遺伝子13のORF内の領域、遺伝子56のORF内の領域、遺伝子58のORF内の領域、遺伝子13のORFに隣接する領域、遺伝子56のORFに隣接する領域、遺伝子57のORFに隣接する領域および、遺伝子58のORFに隣接する領域。
(項目2)項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルスであって、遺伝子13、遺伝子56、遺伝子57、および遺伝子58からなる群から選択される遺伝子を少なくとも2つ欠損する、組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目3)項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルスであって、遺伝子13、遺伝子56、遺伝子57、および遺伝子58からなる群から選択される遺伝子を少なくとも3つ欠損する、組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目4)前記BACベクター配列が組換えタンパク質依存性組換え配列を含む、項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目5)前記BACベクター配列が、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ウエストナイルウイルス、インフルエンザウイルス、SARSコロナウイルス、および日本脳炎ウイルスからなる群から選択されるウイルスの遺伝子を含む、項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目6)前記BACベクター配列が、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、および風疹ウイルスからなる群から選択されるウイルスの遺伝子を含む、項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目7)前記BACベクター配列が、ムンプスウイルスの遺伝子、麻疹ウイルスの遺伝子、および風疹ウイルスの遺伝子を含む、項目6に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目8)前記ムンプスウイルスの遺伝子が、HN遺伝子、F遺伝子、および、N遺伝子からなる群から選択される、項目6に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目9)前記麻疹ウイルスの遺伝子が、H遺伝子、F遺伝子、および、N遺伝子からなる群から選択される、項目6に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目10)前記風疹ウイルスの遺伝子が、C遺伝子、E1遺伝子、および、E2遺伝子からなる群から選択される、項目6に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目11)前記水痘帯状疱疹ウイルスゲノムが野生株由来である、項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目12)前記水痘帯状疱疹ウイルスゲノムが変異株由来である、項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目13)前記水痘帯状疱疹ウイルスゲノムがOkaワクチン株由来である、項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目14)前記水痘帯状疱疹ウイルスゲノムが遺伝子62および遺伝子6に変異を有する、項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目15)前記遺伝子62が、配列番号1の塩基配列において、少なくとも以下(a)〜(d)の塩基置換:
(a)2110番塩基がG;
(b)3100番塩基がG;
(c)3818番塩基がC;および
(d)4006番塩基がG、
ならびに前記遺伝子6が、配列番号4の塩基配列において、少なくとも5745番塩基がGである塩基置換、
を有する、項目9に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルス。
(項目16)項目1に記載のウイルスを含有する薬学的組成物。
(項目17)ワクチンの形態である、項目16に記載の薬学的組成物。
(項目18)項目1に記載の組換え水痘帯状疱疹ウイルスから単離される、ベクター。
(項目19)項目18に記載のベクターを含む、細胞。
(項目20)細菌である、項目19に記載の細胞。
(項目21)E.coliである、項目20に記載の細菌。
(項目22)哺乳動物細胞である、項目19に記載の細胞。
(項目23)ヒト由来の細胞である、項目22に記載の哺乳動物細胞。
(項目24)項目22に記載の哺乳動物細胞によって産生された、ウイルス。
(項目25)項目24に記載のウイルスを含有する薬学的組成物。
(項目26)組換え水痘帯状疱疹ウイルスの製造方法であって、以下の工程:
項目18に記載のベクターを、哺乳動物宿主細胞に導入する工程;および
該哺乳動物宿主細胞を培養して、組換え水痘帯状疱疹ウイルスを産生させる工程、
を包含する、方法。
(項目27)前記哺乳動物宿主細胞がヒト由来の細胞である、項目26に記載の方法。
(項目28)項目26に記載の方法であって、前記2つの組換えタンパク質依存性組換え配列間での組換えを起こす工程をさらに包含する、方法。
(項目29)項目18に記載のベクターに変異を導入する方法であって、以下の工程:
該ベクターを細菌宿主細胞に導入する工程;
水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなるフラグメントを含むプラスミドベクターを該細菌宿主細胞に導入する工程であって、ここで、該フラグメントは少なくとも1つの変異を有する、工程;
該細菌宿主細胞を培養する工程;
該培養した細菌宿主細胞から、BACベクター配列を有するベクターを単離する工程、
を包含する、方法。
(項目30)項目18に記載のベクターに変異を導入する方法であって、以下の工程:
該ベクターを細菌宿主細胞に導入する工程;
水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなる第1のフラグメントを含む第1のプラスミドベクターを該細菌宿主細胞に導入する工程であって、ここで、該第1のフラグメントは少なくとも1つの変異を有する、工程;
水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなる第2のフラグメントを含む第2のプラスミドベクターを該細菌宿主細胞に導入する工程であって、ここで、該第2のフラグメントは少なくとも1つの変異を有し、そして該第2のフラグメントは該第1のフラグメントとは異なる、工程;
該細菌宿主細胞を培養する工程;
該培養した細菌宿主細胞から、BACベクター配列を有するベクターを単離する工程、
を包含する、方法。
(項目31)細菌細胞内において水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同組換えし得る第1のフラグメント、BACベクター配列、および細菌細胞内において水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同組換えし得る第2のフラグメントを含む核酸カセットであって、ここで、該BAC配列の両端の各々がそれぞれ第1のフラグメントおよび第2のフラグメントと連結し、そして、ここで、前記第1および第2のフラグメントが、各々独立して水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの以下の領域からなる群から選択される領域由来である、核酸カセット:
遺伝子13のORF内の領域、遺伝子56のORF内の領域、遺伝子58のORF内の領域、遺伝子13のORFに隣接する領域、遺伝子56のORFに隣接する領域、遺伝子57のORFに隣接する領域および、遺伝子58のORFに隣接する領域、遺伝子56,57,58の連続する領域。
(項目32)前記第1のフラグメントおよび第2のフラグメントが少なくとも1kbである、項目31に記載の核酸カセット。
(項目33)前記第1のフラグメントおよび第2のフラグメントが少なくとも1.5kbである、項目31に記載の核酸カセット。
(項目34)前記第1のフラグメントおよび第2のフラグメントが少なくとも2kbである、項目31に記載の核酸カセット。
(項目35)前記第1のフラグメントおよび第2のフラグメントが、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの配列に対して、少なくとも80%同一である、項目31に記載の核酸カセット。
(項目36)項目31に記載の核酸カセットであって、ここで、前記第1および第2のフラグメントが異なる領域に由来する、核酸カセット。
(項目37)前記BACベクター配列が組換えタンパク質依存性組換え配列を含む、項目31に記載の核酸カセット。
(項目38)前記BACベクター配列が選択マーカーを含む、項目31に記載の核酸カセット。
(項目39)前記水痘帯状疱疹ウイルスゲノムが野生株由来である、項目31に記載の核酸カセット。
(項目40)前記水痘帯状疱疹ウイルスゲノムが変異株由来である、項目31に記載の核酸カセット。
(項目41)前記水痘帯状疱疹ウイルスゲノムがOkaワクチン株由来である、項目31に記載の核酸カセット。
(項目42)前記BACベクター配列が配列番号3に記載の核酸配列を有する、項目31に記載の核酸カセット。
【発明の効果】
【0019】
本発明によって、組換え水痘帯状疱疹ウイルス、およびその製造方法が提供される。例えば、本発明によって、BAC(大腸菌人工染色体)を用い、ウイルスの特定の遺伝子をBACベクターの挿入部分として、単一のウイルス株から組換え水痘帯状疱疹ウイルスを作製する方法、およびその方法によって作製された組換え水痘帯状疱疹ウイルスが提供される。また、本発明によって、組換え水痘帯状疱疹ウイルスを含む薬学的組成物がまた提供される。
【0020】
さらに、本発明によって、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム遺伝子とBACベクター配列とを含むベクター、およびそのようなベクターを含む細胞、ならびに水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同組換えし得るフラグメント、およびBACベクター配列を含む核酸カセットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、CMVプロモーター/エンハンサーの構造を模式的に示す図である。
【図2】図2は、相同組換えによって、遺伝子13のORF領域にムンプスウイルス抗原を挿入する方法を模式的に示す。 [配列表フリーテキスト]
【0022】
配列番号1:遺伝子62の核酸配列
配列番号2:遺伝子62のアミノ酸配列
配列番号3:プラスミドPHA−2の配列
配列番号4:水痘帯状疱疹ウイルスDumas株
配列番号5:配列番号4の1134位〜1850位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子2)
配列番号6:配列番号4の8607位〜9386位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子7)
配列番号7:配列番号4の10642位〜10902位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子9A)
配列番号8:配列番号4の11009位〜11917位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子9)
配列番号9:配列番号4の12160位〜13392位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子10)
配列番号10:配列番号4の13590位〜16049位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子11)
配列番号11:配列番号4の16214位〜18199位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子12)
配列番号12:配列番号4の18441位〜19346位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子13)
配列番号13:配列番号4の24149位〜25516位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子17)
配列番号14:配列番号4の30759位〜33875位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子21)
配列番号15:配列番号4の34083位〜42374位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子22)
配列番号16:配列番号4の44506位〜46263位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子26)
配列番号17:配列番号4の50857位〜54471位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子29)
配列番号18:配列番号4の54651位〜56963位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子30)
配列番号19:配列番号4の57008位〜59614位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子31)
配列番号20:配列番号4の59766位〜60197位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子32)
配列番号21:配列番号4の64807位〜65832位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子36)
配列番号22:配列番号4の66074位〜68599位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子37)
配列番号23:配列番号4の70633位〜71355位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子39)
配列番号24:配列番号4の71540位〜75730位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子40)
配列番号25:配列番号4の75847位〜76797位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子41)
配列番号26:配列番号4の78170位〜80200位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子43)
配列番号27:配列番号4の80360位〜81451位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子44)
配列番号28:配列番号4の82719位〜83318位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子46)
配列番号29:配列番号4の84667位〜86322位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子48)
配列番号30:配列番号4の87881位〜90388位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子51)
配列番号31:配列番号4の90493位〜92808位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子52)
配列番号32:配列番号4の95996位〜98641位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子55)
配列番号33:配列番号4の110581位〜111417位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子63)
配列番号34:配列番号4の111565位〜112107位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子64)
配列番号35:配列番号4の113037位〜114218位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子66)
配列番号36:配列番号4の114496位〜115560位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子67)
配列番号37:配列番号4の115808位〜117679位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子68)
配列番号38:配列番号4の120764位〜124696位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子71)
配列番号39:配列番号4の部分配列(遺伝子27)
配列番号40:配列番号39の1位〜999位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子27)
配列番号41:配列番号4の部分配列(遺伝子47)
配列番号42:配列番号41の1位〜1530位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子47)
配列番号43:配列番号4の部分配列
配列番号44:配列番号43の1位〜243位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子49)
配列番号45:配列番号4の部分配列
配列番号46:配列番号45の1位〜732位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子56)
配列番号47:配列番号4の配列の相補鎖配列
配列番号48:配列番号4の118480位〜119316位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の5569位〜6405位に対応する)(遺伝子70)
配列番号49:配列番号4の117790位〜118332位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の6553位〜7095位に対応する)(遺伝子69)
配列番号50:配列番号4の112332位〜112640位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の12245位〜12553位に対応する)(遺伝子65)
配列番号51:配列番号4の105201位〜109133位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の15752位〜19684位に対応する)(遺伝子62)
配列番号52:配列番号4の103082位〜104485位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の20400位〜21803位に対応する)(遺伝子61)
配列番号53:配列番号4の100302位〜101219位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の23666位〜24583位に対応する)(遺伝子59)
配列番号54:配列番号4の99411位〜99626位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の25259位〜25474位に対応する)(遺伝子57)
配列番号55:配列番号4の92855位〜93850位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の31035位〜32030位に対応する)(遺伝子53)
配列番号56:配列番号4の68668位〜70293位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の54592位〜56217位に対応する)(遺伝子38)
配列番号57:配列番号4の63977位〜64753位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の60132位〜60908位に対応する)(遺伝子35)
配列番号58:配列番号4の62171位〜63910位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の60975位〜62714位に対応する)(遺伝子34)
配列番号59:配列番号4の60321位〜62138位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の62747位〜64564位に対応する)(遺伝子33)
配列番号60:配列番号4の47052位〜50636位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の74249位〜77833位に対応する)(遺伝子28)
配列番号61:配列番号4の44148位〜44618位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の80267位〜80737位に対応する)(遺伝子25)
配列番号62:配列番号4の43212位〜44021位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の80864位〜81673位に対応する)(遺伝子24)
配列番号63:配列番号4の42431位〜43138位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の81747位〜82454位に対応する)(遺伝子23)
配列番号64:配列番号4の29024位〜30475位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の94410位〜95861位に対応する)(遺伝子20)
配列番号65:配列番号4の26518位〜28845位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の96040位〜98367位に対応する)(遺伝子19)
配列番号66:配列番号4の25573位〜26493位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の98392位〜99312位に対応する)(遺伝子18)
配列番号67:配列番号4の22568位〜23794位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の101091位〜102317位に対応する)(遺伝子16)
配列番号68:配列番号4の21258位〜22478位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の102407位〜103627位に対応する)(遺伝子15)
配列番号69:配列番号4の19431位〜21113位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の103772位〜105454位に対応する)(遺伝子14)
配列番号70:配列番号4の9477位〜10667位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の114218位〜115408位に対応する)(遺伝子8)
配列番号71:配列番号4の5326位〜8577位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の116308位〜119559位に対応する)(遺伝子6)
配列番号72:配列番号4の4252位〜5274位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の119611位〜120633位に対応する)(遺伝子5)
配列番号73:配列番号4の2783位〜4141位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の120744位〜122102位に対応する)(遺伝子4)
配列番号74:配列番号4の1908位〜2447位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の122438位〜122977位に対応する)(遺伝子3)
配列番号75:配列番号4の589位〜915位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の123970位〜124296位に対応する)(遺伝子1)
配列番号76:配列番号47の部分配列
配列番号77:配列番号76の1位〜1056位および4556位〜5740位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の46847位〜48034位および42292位〜43347位に対応する)(遺伝子42および遺伝子45)
配列番号78:配列番号47の部分配列
配列番号79:配列番号78の1位〜1305位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の123580位〜124884位に対応する)(遺伝子50)
配列番号80:配列番号47の部分配列
配列番号81:配列番号80の1位〜2307位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の122578位〜124884位に対応する)(遺伝子54)
配列番号82:配列番号47の部分配列
配列番号83:配列番号82の1位〜663位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の124222位〜124884位に対応する)(遺伝子58)
配列番号84:配列番号47の部分配列
配列番号85:配列番号84の1位〜427位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の124458位〜124884位に対応する)(遺伝子60)
配列番号86:配列番号47の部分配列
配列番号87:配列番号86の1位〜903位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の60321位〜61229位に対応する)(遺伝子33.5)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0024】
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
【0025】
本明細書において使用される場合、水痘帯状疱疹ウイルスの「必須遺伝子」とは、水痘帯状疱疹ウイルスが増殖するために必須の遺伝子をいう。また、水痘帯状疱疹ウイルスの「非必須遺伝子」とは、水痘帯状疱疹ウイルスが増殖するために必須ではない遺伝子であり、たとえ欠損したとしても、水痘帯状疱疹ウイルスが増殖し得る遺伝子をいう。水痘帯状疱疹ウイルスの非必須遺伝子としては、例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:遺伝子11、遺伝子12、遺伝子13、遺伝子56、および、遺伝子58。これら遺伝子の中でBACベクターの挿入に適切な遺伝子は、例えば、遺伝子13、遺伝子56、および、遺伝子58が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
ウイルスゲノム中の遺伝子が必須遺伝子である場合、その遺伝子の破壊によってウイルスは増殖できなくなる。従って、ウイルスゲノム中の任意の遺伝子を破壊して、そのウイルスの増殖を検出することによって、その遺伝子が必須遺伝子か非必須遺伝子かを決定することができる。
【0027】
本明細書において水痘帯状疱疹ウイルスの「野生株」とは、人工的な改変を受けていない、天然より単離された水痘帯状疱疹ウイルス株をいう。野生株の例としては、Davison,A.J.およびScott,J.E.(J.Gen.Virol.67(Pt 9),1759−1816(1986))が同定したDumas株が挙げられるが、これに限定されない。このDumas株の核酸配列を配列番号4に記載する。このDumas株のORFの番号および位置は、以下のとおりである。
ORF番号 読み枠の方向 ゲノム上の位置 アミノ酸残基数
ORF1 3’→5’方向 589〜915 アミノ酸1−108
ORF2 5’→3’方向 1134〜1850 アミノ酸1−238
ORF3 3’→5’方向 1908〜2447 アミノ酸1−179
ORF4 3’→5’方向 2783〜4141 アミノ酸1−452
ORF5 3’→5’方向 4252〜5274 アミノ酸1−340
ORF6 3’→5’方向 5326〜8577 アミノ酸1−1083
ORF7 5’→3’方向 8607〜9386 アミノ酸1−259
ORF8 3’→5’方向 9477〜10667 アミノ酸1−396
ORF9 5’→3’方向 11009〜11917 アミノ酸1−302
ORF9A 5’→3’方向 10642〜10902 アミノ酸1−87
ORF10 5’→3’方向 12160〜13392 アミノ酸1−410
ORF11 5’→3’方向 13590〜16049 アミノ酸1−819
ORF12 5’→3’方向 16214〜18199 アミノ酸1−661
ORF13 5’→3’方向 18441〜19346 アミノ酸1−301
ORF14 3’→5’方向 19431〜21113 アミノ酸1−560
ORF15 3’→5’方向 21258〜22478 アミノ酸1−406
ORF16 3’→5’方向 22568〜23794 アミノ酸1−408
ORF17 5’→3’方向 24149〜25516 アミノ酸1−455
ORF18 3’→5’方向 25573〜26493 アミノ酸1−306
ORF19 3’→5’方向 26518〜28845 アミノ酸1−775
ORF20 3’→5’方向 29024〜30475 アミノ酸1−483
ORF21 5’→3’方向 30759〜33875 アミノ酸1−1038
ORF22 5’→3’方向 34083〜42374 アミノ酸1−2763
ORF23 3’→5’方向 42431〜43138 アミノ酸1−235
ORF24 3’→5’方向 43212〜44021 アミノ酸1−269
ORF25 3’→5’方向 44148〜44618 アミノ酸1−156
ORF26 5’→3’方向 44506〜46263 アミノ酸1−585
ORF27 5’→3’方向 46127〜47128 アミノ酸1−333
ORF28 3’→5’方向 47052〜50636 アミノ酸1−1194
ORF29 5’→3’方向 50857〜54471 アミノ酸1−1204
ORF30 5’→3’方向 54651〜56963 アミノ酸1−770
ORF31 5’→3’方向 57008〜59614 アミノ酸1−868
ORF32 5’→3’方向 59766〜60197 アミノ酸1−143
ORF33 3’→5’方向 60321〜62138 アミノ酸1−605
ORF33.5 3’→5’方向 60321〜61229 アミノ酸1−301
ORF34 3’→5’方向 62171〜63910 アミノ酸1−579
ORF35 3’→5’方向 63977〜64753 アミノ酸1−258
ORF36 5’→3’方向 64807〜65832 アミノ酸1−341
ORF37 5’→3’方向 66074〜68599 アミノ酸1−841
ORF38 3’→5’方向 68668〜70293 アミノ酸1−541
ORF39 5’→3’方向 70633〜71355 アミノ酸1−240
ORF40 5’→3’方向 71540〜75730 アミノ酸1−1396
ORF41 5’→3’方向 75847〜76797 アミノ酸1−316
ORF42+45 3’→5’方向
76851〜78038および81538〜82593 アミノ酸1−747
ORF43 5’→3’方向 78170〜80200 アミノ酸1−676
ORF44 5’→3’方向 80360〜81451 アミノ酸1−363
ORF46 5’→3’方向 82719〜83318 アミノ酸1−199
ORF47 5’→3’方向 83168〜84700 アミノ酸1−510
ORF48 5’→3’方向 84667〜86322 アミノ酸1−551
ORF49 5’→3’方向 86226〜86471 アミノ酸1−81
ORF50 3’→5’方向 86575〜87882 アミノ酸1−435
ORF51 5’→3’方向 87881〜90388 アミノ酸1−835
ORF52 5’→3’方向 90493〜92808 アミノ酸1−771
ORF53 3’→5’方向 92855〜93850 アミノ酸1−331
ORF54 3’→5’方向 93675〜95984 アミノ酸1−769
ORF55 5’→3’方向 95996〜98641 アミノ酸1−881
ORF56 5’→3’方向 98568〜99302 アミノ酸1−244
ORF57 3’→5’方向 99411〜99626 アミノ酸1−71
ORF58 3’→5’方向 99607〜100272 アミノ酸1−221
ORF59 3’→5’方向 100302〜101219 アミノ酸1−305
ORF60 3’→5’方向 101170〜101649 アミノ酸1−159
ORF61 3’→5’方向 103082〜104485 アミノ酸1−467
ORF62 3’→5’方向 105201〜109133 アミノ酸1−1310
ORF63 5’→3’方向 110581〜111417 アミノ酸1−278
ORF64 5’→3’方向 111565〜112107 アミノ酸1−180
ORF65 3’→5’方向 112332〜112640 アミノ酸1−102
ORF66 5’→3’方向 113037〜114218 アミノ酸1−393
ORF67 5’→3’方向 114496〜115560 アミノ酸1−354
ORF68 5’→3’方向 115808〜117679 アミノ酸1−623
ORF69 3’→5’方向 117790〜118332 アミノ酸1−180
ORF70 3’→5’方向 118480〜119316 アミノ酸1−278
ORF71 5’→3’方向 120764〜124696 アミノ酸1−1310
上記の表で、「5’→3’方向」とは、ORFが配列番号4の核酸配列と同一の方向にあることを示し、「3’→5’方向」とは、ORFが配列番号4の核酸配列と逆の方向にあることを示す。上記ORFの核酸配列および/またはアミノ酸配列と相同な配列を同定することによって、当業者は、Dumas株以外の株由来のゲノム中のORFを同定することを容易になし得る。
【0028】
本明細書において「変異株」とは、野生株であるウイルス株に、変異誘発、多数回の継代培養などによって変異誘発をした水痘帯状疱疹ウイルス株をいう。水痘帯状疱疹ウイルス株に変異誘発する場合、この変異誘発は、ランダムな変異導入であっても、部位特異的変異導入であってもよい。
【0029】
本明細書において使用する場合、「弱毒化ウイルス」とは、ウイルス変異株の一種であって毒性が野生株より減弱化されているものをいう。ウイルス変異株が毒性が野生株より減弱化されているか否かを決定する方法、すなわち、水痘帯状疱疹ウイルスの病原性を試験する方法について、2つの方法が確立されている。
【0030】
動物モデルを用いる方法として、ヒトの皮膚を移植した重症複合免疫不全(SCID)マウスを作製し、これに水痘帯状庖疹ウイルスを感染させることによって、病原性についての評価をする方法が周知である(J.Viro1.1998Feb;72(2):965−74,)。
【0031】
これに対し試験管内で病原性の評価を行う方法としては、ポアサイズが3μmのトランスウェルで仕切られた二層のウェルの下側に単層培養のヒトメラノーマ細胞を入れ、上側に水痘帯状疱疹ウイルスを感染させた臍帯血単核球(CBMC)をそれぞれ入れ、7〜8日培養した後のメラノーマ細胞のCPE(細胞変性効果)の程度を観察する方法もまた周知である(J.Virol.2000 Feb;74(4):1864−70)。
【0032】
また、病原性を直接確認する方法ではないが、本発明者らのこれまでの結果(J Virol.2002 Nov;76(22):11447−59)から、ウイルスの病原性と増殖性には密接な関連があることが理解されているため、infectius center assayによってcell−to−ce11の増殖性を調べることによっても間接的に病原性について評価を行うことができる。
【0033】
人工的にウイルスを弱毒化する方法は、公知である。例えば、配列番号1に記載の遺伝子62において、少なくとも以下(a)〜(d)の塩基置換:
(a)2110番塩基がG;
(b)3100番塩基がG;
(c)3818番塩基がC;および
(d)4006番塩基がG、
ならびに配列番号4に記載の遺伝子6において、少なくとも5745番塩基がGである塩基置換、
を有する水痘帯状疱疹ウイルスを、弱毒化ウイルスとして使用可能である。
【0034】
上記水痘帯状疱疹ウイルスを用いる代わりに、(a)〜(d)の塩基置換に加え、以下の(e)〜(g)の少なくとも1以上の塩基置換:
(e)1251番塩基がG;
(f)2226番塩基がG;および
(g)3657番塩基がG
を有する弱毒水痘ウイルス株を使用することが可能である。
【0035】
さらに、本発明において、上記水痘帯状疱疹ウイルスを用いる代わりに、(a)〜(g)の少なくとも1以上の塩基置換に加え、以下の(h)〜(o)の少なくとも1以上の塩基置換:
(h)162番塩基がC;
(i)225番塩基がC;
(j)523番塩基がC;
(k)1565番塩基がC;
(l)1763番塩基がC;
(m)2652番塩基がC;
(n)4052番塩基がC;および
(o)4193番塩基がC
を有する弱毒水痘ウイルス株を使用することが可能である。
【0036】
あるいは、「弱毒化ウイルス」として、例えば、遺伝子62に、以下からなる群から選択される塩基置換の少なくとも1つを有するウイルスを使用し得る:
(a)2110番塩基がG;
(b)3100番塩基がG;
(c)3818番塩基がC;
(d)4006番塩基がG;
(e)1251番塩基がG;
(f)2226番塩基がG;
(g)3657番塩基がG;
(h)162番塩基がC;
(i)225番塩基がC;
(j)523番塩基がC;
(k)1565番塩基がC;
(l)1763番塩基がC;
(m)2652番塩基がC;
(n)4052番塩基がC;および
(o)4193番塩基がC。
【0037】
本明細書において使用される用語「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。
【0038】
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
【0039】
本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する遺伝子を構造遺伝子といい、その発現を左右する調節遺伝子という。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」ならびに/あるいは「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」をさすことがある。本明細書において遺伝子の「オープンリーディングフレーム」または「ORF」とは、遺伝子の塩基配列を3塩基ずつに区切った時の3通りの枠組の1つであって、開始コドンを有し、そして途中に終止コドンが出現せずある程度の長さを持ち、実際にタンパク質をコードする可能性のある読み枠をいう。水痘帯状疱疹ウイルスゲノムは、その全塩基配列が決定されており、少なくとも71個の遺伝子が同定されており、その遺伝子の各々がオープンリーディングフレーム(ORF)を有することが公知である。
【0040】
本明細書において、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム内の遺伝子の「ORF内の領域」とは、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム内にある遺伝子においてORFを形成する塩基の存在する領域をいう。
【0041】
本明細書において、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム内の遺伝子の「ORFに隣接する領域」とは、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム内にある遺伝子においてORFの近傍にある塩基の存在する領域であって、その遺伝子または他の遺伝子のORF内の領域に該当しない領域をいう。
【0042】
本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。
【0043】
本明細書では塩基配列の同一性の比較および相同性の算出は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。
【0044】
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
【0045】
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に受け入れられた1文字コードにより言及され得る。
【0046】
本明細書において、「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100、200、300、400、500、600、600、700、800、900、1000およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。
【0047】
BACベクター内の遺伝子がコードするポリペプチドは、天然型のポリペプチドと実質的に同一の作用を有する限り、アミノ酸配列中の1以上(例えば、1または数個)のアミノ酸が置換、付加および/または欠失していてもよく、糖鎖が置換、付加および/または欠失していてもよい。
【0048】
本明細書において使用する場合、「糖鎖」とは、単位糖(単糖および/またはその誘導体)が1つ以上連なってできた化合物をいう。単位糖が2つ以上連なる場合は、各々の単位糖同士の間は、グリコシド結合による脱水縮合によって結合する。このような糖鎖としては、例えば、生体中に含有される多糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸ならびにそれらの複合体および誘導体)の他、分解された多糖、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、糖脂質などの複合生体分子から分解または誘導された糖鎖など広範囲なものが挙げられるがそれらに限定されない。したがって、本明細書では、糖鎖は、「多糖(ポリサッカリド)」、「糖質」、「炭水化物」と互換可能に使用され得る。また、特に言及しない場合、本明細書において「糖鎖」は、糖鎖および糖鎖含有物質の両方を包含する。
【0049】
あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、酵素活性において等価なタンパク質)を生じさせ得ることが当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。親水性指標もまた、改変体作製において考慮される。米国特許第4、554、101号に記載されるように、以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。
【0050】
本発明において、「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0051】
本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトとマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子とβヘモグロビン遺伝子はパラログ(遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹の推定に有用であることから、本発明のオルソログもまた、本発明において有用であり得る。
【0052】
「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核酸の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント改変(変異)」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。
【0053】
本明細書中において、機能的に等価なポリペプチドをコードする遺伝子を含むBACベクターを作製するために、アミノ酸の置換のほかに、アミノ酸の付加、欠失、または修飾もまた行うことができる。アミノ酸の置換とは、もとのペプチドを1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。アミノ酸の付加とは、もとのペプチド鎖に1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を付加することをいう。アミノ酸の欠失とは、もとのペプチドから1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。アミノ酸修飾は、アミド化、カルボキシル化、硫酸化、ハロゲン化、アルキル化、グリコシル化、リン酸化、水酸化、アシル化(例えば、アセチル化)などを含むが、これらに限定されない。置換、または付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸であってもよく、非天然のアミノ酸、またはアミノ酸アナログでもよい。天然のアミノ酸が好ましい。
【0054】
本明細書において使用されるポリペプチドの核酸形態は、そのポリペプチドのタンパク質形態を発現し得る核酸分子をいう。この核酸分子は、発現されるポリペプチドが天然型のポリペプチドと実質的に同一の活性を有する限り、上述のようにその核酸の配列の一部が欠失または他の塩基により置換されていてもよく、あるいは他の核酸配列が一部挿入されていてもよい。あるいは、5’末端および/または3’末端に他の核酸が結合していてもよい。また、ポリペプチドをコードする遺伝子をストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、そのポリペプチドと実質的に同一の機能を有するポリペプチドをコードする核酸分子でもよい。このような遺伝子は、当該分野において公知であり、本発明において利用することができる。
【0055】
このような核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。
【0056】
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わることまたは取り除かれることをいう。このような置換、付加または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、10%以内、または100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
【0057】
高分子構造(例えば、ポリペプチド構造)は種々のレベルの構成に関して記述され得る。この構成の一般的な議論については、例えば、Albertsら、Molecular Biology of the Cell(第3版、1994)、ならびに、CantorおよびSchimmel、Biophysical Chemistry Part I:The Conformation of Biological Macromolecules(1980)を参照。本発明において利用され得る一般的な分子生物学的手法としては、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols in Molecular Biology、 Wiley、 New York、 NY;Sambrook Jら (1987) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYなどを参酌して当業者であれば容易に実施をすることができる。
【0058】
本明細書において遺伝子について言及する場合、「ベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるものをいう。そのようなベクターとしては、原核生物細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体等の宿主細胞において自律複製が可能であるか、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
【0059】
「BACベクター」とは、大腸菌のFプラスミドをもとにして作製されたプラスミドで、約300kb以上の巨大なサイズのDNA断片を大腸菌などの細菌内で安定に保持し増殖させることが可能なベクターである。BACベクターは、少なくともBACベクターの複製に必須の領域を含む。その複製に必須の領域としては、例えば、Fプラスミドの複製開始点であるoriSまたはその改変体が挙げられる。
【0060】
本明細書において「BACベクター配列」とは、BACベクターとしての機能に必須の配列を含む配列をいう。必要に応じて、BACベクター配列は、「組換えタンパク質依存性組換え配列」および/または「選択マーカー」をさらに含み得る。
【0061】
本明細書において核酸の「組換え」とは、用語「相同組換え」と互換可能に使用され、2つの異なる相同な核酸分子の会合によって開始し、乗り換えが起こり、核酸の新しい組み合わせが生じることをいう。本明細書において使用する場合、相同組換えには、「組換えタンパク質依存的組換え」および「組換えタンパク質非依存的組換え」の両方が含まれる。「組換えタンパク質依存的組換え」とは、組換えタンパク質存在下において生じるが、組換えタンパク質非存在下では生じない、相同組換えをいう。「組換えタンパク質非依存的組換え」とは、組換えタンパク質の存在の有無に関わらずに生じる、相同組換えをいう。本明細書において「組換えタンパク質依存性組換え配列」とは、組換えタンパク質依存的組換えを生じる配列をいい、「組換えタンパク質非依存性組換え配列」とは、組換えタンパク質非依存的組換えを生じる配列をいう。組換えタンパク質依存性組換え配列は、組換えタンパク質存在下では、組換えを生じるが、組換えタンパク質非存在下では、組換えを生じない。組換えタンパク質は、好ましくは、組換えタンパク質依存性組換え配列に特異的に作用し、組換えタンパク質依存性組換え配列以外の配列には作用しない。
【0062】
代表的な組換えタンパク質依存性組換え配列と、組換えタンパク質との対としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:バクテリオファージP1由来のloxP(locus of crossover of P1)配列とCre(cyclization recombination)タンパク質との組み合わせ、Flpタンパク質とFRT部位との組み合わせ、φC31とattB,attPとの組み合わせ(Thorpe,Helena M.;Wilson,Stuart E.;Smith, Margaret C.M.、Control of directionality in the site−specific recombination system of the Streptomyces phage φC31.、Molecular Microbiology (2000),38(2),232−241.)、リソルバーゼとres部位との組み合わせ(Sadowski P.,Site−specific recombinases: changing partners and doing the twist. J.Bacteriol.,1986年2月;165(2)341−7)(一般的には、Sauer B.Site−specific recombination: developments and applications.,Curr Opin Biotechnol.1994 Oct;5(5):521−7.を参照のこと)。
【0063】
本明細書において使用する場合、「選択マーカー」とは、BACベクターを含む宿主細胞を選択する指標として機能する遺伝子をいう。選択マーカーとしては、蛍光マーカー、発光マーカー、および薬剤選択マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。「蛍光マーカー」としては、グリーン蛍光タンパク質(GFP)のような蛍光タンパク質をコードする遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。「発光マーカー」としては、ルシフェラーゼのような発光タンパク質をコードする遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。「薬剤選択マーカー」としては、以下からなる群から選択されるタンパク質をコードする遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない:ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、グルタミンシンセターゼ遺伝子、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、メタロチオネイン(MT)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アデノシンデアミナーゼ(AMPD1,2)、キサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ、UMPシンターゼ、P−グリコプロテイン、アスパラギンシンテターゼ、およびオルニチンデカルボキシラーゼ。これら薬剤選択マーカーと使用される薬剤との組み合わせは、例えば、以下のとおりである:ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(DHFR)とメソトレキセート(MTX)との組み合わせ、グルタミンシンセターゼ(GS)遺伝子とメチオニンスルホキシミン(Msx)との組み合わせ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(CAD)遺伝子とN−ホスホンアセチル−L−アスパラギン酸(N−phosphonacetyl−L−aspartate)(PALA)との組み合わせ、MT遺伝子とカドミウム(Cd2)との組み合わせ、アデノシンデアミナーゼ(ADA)遺伝子とアデノシン、アラノシン、2’−デオキシコホルマイシンとの組み合わせ、アデノシンデアミナーゼ(AMPD1,2)遺伝子とアデニン、アザセリン、コホルマイシンとの組み合わせ、キサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子と、マイコフェノール酸との組み合わせ、UMPシンターゼ遺伝子と6−アザウリジン、ピラゾフラン(pyrazofuran)との組み合わせ、P−グリコプロテイン(P−gp,MDR)遺伝子と多剤薬剤との組み合わせ、アスパラギンシンテターゼ(AS)遺伝子とβ−アスパルチルヒドロキサム酸またはアルビジイン(albizziinn)との組み合わせ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)遺伝子とα−ジフルオロメチル−オルニチン(DFMO)。
【0064】
本明細書において使用する場合、「発現ベクター」は、構造遺伝子およびその発現を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子など)のような選択マーカーおよび、エンハンサーを含み得る。生物(例えば、植物)の発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。植物の場合、本発明に用いる植物の発現ベクターはさらにT−DNA領域を有し得る。T−DNA領域は、特にアグロバクテリウムを用いてその植物を形質転換する場合に遺伝子の導入の効率を高める。
【0065】
本明細書において使用する場合、「組換えベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。そのようなベクターとしては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体等の宿主細胞において自立複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
【0066】
「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結、ポリA配列の付加に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に関与して遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。ターミネーターとしては、CaMV35Sターミネーター、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)、タバコPR1a遺伝子のターミネーターが挙げられるが、これに限定されない。
【0067】
本明細書において用いられる「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNAのORF内の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。プロモーターの領域は、通常、推定タンパク質コード領域の第1エキソンの上流約2kbp以内の領域であることが多いので、DNA解析用ソフトウエアを用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、プロモーター領域を推定することはできる。推定プロモーター領域は、構造遺伝子ごとに変動するが、通常構造遺伝子の上流にあるが、これらに限定されず、構造遺伝子の下流にもあり得る。好ましくは、推定プロモーター領域は、第一エキソン翻訳開始点から上流約2kbp以内に存在する。
【0068】
本明細書において、本発明のプロモーターの発現が「構成的」であるとは、生物のすべての組織において、その生物の発生のいずれの段階にあってもほぼ一定の量で発現される性質をいう。具体的には、本明細書の実施例と同様の条件でノーザンブロット分析したとき、例えば、任意の時点で(例えば、2点以上(例えば、5日目および15日目))の同一または対応する部位のいずれにおいても、ほぼ同程度の発現量がみられるとき、本発明の定義上、発現が構成的であるという。構成的プロモーターは、通常の生育環境にある生物の恒常性維持に役割を果たしていると考えられる。これらの性質は、生物の任意の部分からRNAを抽出してノーザンブロット分析で発現量を分析することまたは発現されたタンパク質をウェスタンブロットにより定量することにより決定することができる。
【0069】
「エンハンサー」は、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ得る。動物細胞において使用する場合、エンハンサーとしては、SV40プロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域が好ましい。エンハンサーは複数個用いられ得るが1個用いられてもよいし、用いなくともよい。
【0070】
本明細書において使用する場合、「作動可能に連結された(る)」とは、所望の配列の発現(作動)がある転写翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、必ずしも隣接して配置される必要はない。
【0071】
本発明において使用する場合、用語「形質転換」、「形質導入」および「トランスフェクション」は、特に言及しない限り互換可能に使用され、宿主細胞への核酸の導入を意味する。形質転換方法としては、宿主細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポーレーション法、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法、リン酸カルシウム法などの種々の周知の技術が挙げられる。
【0072】
「形質転換体」とは、形質転換によって作製された細胞などの生命体の全部または一部をいう。形質転換体としては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞等が例示される。形質転換体は、その対象に依存して、形質転換細胞、形質転換組織、形質転換宿主などともいわれ、本明細書においてそれらの形態をすべて包含するが、特定の文脈において特定の形態を指し得る。
【0073】
原核細胞としては、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、シュードモナス属等に属する原核細胞、例えば、Escherichia coli XL1−Blue、Escherichia coli XL2−Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli BL21(DE3)、Escherichia coli BL21(DE3)pLysS、Escherichia coli HMS174(DE3)、Escherichia coli HMS174(DE3)pLysS、Serratia ficaria、Serratia fonticola、Serratia liquefaciens、Serratia marcescens、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Brevibacterium ammmoniagenes、Brevibacterium immariophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticumATCC14066、Corynebacterium glutamicum ATCC13032、Corynebacterium glutamicum ATCC14067、Corynebacterium glutamicum ATCC13869、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、Pseudomonas sp.D−0110などが例示される。
【0074】
動物細胞としては、ヒト・MRC−5細胞、ヒト・HEL細胞、ヒト・WI−38細胞、マウス・ミエローマ細胞、ラット・ミエローマ細胞、ヒト・ミエローマ細胞、マウス・ハイブリドーマ細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、BHK細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、ヒト白血病細胞、HBT5637(特開昭63−299)、ヒト大腸癌細胞株などを挙げることができる。マウス・ミエローマ細胞としては、ps20、NSOなど、ラット・ミエローマ細胞としてはYB2/0など、ヒト胎児腎臓細胞としてはHEK293(ATCC:CRL−1573)など、ヒト白血病細胞としてはBALL−1など、アフリカミドリザル腎臓細胞としてはCOS−1、COS−7、Vero細胞、ヒト大腸癌細胞株としてはHCT−15などが例示される。
【0075】
本明細書において「動物」は、当該分野において最も広義で用いられ、脊椎動物および無脊椎動物を含む。動物としては、哺乳綱、鳥綱、爬虫綱、両生綱、魚綱、昆虫綱、蠕虫綱などが挙げられるがそれらに限定されない。
【0076】
本明細書において、生物の「組織」とは、細胞の集団であって、その集団において一定の同様の作用を有するものをいう。従って、組織は、臓器(器官)の一部であり得る。臓器(器官)内では、同じ働きを有する細胞を有することが多いが、微妙に異なる働きを有するものが混在することもあることから、本明細書において組織は、一定の特性を共有する限り、種々の細胞を混在して有していてもよい。
【0077】
本明細書において、「器官(臓器)」とは、1つ独立した形態をもち、1種以上の組織が組み合わさって特定の機能を営む構造体を形成したものをいう。植物では、カルス、根、茎、幹、葉、花、種子、胚芽、胚、果実などが挙げられるがそれらに限定されない。動物では、胃、肝臓、腸、膵臓、肺、気管、鼻、心臓、動脈、静脈、リンパ節(リンパ管系)、胸腺、卵巣、眼、耳、舌、皮膚等が挙げられるがそれらに限定されない。
【0078】
本明細書において、「トランスジェニック」とは、特定の遺伝子をある生物に組み込むことまたはそのような遺伝子が組み込まれた生物(例えば、植物または動物(マウスなど)を含む)をいう。
【0079】
本発明の生物が、動物の場合、トランスジェニック生物は、マイクロインジェクション法(微量注入法)、ウィルスベクター法、ES細胞法(胚性幹細胞法)、精子ベクター法、染色体断片を導入する方法(トランスゾミック法)、エピゾーム法などを利用したトランスジェニック動物の作製技術を使用して作製することができる。そのようなトランスジェニック動物の作成技術は当該分野において周知である。
【0080】
本明細書において使用される場合、「スクリーニング」とは、目的とするある特定の性質をもつ物質、あるいは宿主細胞またはウイルスなどを、特定の操作および/または評価方法で多数の候補から選抜することをいう。本発明では、所望の活性を有するスクリーニングによって得られたウイルスもまた、本発明の範囲内に包含されることが理解される。
【0081】
本明細書において「チップ」または「マイクロチップ」は、互換可能に用いられ、多様の機能をもち、システムの一部となる超小型集積回路をいう。チップとしては、例えば、DNAチップ、プロテインチップ、細胞チップなどが挙げられるがそれらに限定されない。
【0082】
本明細書において「アレイ」とは、1以上(例えば、1000以上)の標的物質を含む組成物(例えば、DNA、タンパク質、細胞)が整列されて配置されたパターンまたはパターンを有する基板(例えば、チップ)そのものをいう。アレイの中で、小さな基板(例えば、10×10mm上など)上にパターン化されているものはマイクロアレイというが、本明細書では、マイクロアレイとアレイとは互換可能に使用される。従って、上述の基板より大きなものにパターン化されたものでもマイクロアレイと呼ぶことがある。例えば、アレイはそれ自身固相表面または膜に固定されている所望の細胞のセットで構成される。アレイは好ましくは同一のまたは異なるウイルスを含む細胞を少なくとも10個、より好ましくは少なくとも10個、およびさらに好ましくは少なくとも10個、さらにより好ましくは少なくとも10個を含む。これらの細胞は、好ましくは表面が125×80mm、より好ましくは10×10mm上に配置される。形式としては、96ウェルマイクロタイタープレート、384ウェルマイクロタイタープレートなどのマイクロタイタープレートの大きさのものから、スライドグラス程度の大きさのものが企図される。固定される標的物質を含む組成物は、1種類であっても複数種類であってもよい。そのような種類の数は、1個〜スポット数までの任意の数であり得る。例えば、約10種類、約100種類、約500種類、約1000種類の標的物質を含む組成物が固定され得る。
【0083】
基板のような固相表面または膜には、上述のように任意の数の標的物質(例えば、細胞のような生体分子)が配置され得るが、通常、基板1つあたり、10個の生体分子まで、他の実施形態において10個の生体分子まで、10個の生体分子まで、10個の生体分子まで、10個の生体分子まで、10個の生体分子まで、または10個の生体分子までの個の生体分子が配置され得るが、10個の生体分子を超える標的物質を含む組成物が配置されていてもよい。これらの場合において、基板の大きさはより小さいことが好ましい。特に、標的物質を含む組成物(例えば、細胞)のスポットの大きさは、単一の生体分子のサイズと同じ小さくあり得る(これは、1−2nmの桁であり得る)。最小限の基板の面積は、いくつかの場合において基板上の生体分子の数によって決定される。
【0084】
アレイ上には、生体分子の「スポット」が配置され得る。本明細書において「スポット」とは、標的物質を含む組成物の一定の集合をいう。本明細書において「スポッティング」とは、ある標的物質を含む組成物のスポットをある基板またはプレートに作製することをいう。スポッティングはどのような方法でも行うことができ、例えば、ピペッティングなどによって達成され得、あるいは自動装置で行うこともでき、そのような方法は当該分野において周知である。
【0085】
本明細書において使用される用語「アドレス」とは、基板上のユニークな位置をいい、他のユニークな位置から弁別可能であり得るものをいう。アドレスは、そのアドレスを伴うスポットとの関連づけに適切であり、そしてすべての各々のアドレスにおける存在物が他のアドレスにおける存在物から識別され得る(例えば、光学的)、任意の形状を採り得る。アドレスを定める形は、例えば、円状、楕円状、正方形、長方形であり得るか、または不規則な形であり得る。したがって、「アドレス」は、抽象的な概念を示し、「スポット」は具体的な概念を示すために使用され得るが、両者を区別する必要がない場合、本明細書においては、「アドレス」と「スポット」とは互換的に使用され得る。
【0086】
各々のアドレスを定めるサイズは、とりわけ、その基板の大きさ、特定の基板上のアドレスの数、標的物質を含む組成物の量および/または利用可能な試薬、微粒子のサイズおよびそのアレイが使用される任意の方法のために必要な解像度の程度に依存する。大きさは、例えば、1−2nmから数cmの範囲であり得るが、そのアレイの適用に一致した任意の大きさが可能である。
【0087】
アドレスを定める空間配置および形状は、そのマイクロアレイが使用される特定の適用に適合するように設計される。アドレスは、密に配置され得、広汎に分散され得るか、または特定の型の分析物に適切な所望のパターンへとサブグループ化され得る。
【0088】
本明細書において使用される場合、「支持体」とは、細胞、細菌、ウイルス、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを担持することができる物質をいう。支持体の材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用される細胞などに結合する特性を有するかまたはそのような特性を有するように誘導体化され得る、任意の固体材料が挙げられる。
【0089】
支持体として使用するための材料には、固体表面を形成し得る任意の物質が使用され得るが、例えば、ガラス、シリカ、シリコン、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)以下が挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、支持体は、疎水性結合を行う部分を含む。支持体は、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素などの無機材料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いることができる。あるいは、支持体として、ニトロセルロース膜、PVDF膜など、ブロッティングに使用される膜を用いることもできる。
【0090】
本発明の水痘帯状疱疹ウイルスは、感染症の処置、予防、および/または治療のための薬学的組成物の成分としても使用することが可能である。
【0091】
本明細書において薬剤の「有効量」とは、その薬剤が目的とする薬効が発揮することができる量をいう。本明細書において、そのような有効量のうち、最小の濃度を最小有効量ということがある。そのような最小有効量は、当該分野において周知であり、通常、薬剤の最小有効量は当業者によって決定されているか、または当業者は適宜決定することができる。そのような有効量の決定には、実際の投与のほか、動物モデルなどを用いることも可能である。本発明はまた、このような有効量を決定する際に有用である。
【0092】
本明細書において「薬学的に受容可能なキャリア」は、医薬または動物薬のような農薬を製造するときに使用される物質であり、有効成分に有害な影響を与えないものをいう。そのような薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、賦形剤および/または農学的もしくは薬学的アジュバント。
【0093】
本発明の処置方法において使用される薬剤の種類および量は、本発明の方法によって得られた情報(例えば、疾患に関する情報)を元に、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、投与される被検体の部位の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明のモニタリング方法を被検体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。疾患状態をモニタリングする頻度としては、例えば、毎日−数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回−1ヶ月に1回)のモニタリングが挙げられる。1週間−1ヶ月に1回のモニタリングを、経過を見ながら施すことが好ましい。
【0094】
本明細書において「指示書」は、本発明の治療方法などを医師、患者など投与を行う人に対して記載したものである。この指示書は、本発明の医薬などを例えば、放射線治療直後または直前(例えば、24時間以内など)に投与することを指示する文言が記載されている。この指示書は、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ、電子メール)のような形態でも提供され得る。
【0095】
必要に応じて、本発明の治療では、2種類以上の薬剤が使用され得る。2種類以上の薬剤を使用する場合、類似の性質または由来の物質を使用してもよく、異なる性質または由来の薬剤を使用してもよい。このような2種類以上の薬剤を投与する方法のための疾患レベルに関する情報も、本発明の方法によって入手することができる。
【0096】
本発明では、いったん類似の種類(例えば、ヒトに対するマウスなど)の生物、培養細胞、組織などに関し、ある特定の糖鎖構造の分析結果と、疾患レベルとが相関付けられた場合、対応する糖鎖構造の分析結果と、疾患レベルとが相関付けることができることは、当業者は容易に理解する。そのような事項は、例えば、動物培養細胞マニュアル、瀬野ら編著、共立出版、1993年などに記載され支持されており、本明細書においてこのすべての記載を援用する。
【0097】
(本明細書において用いられる一般的技術)
本明細書において使用される技術は、そうではないと具体的に指示しない限り、当該分野の技術範囲内にある、糖鎖科学、マイクロフルイディクス、微細加工、有機化学、生化学、遺伝子工学、分子生物学、微生物学、遺伝学および関連する分野における周知慣用技術を使用する。そのような技術は、例えば、以下に列挙した文献および本明細書において他の場所おいて引用した文献においても十分に説明されている。
【0098】
微細加工については、例えば、Campbell,S.A.(1996).The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication,Oxford University Press;Zaut,P.V.(1996).Micromicroarray Fabrication:a Practical Guide to Semiconductor Processing,Semiconductor Services;Madou,M.J.(1997).Fundamentals of Microfabrication,CRC1 5 Press;Rai−Choudhury,P.(1997).Handbook of Microlithography,Micromachining,& Microfabrication:Microlithographyなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
【0099】
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法、糖鎖科学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Maniatis,T.et al.(1989).Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001);Ausubel,F.M.,et al. eds,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons Inc.,NY,10158(2000);Innis,M.A.(1990).PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press;Innis,M.A.et al.(1995).PCR Strategies,Academic Press;Sninsky,J.J.et al.(1999).PCR Applications:Protocols for Functional Genomics,Academic Press;Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approac ,IRL Press;Adams,R.L.et al.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman & Hall;Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim;Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press;Hermanson,G.T.(1996).Bioconjugate Techniques,Academic Press;Method in Enzymology 230、242、247、Academic Press、1994;別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
【0100】
(好ましい実施形態の説明)
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。
【0101】
1つの局面において、本発明は、組換え水痘帯状疱疹ウイルスを提供する。好ましくは、この水痘帯状疱疹ウイルスは、そのゲノム配列中にBACベクター配列を含む。BACベクター配列を含む水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを構築することによって、BAC分子として細菌内において水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを取り扱うことが可能となる。使用されるBACベクター配列は、好ましくは、Fプラスミド由来の複製開始点を含むが、Fプラスミド由来の複製開始点以外の配列であってもよく、300kb以上の配列を細菌人工染色体として細菌細胞内において保持および増殖が可能である限り、任意の複製開始点を利用することができる。本発明のBACベクターは、細菌宿主細胞、好ましくは、大腸菌細胞において保持、および/または増幅することが可能である。好ましくは、このBACベクターの一部は、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの非必須領域内に挿入され、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを含むBACとして操作が可能になる。この水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを含むBACは、哺乳動物細胞に導入された場合、組換え水痘帯状疱疹ウイルスを産生、増殖することが可能である。組換え水痘帯状疱疹ウイルスの宿主細胞としては、野生型水痘帯状疱疹ウイルス株が増殖し得る任意の哺乳動物細胞を使用することができる。好ましくは、この宿主細胞は、ヒト由来であり、限定されることはないが、例えば、ヒト・MRC−5細胞、ヒト・HEL細胞、ヒト・WI−38細胞である。
【0102】
(多価ワクチン)
本発明のBACは、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムにコードされるタンパク質以外の任意の抗原タンパク質をコードする遺伝子を含み得る。抗原タンパク質は、限定されることはないが、好ましくは、水痘帯状疱疹ウイルス以外のウイルスのタンパク質であり、その結果、本発明に従って、多価ワクチンが提供される。抗原タンパク質が由来する水痘帯状疱疹ウイルス以外のウイルスとしては、例えば、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ウエストナイルウイルス、インフルエンザウイルス、SARSコロナウイルス、および日本脳炎ウイルスからなる群から選択されるウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。一つの局面においては、水痘帯状疱疹ウイルス以外のウイルスとしては、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、および風疹ウイルスからなる群から選択されるウイルスが挙げられるが、これに限定されない。一つの局面においては、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを含む単一のBACベクターが、ムンプスウイルスの遺伝子、麻疹ウイルスの遺伝子、および風疹ウイルスの遺伝子を含む。好ましくは、ムンプスウイルスの遺伝子は、HN遺伝子、F遺伝子、および、N遺伝子からなる群から選択される。好ましくは、麻疹ウイルスの遺伝子は、H遺伝子、F遺伝子、および、N遺伝子からなる群から選択される。好ましくは、風疹ウイルスの遺伝子は、C遺伝子、E1遺伝子、および、E2遺伝子からなる群から選択される。好ましくは、インフルエンザウイルスの遺伝子は、HA遺伝子である。好ましくは、SARSコロナウイルスの遺伝子は、S(スパイク)遺伝子である。好ましくは、ウエストナイルウイルスの遺伝子は、Pr遺伝子、および、E遺伝子からなる群から選択される。好ましくは、日本脳炎ウイルスの遺伝子は、Pr遺伝子、および、E遺伝子からなる群から選択される。これらウイルスの遺伝子は公知であるので、PCR法およびハイブリダイゼーション法などの周知技術を用いて、当業者は、これらウイルスの遺伝子を単離することが可能である。
【0103】
(水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを含むBACベクターの作製方法)
水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと、BACベクターを用いて、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを含むBACベクターを作製するためには、相同組換えを用いる方法など、種々の周知の方法を使用することが可能である。
【0104】
相同組換えを用いる方法としては、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同な配列を連結した環状BACベクター配列を有する核酸を用いる方法が挙げられる。
【0105】
水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同な配列を連結した環状BACベクター配列を有する核酸を用いる、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを含むBACベクターの作製方法は、代表的には、(1)その核酸を、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムとともに、宿主内(例えば、ヒト株化細胞内)に導入し、(2)宿主細胞を培養して、環状BACベクター配列に連結された相同配列と、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム配列との間で相同組換えを起こし、(3)この相同組換えによって生じた、BACベクター配列を組み込んだ水痘帯状疱疹ウイルスゲノム配列を含む宿主細胞を選択し、(4)その宿主細胞を培養して、環状ウイルスDNAを抽出する、という工程を包含する。
【0106】
また、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと、BAC配列を用いて、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを含むBACを作製するためには、相同組換えを用いることなく、核酸の制限酵素断片を用いるなどの、種々の周知の方法を使用することも可能である。
【0107】
水痘帯状疱疹ウイルスゲノム内において、BACベクター配列を導入するための非必須領域は、以下の領域からなる群から選択される:
遺伝子13のORF内の領域、遺伝子56のORF内の領域、遺伝子57のORF内の領域、遺伝子58のORF内の領域、遺伝子11のORFに隣接する領域、遺伝子12のORFに隣接する領域、遺伝子13のORFに隣接する領域、遺伝子56のORFに隣接する領域、遺伝子57のORFに隣接する領域、遺伝子58のORFに隣接する領域、および、遺伝子56,57,58の連続する領域。
【0108】
好ましくは、この非必須領域は、遺伝子13のORF内の領域、遺伝子56のORF内の領域、遺伝子57のORF内の領域、遺伝子58のORF内の領域、遺伝子13のORFに隣接する領域、遺伝子56のORFに隣接する領域、遺伝子57のORFに隣接する領域、および、遺伝子58のORFに隣接する領域、遺伝子56,57,58の連続する領域である。なぜなら、遺伝子13、遺伝子56と遺伝子58、遺伝子56,57,58の連続する領域は、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム上で欠損したとしても、ウイルスの増殖に影響しないことが本発明によって明らかとなったからである。
あるいは、BACベクター配列の一部は、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの遺伝子62のORF内の領域に挿入されていてもよい。
【0109】
本発明において使用されるBACベクター配列は、好ましくは、組換えタンパク質依存性組換え配列、および/または選択マーカーを含む。好ましくは、選択マーカー配列は薬剤選択マーカー、および/またはグリーン蛍光タンパク質をコードする遺伝子である。なぜなら、簡便に所望の遺伝子の存在を確認できるからである。
【0110】
本発明において出発物質として使用される水痘帯状疱疹ウイルスは、野生株由来であっても、変異株由来であってもよい。好ましくは、出発物資としての水痘帯状疱疹ウイルスは、弱毒化されたウイルス、例えば、Okaワクチン株または遺伝子62に変異を有する水痘帯状疱疹ウイルスを用いる。弱毒化した水痘帯状疱疹ウイルスとしては、以下からなる群から選択される遺伝子62の変異の1つ、または2つ以上の変異の組み合わせを有するウイルスが挙げられる:
(a)2110番塩基がG;
(b)3100番塩基がG;
(c)3818番塩基がC;
(d)4006番塩基がG;
(e)1251番塩基がG;
(f)2226番塩基がG;
(g)3657番塩基がG;
(h)162番塩基がC;
(i)225番塩基がC;
(j)523番塩基がC;
(k)1565番塩基がC;
(l)1763番塩基がC;
(m)2652番塩基がC;
(n)4052番塩基がC;および
(o)4193番塩基がC。
【0111】
本発明のさらなる局面において、上記ウイルスを製造するために使用されるベクター、および上記ウイルスの製造方法もまた提供される。本発明の別の局面において、上記ウイルスを含む薬学的組成物、およびワクチンの形態である薬学的組成物が提供される。
【0112】
本明細書の組換え水痘帯状疱疹ウイルスは、ワクチンとして有用である。なぜなら、野生型ウイルスと同様の構造を有するタンパク質を多数含むからである。
【0113】
本発明のさらなる局面において、本発明のワクチンを産生するためのベクターに変異を導入する方法が提供される。この方法は、以下の工程:該ベクターを細菌宿主細胞に導入する工程;水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなるフラグメントを含むプラスミドベクターを該細菌宿主細胞に導入する工程であって、ここで、該フラグメントは少なくとも1つの変異を有する、工程;該細菌宿主細胞を培養する工程;該培養した細菌宿主細胞から、BACベクター配列を有するベクターを単離する工程、を包含する。上記方法においては、細菌宿主細胞内において、本発明のワクチンを産生するためのベクターと水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなるフラグメントを含むプラスミドベクターとの間で相同組換えが起こり、その結果、本発明のワクチンを産生するためのベクターが、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなるフラグメント上の変異を有する。
【0114】
上記の方法において、ベクターを細菌宿主細胞に導入する工程としては、エレクトロポーレーションなどの種々の周知の方法を使用することが可能である。同様にして、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなるフラグメントを含むプラスミドベクターを細菌宿主細胞に導入することができる。また、このフラグメントに変異を導入する方法としては、PCRを用いる変異導入方法が周知であり、例えば、プルーフリーディング機能を有さない耐熱性ポリメラーゼを4つのヌクレオチドの1つが少ない条件で用いることによって、ランダムに変異を導入することが可能である。また、変異塩基配列を有するプライマーを用いてPCRを行うことによって、所望の位置に所望の変異を導入することも可能である。この細菌細胞を培養することによって、本発明のワクチンを産生するためのベクターと水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなるフラグメントを含むプラスミドベクターとの間で相同組換えが起こり、その結果、本発明のワクチンを産生するためのベクターが、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなるフラグメント上の変異を有する。細菌宿主細胞からBACベクター配列を調製するためには、アルカリ法のような種々の周知の方法および市販のキットを使用することが可能である。
【0115】
本発明の別の局面において、本発明のワクチンを産生するためのベクターに変異を導入するさらなる方法が提供される。この方法は、以下の工程:該ベクターを細菌宿主細胞に導入する工程;水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなる第1のフラグメントを含む第1のプラスミドベクターを該細菌宿主細胞に導入する工程であって、ここで、該第1のフラグメントは少なくとも1つの変異を有する、工程;水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの一部からなる第2のフラグメントを含む第2のプラスミドベクターを該細菌宿主細胞に導入する工程であって、ここで、該第2のフラグメントは少なくとも1つの変異を有し、そして該第2のフラグメントは該第1のフラグメントとは異なる、工程;該細菌宿主細胞を培養する工程;該培養した細菌宿主細胞から、BACベクター配列を有するベクターを単離する工程、を包含する。
【0116】
本発明の一つの局面において、本発明のワクチンを製造するために使用され得る核酸カセットが提供される。この核酸カセットは、好ましくは、細菌細胞内において水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同組換えし得る第1のフラグメント、BACベクター配列、および細菌細胞内において水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同組換えし得る第2のフラグメントを含む核酸カセットであって、ここで、該BAC配列の両端の各々がそれぞれ第1のフラグメントおよび第2のフラグメントと連結している。ここで、第1のフラグメントおよび第2のフラグメントは、好ましくは、少なくとも1kb、少なくとも1.5kb、少なくとも2kbである。この第1のフラグメントおよび第2のフラグメントは、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの配列に対して、好ましくは、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一である。
【0117】
好ましくは、この第1および第2のフラグメントが、各々独立して水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの以下の領域からなる群から選択される領域由来であるか、以下の領域からなる群から選択される領域と少なくとも80%、85%、90%、95%同一である:
遺伝子13のORF内の領域、遺伝子56のORF内の領域、遺伝子57のORF内の領域、遺伝子58のORF内の領域、遺伝子11のORFに隣接する領域、遺伝子12のORFに隣接する領域、遺伝子13のORFに隣接する領域、遺伝子56のORFに隣接する領域、遺伝子57のORFに隣接する領域、および、遺伝子58のORFに隣接する領域。
【0118】
好ましくは、この第1および第2のフラグメントは、水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの異なる領域に由来する。この第1および第2のフラグメントは、各々独立して、遺伝子13のORF内の領域、遺伝子56のORF内の領域、遺伝子57のORF内の領域、遺伝子58のORF内の領域、遺伝子11のORFに隣接する領域、遺伝子12のORFに隣接する領域、遺伝子13のORFに隣接する領域、遺伝子56のORFに隣接する領域、遺伝子57のORFに隣接する領域、および、遺伝子58のORFに隣接する領域由来であってもよい。好ましくは、相同組換えを制御し、そして所望の遺伝子を簡便に検出するために、BACベクター配列は組換えタンパク質依存性組換え配列、および/または選択マーカーを含む。この選択マーカーは薬剤選択マーカーであっても、グリーン蛍光タンパク質のような蛍光タンパク質をコードする遺伝子であってもよい。代表的には、このBACベクター配列は、配列番号3に記載の核酸配列を有する。
【0119】
(変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスの調製)
本発明の方法を用いて、変異導入した水痘帯状疱疹ウイルスゲノムを有する変異型水痘帯状疱疹ウイルスを、簡便に調製することが可能である。
【0120】
そのような変異導入は、例えば、以下の方法を用いて行うことができる:
大腸菌内に、(a)VZV−BAC−DNAプラスミド、および(b)変異核酸として、任意の変異を有する水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの部分配列を持つシャトルベクターまたはPCR産物、を導入する。VZV−BAC−DNAプラスミドと、その変異核酸との間で組換えを起こすことによって、VZV−BAC−DNAプラスミドに変異を導入することができる。また、トランスポゾンを用いることによっても、ランダムに変異を導入することが可能である。そして変異が導入されたVZV−BAC−DNAプラスミドは、大腸菌内で容易に選択および増幅させることができる。そして、変異を持つVZV−BAC−DNAからウイルスを産出させることによって、組換え水痘帯状疱疹ウイルスを得ることができる(Markus Wagner、TRENDS in Microbilogy、Vol.10、No.7、2002年7月)。その具体例を以下に列挙する:
(1)変異核酸として、変異水痘帯状疱疹ウイルス遺伝子を含む温度感受性シャトルベクターを用いる場合;
第1に、シャトルベクターとVZV−BAC−DNAプラスミドを、第1の相同的領域を介して、組換えさせ、シャトルベクターとVZV−BAC−DNAプラスミドとが連結した、共挿入体を生じる。次に、シャトルベクターの複製オリジンが温度感受性であることから、シャトルプラスミドが除かれる。第2の組換え事象において、共挿入された部分が取り除かれる。第2の組換え事象が、第1の相同的領域を介して生じる場合、組換えに使用したVZV−BAC−DNAと同一の配列を有するプラスミドが生成される。これに対して、第2の組換え事象が、第1の相同領域とは異なる第2の相同領域を介して生じる場合、シャトルベクター上の変異を有する変異型VZV−BAC−DNAプラスミドが得られる。第1の相同領域と、第2の相同領域とがほぼ同じ長さである場合、第2の組換え事象が第2の相同領域で起こる確率は、第2の組換え事象が第1の相同領域で起こる確率とほぼ同じである。そのため、得られるVZV−BAC−DNAプラスミドの、約2分の1が組換えに用いた配列と同一の配列を有するプラスミドであり、約2分の1がシャトルベクターに導入した変異を有するプラスミドである。
(2)直鎖状DNAフラグメントを用いる場合;
この方法では、例えば、プロファージRac由来のrecETの組換え機能を用いるか、またはバクテリオファージλ由来のredαβの組換え機能を利用し、直鎖状DNAフラグメントを用いて、環状VZV−BAC−DNA分子に変異を導入する。具体的には、標的配列に隣接する選択マーカーおよび相同配列を含む直鎖状DNAフラグメントを、VZV−BAC−DNAとともに、相同組換えを生じ得る大腸菌に導入する。大腸菌内での直鎖状DNAの分解を避けるために、エクソヌクレアーゼ欠損の大腸菌を使用するか、またはバクテリオファージ由来のエクソヌクレアーゼ阻害剤であるredγ(gam)を発現させることが好ましい。直鎖状DNAは、その両端にVZV−BAC−DNAプラスミドと相同な領域を有する。その相同な領域を介して相同組換えを生じることによって、直鎖状DNAフラグメント内の所望の配列をVZV−BAC−DNA内に導入することができる。recET、またはredαβ組換え機能を使用する場合、これらの組換え機能は、25〜50ヌクレオチド程度の長さの相同配列によって相同組換えを生じることから、recA媒介性相同組換えよりも、簡便に使用することができる。
(3)トランスポゾンを用いる場合;
トランスポゾンエレメントが大腸菌内の核酸にランダムに挿入する機能を用いる。例えば、トランスポゾンエレメントとVZV−BAC−DNAを大腸菌に導入し、VZV−BAC−DNA内にランダムにトランスポゾンエレメントを挿入することによって、挿入変異を生じる。
【0121】
さらに、例えば、VZV−BAC−DNAのような組換え水痘帯状疱疹ウイルスを有する宿主細胞自体を、変異剤(例えば、ニトロソグアニジン)によって処置をすることによって、組換え水痘帯状疱疹ウイルスゲノム内にランダムな変異を導入することも可能である。
【0122】
(処方)
本発明はまた、有効量の治療剤・予防剤の被験体への投与・接種による、疾患または障害(例えば、感染症)の処置および/または予防の方法を提供する。治療剤・予防剤は、薬学的に受容可能なキャリア型(例えば、滅菌キャリア)と組み合せた、本発明の組成物を意味する。
【0123】
治療剤・予防剤を、個々の患者の臨床状態(特に、治療剤・予防剤単独処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮に入れ、医療実施基準(GMP=good medical practice)を遵守する方式で処方および投薬する。従って、本明細書において目的とする「有効量」は、このような考慮を行って決定される。
【0124】
一般的提案として、用量当り、非経口的に投与される治療剤・予防剤の合計薬学的有効量は、患者体重の、約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲にあるが、上記のようにこれは治療的裁量に委ねられる。さらに好ましくは、本発明の細胞生理活性物質について、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日、最も好ましくはヒトに対して約0.01mg/kg/日と約1mg/kg/日との間である。連続投与する場合、代表的には、治療剤・予防剤を約1μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間の投薬速度で1日に1〜4回の注射かまたは連続皮下注入(例えばミニポンプを用いる)のいずれかにより投与する。静脈内用バッグ溶液もまた使用し得る。変化を観察するために必要な処置期間および応答が生じる処置後の間隔は、所望の効果に応じて変化するようである。
【0125】
治療剤・予防剤を、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与し得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。本明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
【0126】
本発明の治療剤・予防剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤・予防剤の適切な例は、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与され得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。本明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
【0127】
非経口投与のために、1つの実施態様において、一般に、治療剤・予防剤は、それを所望の程度の純度で、薬学的に受容可能なキャリア、すなわち用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、かつ処方物の他の成分と適合するものと、単位投薬量の注射可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で混合することにより処方される。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化、および治療剤・予防剤に対して有害であることが知られている他の化合物を含まない。
【0128】
一般に、治療剤・予防剤を液体キャリアまたは微細分割固体キャリアあるいはその両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次に、必要であれば、生成物を所望の処方物に成形する。好ましくは、キャリアは、非経口的キャリア、より好ましくはレシピエントの血液と等張である溶液である。このようなキャリアビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液が挙げられる。不揮発性油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒクルもまた、リポソームと同様に本明細書において有用である。
【0129】
キャリアは、等張性および化学安定性を高める物質のような微量の添加剤を適切に含有する。このような物質は、用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、このような物質としては、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸および他の有機酸またはその塩類のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド(例えば、ポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸;セルロースまたはその誘導体、ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン;および/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0130】
治療的投与に用いられるべき任意の薬剤は、有効成分としてのウイルス以外の生物・ウイルスを含まない状態、すなわち、無菌状態であり得る。滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロンメンブレン)で濾過することにより無菌状態は容易に達成される。一般に、治療剤・予防剤は、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下用注射針で穿刺可能なストッパー付の静脈内用溶液バッグまたはバイアルに配置される。
【0131】
治療剤・予防剤は、通常、単位用量または複数用量容器、例えば、密封アンプルまたはバイアルに、水溶液または再構成するための凍結乾燥処方物として貯蔵される。凍結乾燥処方物の例として、10mlのバイアルに、滅菌濾過した1%(w/v)治療剤・予防剤水溶液5mlを充填し、そして得られる混合物を凍結乾燥する。凍結乾燥した治療剤・予防剤を、注射用静菌水を用いて再構成して注入溶液を調製する。
【0132】
本発明はまた、本発明の治療剤・予防剤の1つ以上の成分を満たした一つ以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関する政府機関による承認を表す。さらに、治療剤・予防剤を他の治療用化合物と組み合わせて使用し得る。
【0133】
本発明の治療剤・予防剤は、単独または他の治療剤・予防剤と組み合わせて投与され得る。本発明の治療剤・予防剤と組み合わせて投与され得る治療剤・予防剤としては、化学療法剤、抗生物質、ステロイドおよび非ステロイドの抗炎症剤、従来の免疫治療剤・予防剤、他のサイトカインおよび/または増殖因子が挙げられるが、これらに限定されない。組み合わせは、例えば、混合物として同時に;同時にまたは並行してだが別々に;あるいは経時的のいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が、治療用混合物として共に投与されるという提示、およびまた、組み合わされた薬剤が、別々にしかし同時に、例えば、同じ個体に別々の静脈ラインを通じて投与される手順を含む。「組み合わせて」の投与は、一番目、続いて二番目に与えられる化合物または薬剤のうち1つの別々の投与をさらに含む。
【0134】
特定の実施態様において、本発明の治療剤・予防剤は、抗レトロウイルス薬剤、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、および/またはプロテーアーゼインヒビターとの組み合わせで投与される。
【0135】
さらなる実施態様において、本発明の治療剤・予防剤は、抗生物質と組合わせて投与される。使用され得る抗生物質としては、アミノグリコシド系抗生物質、ポリエン系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、ペプチド系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
さらなる実施態様において、本発明の治療剤・予防剤は、単独または抗炎症剤と組合わせて投与される。本発明の治療剤・予防剤とともに投与され得る抗炎症剤としては、グルココルチコイドおよび非ステロイド抗炎症剤、アミノアリールカルボン酸誘導体、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘導体、アリールカルボン酸、アリールプロピオン酸誘導体、ピラゾール、ピラゾロン、サリチル酸誘導体、チアジンカルボキサミド、e−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシルメチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(amixetrine)、ベンダザック、ベンジドアミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモル ファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン、ペリゾキサル、ピフオキシム、プロキアゾン、プロキサゾール、およびテニダップが挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
さらなる実施形態において、本発明の治療剤・予防剤は、他の治療レジメまたは予防レジメ(例えば、放射線治療)と組み合わせて投与される。
【0138】
以下に実施例等により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0139】
(実施例1:BACベクターを挿入する領域(遺伝子)の選択)
BACベクターを利用して、外来抗原遺伝子を挿入した組換えウイルスを作製する場合、多数の外来遺伝子を挿入することによってゲノムサイズが大きくなる。ゲノムサイズが大きくなりすぎると、ゲノムDNAがカプシドにパッケージされず、組換えウイルスが作製できないことが知られている。そこで、多数の抗原遺伝子をOkaワクチン株に挿入するためには、Okaワクチン株の非必須遺伝子をノックアウトして、ゲノムDNAサイズを減少させる必要があると考えられる。また、ノックアウトしてもウイルスが増殖できる非必須遺伝子は、BACベクター配列または他のウイルス由来の抗原タンパク質をコードする遺伝子などのような外来配列を挿入する部位としても適切である。
【0140】
そこで、水痘ウイルスOka原株ゲノムをBACベクターに挿入した組換えDNA(P−Oka株VZV−BAC−DNA)を用いて、遺伝子7のORF(HSV UL51ホモログ)、遺伝子13のORF(チミジンシンセターゼ)、遺伝子21のORF(ヌクレオカプシド)、遺伝子48のORF(プロテインキナーゼ)、遺伝子46のORF(HSV UL16ホモログ)、遺伝子56のORF(HSV UL4ホモログ)、遺伝子58のORF(HSV−1 UL3ホモログ)、遺伝子66のORF(プロテインキナーゼ)遺伝子が、それぞれ非必須遺伝子なのか必須遺伝子なのかを調べた。
【0141】
(方法)
カナマイシン遺伝子の両端に、ノックアウトの標的となる遺伝子の配列を、標的となる遺伝子のゲノム内での配向と同一方向になるように連結し、ノックアウトベクターを作製した。このノックアウトベクターを、P−Oka株VZV−BAC−DNAを保持した大腸菌内に導入し、ノックアウトベクターとP−Oka株VZV−BAC−DNAとの間で相同組換えを起こさせ、標的遺伝子をノックアウトした。
【0142】
(結果)
遺伝子13のORF、遺伝子56のORF、遺伝子58のORF、および、遺伝子56ORF−遺伝子57ORF−遺伝子58ORFの連続した領域を欠損させたP−Oka株VZV−BAC−DNAをMRC−5細胞にトランスフェクションしたところ組換えウイルスが発生した。従って、これらの遺伝子は、非必須遺伝子であることが判明した。遺伝子13および57のORFに関しては、非必須遺伝子であると考えられていたが、今回に実験によって確認された。従来、必須遺伝子であると考えられていた遺伝子21をノックアウトしたところ、組換えウイルスを得ることはできなかった。これに対して、従来、非必須遺伝子であると考えられていた遺伝子7、遺伝子46、遺伝子48、および遺伝子66を欠損したところ、組換えウイルスを得ることができなかった。
【0143】
今回の実験によって非必須遺伝子であることが実証された遺伝子の中で、遺伝子56欠損P−OkaのプラークサイズをP−Okaと比較したところ、遺伝子56欠損P−OkaをMRC−5細胞に感染させた場合のプラークサイズは、他の非必須遺伝子を欠損した場合よりもやや小さかったが、有意差はなかった。
【0144】
以上の結果より、構造のみから、水痘帯状疱疹ウイルス遺伝子がウイルス増殖に必須か否かを判断することは、困難であることが判明した。今回の結果から、従来、非必須遺伝子であると考えられていた遺伝子13、遺伝子57に加えて、遺伝子56、および遺伝子58が、非必須遺伝子であり、ノックアウトしても、ウイルス増殖が影響を受けないことが判明した。特に、遺伝子58は、欠損したとしても、ウイルス増殖が何ら影響を受けなかった。従って、遺伝子13および57に加えて、遺伝子56、および遺伝子58、特に56から遺伝子58の連続した領域が、ノックアウトおよび外来配列(例えば、BACベクター配列およびその他の抗原をコードする遺伝子配列)の挿入部位として好適な遺伝子であることが判明した。
【0145】
(実施例2:遺伝子13のORF中にムンプスウイルスHN遺伝子を挿入することによる、多価ワクチンの製造)
実施例1において、遺伝子13が、ノックアウト、および/または外来配列の挿入に適切な遺伝子であることが判明したので、この遺伝子13のORF中にムンプスウイルスHN遺伝子を挿入することによる、多価ワクチンの製造を行った。
【0146】
ムンプスウイルスのHN遺伝子およびF遺伝子を、野外流行株である岩崎株から、PCRを用いて増幅した。クローニングした岩崎株のF遺伝子およびHN遺伝子のアミノ酸配列を解析したところ、F遺伝子は野外株やワクチン株と比較的高い相同性を示したが(>98.5%)、HN遺伝子は1990年代後半以降の野外株とは相同性が高く1990年代前半以前の野外株やワクチン株とは相同性が低かった(約96%)。
【0147】
次に、クローニングした遺伝子の上流に作動可能にヒトサイトメガロウイルス(CMV)のプロモーター/エンハンサー配列を連結した。HN遺伝子およびF遺伝子を用いたプラスミドを、それぞれ、pDEST26/MeV−HNおよびpDEST26/MeV−Fと命名した。ヒトサイトメガロウイルスのプロモーター/エンハンサー配列は、NF−κB結合部位、AP−1結合部位、およびTATAボックスを有する(図1)。
【0148】
pDEST26/MeV−FおよびpDEST26/MeV−HNを293細胞にトランスフェクションし、数種類の抗MeV抗体と蛍光抗体法で反応させた。その結果、pDEST26/MeV−Fをトランスフェクションした293細胞はどの抗体とも反応しなかったが、pDEST26/MeV−HNをトランスフェクションした細胞は幾つかの抗MeV抗体(中和活性を持つ抗体も含まれる)と反応した。
【0149】
このムンプスウイルスHN遺伝子とCMVプロモーター/エンハンサーを結合した核酸配列の両端に、遺伝子13の上流および下流を連結したベクターを作製した(塩基番号は、P−Okaでの塩基番号である。配列番号4に示されるDumas株の場合は、それぞれ、17037〜18440、および、19347〜20350に対応する。)。このベクターを、P−Oka株VZV−BAC−DNAを保持した大腸菌内に導入し、ベクターとP−Oka株VZV−BAC−DNAとの間で相同組換えを起こさせ、遺伝子13のORFと、ムンプスHN遺伝子とCMVプロモーター/エンハンサーとの連結配列とを相同組換えした(図2)。相同組換えが生じたことを、PCRおよび制限酵素消化によって、確認した。
【0150】
次に、相同組換えによって作製されたBACベクターを、エレクトロポーレーションによってMRC−5細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションした細胞のプラークサイズは、遺伝子13を破壊していないウイルスを用いた場合と同様であった。
【0151】
ムンプスウイルスのHN遺伝子産物を検出するために、FITC標識した抗ムンプスウイルスHNタンパク質抗体(マウス免疫グロブリン/FITC ヤギ F(ab’)2、DakoCytomation Denmark A/S,Produktionsvej 42,DK−2600 Glostrup,Denmark)およびAlexa594標識した抗ムンプスウイルスHNタンパク質抗体(Alexa Flour(登録商標)594、ヤギの抗マウスIgG(H+L)のF(ab’)2フラグメント、Molecular Probes invitrogen detection technologies Eugene,Oregon,U.S.A.)の各々を用いて、トランスフェクション細胞中でのHN遺伝子の発現を確認した。その結果、いずれの標識抗体を用いても、HNタンパク質の発現が確認された。
【0152】
本実施例によって、ウイルスの増殖を阻害することなく、簡便に、水痘帯状疱疹ウイルスおよびムンプスウイルスの両方に対する多価ワクチンが製造できた。
【0153】
(実施例3)
(病原性の弱い変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルス株の作製)
本発明に従い、以下の方法を用いることによって、変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスを調製し、変異ウイルスの中から病原性の弱い変異水痘帯状疱疹ウイルス株を得ることが可能である。
【0154】
(1:変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスの調製)
変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスの調製方法としては、例えば、変異遺伝子を含む核酸とVZV−BAC−DNAプラスミドとの間で相同組換えを起こすことによって、変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスを調製する方法が挙げられる。VZV−BAC−DNAプラスミドと相同組換えを起こすために用いられる変異遺伝子は、ランダムな変異を有していても、部位特異的な変異を有していてもよい。これら各々を用いることによって、ランダムな変異を有する変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスの集団、および部位特異的な変異を有する変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスを得ることができる。以下、その各々についてより詳細に説明する。
【0155】
(1.1:ランダムな変異を有する変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスの調製)
水痘帯状疱疹ウイルスゲノムの遺伝子62に変異を有するウイルスのいくつかが弱毒化ウイルスであることが公知である。そのため、本実施例においては、PCRを用いてランダムに変異を導入した遺伝子62を作製する。PCRを用いる変異導入方法は周知であり、例えば、プルーフリーディング機能を有さない耐熱性ポリメラーゼを4つのヌクレオチドの1つが少ない条件で用いることによって、ランダムに変異を導入することが可能である。必要に応じて、変異型62遺伝子に薬剤耐性遺伝子のようなマーカー遺伝子を連結させてもよい。
【0156】
このようにして調製された変異型遺伝子62を、エレクトロポーレーション法に従って、VZV−BAC−DNAプラスミドとともに大腸菌に導入した。そして、変異型配列62をVZV−BAC−DNAに対して相同組換えを起こさせる。その後、相同組換えを生じた水痘帯状疱疹ウイルスのDNAを単離し、大腸菌に導入し、相同組換えを起こしたVZV−BAC−DNAを含む大腸菌を得る。
【0157】
得られた複数の大腸菌は、各々異なる変異を有する遺伝子62を含むVZV−BAC−DNAを有する。そこで、各大腸菌に含まれる変異型VZV−BAC−DNAにより産生される水痘帯状疱疹ウイルスの病原性の程度を、下記の(2:水痘帯状疱疹ウイルスの病原性の試験方法)を用いてスクリーニングする。
【0158】
(1.2:部位特異的変異を有する変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスの調製)
所望の部位特異的変異を導入する方法も、当該分野において周知である。例えば、所望の変異を有するプライマーを用いてPCRを行い、その所望の変異を有する遺伝子断片を調製し、その後、その変異遺伝子断片を用いて、さらにPCRを行うことによるか、または制限酵素などの酵素処理を行うことによって、所望の変異を有する遺伝子全長を調製する。
【0159】
このようにして調製された変異遺伝子について、上記(1.1.)の手順を用いて、部位特異的変異を有する変異型組換え水痘帯状疱疹ウイルスを調製する。
【0160】
(2:水痘帯状疱疹ウイルスの病原性の試験方法)
水痘帯状疱疹ウイルスの病原性を試験する方法について、2つの方法が確立されている。
【0161】
動物モデルを用いる方法として、ヒトの皮膚を移植した重症複合免疫不全(SCID)マウスを作製し、これに水痘帯状庖疹ウイルスを感染させることによって、病原性についての評価をする方法が周知である(J.Viro1.1998Feb;72(2):965−74,)。
【0162】
これに対し試験管内で病原性の評価を行う方法としては、ポアサイズが3μmのトランスウェルで仕切られた二層のウェルの下側に単層培養のヒトメラノーマ細胞を入れ、上側に水痘帯状疱疹ウイルスを感染させた臍帯血単核球(CBMC)をそれぞれ入れ、7〜8日培養した後のメラノーマ細胞のCPE(細胞変性効果)の程度を観察する方法もまた周知である(J.Virol.2000 Feb;74(4):1864−70)。
【0163】
また、病原性を直接確認する方法ではないが、本発明者らのこれまでの結果(J Virol.2002 Nov;76(22):11447−59)から、ウイルスの病原性と増殖性には密接な関連があることが理解されているため、infectius center assayによってcell−to−ce11の増殖性を調べることによっても間接的に病原性について評価を行うことができる。
【0164】
(実施例4)
(ワクチンの製造)
培養面積210cmのルー瓶20本のMRC−5細胞培養に、実施例2で得た組換え水痘帯状疱疹ウイルスを接種の後、培養する。培養終了後、培養液を捨て、各ルー瓶内の感染細胞を200mlのPBS(−)にて2回洗浄する。次いで、20m1の0.03%(w/v)EDTA−3Naを各ルー瓶内の感染細胞に重層し、細胞をルー瓶内壁面から剥離させ浮遊させる。各ルー瓶内の感染細胞浮遊液をプールし、2,000rpmにて10分間、4℃で遠心し、感染細胞のペレットを採取する。これを100mlのPBS(−)に再浮遊の後、凍結融解を1回、行う。次に、氷水浴中で超音波処理(20KHz、150mA、0.3秒/ml)後、3,000rpmで20分間、4℃で遠心し、細胞遊離ウイルスを含有の上清を採取し、これを生ワクチン原液とする。この原液から検定用として30mlをサンプリングし、残りの原液70mlに、PBS(−)に溶解したサッカロース及びゼラチン加水分解物をワクチン安定化剤として最終濃度が5%(w/v)及び2.5%(w/v)になるよう添加混合し、140mlの生ワクチン最終バルクを調製する。この最終バルクから検定用として30mlをサンプリングの後、残りバルクを3ml容のバイヤル瓶に0.5mlずつ分注し、凍結乾燥の後、窒素ガスを充填しゴム栓で封をしバイヤル瓶内部を気密密閉する。この生ワクチン小分品は、4℃で保存し、使用の直前に注射用蒸留水0.5mlを添加し乾燥内容物を完全に溶解し用いる。一方、サンプリングした上記のワクチン原液と最終バルク、及び小分品20本につき、検定試験を行う。この検定試験は、安全性、有効性及び均質姓を確認し、生ワクチンとしての適格性を確定するため、厚生省告示第195号に規定の生物学的製剤基準(1989年)「乾燥弱毒生水痘 ワクチン」に準拠し、かつ、同じく規定の基準「組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)」をも考慮し、実施する。この検定試験の結果、上記の小分品は、そのウイルス含量が2×10PFU(プラーク形成単位)/0.5mlであり、かつ、上記基準に規定の各種試験に合格した場合、適格性を備えた生ワクチンとしてその後の使用に供する。
【0165】
(実施例5)
(組換え水痘帯状疱疹ウイルスワクチンの免疫原性の判定)
実施例4で製造した組換え水痘帯状疱疹ウイルスワクチン株の免疫原性を、モルモットを用いて測定する。比較対照として、Oka株生ワクチンを使用する。これ等の各ワクチンを3週令の平均体重250gのモルモット3匹にそれぞれ皮下接種する。ワクチン接種は、接種量が組換え株及びOka株生ワクチンでは、3,000PFU又は2,000PFU/モルモットになるよう各ワクチンをPBS(−)で希釈調整して行う。ワクチン接種後、4、6及び8週目に、各被接種モルモットの大腿部静脈から部分採血し、その血中抗体価を測定する。抗体価の測定には、中和試験法 (Journal of General Virology, 61, 255−269, 1982)を、採用する。組換え水痘帯状疱疹ウイルスワクチンがOka株と同程度に、VZV抗体を誘導することを確認する。これらの結果から、免疫原性が良好な組換え水痘帯状疱疹ウイルスワクチンを選択する。
【0166】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明によって、例えば、BAC(大腸菌人工染色体)を用い、組換え水痘帯状疱疹ウイルス抗原および他のウイルス抗原を含むワクチンを作製する方法、およびその方法によって作製された組換え水痘帯状疱疹ウイルスが提供される。また、本発明によって、組換え水痘帯状疱疹ウイルスなどの抗原を含む多価ワクチンがまた提供される。
【0168】
さらに、本発明によって、水痘帯状疱疹ウイルスゲノム遺伝子とBACベクター配列とを含むベクター、およびそのようなベクターを含む細胞、ならびに水痘帯状疱疹ウイルスゲノムと相同組換えし得るフラグメント、およびBACベクター配列を含む核酸カセットが提供される。

【配列表フリーテキスト】
【0169】
配列番号1:遺伝子62の核酸配列
配列番号2:遺伝子62のアミノ酸配列
配列番号3:プラスミドPHA−2の配列
配列番号4:水痘帯状疱疹ウイルスDumas株
配列番号5:配列番号4の1134位〜1850位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子2)
配列番号6:配列番号4の8607位〜9386位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子7)
配列番号7:配列番号4の10642位〜10902位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子9A)
配列番号8:配列番号4の11009位〜11917位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子9)
配列番号9:配列番号4の12160位〜13392位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子10)
配列番号10:配列番号4の13590位〜16049位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子11)
配列番号11:配列番号4の16214位〜18199位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子12)
配列番号12:配列番号4の18441位〜19346位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子13)
配列番号13:配列番号4の24149位〜25516位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子17)
配列番号14:配列番号4の30759位〜33875位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子21)
配列番号15:配列番号4の34083位〜42374位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子22)
配列番号16:配列番号4の44506位〜46263位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子26)
配列番号17:配列番号4の50857位〜54471位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子29)
配列番号18:配列番号4の54651位〜56963位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子30)
配列番号19:配列番号4の57008位〜59614位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子31)
配列番号20:配列番号4の59766位〜60197位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子32)
配列番号21:配列番号4の64807位〜65832位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子36)
配列番号22:配列番号4の66074位〜68599位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子37)
配列番号23:配列番号4の70633位〜71355位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子39)
配列番号24:配列番号4の71540位〜75730位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子40)
配列番号25:配列番号4の75847位〜76797位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子41)
配列番号26:配列番号4の78170位〜80200位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子43)
配列番号27:配列番号4の80360位〜81451位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子44)
配列番号28:配列番号4の82719位〜83318位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子46)
配列番号29:配列番号4の84667位〜86322位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子48)
配列番号30:配列番号4の87881位〜90388位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子51)
配列番号31:配列番号4の90493位〜92808位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子52)
配列番号32:配列番号4の95996位〜98641位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子55)
配列番号33:配列番号4の110581位〜111417位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子63)
配列番号34:配列番号4の111565位〜112107位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子64)
配列番号35:配列番号4の113037位〜114218位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子66)
配列番号36:配列番号4の114496位〜115560位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子67)
配列番号37:配列番号4の115808位〜117679位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子68)
配列番号38:配列番号4の120764位〜124696位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子71)
配列番号39:配列番号4の部分配列(遺伝子27)
配列番号40:配列番号39の1位〜999位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子27)
配列番号41:配列番号4の部分配列(遺伝子47)
配列番号42:配列番号41の1位〜1530位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子47)
配列番号43:配列番号4の部分配列
配列番号44:配列番号43の1位〜243位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子49)
配列番号45:配列番号4の部分配列
配列番号46:配列番号45の1位〜732位に5’→3’方向でコードされるアミノ酸配列(遺伝子56)
配列番号47:配列番号4の配列の相補鎖配列
配列番号48:配列番号4の118480位〜119316位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の5569位〜6405位に対応する)(遺伝子70)
配列番号49:配列番号4の117790位〜118332位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の6553位〜7095位に対応する)(遺伝子69)
配列番号50:配列番号4の112332位〜112640位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の12245位〜12553位に対応する)(遺伝子65)
配列番号51:配列番号4の105201位〜109133位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の15752位〜19684位に対応する)(遺伝子62)
配列番号52:配列番号4の103082位〜104485位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の20400位〜21803位に対応する)(遺伝子61)
配列番号53:配列番号4の100302位〜101219位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の23666位〜24583位に対応する)(遺伝子59)
配列番号54:配列番号4の99411位〜99626位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の25259位〜25474位に対応する)(遺伝子57)
配列番号55:配列番号4の92855位〜93850位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の31035位〜32030位に対応する)(遺伝子53)
配列番号56:配列番号4の68668位〜70293位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の54592位〜56217位に対応する)(遺伝子38)
配列番号57:配列番号4の63977位〜64753位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の60132位〜60908位に対応する)(遺伝子35)
配列番号58:配列番号4の62171位〜63910位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の60975位〜62714位に対応する)(遺伝子34)
配列番号59:配列番号4の60321位〜62138位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の62747位〜64564位に対応する)(遺伝子33)
配列番号60:配列番号4の47052位〜50636位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の74249位〜77833位に対応する)(遺伝子28)
配列番号61:配列番号4の44148位〜44618位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の80267位〜80737位に対応する)(遺伝子25)
配列番号62:配列番号4の43212位〜44021位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の80864位〜81673位に対応する)(遺伝子24)
配列番号63:配列番号4の42431位〜43138位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の81747位〜82454位に対応する)(遺伝子23)
配列番号64:配列番号4の29024位〜30475位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の94410位〜95861位に対応する)(遺伝子20)
配列番号65:配列番号4の26518位〜28845位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の96040位〜98367位に対応する)(遺伝子19)
配列番号66:配列番号4の25573位〜26493位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の98392位〜99312位に対応する)(遺伝子18)
配列番号67:配列番号4の22568位〜23794位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の101091位〜102317位に対応する)(遺伝子16)
配列番号68:配列番号4の21258位〜22478位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の102407位〜103627位に対応する)(遺伝子15)
配列番号69:配列番号4の19431位〜21113位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の103772位〜105454位に対応する)(遺伝子14)
配列番号70:配列番号4の9477位〜10667位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の114218位〜115408位に対応する)(遺伝子8)
配列番号71:配列番号4の5326位〜8577位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の116308位〜119559位に対応する)(遺伝子6)
配列番号72:配列番号4の4252位〜5274位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の119611位〜120633位に対応する)(遺伝子5)
配列番号73:配列番号4の2783位〜4141位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の120744位〜122102位に対応する)(遺伝子4)
配列番号74:配列番号4の1908位〜2447位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の122438位〜122977位に対応する)(遺伝子3)
配列番号75:配列番号4の589位〜915位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の123970位〜124296位に対応する)(遺伝子1)
配列番号76:配列番号47の部分配列
配列番号77:配列番号76の1位〜1056位および4556位〜5740位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の46847位〜48034位および42292位〜43347位に対応する)(遺伝子42および遺伝子45)
配列番号78:配列番号47の部分配列
配列番号79:配列番号78の1位〜1305位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の123580位〜124884位に対応する)(遺伝子50)
配列番号80:配列番号47の部分配列
配列番号81:配列番号80の1位〜2307位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の122578位〜124884位に対応する)(遺伝子54)
配列番号82:配列番号47の部分配列
配列番号83:配列番号82の1位〜663位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の124222位〜124884位に対応する)(遺伝子58)
配列番号84:配列番号47の部分配列
配列番号85:配列番号84の1位〜427位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の124458位〜124884位に対応する)(遺伝子60)
配列番号86:配列番号47の部分配列
配列番号87:配列番号86の1位〜903位に3’→5’方向でコードされるアミノ酸配列(配列番号47の60321位〜61229位に対応する)(遺伝子33.5)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−80893(P2012−80893A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267165(P2011−267165)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【分割の表示】特願2007−546327(P2007−546327)の分割
【原出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000173692)一般財団法人阪大微生物病研究会 (23)
【出願人】(505314022)独立行政法人医薬基盤研究所 (17)
【Fターム(参考)】