説明

組換え微生物

本発明は、アンギオゲニン及び必要に応じてフォリスタチンをコードする導入遺伝子を含む組換え微生物、前記微生物から製造される又は該微生物を含む食品、飲料又は動物飼料、及び該微生物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組換え微生物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
RNアーゼ5/アンギオゲニンは、毛管形成やニューロンの生存を調節することが知られている、14kDaの非グリコシル化分泌リボヌクレアーゼであり、該タンパク質における機能的変異は、神経筋障害である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因となる。RNアーゼ5/アンギオゲニンは内皮細胞及び上皮細胞の機能を調節し、神経細胞の生存に必要である。最近のエビデンスから、上皮細胞や内皮細胞における細胞成長、及びVEGFやEGF、FGF等の成長因子の有効な活性にアンギオゲニンが必要であることが分かっている。
【0003】
特許文献1において、本発明者らは、アンギオゲニンがインビトロでの筋細胞成長や分化を高め、筋芽細胞へのミオスタチンの強力な阻害作用を大幅に軽減することを示した。アンギオゲニンは、初乳やミルク、即ち、哺乳動物の健康、成長及び発育を促進するように進化してきた分泌物において濃縮される。牛乳から精製したアンギオゲニンをマウスの飼料に添加すると、4週間に亘って運動筋肉の成長が50%高まった。本発明者らは、特許文献2において、アンギオゲニンは経口投与すると生物学的に利用可能であることを示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】同時係属出願PCT/AU2009/000603
【特許文献2】同時係属出願PCT/AU2009/000602
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インビボにおける筋肉でのアンギオゲニンの活性やインビトロにおける筋細胞でのアンギオゲニンの活性によって、筋成長の正の調節に関する新しい分子メカニズムや、ミルクの筋肉癒着を高める能力が観察されるという仮説、神経筋機能異常やミオスタチンの阻害が既に示唆されている他の疾患や障害を調節する新しい治療機会が得られる。
【0006】
アンギオゲニンは、医薬品、栄養補助食品又は機能性食品としての実質的な可能性を有しているため、それを高収率で製造する組換え方法を検討することが望ましい。更に、アンギオゲニンを経口投与すると、毒性なしに筋量が増加することが分かっているため、高レベルのアンギオゲニンを含む食品(動物飼料等)を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その第1の様相において、アンギオゲニンをコードする導入遺伝子を含む組換え微生物を提供する。
【0008】
組換え微生物はフォリスタチンをコードする導入遺伝子を含むこともでき、或いは、組換え微生物はアンギオゲニンとフォリスタチンをコードする導入遺伝子を含むことができる。
【0009】
導入遺伝子は、アンギオゲニンと分泌ポリペプチド又は分泌タンパク質のシグナル配列を含む融合タンパク質を含むことができ、該シグナル配列とアンギオゲニンとの間の特定のプロテアーゼ切断部位を更に含むことができる。導入遺伝子は、生物からのアンギオゲニンの単離を容易にするエピトープタグを含むことができる。
【0010】
一実施形態においては、アンギオゲニンをリボヌクレアーゼ阻害剤と同時発現させてアンギオゲニンの発現を高める。
【0011】
微生物をアンギオゲニン源として医薬品や栄養補助食品、機能性食品、又は食品の製造に用いることができ、例えば、ビールやワイン、シードル等の飲料、ヨーグルトやバターミルク、チーズ等の発酵乳製品、プロバイオティック食品、サラミ等の発酵肉製品、パン(例えば、サワードウパン)等の焼き製品、動物や魚の飼料の製造に用いる発酵性微生物として用いることができる。
【0012】
アンギオゲニンが経口的に生物的に利用可能であり、熱安定であるという本発明者らによる認識により、アンギオゲニンを組換えDNA法で食品や飲料に提供することができ、これによって、十分量のアンギオゲニンの確実な源(ソース)を、費用のかかる精製手順を必要とせずに、種々の予防用途や治療用途、食品や動物飼料(例えば、水産養殖用食品)に用いる簡便で安価な形態で提供することができる。
【0013】
多くの実施形態においては、導入遺伝子を染色体に組み込む。多くの実施形態においては、導入遺伝子は、プロモーターと作用可能に連結されたアンギオゲニンのコード配列を含む。
【0014】
本発明は、異種プロモーターと作用可能に連結されたアンギオゲニンのコード配列を含む発現カセットを更に提供する。多くの実施形態においては、発現カセットはベクター内に存在する。
【0015】
本発明は、本発明の発現カセットを用いて形質転換した宿主細胞を更に提供する。
【0016】
本発明は、アンギオゲニン導入遺伝子を含む組換え微生物を作出するための方法を更に提供する。該方法は通常、アンギオゲニン導入遺伝子を当業者に公知の方法で微生物内に導入することと、該微生物を成長培地で培養することとを含む。
【0017】
一実施形態においては、微生物はアンギオゲニンを成長培地内に分泌する。
【0018】
他の実施形態においては、微生物はアンギオゲニンを分泌しない。
【0019】
一実施形態においては、微生物は酵母であり、例えば、カンジダ(Candida)やデバロマイセス(Debaromyces)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)等の属の酵母やサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)である。酵母がサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の場合、ビールやワイン、パンの製造に適した株とすることができる。
【0020】
他の実施形態においては、微生物は乳酸菌又はプロバイオティック生物である。乳酸菌はホモ乳酸発酵型又はヘテロ乳酸発酵型とすることができる。
【0021】
この実施形態においては、微生物は、ラクトバチルス(Lactobacillus)種、例えば、アシドフィルス(acidophilus)やアミロヴォロス(amylovorus)、ブレヴィス(brevis)、ブルガリクス(bulgaricus)、ブクネリ(buchneri)、カゼイ(casei)、コンフスス(confusus)、クリスパトゥス(crispatus)、ククメリス(cucumeris)、クルヴァティス(curvatis)、デルブリュッキ(delbrueckii)、ファルシミニス(farciminis)、ファーメンタム(fermentum)、フルクティヴォランス(fructivorans)、ガッセリ(gasseri)、ヘルヴェティクス(helveticus)、ヒルガルディ(hilgardii)、ジョンソニイ(johnsonii)、ケフィリ(kefiri)、ラクティス(lactis)、レイクマニイ(leichmanii)、ロトゥス(lotus)、パラカゼイ(paracasei)、パステリアヌス(pasterianus)、ペントスス(pentosus)、プランタルム(plantarum)、ラムノスス(rhamnosus)、レウテリ(reuteri)、ペントアセティクス(pentoaceticus)、プランタルム(plantarum)、サケイ(sakei)、サリヴァルス(salivarus)、サンフランシセンシス(sanfranciscensis)等;ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種、例えば、アドレセンティス(adolescentis)やアニマリス(animalis)、ビフィドゥム(bifidum)、インファンティス(infantis)、ラクティス(lactis)、ロングム(longum)、シュードロングム(pseudolongum)、ブレヴェ(breve)等;ロイコノストック(Leuconostoc)種、例えば、クレモリス(cremoris)やラクティス(lactis)、メセンテロイデス(mesenteroides)、メセンテロイデス変種サケ(mesenteroides var. Sake)、オネイ(onei)等;ミクロコッカス(Micrococcus)種;ペディオコッカス(Pediococcus)種、例えば、アシディラティシ(acidilatici)やセレヴィシエ(cerevisiae)、ハロフィルス(halophilus)、ホマリ(homari)、ペントサセウス(pentosaceus)、ソイエ(soyae)等;プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種、例えば、アシディプロピオイシ(acidipropioici)やアラビノスム(arabinosum)、フロイデンレイキイ(freudenreichii)、シェルマニ(shermani)、トエニイ(thoenii)等;アセトバクター(Acetobacter)種、例えば、ランセンス(rancens)やキシリウム(xylium)等;バチルス(Bacillus)種、例えば、ブラシケエファーメンタティ(brassicae fermentati)や、シトレウス(citreus)、ラテロスポルス(laterosporus)、コアグランス(coagulans)、リケニフォルミス(licheniformis)、ナットウ(natto)、プミルス(pumillus)等;クロストリジウム(Clostridium)種、例えば、ビフェルメンタンス(bifermentans)等;コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、例えば、クサヤ(kusaya)等;ハロバクテリウム(Halobacterium)種;ハロコッカス(Halococcus)種;ラクトコッカス(Actococcus)種、例えば、ラクティス(lactis)やクレモリス(cremoris)等;エンテロコッカス(Enterococcus)種、例えば、デュランス(durans)やフェシウム(faecium)等;エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes);スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、例えば、アウレウス(aureus)やカルノスス(carnosus)、エクオルム(equorum)、シウリ(sciuri)、キシロスス(xylosus)、エピダーミディス(epidermidis)等;及びストレプロコッカス(Streptococcus)種、例えば、クレモリス(cremoris)やラクティス(lactis)、ラクティス変種ジアセチラクティス(lactis var. diacetylactis)、ラクティス変種ホランディクス・フェカリス(lactis var. hollandicus faecalis)、サーモフィルス(thermophilus)等から成る群から選択することができる。
【0022】
当業者であれば、これらの生物の数種(例えば、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)やスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis))はある状況下では病原菌であるが、このような生物が食品産業で用いられる株を有することは分かるであろう。
【0023】
他の実施形態においては、微生物は、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti)やペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、リゾプス・オリゴスポルス(Rhizopus oligosporus)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、モナスカス・パープレウス(Monascus purpureus)等の真菌である。
【0024】
他の実施形態においては、微生物は、スピルリナ(アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)又はアルスロスピラ・マキシマ(Arthrospira maxima))やクロレラ(Chlorella)菌種、デュナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)等の藻類である。
【0025】
微生物自体やその培地、胞子、生の組換え微生物、又は加工した組換え微生物を用いることができる。連続回収システムを用いることができる。微生物は、食品として投与する場合、又は動物や魚の飼料として投与する場合には、粉体、錠剤又はカプセルで提供することができ、微生物の培養物を凍結乾燥、乾燥又は噴霧乾燥させたものを含むことができる。
【0026】
本発明は、本発明の組換え微生物又は発現カセットを含む培地を発酵させる段階を含む、発酵食品、発酵飼料又は発酵飲料を製造する方法を更に提供する。
【0027】
本発明は、アンギオゲニン導入遺伝子を含む組換え微生物の食品、飲料又は動物飼料の製造における使用、又は該組換え微生物の組換えアンギオゲニン源としての使用を更に提供する。
【0028】
食品は、焼き製品(アンギオゲニンが熱安定であるため)、チーズ、発酵乳、ヨーグルト、発酵食品又はプロバイオティック食品とすることができる。
【0029】
発酵食品としては、ビールやワイン、パン、チーズ、ヨーグルトが挙げられる。ビールやワイン、パンの製造には主に酵母が用いられるが、その内で最も一般的なのはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。ある種のパン(通常はサワードウパンとして知られる)や、サラミ等の発酵肉製品、発酵植物製品や豆類、バターミルクやチーズ、ヨーグルト等の乳製品の製造には、ラクトバチルス(Lactobacillus)属の最も一般的なメンバーである細菌スターター培地を用いる。ロイコノストック(Leuconostoc)属の生物は、ザワークラウト等の食品の製造やバターの製造に用いられる。これに加えて、ある種のワインの製造にはマロラクチック発酵が用いられるが、これにも細菌スターター培地(通常は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属又はペディオコッカス(Pediococcus)属)が必要である。
【0030】
発酵食品は多くの様々な人間社会で何世紀にも亘って用いられているが、最近になって、このような食品の幾つか(特に、ヨーグルト等の発酵乳製品)には、腸や女性生殖器官に通常存在する数種の細菌と同一であるか又は密接に関連する細菌が含まれていることが分かってきたが、このような理由から、これら食品は消化し易く、また、通常の腸内フローラが破壊(例えば、病態の抗生物質治療が原因で)した場合には、有益な効果をもたらすこともできる。このような製品に存在する細菌はプロバイオティック生物として知られ、それを含む食品はプロバイオティック食品と称される。このような製品は人気が高まっており、例えば、ヤクルト(商標)の名称で販売されている発酵乳製品は日本で非常に人気が高く、オーストラリアの市場でも多く出回っている。
【0031】
製パン産業では大量の所定の酵母培地を用いて新しいサワードウパンや焼き製品を製造している。サワードウパン製品は、酵母のみのパンと比べて、柔らかさが長持ちし、かびが生えにくいため、人気が高まっている。サワードウパン製品は、従来のパン製品と比べて、健康によく、消化し易く、アレルギーを引き起こしにくく、より多くのビタミンやアミノ酸、脂肪酸を提供することができると広く考えられている。サワードウ製品の例としては、サンフランシスコ(米国)でよく知られているサンフランシスコ型サワードウパン(この独特のパンの製造の用いる生物はラクトバチルス・サンフランシスコ(Lactobacillus sanfrancisco)である)や、イタリアで広く製造されているパネトーネやコロンビエ、パンドーロ、他の種々の小型ケーキや甘い焼き製品、ドイツやスカンジナビア、北欧の他の地域で広く食されているサワーライ麦パンや焼き製品(例えば、パンパーニッケル)、中東のパン(シャムシー(Shamsy)やキスラ(Kisra))が挙げられる。
【0032】
飲料はビール、ワイン又はシードルとすることができる。
【0033】
アンギオゲニンは組換え微生物から回収して食品に添加してもよく、食品自体を含んでもよく、食品の製造に用いてもよい。
【0034】
例えば、本発明の組換え微生物から分泌されたアンギオゲニンを含む培養物を、フルーツジュースやフルーツ飲料、野菜ジュース、ソフトドリンク等の製品に添加することができる。
【0035】
本発明は、本発明の組換え微生物によって製造された食品又は飲料、又は該組換え微生物に由来する食品又は飲料を更に提供する。食品の特質は発現宿主の特質に依存するであろう。食品はフォリスタチンを更に含むことができる。
【0036】
本発明は、遺伝子操作は行われていないが、上述のアンギオゲニンを含む食品又は飲料をも包含することははっきりと理解できよう。従って、本発明は、アンギオゲニンを含む食品、飲料又は食品添加物を更に提供する。
【0037】
組換え微生物において内在性アンギオゲニン遺伝子の発現を選択的に高め、必要に応じて内在性フォリスタチン遺伝子の発現を高める他の実施形態も含まれる。
【0038】
本発明における食品はヒトが摂取することを目的としたものであってもよく、動物飼料又は水産養殖に用いてもよい。このような食品を必要に応じてフォリスタチンと共に動物が摂取することによって、該動物の成長速度が高まり、飼料効率が高まる。
【0039】
本発明は、アンギオゲニン及び必要に応じてフォリスタチン源としての本発明の組換え微生物の使用を更に提供する。前記アンギオゲニンは、必要に応じてフォリスタチンと共に、動物(特にヒト)の疾患の治療に用いることができる。治療対象の疾患としては、PCT/AU2009/000603に記載のもの、例えば、筋消耗障害や筋ジストロフィー、筋萎縮症、サルコペニア、カヘキシー等の筋障害、筋力、筋量又は運動耐容能の改善による筋肉型の改善、脂肪分の低減、筋肉/脂肪比の改善、準最適筋肉/脂肪比に起因又は関与しフォリスタチンによって効果が高まる疾患の治療、骨粗鬆症等の骨障害の治療、骨密度の改善、神経系に影響を及ぼす神経障害や神経疾患、特に、ALS等の運動ニューロン疾患の治療、脊髄性筋萎縮症、皮膚筋炎や多発性筋炎、封入体筋炎等の炎症性ミオパチー、重症筋無力症(MG)やランバート・イートン症候群(LES)、先天性筋無力症症候群(CMS)等の神経筋接合部疾患、甲状腺機能亢進性ミオパチー(HYPTM)や甲状腺機能低下性ミオパチー(HYPOTM)等の内分泌異常に起因するミオパチー、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)やデジェリン・ソッタス病(DS)、フリードライヒ失調症(FA)等の末梢神経疾患、先天性筋強直症(MC)や先天性パラミオトニー(PC)、中心コア疾患(CCD)、ネマリンミオパチー(NM)、筋細管ミオパチー(MTM又はMM)、周期性四肢麻痺(PP)等の他のミオパチー、創傷治癒、ホスホリラーゼ欠損症(MPD又はPYGM)、酸マルターゼ欠損症(AMD)、ホスホフルクトキナーゼ欠損症(PFKM)、脱分枝酵素欠損症(DBD)、ミトコンドリアミオパチー(MITO)、カルニチン欠損症(CD)、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損症(CPT)、ホスホグリセリン酸キナーゼ欠損症(PGK)、ホスホグリセリン酸ムターゼ欠損症(PGAM又はPGAMM)、乳酸デヒドロゲナーゼ欠損症(LDHA)、ミオアデニル酸デアミナーゼ欠損症(MAD)等の筋代謝疾患、脂質異常症等の脂質代謝障害に関する疾患及び高脂血症や、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、混合脂質異常症等の関連脂質異常、脊椎障害や脊椎疾患、グルコース恒常性に関する疾患、神経保護や神経系の機能的支持、代謝疾患及び糖代謝障害やインスリン作用障害に関する疾患、例えば、糖尿病、特に1型及び2型糖尿病や、非自己免疫性インスリン非依存性糖尿病、シンドロームX、メタボリックシンドロームの管理、消化管の健康改善が挙げられる。
【0040】
本発明は、上述の疾患を治療するための方法であって、そのような治療を必要とする動物の食餌の一部として本発明に係る食品又は飲料を投与する段階を含む方法を更に提供する。本発明のこの様相は、その好ましい一実施形態において、肉生産用に飼育された家畜における脂肪分/非脂肪分比を改善する方法を提供する。
【0041】
本発明の方法を一以上の他の同様な方法(例えば、食事制限や食事変更、運動療法、筋代謝や脂質代謝の他の調整剤の投与が挙げられるが、これらに限定されない)と共に用いることができることははっきりと理解できよう。
【0042】
本発明の方法は、ヒトだけでなく、他の動物、例えば、ウシやヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ニワトリやガチョウ、シチメンチョウ等の家禽動物、ネコやイヌ等のペット動物、ネコ類やイヌ類、非ヒト霊長類等の動物園の動物にも適用することができる。特に、肉生産用の家畜において、除脂肪体重を最大にするように食物利用を管理することが通常望ましいと考えられていることは明らかであろう。
【0043】
また、本発明の方法は、水産養殖に適用して、魚や軟体動物、貝類等の水生動物に対する飼料効率を高めることもできるが、これは望ましいと考えられる。
【0044】
本発明は、アンギオゲニン機能障害に伴う疾患を研究し、アンギオゲニンのモジュレーターや潜在的な治療薬候補を同定するためのモデルとしての本組換え微生物の使用を更に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、アンギオゲニン及び必要に応じてフォリスタチンをコードする導入遺伝子を含む組換え微生物と該微生物を作出するための方法を提供する。
【0046】
本明細書における「組換え微生物」は、組換え微生物(生きている微生物や死んでいる微生物を含む)の抽出物も包含する。
【0047】
本発明の組換え微生物は、アンギオゲニンが発現される場所に応じて、少なくとも次の2種類のカテゴリーに分類される。
1.アンギオゲニンを培地内に分泌するもの、及び
2.アンギオゲニンを培地内に分泌しないもの。
【0048】
両方のタイプの組換え微生物を用いて、医薬品、栄養補助食品及び機能性食品に用いるアンギオゲニン源を得たり、食品や動物飼料を得ることができる。
【0049】
ラクトバチルスやラクトコッカス、ビフィドバクテリウム、バチルス等のグラム陽性菌の場合、細胞壁の形態で「天然のカプセル化」がもたらされ、アンギオゲニンの消化管通過や消化管放出が適切に延ばされて腸吸収される。
【0050】
本組換え微生物はアンギオゲニンのレベルが高い。本発明者らによる同時係属出願PCT/AU2009/000602及びPCT/AU2009/000603において、本発明者らは、アンギオゲニンは経口投与によって筋代謝に影響を及ぼすことを示し、アンギオゲニンが、筋消耗障害や筋ジストロフィー、筋萎縮症、サルコペニア、カヘキシー等の筋障害の治療、筋力、筋量又は運動耐容能の改善による筋肉型の改善、脂肪分の低減、筋肉/脂肪比の改善、準最適筋肉/脂肪比に起因又は関与しフォリスタチンによって効果が高まる疾患の治療、骨粗鬆症等の骨障害の治療、骨密度の改善、神経系に影響を及ぼす神経障害や神経疾患、特に、ALS等の運動ニューロン疾患、脊髄性筋萎縮症、皮膚筋炎や多発性筋炎、封入体筋炎等の炎症性ミオパチー、重症筋無力症(MG)やランバート・イートン症候群(LES)、先天性筋無力症症候群(CMS)等の神経筋接合部疾患、甲状腺機能亢進性ミオパチー(HYPTM)や甲状腺機能低下性ミオパチー(HYPOTM)等の内分泌異常に起因するミオパチー、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)やデジェリン・ソッタス病(DS)、フリードライヒ失調症(FA)等の末梢神経疾患、先天性筋強直症(MC)や先天性パラミオトニー(PC)、中心コア疾患(CCD)、ネマリンミオパチー(NM)、筋細管ミオパチー(MTM又はMM)、周期性四肢麻痺(PP)等の他のミオパチー、創傷治癒、ホスホリラーゼ欠損症(MPD又はPYGM)、酸マルターゼ欠損症(AMD)、ホスホフルクトキナーゼ欠損症(PFKM)、脱分枝酵素欠損症(DBD)、ミトコンドリアミオパチー(MITO)、カルニチン欠損症(CD)、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損症(CPT)、ホスホグリセリン酸キナーゼ欠損症(PGK)、ホスホグリセリン酸ムターゼ欠損症(PGAM又はPGAMM)、乳酸デヒドロゲナーゼ欠損症(LDHA)、ミオアデニル酸デアミナーゼ欠損症(MAD)等の筋代謝疾患、脂質異常症等の脂質代謝障害に関する疾患及び高脂血症や、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、混合脂質異常症等の関連脂質異常、脊椎障害や脊椎疾患、グルコース恒常性に関する疾患の治療、神経保護や神経系の機能的支持、代謝疾患及び糖代謝障害やインスリン作用障害に関する疾患、例えば、糖尿病、特に1型及び2型糖尿病や、非自己免疫性インスリン非依存性糖尿病、シンドロームX、メタボリックシンドロームの管理に有用となり得るため、アンギオゲニンを含む食品や飼料が動物(例えば、該食品を摂取するヒト)においてこのような作用を有する可能性があることを提示している。
【0051】
アンギオゲニンは微生物阻害、腸上皮機能、創傷治癒及び細菌フローラ共生に関与し、アンギオゲニンを含む食品を摂取することによって(特に、アンギオゲニンを腸組織へ到達させることができるプロバイオティック処方や抽出物で投与した際に)、ヒトや家畜動物における腸の健康や腸疾患の防止、免疫増強に有益な効果をもたらし得る。
【0052】
本明細書に記載の本発明のコンテクストにおいて、家畜動物に関して組換え微生物又はその抽出物を含む動物飼料の使用を通じて求められるアンギオゲニンの主な効果は、動物の健康(腸/免疫機能、筋量及び筋肉/脂肪比を含む)の改善によって屠体成分が改善されることである。これは、ブタやニワトリ(ブロイラー及びレイヤー)、牛肉、乳製品、ヤギ、ヒツジ、貝類、魚類等の家畜用途において特に重要である。アンギオゲニン導入遺伝子を含む組換え微生物を含む動物飼料を用いることによって、家畜においては腸の健康や筋成長が改善し、それに伴った飼料効率が得られるが、組換え微生物は全ての発育段階で用いることができ、例えば、該微生物をミルク代替品やサプリメントに用いて発育を高めることができる。アンギオゲニンは、高いタンパク質合成が要求される系、例えば、腸上皮細胞やミルクタンパク質を産生する乳腺上皮細胞、成長筋肉における重要なレギュレーターとして期待されている。
【0053】
PCT/AU2009/000602に記載の経口アンギオゲニンのマウス筋肉に対するインビボ作用や筋肉内でタンパク質合成を調節する役割を考慮すれば、アンギオゲニンの投与によって家畜動物で筋肉生成が高まることが期待される。脊椎動物において血管形成や活性を調節するアンギオゲニンの保存機能を考慮すれば、アンギオゲニンを広い種境界に亘って用いた場合、ブロイラーニワトリの腸や免疫、筋肉を発達させ、成長を促し、ニワトリレイヤーの健康を維持して産卵能力を高める役割を果たすことが期待される。
【0054】
ヒトやペット動物の場合、組換えアンギオゲニンを含む食品を摂取することによって、動物の健康や筋肉組成を改善することができ、上述の疾患を治療又は予防することができる。
【0055】
本発明の組換え微生物によって、上述の疾患を治療又は予防するための医薬品、栄養補助食品及び機能性食品に用いるアンギオゲニン源が容易に得られる。
【0056】
本明細書全体に亘って用いられる用語、フレーズ及び略語を以下に記載のように定義する。用語、フレーズ及び略語は単数形で記載されているが、この記載はあらゆる文法形式をも包含することを意図する。
【0057】
本明細書で用いられる「導入遺伝子」とは、微生物のゲノム内に人工的に挿入された又は挿入しようとしている遺伝物質を示す。
【0058】
本明細書で用いられる「発現」は、転写と翻訳を包含する。
【0059】
本明細書で用いられる「異種」又は「外来性」とは、対象となる微生物に天然に存在しない核酸配列及び/又はアミノ酸配列を意味する。また、異種配列は、ゲノム内の天然に存在する位置とは異なる位置にも存在し得る。
【0060】
本明細書で用いられる「内在性」とは、対象となる微生物に天然に存在する核酸配列及び/又はアミノ酸配列を意味する。
【0061】
本明細書で用いられる「組換え」とは、例えば、異種遺伝物質の添加や内在性遺伝物質の改変によって遺伝子操作が行われた遺伝物質、細胞及び/又は微生物を意味する。
【0062】
本明細書で用いられる「単離」又は「精製」とは、天然に付随する少なくとも一成分を除去された核酸及び/又はペプチド又はタンパク質を意味する。例えば、単離タンパク質は、分子生物学的技法によって作出した場合には実質的に細胞物質や培地を含まない。
【0063】
本明細書で用いられる「ベクター」とは、一以上の細胞型の形質導入及び/又はトランスフェクションのために設計されたポリヌクレオチド構築物を意味する。
【0064】
本明細書において、転写調節要素及びコード配列に言及する際に用いられる「作用可能に連結された」とは、コード領域の転写を容易にするように調節配列をコード領域に結合させることを意味する。
【0065】
本明細書で用いられる「相同組換え」とは、相同ヌクレオチド配列の部位における2種のDNA分子又は染色分体間でのDNA断片の交換を意味する。
【0066】
本明細書で用いられる「遺伝子ターゲティング」とは、細胞にゲノムDNAの断片が導入され、該断片が内在性相同配列に位置付けられて該配列と再結合した際に生じる相同組換えの一種を意味する。
【0067】
本明細書で用いられる「過形成」とは、器官及び/又は組織内で細胞の数が異常に増加し、その結果、器官及び/又は組織が拡張することを意味する。
【0068】
本明細書で用いられる「肥大」とは、器官及び/又は組織の個々の細胞のサイズが増加し、その結果、器官及び/又は組織が拡張することを意味する。
【0069】
本明細書で用いられる「遺伝子型」とは、生物の遺伝的構成全体、即ち、生物の優性遺伝子及び劣性遺伝子の両方を意味する。
【0070】
本明細書で用いられる「表現型」とは、個体の遺伝子型と環境との相互作用に起因する該個体の観察可能な特性を意味する。
【0071】
本明細書で用いられる「プロモーター」とは、遺伝子の5’末端における配列であって、該遺伝子がDNAポリメラーゼ及び/又は転写因子と結合した際にその発現を調節する配列を意味する。プロモーターは組織特異的であり得る。
【0072】
「形質転換」とは、細胞内で誘導される永久的又は一過性の遺伝子変化であって、新しいDNA(即ち、該細胞に対して外来性のDNA)を組み込んだ後に生じる遺伝子変化を意味する。
【0073】
「構築物」とは、特定のヌクレオチド配列を発現させる目的で発生させたか、又は他の組換えヌクレオチド配列の構築に用いられる組換え核酸(通常は組換えDNA)を意味する。
【0074】
「cDNA」とは、天然成熟mRNA種に存在する配列要素(配列要素はエクソンと3’及び5’非コード領域である)の配置を共有する全ての核酸を意味する。通常、mRNA種は近接するエクソンを有するが、介在するイントロンは核RNAスプライシングによって除去されて、タンパク質をコードする連続オープンリーディングフレームを形成する。
【0075】
「ゲノム配列」とは、非近接オープンリーディングフレーム(イントロンがタンパク質コード領域を妨害している)を有する配列を意味する。成熟mRNAに存在する3’及び5’非翻訳領域を更に含み得る。転写領域の5’末端又は3’末端におけるフランキングゲノムDNAの約1kb(それ以上の場合もある)を含む特定の転写及び翻訳調節配列(例えば、プロモーターやエンハンサー等)を更に含み得る。ゲノムDNAは100kbp以下の断片として単離することができるが、フランキング染色体配列を実質的に含まない。
【0076】
本発明は、その一様相において疾患の治療に関する。本明細書で用いられる「治療する(treating)」及び「治療(treatment)」とは、症状の重症度及び/又は頻度の低減、症状及び/又はその根底にある原因の解消、症状の発生の予防(疾病予防(prophylaxis))及び/又はその根底にある原因の発生の予防並びに損傷の改善又はレメディエーションを意味する。従って、例えば、障害を「治療する」本方法は、素因がある個体における障害の予防及び臨床症状を示す個体の障害の治療の両方を網羅する。
【0077】
本明細書で用いられる「治療する」は、脊椎動物、哺乳動物、特に人間の状態の任意の治療又は予防を包含し、これには、状態を阻害する(即ち、その発展を抑止する)こと又は状態の影響を軽減又は緩和する(即ち、状態の影響を逆行させる)ことが含まれる。
【0078】
本明細書で用いられる「疾病予防(prophylaxis)」又は「疾病予防的な(prophylactic)」又は「予防的な(preventative)」療法には、ある状態の素因を有する可能性があるが、それを有することが未だ診断されていない対象において、該状態の発生を防止するか又はその後の該状態の進行を緩和することが含まれる。
【0079】
本明細書に記載のアンギオゲニン及びフォリスタチンは、特に導入遺伝子及びタンパク質/ポリペプチドに関して、任意の哺乳動物種、更には機能性断片及びその類似体に由来する全長アンギオゲニン及びフォリスタチンを包含する。一実施形態においては、アンギオゲニンはヒト又はウシに由来する。
【0080】
本発明について更に説明する前に、本発明が本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、当然のことながら変更もあり得ることは理解されたい。また、本明細書における専門用語は特定の実施形態を説明する目的のみに用いており、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本発明が専門用語によって限定されることを意図していないことも理解されたい。
【0081】
数値範囲が記載された場合、特に文脈にて明確に定められない限り、この範囲の上限と下限との間にある各値(下限の単位の1/10まで)、及び該範囲内にある任意の他の値も本発明内に包含されることは理解されよう。このような小さい範囲の上限及び下限は該範囲内に独立して含まれる場合があり、記載範囲内の任意の具体的な排除限界次第では、上限及び下限も本発明内に包含される。記載された範囲が上限と下限の一方又は両方を含む場合は、こうして含まれる上限及び下限の一方又は両方を除く範囲も本発明に包含される。
【0082】
定義がなされていない限り、本明細書で使用されるすべての技術科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載された内容と類似又は同様の材料及び方法のいずれもが本発明を実施又は試験するために使用又は利用できるが、好ましい材料及び方法を記載する。
【0083】
本明細書及び添付した特許請求の範囲においては、特に文脈にて明確に定められない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数形の言及も包含することに留意しなければならない。従って、例えば、「トランスジェニック非ヒト動物」への言及は複数の該動物を包含し、「導入遺伝子」への言及は一以上の導入遺伝子及び当業者に公知のその等価物を包含する等である。
【0084】
本発明の更なる説明において、本組換え微生物及びその作出方法について先ず詳細に説明した後、本微生物の代表的な用途(例えば、食品製造等)についての説明を行う。
【0085】
組換え微生物及びその作出方法
本発明は、アンギオゲニン導入遺伝子を含む組換え微生物を提供する。アンギオゲニン導入遺伝子は、アンギオゲニンをコードするヌクレオチド配列を含む。多くの実施形態においては、アンギオゲニンコード配列はプロモーターと作用可能に連結される。フォリスタチンはアンギオゲニン活性を高めると考えられているため、組換え微生物又はアンギオゲニン導入遺伝子にフォリスタチン導入遺伝子を含めることもできる。また、該微生物は、アンギオゲニンとリボヌクレアーゼ阻害剤を同時発現してアンギオゲニン発現レベルを高めることもできる。
【0086】
アンギオゲニン導入遺伝子及び組換え微生物に関する本明細書における説明は例示にすぎないことを意味し、特定のアンギオゲニン導入遺伝子及び組換え微生物に限定されることは意味しない。非組換え微生物と比べ、本組換え微生物においてアンギオゲニン濃度の上昇が示される場合には、任意のアンギオゲニン導入遺伝子を用いて本組換え微生物を作出することができる。
【0087】
アンギオゲニンのコード領域を有する導入遺伝子を用いて細胞を形質転換するが、これは、導入遺伝子の外来性DNAを組み込んだ後に細胞内で永久的又は一過性の遺伝子変化(通常は永久的な遺伝子変化)が誘導されることを意味する。永久的な遺伝子変化は通常、細胞のゲノム内にDNAを導入することによってなされる。安定組み込み用のベクターとしては、プラスミドやレトロウイルス、他の動物ウイルス、YAC等が挙げられる。
【0088】
本発明の組換え微生物は、染色体外要素として又はその内部に安定的に組み込まれて存在する外来性核酸配列を含む。特に明記しない限り、組換え微生物は生殖系列配列に対する安定的な変化を含むものである。
【0089】
幾つかの実施形態においては、微生物に導入されるアンギオゲニン導入遺伝子は、外来性アンギオゲニンコード配列を含む。幾つかの実施形態においては、外来性遺伝子は宿主とは異なる種由来である(例えば、外来性遺伝子は異種アンギオゲニン遺伝子である)。外来性遺伝子はそのコード配列が変化しても変化しなくてもよい。非コード配列(例えば、制御要素)は存在しても存在しなくてもよい。制御要素が導入遺伝子に存在する場合、相同性制御要素(例えば、通常はコード配列と関連する)又は異種制御要素(例えば、通常はコード領域とは関連しない(例えば、他種由来である))を含む。導入された遺伝子は野生型遺伝子であっても、天然多型であっても、遺伝子操作された配列(例えば、コード領域又は非コード領域に欠失、置換又は挿入を有する)であってもよい。アンギオゲニンコード領域はプロモーター(恒常的でも誘導性でもよい)、及び宿主微生物における発現及び/又は分泌に必要な他の調節配列と作用可能に連結することができる。或いは、アンギオゲニンコード領域は導入遺伝子内の制御要素と作用可能に連結しない場合があり、その場合、ゲノムに組み込まれた際に制御要素と作用可能に連結するようになる。
【0090】
他の実施形態においては、内在性アンギオゲニンコード配列がアップレギュレートされる。このような実施形態においては、アンギオゲニンコード配列は制御要素と作用可能に連結しても連結しなくてもよい。アンギオゲニンコード領域はプロモーター(恒常的でも誘導性でもよい)、及び宿主微生物における発現に必要な他の調節配列と作用可能に連結することができる。或いは、アンギオゲニンコード領域は制御要素と作用可能に連結しない場合があり、その場合、導入遺伝子がゲノムに組み込まれた際に制御要素と作用可能に連結するようになる。例えば、エンドヌクレアーゼに融合したジンクフィンガー転写因子を用いた遺伝子編集(サンガモ・テクノロジー)は、内在性アンギオゲニン発現をアップレギュレートするのに有用なアプローチとなり得る。
【0091】
アンギオゲニン導入遺伝子は、任意の種由来のアンギオゲニンを含むことができるが、特にヒト、ウシ、ブタ、ウマ、トリ、ヒツジ、ラット、ニワトリ、シチメンチョウ又はマウス由来のアンギオゲニンを含むことができる。導入遺伝子は、配列番号1(ヒト)、配列番号2(ウシ)、配列番号3(マウス)、配列番号4(ニワトリ)、配列番号5(ウサギ)、配列番号6(ブタ)、配列番号7(ウマ)、アンギオゲニンをコードする任意の他の配列、又は細胞培養において筋芽細胞の成長を誘導することが可能な該配列の機能性断片を有するアンギオゲニンをコードすることができる。
【0092】
【表1】

【0093】
本組換え微生物の作出方法
本発明は、本組換え微生物を作出する方法を提供する。この方法は通常、アンギオゲニン導入遺伝子を微生物に導入して該導入遺伝子が微生物のゲノムに組み込まれるようにし、アンギオゲニンを培地内に分泌させるか、細胞質又は周辺質に保持させることを含む。当業者によく知られているように、組換え微生物を作出する如何なる方法も記載通りに用いることができる。
【0094】
発現ベクター及び導入遺伝子
本組換え微生物は通常、アンギオゲニンをコードするヌクレオチド配列を含む構築物を細胞に導入することを含む方法によって作出する。アンギオゲニン導入遺伝子は、少なくともアンギオゲニンのコード領域を含む。幾つかの実施形態においては、アンギオゲニンをコードするヌクレオチド配列をプロモーターと作用可能に連結させ、必要に応じて、微生物内での導入遺伝子の発現の増加をもたらす更なる制御要素と作用可能に連結させる。他の実施形態においては、アンギオゲニンをコードするヌクレオチド配列を如何なる制御要素とも作用可能に連結させない。その代わりに、アンギオゲニン導入遺伝子は、コード領域の5’末端及び3’末端に、内在性遺伝子との相同組換えをもたらす配列を含む。
【0095】
上述のように、導入遺伝子には任意のアンギオゲニン遺伝子(例えば、配列番号1〜7に記載のアンギオゲニン配列をコードする遺伝子)を用いることができる。導入遺伝子又は組換え微生物は、組換えフォリスタチンを含むこともできる。
【0096】
コードされたアンギオゲニンが細胞培養での筋芽細胞成長の誘導において実質的に同じ活性を有する限り、所定のアンギオゲニンの公知のコード配列とは異なる配列を用いることができる。例えば、コードされたアンギオゲニンは、公知のアンギオゲニンのアミノ酸配列に対し、一以上の保存アミノ酸置換を含むことができる。保存アミノ酸置換の非限定的な例としては、Phe/TyrやAla/Val、Leu/Ile、Arg/His、Ser/Thr等が挙げられる。また、コードされたアンギオゲニンは、公知のアンギオゲニンアミノ酸配列に対し、一以上のアミノ酸残基の挿入又は欠失(トランケーションを含む)を含むこともできる。更に、コードされたアンギオゲニンは、一以上の天然多型を含むことができる。アンギオゲニンコード配列は完全に又は部分的に合成されていてもよい。また、アンギオゲニンコード配列は、例えば、標準的な方法によって二以上の種由来のアンギオゲニンコード配列を比較し、該種から引き出したコンセンサス配列とすることもできる。最適化されたアンギオゲニン配列、例えば、高活性や高プロテアーゼ耐性、熱安定性、細胞壁処理適合性等をもたらす変異を含む配列を用いることもできる。
【0097】
アンギオゲニンの任意の公知のコード配列(例えば、マウス、ヒト、雌ウシ、ヒツジ等由来のアンギオゲニンコード配列)を用いて本組換え微生物を作出することができる。コード配列はcDNA配列であってもよく、ゲノム配列であってもよい。アンギオゲニンのコード配列は、組換え微生物と同一の種由来であってもよいが、その必要はない。
【0098】
アンギオゲニンをコードする適切なヌクレオチド配列と公知のアンギオゲニンのコード配列とのヌクレオチド配列同一性は、通常は少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約98%、又はそれ以上である。配列類似性は参照配列に基づいて算出するが、参照配列は大型配列のサブセットとすることができ、例えば、保存モチーフやコード領域、フランキング領域等が挙げられる。参照配列は、通常は少なくとも約18ヌクレオチド長、より通常には少なくとも約30ヌクレオチド長であり、比較される完全配列まで伸長することができる。配列解析用アルゴリズムは当該技術分野では公知であり、例えば、アルチュル(Altschul)ら(1990)、J.Mol.Biol.215:403−10(デフォルト設定を用いる)に記載のBLASTが挙げられる。
【0099】
また、公知のアンギオゲニンコード配列に対してストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするアンギオゲニンコード配列も適切に用いられる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、50℃以上及び0.1×SSC(15mMの塩化ナトリウム/1.5mMのクエン酸ナトリウム)におけるハイブリダイゼーションである。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の他の例は、溶液(50%のホルムアミド、1×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%の硫酸デキストラン、及び20μg/mLの変性剪断サケ精子DNA)中42℃でインキュベーションを一晩行った後、0.1×SSCにて約65℃でフィルターを洗浄することである。例えば、高ストリンジェンシー条件には、水性ハイブリダイゼーション(例えば、ホルムアミドを含まない)を6×SSC(ここで、20×SSCは3.0MのNaClと0.3Mのクエン酸ナトリウムを含有する)、1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)にて65℃で約8時間(又はそれ以上)行った後、0.2×SSC、0.1%SDSにて65℃で一回以上洗浄を行うことが含まれる。例えば、中程度のストリンジェンシー条件には、水性ハイブリダイゼーション(例えば、ホルムアミドを含まない)を6×SSC、1%SDSにて65℃で約8時間(又はそれ以上)行った後、2×SSC、0.1%SDSにて室温で一回以上洗浄を行うことが含まれる。
【0100】
上述のように、幾つかの実施形態においては、アンギオゲニン導入遺伝子は、一以上の制御配列(例えば、プロモーターや3’転写制御配列、翻訳制御要素等)と作用可能に連結されたアンギオゲニンのコード配列を含む。
【0101】
幾つかの実施形態においては、アンギオゲニン導入遺伝子は制御要素と作用可能に連結されていない。その代わりに、導入遺伝子は、アンギオゲニンコード配列が内在性コード配列の全体又は一部と置換し、組み込まれたアンギオゲニンコード領域が内在性制御要素の転写制御下に置かれるような内在性遺伝子との相同組換えをもたらす配列を含んでいる。例えば、アンギオゲニン導入遺伝子は、該導入遺伝子が相同組換えによって細胞のゲノムに組み込まれるようにβ−ラクトグロブリン遺伝子の5’及び3’領域内の配列と相同的な5’及び3’フランキング配列を含んでおり、これによって、該導入遺伝子のアンギオゲニンコード配列が内在性β−ラクトグロブリン遺伝子と置換し、アンギオゲニンコード配列はゲノムに組み込まれ、内在性β−ラクトグロブリン制御要素の転写制御下に置かれる。相同組換えを行うための方法は当該技術分野ではよく知られている。
【0102】
アンギオゲニン導入遺伝子は通常、ベクター(例えば、アンギオゲニン構築物)の一部として提供されるが、その各種は当該技術分野では公知であるため、本明細書で詳述する必要はない。ベクターとしては、プラスミドやコスミド、ウイルスベクター、人工染色体(HACやYAC、BAC等)、ミニ染色体等が挙げられるが、これらに限定されない。ベクターは当業者によく知られた多くの刊行物に十分に記載されている。ベクターによって本核酸の発現がもたらされるが、本核酸の増殖がもたらされる場合又はその両方がもたらされる場合がある。
【0103】
発現の際、例えば、導入遺伝子がプロモーターを含む場合、発現カセットを用いることができる。発現ベクターによって転写及び翻訳開始領域(誘導性でも恒常的でもよい)がもたらされるが、ここでは、転写開始領域と転写及び翻訳終結領域の転写制御下でコード領域が作用可能に連結している。これらの制御領域はアンギオゲニン遺伝子由来であってもよく、外来性源由来であってもよい。
【0104】
導入遺伝子がプロモーターを含む場合、発現ベクターは通常、アンギオゲニンをコードする核酸配列の挿入をもたらすのに好都合な制限部位をプロモーター配列付近に有する。発現宿主内で作動する選択可能マーカーが存在し得る。発現ベクターを用いて融合タンパク質を作出することができるが、この場合、外来性融合ペプチドによって更なる機能性、即ち、タンパク質合成の増強や安定性、所定の抗血清との反応性、酵素マーカー(例えば、β−ガラクトシダーゼ)等がもたらされる。
【0105】
転写開始領域、遺伝子又はその断片、及び転写終結領域を含む発現カセットを調製することができる。
【0106】
用いるアンギオゲニン配列を改変し、RNアーゼ酵素活性の改善、リボソームRNA転写活性化及び/又はDNA結合活性の改善、リボソームRNAプロセシング/スプライシング活性の改善、及び受容体結合やエンドサイトーシスの改善によって筋原性活性を改善することができる。
【0107】
N末端又はC末端におけるアンギオゲニンの融合、例えば、アンギオゲニン単鎖免疫融合も意図されている。
【0108】
アンギオゲニン配列は、RNアーゼ活性を低下させる変異が含まれるものとすることができる。
【0109】
有用性
本組換え微生物は種々の用途に使用され、その例としては、食品製造や研究、アンギオゲニンの製造等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本微生物は、天然に生産される食品と比べてアンギオゲニンを多く含み、筋肉発達を促進する食品の製造に使用される。このような食品はアンギオゲニン源として用いることができる。本微生物は、種々の組織におけるアンギオゲニンやその提示モジュレーター(proposed modulators)の作用を解析する研究に使用される。
【0110】
食品用途
本発明は、アンギオゲニン源としての組換え微生物、本組換え微生物から食品を製造するための方法、及び本組換え微生物で飼育した非ヒト動物から回収した食品を提供する。食品に更なる加工が必要な場合、本発明の方法は、本組換え微生物から食品を回収することと、該食品を加工することとを含む。従って、本発明は、本組換え微生物から回収した食品を加工することを含む、加工食品を製造する方法を提供する。本発明は、本組換え微生物から回収した食品を加工することによって得られる加工食品を更に提供する。
【0111】
本組換え微生物からアンギオゲニンを回収する方法は、タンパク質精製に熟達した者にはよく知られている。
【0112】
本発明は、本組換え微生物によって製造された食品、及び該食品を用いて製造された加工食品を更に提供する。食品としては、例えば、体内に取り込まれた際に(a)組織を発育、発達させたり、エネルギーを供給する役割を果たす、及び/又は(b)適切な栄養状態や代謝機能を維持、回復又は支持する、経腸摂取又は非経口摂取用のヒト摂取用調製品が挙げられる。
【0113】
本発明の食品は、如何なる個体による摂取にも適している。本明細書で用いられる「個体」は、ヒト個体及び非ヒト個体を包含する。非ヒト個体としては、動物、特に哺乳動物(例えば、家畜やペット等)が挙げられる。組換え微生物は、適切な状況下で水産養殖用飼料又は動物飼料として用いることができる。
【0114】
アンギオゲニンによって種々の有益な効果が得られるが、その例としては、筋機能や筋量の増加や脂肪/体重組成の改善、運動耐容能、ALS等の神経筋疾患への関与が挙げられる。
【0115】
また、アンギオゲニンを含む食餌で家畜を飼育した場合、その家畜の成長速度を高めることもできる。従って、本食品で家畜を飼育した場合、その家畜の成長速度や飼料効率が高まる。このように、本食品は、家畜(例えば、ブタや雌ウシ、ヤギ等)の飼育用として特に注目される。
【0116】
本発明はアンギオゲニンを含む、栄養補助食品配合物食品をはじめとする食品を提供する。「栄養補助食品配合物」とは、疾患の予防及び治療を含む医学上の利益及び/又は健康上の利益を提供する食品又は食品の一部を意味する。栄養補助食品は、単離栄養分、食品サプリメント及び食餌から遺伝子工学改変食品、機能性食品、ハーブ製品及びシリアル、スープ、飲料等の加工食品に亘る。「機能性食品」とは、伝統的栄養素を上回る健康上の利益を提供し得る調製食品及び食品成分のいずれかを含む食品を意味する。
【0117】
目的の栄養補助食品配合物には、獣医用途又はヒト用途の食品が含まれ、これらはバーフード(シリアルバー、朝食バー、エネルギー補給バー、栄養補給バー等)、チューイングガム、ドリンク、強化ドリンク、ドリンクサプリメント(ドリンクに入れる粉末)、タブレット等を含む。
【0118】
本食品又は栄養補助食品配合物は、アンギオゲニンと少なくとも一種の食品用成分を含むことができる。好ましい成分の例としては単糖類及び二糖類、炭水化物、タンパク質、アミノ酸、脂肪酸、脂質、安定化剤、保存料、香味料、着色料、甘味料、酸化防止剤、キレート化剤、担体、テクスチュラント、栄養素、pH調整剤、乳化剤、安定化剤、ミルクベース固形分、食物繊維等が挙げられるが、これらに限定されない。食品成分は天然原料から単離することもでき、合成で得ることもできる。すべての成分はヒト消費に叶う食品用成分である。
【0119】
好ましい単糖類の例としてはソルビトール、マンニトール、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リブロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ソルボースが挙げられる。好ましい二糖類の例としてはスクロース、マルトース、ラクチトール、マルチトール、マルツロース、ラクトースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
好ましい炭水化物はオリゴ糖類、多糖類及び/又は炭水化物誘導体である。本明細書において「オリゴ糖」とは、3〜9の単糖ユニットを有する消化可能な直鎖状分子であって、これらユニットはグリコシド結合により共有結合されている。本明細書において「多糖」とは、10以上の単糖ユニットを有する消化可能(即ち、ヒト体内において代謝可能)な高分子であって、これらユニットはグリコシド結合により共有結合されている。多糖類は直鎖であっても分枝であってもよい。本発明においては、多価アルコール(例えばグリセロール)等の炭水化物誘導体も複合炭水化物として使用できる。本明細書において炭水化物に関して「消化可能」とは、ヒト体内において生産される酵素により代謝可能である炭水化物を意味する。消化不可能な炭水化物である多糖類の例としては、セルロース、難消化性デンプン(未精製コーンスターチ)、退行性アミロース(高アミロースコーンスターチ)が挙げられる。炭水化物の例としてはラフィノース、スタキオース、マルトトリオース、マルトテトラオース、グリコーゲン、アミロース、アミロペクチン、ポリデキストロース、マルトデキストリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
好ましい脂肪としては短鎖トリグリセライド(C2〜C4)及び長鎖トリグリセライド(C16〜C22)を含むトリグリセライドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
好ましいテクスチュラント(可溶性繊維とも称される)の例としてはペクチン(高エステル、低エステル)、カラギーナン、アルギネート(アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム等)、グアーガム、ローカストビーンガム、サイリウム、キサンタンガム、アラビアゴム、フラクトオリゴ糖、イヌリン、寒天及びこれら二種以上の機能的ブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
好ましい乳化剤としてはプロピレングリコールモノステアレート(PGMS)、ナトリウムステアロイルラクチレート(SSL)、カルシウムステアロイルラクチレート(CSL)、モノグリセリド、ジグリセリド、モノジグリセリド、ポリグリセロールエステル、乳酸エステル、ポリソルベート、スクロースエステル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
食物繊維は多糖類、オリゴ糖類、リグニン及び関連する植物物質である。好ましい食物繊維としては甜菜ファイバー、アップルファイバー、豆ファイバー、小麦ファイバー、オートファイバー、バーレーファイバー、ライファイバー、ライスファイバー、ポテトファイバー、トマトファイバー、他の植物の非デンプン多糖ファイバー及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
好ましい香味料としては、天然及び合成のフレーバーであって、「ブラウンフレーバリング(コーヒー、ティー等)、乳製品フレーバリング、フルーツフレーバー、バニラフレーバリング、エッセンス、エキストラクト、オレオレジン、濃縮ジュース・ドリンク、フレーバービルディングブロック(δ−ラクトン、ケトン等)等、及びこれらフレーバーの組み合わせが挙げられる。植物由来のフレーバーの例としては、ティー(好ましくはブラックティーや緑茶)、アロエベラ、ガラナ、ジンセン、ギンコ、サンザシ、ハイビスカス、ローズヒップ、カモミール、ペパーミント、フェンネル、ジンジャー、リコリス、ロータスシード、シザンドラ、ノコギリヤシ、サルサパリラ、サフラワー、セントジョーンズワート、クルクマ、カルダモン、ナツメグ、ケイヒ、ジオスミン、シナモン、ジャスミン、ホー、キク、ヒシ、シュガーケーン、ライチ、タケノコ、バニラ、コーヒー等が挙げられる。
【0126】
好ましい甘味料の例としてはアリテーム、デキストロース、フルクトース、ラクチロール、ポリデキストロース、キシリトール、キシロース、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、アセスルファームK、L−アスパルチル−L−フェニルアラニン低級アルキルエステルスウィートナー、L−アスパルチル−D−アラニンアミド、L−アスパルチル−D−セリンアミド、L−アスパルチル−ヒドロキシメチルアルカンアミドスウィートナー、L−アスパルチル−1−ヒドロキシエチルアルカンアミドスウィートナー等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
好ましい酸化防止剤の例としてはトコフェロール(天然、合成)、パルミチン酸アスコルビル、ガレート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
好ましい栄養素の例としてはビタミン類及びミネラル類が挙げられ、ナイアシン、チアミン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、鉄、亜鉛、銅、カルシウム、リン、ヨウ素、クロム、モリブデン、フッ化物等が含まれるが、これらに限定されない。
【0129】
好ましい着色料の例としてはFD&Cダイ(例えばイエロー#5、ブルー#2、レッド#40)、FD&Cレーキ、リボフラビン、β−カロテン、天然着色剤(フルーツエクストラクト、野菜エクストラクト及び/又は植物エキストラクト(グレープ、ブラックカラント、アロニア、ニンジン、ビート根、紫キャベツ、ハイビスカス等))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
保存料の例としてはソルベート、ベンゾエート及びポリホスフェートの各保存料が挙げられる。
【0131】
好ましい乳化剤の例としてはジグリセリド、モノグリセリド、モノ及びジグリセリド酢酸エステル、モノ及びジグリセリドジアセチル酒石酸エステル、モノ及びジグリセリドクエン酸エステル、モノ及びジグリセリド乳酸エステル、脂肪酸、脂肪酸ポリグリセロールエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ナトリウムステアロイルラクチレート、カルシウムステアロイルラクチレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
pH調整剤として好ましい剤の例としては有機及び無機の食用の酸が挙げられる。これらの酸は非解離の状態で存在させることができる他、それぞれの塩(例えばリン酸水素カリウム又はナトリウム、リン酸二水素カリウム又はナトリウム)として存在させることもできる。酸の例としては食用の有機酸であって、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、リン酸及びこれらの混合物が挙げられる。
【0133】
本発明の食品/栄養補助食品配合物はアンギオゲニンを約0.01重量%〜約50重量%含むことができる。例えば、約0.01重量%〜約0.1重量%、約0.1重量%〜約0.5重量%、約0.5重量%〜約1.0重量%、約1.0重量%〜約2.0重量%、約2.0重量%〜約5重量%、約5重量%〜約7重量%、約7重量%〜約10重量%、約10重量%〜約15重量%、約15重量%〜約20重量%、約20重量%〜約25重量%、約25重量%〜約30重量%、約30重量%〜約35重量%、約35重量%〜約40重量%、約40重量%〜約45重量%、約45重量%〜約50重量%である。
【0134】
前記食品が飲料である場合、前記食品は通常約50容量%超の水を含む。例えば、約50容量%〜約60容量%、約60容量%〜約95容量%、約60容量%〜約70容量%、約70容量%〜約80容量%、約80容量%〜約90容量%、約90容量%〜約95容量%である。
【0135】
前記食品がバーである場合、前記食品は通常約15容量%未満の水を含む。例えば、約2容量%〜約5容量%、約5容量%〜約7容量%、約7容量%〜約10容量%、約10容量%〜約12容量%、約12容量%〜約15容量%である。
【0136】
いくつかの実施形態においては、本食品/栄養補助食品は本質的に乾燥状態にある。即ち、約5%未満の水を含む。
【0137】
単糖類、二糖類及び複合炭水化物が存在する場合、それぞれ重量基準で通常約0.1%〜約15%の量含まれる。例えば、約0.1%〜約1%、約1%〜約5%、約5%〜約7%、約7%〜約10%、約10%〜約15%である。可溶性繊維、食物繊維及び乳化剤が存在する場合、それぞれ重量基準で通常約0.1%〜約15%の量含まれる。例えば、約0.1%〜約1%、約1%〜約5%、約5%〜約7%、約7%〜約10%、約10%〜約15%である。
【0138】
上述の他の成分が存在する場合、組成物に対し約0.001重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0139】
食品又は動物飼料は、少なくとも1種のサプリメント又はトリートメント(例えば、ウシ成長ホルモンや抗生物質、栄養サプリメント)を更に含むことができる。導入遺伝子は必要に応じてこれらのサプリメントの一以上を含んでもよく、これらを他の手段によって投与してもよい。
【0140】
研究用途
本組換え微生物は、種々の組織におけるアンギオゲニンやその提示モジュレーターの作用を解析する研究に使用される。本組換え微生物は筋合成の調節を研究するのに有用である。特に、本組換え微生物は、アンギオゲニンの転写及び翻訳の調節を研究するのに有用である。
【実施例】
【0141】
以下の実施例は、本発明の実施及び使用の仕方を当業者に完全に開示及び説明するためのものであり、本発明者らが自らの発明と見なしたものの範囲を限定することを意図してはおらず、また、後述の実験が実施された全ての又は唯一の実験であることを示すことも意図していない。用いられる数字(例えば、量や温度等)に対する精度を確保するための努力がなされたが、実験誤差や偏差があることも説明する必要がある。特に明記しない限り、「部」は重量部であり、「分子量」は重量平均分子量であり、温度は「℃」で表され、圧力は大気圧又はその近傍である。
【0142】
本発明を酵母に関して具体的に説明するが、本発明の方法が種々の微生物、例えば、チーズやバターミルク、ヨーグルトスターター培養に用いる生物や、マロラクチック発酵に用いる生物、醤油やキムチ、ザワークラウト等の発酵食品の製造に用いる生物に適用可能であることは、はっきりと理解されよう。
【実施例1】
【0143】
組換え酵母の作出及び特徴付け
材料及び方法
トランスジェニック酵母でアンギオゲニンを発現させることが可能な発現カセットを、酵母プロモーター、アンギオゲニンコード配列、及び必要に応じてMFα1プレプロ配列の一部を用いて作出した。
【0144】
例えば、酵母ADHIIプロモーターは、約1530bpのSphI断片としてpADR2から得る(バイヤー(Beier)及びヤング(Young)、ネイチャー300:724〜728、1982)。この断片をM13ファージベクターにサブクローンし、次の配列GTA ATA CAC AGA ATT CAT TCC AGA AAを有する変異原性プライマーを用い、基本的にはゾラー(Zoller)ら(マニュアル・フォー・アドバンスト・テクニクス・イン・モレキュラー・クローニング・コース、コールドスプリングハーバーラボラトリー、1983)に記載のようにして突然変異させる。突然変異ファージの複製型をSphI及びEcoRIで消化し、約176bpの部分ADHIIプロモーター断片を単離する。次に、該プロモーターの上流部分を、約176bpの単離断片、ADHII(pADR2由来)の約1kbのBamHI−SphI断片、及びBamHI−SphI消化ファージミドベクターpUC13と連結させて回復させる。得られたベクターをpUCADH2と命名する。
【0145】
酵母発現ベクターYep13のBamHI部位にクローン化した部分Sau3A断片の酵母ゲノムライブラリーからMFα1プレプロ配列を得る(ナスミス(Nasmyth)及びタッチェル(Tatchell)、セル19:753〜764、1980)。これは、matα2変異の相補性によって同定する。MFα1配列を位置−71においてHinfIで切断し、DNAポリメラーゼI(クレノウ断片)を用いて末端を充填し、断片の末端にEcoRIリンカーを付加する。次に、MFα1プレプロシグナル配列をEcoRI−HindIII断片として単離し、ファージミドベクターpUC12にサブクローンする。得られたベクターをpUCMFα1と命名する。
【0146】
配列番号1〜7から成る群から選択される単離アンギオゲニンコード配列にHindIIIリンカーを付加した後、得られた断片をHindIII及びEcoRVで消化する。次に、消化断片を精製し、SalIリンカーをEcoRV末端に連結させる。次に、得られた断片をSalIで消化し、精製する。
【0147】
次に、pUCMFα1ベクターをPstI及びHindIIIで消化し、約237bpのMFα1プレプロ配列断片を単離する。次に、この断片を精製アンギオゲニン断片に連結させた後、両方をPstI−SalI消化ファージミドベクターpUC13内に連結させる。次に、PstI及びSalIを用いた消化によってMFα1−アンギオゲニン断片全体を単離し、PstI−SalI消化M13mp10(複製型)に挿入する。変異原性プライマーTGG ATA AAA GAC AGG ATA ACT Cを用い、得られた組換えファージのインビトロ突然変異誘発によって、MFα1のLys−Argプロセシング部位とアンギオゲニンの第1アミノ酸との正確な結合を行う。突然変異ファージの複製型をPstI及びSalIで消化し、MFα1−アンギオゲニン断片を遊離させる。次に、この断片を精製し、発現カセット構築の準備を行う。
【0148】
最終発現カセットを構築するため、pUCADH2をBamHI及びEcoRIで消化し、得られたADHII断片を精製する。次に、ベクターpUCMFα1をEcoRI及びHindIIIで消化し、得られたMFα1断片を精製する。次に、これらの2種の断片をBamHI−HindIII消化pUC12内に連結させる。次に、得られたベクターをBamHI及びPstIで消化し、ADHII−MFα1断片を遊離させる。次に、精製ADHII−MFα1断片をMFα1−アンギオゲニン断片及びBamHI−SalI消化pUC12に連結させて三重連結とする。得られたベクターは、pUC12骨格内にアンギオゲニン発現カセットを含む。
【0149】
次に、pUC12骨格内のアンギオゲニン発現カセットと酵母発現ベクターYEp13の両方をBamHI−HindIIIで消化して、アンギオゲニン発現カセットをYEp13発現ベクターに導入した後、断片の連結を行い、所望のインサートを含むYEp13ベクターを選択する。得られたアンギオゲニン発現カセットを含む酵母発現ベクターをYE13−ADHII−MFα1−アンギオゲニンと命名する。
【0150】
次に、YE13−ADHII−MFα1−アンギオゲニン発現ベクターを用いてサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)酵母細胞を形質転換し、これを従来法で培養してアンギオゲニン導入遺伝子を発現させる。このような培養方法としては、36ATP/グルコースを用いた好気発酵や2ATP/グルコースを用いた嫌気発酵が挙げられる。
【0151】
上述の実施例ではサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を用いたが、他の酵母(例えば、ピキア(Pichia)菌種)や乳酸菌(例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)菌種)もアンギオゲニンの発現に用いるのに適していることが意図されている。多くの酵母発現ベクターが市販されているが、用いる酵母や乳酸菌に適したベクターの選択は当業者によって行うことができる。
【0152】
更に、発現ベクターに用いるプロモーターは恒常的でも誘導性でもよいことが意図されている。誘導性プロモーターを用いた場合、発現の誘導に用いる剤は、トランスジェニック酵母を用いて製造する食品、飼料又は食品添加物に組み込まれる可能性があるため、ヒト及び/又は動物の摂取に適したものでなければならない。適切な誘導剤の一例はガラクトースである。
【0153】
トランスジェニック酵母によって発現されるアンギオゲニンは培地内に分泌されてもよく、酵母細胞内に含まれていてもよいことが意図されている。
【0154】
アッセイを行って、トランスジェニック酵母細胞によって作出されるアンギオゲニンの量を確認することができる。このようなアッセイでは、酵母培地及び酵母細胞抽出物のタンパク質ゲル電気泳動、ウェスタンブロッティング、ELISA及び/又はHPLC解析を用いる。アンギオゲニンのELISAアッセイに用いるビオチン化抗ヒトアンギオゲニン抗体はR&Dシステムズ(カタログ#BAF265)から入手可能である。
【0155】
トランスジェニック酵母によって作出されるアンギオゲニンは、ヒト及び動物の両方に対する食品、飼料又は食品添加物として用いることができる。更に、トランスジェニック酵母自体をヒトや動物用の食品や飼料の製造に用いることができ、これによって、トランスジェニック酵母を用いて製造した食品をヒトや動物が摂取した場合には、アンギオゲニンを摂取することになる。例えば、アンギオゲニン発現トランスジェニック酵母をヨーグルトやチーズ、サラミ等の発酵食品、プロバイオティック食品、パン、ワイン、ビール、シードル、水産養殖用動物飼料、及び他の動物飼料の製造に用いることができる。
【0156】
また、アンギオゲニンをトランスジェニック酵母から精製することもできる。トランスジェニック酵母によって作出されたアンギオゲニンを精製するための技法には、PCT/AU2007/001719に記載のカチオン交換による捕獲と、PCT/AU2009/000604に記載のアフィニティークロマトグラフィーによる更なる精製と、その後に行う限外濾過又はサイズ排除クロマトグラフィーを用いた脱塩が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンギオゲニンをコードする導入遺伝子を含む組換え微生物。
【請求項2】
導入遺伝子はフォリスタチンを更にコードする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項3】
フォリスタチンをコードする導入遺伝子を更に含む、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項4】
導入遺伝子は、分泌ポリペプチド又は分泌タンパク質のシグナル配列を更に含み、必要に応じて、該シグナル配列とアンギオゲニンとの間の特定のプロテアーゼ切断部位を含む、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項5】
異種プロモーターと作用可能に連結されたアンギオゲニンのコード配列を含む発現カセット。
【請求項6】
請求項5に記載の発現カセットを用いて形質転換された宿主細胞。
【請求項7】
請求項6に記載の宿主細胞を成長培地で発酵させることを含む、アンギオゲニン導入遺伝子を含む組換え微生物を作出するための方法。
【請求項8】
組換え微生物は成長培地内にアンギオゲニンを分泌する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
微生物は、酵母、カンジダ(Candida)属、デバロマイセス(Debaromyces)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、ピキア(Pichia)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属の酵母、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ビール、ワイン又はパンの製造に適したサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株、乳酸菌、プロバイオティック生物、ホモ乳酸発酵型又はヘテロ乳酸発酵型の乳酸菌、ラクトバチルス(Lactobacillus)種、即ち、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、アミロヴォロス(amylovorus)、ブレヴィス(brevis)、ブルガリクス(bulgaricus)、ブクネリ(buchneri)、カゼイ(casei)、コンフスス(confusus)、クリスパトゥス(crispatus)、ククメリス(cucumeris)、クルヴァティス(curvatis)、デルブリュッキ(delbrueckii)、ファルシミニス(farciminis)、ファーメンタム(fermentum)、フルクティヴォランス(fructivorans)、ガッセリ(gasseri)、ヘルヴェティクス(helveticus)、ヒルガルディ(hilgardii)、ジョンソニイ(johnsonii)、ケフィリ(kefiri)、ラクティス(lactis)、レイクマニイ(leichmanii)、ロトゥス(lotus)、パラカゼイ(paracasei)、パステリアヌス(pasterianus)、ペントスス(pentosus)、プランタルム(plantarum)、ラムノスス(rhamnosus)、レウテリ(reuteri)、ペントアセティクス(pentoaceticus)、プランタルム(plantarum)、サケイ(sakei)、サリヴァルス(salivarus)及びサンフランシセンシス(sanfranciscensis);ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種、即ち、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、アニマリス(animalis)、ビフィドゥム(bifidum)、インファンティス(infantis)、ラクティス(lactis)、ロングム(longum)、シュードロングム(pseudolongum)及びブレヴェ(breve);ロイコノストック(Leuconostoc)種、即ち、ロイコノストック・クレモリス(Leuconostoc cremoris)、ラクティス(lactis)、メセンテロイデス(mesenteroides)、メセンテロイデス変種サケ(mesenteroides var. Sake)及びオネイ(onei);ミクロコッカス(Micrococcus)種;ペディオコッカス(Pediococcus)種、即ち、ペディオコッカス・アシディラティシ(Pediococcus acidilatici)、セレヴィシエ(cerevisiae)、ハロフィルス(halophilus)、ホマリ(homari)、ペントサセウス(pentosaceus)及びソヤエ(soyae);プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種、即ち、プロピオニバクテリウム・アシディプロピオイシ(Propionibacterium acidipropioici)、アラビノスム(arabinosum)、フロイデンレイキイ(freudenreichii)、シェルマニ(shermani)及びトエニイ(thoenii);アセトバクター(Acetobacter)種、即ち、アセトバクター・ランセンス(Acetobacter rancens)及びキシリウム(xylium);バチルス(Bacillus)種、即ち、バチルス・ブラシケファーメンタティ(Bacillus brassicae fermentati)や、シトレウス(citreus)、ラテロスポルス(laterosporus)、コアグランス(coagulans)、リケニフォルミス(licheniformis)、ナットウ(natto)及びプミルス(pumillus);クロストリジウム(Clostridium)種、即ち、クロストリジウム・ビフェルメンタンス(Clostridium bifermentans);コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、即ち、コリネバクテリウム・クサヤ(Corynebacterium kusaya);ハロバクテリウム(Halobacterium)種;ハロコッカス(Halococcus)種;ラクトコッカス(Actococcus)種、即ち、ラクトコッカス・ラクティス(Actococcus lactis)及びクレモリス(cremoris);エンテロコッカス(Enterococcus)種、即ち、エンテロコッカス・デュランス(Enterococcus durans)及びフェシウム(faecium);エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes);スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、即ち、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、カルノスス(carnosus)、エクオルム(equorum)、シウリ(sciuri)、キシロスス(xylosus)及びエピダーミディス(epidermidis);及びストレプロコッカス(Streptococcus)種、即ち、ストレプロコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ラクティス(lactis)、ラクティス変種ジアセチラクティス(lactis var. diacetylactis)、ラクティス変種ホランディクス・フェカリス(lactis var. hollandicus faecalis)及びサーモフィルス(thermophilus)である、請求項1に記載の微生物又は請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の組換え微生物を含む培養物を培養する段階を含む、発酵食品又は飲料を製造する方法。
【請求項11】
食品、飲料、動物飼料の製造、又は水産養殖における請求項1に記載の組換え微生物の使用。
【請求項12】
組換えアンギオゲニン源としての請求項1に記載の組換え微生物の使用。
【請求項13】
請求項1に記載の組換え微生物から製造される又は該組換え微生物を含む食品、飲料又は動物飼料。
【請求項14】
請求項1に記載の組換え微生物に由来するアンギオゲニン及び必要に応じてフォリスタチンの治療有効量、又はアンギオゲニンを含む請求項13に記載の食品、飲料又は動物飼料又はその抽出物の治療有効量をそれを必要とする対象に投与することによる、筋障害、筋消耗障害、筋ジストロフィー、筋萎縮症、サルコペニア、カヘキシーの治療方法、筋力、筋量又は運動耐容能の改善による筋肉型の改善方法、脂肪分の低減方法、筋肉/脂肪比の改善方法、準最適筋肉/脂肪比に起因又は関与しフォリスタチンによって効果が高まる疾患の治療方法、骨粗鬆症等の骨障害の治療方法、骨密度の改善方法、神経系に影響を及ぼす神経障害や神経疾患の治療方法、運動ニューロン疾患、ALS、脊髄性筋萎縮症、炎症性ミオパチー、皮膚筋炎、多発性筋炎、封入体筋炎、神経筋接合部疾患、重症筋無力症(MG)、ランバート・イートン症候群(LES)、先天性筋無力症症候群(CMS)、内分泌異常に起因するミオパチー、甲状腺機能亢進性ミオパチー(HYPTM)、甲状腺機能低下性ミオパチー(HYPOTM)、末梢神経疾患、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、デジェリン・ソッタス病(DS)、フリードライヒ失調症(FA)、他のミオパチー、先天性筋強直症(MC)、先天性パラミオトニー(PC)、中心コア疾患(CCD)、ネマリンミオパチー(NM)、筋細管ミオパチー(MTM又はMM)、周期性四肢麻痺(PP)、筋代謝疾患、ホスホリラーゼ欠損症(MPD又はPYGM)、酸マルターゼ欠損症(AMD)、ホスホフルクトキナーゼ欠損症(PFKM)、脱分枝酵素欠損症(DBD)、ミトコンドリアミオパチー(MITO)、カルニチン欠損症(CD)、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損症(CPT)、ホスホグリセリン酸キナーゼ欠損症(PGK)、ホスホグリセリン酸ムターゼ欠損症(PGAM又はPGAMM)、乳酸デヒドロゲナーゼ欠損症(LDHA)、ミオアデニル酸デアミナーゼ欠損症(MAD)、脂質代謝障害に関する疾患、脂質異常症、関連脂質異常、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、混合脂質異常症、脊椎障害又は脊椎疾患、グルコース恒常性に関する疾患の治療方法、神経保護や神経系の機能的支持をもたらすための方法、代謝疾患及び糖代謝障害及びインスリン作用障害に関する疾患、糖尿病、1型及び2型糖尿病、非自己免疫性インスリン非依存性糖尿病、シンドロームX又はメタボリックシンドロームの管理方法、微生物阻害をもたらし、腸上皮機能を高めるための方法、創傷治癒及び細菌フローラ共生のための方法、腸の健康促進、腸疾患の防止及び免疫増強のための方法、又は動物の健康(腸/免疫機能、筋量及び筋肉/脂肪比を含む)を改善して屠体成分を改善する方法。

【公表番号】特表2013−511261(P2013−511261A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539146(P2012−539146)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001541
【国際公開番号】WO2011/060488
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(509127332)マリー ゴールバーン シーオー−オペレイティブ シーオー.リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】MURRAY GOULBURN CO−OPERATIVE CO.LIMITED
【出願人】(509127343)アグリカルチャー ヴィクトリア サービス ピーティーワイ エルティーディー (6)
【氏名又は名称原語表記】AGRICULTURE VICTORIA SERVICES PTY LTD
【Fターム(参考)】