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組換え抗VLA4抗体分子
説明

組換え抗VLA4抗体分子

【課題】喘息及び炎症性腸疾患を含む特異的及び非特異的炎症の治療において有用な、ならびに炎症の診断及び炎症部位の位置決めにおいて有用なヒト化組換え抗VLA4抗体分子を提供すること。
【解決手段】VLA4に対する特異性及び抗原結合部位を有するヒト化組換え抗体分子であって、可変領域の相補性決定領域(CDR)の少なくとも1つが非ヒト抗VLA4抗体から導かれ且つ該抗体がマウスHP1/2モノクローナル抗体の効力の約20〜100%の効力を有する、上記のヒト化組換え抗体分子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト化組換え抗VLA4抗体分子を含む、組換え抗VLA抗体分子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(A.免疫グロブリン及びモノクローナル抗体)
天然の免疫グロブリンは、種々の断片例えば酵素開裂によって誘導することの出来るFab、(Fab’)及びFc断片を有するものとして長年にわたって公知である。天然の免疫グロブリンは、一般に、各上腕の自由末端側に抗原結合部位を有するY型分子を含む。構造の残り特にYの幹は、免疫グロブリンと関係するエフェクター機能を媒介する。
【0003】
特に、免疫グロブリン分子は、ジスルフィド結合によって結合された2つの重(H)ポリペプチド鎖及び2つの軽(L)ポリペプチド鎖からなる。免疫グロブリン鎖の各鎖は、それぞれ約110アミノ酸である領域又はドメインに分割される。軽鎖は2つのかかるドメインを有するが、他方、重鎖は4つのドメインを有する。各ポリペプチド鎖のアミノ末端ドメインのアミノ酸配列は、高度に可変性であり(V領域)、他方、残りのドメインの配列は保存的若しくは定常的である(C領域)。それ故に、軽鎖は、1つの可変ドメイン(V)と1つの定常ドメイン(C)からなり、他方、重鎖は、1つの可変ドメイン(V)と3つの定常ドメイン(CH、CH及びCH)を含む。Y型分子の1つの腕は、軽鎖(V+C)及び可変ドメイン(V)及び1つの定常ドメイン(CH)からなる。このYの尾部は、残りの重鎖定常ドメイン(CH+CH)からなる。重鎖のC末端は、会合してFc部分を形成する。各可変領域内には、3つの超可変域がある。これらの超可変域は、抗原の結合におけるそれらの重要性の故に相補性決定領域(CDR)としても記載される。可変ドメインの4つの一層保存された領域は、フレームワーク領域(FR)として記載される。免疫グロブリンの各ドメインは、疎水性面が一緒にパックされた、ジスルフィド橋によって結合された2つのベーターシートからなる。個々のベータ鎖は、ループによって一緒に結合されている。全体の外観は、末端にループを有するベータ円筒部として記載することが出来る。CDRは、可変領域のベータ円筒部の一端にループを形成する。
【0004】
天然の免疫グロブリンは、アッセイ、診断に用いられて来ており、又一層限られた程度で治療に用いられて来た。しかしながら、かかる利用は(特に、治療において)、天然の免疫グロブリンのポリクローナル特性によって妨げられてきた。免疫グロブリンの治療剤としての可能性の実現に向けての重要なステップは、限定された特異性のモノクローナル抗体(MAb)の調製のための技術の発見(非特許文献1[1])であった。
しかしながら、殆どのMAbは、ゲッ歯類(即ち、マウス、ラット)の脾臓細胞とゲッ歯類のミエローマ細胞との融合により生成される。従って、それらは、本質的にゲッ歯動物の蛋白質である。
【0005】
1990年までに、100を超えるマウスモノクローナル抗体が、臨床的に試みられた(特に米国で、特に癌の治療への応用のために)。しかしながら、現在までに、HAMA(ヒト抗マウス抗体)応答と呼ばれるヒトにおける望ましくない免疫応答によるマウスモノクローナル抗体の拒絶が特に慢性疾患の治療にとって重大な制限となっているということが認識された。それ故に、ゲッ歯類MAbのヒトにおける治療剤としての利用は、ヒト患者がそのMAbに対する免疫応答を開始して、そのMAbを完全に除去するか又は少なくともその効力を減じるという事実によって本来的に制限されている。実際に、ゲッ歯類起源のMAbは、HAMA応答がじきにMAbを無効にし、並びに、望ましくない反応を起こすので、一人の患者において1回若しくは数回以上は使用することが出来ない。事実、HAMA応答は、大部分の患者において、マウス抗体の一回の注射の後に観察された(非特許文献2[2])。HAMAの問題を解決する方法は、免疫的に適合性のヒトモノクローナル抗体を投与することである。しかしながら、ヒトモノクローナル抗体の開発のための技術は、マウス抗体のそれよりずっと遅れており(非特許文献3[3])、非常に少数のヒト抗体が臨床研究において有用であることが判明しているだけである。
【0006】
それ故に、ヒトにおいて一層抗原性の少ない非ヒトMAbを製造するための提案がなされた。かかる技術は、「ヒト化(humanization)」技術と総称することが出来る。これらの技術は、一般に、抗体分子のポリペプチド鎖をコードするDNA配列を操作するための組換えDNA技術の利用を含む。抗体遺伝子をクローン化するための組換えDNA技術の利用は、別法を提供し、それにより、マウスモノクローナル抗体は、同じ抗原結合特性を有するヒト型に優勢に変換され得る(即ち、ヒト化される)(非特許文献4[4])。一般に、ヒト化技術のゴールは、CDRを除いて、ヒトにおける抗原性を減じ若しくは除去するために、マウス成分が非常に少ないか事実上含まれないヒト化抗体を開発することである(例えば、非特許文献5[5]を参照されたい)。
【0007】
MAbをヒト化する初期の方法は、一つの抗体の完全な可変ドメインを含む抗原結合部位が他の抗体から導かれた定常ドメインに結合したキメラ抗体の産生を含んだ。かかるキメラ化手順を実施する方法は、例えば、特許文献1[6]、特許文献2[7]、及び特許文献3[8]に記載されている。一般に、非ヒトMAb例えばマウスMAbからの可変ドメインとヒト免疫グロブリンからの定常ドメインとを有する抗体分子の製造方法が記載されている。かかるキメラ抗体は、それらが未だかなりの割合の非ヒトアミノ酸配列即ち完全な非ヒト可変ドメインを含みそれ故に特に長期間投与した場合に幾らかのHAMA応答を誘出し得る(非特許文献6[9])ので、本当にヒト化されてはいない。更に、これらの方法は、幾つかの場合(例えば、特許文献1[6];特許文献2[7]及び特許文献4[10])には、Igポリペプチド鎖の如何なる有意の量の発現、若しくはイン・ビトロ可溶化及び鎖再構成を伴わないIg活性の生成にも導かず、或はこれらの鎖の分泌及び所望のキメラ組換え抗体へのアセンブリーへも導かないと考えられる。これらの同じ問題は、初期の非キメラ組換え抗体の産生(例えば、特許文献5[11])についても注意され得る。
【0008】
(B.ヒト化組換え抗体及びCDRグラフト技術)
初期のキメラ抗体製造のための方法に続いて、新たなアプローチが特許文献6[12]に記載され、それにより、抗体は一の種についてのそれらの相補性決定領域(CDR)を他の種からのもので代用することによって変更される。この方法を用いて、例えば、ヒトの重鎖及び軽鎖Igの可変領域ドメインからのCDRを別のマウス可変領域ドメインからのCDRで代用することが出来る。これらの変更されたIg可変領域を、続いて、ヒトIg定常領域と結合して、置換されたマウスCDRを除いて全体的にヒトの組成である抗体を造ることが出来る。かかるマウスCDR置換された抗体は、相当少ないマウス成分しか含まないので、ヒトにおいて、キメラ抗体と比較して、相当に減じた免疫応答を誘出することはありそうにないと予想され得る。
【0009】
CDRグラフトによってモノクローナル抗体をヒト化する方法は、「再成形(reshaping)」と呼ばれる(非特許文献4[4];非特許文献7[13])。典型的には、マウス抗体の相補性決定領域(CDR)を、ヒト抗体の対応する領域に移植する(特異的抗原に結合するマウス抗体の領域はCDR(抗体重鎖中の3つと軽鎖中の3つ)であるので)。CDRの移植は、遺伝子工学により達成される。該遺伝子工学により、CDRDNA配列を、マウス重鎖及び軽鎖可変(V)領域遺伝子セグメントのクローニングによって決定し、次いで、部位特異的突然変異導入法によって対応するヒトV領域にトランスファーする。この方法 の最後の段階で、所望のイソタイプ(通常、Cについてはガンマー1及びCについてはカッパー)のヒト定常領域遺伝子セグメントを加え且つこれらのヒト化重鎖及び軽鎖遺伝子を、哺乳動物細胞内で同時発現させて可溶性のヒト化抗体を生成する。
【0010】
これらのCDRのヒト抗体へのトランスファーは、この抗体に元のマウス抗体の抗原結合特性を与える。これらの6つのマウス抗体中のCDRは、構造的に、V領域「フレームワーク」領域に載せられる。CDRグラフトがうまく行く理由は、マウス及びヒト抗体間でフレームワーク領域が非常に類似した3−D構造及びCDRに対する類似の付着点を有し、CDRが交換可能だからである。それにもかかわらず、フレームワーク領域内のある種のアミノ酸は、CDRと相互作用して抗原結合アフィニティーに全体的に影響を与えると考えられる。ヒトV領域フレームワークの何らの修飾をも伴わない組換えヒト化抗体を生成するためのマウス抗体からのCDRの直接トランスファーは、しばしば、結合アフィニティーの部分的な若しくは完全な喪失を生じる。
【0011】
非特許文献4[4]及び特許文献7[14]において、CDR領域のトランスファーは、単独では(非特許文献8[15]及び非特許文献9[16]により規定されたように)CDRグラフト生成物における満足すべき抗原結合活性を供給するのに十分でないことが見出された。非特許文献4[4]は、満足すべき抗原結合活性を有するCDRグラフト生成物を得るためにはヒト配列の27位のセリン残基を対応するラットのフェニルアラニン残基に変換することが必要であることを見出した。重鎖の27位のこの残基は、CDR1に隣接する構造ループ内にある。重鎖の30位にヒトセリンのマウスチロシンへの変化を付加的に含む更なる構造は、27位に単独のセリンからフェニルアラニンへの変化を有するヒト化抗体上に有意の変化した結合活性を有しなかった。これらの結果は、CDR領域の外側例えばCDR1に隣接するループ内のヒト配列の残基への変化が、一層複雑な抗原を認識するCDRグラフト抗体に対する有効な抗原結合活性を得るために必要であり 得ることを示している。たとえそうであっても、得られた最良CDRグラフト抗体の結合アフィニティーはやはり元のMAbより有意に低かった。
【0012】
もっと最近、非特許文献10[17]及び特許文献8[18]は、マウスMAbのCDR(抗Tac)をヒト免疫グロブリンフレームワーク及び定常領域に結合することによってインターロイキン2レセプターに結合するヒト化抗体の調製物を記載している。彼らは、しばしば(ヒトV領域フレームワーク残基の何らの修飾をも伴わない)直接CDRトランスファーから生じる結合アフィニティーの喪失の問題に対する一つの解決を示した。彼らの解決は、2つの鍵となるステップを含んでいる。第1に、ヒトVフレームワーク領域を、元のマウス抗体(この場合には、抗TacMAb)のV領域フレームワークに対する最適の蛋白質配列相同性についてコンピューター分析により選択する。第2ステップにおいて、マウスCDRと相互作用しそうなフレームワークアミノ酸残基を可視化するためにマウスV領域の三次構造をコンピューターによって模擬し、次いで、これらのマウスアミノ酸残基を相同なヒトフレームワーク上にスーパーインポーズする。相同なヒトフレームワークを推定のマウス接触残基と共に用いる彼らのアプローチは、インターロイキン2レセプターに特異的な(非特許文献10[17])及び単純ヘルペスウイルス(HSV)にも特異的な抗体(非特許文献11[19])に関して元のマウス抗体に対する類似の結合アフィニティーを有するヒト化抗体を生じた。しかしながら、マウス残基のヒトフレームワークへの再導入(抗インターロイキン2レセプター抗体については少なくとも9、2つの抗HSV抗体の各々については少なくとも9及び7)は、ヒト化抗体におけるフレームワーク領域へのHAMA応答の可能性を増大させ得る。非特許文献12[20]は、ヒトV領域フレームワークがマウスにおいて外来性として認識され、それ故に逆に、マウスの修飾ヒトフレームワークがヒトにおける免疫反応を起こすということを示した。
【0013】
上記の特許文献8[18]の2ステップのアプローチによって、Queen等は、ヒト化免疫グロブリンをデザインするための4つの基準を概説した。第1の基準は、ヒトアクセプターとして、通常ヒト化すべき非ヒトドナー免疫グロブリンに相同である特定のヒト免疫グロブリンからのフレームワークを使用するか、又は多くのヒト抗体に由来するコンセンサスフレームワークを用いることである。第2の基準は、もしヒトアクセプター残基が普通でなく且つドナー残基がフレームワークの特異的残基においてヒト配列について典型的であるならば、アクセプターではなくてドナーアミノ酸を用いることである。第3の基準は、CDRに直接隣接する位置にはアクセプターではなくてドナーフレームワークアミノ酸残基を用いることである。第4の基準は、アミノ酸が三次元免疫グロブリンモデルにおいてCDRの約3Å以内の側鎖原子を有することが予想され且つ、抗原若しくはヒト化免疫グロブリンのCDRと相互作用し得ることが予想されるフレームワーク位置にはドナーアミノ酸残基を使用することである。基準2、3若しくは4を、基準1に加えて若しくは別に適用するか、又は各基準を単独で若しくは任意の組合せで適用することが勧められる。
【0014】
更に、特許文献8[18]は、単一のCDRグラフトヒト化抗体の調製物、IL−2レセプターのp55Tac蛋白質に特異的なヒト化抗体を、このヒト化抗体をデザインする際に上記の4つのすべての条件の組合せを用いることにより詳述している。ヒト抗体EU(非特許文献8[15]を参照)の可変領域フレームワークがアクセプターとして用いられた。その結果生成したヒト化抗体において、ドナーCDRは非特許文献8[15]及び非特許文献9[16]により規定されたとおりであり、更に、マウスドナー残基がヒトアクセプター残基の代りに用いられた(可変領域フレームワークの重鎖の27、30、48、66、67、89、91、94、103、104、105及び107位及び軽鎖の48、60及び63位にて)。得られたヒト化抗Tac抗体は、3×10−1のp55に対するアフィニティー(マウスMAbのアフィニティーの約1/3)を有することが報告された。
【0015】
幾つかの他のグループは、先ず相同なフレームワークを選択してからマウス残基を再導入するQueen等のアプローチは、元のマウス抗体に類似の結合アフィニティーを有するヒト化抗体を達成するためには必要でないらしいということを示した(非特許文献4[4];非特許文献5[5];非特許文献13[21])。更に、これらのグループは、異なるアプローチを用いて、マウス残基のラジカル導入なしでCDRグラフトのためにそれぞれNEWM及びREI重鎖及び軽鎖から導かれたV領域フレームワークを標準として利用することが可能であることを示した。しかしながら、元のマウスMAbに類似の結合効率を有する抗体を生成するためにはどのマウス残基を導入すべきかを決定することは、大いに経験的であり且つ利用可能な従来技術によって教示されていないので、予想することは困難であり得る。ヒト化CAMPATH−IH抗体の場合には、27位のセリン残基のフェニルアラニンでの置換は、単に、元のマウス抗体の結合効率に類似の結合効率を達成するために必要とされる置換であった(非特許文献4[4];特許文献9[22])。イン・ビボでのレスピラトリーシンシチアルウイルス(RSV)感染の阻止に対するRSVに特異的なヒト化(再成形)抗体の場合に、CDRグラフトNEWM重鎖中のCDR3に隣接する3残基のブロックの置換は、元のマウス抗体と等しい生物学的活性を生成するために必要であった(非特許文献5[5];特許文献9[22])。このマウスCDRのみがヒトフレームワークにトランスファーされた再成形抗体は、RSVに対する弱い結合を示した。ヒト化抗体に基づくNEWM及びREIを構築するために非特許文献5[5]のアプローチを用いることの有利さは、NEWM及びREI可変領域の3次元構造がX線結晶学から公知であり、従って、CDRとV領域フレームワーク残基との間の特異的相互作用を模擬することが出来ることである。
【0016】
この採用したアプローチにかかわらず、現在までに調製された初期ヒト化抗体の例は、それが、ヒト化抗体が導かれた元のマウスMAbの特性、特に結合アフィニティー並びに他の望ましい特性を有するヒト化抗体を得るための直接的方法ではないことを示した。採用したCDRグラフトへのアプローチにかかわらず、それは、しばしば、単にドナーIgからのCDRをアクセプターのIgのフレームワーク領域にグラフトするためにも十分でない(例えば、非特許文献5[5]、非特許文献4[4]等(本明細書にて引用)を参照)。多くの場合に、それは、結合活性を得るためにアクセプター抗体のフレームワーク領域内の残基を変えるために臨界的であるらしい。しかしながら、かかるフレームワーク変化が必要であると認めたとしても、利用可能な従来技術に基づいて、所望の特異性の機能性のヒト化組換え抗体を得るためにはどのフレームワーク残基を変える必要があるか(変える必要がある場合)を予想することは不可能である。これまでの結果は、特異性及び/又はアフィニティーを保存するのに必要な変化が所定の抗体に対して殆どの部分についてユニークであり、異なる抗体のヒト化に基づいて予想することは出来ないことを示した。
【0017】
特に、本発明の教示に従って構築した組換えヒト化抗VLA4抗体の活性に臨界的に重要なものとしてここに開示するフレームワーク中の残基のセットは、一般に、以前に他のヒト化抗体の活性に臨界的であるとして同定された残基と一致せず、従来技術に基づいて発見されなかった。
【0018】
(C.ヒト化抗体の治療適用)
現在まで、ヒト化組換え抗体は、主として急性疾患状態の治療適用(非特許文献5[5])又は診断用イメージング(非特許文献13[21])のために開発されてきた。最近、臨床研究が、NEWM及びREIV領域フレームワークを有する少なくとも2つのヒト化抗体、CAMPATH−IH(非特許文献4[4])及びヒト化抗胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)(非特許文献13[21])を用いて開始され、これらの研究は、初期に、これらの抗体に対する如何なる顕著な免疫反応も存在しないことを示した。CAMPATH−IHを用いる治療コースは、非ホジキンリンパ腫を有する2人の患者に対して緩解を与え、それ故、慢性疾患状態における効力を示した(非特許文献14[23])。更に、CAMPATH−IHの免疫原性の欠如が、これらの2人の患者の30日及び43日の日々の治療の後に示された。ヒト化抗体に対する十分な寛容がCAMPATH−IHを用いて認められたので、ヒト化抗体を用いる治療は、急性疾患の予防及び低死亡率の病気の治療に有望である。
【0019】
(D.VCAM−VLA4接着経路及びVLA4に対する抗体)
血管内皮細胞は、血管の裏打ちを構成し、通常、循環白血球には低いアフィニティーしか示さない(非特許文献15[24])。炎症部位におけるサイトカインの放出は(及び免疫反応に応答して)、それらの活性化を引き起こして、表面抗原の宿主の増大した発現を生じる(非特許文献16[25];非特許文献17[26];非特許文献18[27];非特許文献19[28])。これらは、接着蛋白質ELAM−1(好中球に結合する)(非特許文献20[29])、ICAM−1(すべての白血球と相互作用する)(非特許文献21[30];非特許文献17[26];非特許文献22[31];非特許文献23[32])及びVCAM−1(リンパ球に結合する)(非特許文献24[33])を含む。これらのサイトカイン誘導された接着分子は、血管外組織への白血球補充において重要な役割を演じるらしい。
【0020】
インテグリンは、広い細胞分布を有し且つ進化を通じて高度に保存されたアルファ−ベータヘテロ2量体構造を示す細胞−細胞外マトリックス及び細胞−細胞接着レセプターの群である(非特許文献25[34];非特許文献26[35])。インテグリンは、3つの主要なサブグループに細分類されている;インテグリンのβサブファミリー(LFA−1、Mac−1及びp150,95)は、殆どの免疫系内の細胞−細胞相互作用に関与する(非特許文献27[36])が、他方、β及びβインテグリンサブファミリーのメンバーは、優勢に、細胞の細胞外マトリックスへの付着を媒介する(非特許文献25[34];非特許文献28[37])。特に、βインテグリンファミリーは、VLA蛋白質とも呼ばれるが、フィブロネクチン、コラーゲン及び/又はラミニンと特異的に相互作用する少なくとも6つのレセプターを含む(非特許文献29[38])。VLAファミリー内で、VLA4は、殆どリンパ様細胞及び骨髄細胞に限られているので典型的ではなく(非特許文献30[39])間接的証拠はそれが種々の細胞−細胞相互作用に関与し得ることを示唆した(非特許文献31[40];非特許文献32[41];非特許文献33[42];非特許文献34[43])。更に、VLA4は、ヒトプラズマフィブロネクチン(FN)のヘパリンII結合断片へのT及びBリンパ球付着を媒介することが示された(非特許文献35[44])。
【0021】
VCAM−1は、ICAM−1と同様に、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーのメンバーである(非特許文献24[33])。VCAM−1及びVLA4は、活性化内皮へのリンパ球の付着を与えるリガンドレセプター対であることが非特許文献36[45]により示された。従って、VLA4は、限定されたリガンドVCAM−1及びFNによる細胞−細胞接着及び細胞−細胞外マトリックス接着機能の両方に関与するβインテグリンレセプターの珍しい例に相当する。
【0022】
VCAM1(INCAM−110としても知られる)は、最初、炎症性サイトカイン(TNF及びIL−1)及びLPS(非特許文献37[46];非特許文献24[33])により内皮細胞上に誘導される接着分子として同定された。VCAM1は、インテグリンVLA4(αβ)を示す細胞(T及びBリンパ球、単核細胞及び好酸球を含むが、好中球は含まない)に結合するので、それは、これらの細胞の血流から感染及び炎症領域への補充に関与するものと考えられている(非特許文献36[45];非特許文献24[33])。VCAM/VLA4接着経路は、多くの生理学的及び病原性プロセスを関連してきた。VLA4は、通常、造血細胞系統に限れられているが、それはミエローマ細胞系統上で見出され、それ故、VCAM1はかかる腫瘍の転移に関与し得ることが示唆されている(非特許文献37[46])。
【0023】
イン・ビボにおいて、VCAM1は、ウサギモデル系において、初期アテローム性動脈硬化プラークを表している動脈内皮の領域に見出される(非特許文献38[47])。VCAMは又、ヒトリンパ節の濾胞性樹状細胞においても見出される(非特許文献39[48])。それは又、マウスの骨髄間質細胞上にも見出され(非特許文献40[49])、従って、VCAM1は、B細胞発生において役割を果たしているらしい。
【0024】
イン・ビボでの内皮細胞上のVCAM1の主要な形態は、VCAM−7Dとして言及されており、7つのIg相同性ユニット若しくはドメインを有する;ドメイン4、5及び6は、アミノ酸配列において、それぞれ、ドメイン1、2及び3に類似し、遺伝子の進化の歴史における遺伝子間重複事象を示唆している(非特許文献24[33];非特許文献41[50];非特許文献42[51];Osborn及びBenjamin,米国出願番号第07/821,712号(1991年9月30日出願)[52])。6ドメイン型(ここでは、VCAM−6Dとして言及する)は、4つのドメインが欠失する別のスプライシングによって生成される(非特許文献24[33];非特許文献42[51];非特許文献38[47];Osborn及びBenjamin,米国出願番号第07/821,712号(1991年9月30日出願)[52])。VCAM−6Dは、これらの別型の内で最初に配列決定されたが、後のイン・ビボでの研究は、VCAM−7D型がイン・ビボで優勢であることを示した。この別のスプライシングの生物学的意義は、未知であるが、Osborn及びBenjamin,米国出願番号第07/821,712号(1991年9月30日出願)[52]により示されたように、VCAM−6Dは、VLA4発現細胞に結合し、従って、明らかにイン・ビボで潜在的機能を有している。
【0025】
感染、炎症及び恐らくアテローム性動脈硬化におけるVCAM1/VLA4接着経路の見かけの関与は、分子レベルでの細胞−細胞接着の機構を理解するための徹底的研究の継続へと導き、且つ、研究者に、この接着経路における介入を病気特に炎症に対する治療として提案させた(非特許文献24[33])。この経路における介入の1つの方法は、抗VLA4抗体の利用を含み得る。
【0026】
VCAM1がVLA4に結合するのを阻止するモノクローナル抗体は公知である。例えば、抗VLA4MAbHP2/1及びHP1/3は、VLA4発現Ramos細胞のヒト臍静脈細胞及びVCAM1トランスフェクトしたCOS細胞への付着をブロックすることが示された(非特許文献36[45])。又、抗VCAM1抗体例えばモノクローナル抗体4B9(非特許文献43[53])は、Ramos(B細胞様)、Jurkat(T細胞様)及びHL60(顆粒細胞様)細胞のCOS細胞(VCAM−6D及びVCAM−7Dを発現するようにトランスフェクトしたもの)への接着を阻止することが示された(非特許文献42[51])。
【0027】
現在までに記載されたVLA4に対するモノクローナル抗体は、エピトープマッピング研究に基づいて幾つかのカテゴリーに入る(非特許文献44[54])。
重要なことには、エピトープ「B」に対する抗体の1つの特定のグループは、すべてのVLA4依存性接着機能の有効なブロッカーである(非特許文献44[54])。かかるVLA4のエピトープBに対するモノクローナル抗体(例えば、HP1/2MAbを含む)の調製は、非特許文献45[55]により記載されている。HP1/2の結合アフィニティーに匹敵するVLA4に対する類似の特異性及び高い結合アフィニティーを有する抗体は、アッセイ試薬、診断薬及び治療剤としてに有用なヒト化組換え抗VLA4抗体の調製物に特に有望な候補であり得る。
【0028】
上記のように、炎症性白血球は、内皮細胞表面で発現される細胞接着分子によって炎症部位に補充される(該分子は白血球表面蛋白質若しくは蛋白質複合体に対するレセプターとして働く)。特に、好酸球は、最近、3つの別々の血管内皮への細胞接着経路に関与して、細胞間接着分子1(ICAM−1)、内皮細胞接着分子1(ELAM−1)及び血管細胞接着分子1(VCAM−1)を発現する細胞に結合することが見出された(非特許文献46[56];非特許文献47[57];非特許文献48[58];及び非特許文献49[59])。好酸球がVLA4を発現することは、それらを他の炎症細胞例えば好中球等から区別する(それらは、ELAM−1及びICAM−1に結合するが、VCAM−1には結合しない)。
【0029】
VLA4媒介の接着経路は、炎症を起こした肺組織への白血球の補充におけるVLA4の可能な役割を調べるために喘息モデルにおいて研究されてきた(Lobb,米国出願番号第07/821,768号(1992年1月13日出願)[60])。抗VLA4抗体の投与は、アレルギー性ヒツジにおいて、後期応答及び気道応答過剰の両者を阻止した。驚くべきことに、抗VLA4の投与は、好中球及び好酸球が共にそれらを肺組織へ補充することの出来る別の接着経路を有するにもかかわらず、アレルゲンチャレンジの後4時間で肺の好中球及び好酸球の両者の数の減少へと導いた。やはり驚くべきことには、治療されたヒツジにおける応答過剰の阻止は、白血球(好中球及び好酸球を含む)の浸潤が有意に減少しなかったにもかかわらず、1週間継続して観察された。
【0030】
VLA4媒介の接着モデルは又、炎症性腸疾患(IBD)の霊長類モデルにおいても研究されている(Lobb,米国出願番号第07/835,139号(1992年2月12日出願)[61])。抗VLA4抗体の投与は、そのモデル(ヒトの潰瘍性大腸炎に匹敵)において、驚くベき程有意に急性炎症を低減させた。
更に最近、抗VLA4抗体は、Papyannopoulou,米国特許第07/835,139号(1992年2月12日出願)[62]に記載されたように、造血幹細胞を含むCD34細胞の末梢化方法において利用された。
こうして、ある種のエピトープ特異性及びある種の結合アフィニティーを有する抗VLA4抗体は、喘息及びIBDを含む種々の炎症状態において治療上有用であり得る。特に、かかる抗VLA4抗体のヒト化組換えバージョンは、もしそれらを構築することが出来れば、ヒトに投与するために特に有用であり得る。かかるヒト化抗体は、所望の効能及び特異性を有し、同時に、抗体を無効にし及び/又は望ましくない副作用を起こす免疫応答を回避若しくは最小にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】欧州特許第120694号明細書
【特許文献2】欧州特許第125023
【特許文献3】国際公開第86/01533号パンフレット
【特許文献4】米国特許第4816567号明細書
【特許文献5】米国特許第4816397号明細書
【特許文献6】欧州特許第0239400号明細書
【特許文献7】国際公開第89/07454号パンフレット
【特許文献8】国際公開第90/07861号パンフレット
【特許文献9】国際公開第92/04881号パンフレット
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Kohler,G.およびMilstein,「Continuous Cultures of Fused Cells Secreting Antibody of Predefined specificity」、C.Nature、1975年、265、p.295−497
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【非特許文献48】Bochnerら、「Adhesion of Human Basophils,Eosinophils,and Neutrophils to Basophils,Eosinophils,and Neutrophils to Interleukin 1−activated Human Vascular Interleukin 1− activated Human Vascular Endothelial Cells: Contributions of Endothelial Cells: Contributions of Endothelial Cell Adhesion Molecules」、J.Exp.Med.、1991年、173、p.1553−1556
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【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0033】
(発明の要約)
本発明は、組換え抗VLA4抗体分子を構築する方法を提供する。特に、本発明による組換え抗体は、抗VLA抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域から導いた抗原結合領域を含む。
【0034】
本発明は、第1ステップとしてCDRグラフト若しくは「再成形」技術を用いるヒト化組換え抗体分子の構築のための方法を提供する。特に、本発明によるヒト化抗体は、VLA4に対する特異性及び抗原結合部位を有する。ここに、この可変ドメインの相補性決定領域(CDR)の少なくとも1つ以上はドナーの非ヒト抗VLA4抗体から導かれ、ドナー抗体の結合特異性を維持するためにアクセプター抗体重鎖及び/又は軽鎖可変フレームワーク領域の最小の変化を有するか又は有し得ない。好ましくは、これらのCDRグラフト重鎖可変ドメインの抗原結合領域は、31〜35位(CDR1)、50〜65位(CDR2)及び95〜102位(CDR3)に対応するCDRを含む。好ましくは、これらのCDRグラフト軽鎖可変ドメインの抗原結合領域は、24〜34位(CDR1)、50〜56位(CDR2)及び89〜97位(CDR3)に対応するCDRを含む。これらの残基の指示は、Kabatの番号付け(Kabat等、1991[15])に従って番号を付けた。従って、残基/位置指示は、配列表に示したアミノ酸残基の直線的番号付けと常に直接対応はしない。ここに開示するヒト化V配列の場合には、Kabatの番号付けは、実際に、配列表に示したアミノ酸残基の直線的番号付けに対応する。対照的に、ここに開示するヒト化V配列の場合には、Kabatの番号付けは、配列表に示したアミノ酸残基の直線的番号付けと対応しない(例えば、配列表に開示したヒト化V領域について、CDR2=50〜66、CDR3=99〜110)。
【0035】
この発明は、更に、検出可能に標識された組換えのヒト化抗VLA4抗体を提供する。
【0036】
この発明は、更に、本発明の組換えのヒト化抗VLA4抗体を発現し得る組換えDNA分子を提供する。
【0037】
この発明は、更に、本発明の組換えのヒト化抗VLA4抗体を産生し得る宿主細胞を提供する。
【0038】
この発明は、更に、本発明の組換えのヒト化抗VLA4抗体に係る診断及び治療用途に関係する。
【0039】
この発明は、更に、ヒトを含む哺乳動物患者における特異的防御系の応答から生じた炎症を治療する方法であって、かかる治療を必要とする患者に炎症を抑えるのに十分な量の抗炎症剤を与えることを含み、該抗炎症剤が本発明の組換えのヒト化抗VLA4抗体である、上記の方法を提供する。
【0040】
この発明は、更に、ヒトを含む哺乳動物患者における非特異的炎症を、組換えのヒト化抗VLA4抗体を用いて治療するための方法を提供する。
【0041】
この発明は、更に、本発明の組換えのヒト化抗VLA4抗体をマウスモノクローナル抗体HP1/2から導く上記の方法の具体例に関係する。
【0042】
さらに、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
抗VLA4抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域に由来する抗原結合領域を含む、組換え抗体分子。
(項目2)
VLA4に対する特異性を有し、かつ抗原結合部位を有するヒト化組換え抗体分子であって、ここで、可変領域の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)は、非ヒト抗VLA4抗体に由来する、ヒト化組換え抗体分子。
(項目3)
31〜35位(CDR1)、50〜65位(CDR2)および95〜102位(CDR3)(Kabatの番号付け)に非ヒトCDRを含む、項目2に記載のヒト化組換え重鎖。
(項目4)フレームワークの27〜30位(Kabatの番号付け)に非ヒト残基を含む、項目3に記載のヒト化組換え重鎖。
(項目5)
フレームワークの75位(Kabatの番号付け)に更なる非ヒト残基を含む、項目4に記載のヒト化組換え重鎖。
(項目6)
フレームワークの77〜79位または66〜67位および69〜71位または84〜5位または38位および40位または24位に更なる非ヒト残基を含む、項目5に記載のヒト組換え重鎖。
(項目7)
24〜34位(CDR1)、50〜56位(CDR2)および89〜97位(CDR3)に非ヒトCDRを含む、項目2に記載のヒト化組換え軽鎖。
(項目8)
フレームワークの60位および67位に非ヒト残基を含む、項目7に記載のヒト化組換え軽鎖。
(項目9)
項目3に記載の少なくとも1つの抗体重鎖および項目7に記載の少なくとも1つの抗体軽鎖を含む、ヒト化組換え抗体分子。
(項目10)
前記非ヒトCDRが、HP1/2マウスモノクローナル抗体に由来する、項目7に記載のヒト化組換え抗体分子。
(項目11)
項目3に記載の抗体重鎖をコードするDNA。
(項目12)
項目7に記載の抗体軽鎖をコードするDNA。
(項目13)
項目10に記載の抗体分子をコードするDNA。
(項目14)
項目11に記載のDNAを含むベクター。
(項目15)
項目12に記載のDNAを含むベクター。
(項目16)
項目13に記載のDNAを含むベクター。
(項目17)
項目3に記載の抗体重鎖をコードするDNAを、項目7に記載の抗体軽鎖をコードするDNAと作動的に組み合わせて含む、発現ベクター。
(項目18)
項目10に記載の抗体分子をコードするDNAを含む、発現ベクター。
(項目19)
項目14に記載のベクターおよび項目15に記載のベクターを用いてトランスフォームした、宿主細胞。
(項目20)
項目16に記載のベクターを用いてトランスフォームした、宿主細胞。
(項目21)
ヒト化組換え抗VLA4抗体の製造方法であって、以下:
(a)抗体重鎖または軽鎖をコードするDNA配列を有するオペロンを含む発現ベクターを製造する工程であって、ここで、可変ドメインの少なくとも1つのCDRは、非ヒト抗VLA4抗体に由来し、抗体鎖の残りの免疫グロブリン由来部分は、ヒト免疫グロブリンに由来する、工程;
(b)相補的抗体軽鎖または重鎖をコードするDNA配列を有するオペロンを含む発現ベクターを製造する工程であって、ここで、可変ドメインの少なくとも1つのCDRは、非ヒト抗VLA4抗体に由来し、抗体鎖の残りの免疫グロブリン由来部分は、ヒト免疫グロブリンに由来する、工程;
(c)各々のベクターを用いて宿主細胞をトランスフェクトする工程;および
(d)該トランスフェクトした細胞を培養して、該ヒト化組換え抗VLA4抗体分子を製造する工程
を包含する、方法。
(項目22)
前記重鎖および軽鎖をコードするDNA配列が、同一のベクターを含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
項目1に記載の抗体分子またはその断片を、製薬上許容しうる希釈剤、賦形剤またはキャリアーと共に含む、治療用組成物。
(項目24)
項目1に記載の抗体分子またはその断片を検出可能に標識された形態で含む、診断用組成物。
(項目25)
項目1に記載の抗体の治療有効量をヒト被験体または動物被験体に投与する工程を包含する、治療方法。
(項目26)
哺乳動物被験体における特定の防御系の応答から生じる炎症を治療する方法であって、該方法は、そのような治療を必要とする被験体に、該炎症を抑制するのに十分な量の抗炎症剤を提供する工程を包含し、ここで、該抗炎症剤は、項目1に記載の抗体である、方法。
(項目27)VH−STAW(SEQ ID NO:39)、VH−KAITAS(SEQ ID NO:43)、VHSSE(SEQ ID NO:47)、VH−KRS(SEQ ID NO:51)およびVH−AS(SEQ ID NO:55)からなる群より選択される重鎖可変領域を含むヒト化重鎖を、VK−DQL(SEQ ID NO:31)、VK2−SVMDY(SEQ ID NO:63)およびVK3−DQMDY(SEQ ID NO:67)からなる群より選択される軽鎖可変領域を含むヒト化軽鎖と共に含む抗体の特徴を有する、ヒト化組換え抗VLA4抗体分子
(項目28)
項目27に記載のヒト化重鎖およびヒト化軽鎖をコードするDNA。
(項目29)
項目28に記載のDNAを含む、ベクター。
(項目30)
項目27に記載の抗体分子をコードするDNAを含む発現ベクター。
(項目31)
項目29に記載のベクターを用いてトランスフォームした宿主細胞。
(項目32)
項目30に記載のベクターを用いてトランスフォームした宿主細胞。
(項目33)
ATCC CRL 11175である、項目32に記載の宿主細胞。
(項目34)
ヒト化組換え抗VLA4抗体分子であって、VH−AS(SEQ ID NO:55)の重鎖可変領域を含むヒト化重鎖をVK2−SVMDY(SEQ ID NO:63)の軽鎖可変領域を含むヒト化軽鎖と共に含む抗体の効力の約20%〜約100%の効力を有する、ヒト化組換え抗VLA4抗体分子。
(項目35)
項目27または34に記載の抗体分子またはそれらの断片を、製薬上許容しうる希釈剤、賦形剤またはキャリアーと共に含む、治療用組成物。
(項目36)
項目27または34に記載の抗体分子またはそれらの断片を、検出可能に標識された形態で含む、治療用組成物。
(項目37)
項目27または34に記載の抗体の有効量をヒト被験体または動物被験体に投与する工程を包含する、治療方法。
(項目38)
哺乳動物被験体における特定の防御系の応答から生じる炎症を治療するための方法であって、該方法は、そのような治療を必要とする被験体に、該炎症を抑制するのに十分な量の抗炎症剤を提供する工程を包含し、ここで、該抗炎症剤は、項目27または34に記載の抗体である、方法。
(項目39)
ATCC CRL 11175によって産生される抗体であるか、またはATCC CRL 11175によって産生される抗体の特徴を有する抗体である、ヒト化組換え抗VLA4抗体分子。
(項目40)
ATCC CRL 11175によって産生される抗体の効力の約20%〜約100%の効力を有する、ヒト化組換え抗VLA4抗体分子。
(項目41)
マウスモノクローナル抗体HP1/2によって産生される抗体の効力の約20%〜約100%の効力を有する、ヒト化組換え抗VLA4抗体分子。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(発明の特定の具体例の詳細な説明)
モノクローナル抗体を生成するための技術は周知である。簡単に言えば、不滅細胞系統(典型的には、ミエローマ細胞)を、所定の抗原例えばVLA4を発現している全細胞で免疫化した哺乳動物からのリンパ球(典型的には、脾臓細胞)と融合させ、その結果生成したハイブリドーマ細胞の培養上清をその抗原に対する抗体についてスクリーニングする(Kohler等、1975[1]を参照されたい)。
【0044】
免疫化は、標準的手順を用いて達成することが出来る。単位投与量及び免疫化管理(regimen)は、免疫化すべき哺乳動物の種、その免疫状態、哺乳動物の体重等に依存する。典型的には、免疫化哺乳動物から採血し、各血液試料からの血清を、適当なスクリーニングアッセイを用いて特定の抗体についてアッセイする。例えば、抗VLA4抗体を、125I標識したVLA4発現細胞からの細胞溶解物の免疫沈降によって同定することが出来る(Sanchez−Madrid等、1986[55]及びHemler等、1987[39])。抗VLA4抗体は又、フローサイトメトリーにより、例えばVLA4を認識すると考えられる抗体と共にインキュベートしたRamos細胞の蛍光染色を測定することによって同定することが出来る(Elices等、1990[45]を参照)。典型的には、ハイブリドーマ細胞の生成に用いるリンパ球を、免疫化した哺乳動物(その血清が抗VLA4抗体の存在について陽性であることをかかるスクリーニングアッセイを用いて既に試験してある動物)から単離する。
【0045】
典型的には、不滅細胞系統(例えば、ミエローマ細胞系統)をリンパ球と同一の哺乳動物種から誘導する。好適な不滅細胞系統は、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む培養培地(「HAT培地」)に感受性のマウスミエローマ細胞系統である。
【0046】
典型的には、HAT感受性マウスミエローマ細胞を、1500分子量のポリエチレングリコール(「PEG1500」)を用いてマウス脾臓細胞と融合する。次いで、融合の結果生成するハイブリドーマ細胞を、HAT培地を用いて選択する。該培地は、未融合ミエローマ細胞及び非生産的に融合したミエローマ細胞を殺す(未融合脾臓細胞は、トランスフォームされていないので数日後に死ぬ)。所望の抗体を産生するハイブリドーマを、ハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって検出する。例えば、抗VLA4抗体の産生用に調製したハイブリドーマを、組換えαサブユニット発現細胞系統例えばトランスフェクトしたK−562細胞に結合する能力を有する分泌された抗体についてハイブリドーマ培養上清を試験することによってスクリーニングすることが出来る(例えば、Elices等、1990[45]を参照)。
【0047】
抗VLA4抗体を生成するために、かかるスクリーニングアッセイで試験して陽性であったハイブリドーマ細胞を、栄養培地で、ハイブリドーマ細胞にモノクローナル抗体を培養培地中に分泌させるのに十分な条件及び期間で培養する。ハイブリドーマ細胞に適した組織培養技術及び培養培地は周知である。調整したハイブリドーマ培養上清を集めて、更に適宜、抗VLA4抗体を周知の方法によって精製することが出来る。
【0048】
或は、所望の抗体を、ハイブリドーマ細胞を非免疫化マウスの腹膜腔に注入することによって生成することが出来る。ハイブリドーマ細胞は、腹膜腔内で増殖して抗体を分泌し、それは腹水液として蓄積される。この抗体を、腹水液を腹膜腔から注射器で回収することによって採取することが出来る。
【0049】
幾つかの抗VLA4モノクローナル抗体が、以前に記載されている(例えば、Sanchez−Madrid等、1986[55];Hemler等、1987[39];Pulido等、1991[54]を参照)。例えば、HP1/2は、かかるVLA4を認識するマウスモノクローナル抗体の一つである。VLA4は、プラズマフィブロネクチン及びVCAM−1に対する白血球レセプターとして働く。他のモノクローナル抗体例えばHP2/1、HP2/4、L25及びP4C2は、やはりVLA4を認識することが記載 されている。
【0050】
ここでは、重鎖及び軽鎖の両方の可変ドメインのCDRがマウスHP1/2配列から導かれた組換え抗体を構築し且つ説明する。本発明による組換えヒト化抗体を構築するための好適な出発物質は、抗VLA4抗体例えばHP1/2(これは、VLA4がVCAM1及びフィブロネクチンの両者と相互作用するのをブロックする)等である。更に、特に、細胞凝集を引き起こさないHP1/2等の抗体が好適である。幾つかの抗VLA4ブロッキング抗体は、かかる凝集を引き起こすことが観察された。HP1/2MAb(Sanchez−Madrid,1986[55])は、極度に高い効力を有し、VLA4のVCAM1及びフィブロネクチンの両者との相互作用をブロックするが、細胞凝集を引き起こさず、且つ、VLA4上のエピトープに対する特異性を有するので、ヒト化のための特に優れた候補である。初期の実験において、V及びVDNAが、HP1/2産生ハイブリドーマ細胞系統から単離されてクローン化された。ヒト化のための可変ドメインフレームワーク及び定常ドメインを、初期には、ヒト抗体配列から導いた。
【0051】
重鎖及び軽鎖の両方にある3つのCDRは、構造研究から抗原結合に関与することが示された残基からなる。理論的には、もし、マウスHP1/2抗体のCDRをヒトのフレームワークにグラフトしてCDRグラフト可変ドメインを形成し、この可変ドメインをヒト定常ドメインに結合したならば、その結果生成するCDRグラフト抗体は、本質的に、ヒトVLA4に結合するマウスHP1/2の特異性を有するヒト抗体である。この抗体が高度に「ヒト」特性を有するならば、患者に投与した場合に、マウスHP1/2より遥かに少ない免疫原性しか有しないことが期待される。
【0052】
しかしながら、CDRのみがヒトフレームワークにグラフトされたCDRグラフトHP1/2抗体の抗原結合について試験したところ、これは、VLA4抗原に対する妥当なアフィニティーを有するCDRグラフト抗体を産生しなかったことが示された。従って、CDR及び臨界的フレームワーク残基の幾つかに隣接する更なる残基がヒトから対応するマウスHP1/2残基へ置換されることが、マウスHP1/2MAbの結合アフィニティーの10〜100%の範囲の結合アフィニティーを有する抗体を生成するために必要であることが決定された。経験的に、V及びVのフレームワーク領域内の1つ以上の残基を変化させて、所望の特異性及び効力を有するが、ヒト化V及びV領域配列の本質的にヒトの性質を危うくすることのないように、ヒトフレームワーク内にそれ程多くの変化を有しない抗体を調製した。
【0053】
更に、ここに記載した組換え抗VLA4抗体からVLA4結合性断片例えばFab、Fab’、(Fab’)及びF(v)断片を調製することが出来;重鎖モノマー若しくはダイマー;軽鎖モノマー若しくはダイマー;並びに一の重鎖と一の軽鎖とからなるダイマーも又、ここで企図される。かかる抗体断片は、化学的方法、例えば無傷の抗体をペプシン若しくはパパイン等のプロテアーゼで開裂させることにより、又は組換えDNA技術により、例えば切り詰めた重鎖及び/若しくは軽鎖遺伝子でトランスフォームした宿主細胞を用いることによって生成することが出来る。重鎖及び軽鎖モノマーは、同様に、無傷の抗体を還元剤例えばジチオスレイトール若しくはβ−メルカプトエタノールで処理するか又は所望の重鎖若しくは軽鎖又はその両方をコードするDNAでトランスフォームした宿主細胞を用いることによって生成することが出来る。
【0054】
下記の実施例は、この発明のある好適具体例を更に説明することを意図するものであり、特性を制限することを意図するものではない。下記の実施例において、必要な制限酵素、プラスミッド並びにその他の試薬及び材料は、市販品から得ることが出来、クローニング、ライゲーション及び他の組換えDNA技術は、当業者に周知の手順によって達成することが出来る。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
(マウス抗VLA4可変領域をコードするDNA配列の単離)
(A.HP1/2重鎖及び軽鎖cDNAの単離)
VLA4に対する特異性を有するヒト化組換え抗体をデザインするためには、マウスHP1/2重鎖及び軽鎖の可変ドメインの配列を決定することが第1に必要であった。この配列は、Tempest等、1991[5]にて参照される方法によって細胞質RNAから合成された重鎖及び軽鎖cDNAから決定された。
【0056】
(1.細胞及びRNAの単離)
細胞質RNA(〜200μg)をFavaloro等、1980[63]の方法によって、150cmフラスコ中の準コンフルエントのHP1/2産生ハイブリドーマ細胞(約5×10対数期細胞)から調製した。これらの細胞をペレット化して上清を抗体の存在について、Inno−Liaマウスモノクローナル抗体イソタイピングキット(ベルギー、Antwerp,Innogenetics)を用いて固相ELISAによってアッセイした(カッパー結合体及びラムダ結合体の両者を使用)。抗体をこの方法によってIgG1/κであることを確認した。
【0057】
(2.cDNA合成)
cDNAをHP1/2 RNAから、マウスIgG1CH又はマウスカッパー定常ドメインの5’末端に基づくプライマーから開始する、1μl/50μlPharmacia(英国、Milton Keynes)RNA Guard(商標)及び250マイクロモルのdNTPを含む逆転写酵素緩衝液中の約5μgRNA及び25pモルプライマーを用いる逆転写によって合成した。これらのプライマーCG1FOR及びCK2FORの配列をそれぞれSEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2として示す。この混合物を70℃まで加熱し、次いでゆっくり室温まで冷却する。次いで、100単位/50μlのMMLV逆転写酵素(LifeTechnologies,英国、Paisley在)を加え、反応を42℃で1時間進行させた。
【0058】
(3.V及びVcDNAの増幅)
マウスMAb可変領域のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、例えばアンカードPCR又は保存配列に基づくプライマー等の手順の変法を用いて達成することが出来る(Orlandi等、1989[64]を参照されたい)。Orlandi等、[64],Huse等、1989[65]並びにJones及びBendig,1991[66]は、幾つかの可変領域プライマーを記載している。しかしながら、我々は、かかるプライマーの多く特にHP1/2誘導したV配列の軽鎖PCRに対するものを用いて成功していない。
【0059】
HP1/2 Ig V及びVcDNAを、Saiki等、1988[67]及びOrlandli等、1989[64]により記載されたPCRによって増幅した。反応を、2.5単位/50μlのAmplitaq(商標)ポリメラーゼ(コネチカット、Norwalk在、Perkin Elmer Cetus)を用いて、94℃で30秒の後の55℃で30秒及び75℃で45秒のサイクルを25回行なった。最終サイクルの後に、75℃で5分間インキュベートした。cDNA合成に用いたのと同じ3’オリゴヌクレオチドを、各V領域の5’末端の比較的保存された領域のコンセンサス配列に基づく適当な5’オリゴヌクレオチドと共に用いた。VcDNAを、プライマーVH1BACK[SEQ ID N0:3]及びCG1FOR[SEQ ID NO:1]を用いて上首尾に増幅し、約400bpの増幅生成物を生成した。VcDNAを、プライマーVK5BACK[SEQ ID NO:4]及びCK2FOR[SEQ ID NO:2]を用いて上首尾に増幅し、約380bpの増幅生成物を生成した。
【0060】
(4.VDNAのクローニング及び配列決定)
DNAの増幅用に用いたプライマーは、配列決定用ベクター中へのクローニングを容易にするPstI及びHindIII制限酵素部位を含んでいる。一般的クローニング及びライゲーション技術は、Molecular Cloning,A Laboratory Manual 1982,[68]に記載されたものである。増幅したDNAをPstIで消化して内部PstI部位をチェックし、内部PstI部位を見出した。それ故、VDNAをPstI−PstI断片及びPstI−HindIII断片としてM13mp18及び19中にクローン化した。2つの独立のcDNA調製物からの生成したクローンのコレクションを、シーケナーゼ(商標)(United States Biochemicals,米国、オハイオ、Cleveland 在)を用いて、ジデオキシ法(Sanger等、1977,[69])によって配列決定した。約100〜250bpの範囲の配列を、25クローンの各々から決定した。配列決定した4000より多いヌクレオチドの内、3つのPCR誘導した過渡的突然変異が3つの分離したクローン中にあった。HP1/2VDNA配列及びその翻訳されたアミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:6に示す。最初の8アミノ酸が、PCRで用いられた5’プライマーによって指図されていることは注意すべきである。コンピューター補助された比較は、HP1/2V[SEQ ID NO:5及び6]がファミリーIICのメンバーであることを示す(Kabat等、1991[15])。HP1/2V[SEQ ID NO:5及び6]とファミリーIICのコンセンサス配列との間の比較は、単に異常な残基がアミノ酸の80、98及び121位にあることを示した(Kabatの番号付けでは、79、94及び121位)。サブグループIICにおいてTyr80が不変であるにもかかわらず、他の配列決定したマウスV領域は、この位置に他の芳香族アミノ酸を有する(但し、Trpを有するものはない)。ヒト及びマウスのVの大多数は、Kabatの位置94にアルギニン残基を有する。HP1/2V中のAsp94の存在は、極めて稀である(この位置で負に帯電した残基の報告例は1つしかない)。Kabatの位置113のプロリンも又異常であるが、そのCDRからの距離からして、CDRのコンホメーションにおいて重要であることはありそうもない。CDR1を作っているアミノ酸は、3つの他の配列決定されたマウスV領域に見出された。しかしながら、CDR2及びCDR3は、HP1/2にユニークであり、如何なる他の報告されたマウスV中にも見出されない。
【0061】
(5.VDNAのクローニング及び配列決定)
DNAの増幅に用いたプライマーは、酵素EcoRI及びHindIIIに対する制限部位を含んでいる。プライマーVK1BACK[SEQ ID NO:7]、VK5BACK[SEQ ID NO:4]及びVK7BACK[SEQ ID NO:8]を用いて得たPCR生成物を精製してM13中にクローン化した。信頼すべきカッパー配列は、VK5BACK[SEQ ID NO:4]を用いてのみ得られた。約200〜350bpの領域の配列を、2つの独立のcDNA調製物からの10クローンの各々から、シーケナーゼ(商標)(United States Biochemica1s,米国、オハイオ、Cleveland在)を用いて、ジデオキシ法(Sanger等、1977,[69])によって配列決定した。配列決定した2kbより多くの内で、2つのクローンのみが、それぞれ、1つのPCR誘導された過渡的突然変異を含んでいた。
【0062】
HP1/2VDNA配列及びその翻訳された配列をそれぞれSEQ ID NO:9及びSEQ ID NO:10に示す。最初の4アミノ酸は5’PCRプライマーによって指図されているが、配列の残りはすべて部分的蛋白質配列データと一致する。HP1/2VDNA配列は、KabatのファミリーV(Kabat等、1991[15])のメンバーであり、異常な残基は有しない。CDR1及びCDR3のアミノ酸残基はユニークである。CDR2を作っているアミノ酸は、他のマウスVにおいて報告されている。
【0063】
(実施例2)
(CDRグラフト抗VLA4抗体のデザイン)
CDRグラフト抗VLA4抗体をデザインするためには、マウスHP1/2のどの残基が軽鎖及び重鎖のCDRを含むのかを決定することが必要である。3つの超可変領域(一層変化の少ない可変フレームワーク配列の中にある)が軽鎖と重鎖の両方において見出されている(Wu及びkabat,1970 [16];Kabat等、1991[15])。殆どの場合において、これらの超可変領域は、CDRに対応するが、それを超えて広がってもよい。マウスHP1/2V及びV鎖のアミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:6及びSEQ ID NO:10に示す。マウスHP1/2のCDRは、Kabat等、1991[15]により、他のV及びV配列との整列によって解明された。これらのマウスHP1/2VのCDRは、下記のように、同定され、ここに開示するヒト化V配列中で同定された残基に対応している:
CDR1 AA31〜AA35
CDR2 AA50〜AA66
CDR3 AA90〜AA110
これらは、それぞれ、Kabatの番号付けにおけるAA31〜AA35、AA50〜AA65及びAA95〜AA102に対応している。マウスHP1/2VのCDRは、下記のように、同定され、ここに開示するヒト化V配列中で同定された残基に対応している:
CDR1 AA24〜AA34
CDR2 AA50〜AA56
CDR3 AA89〜AA97
これらは、Kabatの番号付けにおける同じ番号のアミノ酸に対応している。従って、V(Vではない)の境界のみがKabatのCDR残基に対応した。HP1/2CDRを受容するために選択したヒトフレームワークは、重鎖及び軽鎖のそれぞれについてNEWM及びREIであった。NEWM及びREI配列は、Kabat等、1991[15]に公開されている。
【0064】
ヒト化方法の初期ステージは、文献から予想され得る最小のフレームワーク変化の基礎的CDRグラフトを含み得る。例えば、Riechmann等、1988[4]において、MAb CAMPATH−1Hは、元のマウス抗体の結合効率と類似の結合効率を有する抗体を得るために必要な唯一つのフレームワーク変化を有する直接CDRグラフトを用いて上首尾にヒト化された。このフレームワーク変化は、27位のSerのPheでの置換であった。しかしながら、CDRグラフトによる同じヒト化ストラテジー及び他の特異性を有するヒト化抗体の調製のためにRiechmann等、1988[4]により発見された単一フレームワーク変化を用いることは、マウス抗体に匹敵するアフィニティーを有する抗体を生成しなかった。かかる場合において、ヒト化方法は、所望の特異性及び効力を達成するために、必然的に、更なる経験的変化を含む。かかる変化は、出発マウス抗体のユニーク構造及び配列に関係し得るが、他の異なる特異性及び配列の抗体に基づいて予想することは出来ない。例えば、SEQ ID NO:6に示したHP1/2からのマウスVアミノ酸配列の他の公知の配列と比較しての分析は、残基79、94及び113(Kabatの番号付け)が異常であることを示した。勿論、Asp94がCDRコンホメーションにおいて重要であることはありそうなことである。配列決定した殆どのV領域は、この位置にアルギニンを有し、それは、CDR3中の比較的保存されたAsp101と塩橋を形成することが出来る。MEWMがArg94を有し、HP1/2のVCDR3がAsp101を有するので、通常は生じない塩橋が形成される可能性が残る。94位の負に帯電した残基の存在は非常に異常であり、それ故、推定のヒト化V中にAsp94を含むことが決定された。
【0065】
キメラ(マウスV/ヒトIgG1/κ)HP1/2抗体は、(i)その抗原結合能力が正確なV領域がクローン化されたことを示し、(ii)本発明により調製した種々のヒト化抗体のアッセイにおいて有用な対照として働き得るので有用であり得るが、CDRグラフト構築物の調製の初期ステージにおいて必要な中間体ではない。
【0066】
については、完全長のHP1/2Vを含むM13クローンを、それぞれVドメインの5’及び3’末端にPstI及びBstEII部位を含むVH1BACK[SEQ ID NO:3]及びVH1FOR[SEQ ID NO:11]を用いて増幅した。増幅DNAをBstEIIで切断し且つPstIで部分的に切断し、完全長DNAを精製して、PstI及びBstEIIで切断してあるM13VHPCR1中にクローン化した(Orlandi等、1989[64])。Vについては、完全長のHP1/2Vを含むM13クローンを、VK3BACK[SEQ ID NO:12]及びVK1FOR[SEQID N0:13]を用いて増幅してPvuII及びBglII部位をそれぞれVドメインの5’及び3’末端に導入した。増幅したDNAをPvuII及びBglIIで切断し、PvuII及びBc1IIで切断しておいたM13VKPCR1(Orlandi等、1989[64])中にクローン化した。
【0067】
要するに、これらのマウスVH及びV領域の増幅用に用いた5’プライマーは、発現ベクター中にクローニングするのに便利な制限部位を含んでいる。このPCRに用いた3’プライマーは、定常領域からのものであった。可変領域の3’末端の制限部位を、クローン化マウス可変領域遺伝子内に、BstII又はBg1II部位を重鎖及び軽鎖(カッパー)可変領域内にそれぞれ導入したPCRプライマーを用いて導入した。更に、Vプライマーは、Pro113をSerに変えた。
【0068】
マウスV及びVDNAを、gpt及びハイグロマイシン耐性遺伝子を含むベクター(例えばOrlandi等、[64]に記載されたpSVgpt及びpSVhyg等)中にクローン化し、適当なヒトIgG1、IgG4若しくはκ定常領域を、例えばTakahashi等、1982[70],Flanagan及びRabbitts,1982[71],及びHieter等、1980[72]により記載されたようにして、それぞれ加えた。これらのベクターでミエローマYB2/0を同時トランスフェクトしてミコフェノール酸耐性クローンをキメラIgG/κ抗体の分泌についてELISAによってスクリーニングした。このYB2/0細胞系統 は、Kilmartin等、1982[73]により記載されたものであり、American Type Culture Collection(ATCC)メリーランド、Rockville在)から入手することが出来る。ELISA陽性のクローンを広げ、培養培地からプロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって抗体を精製した。トランスフェクトした細胞から精製したキメラ抗体を、VLA4抗体活性について実施例7に記載のようにしてアッセイしてマウスHP1/2抗体と等しい効力であることが見出された。
【0069】
(実施例3)
(CDR配列の移植及び選択したフレームワーク残基の突然変異誘発)
CDRのヒトフレームワーク中への移植を、M13突然変異誘発ベクターを用いて実施した。実施例2で概説したCDR配列を受容するために選択したヒトフレームワークをNEWM(V用)及びREI(V用)から導いた(各々、M13突然変異誘発ベクター中)。V及びVについて用いるM13突然変異誘発ベクターは、それぞれ、M13VHPCR1及びM13VKPCR2であった。M13VKPCR2は、Orlandi等、1989[64]に記載されたように、M13VHPCR1と同一である。但し、バリン(GTG)からグルタミン(GAA)への単一アミノ酸変化が、REI Vコード配列のフレームワーク4にある。Orlandi等、1989[64]により記載されたM13VHPCR1は、抗ハプテン(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニルアセチルカプロン酸)抗体から導かれたCDRを有するNEWMフレームワーク配列であるV領域に対するコード配列を含むM13である。これらの無関係のVCDRを、下記のように、位置指定突然変異導入法によって、HP1/2Vから導いたCDRで置換する。M13VHPCR1によりコードされたV領域の配列(DNA及びアミノ酸)をSEQ ID NO:14及び15として示す。M13VKPCR2は、Orlandi等、[64]により記載されたM13VKPCR1と同様に、抗リゾチーム抗体から導いたCDRを有するN末端修飾REIフレームワーク配列であるV領域に対するコード鎖を含むM13である。これらの無関係のVCDRを、下記のように、位置指定突然変異導入法によって、HP1/2Vから導いたCDRで置換する。M13PCR2によってコードされたV領域の配列(DNA及びアミノ酸)を、SEQ ID NO:16及び17として示す。
【0070】
合成オリゴヌクレオチドを、それぞれNEWM及びREIフレームワークから引き出された短い配列に隣接したHP1/2誘導されたV及びVCDRを含んで合成し、下記のように、オリゴヌクレオチド位置指定突然変異導入法によってヒトフレームワーク中にグラフトした。ヒトVフレームワーク中へのCDRグラフトのために、突然変異導入用オリゴヌクレオチド598[SEQ ID N0:18]、599[SEQ ID NO:19]及び600[SEQ ID NO:20]を用いた。ヒトVフレームワーク中へのCDRグラフトのために、突然変異導入用オリゴヌクレオチドは、605[SEQ ID N0:21]、606[SEQ ID NO:22]及び607[SEQ ID NO:23]であった。5μgのV又はV一本鎖DNA(M13中)に、2倍モル過剰の各3つのV若しくはVリン酸化オリゴヌクレオチドを、M13配列に基づく隣接プライマー、オリゴ10[SEQ ID NO:24](V用)及びオリゴ385[SEQ ID NO:25](V用)と共に加えた。プライマーを、70℃まで加熱し、37℃までゆっくりと冷却することによってテンプレートにアニールさせた。このアニールしたDNAを、10mM トリスHCl(pH8.0)、5mM MgCl、10mM DTT、1mM ATP、250μM dNTP中で、2.5単位のT7DNAポリメラーゼ(United States Biochemicals)及び1単位のT4DNAリガーゼ(Life Technologies)を用いて伸長させ且つライゲーションさせた(50μlの反応容積で、16℃にて、1〜2時間)。
【0071】
新たに伸長させた突然変異導入鎖を、1単位のVentDNAポリメラーゼ(New England Biolabs)及び25pモルのオリゴ11[SEQ ID NO:26]若しくはオリゴ391[SEQ ID NO:27](それぞれ、V若しくはV用)(10mM KCl、10mM(NHSO、20mM トリスHCl(pH8.8)、2mM MgSO、0.1%トリトンX−100、25μMdNTP中)(反応容積50μl)を用い且つ、試料を94℃、30秒;50℃、30秒;75℃、90秒の30サイクルにかけることによって、優先的に増幅した。
【0072】
次いで、標準的PCRを、25pモルのオリゴ10[SEQ ID NO:24](V用)又はオリゴ385[SEQ ID NO:25](V用)を加えて、10熱サイクルを行なうことによって実施した。生成物DNAを、HindIII及びBamHIで消化してM13mp19中にクローン化した。一本鎖DNAを、個々のプラークから調製し、配列決定して3つの突然変異体を同定した。
【0073】
その結果生成したこのDNA配列を有するステージ1のV構築物及びその翻訳生成物を、それぞれ、SEQ ID NO:28及びSEQ ID NO:29として示す。このCDRグラフトに加えて、ステージ1のV構築物は、フレームワーク変化を含んだ。CDR1の直前で、配列の1ブロックをマウス残基Phe27、Asn28、Ile29及びLys30に変更した(SEQ ID NO:29のAA27〜AA30をマウスV配 列[SEQ ID NO:6]のそれと比較されたい)。これは、ラットのCAMPATH1−H抗体のヒト化(Riechmann等、1988[4])において置換されたPhe−27を含んだが、次いで、マウス配列において見出される次の3残基を代用している。これらの4つの残基は、名目上はCDR1に含まれない(即ち、Kabatの意味において超可変ではない)が、構造的には、それらは、CDR1ループの一部(即ち、構造的ループ残基)であり、従って、経験的には、CDR1の一部として含まれる。更に、残基94におけるArgからAspへの変更は、実施例2で論じた理論的根拠に基づいて行なった。CDRグラフトしたステージ1フレームワーク配列とNEWMフレームワークを比較する整列を表Iに示す。生成したこのDNA配列を有するVK1(DQL)構築物及びその翻訳 生成物をそれぞれSEQ ID NO:30及びSEQ ID NO:31に示す。CDRグラフトしたVK1(DQL)フレームワーク配列とREIフレームワークを比較する整列を表IIに示す。
【0074】
CDR置換したV(ステージ1)及びV(VK1)遺伝子をOrlandi等、1989[64]による発現ベクター中にクローン化してpHuVHHuIgG1、pHuVHHuIgG4及びpHuVKHuCKと称するプラスミッドを生成した。pHuVHHuIgG1及びpHuVHHuIgG4について、ステージ1V遺伝子を、Ig重鎖プロモーター、適当なスプライス部位及び単一ペプチド配列と共に、HindIII及びBamHIでの消化によって、M13突然変異誘発ベクターから切り出し、Orlandi等[64]により記載されたpSvgpt等の発現ベクター中にクローン化した(該ベクターは、マウスIg重鎖エンハンサー、SV40プロモーター、哺乳動物細胞中での選択のためのgpt遺伝子並びに大腸菌における複製及び選択のための遺伝子を含む)。次いで、Takahashi等、1982[70]に記載されたヒトIgG1定常領域をBamHI断片として加えた。或は、Flanagan及びRabbitts,1982[71]により記載されたヒトIgG4構築物領域を加えた。pHuVKHuCKプラスミッドの、Orlandi等[64]に記載されたpSVhyg等の発現ベクターを用いる構築は、本質的に、重鎖発現ベクターのそれと同じであった(但し、選択用のgpt遺伝子をハイグロマイシン耐性遺伝子(hyg)で置換し、Hieter,1980[72]に記載されたヒトカッパー鎖定常領域を加えた)。これらのベクターでラットミエローマYB2/0を同時トランスフェクトし、ミコフェノール酸耐性クローンをヒトIgG/κ抗体の分泌についてELISAによってスクリーニングした。YB2/0細胞系統は、Kilmartin等、1982[73]により記載されたものであり、American Type Culture Collection(メリーランド、Rockville 在、ATCC)から入手することが出来る。ELISA陽性クローンを増大させて、抗体を培地からプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。トランスフェクトした細胞を、実施例7に記載のようにして、抗VLA4抗体活性についてアッセイする。
【0075】
(実施例4)
(CDRグラフト抗体の修飾)
上記の実施例2及び3に記載のような抗VLA4抗体を生成するためのデザイン及び調製のステージの次に、更なる経験的修飾のステージを用いて上首尾にヒト化組換え抗VLA4抗体を調製した。実施例3に記載のステージ1修飾は、我々の一次配列分析及び上首尾に抗体をヒト化する試みにおける経験に基づくものであった。ステージ2と称する次の修飾は、部分的に我々の3Dモデリングデータの分析に基づく経験的なものであった。V領域について、ステージ3と称する更なる修飾は、アフィニティーその他の抗体特性の任意の残存する欠点を修正するために経験的に為されたいわゆる「スキャニング」修飾であった。これらの幾つかのステージで為された修飾は、ヒト化抗VLA4抗体のアフィニティーその他の所望の特性の最適化を目的とする種々のアミノ酸ブロックの経験的変更であった。種々のステージで為された修飾が何れも所望の特性を有する抗体を生じた訳ではない。
【0076】
(1.更なる重鎖修飾)
(a.ステージ2修飾)
フレームワーク内の更なる経験的変更を、コンピューターモデリングを利用して行ない、そのDNA配列を有するステージ2構築物及びその翻訳生成物を生成した(それぞれ、SEQ ID NO:32及びSEQ ID NO:33に示す)。ステージ1V領 域のコンピューターモデリングを用いて、我々は、ステージ2についてのフレームワーク内の単一変更(即ち、位置75のLys(Kabatの番号付け、即ちSEQ ID NO:33中の76位)をSerで代用する)を為すことを決定した。この決定は、部分的に、Lys−75がCDR1に位置してそのコンホメーションを変え得る可能性に基づくものであった。実施例3で記載したステージ1CDRグラフトHuVHを含むM13ベクターを、2ステップPCR指示突然変異誘発のためのテンプレートとして用いた(Ho等、1989[74]により記載された重複/伸長法を使用)。第1ステップにおいて、2つの別々のPCRをセットアップした。1つは、末端プライマーオリゴ10[SEQ ID NO:24]及び所望の突然変異を含むプライマー684[SEQ ID NO:34]を用い、他は、反対の末端プライマーオリゴ11[SEQ ID NO:26]及びプライマー683[SEQ ID NO:35](これは、第1の突然変異誘発プライマーと相補的である)を用いた。このPCRの最初の対の増幅生成物を、次いで、一緒に混合して、第2PCRステップを、末端プライマーオリゴ10及び11(それぞれ、SEQ ID NO:24及びSEQ ID NO:26)のみを用いて行なった。このPCRの突然変異誘発した増幅生成物を、次いで、M13mp19中にクローン化して配列決定し、LysからSerへの変化(ステージ2又は「S突然変異体」)を有する突然変異体を同定した。
【0077】
これは、HP1/2から導かれたヒト化重鎖における臨界的変化であることが判明した(実施例7参照)。しかしながら、本発明によるヒト化組換え抗VLA4抗体の調製におけるこの臨界的変化は、他のヒト化抗体の調製において同様に臨界的である訳ではなかった。特に、上記と同じ合理的解釈及び分析を用いて、その場所における変化は、2種の異なる種の抗体のヒト化における有利な変化であることは見出されなかった。CDRグラフトしたステージ2フレームワーク配列の整列を、NEWM並びにステージ1配列と比較して、表Iに示す。
【0078】
(b.ステージ3修飾)
更なる経験的変更を、ステージ3構築物として作成した。ステージ3において、主として経験的理由のために、一連の5つの異なるアミノ酸のブロック変更を作成して効力を改善することを試みた。これらの構築物は、STAW、KAITAS、SSE、KRS及びASと称する。すべては、ステージ2で変更した75位のSer(Kabatの番号付け)[SEQ ID NO:35の76位]及び上記の他の変更を含む。これらの構築物の各々を、2ステップPCR指示突然変異誘発により、ステージ2のSer突然変異体について上述したHo等、1989[74]の重複/発現法を用いて調製した。STAWについて、更なる変更は、77位のGlnからThr、78位のPheからAla及び79位のSerからTrp(Kabatの番号付け)であった。これらの変更は、末端プライマーオリゴ10[SEQ ID NO:24]及び11[SEQ ID NO:26]を突然変異誘発プライマー713[SEQ ID NO:36]及び716[SEQ ID NO:37]と共に用いて達成した。STAW VDNA配列及びその翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:38及びSEQ ID NO:39に示す。更なる変更ArgからLys(66位)、ValからAla(67位)、MetからIle(69位)、LeuからThr(70位)及びValからAla(71位)(Kabatの番号付け)を有するKAITASを、オリゴ10[SEQ ID NO:24]及び11[SEQ ID NO:26]をオリゴ706[SEQ ID NO:40]及び707[SEQ ID NO:41]と共に用いて調製した。KAITAS VDNA配列及びその翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:42及びSEQ ID NO:43に示す。SSEは、更なる変更AlaからSer(84位)及びAlaからGlu(85位)(Kabatの番号付け)を有した(オリゴ10及び11をオリゴ768[SEQ ID NO:44]及び769[SEQ ID NO:45]と共に用いて達成)。SSE VDNA 配列及びその翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:46及びSEQ ID NO:47に示す。KRSは、更なる変更ArgからLys(38位)及びProからArg(40位)(Kabatの番号付け)を有した(オリゴ10[SEQ ID NO:24]及び11[SEQ ID NO:26]並びにオリゴ704[SEQ ID NO:48]及び705[SEQ ID NO:49]の使用による)。KRS VDNA配列及びその翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:50及びSEQ ID NO:51に示す。ASは、オリゴ10[SEQ ID NO:24]及び11[SEQ ID NO:26]並びにオリゴ745[SEQ ID NO:52]及び746[SEQ ID NO:53]に由来する更なる変更ValからAlaを24位(Kabatの番号付け)に有した。AS VDNA配列及びその翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:54及びSEQ ID NO:55に示す。CDRグラフトしたステージ3フレームワーク配列の、NEWM、ステージ0(下記参照)、ステージ1及びステージ2配列との整列を表Iに示す。重要なことに、実施例7に示したように、STAW及びASヒト化抗体の効力は改善されたが、他方、KAITAS及びKRSヒト化抗体はより良い効力を有しなかった。これは、予想しえなかった。
【0079】
(c.逆(ステージ0)修飾)
ステージ1を生成するために作成した28〜30位(NIK)及び94位(D)の2ブロックの変更を、28〜30位(TFS)、94位(R)又は27〜30位(TFS)と94位(R)の両方において突然変異させてNEWMに戻した。これらの構築物は、それぞれ、ステージ0−A、0−B及び0−Cと称した。これらの構築物の各々を、2ステップPCR指示突然変異誘発により、ステージ2のSer突然変異体について上述したHo等、1989[74]の重複/伸長法を用いて調製した。ステージ0−A及び0−Bは、ステージ1から生成し;ステージ0−Cは、ステージ0−Aから下記のようにして生成した。ステージ0−Aについて、変更は、94位のAspからArgであった。この変更は、末端プライマーオリゴ10[SEQ ID NO:24]及び11[SEQ ID NO:26]を突然変異誘発プライマー915[SEQ ID NO:56]及び917[SEQ ID NO:57]と共に用いて達成した。ステージ0−Bについて、変更は、28〜30位のAsn−Ile−LysからThr−Phe−Serであった。これらの変更は、末端プライマー10[SEQ ID NO:24]及び11[SEQ ID NO:26]を突然変異誘発プライマー918[SEQ ID NO:58]及び919[SEQ ID NO:59]と共に用いることによって達成した。最後に、ステージ0−Cについては、変更は、ステージ0−Aでの94位のAspからArgへの変更に加えて、28〜30位のAsn−Ile−Lys−からThr−Phe−Serであった。これらの変更は、ステージ0−B構築物について上述したのと同じ末端プライマー及び突然変異誘発プライマーを用いて達成した。
【0080】
【表1】


(2.軽鎖の修飾)
我々の経験において、ヒト化軽鎖は、一般に、僅かの修飾(それが必要である場合でも)しか必要としない。しかしながら、ヒト化抗VLA4抗体の調製において、HP1/2の軽鎖は幾つかの経験的変更を必要とすることが明らかとなった。例えば、マウス軽鎖を有するステージ2構築物(Ser突然変異体)のヒト化重鎖は、マウスHP1/2より約2.5倍効力が低かったが、他方、ヒト化軽鎖を有する同じヒト化重鎖は、約4倍効力が低かった。ステージ1ヒト化V構築物は、VK1(DQL)と称し、そのDNA配列及びその翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:30及びSEQ ID NO:31に示す。DQL突然変異は、V領域の初期クローニングにおいて用いたPCRプライマーから生じた(実施例1参照)。別法をこの軽鎖に行なって、2つの突然変異体SVMDY及びDQMDY(それぞれ、VK2及びVK3)を生成した。SVMDY突然変異体は、DQL配列から、DY配列については、オリゴ10[SEQ ID NO:24]及び11[SEQ ID NO:26]を用いて、SVM配列については、オリゴ697[SEQ ID NO:60]及び698[SEQ ID NO:61]を用いて調製した。VK2(SVMDY)DNA配列及びその翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:62及びSEQ ID NO:63に示す。DQMDY配列は、末端プライマー10[SEQ ID NO:24]及び11[SEQ ID NO:26]を突然変異誘発プライマー803[SEQ ID NO:64]及び804[SEQ ID NO:65]と共に用い、SVMDY配列をテンプレートとして用いる2ステップPCR指示突然変異誘発によって、元のREIフレームワーク配列に戻した。VK3(DQMDY)DNA配列及びその翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:66及びSEQ ID NO:67に示す。アミノ末端における変更(SVM対DQM)は、無関係であり、マウス軽鎖のアミノ末端に関係する。他の2つの変更D及びYを行なって効力を改善し、実際、実施例7に記載のように、そのようにした。CDRグラフトDQL(VK1)、SVMDY(VK2)及びDQMDY(VK3)フレームワーク配列のREI配列と比較した整列を表IIに示す。
【0081】
AS突然変異体の重鎖を改善した軽鎖(SVMDY)と結合させた場合、その結果生成するヒト化抗体は、表IIIに示すようにマウスHP1/2と等しい効力であった。
【0082】
(3.別のヒト化V及びV領域)
或は、HP1/2V領域[SEQ ID NO:5]に基づくヒト化V領域配列を調製することが出来る。かかる選択肢の一つは、V−PDLNと称するものである。PDLN VのDNA配列及びその翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:68及びSEQ ID NO:69に示す。
【0083】
更に、別のHP1/2V領域[SEQ ID NO:9]に基づくヒト化V領域配列を調製することが出来る。かかる別のV配列の一つは、V−PDLNと称するものであり、それとそれの翻訳アミノ酸配列を、それぞれ、SEQ ID NO:70及びSEQ ID NO:71に示す。
【0084】
ヒト化V−PDLNを、集合すると完全なヒト化可変領域にわたる12オリゴヌクレオチドをライゲーションし、正確な配列を有する構築物についてスクリーニングすることによって調製した。そのプロトコールを下記に一層詳細に説明する。
【0085】
オリゴヌクレオチド370−119から370−130(それぞれ、SEQ ID NO:72からSEQ ID NO:83)(各20pモル)を乾燥し、別々に、1mM ATP及び1μl T4ポリヌクレオチドキナーゼ(10U/μl)を含む20μlの1×キナーゼ緩衝液に再懸濁した。キナーゼ反応混合物を、1時間37℃でインキュベートした。反応を、70℃で5分間インキュベートすることによって停止させた。
【0086】
キナーゼ処理したオリゴヌクレオチドを、互いに合わせて(全量240μl)、26μlの10mM ATP及び2μl T4DNAリガーゼ(10U/μl)を用いて互いにライゲーションし、その反応混合物を室温で6時間インキュベートした。このライゲーション反応混合物を、TE緩衝液で飽和したフェノール:クロロホルム(1:1)で抽出し、次いで、エタノール沈澱して70%エタノールで5回洗った。
【0087】
乾燥して洗ったエタノール沈澱を、50μlの1×150mM 制限酵素緩衝液(10×150mM制限酵素緩衝液は、100mM トリス−HCl(pH8.0)、1.5M NaCl、100mM MgCl、 1mg/ml ゼラチン、10mM ジチオスレイトールである)に再懸濁して、制限酵素BstE2及びPstIと共に16時間37℃でインキュベートした。消化生成物を、2%アガロースゲルを通して電気泳動し、330bpに対応するバンドを切り出した。その断片をGENECLEAN II(登録商標)を用いて溶出し、溶出物をエタノール沈殿させた。このエタノール沈澱を20μlのTE緩衝液に再懸濁した。
【0088】
次に、この330bp断片を、ベクターpLCB7中にライゲーションした(該ベクターは、ライゲーション用にPstI及びBstE2で消化し、仔ウシアルカリホスファターゼで5’末端を脱リン酸化し、低融点アガロース(LMA)ゲル上で分画し、そして、pLCB7/PstI/BstE2LMA断片を切り出すことにより調製したものである)。次いで、pLBC7 LMA断片をヒト化V領域をコードする330bpオリゴヌクレオチド断片にT4DNAリガーゼを用いてライゲーションした。
【0089】
このライゲーション混合物を用いて大腸菌JA221(Iq)をトランスフォームしてアンピシリン耐性にした。コロニーを成育させてミニプレップDNAを調製した。組換えプラスミッドを、約413bpのNotI/BstE2断片の存在についてスクリーニングした。DNA配列分析は、ベクターpMDR1023を、デザインしたヒト化V−PDLN配列を有するとして同定した。
【0090】
ヒト化V−PDLNを、集まると完全なヒト化V−PDLN可変領域にわたる12オリゴヌクレオチドをライゲーションし、正確な配列を有する構築物についてスクリーニングすることによって調製した。そのプロトコールを、下記に一層詳細に説明する。
【0091】
オリゴヌクレオチド370−131から370−142(それぞれ、SEQ ID NO:84からSEQ ID NO:5)(各20pモル)を乾燥し、別々に、1mM ATP及び1μl T4ポリヌクレオチドキナーゼ(10単位/μl)を含む20μlの1×キナーゼ緩衝液に再懸濁した。このキナーゼ反応混合物を、37℃で1時間インキュベートした。反応を、70℃で5分間インキュベートすることによって停止した。
【0092】
キナーゼ処理したオリゴヌクレオチドを、互いに合わせて(全量240μl)、26μlの10mM ATP及び2μlのT4 DNAリガーゼ(10単位/μl)を用いて互いにライゲーションし、そして反応混合物を室温で6時間インキュベートした。ライゲーション反応混合物を、TE緩衝液で飽和したフェノール:クロロホルム(1:1)で抽出し、次いで、エタノール沈殿して70%エタノールで5回洗った。
【0093】
乾燥して洗ったエタノール沈澱を、40μlのTEに再懸濁し、次いで、2%アガロースゲルを通して電気泳動して、380bpに対応するバンドを切り出した。その断片をGENECLEAN II(登録商標)を用いて溶出し、溶出物をエタノール沈殿させた。このエタノール沈澱を、20μlのTE緩衝液に再懸濁した。
【0094】
次に、この380bp断片を、ベクターpNN03中にライゲーションした(該ベクターは、ライゲーション用に、HindIII及びBamHIで線状化し、仔ウシアルカリホスファターゼで5’末端を脱リン酸化し、低融点アガロースゲル上で分画して、線状化pNN03に対応するバンド(2.7kb)を切り出すことにより調製したものである)。この線状化した脱リン酸化pNN03を、次いで、ヒト化V領域をコードする380bpのオリゴヌクレオチド断片にT4 DNAリガーゼを用いてライゲーションした。
【0095】
このライゲーション混合物を用いて大腸菌JA221(Iq)をトランスフォームしてアンピシリン耐性にした。コロニーを成育させて、ミニプレップDNAを調製した。組換えプラスミッドを、可変領域断片の存在についてスクリーニングした。DNA配列分析は、ベクターpMDR1025を、デザインしたヒト化V−PDLN配列を有するとして同定した。
【0096】
−PDLNを含む重鎖及びV−PDLNを含む軽鎖を有する抗体を、実施例7に従って、効力についてアッセイしたところ、生成したヒト化抗体は、マウスHP1/2抗体とほぼ等しい効力であった。
【0097】
【表2】

(実施例5)
(組換え抗VLA4抗体の発現)
実施例1〜4によって調製したV領域配列及びV領域配列の各々を、定常領域配列と共に、発現ベクター中にトランスファーし、それらのベクターで、好ましくは電気穿孔法によって、哺乳動物細胞をトランスフェクトする。これらの重鎖及び軽鎖配列は、別個のベクター上にコードされて細胞に同時トランスフェクトしてもよいし、或は、重鎖及び軽鎖配列を単一ベクターでコードしてトランスフェクトしてもよい。かかる単一ベクターは、3つの発現カセット(1つはIg重鎖用、1つはIg軽鎖用、そして1つは選択マーカーである)を含む。抗体の発現レベルを、トランスフェクション後、下記のように又は実施例7に記載のようにして測定する。
【0098】
及びV領域配列を、実施例4に記載のようにして、種々のクローニングベクター及び発現ベクター中に挿入した。抗VLA4V領域配列について、かかる配列[実施例1〜4に記載のもの]を含むプラスミッドをPstI及びBstE2で消化した。PstI及びBstE2での消化後のプラスミッドDNAを脱リン酸化して2%アガロースゲルを通して電気泳動した。ライゲーシヨン用のバンドを切り出し、DNAを、GENECLEAN(商標)技術(カリフォルニア、LaJolla在、Bio101 Inc.)を用いて溶出し、エタノール沈殿させ、20μlのTE緩衝液(10mM トリス−HCl、1mMEDTA)中に再懸濁した。次いで、10μlの再懸濁したDNAを、PstI/BstE2消化したV領域配列とのライゲーション用に用いた。
【0099】
このライゲーション混合物を用いて大腸菌K12JA221(Iq)をトランスフォームしてアンピシリン耐性にした。大腸菌K12JA221(Iq)細胞は、ATCCに寄託してある(受託番号68845)。組換え体コロニーを、V挿入物の存在についてスクリーニングした。かかる断片を含むプラスミッドの幾つかを配列決定した。これらのV含有プラスミッドを、pBAG184(V−STAW)、pBAG183(V−KAITAS)、pBAG185(V−KRS)、pBAG207(V−SSE)及びpBAG195(V−AS)と呼び、大腸菌K12 J221(Iq)にて、ATCCに、受託番号、それぞれ、69110、69109、69111、69116及び69113として寄託した。別のV−PDLN領域を含むプラスミッドは、pMDR1023と称した。
【0100】
領域配列について、これらの配列をコードするDNAを、PCRを利用して、クローニング及びトランスフォーメーションのために増幅した。増幅の前に、20pモルの各V鎖プライマーを、従来のプロトコールに従って、T4ポリヌクレオチドキナーゼと37℃で60分間インキュベートすることによってキナーゼ処理した。キナーゼ反応を、70℃に10分間加熱することにより停止させた。
【0101】
これらのPCR反応物は、それぞれ、10μlの10×PCR緩衝液を含んだ(10×PCR緩衝液は、100mM トリス/HCl(pH8.3)、500mM KCl、15mM MgCl、0.01%ゼラチン、各20pモルの適当なキナーゼ処理したプライマー、20μlのcDNA、0.5μlのTaqポリメラーゼ(5単位/μl、Perkin Elmer−Cetus製)及び49.5μlのHOである)。PCR条件は、94℃で1分間;40℃(重鎖用PCR)若しくは55℃(軽鎖用PCR)で2分間;及び72℃で2分間のインキュベーションの30サイクルであった。VK1−DQLについて、プライマーは、370−247[SEQ ID NO:96]及び370−210[SEQ ID NO:97]。VK2−SVMDYについて、プライマーは、370−269[SEQ ID NO:98]及び370−210[SEQ ID NO:97]であった。VK3−DQMDYについて、プライマーは、370−268[SEQ ID NO:99]及び370−210[SEQ ID NO:97]であった。
【0102】
これらの反応混合物を、2%アガロースゲルを通して電気泳動し、軽鎖可変領域の予想されるサイズ(〜330bp)に対応するバンドをAgeI及びBamHIを用いて切り出した。これらのバンド中のDNAを、GENECLEAN(商標)技術(カリフォルニア、LaJolla在、Bio101 Inc.)を用いて溶出し、エタノール沈澱させて、続いて、各々を20μlのTE緩衝液(10mM トリス−HCl、1mM NaEDTA)に再懸濁した。
【0103】
DNAポリメラーゼのクレノー断片(New England Biolabs,5単位/μl)(1μl)を、1×ライゲーション緩衝液(10×ライゲーション緩衝液は、0.5M トリス/HCl(pH7.5)、100mMMgCl及び40mM DTT)及び0.125mMの各dXTPを含む25μlの反応物容積中の精製したPCR断片に加え、この反応物を室温で15分間インキュベートした。反応を、70℃に5分間インキュベートすることにより停止させ、次いで、氷上に貯蔵した。
【0104】
各PCR反応からの断片を、pNN03等のプラスミッド又はpNJ03から誘導したプラスミッド例えばpLCB7等にライゲーションする(これらは、前以てEcoRVにより線状化し、脱リン酸化して低融点アガロースを通して分画しておく)。かかるpNN03及びpLCB7を含むプラスミッドは、同時係属中の及び同時譲渡された(Burkly等、米国特許第07/916,098号(1992年7月24日出願)[75])に記載されている。
【0105】
このライゲーション混合物を用いて大腸菌K12JA221(Iq)をトランスフォームしてアンピシリン耐性にした。大腸菌K12 JA221(Iq)細胞は、American Type Culture Collectionに寄託されている(受託番号68845)。組換え体コロニーを、V挿入物の存在についてスクリーニングした。かかる断片を含むプラスミッドの幾つかを配列決定した。これらのV含有プラスミッドをpBAG190(VK1−DQL)、pBAG198(VK2−SVMDY)及びpBAG197(VK3−DQMDY)と呼び、大腸菌K12 JA221(Iq)細胞にて、それぞれ、受託番号69112、69115及び69114としてATCCに寄託した。別のV(PDLN)領域を含むプラスミッドは、pMDR1025と称した。
【0106】
一連の実験において、組換え抗VLA4重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターを電気穿孔法によるトランスフェクションに用い、次いで、細胞を48時間培養する。48時間の培養の後に、これらの細胞を、35S−システインを用いて一晩放射性標識し、次いで、それらの細胞の抽出物及び調整した培地をプロテインA−セファロースと共にインキュベートすることによって免疫沈降させる。プロテインA−セファロースをSDS−PAGEロード用緩衝液で洗い、結合した蛋白質を溶出する。これらの試料を、還元条件下の10% SDS−PAGE電気泳動により分析する。この方法において、軽鎖の発現は、重鎖と結合した結果としてのみ検出される。10%ゲルで可視化したときの、重鎖及び軽鎖の予想サイズは、それぞれ、50kD及び25kDである。
【0107】
実施例1〜4に記載のようにして調製した組換え抗VLA4抗体分子は、種々の哺乳動物細胞系統において安定に発現されるので、組換え抗体遺伝子を、Ig遺伝子プロモーター及びエンハンサーの制御下で非分泌性ミエローマ若しくはハイブリドーマにて発現させ、或は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の非リンパ様細胞にて発現させることは可能である(DHFR選択を用いるベクター増幅と共に)。最近、Bebbington等、1992[76]は、 グルタミンシンテターゼ遺伝子を増幅マーカーとして用いるミエローマ細胞からの組換え抗体の高レベル発現のための方法を記載した。このGS発現系は、本発明の組換え抗VLA4抗体分子の生成のために最も好適なものである。組換え抗体のGS発現のための方法、hCMVプロモーターを有するベクター及びhCMV−MIE遺伝子含有細胞系統(最も好ましくは、NSO)に由来する5’非翻訳配列を有するベクター及び培地は、Bebbington等、1992[76]、WO86/05807[77]、WO87/04462[78]、WO89/01036[79]及びWO89/10404[80]に詳細に記載されている。
【0108】
これらの刊行物の教示に従って、NSO細胞を、VH−AS領域配列[SEQ ID NO:54]を有する重鎖配列及びVK−SVMDY配列[SEQ ID NO:66]を有する軽鎖配列と共にトランスフェクトして、マウスHP1/2抗体に匹敵する高い効力を有するヒト化組換え抗VLA4抗体を分泌する安定な 細胞系統を得た。この細胞系統を、1992年11月3日に、ATCCに寄託して、受託番号CRL11175を付与された。このAS/SVMDYヒト化抗体は、少なくとも、マウスのHP1/2抗体と効力が等しいか、恐らくは一層高い効力を有する。
【0109】
(実施例6)
(アッセイ用調整培地からのMAbの精製)
最大結合若しくは最大阻害の半分(half−maximal)の正確な値を得るためには、濃度既知の精製抗体のストック溶液が必要である。関心のある抗体を分泌する安定な細胞系統を作成して、ヒト化組換え抗VLA4抗体を調整培地から慣用のプロテインAクロマトグラフィーを用いて精製した。精製した抗体の 濃度を、それらの280nmでの吸光度係数により評価した(これは、抗体について十分確立している)。
【0110】
ヒト化抗VLA4抗体を産生する細胞系統をローラーボトル中で、10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地にて生育させる。調整培地の2リットルバッチを各精製行程用に用いる。細胞を、RC−3B調製用遠心分離機(4K、30分、H4000ローター)での遠心分離によって培地から取り出し、上清を、先ず、0.45μメンブレンを通して、次いで、0.22μメンブレンを通して濾過する。この培地を、処理することが出来るまで4℃に貯蔵する。
【0111】
2リットルの調整培地を、S1Y30(YM30)Diafloカートリッジを取り付けたらせん式限外濾過ユニット(マサチューセッツ、Danvers, Cherry Hill Drive在、Amicon,Corp.)にて、220mlまで濃縮する。濃縮物を、400mlのプロテインA結合緩衝液(3M NaCl、1.5Mグリシン、pH8.9)で希釈し、再び、200mlまで濃縮する。その濃縮物を、バッチ式で、混合物を攪拌するためのレイズド・スター・バーを用いて、0.5mlのフアーストフロープロテインAセファロース4(ニュージャージー、Piscataway,Centennial Avenue 800在、Pharmacia Inc.)で処理する。一晩4℃でインキュベートした後、樹脂を遠心分離(5分間、50g)によって集めて20容のプロテインA結合緩衝液で2回洗い(樹 脂回収には遠心分離を使用)、そして、続く処理のためのカラムに移す。このカラムを、0.5mlのプロテインA結合緩衝液で4回洗い、0.25mlの PBSで2回洗い、そして、IgGをPierce IgG溶出緩衝液(イリノイ、Rockford在、 Pierce Chemical Co.,Cat No.21004Y又は21009Y)を用いて溶出させる。180μlの画分を集め、20μlの1M HEPES(pH7.5)で中和する。画分を、280nmの吸光度及びSDS−PAGEによって分析する。ゲルを、クーマシーブルーで染色する。ピーク画分をプールする。100μl(14ml/ml)を、100μlのPBSで希釈して、PBS中でのSuperose 6 FPLCカラム(ニュージャージー、Piscataway,Centennial Avenue 800在、Pharmacia Inc.)でのゲル濾過にかける。このカラムでの処理は20ml/時で行ない、1.5分の画分を集める。ピークのカラム画分をプールしてアリコートを採取し、ドライアイス上で凍結して−70℃に保存する。最終生成物のSDS−ポリアクリルアミドゲルプロフィルを、還元条件及び非還元条件下で得る。幾つかの場合には、試料を非還元条件下で分析したときに、生成物の約10%が無傷の抗体ではない。これらの場合の研究は、この生成物が重−軽鎖ダイマーであることを示している。これは、以前に、IgG4抗体の問題として認められている。
【0112】
(実施例7)
(ヒト化組換え抗VLA4抗体の相対的結合アフィニティーの決定)
本発明の組換え抗体を、実施例6に記載のようにして精製し、アッセイしてそれらのVLA4に対する特異性及び結合アフィニティー若しくは効力を決定する。特に、組換え抗VLA4抗体の効力を、下記の2つの異なるアッセイを用いて、最大結合定数の半分(half−maximal binding constant)(精製抗体のng/ml又はμg/mlとして報告)を計算することによって評価した。
【0113】
(1.VCAM1へのVLA4依存性接着の阻止)
抗VLA4抗体の臨界的機能は、VCAM1/VLA4接着経路を阻止する能力により規定される。精製した組換えの可溶性VCAM1(rsVCAM1)はプラスチック上に固定化され得て、機能性接着分子であることが以前に示されている(Lobb等、1991a,[81])。固定化rsVCAM1は、VLA4発現細胞例えばヒトB細胞系統Ramos等に結合し、この結合は、VCAM1に対するMAb例えば4B9又はVLA4に対するMAb例えばHP1/2によって阻止され得る。このアッセイは、任意のヒト化組換え抗体の効力を評価するための再現可能な方法を提供する。簡単に言えば、抗体溶液を希釈して、一連の抗体希釈物をRamos細胞と共にインキュベートし、次いで、それをrsVCAM1被覆したプレートでインキュベートする。Ramos細胞は、により記載されたようにして蛍光標識し、結合を、下記のプロトコールに従って、96ウェルクラスタープレートにて、蛍光により評価する。
【0114】
組換え可溶性VCAM1を調製し、本質的にLobb等、1991a[81]により記載されたようにして精製した。可溶性VCAMを、0.05M NaHCO(15mM NaHCO、35mM NaCO)pH9.2にて10μg/mlまで希釈する。次いで、50μl/ウェルを、Linbro Titertekポリスチレン平底96ウェルプレート(Flow Labsカタログ番号76−231−05)中に加える。このプレートを、一晩、4℃でインキュベートする。
【0115】
このインキュベーションの後に、ウェルの内容物を逆さにしてプレートにブロットすることによって取り出す。これらの空のウェルに、PBS、0.02%NaN中の1%BSAを、室温で1時間以上、ウェル当り100μlで加える。もしこのプレートを直ちに使用しないならば、それをブロックして1週間4℃で保存することが出来る。BSAを幾つかのウェルに加えて非特異的結合を評価する。
【0116】
結合を定量するために、VLA4提示細胞、好ましくはRamos細胞を、予備標識すべきである。これらの細胞を、放射性標識又は蛍光標識することが出来る。放射性標識するためには、細胞の予備標識を、一晩、H−チミジン(0.5μCi/ml)を用いて行なうことが出来る。或は(そして、好ましくは)、これらの細胞を、BCECF−AM(化学名:2’,7’−ビス−(2−カルボキシエチル)−5(及び−6)カルボキシフルオレセイン、アセトキシメチルエステル、オレゴン、Eugene,Molecular Probes Inc.,カタログ番号B−1150)とプレインキュベートする。この方法のために、細胞を5×10/mlに懸濁し、2μM BCECF−AMを加えて、混合物を37℃で30分間インキュベートする。何れかの方法の後に、これらの細胞を、RPMI、2%FBS(pH7.4)で洗う。1%FBSを有するRPMIも使用することが出来る。
【0117】
結合研究のために、2〜4×10細胞/ml(RPMI、2%FBS中)を再懸濁し、次いで、50μlの標識細胞をウェル当りに加える(室温で10分間の結合)。
【0118】
10分間のインキュベーションの後に、これらのウェルの内容物を逆さにすることにより取り出して、プレートをRPMI、2%FBSで穏やかに1〜2回洗う。光学顕微鏡で調べた場合に、BSAブランクのウェルは、非常に僅かの結合細胞しか有しない。しっかりと付着していない細胞を除去するために簡単な逆さ回転を含むことが出来、これらのプレートを再び1〜2回洗うことが出来る。
【0119】
BCECF−AM法のために、100μlの1%NP40を各ウェルに加えて細胞を可溶化し、次いで、プレートを、蛍光プレートスキャナー上で読む(放射性標識法を用いたならば、100μlの0.1%NaOHを各ウェルに加え、次いで、各ウェルの内容物を、カクテルを含むシンチレーションバイアルに移す)。
【0120】
50μlの容積の標識細胞をカウントして各ウェルに加えた全既知値を得る。次いで、50μlの標識細胞を、100μlの1%NP40のみを含むウェル又は用いる方法に依存するシンチレーションバイアルに加える。
【0121】
抗体ブロッキング研究のために、100μl/ウェルのマウスHP1/2MAb(抗VLA4)を、典型的には、RPMI、2%FBS中10μg/mlで、rsVCAM1 被覆したプレートに加え、上記のように細胞結合の前に室温で30分間インキュベートする。MAbHP1/2(抗VLA4)又はここに記載したようにして調製した任意の組換えヒト化抗VLA4抗体は、細胞結合の前に、室温で30分間、標識細胞とプレインキュベートしなければならない。プレインキュベートした抗体の濃度は変化するが、一般に、濃度は、約1μg/mlの範囲にあった。
【0122】
これらの接着アッセイにおいて、マウスHP1/2は、約40ng/mlにてRamos細胞結合を完全に阻止し、約15ng/ml(10μM)で最大値の半分だけ阻止する。本発明により作成したヒト化組換え抗VLA4抗体を用いる接着アッセイの、計算した半最大結合定数(half−maximal binding constant)により表した結果を、表IIIに示す。各値について実施した実験数(n)は、組換えヒト化抗体について示してある。下記において検討するように、これらの結果は、一般に、FACS結合アッセイで得られた結果に匹敵する。
【0123】
安定にトランスフェクトされたYB2/0細胞系統から精製したVK1(DQL)軽鎖を有する組換えステージ0、ステージ1、ステージ2及びステージ3抗体の効力を、表IIIに示すように、接着アッセイにおいて測定した。その結果は、ステージ0−B及び0−Cヒト化抗体を用いては、1μg/ml(1000ng/ml)までの濃度において阻止はないことを示した。改良したVK2(SVMDY)軽鎖を有する組換えステージ3抗体STAW及びASを用いた結果は、AS/SVMDY抗体が少なくともマウスHP1/2抗体と等しい効力を有するか恐らくは一層高い効力を有することを示した。あるステージ2及びステージ3構築物は、マウスHP1/2抗体の効力の約20〜100%の効力を示した。
【0124】
(2.FACSアッセイ)
ヒト化組換え抗体の細胞表面への結合を、蛍光標識抗体を用いて、蛍光活性化セルソーター(FACS)分析によって直接評価することが出来る。これは、投与量応答測定の後の半最大結合情報をも提供する標準的技術である。これらのFACS法は、Lobb等、1991b[82]に記載されている。
【0125】
簡単に言えば、25μlの細胞(4×10/mlFACS緩衝液、2%FBS、0.1%NaN中)を氷上で、5μlの5μg/mlのFITC又はフィコエリトリン(PE)結合抗体(FACS緩衝液中)に加えて、氷上でV底ミクロタイターウェル中で30分間インキュベートする。これらのウェルに、125μlのFACS緩衝液を加え、そのプレートを350×gで5分間遠心分離して上清を振り落とす。各ウェルに、125μlのFACS緩衝液を加え、次いで、細胞を12×75mmのFalconポリスチレンチューブに移して最終容積250μl(FACS緩衝液中)に再懸濁する。この混合物を、Becton Dickinson FACStarにて分析する。このFACSアッセイの結果を、本発明により作成したヒト化組換え抗VLA4抗体を用いて計算した半最大結合定数により表して、表IIIに示し、各値について実施した実験数(n)をヒト化抗体について示した。表IIIは又、組合せた接着及びFACSアッセイから計算した効力をも示す。マウスHP1/2は、15ng/mlにて、Ramos細胞に対して半最大で結合する。AS/SVMDYヒト化抗体は、12ng/mlにて、Ramos細胞に対して半最大で結合する。従って、これらの2つのアッセイ(即ち、接着及びFACSアッセイ)は、マウス抗体とヒト化AS/SVMDY抗体について優れた相関を示す。
【0126】
【表3】

(寄託)
下記のプラスミッドを、大腸菌K12 J221(Iq)にて、ブダペスト条約の下、メリーランド(USA)Rockville在、American Type Culture Collection(ATCC)に、1992年10月30日に寄託した。これらの寄託物は、下記の通りである:
プラスミッド 受託番号
pBAG 184(V−STAW) 69110
pBAG 183(V−KAITAS) 69109
pBAG 185(V−KRS) 69111
pBAG 207(V−SSE) 69116
pBAG 195(V−AS) 69113
pBAG 190(VK1−DQL) 69112
pBAG 198(VK2−SVMDY) 69115
pBAG 197(VK3−DQMDY) 69114
更に、ヒト化組換え抗VLA4抗体を産生するNSO細胞系統を、ブダペスト条約の下、メリーランド(USA)Rockville在、American Type Culture Collection(ATCC)に、1992年11月3日に寄託した。この寄託物は、ATCC受託番号CRL11175を付与された。
【0127】
(配列)
下記は、Sequence Listingに示した配列の要約である:
SEQ ID NO:1 CG1FORプライマーのDNA配列
SEQ ID NO:2 CK2FORプライマーのDNA配列
SEQ ID NO:3 VH1BACKプライマーのDNA配列
SEQ ID NO:4 VH5BACKプライマーのDNA配列
SEQ ID NO:5 HP1/2重鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:6 HP1/2重鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:7 VH1BACKプライマーのDNA配列
SEQ ID NO:8 VK7BACKプライマーのDNA配列
SEQ ID NO:9 HP1/2軽鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:10 HP1/2軽鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:11 VH1FORプライマーのDNA配列
SEQ ID NO:12 VK3BACKプライマーのDNA配列
SEQ ID NO:13 VK1FORプライマーのDNA配列
SEQ ID NO:14 M13VHPCR1中のVH挿入物のDNA配列
SEQ ID NO:15 M13VHPCR1中のVH挿入物のアミノ酸配列
SEQ ID NO:16 M13VKPCR2中のVK挿入物のDNA配列
SEQ ID NO:17 M13VKPCR2中のVK挿入物のアミノ酸配列
SEQ ID NO:18 オリゴ598のDNA配列
SEQ ID NO:19 オリゴ599のDNA配列
SEQ ID NO:20 オリゴ600のDNA配列
SEQ ID NO:21 オリゴ605のDNA配列
SEQ ID NO:22 オリゴ606のDNA配列
SEQ ID NO:23 オリゴ607のDNA配列
SEQ ID NO:24 オリゴ10のDNA配列
SEQ ID NO:25 オリゴ385のDNA配列
SEQ ID NO:26 オリゴ11のDNA配列
SEQ ID NO:27 オリゴ391のDNA配列
SEQ ID NO:28 ステージ1重鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:29 ステージ1重鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:30 VK1(DQL)軽鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:31 VK1(DQL)軽鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:32 ステージ2重鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:33 ステージ2重鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:34 オリゴ684のDNA配列
SEQ ID NO:35 オリゴ683のDNA配列
SEQ ID NO:36 オリゴ713のDNA配列
SEQ ID NO:37 オリゴ716のDNA配列
SEQ ID NO:38 STAW重鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:39 STAW重鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:40 オリゴ706のDNA配列
SEQ ID NO:41 オリゴ707のDNA配列
SEQ ID NO:42 KAITAS重鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:43 KAITAS重鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:44 オリゴ768のDNA配列
SEQ ID NO:45 オリゴ769のDNA配列
SEQ ID NO:46 SSE重鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:47 SSE重鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:48 オリゴ704のDNA配列
SEQ ID NO:49 オリゴ705のDNA配列
SEQ ID NO:50 KRS重鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:51 KRS重鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:52 オリゴ745のDNA配列
SEQ ID NO:53 オリゴ746のDNA配列
SEQ ID NO:54 AS重鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:55 AS重鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:56 オリゴ915のDNA配列
SEQ ID NO:57 オリゴ917のDNA配列
SEQ ID NO:58 オリゴ918のDNA配列
SEQ ID NO:59 オリゴ919のDNA配列
SEQ ID NO:60 オリゴ697のDNA配列
SEQ ID NO:61 オリゴ698のDNA配列
SEQ ID NO:62 VK2(SVMDY)軽鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:63 VK2(SVMDY)軽鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:64 オリゴ803のDNA配列
SEQ ID NO:65 オリゴ804のDNA配列
SEQ ID NO:66 VK3(DQMDY)軽鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:67 VK3(DQMDY)軽鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:68 PDLN重鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:69 PDLN重鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:70 PDLN軽鎖可変領域のDNA配列
SEQ ID NO:71 PDLN軽鎖可変領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO:72 オリゴ370−119のDNA配列
SEQ ID NO:73 オリゴ370−120のDNA配列
SEQ ID NO:74 オリゴ370−121のDNA配列
SEQ ID NO:75 オリゴ370−122のDNA配列
SEQ ID NO:76 オリゴ370−123のDNA配列
SEQ ID NO:77 オリゴ370−124のDNA配列
SEQ ID NO:78 オリゴ370−125のDNA配列
SEQ ID NO:79 オリゴ370−126のDNA配列
SEQ ID NO:80 オリゴ370−127のDNA配列
SEQ ID NO:81 オリゴ370−128のDNA配列
SEQ ID NO:82 オリゴ370−129のDNA配列
SEQ ID NO:83 オリゴ370−130のDNA配列
SEQ ID NO:84 オリゴ370−131のDNA配列
SEQ ID NO:85 オリゴ370−132のDNA配列
SEQ ID NO:86 オリゴ370−133のDNA配列
SEQ ID NO:87 オリゴ370−134のDNA配列
SEQ ID N0:88 オリゴ370−135のDNA配列
SEQ ID N0:89 オリゴ370−136のDNA配列
SEQ ID NO:90 オリゴ370−137のDNA配列
SEQ ID NO:91 オリゴ370−138のDNA配列
SEQ ID NO:92 オリゴ370−139のDNA配列
SEQ ID NO:93 オリゴ370−140のDNA配列
SEQ ID NO:94 オリゴ370−141のDNA配列
SEQ ID NO:95 オリゴ370−142のDNA配列
SEQ ID NO:96 VK1−DQLプライマー370−247のDNA配列
SEQ ID NO:97 VK1−DQLプライマー370−210のDNA配列
SEQ ID NO:98 VK2−SVMDYプライマー370−269のDNA配列SEQ ID N0:99 VK3−SVMDYプライマー370−268のDNA配列
我々は、上に、この発明の幾つかの具体例を説明してきたが、我々の基本的具体例を変形して、この発明の組成物及び方法を利用する他の具体例を与え得ることは明白である。それ故に、この発明の範囲は、上記の明細書中に規定され及び添付の請求の範囲により規定されるすべての別の具体例及び変法を含み且つ、この発明は説明のためにここに提供した特定の具体例に限定されるべきでないことは、認められるであろう。
【0128】
【表4】








ここに列記した各文献は、そのまま、参考として本明細書中に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2012−191936(P2012−191936A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115391(P2012−115391)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2010−56608(P2010−56608)の分割
【原出願日】平成6年1月7日(1994.1.7)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】