組換えCDV組成物およびその使用
本発明は、CDVポリペプチドまたはCDVに対する免疫応答を動物で誘引する抗原を含み、さらに前記をin vivoまたはin vitroで発現するベクター、前記ベクターおよび/またはCDVポリペプチドを含む組成物、並びにCDVに対してワクチン接種する方法を提供する。本発明はさらに、CDVおよび他のイヌウイルスに対する免疫原性または防御性応答を誘発する方法、並びにCDVおよび他のイヌウイルスまたはCDVおよび他のイヌウイルスによって引き起こされる病的状態を予防または治療する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は米国仮特許出願61/308,620(2010年2月26日出願)の優先権を主張する。
本発明は、イヌジステンパーウイルスおよび他のイヌウイルスの動物における感染に対抗する処方物に関する。具体的には、本発明は、イヌジステンパーウイルスに対する免疫応答を動物で誘引するCDV HAを含むとともに前記をin vivoまたはin vitroで発現するベクター(前記ベクターを含む組成物を含む)、イヌジステンパーウイルスに対するワクチン接種方法、並びにそのような方法および組成物と一緒に用いられるキットを提供する。本発明はまた、イヌジステンパーウイルスおよび他のイヌウイルスに対する免疫応答を動物で誘引するCDV HAおよびGM-CSFを含むとともに前記をin vivoまたはin vitroで発現するベクター、並びに前記ベクターを含む組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
イヌジステンパー(CD)はイヌおよび他の食肉動物の強感染性、発熱性の疾患である(Fenner, et al., 1987, Veterinary Virology, Academic Press, Inc., pp. 485-503)。死亡率は高く、30から80%の範囲である。生きのびたイヌはしばしば中枢神経系に永久的な損傷を有する(Fenner, et al., 1987)。CDの確立された病因は、CDウイルス(CDV)として知られるパラミクソウイルス科、モルビリウイルス属のメンバーによる感染である。一般的には、パラミクソウイルスは、マイナス鎖である18-20kbの一本鎖RNAゲノムを含むエンベロープ保有ウイルスである。前記ゲノムは5から7つの構造タンパク質をコードし、構造タンパク質には融合(F)糖タンパク質およびヘマグルチニン‐ノイラミニダーゼ(HN)またはヘマグルチニン(HA)糖タンパク質が含まれる。膜糖タンパク質ヘマグルチニン(HA)は血球凝集反応およびウイルスと宿主細胞との付着をもたらし、融合糖タンパク質(F)はウイルスと感染細胞間または感染細胞と隣接する未感染細胞間の膜融合を引き起こす(Graves et al., 1978, Virology 86:254-263)。CDVについては、FおよびHA糖タンパク質の両方がウイルスエンベロープおよび感染細胞表面に見出される。他のモルビリウイルスメンバーを用いた解析から推論すると、CDV FおよびHA糖タンパク質は、CDV感染およびその免疫学で重要であるように思われる(Diallo A., 1990, Vet. Micro. 23: 155-163)。ポックスウイルス系組換えCDVワクチンがイヌの防御および治療のために開発された(US 5,756,102)。米国特許出願USSN 09/587,964は、CDV抗原を発現するDNAプラスミド系ワクチンを開示している。
【0003】
顆粒球‐マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は1977年に初めて見出された(Burgess et al., 1977, J. Biol. Chem.252:1998-2003)。GM-CSFは多くの生理学的役割を有する。特に、GM-CSFは、顆粒球、マクロファージ、好酸球および巨核球の生産、発育およびコロニー形成を刺激する(Dy M., in“les Cytokines”Cavailon 1995 ed. Masson, Paris, France, 43-56)。GM-CSは特にマクロファージの細胞傷害性を誘発し、抗体依存細胞傷害活性(ADCC)および白血球補充を炎症部位並みに刺激する。
多様な種に由来する公知のGM-CSFをコードするヌクレオチド配列のサイズは381から432ヌクレオチドまで変動する。ヒトおよびネズミのヌクレオチド配列は69%の相同性を有する。アミノ酸配列レベルでの相同性は54%である(Cantrell et al., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6250-6254)。144アミノ酸サイズを有するウマGM-CSFが同定された(US 7,250,161)。2つのイヌGM-CSFがUS 5,702, 919およびUS 5,606,024で同定され、前記はそれぞれ127アミノ酸および174アミノ酸を有する。
異種GM-CSFの投与は、最適なアジュバント効果、特に造血細胞活性の刺激および免疫応答の実質的な増加をもたらすことはできない。
したがって、CDVワクチンの有効性および安全性の改善並びに野外条件下でのより有効な防御が広く希求される。
本発明は、ワクチン接種イヌに対する高度な安全性を維持しつつcaGM-CSFの免疫学的作用を最適化する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、組換えベクターまたはウイルスおよびそのようなウイルスの作製方法の提供、並びに、CDVおよび他のイヌウイルスによる感染の治療および予防のための組成物および/またはワクチン並びに方法の提供のうちのいずれかまたは全部であり得る。
本発明は、少なくとも1つの外因性核酸分子を含むとともに前記を発現する組換えベクター(例えば組換えウイルス)を提供し、前記少なくとも1つの外因性核酸分子はCDVに由来する問題の免疫原またはエピトープ(例えばCDV HA)をコードする核酸分子を含むことができる。
本発明は、CDV HAポリペプチドおよび/またはその変種またはフラグメントをコードする第一のポリヌクレオチド、およびイヌGM-CSFポリペプチドおよび/またはその変種またはフラグメントをコードする第二のポリヌクレオチドを含む、組換えベクター(例えば組換えポックスウイルス)を提供する。
本発明はさらに、そのような発現ベクターまたはそのような発現ベクターの発現生成物を含む組成物またはワクチンを提供する。
本発明はさらに、CDVおよび他のイヌウイルスに抗する免疫学的(もしくは免疫原性)または防御的応答を誘発する方法、並びに、CDVおよび他のイヌウイルス、またはCDVおよび他のイヌウイルスによって引き起こされる病的状態を予防または治療する方法を提供し、本方法は、前記発現ベクターもしくは前記発現ベクターの発現生成物、または前記発現ベクターを含む組成物、または前記発現ベクターの発現生成物を含む組成物を投与する工程を含む。
本発明はまた、前記ウイルスに由来する発現生成物、および前記発現生成物またはその発現によりin vivoで生成される抗体、並びにそのような生成物および抗体の例えば診断的応用における使用に関する。
前記の実施態様および他の実施態様は以下の詳細な説明で開示されてあるかまたは前記詳細な説明から明白であり、前記詳細な説明中に含まれている。
以下の詳細な説明(例示手段により提供されるが本発明をもっぱら記載の具体的態様に限定する意図はない)は、添付の下記図面と一緒にして最も理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1−1】該当ポリヌクレオチドおよびタンパク質に割り振られた配列番号を確認する表を提供する。
【図1−2】図1−1続き
【図2】配列番号:2と配列番号:5の配列アラインメントを提供する。
【図3】pCXL1557.1およびpJSY2218.1のプラスミドマップを示す。
【図4】vCP2263のサザンブロットを示す。
【図5】vCP2263のウェスタンブロットを示す。
【図6】vCP2263のイムノプラークアッセイを示す。
【図7】vCP2391のウェスタンブロットを示す。
【図8】vCP2392のウェスタンブロットを示す。
【図9】vCP2391およびvCP2392のGM-CSFのウェスタンブロットを示す。
【図10】vCP2392のCDV HAタンパク質のウェスタンブロットを示す。
【図11】異種SNテストを用いたvCP2392およびvCP2263の血清学についての結果を提供する。
【図12】同種SNテストを用いたvCP2392およびvCP2263の血清学についての結果を提供する。
【図13a】図13aは、CDV HAタンパク質の配列アラインメントを提供する。
【図13b】図13bは、CDV HAタンパク質のアミノ酸レベルにおける配列同一性パーセンテージを提供する。
【図14−1】コドン最適化CDV HA DNAおよび野生型CDV HA DNAの配列アラインメントを提供する。
【図14−2】図14-1続き
【図14−3】図14-2続き
【図15a】図15aは、CDV HA DNAの配列アラインメントを提供する。
【図15b】図15bは、CDV HA DNAのDNAレベルにおける配列同一性パーセンテージを提供する。
【図16】細胞性免疫応答の結果を提供する。
【図17】CPV2 ELISAの結果を提供する。
【図18】CDV SN抗体の同種SNテストの結果を示す。
【図19】CDV SN抗体の異種SNテストの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
動物で免疫原性応答を誘引する、CDVポリペプチド並びにそのフラグメントおよび変種をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む組成物が提供される。CDVポリペプチドまたはフラグメントもしくは変種をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターをワクチンまたは医薬組成物に処方して、動物で防御応答を誘引または刺激することができる。ある実施態様では、CDVポリペプチドはCDVヘマグルチニン(HA)ポリペプチドまたはその活性なフラグメントもしくは変種である。
CDV HAポリペプチドまたはその活性なフラグメントもしくは変種をコードするポリヌクレオチド、およびGM-CSFポリペプチドまたはその活性なフラグメントもしくは変種をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む組成物が提供される。
本発明のポリペプチドは、完全長ポリペプチドでもその活性なフラグメントもしくは変種でもあり得ることは理解されるであろう。“活性なフラグメント”または“活性な変種”とは、当該フラグメントまたは変種が当該ポリペプチドの抗原性性質を保持することが意図される。したがって、本発明は、動物で免疫原性応答を誘引する任意のCDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を包含する。前記CDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原は任意のCDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原で、例えば動物で応答を誘引、誘発または刺激するタンパク質、ペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種であり得るが、ただしそれらに限定されない。
【0007】
特に注目されるCDVポリペプチドはCDVヘマグルチニン(HA)である。CDV HAは、CDVの表面で見出されるヘマグルチニンの一タイプを指す。前記は抗原性糖タンパク質であり、ウイルスと感染細胞との結合をもたらす。種々のHA抗原が存在し、野外で循環している種々のCDV株と密接に関係するが、それらのいずれも本発明の実施に用いることができる。しかしながら、別個の抗原(例えば融合(F)糖タンパク質および核タンパク質(NP))が存在し、前記のいずれも本発明の実施に用いることができる。さらにこれらの抗原のいずれの前駆体も用いることができることは理解されるであろう。本発明の抗原性ポリペプチドはCDVに対して防御能力を有する。すなわち、それらは動物で免疫応答を刺激する能力を有する。
“抗原”または“免疫原”という用語は、宿主動物で特異的な免疫応答を誘発する物質を意味する。抗原は以下を含むことができる:生物体全体(死滅、弱毒または生);生物体のサブユニットまたは部分;免疫原性特性を有する挿入物を含む組換えベクター;宿主動物への提示に際して免疫応答を誘発する能力を有するDNAの一部分またはフラグメント;ポリペプチド、エピトープ、ハプテンまたはそれらの任意の組合せ。或いは、免疫原または抗原は毒素または抗毒素を含むことができる。
【0008】
“タンパク質”、“ペプチド”、“ポリペプチド”および“ポリペプチドフラグメント”という用語は本明細書では互換的に用いられ、アミノ酸残基の任意の長さのポリマーを指す。前記ポリマーは線形でも分枝状でもよく、改変アミノ酸またはアミノ酸アナローグを含むことができ、さらにアミノ酸以外の化学的部分によって中断されていてもよい。前記用語はまた、天然にまたは介入により改変されたアミノ酸ポリマーを包含し、前記改変は例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作または改変、例えば標識または生物活性成分との結合であり得る。
“CDV HAポリペプチドまたはポリヌクレオチド”という用語は、任意の天然または最適化CDV HAポリペプチドまたはポリヌクレオチド並びにそれらの誘導体および変種を指す。
“GM-CSFポリペプチドまたはポリヌクレオチド”という用語は、任意の天然または最適化GM-CSFポリペプチドまたはポリヌクレオチド並びにそれらの誘導体および変種を指す。
【0009】
本明細書で用いられる“免疫原性または抗原性ポリペプチド”という用語は、宿主動物にいったん投与されたら当該タンパク質に対する液性および/または細胞性タイプの免疫応答を惹起することができるという意味で免疫学的に活性なポリペプチドを含む。好ましくは、前記タンパク質フラグメントは、完全なタンパク質と実質的に同じ免疫学的活性を有するものである。したがって、本発明のタンパク質フラグメントは、少なくとも1つのエピトープまたは抗原決定基を含むか、またはそれらから成るかもしくは本質的にそれらから成る。本明細書で用いられる、“免疫原性”タンパク質またはポリペプチドには該当タンパク質の完全長配列、そのアナローグ、またはその免疫原性フラグメントが含まれる。“免疫原性フラグメント”とは、1つまたは2つ以上のエピトープを含み、したがって上記記載の免疫学的応答を誘引するタンパク質フラグメントを意味する。そのようなフラグメントは、当業界で周知の多数のエピトープマッピング技術のいずれかを用いて同定することができる。例えば以下を参照されたい:Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66(Glenn E. Morris, Ed., 1996)。例えば線形エピトープは、固相上で多数のペプチドを同時に合成し(前記ペプチドは該当タンパク質分子の部分と一致する)、前記ペプチドが固相に結合している間にペプチドと抗体を反応させることによって決定することができる。そのような技術は当業界では公知であり、例えば以下に記載されている:米国特許4,708,871号;Geysen et al., 1984;Geysen et al., 1986。同様に立体エピトープは、例えばx線結晶学および二次元核磁気共鳴によってアミノ酸の空間配座を決定することによって容易に同定される。例えば上掲書(Epitope Mapping Protocols)を参照されたい。
【0010】
本明細書で考察するように、本発明は抗原性ポリペプチドの活性なフラグメントおよび変種を包含する。したがって、“免疫原性または抗原性ポリペプチド”はさらに、当該ポリペプチドが機能して本明細書に規定する免疫学的応答を生じる限り当該配列に対する欠失、付加および置換を含む。
“保存的変異”という用語は、アミノ酸残基の生物学的に類似する別の残基による置換、またはコードされるアミノ酸残基が変化しないかもしくは生物学的に類似の別の残基となるような核酸配列内のヌクレオチドの置換を意味する。これに関しては、特に好ましい置換は保存的、すなわち一アミノ酸ファミリー内で生じる置換であろう。例えばアミノ酸は一般的に以下の4つのファミリーに分割される:(1)酸性:アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性:リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性:アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性:グリシン、アスパラギン、グルタミン、シスチン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは時に芳香族アミノ酸として分類される。保存的変異の例には、1つの疎水性残基(例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニン)による別の疎水性残基の置換、または1つの極性残基による別の極性残基の置換(例えばアルギニンによるリジンの置換、グルタミン酸によるアスパラギン酸の置換、またはグルタミンによるアスパラギンの置換など);または生物学的活性に対して主要な影響を与えない構造的に関連するアミノ酸による同様な保存的アミノ酸置換が含まれる。したがって、参照分子と実質的に同じアミノ酸配列を有するが、当該タンパク質の免疫原性に実質的に影響を与えない小さなアミノ酸置換を有するタンパク質は参照ポリペプチドの規定内にある。これらの改変によって生じるポリペプチドは全てこの中に含まれる。“保存的変異”という用語はまた、未置換親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸の使用を含むが、ただしこの場合、置換ポリペプチドに対して生成された抗体もまた未置換ポリペプチドと免疫反応性を有することを条件とする。
【0011】
“エピトープ”という用語は、特異的B細胞および/またはT細胞が応答する抗原またはハプテン上の部位を指す。前記用語はまた“抗原決定基”または“抗原決定部位”と互換的に用いられる。同じエピトープを認識する抗体は、ある抗体が別の抗体と標的抗原との結合を阻止する能力を有することを示す簡単なイムノアッセイで同定できる。
組成物またはワクチンに対する“免疫学的応答”は、対象組成物またはワクチンに対する細胞性および/または抗体媒介性免疫応答の宿主細胞における発達である。通常、“免疫学的応答”には1つまたは2つ以上の以下の作用が含まれる(ただしこれらに限定されない):対象組成物またはワクチンに含まれる1つの抗原または複数の抗原を特異的に指向する抗体、B細胞、ヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞の生成。好ましくは、宿主は、新規感染に対する抵抗が強化されるか、および/または当該疾患の臨床的重症度が軽減されるような治療的または防御的な免疫学的応答を示すであろう。そのような防御は、感染宿主が通常示す徴候の軽減または欠如、より迅速な回復期間および/または感染宿主のウイルス力価の低下によって示されるであろう。
【0012】
“動物”には哺乳動物、鳥類などが意図される。本明細書で用いられる動物または宿主には哺乳動物およびヒトが含まれる。動物は、ウマ科(例えばウマ)、イヌ科(例えばイヌ、オオカミ、キツネ、コヨーテ、ジャッカル)、ネコ科(例えばライオン、トラ、イエネコ、野生ネコ、他の大型のネコ類、並びにチーターおよびオオヤマネコを含む他のネコ科)、ヒツジ科(例えばヒツジ)、ウシ科(例えばウシ)、ブタ類(例えばブタ)、鳥類(例えばニワトリ、アヒル、カモ、シチメンチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、ダチョウ、エミューおよびヒクイドリ)、霊長類(例えば原猿類、メガネザル、モンキー、テナガザル、エイプ)、フェレット、アザラシおよび魚類から成る群から選択できる。“動物”という用語はまた発育の全段階(胚期および胎児期を含む)の個々の動物を含む。
特に説明がなければ、本明細書で用いられる全ての技術用語および学術用語は、本開示が属する業界の通常の技量を有する者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。単数語の“a”、”an”および“the”は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り複数の対象物を含む。同様に、“or”という単語は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り“and”を含むことが意図される。
本開示および特に特許請求の範囲では、例えば“含む”という用語(“comprises”、“comprised”、“comprising”など)は、米国特許法で前記に帰された意味を有することができる。例えば前記は“含む”(“includes”、“included”、“including”など)という意味を有することができる。さらに、例えば“本質的に〜から成る”という用語(“consisting essentially of”および“consists essentially of”)は、米国特許法でそれらに帰された意味を有する。例えば、前記用語は明確に列挙されていない要素を許容するが、先行技術で見出されている要素または本発明の基本的または新規な特徴に影響を与える要素を排除する。
【0013】
組成物
本発明は、CDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原をコードするポリヌクレオチドを含む組換えもしくは発現ベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルを含むことができるCDVワクチンまたは組成物に関する。前記CDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原は、任意のCDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原、例えば動物で応答を誘引、誘発または刺激するタンパク質、ペプチドまたはそのフラグメント(ただしこれらに限定されない)であり得る。
本発明は、CDV HAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えもしくは発現ベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルを含むことができるCDVワクチンまたは組成物に関する。ある実施態様では、発現ベクターはさらにGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。
別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルは油中水エマルジョンであり得る。さらに別の実施態様では、油中水エマルジョンは水/油/水(W/O/W)三重エマルジョンであり得る。さらに別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルは水中油エマルジョンであり得る。
【0014】
ある実施態様では、CDVポリペプチド、抗原またはそのフラグメントもしくは変種はCDV HAポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種であり得る。本実施態様のある特徴では、CDV HAポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種はCDV HA遺伝子によって生成された組換えポリペプチドである。本実施態様の別の特徴では、CDV HA遺伝子は、配列番号:1、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49に示される配列と少なくとも70%の同一性を有する。本実施態様の別の特徴では、CDV HAポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種は、配列番号:2、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34に示される配列と少なくとも80%の同一性を有する。
別の特徴では、GM-CSFポリペプチド、抗原またはそのフラグメントもしくは変種はGM-CSF遺伝子によって生成された組換えポリペプチドである。本実施態様の別の特徴では、GM-CSF遺伝子は配列番号:3に示される配列と少なくとも70%の同一性を有する。本実施態様の別の特徴では、GM-CSFポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種は配列番号:4に示される配列と少なくとも80%の同一性を有する。
【0015】
合成抗原もまた本規定内に含まれる(例えばポリエピトープ、フランキングエピトープおよび他の組換え体または合成誘導抗原)。例えば以下を参照されたい:Bergmann et al., 1993;Bergmann et al., 1996; Suhrbier, 1997;Gardner et al., 1998。本発明の目的のためには、免疫原性フラグメントは、通常は当該分子の少なくとも約3アミノ酸、少なくとも約5アミノ酸、少なくとも約10−15アミノ酸、または約15−25アミノ酸、またはそれより大きいアミノ酸を含むであろう。フラグメントの長さに決定的な上限はなく、前記はほとんど完全長のタンパク質配列または当該タンパク質の少なくとも1つのエピトープを含む融合タンパク質すら含み得る。
したがって、エピトープを発現するポリヌクレオチドの最小構造は、それがCDVポリペプチドのエピトープまたは抗原決定基をコードするヌクレオチド含むかまたは前記から成るかまたは本質的に前記から成るというものである。CDVポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチドは、当該ポリペプチドをコードする配列の最小限15ヌクレオチド、約30−45ヌクレオチド、約45−75、または少なくとも75、87または150の継続的なもしくは連続するヌクレオチドを含むか、または前記から成るか、または本質的に前記から成る。エピトープ決定手順、例えばオーバーラップペプチドライブラリーの作製(Hemmer et al., 1998)、ペプスキャン(Pepscan)(Geysen et al., 1984;Geysen et al., 1985;Van der Zee R. et al., 1989;Geysen, 1990;Multipin.RTM. Peptide Synthesis Kits de Chiron)およびアルゴリズム(De Groot et al., 1999;PCT/US2004/022605)を本発明の実施で用いることができる。
【0016】
“核酸”および“ポリヌクレオチド”という用語は、線形または分枝状の一本鎖もしくは二本鎖またはそのハイブリッドであるRNAもしくはDNAを指す。前記用語はまた、RNA/DNAハイブリッドを包含する。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子フラグメント、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブおよびプライマー。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナローグ、ウラシル、他の糖および連結基、例えばフルオロリボースおよびチオレート、並びにヌクレオチド分枝鎖を含むことができる。ヌクレオチドの配列は、ポリマー形成後に例えば標識成分との複合体形成によってさらに改変することができる。本規定に含まれる他の改変タイプは、キャップ、1つまたは2つ以上の天然に存在するヌクレオチドのアナローグによる置換、およびポリヌクレオチドとタンパク質、金属イオン、標識成分、他のポリヌクレオチドまたは固相との結合のための手段の導入である。前記ポリヌクレオチドは化学合成によって入手するか、または微生物から誘導することができる。
【0017】
“遺伝子”という用語は、生物学的機能を随伴するポリヌクレオチドの任意のセグメントを指すために広く用いられる。したがって、遺伝子はゲノム配列の場合のようにイントロンおよびエクソンを含むか、またはcDNAおよび/またはそれらの発現のために必要な調節配列の場合のようにコード配列のみを含む。例えば、遺伝子はまた、mRNAもしくは機能的RNAを発現するかまたは個々のタンパク質をコードする核酸フラグメントを指し、前記核酸フラグメントは調節配列を含む。
本発明はさらに、CDV抗原、エピトープまたは免疫原をコードするポリヌクレオチドまたはGM-CSF抗原、エピトープまたは免疫原をコードするポリヌクレオチドの相補鎖を含む。前記相補鎖はポリマーであって任意の長さであり得る。前記はデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよびアナローグを任意の組合せで含むことができる。
“単離された”生物学的成分(例えば核酸またはタンパク質または細胞小器官)は、前記成分が天然に存在する生物の細胞内の他の生物学的成分(例えば他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、タンパク質、並びに細胞小器官)から実質的に分離されているかまたは精製されている成分を指す。“単離された”核酸およびタンパク質には、標準的精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。“単離された”という用語はまた、化学合成と同様に組み換え技術によって調製された核酸およびタンパク質を包含する。
【0018】
本明細書で用いられる“精製された”という用語は完全な純度を要求せず、むしろ相対的な用語として意図される。したがって、例えば部分的に精製されたポリペプチド調製物は、前記ポリペプチドがその本来の環境に存在するよりも濃縮されている。すなわち、前記ポリペプチドは細胞構成成分から分離されている。“実質的に精製された”とは、細胞性成分または物質の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%、またはそれより多くが除去されてあることが意図される。“部分的に精製された”とは、細胞構成成分または物質の60%未満の除去を意図する。ポリヌクレオチドについても同様である。本明細書に開示するポリペプチドは当業界で公知の任意の手段によって精製できる。
【0019】
さらにまたCDV HAポリペプチドのホモローグおよびGM-CSFポリペプチドのホモローグも本発明の範囲内に包含される。本明細書で用いられるように、“ホモローグ”という用語はオルソローグ、アナローグおよびパラローグを含む。“アナローグ”という用語は、同じまたは類似する機能を有するが、無関係の生物で別々に進化した2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。“オルソローグ”という用語は、異なる種に由来するが、共通の祖先遺伝子から種分化によって進化してきた2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。通常オルソローグは同じまたは類似する機能を有するポリペプチドをコードする。“パラローグ”という用語は、ゲノム内の重複化によって関係をもつ2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。パラローグは通常異なる機能を有するが、これらの機能は関係を有することがある。例えば、野生型CDVポリペプチドのアナローグ、オルソローグおよびパラローグは翻訳後改変によって、アミノ酸配列の相違によって、またはその両方によって野生型CDVポリペプチドと相違し得る。特に、本発明のホモローグは、一般的には野生型CDVポリペプチドまたはポリヌクレオチドの全部または部分に関して、少なくとも80−85%、85−90%、90−95%、または95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を示し、類似の機能を示すであろう。
【0020】
ある実施態様では、本発明は、配列番号:2、4、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34に示される配列を有するポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する1つまたは2つ以上のポリペプチドをコードする1つまたは2つ以上のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。別の実施態様では、本発明は、上記で認定したCDVポリペプチドまたはGM-CSFポリペプチド(配列番号:2、4、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34)のフラグメントおよび変種を提供する。当業者は周知の分子生物学技術を用いて前記を容易に調製できる。変種は、配列番号:2、4、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する相同なポリペプチドである。
変種には対立遺伝子変種が含まれる。“対立遺伝子変種”という用語は、タンパク質のアミノ酸配列に変化を生じる多形性を含み、天然の集団(例えばウイルス種またはウイルス変種)内に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。そのような天然の対立遺伝子変異は典型的にはポリヌクレオチドまたはポリペプチドにおいて1−5%の多様性をもたらす。対立遺伝子変種は異なる多数の種で問題の核酸配列の配列決定によって同定可能で、それら種の同じ遺伝子の遺伝子座を同定するハイブリダイゼーションプローブを用いることによって容易に実施できる。天然の対立遺伝子変異の結果であり問題の遺伝子の機能的活性に変化をもたらさない、そのような核酸の変異およびその結果のアミノ酸多形性はいずれも本発明の範囲内に包含される。
【0021】
本明細書で用いられるように、“誘導体”または“変種”という用語は、1つまたは2つ以上の保存的アミノ酸変異または他の小さな改変を有するポリペプチド、またはポリペプチドをコードする核酸を指し、前記小さな改変は、(1)対応するポリペプチドが、野生型ポリペプチドと比較したとき実質的に等価の機能を有するか、または(2)当該ポリペプチドに対して生じた抗体が野生型ポリペプチドとの免疫反応を生じるようなものである。これらの変種または誘導体には、対応する未改変ポリペプチドと比較したとき実質的に等価の活性を有するペプチドを生じ得る、CDVポリペプチドまたはGM-CSF一次アミノ酸配列の小さな改変を有するポリペプチドが含まれる。そのような改変は意図的であっても(位置特異的変異誘導による場合のように)、また偶発的であってもよい。“変種”という用語はさらに、当該ポリペプチドが機能して本明細書に規定する免疫学的応答を生じるかぎり当該配列に対する欠失、付加および置換も意図する。
【0022】
CDVポリペプチドまたはGM-CSFポリペプチドの免疫原性フラグメントは、配列番号:2、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33もしくは34に示される配列を有するCDV HAポリペプチドまたはその変種、または配列番号:4に示される配列を有するGM-CSFポリペプチドまたはその変種の連続する少なくとも8、10、13、14、15または20アミノ酸、少なくとも21アミノ酸、少なくとも23アミノ酸、少なくとも25アミノ酸、または少なくとも30アミノ酸を含む。
別の特徴では、本発明は、CDV HAポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば配列番号:2、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34に示される配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。さらに別の特徴では、本発明は、配列番号:2、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34に示される配列を有するポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリペプチド、または保存的変種、対立遺伝子変種、ホモローグ、またはこれらポリペプチドの1つの連続する少なくとも8もしくは少なくとも10のアミノ酸を含む免疫原性フラグメント、またはこれらペプチドの組合せをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0023】
さらに別の特徴では、本発明は、GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば配列番号:4に示される配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、を含む発現ベクターを提供する。さらに別の特徴では、本発明は、配列番号:4に示される配列を有するポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリペプチド、または保存的変種、対立遺伝子変種、ホモローグ、またはこれらポリペプチドの1つの連続する少なくとも8もしくは少なくとも10のアミノ酸を含む免疫原性フラグメント、またはこれらペプチドの組合せをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
ある実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:1、3、6、7、8、9、14、19、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49に示されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドまたはその変種を含む。別の実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:1、3、6、7、8、9、14、19、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49に示されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドの1つと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドまたはその変種を含む。
【0024】
本開示のポリヌクレオチドには、個々の宿主のための遺伝暗号、例えば最適化コドン使用頻度の結果としての縮重物である配列が含まれる。本明細書で用いられるように、“最適化”は、ある種においてその発現を高めるために遺伝的に操作されたポリヌクレオチドを指す。CDV HAポリペプチドまたはGM-CSFポリペプチドをコードする最適化ポリヌクレオチドを提供するために、CDV HA遺伝子またはGM-CSF遺伝子のDNA配列を、1)特定の種で高度に発現される遺伝子にとって望ましいコドンを含むように;2)前記種で実質的に見出されるヌクレオチド塩基組成のA+TまたはG+C含有量を含むように;3)前記種の開始配列を形成するために;または4)RNAの脱安定化、不適切なポリアデニル化、分解および終止を引き起こす配列または二次構造ヘアピンもしくはRNAスプライス部位を形成する配列を除去するために改変することができる。前記種でのCDV HAタンパク質またはGM-CSFタンパク質の発現増加は、真核細胞および原核細胞または特定の種におけるコドン使用頻度の分布頻度を利用することによって達成できる。“好ましいコドンの使用頻度”という用語は、あるアミノ酸を特定するために特定の宿主細胞によってヌクレオチドコドンの使用において示される優先性を指す。20の天然のアミノ酸が存在し、その大半が2つ以上のコドンによって特定される。したがって、全ての縮重ヌクレオチド配列が、当該ヌクレオチド配列によってコードされるCDV HAポリペプチドまたはGM-CSFポリペプチドが機能的に変化しない限り本開示に含まれる。
【0025】
2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)ペアワイズブラスト(blast)およびブロッサム62(blosum62)マトリックスで標準的パラメーターを用いて決定できる(例えば以下を参照されたい:BLASTまたはBLASTXアルゴリズム("National Center for Biotechnology Information"(NCBI, Bethesda, Md., USA)サーバーで入手できる)およびAltschul et al.)。
配列に関する“同一性”は、2つの配列の短い方のヌクレオチドまたはアミノ酸の数で割った同一のヌクレオチドまたはアミノ酸を有する位置の数を指し、この場合、前記2つの配列のアラインメントは、ウィルバーとリップマンのアルゴリズム(Wilbur and Lipman)にしたがい、例えばウィンドウサイズ20ヌクレオチド、ワード長4ヌクレオチドおよびギャップペナルティー4を用いて決定することができ、アラインメントを含む配列データのコンピュータ支援解析および解釈は、市販のプログラム(例えばIntelligeneticsTM Suite, Intelligenetics Inc. CA)を用いて簡便に実施できる。RNA配列が類似するまたはDNA配列とある程度の配列同一性もしくは相同性を有するというとき、DNA配列中のチミジン(T)はRNA配列中のウラシル(U)と等価と考えられる。したがって、RNA配列は本発明の範囲内に包含され、DNA配列中のチミジン(T)をRNA配列中のウラシル(U)と等価と考えることによってDNA配列から誘導することができる。
【0026】
2つのアミノ酸配列の配列同一性もしくは配列類似性または2つのヌクレオチド配列間の配列同一性は、ベクターNTI(Vector NTI)ソフトウェアパッケージ(Invitrogen, 1600 Faraday Ave., Carlsbad, CA)を用いて決定できる。
以下の文献は配列の相対的同一性または相同性を比較するためのアルゴリズムを提供し、さらに前述の記載に加えてまたは前述の記載とはまた別に、パーセント相同性または同一性を決定するためにこれら参考文献中の教示を用いることができる:Needleman SB and Wunsch CD;Smith TF and Waterman MS;Smith TF, Waterman MS and Sadler JR;Feng DF and Dolittle RF;Higgins DG and Sharp PM;Thompson JD, Higgins DG and Gibson TJ;およびDevereux J, Haeberlie P and Smithies O。甚だしい実験を実施することなく、当業者はパーセント相同性の決定のために他の多くのプログラムまたは参考文献を利用することができる。
ハイブリダイゼーションは種々の“ストリンジェンシー”条件下で実施することができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高める条件は周知である。例えば以下を参照されたい:“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition, Sambrook et al., 1989。
本発明は、ベクター分子または発現ベクターに収納され、プロモーターエレメントおよび場合によってエンハンサーに作動できるように連結されたCDVポリヌクレオチドまたはGM-CSFポリヌクレオチドまたはその両方を包含する。
【0027】
本発明はさらにイヌワクチンまたは組成物を包含し、前記は、CDV HAポリペプチドまたは抗原をコードするポリヌクレオチドおよびGM-CSFポリペプチドまたは抗原をコードするポリヌクレオチドを含む上述の組換えベクター、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルおよび追加されたイヌ由来の1つまたは2つ以上の抗原を含むことができる。本発明はさらに、GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む上述の組換えもしくは発現ベクター、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルおよび追加されたイヌ由来の1つまたは2つ以上の抗原を含むことができるイヌワクチンまたは組成物に関する。前記抗原は、狂犬病、イヌパルボウイルス、イヌコロナウイルス、イヌインフルエンザ、イヌジステンパー、伝染性イヌ肝炎、イヌヘルペスウイルス、偽性狂犬病、イヌマイニュートウイルス、レプトスピラ(Leptospira)、ネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、エールリキア・カニス(Ehrlichia canis)、リケッチア・リケッチー(Rickettsia rickettsi)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、ブラストミセス・デルマチチディス(Blastomyces dermatitidis)、ヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ミクロスポラム・カニス(Microsporum canis)、スポロトリクス・シェンキー(Sporothrix schenckii)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)およびP. インシディオスム(P. insidiosum)から成る群から選択されるイヌ抗原であり得る。抗原は以下を含むことができる:全生物(死滅、弱毒または生);生物のサブユニットまたは部分;免疫原性特性を有する挿入物を含む組換えベクター;宿主動物への提示に際して免疫応答を誘発する能力を有するDNA片またはフラグメント;ポリペプチド、エピトープ、ハプテンまたは前記の任意の組合せ。
【0028】
“ベクター”は、in vitroまたはin vivoで標的細胞にデリバーされるべき異種ポリヌクレオチドを含む組換えDNAもしくはRNAプラスミドまたはウイルスを指す。前記異種ポリヌクレオチドは、予防または施療の目的のために問題の配列を含むことができ、場合によって発現カセットの形態であってもよい。本明細書で用いられるように、ベクターは最終的な標的細胞または対象動物で複製能力を有する必要はない。前記用語にはクローニングベクターおよびウイルスベクターが含まれる。
“組換え体”という用語は半合成または合成起源であって、天然には存在しないか、または天然では見出されない編成で別のポリヌクレオチドと連結されているポリヌクレオチドを指す。
“異種”とは、ある存在物が、当該存在物の残りの部分と比較して遺伝的に別個の存在物に由来することを意味する。例えば、あるポリヌクレオチドを遺伝子操作技術によって異なる供給源に由来するプラスミドまたはベクターに配置することができるが、このポリヌクレオチドは異種ポリヌクレオチドである。その天然のコード配列から取り出し、前記天然の配列以外のコード配列に作動できるように連結されたプロモーターは異種プロモーターである。
【0029】
本発明のポリヌクレオチドは追加の配列を含むことができる。追加される配列は、例えば追加された同じ転写ユニット内のコード配列、制御エレメント(例えばプロモーター、リボソーム結合部位、5’UTR、3’UTR、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位)、同じもしくは異なるプロモーターの制御下の追加された転写ユニット、クローニング、発現、相同組換えおよび宿主細胞の形質転換を可能にする配列、並びに本発明の実施態様を提供するために所望できる任意の構築物であり得る。
CDV HAポリペプチド、抗原、エピトープもしくは免疫原またはGM-CSFポリペプチドの発現のためのエレメントは本発明のベクター内に存在する。最低限の態様では、前記は、開始コドン(ATG)、終止コドンおよびプロモーター、並びに場合によってある種のベクター(例えばプラスミド)およびある種のウイルスベクター(例えばポックスウイルス以外のウイルスベクター)についてはポリアデニル化配列を含む。ポリヌクレオチドがポリペプチドフラグメント(例えばCDV HAポリペプチド)をベクター内でコードするとき、ATGはリーディングフレームの5’に配置され、終止コドンは3’に配置される。発現を制御するための他のエレメント、例えばエンハンサー配列、安定化配列(例えばイントロン)およびタンパク質の分泌を許容するシグナル配列も存在し得る。
【0030】
本発明はまた複数のベクターを含む組成物またはワクチンに関する。前記組成物またはワクチンは1つまたは2つ以上のベクター、例えば発現ベクター(例えばin vivo発現ベクター)を含むことができ、前記ベクターは1つまたは2つ以上のCDV HAまたはGM-CSFポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を含むとともにこれらを発現する。ある実施態様では、ベクターは、CDV HA抗原、エピトープまたは免疫原をコードしおよび/またはこれらを発現するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを、医薬的または獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクル中に収納するとともに前記を発現する。したがって、本発明の実施態様にしたがえば、調製物中の他の1つのベクターまたは複数のベクターは、CDV HAポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原以外の1つまたは2つ以上のタンパク質(例えばヘマグルチニン、ノイラミニダーゼ、核タンパク質)またはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含むか、前記ポリヌクレオチドから成るか、または本質的に前記ポリヌクレオチドから成り、適切な環境下でベクターはこれらを発現する。
【0031】
別の実施態様にしたがえば、組成物またはワクチン中の1つのベクターまたは複数のベクターは、CDV HAポリペプチド、抗原、エピトープもしくは免疫原またはGM-CSFポリペプチド、抗原、エピトープもしくは免疫原の1つまたは2つ以上のタンパク質またはフラグメント、または前記の組合せをコードするポリヌクレオチドを含むか、または前記ポリヌクレオチドから成るかまたは本質的に前記ポリヌクレオチドから成る。別の実施態様では、組成物またはワクチンは1つ、2つまたは3つ以上のベクターを含み、前記ベクターは、CDV HAポリペプチド、抗原、融合タンパク質またはそのエピトープをコードするとともに、有利にはin vivoで前記を発現するポリヌクレオチドを含む。本発明はまた、種々のCDV HAポリペプチド、抗原、エピトープ、融合タンパク質または免疫原(例えば様々な種(例えばヒト、ブタ、乳牛またはウシ、イヌ、ネコおよびトリであるがただしこれらに限定されない)に由来するCDV HAポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原)をコードするとともにこれらを発現するポリヌクレオチドを含むベクターの混合物を目的とする。
【0032】
本発明では、組換えウイルスベクターを用いて、CDVポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種をコードするCDVコード配列またはそのフラグメントを発現させる。具体的には、ウイルスベクターはCDV配列、より具体的にはCDV HA遺伝子または抗原性ポリペプチドをコードするそのフラグメントを発現することができる。本明細書で意図されるウイルスベクターには、ポックスウイルス[例えばワクシニアウイルスもしくは弱毒ワクシニアウイルス、アビポックスウイルスもしくは弱毒アビポックスウイルス(例えばカナリア痘、鶏痘、鳩痘、ピジョンポックス、鶉痘、ALVAC、TROVAC(例えば以下を参照されたい:US 5,505,941、US 5,494,8070))、アライグマポックスウイルス、ブタポックスウイルスなど]、アデノウイルス(例えばヒトアデノウイルス、イヌアデノウイルス)、ヘルペスウイルス(例えばイヌヘルペスウイルス、ネコヘルペスウイルス、ウシヘルペスウイルス、ブタヘルペスウイルス)、バキュロウイルス、レトロウイルスなどが含まれるが、ただしこれらに限定されない。別の実施態様では、アビポックス発現ベクターはカナリア痘ベクター、例えばALVACであり得る。さらに別の実施態様では、アビポックス発現ベクターは鶏痘ベクター、例えばTROVACであり得る。CDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原はCDV HAであり得る。例えば。CDV HAを含むポックスウイルスベクターは、US 5,756,102に記載されたベクターであり得る。発現されるべき本発明のCDV HAポリペプチドまたは抗原は、特異的なポックスウイルスプロモーター、とりわけ例えばワクシニアプロモーター7.5kDa(Cochran et al., 1985)、ワクシニアプロモーターI3L(Riviere et al., 1992)、ワクシニアプロモーターHA(Shida, 1986)、牛痘プロモーターATI(Funahashi et al., 1988)、ワクシニアプロモーターH6(Taylor et al., 1988b; Guo et al., 1989;Perkus et al., 1989)の制御下に挿入される。
【0033】
本発明のさらに別の実施態様にしたがえば、発現ベクターはプラスミドベクター、特にin vivo発現ベクターである。具体的な非限定的な例として、pVR1020または1012プラスミド(VICAL Inc.;Luke et al., 1997;Hartikka et al., 1996、例えば米国特5,846,946および6,451,769号を参照されたい)をポリヌクレオチド配列の挿入用ベクターとして利用できる。pVR1020プラスミドはpVR1012から誘導され、ヒトtPAシグナル配列を含む。ある実施態様では、ヒトtPAシグナルはGenBank受入れ番号HUMTPA14のアミノ酸M(1)からアミノ酸S(23)を含む。別の具体的な非限定的な例では、ポリヌクレオチド配列の挿入用ベクターとして利用されるプラスミドは、GenBank受入れ番号U28070のアミノ酸M(24)からアミノ酸A(48)のウマIGF1シグナルペプチド配列を含む。実施のために検討または利用できるさらに別のDNAプラスミドに関する情報は例えば以下で見出される:米国特許6,852,705号;6,818,628号;6,586,412号;6,576,243号;6,558,674号;6,464,984号;6,451,770号;6,376,473号および6,221,362号。CDV抗原を発現するDNAプラスミド系ワクチンは米国特許出願USSN09/587,964で見つけることができる。
【0034】
プラスミドという用語は、本発明のポリヌクレオチドおよび所望の宿主もしくは標的細胞におけるそのin vivo発現のために必要なエレメントを含む一切のDNA転写ユニットをカバーし、スーパーコイルもしくは非スーパーコイル、環状プラスミドが線状形と同様に本発明の範囲内に含まれる。
各プラスミドは、CDV HAポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原(場合によって異種ペプチド配列と融合)に加えて変種、アナローグまたはフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含むか本質的になり、さらにはそのポリヌクレオチドは作動できるようにプロモーターに連結されるか、プロモーターの制御下にあるか、またはプロモーターに依存している。一般的には、真核細胞で機能する強力なプロモーターを利用することが有利である。強力なプロモーターは、ヒトまたはネズミ起源(場合によって別の起源、例えばラットまたはモルモット起源)の前初期サイトメガロウイルスプロモーター(CMV-IE)であり得るが、ただし前記に限定されない。
より一般的な関係では、プロモーターはウイルス起源または細胞起源である。本発明の実施で有用に利用し得るCMV-IE以外の強力なウイルスプロモーターは、SV40ウイルスに初期/後期プロモーターまたはラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーターである。本発明の実施で有用に利用し得る強力な細胞プロモーターは細胞骨格遺伝子のプロモーター、例えばデスミンプロモーター(Kwissa et al., 2000)またはアクチンプロモーター(Miyazaki et al., 1989)である。
【0035】
ポックスウイルス以外のプラスミドおよびウイルスベクターのためのポリアデニル化シグナル(ポリA)に関しては、ウシ成長ホルモン(hGH)遺伝子のポリ(A)シグナル(U.S. 5,122,458参照)またはウサギβ-グロビン遺伝子のポリ(A)シグナル、またはSV40ウイルスのポリ(A)シグナルを使用することができる。
“宿主細胞”は、外因性ポリヌクレオチド(例えば組換えプラスミドまたはベクター)の投与によって遺伝的に改変されてあるか、または遺伝的に改変させることができる原核または真核細胞を指す。遺伝的に改変された細胞というとき、前記用語は最初に改変された細胞およびその子孫の両方を指す。
【0036】
使用方法および生成物
本発明は以下の態様の方法を含む。ある実施態様では、動物に組成物を投与する工程を含む、動物にワクチンを接種する方法が開示され、前記組成物は、CDV HAポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種をコードするポリヌクレオチドを含むベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントを含む。本実施態様のある特徴では、前記動物はトリ、ウマ、イヌ、ネコ、フェレット、アザラシまたはブタである。
別の実施態様では、CDV HAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクター並びに医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントを含む組成物、並びにイヌ抗原を含む1つまたは2つ以上の組成物を投与する工程を含む、動物にワクチンを接種する方法が開示される。
さらに別の実施態様では、GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントを含む組成物、並びにイヌ抗原を含む1つまたは2つ以上の組成物を投与する工程を含む、動物にワクチンを接種する方法が開示される。
【0037】
本発明のある実施態様では、プライム‐ブーストプログラムを用いることができる。プライム‐ブースト法は、少なくとも1つの共通のポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を用いる、少なくとも1回の一次投与、および、少なくとも1回のブースター投与を含む。前記投与は、同じまたは異なる抗原を含む1つまたは2つまたは3つ以上のワクチンまたは組成物を含むことができる。典型的には、一次投与で用いられる免疫学的組成物またはワクチンはブースターとして用いられるものと性質が異なる。しかしながら、特記すれば、同じ組成物を一次投与およびブースターで用いることができる。この投与計画は“プライム‐ブースト”と称される。
プライム‐ブーストプログラムは、少なくとも1つの共通のポリペプチドおよび/またはその変種またはフラグメントを用いる少なくとも1回の一次投与および少なくとも1回のブースター投与を含む。前記一次投与は1回または2回以上の投与を含むことができる。同様にブースター投与は1回または2回以上の投与を含むことができる。一次投与は1つまたは2つ以上の抗原を含むことができ、ブースター投与は1つまたは2つ以上の抗原を含むことができる。
【0038】
本発明のプライム‐ブーストプロトコルまたはプログラムのある特徴では、プライム‐ブーストプロトコルは、CDV HAポリペプチド、抗原および/またはその変種もしくはフラグメントを含みこれをin vivoで発現する組換えウイルスベクターを含む組成物の投与、続いて組換えCDV HAポリペプチドもしくは抗原、またはCDV HAポリペプチドもしくは抗原を含む不活化ウイルス組成物もしくはワクチン、またはCDV HAポリペプチドもしくは抗原を発現するDNAプラスミド系組成物またはワクチンの投与を含むことができる。同様に、プライム‐ブーストプロトコルは、組換えCDV HA抗原を含む組成物、またはCDV HAポリペプチドもしくは抗原を含む不活化ウイルス組成物もしくはワクチン、またはCDV HAポリペプチドもしくは抗原を発現するDNAプラスミド系組成物またはワクチンの投与、続いてCDV HAポリペプチドもしくは抗原および/またはその変種もしくはフラグメントを含みこれをin vivoで発現する組換えウイルスベクターの投与を含むことができる。特記すれば、一次投与および二次投与の両投与が本発明のCDV HAポリペプチドを含みこれを発現する組換えウイルスベクターを含むことができる。したがって、本発明の組換えCDVウイルスベクターは、組換えCDV抗原、CDV抗原を含む不活化ウイルス組成物もしくはワクチン、またはCDV抗原を発現するDNAプラスミド系組成物もしくはワクチンと一緒に任意の順序で投与され得るが、また別には一次組成物および二次組成物の両組成物として単独で用いてもよい。
【0039】
標的種が哺乳動物の場合の投薬体積、例えばイヌの組成物の投薬体積は、ウイルスベクター例えば非ポックスウイルスベクター系組成物を基準にして、一般的は約0.1から約2.0mL、約0.1から約1.0mL、および約0.5から約1.0mLである。
ワクチンの有効性は、最後の免疫後約2から4週間で動物(例えばイヌ)をCDVの病毒株でチャレンジすることによって試験することができる。同種および異種株の両方をチャレンジに用いてワクチンの有効性を試験する。動物は経口的に、IV注射により、またはIC接種によりチャレンジできる。種々のチャレンジ株のそれぞれおよび用いられる各投与ルートについて、ウイルスは非ワクチン接種動物で臨床症状を誘発するために十分に高力価である。チャレンジウイルスの体積は約0.5から2.0mLである。チャレンジ後21から42日間、動物を臨床徴候、例えば結膜炎、鼻炎、下痢、おう吐、抑うつ、脱水、高体温、肺炎、運動失調、ミオクロヌス、知覚過敏、麻痺、不全麻痺、痙攣、眼の症候群(例えば角結膜炎、脈絡網膜炎)および視神経炎について観察することができる。チャレンジ中に完全血球算定および血清学検査(CDV特異的抗体の存在)のために動物から血液サンプルを採取する。さらにまた、尿、涙液、唾液、糞便および血液サンプルについてPCRを実施できる。
【0040】
プライム‐ブーストプロトコルで用いられる本発明の抗原性組換えポリペプチドを含む組成物は医薬的または獣医的に許容できるビヒクル、アジュバント、希釈剤または賦形剤中に含まれる。本発明のプロトコルは動物をCDVから防御し、および/または感染動物での疾患の進行を防ぐ。
多様な投与が好ましくは1から6週間離して実施される。好ましい時間的間隔は3から5週間、場合によって4週間である。ある実施態様にしたがえば、毎年追加免疫することが想定される。動物(例えばイヌ)は最初の投与時に少なくとも8週齢である。
本明細書の開示は例示として提供され、本発明はそれらに限定されないことは当業者には理解されるべきである。本明細書の開示および当業界における情報から、当業者は投与回数、投与ルートおよび各注射プロトコルに用いられる投薬量を煩雑な実験無しに決定することができる。
【0041】
本発明は、本発明にしたがって作製した施療組成物の有効量の少なくとも1回の投与を意図する。動物は雄、雌、妊娠雌および新生獣であり得る。この投与は、筋肉内(IM)、皮内(ID)または皮下(SC)注射を含む(ただしこれらに限定されない)種々のルートによるか、または鼻内もしくは経口投与であり得る。本発明の施療組成物はまた無針装置(例えばピグジェット(Pigjet)、デルモジェット(Dermojet)、バイオジェクター(Biojector)、アビジェット(Avijet)(Merial, GA, USA)、ベトジェット(Vetjet)またはビタジェット(Vitajet)装置(Bioject, Oregon, USA))によって投与できる。プラスミド組成物を投与するためのまた別のアプローチはエレクトロポレーションの使用である(例えば以下を参照されたい:Tollefsen et al., 2002;Tollefsen et al., 2003;Babiuk et al., 2002;PCT出願WO99/01158)。別の実施態様では、本施療組成物は、遺伝子銃または金粒子ボンバードメントによって動物にデリバーされる。
ある実施態様では、本発明は、CDV抗原またはエピトープのデリバリーおよび標的細胞での発現のために治療的に有効な量の処方物の投与を提供する。治療的に有効な量の決定は当業者には日常的な実験である。ある実施態様では、前記処方物は、CDV抗原またはエピトープを発現するポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、ビヒクル、アジュバントまたは賦形剤を含む。別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、ビヒクル、アジュバントまたは賦形剤はトランスフェクションまたは感染を容易にし、および/またはベクターまたはタンパク質の宿主内での保存を改善する。
【0042】
ある実施態様では、本発明は、CDV HAポリペプチドまたは抗原またはエピトープのデリバリーおよび標的細胞での発現のために治療的に有効な量の組成物の投与を提供する。治療的に有効な量の決定は当業者には日常的な実験である。ある実施態様では、前記組成物は、CDV HAポリペプチドまたは抗原またはエピトープを発現するポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、アジュバント、ビヒクルまたは賦形剤を含む。別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、ビヒクル、アジュバントまたは賦形剤はトランスフェクションまたは感染を容易にし、および/またはベクターまたはタンパク質の保存を改善する。
医薬的もしくは獣医的に許容できる担体またはビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントは当業者には周知である。例えば、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体またはビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントは0.9%NaCl(例えば食塩水)溶液またはリン酸緩衝液であり得る。本発明の方法に用いることができる他の医薬的もしくは獣医的に許容できる担体またはビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントには、ポリ-(L-グルタメート)またはポリビニルピロリドンが含まれるが、ただしこれらに限定されない。医薬的もしくは獣医的に許容できる担体またはビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントは、ベクター(または本発明のベクターからin vitroで発現されるタンパク質)の投与を容易にする任意の化合物または化合物の組合せであり得る。有利には、前記担体、ビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントはトランスフェクションを容易にし、および/またはベクター(またはタンパク質)の保存を改善する。投薬量および投薬体積は一般的な記載として本明細書で考察されてあり、当業者はまた、当業界における情報と併せて本明細書の開示を読み進むことによって煩雑な実験を全く実施することなく決定することができる。
【0043】
第四アンモニウム塩を含む陽イオン性脂質(プラスミドにとって有利であるが絶対的であるというわけではない)は以下の式を有するものである:
【0044】
【化1】
【0045】
式中、R1は12から18の炭素原子を有する飽和または不飽和直鎖脂肪族基で、R2は2から3の炭素原子を含む別の脂肪族基で、Xはアミンまたはヒドロキシル基で、前記陽イオン性脂質は例えばDMRIEである。別の実施態様では、陽イオン性脂質は中性脂質、例えばDOPEと結合できる。
これらの陽イオン性脂質の中では、DMRIE(N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアモニウム;WO96/34109)が好ましく、有利には前記は中性脂質、有利にはDOPE(ジオレオイル-ホスファチジル-エタノールアミン;Behr, 1994)と結合してDMRIE-DOPEを形成する。
DOPEが存在するとき、DMRIE:DOPE分子比は有利には約95:約5から約5:約95、より有利には約1:約1、例えば1:1である。
【0046】
別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントは油中水エマルジョンである。適切な油中水エマルジョンの例には、安定で4℃にて液状である、油を基剤とする油中水ワクチンエマルジョンが含まれる。前記エマルジョンは、6から50 v/v%(好ましくは12から25 v/v%)の抗原含有水性相、50から94 v/v%の油相(全体としてまたは一部分として非代謝性油(例えばパラフィン油のような鉱物油)および/または代謝性油(例えば植物油、または脂肪酸、ポリオールもしくはアルコールエステル)を含む)、0.2から20 p/v%(好ましくは3から8 p/v%)の界面活性剤を含む。前記界面活性剤は、全体もしくは一部分としてまたは混合物としてポリグリセロールエステル(好ましくはポリグリセロール(ポリ)リシンオレエート)またはポリオキシエチレンリシン油またはそうでなければ水素添加ポリオキシエチレンリシン油である。油中水エマルジョンで用いることができる界面活性剤の例には、エトキシル化ソルビタンエステル(例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(TWEEN80(商標))(AppliChem, Inc., Cheshire, CT))およびソルビタンエステル(例えばソルビタンモノオレエート(SPAN80(商標))(Sigma Aldrich, St. Louis, MO))が含まれる。さらに、油中水エマルジョンに関してはUS 6,919,084もまた参照されたい。いくつかの実施態様では、抗原含有水性相は1つまたは2つ以上の緩衝剤を含む食塩水溶液を含む。適切な緩衝溶液の例はリン酸緩衝食塩水である。ある実施態様では、油中水エマルジョンは水/油/水(W/O/W)三重エマルジョンである(U.S. 6,358,500)。他の適切なエマルジョンの例はU.S. 7,371,395に記載されている。
【0047】
本発明の免疫学的組成物およびワクチンは、1つまたは2つ以上の医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントを含むかまたは本質的に前記から成る。本発明の実施で使用される適切なアジュバントは以下である:(1)アクリル酸またはメタクリル酸、無水マレイン酸のポリマーおよびアルケニル誘導体ポリマー、(2)免疫刺激配列(ISS)、例えば1つまたは2つ以上の非メチル化CpGユニットを有するオリゴデオキシリボヌクレオチド(Klinman et al., 1996;WO98/16247)、(3)水中油エマルジョン、例えばSPTエマルジョン(例えば以下に記載:“Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach” (147ページ)、M. Powell, M. Newman著, Plenum Press 1995)およびエマルジョンMF59(上掲書、183ページ)、(4)第四アンモニウム塩を含む陽イオン脂質、例えばDDA、(5)サイトカイン、(6)水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウム、(7)サポニン、または(8)本出願に引用されているかまたは参照により含まれるいずれかの文献で考察されている他のアジュバント。
【0048】
水中油エマルジョン(3)(ウイルスベクターには特に適切である)は以下を基剤にすることができる:軽流動パラフィン油(欧州局方タイプ)、イソプレノイド油、例えばスクァラン、スクァレン、アルケン(例えばイソブテンまたはデセン)のオリゴマー化から生じる油、直鎖アルキル基を有する酸またはアルコール(例えば植物油、エチルオレエート、プロピレングリコール、ジ(カプリレート/カプレート)、グリセロールトリ(カプリレート/カプレート)およびプロピレングリコールジオレエート)のエステル、または分枝脂肪アルコールまたは脂肪酸のエステル、特にイソステアリン酸エステル。
前記油は乳化剤と一緒に用いられエマルジョンを形成する。乳化剤は例えば以下の非イオン性界面活性剤であり得る:一方でソルビタン、マンニド(例えば無水マンニトールオレエート)、グリセロール、ポリグリセロールまたはプロピレングリコールのエステル、および他方でオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸のエステル(前記エステルは場合によってエトキシル化される)、またはポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、例えばプルロニック、例えばL121.
【0049】
タイプ(1)のアジュバントポリマーの中では、架橋アクリル酸またはメタクリル酸ポリマー、特に糖またはポリアルコールのポリアルケニルエーテルによって架橋されたものが好ましい。これらの化合物はカルボマー(Pharmeuropa, vol. 8, no. 2, June 1996)の名称で知られている。当業者はまたU.S. 2,909,462を参照することができる。前記文献は、少なくとも3つのヒドロキシル基、好ましくは8つを超えないヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル化合物によって架橋されたアクリル酸ポリマーを提供する(少なくとも3つのヒドロキシル基の水素原子は少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族ラジカルによって置換される)。好ましいラジカルは2から4つの炭素原子を含むもの、例えばビニル、アリルおよび他のエチレン系不飽和基である。不飽和ラジカルはまた他の置換基、例えばメチルを含むことができる。カルボポル(BF Goodrich, Ohio, USA)の名称で販売されている生成物が特に適切である。それらはアリルサッカロースまたはアリルペンタエリトリトールによって架橋される。それらの中でカルボポル1974P、934Pおよび971Pを挙げることができる。
【0050】
無水マレイン酸‐アルケニル誘導体コポリマーに関してはEMA(Monsanto)が好ましい。EMAは直鎖または架橋エチレン‐無水マレイン酸コポリマーであり、それらは例えばジビニルエーテルによって架橋される。
構造に関しては、アクリル酸またはメタクリル酸ポリマーおよびEMAは、好ましくは以下の式を有する基本的ユニットによって形成される:
【0051】
【化2】
【0052】
式中、
‐R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、HまたはCH3を表し、
‐x=0または1、好ましくはx=1であり、
‐y=1または2であって、x+y=2である。
EMAの場合、x=0およびy=2であり、カルボマーの場合x=y=1である。
これらのポリマーは水および生理学的塩溶液(20g/LのNaCl)に可溶性であり、pHを例えばソーダ(NaOH)によって7.3から7.4に調整して、発現ベクターを取り込むアジュバント溶液を提供できる。最終的な免疫学的またはワクチン組成物中のポリマー濃度は、約0.01から約1.5% w/v、約0.05から約1% w/v、および約0.1から約0.4% w/vの範囲であり得る。
【0053】
1つまたは複数のサイトカイン(5)は免疫学的またはワクチン組成物中でタンパク質の形態であるか、または宿主中で1つもしくは複数の免疫原またはそのエピトープとともに同時発現させることができる。前記1つもしくは複数の免疫原またはそのエピトープを発現するベクターと同じベクターによるか、または別個のベクターにより前記1つまたは複数のサイトカインを同時発現させるのが好ましい。
本発明はそのような組合せ組成物の調製を包含し、前記調製は、例えば活性な成分を有利にはアジュバント、担体、サイトカインおよび/または希釈剤と一緒に混合することによる。
本発明で用いることができるサイトカインには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、インターフェロンγ(IFNγ)、インターロイキン-1α(IL-1α)、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-12(IL-12)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)、形質転換増殖因子β(TGFβ)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。サイトカインは、本発明の免疫学的またはワクチン組成物と同時投与しても、および/または連続的に投与してもよいことは理解されるであろう。したがって、例えば、本発明のワクチンはまた適切なサイトカインをin vivoで発現する外因性核酸分子を含むことができる。前記サイトカインは、ワクチンを接種される宿主または免疫学的応答が誘引される宿主に適合するサイトカイン(例えばイヌに投与するべき調製物のためにはイヌサイトカイン)である。
本発明を以下の非限定的な例によってこれからさらに説明するであろう。
【0054】
実施例
更なる検討を加えることなく、当業者は上記の記述を用いて本発明を完璧に実施できると考える。以下の詳細な実施例は単なる例示であり、いかなる態様においても上記開示を制限するものと解されるべきではない。当業者は、前記方法の適切な変型を反応物質および反応条件および技術のいずれに関しても直ちに認識するであろう。
DNA挿入物、プラスミドおよび組換えウイルスまたは植物ベクターの構築は、J. Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989)の記載した標準的な分子生物技術を用いて実施した。
【実施例1】
【0055】
実施例1:CDV HAを含むプラスミド−pC5 H6 CDV HA(pCXL1557.1)の構築
コドン最適化CDV HA遺伝子(配列番号:1)(デンマークCDV株由来)を含むプラスミドをEcoRVおよびXhoIで消化した。ワクシニアH6プロモーターの3’配列および完全長のコドン最適化CDV HA遺伝子を含む1849bpフラグメントをゲル精製した。プラスミドpCXL148.2(pC5ドナープラスミド(Merial私有物))をEcoRVおよびXhoIで消化し、H6プロモーターの5’配列を含む49851bpベクターを作製した。前記1849bp挿入物を前記49851bpベクターと連結して、pC5 H6 CDV HA(pCXL1557.1)を作製した。前記構築物を配列決定して、正確な配列であることを確認した。図3はプラスミドpCXL1557.1マップを示す。
【実施例2】
【0056】
実施例2:イヌGM-CSFを含むプラスミド−pC3 H6pイヌGM-CSF(pJSY2218.1)の構築
コドン最適化イヌGM-CSF遺伝子を含むプラスミドをNruI/XhoIで消化した。生成されたイヌGM-CSF DNAフラグメントを単離し、NruI/XhoIで消化したpJY1913.1(Merial私有物)と連結して、C3ドナープラスミドpJSY2218.1を作製した。前記は、C3アームに対して反対の向きで発現カセットH6p(ワクシニアH6プロモーター)‐イヌGM‐CSFを含んでいる。プラスミドpJSY2218.1を配列決定して正確な配列を有することを確認した。図3はプラスミドpJSY2218.1マップを示す。
【実施例3】
【0057】
実施例3: ALVACのC5遺伝子座にCDV合成HA遺伝子を含むALVAC組換え体(vCP2263)の作製および性状決定
A.vCP2263の作製
ドナープラスミドpCXL1557.1はコドン最適化イヌCDV HA遺伝子(配列番号:1)を含む。初代ニワトリ胚線維芽細胞(1°CEF)をin vitro組換えに用いた。10%FBS(JRH:γ線照射#12107-500M)、4mMグルタミン(BRL/Gibco#25030-081)および1mMピルビン酸ナトリウム(BRL/Gibco#11360-070)補充DMEM(BRL/Gibco#11960-051または11960-044)で、1x の抗生物質/抗カビ剤(P/S/A/A, BRL/Gibco#15240-062)の存在下にて1°CEF細胞を増殖させた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識CDV合成HA特異的プローブによるプラークハイブリダイゼーションを組換え体選別に用いた。
IVR(in vitro組換え体)は、FuGENE-6(商標)試薬(Roche)を用い12μgのNotI線形化ドナープラスミドpCXL1557.1による1°CEF細胞のトランスフェクションによって作製した。続いてトランスフェクトした細胞にレスキューウイルスとしてALVACをMOI(感染数)10で感染させた(ALVACストック、6.3x109 pfu/mL)。24時間後、トランスフェクトして感染させた細胞を採集し、超音波処理して組換えウイルススクリーニングに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した1232bpの合成HA特異的プローブを製造業者のプロトコル(Amersham Cat# RPN3001)にしたがって使用し、組換え体プラークをプラークリフトハイブリダイゼーション方法によりスクリーニングした。4回連続プラーク精製後、vCP2263.1.2.1.1およびvCP2263.6.1.1.1と称する組換え体を作製し、ハイブリダイゼーションによってHA挿入物について100%陽性であることおよび空きC5部位について100%陰性であることを確認した。単一プラークを4回目のプラーク精製から選別し、増やしてP1(1xT25フラスコ/姉妹細胞)、P2(1xT75フラスコ/姉妹細胞)およびP3(4xローラーボトル、vCP2263.1.2.1.1.)ストックを得て、vCP2263を増幅させた。前記ローラーボトル由来の感染細胞培養液を採集し、濃縮してウイルスストックを生成した。
B.ゲノム解析
vCP2263.1.2.1.1およびvCP2263.6.1.1.1からゲノムDNAを抽出し、BamHI、HindIIIまたはPst Iで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動した。その結果、CDV合成HA配列の正確な挿入が示された。
サザンブロット:BamHI、HindIIIまたはPst I消化ゲノムDNAを含むゲルをナイロン膜に移し、合成CDV HA特異的プローブによるサザンブロット解析を実施した。全3消化物で1本のバンドまたは2本のバンドが以下の予想位置で観察され(1984 bp BamHI、12294 bp HindIII並びに6465および12119 bp PstI)(図4参照)、CDV合成HAのC5遺伝子座への正確な挿入を示唆した。
合成CDV HAプローブを増幅するためのプローブ:
13220CXL:5’ AGGTGTCCACCTCCAACATGGAGT 3’(配列番号:10)
13225CXL:5’ GAACTGGTCGCCCCTGGAGGCCTT 3’(配列番号:11)
C.発現解析
ウェスタンブロット:1°CEF細胞に10のMOIでP2ストックを感染させ37℃で25時間インキュベートした。続いて前記細胞および培養液を採集した。サンプルタンパク質を10%SDS-PAGEゲルで分離し、インモビロン(Immobilon)ナイロン膜に移し、ウサギ抗CDVポリクローナル抗体(1:100稀釈のウサギA151およびA152のプール血清)でプローブした。ペルオキシダーゼ結合ロバ抗ウサギ抗血清を二次抗体として用い、ルミノール試薬でバンドを可視化させた。vCP2263.1211は、細胞上清分画で73kDaの非常に弱い単一バンドを示したが、細胞ペレット分画ではCDV特異的バンドは検出されなかった(図5参照)。
イムノプラーク:集団の均質性は、ウサギ抗CDV抗体によるイムノプラークアッセイで証明された通りvCP2263.1.2.1.1については100%であった(図6参照)。
D.配列解析
P3ストックのゲノムDNAのさらに詳細な解析を、C5遺伝子座のフランキングアームおよびCDV合成HA挿入物のPCR増幅および配列解析によって実施した。プライマー7931DCおよび7932DC(ALVACゲノム内のC5遺伝子座のアームを超えて位置する)を用いて、完全なC5L‐CDV合成HA‐C5Rフラグメントを増幅した。その結果、CDV合成HA並びにALVACのC5LおよびC5Rの配列は正確であることが示された。
PCR増幅のためのプライマー:
7931DC:5’ GAATCTGTTAGTTAGTTACTTGGAT 3’(配列番号:12)
7932DC:5’ TGATTATAGCTATTATCACAGACTC 3’(配列番号:13)
C5アーム、H6プロモーターおよびCDV合成HAを含む、プライマー7931DCおよび7932DCにフランキングされるDNA配列は配列番号:14に示される。
【実施例4】
【0058】
実施例4:ALVACのC3遺伝子座に挿入されたH6pコドン最適化合成イヌGM-CSF遺伝子を含むALVAC組換え体(vCP2391)の作製および性状決定
A.vCP2391の作製
ドナープラスミドpJSY2218.1はコドン最適化イヌGM-CSF遺伝子(配列番号:3)を含む。初代ニワトリ胚線維芽細胞(1°CEF)をin vitro組換えに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識イヌGM-CSF特異的プローブによるプラークハイブリダイゼーションを組換え体選別に用いた。
IVRは、FuGENE-6(商標)試薬(Roche)を用い10μgのNotI線形化ドナープラスミドpJSY2218.1による1°CEF細胞のトランスフェクションによって作製した。続いてトランスフェクトした細胞にレスキューウイルスとしてALVACを10のMOIで感染させた。24時間後、トランスフェクトして感染させた細胞を採集し、超音波処理して組換えウイルススクリーニングに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した382塩基のイヌGM-CSF特異的プローブを製造業者のプロトコル(Amersham Cat# RPN3001)にしたがって使用し、組換え体プラークをプラークリフトハイブリダイゼーション方法に基づいてスクリーニングした。2回連続プラーク精製後、vCP2391.4.4と称する組換え体を作製し、ハイブリダイゼーションによってイヌGM-CSF挿入物について100%陽性であることおよびC3 ORFについて100%陰性であることを確認した。単一プラークを2回目のプラーク精製から選別し、増やしてP1(1xT25フラスコ)、P2(1xT75フラスコ)およびP3(4xローラーボトル)を得た。
B.ゲノム解析−サザンブロット
vCP2391のゲノムDNAを抽出し、BamHI、HindIIIまたはPst Iで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動した。BamHI、HindIIIまたはPst I消化ゲノムDNAを含むゲルをナイロン膜に移し、382塩基のcaGM-CSFプローブによるサザンブロット解析を実施した。多数のバンドが予想されたサイズに観察され、caGM-CSF遺伝子のC3遺伝子座への正確な挿入が示された。
イヌGM-CSFプローブの増幅のためのプライマー:
18071BK:5’ GATGTTGAACAGGAAGTCCTTCAGGT 3’ (配列番号:15)
18073BK:5’ GTTCCTGGGCACCGTGGTGTGCAGCA 3’(配列番号:16)
C.発現解析
ウェスタンブロット:初代CEF細胞に10のMOIでvCP2391.4.4のP3ストックを感染させ37℃で24時間インキュベートした。続いて全ての培養液および細胞を採集した。ロシュ(Roche)製造のレポーター遺伝子アッセイ溶解緩衝液(Cat. 1 897 675)を用いて細胞ペレットを溶解させた。抗酸化剤を添加しながらNuPage(商標)系を用いて上清および細胞溶解物の両方を調製した。タンパク質をNuPage(商標)10%ビス-トリスプレカーストゲル(Bis-Tris Pre-cast gel)で分離し、続いてPVDF膜に移した。精製ヤギ抗イヌGM-CSF IgG(R&D Systems, Cat AF1546)を一次抗体として用いた。ウェスタンブロットによりvCP2391.4.4から分泌された約20kDaの主要タンパク質および約17kDaの少量のタンパク質が検出された(図7および9参照)。図9は粗精製物および上清におけるGM-CSFの良好な発現を示した。
D.配列解析
vCP2391.4.4 P3ストックのゲノムDNAのさらに詳細な解析を、C3遺伝子座のフランキングアームおよびイヌGM-CSF挿入物のPCR増幅および配列解析によって実施した。プライマー8103JYおよび8104JY(ALVACゲノム内のC3遺伝子座のアームを超えて位置する)を用いて、完全なC3L‐caGM-CSF‐C3Rフラグメントを増幅した。その結果、イヌGM-CSF並びにALVACのC3LおよびC3Rの配列(配列番号:19)は正確であることが示された。
C3L‐イヌGM-CS‐C3RカセットのPCR増幅のためのプライマー:
8103JY:5’ GAGGCATCCAACATATAAAGAAGACTAAAG 3’(配列番号:17)
8104JY:5’ TAGTTAAATACTCATAACTCATATCTG 3’(配列番号:18)
【実施例5】
【0059】
実施例5:vCP2263のC3遺伝子座に挿入されたH6pコドン最適化合成イヌGM-CSF遺伝子を含むALVAC組換え体(vCP2392)の作製および性状決定
ALVAC C5 H6p CDV(vCP2263.1.2.1.1)を親ウイルスとして用いた。コドン最適化イヌGM-CSF遺伝子を含むpJSY2218.1をドナープラスミドとして用いた。初代ニワトリ胚線維芽細胞(1°CEF)をin vitro組換えに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識イヌGM-CSF特異的プローブによるプラークハイブリダイゼーションを組換え体選別に用いた。
IVRは、FuGENE-6(商標)試薬(Roche)を用い10μgのNotI線形化ドナープラスミドpJSY2218.1による1°CEF細胞のトランスフェクションによって作製した。続いてトランスフェクトした細胞にレスキューウイルスとしてvCP2263.1.2.1.1を10のMOIで感染させた。24時間後、トランスフェクトして感染させた細胞を採集し、超音波処理して組換えウイルススクリーニングに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した382塩基のイヌGM-CSF特異的プローブ(実施例4)を製造業者のプロトコル(Amersham Cat# RPN3001)にしたがって使用し、組換え体プラークをプラークリフトハイブリダイゼーション方法に基づいてスクリーニングした。4回連続プラーク精製後、vCP2392.5.3.1.1と称する組換え体を作製し、ハイブリダイゼーションによってイヌGM-CSF挿入物について100%陽性であることおよびC3 ORFについて100%陰性であることを確認した。単一プラークを4回目のプラーク精製から選別し、増やしてP1(1xT25フラスコ)、P2(1xT75フラスコ)およびP3(6xローラーボトル)を得た。
A.ゲノム解析−サザンブロット
vCP2392のゲノムDNAを抽出し、BamHI、HindIIIまたはPst Iで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動した。BamHI、HindIIIまたはPst I消化ゲノムDNAを含むゲルをナイロン膜に移し、382塩基のイヌGM-CSFプローブ(実施例4)を用いてサザンブロット解析を実施した。多数のバンドが予想されたサイズに観察され、イヌGM-CSF遺伝子のC3遺伝子座への正確な挿入が示された。
B.発現解析
ウェスタンブロット:初代CEF細胞に10のMOIでvCP2392.5.3.1.1のP3ストックを感染させ37℃で24時間インキュベートした。続いて全ての培養上清および細胞を採集した。ロシュ製造のレポーター遺伝子アッセイ溶解緩衝液(Cat. 1 897 675)を用いて細胞ペレットを溶解させた。抗酸化剤を添加しながらNuPage(商標)系を用いて上清および細胞溶解物の両方を調製した。タンパク質をNuPage(商標)10%ビス-トリスプレカーストゲルで分離し、続いてPVDF膜に移した。精製ヤギ抗イヌGM-CSF IgG(R&D Systems, Cat AF1546)を一次抗体として用いた。ウェスタンブロットによりvCP2392.5.3.1.1の上清から分泌された約20kDaの主要タンパク質および約17kDaの少量のタンパク質が検出された(図8および9参照)。CDV HA発現の結果は図10に示されている。結果はvCP2392によるCDV HAの良好な発現を示した。
C.配列解析
vCP2392.5.3.1.1 P3ストックのゲノムDNAのさらに詳細な解析を、C3遺伝子座のフランキングアームおよびイヌGM-CSF挿入物のPCR増幅および配列解析によって実施した。プライマー8103JYおよび8104JY(実施例4参照)(ALVACゲノムでC3遺伝子座のアームを超えて位置する)を用いて、完全なC3L‐caGM-CSF‐C3Rフラグメントを増幅した。その結果、イヌGM-CSF並びにALVACのC3LおよびC3Rの配列は正確であることが示された。
【実施例6】
【0060】
実施例6:組換えカナリアポックス‐イヌCDV HAおよびイヌGM-CSF(vCP2392)と組換えカナリアポックス‐イヌCDV HA(vCP2263)の有効性のイヌチャレンジによる比較
CDV特異的病原体をもたない18匹のイヌを用いた。4ヶ月齢のイヌの雄および雌を3群に分け、下記表1に示すようにワクチン接種しサンプルを採取した。
表1
−SN:血清中和試験
−SLAM:シグナリングリンパ球活性化分子
−CMI:細胞媒介免疫
臨床検査は以下の日に実施した:(V1)0、0+4/5h、1、2;(V2)28、28+4/5h、29、30または全徴候が消失するまで。臨床モニタリングには、当該イヌの一般的症状のモニタリングが含まれ、前記一般的症状は、例えば直腸温度、注射部位の触診時の痛み、局所の腫脹、局所の発熱、そう痒および局所的脱毛である。
血清学試験のためにプレーン試験管でのサンプリングを0、13、27、35、42、56および70日目に実施した。2つのタイプのSNを実施した。vCP2392およびvCP2263中のCDV HA挿入物に対して異種であるCDV株(BA5)を用いた。結果は図11に示されている。前記結果は、群Aの力価は群Bの力価より高いことを示した(1 log10、35日目、42日目および70日目でそれぞれp=0.009、p=0.019およびp=0.03)。42日目の群Bでは、0.8log10PD50より低い力価を有するイヌが3匹いた。Vero SLAM細胞およびCDV株5804-GFP(vCP2392およびvCP2263中のCDV HA挿入物に対して同種である)を用いる第二のタイプのSNを実施した。結果は図12に示されている。結果は、群Aの力価は群Bの力価より高いことを示した。前記結果はまた、群Bでは70日目の力価が0.48であるイヌが2匹いたが、群Aでは全てのイヌが0.72以上の血清学的力価を有することを示した。
CMIのモニタリングのためにヘパリン化試験管でのサンプリングを13日目、42日目および70日目に実施した。ヌクレオフェクトしたPBMC(末梢血単核球)を用いたPBMC再刺激によるエリスポット(ELIspot)アッセイでIFNγの産生をモニターした。抗原特異的IFNγ産生細胞頻度を計算した。データは図16に示されている。
要約すれば、vCP2392(CDV HA+イヌGM-CSF)は、vCP2263(CDV HA)と比較して有意に強い血清学的応答を誘発する。
【実施例7】
【0061】
実施例7:他のワクチン抗原の免疫原性に対するvCP2392の影響
この実験は、vCP2392(CDV HAおよびイヌGM-CSFを同時発現する)が他のワクチン抗原の免疫原性に対してプラスの影響を与えるか否かを解明するために設計した。
改変生イヌパルボウイルスワクチンを、通常の市販の用量より十分に低い用量(2.6 log10TCID50)で用いた。12匹の雄および雌のSPF(特定病原体フリー)ビーグルの仔犬(2−3ヶ月)を無作為に2つの群に割り当て、下記の表2に示すようにワクチン接種した。
表2
*右肩に(D0)、続いて左肩(D28)にSCルートで2mL(PBS中にvCP + MLV-CPV2)。
**改変生ウイルス−イヌパルボウイルス2型(MLV-CPV2)
臨床モニタリングは、一般的症状、直腸温度、注射部位の触診時の痛み、局所の腫脹、局所の発熱そう痒を含む。投与ワクチンはA群およびB群の両方の群のイヌで良好な耐性を示した。MLV-CPV2と組み合わせたvCP2392(CDV HA+GM-CSF)およびvCP2263(CDV HA)は臨床検査の結果に基づいて安全と考えられた。
血清をCPV2およびCDVに対する抗体につて力価測定した(同種および異種CDVを血清中和試験で使用)。
図17はCVP2 ELISAの結果を示す。群AおよびBのいずれの動物も試験の開始時にCPV2に対する抗体を有していなかった。群Bでは1匹のイヌだけがワクチン接種に続いて抗体応答を立ち上げた。この応答は28日目以降に検出された。群Aでは、6匹のうち4匹のイヌが高い抗体応答を示し、応答はそれらのイヌのいくらかでは早くも7日目に検出された。いずれのイヌも28日目の2回目の注射後に追加免疫応答を示さなかった応答発生における統計解析は、これらの群は有意に相違することを示した(p=0.046)。結果は、vCP2392に含まれるGM-CSF挿入物はCPV2血清学においてプラスの影響を有することを示した。
図18は同種CDV SN(血清中和)試験の結果を示す。ワクチン接種前、いずれの動物もCDVに対する抗体をもたない。群AおよびBの力価は35日目および56日目では類似していた。しかしながら、群Aのイヌの5/6は28日目には抗体を有したが、群Bのイヌはいずれも28日目には抗体を生じなかった。42日目には、血清学的力価は群Aで有意に高かった(Student t-検定、p=0.01)。
図19は異種CDV SN検査の結果を示す。ワクチン接種前、いずれの動物もCDVに対する抗体をもたない。群Aの抗体力価は35,42および56日目には群Bの力価よりも高い傾向があった。56日目には、群Aの抗体力価は群Bよりも有意に高かった(Wilcoxon、p=0.016)。
本実験結果は、群Bの結果が示しているように、1匹のイヌ当たり2.6 log10TCID50のMLV-CPV2の用量は、血清変換を与えることができる最低用量より低いことを示している。興味深くかつ驚くべきことには、カナリアポックスベクターへのGM-CSFの包含(vCP2392)は、群Aの結果が示すように種々の抗体応答を誘発した。これらの結果は、カナリアポックスベクターにおけるcaGM-CSFの存在は、同じ部位に注射された別のワクチン成分の免疫原性に影響を与えることができることを示した。
【0062】
本発明の好ましい実施態様を詳細に述べてきたが、上記に規定される本発明は、本発明の範囲を逸脱することなく多くの明白な変型が可能であるので、上述の記載に示す個々の具体的な事柄に限定されるべきでないことは理解されよう。
出願引用文書で引用または参照された全ての文書、および本明細書で引用または参照された全ての文書(“本明細書引用文書”)、および本明細書引用文書で引用または参照された全ての文書は、本明細書または本明細書に参照により取り込まれた一切の文書に記載されている一切の製造業者の指示書、説明書、製品明細書、および一切の製品についてのプロダクトシートと併せて、参照により本明細書に含まれるとともに本発明の実施に用いることができる。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は米国仮特許出願61/308,620(2010年2月26日出願)の優先権を主張する。
本発明は、イヌジステンパーウイルスおよび他のイヌウイルスの動物における感染に対抗する処方物に関する。具体的には、本発明は、イヌジステンパーウイルスに対する免疫応答を動物で誘引するCDV HAを含むとともに前記をin vivoまたはin vitroで発現するベクター(前記ベクターを含む組成物を含む)、イヌジステンパーウイルスに対するワクチン接種方法、並びにそのような方法および組成物と一緒に用いられるキットを提供する。本発明はまた、イヌジステンパーウイルスおよび他のイヌウイルスに対する免疫応答を動物で誘引するCDV HAおよびGM-CSFを含むとともに前記をin vivoまたはin vitroで発現するベクター、並びに前記ベクターを含む組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
イヌジステンパー(CD)はイヌおよび他の食肉動物の強感染性、発熱性の疾患である(Fenner, et al., 1987, Veterinary Virology, Academic Press, Inc., pp. 485-503)。死亡率は高く、30から80%の範囲である。生きのびたイヌはしばしば中枢神経系に永久的な損傷を有する(Fenner, et al., 1987)。CDの確立された病因は、CDウイルス(CDV)として知られるパラミクソウイルス科、モルビリウイルス属のメンバーによる感染である。一般的には、パラミクソウイルスは、マイナス鎖である18-20kbの一本鎖RNAゲノムを含むエンベロープ保有ウイルスである。前記ゲノムは5から7つの構造タンパク質をコードし、構造タンパク質には融合(F)糖タンパク質およびヘマグルチニン‐ノイラミニダーゼ(HN)またはヘマグルチニン(HA)糖タンパク質が含まれる。膜糖タンパク質ヘマグルチニン(HA)は血球凝集反応およびウイルスと宿主細胞との付着をもたらし、融合糖タンパク質(F)はウイルスと感染細胞間または感染細胞と隣接する未感染細胞間の膜融合を引き起こす(Graves et al., 1978, Virology 86:254-263)。CDVについては、FおよびHA糖タンパク質の両方がウイルスエンベロープおよび感染細胞表面に見出される。他のモルビリウイルスメンバーを用いた解析から推論すると、CDV FおよびHA糖タンパク質は、CDV感染およびその免疫学で重要であるように思われる(Diallo A., 1990, Vet. Micro. 23: 155-163)。ポックスウイルス系組換えCDVワクチンがイヌの防御および治療のために開発された(US 5,756,102)。米国特許出願USSN 09/587,964は、CDV抗原を発現するDNAプラスミド系ワクチンを開示している。
【0003】
顆粒球‐マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は1977年に初めて見出された(Burgess et al., 1977, J. Biol. Chem.252:1998-2003)。GM-CSFは多くの生理学的役割を有する。特に、GM-CSFは、顆粒球、マクロファージ、好酸球および巨核球の生産、発育およびコロニー形成を刺激する(Dy M., in“les Cytokines”Cavailon 1995 ed. Masson, Paris, France, 43-56)。GM-CSは特にマクロファージの細胞傷害性を誘発し、抗体依存細胞傷害活性(ADCC)および白血球補充を炎症部位並みに刺激する。
多様な種に由来する公知のGM-CSFをコードするヌクレオチド配列のサイズは381から432ヌクレオチドまで変動する。ヒトおよびネズミのヌクレオチド配列は69%の相同性を有する。アミノ酸配列レベルでの相同性は54%である(Cantrell et al., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6250-6254)。144アミノ酸サイズを有するウマGM-CSFが同定された(US 7,250,161)。2つのイヌGM-CSFがUS 5,702, 919およびUS 5,606,024で同定され、前記はそれぞれ127アミノ酸および174アミノ酸を有する。
異種GM-CSFの投与は、最適なアジュバント効果、特に造血細胞活性の刺激および免疫応答の実質的な増加をもたらすことはできない。
したがって、CDVワクチンの有効性および安全性の改善並びに野外条件下でのより有効な防御が広く希求される。
本発明は、ワクチン接種イヌに対する高度な安全性を維持しつつcaGM-CSFの免疫学的作用を最適化する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、組換えベクターまたはウイルスおよびそのようなウイルスの作製方法の提供、並びに、CDVおよび他のイヌウイルスによる感染の治療および予防のための組成物および/またはワクチン並びに方法の提供のうちのいずれかまたは全部であり得る。
本発明は、少なくとも1つの外因性核酸分子を含むとともに前記を発現する組換えベクター(例えば組換えウイルス)を提供し、前記少なくとも1つの外因性核酸分子はCDVに由来する問題の免疫原またはエピトープ(例えばCDV HA)をコードする核酸分子を含むことができる。
本発明は、CDV HAポリペプチドおよび/またはその変種またはフラグメントをコードする第一のポリヌクレオチド、およびイヌGM-CSFポリペプチドおよび/またはその変種またはフラグメントをコードする第二のポリヌクレオチドを含む、組換えベクター(例えば組換えポックスウイルス)を提供する。
本発明はさらに、そのような発現ベクターまたはそのような発現ベクターの発現生成物を含む組成物またはワクチンを提供する。
本発明はさらに、CDVおよび他のイヌウイルスに抗する免疫学的(もしくは免疫原性)または防御的応答を誘発する方法、並びに、CDVおよび他のイヌウイルス、またはCDVおよび他のイヌウイルスによって引き起こされる病的状態を予防または治療する方法を提供し、本方法は、前記発現ベクターもしくは前記発現ベクターの発現生成物、または前記発現ベクターを含む組成物、または前記発現ベクターの発現生成物を含む組成物を投与する工程を含む。
本発明はまた、前記ウイルスに由来する発現生成物、および前記発現生成物またはその発現によりin vivoで生成される抗体、並びにそのような生成物および抗体の例えば診断的応用における使用に関する。
前記の実施態様および他の実施態様は以下の詳細な説明で開示されてあるかまたは前記詳細な説明から明白であり、前記詳細な説明中に含まれている。
以下の詳細な説明(例示手段により提供されるが本発明をもっぱら記載の具体的態様に限定する意図はない)は、添付の下記図面と一緒にして最も理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1−1】該当ポリヌクレオチドおよびタンパク質に割り振られた配列番号を確認する表を提供する。
【図1−2】図1−1続き
【図2】配列番号:2と配列番号:5の配列アラインメントを提供する。
【図3】pCXL1557.1およびpJSY2218.1のプラスミドマップを示す。
【図4】vCP2263のサザンブロットを示す。
【図5】vCP2263のウェスタンブロットを示す。
【図6】vCP2263のイムノプラークアッセイを示す。
【図7】vCP2391のウェスタンブロットを示す。
【図8】vCP2392のウェスタンブロットを示す。
【図9】vCP2391およびvCP2392のGM-CSFのウェスタンブロットを示す。
【図10】vCP2392のCDV HAタンパク質のウェスタンブロットを示す。
【図11】異種SNテストを用いたvCP2392およびvCP2263の血清学についての結果を提供する。
【図12】同種SNテストを用いたvCP2392およびvCP2263の血清学についての結果を提供する。
【図13a】図13aは、CDV HAタンパク質の配列アラインメントを提供する。
【図13b】図13bは、CDV HAタンパク質のアミノ酸レベルにおける配列同一性パーセンテージを提供する。
【図14−1】コドン最適化CDV HA DNAおよび野生型CDV HA DNAの配列アラインメントを提供する。
【図14−2】図14-1続き
【図14−3】図14-2続き
【図15a】図15aは、CDV HA DNAの配列アラインメントを提供する。
【図15b】図15bは、CDV HA DNAのDNAレベルにおける配列同一性パーセンテージを提供する。
【図16】細胞性免疫応答の結果を提供する。
【図17】CPV2 ELISAの結果を提供する。
【図18】CDV SN抗体の同種SNテストの結果を示す。
【図19】CDV SN抗体の異種SNテストの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
動物で免疫原性応答を誘引する、CDVポリペプチド並びにそのフラグメントおよび変種をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む組成物が提供される。CDVポリペプチドまたはフラグメントもしくは変種をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターをワクチンまたは医薬組成物に処方して、動物で防御応答を誘引または刺激することができる。ある実施態様では、CDVポリペプチドはCDVヘマグルチニン(HA)ポリペプチドまたはその活性なフラグメントもしくは変種である。
CDV HAポリペプチドまたはその活性なフラグメントもしくは変種をコードするポリヌクレオチド、およびGM-CSFポリペプチドまたはその活性なフラグメントもしくは変種をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む組成物が提供される。
本発明のポリペプチドは、完全長ポリペプチドでもその活性なフラグメントもしくは変種でもあり得ることは理解されるであろう。“活性なフラグメント”または“活性な変種”とは、当該フラグメントまたは変種が当該ポリペプチドの抗原性性質を保持することが意図される。したがって、本発明は、動物で免疫原性応答を誘引する任意のCDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を包含する。前記CDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原は任意のCDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原で、例えば動物で応答を誘引、誘発または刺激するタンパク質、ペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種であり得るが、ただしそれらに限定されない。
【0007】
特に注目されるCDVポリペプチドはCDVヘマグルチニン(HA)である。CDV HAは、CDVの表面で見出されるヘマグルチニンの一タイプを指す。前記は抗原性糖タンパク質であり、ウイルスと感染細胞との結合をもたらす。種々のHA抗原が存在し、野外で循環している種々のCDV株と密接に関係するが、それらのいずれも本発明の実施に用いることができる。しかしながら、別個の抗原(例えば融合(F)糖タンパク質および核タンパク質(NP))が存在し、前記のいずれも本発明の実施に用いることができる。さらにこれらの抗原のいずれの前駆体も用いることができることは理解されるであろう。本発明の抗原性ポリペプチドはCDVに対して防御能力を有する。すなわち、それらは動物で免疫応答を刺激する能力を有する。
“抗原”または“免疫原”という用語は、宿主動物で特異的な免疫応答を誘発する物質を意味する。抗原は以下を含むことができる:生物体全体(死滅、弱毒または生);生物体のサブユニットまたは部分;免疫原性特性を有する挿入物を含む組換えベクター;宿主動物への提示に際して免疫応答を誘発する能力を有するDNAの一部分またはフラグメント;ポリペプチド、エピトープ、ハプテンまたはそれらの任意の組合せ。或いは、免疫原または抗原は毒素または抗毒素を含むことができる。
【0008】
“タンパク質”、“ペプチド”、“ポリペプチド”および“ポリペプチドフラグメント”という用語は本明細書では互換的に用いられ、アミノ酸残基の任意の長さのポリマーを指す。前記ポリマーは線形でも分枝状でもよく、改変アミノ酸またはアミノ酸アナローグを含むことができ、さらにアミノ酸以外の化学的部分によって中断されていてもよい。前記用語はまた、天然にまたは介入により改変されたアミノ酸ポリマーを包含し、前記改変は例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作または改変、例えば標識または生物活性成分との結合であり得る。
“CDV HAポリペプチドまたはポリヌクレオチド”という用語は、任意の天然または最適化CDV HAポリペプチドまたはポリヌクレオチド並びにそれらの誘導体および変種を指す。
“GM-CSFポリペプチドまたはポリヌクレオチド”という用語は、任意の天然または最適化GM-CSFポリペプチドまたはポリヌクレオチド並びにそれらの誘導体および変種を指す。
【0009】
本明細書で用いられる“免疫原性または抗原性ポリペプチド”という用語は、宿主動物にいったん投与されたら当該タンパク質に対する液性および/または細胞性タイプの免疫応答を惹起することができるという意味で免疫学的に活性なポリペプチドを含む。好ましくは、前記タンパク質フラグメントは、完全なタンパク質と実質的に同じ免疫学的活性を有するものである。したがって、本発明のタンパク質フラグメントは、少なくとも1つのエピトープまたは抗原決定基を含むか、またはそれらから成るかもしくは本質的にそれらから成る。本明細書で用いられる、“免疫原性”タンパク質またはポリペプチドには該当タンパク質の完全長配列、そのアナローグ、またはその免疫原性フラグメントが含まれる。“免疫原性フラグメント”とは、1つまたは2つ以上のエピトープを含み、したがって上記記載の免疫学的応答を誘引するタンパク質フラグメントを意味する。そのようなフラグメントは、当業界で周知の多数のエピトープマッピング技術のいずれかを用いて同定することができる。例えば以下を参照されたい:Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66(Glenn E. Morris, Ed., 1996)。例えば線形エピトープは、固相上で多数のペプチドを同時に合成し(前記ペプチドは該当タンパク質分子の部分と一致する)、前記ペプチドが固相に結合している間にペプチドと抗体を反応させることによって決定することができる。そのような技術は当業界では公知であり、例えば以下に記載されている:米国特許4,708,871号;Geysen et al., 1984;Geysen et al., 1986。同様に立体エピトープは、例えばx線結晶学および二次元核磁気共鳴によってアミノ酸の空間配座を決定することによって容易に同定される。例えば上掲書(Epitope Mapping Protocols)を参照されたい。
【0010】
本明細書で考察するように、本発明は抗原性ポリペプチドの活性なフラグメントおよび変種を包含する。したがって、“免疫原性または抗原性ポリペプチド”はさらに、当該ポリペプチドが機能して本明細書に規定する免疫学的応答を生じる限り当該配列に対する欠失、付加および置換を含む。
“保存的変異”という用語は、アミノ酸残基の生物学的に類似する別の残基による置換、またはコードされるアミノ酸残基が変化しないかもしくは生物学的に類似の別の残基となるような核酸配列内のヌクレオチドの置換を意味する。これに関しては、特に好ましい置換は保存的、すなわち一アミノ酸ファミリー内で生じる置換であろう。例えばアミノ酸は一般的に以下の4つのファミリーに分割される:(1)酸性:アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性:リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性:アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性:グリシン、アスパラギン、グルタミン、シスチン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは時に芳香族アミノ酸として分類される。保存的変異の例には、1つの疎水性残基(例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニン)による別の疎水性残基の置換、または1つの極性残基による別の極性残基の置換(例えばアルギニンによるリジンの置換、グルタミン酸によるアスパラギン酸の置換、またはグルタミンによるアスパラギンの置換など);または生物学的活性に対して主要な影響を与えない構造的に関連するアミノ酸による同様な保存的アミノ酸置換が含まれる。したがって、参照分子と実質的に同じアミノ酸配列を有するが、当該タンパク質の免疫原性に実質的に影響を与えない小さなアミノ酸置換を有するタンパク質は参照ポリペプチドの規定内にある。これらの改変によって生じるポリペプチドは全てこの中に含まれる。“保存的変異”という用語はまた、未置換親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸の使用を含むが、ただしこの場合、置換ポリペプチドに対して生成された抗体もまた未置換ポリペプチドと免疫反応性を有することを条件とする。
【0011】
“エピトープ”という用語は、特異的B細胞および/またはT細胞が応答する抗原またはハプテン上の部位を指す。前記用語はまた“抗原決定基”または“抗原決定部位”と互換的に用いられる。同じエピトープを認識する抗体は、ある抗体が別の抗体と標的抗原との結合を阻止する能力を有することを示す簡単なイムノアッセイで同定できる。
組成物またはワクチンに対する“免疫学的応答”は、対象組成物またはワクチンに対する細胞性および/または抗体媒介性免疫応答の宿主細胞における発達である。通常、“免疫学的応答”には1つまたは2つ以上の以下の作用が含まれる(ただしこれらに限定されない):対象組成物またはワクチンに含まれる1つの抗原または複数の抗原を特異的に指向する抗体、B細胞、ヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞の生成。好ましくは、宿主は、新規感染に対する抵抗が強化されるか、および/または当該疾患の臨床的重症度が軽減されるような治療的または防御的な免疫学的応答を示すであろう。そのような防御は、感染宿主が通常示す徴候の軽減または欠如、より迅速な回復期間および/または感染宿主のウイルス力価の低下によって示されるであろう。
【0012】
“動物”には哺乳動物、鳥類などが意図される。本明細書で用いられる動物または宿主には哺乳動物およびヒトが含まれる。動物は、ウマ科(例えばウマ)、イヌ科(例えばイヌ、オオカミ、キツネ、コヨーテ、ジャッカル)、ネコ科(例えばライオン、トラ、イエネコ、野生ネコ、他の大型のネコ類、並びにチーターおよびオオヤマネコを含む他のネコ科)、ヒツジ科(例えばヒツジ)、ウシ科(例えばウシ)、ブタ類(例えばブタ)、鳥類(例えばニワトリ、アヒル、カモ、シチメンチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、ダチョウ、エミューおよびヒクイドリ)、霊長類(例えば原猿類、メガネザル、モンキー、テナガザル、エイプ)、フェレット、アザラシおよび魚類から成る群から選択できる。“動物”という用語はまた発育の全段階(胚期および胎児期を含む)の個々の動物を含む。
特に説明がなければ、本明細書で用いられる全ての技術用語および学術用語は、本開示が属する業界の通常の技量を有する者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。単数語の“a”、”an”および“the”は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り複数の対象物を含む。同様に、“or”という単語は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り“and”を含むことが意図される。
本開示および特に特許請求の範囲では、例えば“含む”という用語(“comprises”、“comprised”、“comprising”など)は、米国特許法で前記に帰された意味を有することができる。例えば前記は“含む”(“includes”、“included”、“including”など)という意味を有することができる。さらに、例えば“本質的に〜から成る”という用語(“consisting essentially of”および“consists essentially of”)は、米国特許法でそれらに帰された意味を有する。例えば、前記用語は明確に列挙されていない要素を許容するが、先行技術で見出されている要素または本発明の基本的または新規な特徴に影響を与える要素を排除する。
【0013】
組成物
本発明は、CDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原をコードするポリヌクレオチドを含む組換えもしくは発現ベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルを含むことができるCDVワクチンまたは組成物に関する。前記CDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原は、任意のCDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原、例えば動物で応答を誘引、誘発または刺激するタンパク質、ペプチドまたはそのフラグメント(ただしこれらに限定されない)であり得る。
本発明は、CDV HAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えもしくは発現ベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルを含むことができるCDVワクチンまたは組成物に関する。ある実施態様では、発現ベクターはさらにGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。
別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルは油中水エマルジョンであり得る。さらに別の実施態様では、油中水エマルジョンは水/油/水(W/O/W)三重エマルジョンであり得る。さらに別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルは水中油エマルジョンであり得る。
【0014】
ある実施態様では、CDVポリペプチド、抗原またはそのフラグメントもしくは変種はCDV HAポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種であり得る。本実施態様のある特徴では、CDV HAポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種はCDV HA遺伝子によって生成された組換えポリペプチドである。本実施態様の別の特徴では、CDV HA遺伝子は、配列番号:1、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49に示される配列と少なくとも70%の同一性を有する。本実施態様の別の特徴では、CDV HAポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種は、配列番号:2、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34に示される配列と少なくとも80%の同一性を有する。
別の特徴では、GM-CSFポリペプチド、抗原またはそのフラグメントもしくは変種はGM-CSF遺伝子によって生成された組換えポリペプチドである。本実施態様の別の特徴では、GM-CSF遺伝子は配列番号:3に示される配列と少なくとも70%の同一性を有する。本実施態様の別の特徴では、GM-CSFポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種は配列番号:4に示される配列と少なくとも80%の同一性を有する。
【0015】
合成抗原もまた本規定内に含まれる(例えばポリエピトープ、フランキングエピトープおよび他の組換え体または合成誘導抗原)。例えば以下を参照されたい:Bergmann et al., 1993;Bergmann et al., 1996; Suhrbier, 1997;Gardner et al., 1998。本発明の目的のためには、免疫原性フラグメントは、通常は当該分子の少なくとも約3アミノ酸、少なくとも約5アミノ酸、少なくとも約10−15アミノ酸、または約15−25アミノ酸、またはそれより大きいアミノ酸を含むであろう。フラグメントの長さに決定的な上限はなく、前記はほとんど完全長のタンパク質配列または当該タンパク質の少なくとも1つのエピトープを含む融合タンパク質すら含み得る。
したがって、エピトープを発現するポリヌクレオチドの最小構造は、それがCDVポリペプチドのエピトープまたは抗原決定基をコードするヌクレオチド含むかまたは前記から成るかまたは本質的に前記から成るというものである。CDVポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチドは、当該ポリペプチドをコードする配列の最小限15ヌクレオチド、約30−45ヌクレオチド、約45−75、または少なくとも75、87または150の継続的なもしくは連続するヌクレオチドを含むか、または前記から成るか、または本質的に前記から成る。エピトープ決定手順、例えばオーバーラップペプチドライブラリーの作製(Hemmer et al., 1998)、ペプスキャン(Pepscan)(Geysen et al., 1984;Geysen et al., 1985;Van der Zee R. et al., 1989;Geysen, 1990;Multipin.RTM. Peptide Synthesis Kits de Chiron)およびアルゴリズム(De Groot et al., 1999;PCT/US2004/022605)を本発明の実施で用いることができる。
【0016】
“核酸”および“ポリヌクレオチド”という用語は、線形または分枝状の一本鎖もしくは二本鎖またはそのハイブリッドであるRNAもしくはDNAを指す。前記用語はまた、RNA/DNAハイブリッドを包含する。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子フラグメント、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブおよびプライマー。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナローグ、ウラシル、他の糖および連結基、例えばフルオロリボースおよびチオレート、並びにヌクレオチド分枝鎖を含むことができる。ヌクレオチドの配列は、ポリマー形成後に例えば標識成分との複合体形成によってさらに改変することができる。本規定に含まれる他の改変タイプは、キャップ、1つまたは2つ以上の天然に存在するヌクレオチドのアナローグによる置換、およびポリヌクレオチドとタンパク質、金属イオン、標識成分、他のポリヌクレオチドまたは固相との結合のための手段の導入である。前記ポリヌクレオチドは化学合成によって入手するか、または微生物から誘導することができる。
【0017】
“遺伝子”という用語は、生物学的機能を随伴するポリヌクレオチドの任意のセグメントを指すために広く用いられる。したがって、遺伝子はゲノム配列の場合のようにイントロンおよびエクソンを含むか、またはcDNAおよび/またはそれらの発現のために必要な調節配列の場合のようにコード配列のみを含む。例えば、遺伝子はまた、mRNAもしくは機能的RNAを発現するかまたは個々のタンパク質をコードする核酸フラグメントを指し、前記核酸フラグメントは調節配列を含む。
本発明はさらに、CDV抗原、エピトープまたは免疫原をコードするポリヌクレオチドまたはGM-CSF抗原、エピトープまたは免疫原をコードするポリヌクレオチドの相補鎖を含む。前記相補鎖はポリマーであって任意の長さであり得る。前記はデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよびアナローグを任意の組合せで含むことができる。
“単離された”生物学的成分(例えば核酸またはタンパク質または細胞小器官)は、前記成分が天然に存在する生物の細胞内の他の生物学的成分(例えば他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、タンパク質、並びに細胞小器官)から実質的に分離されているかまたは精製されている成分を指す。“単離された”核酸およびタンパク質には、標準的精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。“単離された”という用語はまた、化学合成と同様に組み換え技術によって調製された核酸およびタンパク質を包含する。
【0018】
本明細書で用いられる“精製された”という用語は完全な純度を要求せず、むしろ相対的な用語として意図される。したがって、例えば部分的に精製されたポリペプチド調製物は、前記ポリペプチドがその本来の環境に存在するよりも濃縮されている。すなわち、前記ポリペプチドは細胞構成成分から分離されている。“実質的に精製された”とは、細胞性成分または物質の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%、またはそれより多くが除去されてあることが意図される。“部分的に精製された”とは、細胞構成成分または物質の60%未満の除去を意図する。ポリヌクレオチドについても同様である。本明細書に開示するポリペプチドは当業界で公知の任意の手段によって精製できる。
【0019】
さらにまたCDV HAポリペプチドのホモローグおよびGM-CSFポリペプチドのホモローグも本発明の範囲内に包含される。本明細書で用いられるように、“ホモローグ”という用語はオルソローグ、アナローグおよびパラローグを含む。“アナローグ”という用語は、同じまたは類似する機能を有するが、無関係の生物で別々に進化した2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。“オルソローグ”という用語は、異なる種に由来するが、共通の祖先遺伝子から種分化によって進化してきた2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。通常オルソローグは同じまたは類似する機能を有するポリペプチドをコードする。“パラローグ”という用語は、ゲノム内の重複化によって関係をもつ2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。パラローグは通常異なる機能を有するが、これらの機能は関係を有することがある。例えば、野生型CDVポリペプチドのアナローグ、オルソローグおよびパラローグは翻訳後改変によって、アミノ酸配列の相違によって、またはその両方によって野生型CDVポリペプチドと相違し得る。特に、本発明のホモローグは、一般的には野生型CDVポリペプチドまたはポリヌクレオチドの全部または部分に関して、少なくとも80−85%、85−90%、90−95%、または95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を示し、類似の機能を示すであろう。
【0020】
ある実施態様では、本発明は、配列番号:2、4、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34に示される配列を有するポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する1つまたは2つ以上のポリペプチドをコードする1つまたは2つ以上のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。別の実施態様では、本発明は、上記で認定したCDVポリペプチドまたはGM-CSFポリペプチド(配列番号:2、4、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34)のフラグメントおよび変種を提供する。当業者は周知の分子生物学技術を用いて前記を容易に調製できる。変種は、配列番号:2、4、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する相同なポリペプチドである。
変種には対立遺伝子変種が含まれる。“対立遺伝子変種”という用語は、タンパク質のアミノ酸配列に変化を生じる多形性を含み、天然の集団(例えばウイルス種またはウイルス変種)内に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。そのような天然の対立遺伝子変異は典型的にはポリヌクレオチドまたはポリペプチドにおいて1−5%の多様性をもたらす。対立遺伝子変種は異なる多数の種で問題の核酸配列の配列決定によって同定可能で、それら種の同じ遺伝子の遺伝子座を同定するハイブリダイゼーションプローブを用いることによって容易に実施できる。天然の対立遺伝子変異の結果であり問題の遺伝子の機能的活性に変化をもたらさない、そのような核酸の変異およびその結果のアミノ酸多形性はいずれも本発明の範囲内に包含される。
【0021】
本明細書で用いられるように、“誘導体”または“変種”という用語は、1つまたは2つ以上の保存的アミノ酸変異または他の小さな改変を有するポリペプチド、またはポリペプチドをコードする核酸を指し、前記小さな改変は、(1)対応するポリペプチドが、野生型ポリペプチドと比較したとき実質的に等価の機能を有するか、または(2)当該ポリペプチドに対して生じた抗体が野生型ポリペプチドとの免疫反応を生じるようなものである。これらの変種または誘導体には、対応する未改変ポリペプチドと比較したとき実質的に等価の活性を有するペプチドを生じ得る、CDVポリペプチドまたはGM-CSF一次アミノ酸配列の小さな改変を有するポリペプチドが含まれる。そのような改変は意図的であっても(位置特異的変異誘導による場合のように)、また偶発的であってもよい。“変種”という用語はさらに、当該ポリペプチドが機能して本明細書に規定する免疫学的応答を生じるかぎり当該配列に対する欠失、付加および置換も意図する。
【0022】
CDVポリペプチドまたはGM-CSFポリペプチドの免疫原性フラグメントは、配列番号:2、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33もしくは34に示される配列を有するCDV HAポリペプチドまたはその変種、または配列番号:4に示される配列を有するGM-CSFポリペプチドまたはその変種の連続する少なくとも8、10、13、14、15または20アミノ酸、少なくとも21アミノ酸、少なくとも23アミノ酸、少なくとも25アミノ酸、または少なくとも30アミノ酸を含む。
別の特徴では、本発明は、CDV HAポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば配列番号:2、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34に示される配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。さらに別の特徴では、本発明は、配列番号:2、5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31、32、33または34に示される配列を有するポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリペプチド、または保存的変種、対立遺伝子変種、ホモローグ、またはこれらポリペプチドの1つの連続する少なくとも8もしくは少なくとも10のアミノ酸を含む免疫原性フラグメント、またはこれらペプチドの組合せをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0023】
さらに別の特徴では、本発明は、GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば配列番号:4に示される配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、を含む発現ベクターを提供する。さらに別の特徴では、本発明は、配列番号:4に示される配列を有するポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリペプチド、または保存的変種、対立遺伝子変種、ホモローグ、またはこれらポリペプチドの1つの連続する少なくとも8もしくは少なくとも10のアミノ酸を含む免疫原性フラグメント、またはこれらペプチドの組合せをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
ある実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:1、3、6、7、8、9、14、19、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49に示されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドまたはその変種を含む。別の実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:1、3、6、7、8、9、14、19、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49に示されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドの1つと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドまたはその変種を含む。
【0024】
本開示のポリヌクレオチドには、個々の宿主のための遺伝暗号、例えば最適化コドン使用頻度の結果としての縮重物である配列が含まれる。本明細書で用いられるように、“最適化”は、ある種においてその発現を高めるために遺伝的に操作されたポリヌクレオチドを指す。CDV HAポリペプチドまたはGM-CSFポリペプチドをコードする最適化ポリヌクレオチドを提供するために、CDV HA遺伝子またはGM-CSF遺伝子のDNA配列を、1)特定の種で高度に発現される遺伝子にとって望ましいコドンを含むように;2)前記種で実質的に見出されるヌクレオチド塩基組成のA+TまたはG+C含有量を含むように;3)前記種の開始配列を形成するために;または4)RNAの脱安定化、不適切なポリアデニル化、分解および終止を引き起こす配列または二次構造ヘアピンもしくはRNAスプライス部位を形成する配列を除去するために改変することができる。前記種でのCDV HAタンパク質またはGM-CSFタンパク質の発現増加は、真核細胞および原核細胞または特定の種におけるコドン使用頻度の分布頻度を利用することによって達成できる。“好ましいコドンの使用頻度”という用語は、あるアミノ酸を特定するために特定の宿主細胞によってヌクレオチドコドンの使用において示される優先性を指す。20の天然のアミノ酸が存在し、その大半が2つ以上のコドンによって特定される。したがって、全ての縮重ヌクレオチド配列が、当該ヌクレオチド配列によってコードされるCDV HAポリペプチドまたはGM-CSFポリペプチドが機能的に変化しない限り本開示に含まれる。
【0025】
2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)ペアワイズブラスト(blast)およびブロッサム62(blosum62)マトリックスで標準的パラメーターを用いて決定できる(例えば以下を参照されたい:BLASTまたはBLASTXアルゴリズム("National Center for Biotechnology Information"(NCBI, Bethesda, Md., USA)サーバーで入手できる)およびAltschul et al.)。
配列に関する“同一性”は、2つの配列の短い方のヌクレオチドまたはアミノ酸の数で割った同一のヌクレオチドまたはアミノ酸を有する位置の数を指し、この場合、前記2つの配列のアラインメントは、ウィルバーとリップマンのアルゴリズム(Wilbur and Lipman)にしたがい、例えばウィンドウサイズ20ヌクレオチド、ワード長4ヌクレオチドおよびギャップペナルティー4を用いて決定することができ、アラインメントを含む配列データのコンピュータ支援解析および解釈は、市販のプログラム(例えばIntelligeneticsTM Suite, Intelligenetics Inc. CA)を用いて簡便に実施できる。RNA配列が類似するまたはDNA配列とある程度の配列同一性もしくは相同性を有するというとき、DNA配列中のチミジン(T)はRNA配列中のウラシル(U)と等価と考えられる。したがって、RNA配列は本発明の範囲内に包含され、DNA配列中のチミジン(T)をRNA配列中のウラシル(U)と等価と考えることによってDNA配列から誘導することができる。
【0026】
2つのアミノ酸配列の配列同一性もしくは配列類似性または2つのヌクレオチド配列間の配列同一性は、ベクターNTI(Vector NTI)ソフトウェアパッケージ(Invitrogen, 1600 Faraday Ave., Carlsbad, CA)を用いて決定できる。
以下の文献は配列の相対的同一性または相同性を比較するためのアルゴリズムを提供し、さらに前述の記載に加えてまたは前述の記載とはまた別に、パーセント相同性または同一性を決定するためにこれら参考文献中の教示を用いることができる:Needleman SB and Wunsch CD;Smith TF and Waterman MS;Smith TF, Waterman MS and Sadler JR;Feng DF and Dolittle RF;Higgins DG and Sharp PM;Thompson JD, Higgins DG and Gibson TJ;およびDevereux J, Haeberlie P and Smithies O。甚だしい実験を実施することなく、当業者はパーセント相同性の決定のために他の多くのプログラムまたは参考文献を利用することができる。
ハイブリダイゼーションは種々の“ストリンジェンシー”条件下で実施することができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高める条件は周知である。例えば以下を参照されたい:“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition, Sambrook et al., 1989。
本発明は、ベクター分子または発現ベクターに収納され、プロモーターエレメントおよび場合によってエンハンサーに作動できるように連結されたCDVポリヌクレオチドまたはGM-CSFポリヌクレオチドまたはその両方を包含する。
【0027】
本発明はさらにイヌワクチンまたは組成物を包含し、前記は、CDV HAポリペプチドまたは抗原をコードするポリヌクレオチドおよびGM-CSFポリペプチドまたは抗原をコードするポリヌクレオチドを含む上述の組換えベクター、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルおよび追加されたイヌ由来の1つまたは2つ以上の抗原を含むことができる。本発明はさらに、GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む上述の組換えもしくは発現ベクター、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルおよび追加されたイヌ由来の1つまたは2つ以上の抗原を含むことができるイヌワクチンまたは組成物に関する。前記抗原は、狂犬病、イヌパルボウイルス、イヌコロナウイルス、イヌインフルエンザ、イヌジステンパー、伝染性イヌ肝炎、イヌヘルペスウイルス、偽性狂犬病、イヌマイニュートウイルス、レプトスピラ(Leptospira)、ネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、エールリキア・カニス(Ehrlichia canis)、リケッチア・リケッチー(Rickettsia rickettsi)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、ブラストミセス・デルマチチディス(Blastomyces dermatitidis)、ヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ミクロスポラム・カニス(Microsporum canis)、スポロトリクス・シェンキー(Sporothrix schenckii)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)およびP. インシディオスム(P. insidiosum)から成る群から選択されるイヌ抗原であり得る。抗原は以下を含むことができる:全生物(死滅、弱毒または生);生物のサブユニットまたは部分;免疫原性特性を有する挿入物を含む組換えベクター;宿主動物への提示に際して免疫応答を誘発する能力を有するDNA片またはフラグメント;ポリペプチド、エピトープ、ハプテンまたは前記の任意の組合せ。
【0028】
“ベクター”は、in vitroまたはin vivoで標的細胞にデリバーされるべき異種ポリヌクレオチドを含む組換えDNAもしくはRNAプラスミドまたはウイルスを指す。前記異種ポリヌクレオチドは、予防または施療の目的のために問題の配列を含むことができ、場合によって発現カセットの形態であってもよい。本明細書で用いられるように、ベクターは最終的な標的細胞または対象動物で複製能力を有する必要はない。前記用語にはクローニングベクターおよびウイルスベクターが含まれる。
“組換え体”という用語は半合成または合成起源であって、天然には存在しないか、または天然では見出されない編成で別のポリヌクレオチドと連結されているポリヌクレオチドを指す。
“異種”とは、ある存在物が、当該存在物の残りの部分と比較して遺伝的に別個の存在物に由来することを意味する。例えば、あるポリヌクレオチドを遺伝子操作技術によって異なる供給源に由来するプラスミドまたはベクターに配置することができるが、このポリヌクレオチドは異種ポリヌクレオチドである。その天然のコード配列から取り出し、前記天然の配列以外のコード配列に作動できるように連結されたプロモーターは異種プロモーターである。
【0029】
本発明のポリヌクレオチドは追加の配列を含むことができる。追加される配列は、例えば追加された同じ転写ユニット内のコード配列、制御エレメント(例えばプロモーター、リボソーム結合部位、5’UTR、3’UTR、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位)、同じもしくは異なるプロモーターの制御下の追加された転写ユニット、クローニング、発現、相同組換えおよび宿主細胞の形質転換を可能にする配列、並びに本発明の実施態様を提供するために所望できる任意の構築物であり得る。
CDV HAポリペプチド、抗原、エピトープもしくは免疫原またはGM-CSFポリペプチドの発現のためのエレメントは本発明のベクター内に存在する。最低限の態様では、前記は、開始コドン(ATG)、終止コドンおよびプロモーター、並びに場合によってある種のベクター(例えばプラスミド)およびある種のウイルスベクター(例えばポックスウイルス以外のウイルスベクター)についてはポリアデニル化配列を含む。ポリヌクレオチドがポリペプチドフラグメント(例えばCDV HAポリペプチド)をベクター内でコードするとき、ATGはリーディングフレームの5’に配置され、終止コドンは3’に配置される。発現を制御するための他のエレメント、例えばエンハンサー配列、安定化配列(例えばイントロン)およびタンパク質の分泌を許容するシグナル配列も存在し得る。
【0030】
本発明はまた複数のベクターを含む組成物またはワクチンに関する。前記組成物またはワクチンは1つまたは2つ以上のベクター、例えば発現ベクター(例えばin vivo発現ベクター)を含むことができ、前記ベクターは1つまたは2つ以上のCDV HAまたはGM-CSFポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を含むとともにこれらを発現する。ある実施態様では、ベクターは、CDV HA抗原、エピトープまたは免疫原をコードしおよび/またはこれらを発現するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを、医薬的または獣医的に許容できる担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクル中に収納するとともに前記を発現する。したがって、本発明の実施態様にしたがえば、調製物中の他の1つのベクターまたは複数のベクターは、CDV HAポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原以外の1つまたは2つ以上のタンパク質(例えばヘマグルチニン、ノイラミニダーゼ、核タンパク質)またはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含むか、前記ポリヌクレオチドから成るか、または本質的に前記ポリヌクレオチドから成り、適切な環境下でベクターはこれらを発現する。
【0031】
別の実施態様にしたがえば、組成物またはワクチン中の1つのベクターまたは複数のベクターは、CDV HAポリペプチド、抗原、エピトープもしくは免疫原またはGM-CSFポリペプチド、抗原、エピトープもしくは免疫原の1つまたは2つ以上のタンパク質またはフラグメント、または前記の組合せをコードするポリヌクレオチドを含むか、または前記ポリヌクレオチドから成るかまたは本質的に前記ポリヌクレオチドから成る。別の実施態様では、組成物またはワクチンは1つ、2つまたは3つ以上のベクターを含み、前記ベクターは、CDV HAポリペプチド、抗原、融合タンパク質またはそのエピトープをコードするとともに、有利にはin vivoで前記を発現するポリヌクレオチドを含む。本発明はまた、種々のCDV HAポリペプチド、抗原、エピトープ、融合タンパク質または免疫原(例えば様々な種(例えばヒト、ブタ、乳牛またはウシ、イヌ、ネコおよびトリであるがただしこれらに限定されない)に由来するCDV HAポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原)をコードするとともにこれらを発現するポリヌクレオチドを含むベクターの混合物を目的とする。
【0032】
本発明では、組換えウイルスベクターを用いて、CDVポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種をコードするCDVコード配列またはそのフラグメントを発現させる。具体的には、ウイルスベクターはCDV配列、より具体的にはCDV HA遺伝子または抗原性ポリペプチドをコードするそのフラグメントを発現することができる。本明細書で意図されるウイルスベクターには、ポックスウイルス[例えばワクシニアウイルスもしくは弱毒ワクシニアウイルス、アビポックスウイルスもしくは弱毒アビポックスウイルス(例えばカナリア痘、鶏痘、鳩痘、ピジョンポックス、鶉痘、ALVAC、TROVAC(例えば以下を参照されたい:US 5,505,941、US 5,494,8070))、アライグマポックスウイルス、ブタポックスウイルスなど]、アデノウイルス(例えばヒトアデノウイルス、イヌアデノウイルス)、ヘルペスウイルス(例えばイヌヘルペスウイルス、ネコヘルペスウイルス、ウシヘルペスウイルス、ブタヘルペスウイルス)、バキュロウイルス、レトロウイルスなどが含まれるが、ただしこれらに限定されない。別の実施態様では、アビポックス発現ベクターはカナリア痘ベクター、例えばALVACであり得る。さらに別の実施態様では、アビポックス発現ベクターは鶏痘ベクター、例えばTROVACであり得る。CDVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原はCDV HAであり得る。例えば。CDV HAを含むポックスウイルスベクターは、US 5,756,102に記載されたベクターであり得る。発現されるべき本発明のCDV HAポリペプチドまたは抗原は、特異的なポックスウイルスプロモーター、とりわけ例えばワクシニアプロモーター7.5kDa(Cochran et al., 1985)、ワクシニアプロモーターI3L(Riviere et al., 1992)、ワクシニアプロモーターHA(Shida, 1986)、牛痘プロモーターATI(Funahashi et al., 1988)、ワクシニアプロモーターH6(Taylor et al., 1988b; Guo et al., 1989;Perkus et al., 1989)の制御下に挿入される。
【0033】
本発明のさらに別の実施態様にしたがえば、発現ベクターはプラスミドベクター、特にin vivo発現ベクターである。具体的な非限定的な例として、pVR1020または1012プラスミド(VICAL Inc.;Luke et al., 1997;Hartikka et al., 1996、例えば米国特5,846,946および6,451,769号を参照されたい)をポリヌクレオチド配列の挿入用ベクターとして利用できる。pVR1020プラスミドはpVR1012から誘導され、ヒトtPAシグナル配列を含む。ある実施態様では、ヒトtPAシグナルはGenBank受入れ番号HUMTPA14のアミノ酸M(1)からアミノ酸S(23)を含む。別の具体的な非限定的な例では、ポリヌクレオチド配列の挿入用ベクターとして利用されるプラスミドは、GenBank受入れ番号U28070のアミノ酸M(24)からアミノ酸A(48)のウマIGF1シグナルペプチド配列を含む。実施のために検討または利用できるさらに別のDNAプラスミドに関する情報は例えば以下で見出される:米国特許6,852,705号;6,818,628号;6,586,412号;6,576,243号;6,558,674号;6,464,984号;6,451,770号;6,376,473号および6,221,362号。CDV抗原を発現するDNAプラスミド系ワクチンは米国特許出願USSN09/587,964で見つけることができる。
【0034】
プラスミドという用語は、本発明のポリヌクレオチドおよび所望の宿主もしくは標的細胞におけるそのin vivo発現のために必要なエレメントを含む一切のDNA転写ユニットをカバーし、スーパーコイルもしくは非スーパーコイル、環状プラスミドが線状形と同様に本発明の範囲内に含まれる。
各プラスミドは、CDV HAポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原(場合によって異種ペプチド配列と融合)に加えて変種、アナローグまたはフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含むか本質的になり、さらにはそのポリヌクレオチドは作動できるようにプロモーターに連結されるか、プロモーターの制御下にあるか、またはプロモーターに依存している。一般的には、真核細胞で機能する強力なプロモーターを利用することが有利である。強力なプロモーターは、ヒトまたはネズミ起源(場合によって別の起源、例えばラットまたはモルモット起源)の前初期サイトメガロウイルスプロモーター(CMV-IE)であり得るが、ただし前記に限定されない。
より一般的な関係では、プロモーターはウイルス起源または細胞起源である。本発明の実施で有用に利用し得るCMV-IE以外の強力なウイルスプロモーターは、SV40ウイルスに初期/後期プロモーターまたはラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーターである。本発明の実施で有用に利用し得る強力な細胞プロモーターは細胞骨格遺伝子のプロモーター、例えばデスミンプロモーター(Kwissa et al., 2000)またはアクチンプロモーター(Miyazaki et al., 1989)である。
【0035】
ポックスウイルス以外のプラスミドおよびウイルスベクターのためのポリアデニル化シグナル(ポリA)に関しては、ウシ成長ホルモン(hGH)遺伝子のポリ(A)シグナル(U.S. 5,122,458参照)またはウサギβ-グロビン遺伝子のポリ(A)シグナル、またはSV40ウイルスのポリ(A)シグナルを使用することができる。
“宿主細胞”は、外因性ポリヌクレオチド(例えば組換えプラスミドまたはベクター)の投与によって遺伝的に改変されてあるか、または遺伝的に改変させることができる原核または真核細胞を指す。遺伝的に改変された細胞というとき、前記用語は最初に改変された細胞およびその子孫の両方を指す。
【0036】
使用方法および生成物
本発明は以下の態様の方法を含む。ある実施態様では、動物に組成物を投与する工程を含む、動物にワクチンを接種する方法が開示され、前記組成物は、CDV HAポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種をコードするポリヌクレオチドを含むベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントを含む。本実施態様のある特徴では、前記動物はトリ、ウマ、イヌ、ネコ、フェレット、アザラシまたはブタである。
別の実施態様では、CDV HAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクター並びに医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントを含む組成物、並びにイヌ抗原を含む1つまたは2つ以上の組成物を投与する工程を含む、動物にワクチンを接種する方法が開示される。
さらに別の実施態様では、GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントを含む組成物、並びにイヌ抗原を含む1つまたは2つ以上の組成物を投与する工程を含む、動物にワクチンを接種する方法が開示される。
【0037】
本発明のある実施態様では、プライム‐ブーストプログラムを用いることができる。プライム‐ブースト法は、少なくとも1つの共通のポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を用いる、少なくとも1回の一次投与、および、少なくとも1回のブースター投与を含む。前記投与は、同じまたは異なる抗原を含む1つまたは2つまたは3つ以上のワクチンまたは組成物を含むことができる。典型的には、一次投与で用いられる免疫学的組成物またはワクチンはブースターとして用いられるものと性質が異なる。しかしながら、特記すれば、同じ組成物を一次投与およびブースターで用いることができる。この投与計画は“プライム‐ブースト”と称される。
プライム‐ブーストプログラムは、少なくとも1つの共通のポリペプチドおよび/またはその変種またはフラグメントを用いる少なくとも1回の一次投与および少なくとも1回のブースター投与を含む。前記一次投与は1回または2回以上の投与を含むことができる。同様にブースター投与は1回または2回以上の投与を含むことができる。一次投与は1つまたは2つ以上の抗原を含むことができ、ブースター投与は1つまたは2つ以上の抗原を含むことができる。
【0038】
本発明のプライム‐ブーストプロトコルまたはプログラムのある特徴では、プライム‐ブーストプロトコルは、CDV HAポリペプチド、抗原および/またはその変種もしくはフラグメントを含みこれをin vivoで発現する組換えウイルスベクターを含む組成物の投与、続いて組換えCDV HAポリペプチドもしくは抗原、またはCDV HAポリペプチドもしくは抗原を含む不活化ウイルス組成物もしくはワクチン、またはCDV HAポリペプチドもしくは抗原を発現するDNAプラスミド系組成物またはワクチンの投与を含むことができる。同様に、プライム‐ブーストプロトコルは、組換えCDV HA抗原を含む組成物、またはCDV HAポリペプチドもしくは抗原を含む不活化ウイルス組成物もしくはワクチン、またはCDV HAポリペプチドもしくは抗原を発現するDNAプラスミド系組成物またはワクチンの投与、続いてCDV HAポリペプチドもしくは抗原および/またはその変種もしくはフラグメントを含みこれをin vivoで発現する組換えウイルスベクターの投与を含むことができる。特記すれば、一次投与および二次投与の両投与が本発明のCDV HAポリペプチドを含みこれを発現する組換えウイルスベクターを含むことができる。したがって、本発明の組換えCDVウイルスベクターは、組換えCDV抗原、CDV抗原を含む不活化ウイルス組成物もしくはワクチン、またはCDV抗原を発現するDNAプラスミド系組成物もしくはワクチンと一緒に任意の順序で投与され得るが、また別には一次組成物および二次組成物の両組成物として単独で用いてもよい。
【0039】
標的種が哺乳動物の場合の投薬体積、例えばイヌの組成物の投薬体積は、ウイルスベクター例えば非ポックスウイルスベクター系組成物を基準にして、一般的は約0.1から約2.0mL、約0.1から約1.0mL、および約0.5から約1.0mLである。
ワクチンの有効性は、最後の免疫後約2から4週間で動物(例えばイヌ)をCDVの病毒株でチャレンジすることによって試験することができる。同種および異種株の両方をチャレンジに用いてワクチンの有効性を試験する。動物は経口的に、IV注射により、またはIC接種によりチャレンジできる。種々のチャレンジ株のそれぞれおよび用いられる各投与ルートについて、ウイルスは非ワクチン接種動物で臨床症状を誘発するために十分に高力価である。チャレンジウイルスの体積は約0.5から2.0mLである。チャレンジ後21から42日間、動物を臨床徴候、例えば結膜炎、鼻炎、下痢、おう吐、抑うつ、脱水、高体温、肺炎、運動失調、ミオクロヌス、知覚過敏、麻痺、不全麻痺、痙攣、眼の症候群(例えば角結膜炎、脈絡網膜炎)および視神経炎について観察することができる。チャレンジ中に完全血球算定および血清学検査(CDV特異的抗体の存在)のために動物から血液サンプルを採取する。さらにまた、尿、涙液、唾液、糞便および血液サンプルについてPCRを実施できる。
【0040】
プライム‐ブーストプロトコルで用いられる本発明の抗原性組換えポリペプチドを含む組成物は医薬的または獣医的に許容できるビヒクル、アジュバント、希釈剤または賦形剤中に含まれる。本発明のプロトコルは動物をCDVから防御し、および/または感染動物での疾患の進行を防ぐ。
多様な投与が好ましくは1から6週間離して実施される。好ましい時間的間隔は3から5週間、場合によって4週間である。ある実施態様にしたがえば、毎年追加免疫することが想定される。動物(例えばイヌ)は最初の投与時に少なくとも8週齢である。
本明細書の開示は例示として提供され、本発明はそれらに限定されないことは当業者には理解されるべきである。本明細書の開示および当業界における情報から、当業者は投与回数、投与ルートおよび各注射プロトコルに用いられる投薬量を煩雑な実験無しに決定することができる。
【0041】
本発明は、本発明にしたがって作製した施療組成物の有効量の少なくとも1回の投与を意図する。動物は雄、雌、妊娠雌および新生獣であり得る。この投与は、筋肉内(IM)、皮内(ID)または皮下(SC)注射を含む(ただしこれらに限定されない)種々のルートによるか、または鼻内もしくは経口投与であり得る。本発明の施療組成物はまた無針装置(例えばピグジェット(Pigjet)、デルモジェット(Dermojet)、バイオジェクター(Biojector)、アビジェット(Avijet)(Merial, GA, USA)、ベトジェット(Vetjet)またはビタジェット(Vitajet)装置(Bioject, Oregon, USA))によって投与できる。プラスミド組成物を投与するためのまた別のアプローチはエレクトロポレーションの使用である(例えば以下を参照されたい:Tollefsen et al., 2002;Tollefsen et al., 2003;Babiuk et al., 2002;PCT出願WO99/01158)。別の実施態様では、本施療組成物は、遺伝子銃または金粒子ボンバードメントによって動物にデリバーされる。
ある実施態様では、本発明は、CDV抗原またはエピトープのデリバリーおよび標的細胞での発現のために治療的に有効な量の処方物の投与を提供する。治療的に有効な量の決定は当業者には日常的な実験である。ある実施態様では、前記処方物は、CDV抗原またはエピトープを発現するポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、ビヒクル、アジュバントまたは賦形剤を含む。別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、ビヒクル、アジュバントまたは賦形剤はトランスフェクションまたは感染を容易にし、および/またはベクターまたはタンパク質の宿主内での保存を改善する。
【0042】
ある実施態様では、本発明は、CDV HAポリペプチドまたは抗原またはエピトープのデリバリーおよび標的細胞での発現のために治療的に有効な量の組成物の投与を提供する。治療的に有効な量の決定は当業者には日常的な実験である。ある実施態様では、前記組成物は、CDV HAポリペプチドまたは抗原またはエピトープを発現するポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよび医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、アジュバント、ビヒクルまたは賦形剤を含む。別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、ビヒクル、アジュバントまたは賦形剤はトランスフェクションまたは感染を容易にし、および/またはベクターまたはタンパク質の保存を改善する。
医薬的もしくは獣医的に許容できる担体またはビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントは当業者には周知である。例えば、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体またはビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントは0.9%NaCl(例えば食塩水)溶液またはリン酸緩衝液であり得る。本発明の方法に用いることができる他の医薬的もしくは獣医的に許容できる担体またはビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントには、ポリ-(L-グルタメート)またはポリビニルピロリドンが含まれるが、ただしこれらに限定されない。医薬的もしくは獣医的に許容できる担体またはビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントは、ベクター(または本発明のベクターからin vitroで発現されるタンパク質)の投与を容易にする任意の化合物または化合物の組合せであり得る。有利には、前記担体、ビヒクルまたは賦形剤またはアジュバントはトランスフェクションを容易にし、および/またはベクター(またはタンパク質)の保存を改善する。投薬量および投薬体積は一般的な記載として本明細書で考察されてあり、当業者はまた、当業界における情報と併せて本明細書の開示を読み進むことによって煩雑な実験を全く実施することなく決定することができる。
【0043】
第四アンモニウム塩を含む陽イオン性脂質(プラスミドにとって有利であるが絶対的であるというわけではない)は以下の式を有するものである:
【0044】
【化1】
【0045】
式中、R1は12から18の炭素原子を有する飽和または不飽和直鎖脂肪族基で、R2は2から3の炭素原子を含む別の脂肪族基で、Xはアミンまたはヒドロキシル基で、前記陽イオン性脂質は例えばDMRIEである。別の実施態様では、陽イオン性脂質は中性脂質、例えばDOPEと結合できる。
これらの陽イオン性脂質の中では、DMRIE(N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアモニウム;WO96/34109)が好ましく、有利には前記は中性脂質、有利にはDOPE(ジオレオイル-ホスファチジル-エタノールアミン;Behr, 1994)と結合してDMRIE-DOPEを形成する。
DOPEが存在するとき、DMRIE:DOPE分子比は有利には約95:約5から約5:約95、より有利には約1:約1、例えば1:1である。
【0046】
別の実施態様では、医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントは油中水エマルジョンである。適切な油中水エマルジョンの例には、安定で4℃にて液状である、油を基剤とする油中水ワクチンエマルジョンが含まれる。前記エマルジョンは、6から50 v/v%(好ましくは12から25 v/v%)の抗原含有水性相、50から94 v/v%の油相(全体としてまたは一部分として非代謝性油(例えばパラフィン油のような鉱物油)および/または代謝性油(例えば植物油、または脂肪酸、ポリオールもしくはアルコールエステル)を含む)、0.2から20 p/v%(好ましくは3から8 p/v%)の界面活性剤を含む。前記界面活性剤は、全体もしくは一部分としてまたは混合物としてポリグリセロールエステル(好ましくはポリグリセロール(ポリ)リシンオレエート)またはポリオキシエチレンリシン油またはそうでなければ水素添加ポリオキシエチレンリシン油である。油中水エマルジョンで用いることができる界面活性剤の例には、エトキシル化ソルビタンエステル(例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(TWEEN80(商標))(AppliChem, Inc., Cheshire, CT))およびソルビタンエステル(例えばソルビタンモノオレエート(SPAN80(商標))(Sigma Aldrich, St. Louis, MO))が含まれる。さらに、油中水エマルジョンに関してはUS 6,919,084もまた参照されたい。いくつかの実施態様では、抗原含有水性相は1つまたは2つ以上の緩衝剤を含む食塩水溶液を含む。適切な緩衝溶液の例はリン酸緩衝食塩水である。ある実施態様では、油中水エマルジョンは水/油/水(W/O/W)三重エマルジョンである(U.S. 6,358,500)。他の適切なエマルジョンの例はU.S. 7,371,395に記載されている。
【0047】
本発明の免疫学的組成物およびワクチンは、1つまたは2つ以上の医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントを含むかまたは本質的に前記から成る。本発明の実施で使用される適切なアジュバントは以下である:(1)アクリル酸またはメタクリル酸、無水マレイン酸のポリマーおよびアルケニル誘導体ポリマー、(2)免疫刺激配列(ISS)、例えば1つまたは2つ以上の非メチル化CpGユニットを有するオリゴデオキシリボヌクレオチド(Klinman et al., 1996;WO98/16247)、(3)水中油エマルジョン、例えばSPTエマルジョン(例えば以下に記載:“Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach” (147ページ)、M. Powell, M. Newman著, Plenum Press 1995)およびエマルジョンMF59(上掲書、183ページ)、(4)第四アンモニウム塩を含む陽イオン脂質、例えばDDA、(5)サイトカイン、(6)水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウム、(7)サポニン、または(8)本出願に引用されているかまたは参照により含まれるいずれかの文献で考察されている他のアジュバント。
【0048】
水中油エマルジョン(3)(ウイルスベクターには特に適切である)は以下を基剤にすることができる:軽流動パラフィン油(欧州局方タイプ)、イソプレノイド油、例えばスクァラン、スクァレン、アルケン(例えばイソブテンまたはデセン)のオリゴマー化から生じる油、直鎖アルキル基を有する酸またはアルコール(例えば植物油、エチルオレエート、プロピレングリコール、ジ(カプリレート/カプレート)、グリセロールトリ(カプリレート/カプレート)およびプロピレングリコールジオレエート)のエステル、または分枝脂肪アルコールまたは脂肪酸のエステル、特にイソステアリン酸エステル。
前記油は乳化剤と一緒に用いられエマルジョンを形成する。乳化剤は例えば以下の非イオン性界面活性剤であり得る:一方でソルビタン、マンニド(例えば無水マンニトールオレエート)、グリセロール、ポリグリセロールまたはプロピレングリコールのエステル、および他方でオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸のエステル(前記エステルは場合によってエトキシル化される)、またはポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、例えばプルロニック、例えばL121.
【0049】
タイプ(1)のアジュバントポリマーの中では、架橋アクリル酸またはメタクリル酸ポリマー、特に糖またはポリアルコールのポリアルケニルエーテルによって架橋されたものが好ましい。これらの化合物はカルボマー(Pharmeuropa, vol. 8, no. 2, June 1996)の名称で知られている。当業者はまたU.S. 2,909,462を参照することができる。前記文献は、少なくとも3つのヒドロキシル基、好ましくは8つを超えないヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル化合物によって架橋されたアクリル酸ポリマーを提供する(少なくとも3つのヒドロキシル基の水素原子は少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族ラジカルによって置換される)。好ましいラジカルは2から4つの炭素原子を含むもの、例えばビニル、アリルおよび他のエチレン系不飽和基である。不飽和ラジカルはまた他の置換基、例えばメチルを含むことができる。カルボポル(BF Goodrich, Ohio, USA)の名称で販売されている生成物が特に適切である。それらはアリルサッカロースまたはアリルペンタエリトリトールによって架橋される。それらの中でカルボポル1974P、934Pおよび971Pを挙げることができる。
【0050】
無水マレイン酸‐アルケニル誘導体コポリマーに関してはEMA(Monsanto)が好ましい。EMAは直鎖または架橋エチレン‐無水マレイン酸コポリマーであり、それらは例えばジビニルエーテルによって架橋される。
構造に関しては、アクリル酸またはメタクリル酸ポリマーおよびEMAは、好ましくは以下の式を有する基本的ユニットによって形成される:
【0051】
【化2】
【0052】
式中、
‐R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、HまたはCH3を表し、
‐x=0または1、好ましくはx=1であり、
‐y=1または2であって、x+y=2である。
EMAの場合、x=0およびy=2であり、カルボマーの場合x=y=1である。
これらのポリマーは水および生理学的塩溶液(20g/LのNaCl)に可溶性であり、pHを例えばソーダ(NaOH)によって7.3から7.4に調整して、発現ベクターを取り込むアジュバント溶液を提供できる。最終的な免疫学的またはワクチン組成物中のポリマー濃度は、約0.01から約1.5% w/v、約0.05から約1% w/v、および約0.1から約0.4% w/vの範囲であり得る。
【0053】
1つまたは複数のサイトカイン(5)は免疫学的またはワクチン組成物中でタンパク質の形態であるか、または宿主中で1つもしくは複数の免疫原またはそのエピトープとともに同時発現させることができる。前記1つもしくは複数の免疫原またはそのエピトープを発現するベクターと同じベクターによるか、または別個のベクターにより前記1つまたは複数のサイトカインを同時発現させるのが好ましい。
本発明はそのような組合せ組成物の調製を包含し、前記調製は、例えば活性な成分を有利にはアジュバント、担体、サイトカインおよび/または希釈剤と一緒に混合することによる。
本発明で用いることができるサイトカインには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、インターフェロンγ(IFNγ)、インターロイキン-1α(IL-1α)、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-12(IL-12)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)、形質転換増殖因子β(TGFβ)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。サイトカインは、本発明の免疫学的またはワクチン組成物と同時投与しても、および/または連続的に投与してもよいことは理解されるであろう。したがって、例えば、本発明のワクチンはまた適切なサイトカインをin vivoで発現する外因性核酸分子を含むことができる。前記サイトカインは、ワクチンを接種される宿主または免疫学的応答が誘引される宿主に適合するサイトカイン(例えばイヌに投与するべき調製物のためにはイヌサイトカイン)である。
本発明を以下の非限定的な例によってこれからさらに説明するであろう。
【0054】
実施例
更なる検討を加えることなく、当業者は上記の記述を用いて本発明を完璧に実施できると考える。以下の詳細な実施例は単なる例示であり、いかなる態様においても上記開示を制限するものと解されるべきではない。当業者は、前記方法の適切な変型を反応物質および反応条件および技術のいずれに関しても直ちに認識するであろう。
DNA挿入物、プラスミドおよび組換えウイルスまたは植物ベクターの構築は、J. Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989)の記載した標準的な分子生物技術を用いて実施した。
【実施例1】
【0055】
実施例1:CDV HAを含むプラスミド−pC5 H6 CDV HA(pCXL1557.1)の構築
コドン最適化CDV HA遺伝子(配列番号:1)(デンマークCDV株由来)を含むプラスミドをEcoRVおよびXhoIで消化した。ワクシニアH6プロモーターの3’配列および完全長のコドン最適化CDV HA遺伝子を含む1849bpフラグメントをゲル精製した。プラスミドpCXL148.2(pC5ドナープラスミド(Merial私有物))をEcoRVおよびXhoIで消化し、H6プロモーターの5’配列を含む49851bpベクターを作製した。前記1849bp挿入物を前記49851bpベクターと連結して、pC5 H6 CDV HA(pCXL1557.1)を作製した。前記構築物を配列決定して、正確な配列であることを確認した。図3はプラスミドpCXL1557.1マップを示す。
【実施例2】
【0056】
実施例2:イヌGM-CSFを含むプラスミド−pC3 H6pイヌGM-CSF(pJSY2218.1)の構築
コドン最適化イヌGM-CSF遺伝子を含むプラスミドをNruI/XhoIで消化した。生成されたイヌGM-CSF DNAフラグメントを単離し、NruI/XhoIで消化したpJY1913.1(Merial私有物)と連結して、C3ドナープラスミドpJSY2218.1を作製した。前記は、C3アームに対して反対の向きで発現カセットH6p(ワクシニアH6プロモーター)‐イヌGM‐CSFを含んでいる。プラスミドpJSY2218.1を配列決定して正確な配列を有することを確認した。図3はプラスミドpJSY2218.1マップを示す。
【実施例3】
【0057】
実施例3: ALVACのC5遺伝子座にCDV合成HA遺伝子を含むALVAC組換え体(vCP2263)の作製および性状決定
A.vCP2263の作製
ドナープラスミドpCXL1557.1はコドン最適化イヌCDV HA遺伝子(配列番号:1)を含む。初代ニワトリ胚線維芽細胞(1°CEF)をin vitro組換えに用いた。10%FBS(JRH:γ線照射#12107-500M)、4mMグルタミン(BRL/Gibco#25030-081)および1mMピルビン酸ナトリウム(BRL/Gibco#11360-070)補充DMEM(BRL/Gibco#11960-051または11960-044)で、1x の抗生物質/抗カビ剤(P/S/A/A, BRL/Gibco#15240-062)の存在下にて1°CEF細胞を増殖させた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識CDV合成HA特異的プローブによるプラークハイブリダイゼーションを組換え体選別に用いた。
IVR(in vitro組換え体)は、FuGENE-6(商標)試薬(Roche)を用い12μgのNotI線形化ドナープラスミドpCXL1557.1による1°CEF細胞のトランスフェクションによって作製した。続いてトランスフェクトした細胞にレスキューウイルスとしてALVACをMOI(感染数)10で感染させた(ALVACストック、6.3x109 pfu/mL)。24時間後、トランスフェクトして感染させた細胞を採集し、超音波処理して組換えウイルススクリーニングに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した1232bpの合成HA特異的プローブを製造業者のプロトコル(Amersham Cat# RPN3001)にしたがって使用し、組換え体プラークをプラークリフトハイブリダイゼーション方法によりスクリーニングした。4回連続プラーク精製後、vCP2263.1.2.1.1およびvCP2263.6.1.1.1と称する組換え体を作製し、ハイブリダイゼーションによってHA挿入物について100%陽性であることおよび空きC5部位について100%陰性であることを確認した。単一プラークを4回目のプラーク精製から選別し、増やしてP1(1xT25フラスコ/姉妹細胞)、P2(1xT75フラスコ/姉妹細胞)およびP3(4xローラーボトル、vCP2263.1.2.1.1.)ストックを得て、vCP2263を増幅させた。前記ローラーボトル由来の感染細胞培養液を採集し、濃縮してウイルスストックを生成した。
B.ゲノム解析
vCP2263.1.2.1.1およびvCP2263.6.1.1.1からゲノムDNAを抽出し、BamHI、HindIIIまたはPst Iで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動した。その結果、CDV合成HA配列の正確な挿入が示された。
サザンブロット:BamHI、HindIIIまたはPst I消化ゲノムDNAを含むゲルをナイロン膜に移し、合成CDV HA特異的プローブによるサザンブロット解析を実施した。全3消化物で1本のバンドまたは2本のバンドが以下の予想位置で観察され(1984 bp BamHI、12294 bp HindIII並びに6465および12119 bp PstI)(図4参照)、CDV合成HAのC5遺伝子座への正確な挿入を示唆した。
合成CDV HAプローブを増幅するためのプローブ:
13220CXL:5’ AGGTGTCCACCTCCAACATGGAGT 3’(配列番号:10)
13225CXL:5’ GAACTGGTCGCCCCTGGAGGCCTT 3’(配列番号:11)
C.発現解析
ウェスタンブロット:1°CEF細胞に10のMOIでP2ストックを感染させ37℃で25時間インキュベートした。続いて前記細胞および培養液を採集した。サンプルタンパク質を10%SDS-PAGEゲルで分離し、インモビロン(Immobilon)ナイロン膜に移し、ウサギ抗CDVポリクローナル抗体(1:100稀釈のウサギA151およびA152のプール血清)でプローブした。ペルオキシダーゼ結合ロバ抗ウサギ抗血清を二次抗体として用い、ルミノール試薬でバンドを可視化させた。vCP2263.1211は、細胞上清分画で73kDaの非常に弱い単一バンドを示したが、細胞ペレット分画ではCDV特異的バンドは検出されなかった(図5参照)。
イムノプラーク:集団の均質性は、ウサギ抗CDV抗体によるイムノプラークアッセイで証明された通りvCP2263.1.2.1.1については100%であった(図6参照)。
D.配列解析
P3ストックのゲノムDNAのさらに詳細な解析を、C5遺伝子座のフランキングアームおよびCDV合成HA挿入物のPCR増幅および配列解析によって実施した。プライマー7931DCおよび7932DC(ALVACゲノム内のC5遺伝子座のアームを超えて位置する)を用いて、完全なC5L‐CDV合成HA‐C5Rフラグメントを増幅した。その結果、CDV合成HA並びにALVACのC5LおよびC5Rの配列は正確であることが示された。
PCR増幅のためのプライマー:
7931DC:5’ GAATCTGTTAGTTAGTTACTTGGAT 3’(配列番号:12)
7932DC:5’ TGATTATAGCTATTATCACAGACTC 3’(配列番号:13)
C5アーム、H6プロモーターおよびCDV合成HAを含む、プライマー7931DCおよび7932DCにフランキングされるDNA配列は配列番号:14に示される。
【実施例4】
【0058】
実施例4:ALVACのC3遺伝子座に挿入されたH6pコドン最適化合成イヌGM-CSF遺伝子を含むALVAC組換え体(vCP2391)の作製および性状決定
A.vCP2391の作製
ドナープラスミドpJSY2218.1はコドン最適化イヌGM-CSF遺伝子(配列番号:3)を含む。初代ニワトリ胚線維芽細胞(1°CEF)をin vitro組換えに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識イヌGM-CSF特異的プローブによるプラークハイブリダイゼーションを組換え体選別に用いた。
IVRは、FuGENE-6(商標)試薬(Roche)を用い10μgのNotI線形化ドナープラスミドpJSY2218.1による1°CEF細胞のトランスフェクションによって作製した。続いてトランスフェクトした細胞にレスキューウイルスとしてALVACを10のMOIで感染させた。24時間後、トランスフェクトして感染させた細胞を採集し、超音波処理して組換えウイルススクリーニングに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した382塩基のイヌGM-CSF特異的プローブを製造業者のプロトコル(Amersham Cat# RPN3001)にしたがって使用し、組換え体プラークをプラークリフトハイブリダイゼーション方法に基づいてスクリーニングした。2回連続プラーク精製後、vCP2391.4.4と称する組換え体を作製し、ハイブリダイゼーションによってイヌGM-CSF挿入物について100%陽性であることおよびC3 ORFについて100%陰性であることを確認した。単一プラークを2回目のプラーク精製から選別し、増やしてP1(1xT25フラスコ)、P2(1xT75フラスコ)およびP3(4xローラーボトル)を得た。
B.ゲノム解析−サザンブロット
vCP2391のゲノムDNAを抽出し、BamHI、HindIIIまたはPst Iで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動した。BamHI、HindIIIまたはPst I消化ゲノムDNAを含むゲルをナイロン膜に移し、382塩基のcaGM-CSFプローブによるサザンブロット解析を実施した。多数のバンドが予想されたサイズに観察され、caGM-CSF遺伝子のC3遺伝子座への正確な挿入が示された。
イヌGM-CSFプローブの増幅のためのプライマー:
18071BK:5’ GATGTTGAACAGGAAGTCCTTCAGGT 3’ (配列番号:15)
18073BK:5’ GTTCCTGGGCACCGTGGTGTGCAGCA 3’(配列番号:16)
C.発現解析
ウェスタンブロット:初代CEF細胞に10のMOIでvCP2391.4.4のP3ストックを感染させ37℃で24時間インキュベートした。続いて全ての培養液および細胞を採集した。ロシュ(Roche)製造のレポーター遺伝子アッセイ溶解緩衝液(Cat. 1 897 675)を用いて細胞ペレットを溶解させた。抗酸化剤を添加しながらNuPage(商標)系を用いて上清および細胞溶解物の両方を調製した。タンパク質をNuPage(商標)10%ビス-トリスプレカーストゲル(Bis-Tris Pre-cast gel)で分離し、続いてPVDF膜に移した。精製ヤギ抗イヌGM-CSF IgG(R&D Systems, Cat AF1546)を一次抗体として用いた。ウェスタンブロットによりvCP2391.4.4から分泌された約20kDaの主要タンパク質および約17kDaの少量のタンパク質が検出された(図7および9参照)。図9は粗精製物および上清におけるGM-CSFの良好な発現を示した。
D.配列解析
vCP2391.4.4 P3ストックのゲノムDNAのさらに詳細な解析を、C3遺伝子座のフランキングアームおよびイヌGM-CSF挿入物のPCR増幅および配列解析によって実施した。プライマー8103JYおよび8104JY(ALVACゲノム内のC3遺伝子座のアームを超えて位置する)を用いて、完全なC3L‐caGM-CSF‐C3Rフラグメントを増幅した。その結果、イヌGM-CSF並びにALVACのC3LおよびC3Rの配列(配列番号:19)は正確であることが示された。
C3L‐イヌGM-CS‐C3RカセットのPCR増幅のためのプライマー:
8103JY:5’ GAGGCATCCAACATATAAAGAAGACTAAAG 3’(配列番号:17)
8104JY:5’ TAGTTAAATACTCATAACTCATATCTG 3’(配列番号:18)
【実施例5】
【0059】
実施例5:vCP2263のC3遺伝子座に挿入されたH6pコドン最適化合成イヌGM-CSF遺伝子を含むALVAC組換え体(vCP2392)の作製および性状決定
ALVAC C5 H6p CDV(vCP2263.1.2.1.1)を親ウイルスとして用いた。コドン最適化イヌGM-CSF遺伝子を含むpJSY2218.1をドナープラスミドとして用いた。初代ニワトリ胚線維芽細胞(1°CEF)をin vitro組換えに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識イヌGM-CSF特異的プローブによるプラークハイブリダイゼーションを組換え体選別に用いた。
IVRは、FuGENE-6(商標)試薬(Roche)を用い10μgのNotI線形化ドナープラスミドpJSY2218.1による1°CEF細胞のトランスフェクションによって作製した。続いてトランスフェクトした細胞にレスキューウイルスとしてvCP2263.1.2.1.1を10のMOIで感染させた。24時間後、トランスフェクトして感染させた細胞を採集し、超音波処理して組換えウイルススクリーニングに用いた。セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した382塩基のイヌGM-CSF特異的プローブ(実施例4)を製造業者のプロトコル(Amersham Cat# RPN3001)にしたがって使用し、組換え体プラークをプラークリフトハイブリダイゼーション方法に基づいてスクリーニングした。4回連続プラーク精製後、vCP2392.5.3.1.1と称する組換え体を作製し、ハイブリダイゼーションによってイヌGM-CSF挿入物について100%陽性であることおよびC3 ORFについて100%陰性であることを確認した。単一プラークを4回目のプラーク精製から選別し、増やしてP1(1xT25フラスコ)、P2(1xT75フラスコ)およびP3(6xローラーボトル)を得た。
A.ゲノム解析−サザンブロット
vCP2392のゲノムDNAを抽出し、BamHI、HindIIIまたはPst Iで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動した。BamHI、HindIIIまたはPst I消化ゲノムDNAを含むゲルをナイロン膜に移し、382塩基のイヌGM-CSFプローブ(実施例4)を用いてサザンブロット解析を実施した。多数のバンドが予想されたサイズに観察され、イヌGM-CSF遺伝子のC3遺伝子座への正確な挿入が示された。
B.発現解析
ウェスタンブロット:初代CEF細胞に10のMOIでvCP2392.5.3.1.1のP3ストックを感染させ37℃で24時間インキュベートした。続いて全ての培養上清および細胞を採集した。ロシュ製造のレポーター遺伝子アッセイ溶解緩衝液(Cat. 1 897 675)を用いて細胞ペレットを溶解させた。抗酸化剤を添加しながらNuPage(商標)系を用いて上清および細胞溶解物の両方を調製した。タンパク質をNuPage(商標)10%ビス-トリスプレカーストゲルで分離し、続いてPVDF膜に移した。精製ヤギ抗イヌGM-CSF IgG(R&D Systems, Cat AF1546)を一次抗体として用いた。ウェスタンブロットによりvCP2392.5.3.1.1の上清から分泌された約20kDaの主要タンパク質および約17kDaの少量のタンパク質が検出された(図8および9参照)。CDV HA発現の結果は図10に示されている。結果はvCP2392によるCDV HAの良好な発現を示した。
C.配列解析
vCP2392.5.3.1.1 P3ストックのゲノムDNAのさらに詳細な解析を、C3遺伝子座のフランキングアームおよびイヌGM-CSF挿入物のPCR増幅および配列解析によって実施した。プライマー8103JYおよび8104JY(実施例4参照)(ALVACゲノムでC3遺伝子座のアームを超えて位置する)を用いて、完全なC3L‐caGM-CSF‐C3Rフラグメントを増幅した。その結果、イヌGM-CSF並びにALVACのC3LおよびC3Rの配列は正確であることが示された。
【実施例6】
【0060】
実施例6:組換えカナリアポックス‐イヌCDV HAおよびイヌGM-CSF(vCP2392)と組換えカナリアポックス‐イヌCDV HA(vCP2263)の有効性のイヌチャレンジによる比較
CDV特異的病原体をもたない18匹のイヌを用いた。4ヶ月齢のイヌの雄および雌を3群に分け、下記表1に示すようにワクチン接種しサンプルを採取した。
表1
−SN:血清中和試験
−SLAM:シグナリングリンパ球活性化分子
−CMI:細胞媒介免疫
臨床検査は以下の日に実施した:(V1)0、0+4/5h、1、2;(V2)28、28+4/5h、29、30または全徴候が消失するまで。臨床モニタリングには、当該イヌの一般的症状のモニタリングが含まれ、前記一般的症状は、例えば直腸温度、注射部位の触診時の痛み、局所の腫脹、局所の発熱、そう痒および局所的脱毛である。
血清学試験のためにプレーン試験管でのサンプリングを0、13、27、35、42、56および70日目に実施した。2つのタイプのSNを実施した。vCP2392およびvCP2263中のCDV HA挿入物に対して異種であるCDV株(BA5)を用いた。結果は図11に示されている。前記結果は、群Aの力価は群Bの力価より高いことを示した(1 log10、35日目、42日目および70日目でそれぞれp=0.009、p=0.019およびp=0.03)。42日目の群Bでは、0.8log10PD50より低い力価を有するイヌが3匹いた。Vero SLAM細胞およびCDV株5804-GFP(vCP2392およびvCP2263中のCDV HA挿入物に対して同種である)を用いる第二のタイプのSNを実施した。結果は図12に示されている。結果は、群Aの力価は群Bの力価より高いことを示した。前記結果はまた、群Bでは70日目の力価が0.48であるイヌが2匹いたが、群Aでは全てのイヌが0.72以上の血清学的力価を有することを示した。
CMIのモニタリングのためにヘパリン化試験管でのサンプリングを13日目、42日目および70日目に実施した。ヌクレオフェクトしたPBMC(末梢血単核球)を用いたPBMC再刺激によるエリスポット(ELIspot)アッセイでIFNγの産生をモニターした。抗原特異的IFNγ産生細胞頻度を計算した。データは図16に示されている。
要約すれば、vCP2392(CDV HA+イヌGM-CSF)は、vCP2263(CDV HA)と比較して有意に強い血清学的応答を誘発する。
【実施例7】
【0061】
実施例7:他のワクチン抗原の免疫原性に対するvCP2392の影響
この実験は、vCP2392(CDV HAおよびイヌGM-CSFを同時発現する)が他のワクチン抗原の免疫原性に対してプラスの影響を与えるか否かを解明するために設計した。
改変生イヌパルボウイルスワクチンを、通常の市販の用量より十分に低い用量(2.6 log10TCID50)で用いた。12匹の雄および雌のSPF(特定病原体フリー)ビーグルの仔犬(2−3ヶ月)を無作為に2つの群に割り当て、下記の表2に示すようにワクチン接種した。
表2
*右肩に(D0)、続いて左肩(D28)にSCルートで2mL(PBS中にvCP + MLV-CPV2)。
**改変生ウイルス−イヌパルボウイルス2型(MLV-CPV2)
臨床モニタリングは、一般的症状、直腸温度、注射部位の触診時の痛み、局所の腫脹、局所の発熱そう痒を含む。投与ワクチンはA群およびB群の両方の群のイヌで良好な耐性を示した。MLV-CPV2と組み合わせたvCP2392(CDV HA+GM-CSF)およびvCP2263(CDV HA)は臨床検査の結果に基づいて安全と考えられた。
血清をCPV2およびCDVに対する抗体につて力価測定した(同種および異種CDVを血清中和試験で使用)。
図17はCVP2 ELISAの結果を示す。群AおよびBのいずれの動物も試験の開始時にCPV2に対する抗体を有していなかった。群Bでは1匹のイヌだけがワクチン接種に続いて抗体応答を立ち上げた。この応答は28日目以降に検出された。群Aでは、6匹のうち4匹のイヌが高い抗体応答を示し、応答はそれらのイヌのいくらかでは早くも7日目に検出された。いずれのイヌも28日目の2回目の注射後に追加免疫応答を示さなかった応答発生における統計解析は、これらの群は有意に相違することを示した(p=0.046)。結果は、vCP2392に含まれるGM-CSF挿入物はCPV2血清学においてプラスの影響を有することを示した。
図18は同種CDV SN(血清中和)試験の結果を示す。ワクチン接種前、いずれの動物もCDVに対する抗体をもたない。群AおよびBの力価は35日目および56日目では類似していた。しかしながら、群Aのイヌの5/6は28日目には抗体を有したが、群Bのイヌはいずれも28日目には抗体を生じなかった。42日目には、血清学的力価は群Aで有意に高かった(Student t-検定、p=0.01)。
図19は異種CDV SN検査の結果を示す。ワクチン接種前、いずれの動物もCDVに対する抗体をもたない。群Aの抗体力価は35,42および56日目には群Bの力価よりも高い傾向があった。56日目には、群Aの抗体力価は群Bよりも有意に高かった(Wilcoxon、p=0.016)。
本実験結果は、群Bの結果が示しているように、1匹のイヌ当たり2.6 log10TCID50のMLV-CPV2の用量は、血清変換を与えることができる最低用量より低いことを示している。興味深くかつ驚くべきことには、カナリアポックスベクターへのGM-CSFの包含(vCP2392)は、群Aの結果が示すように種々の抗体応答を誘発した。これらの結果は、カナリアポックスベクターにおけるcaGM-CSFの存在は、同じ部位に注射された別のワクチン成分の免疫原性に影響を与えることができることを示した。
【0062】
本発明の好ましい実施態様を詳細に述べてきたが、上記に規定される本発明は、本発明の範囲を逸脱することなく多くの明白な変型が可能であるので、上述の記載に示す個々の具体的な事柄に限定されるべきでないことは理解されよう。
出願引用文書で引用または参照された全ての文書、および本明細書で引用または参照された全ての文書(“本明細書引用文書”)、および本明細書引用文書で引用または参照された全ての文書は、本明細書または本明細書に参照により取り込まれた一切の文書に記載されている一切の製造業者の指示書、説明書、製品明細書、および一切の製品についてのプロダクトシートと併せて、参照により本明細書に含まれるとともに本発明の実施に用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む組成物:
a)CDV HAポリペプチド、GM-CSFポリペプチドおよびそれらの混合物から成る群から選択される1つまたは2つ以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクター;および
b)医薬的または獣医的に許容できるビヒクル、アジュバント、希釈剤または賦形剤。
【請求項2】
ベクターが、CDV HAポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチドおよびGM-CSFポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに1つまたは2つ以上の追加抗原を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
追加抗原が、狂犬病、イヌパルボウイルス、イヌコロナウイルス、イヌインフルエンザ、伝染性イヌ肝炎、イヌヘルペスウイルス、偽性狂犬病、イヌマイニュートウイルス、レプトスピラ(Leptospira)およびネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)から成る群から選択されるイヌ抗原である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
第一のポリヌクレオチドが配列番号:2に示される配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDV HAポリペプチドをコードし、さらに第二のポリヌクレオチドが配列番号:4に示される配列と少なくとも80%の配列同一性を有するGM-CSFポリペプチドをコードする、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
ポリヌクレオチドが配列番号:2に示される配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDV HAポリペプチドをコードする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ポリヌクレオチドが配列番号:4に示される配列と少なくとも80%の配列同一性を有するGM-CSFポリペプチドをコードする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ポリヌクレオチドが配列番号:1、35または3に示される配列と少なくとも70%の配列同一性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ベクターがウイルスベクターである、請求項1−8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
発現ベクターがGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、かつ組成物が1つまたは2つ以上の抗原をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
抗原が、狂犬病、イヌパルボウイルス、イヌコロナウイルス、イヌインフルエンザ、伝染性イヌ肝炎、イヌヘルペスウイルス、偽性狂犬病、イヌマイニュートウイルス、レプトスピラおよびネオスポラ・カニナムから成る群から選択されるイヌ抗原である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
CDV HAポリペプチド、GM-CSFポリペプチドおよび前記の混合物から成る群から選択される1つまたは2つ以上のポリペプチドをコードする1つまたは2つ以上のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項13】
ベクターが、CDV HAポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチドおよびGM-CSFポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチドを含む、請求項12に記載のベクター。
【請求項14】
ベクターがCDV HAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項12に記載のベクター。
【請求項15】
ベクターがGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項12に記載のベクター。
【請求項16】
ベクターがウイルスベクターである、請求項12−15のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項17】
請求項1−16のいずれか1項に記載の組成物またはベクターの少なくとも1回の投与を含む、動物にワクチン接種する方法。
【請求項18】
ワクチン接種方法が、プライム‐ブースト投与処置計画を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項1】
以下を含む組成物:
a)CDV HAポリペプチド、GM-CSFポリペプチドおよびそれらの混合物から成る群から選択される1つまたは2つ以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクター;および
b)医薬的または獣医的に許容できるビヒクル、アジュバント、希釈剤または賦形剤。
【請求項2】
ベクターが、CDV HAポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチドおよびGM-CSFポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに1つまたは2つ以上の追加抗原を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
追加抗原が、狂犬病、イヌパルボウイルス、イヌコロナウイルス、イヌインフルエンザ、伝染性イヌ肝炎、イヌヘルペスウイルス、偽性狂犬病、イヌマイニュートウイルス、レプトスピラ(Leptospira)およびネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)から成る群から選択されるイヌ抗原である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
第一のポリヌクレオチドが配列番号:2に示される配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDV HAポリペプチドをコードし、さらに第二のポリヌクレオチドが配列番号:4に示される配列と少なくとも80%の配列同一性を有するGM-CSFポリペプチドをコードする、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
ポリヌクレオチドが配列番号:2に示される配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDV HAポリペプチドをコードする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ポリヌクレオチドが配列番号:4に示される配列と少なくとも80%の配列同一性を有するGM-CSFポリペプチドをコードする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ポリヌクレオチドが配列番号:1、35または3に示される配列と少なくとも70%の配列同一性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ベクターがウイルスベクターである、請求項1−8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
発現ベクターがGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、かつ組成物が1つまたは2つ以上の抗原をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
抗原が、狂犬病、イヌパルボウイルス、イヌコロナウイルス、イヌインフルエンザ、伝染性イヌ肝炎、イヌヘルペスウイルス、偽性狂犬病、イヌマイニュートウイルス、レプトスピラおよびネオスポラ・カニナムから成る群から選択されるイヌ抗原である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
CDV HAポリペプチド、GM-CSFポリペプチドおよび前記の混合物から成る群から選択される1つまたは2つ以上のポリペプチドをコードする1つまたは2つ以上のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項13】
ベクターが、CDV HAポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチドおよびGM-CSFポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチドを含む、請求項12に記載のベクター。
【請求項14】
ベクターがCDV HAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項12に記載のベクター。
【請求項15】
ベクターがGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項12に記載のベクター。
【請求項16】
ベクターがウイルスベクターである、請求項12−15のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項17】
請求項1−16のいずれか1項に記載の組成物またはベクターの少なくとも1回の投与を含む、動物にワクチン接種する方法。
【請求項18】
ワクチン接種方法が、プライム‐ブースト投与処置計画を含む、請求項17に記載の方法。
【図1−1】
【図1−2】
【図3】
【図11】
【図12】
【図13a−1】
【図13a−2】
【図13a−3】
【図13a−4】
【図13a−5】
【図13b】
【図15a−1】
【図15a−2】
【図15a−3】
【図15a−4】
【図15a−5】
【図15a−6】
【図15a−7】
【図15a−8】
【図15a−9】
【図15a−10】
【図15a−11】
【図15a−12】
【図15a−13】
【図15b】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図14−1】
【図14−2】
【図14−3】
【図1−2】
【図3】
【図11】
【図12】
【図13a−1】
【図13a−2】
【図13a−3】
【図13a−4】
【図13a−5】
【図13b】
【図15a−1】
【図15a−2】
【図15a−3】
【図15a−4】
【図15a−5】
【図15a−6】
【図15a−7】
【図15a−8】
【図15a−9】
【図15a−10】
【図15a−11】
【図15a−12】
【図15a−13】
【図15b】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図14−1】
【図14−2】
【図14−3】
【公表番号】特表2013−521234(P2013−521234A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555204(P2012−555204)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2011/026378
【国際公開番号】WO2011/106743
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(304040692)メリアル リミテッド (73)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2011/026378
【国際公開番号】WO2011/106743
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(304040692)メリアル リミテッド (73)
【Fターム(参考)】
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