説明

組立てブロック

【課題】ブロック板のジョイントによる連結角度を変化させて、多様な立体物を組み立てられる組立てブロックを提供する。
【解決手段】平面形状が正三角形及び正方形のブロック板1と、少なくとも2方向に突出するプラグ10を備えたジョイント2との組み合わせから成り、ジョイント2のプラグ10をブロック板1に係合させて、ブロック板1同士を連結する組立てブロックにおいて、前記ブロック板1に、外周各辺に沿ってコーナー部3間に渡す棒状部4と、この棒状部4の内側に臨む空隙部5とを設け、ブロック板1の棒状部4にジョイント2のプラグ10を嵌めると、空隙部5によりプラグ10とブロック板1との干渉が回避され、プラグ10の基端を繋ぐ結合部11もブロック板1の外周に干渉せず、ブロック板1とジョイント2とが棒状部4を軸に相対的に回転可能となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブロック板をジョイントを介して順次連結することにより、三次元的な立体を組み立てることができる組立てブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本出願人は、下記特許文献1に記載した発明に基づいて、図9に示すように、平面形状が正方形及び正三角形のブロック板51と、このブロック板51同士を連結するジョイント52との組み合わせから成るプラスチック製の組立てブロックを提供しており、このような組立てブロックが流通している。
【0003】
このブロック板51の周囲各辺には、窪んだ部分に薄板部53が形成され、薄板部53には突条53aが設けられている。ジョイント52には、二股状のプラグ54が少なくとも二方向へ向けて突設されると共に、プラグ54の内面には溝部54aが設けられ、プラグ54の結合部から両側へ角柱状の側延部55が張り出している。
【0004】
このようなブロック板51同士を連結する際、ブロック板51の薄板部53にジョイント52のプラグ54を嵌めると、突条53aが溝部54aに係合し、側延部55がブロック板51の外周面に当接して、連結状態を安定させる。
【0005】
ジョイント52には連結態様に応じて種類があり、図示のように、プラグ54が同一平面で二方向に突出する基本的なもののほか、直交する二方向に突出するもの、直交する三方向に突出するもの、120°の角度で二方向に突出するもの、プラグ54の基端間の距離が大きなものなどが用意されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3221637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような組立てブロックでは、ブロック板の連結角度が使用するジョイントによって限定されるため、多種類のジョイントを用意しても、組み立てられる形状には制約がある。
【0008】
そこで、この発明は、ブロック板のジョイントによる連結角度を変化させて、多様な立体物を組み立てられる組立てブロックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するため、この発明は、平面形状が正三角形及び正方形のブロック板と、少なくとも2方向に突出するプラグを備えたジョイントとの組み合わせから成り、ジョイントのプラグをブロック板に係合させて、ブロック板同士を連結する組立てブロックにおいて、前記ブロック板に、外周各辺に沿ってコーナー部の間に渡す棒状部と、この棒状部の内側に臨む空隙部とを設け、ブロック板の棒状部にジョイントのプラグを嵌めると、空隙部によりプラグとブロック板との干渉が回避され、プラグの基端を繋ぐ結合部もブロック板の外周に干渉せず、ブロック板とジョイントとが棒状部を軸に相対的に回転可能となるようにしたのである。
【0010】
また、前記ブロック板の棒状部を丸形断面とし、ジョイントのプラグの内面に丸底の溝部を設け、この溝部にブロック板の棒状部が係合するようにしたのである。
【0011】
さらに、前記ジョイントのプラグと結合部の幅を同一にし、フラグと結合部の両側面が段差なく連続するようにしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る組立てブロックでは、ブロック板とジョイントとを相対回転させることにより、ブロック板同士の連結角度を自由に変化させることができるので、多様な立体物を組み立てることができる。また、従来の組立てブロックとの互換性が確保され、組立ての多様性を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
この組立てブロックは、図1及び図2に示すようなブロック板1と、図3に示すようなジョイント2とから構成され、これらは、射出成形等により所定形状に成形される。ブロック板1には、図1に示す平面形状が正三角形のものと、図2に示す平面形状が正方形のものとがあり、これらの一辺の長さは等しくなっている。
【0015】
図1及び図2に示すブロック板1は、各頂点付近に比較的肉厚のあるコーナー部3を有し、外周各辺に沿ってコーナー部3の間に丸形断面の棒状部4が渡され、この棒状部4の内側に臨んで空隙部5が設けられている。
【0016】
なお、正三角形のブロック板1では、棒状部4の内側は完全に抜かれているが、正方形のブロック板1では、4つのコーナー部3を繋ぐ中板部6が設けられている。
【0017】
また、各ブロック板1には、射出成形の樹脂注入ゲート痕を没入させる凹所7及び離型ピンを挿入する有底穴8が相反する面に設けられている。
【0018】
この凹所7及び有底穴8は、正三角形のブロック板1ではコーナー部3に位置し、正方形のブロック板1では中板部6に位置している。なお、正三角形のブロック板1に設けられた3つの凹所7のうち、2つはデザイン上のバランスを考慮したダミーである。
【0019】
また、正方形のブロック板1には、対向する2辺に沿って2本の溝部9が設けられ、この溝部9により、図9に示す従来の組立てブロックのジョイント52を後述のジョイント2と同様に嵌めたとき、ジョイント52の回転に伴う側延部55とブロック板1との干渉が回避されて、回転可能な範囲が拡大される。
【0020】
図3の各図に示すジョイント2は、少なくとも2方向へ延びるプラグ10を有し、プラグ10は、先端が開口した二股形状となっている。プラグ10の幅は、ブロック板1の各辺の棒状部4の長さより少し小さく、プラグ10の基端を繋ぐ結合部11の幅は、プラグ10の基端と同一の幅に形成され、これらの両側面が段差なく連続している。
【0021】
ジョイント2の各プラグ10は、先端の挿入口の間隔がブロック板1の棒状部4の直径よりも少し小さく、基端寄りの内面に棒状部4の直径にほぼ対応する丸底の溝部12が設けられている。結合部11には、射出成形の樹脂注入ゲート痕を没入させる凹所13と、図示省略したが離型ピンを挿入する有底穴とが相反する面に設けられている。
【0022】
これらのジョイント2のうち、図3(a)は、プラグ10が同一平面で二方向に突出する基本形式のものを示し、図3(b)は、基本形式の結合部11を長くした形式のものを示す。図3(c)、(d)、(e)は、プラグ10がそれぞれ直交する二方向、三方向及び四方向に突出した形式のものを示す。
【0023】
このような組立てブロックにおいて、ブロック板1同士をジョイント2により連結するには、図4に示すように、ブロック板1の棒状部4にジョイント2のプラグ10を嵌め、棒状部4を溝部12に係合させる。このとき、プラグ10は、棒状部4に押し広げられて弾性変形しつつ空隙部5に進入し、棒状部4と溝部12との係合に伴い復元する。
【0024】
この連結状態では、図5に示すように、ブロック板1とジョイント2とが棒状部4を軸に相対回転可能となる。
【0025】
この回転に際しては、空隙部5によりプラグ10とブロック板1との干渉が回避され、結合部11もブロック板1に干渉せず、図4、図6及び図7に示すように、ブロック板1同士の連結角度を0°から180°に至るまで自由に変化させることができる。
【0026】
そして、図8に示す作例のように、正三角形及び正方形のブロック板1を適宜組み合わせ、自由な角度で連結して、多様な面構成の立体を組み立てることができる。
【0027】
また、従来の組立てブロックのジョイント52によりブロック板1同士を連結することもでき、図9で示した従来のブロック板51を組み込むこともできるので、従来の組立てブロックのユーザーがこの発明に係る組立てブロックを追加して購入することにより、組み立てられる立体の多様性をさらに広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係る正三角形のブロック板の(a)斜視図、(b)平面図、(c)A−A断面図
【図2】同上の正方形のブロック板の(a)斜視図、(b)平面図、(c)B−B断面図
【図3】同上のジョイントの(a)平型基本形式、(b)平型延長形式、(c)直交二方向形式、(d)直交三方向形式、(e)直交四方向形式を示す斜視図
【図4】同上のブロック板のジョイントを介した連結状態を示す斜視図
【図5】同上のブロック板の回動状態を示す概略断面図
【図6】同上のブロック板の連結角度を変化させる状態を示す斜視図
【図7】同上の連結角度を180°とした状態を示す斜視図
【図8】同上の組立てブロックの作例を示す斜視図
【図9】従来の組立てブロックを示す斜視図
【符号の説明】
【0029】
1 ブロック板
2 ジョイント
3 コーナー部
4 棒状部
5 空隙部
6 中板部
7 凹所
8 有底穴
9 溝部
10 プラグ
11 結合部
12 溝部
13 凹所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状が正三角形及び正方形のブロック板(1)と、少なくとも2方向に突出するプラグ(10)を備えたジョイント(2)との組み合わせから成り、ジョイント(2)のプラグ(10)をブロック板(1)に係合させて、ブロック板(1)同士を連結する組立てブロックにおいて、
前記ブロック板(1)に、外周各辺に沿ってコーナー部(3)の間に渡す棒状部(4)と、この棒状部(4)の内側に臨む空隙部(5)とを設け、ブロック板(1)の棒状部(4)にジョイント(2)のプラグ(10)を嵌めると、空隙部(5)によりプラグ(10)とブロック板(1)との干渉が回避され、プラグ(10)の基端を繋ぐ結合部(11)もブロック板(1)の外周に干渉せず、ブロック板(1)とジョイント(2)とが棒状部(4)を軸に相対的に回転可能となるようにしたことを特徴とする組立てブロック。
【請求項2】
請求項1に記載の組立てブロックにおいて、前記ブロック板(1)の棒状部(4)を丸形断面とし、ジョイント(2)のプラグ(10)の内面に丸底の溝部(12)を設け、この溝部(12)にブロック板(1)の棒状部(4)が係合するようにしたことを特徴とする組立てブロック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組立てブロックにおいて、前記ジョイント(2)のプラグ(10)と結合部(11)の幅を同一にし、フラグ(10)と結合部(11)の両側面が段差なく連続するようにしたことを特徴とする組立てブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−14146(P2010−14146A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172406(P2008−172406)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000115371)ヨシリツ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】