説明

組立てブロック

【課題】滑らかな曲面を有する多様な形状の作品を、既存の組立てブロックを活用しつつ組み立てられるようにする。
【解決手段】ブロック板1とジョイント21の組み合わせから成り、ブロック板1に周囲各辺に臨む受口2を設け、ジョイント21に複数のプラグ22を異なる方向へ向けて突設し、プラグ22を受口2に差し込んでブロック板1同士を連結する組立てブロックにおいて、前記ブロック板1を、帯状で可撓性を有するものとし、その端縁に臨んで複数の受口2を並べて配置し、ジョイント21のプラグ22の外縁を受口2の奥縁部に盛り上がる突当壁4に当接させ、プラグ22の基部から両側へ張り出す側延部24をブロック板1の端縁に当接させて、ブロック板1に対しジョイント21を位置決めし、ブロック板1にジョイント21を接続した状態で、ブロック板1を撓ませることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブロック板をジョイントを介して順次連結することにより、三次元的な立体を組み立てることができる組立てブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本出願人は、下記特許文献1に記載した発明に基づいて、図13に示すように、平面形状が正方形及び正三角形のブロック板11と、このブロック板11同士を連結するジョイント21との組み合わせから成るプラスチック製剛体の組立てブロックを提供しており、このような組立てブロックが流通している。
【0003】
このブロック板11の周囲各辺には、窪んだ部分に受口12が形成され、受口12には突条13が設けられている。ジョイント21には、二股状のプラグ22が少なくとも二方向へ向けて突設されると共に、プラグ22の内面には彫溝23が設けられ、プラグ22の基部から両側へ角柱状の側延部24が張り出している。
【0004】
このようなブロック板11同士を連結する際、ブロック板11の受口12にジョイント21のプラグ22を嵌めると、プラグ22の外縁が受口12の奥側の段差に当接すると共に、突条13が彫溝23に係合し、側延部24がブロック板11の外周面に当接して、連結状態を安定させる。
【0005】
ジョイント21には連結態様に応じて種類があり、図示のように、プラグ22が同一平面で二方向に突出する基本的なもののほか、直交する二方向に突出するもの、直交する三方向に突出するもの、120°の角度で二方向に突出するもの、プラグ22の基端間の距離が大きなものなどが用意されている。
【0006】
また、本出願人は、下記特許文献2において、ブロック板に形成した台座部と挟持片との間に、可撓性を有する板状のジョイントを差し込んで、ブロック板同士を連結することにより、ジョイントを任意の角度に曲げて、ブロック板のなす角度を変えられるようにしたものを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3221637号公報
【特許文献2】国際公開第2007/136047号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図13に示す既存の組立てブロックでは、ブロック板及びジョイントが共に平面的な剛体であることから、滑らかな曲面を有する作品を組み立てることができないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の組立てブロックでは、広く流通している既存の組立てブロックと組み合わせて作品を組み立てることができず、既存の組立てブロックのユーザーに購買を促す訴求性がないという問題がある。
【0010】
そこで、この発明は、滑らかな曲面を有する多様な形状の作品を、既存の組立てブロックを活用しつつ組み立てられるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するため、この発明は、ブロック板とジョイントの組み合わせから成り、ブロック板に周囲各辺に臨む受口を設け、ジョイントに複数のプラグを異なる方向へ向けて突設し、プラグを受口に差し込んでブロック板同士を連結する組立てブロックにおいて、前記ブロック板を、帯状で可撓性を有するものとし、その端縁に臨んで複数の受口を並べて配置し、ジョイントのプラグの外縁を受口の奥縁部に盛り上がる突当壁に当接させ、プラグの基部から両側へ張り出す側延部をブロック板の端縁に当接させて、ブロック板に対しジョイントを位置決めし、ブロック板にジョイントを接続した状態で、ブロック板を撓ませることができるようにしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この組立てブロックでは、ブロック板自体を撓ませて湾曲させることができるので、ブロック板同士をジョイントを介して連結することにより、滑らかな曲面を有する多様な形状の作品を組み立てることができる。
【0013】
また、ジョイントを既存の組立てブロックと共通化しているので、既存の組立てブロックのユーザーは、この組立てブロックを追加して購入することにより、組み立てられる立体の多様性をさらに広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明に係る直端形式ブロック板の(a)2連型、(b)3連型、(c)4連型、(d)広間隔3連型の各実施形態を示す斜視図
【図2】斜端形式ブロック板の(a)菱型、(b)台形型、(c)平行四辺形型の各実施形態を示す斜視図
【図3】ジョイントの(a)二方向基本型、(b)直交二方向型、(c)直交三方向型、(d)直交四方向型、(e)二方向広間隔型の各種形態を示す斜視図
【図4】ブロック板とジョイントの接続状態を示す斜視図
【図5】ブロック板同士のジョイントを介した連結過程を示す斜視図
【図6】同上の連結状態を示す断面図
【図7】ブロック板の弓状湾曲状態を示す斜視図
【図8】ブロック板の弓状湾曲状態を示す斜視図
【図9】ブロック板の捻り湾曲状態を示す斜視図
【図10】3方向ジョイントによるブロック板の連結状態を示す斜視図
【図11】斜端形式ブロック板と広間隔型ジョイントの使用例を示す平面図
【図12】この発明に係るブロック板と既存のブロック板とをジョイントを介して組み合わせた例を示す斜視図
【図13】既存の組立てブロックを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
この組立てブロックは、図1及び図2に示すような帯状のプラスチック製の薄板から成り可撓性を有するブロック板1と、図3に示すようなプラスチック製の剛体であるジョイント21とから構成される。ジョイント21は、図12に示す既存の組立てブロックで使用するものと共通である。
【0017】
図1に示すブロック板1は、長方形状で長辺に対し短辺が直角をなす直端形式のものであり、図2に示すブロック板1は、長手方向に対し両端側の辺が傾斜した斜端形式のものである。これらのブロック板1には、ジョイント21を接続するため、周囲各辺に臨む半円状の受口2が設けられている。
【0018】
各ブロック板1の受口2の差込端に臨む部分には、ジョイント21の差込方向に交差した方向に延びる突条3が形成されている。受口2の奥縁部には、半環状に盛り上がった突当壁4が設けられている。
【0019】
図1(a)、(b)、(c)に示すブロック板1の周囲各辺には、既存の正方形のブロック板11を、図3(a)に示す基本型のジョイント21を介し2個、3個、4個一列に連結した場合の寸法に対応して、それぞれ受口2が配置されている。
【0020】
図1(d)に示すブロック板1の周囲各辺には、既存の正方形のブロック板11を、図3(e)に示す広間隔型のジョイント21を介し3個一列に連結した場合の寸法に対応して、それぞれ受口2が配置されている。
【0021】
図2(a)、(b)、(c)に示すブロック板1の周囲各辺には、既存の正三角形のブロック板11を、図3(a)に示す基本型のジョイント21を介し2個、3個、6個一列に連結した場合の寸法に対応して、それぞれ受口2が配置されている。
【0022】
図3に示す各ジョイント21は、二股状のプラグ22の内面に彫溝23を設け、プラグ22の基部から両側へ角柱状の側延部24を張り出すように設けた構成とされている。
【0023】
図3(a)に示すジョイント21は、プラグ22が同一平面内で二方向へ突出した基本型のものであり、図3(b)、(c)、(d)に示すジョイント21は、それぞれプラグ22が直交する二方向、三方向、四方向へ突出したものである。
【0024】
また、図3(e)に示すジョイント21は、プラグ22の基端の間隔が基本型よりも広くなったものであり、既存の正三角形のブロック板11を交互に向きを反転させて連結した場合や、図1(d)又は図2(b)、(c)に示すブロック板1を使用した場合に生じる広い間隙部での接続に対応している。
【0025】
なお、この組立てブロックでは、後述のように、ブロック板1自体を湾曲させることができるので、既存の組立てブロックのように、プラグ22が120°の角度で二方向に突出するものを使用する必要はない。
【0026】
このような組立てブロックにおいて、ブロック板1同士をジョイント21により接続する際には、図4乃至図6に示すように、ジョイント21のプラグ22をブロック板1の受口2に差し込む。
【0027】
そして、プラグ22の外縁を突当壁4に当接させ、側延部24をブロック板1の端縁に当接させて、ブロック板1に対しジョイント21を位置決めすると共に、突条3と彫溝23とを係合させて、受口2からプラグ22を抜け止めする。
【0028】
上記ブロック板1は、受口2に接続したジョイント21が剛体であっても、図7乃至図9に示すように、弾性限界の範囲内において、撓ませて弓状に、又は捻るように湾曲させることができるので、ブロック板1同士をジョイント21を介して連結することにより、滑らかな曲面を有する多様な形状の作品を組み立てることができる。
【0029】
ここで、図10は、図3(c)に示す直交三方向型のジョイント21を使用して、直端形式のブロック板1を三方向に連結した例を示す。また、図11は、図2(b)の台形型のブロック板1と図2(c)に示す平行四辺形型のブロック板1とを、既存の正方形のブロック板11を介在させて連結した例を示す。この場合、隣り合う正方形のブロック板11同士は、図3(e)に示す広間隔型のジョイント21で連結することができる。
【0030】
さらに、図12は、ブロック板1と既存のブロック板11とを組み合わせて連結し、ブロック板1を湾曲させて立体を構成する例を示す。このように、ブロック板1と既存のブロック板11とを組み合わせると、複雑で多様な立体を組み立てることができるので、既存の組立てブロックのユーザーの創作意欲を高め、購買を促すことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 ブロック板
2 受口
3 突条
4 突当壁
11 ブロック板
12 受口
13 突条
21 ジョイント
22 プラグ
23 彫溝
24 側延部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック板(1)とジョイント(21)の組み合わせから成り、ブロック板(1)に周囲各辺に臨む受口(2)を設け、ジョイント(21)に複数のプラグ(22)を異なる方向へ向けて突設し、プラグ(22)を受口(2)に差し込んでブロック板(1)同士を連結する組立てブロックにおいて、前記ブロック板(1)を、帯状で可撓性を有するものとし、その端縁に臨んで複数の受口(2)を並べて配置し、ジョイント(21)のプラグ(22)の外縁を受口(2)の奥縁部に盛り上がる突当壁(4)に当接させ、プラグ(22)の基部から両側へ張り出す側延部(24)をブロック板(1)の端縁に当接させて、ブロック板(1)に対しジョイント(21)を位置決めし、ブロック板(1)にジョイント(21)を接続した状態で、ブロック板(1)を撓ませることができるようにしたことを特徴とする組立てブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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