説明

組立て式酸素ルーム

【課題】 一般家庭の一室に濃縮酸素を充満させることのできる空間を設け、この空間内で生活したり長時間過ごすことにより病弱や免疫力の低下した人の健康を容易に回復させることができるようにする。
【解決手段】 ポールの両端部を締付け金具で固定して組立てることにより立体空間を有するフレームを形成し、このフレームに透明又は半透明で少なくとも1箇所に出入口を設けたカバーを底面部以外の全面に被せることにより形成する。また携帯組立て式酸素ルームの外部に加圧機能のない濃縮酸素供給器を設置し、酸素供給チューブより濃縮酸素を当該組立て式酸素ルームの内部に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮酸素を充満させた空間内で生活したり長時間過ごすことにより病弱や免疫力の低下した人の健康を回復させることができる、携帯組立て式酸素ルームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療において心筋梗塞や老人性痴呆症等の患者を治療する方法として高圧酸素法がある。該方法は、チャンバと呼ばれるカプセル内に高酸素濃度の空気を1.2気圧程度に注入して加圧し、該チャンバ内に前記患者を1時間程度入れて高圧酸素により治療を行うものである。該高圧酸素治療の公報例として、特開平5−103765号公報の「高気圧酸素治療装置」では、チャンバ内に心筋梗塞の患者を入れ、酸素又は空気供給装置からの加圧ガスを供与することにより治療を行うと共に該高気圧環境下において正確な血圧測定を装置外で行う方法が開示され、特開平8−154982号公報の「高圧酸素治療装置」では、チャンバ内に老人性痴呆症等の患者を入れ、ヘリウムと酸素を主成分とする混合ガスを高圧と低圧とに交互に切換えて供与することにより治療を行う方法が開示されている。
【0003】
なお、上記高圧酸素治療とは、空気中の酸素濃度を通常の20.9%より高い30〜35%程度とし、気圧を通常の1気圧より高い1.2気圧程度にしたチャンバ内に1時間程度入ることにより、結合型酸素として血液中のヘモグロビンと結合する酸素の量や溶解型酸素として皮膚を透して直接血液や体液に溶け込む酸素の量を増やし、これら2種類の酸素量の増加により体の隅々まで酸素を行き渡らせて細胞を活性化させることにより健康を回復させるものである。
【特許文献1】特開平5−103765号公報
【特許文献2】特開平8−154982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記公報に記載されている高圧酸素治療装置は医療用であり、チャンバ,空気供給装置,加圧ポンプ,圧力制御装置,バルブ等から構成される高圧酸素治療装置は非常に高価であり、病院以外で使用することはなかった。このため、上記チャンバをナイロンや塩化ビニル素材で形成し、空気供給装置,加圧ポンプ,圧力制御装置,バルブ等を一体化した濃縮酸素供給器を使用することにより安価となり、リラクゼーションやエステ等の店舗に導入され始めているが、一般家庭で使用するにはまだ高価であるといった問題点があった。
【0005】
本願出願人は上記問題点を解決すべく研究を行った結果、気圧を高めなくとも濃縮酸素を充満させた空間内で生活したり長時間過ごすことにより、結合型酸素として血液中のヘモグロビンと結合する酸素の量や溶解型酸素として皮膚を透して直接血液や体液に溶け込む酸素の量が増えることを付き止めた。このため、濃縮酸素供給器に高価な加圧ポンプや圧力制御装置を付加する必要がなくなり安価に製造できるため、一般家庭でも容易に導入することが可能になった。
【0006】
本発明は、上記経緯により成されたものであり、一般家庭の一室に濃縮酸素を充満させることのできる空間を設け、該空間内で生活したり長時間過ごすことにより病弱や免疫力の低下した人の健康を容易に回復させることができる、携帯組立て式酸素ルームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の携帯組立て式酸素ルームは、ポールの両端部を締付け金具で固定して組立てることにより立体空間を有するフレームを形成し、該フレームに透明又は半透明で少なくとも1箇所に出入口を設けたカバーを底面部以外の全面に被せることにより形成する。また、携帯組立て式酸素ルームの外部に加圧機能のない濃縮酸素供給器を設置し、酸素供給チューブより濃縮酸素を当該組立て式酸素ルームの内部に供給する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の携帯組立て式酸素ルームは、空間内を加圧する必要がないため、ポールを締付け金具で固定して組立てたフレームにカバーを被せるだけの簡単な構造で濃縮酸素を充満させることのできる空間が形成でき、濃縮酸素供給器も加圧機能が不要であるため、安価に構成できる。従って、一般家庭においても容易に導入することができるという効果を奏する。また、前記フレームは締付け金具を外すだけで容易に分解することができ、カバーは折り畳んで小さくすることができるため、携帯可能な収納用具に入れることができる。従って、任意な場所にも移動可能であるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。図1は本発明の携帯組立て式酸素ルームの実施例図であり、図3は本発明の携帯組立て式酸素ルームを組立てるための締付け金具の一実施例における外形図である。
【0010】
まず、図3に示すように、ポール2の両端部を締付け金具3で固定して組立てることにより立体空間を有するフレームを形成する。該締付け金具3は、直角に形成された外金具4と内金具5に分割でき、組立て時においては当該外金具4と内金具5の軸方向にパイプ2の端部を水平に挟み、更に直交部にパイプ2の端部を垂直に挟み、締付け穴6にボルト7を挿通してナット8を羅着して固定する。図1では、長さ約2mのポール2を8本と締付け金具3を8個使用して立方体のフレームを形成した実施例を示しているが、ポール2の長さや本数は特に限定するものではなく、該長さや本数に応じて締付け金具3の形状や数量も任意として構わない。
【0011】
また、図4はポール上面のゴムキャップの組立図であり、フレームを構成する垂直方向のポール2の上面の穴にゴムキャップ9を挿入すれば、指を入れて怪我をしたり穴が直接見えることもなく安全上及び美観上からも好ましい。
【0012】
また、図5はポール底面のアジャスターの組立図であり、フレームを構成する垂直方向のポール2の底面の穴にアジャスター10を挿入すれば、該アジャスター10の脚11を廻して高さ調節を行うことにより床面の僅かな段差を吸収し、安定して設置することができて好ましい。
【0013】
次に、上記フレームに透明又は半透明で少なくとも1箇所に出入口14を設けたカバー12を底面部以外の全面に被せることにより形成する。本携帯組立て式酸素ルーム1は、空間内を加圧しない代わりに当該携帯組立て式酸素ルーム1内で生活したり長時間過ごすことにより病弱や免疫力の低下した人の健康を回復させることを目的とするため、患者にストレスを与えないように外部が見える透明又は半透明のカバー12が好ましく、素材としては塩化ビニルシートや目の細かい薄手の繊維が好ましいが特に限定するものではない。
【0014】
図6は本発明の携帯組立て式酸素ルームの出入口の一実施例における構造図であり、フレームの一面のカバー12の略中央を縦に切断して重ね合わせるようにしたものを示している。携帯組立て式酸素ルーム1に出入りする時は、出入口14の重ね合わせ部分を図中矢印a及びb方向に広げ、開口部より図中矢印c方向に出入りを行う。出入口14の構造は、前記方法以外にファスナー等を使用しても構わない。
【0015】
また、携帯組立て式酸素ルーム1の外部に加圧機能のない濃縮酸素供給器17を設置し、酸素供給チューブ18より高濃度の酸素を当該組立て式酸素ルーム1の内部に供給する。
【0016】
図2は本発明の携帯組立て式酸素ルーム内に濃縮酸素を供給するための濃縮酸素供給器の一実施例における外形図であり、濃縮酸素供給器17の電源プラグをコンセントに差し込み、手動スイッチ又はリモコンでスイッチを入れることにより外気を吸気口19より取り入れ、酸素以外の窒素等のガスを排気口20より放出して濃縮された酸素を酸素供給チューブ18より携帯組立て式酸素ルーム1内に入れることができる。設置場所は、屋外型として携帯組立て式酸素ルーム1に近い屋外に設置するのが好ましいが、室内に置いても構わない。
【実施例】
【0017】
本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0018】
まず、図1及び図3に示すように、ポール2の両端部を締付け金具3で固定して組立てることにより立体空間を有するフレームを形成する。次に、該フレームに透明又は半透明で少なくとも1箇所に出入口14を設けたカバー12を底面部以外の全面に被せて携帯組立て式酸素ルーム1を形成する。
【0019】
また、携帯組立て式酸素ルーム1内で病弱や免疫力の低下した人16が生活したり長時間過ごすため、ベッド15や図示しないテーブル,椅子,テレビ,小型冷蔵庫,照明器具等の家具や電化製品等を設置する。
【0020】
また、携帯組立て式酸素ルーム1の外部に加圧機能のない濃縮酸素供給器17を設置し、酸素供給チューブ18より濃度が90%前後の濃縮酸素を当該組立て式酸素ルーム1の内部に供給する。図1では、酸素供給チューブ18をカバー12の上面部にあるメッシュ窓13の隙間より挿入してある。挿入位置や挿入方法は特に限定するものではないが、濃縮酸素は通常の空気より比重が重いため、組立て式酸素ルーム1の上部より挿入するのが好ましい。なお、メッシュ窓13は携帯組立て式酸素ルーム1外の空気を携帯組立て式酸素ルーム1内に取り入れ、空気及び濃縮酸素を混合して携帯組立て式酸素ルーム1内の酸素濃度を約30〜35%程度とするためのものであり、カバー12の上面部に設けるのが好ましい。また、濃縮酸素供給器17の運転操作等は手元のリモコン22により行う。
【0021】
上記の様に構成した携帯組立て式酸素ルーム1は、ポール2の長さを約2mとした場合に2畳強の面積しか占有しないため、一般家庭の一室に容易に設置することができる。このため、病弱や免疫力の低下した人16が当該携帯組立て式酸素ルーム1内で生活したり長時間過ごすことにより、結合型酸素や溶解型酸素として体に取り込む酸素量を増加させることができ、これらの酸素量の増加により体の隅々まで酸素を行き渡らせて細胞を活性化させることにより健康を回復させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の携帯組立て式酸素ルーム1の使用目的として、濃縮酸素を充満させた空間内で生活したり長時間過ごすことにより病弱や免疫力の低下した人の健康を回復させることを挙げたが、結合型酸素や溶解型酸素として体に取り込む酸素量を増加させ体の隅々まで酸素を行き渡らせて細胞を活性化させるため、疲労回復や美容にも効果があり、更には二日酔いやダイエット等にも効果があるため、誰でも自由に利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の携帯組立て式酸素ルームの実施例図である。
【図2】本発明の携帯組立て式酸素ルーム内に濃縮酸素を供給するための濃縮酸素供給器の一実施例における外形図である。
【図3】本発明の携帯組立て式酸素ルームを組立てるための締付け金具の一実施例における外形図である。
【図4】ポール上面のゴムキャップの組立図である。
【図5】ポール底面のアジャスターの組立図である。
【図6】本発明の携帯組立て式酸素ルームの出入口の一実施例における構造図である。
【符号の説明】
【0024】
1 携帯組立て式酸素ルーム
2 ポール
3 締付け金具
4 外金具
5 内金具
6 締付け穴
7 ボルト
8 ナット
9 ゴムキャップ
10 アジャスター
11 脚
12 カバー
13 メッシュ窓
14 出入口
15 ベッド
16 人
17 濃縮酸素供給器
18 酸素供給チューブ
19 吸気口
20 排気口
21 電源プラグ
22 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポールの両端部を締付け金具で固定して組立てることにより立体空間を有するフレームを形成し、該フレームに透明又は半透明で少なくとも1箇所に出入口を設けたカバーを底面部以外の全面に被せることにより形成することを特徴とする、携帯組立て式酸素ルーム。
【請求項2】
携帯組立て式酸素ルームの外部に加圧機能のない濃縮酸素供給器を設置し、酸素供給チューブより濃縮酸素を当該組立て式酸素ルームの内部に供給することを特徴とする、請求項1に記載の携帯組立て式酸素ルーム。
【請求項3】
濃縮酸素供給器から供給される酸素濃度は90%前後であり、カバーの上面部等に設けられたメッシュ窓から取り入れた空気と前記濃縮酸素を混合して携帯組立て式酸素ルーム内の酸素濃度を約30〜35%程度とすることを特徴とした、請求項1及び請求項2に記載の携帯組立て式酸素ルーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−279284(P2008−279284A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216669(P2008−216669)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【分割の表示】特願2004−225002(P2004−225002)の分割
【原出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(591018420)
【Fターム(参考)】