説明

組立式カーテン

【課題】簡単に展開、収納可能な組立式カーテンを提供する。
【解決手段】横フレーム12の先端は薄肉部14とされており、取付穴16が設けられている。取付穴16は縦フレーム20の小径部26が挿通可能な大きさとされており、小径部26を取付穴16に挿通させることで横フレーム12を水平方向に位置決めする。また薄肉部14は小径部26の長さに比較して十分に薄いので、複数の横フレーム12を一本の縦フレーム20に取付け可能とされている。また、小径部26の長さが十分であるため、横フレーム12が小径部26から外れる虞はない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組立式カーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
多様な目的で限られたスペース、特に室内を使用するためには、部屋の広さや数をフレキシブルに変更させる必要がある。しかし、例えば医療検査を行う場合などには専用の施設であっても多様な目的(検査種目など)に応じて部屋の広さや数をフレキシブルに変更することが難しい。
【0003】
よって、このような場合に多様な検査を実施する場合には、実施に適した広さや数の部屋を確保することが困難なので、検査を受けることが可能な施設利用者の人数等に制限が生じたり時間的ロスが発生する虞がある。
【0004】
施設の限られたスペースにおいて、用途に応じて部屋の広さや数をフレキシブルに変更できる機能は、会議室や宴会場等の部屋を有する施設においても必要とされており、これに対して従来は、可動式の間仕切り壁やアコーディオンカーテン等で部屋を区画して対処することが多かった。
【0005】
そこで部屋を区画する目的で組立式カーテン(パーティション)が主に室内床面に自立させて空間を隔てるための道具として用いられる。例えば、病院や診療所のような不特定多数の人が出入りする場所で広く使われている。特に、前述のように病院での使用や診療目的等では、布製のシート部材をパイプフレームの上下に張った形式の組立式カーテンが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかし従来の組立式カーテンは使用していない場合でも屏風のように高さ方向の寸法は変わらない構造のものが多く、また折り畳み可能であっても構造が複雑、あるいは展開に伴う作業が煩雑であったり、展開時の形状に制約があるなど使用上の規制が多い。
【特許文献1】実開平6−13636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、簡単に展開、収納可能な組立式カーテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の組立式カーテンは、長手方向両端に丸穴が設けられた横フレームと、前記横フレームの前記丸穴に挿入される小径部を先端に備え、床面から自立する複数の縦フレームと、前記縦フレームを床面上に自立させる脚部と、前記横フレームに懸架されるシート部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成の発明では、縦フレーム先端の小径部を横フレーム先端の丸穴に挿通させることで、縦フレーム先端にて横フレームを保持する、組立簡易な組立式カーテンとすることができる。
【0010】
請求項2に記載の組立式カーテンは、請求項1に記載の構成において、前記横フレームと前記縦フレームは丸パイプ形状であり、前記横フレームの両端部に形成された薄肉部に前記丸穴が設けられ、且つ前記薄肉部の厚さは前記横フレームの半径以下であり、前記丸穴が開口する一方の面は前記横フレームの中心軸を含む面であることを特徴とする。
【0011】
上記構成の発明では、横フレーム先端を薄肉部とすることで、複数の横フレームの先端を同時に一本の縦フレームに係合させ、スペースを自由な形状に分割可能な組立式カーテンとすることができる。且つ、薄肉部の厚さを横フレームの半径以下としたことで、2本の横フレームを1本の縦フレームに係合させた際に横フレームの高さを略同等とすることができる。
【0012】
請求項3に記載の組立式カーテンは、請求項1または請求項2に記載の構成において、前記縦フレームは外パイプと内パイプの2重構造とされ、収納状態では前記外パイプ中に前記内パイプが所定長さ挿入され、展開状態では前記内パイプが前記外パイプから引き出され、前記内パイプの外周面から径方向外側に付勢されたロック部材で展開状態を維持することを特徴とする。
【0013】
上記構成の発明では、展開時には内パイプのロック部材で展開状態を維持し、収納時にはロック部材を内パイプ内に押し込むことで簡単に収納可能な組立式カーテンとすることができる。
【0014】
請求項4に記載の組立式カーテンは、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の構成において、前記脚部は、床面に設置される基台と、前記基台から立設された一対の支持板と、前記支持板に形成された軸穴と、前記支持板の間に装着された前記縦フレームに形成された取付穴と、前記取付穴および前記軸穴に、床面と沿う方向に挿入される軸部と、前記支持板に回転自在に取付けられ前記縦フレームの下端を把持し、前記縦フレームの下端の回転を規制するストッパと、前記ストッパを上側へ付勢し前記縦フレーム下端の把持状態を維持する弾性部材と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
上記構成の発明では、軸部のまわりに回転自在とされた縦フレームの下端を、弾性部材で付勢されたストッパで下から把持することで、ストッパを押し下げて脚部と縦フレームの角度を変更し、収納性を向上可能な組立式カーテンとすることができる。
【0016】
請求項5に記載の組立式カーテンは、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の構成において、前記縦フレームの前記小径部の先端には、径方向に設けられた回転軸のまわりに回転可能にストッパ部材が軸支されたことを特徴とする。
【0017】
上記構成の発明では、小径部の先端に折りたたみ可能なストッパ部材を設けたことで、取付穴に挿通した小径部が外れにくい組立式カーテンとすることができる。
【0018】
請求項6に記載の組立式カーテンは、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の構成において、前記縦フレームの前記小径部の外周面には周方向に複数の溝が刻まれたことを特徴とする。
【0019】
上記構成の発明では、小径部の外周面に刻まれた溝が取付穴の内周面と摩擦を発生するため、取付穴に挿通した小径部が外れにくい組立式カーテンとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記構成としたので、簡単に展開、収納可能な組立式カーテンとすることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<装置概要>
図1には本発明の実施形態に係る組立式カーテンが示されている。
【0022】
図1に示すように、組立式カーテン10は床と略水平に張り渡された横フレーム12の長手方向両端を、一対の縦フレーム20で支持し、横フレーム12にシート部18がマジックテープ(登録商標)などで吊り下げられた構造とされている。
【0023】
縦フレーム20は略円柱形状で脚部40にて床から立設されており、先端には小径部26が設けられている。横フレーム12の両端に穿孔された取付穴16に小径部26が挿通され、横フレーム12を支持している。
【0024】
横フレーム12の先端は薄肉部14とされており、取付穴16の貫通方向に厚さが薄く形成され、縦フレーム20の小径部26には複数の横フレーム12の薄肉部14が挿通可能とされている。
【0025】
薄肉部14が形成される横フレーム12の先端は略砲弾型の流線型とされており、先端近傍には尖った角のない形状とされている。また薄肉部14の厚さ(取付穴16の貫通方向寸法)は横フレーム12の半径以下とされている。このため2本の横フレームを図2に示すように薄肉部14同士を互い違いに重ね、取付穴16に小径部26を挿通させれば2本の横フレーム12は床面からの高さが略同等となる。
【0026】
縦フレーム20は床上に設置される脚部40にて、床面から直立するように保持されており、脚部40は縦フレーム20の床上における位置決めを行うと同時に直立状態を維持する。例えば脚部40は床上に配置された足部材44と、これと直交するように配置された基台42とを組み合わせることで、床上において種々の方向への縦フレーム20の転倒を防ぐ構造とされている。
【0027】
縦フレーム20は脚部40から立設された保持部46に床と平行に設けられた軸部48によって、軸部48のまわりに回転自在に保持されている。これにより収納時には脚部40と略平行な角度まで倒され、また展開時には床面から直立する角度で保持可能な構造とされている。
【0028】
<各部分の詳細>
図2〜図4には本発明の実施形態に係る組立式カーテンの一部が示されている。
【0029】
図2に示すように、横フレーム12の先端は薄肉部14とされており、取付穴16が設けられている。取付穴16は縦フレーム20の小径部26が挿通可能な大きさとされており、図2のように小径部26を取付穴16に挿通させることで横フレーム12を水平方向に位置決めする。
【0030】
また薄肉部14は小径部26の長さに比較して十分に薄いので、図2に示すように複数の横フレーム12を一本の縦フレーム20に取付け可能とされている。また、小径部26の長さが十分であるため、特に上下方向のストッパや固定部材を用いずとも横フレーム12が小径部26から外れる虞はない。
【0031】
また小径部26の外周面には溝26Aが周方向に刻まれており、取付穴16に挿入された際、取付穴16の内周面との間で摩擦抵抗を増加させ、横フレーム12に上下方向の力が外から加わった際に小径部26から薄肉部14が外れにくい構成とされている。
【0032】
さらに小径部26の先端には折りたたみ可能なストッパ27が設けられている。小径部26が取付穴16に挿入された後、ストッパ27を何れかの方向に畳むことによって、横フレーム12に上下方向の力が外から加わった際に小径部26から薄肉部14が外れにくい構成とされている。
【0033】
図3(A)(B)に示すように、縦フレーム20は径の大きい外パイプ22に、径の小さい内パイプ24が挿入された二重構造とされており、収納時には内パイプ24を外パイプ22に挿入して全長を短く抑え、展開時には内パイプ24を外パイプ22から引き出して全長を長くする構成とされている。
【0034】
内パイプ24の所定箇所には開口部29が設けられ、開口部29からストッパ28が径方向外側に突出している。ストッパ28は外パイプ22の内径よりも外側に突出するように径方向外側へバネ30で付勢されている。
【0035】
展開時には外パイプ22より開口部29が出るまで内パイプ24を引き出すと、ストッパ28が径方向外側へ突出し、外パイプ22の端面22Bに引っ掛かるため、これより内パイプ24は外パイプ22内へ戻らず、この引出長さで保持される。
【0036】
収納時には図3(A)に示すように矢印28Aのようにストッパ28を押すと、開口部29内にストッパ28が引っ込むので、図3(B)に示すように外パイプ22内に内パイプ24は収納される。
【0037】
このとき、ストッパ28が内パイプ24の長手方向複数箇所に設けられていれば、複数の引出し長さで内パイプ24を固定することができ、縦フレーム20を種々の高さで保持可能とすることができる。
【0038】
図4(A)(B)に示すように、縦フレーム20の外パイプ22は脚部40より立設された保持部46に軸部48で支持されている。軸部48により外パイプ22は回転自在に支持され、外パイプ22の下側端はストッパ60で保持されている。ストッパ60は図示しない弾性部材により軸部48側へ付勢されており、外パイプ22の先端に係合し、これを保持している。
【0039】
図4(A)に示されるようにストッパ60を矢印60A方向に押すとストッパ60は外パイプ22の先端との係合が外れ、図4(B)に示すように軸部48のまわりに外パイプ22は回転自在となる、いわゆる可倒構造とされている。
【0040】
図4(B)に示すように外パイプ22は矢印22A方向に回転可能とされ、基台42に対する角度を変更可能とされる。このため収納時にはストッパ60を押すことによって外パイプ22を脚部40に対して略平行とし、収納スペースを縮小可能とされている。
【0041】
<作用効果>
本発明は上記構成としたので、以下のような優れた効果を有する。
【0042】
すなわち、本発明の実施形態に係る組立式カーテン10は、縦フレーム20の小径部26を横フレーム12の両端に設けられた取付穴16に挿入することで水平方向の位置決めを簡単に行うことができる。
【0043】
且つ横フレーム12の先端を薄肉部14としたことで、小径部26の長さが許す限り横フレーム12を小径部26に通すことができるので、結果として形成されるパーティションの形状を自由なものとできる。特に一対の横フレーム12を1本の縦フレーム20にて支持する際には薄肉部14同士を互い違いに重ねることで、横フレーム12の高さを略同等とすることができる。
【0044】
また小径部26の長さが十分であれば、特に上下方向の係止部材や固定部材を設ける必要がなく、展開および収納作業を簡単に行うことができる。さらに小径部26の外周面に設けられた溝26Aにより取付穴16の内周面と摩擦を起こすことで、シート部18を取り外す際などに横フレーム12が上方向に跳ねても容易に小径部26から取付穴16が外れない構成とすることができる。
【0045】
また小径部26の先端に折り畳み可能なストッパ27を設けたことで、同様にシート部18を取り外す際などに横フレーム12が上方向に跳ねても容易に小径部26から取付穴16が外れない構成とすることができる。
【0046】
さらに縦フレーム20を伸縮自在、かつ脚部40に対して可倒構造とされているので、収納スペースを小さく抑えることができる。
【0047】
<その他>
以上、本発明の実施例について記述したが、本発明は上記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【0048】
すなわち本実施形態では横フレーム12にシート部18を取り付けた組立式カーテンとしたが、例えば強度を必要としない展示用フレームや映写用スクリーンなど、縦横方向にフレームを組み合わせる構造であれば本願発明を応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る組立式カーテンを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る組立式カーテンの一部を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る組立式カーテンの一部を示す拡大斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る組立式カーテンの一部を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
10 組立式カーテン
12 横フレーム
14 薄肉部
16 取付穴
18 シート部
20 縦フレーム
22 外パイプ
24 内パイプ
26 小径部
26A 溝
27 ストッパ
28 ストッパ
29 開口部
30 バネ
40 脚部
42 基台
44 足部材
46 保持部
48 軸部
60 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向両端に丸穴が設けられた横フレームと、
前記横フレームの前記丸穴に挿入される小径部を先端に備え、床面から自立する複数の縦フレームと、
前記縦フレームを床面上に自立させる脚部と、
前記横フレームに懸架されるシート部と、
を備えた組立式カーテン。
【請求項2】
前記横フレームと前記縦フレームは丸パイプ形状であり、
前記横フレームの両端部に形成された薄肉部に前記丸穴が設けられ、且つ
前記薄肉部の厚さは前記横フレームの半径以下であり、
前記丸穴が開口する一方の面は前記横フレームの中心軸を含む面であることを特徴とする請求項1に記載の組立式カーテン。
【請求項3】
前記縦フレームは外パイプと内パイプの2重構造とされ、
収納状態では前記外パイプ中に前記内パイプが所定長さ挿入され、
展開状態では前記内パイプが前記外パイプから引き出され、前記内パイプの外周面から径方向外側に付勢されたロック部材で展開状態を維持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組立式カーテン。
【請求項4】
前記脚部は、床面に設置される基台と、
前記基台から立設された一対の支持板と、
前記支持板に形成された軸穴と、
前記支持板の間に装着された前記縦フレームに形成された取付穴と、
前記取付穴および前記軸穴に、床面と沿う方向に挿入される軸部と、
前記支持板に回転自在に取付けられ前記縦フレームの下端を把持し、前記縦フレームの下端の回転を規制するストッパと、
前記ストッパを上側へ付勢し前記縦フレーム下端の把持状態を維持する弾性部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の組立式カーテン。
【請求項5】
前記縦フレームの前記小径部の先端には、径方向に設けられた回転軸のまわりに回転可能にストッパ部材が軸支されたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の組立式カーテン。
【請求項6】
前記縦フレームの前記小径部の外周面には周方向に複数の溝が刻まれたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の組立式カーテン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−259576(P2010−259576A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111951(P2009−111951)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(507307732)株式会社健康管理推進協会 (4)