説明

組立式ジャングルジム

【課題】パイプの着脱を弱い力で簡単に行うことのできる継手構造を有し、組立てと解体が容易であり、使用時における安全性も高いジャングルジムを提供する。
【解決手段】ジャングルジムは継手部材3とパイプ2とから構成されている。継手部材3には、複数の継手軸32が互いに直行する位置関係で立設されている。該継手軸32の基部には、円筒状のパイプ連結リング31が回転自在に係止されており、該パイプ連結リング31の内壁には短軸状のパイプ係止突起31aが凸設されている。パイプ2を継手軸32に嵌挿する際、パイプ連結リング31を回すことにより、軸方向凹溝21a内に位置するパイプ係止突起31aが前記周方向凹溝21bに沿って移動され、最終的にパイプ係止突起31aが周方向凹溝21bの終端部に係止され、パイプ2と継手部材3が着脱自在に連結可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、該継手を使用して組立てられる組立て式の子供用ジャングルジム構成及び、該記ジャングルジムのパイプ2を連結するために用いられる継手の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、組立て式の子供用ジャングルジムとして種々の商品が販売されている。
これらのジャングルジムの構造としては、下記特許文献等に開示されるように、30乃至40センチ程度に揃えて形成された直径3乃至4センチの樹脂パイプを、専用の継手によって連結して組立てられるものが一般的であった。前記継手には複数の種類があり、例えば、角部の連結に用いられる3方分岐の継手や、パイプと間の連結に使用される4方分岐の継手などがあった。さらに5方、6方に分岐した継手も提供されており、これらの継手によってパイプを縦横自在に連結してジャングルジムを組立てることが可能とされていた。
組立て式のジャングルジムでは、12本のパイプ2によって構成される立方形状が基本形とされ、この基本形状を縦横に連設することにより、大きな構造を作ることができた。
継手とパイプ2の連結方法としては、継手に設けられる軸状の継手軸をパイプ2に押し込んだり、軽く叩いたりして連結されるものであったため、力の弱い女性や子供であっても比較的容易にジャングルジムを組立てることができた。
ところが、一旦組立てられたジャングルジムを解体する際には、パイプ2が継手にきつく挿入されているため、パイプ2と継手をはずしにくく、組立てられたジャングルジムを解体しにくいという問題があった。
この問題は、継手とパイプ2の連結を緩くすることで改善することができるものの、軽く引っ張った程度で抜けるようにしたのでは、ジャングルジムで子供が遊んでいる際にジャングルジムが崩壊してしまう危険性を生じるため、単に継手とパイプ2の連結を緩くすることでは解決されない問題であった。
【特許文献1】実開昭54-40222号公報
【特許文献2】実開昭63-169158号公報
【特許文献3】登録実用新案第3025093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑み為されたものであり、弱い力で簡単にパイプを継手に嵌めることができるだけでなく、弱い力で簡単に継手からパイプを取り外すことのできる新規な継手構造を案出することにより、組立てだけでなく解体することも容易であり、使用時における安全性も高い組立て式の子供用ジャングルジムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、
組立て式の子供用ジャングルジムであって、
継手部材3には、複数の継手軸32が立設される基部が設けられており、
該基部には、複数の継手軸32が互いに直行する位置関係で立設されており、
該継手軸32の基部には、円筒状のパイプ連結リング31が回転自在に係止されており、
該パイプ連結リング31の内壁には短軸状のパイプ係止突起31aが凸設されており、
所定長に揃えて形成される樹脂製のパイプ2の両端部外周には、パイプ2の軸方向とほぼ平行に設けられる軸方向凹溝21aと周方向に沿って設けられる周方向凹溝21bをつなげて全体としてL字状に凹設されるパイプ係止凹溝21が形成されていることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明は、
組立て式の子供用ジャングルジムであって、
継手部材3には、複数の継手軸32が立設される基部が設けられており、
該基部には、複数の継手軸32が互いに直行する位置関係で立設されており、
該継手軸32の基部には、円筒状のパイプ連結リング31が回転自在に係止されており、
該パイプ連結リング31の内壁には内ネジ部31cが螺設されており、
他方、所定長に揃えて形成される樹脂製のパイプ2の両端部外周には、前記パイプ連結リング31の内ネジ部31cに螺嵌される外ネジ部24が螺設されていることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、
請求項1記載のものであって、
前記継手軸32の外周部には、長細い尾根状の案内レール32aが継手軸32の軸方向と略平行に凸設されており、
前記パイプ2の内壁部には、パイプ2と継手の連結時において前記案内レール32aが摺接されるレール案内凹溝22がパイプ2の軸方向とほぼ平行に凹設されていることを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明は、
請求項1または3記載のものであって、
前記パイプ連結リング31の内壁部には連結リング係止突起31bが凸設されており、
円筒状に形成される前記継手軸32の基部には周方向に細長く延びる浅溝状の連結リング係止凹部32bが形成されており、
前記連結リング係止突起31bは、連結リング係止凹部32bの内部に係止されて連結リング係止凹部32bの内部を移動可能とされており、
前記連結リング係止突起31bが連結リング係止凹部32bの内部で移動可能な距離だけ、パイプ連結リング31が回動可能とされていることを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の発明は、
請求項2記載のものであって、
前記パイプ連結リング31の内壁部には連結リング係止突起31bが凸設されており、
前記継手軸32の基部には周方向に沿って環状に延びる浅溝状の連結リング係止凹部32bが形成されており、
前記連結リング係止突起31bは、連結リング係止凹部32bの内に係止され、連結リング係止凹部32bの内部を移動可能とされており、
パイプ連結リング31は、前記連結リング係止突起31bと連結リング係止凹部32bとの係合により、パイプ2連結突起に回転可能に係止されていることを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載のものであって、
前記パイプ係止突起31a、パイプ係止凹溝21、案内レール32a、レール案内凹溝22、連結リング係止突起31b、連結リング係止凹部32bは何れも、周方向に略均等の間隔を開けて2つ以上設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項7記載の発明は、
請求項4又は請求項5記載のものであって、
前記連結リング係止突起31bと連結リング係止凹部32bとの係止部における段差を1ミリ以下とすることにより、継手軸32にパイプ連結リング31を押し込むことによりパイプ連結リング31に生じる弾性変形を利用して、継手軸32にパイプ連結リング31が取付け可能とされていることを特徴とする。
【0011】
請求項8記載の発明は、
請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載のものであって、
3つの継手軸32が直交して設けられる第1継手と、
4つの継手軸32が直交して設けられる第2継手と、
5つの継手軸32が直交して設けられる第3継手と、
6つの継手軸32が直交して設けられる第4継手と、
前記第1〜第4継手の間に連結される複数本のパイプ2とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上説明したような形態で実施され、次のような効果を有する。
【0013】
請求項1記載の発明によれば、
互いに直行する位置関係で継手に立設される継手軸にパイプを連結していくことにより、容易にジャングルジムを組立てることができる。
各継手軸にはパイプと継手を連結するパイプ連結リングが継手軸に回動自在に取付けられているので、組立て時には、軸方向凹溝の内にパイプ係止突起が嵌るように継手軸にパイプを嵌挿してから、前記パイプ連結リングを時計方向へ回動させることにより、継手軸が周方向凹溝の内部に沿って周方向凹溝の末端部まで移動させてパイプを継手に連結させることができる。
この連結関係は力任せに押し込む従来の方式とは異なり、継手軸に回動自在に取付けられるパイプ連結リングの内壁に凸設されるパイプ係止突起と、パイプに設けられる周方向凹溝の係合によるものであるため、継手とパイプを分離する場合には、前記パイプ連結リングを反時計方向に回動させてパイプ係止突起と周方向凹溝の係合関係を解除するだけで簡単にパイプを継手から取り外すことができる。
さらに、パイプはパイプ連結リングを回動さることによって初めて取り外し可能となるため、ジャングルジムの使用時において、パイプの軸方向(パイプを抜き取る方向)に強い力が加えられても、パイプが不意に継手から外れてしまうトラブルを起こりにくくすることができ、ジャングルジムの安全性を向上させることができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、
互いに直行する位置関係で立設される継手軸にパイプを連結していくことにより、容易にジャングルジムを組立てることができる。
各継手軸にはパイプと継手を連結するパイプ連結リングが継手軸に回動自在に取付けられているので、組立て時には、軸方向凹溝の内にパイプ係止突起が嵌るように継手軸にパイプを嵌挿してから、前記パイプ連結リングを時計方向へ回転させることにより、パイプ連結リングの内壁に設けられる内ネジ部をパイプの端部外周に螺設される外ネジ部に螺嵌させることにより、パイプを継手に連結させることができる。
この連結関係は力任せに押し込む従来の方式とは異なり、継手軸に回動自在に取付けられるパイプ連結リングの内壁に設けられる内ネジ部とパイプの端部外周に螺設される外ネジ部の係合によるものであるため、継手とパイプ2を分離する場合には、前記パイプ連結リングを反時計方向に回転させるだけで簡単に取り外すことができる。
さらに、パイプはパイプ連結リングを回転させて初めて取り外し可能となるため、ジャングルジムの使用時においてパイプ2の軸方向(パイプを抜き取る方向)に強い力が加わっても、不用意に継手からパイプが外れてしまうトラブルを起こりにくくすることができ、ジャングルジムの安全性を向上させることができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、
継手軸の外周部に凸設され案内レールとパイプの内壁部に凹設されるレール案内凹溝の位置が合う角度でのみ、パイプを継手軸に挿入することが可能とされており、パイプの両端に取付けられる継手の角度を一定角度毎に変えられるジャングルジムを提供することができる。
例えば、案内レールを180度おきに2本設けると共に、レール案内凹溝を90度間隔で4本設けて構成することにより、パイプの両端に取付けられる継手の角度を常に90度毎に変更することが可能となる。また、前記レール案内凹溝を180度間隔で2本設ければ、パイプの両端に取付けられる継手の角度を常に180度毎に変更することが可能となるので、パイプ同士を直交させてジャングルジムを組立てる作業を容易に行なうことのできるジャングルジムを提供することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、
継手軸基部の周方向に沿って細長く凹設される浅溝状の連結リング係止凹部の内にパイプ連結リングの内壁部に凸設される連結リング係止突起を係止させることにより、パイプ連結リングを継手軸に回動自在に取付けることが可能とされている。
さらに、この連結リング係止凹部の周方向の長さを変更して、連結リング係止凹部の内に位置する連結リング係止突起の移動可能範囲を調整することにより前記パイプ連結リングの回動範囲を規定することが可能とされており、パイプ連結リングの回動範囲を規定することにより、パイプ連結リングの回しすぎによるパイプ係止突起や周方向凹溝の破損を防止することが可能とされている。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、
前記継手軸基部の周方向に沿って環状に延びる浅溝状の連結リング係止凹部の内にパイプ連結リングの内壁部に凸設される連結リング係止突起を係止させることにより、パイプ連結リングを継手軸に回転自在に係止させることが可能とされている。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、
前記パイプ係止突起、パイプ係止凹溝、案内レール、レール案内凹溝、連結リング係止突起、連結リング係止凹部を周方向に略均等の間隔を開けて2つ以上設けることにより、ジャングルジムの使用時において外部から加えられた力を対称的に或いは分散して受け止めることが可能となり、局所的に過負荷がかかることにより生じる部品の破損を回避することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、
継手軸にパイプ連結リングを押し込むだけで継手軸にパイプ連結リングを取付けることができるため、製造が容易となり、製造コストを削減することができる。
【0020】
請求項8記載の発明によれば、
第1〜第4継手と複数本のパイプとを組立てることにより、多様な形状に組立てることが可能なジャングルジムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係るジャングルジムは、所定個数の継手部材3と所定の長に揃えて形成される複数の樹脂製のパイプ2とを1セットにして梱包された状態で販売される子供用の組立式ジャングルジムであり、図1に示されるように、パイプ2と継手部材3を組立てて行くことにより、様々な形状のジャングルジム1が組立て可能とされている。
【0022】
図2乃至図5に示されるように、前記継手3には、3つの継手軸32が設けられる第1継手3Aと、4つの継手軸32が設けられる第2継手3Bと、5つの継手軸32が設けられる第3継手3Cと、6つの継手軸32が設けられる第4継手3Dの4種類が用意されている。
【0023】
図6には、一例として、継手3Aに使用される継手本体33の構成を示しているが、他の継手3B〜3Dに関しても、これと同様に継手本体は樹脂成形して一体に形成されており、前記複数の継手軸32は同寸法の円筒状に形成されており、各継手軸32は互いに直行する位置関係で継手本体33に立設されている。
この継手軸32の基部には、円筒状のパイプ連結リング31が回転自在に係止されており、パイプ連結リング31の前部と継手軸32との間にはパイプ2が挿入される間隙部5が設けられている。
【0024】
図6及び図7に示すように、このパイプ連結リング31の前半分の内径は継手軸32の軸径よりも一回り大きく形成されており、この内壁面には1対の短軸状のパイプ係止突起31aが対向して凸設されており、パイプ係止突起31aは前記間隙部5の内に位置されている。(図10参照)
また、前記パイプ連結リング31の内壁部には一対の連結リング係止突起31bが対向して凸設されており、円筒状に形成される前記継手軸32の基部には周方向に細長く延びる浅溝状の連結リング係止凹部32bが2つ対称的に形成されている。
このパイプ連結リング31をパイプ係止突起31aに取付けた際には、 図8(B)に示すように、前記連結リング係止突起31bが、連結リング係止凹部32bの内部に係止された状態となり、連結リング係止突起31bが連結リング係止凹部32bの内部で移動可能とされている。
【0025】
前記連結リング係止突起31bと連結リング係止凹部32bとの係止部における段差は、図8(A)に示すように1ミリ以下とされており、継手軸32にパイプ連結リング31を押し込むことによりパイプ連結リング31に生じる弾性変形を利用して、継手軸32にパイプ連結リング31を簡単に取付けることがでる。
【0026】
さらに、図6及び図11に示すように、前記継手軸32の外周部には対称的な位置関係で2本の長細い尾根状の案内レール32aが継手軸32の軸方向と略平行に凸設されており、この案内レール32aがパイプ2の内壁部に凹設されるレール案内凹溝22に嵌る位置関係でのみパイプ2が継手軸32に嵌挿可能とされている。
【0027】
他方、前記パイプ2は、図1及び図9に示すように、樹脂成形により全体として長細い円筒状に形成されており、その内径は、継手軸32の外形よりも僅かに大径となるように形成されている。
前記パイプ2の両端部の外周には、図10に示すように、パイプ2の軸方向とほぼ平行に設けられる軸方向凹溝21aとパイプ2の周方向に沿って設けられる周方向凹溝21bとをつなげて全体としてL字状とされるパイプ係止凹溝21が周方向に等間隔離間して4つ凹設されている。
また、パイプ2の内壁部には、継手軸32の外周部に形成される案内レール32aが摺接される4本のレール案内凹溝22がパイプ2の軸方向とほぼ平行に等間隔おきに(90度間隔で)凹設されている。
なお、この案内レール32aの配設位置は、パイプ連結リング31が状態連結解除位置に回動させた状態で継手軸32にパイプ2が挿入される際、パイプ2に形成される軸方向凹溝21aが連結リングの内壁部に形成されるパイプ係止突起31aに嵌合される位置関係で設けられている。
【0028】
継手3の使用に際しては、図11に示すように、まず連結リングを反時計方向に回動させて連結解除位置に合わせた状態とし、次に前記案内レール32aがレール案内凹溝22に嵌るように位置を合わせてパイプ2を継手軸32に嵌挿し、それから、前記パイプ連結リング31を連結位置まで回動させることにより、軸方向凹溝21a内に位置されていたパイプ係止突起31aを周方向凹溝21b内へと移動させてパイプ係止突起31aを周方向凹溝21bに係止させ、着脱自在にパイプ2を継手軸32に連結することが可能とされている。
【0029】
このとき、パイプ連結リング31の回動範囲は、前記連結リング係止凹部32bの内部で移動される連結リング係止突起31bの移動可能範囲によって規定されており、これによって、パイプ連結リング31の回しすぎによるパイプ係止突起31aや周方向凹溝21bの破損を防止することが可能とされている。
この連結リング係止凹部32bの周方向の長さを変更して、連結リング係止凹部32bの内に位置する連結リング係止突起31bの移動可能範囲を調整することにより、前記パイプ連結リング31の回動範囲を調節することが可能とされている。
ジャングルジムを解体する場合には、前記パイプ2パイプ連結リング31を連結解除位置まで回動させることにより、簡単にパイプ2を継手と分離することが可能とされている。
【実施例】
【0030】
以下、図面に基づいて本発明に係る第1実施例を詳細に説明する。
図1は、本実施例に係るジャングルジム1の組立て時における外観を示している。
【0031】
本実施例に係るジャングルジム1は、図1に示されるように組立てて使用される子供用ジャングルジムである。
販売時には、ジャングルジムを解体した状態とし、所定個数の継手部材3とパイプ2とを1セットにして梱包して提供されるものであり、複数の樹脂製のパイプ2と、該パイプ2が着脱自在に連結される継手部材3とを備えている。
【0032】
前記継手には、図2乃至図5に示されるに、3つの継手軸32が設けられる第1継手と、4つの継手軸32が設けられる第2継手と、5つの継手軸32が設けられる第3継手と、6つの継手軸32が設けられる第4継手の4種類が用意されている。
いずれの継手も、継手本体は樹脂成形によって一体形成されており、前記複数の継手軸32はいずれも外径27ミリ長さ50ミリ程度の円筒状に形成されており、互いに直行する位置関係で継手本体から立設されている。
【0033】
この継手軸32の基部には、円筒状のパイプ連結リング31が回転自在に係止されており、パイプ連結リング31の前部と継手軸32との間にはパイプ2が挿入される間隙部5が設けられている。
このパイプ連結リング31の前半分の内径は継手軸32軸径よりも6ミリ程度大きく形成されている。この内壁面には短軸状のパイプ係止突起31aが対向して凸設されており、パイプ係止突起31aは前記間隙部5の内に位置されている。
また、前記パイプ連結リング31の内壁部には、継手軸32にパイプ連結リング31を押し込むことによりパイプ連結リング31に生じる弾性変形を利用して、継手軸32にパイプ連結リング31が取付け可能となるように、高さ0.5ミリ程度の一対の連結リング係止突起31bが対向して凸設されており、前記継手軸32の基部には周方向に細長く延びる浅溝状の連結リング係止凹部32bが対称的に2つ形成されている。
【0034】
さらに、前記継手軸32の外周部には、対称的な位置関係で高さ1ミリ程度の2本の長細い尾根状の案内レール32aが継手軸32の軸方向と略平行に凸設されており、この案内レール32aがパイプ2の内壁部に凹設されるレール案内凹溝22に嵌る位置関係でのみパイプ2が継手軸32に嵌挿可能とされている。
【0035】
他方、前記パイプ2は図9に示すように、長さ400ミリ、内径28ミリ、外径35ミリ程度の円筒状に揃えて樹脂成形されており、その内径は、継手軸32の外形よりも僅かに大径となるように形成されている。
前記パイプ2の両端部の外周には、図10に示すように、パイプ2の軸方向とほぼ平行に設けられる軸方向凹溝21aとパイプ2の周方向に沿って設けられる周方向凹溝21bとをつなげて全体としてL字状とされるパイプ係止凹溝21が周方向に等間隔離間して4つ凹設されている。さらに、前記周方向凹溝21bの内部には、パイプ係止突起31aが係止される隆起部21cが凸設されている。

また、パイプ2の内壁部には、継手軸32の外周部に形成される案内レール32aが摺接される4本のレール案内凹溝22がパイプ2の軸方向とほぼ平行に等間隔おきに(90度間隔で)凹設されている。
この案内レール32aの配設位置は、連結リングが状態連結解除位置に回動させた状態で継手軸32にパイプ2が挿入された際に、パイプ2に形成される軸方向凹溝21aが連結リングの内壁部に形成されるパイプ係止突起31aに嵌合される位置関係で設けられている。
【0036】
そして、使用に際しては、図11に示すように、まず連結リングを連結解除位置に回動させてから、前記案内レール32aがレール案内凹溝22に嵌るように位置を合わせてパイプ2が継手軸32に嵌挿される。
それから、前記パイプ連結リング31を連結位置まで回動させることにより、軸方向凹溝21a内に位置されていたパイプ係止突起31aを周方向凹溝21b内へと移動させ、さらにパイプ係止突起31aを周方向凹溝21bの内部に凸設されている隆起部21cの奥に位置させることにより、パイプ連結リング31に軽くふれた程度ではパイプ連結リング31が逆戻りしない状態とされ、パイプ2が継手軸32と連結される。
【0037】
このとき、パイプ連結リング31の回動範囲は、前記連結リング係止凹部32bの内部で移動される連結リング係止突起31bの移動可能範囲によって規定されており、これによって、パイプ連結リング31の回しすぎによるパイプ係止突起31aや周方向凹溝21bの破損を防止することが可能とされている。この連結リング係止凹部32bの周方向の長さを変更して、連結リング係止凹部32bの内に位置する連結リング係止突起31bの移動可能範囲を調整することにより、前記パイプ連結リング31の回動範囲を調節することが可能とされている。
ジャングルジムを解体する場合には、前記パイプ2パイプ連結リング31を連結解除位置まで回動させることにより、簡単にパイプ2を継手と分離することが可能とされている。
【0038】
本実施例に係るジャングルジムは以上説明したように構成されるものであり、使用者の創意工夫によって様々な形状に組立てることができる。
さらに、組替え時や解体時には、各継手部を簡単に外すことができるので、組替えや解体の作業を簡単に行うことができる。
【0039】
なお、前記案内レール32aとレール案内凹溝22の関係は逆であってもよく、図12及び図13に示すように、案内レール32aを凹溝とし、レール案内凹溝22を上凸状のレールに変えて実施することもできる。
【0040】
次に、図14乃至図17を参照して本発明に係る第2実施例を前記第1実施例との相違点のみ簡潔に説明する。
図14に示されるように、第2実施例に使用される継手3には、ネジ式の連結手段が設けられている。
該継手軸32の基部には、図15に示されるように、内壁面に内ネジ部31cが螺設される円筒状のパイプ連結リング31が回転自在に係止されている。
他方、所定長に揃えて形成される樹脂製のパイプ2の両端部外周には、図16に示されるように前記パイプ連結リング31の内ネジ部31cに螺合される外ネジ部24が螺設されておいる。
そして、使用に際しては、図17に示すように、前記パイプ2を継手軸32に嵌挿してから前記パイプ連結リング31を回動させてパイプ連結リング31の内ネジ部31cとパイプ2の外ネジ部24とを螺着することにより、着脱自在にパイプ2を継手軸32に連結することが可能とされている。
【0041】
次に、図18乃至図21を参照して本発明に係るジャングルジムの使用形態に関し説明する。
図18は、小屋の形に組立てられたジャングルジムを示している。本実施例では、棒状のパイプ2とジョイント部材3A〜3Eに加え、天井窓41、天井板42、のれん43、扉部材44、すべり台45、床板47を組み合わせて使用することにより、ジャングルジムが組立てられている。なお、これらの部材は、パイプやジョイント部材と共にセット販売されるか、又は別売りの部材として提供されるものである。
前記開閉窓41、天井板42、のれん43、扉部材44、すべり台45、床板47Aにはいずれもフック4aが設けられており、このフック4aをパイプに係止することによって組立てることが可能とされている。また、のれん43の上部には、面ファスナが取付けられた帯状の取付け紐が逢着されており、この取付け紐によってパイプにのれん43を繋着することが可能とされている。
そして、このように組立てることにより、ただジャングルジムとして遊ぶだけでなく、ままごと遊びや他の遊びの補助遊具として使用することが可能とされている。
【0042】
図19は、汽車の形に組立てられたジャングルジムを示している。本実施例では、棒状のパイプ2とジョイント部材3A〜3Cに加え、床板47A、すべり台45、煙突型の飾り部材49A、ベル型の飾り部材49B、汽車の車輪が印刷されたのれん43、キャラクタの顔が印刷された装飾板48A等の部材を組み合わせて使用することにより、ジャングルジムが組立てられている。なお、これらの部材は、パイプやジョイント部材と共にセット販売されるか、又は別売りの部材として提供されるものである。
そして、このように組立てることにより、ただジャングルジムにのぼって遊ぶだけでなく、すべり台で遊んだり、ボール5を煙突型飾り部材49Aの中央に穿設された孔部に投げ入れて遊んだり、ベル型飾り部材49Bを揺らして遊んだりして様々な遊び方をすることが可能とされている。
【0043】
図20は、ままごと用のラックの形に組立てられたジャングルジムを示している。
本実施例では、棒状のパイプ2とジョイント部材3A〜3Cに加え、床板47A、床板47B、装飾板48B、円弧状パイプ2Aを組み合わせて使用することにより、組立てられている。なお、これらの部材は、パイプやジョイント部材と共にセット販売されるか、又は別売りの部材として提供されるものである。
そして、このように組立てることにより、カップ玩具7A、皿玩具7B、鍋玩具7C等を用いてままごと遊びをしたり、他の遊びの補助遊具として使用したりすることが可能とされている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、パイプ2と継手の連結と連結解除をきわめて簡単に行うことができるだけでなく、安全性にも優れた組立式ジャングルジムを提供することが可能となる。
また、本発明による組立て式ジャングルジムは、構造が比較的簡単であるため、生産コストを節減して商品を安価に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る組立式ジャングルジムの組立て状態を示す図。
【図2】第1継手の外観斜視図。
【図3】第2継手の外観斜視図。
【図4】第3継手の外観斜視図。
【図5】第4継手の外観斜視図。
【図6】第1継手及びパイプ連結リングの(断面を含む)構造を示す図。
【図7】パイプ連結リングの斜視断面図、底面図、A-A'断面図。
【図8】継手とパイプの連結構造を説明する図。
【図9】パイプの平面図。
【図10】パイプ端部の構造を示す斜視図、平面図、底面図
【図11】パイプの連結を説明する図。
【図12】案内レールの他の構成例を示す図。
【図13】レール案内凹溝の構成例を示す図。
【図14】第2実施例に使用される継手及びパイプ連結リングの(断面を含む)構造を示す図。
【図15】第2実施例に使用されるパイプ連結リングの斜視断面図、底面図、A-A'断面図。
【図16】第2実施例に使用されるパイプの斜視図。
【図17】第2実施例における、継手とパイプの連結構造を説明する図。
【図18】本発明に係るジャングルジムの1使用形態を示す図。
【図19】本発明に係るジャングルジムの他の使用形態を示す図。
【図20】本発明に係るジャングルジムの他の使用形態を示す図。
【符号の説明】
【0046】
1 ジャングルジム
2 パイプ
3 継手部材
3A 第1継手
3B 第2継手
3C 第3継手8
3D 第4継手~
5 間隙部
21 パイプ係止凹溝
21a 軸方向凹溝25
21b 周方向凹溝
22 レール案内凹溝
24 外ネジ部
31 パイプ連結リング
31a パイプ係止突起
31b 連結リング係止突起
31c 内ネジ部
32 継手軸
32a 案内レール
32b 連結リング係止凹部
33 継手本体
41 天井窓
42 天井板
43 のれん
44 扉部材
45 滑り台
46 壁板
47A 床板
47B 床板
48A 装飾板
48B 装飾板
49A 飾り部材
49B 飾り部材
5 ボール
7A カップ玩具
7B 皿玩具
7C 鍋玩具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長に揃えて形成される複数の樹脂製のパイプ2と、該パイプ2が着脱自在に連結される継手部材3とを備える組立式の子供用ジャングルジムであって、
前記継手部材3には、パイプ2が連結される複数の継手軸32が互いに直行する位置関係で立設されており、
該継手軸32の基部には、内壁面に短軸状のパイプ係止突起31aが凸設される円筒状のパイプ連結リング31が回転自在に係止されており、
該パイプ連結リング31の前部と継手軸32との間にはパイプ2が挿入される間隙部5が設けられており、
他方、前記パイプ2の両端部外周には、パイプ2の軸方向とほぼ平行に設けられる軸方向凹溝21aとパイプ2の周方向に沿って設けられる周方向凹溝21bとをつなげて全体としてL字状とされるパイプ係止凹溝21が凹設されており、
ジャングルジムの組立て時には、前記パイプ係止突起31aが前記軸方向凹溝21aに嵌るように位置を合わせて継手軸32に嵌挿されるパイプ2の端部が間隙部5に嵌った状態で前記パイプ連結リング31を回動させることにより、軸方向凹溝21a内に位置されていたパイプ係止突起31aを周方向凹溝21b内へと移動させてパイプ係止突起31aを周方向凹溝21bに係止させることにより、着脱自在にパイプ2を継手軸32に連結することが可能とされていることを特徴とする組立式ジャングルジム。
【請求項2】
所定の長に揃えて形成される複数の樹脂製のパイプ2と、該パイプ2が着脱自在に連結される継手部材3とを備える組立式の子供用ジャングルジムであって、
前記継手部材3には、パイプ2が連結される複数の継手軸32が互いに直行する位置関係で立設されており、
該継手軸32の基部には、内壁面に内ネジ部31cが螺設される円筒状のパイプ連結リング31が回転自在に係止されており、
該パイプ連結リング31の前部と継手軸32との間にはパイプ2が挿入される間隙部5が設けられており、
他方、前記パイプ2の両端部外周には、前記パイプ連結リング31の内ネジ部31cに螺合される外ネジ部24が螺設されており、
間隙部5に嵌る位置まで前記パイプ2を継手軸32に嵌挿してから前記パイプ連結リング31を回動させてパイプ連結リング31の内ネジ部31cとパイプ2の外ネジ部24とを螺着することにより、着脱自在にパイプ2を継手軸32に連結することが可能とされていることを特徴とする組立式ジャングルジム。
【請求項3】
請求項1記載のものであって、
前記継手軸32の外周部には、長細い尾根状の案内レール32aが継手軸32の軸方向と略平行に凸設されており、
前記パイプ2の内壁部には、該案内レール32aが摺接されるレール案内凹溝22がパイプ2の軸方向とほぼ平行に凹設されており、
前記案内レール32aがレール案内凹溝22に嵌る位置関係でのみパイプ2が継手軸32に嵌挿可能とされていることを特徴とする組立式ジャングルジム。
【請求項4】
請求項1または3記載のものであって、
前記パイプ連結リング31の内壁部には連結リング係止突起31bが凸設されており、
円筒状に形成される前記継手軸32の基部には周方向に細長く延びる浅溝状の連結リング係止凹部32bが形成されており、
パイプ連結リング31がパイプ係止突起31aに取付けられる際には、前記連結リング係止突起31bが連結リング係止凹部32bの内部に係止されることにより、連結リング係止突起31bが連結リング係止凹部32bの内部で移動可能とされ、
前記連結リング係止突起31bが連結リング係止凹部32bの内部で移動可能な距離だけパイプ連結リング31が回動可能とされていることを特徴とする組立式ジャングルジム。
【請求項5】
請求項2記載のものであって、
前記パイプ連結リング31の内壁部には連結リング係止突起31bが凸設されており、
前記継手軸32の基部には継手軸32の周方向に沿って環状に延びる浅溝状の連結リング係止凹部32bが形成されており、
パイプ連結リング31がパイプ係止突起31aに取付けられる際には、前記連結リング係止突起31bが連結リング係止凹部32bの内に係止されて連結リング係止凹部32bの内部を移動可能とされ、
前記パイプ連結リング31は、前記連結リング係止突起31bと連結リング係止凹部32bとの係合により、パイプ係止突起31aに回転自在に係止されていることを特徴とする組立式ジャングルジム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載のものであって、
前記パイプ係止突起31a、パイプ係止凹溝21、案内レール32a、レール案内凹溝22、連結リング係止突起31b、連結リング係止凹部32bは、何れも周方向に略均等の間隔を開けて2つ以上設けられていることを特徴とする組立式ジャングルジム。
【請求項7】
請求項4又は請求項5記載のものであって、
前記連結リング係止突起31bと連結リング係止凹部32bとの係止部における段差が1ミリ以下とされ、継手軸32にパイプ連結リング31を押し込むことによりパイプ連結リング31に生じる弾性変形を利用して、継手軸32にパイプ連結リング31が取付け可能とされていることを特徴とする組立式ジャングルジム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載のものであって、
3つの継手軸32が直交して設けられる第1継手3Aと、
4つの継手軸32が直交して設けられる第2継手3Bと、
5つの継手軸32が直交して設けられる第3継手3Cと、
6つの継手軸32が直交して設けられる第4継手3Dと、
前記第1〜第4継手の間に連結される複数本のパイプ2とを備えていることを特徴とする組立式ジャングルジム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−345949(P2006−345949A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173014(P2005−173014)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000132275)株式会社スタッフ (19)