説明

組立式テントの樋構造およびテント用樋の取付部材

【課題】 テント正面においても雨水の滴下を確実に防止できる樋構造および樋の取付部材を提供する。
【解決手段】 樋構造にかかる発明は、掴持手段による掴持の中心位置から支持手段による支持の中心位置までの距離を異ならせた複数の取付部材3によって、勾配を有しつつ樋2を横架パイプ11に取り付け、樋の下流側先端付近において、連結部24を介して立て樋4を連続してなる。取付部材にかかる発明は、基部31と、基部の上端に設けられた掴持手段5と、基部の下端に設けられた支持手段6とで構成され、掴持手段は、横架パイプ11の円形断面の外周の1/2以上に当接可能な当接部51と、当接部先端52を係止する係止部53とを備え、支持手段は、樋の側面および底面を外側表面に沿って横断する支持アーム61と、支持アームの両端付近において樋の上部開口端縁を係止する係止部63,67とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雨時において、組立式テントの屋根を構成するテントキャンバスの表面を流下する雨水の滴下を防止する樋構造および当該テントに設けられる樋の取付部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外における催事用テントとして、一般的に組立式テントが使用されているが、この種のテントは、組み立ておよび分解の両作業が簡易であることから、広く普及されているものの、上記利点を最大限に発揮させるため、樋の設置は予定されていなかった。しかし、お祭り会場における出店に使用する場合には、雨天であってもお祭りが決行されるときは、そのまま使用しなければならず、また、葬儀会場における受付用として使用する場合には、突然の降雨によって受付を撤去することはできないものであった。このような場合、雨水がテントキャンバス表面を流下し、これが、軒側のテントキャンバス端縁から滴下することとなっていた。そして、少ない雨量の場合はそれほど気になることはないが、雨量が多い場合には、軒側から落下する雨水の量が激しくなり、テントへの出入りに衣服が濡れてしまうという不都合があった。特に、上記に例示した出店や受付などにおいては、来客や弔問客が、テントの内側にまで入ることはなく、ちょうど雨水が落下する軒先付近で商品の受け渡しや挨拶などがなされ、このような場合、軒から落下する雨水が客の衣服を濡らすこととなっていた。
【0003】
そこで、このような組立式テントにおいても樋を設けることが提案されている。このうち、従来の組立式テントの樋構造にあっては、テント屋根の一辺とほぼ同じ長さで上面を開口し断面が略U字形で両端を封鎖した形状の樋を、隣接するテント屋根周縁に連結金具を用いて着脱自在に吊設するとともに、テント屋根周縁の垂れ下がった防水布を上記樋内部に挿入してなる構成とされたものがあった(特許文献1参照)。また、樋の取付部材にあっては、S状樋受を使用する場合のほか、針金や紐を使用して横架パイプに取り付けていた(特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平7−32131号公報(2頁・図3)
【特許文献2】実登3057257号公報(2頁・図3〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のうち、樋構造にかかる従来技術にあっては、断面U字形の樋をテント屋根周縁に吊設する構成であるため、隣接して設営される複数のテントの中間においてのみ構成が可能なものであり、来客や弔問客の出入りするテント正面には設けることができないものであった。
【0005】
これに対し、取付部材を使用して横架パイプに樋を取り付ける構成の従来技術にあっては、隣接する複数のテントの設営を要することなく、テントの屋根に樋を設けるためのものであり、テント正面にも樋を設けることができることとなる。しかし、当該技術において使用される取付部材がS状樋受等であることから、片方の湾曲部が横架パイプに掛けられるとともに、支持すべき樋は、上記S状樋受の他方の湾曲部に載置されることとなり、当該樋の重量およびその樋に流入した雨水の重量により、取付部材の設置状態が容易に変化し、支持すべき樋の状態が不安定とならざるを得なかった。そして、このような樋に雨水が流入した場合、樋全体の重心が横架パイプの直下に移動し、テントキャンバスから流下する雨水を十分に受けることができない場合や、樋が横架パイプを中心に回転してその上端が傾き、十分な量の雨水を樋が収容できなくなる場合が想定されるものであった。これは、針金や紐を使用した場合も同様であり、しかも、針金や紐を使用する場合は、樋を取り付けまたは取り外す際の作業が非常に煩瑣となるものであった。
【0006】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、簡易な作業により樋の取り付けおよび取り外しを可能にする樋の取付部材を提供するとともに、テント正面においても雨水の滴下を確実に防止できる樋構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、組立式テントの樋構造にかかる本発明は、軒側横架パイプおよび妻側横架パイプを有する組立式テントの骨組みのうち、少なくとも片方の軒側横架パイプに複数の取付部材によって樋が取り付けられるとともに、該樋の下流側先端付近には立て樋が連結されてなる組立式テントの樋構造において、上記複数の取付部材は、上記軒側横架パイプを掴持する掴持手段と、樋を支持する支持手段とを備え、上記掴持手段による掴持の中心位置から支持手段による支持の中心位置までの距離が、樋の上流側から下流側に向かって順次長くしてなる複数の取付部材であり、上記樋は、その下流側先端付近から下向きに突設された連結部と、この連結部内を貫通する貫通孔とを備えた樋であり、上記立て樋は、その一端が上記連結部に着脱可能な装着部を備えてなる立て樋であることを特徴とする組立式テントの樋構造を要旨としている。
【0008】
上記発明において、取付部材は、前記掴持手段と前記支持手段との中間に長尺な基部が設けられた取付部材とし、この基部の長さを順次変更して軒側横架パイプまたは妻側横架パイプに装着してなる構成とすることができる。このような構成にすれば、樋に勾配を形成することが可能となる。
【0009】
この場合、掴持手段は、弾性部材により軒側横架パイプまたは妻側横架パイプの円形断面の外周の1/2以上に当接可能な帯状の当接部を有し、この当接部先端を基部に連結してなる構成とすることができる。これにより、樋は横架パイプに強固に取り付けられることとなる。
【0010】
また、上記いずれかの発明において、立て樋は、フレキシブルパイプで構成された本体と、この本体の一端に設けられ、樋の連結部に装着されるカプラとを備えた立て樋である構成とすることができる。これにより、立て樋の向きを自在に調整でき、下端における開口の向きを来客に支障のない方向に向けて設置できることとなる。
【0011】
テント用樋の取付部材にかかる本発明は、基部と、この基部の上端に設けられた掴持手段と、該基部の下端に設けられた支持手段とで構成されたテント用樋の取付部材であって、上記掴持手段は、掴持すべき横架パイプの円形断面の外周の1/2以上に当接可能な当接部と、該当接部先端を係止する係止部とを備えた掴持手段であり、上記支持手段は、支持すべき樋の側面および底面を外側表面に沿って横断する支持アームと、この支持アームの両端付近において樋の上部開口端縁を係止する係止部とを備えた支持手段であることを特徴とするテント用樋の取付部材を要旨としている。
【0012】
上記発明において、掴持手段の当接部は、帯状部材を略円弧に湾曲してなり、該円弧の中心が、前記基部の軸線を中心に係止部の反対側に位置するように配置してなる当接部とすることができる。これにより、円弧状の帯状部材が掴持すべき横架パイプの表面に相当範囲にわたって当接し、十分な掴持を可能にするものである。
【0013】
この場合、掴持手段の当接部は、掴持すべき横架パイプの外周に当接する側の表面に樹脂製の滑り止めが設けられていることが好ましい。これにより、掴持手段による固定力が向上することとなる。また、支持手段の支持アームの少なくとも一方の先端は、該支持アームの先端付近に設けられた揺動部材に支持されてなる係止爪によって構成されており、上記揺動部材の揺動によって上記係止爪の突出長を可変し得るようにしてなる構成とすることも可能である。これにより、支持アームに支持される樋の両側端縁の係止が容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の樋構造によれば、少なくともテント正面において、テントキャンバス表面を流下する雨水を軒先の樋で受けることができ、軒先から滴下する雨水を防止できるものである。また、横架パイプに取り付けられた樋の状態が安定するため、雨水が樋に流入することにより樋全体の重量が大きくなった場合であっても、樋の取付状態が変化することがなく、確実に雨水を処理できるものである。さらに、上記樋は複数の取付部材によって横架パイプに取り付けられることから、それぞれの取付部材により支持される樋の高さは、当該取付部材の長さ(特に、基部の長さ)の変更により決定され、横架パイプに装着する取付部材を、その長さ(または基部の長さ)が短いものから長いものに順次変更することで、樋全体に勾配を形成させることが可能となる。そして、この勾配の最も低くなった部分(下流側先端)に立て樋を連結することで、樋に流入した雨水をきれいに地上まで流下させることができるのである。
【0015】
他方、樋の取付部材にかかる本発明によれば、設置すべき横架パイプを掴持する掴持手段により取付部材の全体が強固に設置され、樋を支持した状態においても取付状態を安定させることができる。また、上記掴持によって支持されるため、支持される樋に雨水が流入した場合であっても十分に樋を支持できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、組立式テントの樋構造にかかる発明の実施形態は、図1に示すように、各種パイプによる部材を組み立てて構成される骨組み1の横架パイプ11に樋2を取り付けて構成したものである。組立式テントの骨組み1は、軒側横架パイプ11,12および妻側横架パイプ13,14によって四辺形を構成し、この四辺形を複数の柱パイプ15で所定の高さに支持するものである。また、屋根部分は、中央の最も高い位置に設けられる棟パイプ16と、この棟パイプ16から軒側横架パイプ11,12にわたって斜状に配設してなる複数の屋根パイプ17によって形成されている。このような構成の骨組み1を有する組立式テントにおいては、軒側横架パイプ11,12または妻側横架パイプ13,14に樋構造が形成されるのである。
【0017】
そこで、本発明の樋構造は、上記軒側横架パイプ11,12および妻側横架パイプ13,14のうち、少なくとも片方の軒側横架パイプ11に樋2が設けられたものであって、この軒側横架パイプ11がテントの正面側となるようにすれば、テント正面の雨水の滴下を防止できることとなる。また、複数のテントを隣接して設置するときには、近接するテントの横架パイプ11,12,13,14のうちの片方に樋2を設けることにより、テントの境界部分から雨水が浸入することを防止できる。
【0018】
この樋2は、複数の取付部材3によって軒側横架パイプ11に支持されるものであって、長さを順番に異ならせた取付部材3によって所定の勾配が形成されている。そして、最も短い取付部材3によって支持される部分が上流側となり、逆に最も長い取付部材3によって支持される部分が下流側となる。また、この樋2の下流側先端21および上流側先端22は、同種の遮蔽板23によって閉鎖されており、さらに、下流側先端21の近傍において、立て樋4が連結されているものである。
【0019】
上記取付部材3は、図2に示すように、比較的長尺な基部31と、軒側横架パイプ11を掴持し得る掴持手段5と、樋2を支持する支持手段6とを備えており、上記基部31の長さ寸法を変化させることによって、上記掴持手段5から支持手段6までの距離に差を設けることができるものである。そして、基部31が最も短いものを樋2の上流側先端22の近傍に配置し、逆に最も長いものを樋2の下流側先端の近傍に配置することによって、下流側先端21を上流側先端22よりも低くすることができるのである。
【0020】
ここで、取付部材3の構成について、取付部材の実施形態の説明を兼ねて詳述すると、図2に示しているように、取付部材3の基部31は、金属製の平板によって上下方向に長尺な部材で構成されており、その上端には掴持手段5が、下端には支持手段6が、それぞれ連続して設けられている。掴持手段5は、半円以上の円弧に湾曲してなる当接部51と、この当接部51の先端52を係止する係止部材53とで構成され、支持手段6は、支持すべき樋3の形状に合わせて湾曲してなる支持アーム61と、この支持アーム61の両端に設けられた係止部63,67によって構成されている。
【0021】
本実施形態における掴持手段5の当接部51は、基部31の一部を湾曲させることによって構成されているが、この当接部51のみ個別に構成し、これを基部31に固着する形態としてもよい。上記当接部51が、弾性変形が可能な金属製の帯状部材を円弧状に湾曲してなる場合には、横架パイプ11〜14の円形外周の半分以上に当接させつつ装着することができる。そして、この当接部51の先端52を係止して基部31の方向へ引き寄せることによって、当該当接部51の内側表面が横架パイプ11〜14の表面に強く当接して、当該パイプ11〜14を掴持することができるのである
また、係止部材53は、取付部材3の基部31の上端付近に設けられた揺動部材54と、この揺動部材54に支持される係止リング55とで構成され、揺動部材54の自由端を上方に回動することによって、係止リング55を当接部51の先端52まで移動させることができ、この状態で、係止リング55を当接部51の先端52に引っ掛けた後、揺動部材54の自由端を下降させるように回動させることにより、当接部51の先端52を係止することができるものである。
【0022】
上記当接部51による掴持は、当該当接部51が形成する円弧の径を縮小させることによるものであるが、係止部材53を基部31に設けたことから、係止部材53による当接部先端52に対する係止の方向(引き寄せ方向)は、基部31に向かう方向(下向き)となる。そして、この係止方向によって当接部51の径を縮小させるために、本実施形態では、基部31と当接部51の中間には湾曲部56が設けられている。この湾曲部56によって、当接部51が形成する円弧の中心は、基部31の中心線上よりも係止部材53の反対側に僅かに移動した位置となっているのである。このような構成にすれば、当接部51の先端52が基部31に向かって引き下げられることによって、当該先端51が横架パイプ11の外周に沿って移動できることとなり、結果的に当接部51の径を縮小させることができるのである。
【0023】
なお、上記当接部51の内側表面には、合成ゴム等の樹脂製の薄板を張り付けるなどによって滑り止め部材を設けることにより、上記掴持を効果的に作用させることができる。これは、上述のように当接部51の径を縮小さるとき、当接部51の内側表面が横架パイプ11に密着することとなり、横架パイプ11の軸線回りに当接部51が滑ることを防止できるからである。
【0024】
他方、取付部材3を構成する支持手段6は、取付手段3の基部31と同程度の幅寸法を有する帯状部材によって、樋2の外側に沿って横断するように湾曲してなる支持アーム61が上記基部31に固着されている。本実施形態では、支持アーム61を基部31と同質の金属製で構成することによって、両者をスポット溶接により固着しているが、基部31の下端を折曲または湾曲して支持アーム61を構成すること、異なる材質の支持アーム61をリベットやボルトなどの固定具によって固着することも可能である。
【0025】
この支持アーム61の両端のうち、基部31に近接する側の先端62には、鉤状に湾曲してなる係止部63が設けられ、他端64には、揺動部材65と、この揺動部材65に支持される係止爪66とで構成された係止部67が設けられている。係止爪66は、揺動部材65を揺動させることにより、係止状態および開放状態が操作できるものである。従って、係止爪66を開放状態にした支持アーム61に樋2を載置し、このとき、上部開口端縁の一方のみが鉤状の係止部63に係止されるようにしておき、係止爪66を係止状態にして上部開口端の他方を係止することによって、当該樋2が安定した状態で支持されることとなるのである。
【0026】
取付部材にかかる発明の本実施形態は、上記のような構成であるから、図3に示すように、樋2は、支持アーム61によって開口部を上向きにして支持され、この樋2の上部開口部からテントキャンバス7の軒側端縁部71を当該樋2の内部に配置することができることとなる。そして、取付部材3は、上端の当接部51が軒側横架パイプ11の外周に当接しつつ掴持することにより、当該取付部材3の取付状態が変化することがない。これは、支持アーム61に樋2が載置された状態であっても、さらに、樋2に雨水が流入して樋2の全体重量が増大した場合であっても、上記掴持による固定力によって取付部材3の状態が維持されるものである。もっとも、一本の樋2について複数の取付部材3が使用されるから、樋2および雨水の重量は、それぞれの取付部材3に分散され、1個の取付部材3に作用する重量が極端に大きいものとなることはない。
【0027】
また、樋構造にかかる発明の実施形態における取付部材3は、上記のような構成であるから、樋構造を構成する複数の取付部材3について、当接部材51により形成される円弧の中心の位置から支持アーム61の中心の位置(最下位)までの長さLを変更してなる構成とすることによって、ほぼ水平に組み立てられる横架パイプ11に対して、取付部材3で取り付けられた樋2に勾配を形成させることができるものである。なお、上記長さLの異なる複数の取付部材3には、例えば、「上」、「中」、「下」などの表示を付したり、「1」、「2」・・・のように番号表示を付すことによって、取付部材3の順番を正しく横架パイプ11に装着することができる。そして、このように取付部材3が正しい順序で装着されれば、取り付けられる樋2が所定の勾配を形成するようになるものである。また、所定の勾配は、樋2の長手方向に約1m移動するごとに約1cmの勾配であれば十分である。
【0028】
次に、樋構造にかかる発明の実施形態における樋2の細部について説明する。樋2は、上述のとおり、所定の勾配を有して配置され、この勾配に応じて上流側と下流側に分類されることとなるが、その下流側先端21には立て樋4に連続するための構造を備えている。すなわち、図4に示すように、樋2の下流側先端21は、遮蔽板23によって樋2の流路が遮られており、この位置まで流下した雨水は、当該下流側先端付近21において貯留されることとなるが、この下流側先端付近21の底面外側には、下向きに突出する連結部24が設けられるとともに、当該底面を貫通しつつ連結部24をも貫通する貫通孔24が穿設されている。従って、この連結部24に立て樋4を連結することによって、樋3の下流側先端付近21に流下した雨水を立て樋4に送ることができるのである。
【0029】
立て樋4は、図5に示すように、その一端にカプラ41が設けられ、このカプラ41を樋4の連結部24に装着することによって連結可能に構成されている。本実施形態のカプラ41は、樋4の連結部24の外表面に刻設された雄ネジに螺合できる雌ネジを内面に設けた構成であり、立て樋4とは独立して回動自在であって、このカプラ41を回動することで、連結部24との着脱を可能にしているのである。
【0030】
そして、カプラ41を連結部24に装着するときは、図6に示すように、立て樋4の先端開口部42の端面が連結部24の開口端の端面に当接し、上述の貫通孔25が立て樋4と連続する状態で連結するものである。従って、このように連結された立て樋4は、樋2において貯留される雨水を下方に案内することができるのである。この立て樋4は、樋2が設けられる位置から地上までの距離よりも長尺に設けられ、下端開口部から雨水を排出するものである。また、立て樋4の本体部分は、フレキシブルパイプで構成されており、テントを設置する場所や地形によって適宜な形状に湾曲または折曲させることができ、下端開口部の位置および向きを自由に変更することができる。また、場合によっては、テントの骨組みのうちの支柱に巻き付けることも可能となる。なお、本実施形態においては、立て樋4を支柱に巻き付ける形態ではなく、支柱に沿って配置しつつ、支柱と立て樋とを適宜位置で結束または係止している。
【0031】
樋構造にかかる本実施形態は、上記のような構成であるから、組立式テントの骨組みとして設けられている横架パイプ11〜14の全部またはいずれか一つに樋2を着脱可能であり、かつ当該樋2の装着および離脱を容易になし得るものである。そして、樋2を装着するための取付部材3は、横架パイプ11〜14を掴持することによって当該パイプ11〜14に固定されることから、樋2の支持に適するものである。また、取付部材3によって支持される樋2は、所定の勾配を形成することとなるから、下流側先端に向かって雨水を流下させることができ、また、この所定の位置で立て樋を介して貯留する雨水を地上まで流下させることができるものである。
【0032】
実施形態は以上のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様をとることができる。例えば、樋構造にかかる実施形態では、一般的に汎用されている略半円形断面の樋2を図示して説明したが、取付部材3の支持手段6によって支持されるものであればその形状を変更し得る。そして、断面コ字形の樋を使用することも可能である。また、樋2は単一のものである必要はなく、複数を連続して一体的に形成したものであってもよい。そして、複数を連続して樋2を形成する場合、図7に示すように、ソケット8を使用することができる(図7(a)参照)。このソケット8は、一般的に継手として使用されるものであるが、連結および分離を可能かつ容易にするため、連続すべき樋2a,2bの連続端のうち、下流側の樋2bの先端にのみ接着することが好ましい。この場合、上流側の樋2aの先端をソケット8に挿入することで連結が完了することとなる。このように連結させる場合であっても、下流側の樋2bの先端はソケット8に緊密に接着されるから、樋2a,2bの内部を流下する雨水が、下流側の樋2bの連結個所において漏れ出ることはなく、一体的な樋2として機能し得ることとなる。また、上記連結において、上流側の樋2aが容易に離脱しないために、係止部材81が設けられている。この係止部材81は、ソケット8に設けられた鉤状のフック82と、上流側の樋2aの先端付近に設けられた係止部83とで構成されており、係止部83をフック82に引っ掛けることによって、上流側の樋2aはソケット8から抜け落ちることがなくなるものである。さらに、樋2a,2bの分離は、係止部83の係止を解除することによって可能となり、その操作が極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】組立式テントの樋構造にかかる発明の実施形態を示す斜視図である。
【図2】取付部材の斜視図である。
【図3】取付部材の使用状態を示す説明図である。
【図4】樋の下流側先端付近の状態を示す説明図である。
【図5】立て樋との連結構造を示す説明図である。
【図6】樋と立て樋との関係を示す説明図である。
【図7】樋の連結状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 組立式テントの骨組み
2 樋
3 取付部材
4 立て樋
5 掴持手段
6 支持手段
7 テントキャンバス
8 ソケット
11,12 軒側横架パイプ
13,14 妻側横架パイプ
15 柱パイプ
16 棟パイプ
17 屋根パイプ
21 樋の下流側先端
22 樋の上流側先端
23 遮蔽板
31 取付部材の基部
51 当接部
52 当接部先端
53 係止部材
61 支持アーム
63,64 係止部
81 係止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒側横架パイプおよび妻側横架パイプを有する組立式テントの骨組みのうち、少なくとも片方の軒側横架パイプに複数の取付部材によって樋が取り付けられるとともに、該樋の下流側先端付近には立て樋が連結されてなる組立式テントの樋構造において、上記複数の取付部材は、上記軒側横架パイプを掴持する掴持手段と、樋を支持する支持手段とを備え、上記掴持手段による掴持の中心位置から支持手段による支持の中心位置までの距離が、樋の上流側から下流側に向かって順次長くしてなる複数の取付部材であり、上記樋は、その下流側先端付近から下向きに突設された連結部と、この連結部内を貫通する貫通孔とを備えた樋であり、上記立て樋は、その一端が上記連結部に着脱可能な装着部を備えてなる立て樋であることを特徴とする組立式テントの樋構造。
【請求項2】
前記取付部材は、前記掴持手段と前記支持手段との中間に長尺な基部が設けられた取付部材であり、この基部の長さを順次変更して前記軒側横架パイプまたは妻側横架パイプに装着されてなる請求項1記載の組立式テントの樋構造。
【請求項3】
前記掴持手段は、弾性部材により前記軒側横架パイプまたは妻側横架パイプの円形断面の外周の1/2以上に当接可能な帯状の当接部を有し、この当接部先端を前記基部に連結してなる掴持手段である請求項2記載の組立式テントの樋構造。
【請求項4】
前記立て樋は、フレキシブルパイプで構成された本体と、この本体の一端に設けられ、前記樋の連結部に装着されるカプラとを備えた立て樋である請求項1ないし3のいずれかに記載の組立式テントの樋構造。
【請求項5】
基部と、この基部の上端に設けられた掴持手段と、該基部の下端に設けられた支持手段とで構成されたテント用樋の取付部材であって、上記掴持手段は、掴持すべき横架パイプの円形断面の外周の1/2以上に当接可能な当接部と、該当接部先端を係止する係止部とを備えた掴持手段であり、上記支持手段は、支持すべき樋の側面および底面を外側表面に沿って横断する支持アームと、この支持アームの両端付近において樋の上部開口端縁を係止する係止部とを備えた支持手段であることを特徴とするテント用樋の取付部材。
【請求項6】
前記掴持手段の当接部は、帯状部材を略円弧に湾曲してなり、該円弧の中心が、前記基部の軸線を中心に係止部の反対側に位置するように配置してなる当接部である請求項5記載のテント用樋の取付部材。
【請求項7】
前記掴持手段の当接部は、掴持すべき横架パイプの外周に当接する側の表面に樹脂製の滑り止めが設けられている請求項6記載のテント用樋の取付部材。
【請求項8】
前記支持手段の支持アームの少なくとも一方の先端は、該支持アームの先端付近に設けられた揺動部材に支持されてなる係止爪によって構成されており、上記揺動部材の揺動によって上記係止爪の突出長を可変し得るようにしてなる請求項5ないし7のいずれかに記載のテント用樋の取付部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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