説明

組立式トイレ

【課題】使用材料の無駄を極力なくし、簡易な構造で、所定強度を有し、繰り返して使用することを可能とした組立式トイレを提供する。
【解決手段】矩形形状の板状体が、折り曲げ可能な区画線、又は、切取線により、5行×3列の矩形形状に画設されており、組立時において直方体形状となる組立式トイレTであって、第1側面部を形成する第1行部1と、上面部を形成する第2行部2と、第3側面部を形成する第3行部3と、少なくとも第2側面部、第4側面部及び底面部を形成する第4行部4と、上面部の第1補強部、上面部の第2補強部及び第1側面部を形成する第5行部5と、を備えている組立式トイレとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組立式である簡易トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
地震や台風等の非常時には、多数の地域住民が避難所等において集団生活をすることも多く、その場合には、排泄物の処理が避けては通れない問題となる。そのような非常時において、移動式の小型トイレを大量に調達することは費用、運搬等の点からは難しいことも多く、仮に可能であったとしても、所定の広さを有する設置場所が必要となる。そこで、予め準備可能であり、設置場所の制約も少ない組立式トイレ(組み立て式アーチ型簡易トイレ)が提案されている。図14、図15に示されているように、この簡易トイレSは、予め複数の区画線(折り目形成線)が形成されている段ボールであって、当該区画線を境に、所定順序で折り返してアーチ形状に形成することができるようになっている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−192189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、成人男性等が繰り返して使用する簡易トイレを念頭においた場合には、所定の加重に耐えうる構造としなければならないが、従来の簡易トイレSは、側面中間部90の強度が弱くなってしまうという問題点を有していた。
また、従来のトイレSは、組み立て後に、アーチ形状となるように形成されているため、加工の際に複雑となり、また、使用材料のロスが生じてしまうため、コストアップにつながってしまうとういう問題点を有していた。
【0005】
本発明は、上記の各問題点を解決するためになされたものであり、使用材料の無駄を極力なくし、簡易な構造で、所定強度を有し、繰り返して使用することを可能とした組立式トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の組立式トイレは、矩形形状の板状体が、折り曲げ可能な区画線又は切取線により、5行×3列の矩形形状に画設されており、各行を構成する各区分体の縦長がそれぞれ等しく(但し、異なる行における縦長は異なっていてもよい)、かつ、各列を構成する各区分体の横長がそれぞれ等しく、行方向に対する垂線を対称軸として、上記各区分体が左右対称に形成されており、組立時において直方体形状となる組立式トイレであって、第1側面部を形成する第1行部と、上記第1行部に隣接し、上面部を形成する第2行部と、上記第2行部に隣接し、上記第1側面部に対向する第3側面部を形成する第3行部と、上記第3行部に隣接し、少なくとも第2側面部、上記第2側面部に対向する第4側面部及び底面部を形成する第4行部と、上記第4行部に隣接し、上記上面部の第1補強部、上記上面部の第2補強部及び上記第1側面部を形成する第5行部と、を備え、上記上面部に開口部が形成されており、上記第1補強部及び上記第2補強部は、上記組立時において、上記行方向に直行する複数本の区画線により波形形状部が形成され、上記第2側面部又は上記第4側面部にそって、その全域にわたって配置可能であること、を特徴としている。
【0007】
また、本発明の組立式トイレは、矩形形状の板状体が、折り曲げ可能な区画線又は切取線により、5行×3列の矩形形状に画設されており、各行を構成する各区分体の縦長がそれぞれ等しく(但し、異なる行における縦長は異なっていてもよい)、かつ、各列を構成する各区分体の横長がそれぞれ等しく、行方向に対する垂線を対称軸として、上記各区分体の基本形状(区画線の入れ方等は必ずしも左右対称でない場合がある)が左右対称に形成されており、組立時において直方体形状となる組立式トイレであって、第1側面部と、上面部の第3補強部とを形成する第1行部と、上記第1行部に隣接し、上記上面部と、上記上面部の第3補強部とを形成する第2行部と、上記第2行部に隣接し、上記第1側面部に対向する第3側面部を形成する第3行部と、上記第3行部に隣接し、少なくとも第2側面部、上記第2側面部に対向する第4側面部及び底面部を形成する第4行部と、上記第4行部に隣接し、上記上面部の第1補強部及び上記上面部の第2補強部と、上記第1側面部を形成する第5行部と、を備え、前記上面部に開口部が形成されており、上記第1補強部及び上記第2補強部は、上記組立時において、上記行方向に直行する複数本の区画線により波形形状部が形成され、上記第1補強部は上記第2側面部にそって、上記第2補強部は上記第4側面部にそって、それぞれ、上記第2側面部及び上記第4側面部の辺長の少なくとも1/2以上の部分に配置可能であるとともにとともに、上記第3補強部は、上記行方向の一本又は複数本の区画線により、筒状部又は側面視で開口部が下向きであるコ字状部が形成されるように構成されており、上記第3側面部にそって配置されているものとすることもできる。
【0008】
ここで、矩形形状とは平面視で長方形形状(正方形も含む)をいう。但し、本発明の権利範囲に含まれることを意図的に避ける目的又はその他の目的で、一部に切り欠き部や隙間部が設けられている場合であっても、略矩形形状を有しており、同一の効果を有する場合には、本発明の保護範囲に含まれるものである。
【0009】
また、直方体には立方体も含むものとする。
そして、板状体は、折り曲げ可能な材質であれば、段ボールや強化紙等の紙類、プラスティック等、材質は問わないものである。
【0010】
また、第1補強部及び第2補強部の波形形状部は、第2側面部又は上記第4側面部の辺長の少なくとも1/2以上の部分にそって配置されているものであれば、いかなる形状、形態であってもよい。
また、第3補強部は、側面視で筒状部が形成されるように構成されている場合には、壁体が一部2重に形成されている部分を含むなど、筒の形状(管状体でもよい)などその形態は問わない。
また、側面視で開口部が下向きであるコ字状部は、開口部を下向きにして当該コ字状部に剛性を持たせようとするものであるため、その一部にコ字状部が設けられていればよいものである。
【0011】
また、第4行部は、少なくとも第2側面部、第4側面部及び底面部を構成可能であればよいが、その他の面(例えば、上面部)を構成可能であってもよい。
さらに、隣接する各行部分の少なくとも一方(例えば、第1行部は、第2行部と第5行部と接合されている可能性があるが、少なくともそのどちらか一方、両方でもよい)と接合されていれば、どの位置で行間が切断されていてもよい。
【0012】
また、本発明のトイレの内部空間を覆うための袋体を開口部から挿入可能となるように構成すれば、排泄物の処理を容易に行うことができるため好適である。その際において、袋体の内部に、粒状や粉状の排泄物処理材(吸水材、消臭剤、除菌剤等を含む)を充填可能とすればさらに好適である。
【0013】
本発明によれば、上記右第5区分体及び上記左第5区分体は、波形形状部を備えているため、薄板状の材料であっても所定の強度を維持することができる。また、当該波形形状部は、第2側面部又は第4側面部にそって、上記第2側面部及び上記第4側面部の辺長の少なくとも1/2以上の部分にそって配置されているため、荷重が載置される上面部の第2側面部側又は第4側面部側の部分を下方から支持することにより効果的に補強することができる。
また、本発明において、筒状又は側面視で開口部が下向きのコ字状である第3補強部が第3側面部にそって配置されている場合には、荷重が載置される上面部において最も強度が弱い、第3側面部側の部分を下側から支持することができるため、効果的に補強することが可能となる。
【0014】
さらに、本発明によれば、矩形形状の板状体から形成されているため、原材料の無駄を効果的に防止することができ、安価に製造することができる。
【0015】
さらに、本発明の組立式トイレは、矩形形状の板状体が、折り曲げ可能な区画線又は切取線により、5行×3列の矩形形状に画設されており、組立時において直方体形状となる組立式トイレであって、第1側面部と、上面部の第3補強部とを形成する第1行部と、上記第1行部に隣接し、上記上面部と、上記上面部の第3補強部とを形成する第2行部と、上記第2行部に隣接し、上記第1側面部に対向する第3側面部を形成する第3行部と、上記第3行部に隣接し、少なくとも第2側面部、上記第2側面部に対向する第4側面部及び底面部を形成する第4行部と、上記第4行部に隣接し、上記上面部の第1補強部及び上記上面部の第2補強部と、上記第1側面部を形成する第5行部と、を備え、上記上面部に開口部が形成されており、上記第1補強部は、上記組立時において、上記行方向に直行する複数本の区画線により区画され、上記行方向の一本又は複数本の区画線により、上記第1側面部に近接した位置に配置可能である第1側面部近接部と、上記第2側面部にそって、上記第2側面部の辺長の少なくとも1/2以上の部分にそって配置可能である第2側面部方向部とを備え、上記第2補強部は、上記組立時において、上記行方向に直行する複数本の区画線により区画され、上記行方向の一本又は複数本の区画線により、上記第1側面部に近接した位置に配置可能である第1側面部近接部と、上記第4側面部にそって、上記第4側面部の辺長の少なくとも1/2以上の部分にそって配置可能である第4側面部方向部とを備えるとともに、上記第3補強部は、上記行方向の一本又は複数本の区画線により、筒状部又は側面視で開口部が下向きであるコ字状部が形成されるように構成されており、上記第3側面部にそって配置されているものとすることもできる。
【0016】
ここで、第1側面部近接部は、第1側面部に近接した位置において、当該第1側面部と並設されていれば(略平行となる位置に設けられていることがより好ましい)、その長さ等に制限はなく、複数回にわたって折り返されている等されていてもよい。
また、第2側面部方向部又は第4側面部方向部は、第2側面部又は第4側面部と並設されていれば(略平行となる位置に設けられていることがより好ましい)、直線状、波形形状等いずれの形状であってもよい。
【0017】
本発明によれば、上記右第5区分体及び上記左第5区分体は、第1側面部近接部と、第第2側面部方向部及び第4側面部方向部を備えている。
そして、第1側面部近接部は、第1側面部に近接した位置に並設されているため、荷重が載置される上面部の第1側面部側の部分を下方から支持することにより効果的に補強することができる。
また、第2側面部方向部及び第4側面部方向部を備えているため、荷重が載置される上面部の第2側面部及び第4側面部側の部分を下方から支持することにより効果的に補強することができる。
【0018】
また、本発明の組立式トイレにおいて、上記第2行部は、中央第2区分体と、上記中央第2区分体を挟んで配置されている右第2区分体と左第2区分体から形成され、少なくとも、上記右第2区分体及び上記左第2区分体の一方と、上記中央第2区分体とが所定の上記区画線に沿って折り曲げられて重ね合わせられることにより上記上面部が形成されており、さらに、上記右第2区分体及び上記左第2区分体の一方と、上記中央第2区分体とには開口部が形成され、上記各開口部が連通している構成とするものであってもよい。
【0019】
本発明によれば、右第2区分体及び左第2区分体の一方と、中央第2区分体とには開口部が形成されており、当該各開口部が連通しているため、開口部を容易に設けることができる。
【0020】
また、本発明の組立式トイレにおいて、上記第2行部における、少なくとも2つの上記各開口部のうち、さらに少なくとも一つには、折り返し可能である上記第1補強部及び上記第2補強部の移動防止片が形成されている構成とするものであってもよい。
【0021】
ここで、第2行部における、少なくとも2つの各開口部のうちいずれかの一つ、複数または、総てに移動防止片が設けられていればよく、その形状も問わないものである。
【0022】
本発明によれば、各開口部における第1補強部及び第2補強部の移動防止片を底面部方向に折り込むことにより、容易に第1補強部及び第2補強部の位置決めをすることができるため、簡易な手段により、強度の確保が可能となる。
【0023】
また、本発明の組立式トイレにおいて、第2行部における、少なくとも2つの上記各開口部のうち、さらに少なくとも一つには、折り返し可能である袋体係止片が形成されている構成とするものであってもよい。
【0024】
ここで、第2行部における、少なくとも2つの各開口部のうちいずれかの一つ、複数または、総てに袋体係止片が設けられていればよく、その形状も問わないものである。
【0025】
本発明によれば、各開口部のうちの少なくとも一つにおいて、袋体係止片が形成されているため、当該袋体係止片を折り返して、容易に排泄物を入れる袋体の開口縁部を係止することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、使用材料の無駄を極力なくし、簡易な構造で、所定強度を有し、繰り返し使用することを可能とした組立式トイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の組立式トイレ(第1実施形態)の展開図である。
【図2】本発明の組立式トイレ(第1実施形態)の組立方法の第1段階を示す説明図(平面図)である。
【図3】本発明の組立式トイレ(第1実施形態)の組立方法の第2段階を示す説明図(平面図)である。
【図4】本発明の組立式トイレ(第1実施形態)の組立方法の第3段階を示す説明図(斜視図)である。
【図5】本発明の組立式トイレ(第1実施形態)の組立方法の第4段階を示す説明図(平面図)である。
【図6】本発明の組立式トイレ(第1実施形態)の組立方法の第5段階を示す説明図(斜視図)である。
【図7】本発明の組立式トイレ(第1実施形態)の組立終了時を示す斜視図である。
【図8】本発明の組立式トイレ(第2実施形態)の展開図である。
【図9】本発明の組立式トイレ(第2実施形態)の組立方法の第1段階を示す説明図(平面図)である。
【図10】本発明の組立式トイレ(第2実施形態)の組立方法の第2段階を示す説明図(斜視図)である。
【図11】本発明の組立式トイレ(第2実施形態)の組立方法の第3段階を示す説明図(斜視図)である。
【図12】本発明の組立式トイレ(第2実施形態)の組立方法の第4段階を示す説明図(斜視図)である。
【図13】本発明の組立式トイレ(第3実施形態)の展開図である。
【図14】従来の組立式トイレの展開図である。
【図15】従来の組立式トイレの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の組立式トイレT(以下、「本トイレ」という。)を実施するための一形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一の部材、要素等には同一の符合を付し、重複した説明を省略する。
【0029】
<第1実施形態>
1.組立前の本トイレTの構成
組立前の本トイレTの第1実施形態は、段ボールを材料としており、保管場所等における収納時には、長方形(矩形)形状の板状体であり(図1)、完成時には直方体形状となるように形成されている。
なお、以下、説明の便宜上、本トイレTの六面を、図7の紙面左前側の細長面を前面部(第1側面部)と称し、以下、反時計回りに、右側面部(第2側面部)、背面部(第3側面部)及び左側面部(第4側面部)、上面を上面部、下面を底面部と称する。
また、下記第1行部1乃至第5行部5と平行となる向きを行方向と称し、第1行部1乃至第5行部5と直交する向きを列方向と称する。
【0030】
本トイレTは、組立前において、長辺を横幅方向、短辺を縦幅方向としたときに、5行×3列である合計15個の長方形部(長方形形状)に分割(画設)されている。
なお、以下、説明の便宜上、各行を、図1における上側から順に、第1行部1、第2行部2、第3行部3、第4行部4及び第5行部5と称する(本トイレTにおいて、第1行部1と第2行部2、第2行部2と第3行部3、第3行部3と第4行部4、第4行部4と第5行部5はそれぞれ隣接することになる)。
【0031】
(1)第1行部1
第1行部1は、側面のうちの前面部(第1側面部)を形成する部分である。
この第1行部1は、中央の第1区分体1C(以下、「中央第1区分体」という。)と、当該中央第1区分体1Cを挟んで右側に形成されている右第1区分体1Rと、左側に形成されている左第1区分体1Lから形成されている(以下、各区分体を同様に呼称する)。中央第1区分体1C、右第1区分体1R及び左第1区分体1Lは同一の縦幅であり、かつ、右第1区分体1Rと左第1区分体1Lは、中央第1区分体1Cの列方向の中間線を対称線として左右対称に形成されている。
【0032】
上記中央第1区分体1Cと中央第2区分体2Cの間は谷折りの区画線(折曲線)、右第1区分体1Rと右第2区分体2Rの間は山折りの区画線、左第1区分体1Lと左第2区分体2Lの間は山折りの区画線により、それぞれ折り曲げ可能に区画されている(なお、図1,図2において、破線は山折りの区画線、一点鎖線は谷折りの区画線、実線は切断線を表す)。
【0033】
さらに、中央第1区分体1Cと右第1区分体1Rの間及び中央第1区分体1Cと左第1区分体1Lの間はそれぞれ予め切り離されているが、三つの区分体が重ね合わせられて前面部となるように形成されている。
なお、組み立てを行う上では、上記切り離されている箇所が予め切断されていることが好ましいが、使用者等が組み立てを行う際に、上記切断すべき箇所を切断するものであってもよい(この場合においては、予めミシン目等を形成しておくことも可能である)(以下の切り離されている箇所も同様である)。
【0034】
(2)第2行部2
第2行部2は、上面部を形成する部分である。
この第2行部2は、中央第2区分体2Cと、当該中央第2区分体2Cを挟んで右側に形成されている右第2区分体2Rと、左側に形成されている左第2区分体2Lから形成されている。中央第2区分体2C、右第2区分体2R及び左第2区分体2Lは同一の縦幅であり、かつ、右第2区分体2Rと左第2区分体2Lは、中央第2区分体2Cの列方向の中間線を対称線として左右対称に形成されている。
【0035】
中央第2区分体2Cと中央第3区分体3Cの間は谷折りの区画線(折曲線)、右第2区分体2Rと右第3区分体3Rの間は山折りの区画線、左第2区分体2Lと左第3区分体3Lの間は山折りの区画線により折り曲げ可能に区画されている。また、中央第2区分体2Cと右第2区分体2Rの間及び中央第2区分体2Cと左第2区分体2Lの間は、予め切り離されているが、三重に重ね合わせられることにより上面部となるように形成されている。
【0036】
中央第2区分体2C、右第2区分体2R及び左第2区分体2Lには、各々が重ねられたときに完全に同一位置及び同一形状となるように略楕円形である開口部2Ca,2Ra,2Laが開閉自在となるように形成されている。
すなわち、中央第2区分体2Cには、左端部以外の略楕円形の周縁部分が切り離され、略楕円形状である蓋体2Cbを上下に移動させることにより、開口部2Caが開閉できるようになっている。
【0037】
また、右第2区分体2Rには、右側端部及び左側端部以外の楕円形の周縁部分と当該楕円形を二等分する中間線が切り離されることにより、対向する向きに、略半楕円形状である袋体係止片2Rb,2Rcが設けられており、当該袋体係止片2Rb,2Rcを上下に移動させ、観音開きとなることにより、開口部2Raが開閉できるようになっている。
そして、左第2区分体2Lには、右側端部及び左側端部以外の楕円形の周縁部分と当該楕円形を二等分する中間線が切り離されることにより、対向する向きに、略半楕円形状である移動防止片2Lb,2Lcが設けられており、当該移動防止片2Lb,2Lcを上下に移動させ、観音開きとなることにより、開口部2Laが開閉できるようになっている。
【0038】
なお、この右第2区分体2R及び左第2区分体2Lは、左右対称に形成されているものであり、双方が同様の役割を兼ねることができる。したがって、右第2区分体2Rの袋体係止片2Rb,2Rcに移動防止片の機能を担わせ、左第2区分体2Lの移動防止片2Lb,2Lcに袋体係止片の機能を担わせることとすることもできる。
また、中央第2区分体2C、右第2区分体2R及び左第2区分体2Lの開口部2Ca,2Ra,2Laは、単に開口していてもよい。その場合には、臭気を防ぐために、上面の開口部2Caを閉塞するための蓋体を別に設けることもできる。
【0039】
(3)第3行部3
第3行部3は背面部を形成する部分である。
この第3行部3は、中央第3区分体3Cと、当該中央第3区分体3Cを挟んで右側に形成されている右第3区分体3Rと、左側に形成されている左第3区分体3Lから形成されている。中央第3区分体3C、右第3区分体3R及び左第3区分体3Lは同一の縦幅であり、かつ、右第3区分体3Rと左第3区分体3Lは、中央第3区分体3Cの列方向の中間線を対称線として左右対称に形成されている。
【0040】
中央第3区分体3Cと右第3区分体3Rとの間は谷折りの区画線、中央第3区分体3Cと左第3区分体3Lとの間は谷折りの区画線、中央第3区分体3Cと中央第4区分体4Cの間は谷折りの区画線により、それぞれ折り曲げ可能に区画されている。
また、右第3区分体3Rと右第4区分体4Rの間及び左第3区分体3Lと左第4区分体4Lの間は、予め切り離されている。
【0041】
(4)第4行部4
第4行部4は、底面部、右側面部、左側面部及び上面部を形成する部分である。
この第4行部4は、底面部を形成する中央第4区分体4Cと、当該中央第4区分体4Cを挟んで右側に形成されている右第4区分体4Rと、左側に形成されている左第4区分体4Lから構成されている。右第4区分体4Rと左第4区分体4Lは、さらに、中央第4区分体4Cの側から、右側面構成部41R及び右上面構成部42Rと、左側面構成部41L及び左上面構成部42Lから構成されている。そして、中央第4区分体4C、右第4区分体4R及び左第4区分体4Lは同一の縦幅であり、かつ、右第4区分体4R(右側面構成部41R及び右上面構成部42R)と、左第4区分体4L(左側面構成部41L及び左上面構成部42L)は、中央第4区分体4Cの列方向の中間線を対称線として左右対称に形成されている。
【0042】
中央第4区分体4Cと右第4区分体4Rとの間は谷折りの区画線、中央第4区分体4Cと左第4区分体4Lとの間は谷折りの区画線、中央第4区分体4Cと中央第5分体5Cの間は谷折りの区画線、右側面構成部41R及び右上面構成部42Rの間は谷折りの区画線、第4行部4の左側面構成部41L及び左上面構成部42Lの間は谷折りの区画線により、それぞれ折り曲げ可能に区画されている。
また、右第4区分体4Rと右第5区分体5Rの間及び左第4区分体4Lと左第5区分体5Lの間は、予め切り離されている。
【0043】
右上面構成部42Rと左上面構成部42Lには、右自由端の縁部及び左自由端の縁部において、当該部分を一端としている略半楕円形となる開口部42Ra,42Laが形成されている。この右上面構成部42Rと左上面構成部42Lにより、上面部を形成した場合に、各開口部42Ra,42Laが一体となって、中央第2区分体2C、右第2区分体2R及び左第2区分体2Lに形成される開口部2Ca,2Ra,2Laと同一形状の略楕円形状であり、同一の位置に重なって連通するように形成されている。
【0044】
(5)第5行部5
第5行部5は、第1補強部、第2補強部と、前面部を形成する部分である。
この第5行部5は、前面部を構成する中央第5区分体5Cと、当該中央第5区分体5Cを挟んで右側に形成されており、第1補強部に相当する右第5区分体5Rと、左側に形成されており、第2補強部に相当する左第5区分体5Lから構成されている。中央第5区分体5C、右第5区分体5R及び左第5区分体5Lは同一の縦幅であり、かつ、当該右第5区分体5Rと左第5区分体5Lは、中央第5区分体5Cの列方向の中間線を対称線として左右対称に形成されている。左右対称に構成されている。
【0045】
この右第5区分体5Rと左第5区分体5Lは、各自由端の縁部に形成された折込端部57R,57Lと、当該折込端部57R,57Lと、中央第5区分体5Cとの間に設けられている6つの各連設部56R,55R,54R,53R,52R,51R,56L,55L,54L,53L,52L,51Lから形成されている。各連設部56R,55R,54R,53R,52R,51R,56L,55L,54L,53L,52L,51Lは、行方向に直行する列方向の6本の区画線によって画設されており、組立時において、折込端部57R,57Lとの境の区画線を谷折りとし、順に、山折り、山折り、谷折り、山折り、山折りの各区画線により区画され、折り曲げることにより、平面視で緩やかな山形である波形形状が形成されるようになっている(図4参照)。
【0046】
そして、この右第5区分体5Rと左第5区分体5Lは、折込端部57R,57Lが背面部の側面端部に接するように構成されており、右側面部及び左側面部(隣接する第4区分体4の縦幅方向)の全域にわたって、上面部と底面部の間に配置されるように構成されている。
なお、この折込端部57R,57Lに、接着剤や両面テープ等を塗布、貼付しておくことにより、強固に接着させておくこともできる。
【0047】
上記のとおり、各行を構成する各区分体の縦長がそれぞれ等しく、かつ、各列を構成する各区分体の横長がそれぞれ等しく形成されているとともに、行方向に対する垂線を対称軸として、上記各区分体が、中央第1区分体1C乃至中央第5区分体5Cの列方向の中間線を対称線として左右対称に形成されている。
そして、各区分体において、同一の面に対応する部分は、同一の寸法になるように形成されている。
【0048】
2.組立方法
本トイレTの組立方法について説明する。
【0049】
(1)第1行部1乃至第3行部3の重ね合わせ(図2)
まず、右第1区分体1R乃至右第3区分体3Rを列方向の区画線にそって折り曲げ、中央第1区分体1C乃至中央第3区分体3Cの上に重ねるとともに、左第1区分体1L乃至左第3区分体3Lを列方向の区画線にそって折り曲げて、右第1区分体1R乃至右第3区分体3Rの上に重ねる(以下、この部分を「重合部」ということがある。)。
なお、この場合において、右第1区分体1Rと左第1区分体1L(右第2区分体2R及び左第2区分体2Lと右第3区分体3R及び左第3区分体3Lも同様)は、左右対称に形成されているため、いずれが上方に重ねられるものであってもよい。
【0050】
(2)第4行部4及び第5行部5の組立(図2〜図4)
次に、第5行部5の右第5区分体5Rと左第5区分体5Lを区画線にそって折り曲げて、波形形状となるように、各連設部51R,52R,53R,54R,55R,56R,51L,52L,53L,54L,55L,56L及び折込端部57R,57Lを形成する。そして、第5行部5を行方向の区画線にそって90度立ち上げるとともに、右第5区分体5Rと左第5区分体5Lを中央第4区分体4Cの上方に位置するように配置する。
そして、第4行部4の右側面構成部41R及び右上面構成部42Rと、左側面構成部41L及び左上面構成部42Lを区画線にそって90度立ち上げ、右上面構成部42Rと左上面構成部42Lを90度折り曲げることにより、右側面部、左側面部及び上面部を形成する。
【0051】
(3)右第5区分体5Rと左第5区分体5Lの固定(図5)
次に、重合部を90度、上方に立ち上げることにより背面部を形成する。そして、左第1区分体1L及び左第2区分体2Lを90度、折り曲げ、当該左第2区分体2Lを右上面構成部42Rと左上面構成部42Lの上部に配置し、左第1区分体1Lを中央第5行区分体5Cの内側に配置することにより、前面部及び上面部を形成する。
【0052】
そして、左第2区分体2Lの左右の移動防止片2Lb,2Lcを下方に垂直に折り曲げ、右第5区分体5Rにおける連設部52R及び連設部53Rの境となる区画線と、連設部54R及び連設部55Rの境となる区画線、並びに、左第5区分体5Lにおける連設部52L及び連設部53Lの境となる区画線と、連設部54L及び連設部55Lの境となる区画線との部分において、接触させることにより固定する。
【0053】
(4)排泄物収容袋Fの装着(図6)
次に、右第2区分体2Rを左第2区分体2Lの上部に配置し、右第1区分体1Rを、中央第5区分体5Cの内側であり、かつ、左第1区分体1Lの外側に配置することにより、前面部及び上面部を形成する。
右第2区分体2Rの袋体係止2Rb,2Rcを上方に折り曲げ、ポリエチレン製等の不透水性の排泄物収容袋Fの開口縁部の一部に掛け、当該袋体係止2Rb,2Rcの上面が右第2区分体2Rの上面に接するように180度折り曲げることにより、排泄物収容袋Fを装着する。
この排泄物収容袋Fの内部には、粒状、粉状等に形成された公知の排尿処理材(吸水処理材、芳香剤等)(図示せず)を充填する。
【0054】
(5)組立完了(図7)
最後に、中央第2区分体2Cを右第2区分体2Rの上部に配置し、袋体係止片2Rb,2Rcを上側から押圧する。そして、中央第1区分体1Cを、中央第5区分体5Cの内側であり、かつ、右第1区分体1Rの外側に配置することにより前面部及び上面部を形成し、本トイレTの組立が完了する。
【0055】
3.製造方法
本トイレTは、公知の方法により製造可能である。
すなわち、本トイレTは、段ボールシートの上記所定の位置に山折りの区画線、谷折りの区画線が形成されるようにプレス加工するとともに、所定の位置を切断することにより製造することができる。
【0056】
4.使用方法
本トイレTの使用方法を説明する。
まず、上記組立方法にしたがって、本トイレTを組み立てる。
そして、蓋部となっている上面部における蓋体2Cbを開いて開口部2Caを形成し、上面部に跨って、当該開口部2Caから内部に排泄を行う。排泄後は、蓋部2Caを閉じることにより、臭気を外部に放出することなく、保管することができる。
【0057】
一方、排泄物が所定量を超えた場合には、上面部の一面を開放し、排泄物収容袋Fを取り出して、当該排泄物収容袋Fのみを廃棄することができる。
この場合において、再度、本トイレTを使用する場合には、排泄物収容袋Fを装着し直すことで対応が可能である。
また、本トイレTを使用しない場合には、上記組立方法と逆の手順で、板状に戻すことができる。
【0058】
5.作用効果
本トイレTによれば、第5行部5において、第1補強部である右第5区分体5R及び第2補強部である左第5区分体5Lが形成されており、当該第1補強部及び第2補強部は、組立時において、波形となるように形成されているため、薄板状の材料であっても所定の強度を維持することができる。また、第1補強部及び第2補強部は、隣接する右側面部及び左側面部にそって、縦幅方向の全域に配置されているため、荷重が載置される上面部の右側面部側の部分と左側面部側の部分を下側から支持することにより効果的に補強することができる。
【0059】
また、本トイレTによれば、矩形形状の板状体から形成されており、切除する部分がないため、原材料の無駄を効果的に防止することができ、安価に製造することができる。
【0060】
また、本トイレTによれば、中央第2区分体2C、右第2区分体2R及び左第2区分体2Lには、各々が重ねられたときに完全に同一位置及び同一形状となるように略楕円形である開口部2Ca,2Ra,2Laが開閉自在となるように形成されており、当該各開口部2Ca,2Ra,2Laが連通しているため、排泄を行うための開口部2Caを容易に設けることができる。
【0061】
また、本トイレTによれば、移動防止片2Lb,2Lcを開口部2Laの底面部方向に折り込むことにより、容易に第1補強部及び第2補強部の位置決めをすることができるため、簡易な手段により、強度の確保が可能となる。
【0062】
また、本トイレTによれば、袋体係止片2Rb,2Rcが設けられているため、当該袋体係止片2Rb,2Rcを折り返して、容易に排泄物収容袋Fの開口縁部を係止し、簡単に装着することができる。
さらに、当該排泄物収容袋Fのみを容易に交換することができるため、汚物処理が簡単にできるため、繰り返して使用することができる。
また、排泄物収容袋Fの内部に各種の排尿処理材を充填しておくことにより、排尿を吸水することや臭気を防止することができ、衛生上も好適である。
【0063】
また、本トイレTは、上面部を第2行部2の3つの区分体2C,2R,2Lにより形成し、袋体防止片2Rb,2Rcを上から2枚目の部位に設けることにより、排泄物収容袋Fの係止部を隠すことができるため、美観に優れたものとすることができる。
【0064】
<第2実施形態>
1.組立前の本トイレT’の構成
組立前の本トイレT’(第2実施形態)は、上記第1実施形態の本トイレTと比較して、第2行部2’の左第2区分体2L’及び、第5行部5’における第1補強部及び第2補強部のみが異なっている(図8)。以下、主として、異なっている部分を中心に説明する。
【0065】
(1)第1行部1
第1行部1は、中央第1区分体1Cと、当該中央第1区分体1Cを挟んで右側に形成されている右第1区分体1Rと、左側に形成されている左第1区分体1Lとから形成されている。
但し、左第1区分体1Lは、後記するように第3補強部の一部となるため、中央第1区分体1C及び右第1区分体1Rのみが、区画線(折り目形成線)の部分で折り曲げられ、二つの区分体が重ね合わせられて前面部となる。
【0066】
(2)第2行部2’
第2行部2’は、中央第2区分体2Cと、当該中央第2区分体2Cを挟んで、右側に形成されている右第2区分体2Rと、左側に形成されている左第2区分体2L’から形成されている。中央第2区分体2C、右第2区分体2R及び左第2区分体2L’は同一の縦幅であり、かつ、右第2区分体2Rと左第2区分体2L’の基本構造(但し、区画線の入れ方は異なる)は、中央第2区分体2Cの列方向の中間線を対称線として左右対称に形成されている。
【0067】
左第2区分体2L’は、左第1区分体1Lから左第3区分体3Lの方向に向かって順に、第1壁体部21L、第2壁体部22L、第3壁体部23Lから構成されており、左第1区分体1Lと第1壁体部21Lの間、各壁体部間及び第3壁体部23Lと左第3区分体3Lの間は、行方向に設けられている山折りの各区画線により折り曲げ可能に区画されており、この部分が第3補強部となるように形成されている。
但し、左第2区分体2L’には、開口部は形成されていない。
【0068】
また、中央第2区分体2C及び右第2区分体2Rは、区画線に沿って折り曲げられて、二重に重ね合わせられることにより、上面部となるように形成されている。
【0069】
なお、この右第2区分体2R及び左第2区分体2L’の基本構造は、左右対称に形成されているものであり、双方が同様の役割を担わせることができる。したがって、左第2区分体2L’の構成と右第2区分体2Rの構成を入れ替えて形成することも可能である。
【0070】
(3)第3行部3
第3行部3は、中央第3区分体3Cと、当該中央第3区分体3Cを挟んで右側に形成されている右第3区分体3Rと、左側に形成されている左第3区分体3Lから形成されている。
但し、左第3区分体3Lは、第3補強部の一部となるため、中央第3区分体3C及び右第3区分体3Rが区画線の部分で折り曲げられ、二つの区分体が重ね合わせられて前面部となる。
【0071】
上記により、左第1区分体1L、左第2区分体2L’ (第1壁体部21L、第2壁体部22L、第3壁体部23L)及び左第3区分体3Lを行方向に形成されている4本の各区画線により折り曲げることにより、筒状体を形成することができるようになっている。そして、この筒状体が、上面部と底面部の間であって、背面部に接する位置に配置される第3補強部となるように形成されている。
なお、各部の寸法は、第3補強部が直方体形状の筒状体(但し、側面部はない)となるように適切に形成される必要がある。
【0072】
(4)第5行部5’
第5行部5’は、第1補強部、第2補強部と、前面部を形成する部分である。
この第5行部5’は、前面部を構成する中央第5区分体5Cと、当該中央第5区分体5Cを挟んで右側に形成されており、第1補強部に相当する右第5区分体5R’と、左側に形成されており、第2補強部に相当する左第5区分体5L’から構成されている。中央第5区分体5C、右第5区分体5R’及び左第5区分体5L’は同一の縦幅であり、かつ、当該右第5区分体5R’と左第5区分体5L’
は、中央第5区分体5Cの列方向の中間線を対称線として左右対称に形成されている。
【0073】
この右第5区分体5R’と左第5区分体5L’は、各自由端の縁部に形成された折込端部55R’,55L’と、当該折込端部55R’,55L’と、中央第5区分体5Cとの間に設けられている4つの各連設部54R’,53R’,52R’,51R’,54L’,53L’,52L’,51L’から形成されている。各連設部54R’,53R’,52R’,51R’,54L’,53L’,52L’,51L’は、列方向の4本の区画線によって画設されており、組立時において、折込端部55R’,55L’との境の区画線を谷折りとし、順に、山折り、山折り、谷折りの各区画線により区画され、折り曲げることにより、平面視で凸状の波形形状が形成されるようになっている(図8)。
【0074】
そして、この右第5区分体5R’と左第5区分体5L’は、折込端部55R’,55L’が第3補強部の列方向の側面に接するように構成されており、中央第4区分体4Cの縦幅方向の領域にわたって、上面部と底面部の間に配置されるように構成されている。
なお、この折込端部55R’,55L’上記第3補強部の列方向の側面に形成される空間部に挿入することにより、接合させておくこともできる。
【0075】
なお、本トイレT’の変形例として、左第2区分体2L’において、左第1区分体1Lと第1壁体部21Lとの間の区画線に折目を形成せず、第1壁体部21Lと第2壁体部22Lとの間の区画線を谷折りにすることにより、第3補強部が側面視において、開口部が下向きのコ字形状(全体が柄杓形状であり、開口部を下向きにした形状)が形成されるようにしてもよい。この場合には、第3補強部と底面部により、筒状体が形成されるため、上記実施形態の本トイレT’と同様の効果を奏することになる。
【0076】
2.組立方法
本トイレT’の組立方法について説明する。
(1)第1行部1乃至第3行部3の重ね合わせ(図8)
まず、右第1区分体1R乃至右第3区分体3Rを列方向の切込線と区画線にそって折り曲げ、中央第1区分体1C乃至中央第3区分体3Cの上に重ねる。
【0077】
(2)第3補強部の組立(図9,図10)
次に、左第1区分体1L乃至左第3区分体3Lを行方向の切込線と区画線にそって折り曲げ、筒状体である第3補強部を組み立てる。
【0078】
(3)第4行部4及び第5行部5の組立(図11)
次に、第5行部5’の右第5区分体5R’と左第5区分体5L’を列方向の区画線にそって折り曲げて、波形形状となるように、各連設部51R’,52R’,53R’,54R’,51L’,52L’,53L’,54L’及び折込端部55R’,55L’を形成する。そして、第5行部5’を行方向の区画線にそって90度立ち上げるとともに、右第5区分体5R’と左第5区分体5L’を中央第4区分体4Cの上方に位置するように配置する。
【0079】
そして、第4行部4の右側面構成部41R及び右上面構成部42Rと、左側面構成部41L及び左上面構成部42Lを区画線にそって90度立ち上げ、右上面構成部42Rと左上面構成部42Lを90度折り曲げることにより、右側面部、左側面部及び上面部を形成する。
【0080】
(4)第3補強部と右第5区分体5R’の固定(図11)
次に、第3補強部を90度、上方に立ち上げて、中央第4区分体4Cの長辺方向(行方向)の側面に沿って配置する。そして、中央第1区分体1C乃至中央第3区分体3Cと、右第1区分体1R乃至右第3区分体3Rの重ね合わせ部を90度上方に立ち上げ、第3補強部の背面側の壁面を密着させることにより背面部を形成する。
【0081】
(5)排泄物収容袋Fの装着(図12)
次に、右第1区分体1Rを中央第5区分体5Cの内側に配置することにより、前面部及び上面部を形成する。そして、右第2区分体2Rの袋体係止片2Rb,2Rcを上方に折り曲げ、ポリエチレン製等の不透水性の排泄物収容袋Fの開口縁部の一部に掛け、当該袋体係止2Rb,2Rcの上面が右第2区分体2Rの上面に接するように180度折り曲げることにより、排泄物収容袋Fを装着する。
【0082】
(6)組立完了
最後に、中央第2区分体2Cを右第2区分体2Rの上部に配置し、袋体係止片2Rb,2Rcを上側から押圧する。そして、中央第1区分体1Cを、中央第5区分体5Cの内側であり、かつ、右第1区分体1Rの外側に配置することにより前面部及び上面部を形成し、本トイレT’の組立が完了する。
【0083】
3.作用効果
第2実施形態の本トイレT’によれば、第1実施形態のトイレTとほぼ同様の効果を奏するとともに、第3補強部が背面部に密着し、中央第4区分体4Cの横幅方向の全域に配置されているため、荷重が載置される上面部における右側面部側及び左側面部側の部分を下側から支持することが可能となり、効果的に補強することができる。また、第3補強部は閉鎖断面である筒状に形成されており剛性が高いため、上面部の背面部側の部分において上方から作用する荷重を効果的に支持することができる。
【0084】
<第3実施形態>
1.組立前の本トイレT”の構成
組立前の本トイレT”(第3実施形態)は、上記第2実施形態の本トイレT’と比較して、第1行部1”の左第1区分体1L”及び、第5行部5”における第1補強部及び第2補強部のみが異なっている(図13)。以下、主として、異なっている部分を中心に説明する。
【0085】
(1)第1行部1”
第1行部1”は、中央第1区分体1Cと、当該中央第1区分体1Cを挟んで右側に形成されている右第1区分体1Rと、左側に形成されている左第1区分体1L”とから形成されている
左第1区分体1L”の所定位置には、後記する第5行部の凸状部54Ra”,54La”と嵌合する2カ所の貫通孔1La”,1Lb”が形成されている。
【0086】
(2)第5行部5”
第5行部5”は、第1補強部、第2補強部と、前面部を形成する部分である。
この第5行部”は、前面部を構成する中央第5区分体5Cと、当該中央第5区分体5Cを挟んで右側に形成されており、第1補強部に相当する右第5区分体5R”と、左側に形成されており、第2補強部に相当する左第5区分体5L”から構成されている。中央第5区分体5C、右第5区分体5R”及び左第5区分体5L”は同一の縦幅であり、かつ、当該右第5区分体5R”と左第5区分体5L”は、中央第5区分体5Cの列方向の中間線を対称線として左右対称に形成されている。
【0087】
この右第5区分体5R’と左第5区分体5L’は、各自由端の縁部に形成された凸状部54Ra”,54La”を備えた右側面部方向部(第2側面部方向部)54R”及び左側面部方向部(第4側面部方向部)54L”と、当該右側面部方向部54R”及び左側面部方向部54L”と接続しており、中央第5区分体5Cとの間に設けられている2つの連接部(53R”,52R”),(53L”,52L”)とから形成されている。右側面部方向部54R”及び左側面部方向部54L”と中央第5区分体5Cとの間は、列方向の3本の区画線によって画設されており、右側面部方向部54R”及び左側面部方向部54L”側から、順に、谷折り、山折り、谷折りとなっている。
【0088】
そして、組立時において、2つの連接部(53R”,52R”)(53L”,52L”)が、区画線によって折り曲げられ、一部分が重複した状態となり、前面部にそって略平行となるように、ほぼ長辺の中間部に至る間において、近接して配置(並設)されることにより、右左の前面部近接部(第1側面部近接部)51R”,51L”が形成されている。
また、右側面部方向部54R”と左側面部方向部54L”は、右左の前面部近接部51R”,51L”と直交するように形成されている。
これにより、右側面部方向部54R”及び右側の前面部近接部51R”と左側面部方向部54L”及び左側の前面部近接部51L”とは、平面視で略T字形状となるように配置されることになり、それぞれ、第2補強部及び第1補強部が形成されている。
【0089】
本トイレT”の組立方法は、第2実施形態の本トイレT’とほぼ同様であるが、第1補強部及び第2補強部における凸状部54Ra”,54La”を左第1区分体1L”の貫通孔1La”,1Lb”に挿入することによって、位置決めして、固定することができるようになっている。
【0090】
本トイレT”は、右左の前面部近接部51R”,51L”と、右側面部方向部54R”及び左側面部方向部54L”を備えている。そして、前面部近接部51R”,51L”は、前面部にそって略平行となるように、近接して配置されているため、荷重が載置される上面部の前面部側の部分を下方から支持することにより効果的に補強することができる。
また、第2実施形態の本トイレT’と同様に、右側面部方向部54R”及び左側面部方向部54L”によっても、上面部における右側面部側及び左側面部側の部分を効果的に補強することができる。
【0091】
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0092】
例えば、本トイレは、折り曲げ可能に形成されているものであれば材質等に制限はなく、強度上の問題がなければ、寸法等にも制限はない。
また、第2行部における開口部の形状や、移動防止片、袋体係止片の形状には制限はない。
【0093】
また、第2行部における最上部の開口部は完全に開かれているものでもよく、その場合において、当該開口部を閉塞するための蓋体を支持するための載置部が形成されていることとすれば、特段の処理をすることなく、容易に、開口部を閉塞することができる。
【0094】
また、前面部及び上面部は、少なくとも、中央第1区分体、中央第2区分体及び中央第3区分体から形成される必要があるが、必ずしも、右第1区分体、右第2区分体及び右第3区分体、並びに左第1区分体、左第2区分体及び左第3区分体の全てが重ねあわされている必要はなく、部分的に重ね合わせられているものであってもよい(但し、強度を向上させるためには、重ね合わせられる枚数が多いことが好適である)。
【0095】
さらに、上面部に形成される開口部が、複数重なり合うことによって形成される場合には、下方に位置するに従って、小さく形成されている構成とすれば、特段の処理をすることなく、最上部の開口部を閉塞するための蓋体を載置させることができる。その場合には、開口部が下方に行くに従って、傾斜しているため、尿等の排泄物を効率的にトイレ内部に導くことができるため好適である。
【0096】
また、本トイレにおいて、排泄物収容袋は上面に装着するものであってもよく、本トイレを一回限りの使い捨て等とするのであれば、必ずしも排泄物収容袋をセットする必要はない。
さらに、排尿処理材の充填も必ずしも必要がなく、充填する場合にも、排泄物収容袋を介することなく、直接的に充填してもよい。
【符号の説明】
【0097】
T,T’ ,T” 組立式トイレ
1,1” 第1行部
1C 中央第1区分体
1R 右第1区分体
1L,1L” 左第1区分体
2,2’ 第2行部
2C 中央第2区分体
2R 右第2区分体
2L,2L’ 左第2区分体
21L 第1壁体部
22L 第2壁体部
23L 第3壁体部
2Ca,2Ra,2La,42Ra,42La 開口部
2Rb,2Rc 袋体係止片
2Lb,2Lc 移動防止片
3 第3行部
3C 中央第3区分体
3R 右第3区分体
3L 左第3区分体
4 第4行部
4C 中央第4区分体
4R 右第4区分体
4L 左第4区分体
41R 右側面構成部
42R 右上面構成部
41L 左側面構成部
42L 左上面構成部
5,5’ ,5” 第5区分体
5C 中央第5区分体
5R,5R’,5R” 右第5区分体
5L,5L’,5L” 左第5区分体
51R”,51L” 前面部近接部(第1側面部近接部)
54R” 右側面部方向部(第2側面部方向部)
54L” 左側面部方向部(第4側面部方向部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形形状の板状体が、折り曲げ可能な区画線又は切取線により、5行×3列の矩形形状に画設されており、
行方向に対する垂線を対称軸として、前記各区分体が左右対称に形成されており、組立時において直方体形状となる組立式トイレであって、
第1側面部を形成する第1行部と、
前記第1行部に隣接し、上面部を形成する第2行部と、
前記第2行部に隣接し、前記第1側面部に対向する第3側面部を形成する第3行部と、
前記第3行部に隣接し、少なくとも第2側面部、前記第2側面部に対向する第4側面部及び底面部を形成する第4行部と、
前記第4行部に隣接し、前記上面部の第1補強部及び前記上面部の第2補強部と、前記第1側面部を形成する第5行部と、を備え、
前記上面部に開口部が形成されており、
前記第1補強部及び前記第2補強部は、前記組立時において、前記行方向に直行する複数本の区画線により波形形状部が形成され、前記第1補強部は前記第2側面部にそって、前記第2補強部は前記第4側面部にそって、それぞれ、その全域にわたって配置可能であること、を特徴とする組立式トイレ。
【請求項2】
矩形形状の板状体が、折り曲げ可能な区画線又は切取線により、5行×3列の矩形形状に画設されており、組立時において直方体形状となる組立式トイレであって、
第1側面部と、上面部の第3補強部とを形成する第1行部と、
前記第1行部に隣接し、前記上面部と、前記上面部の第3補強部とを形成する第2行部と、
前記第2行部に隣接し、前記第1側面部に対向する第3側面部を形成する第3行部と、
前記第3行部に隣接し、少なくとも第2側面部、前記第2側面部に対向する第4側面部及び底面部を形成する第4行部と、
前記第4行部に隣接し、前記上面部の第1補強部及び前記上面部の第2補強部と、前記第1側面部を形成する第5行部と、を備え、
前記上面部に開口部が形成されており、
前記第1補強部及び前記第2補強部は、前記組立時において、前記行方向に直行する複数本の区画線により波形形状部が形成され、前記第1補強部は前記第2側面部にそって、前記第2補強部は前記第4側面部にそって、それぞれ、前記第2側面部及び前記第4側面部の辺長の少なくとも1/2以上の部分に配置可能であるとともに、
前記第3補強部は、前記行方向の一本又は複数本の区画線により、筒状部又は側面視で開口部が下向きであるコ字状部が形成されるように構成されており、前記第3側面部にそって配置されていること、を特徴とする組立式トイレ。
【請求項3】
矩形形状の板状体が、折り曲げ可能な区画線又は切取線により、5行×3列の矩形形状に画設されており、組立時において直方体形状となる組立式トイレであって、
第1側面部と、上面部の第3補強部とを形成する第1行部と、
前記第1行部に隣接し、前記上面部と、前記上面部の第3補強部とを形成する第2行部と、
前記第2行部に隣接し、前記第1側面部に対向する第3側面部を形成する第3行部と、
前記第3行部に隣接し、少なくとも第2側面部、前記第2側面部に対向する第4側面部及び底面部を形成する第4行部と、
前記第4行部に隣接し、前記上面部の第1補強部及び前記上面部の第2補強部と、前記第1側面部を形成する第5行部と、を備え、
前記上面部に開口部が形成されており、
前記第1補強部は、前記組立時において、
前記行方向に直行する複数本の区画線により区画され、前記行方向の一本又は複数本の区画線により、前記第1側面部に近接した位置に配置可能である第1側面部近接部と、
前記第2側面部にそって、前記第2側面部の辺長の少なくとも1/2以上の部分にそって配置可能である第2側面部方向部とを備え、
前記第2補強部は、前記組立時において、
前記行方向に直行する複数本の区画線により区画され、前記行方向の一本又は複数本の区画線により、前記第1側面部に近接した位置に配置可能である第1側面部近接部と、
前記第4側面部にそって、前記第4側面部の辺長の少なくとも1/2以上の部分にそって配置可能である第4側面部方向部とを備えるとともに、
前記第3補強部は、前記行方向の一本又は複数本の区画線により、筒状部又は側面視で開口部が下向きであるコ字状部が形成されるように構成されており、前記第3側面部にそって配置されていること、を特徴とする組立式トイレ。
【請求項4】
前記第2行部は、中央第2区分体と、前記中央第2区分体を挟んで配置されている右第2区分体と左第2区分体から形成され、
少なくとも、前記右第2区分体及び前記左第2区分体の一方と、前記中央第2区分体とが所定の前記区画線に沿って折り曲げられて重ね合わせられることにより前記上面部が形成されており、
さらに、前記右第2区分体及び前記左第2区分体の一方と、前記中央第2区分体とには開口部が形成され、前記各開口部が連通していることを特徴とする請求項1乃至請求項3 のいずれか1項に記載の組立式トイレ。
【請求項5】
前記第2行部における、少なくとも2つの前記各開口部のうち、さらに少なくとも一つには、折り返し可能である前記第1補強部及び前記第2補強部の移動防止片が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の組立式トイレ。
【請求項6】
前記第2行部における、少なくとも2つの前記各開口部のうち、さらに少なくとも一つには、折り返し可能である袋体係止片が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の組立式トイレ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−34820(P2013−34820A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191853(P2011−191853)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(509229795)
【Fターム(参考)】