説明

組立式棺桶

【課題】見栄えがよく、従来の組立式でない棺桶と同様に高級感が得られる。
【解決手段】底板1の長辺側の両側縁部にそれぞれ側板基板2、3を固定し、底板1の短辺側の両側縁部にそれぞれ妻板基板4、4を固定し、両側板基板4、4上に側板可倒板5、6をそれぞれ内側に倒伏可能に連結し、両妻板基板4、4上におけるそれぞれの側板可倒板5、6の間に妻板差込み板8、8を差込み可能に構成している。側板基板2、3の外側面は側板可倒板5、6の外側面より内側になるように形成され、側板可倒板5、6には、側板基板2、3の外側面を覆うように下方に伸びた側板基板外側覆い部5d、6dと、側板基板2、3の両端部を覆うように下方に伸びた側板基板端部覆い部5e、6eが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式棺桶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組立式棺桶として、例えば特許文献1及び2が挙げられる。
【特許文献1】実用新案登録第3031039号公報
【特許文献2】実用新案登録第3040882号公報
【0003】
特許文献1の構造を図6及び図7により説明する。底板1の長辺側の両側縁部には、側板基板2、3が固定されている。ここで、側板基板3は、側板基板2にその板厚を加算した高さを有する段違いとなっている。また底板1の短辺側の両側縁部の側板基板2と3との間には、それぞれ側板基板2と同じ高さを有する妻板基板4、4が固定されている。側板基板2及び3上には、その板厚分の高さの異なる側板可倒板5、6がそれぞれ内側に倒伏可能に蝶番7を用いて連結されている。そして、妻板基板4、4上におけるそれぞれの側板可倒板5、6の間に妻板差込み板8、8を差込み可能にしている。
【0004】
ここで、前記側板可倒板5、6と妻板差込み板8、8との差込み構造は、次のようになっている。妻板差込み板8の両端面には、それぞれ係合突起8a、8aが設けられている。側板可倒板5、6及び側板基板3の前記係合突起8a、8aの対応部位には、それぞれ前記係合突起8a、8aに係合する係合溝5a、6a、3aが設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、組立棺桶とした場合、側板基板2、3と側板可倒板5、6の継目10、10が外部に表れ、2枚の板を継ぎ合わせたように見え、見栄えが悪く安価な棺桶の印象を与える。また妻板基板4、4と妻板差込み板8、8においても継目11、11が外部に表れるので、同様に見栄えが悪く安価な棺桶の印象を与える。
【0006】
本発明の課題は、見栄えがよく、従来の組立式でない棺桶と同様に高級感が得られる組立式棺桶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の請求項1は、底板の長辺側の両側縁部にそれぞれ側板基板を固定し、底板の短辺側の両側縁部にそれぞれ妻板基板を固定し、前記両側板基板上に側板可倒板をそれぞれ内側に倒伏可能に連結し、前記両妻板基板上におけるそれぞれの側板可倒板の間に妻板差込み板を差込み可能に構成した組立式棺桶において、前記側板基板の外側面は側板可倒板の外側面より内側になるように形成され、側板可倒板には、側板基板の外側面を覆うように下方に伸びた側板基板外側覆い部と、側板基板の両端部を覆うように下方に伸びた側板基板端部覆い部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の請求項2は、上記請求項1の構成に、前記妻板差込み板の外側面は、前記妻板基板の外側面を覆うように下方に伸びた妻板基板覆い部が形成された構成を付加したことを特徴とする組立式棺桶。
【発明の効果】
【0009】
組立状態においては、側板可倒板の側板基板外側覆い部、側板基板端部覆い部、側板基板外側覆い部、側板基板端部覆い部が側板基板の外側面及び両端部を覆うので、側板基板と側板可倒板の継目が外部に表れなく、側板は1枚の板のように見え、見栄えが良く従来の組立式でない棺桶と同様に高級感が得られる。また妻板差込み板にも妻板基板覆い部を形成すると、妻板基板と妻板差込み板の継目も外部に表れなくなり、妻板も1枚の板のように見え、更に高級感が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の組立式棺桶の一実施の形態を図1乃至図5により説明する。なお、図6及び図7と同じ又は相当部材には同一符号を付して説明する。図2及び図3に示すように、底板1の両側縁部の上面には、側板基板2、3が固定されており、底板1の短辺側の両側縁部の側板基板2と3との間の上面には、妻板基板4、4が固定されている。側板基板2及び3上には、側板可倒板5、6がそれぞれ内側に倒伏可能に蝶番7を用いて連結されている。妻板基板4、4上におけるそれぞれの側板可倒板5、6の間には妻板差込み板8、8が差込み可能に配設されている。
【0011】
ここで、側板可倒板5、6を図4に示すように内側に倒伏させた時に、該側板可倒板5、6がほぼ水平になるように、側板基板2は、妻板基板4、4に後記する側板可倒板5の係合突起5bの厚さを加算した高さに形成され、側板基板3は、側板基板2に、側板可倒板5の板厚、後記する側板可倒板6の係合突起6bを加算した高さに形成され、側板基板2と段違いになっている。
【0012】
妻板差込み板8、8の両端面には、図5に示すように、係合溝8b、8bが上端部8c、8cを残して設けられている。図2及び図3に示すように、側板可倒板5、6及び側板基板3の前記係合溝8b、8bの対応部位には、それぞれ係合溝8b、8bに係合する係合突起5b、6b、3bが側板可倒板5、6の上端部5c、6cを残して設けられている。前記妻板差込み板8、8は、該妻板差込み板8、8を起立状態の側板可倒板5、6の間に完全に差し込んだ場合、側板可倒板5、6の高さと等しくなるように設けられている。
【0013】
次に本発明の特徴とする構造について説明する。側板基板2の外側面は側板可倒板5の外側面より内側になるように、側板基板2の厚さは側板可倒板5の厚さより薄く形成され、また底板1の長辺側も側板基板2と同一面に形成されている。そして、側板可倒板5には、側板基板2及び底板1の外側面を覆うように下方に伸びた側板基板外側覆い部5dが形成されている。また側板可倒板5の側面には、側板基板2及び底板1の両端部を覆うように下方に伸びた側板基板端部覆い部5eが形成されている。
【0014】
側板基板3と側板可倒板6との関係も同様に、側板基板3の外側面は側板可倒板6の外側面より内側になるように、側板基板3の厚さは側板可倒板6の厚さより薄く形成され、また底板1の長辺側も側板基板3と同一面に形成されている。そして、側板可倒板6には、側板基板3及び底板1の外側面を覆うように下方に伸びた側板基板外側覆い部6dが形成されている。また側板可倒板6の側面には、側板基板3及び底板1の両端部を覆うように下方に伸びた側板基板端部覆い部6eが形成されている。
【0015】
妻板差込み板8の外側面は、妻板基板4及び底板1の外側面を覆うように下方に伸びた妻板基板覆い部8d形成されている。
【0016】
そこで、妻板差込み板8、8を側板可倒板5と6間より取り外した図1及び図3の状態より側板可倒板5を内側に倒伏させ、次に側板可倒板6を内側に倒伏させると、図4に示すように、側板可倒板5、6はそれぞれ水平状態で折り重なったように折り畳まれる。使用時には、図4に示す折り畳み状態から図1及び図3に示すように側板可倒板5、6をそれぞれ起立させ、この状態で妻板差込み板8、8の係合溝8b、8bを側板可倒板5、6の係合突起5b、係合突起6bに上方から下方に向けて差し込む。これにより、図2に示すように組み立てられる。
【0017】
前記した組立状態(図1及び図2の状態)においては、側板可倒板5、6の側板基板外側覆い部5d、側板基板端部覆い部5e、側板基板外側覆い部6d、側板基板端部覆い部6eが底板1、側板基板2、3の外側面及び両端部を覆うので、側板基板2、3と側板可倒板5、6の継目10、10が外部に表れなく、側板は1枚の板のように見え、見栄えが良く従来の組立式でない棺桶と同様に高級感が得られる。また妻板差込み板8、8にも妻板基板覆い部8dを形成すると、妻板基板4、4と妻板差込み板8、8の継目11、11も外部に表れなくなり、妻板も1枚の板のように見え、更に高級感が得られる。
【0018】
なお、上記実施の形態においては、妻板差込み板8に係合溝8b、8bを形成し、側板可倒板5、6及び側板基板3に係合突起5b、6b、3bを形成したが、特許文献1と同様に、妻板差込み板8に係合突起8a、8aを形成し、側板可倒板5、6及び側板基板3に係合溝5a、6a、3aを形成してもよい。また側板基板2、3及び妻板基板4、4は底板1上に固定したが、底板1の端面に固定してもよい。この場合には、側板可倒板5、6の側板基板外側覆い部5d、側板基板外側覆い部6d、側板基板端部覆い部5e、側板基板端部覆い部6eは底板1を覆わなく、側板基板2、3のみを覆うこと言うまでもない。妻板差込み板8、8の妻板基板覆い部8dも同様に、側板基板2、3のみを覆うことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の組立式棺桶の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】組立た状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のA−A線断面図、(d)は(a)のB−B線矢視図、(e)は(a)のC−C線断面図、(f)は(a)のD−D線矢視図、(g)は(a)のE−E線断面図である。
【図3】側板可倒板を起立させた状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のF−F線断面図、(d)は(a)のG−G線矢視図、(e)は(a)のH−H線断面図、(f)は(a)のI−I線矢視図、(g)は(a)のJ−J線断面図である。
【図4】側板可倒板を折り畳んだ状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のK−K線断面図である。
【図5】妻板差込み板を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図6】従来の組立式棺桶において側板可倒板を起立させた状態の斜視図である。
【図7】図6の組立式棺桶を組立た状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 底板
2 側板基板
3 側板基板
4 妻板基板
5、6 側板可倒板
5d、6d 側板基板外側覆い部
5e、6e 側板基板端部覆い部
7 蝶番
8 妻板差込み板
8d 妻板基板覆い部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板の長辺側の両側縁部にそれぞれ側板基板を固定し、底板の短辺側の両側縁部にそれぞれ妻板基板を固定し、前記両側板基板上に側板可倒板をそれぞれ内側に倒伏可能に連結し、前記両妻板基板上におけるそれぞれの側板可倒板の間に妻板差込み板を差込み可能に構成した組立式棺桶において、前記側板基板の外側面は側板可倒板の外側面より内側になるように形成され、側板可倒板には、側板基板の外側面を覆うように下方に伸びた側板基板外側覆い部と、側板基板の両端部を覆うように下方に伸びた側板基板端部覆い部が形成されていることを特徴とする組立式棺桶。
【請求項2】
底板の長辺側の両側縁部にそれぞれ側板基板を固定し、底板の短辺側の両側縁部にそれぞれ妻板基板を固定し、前記両側板基板上に側板可倒板をそれぞれ内側に倒伏可能に連結し、前記両妻板基板上におけるそれぞれの側板可倒板の間に妻板差込み板を差込み可能に構成した組立式棺桶において、前記側板基板の外側面は側板可倒板の外側面より内側になるように形成され、側板可倒板には、側板基板の外側面を覆うように下方に伸びた側板基板外側覆い部と、側板基板の両端部を覆うように下方に伸びた側板基板端部覆い部が形成され、前記妻板差込み板の外側面は、前記妻板基板の外側面を覆うように下方に伸びた妻板基板覆い部が形成されていることを特徴とする組立式棺桶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−125733(P2008−125733A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313035(P2006−313035)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【特許番号】特許第4060345号(P4060345)
【特許公報発行日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(596170088)株式会社協和木工所 (1)