説明

組立式構造体

【課題】建屋内に容易に取り付け可能なダクトを備えた組立式構造体を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の組立式構造体10は、柱パーツ20と、前記柱パーツ20に支持される屋根パーツ30と、前記柱パーツ20と前記屋根パーツ30を組み合わせた建屋内で柱200と屋根300に沿って設置されるダクトパーツ40と、を備え、前記ダクトパーツ40は、前記柱パーツ20と前記屋根パーツ30の内部に形成されて、前記柱パーツ20と前記屋根パーツ30の組立と同時に前記ダクトパーツ40同士を接続可能に形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に屋根及び柱からなる建屋内部にダクトを備えた組立式構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部にダクトを設けた建屋がある。ダクトは一例として、建屋内の換気や、建屋内に設置された機器の冷却用に用いられている。
特許文献1には、建屋内もしくは建屋に近接して配置された機器に取付けられる大型ダクトの支持方法であって、建屋を構成する柱もしくは梁に平行かつ近接して大型ダクトを配置するとともに、大型ダクトと柱もしくは梁とを複数位置で互いに結合する大型ダクトの支持方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−193954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の建屋に設置されるダクトは、建屋が構築された後に、柱や屋根の外付けで取り付けられていた。
このため建屋が完成した後にダクトを設置することになり、施工日数が長期化していた。またダクト同士の位置合わせや、密着性を確保するなどの作業があるため作業時間が長くなっていた。また建屋内でダクトを柱や屋根に固定する支持具が必要となり構成部品が増加していた。また建屋の内部空間にダクトが施工されると建屋内のスペースが狭くなってしまうという問題があった。
【0005】
また特許文献1に開示の大型ダクトの支持方法は、柱もしくは梁に平行かつ近接してダクトを配置してダクトの自重や地震荷重を建屋部材に負担させているが、建屋とダクトの取り付け工程は別工程であり、ダクト同士の接続工程もあり施工のための作業時間が長期化するという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点を解決するため、建屋内に容易に取り付け可能なダクトを備えた組立式構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の組立式構造体は、柱パーツと、前記柱パーツに支持される屋根パーツと、前記柱パーツと前記屋根パーツを組み合わせた建屋内で柱と屋根に沿って設置されるダクトパーツと、を備え、前記ダクトパーツは、前記柱パーツと前記屋根パーツの内部に形成されて、前記柱パーツと前記屋根パーツの組立と同時に前記ダクトパーツ同士を接続可能に形成されていることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、柱パーツと屋根パーツの接続と同時にダクトパーツを接続できるので、ダクト据付箇所におけるダクトの据付作業が必要ない。よって、遠隔操作であっても容易にダクトの据付を行うことができる。また作業工程、取付部品等を大幅に削減することができる。またダクトを柱及び屋根の骨組内に取り付けることにより、建屋内の内部空間を拡大することができる。
【0009】
前記柱パーツに内蔵された前記ダクトパーツの一方の端部には、前記ダクトパーツの端部を挿入可能な先細部を形成し、前記先細部には、前記柱パーツに内蔵された前記ダクトパーツの他方の端部の挿入を補助するダクトガイドが、軸方向に沿って前記先細部の端面から突出して形成されたことを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、設定誤差によってダクト同士の軸芯が位置ズレしていたとしても、挿入と共にガイドに導かれて位置修正が行われてダクト同士を接続することができる。
【0011】
前記ダクトガイドは、前記ダクトパーツの端面を平面視して軸芯から放射方向であって凸状に形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、ダクトガイドによるダクトパーツの位置ズレを容易に修正することができる。
【0012】
前記先細部には、外周に沿って前記ダクトパーツの他方の端面と接触するツバ部を設けたことを特徴としている。
上記構成によれば、ダクトパーツ同士を接続させたときの密着性を高めることができる。
【0013】
前記屋根パーツに内蔵された前記ダクトパーツと、前記柱パーツに内蔵された前記ダクトパーツのいずれか一方には、管端をテーパ状に拡径した拡径部を形成し、前記ダクトパーツのいずれか他方には、前記拡径部と嵌合する縮径部を形成したことを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、設定誤差によってダクト同士の軸芯が位置ズレしていたとしても、挿入と共に縮径部が拡径部に導かれて位置修正が行われてダクト同士を接続することができる。
【0015】
前記拡径部の外径は、前記屋根の振動又は設定誤差による前記ダクトの軸芯の位置移動を吸収可能な長さに設定していることを特徴としている。
上記構成によれば、接続時の位置ズレを解消できると共に、接続後の屋根の振動等による変位が生じても解消することができる。
【0016】
前記拡径部及び前記縮径部は、接触面を球形に形成したことを特徴としている。
上記構成によれば、拡径部及び縮径部の接触面積が増大して、密着性を高めることができる。
【0017】
前記屋根パーツに内蔵された前記ダクトパーツの拡径部又は縮径部とダクト本体の間には、前記ダクトの軸芯を中心としてせん断方向に変位可能な伸縮部を設けたことを特徴としている。
上記構成によれば、接続時の位置ズレを解消できると共に、接続後の屋根の揺れ・振動等が生じても容易に変位して解消することができる。
【0018】
前記ダクトパーツは、前記屋根の棟の下方に設置された端部に前記建屋内の空気の吸込口を設けて、前記柱の下端に設置された端部に外部配管と接続する接続口を設けたことを特徴としている。
上記構成によれば、一例として外部配管に吸引ファンを設けることにより、屋根の棟の下方の吸込口から建屋内の空気を吸込み、ダクトを介して外部へ排気する排気経路を形成することができる。
【0019】
前記柱は、少なくとも前記建屋の四隅に取り付けて、前記建屋の下端を外周に沿って開放したことを特徴としている。
上記構成によれば、一例として外部配管に吸引ファンを設けることにより、建屋の下端外周から外気が建屋内に導入されて、屋根の棟の下方の吸込口から建屋内の空気を吸込み、ダクトを介して外部へ排気する排気経路を形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
上記構成による本発明の組立式構造体によれば、柱パーツと屋根パーツの接続と同時にダクトパーツを接続できるので、ダクト据付箇所におけるダクトの据付作業が必要ない。よって、作業工程、取付部品等を大幅に削減することができる。またダクトを柱及び屋根の骨組内に取り付けることにより、建屋内の内部空間を拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の組立式構造体の構成概略図である。
【図2】本発明の組立式構造体の断面図である。
【図3】本発明の組立式構造体の斜視図である。
【図4】柱パーツとダクトパーツの説明図である。
【図5】柱パーツ同士の嵌合の説明図であり、(1)は図4のA−A矢視図,B−B矢視図を示し、(2)は接続時の斜視図を示し、(3)は接続時の側面図を示している。る。
【図6】屋根パーツとダクトパーツの正面図である。
【図7】屋根パーツとダクトパーツの平面図である。
【図8】屋根パーツに内蔵されたダクトパーツと、柱パーツに内蔵されたダクトパーツの接続部分の斜視図である。
【図9】屋根パーツに内蔵されたダクトパーツと、柱パーツに内蔵されたダクトパーツの接続部分の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の組立式構造体の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
図1は本発明の組立式構造体の構成概略図である。図2は本発明の組立式構造体の断面図である。図3は本発明の組立式構造体の斜視図である。
【0023】
図1に示すように本発明の組立式構造体10は、柱パーツ20と、屋根パーツ30と、ダクトパーツ40を主な基本構成としている。組立式構造物10は、図2及び図3に示すように複数の柱パーツと屋根パーツを接続して形成された柱200と屋根300からなる組立式の建屋である。建屋は屋根にシート12を被せ、側面をシート12で覆った壁を形成することにより、建屋内に配置された構造物13と建屋外を遮断する内部空間を形成できる。
【0024】
柱パーツ20は、建屋の柱200を構成する部材である。図4は柱パーツとダクトパーツの説明図である。図示のように柱パーツ20は、柱を複数分割したパーツであり、本実施形態では2つの第1柱パーツ21、第2柱パーツ22からなる。なお柱パーツ20は、施工箇所によっては複数分割せずに柱としてそのまま適用することもでき、また2つ以上の柱パーツに分割した構成を適用することもできる。柱パーツ20の基本構成は、断面視で略正方形の筒状の構造枠であり四隅に4本の支柱を備え、所定の強度を持たせている。なお柱パーツ20は施工箇所に応じて任意の長さに設定することができ、分割するパーツ数も任意に設定できる。柱パーツ20同士が接続する端部には接続部26が形成されている。
【0025】
図5は柱パーツ同士の接続の説明図であり、(1)は図4のA−A矢視図,B−B矢視図を示し、(2)は接続時の斜視図を示し、(3)は接続時の側面図を示している。図示のように接続部26は、柱パーツ20のいずれか一方の端部に設けられており、本実施形態では第2柱パーツ22の上端に形成されている。具体的に接続部26は、柱パーツ20の構造枠を構成する4本の支柱の端部から柱パーツ20の軸芯を中心として拡径したテーパ状に形成されている。このような接続部26の構成により、上方から柱パーツ20の下端が吊り下ろされたときに、パーツ同士の軸芯に位置ズレが生じていたとしても、上方の柱パーツの下端が接続部26のテーパに沿って同一の軸芯上に導かれて位置の修正が行なわれ、両パーツを接続することができる。
【0026】
上記構成による柱パーツ20の内部には、ダクトパーツ40を取り付けている。ダクトパーツ40は、断面略円形であり、外径を柱パーツ20の構造枠の直径よりも小さく設定している。本実施形態のダクトパーツ40は、一例としてスパイラルダクトを採用している。ダクトパーツ40は、柱パーツ20と同様に複数分割したパーツであり、柱パーツ20と略同じ長さに設定している。なお第1柱パーツ21から第2柱パーツ22に内蔵されたダクトパーツ40を第1ダクトパーツ41と第2ダクトパーツ42とする。柱パーツ20の内部にダクトパーツ40を挿入して、軸芯を鉛直方向に配置したとき、ダクトパーツ40は、下端が柱パーツ20の下端から突出するように支持具46を介して取り付けられている。支持具46は、ダクトパーツ40の外周と複数個所で接続し、かつ柱パーツ20の構造枠と接続する枠体である。
【0027】
柱パーツ20の内部に取り付けたダクトパーツ40には、管端のいずれか一方(本実施形態では第2ダクトパーツ42)に先細部50が形成されている(図5(2))。先細部50は、ダクト本体の外径よりも小さい直径で端面を形成し、この端面とダクト本体との間をテーパ状に形成している。この先細部50にはダクトガイド52が形成されている。ダクトガイド52は、凸状片54をダクト本体の軸芯に沿って、先細部50から突出させている。凸状片54は、平面視で、ダクト本体の軸芯を中心として放射状に形成されている。また凸状片54の外周は、先細部50のテーパと連続するテーパ状となるようにカットされている。
【0028】
先細部50の拡径側には、外周に沿ってツバ部56が形成されている(図5(3))。ツバ部56は、所定の弾力を備えた弾性体を用いて形成されている。このような構成のツバ部56は、先細部50がダクト本体の管端に挿入された後、管端と接着して、ダクトパーツ40同士の密着性を高めることができる。
【0029】
なお本実施形態の先細部50及びダクトガイド52は、第2ダクトパーツ42の上端に形成された構成で説明したが、ダクト本体の下端(第1ダクトパーツ41)に形成された構成であってもよい。
また第2ダクトパーツ42の下端には、外部配管と接続する接続口48が形成されている(図4)。
【0030】
屋根パーツ30は、建屋の屋根300を構成する部材である。なお本実施形態の屋根形状は、切妻屋根を採用しているが、屋根形状はこの形状に限定されるものではない。図6は屋根パーツとダクトパーツの正面図である。図7は屋根パーツとダクトパーツの平面図である。屋根パーツ30の基本構成は断面視で略矩形の構造であり、所定の強度を持たせている。柱パーツ20と接続する屋根パーツ30の端部には、ストッパー32が形成されている。ストッパー32は平面視で柱パーツ20の断面よりも大きい枠体であり、下面の柱パーツ20に向けて凸部が外周に沿って形成されている。
【0031】
上記構成による屋根パーツ30の内部には、ダクトパーツ40を取り付けている。ダクトパーツ40は、柱パーツ20に内蔵されたダクトパーツ40と同様に、断面略円形であり、外径を屋根パーツ30の構造枠の直径よりも小さく設定している。ダクトパーツ40は、屋根パーツ30と略同じ長さに設定している。ダクトパーツ40は、屋根パーツ30の棟部分に吸込口49が形成されている。吸込口49は建屋内の空気を吸込み易いように屋根300の棟から下方に向けて形成されている。ダクトパーツ40は、屋根パーツ30の構造枠を形成する際、内部に挿入して、支持具46を用いて取り付けている。支持具46は、ダクトパーツ40の外周と複数個所で接続し、かつ柱パーツ20の構造枠と接続する枠体である。屋根パーツ30と柱パーツ20の接続箇所では、ダクトパーツ40の管端が柱パーツ20のダクトパーツ40の管端と対向するように露出させている。さらにダクトパーツ40の管端はストッパー32の枠内に収まるように形成されている。
【0032】
図8は屋根パーツに内蔵されたダクトパーツと、柱パーツに内蔵されたダクトパーツの接続部分の斜視図である。ダクトパーツ40の一方の管端には、拡径部60を形成している。またダクトパーツ40の他方の管端には縮径部62を形成している。本実施形態では屋根パーツ30に内蔵されたダクトパーツ40の管端に縮径部62を形成し、柱パーツ20に内蔵されたダクトパーツ40の管端に拡径部60を形成している。
【0033】
拡径部60は、ダクトパーツ40の管端から軸芯に沿って外側に向けてテーパ状に拡径し、略受け皿状に形成されている。なお拡径部60の外径は、屋根の振動又は設定誤差によるダクトパーツの軸芯の位置移動を吸収可能な長さに設定している。
【0034】
縮径部62は、ダクトパーツ40の管端側を拡径し、軸芯に沿って管端から外側へ向けて縮径している。縮径部62は、拡径部60のテーパに倣ったテーパ状に形成されている。拡径部60と縮径部62の軸芯はそれぞれダクトパーツ40の軸芯と一致するように形成されている。なお拡径部60及び縮径部62は、材質の一例として、金属鋼材を用いることができ、所定の剛性を備えている。また拡径部60及び縮径部62は、接触面を球形に形成することができる。このような形状にすることにより、接触面積が増大し、密着性を高めることができる。
【0035】
屋根パーツ30のダクトパーツ40の管端と縮径部62の間には、ダクトパーツ40の軸芯に沿って伸縮部64を形成している。伸縮部64は、一例として、金属鋼材の膜又は板上部材を用いて、山折りと谷折りの繰り返し構造となる蛇腹(ベローズ)状に形成されている。このような伸縮部64は、ダクトパーツ40の軸芯を中心としてせん断方向に変位することができる。
【0036】
なお拡径部60を屋根パーツ30のダクトパーツ40に形成し、縮径部62を柱パーツ20のダクトパーツ40に形成した構成であってもよい。ただし伸縮部64は、端部に形成する拡径部60又は縮径部62の重量の観点から屋根パーツ30に内蔵されたダクトパーツ40側に形成するのが望ましい。
【0037】
上記構成による本発明の組立式構造体の組立方法について以下説明する。本実施形態では建屋の四隅に柱200を配置し、4本の柱200に支持された屋根300を備えた構造体の構成で説明する。また柱200は第1柱パーツ21と第2柱パーツ22を接続することにより形成できる。まず、建屋の施工箇所の四隅に柱200の下端部を構成する第2柱パーツ22を取り付ける。第2柱パーツ22の下端の外側面には、ダクトパーツ40の管端に形成された接続口48が露出している。
【0038】
次にクレーン等で第1柱パーツ21を懸吊し、第2柱パーツ22上まで移動させる。図5(2)に示すように、第2柱パーツ22の軸芯を中心とする鉛直線上まで移動した第1柱パーツ21を吊り下ろす。そして第2柱パーツ22の上端に形成された接続部26と、第1柱パーツ21の下端が所定の離間距離まで吊り下ろされた後、柱パーツ20同士が嵌合する位置まで速度を低下させて吊り下ろす。このとき、第1及び第2柱パーツ21,22は略鉛直線上に配置されているが、設定誤差により、多少軸芯から位置ズレが生じていたとしても、第1ダクトパーツ41の下端は第2ダクトパーツ42の上端の先細部50のダクトガイド52によって、ダクトガイド52のテーパをスライドして、第1ダクトパーツ41の軸芯が第2ダクトパーツ42の軸芯上へと導くことができる(図5(3))。そして第2柱パーツ22と第1柱パーツ21の接続と略同時に、第2ダクトパーツ42の先細部50が第1ダクトパーツ41の管端内に挿入される。このとき第1ダクトパーツ41の管端が第2ダクトパーツ42のツバ部56と接触し、外周がツバ部56に覆われる。なおこの柱パーツ20の接続は建屋の4隅で同時に行われる。
【0039】
次にクレーン等で屋根パーツ30を懸吊し、第1柱パーツ21上まで移動させる。図9は屋根パーツに内蔵されたダクトパーツと、柱パーツに内蔵されたダクトパーツの接続部分の説明図である。屋根パーツ30のダクトパーツ40の2つの管端の軸芯を2本の第1柱パーツ21の軸芯の鉛直線上まで移動する(図9(1))。そして屋根パーツ30の下端が所定の離間距離まで吊り下ろされた後、屋根パーツ30のストッパー32と柱パーツ20の上端が接続する位置まで速度を低下させながら吊り下ろす(図9(2))。このとき、屋根パーツ30のダクトパーツ40の管端は、略鉛直線上に配置されているが、設定誤差により、多少軸芯から位置ズレが生じていたとしても、屋根パーツ30のダクトパーツ40の縮径部62は、第1ダクトパーツ41の拡径部60のテーパによって、テーパ上をスライドして屋根パーツ30のダクトパーツ40の軸芯を第1ダクトパーツ41の軸芯上へと導くことができる。そして屋根パーツ30と柱パーツ20の接続と略同時に屋根パーツ30のダクトパーツ40と第1ダクトパーツ41の接続が行われる(図9(3))。ここで屋根パーツ30は、両端が第1柱パーツ21の上端に載置しているだけの構造である。屋根パーツ30が水平方向に移動した場合、ストッパー32により屋根の落下を防止する構造である。従って強風による揺れなどで位置ズレが生じてしまうおそれがある。しかし、拡径部60の外径は、屋根の振動又は設定誤差によるダクトの軸芯の位置移動を吸収可能な長さに設定しているので、位置ズレを解消することができる。また伸縮部64によってダクトの軸芯を中心としてせん断方向、換言すれば水平方向に変位することによって位置ズレを解消することができる。
【0040】
このような構成のダクトパーツ40は、屋根300の棟の下方に設置された端部に建屋内の空気の吸込口49を供え、柱200の下端に設置された端部に外部配管と接続する接続口48を備えた構成となる。そして柱200の外周下端を除き、側面及び屋根300にシート12を被せ、接続口48に外部配管を接続して、吸引することにより、外気が建屋の側面下部から建屋内に流入し、建屋内の空気を外部へ排気することができる。なお接続口48は組立式構造体10の一方の側面のみに形成し、他方の側面のダクトの下端を一方の側面のダクトと接続する配管15を設けることにより、装置構成を簡略化することができる。
【0041】
このような本発明の組立式構造体によれば、柱パーツと屋根パーツの接続と同時にダクトパーツを接続できるので、ダクト据付箇所におけるダクトの据付作業が必要ない。よって、作業工程、取付部品等を大幅に削減することができる。またダクトを柱及び屋根の骨組内に取り付けることにより、建屋内の内部空間を拡大することができる。
【符号の説明】
【0042】
10………組立式構造体、12………シート、13………構造物、15………配管、20………柱パーツ、21………第1柱パーツ、22………第2柱パーツ、25………取付部、26………接続部、30………屋根パーツ、32………ストッパー、40………ダクトパーツ、41………第1ダクトパーツ、42………第2ダクトパーツ、46………支持具、48………接続口、49………吸込口、50………先細部、52………ダクトガイド、54………凸状片、56………ツバ部、60………拡径部、62………縮径部、64………伸縮部、200………柱、300………屋根。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱パーツと、
前記柱パーツに支持される屋根パーツと、
前記柱パーツと前記屋根パーツを組み合わせた建屋内で柱と屋根に沿って設置されるダクトパーツと、
を備え、
前記ダクトパーツは、前記柱パーツと前記屋根パーツに予め形成されて、前記柱パーツと前記屋根パーツの組立と同時に前記ダクトパーツ同士を接続可能に形成されていることを特徴とする組立式構造体。
【請求項2】
前記柱パーツに内蔵された前記ダクトパーツの一方の管端には、前記ダクトパーツの他方の管端の外径よりも小径の先細部を形成し、
前記先細部には、前記柱パーツに内蔵された前記ダクトパーツの他方の管端の挿入を補助するダクトガイドが、軸方向に沿って前記先細部の端面から突出して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の組立式構造体。
【請求項3】
前記ダクトガイドは、前記ダクトパーツの端面を平面視して軸芯から凸状に、かつ放射方向に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の組立式構造体。
【請求項4】
前記先細部には、外周に沿って前記ダクトパーツの他方の管端と接触するツバ部を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の組立式構造体。
【請求項5】
前記屋根パーツに内蔵された前記ダクトパーツと、前記柱パーツに内蔵された前記ダクトパーツのいずれか一方には、管端をテーパ状に拡径した拡径部を形成し、前記ダクトパーツのいずれか他方には、前記拡径部と嵌合する縮径部を形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組立式構造体。
【請求項6】
前記拡径部の外径は、前記屋根の振動又は設定誤差による前記ダクトの軸芯の位置移動を吸収可能な長さに設定していることを特徴とする請求項5に記載の組立式構造体。
【請求項7】
前記拡径部及び前記縮径部は、接触面を球形に形成したことを特徴とする請求項5又は6に記載の組立式構造体。
【請求項8】
前記屋根パーツに内蔵された前記ダクトパーツの拡径部又は縮径部とダクト本体の間には、前記ダクトの軸芯を中心としてせん断方向に変位可能な伸縮部を設けたことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の組立式構造体。
【請求項9】
前記ダクトパーツは、前記屋根の棟の下方に設置された端部に前記建屋内の空気の吸込口を設けて、前記柱の下端に設置された端部に外部配管と接続する接続口を設けたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の組立式構造体。
【請求項10】
前記柱は、少なくとも前記建屋の四隅に取り付けて、前記建屋の下端を外周に沿って開放したことを特徴とする請求項9に記載の組立式構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−28896(P2013−28896A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163549(P2011−163549)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)