説明

組立式段ボール棺

【課題】強化段ボール板からなる展開シートの底板、側板および妻板を、簡単かつ強固に箱状に組み立て、かつ、一旦組み立てた後でも簡単に展開状態に戻せるようにする。
【解決手段】段ボール棺10は、展開シートをV溝に沿って折り曲げて底板12A、側板12Bおよび妻板12Cを含む箱状の棺本体12が組み立てられる。側板12B,12Bは、底板12Aに対してほぼ垂直に折り曲げられて矩形の板面を形成し、妻板12Cは、底板12Aに対してほぼ垂直に折り曲げられる底妻部12Caと、左右の側板12B,12Bに対してほぼ垂直に折り曲げられる側妻部12Cb,12Cbとが互いに隣接して矩形の板面を形成する。妻板12Cには、底妻部12Caと左右の側妻部12Cb,12Cbの前後方向の展開をロックし、かつ、側妻部12Cb,12Cbの左右方向の展開をロックする落とし錠部材15が落とし込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、組立式段ボール棺に関するもので、詳しくは、強化段ボール板からなる展開シートを折り曲げて組み立てられる組立式段ボール棺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、木製棺に代わる棺として段ボール棺が知られている。段ボール棺は、木製棺に比べ軽量で燃焼性に優れ、段ボール板の折り曲げ加工により簡単に組み立てることができるため、環境に優しい葬送品として注目されている。
【0003】
従来の組立式段ボール棺を図17および図18に示した。
段ボール棺1は、棺本体2と蓋3とが強化段ボール板により形成されている。これらのうち棺本体2は、強化段ボール板からなる展開シートP0(図16参照)を折り曲げて箱状に組み立てられる。
【0004】
図18に示すように、展開シートP0は、矩形の底板2Aの左右に側板2B,2Bが設けられ、底板2Aの前後に妻板2C,2Cが設けられる。底板2Aの各辺には、側板2Bおよび妻板2Cとの境界に沿ってほぼ90゜角でV字状にカットされた折曲げ用の縦V溝y0、横V溝x0が形成されている。図16の状態から底板2Aに対し側板2Bと妻板2Cを垂直に折り曲げ、これらのV溝面を接着剤で貼り合わせて図17に示す箱状の棺本体2を組み立てる。
なお、側板2Bおよび妻板2Cの先端でW溝(ほぼ90゜角にカットされたV溝を2列に並設して形成した溝)に沿って折り返される枠板2Dは、棺本体2の開口部を補強するためのものである。
【0005】
その他、組立式段ボール棺の先行技術としては、特許文献1および2等が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−42064号公報
【特許文献2】特開2005−187049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来の組立式段ボール棺の構成では、棺本体2を組み立てる場合、展開シートP0の各V溝面を接着剤で貼り合わせて固定するため、接着剤の種類や塗布の量によっては棺本体2の強度・耐荷重性が不十分になるおそれがある。
また、接着剤を塗布して乾燥させるまでに時間がかかるため、棺本体2を組み立てて完成させるまでの時間が長くなり、緊急時に素早く段ボール棺を組み立てて使用するといったニーズに対応しづらくなっている。
【0008】
これに対し、特許文献2に開示されるように、展開シートの側板12にフック部33を設けて、妻板(C側板16,D側板17)の切欠部48に挿入する構造の組立式段ボール棺も存在している。
この種の段ボール棺では、側板と妻板との結合時に、切欠内部の返し部分(ロック部49)にフック部33がロックされるため、これらの板の間の結合強度を高めることができる。
【0009】
ところが、このような組立式段ボール棺のフック構造においては、妻板の切欠部に側板のフック部を一旦噛み合わせると、フック部が切欠部の返し部分から外れなくなるため、側板と妻板とを再度分解することができなくなる。このため、個数を誤って組み立ててしまった場合などに、元の展開状態に戻すことができずに、廃棄するか、箱形状のまま嵩張った状態で保管・運搬するというような不都合が起こりうる。
【0010】
本発明は、このような現状に鑑みなされたもので、強化段ボール板からなる展開シートの底板、側板および妻板を、接着剤を用いることなく、簡単かつ強固に箱状に組み立てることを可能にし、しかも、一旦組み立てた後でも簡単に展開状態に戻せるようにした組立式段ボール棺を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[第1発明]
前記課題を解決するための本発明の組立式段ボール棺は、
強化段ボール板からなる展開シートをV溝に沿って折り曲げることにより組み立てられる段ボール棺であって、
矩形の底板と、
この底板の左右に対向して設けられる矩形の側板と、
前記底板の前後に対向して設けられる矩形の妻板とを備え、
前記側板は、前記底板に対して前記V溝に沿ってほぼ垂直に折り曲げられて矩形の板面を形成し、
前記妻板は、前記底板に対して前記V溝に沿ってほぼ垂直に折り曲げられる底妻部と、前記左右の側板に対して前記V溝に沿ってほぼ垂直に折り曲げられる左右の側妻部とが互いに隣接して矩形の板面を形成するものであり、
前記妻板には、前記妻板の上方から下方に向けて着脱可能に落とし込まれる部材であって、前記妻板の外側および内側の板面に摺接して前記底妻部および前記左右の側妻部の前後方向への展開をロックし、かつ、前記左右の側妻部の所定箇所に上下方向に噛み合って、前記左右の側妻部の左右方向への展開をロックする落とし錠部材が設けられる構成とした。
【0012】
本発明の段ボール棺を組み立てる場合、展開シートの底板、側板および妻板を各V溝に沿ってほぼ垂直に折り曲げて箱体を形成する。
例えばまず、底板の左右両端で側板を折り曲げて、底板に対して垂直な側板の板面を形成する。次いで、底板の前後両端で底妻部を折り曲げ、左右の側板の前後両端で左右の側妻部を折り曲げる。そして、底妻部と左右の側妻部とを隣接(合体)させて底板および側板に対して垂直な妻板の板面を形成する。
このような状態で、妻板に上方から下方に向けて落とし錠部材を落とし込むと、底妻部と左右の側妻部とが妻板の前後方向および左右方向にロックされ、底板、側板および妻板からなる箱形状が固定される。
【0013】
一旦組み立てた箱体を元の状態に展開状態に戻すときには、妻板から落とし錠部材を上方に引き抜くと、底妻部および左右の側妻部のロックが解除される。その後、底妻部および左右の側妻部をそれぞれ分離させて各V溝を展開すると、底板、側板および妻板が元の展開シートの状態に戻る。
【0014】
このように本発明の構成によれば、展開シートを箱状に折り曲げた後で、落とし錠部材により底妻部および左右の側妻部の折り曲げ状態をロックすることで、底板、側板および妻板を含む箱体を簡単かつ強固に組み立てることができる。
また、妻板から落とし錠部材を引き抜けば、底板、側板および妻板からなる箱体を、元の展開シートに簡単に戻すことができる。
これにより、必要な時に迅速かつ強固に展開シートから箱体を組み立てることができ、かつ、不要時には直ぐに元の展開シートに戻せる使い勝手の良い組立式段ボール棺を実現することができる。
【0015】
[第2発明]
第2発明による組立式段ボール棺は、前記第1発明の構成を備えるものであって、
前記落とし錠部材が、
前記妻板の外側面に摺接可能な外板部と、
前記妻板の内側面に摺接可能な内板部と、
前記外板部と前記内板部の上端に架け渡される架橋板部と、
前記外板部と前記内板部との間に設けられ、前記妻板に前記落とし錠部材を落とし込むときに、前記左右の側妻部の上端に開放した左右の縦スリットに差し込まれる左右のロック片とを備える構成とした。
【0016】
このような構成によれば、妻板に落とし錠部材を落とし込むと、落とし錠部材の外板部と内板部が妻板の板面を挟み込んで、その底妻部および左右の側妻部の前後方向の展開をロックする。同時に、落とし錠部材の左右のロック片が、左右の側妻部の縦スリットに嵌ってその左右方向の展開をロックする。
これにより、落とし錠部材による底妻部および左右の側妻部の前後方向および左右方向のロックを強固かつ確実に行うことができる。
また、板状の部品を組み合わせて落とし錠部材を簡単に作製することができ、段ボール棺の製造コストの節約を図ることも可能になる。
【0017】
[第3発明]
第3発明による組立式段ボール棺は、前記第2発明の構成を備えるものであって、
前記妻板には、前記左右の側妻部の間の隙間を通して前記底妻部の上端に開放する中央縦スリットを設ける一方、前記落とし錠部材には、前記外板部と前記内板部との間で前記左右のロック片よりも下方位置に設けられて、前記中央縦スリットに差し込まれる中央ロック片を設ける構成とした。
【0018】
このような構成によれば、妻板に落とし錠部材を落とし込む際に、左右のロック片に加えて中央ロック片が底妻部の中央縦スリットに差し込まれるため、底妻部が左右方向にズレにくくなり、落とし錠部材による固定強度がさらに向上する。
【0019】
また、中央縦スリットに中央ロック片を位置合わせすれば、左右の縦スリットに対して左右のロック片を位置決めすることができるため、妻板に落とし錠部材を落とし込む作業が行いやすくなる。
【0020】
[第4発明]
第4発明による組立式段ボール棺は、前記第1〜3発明のいずれかの構成を備えるものであって、
前記底妻部および前記左右の側妻部とが、前記妻板の左右の下端角部を分断して中央側に向けて上向き傾斜する境界線で分断され、前記底妻部の左右に前記左右の側妻部が前記境界線を隔てて互いに隣接する構成とした。
【0021】
第1発明の構成において、仮に、底妻部と側妻部とを矩形に形成して上下2段に分けて配置する場合には、妻板の左右の側端に底妻部の切れ目が現れる。このため、このような切れ目の部分で板ズレが生じて段ボール棺の見栄えが悪くなったり、また、妻板の側端の強度が低下するおそれがある。
【0022】
第4発明の構成によれば、底妻部と側妻部と境界が、妻板の左右の下端角部を分断する方向に延びるため、妻板の左右の側端に底妻部の切れ目が現れない。すなわち、底板に対して底妻部を折り曲げるV溝と、左右の側板に対して左右の側妻部を折り曲げるV溝とが、妻板の下辺および左右の両辺に切れ目なく連なることになる。
これにより、段ボール棺の寸法精度を高めてその見栄えを良好にし、妻板の側端の強度を良好に保つことができる。
また、このような構成によれば、妻板部と左右の底板部との合体時に、底妻部の左右両側に左右の側妻部が傾斜方向から隣接するため、底妻部の左右の動きを左右の側妻部で止めることができる。このため、底妻部の固定位置が安定し、落とし錠部材による固定強度をさらに高めることも可能になる。
【0023】
[第5発明]
第5発明による組立式段ボール棺は、前記第1〜4発明のいずれかの構成を備えるものであって、
前記底妻部および前記左右の側妻部には、これらの隣接部分の一方の板面に連なって突出するパズルピース片と、
当該隣接部分の他方の板面に切り欠かれて開口し、前記パズルピース片に嵌合するパズルピース嵌合部とが設けられる構成とした。
【0024】
第1発明の構成において、妻板に落とし錠部材を差し込む作業は、展開シートを各V溝に折り曲げて箱状に保った状態で行う必要がある。すなわち、妻板に落とし錠部材を差し込む前に、作業者は、左右の側板を垂直に折り曲げ、さらに底妻部と左右の側妻部と垂直に折り曲げてこれらの板面を同一平面上に保持しておかなければならない。
このため、このような作業を単独で行う場合には、底妻部と左右の側妻部との板面がズレたりバラけるなどして妻板に落とし錠部材を落とし込む作業がスムーズに進まないことが想定される。
【0025】
第5発明の構成によれば、展開シートを各V溝に折り曲げて箱状に保った状態で、底妻部と左右の底妻部との隣接部分でパズルピース片とパズルピース嵌合部と嵌め合わせることで、展開シートの箱形状を仮止め(仮固定)することができる。
これにより、展開シートを各V溝に折り曲げて箱状に保つ作業と、これらの妻部に落とし錠部材を上方から落とし込む作業とを別個に独立して行うことが可能になり、単独の作業者でも簡単に段ボール棺を組み立てることが可能になる。
【0026】
[第1〜5発明]
第1〜5発明は、強化段ボールからなる展開シートを折り曲げて箱体を組み立てる段ボール棺に適用することができる。通常は、段ボール棺の棺本体と蓋のうち、箱状の棺本体に本発明を適用されることが想定されるが、蓋体が箱状になっている場合には、段ボール棺の蓋に本発明を適用することができる。
段ボール棺の用途(人用、ペット用等)や種類(寝棺、座棺等)は、特に限定されることはない。
【0027】
なお、第1〜5発明は、単独で適用してもよいし、これらの発明を必要に応じて組み合わせて適用することもできる。また、第1〜5発明に本明細書に記載される他の発明を組み合わせてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の組立式段ボール棺は、棺本体と蓋とを組み合わせてなるもので、箱状の棺本体に本発明が適用される。
【0029】
[第1実施形態]
図1に示すように、段ボール棺10は、棺本体12と蓋13とからなる。棺本体12の上方に蓋13が載置される。蓋13の片寄りの位置には、窓枠14が設けられる。この窓枠14には観音扉が取り付けられ、これらの扉を開くことで棺の内部が覗けるようになっている。
段ボール棺10の寸法は、例えば長さが170〜200cm程度、幅が50〜70cm程度、棺本体12と蓋13を含めた高さが40〜50cm程度である。
【0030】
棺本体12および蓋13は、強化段ボール板により形成される。強化段ボール板としては、例えば、板厚10〜20mm程度の三層強化段ボール材(例えばトライウォール社製)が採用される。この種の段ボール板は、図2のR部分拡大図に示すように、2枚の厚板(ライナー)Rb,Rfとの間に、3層の波板r1〜r3が仕切り板r4およびr5を介して積層されてなるもので、優れた耐圧性・耐水性をもつ。
段ボール板に折曲げ用のV溝を形成する際には、これらの層のうち厚板Rf,Rbのいずれかを残して他の層を回転刃等を用いて切削する。段ボール板を折り曲げる際には、残した片方の厚板(ライナー)のみを折り曲げて、V溝の傾斜する溝面を互いに密着させる。V溝の溝角がほぼ90゜になるようにV溝加工を施せば、隣り合う板同士がほぼ垂直に折れ曲がる。また他のV溝の形成方法としては、プレス機等で段ボール板を断面V字状に圧縮してもよい。
【0031】
段ボール棺10の表面には、必要に応じて布やフィルムなどの化粧シートが貼り付けられる。このような化粧仕上げ施すことで、段ボール棺10の質感が高められる。
【0032】
図1に示すように、棺本体12には、矩形の底板12Aと、この底板12Aの左右に向き合う矩形の側板12B,12Bと、底板12Aの前後に向き合う矩形の妻板12C,12Cとが設けられている。側板12B,12Bと妻板12C,12Cの上部には、棺本体12の内側に折り返される補強用の枠板12Dが設けられる。
棺本体12の上端は、一定の高さで水平に保たれ、蓋13をほぼ水平に保つようになっている。
【0033】
図3に示すように、妻板12Cは、底板12Aに対してほぼ垂直上向き折り曲げられる底妻部12Caと、側板12B,12Bに対してほぼ垂直内向き折り曲げられる左右の側妻部12Cb,12Cbとからなる。底妻部12Caの上方に左右の側妻部12Cb,12Cbが隣接して妻板12Cの垂直な板面をなす。
妻板12Cには、底妻部12Caと側妻部12Cb,12Cbを固定するための落とし錠部材15が落とし込まれる。
【0034】
底妻部12Caと左右の側妻部12Cb,12Cbとの境界線は、妻板12Cの下端の左右角部をほぼ45゜角で分断するように中央側に向けて上向きに傾斜する(図4参照)。これにより、底妻部12Caの形状は、妻板12Cの下端を含む等辺三角形状になり、側妻部12Cb,12Cbの形状は、側板12B,12Bの側端を含む直角三角形状になっている。そして、底妻部12Caの傾斜する等しい二辺の上に、側板12B,12Bのそれぞれ傾斜する二辺が隣接して、妻板12Cの垂直な板面が同一平面上に連なる。
【0035】
このように妻板12Cを傾斜する境界線で分断することで、底妻部12Caの切れ目が妻板12Cの左右側端に現れることがない。つまり、底妻部12Caと側妻部12Cb,12Cbを折り曲げるためのV溝が、妻板12Cの下端および左右側端に沿って途切れることなく直線上に連なることになる。
これにより、妻板12Cの寸法精度を高まって棺本体12の見栄えがよくなり、妻板12Cの側端の強度が高められる。
また、左右の側妻部12Cb,12Cbにより底妻部12Caの左右方向の動きを止めることができるため、落とし錠部材15による底妻部12Caの固定位置が安定する。
【0036】
底妻部12Caと左右の側妻部12Cb,12Cbとの隣接部分には、パズルピース片12pと、パズルピース嵌合部12hとが設けられる。パズルピース片12pは、左右の側妻部12Cb,12Cbの傾斜辺から底妻部12Caに向けて延び、底妻部12Caの傾斜辺に切り欠かれたパズルピース嵌合部12hに嵌まる。パズルピース片12pとパズルピース嵌合部12hの根元付近は、両端から内向きに湾曲状にくびれており、これらのくびれ部分が引っ掛かって両者の係合状態を保つ。
【0037】
図5に示すように、落とし錠部材15は、その基本的な構成部品として、外板部15Aおよび内板部15Bを備えている。外板部15Aと内板部15Bの上端に架橋板部15Cが架け渡されて、これらの断面が下向きコ字状に形成されている。
【0038】
外板部15Aと内板部15Bとの間には、妻板12Cの板厚とほぼ等しい幅の隙間が保たれており、この隙間に3つのロック片15F,15F,15Gが固定される。各ロック片は、架橋板部15Cの直下から下向きに一定幅で帯状に延びる。架橋板部15Cの左右の所定位置にロック片15F,15Fが配置され、これらのロック片15F,15Fの中間位置に中央ロック片15Gが配置される。左右のロック片15F,15Fの長さはほぼ等しく、中央ロック片15Gの長さは、左右のロック片15F,15Fよりも長い。中央ロック片15Gの先端は、左右のロック片15F,15Fよりも下方位置まで延びる。
【0039】
中央ロック片15Gの先端形状については、下方に向けて先細り状になっている。これにより、後述するように、中央縦スリットS2に中央ロック片15Gを差し込むときに、これらの位置決めが行いやすくなっている。
【0040】
図4に示すように、妻板12C,12Cの上端には、落とし錠部材15のロック片15F,15F,15Gに対応する位置に、3つの縦スリットS1,S1,S2が開放している。これらのうち左右の縦スリットS1,S1は、左右の側妻部12Cb,12Cbに上端部に切り込まれる。一方、中央縦スリットS2は、左右の側妻部12Cb,12Cbの間を通して底妻部12Caに切り込まれる。
妻板12Cの上方から落とし錠部材15を落とし込むと、各ロック片15F,15F,15Gが各縦スリットS1,S1,S2に差し込まれることになる。
【0041】
左右の側妻部12Cb,12Cbの上端部には、段差部R1およびR2が設けられている。段差部R1およびR2は、妻板12Cの上端を所定の幅および深さで切り欠いて形成される。
段差部R1の左右長さは、落とし錠部材15の幅にほぼ一致し、その段差は架橋板部15Cの板厚に等しい。これにより、妻板12Cに落とし錠部材15を落とし込むと、棺本体12の上端と落とし錠部材15の上端とが一致する。
また、段差部R2は、中央ロック片15Gの幅よりも広い幅で中央縦スリットS2の上方に形成されるもので、妻板12Cに落とし錠部材15を落とし込むときに、中央縦スリットS2に中央ロック片15Gの先端を合わせやすくする役割を果たす。
【0042】
次に、棺本体12を組み立てるための展開シートP1を図6に示した。
展開シートP1には、矩形の底板12Aの左右に側板12B,12Bが設けられ、底板12Aの前後に底妻部12Ca,側板12B,12Bの前後に側妻部12Cb,12Cbが設けられる。
底板12Aと側板12B,12Bとの境界に沿って縦V溝y1,y1が形成される。底板12Aと底妻部12Caとの境界には、横V溝x1,x1が形成され、この横V溝x1,x1が左右に延長されて側板12B,12Bと側妻部12Cb,12Cbとの境界をなしている。
縦V溝y1,y1および横V溝x1,x1は、展開シートP1にほぼ90゜角で形成される。展開シートP1は、これらのV溝に沿ってほぼ垂直に折り曲げられることになる。
【0043】
展開シートP1の左右両端部には、枠板12Dを板幅を確保してW溝(ほぼ90゜角にカットされたV溝を2列に並設して形成した溝)が形成される。このW溝により枠板12Dを折り返すと、図6に示すように、側板12B,12Bおよび側妻部12Cb,12Cbの端部に枠板12Dが重なる。
【0044】
なお、展開シートP1の前後の先端形状については、底妻部12Caと左右の側妻部12Cb,12Cbとの先端が同一直線上に揃うように形成されている。これは、矩形の段ボール原板から展開シートP1を作製する際に、底妻部12Caと側妻部12Cb,12Cbと外形端を直線方向に1カットで切断可能にし、その加工作業を簡略化するためである。また、このように各妻部の先端を同一直線上に揃えることで、段ボール原板から生じる端切れ材が少なくなり、段ボール材の節約を図ることが可能になる。
【0045】
落とし錠部材15についても、展開シートP1と同様の厚みの強化段ボール板を用いて作製される。
例えば、矩形の段ボール板を準備し、この板の片面に外板部15A、架橋板部15C、および内板部15Bを折り曲げるためのV溝を加工する。これとは別に、妻板12Cと同様な厚さの段ボール板を、縦スリットS1,S2のサイズに合わせて短冊状に切断してロック片15F,15Fおよび15Gを形成する。
各部品を揃えた後、外板部15A、架橋板部15C、および内板部15Bを各V溝に沿ってコの字状に折り曲げ、これらの間にロック片15F,15Fおよび15Gを挟んで接着剤で貼り付ける。
【0046】
このような製法によれば、板状の部品を組み合わせて落とし錠部材15を簡単に作製することができ、段ボール棺10の製造コストの節約を図ることが可能になる。落とし錠部材15は、段ボール板3枚分の厚さでコンパクトに形成されるため、妻板12C付近の外観が不格好になることもない。
また、展開シートP1と同じ段ボール板で落とし錠部材15で形成することで、棺本体12の材質が統一され、段ボール棺としての利点が損われない。
さらに、外板部15Aと内板部15Bとの間に各ロック片15F,15Fおよび15Gを挟持することで、これらのロック片15F,15Fおよび15Gが外板部15Aと内板部15Bとの間隔を保つ支持部材となる。これにより、落とし錠部材15の寸法精度が良好になって妻板12Cへの落とし込み操作が行いやすくなり、かつ、落とし錠部材15の構造的な強度を高めることができる。
【0047】
棺本体12を組み立てる場合、まず、展開シートP1の左右の枠板12D,12DをW溝に沿って折り返す(図6参照)。
この状態から図7矢印に示すように、底板12Aの左右で側板12B,12Bを縦V溝y1,y1に沿って折り曲げ、底板12Aの前後で横V溝x1,x1に沿って底妻部12Caを折り曲げ、同時に側板12B,12Bの前後で横V溝x1,x1に沿って側妻部12Cb,12Cbを折り曲げる。
そして、底妻部12Caと側妻部12Cb,12Cbの隣接部分において、パズルピース片12pをパズルピース嵌合部12hに嵌め合わせる(図8参照)。
これにより、図8に示すように、妻板12Cの板面が同一平面上に連なって、底妻部12Caの上端に側妻部12Cb,12Cbの下端が載った状態で箱形状が仮固定される。
【0048】
なお、展開シートP1の折曲げ順序については、上記に限定されることなく、先に側妻部12Cb,12Cbを折り曲げてから、側板12B,12Bを折り曲げるようにしてもよい。展開シートP1から図8に示すように妻板12Cが仮止めされた状態になればその順序は問わない。
【0049】
このように底妻部12Caと側妻部12Cb,12Cbを仮止めした状態で、図8および図9に示すように、妻板12Cの上方から下方に向けて落とし錠部材15を落とし込む。具体的には、外板部15Aと内板部15Bの隙間に妻板12Cを入れて下方へスライドさせ、中央縦スリットS2に中央ロック片15Gを差し込み、さらに左右の縦スリットS1,S1に左右のロック片15F,15Fを差し込む。
【0050】
これにより、落とし錠部材15の外板部15Aと内板部15Bとが底妻部12Caと側妻部12Cb,12Cbの板面を前後両側から挟持し、これらの妻部の前後方向の展開をロックする。同時に、側妻部12Cb,12Cbの左右の縦スリットS1,S1に落とし錠部材15の左右のロック片15F,15Fが嵌合し、左右の側妻部12Cb,12Cbの左右方向への展開をロックする。
この結果、展開シートP1が箱形状のままで固定されて棺本体2が完成する。そして、図1に示すように、棺本体2の上方に、予め作製した平板状の蓋3を載せることで、組立式段ボール棺10となる。
【0051】
一方、棺本体12を元の展開状態に戻す場合は、妻板12Cから落とし錠部材15を引き上げて抜き取る。すると、各縦スリットS1,S2から各ロック片15F,15F,15Gが抜かれて、底妻部12Caと側妻部12Cb,12Cbが仮止め状態に戻る。この状態からパズルピース片12pとパズルピース嵌合部12hのかみ合いを解けば、各妻部12Ca,12Cb,12Cbが開放されて棺本体12が元の展開シートP1に戻る。
【0052】
このように本実施形態によれば、底板12A、側板12B,12Bおよび妻板12C,12Cを含む展開シートP1を箱状に折り曲げ、落とし錠部材15で固定することで、簡単な作業で迅速かつ強固に棺本体12を組み立てることができる。
例えば、展開シートP1と蓋13とを積み重ねて保管しておき、必要時に必要な個数だけその場で組み立てて使用するといったことも可能になる。棺本体12の組み立て作業は、接着剤を使用することなく行うことができるため、組み立て作業を極めて短時間にすることができる。
【0053】
また、一旦、棺本体12を組み立てた後でも、妻板12Cから落とし錠部材15を上方に引き抜くだけで元の展開シートP1に戻すことができる。このため、必要に応じて何度でも棺本体12の組立および展開の作業を繰り返すことができ、使い勝手が大幅に向上する。
【0054】
さらに、段ボール棺10によれば、落とし錠部材15が左右対称な関係に形成されるため、外板部15Aと内板部15Bとを逆にしても、妻板12Cに落とし錠部材15を落とし込むことができる。このため、落とし錠部材15の向きを気にせず、棺本体12の組み立てを行うことができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図10〜図12に示した。
第2実施形態の組立式段ボール棺は、第1実施形態の妻板12Cおよび落とし錠部材15に代えて、妻板22Cおよび落とし錠部材25を採用したものである。
【0056】
図10に示すように、妻板22Cは、等辺台形の底妻部22Caと、この左右の傾斜辺に隣接する側妻部22Cb,22Cbとから形成される。これらの妻部に囲まれた部分には、矩形の空間Mが開口している。そして、側妻部22Cb,22Cbの先端内側には、上下方向に連なる一定幅の縦レール22D,22Dが形成される。
【0057】
落とし錠部材25は、矩形の平板部25Aと、その両端部に設けられたフック部25Bとを備えている。平板部25Aとフック部25Bの上方には、矩形の天板25Dが固定される。天板25Dは、妻板22Cに落とし錠部材25を落とし込んだ状態で、段差部R3に嵌って棺本体12の上端に連なる。すなわち、落とし錠部材25の嵌め合わせ部分を上方から隠して棺本体12の見栄えをよくする役割を果たす。
落とし錠部材15の縦・横寸法は、妻板22Cよりも小さく、その矩形の空間Mよりも大きく設定される。
【0058】
図11に示すように、フック部25B,25Bは、縦レール22D,22Dと等しい間隔に保たれて、それぞれ平面方向から観て妻板22Cの縦レール22D,22Dの周囲を囲むように鈎形に屈曲している。フック部25B,25Bの縦レール22D,22Dを囲む部分には、上下方向にレール溝S4,S4が平行に延びている。
【0059】
図12に示すように、落とし錠部材25の下端部には係止部25Cが形成される。この係止部25Cは、横断面が下向きコの字状になって平板部25Aの下端左右に連なっている。係止部25Cの下向きの隙間は、底妻部22Caの厚みが収まる広さになっている。
【0060】
第2実施形態の棺本体12を組み立てる場合、図10に示すように、底板12Aに対して底妻部22Caを垂直に折り曲げ、左右の側板12B,12Bに対して左右の側妻部22Cb,22Cbを垂直に折り曲げる。そして、底妻部22Caと左右の側妻部22Cb,22Cbとを隣接させて妻板22Cの板面を同一平面上に保つ。
【0061】
次いで、縦レール22D,22Dにフック部25B,25Bのレール溝S4,S4を嵌めて、妻板22Cの上方から下方へ落とし錠部材25を落とし込み、底妻部22Caの上端に係止部25Cを嵌める。すると、図11および図12に示すように、底妻部22Caと左右の側妻部22Cb,22Cbとの妻板22Cの前後方向および左右方向への展開が落とし錠部材25によってロックされる。
【0062】
一方、第2実施形態の棺本体12を元の展開状態に戻すときには、第1実施形態と同様に、落とし錠部材25を妻板22Cの上方に引き抜けば、底妻部22Caと左右の側妻部22Cb,22Cbとのロックが解除されて、底板12A、側板12B,12Bおよび妻板22C,22Cが外側に開いて元の展開シートに戻る。
【0063】
このように第2実施形態の段ボール棺によっても、落とし錠部材25を用いることで、展開シートから箱状の棺本体12を強固に組み立てることができる。組立作業には、接着剤を使用しなくともよいから、作業時間の短縮を図りやすく、必要時に迅速に段ボール棺を組み立てることが可能になる。
また、妻板22Cから落とし錠部材25を引き抜けば、簡単に底妻部22Caと左右の側妻部22Cb,22Cbとのロックを外して棺本体12を元の展開シートに戻すことができ、不要な段ボール棺の収納・保管・運搬といった管理も極めて簡単に行うことができる。
また、第2実施形態では、妻板22Cの矩形の空間Mを落とし錠部材25で塞ぐため、底妻部22Caおよび左右の側妻部22Cb,22Cbの板面積が少なくて済み、段ボール材を節約して製造コストを抑えることができる。
【0064】
[変形例]
以上、第1および第2実施形態を説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されることなく、下記の通り種々の変形・変更を伴ってもよい。
【0065】
(1)パズルピース片とパズルピース嵌合部の形状
パズルピース片とパズルピース嵌合部の形状については、第1実施形態の形状に限られず、その位置や形状を適宜変更してもよい。例えば図13に示した第1実施形態の変形例では、底妻部12Caと左右の側妻部12Cb,12Cbの隣接部分の上端に、下側部分のみ嵌り合うパズルピース片31pおよびパズルピース嵌合部31hを配置している。
【0066】
このような構成では、パズルピース片31pとパズルピース嵌合部31hとが互いに嵌合しやすいため、底妻部12Caと側妻部12Cb,12Cbとの仮固定が行いやすくなって、棺本体12の組み立て作業をさらに迅速に行うことが可能になる。
【0067】
(2)展開シートの折畳み用切り込み
展開シートには、適当な位置に折畳み用の切り込みを入れてもよい。
例えば図6に示す展開シートP1において、片方の側板12Bおよび側妻部12Cbに、その縦V溝y1の中心から段ボール板の板厚に相当する距離を保って切り込みZ(図6二点鎖線参照)を入れる。切り込みZは、強化段ボール板の外側の一層(ライナー)のみを残して他の層を切断して形成する。
【0068】
このような構成によれば、図14矢印に示すように、枠板12Dを拡げた状態で、一方の側板12Bと側妻部12Cbとを外向きに折返し、他方の側板12Bと側妻部12Cbとを、切り込みZにより段ボール板の板厚分だけズレた位置で折り返すことができる。すなわち、底板12Aの下側に左右の側板12B,12Bおよび側妻部12Cb,12Cbを互い違いに折り畳んで重ねることができる。
これにより、底板12Aの板幅の範囲内で、展開シートP1を段ボール板3枚分の厚みで折り畳んでコンパクトにまとめることができ、段ボール棺10の保管や運搬を行いやすくすることができる。
【0069】
(3)落とし錠部材の天板構造
第2実施形態の構成では、落とし錠部材25の本体部と天板25Dとを別部品として合体させているが、一枚の段ボール板にこれらの部品を一体的に形成してもよい。
この場合、図15に示すように、落とし錠部材25の上部にV溝を隔てて天板25Dを形成する。落とし錠部材25の平板部25Aに対し天板25Dを垂直に折り曲げてフック部25Bの上端に貼り付ける。
このような構成によれば、落とし錠部材25の外側に天板25Dの切れ目が露出しないため、天板25Dの固定強度が高まるとともに、棺本体12の見栄えがさらに向上する。
【0070】
(4)フック部の構造
また、第2実施形態の構成において、左右のフック部25B,25Bを一枚の段ボール板により連結する構成としてもよい。
例えば、図16に示すように、落とし錠部材35は、外板部35Aと内板部35Bの間に架橋板部35Cが挟まれて接着される。内板部35Bの両端では、フック部35D,35DがV溝に沿って内向きに折り曲げられて接着される。
このよう構成によれば、フック部を有する落とし錠部材を、段ボール板により簡単に作製することが可能になる。
【0071】
(5)縦レールとフック部との位置関係
また、第2実施形態の構成では、側妻部22Cbに縦レール22Dを設け、落とし錠部材25にフック部25Bを設けているが、これらの位置関係は特に限定されない。例えば、側妻部22Cbにフック部を設け、落とし錠部材25に縦レールを設けてもよい。
【0072】
(6)その他の変形例
第1実施形態において、落とし錠部材15の中央ロック片15Gと、底妻部12Caの中央縦スリットS2とについては必要に応じて省略してもよい。
第1および第2実施形態において、棺本体12の枠板12Dについては、必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて省略した構成としてもよい。
第1および第2実施形態では、棺本体12に本発明を適用しているが、蓋13が箱状である場合には、蓋13に本発明を適用してもよい。
また、展開シートから棺本体を組み立てる場合、その固定強度を高めるために各V溝面に接着剤を使用しても構わない。
さらに、展開シートを作製するための段ボール材は、三層強化段ボールに限られず、その他の多層段ボール材、ハニカム構造の段ボール材等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態の組立式段ボール棺を示す斜視図である。
【図2】同段ボール棺を示すもので図1の[2]−[2]線断面図およびR部分の拡大断面図である。
【図3】同段ボール棺の妻板および落とし錠部材を示す分解斜視図である。
【図4】同段ボール棺の妻板を示す正面図である。
【図5】同段ボール棺の落とし錠部材を示すもので、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図6】同段ボール棺の棺本体を組み立てるための展開シートを示す平面図およびその破線方向の端面図である。
【図7】同棺本体の組み立て手順を説明するもので、底妻部と左右の側妻部とを合体させる様子を示す正面図である。
【図8】同棺本体の組み立て手順を説明するもので、底妻部と左右の側妻部とを落とし錠部材で固定する前の状態を示す正面図である。
【図9】同棺本体を組み立て手順を説明するもので、底妻部と左右の側妻部とを落とし錠部材で固定した後の状態を示す正面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の段ボール棺を示すもので、妻板および落とし錠部材を示す斜視図である。
【図11】同段ボール棺を示すもので、妻板と落とし錠部材との嵌合状態を示す模式平面図である。
【図12】同段ボール棺を示すもので、図11の[12]−[12]線模式断面図である。
【図13】第1実施形態による妻板の変形例を示す正面図である。
【図14】第1実施形態による展開シートの変形例を示す模式断面図である。
【図15】第2実施形態による落とし錠部材の天板の変形例を示す斜視図である。
【図16】第2実施形態による落とし錠部材のフック部の変形例を示す模式断面図である。
【図17】従来の段ボール棺を示す斜視図である。
【図18】同段ボール棺の棺本体を組み立てるための展開シートを示す平面図および破線方向の端面図である。
【符号の説明】
【0074】
10 段ボール棺
12 棺本体
13 蓋
14 窓枠
12A 底板
12B,12B 側板
12C 妻板
12Ca 底妻部
12Cb,12Cb 側妻部
12D 枠板
15 落とし錠部材
15A 外板部
15B 内板部
15C 架橋板部
15F,15F 左右のロック片
15G 中央ロック片
P1 展開シート
S1,S1 左右の縦スリット
S2 中央縦スリット
x1 横V溝
y1 縦V溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化段ボール板からなる展開シートをV溝に沿って折り曲げることにより組み立てられる段ボール棺であって、
矩形の底板と、
この底板の左右に対向して設けられる矩形の側板と、
前記底板の前後に対向して設けられる矩形の妻板とを備え、
前記側板は、前記底板に対して前記V溝に沿ってほぼ垂直に折り曲げられて矩形の板面を形成し、
前記妻板は、前記底板に対して前記V溝に沿ってほぼ垂直に折り曲げられる底妻部と、前記左右の側板に対して前記V溝に沿ってほぼ垂直に折り曲げられる左右の側妻部とが互いに隣接して矩形の板面を形成するものであり、
前記妻板には、前記妻板の上方から下方に向けて着脱可能に落とし込まれる部材であって、前記妻板の外側および内側の板面に摺接して前記底妻部および前記左右の側妻部の前後方向への展開をロックし、かつ、前記左右の側妻部の所定箇所に上下方向に噛み合って、前記左右の側妻部の左右方向への展開をロックする落とし錠部材が設けられることを特徴とする組立式段ボール棺。
【請求項2】
請求項1記載の組立式段ボール棺であって、
前記落とし錠部材が、
前記妻板の外側面に摺接可能な外板部と、
前記妻板の内側面に摺接可能な内板部と、
前記外板部と前記内板部の上端に架け渡される架橋板部と、
前記外板部と前記内板部との間に設けられ、前記妻板に前記落とし錠部材を落とし込むときに、前記左右の側妻部の上端に開放した左右の縦スリットに差し込まれる左右のロック片とを備える、組立式段ボール棺。
【請求項3】
請求項2記載の組立式段ボール棺であって、
前記妻板には、前記左右の側妻部の間の隙間を通して前記底妻部の上端に開放する中央縦スリットを設ける一方、前記落とし錠部材には、前記外板部と前記内板部との間で前記左右のロック片よりも下方位置に設けられて、前記中央縦スリットに差し込まれる中央ロック片を設ける、組立式段ボール棺。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の組立式段ボール棺であって、
前記底妻部および前記左右の側妻部とが、前記妻板の左右の下端角部を分断して中央側に向けて上向き傾斜する境界線で分断され、前記底妻部の左右に前記左右の側妻部が前記境界線を隔てて互いに隣接するものである、組立式段ボール棺。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の組立式段ボール棺であって、
前記底妻部および前記左右の側妻部には、これらの隣接部分の一方の板面に連なって突出するパズルピース片と、
当該隣接部分の他方の板面に切り欠かれて開口し、前記パズルピース片に嵌合するパズルピース嵌合部とが設けられる、組立式段ボール棺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−272135(P2008−272135A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117881(P2007−117881)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(594101994)有限会社平和カスケット (12)