説明

組立式簡易屋上親子クレーン

【課題】建物屋上で揚重に使用するクレーンの組立解体作業を人力のみで容易に短時間で行う。
【解決手段】移動用台車上に親子クレーンを配し、子クレーン2設置組立後、この子クレーンを用いて親クレーン1を揚重する。各部品の質量を26kg以下に抑える。またカウンタウェイトに水タンク9を使用することにより、従来は困難であったカウンタウェイトの軽量化に成功。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のリフォーム工事などにおいて、作業者が建物の屋上からの荷揚作業に用いられる屋上型ジブクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来建築物での荷揚げ作業に用いられるクレーンとしては、大型トラッククレーンやその他様々な特殊クレーンがある。しかし、どれも最大定格荷重に対してクレーン本体の質量が非常に重く、組立・解体に非常に時間を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、従来のリフォーム工事で使用されるクレーンのほとんどは、現場で多くの部材を組み立てることで構成されるものである。それぞれの部材の質量が重い為、このようなクレーンを用いるには、組んだり撤去したりするのに組立用クレーンなど更に他機械を必要とし、作業に時間を要する。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、組立、撤去が人力で行える簡単なクレーンを提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、建物の屋上において子クレーンを組立設置し、この子クレーンを使い親クレーンを揚重、組立設置するものである。また、全ての部品において質量を26kg以下としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクレーンであって、一つの移動可能なクレーン架台上において、親クレーン、子クレーンが設置されており、それぞれに巻上機が設置されている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のクレーンであって、台形の移動式台車を擁し、この台車前方上に門型の主柱を配し、前記主柱右斜後方に台車よりパイプ状アームが延びており、このアームに回転式巻上機内臓クレーン(子クレーン)を設置、この子クレーンをもって親クレーンの揚重を行う。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のクレーンであって、前記移動式台車後方に更に別の移動式台車を擁し、その上方に水タンクを設置し、これをカウンタウェイトとする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明では、全ての部品において質量を26kg以下としているため、他機械を一切使用することなく、人力及び子クレーンのみで組立解体を行える。
【0010】
請求項2に記載の発明では、親クレーン、子クレーンにそれぞれに巻上機が備えられているため、それぞれのクレーンを2台同時もしくは、別々に使用することが出来るなど多様性を備えた親子クレーンとなっている。
【0011】
請求項3に記載の発明では、親クレーンを子クレーンで揚重するため、親クレーンの建物屋上での組立作業を省く事が可能となり、短時間でクレーンの組立設置が行える。
【0012】
請求項4に記載の発明では、カウンタウェイトに水タンクを使用する。従来使用されているような重量のカウンタウェイトを地上から揚重する必要が無く、軽量の水タンクを荷台上に設置後、タンク内に水を入れ込みカウンタウェイトとするため、全ての部品を人力で運ぶ事が可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係わる組立式簡易親子クレーンの実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に関わる組立式簡易親子クレーンの親クレーンの設置形態の平面からの図。図2は、親クレーンの側面からの図。図3は、親クレーンと子クレーンの正面からの図である。建物屋上に台車及び子クレーンを設置するため、それぞれの部材は分解されており、人力で建物内の昇降機を使用し、屋上まで運搬する。
【0015】
さて、図1にあるようにクレーン用台車は6Aから6Hまでの連結された8つの部材と、その四隅下方に付けられたブレーキ付キャスター7によって出来ている。よって、本発明に関わる組立式簡易親子クレーンはストッパーがついている為、建物屋上にアンカー施工をし、固定する必要がなく、またキャスターによって建物屋上を自在に移動できる仕組になっている。
【0016】
前記台車6後方に図2に示す10の台車を備え、これに水タンク9を載せ外部より水を入れ、タンク9自体の重量26kgに水500kgを加える事によりカウンタウェイトとする。
【0017】
前記台車上に3A〜3Cから成る門型主柱を配し(図3)、この後方より門型主柱を支えるサポーター4を固定する(図2)。図3に示す門型主柱(3A〜3C)にマスト12を固定し、これにアーム13、巻き上げ機14、吊りフック15から成る子クレーンを装着する。尚、前記子クレーン用アーム13は、旋回可能となっている。
【0018】
図2に示す親クレーン用巻き上げ装置(ウインチ)8を建物屋上に設置した前記図3の子クレーンにより屋上へと揚重し、その状態のままアーム13を旋回させ、台車6の上に設置固定する。その後、部材5A、5B、5C、5D、5Eを図2に示すように連結し、親クレーン用のアームとし、建物屋上に設置した前記図3の子クレーンにより屋上へと揚重し、その状態のままアーム13を旋回させ、台車6と門型主柱3からなる荷台の上に設置固定する(図3)。上記ウインチ8とアーム5を以って親クレーンとする。
【0019】
実際の本発明に関わる組立式簡易親子クレーンは、建物屋上にて、アーム5、巻き上げ機8ワイヤー11から成る親クレーン1で80mまでの高さの建物で、480kgまでの重量物を、地上の障害物の有無に関わらず、地上から荷揚げする事ができ、アーム13、巻き上げ装置14、吊フック15から成る子クレーン2で30mまでの高さの建物で、100kgまでの重量物を、親クレーン同様地上障害物の有無に関わらず、地上から荷揚げする事ができる。
【0020】
移動用キャスター7により屋上を自在に移動し、あらゆる方向から荷揚げを自由に行なう事が可能である。また、親クレーン、子クレーン、それぞれ別々の巻き上げ装置によって駆動させている為、2台同時、別々、又は1台ずつ使用するなど、用途に合わせ2台を使用していい。電源は、単層100Vとしているため、家庭電源で電力を賄うことができる。

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明設置状態を示す平面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1の正面図。
【符号の説明】
【0022】
1 親クレーン
2 子クレーン
3 主柱
3A〜3B 主柱部材
4 サポーター
5 アーム
5A〜5B アーム部材
6 クレーン用台車
6A〜6B 台車正面部材
6E、6D 台車側面部材
6F〜6H 台車背面部材
7(7A〜7C) ブレーキ付キャスター
8 親クレーン用巻上機(ウインチ)
9 カウンタウェイト 水タンク
10 カウンタウェイト用荷台
11 ワイヤーロープ
12 子クレーン用マスト
13 子クレーン用アーム
14 子クレーン用巻上機(ウインチ)
15 吊りフック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋上に設置される組立式親子クレーンであり、子クレーンで親クレーンを組立解体可能な構造になっており、各部品が26kg以下の質量となっている組立式簡易親子クレーン。
【請求項2】
前記組立式簡易屋上親子クレーンは同一フレーム上に親クレーン用のアームと子クレーン用のアームが設置されており、それぞれ別の巻上機(ウインチ)が設置されている組立式簡易親子クレーンである。
【請求項3】
前記クレーンは、台形の台車上前方に門型の主柱を配置し、台車後方より前方の門型の上部斜め方向にパイプ状アームが取り付けられており、このアームに子クレーンとなる回転式巻上機内蔵クレーンを有する組立式簡易親子クレーン。
【請求項4】
前記クレーンは、クレーン用台車後方に、他の台車1台を擁し、その上方にカウンタウェイトとなる水タンクを配する組立式簡易親子クレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−133062(P2008−133062A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318364(P2006−318364)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(503224264)