説明

組立形テント

【課題】本発明は構造骨組立体から覆いシートを容易に取り外しでき、且つ周囲の大気並びに地面に対する気密構造も容易に形成できる、鮮度保持薬剤等による養生処理に求められる気密性を容易に形成できる、構造簡素にして安価な組立形テントを提供するものである。
【解決手段】構造骨1を継手2を介して分解組立可能にした室空間形成用の構造骨組立体3を形成し、該構造骨組立体3の内面に内張りされる天面内張りシート7と周面内張りシート8を有する袋状内張りシート9を形成し、該袋状内張りシート9を構造骨組立体3の天枠骨4に係脱可能な吊り具10を介して吊設し、更に上記構造骨組立体3の底枠骨5の下部開口面を地面敷設シート13で覆い、該地面敷設シート13の周縁部と上記周面内張りシート8の下縁部とを接合し、上記周面内張りシート8に開閉可能な出入口14を設けた組立形テント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分解組立可能な室空間形成用の構造骨組立体にシートを張設して成る組立形テント、殊に生鮮果物又は生鮮野菜の養生に用いる組立形の農業用養生テント、代表例として生鮮果物又は生鮮野菜を鮮度保持薬剤等で処理する場合に好適に用いられる組立形の農業用養生テントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1乃至4は本発明の組立形テントに関連する構造の組立形テントを示しており、これらは何れも構造骨組立体の外面に袋状シート等の覆いシートを外張りするか、又は構造骨組立体の開口部の内部にパネルを組み込む構造である。
【0003】
又床面は地面を直接室内に露出させるか、又は床骨にて高床を構築する構造である。
【特許文献1】実開昭52−61735号公報「組立式ビニルハウス」
【特許文献2】実開昭57−1543号公報「小形温室」
【特許文献3】実開昭58−155958号公報「組立式保温ボックス」
【特許文献4】特開2001−333648号公報「簡易温室」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して室空間形成用の構造骨組立体の外面に覆いシートを外張りする構造とした場合、覆いシートが構造骨の角等と接する部分において早期に損傷する問題、覆いシートが、内在する構造骨組立体によって制限され、構造骨組立体に馴良する設計が要求され、構造骨組立体の寸法が大きい場合には使用し難い。又総じて覆い作業と分解作業に手間が掛かる等の問題を有している。
【0005】
特に生鮮果物等を鮮度保持気体で養生する養生テントにおいては、周囲の大気並びに地面との気密性が要求されるが、上記特許文献1乃至4に代表されるテントは構造上、この周囲の大気並びに地面に対する気密性の確保に適切に応え難い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は構造骨組立体から覆いシートを容易に取り外しでき、且つ周囲の大気並びに地面に対する気密構造も容易に形成でき、従って鮮度保持薬剤等の養生気体処理に求められる気密性を容易に形成できる、構造簡素にして安価な組立形テントを提供するものである。
【0007】
要述すると、構造骨を継手を介して分解組立可能にした室空間形成用の構造骨組立体を形成し、該構造骨組立体の内面に天面内張りシートと周面内張りシートを有する袋状内張りシートを内装し、該袋状内張りシートを構造骨組立体の天枠骨に係脱可能な吊り具を介して吊設する構造にする。
【0008】
更に上記構造骨組立体の底枠骨の下部開口面を地面に敷設される地面敷設シートで覆い、該地面敷設シートの周縁部と上記周面内張りシートの下縁部とを接合し、全体を中空状シートにする。
【0009】
そして上記周面内張りシートに開閉可能な出入口を設ける。例えば上記袋状内張りシートを形成する周面内張りシートに開口を設け、該開口に上記構造骨組立体と一体且つ分解組立可能に組立てられるドア枠骨を配設し、該周面内張りシートの開口縁を該ドア枠骨に密着し、例えばドア枠骨に周面内張りシートの開口縁を巻き込み、又は押し込みする等して密着し、該ドア枠骨の開口面を覆う開閉可能なドアを設け上記出入口を形成する。
【0010】
上記袋状内張りシートは透明の合成樹脂シート、例えば補強糸で補強された透明の合成樹脂シートを用い、室内を透視可能にする。
【0011】
又上記地面敷設シートの周縁を上記周面内張りシートとの接合部から側方へ張り出してフランジを形成し、該フランジに上記構造骨組立体の底枠骨を載置して地面敷設シートの押さえを図ると共に、袋状内張りシートの押さえを図る。
【0012】
上記組立形テントを農業用養生テント、殊に生鮮果物や生鮮野菜を鮮度保持薬剤や脱渋薬剤等から発生する養生気体により養生する場合の養生テントとして好適であり、この場合、上記構造骨組立体の天枠骨に養生気体発生装置を支持する支持棚や吊り具等の支持手段を設ける。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る組立形テントは、袋状内張りシートの吊り具を解除するのみで、袋状内張りシートを構造骨組立体から分離して地面敷設シート上に落下することができ、又袋状内張りシートを構造骨組立体の天枠骨に吊設するのみで室空間の形成が容易に行え、総じて構造骨組立体に対する覆いシートの分解並びに組立てが頗る容易である。
【0014】
又覆いシートを形成する袋状内張りシートは構造骨組立体に制限されず、構造骨組立体の多少の寸法差にも容易に対応し得る。
【0015】
又従来例における覆いシートの内面を制限する構造骨組立体によるシート損傷を解消する。
【0016】
更には地面に敷設される地面敷設シートと上記袋状内張りシートとの協働により、周囲の大気並びに地面に対する良好な気密性を図り、該気密構造が容易に形成できる。
【0017】
上記組立形テント内への生鮮果物等の収容乃至搬出は上記周面内張りシートに設けた開閉可能な出入口により行い、この出入口は周面内張りシートの開口縁をドア枠骨に巻き込み、又は押し込む等して密着を図り、出入口周縁における気密組立てを容易にする。
【0018】
又上記袋状内張りシートは透明の合成樹脂シート、例えば補強糸で補強された透明の合成樹脂シートを用い、室内の生鮮果物等を透視可能にする。
【0019】
又上記地面敷設シートはその周縁に張り出したフランジに上記構造骨組立体の底枠骨を載置することにより、地面敷設シートと袋状内張りシートの押さえを図り、即ち覆いシート全体の押さえを図り、覆いシートがみだりに遊動するのを防止する。
【0020】
上記組立形テントは農業用養生テント、殊に生鮮果物や生鮮野菜を鮮度保持薬剤や脱渋薬剤等で処理する場合の養生テントとして好適に用いることができ、この場合、上記構造骨組立体の天枠骨に上記薬剤から養生気体を発生させるための養生気体発生装置を支持する支持手段を設け、室空間内への養生気体の広がりを助長する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
前記のように本発明は構造骨組立体から覆いシートを容易に取り外しでき、且つ周囲の大気並びに地面に対する気密構造も容易に形成でき、従って鮮度保持薬剤等から発生する養生気体で処理する場合に求められる気密性を容易に形成できる、構造簡素にして安価な組立形テントを提供するものである。
【0022】
以下上記組立形テントの具体例を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0023】
上記組立形テントは構造骨1を継手2を介して分解組立可能にした室空間形成用の構造骨組立体3により構築する。
【0024】
この構造骨組立体3の各構造骨1を管継手等の継手2を介して分解組立可能にする構造は、前記特許文献1乃至4に示すように既知であり、これら既知の分解組立構造の使用が可能である。
【0025】
具体例につき説明すると、構造骨1を方形に配し且つ各構造骨1を各コーナー部において管継手から成る三方エルボ等の継手2を介し分解可能に連結し天枠骨4を形成する。
【0026】
同様に構造骨1を方形に配し且つ各構造骨1を各コーナー部において管継手から成る三方エルボ等の継手2を介し分解可能に連結し底枠骨5を形成する。
【0027】
更に上記天枠骨4と底枠骨5間を支柱を構成する構造骨1にて連結し、該支柱構造骨1の上下端を上記三方エルボから成る管継手2の一つの管継手に差し込んで連結し、上記構造骨組立体3を分解可能に組立てる。
【0028】
又上記天枠骨4の中央部において交差する補強骨6を四方エルボから成る管継手2を介して十字形に分解可能に連結し、各補強骨6の端部を上記天枠骨4を構成する各構造骨1にC形管継手2を介して分解可能に連結する。
【0029】
上記天枠骨4と底枠骨5の構造骨1と支柱間は筋交いを形成する補強骨6にて継手2を介し分解可能に連結する。
【0030】
他方天面内張りシート7と周面内張りシート8を有する袋状内張りシート9を形成し、該袋状内張りシート9を上記構造骨組立体3の天面と側面に内張りし、該袋状内張りシート9を構造骨組立体3の天枠骨4を形成する構造骨1に係脱可能な吊り具10を介して吊設する。
【0031】
上記袋状内張りシート9は透明の合成樹脂シート、例えば補強糸で補強された透明の合成樹脂シートを用い、室内、即ち室内の収容物を透視可能にすると共に、太陽光を透過可能とする。
【0032】
更に上記構造骨組立体3の底枠骨5の下部開口面を地面に敷設される地面敷設シート13で覆い、該地面敷設シート13の周縁部と上記周面内張りシート8の下縁部とを接着乃至高周波シールによる融着等にて接合し、覆いシート全体を中空状シートにする。
【0033】
上記吊り具10としてはクリップ、面ファスナーベルト、吊り輪等を用いることできる。例えばクリップ又は面ファスナーベルトから成る吊り具10を天枠骨4を形成する構造骨1、又は上記袋状内張りシート9の天面内張りシート7の周縁部に予め取り付けて置く。
【0034】
又は天枠骨4の構造骨1を貫挿する吊り輪を上記袋状内張りシート9の天面内張りシート7の周縁部に予め取り付けて置く。
【0035】
具体例につき詳述すると、上記袋状内張りシート9の天面内張りシート7の周縁部と周面内張りシート8の上縁部で形成する角辺の外面にパッド11を貼付し、該パッド11によって支持された角辺から外方へ突設せる面ファスナーベルト12を設け、該面ファスナーベルト12を天枠骨4を形成する構造骨1に巻き付けて係着することにより、袋状内張りシート9並びに地面敷設シート13を該構造骨1に係脱可能に吊設する。
【0036】
又は上記袋状内張りシート9の天面内張りシート7の周縁部と周面内張りシート8の上縁部で形成する角辺からフック等の吊り具を突設し、該吊り具を天枠骨4を形成する構造骨1に掛け止めして袋状内張りシート9並びに地面敷設シート13を該構造骨1に係脱可能に吊設する。
【0037】
上記周面内張りシート8には開閉可能に密閉される出入口14を設ける。例えば上記袋状内張りシート9乃至中空状シートを形成する周面内張りシート8に開口15を設け、該開口15に上記構造骨組立体3と管継手2を介し一体且つ分解組立可能に組立てられるドア枠骨16を配設し、該周面内張りシート8の開口縁を該ドア枠骨16に密着する。
【0038】
例えばドア枠骨16に周面内張りシート8の開口縁を巻き込み、又は押し込みする等して密着し、該ドア枠骨16の開口面を覆う開閉可能なドア14aを設け上記出入口14を形成する。
【0039】
具体例としてドア枠骨16を外向きコ字形チャンネルから成る内側ドア枠骨16aと、外向きコ字形チャンネルから成る外側ドア枠骨16bとによって形成し、外側ドア枠骨16bをドア14aの内周縁に一体に取り付け、両ドア枠骨16a,16b間にパッキン材18aを配し、ドア14aの周縁部においてクリップ17により両ドア枠骨16a,16bを挟着し、両ドア枠骨16a,16b間の気密を図る。
【0040】
上記ドア14aは外側ドア枠骨16bの縦方向の一辺を内側ドア枠骨16aの縦方向の一辺にヒンジを介して片開き可能に結合することができる。
【0041】
又上記周面内張りシート8の出入口14を形成する開口縁を上記内側ドア枠骨16aのチャンネル溝内にパッキン材18bを介して巻き込み、即ちパッキン材18bに周面内張りシート8の開口縁を巻き付け、これを上記内側ドア枠骨16aのチャンネル溝内に押し込むことにより、同シート8の開口縁を同ドア枠骨16aに密着せしめ気密を図る。
【0042】
上記地面敷設シート13はその周縁を上記周面内張りシート8下縁との接合部から側方へ張り出してフランジ19を形成し、該フランジ19に上記構造骨組立体3の底枠骨5を載置して地面敷設シート13の押さえを図ると共に、袋状内張りシート9の押さえを図り、よって覆いシート全体を押さえ、遊動を防止する。
【0043】
上記組立形テントは農業用養生テント、殊に生鮮果物や生鮮野菜を鮮度保持薬剤や脱渋薬剤等により養生する養生テントとして好適に用いることができる。この場合、上記構造骨組立体3の天枠骨4に上記薬剤から養生気体を発生させるための養生気体発生装置を支持する支持棚20等の支持手段を設ける。好ましくは該支持棚20等の支持手段を天枠骨4の中央補強骨6の中央クロス部に配置する。即ち天面内張りシート7の中央部に配置する。
【0044】
上記組立形テントにおいては、袋状内張りシート9の吊り具10を解除するのみで該袋状内張りシート9を構造骨組立体3から分離して地面敷設シート13上に落下することができる。
【0045】
又袋状内張りシート9を構造骨組立体3の天枠骨4に吊設するのみで室空間を形成できる。総じて構造骨組立体3に対する覆いシートの分解並びに組立てが頗る容易である。
【0046】
又覆いシートを形成する袋状内張りシート9は構造骨組立体3に制限されず、構造骨組立体3の多少の寸法差にも容易に対応し得る。又構造骨組立体3による覆いシートの損傷を有効に解消する。
【0047】
更に地面に敷設される地面敷設シート13とこれに接合される上記袋状内張りシート9との協働により、周囲の大気並びに地面に対する気密性を図る構造が容易に形成できる。
【0048】
上記組立形テント内への生鮮果物又は生鮮野菜等の収容乃至搬出は上記周面内張りシート9に設けた開閉可能な出入口14により行い、この出入口14は周面内張りシート8の開口縁をドア枠骨16に巻き込み、又は押し込む等して密着し、出入口14周縁における気密組立てを容易にする。
【0049】
又上記地面敷設シート13はその周縁に張り出したフランジ19に上記構造骨組立体3の底枠骨5を載置して覆いシート全体の押さえを図り、袋状内張りシート9並びに地面敷設シート13がみだりに遊動するのを防止する。
【0050】
又上記組立形テントの上記構造骨組立体3の天枠骨4に設けた養生気体の発生装置の支持棚20により、養生気体発生装置の設置の便に供し、天井からの室空間内への養生気体の広がりを助長し、養生を健全に遂行できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】組立形テントを形成する構造骨組立体の斜視図。
【図2】上記構造骨組立体に袋状内張りシートを吊設し地面敷設シートを敷設した状態を示す斜視図。
【図3】同側面図。
【図4】上記袋状内張りシートを面ファスナーベルトにより構造骨組立体の天枠骨に係脱可能に吊設した状態を示す要部断面図。
【図5】組立形テントの出入口をドアにより形成した状態を示す横断面図。
【符号の説明】
【0052】
1…構造骨、2…継手、3…構造骨組立体、4…天枠骨、5…底枠骨、6…補強骨、7…天面内張りシート、8…周面内張りシート、9…袋状内張りシート、10…吊り具、11…パッド、12…面ファスナーベルト、13…地面敷設シート、14…出入口、14a…ドア、15…開口、16…ドア枠骨、16a…内側ドア枠骨、16b…外側ドア枠骨、17…クリップ、18a,18b…パッキン材、19…フランジ、20…支持棚。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造骨を継手を介して分解組立可能にした室空間形成用の構造骨組立体を形成し、該構造骨組立体の内面に内張りされる天面内張りシートと周面内張りシートを有する袋状内張りシートを形成し、該袋状内張りシートを構造骨組立体の天枠骨に係脱可能な吊り具を介して吊設し、更に上記構造骨組立体の底枠骨の下部開口面を地面敷設シートで覆い、該地面敷設シートの周縁部と上記周面内張りシートの下縁部とを接合し、上記周面内張りシートに開閉可能な出入口を設けたことを特徴とする組立形テント。
【請求項2】
上記袋状内張りシートが透明の合成樹脂シートから成ることを特徴とする請求項1記載の組立形テント。
【請求項3】
上記地面敷設シートの周縁を上記周面内張りシートとの接合部から側方へ張り出してフランジを形成し、該フランジに上記構造骨組立体の底枠骨を載置することを特徴とする請求項1記載の組立形テント。
【請求項4】
上記構造骨組立体の天枠骨に生鮮果物又は生鮮野菜を養生処理するための養生気体発生装置を支持する支持手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の組立形テント。
【請求項5】
上記袋状内張りシートを形成する周面内張りシートに開口を設け、該開口に上記構造骨組立体と一体に組立てられるドア枠骨を配設し、該周面内張りシートの開口縁を該ドア枠骨に密着し、該ドア枠骨の開口面を覆う開閉可能なドアを設け上記出入口を形成したことを特徴とする請求項1記載の組立形テント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−265900(P2006−265900A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83895(P2005−83895)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(390025335)マサル工業株式会社 (8)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】