説明

組立段状構造物の組立ユニット、及び組立方法

【課題】この発明は、単純な構造で、簡便に組立てることのできる組立段状構造物を提供することを目的とする。
【解決手段】複数を段状且つ一方向に連結して階段状の構造部である組立式階段1を構成する組立ユニット10であって、該組立ユニット10を、横方向のウェブ板22と縦方向のフランジ板23とで構成する本体部材20と、フランジ板23上面に載置する幅広の踏面台座板40とで構成し、ウェブ板22の手前側端部に備えた挿入突出部31と奥側端部に円筒部33とで連結部30を構成するとともに、本体部材20、連結部30及び踏面台座板40を板材で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、住宅や倉庫などの階建ての建造物に設置する階段、屋外ステージの段状の観客席、或いは商店における雛段状の商品陳列棚等に使用される段状構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅や倉庫などの階建ての建造物に設置する階段、屋外ステージの段状の観客席、或いは商店における雛段状の商品陳列棚等のように階段状の構造物(以下において「段状構造物」という)は多く存在しており、それら段状構造物は、一段ずつ構築するため、構築のための手間がかかるものであった。
【0003】
そのような状況において、段状構造物のうち階段を構築する組立式階段が提案されている(特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の組立式階段は、上向きに突設した柱体と、該柱体の嵌合を許容する筒受け部とを備えた階段ブロックを複数連結し、階段ブロックの上面に踏板を固定するものである。
【0004】
しかし、上記組立式階段は、構造物を段状に構成する本体部材分である階段ブロックが名称の通りブロック化されたものであり、複雑な構造であった。このような複雑な構造の階段ブロックを形成するための加工コストは高く、利用者の満足を得るものではなかった。
【0005】
【特許文献1】実開昭58−153635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、単純な構造で、簡便に組立てることのできる組立段状構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、複数を段状且つ一方向に連結して階段状の構造部である組立段状構造物を構成する組立ユニットであって、該組立ユニットを、横方向のフランジ部と縦方向のウェブ部とで構成する本体部材と、前記フランジ部上面に載置する幅広の載置部材とで構成し、前記ウェブ部の連結方向の端部に、連結する組立ユニットと連結する連結手段を備え、前記本体部材及び前記載置部材を板材で構成した組立ユニットであることを特徴とする。
【0008】
上記構成により、組立ユニットを組立てて、階段や段状の観客席、あるいは雛段状の商品陳列壇等の段状構造物を簡便に組立てることができる。なお、組立ユニットを構成する本体部材及び載置部材を板材で構成したため、単純な構造で組立ユニットを構成できる。
【0009】
また、板材で構成しているため、本体部材及び載置部材を構成するための手間がかからず、また簡易な加工で構成できるため、利用者の満足度を向上することができる。さらには、単純な構造及び簡易な加工によって板材から本体部材及び載置部材を構成したため、耐力が高く、且つ軽量化を図ることができる。
【0010】
また、簡易な加工で構成できるため、組立ユニットの製作コストを低減することができる。
【0011】
なお、上記横方向のフランジ部と縦方向のウェブ部とで構成する本体部材は、略水平方向のフランジ部と、略鉛直方向のウェブ部とで構成された正面視T型、L型、コの字型、或いはI型に構成された本体部材であることを含む。
【0012】
また、上記連結手段は、連結する両方のウェブ部に備えた2つの連結部材で構成する連結手段、あるいは、連結する一方のウェブ部に備えた1つの連結部材で構成する連結手段であることを含む。
【0013】
この発明の態様として、前記本体部材を、前記フランジ部と前記ウェブ部とで構成する2つの略逆L型部材を、両フランジ部が幅方向外側となるように幅方向に対称な向きで対向させて正面視T型に構成することができる。
上記構成により、容易に、断面2次モーメントの高い断面形状である正面視T型の本体部材を板材で形成できる。したがって、軽量且つ強度のある本体部材を形成することができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記連結手段を、前記ウェブ部の手前側端部に備え、前記ウェブ部の下端より下向きに突出する挿入突出部と、前記ウェブ部の奥側端部に備え、連結する組立ユニットの前記挿入突出部の挿入を許容する被挿入凹部とで構成することができる。
上記構成により、連結する組立ユニットの前記挿入突出部を被挿入凹部に挿入することで、容易に組立ユニットを連結することができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記挿入突出部及び前記被挿入凹部を、断面C型の円筒部分と、断面C型の両端部に備え、互いに平行な断面直線状に形成した平板状の取付板部分とで構成し、前記円筒部分及び前記取付板部分を、板材を加工して一体形成することができる。
上記構成により、簡易な加工により、強度のある挿入突出部及び被挿入凹部を形成することができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記被挿入凹部に、連結する組立ユニットの前記挿入突出部が挿入された挿入連結状態を固定する連結固定部材を備えることができる。
上記構成により、挿入連結状態にある被挿入凹部と挿入突出部とを固定できるため、組立ユニットの連結を確実に固定できる。したがって、複数の組立ユニットを連結して構成する組立段状構造物を堅固に構成でき、構造安定性を向上することができる。
【0017】
なお、上記連結固定部材は、被挿入凹部への挿入突出部の挿入方向に配置したボルトで構成することができる。これにより、被挿入凹部から挿入突出部が抜け出る方向に拘束しているため、組立ユニットを確実に連結固定することができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記ウェブ部に高さ方向にリブを備えるとともに、前記フランジ部に幅方向のリブを備えることができる。
上記構成により、リブを備えた方向におけるそれぞれ部材の強度を向上させることができる。したがって、組立てられた段状構造物の負荷に対する変形量を低減できるため、段状構造物を利用する利用者は、安心して利用することができる。
【0019】
また、各部材の強度が向上するため、組立段状構造物の耐久性が向上し、例えば、組立段状構造物のメンテナンス頻度を抑制できるため、段状構造物の設置管理者にとって、利便性が向上する。
【0020】
なお、上記リブは、板状のウェブ部及びフランジ部の一部を変形加工して構成するリブ、或いは別部材を取付けて構成するリブであることを含み、例えば、リブを板状のウェブ部及びフランジ部の一部を変形加工して構成した場合、別部材を取付けてリブを構成した場合と比較して、組立ユニットを構成する各部材の重量を低減できる。したがって、組立段状構造物の死荷重を低減でき、リブ設置による強度増加の効果をより得ることができる。
【0021】
また、この発明の態様として、前記載置部材に、幅方向のリブを備え、該載置部材のリブと、前記フランジ部に備えたリブとを、嵌合対応する断面形状で形成することができる。
上記構成により、利用時の本体部材に対する載置部材の奥行き方向のズレを防止できる。詳述すると、例えば、上記組立段状構造物を、段状観客席や階段として使用する場合等において、利用者は載置部材の上面を昇降する際に、その昇降時の利用者の踏み込みによって載置部材には奥行き方向の反力が作用するが、載置部材の幅方向のリブと本体部材のフランジ部の幅方向のリブとが、上記反力に対向するように奥行き方向に嵌合しているため、載置部材が反力方向に本体部材からずれて外れることを防止している。したがって、組立段状構造物の安全性を向上することができる。
【0022】
また、この発明は、上述した組立ユニットを、複数連結して、階段状の構造部を構成した組立段状構造物であることを特徴とする。
上記組立段状構造物は、住宅や倉庫などの階建ての建造物に設置する階段、屋外ステージの段状の観客席、或いは商店における雛段状の商品陳列棚等であることを含み、上記構成により、簡便な組立により組立ユニットを組立て、容易に組立段状構造物を構築することができる。
【0023】
また、この発明は、複数の組立ユニットを段状且つ一方向に連結して、階段状の構造部を構成する組立段状構造物の組立方法であり、該組立ユニットを、板状且つ横方向のフランジ部と板状且つ縦方向のウェブ部とで構成する本体部材と、前記フランジ部上面に載置する板状且つ幅広の載置部材とで構成し、前記ウェブ部の手前側端部に、前記ウェブ部下端より下向きに突出する挿入突出部を備えるとともに、前記ウェブ部の奥側端部に、連結する組立ユニットの前記挿入突出部の挿入を許容する被挿入凹部を備え、前記被挿入凹部に、連結する組立ユニットの前記挿入突出部を挿入する挿入工程と、前記被挿入凹部に前記挿入突出部が挿入された挿入連結状態を連結固定部材で固定する連結固定工程と、前記フランジ部上面に、前記載置部材を取付ける載置部材取付工程とを有する組立段状構造物の組立方法であることを特徴とする。
【0024】
この組立方法により、連結する組立ユニット挿入突出部を、本体部材に備えた被挿入凹部に挿入し、その挿入連結状態を連結固定部材で固定してから、載置部材を取付けるため、容易且つ確実に連結固定部材で固定することができる。
【0025】
詳しくは、先に載置部材をフランジ部材に取付ける取付方法と比較して、連結固定部材を固定する固定作業において載置部材が支障することを防止できるため、確実且つ安全に組立ユニットを連結して固定することができる。したがって、組立段状構造物の組立作業を安全に施工することができる。
【0026】
この発明の態様として、前記挿入工程の前に、前記フランジ部と前記ウェブ部とで構成する2つの略逆L型部材を、両フランジ部が幅方向外側となるように幅方向に対称な向きで対向させて正面視T型の前記本体部材を構成する本体部材構成工程を有することができる。
【0027】
これにより、断面強度の強い本体部材を容易に構成することができる。
また、本体部材を2つの略逆L型部材で構成するため、一体型の本体部材と比較して各略逆L型部材を軽量に構成することができるため、例えば、組立ユニットの組立作業において、軽量な各略逆L型部材を扱う組立作業者の満足を得ることができる。
【0028】
また、この発明の態様として、前記フランジ部と前記載置部材のそれぞれに、幅方向のリブを備え、前記載置部材取付工程を、前記載置部材のリブと、前記フランジ部に備えたリブとを嵌合するリブ嵌合工程と、前記フランジ部に、前記載置部材を固定する載置部材固定工程とで構成することができる。
【0029】
上記構成により、載置部材を固定する載置部材固定工程前に、載置部材のリブをフランジ部に備えたリブとを嵌合するため、この嵌合状態によって、載置部材のフランジ部に対する仮留めとなり、例えば、ボルトを螺挿する際に、載置部材が外れる等の事故を防止できるため、安全且つ確実にフランジ部材に載置部材を取付けることができる。
上記フランジ部に前記載置部材を固定する載置部材固定工程は、ボルトとナットによる固定、ボンド等の接着剤による接着固定等であることを含む。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、単純な構造で、簡便に組立てることのできる組立段状構造物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本発明の組立式階段1は、組立式階段1の側面図である図1と、組立式階段1の正面図である図2と、組立式階段1の斜視図である図3に示すように、複数の組立ユニット10を連結して、1階フロア(以下において「1FL」という)と、2階フロア(以下において「2FL」という)との間に設置する組立式の階段である。
【0032】
なお、本実施例の図においては、作図面積の都合上、便宜的に6段のステップで構成した組立式階段1を示している。一般的な住宅においては、13段程度の段数で構成することが多く、段数は設置場所に応じて設定されている。
【0033】
本実施例の組立式階段1は、上述したように、6段のステップで構成するため、6つの組立ユニット10で構成し、最下段に設置する最下段組立ユニット10aは1FLに固定し、図1のa部拡大図を示すように、最上段に設置する最上段組立ユニット10bを2FLの側面に備え付けた固定金具60で固定して構成している。
【0034】
組立ユニット10は、組立ユニット10の分解斜視図である図4、組立ユニット10の構成部品の加工について説明する説明図である図5、組立ユニット10の分解側面図である図6、組立ユニット10に連結部30を組付けた状態の平面図である図7、及び組立ユニット10の側面図である図8に示すように、本体部材20、連結部30、踏面台座板40、踏面化粧板50及び蹴込み板55で構成されている。
【0035】
組立ユニット10は、ウェブ板22a,22bとフランジ板23a,23bとで正面視逆L型に構成された逆L型板21a、21bを、両フランジ板23a,23bが幅方向(図7において上下方向)の外側となるように、ウェブ板22a,22b同士を対向させて、正面視T型に構成している。
【0036】
なお、ウェブ板22a,22bは下端を手前側に下向きに傾斜させている。上記のような階段の場合、具体的には、手前側を210mm、奥側を150mm、奥行き長さを170mm程度に設定した側面視逆台形状に形成し、フランジ板23a,23bの幅方向長さを140mm程度の設定するとよい。
【0037】
また、ウェブ板22a,22bとフランジ板23a,23bの手前側と奥側に2本のリブ24を備えている。リブ24は、ウェブ板22a,22bからフランジ板23a,23bにかけて連続し、ウェブ板22a,22bにおいては幅方向外側に、フランジ板23a,23bにおいては下向きに凸な逆三角断面形状に、プレス加工によって形成されている。
【0038】
さらに、フランジ板23a,23b部分のリブ24bはフランジ板23a,23bの幅方向外側端部まで形成されるとともに、フランジ板23a,23bの幅方向中央付近のリブ24bには踏面台座板40と螺着するためのボルトの挿通を許容するボルト孔25を備えている。
【0039】
なお、図7に示すように、逆L型板21aと逆L型板21bとを組み合わせることによって、フランジ板23aとフランジ板23bのリブ24bは幅方向の1本のリブを構成する。
【0040】
また、ウェブ板22a,22b部分のリブ24aはリブ24bと同程度の長さで形成されて、リブ24aの下端を側面視下向きに凸な三角形状に絞り込んで形成している。
また、ウェブ板22a,22bにおける手前側端部、及び奥側端部に縦方向に所定間隔を隔てて3つ配置したリベット孔26a,26bを備えている。
【0041】
なお、このように構成された逆L型板21a,21bは、所定形状に形成した1枚の適宜の板厚のスチール板21cに曲げ加工及びプレス加工を施して上記形状に加工し、表面処理としてクロームメッキを施している。具体的には、板厚2.3mmのスチール板21cを用いている。
【0042】
連結部30は、本体部材20の手前側に配置する挿入突出部31と、本体部材20の奥側に配置する被挿入凹部34とで構成している。
挿入突出部31は、ウェブ板22a,22bの手前側の高さH1(図6)と同じ高さの取付板部32と、該取付板部32の手前側端部に備え、取付板部32の半分程度の長さが取付板部32下端から下方に突出するように中空の円筒形の円筒部33とで構成している。
【0043】
取付板部32には、本体部材20の手前側に配置したリベット孔26aに対応する位置及び大きさのリベット孔32aを備えている。
円筒部33は、後述する被挿入凹部34の円筒部36に挿入するため、円筒部36の内径より小さな外径で形成している。具体的には、外径φ22.4mm程度に形成すればよい。
【0044】
なお、挿入突出部31は、図5に示すように、所定の形状に形成した1枚の適宜の板厚のスチール板31bの取付板部32を形成する取付板形成部32b(図5において斜線で示す部分)を重ね合わせるようにして、円筒部33を形成する部分である円筒形成部33b(図5において斜線で示す部分)にロール加工して、取付板部32と円筒部33とを一体形成し、表面処理としてクロームメッキを施している。具体的には、板厚2.3mmのスチール板31bを用いている。
【0045】
被挿入凹部34は、ウェブ板22a,22bの奥側の高さH2と同じ高さの取付板部35と、該取付板部35の奥側端部に備え、踏面化粧板50の厚みと同程度の高さが取付板部35の上端から上方に突出するように中空の円筒形の円筒部36とで構成している。
【0046】
なお、円筒部36の奥側上端には、後述する踏面化粧板50の高さと同程度の深さの切込み36aを備えている。この切込み36aに、挿入突出部31の円筒部33が挿入された際にウェブ板22a,22bの手前側下端27が挿入される。
【0047】
取付板部35には、本体部材20の奥側に配置したリベット孔26bに対応する位置及び大きさのリベット孔35aを備えている。
円筒部36は、上述した被挿入凹部34が内側に挿入されるため、円筒部33の外径より大きな内径で形成している。具体的には、円筒部33の外径φ22.4mmよりわずかに大きな内径φ23mm程度に形成すればよい。
【0048】
なお、被挿入凹部34は、図5に示すように、所定の形状に形成した1枚の適宜の板厚のスチール板34bの取付板部35を形成する取付板形成部35b(図5において斜線で示す部分)を重ね合わせるようにして、円筒部36を形成する部分である円筒形成部36b(図5において斜線で示す部分)にロール加工して、取付板部35と円筒部36とを一体形成し、表面処理としてクロームメッキを施している。具体的には、板厚2.3mmのスチール板34bを用いている。
【0049】
踏面台座板40は、上述したフランジ板23a,23bに載置する、フランジ板23aとフランジ板23bとを合わせた幅方向の長さより2倍程度長い平面視長方形であり、フランジ板23a,23bに設置したリブ24bに、嵌合対応する形状、且つ配置のリブ41を備えている。
【0050】
詳述すると、リブ41は、リブ24bに対応するように、踏面台座板40の手前側と奥側の2ヶ所に備え、それぞれのリブ41を下向きに凸な逆三角断面形状にプレス加工して形成している。
また、リブ41は、踏面台座板40の幅方向長さの2/3程度の長さで幅方向に中央配置され、両端を平面視幅方向外側向きに凸な三角形状に絞り込んで形成している。
【0051】
さらには、リブ24bに設置したボルト孔25に対応する位置に螺着ためのボルト孔42を備え、ボルト孔42にはフランジ板23a,23bの底面側から挿入されたボルトが螺挿される固定ナット43が固定されている。
なお、踏面台座板40は、1枚の適宜の板厚のスチール板40aにプレス加工を施して上記形状に形成し、表面処理としてクロームメッキを施している。具体的には、板厚2.3mmのスチール板40a用いている。
【0052】
階段の踏み面を構成する踏面化粧板50は、例えば、幅方向900mm、奥行き方向230mm及び板厚30mmの樹脂板で構成され、上面奥側、及び下面手前側に、後述する蹴込み板55が嵌着する幅方向の嵌着溝51a,51bを備えている。なお、嵌着溝51a,51bは、5mm程度の深さに形成している。
【0053】
蹴込み板55は、上記嵌着溝51a,51bに嵌着され、略鉛直方向に配置される薄板で構成され、踏面化粧板50と同じ幅方向長さに形成されている。なお、蹴込み板55の高さは、組立ユニット10の組付け高さによるが、本実施例おいては、本体部材20の手前側高さに210mm程度に嵌着溝51a,51bの深さ5mmずつを加えた220mm程度に形成している。
【0054】
なお、本体部材20、連結部30、踏面台座板40、踏面化粧板50並びに蹴込み板55の上述した具体的なサイズの数値は、例えば建築基準法等で規定された標準的なサイズ範囲の階段を構成するためのサイズであり、組立段状構造物として異なる用途で使用する場合、上記サイズと異なる構成で構成してもよい。
【0055】
このように、逆L型板21a,21bの手前側端部で挿入突出部31の取付板部32を幅方向両側から挟みこみ、奥側端部で被挿入凹部34の取付板部35を幅方向両側から挟みこんで、リベット70で可締めて本体部材20を組付け、フランジ板23に踏面台座板40を取付け、踏面台座板40に踏面化粧板50及び蹴込み板55を設置することによって成する組立ユニット10を構成することができる。
【0056】
また、組立ユニット10のうち主要な構造部材を構成する本体部材20、連結部30(31,34)、及び踏面台座板40を、上述したように、それぞれ1枚の適宜の板厚のスチール板を加工して上記形状に形成しているため、例えばブロック形状で形成する場合と比較して、組立ユニット10を単純な加工で形成できる。
【0057】
より詳しくは、ブロック形状等であれば、複雑な形状の金型と、複数回にわたる加工が必要となることが多い。しかし、上記本体部材20、連結部30及び踏面台座板40は、図5に示すように、スチール板を加工しているため、単純な構造の金型で加工できる。
【0058】
なお、このような画一的で、単純な加工で形成できるため、組立ユニット10のうち主要な構造部材を構成する本体部材20、連結部30及び踏面台座板40を、均一な品質で形成でき、安全性の高い組立式階段1を構築することができる。
【0059】
また、ウェブ板22a,22bとフランジ板23a,23bとを、一枚のスチール板から加工するとともに、ウェブ板22a,22bとフランジ板23a,23bとの正面視隅角部を跨いで連続するリブ24を構成したことにより、ウェブ板22a,22bに対するフランジ板23a,23bの屈曲方向、すなわちフランジ板23a,23bの張出方向の強度を向上することができる。
【0060】
また、フランジ板23a,23bのリブ24bと嵌合対応した踏面台座板40のリブ41を設置したことにより、フランジ板23a,23b及び踏面台座板40の張り出し方向の強度をさらに向上することができる。したがって、踏面化粧板50を介して、正面視T型の中央を中心とする下向きのモーメント力が付加した場合であっても、上記リブ24及びリブ41によってフランジ板23a,23b及び踏面台座板40の撓み量を減少することができる。
【0061】
また、リブ24aの下端及びリブ41の幅方向端部を絞り込んだ形状で形成したため、リブ24aによるウェブ板22a,22bに対する強度増加による効果、リブ41による踏面台座板40に対する強度増加による効果を向上することができる。
【0062】
また、踏面台座板40に踏面化粧板50、及び蹴込み板55を取付けたことにより、意匠性の高い組立式階段1を構成することができる。例えば、組立式階段1の設置場所に応じた、例えば大理石風のようなデザイン性の高い踏面化粧板50を取付けることによって、その設置場所にマッチした組立式階段1を構築でき、利用者の満足度を向上することができる。
【0063】
上記構成で構成した組立ユニット10を複数連結することによって、簡便、且つ安全に組立式階段1を構成することができる。
詳しくは、組立ユニット10に連結部30を組付けた状態の斜視図である図9、本体部材20の連結について斜視図によって説明する説明図である図10、踏面台座板40の取付けについて斜視図によって説明する説明図である図11、踏面化粧板50及び蹴込み板55の取付けについて斜視図によって説明する説明図である図12、組立式階段1の幅方向中心付近の拡大断面図を示す図13とともに、組立式階段1について説明する。
【0064】
まず、組立式階段1の組立にあたり、図9に示すように、本体部材20及び挿入突出部31及び被挿入凹部34を組付ける。詳述すると、逆L型板21a,21bを、フランジ板23a,23bが幅方向外側向きとなるように、ウェブ板22a,22b同士を対向させ、手前側端部で挿入突出部31の取付板部32を幅方向両側から挟みこみ、奥側端部で被挿入凹部34の取付板部35を幅方向両側から挟みこんで、連通するリベット孔26a及びリベット孔32a、並びにリベット孔26b及び35aにリベット70を挿入し、リベット70を可締めて、本体部材20に挿入突出部31及び被挿入凹部34を組付ける。
【0065】
このようにして、手前側端部に下端から下向きに突出する円筒部33と、奥側端部に上端から上向に突出する円筒部36とを備えた正面視T型の本体部材20を構成することができる。なお、以下において、この状態の本体部材20を、挿入突出部31と被挿入凹部34とで構成する連結部30が取付けられた連結付本体部材20aという。
【0066】
この連結付本体部材20aを必要数分組付け、最初に最下段の最下段組立ユニット10aとなる連結付本体部材20a(以下において、「最下段用連結付本体部材20b」)をセットする。詳しくは、1FLに予め埋め込み設置されたアンカーパック100の鉛直方向の螺子切り鉄筋100aを最下段用連結付本体部材20bの円筒部33に挿入し、螺子切り鉄筋100aにナット100bを螺着して最下段用連結付本体部材20bを固定する。
【0067】
この最下段用連結付本体部材20bの設置角度が組立式階段1の設置角度に影響するため、高さ位置、幅方向及び奥行き方向の傾斜を調整して設置する。なお、1FL〜2FLの高さによっては、上記サイズで構成した組立ユニット10を組付けた場合、最上段組立ユニット10bから2FLまでの高さが高くなりすぎる場合等において、最下段用連結付本体部材20bの設置高さを調整すればよい。
【0068】
そして、1FLへの固定が完了した最下段用連結付本体部材20bの円筒部36に、次の連結付本体部材20aの円筒部33を挿入する。このようにして、次の挿入突出部31の円筒部33を、セットされた連結付本体部材20aの被挿入凹部34の円筒部36に挿入することによって、挿入突出部31と被挿入凹部34とは連結付本体部材20aを連結する連結部30を構成することができる。
【0069】
このとき、図10のc部拡大図に示すように、次の連結付本体部材20aのウェブ板22a,22bの手前側下端27が切込み36a下端に届くまで、円筒部33を円筒部36に挿入する。そして、この状態で、円筒部33と円筒部36を連通する中空部分に上側から連結ボルト71を挿入し、貫通した連結ボルト71に連結ナット72を螺挿する(連結固定工程)。
【0070】
これにより、図13に示すように、連結ボルト71と連結ナット72とで円筒部33上端と円筒部36下端とを、円筒部33の挿入方向である上下方向から挟みこんで、円筒部33と円筒部36の挿入連結状態を固定する。
【0071】
これにより、円筒部33に円筒部36が挿入された下側の連結付本体部材20aと、円筒部33に円筒部36を挿入した次の連結付本体部材20aとを、確実に連結固定することができる。
【0072】
ここで、再度最下段用連結付本体部材20bの姿勢を姿勢アジャスタ90で調整する。詳しくは、図1のb部拡大図に示すように、最下段用連結付本体部材20bとそれに連結した連結付本体部材20aとの連結部30を連結固定する連結ボルト71と連結ナット72の連結ボルト71や連結ナット72の底面の1FL上面から高さを調整しながら姿勢アジャスタ90で支持する。
【0073】
姿勢アジャスタ90は、1FL床面に設置する平面視円形の設置板91の平面視中央から上向きに突設したアジャスタオス部92と、該アジャスタオス部92に対して螺入出して高さ位置を調整するアジャスタメス部93とで構成している。
【0074】
このアジャスタメス部93は、内部が中空の円筒形であり、高さ方向中央付近に隔壁93aを備えている。そして、下端側の内周面に、アジャスタオス部92と螺合するねじ山を形成している。
【0075】
アジャスタメス部93をアジャスタオス部92に対して螺入出して、隔壁93aで連結ボルト71の先端を支持して高さを調整することにより、最下段用連結付本体部材20bの奥行き方向の傾斜を調整し、高精度に水平な状態にセットすることができる。
【0076】
また、最下段用連結付本体部材20bの被挿入凹部34に次の連結付本体部材20aが連結されたことにより、最下段用連結付本体部材20bの挿入突出部31に、連結された連結付本体部材20aによる曲げモーメントが付与され、奥行き方向に傾斜することが多いが、姿勢アジャスタ90によって、上記曲げモーメントによる最下段用連結付本体部材20bの傾斜を補正することができる。
【0077】
さらには、複数の連結付本体部材20aが連結され、最下段用連結付本体部材20bが奥行き方向に傾斜した場合であっても、姿勢アジャスタ90によって、1FLから最下段用連結付本体部材20bに付与される荷重を支持できるため、高精度に最下段用連結付本体部材20bの水平性を確保することができる。したがって、最下段用連結付本体部材20bに連結される複数の連結付本体部材20aの水平性も確保することができる。
【0078】
このようにして上記連結を繰り返し、最下段用連結付本体部材20bから最上段組立ユニット10bを構成する連結付本体部材20a(以下において、「最上段用連結付本体部材20c」)までの連結付本体部材20aを連結固定し、最上段用連結付本体部材20cの円筒部36を、側面視コの字型に構成し、2FLの側面に設置された固定金具60(図1中a部拡大図参照)の上下のフランジ61の間に挿入し、該フランジ61を貫通する取付ボルト62で固定する。
【0079】
これにより、この最下段用連結付本体部材20bから最上段用連結付本体部材20cまで連結された連結付本体部材20aが、1FL及び2FLの側面に接続され、組立式階段1に付加される荷重を担う堅固な骨組み構造を構成することとなる。
【0080】
連結付本体部材20aの連結が完了すると、図11に示すように、各連結付本体部材20aのフランジ板23a,23bに踏面台座板40を取付ける(踏面台座板取付工程)。このとき、踏面台座板40のリブ41が、フランジ板23a,23bに備えたリブ24bとを嵌合させ(リブ嵌合工程)、さらには、リブ41に備えたボルト孔42とボルト孔25とが連通するように、フランジ板23a,23bに対して踏面台座板40を配置し、フランジ板23a,23bの底面側から図示省略する固定ボルトでボルト孔42に備えた固定ナット43に螺挿して固定する(踏面台座板固定工程)。
【0081】
なお、フランジ板23a,23bへの踏面台座板40の取付けは、最下段用連結付本体部材20bから順に取付けていくことによって、例えば、作業者の手が届きにくい高さの連結付本体部材20aであっても、既に下方の連結付本体部材20aに取付けた踏面台座板40に乗って、高い位置の連結付本体部材20aに踏面台座板40を取付ければ、無理な姿勢での取付け作業等を防止でき、安全に踏面台座板40を取付けることができる。
【0082】
また、フランジ板23a,23bの底面側から挿入したボルトで踏面台座板40のボルト孔42に固定された固定ナット43に螺挿して固定するため、高い位置の連結付本体部材20aであっても、フランジ板23a,23bの底面側から螺挿作業ができ、安全且つ確実に作業することができる。
【0083】
フランジ板23a,23bへの踏面台座板40の取付けが完了すると、取付けられた踏面台座板40の上面に踏面化粧板50を取付けるとともに、上下の踏面化粧板50の間に蹴込み板55を設置する。詳しくは、図12に示すように、まず、踏面台座板40の上面に踏面化粧板50を取付け、踏面化粧板50の上面奥側に備えた嵌着溝51aに蹴込み板55の下辺を嵌着する。
【0084】
この状態で、次の段の連結付本体部材20aに取付けた踏面台座板40の上面に踏面化粧板50を取付けるが、このとき、踏面化粧板50の下面手前側に備えた嵌着溝51bに蹴込み板55の上辺を嵌着して、次の段の踏面化粧板50を取付ける。これにより、下の段の踏面化粧板50の嵌着溝51aと上の段の踏面化粧板50の嵌着溝51bとで上下を挟まれるような態様で蹴込み板55を鉛直状態で固定することができる
このように、踏面化粧板50及び蹴込み板55の取付を最上段用連結付本体部材20cまで繰り返して、組立式階段1の組付けは完了する。
なお、踏面台座板40の取付けと同様に、踏面化粧板50及び蹴込み板55の取付けにおいても、下から順に取付けることによって、安全に行うことができる。
【0085】
上記構成で構成する組立ユニット10を、上記組立方法で組立てることによって、安全且つ容易に堅固な組立式階段1を組立てることができる。
詳しくは、まずはアンカーパック100の鉛直方向の螺子切り鉄筋100aに最下段用連結付本体部材20bをセットし、セットされた最下段用連結付本体部材20bの円筒部36に連結する連結付本体部材20aの円筒部33を挿入し、これを繰り返して連結付本体部材20a同士を連結することができる。したがって、複雑な調整等せずとも、円筒部36に円筒部33を挿入するという単純な作業の繰り返しによって連結付本体部材20aを連結することができる。
【0086】
また、円筒部36に挿入された円筒部33を、円筒部33及び円筒部36の連通する中空部分に上側から挿入した連結ボルト71と連結ナット72で円筒部33及び円筒部36の挿入方向である上下方向から挟みこんで、円筒部33と円筒部36の挿入連結状態を固定するため、円筒部36に対する円筒部33の抜け出し方向を、連結ボルト71及び連結ナット72で拘束しているため、円筒部36に挿入された円筒部33との挿入連結状態を確実に固定することができる。
【0087】
また、円筒部33及び円筒部36の連通する中空部分に連結ボルト71を挿入し、連結ナット72を螺着するという単純な作業なであるため、単純工であっても、確実に連結固定することができる。
【0088】
さらに、連結ボルト71と連結ナット72とを螺着して連結固定する際において、レンチやスパナ等の一般的な組立工具で連結作業できるため、特別な工具を必要とする連結作業と比較して、作業性が向上する。
【0089】
このようにして、簡便な作業で確実に連結付本体部材20aを連結固定できるため、堅固で安全性の高い組立式階段1の骨組み構造を構成することができる。
【0090】
さらには、最下段用連結付本体部材20bに連結付本体部材20aを連結固定した後に、姿勢アジャスタ90で最下段用連結付本体部材20bの姿勢を調整するため、最下段用連結付本体部材20bを高精度に水平な状態にセットすることができる。したがって、最下段用連結付本体部材20bに連結される複数の連結付本体部材20aの水平性も確保することができる。
【0091】
また、最下段用連結付本体部材20bから最上段用連結付本体部材20cまで連結された連結付本体部材20aによって、付加される荷重を担う組立式階段1の堅固な骨組み構造を構成することができるため、付加される荷重を担う側桁(側板)を設置する必要がなく、外観上すっきりしたシンプルな形状の組立式階段1を構成することができる。
【0092】
なお、組立式階段1は連結ボルト71及び連結ナット72で、組立ユニット10同士を連結しているため、連結ボルト71と連結ナット72の螺着を解放することによって、組立ユニット10同士の連結を解放して、容易に組立式階段1を解体することができる。なお、この組立式階段1の解体は、上記組立方法の順序の逆の順序で解体でき、解体した組立ユニット10を再利用することができる。
【0093】
また、組立式階段1の構築及び取付けは、2階建ての住宅に後付け施工で行うことを前提として説明したが、住宅建築時に設置してもよく、さらには、上述したように本体構造物としてではなく、例えば組立式のユニットハウス等の仮設構造物に設置してもよい。
【0094】
また、踏面化粧板50を踏み面とした階段として用いず、踏面化粧板50部分を座席として、屋外の階段状観客席として組立式階段1を用いてもよい。この場合、踏面化粧板50をクッション性のある座面部材を踏面化粧板50の代用として取付けるとより望ましい。
【0095】
また、組立式階段1を雛壇式の商品陳列棚として用いてもよい。組立式階段1は組立が容易であるため、商品陳列棚として組立式階段1を用いた場合、商品の陳列レイアウトに応じて組立ユニット10の組付けを変更できるため、商品陳列棚としての利用する場合の利便性が向上する。
【0096】
次に、蹴上げ寸法を調整するアジャスタ機能付組立ユニット10c,10dについて、アジャスタ機能付組立ユニット10cについて側面図によって説明する説明図である図14、アジャスタ機能付組立ユニット10dについて斜視図によって説明する説明図である図15、及びアジャスタ機能付組立ユニット10dに用いるアジャスタリング83についての説明図である図16とともに説明する。
【0097】
アジャスタ機能付組立ユニット10cは、上述した実施例の組立ユニット10において、手前側下端27の下にアジャスタチップ81を取付けて、連結付本体部材20aの取付け高さを調整するものである。
【0098】
詳しくは、径方向に貫通するアジャスタチップ装着孔82を縦方向に所定間隔を隔てて円筒部33に配置し、略水平方向の装着凸部81aをアジャスタチップ装着孔82に挿入し、上部に備えた挟込取付片81bで手前側下端27を挟み込んでアジャスタチップ81を取付けるものである。
【0099】
これにより、円筒部36に円筒部33を挿入して、2つの連結付本体部材20aを連結する際に、手前側下端27と切込み36a底部との間にアジャスタチップ81が挟み込まれるため、円筒部36に対する円筒部33の挿入量がアジャスタチップ81の高さ分短くなり、すなわち、円筒部33が挿入される円筒部36側の20aに対して、円筒部36側の連結付本体部材20aはアジャスタチップ81の高さ分高く連結されたこととなる。
【0100】
このように、単純な構造のアジャスタチップ81を手前側下端27の下に取付けることにより、容易に、連結付本体部材20aの連結相対高さを変更し、所望の蹴上げ寸法に調整することができる。なお、予め複数種類の高さのアジャスタチップ81を用意しておくことによって、所望の連結相対高さを容易に実現することができる。
【0101】
次のアジャスタ機能付組立ユニット10dは、上述した実施例の組立ユニット10に比べて、円筒部36の上端高さが低く、およそ、上端が切込み36aの底部の高さ程度に形成され、蹴上げ寸法の調整にアジャスタリング83を用いるものである。
【0102】
アジャスタリング83は、円筒部36の外径よりわずかに大きな内径を有し、適宜の高さで形成したリング状であり、各上端と下端とのそれぞれの対向する位置に、例えば3種類の深さで形成した切欠溝84(84a,84b,84c)を備えている。アジャスタリング83の展開図である図15(b)に示すように、切欠溝84aは切欠溝84bより浅く、切欠溝84bは切欠溝84cより浅く形成している。アジャスタリング83の斜視図である図15(a)に示すように、各切欠溝84a,84b,84cは、リング部分の点対称な位置の上下端部に備えている。
【0103】
このように構成したアジャスタリング83を、図16に示すように、円筒部36に円筒部33を挿入する際に、先に上部から被せるようにして円筒部36に装着し、その上方から円筒部33を挿入する。
【0104】
これにより、アジャスタリング83の下側の切欠溝84は、円筒部36の手前側に位置する取付板部35の上端に嵌合し、上側の切欠溝84には連結する連結付本体部材20aの手前側下端27が嵌合する。このとき、深さの異なる切欠溝84a,84b,84cのいずれに嵌合するかによって、円筒部36に対する円筒部33の挿入量が異なる。
【0105】
詳しくは、深さの浅い切欠溝84aに嵌合すると、円筒部33の挿入量が短くなり、すなわち、円筒部33が挿入される円筒部36側の連結付本体部材20aに対して、円筒部33側の連結付本体部材20aは高く連結される。逆に、深さの深い切欠溝84cに嵌合されると、円筒部33の挿入量が長くなり、すなわち、円筒部33が挿入される円筒部36側の20aに対して、円筒部33側の連結付本体部材20aは低く連結される。
【0106】
このように、アジャスタリング83のいずれの切欠溝84に嵌合させるかによって、容易に、連結付本体部材20aの連結相対高さを変更し、所望の蹴上げ寸法に調整することができる。また、複数の種類の連結相対高さを1種類のアジャスタリング83で実現できるため、所望の連結相対高さを容易に実現することができる。
【0107】
なお、上述したアジャスタリング83は、3種類の深さの切欠溝84(84a,84b,84c)を備えた構成について説明したが、例えば4種類や5種類等の多数の深さの切欠溝84を備える構成であってもよい。
【0108】
なお、上述した組立式階段1は幅方向中央に連結する組立ユニット10を備え、該組立ユニット10に対して左右幅方向両側に張り出す踏面台座板40及び踏面化粧板50を備える構成であったが、図17に示すように、幅広の踏面化粧板50aに対して左右両端付近にそれぞれ組立ユニット10を備える構成であってもよい。これにより、踏面化粧板50aは左右に備えた組立ユニット10で両端支持状態となるため、幅広い組立式階段1を構成することができる。
【0109】
また、上述の組立ユニット10においては、図5に示すように、逆L型板21c,チール板31b及びスチール板34bから逆L型板21a,21b、挿入突出部31及び被挿入凹部34を形成し、逆L型板21a,21b、挿入突出部31及び被挿入凹部34を組みつけて本体部材20を構成しているが、図18に示すように、所望の形状に形成したスチール板20cにロール加工及びプレス加工を施して本体部材20を構成してもよい。
【0110】
詳しくは、図19において斜線で示した円筒形成部33c(図18において斜線で示す部分)及び円筒形成部36c(図18において斜線で示す部分)に矢印a,b方向のロール加工し、取付板部35と円筒部36とを一体形成する。
【0111】
そして、フランジ板23a,23bを形成するフランジ板形成部23c(図18において斜線で示す部分)を矢印c,d方向に折り曲げ加工するとともに、リブ24を形成するプレス加工を施して本体部材20を形成する。
【0112】
これにより、一枚のスチール板20cから本体部材20、挿入突出部31及び被挿入凹部34を構成しているため、高強度の本体部材20を構成することができる。また、別部材で構成する場合と比較して、リベット70等の固定部材を必要としないため、本体部材20の重量を低減することができる。さらには、別部材を取付ける取付工程を削減することができる。
【0113】
このとき、円筒形成部33c及び円筒形成部36cに矢印a,b方向のロール加工し、ウェブ板22a部分及びフランジ板23a部分に、スチール板20cの端部の重ね合わせ部分が位置するように、スチール板20cの形状を形成している。さらには、ウェブ板22a部分の重ね合わせ部分と及びフランジ板23a部分の重ね合わせ部分とが奥行き方向に、位置がすれるように、スチール板20cの端部形状を形成している。これにより、重ね合わせ部分による部材強度の低下を防止することができる。
【0114】
また、上述の組立ユニット10においては、図7に示すように、切込み36aを円筒部36の幅方向中心位置に配置しているが、これを図19のd部拡大図に示すように、切込み36aを奥行き方向に対して所望の連結角度βを有する位置に設置し、該切込み36aに、次の手前側下端27を挿入して連結付本体部材20aを連結することによって、図19に示すように、螺旋状の螺旋階段1aを構成することができる。このとき、切込み36aの屈曲側を絞り込んだ平面視台形状の踏面台座板40を設置する。
【0115】
これにより、一段ごとに一定の角度で形成された組立式螺旋階段1aを容易に構成することができる。なお、上記屈曲角度βは組立式螺旋階段1aの設置箇所に応じた連結角度で設定すれば良く、これにより設置箇所の諸条件に応じた組立式螺旋階段1aを設置することができる。
【0116】
また、組立ユニット10を連結して組立式螺旋階段1aに付加される荷重を担う堅固な骨組み構造を構成しているため、通常の螺旋階段において付加される荷重を担う中心柱のない螺旋階段を構成することができる。したがって、螺旋階段を構築するために必要な鋼材量を低減できるとともに、意匠性の高い螺旋階段を構成することができる。
【0117】
なお、円筒部36に備えた切込み36aを奥行き方向に対して所望の角度βを有する位置に設置して上記組立式螺旋階段1aを構成したが、図16に示したアジャスタ機能付組立ユニット10dに用いるアジャスタリング83の代用として、図20(a)に示すような角度アジャスタリング85を用いて組立式螺旋階段1aを構成してもよい。
【0118】
角度アジャスタリング85は、円筒部36の外径よりわずかに大きな内径を有し、適宜の高さで形成したリング状であり、上端に周方向に所定間隔で配置した12個の切欠溝86(86a〜86l)を備えている。また、下端には、切欠溝87(87A〜87D)を備えている。なお、切欠溝87B,87C,87Dは、切欠溝87Aを基準とする四半円点からそれぞれ所定角度回転移動した位置に配置されている。
【0119】
具体的には、角度アジャスタリング85の平面図である図20(c)に示すように、切欠溝86は角度アジャスタリング85の周方向に30度ずつ離した位置であり、角度アジャスタリング85の底面図である図20(d)に示すように、切欠溝87Bは切欠溝Aに対して反時計回りに90度方向の四半円点から時計方向に5度戻った位置である。また、切欠溝87Cは切欠溝87Aに対して反時計回りに180度方向の四半円点から時計方向に10度戻った位置であり、切欠溝87Dは切欠溝87Aに対して反時計回りに270度方向の四半円点から時計方向に15度戻った位置である。
【0120】
このように構成した角度アジャスタリング85を、図16に示すように、アジャスタリング83の代わりに、円筒部36に円筒部33を挿入する際に、先に上部から被せるようにして円筒部36に装着し、その上方から円筒部33を挿入する。
【0121】
これにより、角度アジャスタリング85の下側の切欠溝87のいずれかが円筒部36の手前側に位置する取付板部35の上端に嵌合し、上側の切欠溝86のいずれかには連結する連結付本体部材20aの手前側下端27が嵌合する。このとき、切欠溝87に対して、いずれの切欠溝86に挿入するかによって、円筒部36側の連結付本体部材20aに対する円筒部33側の連結付本体部材20aの連結角度を調整することができる。
【0122】
具体的には、円筒部33と円筒部36の連結状態の平面図である図20(b)に示すように、取付板部35が切欠溝87Aに挿入され、取付板部32の手前側下端27部分が切欠溝86hに挿入されることで、円筒部36側の連結付本体部材20aに対して円筒部33側の連結付本体部材20aを30度の連結角度で連結することができる。
【0123】
このように、取付板部35が挿入される切欠溝87に対して、取付板部32の手前側下端27部分を切欠溝86のいずれかに挿入することで連結角度を容易に調整することができる。また、切欠溝86を周方向に等間隔で配置しているのに対して、切欠溝87B,87C,87Dを切欠溝87Aを基準とする四半円点からそれぞれ所定角度回転移動した位置に配置しているため、切欠溝86の配置角度30度より狭い角度で調整することができる。
【0124】
詳しくは、所望の連結角度に調整する際の取付板部32及び取付板部35を挿入する切欠溝86および切欠溝87の組合せを示す図20(e)に示すように、
周方向に配置した所定間隔である30度より狭い5度単位で連結角度を調整することができる。
【0125】
なお、図20(e)に示す組合表の左側は、上述したように、切欠溝86が上側、そして切欠溝87が下側となるように角度アジャスタリング85を配置した場合の組合せを示しているが、図20(e)に示す組合表の右側は、切欠溝87が上側、そして切欠溝86が下側となるように角度アジャスタリング85を配置した場合の組合せを示している。
【0126】
このように、角度アジャスタリング85の配置方向を上下変更することによって、より細やかな連結角度を調整することができる。したがって、設置箇所に応じた連結角度を設定した組立式螺旋階段1aを容易に構成することができる。また、複数の角度を1つの角度アジャスタリング85で調整できるため、連結角度の調整に関するコストを低減することができる。
【0127】
なお、上記角度アジャスタリング85における各切欠溝86及び切欠溝87の配置角度は一例であり、これに限定されるものではなく、連結角度の調整範囲に応じて変更してもよい。
また、角度アジャスタリング85を用いた組立式螺旋階段1aにおいて、アジャスタ機能付組立ユニット10cに用いたアジャスタチップ81を組合せても良い。これにより、連結高さ及び連結角度を容易に調整できる組立ユニット10を構成することができる。
【0128】
また、組立ユニット10を連結して組立式螺旋階段1aに付加される荷重を担う堅固な骨組み構造を構成しているため、通常の螺旋階段において付加される荷重を担う中心柱のない螺旋階段を構成することができるとともに、連結角度を容易に調整できるため、例えば平面視S字等の曲率の変化する螺旋階段を容易に構成することができる。
【0129】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の組立段状構造物は、組立式階段1又は組立式螺旋階段1aに対応し、
以下同様に、
組立ユニットは、組立ユニット10,アジャスタ機能付組立ユニット10c,10dに対応し、
フランジ部は、フランジ板23に対応し、
ウェブ部は、ウェブ板22に対応し、
載置部材は、踏面台座板40に対応し、
連結手段は、連結部30に対応し、
略逆L型部材は、逆L型板21に対応し、
断面C型の円筒部分は、円筒部33,36に対応し、
取付板部分は、取付板部32,35に対応し、
連結固定部材は、連結ボルト71及び連結ナット72に対応し、
ウェブ部の高さ方向のリブは、リブ24aに対応し、
フランジ部の幅方向のリブは、リブ24bに対応し、
載置部材の幅方向のリブは、リブ41に対応するも
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】組立式階段の側面図。
【図2】組立式階段の正面図。
【図3】組立式階段の斜視図。
【図4】組立ユニットの分解斜視図。
【図5】組立ユニットの構成部品の加工について説明する説明図。
【図6】組立ユニットの分解側面図。
【図7】組立ユニットに連結部を組付けた状態の平面図。
【図8】組立ユニットの側面図。
【図9】組立ユニットに連結部を組付けた状態の斜視図。
【図10】本体部材の連結について斜視図によって説明する説明図。
【図11】踏面台座板の取付けについて斜視図によって説明する説明図。
【図12】踏面化粧板及び蹴込み板の取付けについて斜視図によって説明する説明図。
【図13】組立式階段の幅方向中心付近の拡大断面図。
【図14】アジャスタ機能付組立ユニットについて側面図によって説明する説明図。
【図15】アジャスタ機能付組立ユニットについて斜視図によって説明する説明図。
【図16】アジャスタ機能付組立ユニットに用いるアジャスタリングについての説明図。
【図17】別の実施形態の組立式階段の正面図。
【図18】別の実施形態の本体部材の展開説明図。
【図19】別の実施形態である組立式螺旋階段の平面図。
【図20】別の実施形態のアジャスタ機能付組立ユニットに用いるアジャスタリングについての説明図。
【符号の説明】
【0131】
1…組立式階段
1a…組立式螺旋階段
10…組立ユニット
10c,10d…アジャスタ機能付組立ユニット
20…本体部材
21…逆L型板
22…ウェブ板
23…フランジ板
24a,24b…リブ
30…連結部
31…挿入突出部
32…取付板部
33…円筒部
34…被挿入凹部
35…取付板部
36…円筒部
40…踏面台座板
41…リブ
71…連結ボルト
72…連結ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数を段状且つ一方向に連結して階段状の構造部である組立段状構造物を構成する組立ユニットであって、
該組立ユニットを、
横方向のフランジ部と縦方向のウェブ部とで構成する本体部材と、
前記フランジ部上面に載置する幅広の載置部材とで構成し、
前記ウェブ部の連結方向の端部に、連結する組立ユニットと連結する連結手段を備え、
前記本体部材及び前記載置部材を板材で構成した
組立ユニット。
【請求項2】
前記本体部材を、
前記フランジ部と前記ウェブ部とで構成する2つの略逆L型部材を、両フランジ部が幅方向外側となるように幅方向に対称な向きで対向させて正面視T型に構成した
請求項1に記載の組立ユニット。
【請求項3】
前記連結手段を、
前記ウェブ部の手前側端部に備え、前記ウェブ部の下端より下向きに突出する挿入突出部と、
前記ウェブ部の奥側端部に備え、連結する組立ユニットの前記挿入突出部の挿入を許容する被挿入凹部とで構成した
請求項1又は2に記載の組立ユニット。
【請求項4】
前記挿入突出部及び前記被挿入凹部を、
断面C型の円筒部分と、
断面C型の両端部に備え、互いに平行な断面直線状に形成した平板状の取付板部分とで構成し、
前記円筒部分及び前記取付板部分を、板材を加工して一体形成した
請求項1、2或いは3に記載の組立ユニット。
【請求項5】
前記被挿入凹部に、連結する組立ユニットの前記挿入突出部が挿入された挿入連結状態を固定する連結固定部材を備えた
請求項3、又は4に記載の組立ユニット。
【請求項6】
前記ウェブ部に高さ方向にリブを備えるとともに、
前記フランジ部に幅方向のリブを備えた
請求項1から5のうちいずれかに記載の組立ユニット。
【請求項7】
前記載置部材に、幅方向のリブを備え、
該載置部材のリブと、前記フランジ部に備えたリブとを、嵌合対応する断面形状で形成した
請求項6に記載の組立ユニット。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の組立ユニットを、
複数連結して、階段状の構造部を構成した
組立段状構造物。
【請求項9】
複数の組立ユニットを段状且つ一方向に連結して、階段状の構造部を構成する組立段状構造物の組立方法であり、
該組立ユニットを、
板状且つ横方向のフランジ部と板状且つ縦方向のウェブ部とで構成する本体部材と、
前記フランジ部上面に載置する板状且つ幅広の載置部材とで構成し、
前記ウェブ部の手前側端部に、前記ウェブ部下端より下向きに突出する挿入突出部を備えるとともに、
前記ウェブ部の奥側端部に、連結する組立ユニットの前記挿入突出部の挿入を許容する被挿入凹部を備え、
前記被挿入凹部に、連結する組立ユニットの前記挿入突出部を挿入する挿入工程と、
前記被挿入凹部に前記挿入突出部が挿入された挿入連結状態を連結固定部材で固定する連結固定工程と、
前記フランジ部上面に、前記載置部材を取付ける載置部材取付工程とを有する
組立段状構造物の組立方法。
【請求項10】
前記挿入工程の前に、
前記フランジ部と前記ウェブ部とで構成する2つの略逆L型部材を、両フランジ部が幅方向外側となるように幅方向に対称な向きで対向させて正面視T型の前記本体部材を構成する本体部材構成工程を有した
請求項9に記載の組立段状構造物の組立方法。
【請求項11】
前記フランジ部と前記載置部材のそれぞれに、幅方向のリブを備え、
前記載置部材取付工程を、
前記載置部材のリブと、前記フランジ部に備えたリブとを嵌合するリブ嵌合工程と、
前記フランジ部に、前記載置部材を固定する載置部材固定工程とで
構成した
請求項9、又は10に記載の組立段状構造物の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−62706(P2009−62706A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230441(P2007−230441)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(591000757)株式会社アクト (20)
【Fターム(参考)】